(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記道路交通情報判定部は、上記並走道路を構成する各道路のそれぞれに対して上記交通規制情報または上記交通障害情報が存在するか否か、および、存在する場合の存在数または存在密度が所定値以上か否かを判定し、
上記表示制御部は、上記並走道路を構成する各道路のそれぞれに対して上記交通規制情報または上記交通障害情報が存在し、かつ、その存在数または存在密度が所定値以上であると上記道路交通情報判定部により判定された場合にのみ、地図表示画面を分けて、上記並走道路を構成する各道路の道路交通情報を上記各地図表示画面に表示させるように制御することを特徴とする請求項4に記載の地図表示装置。
【背景技術】
【0002】
一般に、ナビゲーション装置では、自立航法センサやGPS(Global Positioning System)受信機などを用いて車両の現在位置を検出し、その近傍の地図データを記録媒体から読み出して画面上に表示する。そして、画面上の所定箇所に自車位置を示す自車位置マークを重ね合わせて表示することにより、車両が現在どこを走行しているのかを一目で分かるようにしている。
【0003】
また、ナビゲーション装置は、道路交通情報センタから送られてくる道路交通情報(VICS情報:VICSは登録商標)を受信して、刻々と変化する道路状況をナビゲーション画面上に表示できるようになっているものが多い。この種のナビゲーション装置では、渋滞情報や規制情報といった道路交通情報をリアルタイムにユーザに提供することが可能である。
【0004】
道路交通情報には、レベル1(文字表示型)、レベル2(簡易図形表示型)、レベル3(地図表示型)の3種類の情報がある。このうちレベル3の道路交通情報は、渋滞/混雑/順調の種別を示す知らせるための渋滞情報と、通行止め、高速道入口閉鎖などを知らせる交通規制情報と、事故、工事、故障車などの発生を知らせる交通障害情報とを含む。
【0005】
ナビゲーション装置は、道路を表す各リンクの渋滞情報(渋滞/混雑/順調の何れか)を道路交通情報センタから受信すると、その渋滞情報に基づいて、各リンクに対応する道路の脇に、渋滞箇所を示す赤色の渋滞線や混雑箇所を示すオレンジ色の渋滞線を明滅表示する。また、順調に車が流れている道路の脇には青色の渋滞線を表示する。また、ナビゲーション装置は、交通規制情報や交通障害情報を道路交通情報センタから受信すると、当該交通規制や交通障害が発生している箇所に所定のアイコンを表示する。
【0006】
ところで、地図上には、高速道と一般道とが並走する区間が存在する。そのような並走区間において、渋滞線やアイコンを道路脇に表示した場合、表示されたアイコンが高速道または一般道のどちらのものであるかが分かりにくいという問題があった。
【0007】
これに対し、従来、高速道の渋滞を示す渋滞線と、一般道の渋滞を示す渋滞線とを異なる表示形態(形状、色、位置等)で表示するようにしたナビゲーション装置が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。特許文献1に記載のナビゲーション装置では、高速道路用と一般道路用とで、表示位置をずらすとともに色を変えた渋滞情報用矢印を描画することにより、渋滞情報用矢印が部分的にしか重ならないようにして、両方を識別可能としている。
【0008】
特許文献2に記載のナビゲーション装置では、高速道路の渋滞を示す矢印と、一般道路の渋滞を示す矢印の形状、色および位置を異なるものとしている。特許文献3に記載のナビゲーション装置では、一般道路の矢印は単なる幅広のものとし、高速道路の矢印は一般道路の矢印に影を付加した影付きの矢印として、一般道路のものと高速道路のものとを区別できるようにしている。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態による地図表示装置の機能構成例を示すブロック図である。本実施形態では、地図表示装置の一例として、ナビゲーション装置を用いた場合の構成例を示している。ナビゲーション装置は、車載機であってもよいし、スマートフォン等の携帯端末にインストールして使用されるナビアプリケーションであってもよい。以下では、ナビゲーション装置を車両にて使用する場合を例にとって説明する。
【0019】
図1に示すように、本実施形態の地図表示装置(ナビゲーション装置)100は、地図データ取得部11、地図メモリ12、現在位置検出部13、目的地設定部14、経路探索部15、道路交通情報受信部16、表示制御部17、並走道路存否判定部18および道路交通情報判定部19を備えて構成されている。表示制御部17は、地図描画部17A、誘導経路描画部17Bおよび道路交通情報描画部17Cを有している。
