(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記幅方向から見た、前記刃先カバーが形成された位置での断面視において、前記第1櫛部構成体は、前記刃先カバーに対向する位置に、前記第2櫛部構成体の外面の延長面に沿った外面を持つ突起を有する、
請求項2に記載のデリケートゾーン用すきカミソリ。
前記櫛部の前記幅方向において最外部に位置する前記櫛歯の前記幅方向の中央部の間の長さに対する、複数の前記刃先露出部分にそれぞれ隣接する前記櫛歯の前記幅方向の中央部の間の長さの合計の割合が1/3である、
請求項1から4のいずれか1項に記載のデリケートゾーン用すきカミソリ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者らの調査によれば、デリケートゾーンの体毛を処理するにあたり、体毛をすべて除去することに恥ずかしさを感じる人も多く、部分的に除去して毛量を減少させたいというニーズがあることが判った。さらには、体毛を部分的に除去する場合、除去した部分と除去していない部分との境界がハッキリ出ないようにしたいというニーズもあることが判った。この点、従来のカミソリでは、体毛を除去し過ぎてしまったり、除去した部分と除去していない部分と境界がハッキリしてしまったりしていた。
【0005】
また、体毛を除去するためにカミソリのヘッドを肌に当てた際、櫛歯の間に皮膚が入り込んで皮膚が刃先に触れやすくなり、使用者が不快に感じたり、場合によっては皮膚を傷つけてしまったりすることがあった。
【0006】
このような使用者のニーズに対して、従来のカミソリでは十分な機能を提供できていない部分があった。そこで、上記のような使用者のニーズに合ったカミソリが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、次のような手段を提供する。なお、以下の説明において、発明の理解を容易にするために図面中の符号等を括弧書きで付記する場合があるが、本発明の各構成要素はこれらの具体的な構成に限定されるものではなく、当業者が技術的に理解しうる範囲にまで広く解釈されるべきものである。なお、本発明の一態様のカミソリは、体毛をすいて減少させる機能を主たる特徴としているため、本明細書では「すきカミソリ」と呼ぶことがある。
【0008】
本発明の一態様のデリケートゾーン用すきカミソリは、デリケートゾーンの毛量を減少させるすきカミソリ(1)であって、
所定の長手方向に延在状に形成されるとともに、使用者の把持に供される把持部(5)と、
前記長手方向と交差する幅方向に延在状に形成されるとともに、刃体(37)および前記刃体に隣接して形成された櫛部(35)を有するヘッド部(3)と、
前記把持部と前記ヘッド部を連結する連結部(4)と、を備え、
前記櫛部は、前記ヘッド部と一体形成された第1櫛部構成体(32)と、前記第1櫛部構成体に対向して設けられた第2櫛部構成体(34)とを有し、前記刃体は、前記第1櫛部構成体及び前記第2櫛部構成体の間に挟持され、
前記櫛部は、複数の櫛歯を有するとともに、前記刃体の刃先が露出した刃先露出部分(35a)と、前記刃体の刃先が露出しないよう覆われたカバー部分(35b)とを有し、前記カバー部分の前記幅方向における両端及び該両端の間に前記櫛歯が設けられ、所定の並びで配置された前記刃先露出部分と前記カバー部分との組が繰り返されるよう配置されており、
前記櫛部の前記幅方向において最外部に位置する前記櫛歯の前記幅方向の中央部の間の長さに対する、複数の前記刃先露出部分にそれぞれ隣接する前記櫛歯の前記幅方向の中央部の間の長さの合計の割合が1/10以上4/10以下であり、
前記第2櫛部構成体は、複数の前記櫛歯間の隙間の延長線上にそれぞれ形成された複数の溝部(34c、34d)を有し、
前記櫛部の前記幅方向の長さは10mm以上であり、
複数の前記櫛歯は2mm以下の間隔で設けられている、
