(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6976679
(24)【登録日】2021年11月12日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】芳香族炭化水素、p−キシレン及びテレフタル酸を製造する方法
(51)【国際特許分類】
C07C 1/247 20060101AFI20211125BHJP
C07C 15/08 20060101ALI20211125BHJP
C07C 51/265 20060101ALI20211125BHJP
C07C 63/26 20060101ALI20211125BHJP
B01J 29/03 20060101ALI20211125BHJP
B01J 29/08 20060101ALI20211125BHJP
B01J 29/40 20060101ALI20211125BHJP
B01J 29/70 20060101ALI20211125BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20211125BHJP
【FI】
C07C1/247
C07C15/08
C07C51/265
C07C63/26 B
B01J29/03 Z
B01J29/08 Z
B01J29/40 Z
B01J29/70 Z
!C07B61/00 300
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-200904(P2016-200904)
(22)【出願日】2016年10月12日
(65)【公開番号】特開2017-137293(P2017-137293A)
(43)【公開日】2017年8月10日
【審査請求日】2019年7月23日
(31)【優先権主張番号】201510656885.5
(32)【優先日】2015年10月12日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503191287
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】509128052
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司上海石油化工研究院
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI RESEARCH INSTITUTE OF PETROCHEMICAL TECHNOLOGY SINOPEC
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】孔徳金
(72)【発明者】
【氏名】エスシー・エドマン・ツァン
(72)【発明者】
【氏名】イボ・テイシェリア
(72)【発明者】
【氏名】宋奇
【審査官】
桜田 政美
(56)【参考文献】
【文献】
特表2015−519377(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/110402(WO,A1)
【文献】
国際公開第2014/043468(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 1/247
C07C 15/08
C07C 51/265
C07C 63/26
B01J 29/03
B01J 29/08
B01J 29/40
B01J 29/70
C07B 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族炭化水素を製造する方法であって、
C2−C10のアルコール、または
C2−C10のアルコールとオレフィンとの混合物を、触媒の存在下でジエンと接触させて、芳香族炭化水素を生成する工程(接触工程と名付ける)を含み、
前記ジエンは、構造式(I):
【化3】
[式中、R
1及びR
2は、互いに同一又は異なっており、水素、場合により置換されているC1−20の直鎖状又は分岐鎖状アルキル、場合により置換されているC2−20の直鎖状又は分岐鎖状アルケニル、場合により置換されているC2−20の直鎖状又は分岐鎖状アルキニル、場合により置換されているC3−20のシクロアルキル、及び場合により置換されているC6−20のアリールからなる群よりそれぞれにかつ独立して選択され
る]で表わされ、
前記オレフィンは、C2−C10のオレフィンより選択される少なくとも1つであり、
C2−C10のアルコールとオレフィンとの混合物が用いられる場合、C2−C10のアルコールとオレフィンとの合計を基準にして、C2−C10のアルコールが前記混合物中、5mol%以上で存在する、方法。
【請求項2】
該触媒がモレキュラーシーブであり、該モレキュラーシーブが、ZSM−型モレキュラーシーブ、Y−型モレキュラーシーブ、β−型モレキュラーシーブ及びMCM−型モレキュラーシーブより選択される1つ以上である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
該ZSM−型モレキュラーシーブが、SiO2/Al2O3のモル比:10〜500を有し;該Y−型モレキュラーシーブが、SiO2/Al2O3のモル比:2〜80を有し;該β−型モレキュラーシーブが、SiO2/Al2O3のモル比:10〜150を有し;該MCM−型モレキュラーシーブが、SiO2/Al2O3のモル比:20〜250を有する、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記C2−C10のアルコールと前記オレフィンとの合計に対する該ジエンのモル比が、0.1〜10である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記接触工程が、反応温度 80〜400℃で、反応圧力0.5〜10MPaで実施される、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記C2−C10のアルコール及び/又は前記ジエンが、キシリトール、グルコース、セロビオース、セルロース、ヘミセルロース、リグニン及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるバイオマス材料から導出されるか、
又は、ペーパースラッジ、古紙、サトウキビの絞りかす、グルコース、木材、トウモロコシの穂軸、トウモロコシの茎、稲わら、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるバイオマス材料から導出される、請求項1記載の方法。
【請求項7】
バイオマス材料を触媒的転化及び任意の後続する接触水素化に供して、前記C2−C10のアルコール及び/又は前記ジエンを生成する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
構造式(I)中、R1及びR2は、互いに同一又は異なっており、水素、場合により置換されているC1−5の直鎖状又は分岐鎖状アルキル、又は場合により置換されているC2−10の直鎖状又は分岐鎖状アルケニルであり、
前記オレフィンが、C2−C10のα−オレフィンから選択される少なくとも1つであり、
前記C2−C10のアルコールが、C2−C10の一価アルコールから選択される少なくとも1つであり、
C2−C10のアルコールとオレフィンとの混合物が用いられる場合、C2−C10のアルコールとオレフィンとの合計を基準にして、C2−C10のアルコールが前記混合物中、10mol%以上で存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
p−キシレンを生成する方法であって、以下の工程:
請求項1記載の方法により芳香族炭化水素を生成する工程;及び
p−キシレンを該芳香族炭化水素から分離する工程を含む、方法。
【請求項10】
テレフタル酸を生成する方法であって、以下の工程:
請求項9記載の方法によりp−キシレンを生成する工程;及び
