特許第6976680号(P6976680)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6976680
(24)【登録日】2021年11月12日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】冷水循環システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/54 20180101AFI20211125BHJP
   F24F 11/64 20180101ALI20211125BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20211125BHJP
【FI】
   F24F11/54
   F24F11/64
   F25B1/00 399Y
【請求項の数】3
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-238360(P2016-238360)
(22)【出願日】2016年12月8日
(65)【公開番号】特開2018-96552(P2018-96552A)
(43)【公開日】2018年6月21日
【審査請求日】2019年12月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】593063161
【氏名又は名称】株式会社NTTファシリティーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】戸倉 由貴
(72)【発明者】
【氏名】相良 健
(72)【発明者】
【氏名】福田 次良
(72)【発明者】
【氏名】栗原 庸聡
【審査官】 石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−188301(JP,A)
【文献】 特開2011−185560(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00−11/89
F25B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷水を冷却する熱源機、並びに冷却された冷水と冷却対象を冷却する複数の熱交換器を有する冷却装置と、
前記複数の熱交換器で発揮させる冷却能力を制御する制御装置であって、当該熱交換器で発揮させる冷却能力を変更する処理を実行した後、予め設定されたルールに従って決定された時間(以下、制御パラメータという。)が経過したときに、前記冷却装置の作動を制御するための次の処理を実行する制御装置と、
前記複数の熱交換器のうち第1の熱交換器の冷却対象の状態を直接的又は間接的に示す第1パラメータ(以下、第1管理項目という。)の値を検出する第1検出部と、
前記複数の熱交換器のうち第2の熱交換器の冷却対象の状態を直接的又は間接的に示す第2パラメータ(以下、第2管理項目という。)の値を検出する第2検出部とを少なくとも備え、
前記制御装置は、
前記第1検出部により検出された値が、前記第1管理項目について予め設定された第1管理条件を満たすか否かを判断する第1判断処理、
前記第1管理条件を満たさないと判断されたときに、前記第1管理項目について予め設定された重みである第1設定値を設定する第1設定処理、
前記第2検出部により検出された値が、前記第2管理項目について予め設定された第2管理条件を満たすか否かを判断する第2判断処理、
前記第2管理条件を満たさないと判断されたときに、前記第2管理項目について予め設定された重みである第2設定値を設定する第2設定処理、並びに
少なくとも前記第1設定値及び前記第2設定値に基づいて統計量を算出し、当該統計量を利用して予め設定されたルールに従って前記制御パラメータを決定する決定処理を実行可能であり、
さらに、前記制御装置は、
前記第1判断処理により前記第1管理条件を満たさないと判断されたときには、前記第1の熱交換器で発揮させる冷却能力を増大させ、
前記第2判断処理により前記第2管理条件を満たさないと判断されたときには、前記第2の熱交換器で発揮させる冷却能力を増大させ、
前記重みは、前記冷却装置の制御を行う上で重要な箇所に設置された前記熱交換器の重みが、その他の前記熱交換器の重みに比べて大きな値となるように設定されており、
そして、前記要な箇所とは、当該重要な箇所と異なる箇所に比べて相対的に素早く対応する箇所である冷水循環システム。
【請求項2】
前記制御装置は、発揮可能な最大冷却能力が異なる少なくとも3つの制御モードに分けて前記冷却装置の運転を制御可能であり、
さらに、前記制御装置は、前記熱交換器で発揮させる冷却能力を変更する処理を実行した後、前記制御パラメータが経過したときに、現時の制御モードを変更するか否かを判断する請求項1に記載の冷水循環システム。
【請求項3】
冷水を冷却する熱源機、並びに冷却された冷水と冷却対象を冷却する複数の熱交換器を有する冷却装置と、
前記複数の熱交換器で発揮させる冷却能力を制御する制御装置であって、当該熱交換器で発揮させる冷却能力を変更する処理を実行した後、予め設定されたルールに従って決定された時間(以下、制御パラメータという。)が経過したときに、前記冷却装置の作動を制御するための次の処理を実行する制御装置と、
前記複数の熱交換器のうち第1の熱交換器の冷却対象の状態を直接的又は間接的に示す第1パラメータ(以下、第1管理項目という。)の値を検出する第1検出部と、
前記複数の熱交換器のうち第2の熱交換器の冷却対象の状態を直接的又は間接的に示す第2パラメータ(以下、第2管理項目という。)の値を検出する第2検出部とを少なくとも備える冷水循環システムに適用され、前記制御装置に組み込まれる冷水循環システム用プログラムにおいて、
前記制御装置に、
前記第1検出部により検出された値が、前記第1管理項目について予め設定された第1管理条件を満たすか否かを判断するとともに、前記第1の熱交換器で発揮させる冷却能力を増大させる必要があるときに当該管理条件を満たすと判断する第1判断処理、
前記第1管理条件を満たさないと判断されたときに、前記第1管理項目について予め設定された重みである第1設定値を設定する第1設定処理、
前記第2検出部により検出された値が、前記第2管理項目について予め設定された管理条件を満たすか否かを判断するとともに、前記第2の熱交換器で発揮させる冷却能力を増大させる必要があるときに当該管理条件を満たすと判断する第2判断処理、
前記第2管理条件を満たさないと判断されたときに、前記第2管理項目について予め設定された重みである第2設定値を設定する第2設定処理、並びに
少なくとも前記第1設定値及び前記第2設定値に基づいて統計量を算出し、当該統計量を利用して予め設定されたルールに従って前記制御パラメータを決定する決定処理を実行させるとともに、
前記第1判断処理により前記第1管理条件を満たさないと判断されたときには、前記第1の熱交換器で発揮させる冷却能力を増大させ、
前記第2判断処理により前記第2管理条件を満たさないと判断されたときには、前記第2の熱交換器で発揮させる冷却能力を増大させ、