デリケートゾーン用すきカミソリである。
【0009】
上記構成のすきカミソリは、櫛部の幅方向の長さに対して、刃先が露出する刃先露出部分の割合を1/10以上4/10以下としているため、カット対象の体毛を直ちにすべて除去せずに少しずつ様子を見ながらカットすることができ、カットし過ぎることを抑制しつつ、使用者が望む量だけ除去しやすい構成となる。
【0010】
また、複数の櫛歯が2mm以下の間隔で配置されることで、刃先露出部分の幅が比較的小さくなり、体毛を一度にカットする幅が比較的狭くなる。上記のような、体毛を除去した部分と除去していない部分との境界をハッキリさせず自然な状態にしたいというニーズに対して、このように櫛歯の間隔を2mm以下にすることで、体毛をカットした部分とカットしていない部分との境界を効果的にぼかすことが可能な構成にすることができた。
【0011】
さらに、櫛歯の間隔を2mm以下にすることで、櫛歯間に皮膚が入り込みづらくなる。これにより、使用者の皮膚が刃先に触れることを抑制でき、使用者に不快感を与えることを抑制したり、使用者の皮膚が傷つくことを防止したりすることができる。
【0012】
また、複数の櫛歯を有する構成としたうえで、カバー部分ではその両端だけでなく、両端の間にも櫛歯が設けられた構成としているため、カバー部分の両端にだけ櫛歯を設けた構成と比較して、カット対象の体毛をカットしつつ、効果的に櫛当て処理を行うことができる。そのため、次のストロークでカット対象の体毛を除去しやすくなる。また、櫛歯の間隔が2mm以下の幅となっているため、細かい間隔で体毛を梳き、毛並みを効果的に整えることができる。
【0013】
また、複数の溝部を設けることで、ヘッド部と肌及び体毛との接触面積が小さくなって摩擦が減少するため、ヘッドをスムーズに動かすことができ、カット対象の体毛により効果的に櫛当て処理を行いながら、体毛を除去することができる。上記のすきカミソリは、体毛の生える向きが一定でないデリケートゾーンに対して主に使用するものであるところ、このように櫛当て処理の性能に優れた構成とすることで、カット対象のデリケートゾーンの体毛をカットしやすくなっている。
【0014】
上記デリケートゾーン用すきカミソリにおいて、好ましくは、
複数の前記櫛歯は前記第1櫛部構成体に形成されており、
前記第2櫛部構成体は、前記刃先露出部分に対応する位置に凹部を有し、前記カバー部分に対応する位置に刃先カバーを有する構成とする。
【0015】
上記構成のすきカミソリによれば、第1櫛部構成体と第2櫛部構成体との組み合わせによって、櫛歯の配置及びピッチ、ならびに櫛歯露出部分とカバー部分との割合を変化可能な構成にすることなどが可能となる。
【0016】
上記デリケートゾーン用すきカミソリにおいて、好ましくは、
前記第2櫛部構成体の前記溝部が、
前記凹部から連続した位置に形成された第1溝部と、
前記刃先カバーにおける前記櫛歯の隙間の位置の延長線上に、前記櫛歯の隙間から離間した位置から形成された第2溝部とを含む構成とする。
【0017】
上記構成のすきカミソリによれば、櫛部の櫛歯が配置された領域に広い範囲で溝部を形成する構成となり、さらに効果的に櫛当て処理を行うことが可能となる。これにより、より快適に体毛をカットしやすくなる。
【0018】
上記デリケートゾーン用すきカミソリにおいて、好ましくは、
前記幅方向から見た、前記刃先カバーが形成された位置での断面視において、前記第1櫛部構成体は、前記刃先カバーに対向する位置に、前記第2櫛部構成体の外面の延長面に沿った外面を持つ突起を有する構成とする。
【0019】
上記構成のすきカミソリによれば、刃先が直接使用者の肌に触れないため、肌に優しい構成にすることができる。特に、上記すきカミソリは主にデリケートゾーンに対して使用されるため、このように肌に優しい構成が特に有用である。
【0020】
上記デリケートゾーン用すきカミソリにおいて、好ましくは、