p−キシレンをテレフタル酸へ転化する工程を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香族炭化水素を製造する方法、特にキシレンに富んだ芳香族炭化水素を製造する方法に関する。本発明はさらに、前記芳香族炭化水素を製造する方法に基づいてp−キシレン及びテレフタル酸を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
芳香族炭化水素は、石油化学産業にとって重要な基本的な原料であり、ポリエステル産業、化学繊維産業、ゴム産業のような多くの分野で広く使用されている。ベンゼン、トルエン及びキシレンは、3つの最も広く使用されている芳香族炭化水素であり、そしてとりわけ、pキシレンは最も広範な需要及び適用を有している。現時点では、芳香族炭化水素の国内及び海外生産は、再生不能な化石資源に主に依存している。しかし、化石資源は限られた埋蔵量を有しかつ再生不能であるので、芳香族炭化水素の生産コストが高くなってきている。加えて、化石資源の継続的な開発及び利用は、大量な温室効果ガスの放出を引き起こし、結果として生じた一連の環境問題は、より深刻になってきている。したがって、再生可能な資源から芳香族炭化水素(特に、キシレン)を製造する技術を開発することは、有意義かつ重要である。
【0003】
最近、バイオマス経路により芳香族炭化水素の製造に関する研究で一定の進展がある。CN102482177Aは、触媒の存在下、2,5−ジメチルフランとエチレンとを反応させることによりp−キシレンを製造する技術を開示している。しかし、この技術は、低いキシレン選択性及び高い反応圧力の問題をかかえており、このことが作業の複雑さ及び危険因子の増加を招いている。さらに、エチレンの使用は、化石資源の消費を引き起こし、それゆえ、この技術はバイオマス経路に完全に基づいていない。
【発明の概要】
【0004】
上記の状況に基づいて、本発明者らは、先行技術と比較して、出発物質の転化率と実質的に同程度又はそれ以上を有し、かつ著しく反応圧力を低減し、それゆえ反応装置の運転に関する危険因子を減少させることができる、芳香族炭化水素を製造する方法を開発する必要があると考える。さらに、本発明者らはまた、先行技術と比較して、改善されたキシレンの選択性及び増加したキシレンの収率(特に、p−キシレンの収率)を有し、その結果、得られる芳香族炭化水素生成物中のキシレンの割合が増加し、それゆえキシレンにより富んだ芳香族炭化水素生成物がされる、芳香族炭化水素を製造する方法を開発する必要があると考える。なおさらに、本発明者らはまた、先行技術と比較して、可能な限りエチレンの使用を低減することができ、さらにエチレンの使用さえしない、それゆえ完全にバイオマス経路に基づいている、芳香族炭化水素を製造する方法を開発する必要があると考える。
【0005】
本発明者らは、先行技術における上記の問題の一つ以上が、オレフィン(例えば、エチレン)の少なくとも一部をジエノフィル(例えば、エタノール)と置き換えることによって克服することができることを鋭意研究によって見出し、それゆえ本発明を完成させた。具体的に、本発明は以下の態様を含む:
【0006】
1.(態様a)環状付加による芳香族炭化水素を生成する方法であって、出発物質を環状付加条件下で触媒と接触させて、ベンゼン、トルエン及びキシレンを含有している芳香族炭化水素流を生成する工程(接触工程と名付ける)を含む方法、ここで、前記出発物質は、ジエン及びジエノフィルを含む; 又は(態様b)芳香族炭化水素を製造する方法であって、オレフィンを触媒の存在下でジエンと接触させて、芳香族炭化水素を生成する工程(接触工程と名付ける)を含む方法、ここで、前記方法は、ジエノフィルが、前記オレフィンの少なくとも一部(好ましくは5mol%以上、より好ましくは10mol%以上、より好ましくは20mol%以上、より好ましくは30mol%以上、より好ましくは40mol%以上、より好ましくは50mol%以上、より好ましくは70mol%以上、より好ましくは90mol%以上、より好ましくは95mol%以上、又は全て;比率Rと名付ける)を代替して使用されることを特徴とする。
【0007】
前記態様a及び前記態様bに従えば、前記ジエンは、構造式(I):
【化1】
[式中、R
1及びR
2は、互いに同一又は異なっており、かつ、水素、場合により置換されているC1−20直鎖状又は分岐鎖状アルキル、場合により置換されているC2−20直鎖状又は分岐鎖状アルケニル、場合により置換されているC2−20直鎖状又は分岐鎖状アルキニル、場合により置換されているC3−20シクロアルキル及び場合により置換されているC6−20アリールからなる群よりそれぞれにかつ独立して選択され;好ましくは、水素、場合により置換されているC1−5直鎖状又は分岐鎖状アルキル及び場合により置換されているC2−10直鎖状又は分岐鎖状アルケニルからなる群よりそれぞれにかつ独立して選択され;より好ましくは、水素及び場合により置換されているC1−3直鎖状又は分岐鎖状アルキルからなる群よりそれぞれにかつ独立して選択され、より好ましくは、両方ともメチルである]を有し、
【0008】
前記オレフィンは、C2−C10のオレフィンより選択される少なくとも1つ、好ましくはC2−C10のα−オレフィンより選択される少なくとも1つ、より好ましくはC2−C4のα−オレフィンより選択される少なくとも1つ、より好ましくはエチレン及びプロペンより選択される少なくとも1つ、より好ましくはエチレンであり、
前記ジエノフィルは、C2−C10のアルコールより選択される少なくとも1つ、好ましくはC2−C10の一価アルコールより選択される少なくとも1つ、より好ましくはC2−C4のアルコールより選択される少なくとも1つ、又はC2−C4の一価アルコールより選択される少なくとも1つ、より好ましくはエタノール、n−プロパノール、イソプロパノール及びsec−ブタノールより選択される少なくとも1つ、より好ましくはエタノールである。
【0009】
2.前記態様のいずれかに従う方法であって、前記触媒がモレキュラーシーブであり、前記モレキュラーシーブが、ZSM−型モレキュラーシーブ(好ましくはZSM−5、ZSM−11、ZSM−22、ZSM−23及びZSM−38より選択される1つ以上)、Y−型モレキュラーシーブ、β−型モレキュラーシーブ及びMCM−型モレキュラーシーブ(好ましくは、MCM−22及びMCM−41より選択される1つ以上)より選択される1つ以上、好ましくは、ZSM−5、Y−型モレキュラーシーブ、β−型モレキュラーシーブ及びMCM−41より選択される1つ以上、より好ましくは、ZSM−5である、方法。
【0010】
3.前記態様のいずれかに従う方法であって、前記ZSM−型モレキュラーシーブ(好ましくはZSM−5又はZSM−22)が、SiO2/Al2O3のモル比:10〜500、好ましくは15〜200を有し; 前記Y−型モレキュラーシーブが、SiO2/Al2O3のモル比:2〜80、好ましくは3〜50を有し;前記β−型モレキュラーシーブが、SiO2/Al2O3のモル比:10〜150、好ましくは15〜65を有し; 前記MCM−型モレキュラーシーブ(好ましくはMCM−22又はMCM−41)が、SiO2/Al2O3のモル比:20〜250、好ましくは、40〜150を有する、方法。
【0011】
4.前記態様のいずれかに従う方法であって、前記ジエノフィルと前記オレフィンとの合計モルに対する前記ジエンのモル比が、0.1〜10、好ましくは、0.5〜2である、方法。
【0012】
5.前記態様のいずれかに従う方法であって、前記接触工程が、反応温度 80〜400℃、好ましくは160〜350℃で、反応圧力 0.5〜10MPa、好ましくは3.0〜6.5MPa下、より好ましくは自生圧力下で実施される、方法。
【0013】
6.前記態様のいずれかに従う方法であって、前記接触工程が、所定の反応圧力で実行され、そして前記圧力が、前記比率Rが増加するにつれて減少する、方法。
【0014】