前記重みは、前記冷却装置の制御を行う上で重要な箇所に設置された前記熱交換器の重みが、その他の前記熱交換器の重みに比べて大きな値となるように設定されおり、
そして、前記要な箇所とは、当該重要な箇所と異なる箇所に比べて相対的に素早く対応する箇所である冷水循環システム用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、冷熱を生成する熱源機と熱交換器との間で冷水を循環させて冷却対象の冷却を行う冷水循環システムに関する。
【背景技術】
【0002】
商業施設やオフィスビル等の比較的広い空間を冷却対象とする空調システムでは、複数箇所それぞれに設置された熱交換器(例えば、ファンコイルユニット)に求められる空調能力が設置箇所毎に大きく異なる場合がある。そして、冷水を各熱交換器に循環させる冷水循環システム方式の空調システムでは、各熱交換器で発揮させる空調能力、つまり冷却能力を適切に制御することが難しい場合がある。
【0003】
これに対して、例えば、特許文献1の発明では、1つの空調システムに対して相反する空調温度要求がされた場合、一方の要望情報の率と第1の基準値とを比較することで一方の方向へ目標温度を変化させ、他方の要望情報の率と第2の基準値とを比較することで他方の方向へ目標温度を変化させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−241160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願は、簡便な手法にて各熱交換器で発揮させる冷却能力を適切に制御可能な冷水循環システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願では、冷水を冷却する熱源機(11)、並びに冷却された冷水と冷却対象を冷却する複数の熱交換器(12A)を有する冷却装置(10)と、冷却装置(10)の稼働状態を制御するための制御パラメータ(Tw)を用いて当該冷却装置(10)の作動を制御する制御装置(20)と、冷却対象の状態を直接的又は間接的に示す第1パラメータ(以下、第1管理項目という。)の値を検出する第1検出部(S1)と、冷却対象の状態を直接的又は間接的に示す第2パラメータ(以下、第2管理項目という。)の値を検出する第2検出部(S2)とを少なくとも備えている。
【0007】
そして、制御装置(20)は、第1検出部(S1)により検出された値が、第1管理項目について予め設定された第1管理条件を満たすか否かを判断する第1判断処理、第1管理条件を満たさないと判断されたときに、第1管理項目について予め設定された値(以下、第1設定値という。)を設定する第1設定処理、第2検出部(S2)により検出された値が、第2管理項目について予め設定された管理条件を満たすか否かを判断する第2判断処理を実行可能である。
【0008】
さらに、制御装置(20)は、第2管理条件を満たさないと判断されたときに、第2管理項目について予め設定された値(以下、第2設定値という。)を設定する第2設定処理、並びに少なくとも第1設定値及び第2設定値に基づいて統計量を算出し、当該統計量を利用して予め設定されたルールに従って制御パラメータ(Tw)を決定する決定処理を実行可能である。
【0009】
なお、統計量とは、一組の標本データに相当する第1設定値及び第2設定値に目的に応じた統計学的なアルゴリズムを適用して得られた値である。例えば、第1設定値と第2設定値との和、及び第1設定値と第2設定値との平均値等である。
【0010】
これにより、例えば、第1管理項目が第2管理項目より重要である場合に、第1設定値を第2設定値より大きくする、つまり第1管理項目の重み付けを第2管理項目の重み付けより大きくすることにより、第1管理項目が第2管理項目より反映された制御を実行することが可能となる。
【0011】
したがって、「各管理項目に対して重み付けを行う」といった簡便な手法にて、各熱交換器(12A)で発揮させる冷却能力を適切に制御可能な冷水循環システムを得ることができ得る。なお、本願発明は、3つ以上の管理項目を設定してもよいことは当然である。
【0012】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本発明は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本願の実施形態に係る熱媒体循環システム(冷水循環システム)の一例を示す図である。
図2】本願の実施形態に係る制御モード切替を示す図である。
図3】本願の第1実施形態に係る第3制御モードのフローチャートである。
図4】本願の第1実施形態に係る第2制御モードのフローチャートである。
図5】本願の第1実施形態に係る第2制御モードのフローチャートである。
図6】本願の第1実施形態に係る第2制御モードのフローチャートである。
図7】本願の第1実施形態に係る第1制御モードのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に説明する「発明の実施形態」は、本願発明の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されるものではない。
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。なお、各図に付された方向を示す矢印等は、各図相互の関係を理解し易くするために記載したものである。本発明は、各図に付された方向に限定されるものではない。
【0016】
少なくとも符号を付して説明した部材又は部位は、「1つの」等の断りをした場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、当該部材が2以上設けられていてもよい。
(第1実施形態)
本実施形態は、熱媒体循環システムに本発明に係る冷水循環システムを適用したものである。熱媒体循環システムは、冷却又は加熱された熱媒体を循環させて温度管理対象を冷却又は加熱するシステムである。
【0017】
具体的には、商業施設やオフィスビル等の比較的広い空間(室内)の空気を冷却対象とする空調システムに本発明に係る冷水循環システムを適用したものである。以下、冷房用空調システムを例に本実施形態を説明する。
【0018】
1.冷水循環システムの構成(図1参照)
空調装置10は、室内空気を冷却する冷却装置の一例である。当該空調装置10は、熱源機11、熱交換器12A及びバイパス配管13等の機器それぞれを少なくとも1つ有する。熱源機11は、熱媒体を冷却又は加熱するための熱を生成する。
【0019】
本実施形態に係る熱源機11は、熱媒体を冷却するための冷熱を生成する。以下、熱源機11にて冷却された熱媒体を冷水という。熱源機11は、例えば蒸気圧縮式冷凍機等の冷凍機により構成されている。
【0020】
なお、熱源機11で必要な最大冷熱量が大きい場合には、複数の冷凍機にて熱源機11が構成される場合もある。そして、熱源機11は、その仕様上、生成可能な最小冷熱量が決まっている。