前記櫛部の前記幅方向において最外部に位置する前記櫛歯の前記幅方向の中央部の間の長さに対する、複数の前記刃先露出部分にそれぞれ隣接する前記櫛歯の前記幅方向の中央部の間の長さの合計の割合が1/3である。
【0021】
発明者らによる研究によれば、刃先露出部分を上記の割合とすることで、使用者が望む量の体毛をカットするのに特に適した構成とすることが判った。すなわち、上記構成のすきカミソリによれば、使用者が望む量の体毛をカットすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の一形態のデリケートゾーン用すきカミソリは、いわゆるVIOゾーンといった陰部などのデリケートゾーンの体毛をカットするカミソリとして好適に用いられる。また、対象箇所の体毛をすべて除去するのではなく、体毛をすいて、対象箇所の体毛の量を使用者が望む量まで減少させる機能に特に優れた構成としている。
【0024】
以下、本発明の一形態のカミソリについて、図面を参照しながら具体的に説明する。ただし、以下で説明する実施形態及び実施例はあくまで本発明の一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定的に解釈させるものではない。なお、各図面において、同一の構成要素には同一の符号を付している。
【0025】
[カミソリ1の基本構成および材質]
本実施形態に係るカミソリ1は、
図1〜
図7に示されるように、ヘッド部3、連結部4、及び把持部5を含むカミソリホルダ2と、カミソリホルダ2に保持された刃体37とを主な要素として構成される。
【0026】
本実施形態におけるヘッド部3、連結部4、及び把持部5は、樹脂による一体成形体として構成されている。樹脂材としては、PP(ポリプロピレン)の他、ABS、エラストマー、PC(ポリカーボネート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、またはPVC(塩化ビニル樹脂)等が好適に用いられる。なお、近年の脱プラスチック化の流れに鑑み、上記のような樹脂材に代えて、例えば紙材や段ボール材等によって一体成形体を構築してもよい。一方、刃体37は金属製ブレードとして構成されている。本実施形態では、刃体37にはステンレス鋼材が用いられている。
【0027】
[カミソリ1における方向の定義]
本実施形態においては、ヘッド部3、連結部4、及び把持部5を結ぶ長手方向、すなわちカミソリ1の長尺方向をLDと定義する。長手方向LDを前後方向ということもある。当該長手方向LDと交差する短手方向、すなわちカミソリ1の幅方向をWDと定義する。短手方向WDを左右方向ということもある。長手方向LDにおいて、カミソリ1の前方、すなわち連結部4からヘッド部3へと向かう方向を、「長手方向前方側LDF」と定義する。一方、長手方向LDにおいて、カミソリ1の後方、すなわち連結部4から把持部5へと向かう方向を「長手方向後方側LDR」と定義する。
【0028】
また、短手方向WDにおける左右方向を、それぞれ「短手方向右側WDR」、及び「短手方向左側WDL」と定義する。さらに、長手方向LDおよび短手方向WDと交差する方向を「上下方向VD」と定義する。上下方向VDをカミソリ1の高さ方向ということもある。後述する把持部5の、天面部50に臨む側を「上面側TS」、上下方向において上面側TSとは逆側を「下面側BS」と定義する。
【0029】
[ヘッド部3の構成]
ヘッド部3は、
図2の分解斜視図に示されるように、第1構成体31と第2構成体33とで構成される。第1構成体31は、連結部4及び把持部5と一体成形される。第2構成体33は、第1構成体31とは別体として成形される。第2構成体33は、刃体37を間に介在させた状態で、第1構成体31の長手方向前方側LDFに接合される。第2構成体33は、第1構成体31と同一の材料及び色で形成されており、これによりヘッド部3の外観一体性が確保される。
【0030】
また、