【0020】
上記各機能ブロック11〜19は、ハードウェア、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記各機能ブロック11〜19は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記録媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。
【0021】
地図データ取得部11は、地図データ記憶部200から地図データを取得する。地図データ記憶部200は、例えば、地図表示装置100に接続あるいは内蔵されたハードディスク、DVD(Digital Versatile Disk)、半導体メモリなどの記憶媒体により構成される。または、地図データ記憶部200は、地図表示装置100に対してインターネット等の通信ネットワークを介して接続されたサーバ内の外部ストレージであってもよい。
【0022】
地図データ記憶部200に記憶される地図データは、地図表示や経路探索などに用いる公知のデータであり、交差点や分岐など複数の道路が交わる点に対応するノードに関する情報と、道路や車線等に対応するリンクに関する情報とが含まれている。すなわち、地図データには、全ノードの詳細データを納めた接続ノードテーブルと、隣接する2つのノードによって特定されるリンクの詳細データを納めたリンクテーブルとが含まれている。
【0023】
接続ノードテーブルには、存在するノードのそれぞれ毎に、ノードの正規化経度・緯度、属性フラグ、交通規制などの情報が含まれている。正規化経度・緯度は、所定の区画を基準とした経度方向・緯度方向の相対位置を示す。属性フラグは、そのノードが交差点ノードであるか否かを示す交差点ノードフラグを含んでいる。交通規制は、そのノードに接続されているリンクに右折禁止やUターン禁止等の交通規制が存在する場合に、その交通規制の内容を示す。
【0024】
また、リンクテーブルには、リンクの距離、リンクコスト、道路属性フラグ、道路種別フラグなどの情報が含まれている。リンクの距離は、当該リンクに対応した実際の道路の実距離を示す。リンクコストは、例えば距離をもとに、道路幅、道路種別、右左折、交通規制などに応じた所定の定数を乗じた重み値であり、誘導経路として適正の程度を数値化したものである。道路属性フラグは、そのリンクに関する各種の属性を示すものである。例えば、そのリンクが道路交通情報センタで管理しているVICSリンク(道路交通情報を受信可能なリンク)と対応しているか否かを示す属性が含まれている。道路種別フラグは、そのリンクに対応した実際の道路の種別(高速道、国道、県道、細街路など)を示す。
【0025】
現在位置検出部13は、車両の現在位置を所定間隔毎に検出するものであり、自立航法センサ、GPS受信機、位置計算用CPU等で構成されている。自立航法センサは、所定走行距離毎に1個のパルスを出力して車両の移動距離を検出する車速センサ(距離センサ)と、車両の回転角度(移動方位)を検出する振動ジャイロ等の角速度センサ(相対方位センサ)とを含む。自立航法センサは、これらの車速センサおよび角速度センサによって車両の相対位置および方位を検出する。
【0026】
位置計算用CPUは、自立航法センサから出力される自車両の相対的な位置および方位のデータに基づいて、絶対的な自車装置(推定車両位置)および車両方位を計算する。また、GPS受信機は、複数のGPS衛星から送られてくる電波をGPSアンテナで受信して、3次元測位処理あるいは2次元測位処理を行って車両の絶対位置および方位を計算する(車両方位は、現時点における自車位置と1サンプリング時間ΔT前の自車位置とに基づいて計算する)。
【0027】
上述した地図データ取得部11は、現在位置検出部13から現在位置情報を入力し、その現在位置を含む所定範囲の地図データの読み出し指示を出力することにより、地図表示に必要な地図データを地図データ記憶部200から取得して地図メモリ12に格納する。また、地図データ取得部11は、誘導経路の探索を行うときは、現在位置検出部13から現在位置情報を入力するとともに、目的地設定部14から目的地情報を入力し、現在位置および目的地を含む所定範囲の地図データの読み出し指示を出力することにより、経路探索に必要な地図データを地図データ記憶部200から取得して地図メモリ12に格納する。
【0028】