7.前記態様のいずれかに従う方法であって、前記ジエン及び/又は前記ジエノフィルがバイオマス材料から導出される方法であり、好ましくは、キシリトール、グルコース、セロビオース、セルロース、ヘミセルロース及びリグニンから導出される1つ以上、又は、ペーパースラッジ、古紙、サトウキビの絞りかす、グルコース、木材、トウモロコシの穂軸、トウモロコシの茎及び稲わらから導出される1つ以上から導出される、方法。
【0015】
8.前記態様のいずれかに従う方法であって、前記ジエン及び/又は前記ジエノフィルを生成するために、バイオマス材料を触媒的転化及び任意のそれに続く接触水素化に供する工程をさらに含む、方法。
【0016】
9.前記態様のいずれかに従う方法であって、前記環状付加が、80〜400℃の反応温度で、触媒が出発物質(すなわち、ジエン、ジエノフィル及びオレフィンの合計)の0.1〜300重量%の量で用いられ、窒素、水素、CO2、又はそれらの混合気体を含む反応雰囲気下で、実行される、方法。
【0017】
10.p−キシレンを生成する方法であって、以下の工程:
前記態様のいずかに従う方法を用いて芳香族炭化水素を生成する工程;及び
前記芳香族炭化水素からp−キシレンを分離する工程
を含む、方法。
【0018】
11.テレフタル酸を生成する方法であって、以下の工程:
前記態様のいずかに従う方法を用いてp−キシレンを生成する工程;及び
p−キシレンをテレフタル酸へ変換する工程
を含む、方法。
【0019】
技術的効果
一つの実施態様に従えば、先行技術との比較において、芳香族炭化水素を製造する本方法は、オレフィン(例えば、エチレン)の消費量を低減することができ、最も好ましい状況では、エチレンの不使用を達成することができ、それゆえこれは完全にバイオマス経路に基づく方法である。
【0020】
一つの実施態様に従えば、先行技術との比較において、芳香族炭化水素を生成するための本方法は、実質的に同等又はさらにより高いジエンの転化率を有することができ、同時に前記方法に必要な反応圧力を顕著に低減することができる;それによって、反応装置の安全性のリスクが低い。最も好ましい状況では、芳香族炭化水素を製造するための本方法は、反応システムの自生圧力下で実行することができる。
【0021】
一つの実施態様に従えば、先行技術との比較において、芳香族炭化水素を製造するための本方法は、ジエンの初期反応活性を増大させることができる。すなわち、前記ジエンのより高い転化率は、より短い反応時間で達成することができ、したがって、芳香族炭化水素を製造するために必要な反応時間を短縮することができる。
【0022】
一つの実施態様に従えば、先行技術との比較において、芳香族炭化水素を製造するための本方法は、ジエンの転化率を顕著に高めることができ、同時にBTX芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン及びキシレン)、特にキシレン、より特にp−キシレンの選択性を顕著に向上させることができる。例えば、芳香族炭化水素を製造するための本方法において、前記ジエンの転化率は、99%以上に達することができ、一方で、キシレン(特に、p−キシレン)への選択性は、87%以上に達することができる。
【0023】
一つの実施態様に従えば、先行技術との比較において、芳香族炭化水素を製造するための本方法は、芳香族炭化水素生成物を直接得ることができ、この生成物は、BTX芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン、及びキシレン)、特にキシレンが実質的に豊富であり、芳香族炭化水素生成物中のキシレン(特にp−キシレン)の含有量が一般に30wt%より大きい、好ましくは50wt%以上、より好ましくは70wt%以上、そして最大94wt%まで達することができる。
【0024】
発明の詳細な説明
本発明の実施態様を以下に詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの具体的な実施態様によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって決定されることに留意されたい。
【0025】
本明細書において言及される全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、一般に、本発明が属する技術分野の当業者によって理解されるものと同じ意味を有する。定義を含め矛盾が生じた場合には、本明細書が優先するものとする。
【0026】
本明細書の「当業者に公知の」又は「当技術分野で慣用的に公知の」又は類似の用語が、材料、方法、構成要素、デバイス又は装置を説明するために使用される場合、当技術分野で認められているように、当該用語は、本記載が、本出願が出願された時に日常的に使用されているものばかりではなく、まだ一般的に使用されていないが同様の目的のために適切であるもしくは適切であろうと認識されるものも含む。
【0027】
本明細書の文脈において、特に別段の定義がない限り、転化率、収率及び選択性は、それぞれ、一方向転化率、ワンパス収率及びワンパス選択性を指す。
【0028】
本明細書の文脈において、「場合により置換されている」という表現は、1個以上のヒドロキシ基又はカルボキシル基で場合により置換されているC1−6の直鎖状又は分枝鎖状のアルキル;1個以上のヒドロキシ基又はカルボキシル基で場合により置換されているC2−6の直鎖状又は分岐鎖状アルケニル;1個以上のヒドロキシ基又はカルボキシル基で場合により置換されているC2−6の直鎖状又は分岐鎖状アルキニル;1個以上のヒドロキシ基又はカルボキシル基で場合により置換されているC3−10のシクロアルキル、C6−10のアリール、カルボキシル及びヒドロキシからなる群より選択される1個以上(例えば、1〜3、1〜2又は1個)の置換基で場合により置換されていることを指し、好ましくは1個以上(例えば、1〜3、1〜2又は1個)のC1−6の直鎖状又は分枝鎖状のアルキルで場合により置換されていることを指す。
【0029】
本明細書の文脈において、特に明確に述べられない限り、重量基準が当業者の慣用の知識に適合しない場合を除き、全ての百分率、部、比率などは、重量による。
【0030】
本明細書の文脈において、そして、明確に識別されることが存在しない場合に、いわゆる、「原料」又は「出発材料」は、ジエン、ジエノフィル及びオレフィンを指す。
【0031】
本発明は、芳香族炭化水素を製造する方法であって、オレフィンを、触媒の存在下、ジエンと接触させて芳香族炭化水素を生成する工程(接触工程)を含む、方法に関する。代替的に、本発明は、ベンゼン、トルエン及びキシレンを含有している芳香族炭化水素流を生成する環状付加条件下、出発物質を触媒と接触させる工程(接触工程と名付ける)を含む、環状付加により芳香族炭化水素を製造する方法に関する。
【0032】
本発明に従えば、前記ジエンは一般的に、構造式(I):
【化2】
[式(I)中、R
1及びR
2は、互いに同一又は異なっており、水素、場合により置換されているC1−20の直鎖状又は分岐鎖状アルキル、場合により置換されているC2−20の直鎖状又は分岐鎖状アルケニル、場合により置換されているC2−20の直鎖状又は分岐鎖状アルキニル、場合により置換されているC3−20のシクロアルキル及び場合により置換されているC6−20のアリールからなる群よりそれぞれにかつ独立して選択される]を有する。
【0033】
本発明の好ましい実施態様に従えば、式(I)において、R
1及びR
2は、互いに同一又は異なっており、水素、場合により置換されているC1−5の直鎖状又は分岐鎖状アルキル及び場合により置換されているC2−10の直鎖状又は分岐鎖状アルケニルからなる群よりそれぞれにかつ独立して選択される。
【0034】
本発明の好ましい実施態様に従えば、式(I)において、R
1及びR
2は、互いに同一又は異なっており、水素及び場合により置換されているC1−3の直鎖状又は分岐鎖状アルキルからなる群よりそれぞれかつ独立して選択される。
【0035】
本発明の好ましい実施態様に従えば、式(I)において、R
1及びR
2のいずれも、メチルである。
【0036】
本発明に従えば、前記オレフィンは、C2−C10のオレフィンより選択される少なくとも1つである。
【0037】