図2に示されるように、第1構成体31及び第2構成体33は、それぞれ第1櫛部構成体32及び第2櫛部構成体34を有する。第1櫛部構成体32と第2櫛部構成体34とは、刃体37を挟むようにして接合されることで櫛部35を構成する。第2構成体33は2つの連結突部33aを有する。これらの2つの連結突部33aは、第2構成体33の第1構成体31に対向する面から第1構成体31に設けられた2つの貫通孔31aに向かって突出するよう設けられる。組み立てられた状態において、第2構成体33は、刃体37に設けられた短手方向WDに延びる取付孔39、及び第1構成体31の貫通孔31aに挿通される。刃体37は、下面側BSに刃先38が向くように配置される。
【0031】
櫛部35は、カミソリ1の使用に際し、カット対象の体毛を除去する機能と、カット対象となる体毛を整列させる櫛当て処理を行う機能とを有する。
【0032】
図6に示されるように、櫛部35において、第1櫛部構成体32は、両端に設けられた櫛歯32aと、これらの櫛歯32aの間に等間隔に配置された17本の櫛歯32bを有する。すなわち、櫛部35には18か所の櫛歯32a及び32bの隙間が形成される。なお、符号が混雑することを避けるため、図中には櫛歯32bの一部にのみ符号を付している。その他の符号についても同様に、混雑を避けるために同種の構成要素の一部にのみ符号を付す場合がある。本明細書では、櫛歯32bの短手方向WDにおける中央部と、隣接する櫛歯32bの短手方向WDにおける中央部との間を「配列ピッチ」という。
図8の拡大図によれば、Aの長さが配列ピッチに該当する。
【0033】
櫛歯32bの短手方向WDの長さ、すなわち幅は、櫛歯32a及び32bの隙間の短手方向WDの長さ、すなわち幅とほぼ同じである。
図6及び
図8に示されるように、櫛部35は、刃体37の刃先38が露出した刃先露出部分35aと、刃先38が露出しないよう覆われたカバー部分35bとを有する。刃先露出部分35aの短手方向WDの両端には、櫛歯32bが配置される。カバー部分35bの短手方向WDにおける両端には櫛歯32aまたは32bが設けられ、さらにこの間にも櫛歯32bが設けられる。カミソリ1では、刃先露出部分35aとカバー部分35bとは、所定の並びで配置された組が複数配置される構成としている。この構成により、刃先露出部分35aを均等の間隔で配置しやすくなり、体毛を均一的に除去しやすくすることができる。
【0034】
本実施形態では、
図6及び
図8に示されるように、刃先露出部分35aの間にカバー部分35bが設けられる。カバー部分35bでは、両端の櫛歯32bの幅方向の中央に櫛歯32bが設けられる。すなわち、ひとつのカバー部分35bに、櫛歯32bによって2か所の隙間が形成される。言い換えると、櫛部35には、刃先38が露出した刃先露出櫛歯間32cと刃先カバー櫛歯間32dが設けられ、刃先露出櫛歯間32cの間には、2つの刃先カバー櫛歯間32dが隣接して配置される。櫛部35では、このような並びで配置された刃先露出部分35aとカバー部分35bとの組が繰り返されるよう配置される。
【0035】
図8に示されるように、刃先露出部分35aでは、第2櫛部構成体34に、櫛歯の隙間と同じ幅を有する凹部34aが設けられ、凹部34aの位置に刃先38が露出する。カバー部分35bでは、第2櫛部構成体34に刃先カバー34bが設けられ、刃先カバー34bによって刃先38が覆われる。
【0036】
第2櫛部構成体34は、
図6、
図8、及び
図10に示されるように、櫛歯32a及び32bの隙間の延長線上にそれぞれ形成された、上下方向VDに延びる第1溝部34c及び第2溝部34dを有する。第1溝部34cは、上下方向VDにおける凹部34aの延長線上に、凹部34aから連続するよう形成される。第2溝部34dは、カバー部分35bにおける櫛歯32a及び32bの隙間の延長線上に、櫛歯32a及び32bの隙間から離間した位置を始点として形成される。第1溝部34c及び第2溝部34dは、第2櫛部構成体34における上面側TSの端部近傍まで延びるよう形成される。第1溝部34c及び第2溝部34dは、幅方向に同じ幅を有するよう形成される。なお、本明細書では、第1溝部34cと第2溝部34dとを総称して「溝部」ということがある。