【0021】
つまり、1台の冷凍機にて熱源機11が構成されている場合には、当該1台の冷凍機で生成可能な最小冷熱量が熱源機11の最小冷熱量となる。複数台の冷凍機にて熱源機11が構成されている場合には、最小冷熱量が最も小さい冷凍機のみが稼働しているときの当該冷凍機の最小冷熱量が熱源機11の最小冷熱量となる。
【0022】
冷熱生成時に発生した廃熱は、冷却水を介して冷却塔11Aから大気中に放熱される。冷却水ポンプ11Bは、熱源機11と冷却塔11Aとの間で冷却水を循環させる。三方弁11Cは、熱源機11から流出した冷却水を冷却塔11Aを迂回させて熱源機11に戻す流量を調整するバルブである。
【0023】
熱交換器12Aは、冷却対象の一例である室内に供給する空気と冷水とを熱交換器し、当該空気を冷却する。本実施形態に係る熱交換器12Aは、当該熱交換器12Aに空気を送風する送風機12Bと一体化(ユニット化)されたファンコイルユニット12である。
【0024】
熱交換器12A、つまりファンコイルユニット12(以下、FCU12と記す。)は、複数のフロア又は複数の部屋それぞれに少なくとも1台ずつ設置されている。つまり、空調装置10は少なくとも2つのFCU12を有する。なお、一つのフロア又は一つの部屋に複数のFCU12が設置されていてもよい。
【0025】
各フロア等には、当該フロア等に設置されたFCU12の空調能力を調整するためのコントローラ(図示せず。)が設けられている。利用者は、当該コントローラを操作して空調能力(冷却能力)を調整できる。
【0026】
すなわち、各FCU12には、熱交換器12Aを流通する冷水量を調節するバルブ12Cが設けられている。各コントローラは、利用者の操作に応じてバルブ12Cの開度を調整して当該FCU12で発生させる空調能力を調整する。
【0027】
具体的には、冷却能力を大きくする操作がされた場合、コントローラは、バルブ12Cの開度を大きくして熱交換器12Aに流通させる冷水量を増大させる。冷却能力を小さくする操作がされた場合、コントローラは、バルブ12Cの開度を小さくして熱交換器12Aに流通させる冷水量を減少させる。
【0028】
バイパス配管13は、複数の熱交換器12Aの冷水流入側とそれら熱交換器12Aの冷水流出側とを繋ぐ配管である。一次ポンプP1及び二次ポンプP2は、熱源機11と複数の熱交換器12Aとの間で冷水を循環させるためポンプである。
【0029】
一次ポンプP1は、複数の熱交換器12Aから流出した冷水を熱源機11に送るポンプである。二次ポンプP2は、熱源機11から供給された冷水を各熱交換器12Aに送るポンプである。
【0030】
なお、図1では、1台のポンプにより一次ポンプP1が構成され、複数のポンプにより二次ポンプP2が構成されている。しかし、一次ポンプP1及び二次ポンプP2の構成は、これに限定されるものではない。
【0031】
すなわち、例えば、一次ポンプP1も複数のポンプにより構成されていてもよい。なお、熱源機11が複数の熱源機により構成されている場合には、通常、一次ポンプP1も複数のポンプにより構成される。
【0032】
バイパス配管13は、二次ポンプP2の吸入側と一次ポンプP1の吸入側とを接続する。本実施形態に係るバイパス配管13は、一次往水ヘッダ14Aと一次還水ヘッダ14Bとを繋ぐように設けられている。
【0033】
一次往水ヘッダ14Aは、例えば、熱源機11が複数の熱源機により構成されている場合には、それら複数の熱源機11から流出した冷水を集合させる。さらに、一次往水ヘッダ14Aは、二次ポンプP2を構成する各ポンプに分配する。
【0034】
一次還水ヘッダ14Bは、例えば、熱源機11が複数の熱源機により構成されている場合に、二次還水ヘッダ15Bから流出した冷水を一次ポンプP1を構成する各ポンプに分配する。
【0035】
二次還水ヘッダ15Bは、複数の熱交換器12Aから流出した冷水を集合させて一次還水ヘッダ14B側に流出する集合器である。二次往水ヘッダ15Aは、二次ポンプP2を構成する各ポンプから吐出された冷水を集合させて各熱交換器12Aに分配する集合分配器である。
【0036】
2.冷水循環システムの制御
2.1 制御構成
制御装置20は、一次ポンプP1、二次ポンプP2、各送風機12B及び熱源機11等の稼働状態、つまり空調装置10の稼働状態を直接的又は間接的に制御する。制御装置20は、CPU、ROM及びRAM等にて構成されたマイクロコンピュータであって、ROM等の不揮発性記憶部に予め記憶されたプログラム(ソフトウェア)に従って空調装置10の作動を制御する。
【0037】
なお、「間接的に制御する」とは、例えば、制御装置20が送風機12Bの送風量(ファン回転数)及びバルブ12Cの開度の作動、つまりFCU12の作動を制御する場合等の制御である。
【0038】
すなわち、制御装置20がFCU12を制御する際、制御装置20は、FCU12に設けられたコントローラに制御指令信号を発信し、当該信号を送風機12B等に直接的に発信しない。つまり、制御装置20は、コントローラを介して間接的に送風機12B等を制御する。
【0039】
制御装置20には、管理項目の値を示す信号が入力されている。管理項目は、冷却対象である室内の状態を直接的又は間接的に示すパラメータである。当該管理項目は、例えば、(a)室内空気の温度及び相対湿度、(b)設定温度と現実の室内温度との差、並びに(c)各バルブ12Cの開度等である。
【0040】
室内空気の温度及び相対湿度は、FCU12に吸い込まれる空気の温度を検出する温度センサS1等を利用して検出される。温度センサS1等は、各FCU12に設けられている。設定温度(以下、SV値)は、コントローラを介して利用者又は管理者が設定した目標とする室内空気温度(空調能力)である。現実の室内温度は温度センサS1の検出温度(以下、PV値)である。
【0041】
そして、各コントローラは、例えば、以下の(a)〜(c)を管理条件として、管理条件を満たすか否かを判断するとともに、当該管理条件を満たさないと判断したときには、その旨の信号(以下、発報信号という。)を制御装置20に向けて出力する。
【0042】
具体的には、各コントローラは、(a)「室内空気の温度又は相対湿度が予め設定された室内温度又は相対湿度を越えたとき」、(b)「SV値とPV値との差が予め設定された温度差を越えたとき」、及び(c)「バルブ12Cの開度が予め設定された開度(例えば、80%)を越えたとき」のうちいずれかのときに、発報信号を発信する。
【0043】
なお、各FCU12毎に管理項目及び管理条件が予め設定されている。各コントローラは、予め設定されたそれぞれの管理項目及び管理条件に従って管理条件を満たすか否かを判断した後、当該管理条件を満たさないと判断したときには発報信号を発信する。
【0044】
すなわち、図1に示す2つのFCU12のうち、紙面上側のFCU12を第1FCU121とし、紙面下側のFCU12を第2FCU122とした場合において、第1FCU121についての管理項目及び管理条件を第1管理項目及び第1管理条件とし、第2FCU122についての管理項目及び管理条件を第2管理項目及び第2管理条件とする。