本発明の好ましい実施態様に従えば、前記オレフィンは、C2−C10のα−オレフィンからなる群より選択される少なくとも1つ、より好ましくはC2−C4のα−オレフィンより選択される少なくとも1つ、より好ましくはエチレン及びプロペンより選択される少なくとも1つ、特にエチレンである。
【0038】
本発明に従えば、先行技術に基づき、本発明は前記接触工程に幾分の改善を行い、その工程は、ジエノフィルを前記オレフィンの少なくとも一部を代替して使用することを特徴とする。ここで、いわゆる「代わり」とは、芳香族炭化水素を生成するために、一定量のジエノフィルを等量又は対応する量のオレフィンと直接取り替えて、ジエンと一緒に前記接触工程に供すことを意味する。例えば、Aモル量のオレフィン及びBモル量のジエンを前記接触工程に供すことが当技術分野において予測される場合、本発明の改善は、前記オレフィンの少なくとも一部をジエノフィルと置き換えることにあるので、オレフィンとジエノフィルとの合計Aモル量及びジエンのBモル量が前記接触工程に供される。したがって、この改善に基づき、芳香族炭化水素を製造するための本方法は、芳香族炭化水素を生成するために、触媒の存在下でオレフィン(もしあれば)、ジエノフィル及びジエンを接触させる工程(これも接触工程によると言及される)を含む。
【0039】
本発明に従えば、前記ジエノフィルで置き換えられている前記オレフィンのモルパーセント(比率Rと呼ばれる)に基づいて、比率Rは、例えば、5mol%以上、より好ましくは10mol%以上、より好ましくは20mol%以上、より好ましくは30mol%以上、より好ましくは40mol%以上、より好ましくは50mol%以上、より好ましくは70mol%以上、より好ましくは90mol%以上、より好ましくは95mol%以上、又は全部(100mol%)である。
【0040】
本発明に従えば、前記ジエノフィルは、C2−C10のアルコールより選択される少なくとも一つ、好ましくはC2−C10の一価アルコールより選択される少なくとも一つ、より好ましくはC2−C4のアルコールより選択される少なくとも一つ、又はC2−C4の一価アルコールより選択される少なくとも一つ、より好ましくはエタノール、n−プロパノール、イソプロパノール及びsec−ブタノールより選択される少なくとも一つ、より好ましくはエタノールである。
【0041】
本発明の一つの実施態様に従えば、前記接触工程において、前記ジエノフィルと前記オレフィンとの合計モルに対する前記ジエンのモル比は、0.1〜10、好ましくは0.5〜2である。特に、前記オレフィンが前記ジエノフィルで全部取り換えられている場合、それに応じて、前記ジエノフィルに対する前記ジエンのモル比は、0.1〜10、好ましくは0.5〜2である。
【0042】
本発明の一つの実施態様に従えば、前記接触工程での反応温度は、一般に80〜400℃、好ましくは160〜350℃である。
【0043】
本発明に従えば、ジエノフィルを前記オレフィンの少なくとも一部に代えて使用するが、これは、先行技術との比較において、接触工程に必要な反応圧力を低減させることができる。具体的には、前記比率Rが増加するので、当該技術分野で予測される高さの圧力は、使用する必要がなく、前記反応圧力をそれに応じて低減することができる。この態様において、比率Rの増加に伴う反応圧力低減の程度に特に制限はないが、圧力低減が当業者にとって相当なものであれば十分である。例えば、前記比率Rが5mol%増加するごとに、前記反応圧力(先行技術と比較して)は、一般に5%以上、好ましくは10%以上低減する。例えば、ジエノフィルとして全面的にエタノールを使用する場合、反応圧力は、3.4MPaであるが、一方で、反応の出発物として全面的にエチレン使用する場合、圧力は7.5MPaであり、したがって、全面的にエタノールを使用する3.4MPa下の反応に関しては、圧力は120%低減し;50%エチレン+50%エタノールの反応系に関しては、圧力は60%低減する。より具体的には,前記接触工程の反応圧力は、一般に0.5〜10MPa、好ましくは3.0〜6.5MPaである。最も好ましい場合、前記接触工程は、反応系の自生圧力で実施される。
【0044】
本発明に従えば、ジエノフィルを前記オレフィンの少なくとも一部に代えて使用するが、これは、先行技術との比較において、前記ジエンの初期反応活性を増加させることができる。すなわち、前記ジエンのより高い転化率がより短い反応時間で達成することができ、その結果、芳香族炭化水素を生成するために必要な反応時間が低減される。具体的には、前記比率Rが増加するとともに、当技術分野で予測される長さの反応時間は使用する必要がなく、その分、前記反応時間を低減することができる。この態様において、比率Rの増加に伴う反応時間低減の程度に特に制限はないが、時間低減が当業者にとって相当なものであれば十分である。例えば、前記比率Rがそれぞれ5mol%増加する度に、前記反応圧力(先行技術と比較して)は、一般に5%以上、好ましくは10%以上低減する。実施例1において、反応の1時間後、転化率は60%であることができるが、一方で、エチレンのみをジエノフィルとして使用する比較実施例1においては、転化率は18%であることができ、反応は24時間続き、比較実施例1の転化率はわずか54%であり、それは60%より低い転化率である。対照的に、アルコールの添加は反応時間を低減することができる。より具体的には、前記接触工程の反応時間は、一般に1〜24時間、好ましくは1〜6時間である。
【0045】
本発明に従えば、前記接触工程は、連続的方式又はバッチ方式で実施することができる。特に制限はない。連続的方式において、前記反応物質の重量空間速度は、一般的に0.1〜10hr
−1、好ましくは0.5〜4hr
-1である。バッチ方式において、触媒の使用量は、反応物質の使用量(ジエン、ジエノフィル及びオレフィンの総重量を指す)の一般に0.1〜300wt%、好ましくは1〜30wt%である。
【0046】
本発明の一つの実施態様に従えば、前記ジエン(特に、2,5−ジメチルフラン)は、バイオマス原料から導出することができる。前記バイオマス原料として、例えば、芳香族炭化水素を生成するために当技術分野で一般的に使用されるものを列挙することができる。具体的には、キシリトール、グルコース、セロビオース、セルロース、ヘミセルロース、リグニンなどを列挙することができる。これらのバイオマス原料は、単独で、又は2つ以上の組み合わせを使用することができる。
【0047】
本発明の一つの実施態様に従えば、前記ジエノフィル(特に、エタノール又はイソプロパノール)は、バイオマス原料から導出することができる。前記バイオマス原料として、例えば、芳香族炭化水素を生成するために当技術分野で一般的に使用されるものを列挙することができる。具体的には、キシリトール、グルコース、セロビオース、セルロース、ヘミセルロース、リグニンなどを列挙することができる。これらのバイオマス原料は、単独で、又は2つ以上の組み合わせを使用することができる。
【0048】
本発明の別の実施態様に従えば、前記バイオマス原料として、例えば、ペーパースラッジ、古紙、サトウキビの絞りかす、グルコース、木材、トウモロコシの穂軸、トウモロコシの茎、稲わらなども列挙することができる。これらのバイオマス原料は、単独で、又は2つ以上の組み合わせを使用することができる。ここで、重量パーセントに基づいて、前記バイオマス原料は、通常30〜99%のセルロース含有量、通常0〜50%のヘミセルロース含有量、通常1〜40%のリグニン含量を有する。
【0049】
本発明の一つの実施態様に従えば、前記バイオマス原料から前記ジエン又は前記ジエノフィルを導出する方法に特別な限定はなく、当技術分野における様々な公知の方法を用いることができる。例えば、2,5−ジメチルフランは、グルコース、フルクトース、セルロース及び5−ヒドロキシメチルフルフラールのようなバイオマスから、酸触媒及び水素化を介して導出することができる(Thananatthanachon T, Rauchfuss T B. Efficient Production of the Liquid Fuel 2, 5‐Dimethylfuran from Fructose Using Formic Acid as a Reagent[J]. Angewandte Chemie, 2010, 122 (37): 6766-6768. ; Huang Y B, Chen M Y, Yan L, et al. Nickel-Tungsten Carbide Catalysts for the Production of 2, 5‐Dimethylfuran from Biomass‐Derived Molecules[J]. ChemSusChem, 2014, 7 (4): 1068-1072.)。