【0037】
このように、櫛部35は、複数の櫛歯32a及び32bによって、カット対象となる体毛を整列させる櫛当て処理を行う機能を有する。さらに櫛部35は、カバー部分35bと交互に配置された刃先露出部分35aによって、カット対象となる体毛を除去する機能を有する。そのため、櫛部35によって、体毛同士が絡み合ってカット処理の妨げとなることを抑制することができる。すなわち、処理対象となる体毛が、刃体37に隣接して形成された櫛部35によって整列させられた上で、刃体37に送られてカット処理される。デリケートゾーンでは体毛の生える向きが一定ではないため、このような構成が特に有用である。
【0038】
本実施形態のカミソリ1では、櫛部35の短手方向WDにおいて、両端の櫛歯32aの中央部の間の長さに対する、刃先露出部分35aに隣接する櫛歯32bの幅方向の中央部の間の長さA(
図8参照)の合計の割合が、略1/3になる構成を採用している。また、両端の櫛歯32aの中央部の間の長さに対する、カバー部分35bの両端に位置する櫛歯32bの幅方向の中央部の間の長さB(
図8参照)の合計の割合が、略2/3になる構成を採用している。言い換えると、18か所の櫛歯32a及び32bの隙間のうちの1/3が刃先露出櫛歯間32cとなり、残りの2/3が刃先カバー櫛歯間32dとなる。
【0039】
発明者らの研究によれば、両端の櫛歯32aの中央部の間の長さに対する、刃先露出部分35aに隣接する櫛歯32bの幅方向の中央部の間の長さの合計の割合を1/10以上4/10以下、すなわち10%以上40%以下にして、敢えて刃の露出を少なくすることで、体毛を少しずつ様子を見ながらカットして毛量を減少させていくことができ、使用者が望む量の体毛をカットするのに適した構成となることが判った。中でも、上記割合を1/3にすることで、使用者が望む量の体毛をカットするのに特に適した構成となることが判った。そのため、カミソリ1では上記のような構成を採用している。
【0040】
本実施形態のカミソリ1において、櫛部35における櫛歯32a及び32bの配列ピッチは、好ましくは0.5mm以上2.0mm以下であり、例えば略1.0mmである。櫛歯32a及び32bの隙間の幅は、好ましくは上記の配列ピッチの半分であり、例えば略0.5mmである。櫛歯32bの幅は、好ましくは上記の配列ピッチの半分であり、例えば略0.5mmである。カミソリ1において、櫛部35の幅方向の長さは、好ましくは10mm以上35mm以下である。
【0041】
図11は、
図4のX−Xの位置での断面図である。当該位置には、第2櫛部構成体34の刃先カバー34bが形成されている。第1櫛部構成体32は、刃先カバー34bに対向する位置に設けられた突起32xを有する。突起32xは、第2櫛部構成体34の外面34xの延長面に沿った外面32yを有するよう、第1櫛部構成体32から突出して形成されている。カミソリ1の使用時には、使用者の肌61にこれらの外面34x及び32yが接しつつ、当該位置から略0.3mm離れた位置に位置する刃先38に体毛62が当接することで、体毛62が切断される。そのため、使用時にも刃先38が使用者の肌61に直接触れることがなく、肌61の負担を軽減させることができる。また、使用時に体毛を起立したままの状態で切断するのではなく、体毛が倒れるよう傾けた状態で切断するため、毛先を削ぐような切断方法となる。そのため、除去した後の体毛の毛先を滑らかな状態にすることができ、当該部分が体の他の部分に触れた場合でも痛く感じることを抑制することができる。
【0042】
[連結部4の構成]
図1及び