表示制御部17の地図描画部17Aは、地図メモリ12に格納された地図データに基づいて、現在位置周辺の地図をディスプレイ装置300に表示させるのに必要な地図画像を描画する。このとき地図描画部17Aは、自車位置を表す車両位置マークや各種ランドマークを発生し、これらの各種マークを地図と共に表示させるのに必要な地図画像を生成する。
【0029】
目的地設定部14は、ユーザの操作に基づいて、誘導経路の目的地を設定する。経路探索部15は、地図メモリ12に記憶された地図データを用いて、設定された探索条件で現在地から目的地までの誘導経路を探索する。表示制御部17の誘導経路描画部17Bは、経路探索部15により探索された誘導経路のデータに基づいて、誘導経路を描画する。具体的には、誘導経路を他の道路とは色を変えて太く描画する。また、車両が誘導経路上の案内交差点に一定距離内に近づいたときに、交差点拡大図を描画する。
【0030】
道路交通情報受信部16は、道路交通情報センタから送られてくる道路交通情報を受信する。具体的には、道路交通情報受信部16は、主に高速道路上に設置された電波ビーコン送受信機との間で電波を介して双方向通信を行うとともに、主に一般道路上に設置された光ビーコン送受信機との間で光を介して双方向通信を行うことにより、道路交通情報センタから送られてくる道路交通情報を受信する。また、道路交通情報受信部16は、道路交通情報センタからFM放送電波を介して送られてくる道路交通情報を受信する。道路交通情報受信部16が受信する道路交通情報には、レベル3の渋滞情報、交通規制情報および交通障害情報の少なくとも何れかが含まれている。
【0031】
表示制御部17の道路交通情報描画部17Cは、道路交通情報受信部16により受信された道路交通情報に基づいて、渋滞の程度を色の違いで示す渋滞線や、交通規制や交通障害が発生している箇所を示す所定のアイコンを、各リンクに対応する道路の脇に描画する。具体的には、道路交通情報受信部16が各リンクの渋滞情報(渋滞/混雑/順調の何れか)を道路交通情報センタから受信すると、道路交通情報描画部17Cは、その渋滞情報に基づいて、各リンクに対応する道路の脇に、渋滞箇所を示す赤色の渋滞線、混雑箇所を示すオレンジ色の渋滞線、順調に車が流れていることを示す青色の渋滞線の何れかを描画する。また、道路交通情報受信部16が交通規制情報や交通障害情報を道路交通情報センタから受信すると、道路交通情報描画部17Cは、各リンクに対応する道路の脇で、交通規制や交通障害が発生している箇所に所定のアイコンを描画する。
【0032】
並走道路存否判定部18は、地図メモリ12に記憶された地図データに基づいて、地図描画部17Aによってディスプレイ装置300に対して画面表示すべき地図エリアの中に、互いに所定距離以内に接近して並走している複数の道路(並走道路)が存在するか否かを判定する。並走道路の典型例は、一方が高速道で高架上道路となっており、他方が一般道で高架下道路となっているものである。この場合、高速道と一般道は2次元の地図データ上で殆ど重なっており、互いに所定距離以内に接近している複数の道路であると言える。高速道と一般道とが高架の上下で並走している場合だけでなく、水平位置にて並走している場合も、互いに所定距離以内に接近して並走している並走道路である。
【0033】
この他、地方都市などにある国道とバイパスとの組み合せ、都市部にある都市高速と一般道環状線との組み合せ、国道と地方道との組み合わせ、地方道と細街路との組み合せ、高速道どうしの組み合わせ(例えば、首都高と圏央道など)、地表道と地下道(あるいはトンネル)との組み合せなどに関しても、互いに所定距離以内に接近している並走道路である場合があり得る。なお、ここでいう「所定距離」とは、並走道路の脇に道路交通情報を表示した場合に、どちらの道路の道路交通情報であるかが一見して分かりにくくなってしまうくらいに各道路が接近していることを示す値をいう。
【0034】
道路交通情報判定部19は、並走道路存否判定部18により並走道路が存在すると判定された場合、並走道路が存在する道路区間(以下、並走区間という)に道路交通情報が存在するか否かを判定する。すなわち、道路交通情報判定部19は、並走区間において、並走道路を構成する各道路の少なくとも1つに関する道路交通情報が道路交通情報受信部16により受信されているか否かを判定する。渋滞情報や交通規制情報、交通障害情報には、発生した地点を示すVICSリンク情報(リンクの座標、リンク端からの距離)が付帯している。道路交通情報判定部19は、このVICSリンク情報と地図データが持つ道路リンク情報とを紐づけて、道路リンクにより示される並走区間に、VICSリンクで示される道路交通情報が存在するか否かを判定する。