【0050】
代替的に、エタノールは、海藻、トウモロコシ及びリグノセルロースのようなバイオマスから、加水分解及び発酵を介して導出することができ、業界ですでに使用されている(A review on third generation bioethanol feedstock, Siti Azmah Jambo, Rahmath Abdulla, Siti Hajar Mohd Azhar, Hartinie Marbawi, Jualang Azlan Gansau, Pogaku Ravindra, Renewable and Sustainable Energy Reviews, Volume 65, November 2016, Pages 756-769; Prospects of bioethanol fuels E30 and E85 application in Russia and technical requirements for their quality, M. A. Ershov, E.V. Grigoreva, I.F. Habibullin, V.E. Emelyanov, D.M. Strekalina, Renewable and Sustainable Energy Reviews, Volume 66, December 2016, Pages 228-232)。したがって、本発明に従えば芳香族炭化水素を生成する方法は、前記ジエン及び/又は前記ジエノフィルを製造するために、バイオマス原料の触媒的転化及び任意の後続する接触水素化の工程をさらに含むことができる。
【0051】
本発明の好ましい実施態様に従えば、前記触媒は、モレキュラーシーブであることができる。前記モレキュラーシーブとして、ZSM型モレキュラーシーブ、Y型モレキュラーシーブ、β型モレキュラーシーブ及びMCM型モレキュラーシーブ;特にZSM−5、Y型モレキュラーシーブ、β型モレキュラーシーブ及びMCM−41;より特に、例えば、ZSM−5を列挙することができる。これらのモレキュラーシーブは、単独で、又は2つ以上の組み合わせを使用することができる。これらのモレキュラーシーブは、市販されている製品であってもよく、又は先行技術に従って調製してもよい。
【0052】
本発明の一つの実施態様に従えば、前記ZSM型モレキュラーシーブとして、ZSM−5、ZSM−11、ZSM−22、ZSM−23、及びZSM−38、特にZSM−5(又はHZSM−5)を列挙することができる。ここで、前記ZSM型モレキュラーシーブは、一般に10〜500、好ましくは15〜200のSiO2/Al2O3のモル比を有する。ZSM型モレキュラーシーブの異なる型(異なるSiO2/Al2O3のモル比を含む)は、単独で、又は2つ以上の組み合わせを使用することができる。
【0053】
本発明の一つの実施態様に従えば、前記Y型モレキュラーシーブとして、一般に2〜80、好ましくは3〜50のSiO2/Al2O3のモル比を有する。Y型モレキュラーシーブの異なる型(異なるSiO2/Al2O3のモル比を含む)は、単独で、又は2つ以上の組み合わせを使用することができる。
【0054】
本発明の一つの実施態様に従えば、前記β型モレキュラーシーブとして、一般に10〜150、好ましくは15〜6のSiO2/Al2O3のモル比を有する、β型モレキュラーシーブの異なる型(異なるSiO2/Al2O3のモル比を含む)は、単独で、又は2つ以上の組み合わせを使用することができる。
【0055】
本発明の一つの実施態様に従えば、前記MCM型モレキュラーシーブとして、MCM−22及びMCM−41を列挙することができる。ここで、前記MCM型モレキュラーシーブは、一般に20〜250、好ましくは40〜150のSiO2/Al2O3のモル比を有する。MCM型モレキュラーシーブの異なる型(異なるSiO2/Al2O3のモル比を含む)は、単独で、又は2つ以上の組み合わせを使用することができる。
【0056】
本発明の一つの実施態様に従えば、前記モレキュラーシーブは、モレキュラーシーブ組成物の形態で使用され、前記モレキュラーシーブ組成物は: a1)前記モレキュラーシーブ20〜80重量部、b1)結合剤20〜80重量部、及びc1)補助剤0〜10重量部を含有する。特に、前記モレキュラーシーブ組成物は: a1)前記モレキュラーシーブ50〜80重量部、b1)結合剤20〜50重量部、及びc1)補助剤0.01〜10重量部(又は0.01〜5重量部)を含有する。
【0057】
本発明の一つの実施態様に従えば、これらのモレキュラーシーブ組成物は、市販されている製品を直接使用して調製するか又は当技術分野で公知の方法に従って調製することができる。具体的には、モレキュラーシーブ組成物の製造方法は、例えば:モレキュラーシーブ、結合剤、及び共押出剤、必要に応じて細孔拡張剤及び水を混練して混合物とし、混合物を型に押出し、100〜200℃で24時間乾燥させ、その後、400〜700℃で1〜10時間焼成する方法を含む。共押出剤の例には、当技術分野で慣用的に使用されているもの、例えば、セスバニア粉末、ポリエチレングリコール又はカルボキシメチルセルロースナトリウムを含み、また細孔拡張剤の例には、当技術分野で慣用的に使用されている、クエン酸、シュウ酸又はエチレンジアミン四酢酸などを含む。一般に、共押出剤及び細孔拡張剤は、混合物の総重量の10wt%以下の合計量で添加される。必要であれば、型に押出す時に、酸を添加してもよい。酸の例には、無機酸、酢酸又はその水溶液など、特に硝酸、硫酸又はリン酸の水溶液を含む。一般に、酸の水溶液は、前記混合物の総重量の50〜90wt%の量で添加される。
【0058】
本発明の一つの実施態様に従えば、前記補助剤は、前記モレキュラーシーブ組成物の調製中もしくは調製後に導入することができるか、又は前記補助剤を前記モレキュラーシーブに導入することもでき、次いで得られたモレキュラーシーブを使用して前記モレキュラーシーブを調製する;特に制限はない。前記補助剤の導入方法として、例えば、当技術分野において慣用的に使用されるものは、特にイオン交換法又は含浸法を列挙することができる。これらの方法において、補助剤は、一般に、前駆体の形態で使用される。金属補助剤の前駆体として、例えば、金属の硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩又は塩化物を挙げ得る。ホウ素補助剤の前駆体の例には、ホウ酸及びホウ砂を含む。リン補助剤の前駆体には、リン酸水素二アンモニウムなどを含む。
【0059】
本発明の一つの実施態様に従えば、結合剤の例には、当技術分野のモレキュラーシーブ組成物の製造において慣用的に使用されたもの、さらに具体的には、シリカゾル、擬ベーマイト、アルミナ、酸で処理した粘土、カオリン、モンモリロナイト及びベントナイト、特にアルミナ(特別にγ−アルミナ)、擬ベーマイト、シリカゾルなどを含む。これらの結合剤は、単独で、又は2つ以上の組み合わせを使用することができる。
【0060】
本発明の一つの実施態様に従えば、前記補助剤として、例えば、下記: Na、Ca、K、Be、Mg、Ba、V、Nb、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ru、Pd、Pt、Ag、B、Al、Sn、P、Sb、La及びCe、特にCa、K、Mg、Cr、Mo、Fe、Ni、Cu、Zn、Ga、Ru、Pd、Pt、Ag、B、Sn、P、La及びCeなどを列挙することができる。これらの補助剤は、単独で、又は2つ以上の組み合わせを使用することができる。