図2等に示されるように、連結部4は、第1連結要素41、第2連結要素42を有する。また、第1連結要素41と第2連結要素42との間には、上面TSおよび下面BSの双方に臨む貫通開口部43が形成されている。貫通開口部43は、上面TS側から、当該貫通開口部43を通じて櫛部35及び刃体37を直接視認することを可能とするべく、短手方向WDにおいて、ヘッド部3の略60%相当の開口幅寸法ОWを有する構成とされている。
【0043】
[把持部5の構成]
図1〜
図3に示されるように、把持部5は、長手方向LDへと延在状に形成されるとともに、天面部50、第1側壁部51、第2側壁部52、前面部53、および後面部54を主体として構成される。第1側壁部51および第2側壁部52は、短手方向WDにおいて、天面部50の両端部から、当該天面部50の面方向と交差する方向、すなわち上下方向VDに延在状に形成される。また把持部5の下面側BSには、下面側開口部55が形成されている。天面部50には、複数の貫通孔56が形成される。貫通孔56は、後述のリブ57及び補助リブ58と干渉しないよう形成される。
【0044】
[リブ57の構成]
図5に示されるように、把持部5は中空状に形成されるとともに、当該中空部において、第1側壁部51と第2側壁部52および天面部50を一体状に連結するように横架されたリブ57が、長手方向LD方向に等間隔で複数形成されている。本実施形態では、リブ57は合計5つ、略10mmの等ピッチで配列されている。これらのリブ57は、ヘッド部3、連結部4、及び把持部5とともに、樹脂による一体成形体として構成されている。また、リブ57は、長手方向LDおよび上下方向VDの双方に対して傾斜状に配置される構成が採用されており、これにより、複数方向への強度剛性が高くなるように設定されている。
【0045】
[補助リブ58の構成]
把持部5の中空部には、
図5に示されるように、リブ57に加え補助リブ58が形成されている。補助リブ58は、長手方向LD及び短手方向WDに対して交差状に、かつ上下方向VDに対して交差状に延在形成されている。また、補助リブ58は、長手方向LDにつき、中央線を挟んで対称状かつ対状に形成されるとともに、長手方向LDへと波状に延在するように構成される。この結果、補助リブ58は、連続のV字状ないしX字形状を呈することとなる。
【0046】
このように、補助リブ58を交差状に形成し、対称状に形成し、さらに波状に形成することにより、把持部5の全体に渡って補強構造を稠密状に配置することが可能となり、把持部5の剛性強度を増大させることが可能となる。また、かかる補助リブ58の配置特性により、把持部5およびカミソリ1の外観デザインにアクセントを付与し、趣向性を増大することが可能となっている。
【0047】
[連結部リブ73の構成]
連結部4の把持部5に隣接する把持部隣接領域7には、開口状の凹部71が形成される。凹部71には、連結部リブ73が設けられる。連結部リブ73は、補助リブ58と同様に、長手方向LD、短手方向WD、及び上下方向VDに対して交差状に延在形成されている。
【0048】
[幅寸法に関する特徴]
図4に示されるように、把持部5の、短手方向WDへの幅寸法(以下、「HLW」とも称呼)は、その最小部分での幅寸法HLW1(連結部隣接領域)から最大部分での幅寸法HLW2に至るまで、長手方向のいずれの領域においても、ヘッド部3の短手方向WDへの幅寸法HW以上に設定されている。さらに把持部5の幅寸法HLWは、長手方向LDにつき、ヘッド部3から離間する側(すなわち長手方向後方側LDR)へと向かうにつれて、暫時に(順次ないし逐次に)寸法が増大する構成、すなわち漸増する構成が採用されている。
【0049】
本実施の形態では、把持部5の最小幅寸法HLW1が略25mm(ミリメートル)、最大幅寸法HLW2が略28mm(ミリメートル)、ヘッド部3の幅寸法HWが略23mm(ミリメートル)に設定されている。
【0050】
[連結部4の連結態様]