【0035】
表示制御部17は、道路交通情報判定部19により並走区間に道路交通情報が存在すると判定された場合、地図表示画面を分けて、並走道路を構成する各道路の道路交通情報を各地図表示画面に表示させるように制御する。例えば、表示制御部17は、ディスプレイ装置300の地図表示画面を左右2つの画面に分けて、並走道路のうち一方の道路に関する道路交通情報を左側の地図表示画面に表示させ、他方の道路に関する道路交通情報を右側の地図表示画面に表示させるように制御する。
【0036】
図2は、表示制御部17により表示される地図表示画面の一例を示す図である。
図2(a)は、ディスプレイ装置300の通常状態の地図表示画面を示している。ディスプレイ装置300に対して画面表示すべき地図エリアの中に並走道路が存在しないと並走道路存否判定部18により判定された場合、および、並走道路は存在するものの、その並走区間に道路交通情報が存在しないと道路交通情報判定部19により判定された場合、表示制御部17は、
図2(a)のように、1画面全体に地図を表示させ、当該地図上の道路脇に道路交通情報を表示させる。
図2(a)は、画面表示すべき地図エリアの中に並走道路が存在しない場合の表示例を示している。
【0037】
一方、ディスプレイ装置300に対して画面表示すべき地図エリアの中に並走道路が存在すると並走道路存否判定部18により判定され、かつ、その並走区間に道路交通情報(並走道路のうち少なくとも1つに関する道路交通情報)が存在すると道路交通情報判定部19により判定された場合、表示制御部17は、
図2(b)のように、地図表示画面を左右2つに分けて、各地図表示画面に同じ地図を表示させるとともに、並走道路を構成する各道路の道路交通情報を各地図表示画面に分けて表示させるように制御する。
【0038】
図2(b)の例は、一般道と高速道とが並走している道路区間を含む地図エリアについて、現在走行中である一般道の道路交通情報を左側の地図表示画面に表示させ、当該一般道に並走している高速道の道路交通情報を右側の地図表示画面に表示させた状態を示している。このようにすれば、複数の道路が並走する並走区間に道路交通情報が存在する場合に、当該複数の道路の道路交通情報が、それぞれ別個の地図表示画面に分けて表示されるので、各道路の道路交通情報を明瞭に区別して把握することができる。
図2(b)のように、現在走行中の道路に関する道路交通情報を左側の地図表示画面に表示させると決めておけば、現在走行中の道路に関する道路交通情報と、その付近を並走している道路に関する道路交通情報とを一見して把握することが可能である。
【0039】
また、
図2(b)のように表示すれば、並走道路の各道路ごとに色、形状、位置などの表示形態を変えて道路交通情報を表示させる必要はなく、どの地図表示画面でも統一した表示形態で道路交通情報を表示させることができる。すなわち、渋滞の程度を色の違いで示す渋滞線であれば、左右どちらの地図表示画面においても、渋滞箇所は赤色、混雑箇所はオレンジ色、順調箇所は青色の渋滞線を表示すればよい。また、交通規制や交通障害が発生している箇所を示すアイコンであれば、左右どちらの地図表示画面においても、その交通規制や交通障害の内容に応じて同じアイコンを表示すればよい。これにより、同じ道路交通情報の内容を示しているのに表示形態が異なるといった煩雑さがなくなり、ユーザが直感的に分かりやすい表示を提供することができる。
【0040】
図3は、上記のように構成した本実施形態による地図表示装置100の動作例を示すフローチャートである。
図3に示すフローチャートは、地図表示装置100の電源をオンとしたときに開始する。
【0041】
まず、道路交通情報受信部16は、道路交通情報センタから道路交通情報を受信する(ステップS1)。また、現在位置検出部13は、車両の現在位置を検出する(ステップS2)。次いで、地図データ取得部11は、現在位置検出部13から現在位置情報を入力し、その現在位置を含む所定範囲の地図データを地図データ記憶部200から取得して地図メモリ12に格納する(ステップS3)。
【0042】
そして、並走道路存否判定部18は、地図メモリ12に記憶された地図データに基づいて、ディスプレイ装置300に対して画面表示すべき地図エリアの中に並走道路が存在するか否かを判定する(ステップS4)。並走道路が存在しない場合、表示制御部17は、
図2(a)のように、1画面全体に地図を表示させ、当該地図上の道路脇に、道路交通情報受信部16により受信された道路交通情報を表示させる(ステップS7)。