【0061】
本発明の一つの実施態様に従えば、モレキュラーシーブとして、特にM/ZSM−5を挙げることができ、ここで、Mは、Zn、Ga、Sn、又はそれらの組合わせより選択される。モレキュラーシーブ又はモレキュラーシーブを含有するモレキュラーシーブ組成物は、特に触媒としての使用に適している。モレキュラーシーブは、市販されている製品を直接使用することによるか、又は当技術分野において公知の方法により、製造することができる。
【0062】
本発明の一つの実施態様に従えば、接触工程は、1つ以上の反応器中で実施することができる。反応器の例には、床反応器、特に固定床反応器、流動床反応器、沸騰床反応器、又はそれらの組み合わせを含む。この場合には、反応器の運転モードは、バッチ方式又は連続方式のいずれかであり得、特に限定されるものではない。
【0063】
本発明の一つの実施態様に従えば、接触工程は、不活性雰囲気又は還元雰囲気の下で実行することができる。不活性雰囲気としては、例えば、N2、CO2、He、Ar、又はそれらの組み合わせを含み得る。還元雰囲気としては、例えば、それには、CO、H2又はそれらの組み合わせを含み得る。加えて、接触工程は、不活性雰囲気と還元雰囲気との混合雰囲気中で実行し得る。
【0064】
本発明の一つの実施態様に従えば、芳香族炭化水素生成物の総重量に対して、重量パーセントで、芳香族炭化水素生成物中のBTX芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン及びキシレン)の含有量は、典型的には20〜90wt%であり、残りは非芳香族及び重芳香族である。
【0065】
芳香族炭化水素(すなわち、キシレン−富化芳香族炭化水素生成物)が上記のように本発明に従って芳香族炭化水素の製造方法により生成された後、p−キシレンは、芳香族炭化水素生成物から分離により分離することができる。上記の観点から、本発明はまた、p−キシレンを生成する方法であって、本発明に従えば芳香族炭化水素を生成する方法に従って芳香族炭化水素を生成する工程;及び芳香族炭化水素からp−キシレンを分離する工程を含む、方法に関する。
【0066】
本発明の一つの実施態様に従えば、芳香族炭化水素からp−キシレンを分離する方法は特に限定されず、当技術分野において公知の慣用のものを直接適用することができる。本発明により得られる芳香族炭化水素のキシレン含有量は、先行技術の方法によって得られる芳香族炭化水素と比較して相対的に富んでいるので、分離方法は、作業コストの低減と操作の複雑さの低減によって特徴付けられる。一般に、芳香族炭化水素の分離の後、p−キシレン生成物は、純度70〜99.9wt%で直接得ることができる。
【0067】
本発明の一つの実施態様に従えば、テレフタル酸は、原料として、本発明に従って製造されるp−キシレンから生成することができる。上記の観点から、本発明はまた、テレフタル酸を製造する方法であって、本発明に従えばp−キシレンを生成する方法に従ってp−キシレンを生成する工程;及びp−キシレンをテレフタル酸へ転化する工程を含む、方法に関する。
【0068】
本発明の一つの実施態様に従えば、p−キシレンをテレフタル酸に転化する方法は、特に限定するわけではなく、当技術分野において公知の慣用のものを直接使用することができる。
【実施例】
【0069】
本発明を幾つかの実施例を用いて詳細にさらに説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0070】
本明細書の文脈において、選択性は以下の式に従って計算される。
【0071】
初期反応活性における増加(ΔC
t=1%)=アルコールがジエノフィルとして添加された1時間の時点における実施例の反応の転化率−エチレンをジエノフィルとして使用した1時間の時点における比較実施例1の転化率。
【0072】
2,5−ジメチルフランの転化率(C%)=
100−(反応後の残留2,5−ジメチルフランのモル/添加された2,5−ジメチルフランの総モル
)×100
(%
)。
【0073】
反応転化率の増加(ΔC%)=反応終了時の2,5−ジメチルフランの転化率−エチレンがジエノフィルとして使用される反応の転化率。
【0074】
p−キシレン選択性(Sel
x%)=生成物中のp−キシレンの含有量/生成物全体の量×100%。
【0075】
p−キシレン選択性の増加(ΔSel
x%)=アルコールがジエノフィルとして添加される1時間の時点における実施例の選択性−エチレンがジエノフィルとして使用される1時間の時点における比較実施例1の選択性。
【0076】
ジエノフィル比率R=添加したアルコールのモル/(添加したアルコールのモル+エチレンのモル)×100%。
【0077】
実施例1
フルクトース 35gを水に溶解して、フルクトースの水溶液(35%)を形成し、そこへ2wt% NaCl及びHCl溶液 5mL(0.25mol/L)を加えた。混合物を均等に混合した。ブタノール 100mLを抽出相として加え、生成物を抽出した。混合物を180℃で10分間反応させ、有機相と水相との比を反応の間、一定に保った。反応の後、得られた生成物は、5−ヒドロキシメチルフルフラールであった。さらに、化合物を、RuCu/C触媒の下、220℃および水素6気圧及びWHSV 1.0h
−1で水素化に供した。反応の後、得られた混合物を分離して、2,5−ジメチルフランを生成した。
【0078】
触媒ZSM−5(1g)を乾燥させ、120℃で12時間脱水した。触媒は、ZSM−5モレキュラーシーブ(SiO2/Al2O3の比=50を有する)50部、結合剤としてのアルミナ 50部の組成を有していた。反応基質は、2,5−ジメチルフラン 20mL及びエタノール 20mLであった。反応の前、反応器をN2で5回パージした。その後、反応を400℃で6時間行った。反応圧力は自生圧力であった。反応の後、反応結果は、質量スペクトルを用いて定性的に、かつクロマトグラムを用いて定量的に分析した。初期反応活性は36%増加し、反応基質2,5−ジメチルフランの転化率は96%であり、反応転化率は42%増加し、p−キシレン選択性は85%であり、p−キシレン選択性は37%増加した。反応生成物の組成を表1に示した。
【0079】
【表1】
【0080】
実施例2
触媒MCM−41(1g)を乾燥させ、120℃で12時間脱水した。触媒は、MCM−41モレキュラーシーブ(SiO2/Al2O3の比=100を有する)50部、結合剤としてアルミナ50部の組成を有していた。反応基質は、2,5−ジメチルフラン 20mL+エタノール 200mLであった。反応の前、反応器をH2で5回パージした。気体圧力を0.1MPaに維持した。その後、反応を250℃で6時間行った。反応圧力は自生圧力であった。反応の後、反応結果は、質量スペクトルを用いて定性的に、かつクロマトグラムを用いて定量的に分析した。初期反応活性は23%増加大し、反応基質2,5−ジメチルフランの転化率は83%であり、反応転化率は29%増加し、p−キシレン選択性は78%であり、p−キシレン選択性は30%増加した。反応生成物の組成を表2に示した。
【0081】
【表2】
【0082】
実施例3
フルクトース 50gをギ酸 60mLに加えた。混合した後、得られた混合物を150℃で2時間撹拌した。得られた褐色の混合物を室温に冷やした。その後、混合物をテトラヒドロフラン 150mLで希釈した。硫酸 5mL及びPd/C触媒 4gを連続的に加えた。得られた混合物を70℃で10時間連続的に撹拌した。その後、混合物を濾過し、水 200mLで希釈し、エチルエーテル 170mLで3回抽出した。得られた抽出物を合わせ、回転気化させて、2,5−ジメチルフランを生成した。
【0083】
触媒Y(1g)を乾燥させ、120℃で12時間脱水した。触媒は、Yモレキュラーシーブ(SiO2/Al2O3の比=6を有する)60部、結合剤としてアルミナ40部の組成を有していた。反応基質は、2,5−ジメチルフラン 30mL+エタノールとsec−ブタノールとの混合物 100mLであり、エタノール対sec−ブタノールの混合比は、9:1であった。反応の前、反応器をN2で5回パージした。その後、反応を340℃で6時間行った。反応圧力は、自生圧力であった。反応の後、反応結果は、質量スペクトルを用いて定性的に、かつクロマトグラムを用いて定量的に分析した。初期反応活性は37%増加し、反応基質 2,5−ジメチルフランの転化率は96%であり、反応転化率は42%増加し、p−キシレン選択性は86%であり、p−キシレン選択性は38%増加した。反応生成物の組成を表3に示した。