図4に示されるように、連結部4は、短手方向WDにおけるヘッド部3の左右両端部3L、3Rと、短手方向WDにおける把持部5の左右両端部5L、5Rを、それぞれ直線状に連結する構成とされている。換言すれば、ヘッド部3の短手方向WDの両側の端部3L、3Rと把持部5の短手方向WDの両側の端部5L、5Rを最短距離で連結する構成である。
【0051】
このように構成することで、把持部5のサイズをヘッド部3のサイズと同等以上に設定し、使用者による把持部5の把持態様を多様化することができる。そして把持態様を多様化することで、とりわけ陰部や腋部等といったデリケートゾーンにおける体毛カット処理においても、豊富な把持態様の中から使用者が適宜に選択することを許容し、これによってカミソリ1の精妙な操作コントロールを行うことができるようになる。更に、上記した幅寸法の漸増構成により、使用者の手指が接触する把持部5の長手方向前方側LDFの幅寸法は相対的に小さく、一方、使用者の掌が接触する把持部5の長手方向後方側LDRの幅寸法は相対的に大きく設定することとなり、人間工学的見地に立脚し、しっかりと握力を発揮した把持と、狙い通りの精密で正確な作業の両立が図られることになる。
【0052】
さらに、連結部4がヘッド部3の両端部3L、3Rと把持部5の両端部5L、5Rをそれぞれ直線状に連結することで、ヘッド部3と把持部5の組み付け剛性を高く確保することが可能となり、カミソリ1の耐久性向上に資する。
【0053】
[上下方向に関する特徴]
本実施形態では、
図3に示されるように、上下方向VDにおいて、第1連結要素41および第2連結要素42の高さ、すなわち連結部高さ寸法CHは、ヘッド部3の高さ(すなわちヘッド部高さ寸法HH)および把持部5の高さ(すなわち把持部高さ寸法HLH)よりも小さく設定されている。具体的には、ヘッド部高さ寸法HHを略11mm、連結部高さ寸法CHを略4mm、把持部高さ寸法HLHを略13mmにそれぞれ設定している。
【0054】
なお、本実施形態では、主としてデザイン的な趣向性の観点で、ヘッド部3、連結部4、及び把持部5には、それぞれラウンド処理、あるいは徐々に寸法が漸減ないし漸増する処理が施されているため、各高さ寸法は、各部の最大寸法または最小寸法で説明を行っている。
【0055】
このように構成することで、特にデリケートゾーンでの体毛処理のように、ヘッド部3をアクセスさせにくい領域にアプローチさせる場合に、上下方向VDにコンパクト化された連結部4が、その障害とならないようにすることができる。また、例えば連結部4の曲げ剛性を適宜に調節し、ヘッド部3の把持部5に対する相対的な回動動作の許容ないし規制を行う態様が構築できる。また上下方向VDに関してヘッド部3、連結部4、及び把持部5の寸法を適宜に変化させることでカミソリ1の外観形状にアクセントを加え、デザイン的な趣向性を向上することが可能とされる。
【0056】
[カミソリ1の使用]
使用者は、カミソリ1を使用する際、デリケートゾーンに対して、体毛除去の状況を都度確認しながら、カミソリ1を複数回繰り返しストロークさせる。このとき、カミソリ1が櫛歯32a及び32bと、溝部34c及び34dとを設け、効果的に櫛当て処理を行うことができる構成としているため、繰り返しストロークすることで体毛を整列させつつ除去することができる。また、カミソリ1では刃先露出部分35aが幅方向の全体にわたって設けられておらず、幅方向の2/5以下にだけ設けられているため、様子を見ながら体毛の量を徐々に減少させる方法に特に適した構成となっている。
【0057】
[カミソリ1の特徴]
本実施形態のカミソリ1は、例えば以下のような特徴を有する。
【0058】
カミソリ1は、櫛部35の幅方向の長さに対して、刃先38が露出する刃先露出部分35aの割合を2/5以下としているため、カット対象の体毛を、使用者が望む量だけ除去しやすい構成となる。
【0059】