【0045】
この場合において、第1FCU121のコントローラは、第1FCU121に関係するセンサ(例えば温度センサS1)等の検出値に基づいて第1管理項目を取得した後、その取得した第1管理項目が第1管理条件を満たすか否かを判断する。
【0046】
同様に、第2FCU122のコントローラは、第2FCU122に関係する温度センサS1等の検出値に基づいて第2管理項目を取得した後、その取得した第2管理項目が第2管理条件を満たすか否かを判断する。
【0047】
したがって、各コントローラは、互い独立した状態で取得した管理項目が管理条件を満たしているか否かを判断する。なお、上記した管理項目の種類、及び管理条件を満たすか否かの判断は、本願発明の一例であって、上記管理項目の種類及び管理条件に本願発明は限定されるものではない。
【0048】
制御装置20には、冷水の温度及び冷却水の温度を示す信号も入力されている。第1冷水温センサS3は、各熱交換器12Aに供給される冷水の温度を検出する温度検出部である。本実施形態に係る第1冷水温センサS3は、二次往水ヘッダ15Aにて冷水温度を検出する。
【0049】
第2冷水温センサS4は、二次還水ヘッダ15Bから流出した冷水の温度を検出する温度検出部である。本実施形態に係る第2冷水温センサS4は、一次還水ヘッダ14Bにて冷水温度を検出する。
【0050】
第3冷水温センサS5は、熱源機11から二次ポンプP2側に供給される冷水の温度検出する温度検出部である。第4冷水温センサS6は、熱源機11に戻ってくる冷水の温度検出する温度検出部である。
【0051】
制御装置20は、第3冷水温センサS5の温度が予め設定された温度範囲となるように熱源機11の稼働状態を制御する。なお、第3冷水温センサS5の温度と第4冷水温センサS6の温度との差が予め設定された範囲となるように熱源機11の稼働状態を制御してもよい。
【0052】
第1冷却水温センサS7は、冷却塔11Aから熱源機11に戻る冷却水の温度検出する温度検出部である。第2冷却水温センサS8は、熱源機11から冷却塔11Aに送られる冷却水の温度検出する温度検出部である。
【0053】
制御装置20は、第1冷却水温センサS7の温度が予め設定された温度範囲となるように冷却水ポンプ11B及び三方弁11Cを制御する。なお、第1冷却水温センサS7の温度と第2冷却水温センサS8の温度との差が予め設定された範囲となるように冷却水ポンプ11B及び三方弁11Cを制御してもよい。
【0054】
2.2 制御の概要
制御装置20は、少なくとも3つの制御モード(第1制御モード、第2制御モード及び第3制御モード)に分けて空調装置10の稼働状態、及び熱交換器12A側に循環させる冷水流量等を制御する。
【0055】
なお、各FCU12の稼働状態、つまり当該FCU12の熱交換器12A及び送風機12Bの状態は、上述したように、直接的には、各FCU12に設けられたコントローラが制御する。
【0056】
<第1制御モード>
第1制御モードは省電力運転モードの一例である。省電力運転モード、つまり第1制御モードは、第2制御モード時に空調装置10で消費する電力を余熱時電力としたとき、当該余熱時電力より小さな電力で運転可能な運転モードである。
【0057】
具体的には、制御装置20は、少なくとも各送風機12Bの稼働を許可した状態で、一次ポンプP1、二次ポンプP2、熱源機11及び冷却水ポンプ11Bを停止させる。これにより、第1制御モードでは、バルブ12Cの開度によらず熱交換器12Aに冷水が供給されないので、各FCU12では送風機能のみ実行可能となる。
【0058】
なお、「第2制御モード時に空調装置10で消費する電力」とは、第2制御モード時に空調装置10で消費する最大電力、又は第2制御モード時に空調装置10で消費する平均電力等をいう。
【0059】
<第2制御モード>
第2制御モードは「配管余熱運転モード」の一例である。配管余熱運転モード、つまり第2制御モードでは、バイパス配管13内の冷水を各熱交換器12Aに供給して当該熱交換器12Aで冷却能力を発揮させる運転モードである。
【0060】
具体的には、制御装置20は、一次ポンプP1、熱源機11及び冷却水ポンプ11Bを停止させる。これにより、第2制御モードでは、主にバイパス配管13内に滞留している冷水が二次ポンプP2を経由して各熱交換器12Aに供給される。各コントローラは、SV値に基づいて予め記憶されたプログラムに従って送風機12B及びバルブ12Cを制御する。
【0061】
<第3制御モード>
第3制御モードは通常運転モードの一例である。第2制御モード(配管余熱運転モード)時に熱交換器12Aで発揮可能な冷却能力を余熱能力としたとき、第3制御モードは、当該余熱能力より大きな冷却能力を熱交換器12Aで発揮可能な運転モードをいう。
【0062】
具体的には、制御装置20は、空調装置10の全ての機器、つまり一次ポンプP1、二次ポンプP2、熱源機11及び冷却水ポンプ11B等を稼働可能な状態とする。これにより、余熱能力より大きな冷却能力を熱交換器12Aで発揮可能となる。
【0063】
<制御モードの選択(能力増大時)>
制御装置20は、3つの制御モードのうちいずれかの制御モードを実行している場合において、発報信号が発信されたときには、先ず、FCU12の熱交換器12Aで発揮させる冷却能力を増大させる処理を実行する。
【0064】
制御装置20は、冷却能力を増大させる処理の実行後も発報信号が発信されていると判断したときには、現時の制御モードを停止し、現時の制御モードより大きな冷却能力を発揮することが可能な制御モードを実行する。
【0065】
つまり、制御装置20は、現時の制御モードが第1制御モードの場合には、第2制御モード又は第3制御モードを実行する。制御装置20は、現時の制御モードが第2制御モードの場合には、第3制御モードを実行する(図2参照)。
【0066】
例えば、第2制御モードの実行時において、発報信号が発信された場合には、制御装置20は、先ず、二次ポンプP2の吐き出し量を増大させることにより、発報信号が出力されたFCU12の熱交換器12Aで発揮させる冷却能力を増大させる処理を実行する。
【0067】
制御装置20は、(a)二次ポンプP2を稼働させる電動モータへの印加電圧周波数を大きくする処理を実行、又は(b)ポンプの稼働台数を増加させる処理を実行することにより、二次ポンプP2の吐き出し量を増大させる。
【0068】
本実施形態では、上記電動モータの回転数は、インバータにより周波数制御されている。そこで、制御装置20は、二次ポンプP2の吐き出し量を増大させる際には、先ず、印加電圧周波数を大きくする。
【0069】
二次ポンプP2を構成する各ポンプは、機器の特性上、最小回転数(最小吐き出し量)及び最大回転数(最大吐き出し量)が決まっている。そこで、制御装置20は、印加電圧周波数が最大回転数に相当する周波数を超えたときには、ポンプの稼働台数を増加させて吐き出し量を増大させる。
【0070】