【0043】
一方、画面表示すべき地図エリアの中に並走道路が存在すると並走道路存否判定部18により判定された場合、道路交通情報判定部19は、その並走区間に道路交通情報が存在するか否かを判定する(ステップS5)。ここで、並走区間に道路交通情報が存在しないと判定された場合、表示制御部17は、
図2(a)のように、1画面全体に地図を表示させ、当該地図上の道路脇に、道路交通情報受信部16により受信された道路交通情報を表示させる(ステップS7)。
【0044】
一方、並走区間に道路交通情報が存在すると判定された場合、表示制御部17は、
図2(b)のように、ディスプレイ装置300の地図表示画面を左右2つの画面に分けて、並走道路のうち一方の道路に関する道路交通情報を左側の地図表示画面に表示させ、他方の道路に関する道路交通情報を右側の地図表示画面に表示させる(ステップS6)。
【0045】
ステップS6またはステップS7による表示を行った後、地図表示装置100は、電源がオフとされたか否かを判定する(ステップS8)。電源がオフとされていない場合、処理はステップS1に戻る。一方、電源がオフとされた場合、
図3に示すフローチャートの処理は終了する。なお、
図3のフローチャートでは、1回のループの中で道路交通情報の受信処理(ステップS1)と現在位置に基づく地図データの取得処理(ステップS2,S3)とを行っているが、これらは非同期のタイミングでそれぞれ別個に行ってもよい。
【0046】
以上詳しく説明したように、本実施形態では、画面表示すべき地図エリアの中に並走道路が存在し、並走区間に道路交通情報が存在する場合に、地図表示画面を分けて、並走道路を構成する各道路の道路交通情報を各地図表示画面に表示させるようにしている。
【0047】
このように構成した本実施形態によれば、複数の道路が並走する並走区間に道路交通情報が存在する場合に、当該複数の道路の道路交通情報が、それぞれ別個の地図表示画面に分けて表示されるので、複数の道路の道路交通情報を明瞭に区別して把握することができる。また、複数の道路ごとに表示形態を変えて道路交通情報を表示させる必要はなく、どの地図表示画面でも統一した表示形態で道路交通情報を表示させることができるので、ユーザが直感的に分かりやすい表示を提供することができる。
【0048】
なお、上記実施形態では、並走区間に道路交通情報が存在する場合には、他の条件を特に考慮することなく、並走道路を構成する各道路の道路交通情報を複数の地図表示画面に分けて表示させるようにしたが、本発明はこれに限定されない。以下に、本実施形態の変形例を説明する。
【0049】
<変形例1>
例えば、道路交通情報判定部19において、並走道路を構成する各道路のそれぞれに対して渋滞度の異なる渋滞情報が存在するか否かを判定する。そして、並走区間において各道路のそれぞれに対して渋滞度の異なる渋滞情報が存在すると道路交通情報判定部19により判定された場合に、表示制御部17が、並走道路を構成する各道路の道路交通情報を各地図表示画面に分けて表示させるようにしてもよい。
【0050】
このようにすれば、並走道路を構成する各道路のうち一方にしか渋滞情報が存在しない場合や、各道路のそれぞれに対して渋滞情報が存在していても、渋滞度が同じ渋滞情報の場合には、
図2(a)と同様に、1画面全体に地図が表示され、当該地図上の道路脇に渋滞線が表示される。一方、並走道路を構成する各道路について渋滞度の異なる渋滞情報が受信されている場合には、
図2(b)のように、複数の道路に関する渋滞線が複数の地図表示画面に分けて表示される。これにより、並走道路を構成する各道路の渋滞度が異なっていて明瞭に区別して把握する必要があるときにだけ、複数画面に分けて渋滞線を表示させることができる。一方、複数画面に分けても片方の画面にしか渋滞線が表示されない場合や、両画面において同じ色の渋滞線となる場合には、1画面のままで大きく地図を表示させるようにすることができる。
【0051】
<変形例2>
また、変形例1に対する更に別の例として、道路交通情報判定部19において、渋滞度の異なる渋滞情報が存在する道路区間の距離が所定値以上か否かを更に判定する。そして、並走区間において各道路のそれぞれに対して渋滞度の異なる渋滞情報が存在し、かつ、当該渋滞度の異なる渋滞情報が存在する道路区間の距離が所定値以上であると道路交通情報判定部19により判定された場合に、表示制御部17が、並走道路を構成する各道路の道路交通情報を各地図表示画面に分けて表示させるようにしてもよい。
【0052】