また、カミソリ1は、複数の櫛歯32a及び32bが2mm以下の間隔で配置されることで、刃先露出部分35aの幅が比較的小さくなり、体毛を一度にカットする幅が比較的狭くなる。このように櫛歯32a及び32bの間隔を2mm以下にすることで、体毛をカットした部分とカットしていない部分との境界を効果的にぼかすことができる構成となり、体毛を除去した部分と除去していない部分との境界をハッキリさせず自然な状態にしたいという使用者のニーズに合った構成となっている。
【0060】
さらに、櫛歯32a及び32bの間隔を2mm以下にすることで、櫛歯間に皮膚が入り込みづらくなる。これにより、使用者の皮膚が刃先に触れることを抑制でき、使用者に不快感を与えることを抑制したり、使用者の皮膚が傷つくことを防止したりすることができる。
【0061】
また、複数の櫛歯32a及び32bを有する構成としたうえで、カバー部分35bではその両端だけでなく、両端の間にも櫛歯32aが設けられた構成としているため、カバー部分35bの両端にだけ櫛歯32bを設けた構成と比較して、カット対象の体毛をカットしつつ、効果的に櫛当て処理を行うことができる。そのため、次のストロークでカット対象の体毛を除去しやすくなる。また、櫛歯32a及び32bの間隔が2mm以下の幅となっているため、細かい間隔で体毛を梳き、毛並みを効果的に整えることができる。
【0062】
また、第1溝部34c及び第2溝部34dを含む複数の溝部を有する構成とすることで、カット対象の体毛により効果的に櫛当て処理を行いながら、体毛を除去することができる。カミソリ1は、体毛の生える向きが一定でないデリケートゾーンに対して主に使用するものであるところ、このように櫛当て処理の性能に優れた構成とすることで、カット対象のデリケートゾーンの体毛をカットしやすくなっている。
【0063】
また、カミソリ1では、第1櫛部構成体32に櫛歯が形成され、第2櫛部構成体34には、刃先露出部分35aに対応する位置に凹部34aが形成され、カバー部分35bに対応する位置に刃先カバー34bが形成される。このような構成により、第1櫛部構成体32及び第2櫛部構成体34の一方の形状を変化させることで、櫛歯の配置及びピッチ、ならびに櫛歯露出部分とカバー部分との割合を変化可能な構成にすることなどが可能となる。
【0064】
また、カミソリ1は、凹部34aから連続した位置に第1溝部34cが形成され、刃先カバー34bにおける櫛歯32bの隙間の位置の延長線上に、櫛歯32bの隙間から少し離れた位置に第2溝部34dが形成されている。この構成により、櫛部35の櫛歯32a及び32bが配置された領域に広い範囲で溝部を形成する構成となり、さらに効果的に櫛当て処理を行うことが可能となる。これにより、より快適に体毛をカットしやすくなる。
【0065】
また、カミソリ1は、
図11に示されるような突起32xを有する構成としているため、刃先38が直接使用者の肌に触れないため、肌に優しい構成になっている。特に、カミソリ1は主にデリケートゾーンに対して使用されるため、このように肌に優しい構成が特に有用である。
【0066】
また、カミソリ1は、櫛部35の幅方向において最外部に位置する櫛歯32aの幅方向の中央部の間の長さに対する、複数の刃先露出部分35aにそれぞれ隣接する櫛歯32bの幅方向の中央部の間の長さの合計の割合を1/3とすることが特に好ましい。カミソリ1は、このような構成により、使用者が望む量の体毛をカットするのに特に適した構成となっている。
【解決手段】体毛を減少させるためのデリケートゾーン用すきカミソリであって、櫛部が複数の櫛歯を有するとともに、刃体の刃先が露出した刃先露出部分と、刃体の刃先が露出しないよう覆われたカバー部分とを有し、カバー部分の幅方向における両端及び該両端の間に櫛歯が設けられ、所定の並びで配置された前記刃先露出部分と前記カバー部分との組が繰り返されるよう配置される。櫛部の幅方向において最外部に位置する櫛歯の幅方向の中央部の間の長さに対する、複数の刃先露出部分にそれぞれ隣接する櫛歯の幅方向の中央部の間の長さの合計の割合を1/10以上4/10以下とする。複数の櫛歯間の隙間の延長線上にそれぞれ形成された複数の溝部を有する構成とする。