【0084】
【表3】
【0085】
実施例4
触媒Y(1g)を乾燥させ、120℃で12時間脱水した。触媒は、Yモレキュラーシーブ(SiO2/Al2O3の比=70を有する)65部、結合剤としてアルミナ35部の組成を有していた。反応基質は、2,5−ジメチルフラン 150mL+エタノール 750mLであった。反応の前、反応器をN2で5回パージした。その後、反応を180℃で8時間行った。反応圧力は、自生圧力であった。反応の後、反応結果は、質量スペクトルを用いて定性的に、かつクロマトグラムを用いて定量的に分析した。初期反応活性は40%増加し、反応基質 2,5−ジメチルフランの転化率は99%であり、反応転化率は45%増加し、p−キシレン選択性は87%であり、p−キシレン選択性は39%増加した。反応生成物の組成を表4に示した。
【0086】
【表4】
【0087】
実施例5
触媒ZSM−5(20g)を乾燥させ、120℃で12時間脱水した。触媒は、ZSM−5モレキュラーシーブ(SiO2/Al2O3の比=300を有する)10部、結合剤としてアルミナ90部の組成を有していた。反応基質は、2−メチルフラン 40mL+イソプロパノール 40mLであった。反応の前、反応器をN2で5回パージした。その後、反応を350℃で6時間行った。反応圧力は、自生圧力であった。反応の後、反応結果は、質量スペクトルを用いて定性的に、かつクロマトグラムを用いて定量的に分析した。初期反応活性は34%増加し、反応基質2,5−ジメチルフランの転化率は93%であり、反応転化率は39%増加し、
キシレン選択性
(o−,m−,p−キシレン選択性)は78%であり、
キシレン選択性は30%増加した。反応生成物の組成を表5に示した。
【0088】
【表5】
【0089】
実施例6
触媒MCM−22(1g)を乾燥させ、120℃で12時間脱水した。触媒は、MCM−22モレキュラーシーブ(SiO2/Al2O3の比=150を有する)40部、結合剤としてアルミナ60部の組成を有していた。反応基質は、2−メチルフラン 20mL+イソプロパノール 20mLであった。反応の前、反応器をCO2で5回パージした。気体圧力を5MPaに保持した。その後、反応を100℃で26時間行った。反応圧力は、自生圧力であった。反応の後、反応結果は、質量スペクトルを用いて定性的に、かつクロマトグラムを用いて定量的に分析した。初期反応活性は36%増加し、反応基質2,5−ジメチルフランの転化率は95%であり、反応転化率は41%増加し、
キシレン選択性
(o−,m−,p−キシレン選択性)は83%であり、
キシレン選択性は35%増加した。反応生成物の組成を表6に示した
。
【0090】
【表6】
【0091】
実施例7
触媒Y(1g)を乾燥させ、120℃で12時間脱水した。触媒は、Yモレキュラーシーブ(SiO2/Al2O3の比=25を有する)50部、結合剤としてアルミナ50部の組成を有していた。反応基質は、2−メチルフラン 40mL+イソプロパノール 4mLであった。反応の前、反応器をN2で5回パージした。その後、反応を280℃で6時間行った。反応圧力は、自生圧力であった。反応の後、反応結果は、質量スペクトルを用いて定性的に、かつクロマトグラムを用いて定量的に分析した。初期反応活性は32%増加し、反応基質2,5−ジメチルフランの転化率は91%であり、反応転化率は37%増加し、
キシレン選択性
(o−,m−,p−キシレン選択性)は82%であり、
キシレン選択性は34%増加した。反応生成物の組成を表7に示した。
【0092】
【表7】
【0093】
実施例8
触媒ZSM−5(1g)を乾燥させ、120℃で12時間脱水した。触媒は、ZSM−5モレキュラーシーブ(SiO2/Al2O3の比=150を有する)55部、結合剤としてアルミナ45部の組成を有していた。反応基質は、2−メチルフラン 40mL+イソプロパノール 40mLであった。反応の前、反応器をN2で5回パージした。水素と窒素との混合気体(1:1)を用いた。気体圧力を1MPaに保持した。その後、反応を250℃で8時間行った。反応圧力は、自生圧力であった。反応の後、反応結果は、質量スペクトルを用いて定性的に、かつクロマトグラムを用いて定量的に分析した。初期反応活性は21%増加し、反応基質 2,5−ジメチルフランの転化率は83%であり、反応転化率は29%増加し、
キシレン選択性
(o−,m−,p−キシレン選択性)は78%であり、
キシレン選択性は30%増加した。反応生成物の組成を表8に示した。
【0094】
【表8】
【0095】
実施例9
触媒ZSM−5(2g)を乾燥させ、120℃で12時間脱水した。触媒は、ZSM−5モレキュラーシーブ(SiO2/Al2O3の比=500を有する)60部、結合剤としてアルミナ40部の組成を有していた。反応基質は、フラン 40mL+エタノール+sec−ブタノールの混合物 100mL(エタノール対sec−ブタノールの混合比は1:1)であった。反応の前、反応器をN2で5回パージした。その後、反応を400℃で6時間行った。反応圧力は、自生圧力であった。反応の後、反応結果は、質量スペクトルを用いて定性的に、かつクロマトグラムを用いて定量的に分析した。初期反応活性は20%増加し、反応基質 2,5−ジメチルフランの転化率は81%であり、反応転化率は27%増加し、
芳香族炭化水素選択性は83%であり、
芳香族炭化水素選択性は35%増加した。反応生成物の組成を表9に示した。
なお、前記芳香族炭化水素選択性にいう芳香族炭化水素には、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン及びキシレン(o−、m−、及びp−キシレン)を含めた。
【0096】
【表9】
【0097】
実施例10
フルクトース 36gをギ酸 50mLに加えた。混合の後、得られた混合物を150℃で2時間撹拌した。得られた褐色の混合物を室温に冷やした。その後、混合物をテトラヒドロフラン 100mLで希釈した。硫酸 4mL及びPd/C触媒 4gを連続的に加えた。得られた混合物を70℃で10時間連続的に撹拌した。その後、混合物を濾過し、水 150mLで希釈し、エチルエーテル 150mLで3回抽出した。得られた抽出物を合わせ、回転気化させて、2,5−ジメチルフランを生成した。
【0098】
触媒β(2g)を乾燥させ、120℃で12時間脱水した。触媒は、βモレキュラーシーブ(SiO2/Al2O3の比=30を有する)50部、結合剤としてアルミナ50部の組成を有していた。反応基質は、2,5−ジメチルフラン 40mL+エタノール 40mLであった。反応の前、反応器をN2で5回パージした。その後、反応を300℃で5時間行った。反応圧力は、自生圧力であった。反応の後、反応結果は、質量スペクトルを用いて定性的に、かつクロマトグラムを用いて定量的に分析した。初期反応活性は33%増加し、反応基質2,5−ジメチルフランの転化率は92%であり、反応転化率は38%増加し、p−キシレン選択性は78%であり、p−キシレン選択性は30%増加した。反応生成物の組成を表10に示した。
【0099】
【表10】
【0100】
実施例11
触媒β(1g)を乾燥させ、120℃で12時間脱水した。触媒は、βモレキュラーシーブ(SiO2/Al2O3の比=100を有する)40部、結合剤としてアルミナ60部の組成を有していた。反応基質は、2,5−ジメチルフラン 20mL+エタノール 20mLであった。反応の前、反応器をN2で5回パージした。その後、反応を250℃で6時間行った。反応圧力は、自生圧力であった。反応の後、反応結果は、質量スペクトルを用いて定性的に、かつクロマトグラムを用いて定量的に分析した。初期反応活性は27%増加し、反応基質2,5−ジメチルフランの転化率は87%であり、反応転化率は33%増加し、p−キシレン選択性は81%であり、p−キシレン選択性は33%増加した。反応生成物の組成を表11に示した。