このようにすれば、並走道路を構成する各道路について渋滞度の異なる渋滞情報が受信されていても、その道路区間の距離が所定値以上でなければ、
図2(a)と同様に、1画面全体に地図が表示され、当該地図上の道路脇に渋滞線が表示される。すなわち、並走道路について渋滞度の異なる渋滞情報が存在する道路区間の距離が所定値以上の場合に限り、
図2(b)のように、複数の道路に関する渋滞線が複数の地図表示画面に分けて表示される。これにより、渋滞度の異なる道路区間の距離が所定値よりも短く、どちらの渋滞度であっても走行に大きな差異をもたらさないような場合には、1画面のままで大きく地図を表示させるようにすることができる。
【0053】
<変形例3>
また、別の例として、道路交通情報判定部19において、並走道路を構成する各道路の少なくとも1つに対して交通規制情報または交通障害情報が存在するか否かを判定する。そして、並走区間において各道路の少なくとも1つに交通規制情報または交通障害情報が存在すると道路交通情報判定部19により判定された場合に、表示制御部17が、並走道路を構成する各道路の道路交通情報を各地図表示画面に分けて表示させるようにしてもよい。
【0054】
このようにすれば、並走道路を構成する各道路の何れにも交通規制情報または交通障害情報が存在しない場合は、
図2(a)と同様に、1画面全体に地図が表示される。一方、並走道路を構成する各道路の少なくとも1つに交通規制情報または交通障害情報が存在する場合は、
図2(b)のように、複数の道路に関する交通規制や交通障害のアイコンが複数の地図表示画面に分けて表示される。これにより、並走道路に交通規制や交通障害が発生していて、それが各道路のどちらのものであるかを明瞭に区別して把握する必要があるときにだけ、複数画面に分けてアイコンを表示させることができ、交通規制や交通障害が発生していない場合には、1画面のままで大きく地図を表示させるようにすることができる。
【0055】
<変形例4>
また、別の例として、道路交通情報判定部19において、並走道路を構成する各道路に交通規制情報または交通障害情報が存在するか否か、および存在する場合の存在数または存在密度(例えば、単位距離当たりの存在数)が所定値以上か否かを判定する。そして、並走道路を構成する各道路に交通規制情報または交通障害情報が存在し、かつ、その存在数または存在密度が所定値以上であると道路交通情報判定部19により判定された場合に、表示制御部17が、並走道路を構成する各道路に関する道路交通情報を各地図表示画面に分けて表示させるようにしてもよい。
【0056】
このようにすれば、並走道路を構成する各道路について交通規制情報または交通障害情報が受信されていて、かつ、その存在数または存在密度が所定値以上でなければ、
図2(a)と同様に、1画面全体に地図が表示され、当該地図上の道路脇にアイコンが表示される。すなわち、並走道路を構成する各道路について交通規制情報または交通障害情報が存在していてその存在数または存在密度が所定値以上の場合に限り、
図2(b)のように、複数の道路に関するアイコンが複数の地図表示画面に分けて表示される。これにより、複数の道路に関する交通規制または交通障害のアイコンを1画面に表示すると、それらが密集して区別しにくくなるような場合に限り複数画面に分けてアイコンを表示させ、それ以外の場合は1画面のままで大きく地図を表示させるようにすることができる。
【0057】
<変形例5>
上記変形例1または変形例2の何れかと、上記変形例3または変形例4の何れかとを組み合わせて実施するようにしてもよい。この場合、渋滞線を複数画面に分けて表示するための条件と、交通規制または交通障害のアイコンを複数画面に分けて表示するための条件との両方を満たす場合に、複数の道路に関する道路交通情報を複数の地図表示画面に分けて表示させ、それ以外の場合は1画面のままで大きく地図を表示させるようにすることができる。
【0058】
<変形例6>
また、別の例として、道路交通情報判定部19において、並走道路を構成する各道路のうち現在進行中の道路以外の道路に対して道路交通情報が存在するか否かを判定する。そして、並走区間において、現在進行中の道路以外の道路に対して道路交通情報が存在すると道路交通情報判定部19により判定された場合に、表示制御部17が、並走道路を構成する各道路の道路交通情報を各地図表示画面に分けて表示させるようにしてもよい。
【0059】
このようにすれば、並走区間において道路交通情報が存在しても、並走道路のうち現在進行中の道路にのみ道路交通情報が存在し、それ以外の道路に道路交通情報が存在しなければ、