そして、第2制御モードの実行時において、ポンプが稼働して二次ポンプP2の吐き出し量が最大吐き出し量まで増大した場合であっても、発報信号が発信されているときは、制御装置20は、第2制御モードを停止し、第3制御モードを実行する。
【0071】
なお、現時の制御モードが第1制御モードである場合において、発報信号が発信されたときには、制御装置20は、先ず、送風機12Bの回転数を増大させて送風量を増大させることにより、FCU12の熱交換器12Aで発揮させる冷却能力を増大させる処理を実行する。
【0072】
そして、送風機12Bの回転数が予め設定された最大回転数となったときに、制御装置20は、第1制御モードを停止して第2制御モードを実行する。なお、第2制御モードが実行可能状態でない場合には、制御装置20は、第3制御モードを実行する。
【0073】
なお、「第2制御モードが実行可能状態でない」とは、例えば、(a)管理者により第2制御モード(配管余熱運転モード)の実行が許可されていない状態、又は(b)バイパス配管13内の冷水温度(第1冷水温センサS3の検出温度)が予め設定された能力条件を満たしていない状態等をいう。
【0074】
「バイパス配管13内の冷水温度が能力条件を満たしていない状態」とは、例えば、当該冷水温度が予め設定された温度を超えている等、十分な冷却能力を熱交換器12Aで発生させることができないと推定可能な状態をいう。
【0075】
<制御モードの選択(能力減少時)>
制御装置20は、3つの制御モードのうちいずれかの制御モードを実行している場合において、発報信号が発信されていないときには、先ず、FCU12の熱交換器12Aで発揮させる冷却能力を低下させる処理を実行する。
【0076】
制御装置20は、冷却能力を低下させる処理の実行後も発報信号が発信されていない場合であって、現時の制御モードでは冷却能力を更に低下させることができないと判断したときには、現時の制御モードを停止し、現時の制御モードより小さな冷却能力を発揮することが可能な制御モードを実行する(図2参照)。
【0077】
すなわち、熱源機11は、その構造上、最小生成冷熱量より小さい冷熱を生成することができない。一次ポンプP1も二次ポンプP2と同様に最小回転数(最小吐き出し量)及び最大回転数(最大吐き出し量)が決まっている。
【0078】
そこで、制御装置20は、冷却能力を増大させる処理と同様に、二次ポンプP2の吐き出し量を調整して熱交換器12Aで発揮させる冷却能力を調整する。つまり、制御装置20は、二次ポンプP2の吐出し量を減少させることにより、冷却能力を減少させる処理を実行する。
【0079】
具体的には、制御装置20は、先ず、印加電圧周波数を小さくする。印加電圧周波数が最小回転数に相当する周波数未満となったときには、制御装置20は、ポンプの稼働台数を減少させることにより、二次ポンプP2の吐出し量を減少させる。
【0080】
例えば、第3制御モードの実行時において、発報信号が発信されていない場合には、制御装置20は、二次ポンプP2の吐き出し量を減少させることにより、熱交換器12Aで発揮させる冷却能力を低下させる。
【0081】
そして、冷却能力を低下させる処理の実行後も発報信号が発信されていない場合であって、二次ポンプP2の吐き出し量が最小吐き出し量まで低下し、制御装置20が第3制御モードでは冷却能力を更に低下させることができないと判断したときには、第3制御モードを停止し、第2制御モードを実行する。
【0082】
なお、第2制御モードを実行することができない状態である場合には、制御装置20は、第1制御モードを実行する。第2制御モードを実行することができない状態とは、「能力増大時」の場合と同じである。
【0083】
第2制御モードの実行時において、冷却能力を低下させる処理の実行後も発報信号が発信されていない場合であって、制御装置20が第2制御モードでは冷却能力を更に低下させることができないと判断したときには、制御装置20は第1制御モードを実行する。
【0084】
<制御モード選択等の判断>
制御装置20は、熱交換器12Aで発揮させる冷却能力を変更する処理を実行した後、予め設定されたルールに従って決定された時間(以下、効果待ち時間Twという。)が経過したときに、(a)発報信号が発信されているか否かの判断処理、(b)冷却能力を更に変更するか否かの判断処理、及び(c)制御モードを変更するか否かの判断処理のうちいずれかの処理を実行する。
【0085】
すなわち、制御装置20は、例えば、吐き出し量を増大させる指令信号を二次ポンプP2に向けて発信した時から効果待ち時間Twが経過したときに、(a)〜(c)のうちいずれか処理を実行する。つまり、効果待ち時間Twは、空調装置10の稼働状態を制御するための制御パラメータの一例である。
【0086】
2.3 効果待ち時間Twの決定プロセス
<決定プロセスの概要>
制御装置20は、第1FCU121から発報信号が発信されたとき、つまり第1管理条件を満たさないと判断されたときに、第1管理項目について予め設定された値(以下、第1設定値N1という。)を設定する。
【0087】
同様に、制御装置20は、第2FCU122から発報信号が発信されたとき、つまり第2管理条件を満たさないと判断されたときに、第2管理項目について予め設定された値(以下、第2設定値N2という。)を設定する。
【0088】
そして、制御装置20は、少なくとも第1設定値N1及び第2設置値N2に基づいて統計量を算出し、当該統計量を利用して予め設定されたルールに従って効果待ち時間Twを決定する。なお、統計量とは、一組の標本データに相当する第1設定値N1及び第2設定値N2に目的に応じた統計学的なアルゴリズムを適用して得られた値である。
【0089】
<決定プロセスの具体例>
本実施形態に係る制御装置20は、各FCU12毎に重み付け付けを行い、発報信号が発信されたFCU12の重みの集計値を利用して効果待ち時間Twを決定する。
【0090】
すなわち、空調装置10がn個のFCU12(FCU121、FCU122・・・FCU12n)を有し、かつ、各FCU12j(j=1・・n)の重みをWjとし、FCU12j(j=1〜k:k<n)から発報信号が発信されたとき、制御装置20は、発報信号があったFCU12の重みW1〜Wkの総和(集計値)を利用して効果待ち時間Twを決定する。
【0091】
なお、制御装置20には、集計値と効果待ち時間Twとの関係を示す関数等が予め記憶されている。空調制御を行う上で重要な箇所に設置されたFCU12iの重みWiは、その他のFCU12kの重みWkに比べて大きな値が設定されている。すなわち、重みの総和に応じて効果待ち時間Twが短く設定されているので、需要な箇所が発報しているときほど、相対的に素早く制御を対応でき得る。
【0092】
2.4 制御の詳細
<第3制御モード(図3参照)>
本実施形態に係る冷水循環システムでは、システムの始動スイッチ(図示せず。)が管理者により投入されると、制御装置20は先ず、第3制御モードを実行する。
【0093】
第3制御モードが起動されると、制御装置20は、効果待ち時間Twが経過したときに、二次往水ヘッダ15Aでの冷水温度、つまり第1冷水温センサS3の冷水温度(以下、往水ヘッダ温度という。)が予め設定された温度範囲の上限値未満であるか否かを判断する(S1)。