【0101】
【表11】
【0102】
実施例12
触媒MCM−41(2g)を乾燥させ、120℃で12時間脱水した。触媒は、MCM−41モレキュラーシーブ(SiO2/Al2O3の比=50を有する)50部、結合剤としてアルミナ50部の組成を有していた。反応基質は、2,5−ジメチルフラン 30mL+エタノール 15mLであった。反応の前、反応器をN2で5回パージした。その後、反応を300℃で6時間行った。反応圧力は、自生圧力であった。反応の後、反応結果は、質量スペクトルを用いて定性的に、かつクロマトグラムを用いて定量的に分析した。初期反応活性は30%増加し、反応基質2,5−ジメチルフランの転化率は89%であり、反応転化率は35%増加し、p−キシレン選択性は82%であり、p−キシレン選択性は34%増加した。反応生成物の組成を表12に示した。
【0103】
【表12】
【0104】
実施例13
触媒MCM−22(1.5g)を乾燥させ、120℃で12時間脱水した。触媒は、MCM−22モレキュラーシーブ(SiO2/Al2O3の比=70を有する)50部、結合剤としてアルミナ50部の組成を有していた。反応基質は、2,5−ジメチルフラン 80mL+エタノール 20mLであった。反応の前、反応器をN2で5回パージした。その後、反応を330℃で3時間行った。反応圧力は、自生圧力であった。反応の後、反応結果は、質量スペクトルを用いて定性的に、かつクロマトグラムを用いて定量的に分析した。初期反応活性は23%増加し、反応基質2,5−ジメチルフランの転化率は83%であり、反応転化率は29%増加し、p−キシレン選択性は85%であり、p−キシレン選択性は37%増加した。反応生成物の組成を表13に示した。
【0105】
【表13】
【0106】
実施例14
フルクトース 50gをギ酸 60mLに加えた。混合の後、得られた混合物を150℃で2時間撹拌した。得られた褐色の混合物を室温に冷やした。その後、混合物をテトラヒドロフラン 150mLで希釈した。硫酸 5mL及びPd/C触媒 4gを連続的に加えた。得られた混合物を70℃で10時間連続的に撹拌した。その後、混合物を濾過し、水 200mLで希釈し、エチルエーテル 170mLで3回抽出した。得られた抽出物を合わせ、回転気化させて、2,5−ジメチルフランを生成した。
【0107】
触媒Y(1g)を乾燥させ、120℃で12時間脱水した。触媒は、Yモレキュラーシーブ(SiO2/Al2O3の比=6を有する)60部、結合剤としてアルミナ40部の組成を有していた。反応基質は、2,5−ジメチルフラン 30mL+エタノールとエチレンとの混合物であり、混合物は添加したジメチルフランと等モルであり、エタノール対エチレンの混合比は9:1であった。反応の前、反応器をN2で5回パージした。その後、エタノール及びエチレンそれぞれを加えた。反応を200℃で6時間行った。反応の後、反応結果は、質量スペクトルを用いて定性的に、かつクロマトグラムを用いて定量的に分析した。初期反応活性は31%増加し、反応基質2,5−ジメチルフランの転化率は90%であり、反応転化率は36%増加し、p−キシレン選択性は81%であり、p−キシレン選択性は33%増加した。反応生成物の組成を表14に示した。この実施例において、反応圧力(ゲージ)は、3.8MPaであった。エタノールが使用された反応例中の反応圧力は、3.4MPaであり、10mol%のエチレンを添加した後、圧力は12%増加した。
【0108】
【表14】
【0109】
実施例15
触媒Y(1g)を乾燥させ、120℃で12時間脱水した。触媒は、Yモレキュラーシーブ(SiO2/Al2O3の比=6を有する)60部、結合剤としてアルミナ40部の組成を有していた。反応基質は、2,5−ジメチルフラン 30mL+エタノールとエチレンとの混合物であり、混合物は添加したジメチルフランと等モルであり、エタノールとエチレンは、5:5の混合比である。反応の前、反応器をN2で5回パージした。その後、エタノール及びエチレンそれぞれ加え、反応を200℃で6時間行った。反応の後、反応結果は、質量スペクトルを用いて定性的に、かつクロマトグラムを用いて定量的に分析した。初期反応活性は21%増加し、反応基質 2,5−ジメチルフランの転化率は81%であり、反応転化率は27%増加し、p−キシレン選択性は74%であり、p−キシレン選択性は26%増加した。反応生成物の組成を表15に示した。この実施例において、反応圧力(ゲージ)は、5.4MPaであった。エタノールが使用された反応例中の反応圧力は、3.4MPaであった。50mol%のエチレンの添加によって、圧力は60%増加した。
【0110】
【表15】
【0111】
実施例16
触媒Y(1g)を乾燥させ、120℃で12時間脱水した。触媒は、Yモレキュラーシーブ(SiO2/Al2O3の比=6を有する)60部、結合剤としてアルミナ40部の成分を有していた。反応基質は、2,5−ジメチルフラン30mL+エタノールとエチレンとの混合物であり、混合物は添加したジメチルフランと等モルであり、エタノールとエチレンは1:9の混合比である。反応の前、反応器をN2で5回パージした。その後、エタノール及びエチレンをそれぞれを加えた。反応を200℃で6時間行った。反応の後、反応結果は、質量スペクトルを用いて定性的に、かつクロマトグラムを用いて定量的に分析した。初期反応活性は9%増加し、反応基質2,5−ジメチルフランの転化率は69%であり、反応転化率は15%増加し、p−キシレン選択性は67%であり、p−キシレン選択性は19%増加した。反応生成物の組成を表16に示した。この実施例において、反応圧力(ゲージ)は、7.0MPaであった。エタノールが使用された反応例中の反応圧力は、3.4MPaであり、90mol%のエチレンを添加した後、圧力は107%増加した。
【0112】
【表16】
【0113】
実施例17
触媒MCM−41(1g)を乾燥させ、120℃で12時間脱水した。触媒は、MCM−41モレキュラーシーブ(SiO2/Al2O3の比=150を有する)50部、結合剤としてアルミナ50部の組成を有していた。反応基質は、2,5−ジメチルフラン 20mL+エタノール 100mLであった。反応の前、反応器をN2で5回パージした。その後、反応を200℃で5時間行った。反応圧力は、自生圧力であった。反応の後、反応結果は、質量スペクトルを用いて定性的に、かつクロマトグラムを用いて定量的に分析した。初期反応活性は24%増加し、反応基質2,5−ジメチルフランの転化率は86%であり、反応転化率は32%増加し、p−キシレン選択性は76%であり、p−キシレン選択性は28%増加した。反応生成物の組成を表17に示した。
【0114】
【表17】
【0115】
比較実施例1
触媒MCM−41(1g)を乾燥させ、120℃で12時間脱水した。触媒は、MCM−41モレキュラーシーブ(SiO2/Al2O3の比=150を有する)50部、結合剤としてアルミナ50部の組成を有していた。反応基質は、n−ヘプタン 20mL中の2,5−ジメチルフラン 20mLであった。反応の前、窒素を使用して反応器を3回パージし、次に反応器にエチレン4MPaを入れた。その後、反応を200℃で5時間行った。反応の後、反応結果は、質量スペクトルを用いて定性的に、かつクロマトグラムを用いて定量的に分析した。反応基質2,5−ジメチルフランの転化率は54%であり、p−キシレン選択性は48%であった。反応生成組成物を表18に示した。
【0116】
【表18】
【0117】
【表19】
【表20】
【0118】
本発明の好ましい実施態様の記載は、例示及び説明のために提示されたものであって、余すところなく又は本発明を開示された形態に限定することを意図するものではない。当業者であれば、本発明の広い概念から逸脱することなく、上述した実施態様に変更を加えることもできることが理解されよう。したがって、本発明は、開示された特定の実施態様に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の技術思想及び範囲内の変更を含むことが理解される。