図2(a)と同様に、1画面全体に地図が表示され、当該地図上の道路脇に渋滞線やアイコンが表示される。一方、並走道路のうち現在進行中の道路以外の道路に道路交通情報が存在する場合は(現在進行中の道路に道路交通情報が存在する場合および存在しない場合の両方を含む)、
図2(b)のように、複数の道路に関する道路交通情報が複数の地図表示画面に分けて表示される。これにより、現在進行中の道路に対して並走する他の道路に道路交通情報が存在する場合に限り、それを明瞭に区別できるように複数画面に分けて道路交通情報を表示させ、それ以外の場合は1画面のままで大きく地図を表示させるようにすることができる。
【0060】
<変形例7>
また、別の例として、道路交通情報判定部19において、並走道路のうち現在進行中で誘導経路が設定された道路に対して道路交通情報が存在するか否かを判定する。そして、並走区間において、現在進行中で誘導経路が設定された道路に対して道路交通情報が存在すると道路交通情報判定部19により判定され、かつ、並走道路のうち現在進行中ではない道路に対して経路探索部15が誘導経路を再設定する場合に、表示制御部17が、並走道路を構成する各道路の道路交通情報を各地図表示画面に分けて表示させるようにしてもよい。
【0061】
この変形例7では、経路探索部15により設定された誘導経路に沿って走行中のときに、進行方向前方の位置に渋滞や交通規制、交通障害が発生すると、経路探索部15は、その渋滞や交通規制、交通障害の発生場所を回避する別の誘導経路(迂回経路)を自動的に探索する。ここで、道路交通情報判定部19は、渋滞や交通規制、交通障害の発生場所が、並走道路のうち現在進行中で誘導経路が設定された道路上の場所か否かを判定する。また、経路探索部15は、再探索により設定する迂回経路が、並走道路のうち現在進行中ではない道路であるか否かを判定する。
【0062】
そして、現在進行中で誘導経路が設定された道路に対して道路交通情報が存在すると道路交通情報判定部19により判定され、かつ、並走道路のうち現在進行中ではない道路に対する迂回経路が探索されたと経路探索部15により判定された場合に、表示制御部17が、並走道路を構成する各道路の道路交通情報を各地図表示画面に分けて表示させる。
【0063】
このようにすれば、一方の地図表示画面において、渋滞、交通規制または交通障害が発生している現在進行中の道路に関する道路交通情報を表示させるとともに、他方の地図表示画面において、渋滞、交通規制または交通障害が発生していない(あるいは、渋滞度が低い)他の道路に関する道路交通情報を表示させることができる。これにより、現在進行中の誘導経路から迂回経路へと切り替えを推奨する場合における根拠を、複数の地図表示画面に分けて分かりやすく提示することができる。
【0064】
なお、この変形例7において、画面表示されている現在位置周辺の地図エリアに限らず、その地図エリアよりも先の誘導経路上で渋滞等が発生している場合にも、以上と同様の処理を行うようにしてもよい。この場合、表示制御部17は、一例として
図4に示すように、ディスプレイ装置300を3つに分割し、左側の地図表示画面に現在位置周辺の地図を表示させ、右側の上下の地図表示画面に渋滞等が発生している場所の地図を表示させる。
【0065】
このとき、左側の地図表示画面には、迂回経路を案内するポップアップ画像を表示させる。また、右側上部の地図表示画面には、渋滞等が発生している現在進行中の道路に関する道路交通情報を表示させるとともに、右側下部の地図表示画面には、現在進行中の道路以外の道路に関する道路交通情報を表示させる。この例の場合、誘導経路上で渋滞等が発生している場所に該当する地図エリア、すなわち、右側上下の地図表示画面に表示させる地図エリアが、特許請求の範囲の「画面表示すべき地図エリア」に相当する。
【0066】
また、上記実施形態では、2本の道路が並走する場合に、2つの地図表示画面に分けて道路交通情報を表示させる例について説明したが、3本以上の道路が並走する場合に、3つ以上の地図表示画面に分けて道路交通情報を表示させるようにしてもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、ディスプレイ装置300の全体画面を左右に2分割する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上下に2分割するようにしてもよい。あるいは、サイズは1画面全体の大きさのままで時分割表示するようにしてもよい。
【0068】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。