【0094】
制御装置20は、往水ヘッダ温度が上限値を超えていると判断したときには(S1:NO)、第3制御モードを実行し続ける(S9)。制御装置20は、往水ヘッダ温度が上限値未満であると判断したときには(S1:YES)、熱源機11で生成可能な最小冷熱量、つまり熱源機11で供給可能な最小冷却能力であるか否かを判断する(S3)。
【0095】
制御装置20は、最小冷熱量でないと判断したときには(S3:NO)、第3制御モードを実行し続ける(S9)。制御装置20は、最小冷熱量であると判断したときには(S3:YES)、発報信号が発信されているか否かを判断する(S5)。
【0096】
なお、S1の判断処理は、効果待ち時間Twが経過したときに実行され、S5の判断処理はS1の実行後に実行される。したがって、S5の実行時は効果待ち時間Twが経過したときとなる。
【0097】
制御装置20は、発報信号が発信されていると判断したときは(S5:YES)、第3制御モードを実行し続ける(S9)。この場合、制御装置20は、熱源機11で生成する冷熱を増大させて冷却能力を増大させる処理を実行する。
【0098】
なお、この処理の実行時において制御装置20は、一次ポンプP1及び冷却水ポンプ11Bの吐き出し量を必要に応じて増大させる。制御装置20は、発報信号が発信されていないと判断したときは(S5:NO)、第2制御モード(配管余熱運転モード)が実行可能状態であるか否かを判断する(S7)。
【0099】
第2制御モードが実行可能状態であるか否かの判断は、上記「制御モードの選択」で説明した手法と同一である。S7の判断処理もS5と同様に、効果待ち時間Twが経過したときの実行となる。
【0100】
制御装置20は、第2制御モードが実行可能状態であると判断したときは(S7:YES)、第2制御モードを実行する。制御装置20は、第2制御モードが実行可能状態でないと判断したときには(S7:NO)、第1制御モードが実行可能状態であるか否かを判断する(S11)。
【0101】
第1制御モードが実行可能状態であるか否かの判断は、第1制御モードの実行を許可する旨が管理者等に予め設定されているか否か等に判断される。例えば、夏場等の空調負荷が大きい場合、管理者は、通常、第1制御モードの実行を許可しない旨を設定する。
【0102】
そして、制御装置20は、第1制御モードが実行可能状態であると判断したときには(S11:YES)、第1制御モードを実行する。制御装置20は、第1制御モードが実行可能状態でないと判断したときには(S11:NO)、S1に戻り、第3制御モードを実行し続ける。なお、S11の判断処理もS5と同様に、効果待ち時間が経過したときの実行となる。
【0103】
S1に戻り、第3制御モードを実行し続ける場合は、発報信号が発信されていないので、制御装置20は、熱源機11で生成する冷却能力を減少させる処理を実行する。なお、この処理の実行時において制御装置20は、一次ポンプP1及び冷却水ポンプ11Bの吐き出し量を必要に応じてさせる。
【0104】
<第2制御モード(図4図6参照)>
制御装置20は、制御を第2制御モード用制御に移行させた後、効果待ち時間Twが経過したときに、図4に示すように、配管余熱運転モード(第2制御モード)が実行可能状態であるか否かを判断する(S21)。
【0105】
制御装置20は、配管余熱運転モードが実行可能状態でないと判断すると(S21:NO)、第3制御モードを実行する(S25)。制御装置20は、配管余熱運転モードが実行可能状態であると判断すると(S21:YES)、往水ヘッダ温度が予め設定された温度範囲の上限値未満であるか否か、つまり能力条件を満たすか否かを判断する(S23)。
【0106】
制御装置20は、往水ヘッダ温度が予め設定された温度範囲の上限値未満でないと判断すると(S23:NO)、第3制御モードを実行する(S25)。制御装置20は、往水ヘッダ温度が上限値未満であると判断すると(S23:YES)、発報信号が発信されているか否か、つまり管理項目について予め設定された管理条件を満たすか否かを判断する(S27)。
【0107】
なお、S21の判断処理は、効果待ち時間Twが経過したときに実行されるので、S23及びS27の判断処理も効果待ち時間Twが経過したときに実行されることになる。
制御装置20は、発報信号が発信されていると判断したときは(S27:YES)、二次ポンプP2を構成する複数のポンプのうち稼働中のポンプの回転数を増速させて吐き出し量を増大させる(S29)。
【0108】
そして、制御装置20は、増速させたポンプの回転数(印加電圧周波数)が予め設定された最大回転数を越えているか否かを判断する(S33)。制御装置20は、ポンプの回転数が最大回転数を越えていないと判断したときには(S33:NO)、効果待ち時間が経過したときに(S31)、S21を実行する。
【0109】
制御装置20は、ポンプの回転数が最大回転数を越えていると判断したときには(S33:YES)、図5に示すように、停止中のポンプを稼働させて二次ポンプP2を増段させる(S41)。
【0110】
次に、制御装置20は、稼働中の各ポンプの回転数(印加電圧周波数)を予め設定された調整用回転数(調整用周波数)とした後(S47)、稼働ポンプの台数が予め設定された最大台数以上であるか否かを判断する(S45)。
【0111】
調整用回転数とは、増段後の稼働ポンプ台数に応じて予め設定された回転数である。本実施形態では、増段後の稼働ポンプ台数が多くなるほど、調整用回転数が小さくなるように設定されている。なお、S47で用いられる調整用回転数は、増段前の回転数より小さい回転数となる。
【0112】
制御装置20は、稼働ポンプの台数が最大台数以上であると判断したときは(S45:YES)、第3制御モードを実行する。制御装置20は、稼働ポンプの台数が最大台数以上でないと判断したときは(S45:NO)、効果待ち時間が経過したときに(S43)、S21を実行する。
【0113】
また、制御装置20は、S27にて発報信号が発信されていないと判断したときは(S27:NO)、図4に示すように、二次ポンプP2を構成する複数のポンプのうち稼働中のポンプの回転数を減速させて吐き出し量を減少させる(S35)。
【0114】
そして、制御装置20は、減速させたポンプの回転数(印加電圧周波数)が予め設定された最小回転数未満であるか否かを判断する(S39)。制御装置20は、ポンプの回転数が最小回転数未満でないと判断したときには(S39:NO)、効果待ち時間が経過したときに(S37)、S21を実行する。
【0115】
制御装置20は、ポンプの回転数が最小回転数未満であると判断したときには(S39:YES)、図6に示すように、稼働中のポンプを停止させて二次ポンプP2を減段させる(S51)。
【0116】
次に、制御装置20は、稼働中の各ポンプの回転数(印加電圧周波数)を予め設定された調整用回転数(調整用周波数)とした後(S59)、稼働ポンプの台数が予め設定された最小台数以下であるか否かを判断する(S55)。
【0117】
調整用回転数とは、減段後の稼働ポンプ台数に応じて予め設定された回転数である。本実施形態では、減段後の稼働ポンプ台数が少なくなるほど、調整用回転数が大きくなるように設定されている。なお、S59で用いられる調整用回転数は、減段前の回転数より大きい回転数となる。
【0118】
制御装置20は、稼働ポンプの台数が最小台数以下であると判断したときは(S55:YES)、第1制御モードが実行可能状態であるか否かを判断する(S57)。制御装置20は、第1制御モードが実行可能状態であると判断したきは(S57:YES)、第1制御モードを実行する。
【0119】
制御装置20は、第1制御モードが実行可能状態でないと判断したときは(S57:NO)、効果待ち時間が経過したときに(S53)、S21を実行する。制御装置20は、稼働ポンプの台数が最小台数以上でないと判断したときは(S55:NO)、効果待ち時間が経過したときに(S53)、S21を実行する。
【0120】
<第1制御モード(図7参照)>
制御装置20は、制御を第1制御モード用制御に移行させると、効果待ち時間が経過したときに、発報信号が発信されているか否かを判断する(S61)。制御装置20は、発報信号が発信されていないと判断したときには(S61:NO)、再び、S61を実行する。
【0121】
制御装置20は、発報信号が発信されていると判断したときには(S61:YES)、往水ヘッダ温度が予め設定された温度範囲の上限値未満であるか否かを判断する(S65)。制御装置20は、往水ヘッダ温度が上限値未満でないと判断したときは(S65:NO)、第3制御モードを実行する。
【0122】
制御装置20は、往水ヘッダ温度が上限値未満であると判断したときは(S65:YES)、第2制御モード(配管余熱運転モード)が実行可能状態であるか否かを判断する(S63)。
【0123】
制御装置20は、第2制御モードが実行可能状態であると判断したときには(S63:YES)、第2制御モード(配管余熱運転モード)を実行する。制御装置20は、第2制御モードが実行可能状態でないと判断したときには(S63:NO)、第3制御モードを実行する。
【0124】
3.本実施形態に係る冷水循環システムの特徴
例えば、第1管理項目が第2管理項目より重要である場合に、第1設定値N1を第2設定値N2より大きくする、つまり第1管理項目の重みW1を第2管理項目の重みW2より大きくすることにより、第1管理項目が第2管理項目より反映された制御を実行することが可能となる。
【0125】
したがって、「各管理項目に対して重み付けを行う」といった簡便な手法にて、各熱交換器12Aで発揮させる冷却能力を適切に制御可能な冷水循環システムを得ることができ得る。延いては、重要度の小さい箇所(以下、小重要箇所という。)であっても、多数の小重要箇所で発報があった場合には、その発報に対応した制御を迅速に実行することが可能となる。
【0126】
本実施形態に係る制御装置20は、(a)発報信号が発信されているか否か、つまり管理項目について管理条件を満たすか否かを判断し(S27)、かつ、(b)バイパス配管13内の冷水温度が予め設定された温度範囲の上限値未満であるか否か、つまり第1冷水温センサS3の検出温度が能力条件を満たしているか否かを判断する。
【0127】
そして、制御装置20は、少なくとも管理条件及び能力条件を満たしているときに、配管余熱運転モードにて空調装置10を稼働させる余熱運転処理を実行する。したがって、より省電力化が可能な冷水循環システムを提供できる。
【0128】
すなわち、「配管余熱運転モード」は、バイパス配管13内の冷水を熱交換器12Aに供給して当該熱交換器12Aで冷却能力を発揮させる運転モードである。このため、バイパス配管13に存在する冷水及び当該バイパス配管13等に蓄熱された冷熱等、つまり配管余熱を利用した空調が実行可能である。
【0129】
このとき、仮に、配管余熱が空調を行うに十分な状態でない場合、つまり能力条件を満たしていない状態で配管余熱運転モードを実行すると、十分な冷却能力を発揮させることができず、管理条件を満たす空調能力を提供できないおそれがある。
【0130】
これに対して、本実施形態では、少なくとも管理条件及び能力条件を満たしているときに、配管余熱運転モードにて空調装置10を稼働させるので、より省電力化を図りながら、確実に室内の空調を行うことが可能となる。
【0131】
すなわち、制御装置20は、熱源機11を停止させた状態で配管余熱運転モードを実行させることが望ましい。これにより、更なる省電力化を図ることが可能となる。
制御装置20は、管理条件を満たさない、つまり発報信号が発信されていると判断されたときに、配管余熱運転モード(第2制御モード)にて管理条件を満たす冷却能力を熱交換器12Aにて発揮可能であるか否か、つまり往水ヘッダ温度が上限値未満であるか否かを判断する。
【0132】
そして、制御装置20は、管理条件を満たすと判断し、かつ、往水ヘッダ温度が上限値未満でないと判断したときに、通常運転モード(第3制御モード)にて空調装置10を稼働させる通常運転処理を実行可能である。これにより、不必要なとき通常運転モードが実行されることを抑制できるので、効果的に省電力化を図ることができる。
【0133】
制御装置20は、管理条件を満たすと判断されたときに、配管余熱運転モード(第2制御モード)にて熱交換器12Aで発揮させる冷却能力を更に低下させることが可能であるか否かを判断する。
【0134】
そして、制御装置20は、管理条件を満たすと判断し、かつ、冷却能力を更に低下させることができないと判断したときに、省電力運転モード(第1制御モード)にて空調装置10を稼働させる省電力運転処理を実行する。これにより、二次ポンプP2の稼働を抑制できるので、効果的に省電力化を図ることができる。
【0135】
制御装置20は、省電力運転モードとして、熱交換器12Aへの冷水供給を停止させた状態で送風機12Bを稼働させる運転モードを実行可能である。これにより、効果的に省電力化を図ることができる。
【0136】
制御装置20は、熱交換器12Aで発揮させる冷却能力を変更する処理を実行した後、効果待ち時間Twが経過したときに、管理条件を満たすか否かの判断処理を実行する。これにり、ハンチング等の発生を抑制して適切なタイミングで第2制御モードへ移行でき得る。
【0137】
制御装置20は、熱交換器12Aで発揮させる冷却能力を変更する処理を実行した後、効果待ち時間Twが経過したときに、冷却能力を更に変更するか否かの処理、及び制御モードを変更するか否かを判断する。ハンチング等の発生を抑制して適切なタイミングで制御モードの移行等を実行できる。
【0138】
制御装置20は、配管余熱運転モード時には、一次ポンプP1を停止させた状態で二次ポンプP2を稼働させる。これにより、配管余熱運転モードを実現するために、別途、バルブを追加する等の追加工事を必要としない。このため、既存の冷水循環システムにも容易に本実施形態を適用することができる。
【0139】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、制御装置20は、各FCU12毎に重み付け付けを行い、発報信号が発信されたFCU12の重みの集計値を利用して効果待ち時間Twを決定する。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、他の統計的手法にて統計量を算出し、当該統計量から効果待ち時間Tw等の制御パラメータを決定してもよい。
【0140】
上述の実施形態では、二次ポンプP2を構成する各ポンプの回転数を変更することにより二次ポンプP2の吐き出し量を制御し、当該ポンプの回転数が最小回転数又は最大回転数となったときに、稼働ポンプの台数を増減した。
【0141】
しかし、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、例えば、各ポンプの回転数を変更する制御処理を廃止し、稼働ポンプの台数を増減変更することにより、二次ポンプP2の吐き出し量を制御してもよい。
【0142】
上述の実施形態では、制御モードを3つの制御モード(第1制御モード〜第3制御モード)に分けて冷水循環システムを制御した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、例えば、4つ以上の制御モードに分けて冷水循環システムを制御してもよい。
【0143】
例えば、送風機12Bも含めて全ての機器(第1冷水温センサS3等のセンサは除く。)を停止させる第4制御モードを設け、第1制御モード時において、発報信号が発信されていないときに、第4制御モードを実行してもよい。
【0144】
上述の実施形態では、管理項目の具体的な種類及びその内容、並びに効果待ち時間Tw等は、管理者が予め設定した固定値であった。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、例えば、管理項目の具体的内容等を制御装置20が自動的に変更してもよい。
【0145】
自動変更する処理は、例えば、(a)制御装置20内のカレンダー情報や外気温度等により、制御装置20が季節を判断し、当該季節に応じて管理項目の具体的内容(数値等)を変更する処理、(b)制御装置20内の時計情報を利用して時刻に応じて管理項目の具体的内容(数値等)を変更する処理等である。
【0146】
上述の実施形態では、各FCU12の重みWjは、管理者が予め設定した固定値であった。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、例えば、重みWjの具体的値を制御装置20が自動的に変更してもよい。なお、管理者が季節毎に手動操作にて各FCU12の重みWjを変更してもよい。
【0147】
上述の実施形態では、FCU12に設けられたコントローラが発報信号を発信するか否かを判断した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、制御装置20が直接的に発報信号を発信する条件を満たしているか否かを判断してもよい。なお、FCU12は、空気調和機(AHU)又は外気調和機(OHU)にて構成されたものであってもよい。
【0148】
上述の実施形態では、効果待ち時間Tw、管理条件及び能力条件等が予め設定された固定値又は制御装置20が季節等に応じて自動的に設定していた。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、例えば、季節毎に管理者が手動操作にて管理条件及び能力条件等を設定変更してもよい。
【0149】
上述の実施形態では、熱源機11を停止させた状態で配管余熱運転モード(第2制御モード)を実行した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、例えば、熱源機11を停止させることなく、配管余熱運転モードを実行してもよい。このとき、熱源機11は、最小出力で稼働さることが望ましい。
【0150】
上述の実施形態では、一次ポンプP1を停止させた状態で配管余熱運転モード(第2制御モード)を実行した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、例えば、三方弁等の流路切替弁を設け、一次ポンプP1を稼働させた状態で配管余熱運転モードを実行してもよい。
【0151】
上述の実施形態では、効果待ち時間Tw等は、制御モードによらず同一の値であった。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、例えば、制御モードに応じて効果待ち時間Tw等を自動変更してもよい。
【0152】
上述の実施形態では、電動モータへの印加電圧周波数を変更することにより、ポンプの回転数、つまり吐き出し量を制御した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、例えば、電動モータへの印加電圧を変更して吐き出し量を制御してもよい。
【0153】
上述の実施形態に係る冷水循環システムでは、システムの始動スイッチが管理者により投入されると、制御装置20は先ず、第3制御モードを実行した。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、システムの始動スイッチが管理者により投入されると、制御装置20は先ず、第1制御モードを実行してもよい。
【0154】
上述の実施形態では、冷水循環システム用プログラムが冷水循環システムの不揮発性記憶部に予め記憶されたものであった。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、例えば、冷水循環システム用プログラムが記録された媒体を介して既存の冷水循環システム当該プログラムをインストールしてもよい。
【0155】
本願発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。つまり、上述の実施形態では、制御パラメータとして「効果待ち時間Tw」を例に本願発明を説明したが、本発明の適用はこれに限定されるものではない。
【0156】
さらに、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態を組み合わせてもよい。また、上述の実施形態は、暖房装置等の温熱を加熱対象に供給する熱媒体循環システムにも適用できる。
【符号の説明】
【0157】
10… 空調装置 11… 熱源機 11A… 冷却塔 11B… 冷却水ポンプ
11C… 三方弁 12…FCU(ファンコイルユニット)
12A… 熱交換器 12B… 送風機 12C… バルブ 13… バイパス配管
14A… 一次往水ヘッダ 14B… 一次還水ヘッダ 15B… 二次還水ヘッダ
15A… 二次往水ヘッダ 20… 制御装置 P1… 一次ポンプ
P2… 二次ポンプ S1… 温度センサ S3… 第1冷水温センサ
S4… 第2冷水温センサ S5… 第3冷水温センサ S6… 第4冷水温センサ
S7… 第1冷却水温センサ S8… 第2冷却水温センサ
図1
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図7