(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6976683
(24)【登録日】2021年11月12日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】磁気抵抗センサを利用した小型リードスクリューポンプ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A61M 5/142 20060101AFI20211125BHJP
A61M 5/168 20060101ALI20211125BHJP
A61M 5/172 20060101ALI20211125BHJP
F04B 13/00 20060101ALI20211125BHJP
【FI】
A61M5/142 506
A61M5/168 500
A61M5/172 500
F04B13/00 C
【請求項の数】15
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-562589(P2016-562589)
(86)(22)【出願日】2015年4月13日
(65)【公表番号】特表2017-519532(P2017-519532A)
(43)【公表日】2017年7月20日
(86)【国際出願番号】CN2015076428
(87)【国際公開番号】WO2015158230
(87)【国際公開日】20151022
【審査請求日】2017年11月10日
【審判番号】不服2020-9025(P2020-9025/J1)
【審判請求日】2020年6月29日
(31)【優先権主張番号】201410146550.4
(32)【優先日】2014年4月14日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514116947
【氏名又は名称】江▲蘇▼多▲維▼科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】MULTIDIMENSION TECHNOLOGY CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100166372
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 博明
(72)【発明者】
【氏名】ジェームス ゲザ ディーク
(72)【発明者】
【氏名】ジン ユーチン
【合議体】
【審判長】
村上 聡
【審判官】
栗山 卓也
【審判官】
井上 哲男
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2002/0043951(US,A1)
【文献】
特表2007−516415(JP,A)
【文献】
特表2014−507001(JP,A)
【文献】
特開2012−34729(JP,A)
【文献】
特開平6−190037(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0281965(US,A1)
【文献】
特表2009−502288(JP,A)
【文献】
特開2009−291323(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M5/142
A61M5/168
A61M5/172
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リードスクリューを駆動するモータと、前記リードスクリューに接続される駆動ヘッドとを備え、前記リードスクリューは、そのネジ山の方向に対して相補的な方向のネジ山を有するナット内で回転することによって、リザーバ内を移動するスリーブを押すために駆動ヘッドを駆動する、ポンプボックス内に取り付けられている医療用の小型リードスクリューポンプであって、
前記リードスクリューと同軸で回転する少なくとも1つの永久磁石と、
前記少なくとも1つの永久磁石によって生成される磁場をセンシングが可能である磁気抵抗角度センサと、
前記磁気抵抗角度センサの信号を受信し、かつ、前記磁気抵抗角度センサの信号に従って前記リードスクリューの回転方向及び回転速度を制御するためにフィードバックを用いるマイクロ制御ユニット(以下、「MCU」と称する)と、を備え、
前記MCUは、モータ制御部を介して、前記モータの回転方向と回転速度とを制御し、
前記MCUは、磁気抵抗センサ情報管理ユニットを備え、前記磁気抵抗センサ情報管理ユニットは、前記モータの角度を監視するモータ角度計数ユニットと、前記リードスクリューのリニアな移動位置を算出するリードスクリュー位置ユニット及び/又は前記リザーバにおけるスリーブの位置を算出するスリーブ位置ユニットと、前記リザーバ内の溶液の容量を算出する溶液容量ユニットと、前記リードスクリューの回転速度を前記リザーバの注入速度に変換する流速ユニットとを備え、
前記駆動ヘッドは、相異なる直径を有する複数種類の投入器のいずれについてもそのスリーブを保持可能である一対のリザーバークリップを有し、
前記ポンプボックスは、相異なる直径を有する複数種類の投入器のいずれについてもそのリザーバを固定可能である一対のシリンジクリップが設けられている、小型リードスクリューポンプ。
【請求項2】
前記磁気抵抗角度センサは、2軸の回転磁気センサ、2つの直交1軸磁気角度センサ、及び、1軸又は2軸のリニア磁気センサの1つである、請求項1記載の小型リードスクリューポンプ。
【請求項3】
前記磁気抵抗角度センサは、異方性磁気抵抗(以下、「AMR」と称する)、巨大磁気抵抗(以下、「GMR」と称する)、又は、トンネル磁気抵抗(以下、「TMR」と称する)センサである、請求項1記載の小型リードスクリューポンプ。
【請求項4】
前記永久磁石の中心軸と前記リードスクリューの中心軸とが、前記磁気抵抗角度センサの中心を通る、請求項1記載の小型リードスクリューポンプ。
【請求項5】
前記少なくとも1つの永久磁石は、一体の永久磁石又は分割タイプの永久磁石であり、円盤状、リング状又は角状である、請求項1から4のいずれか一項に記載の小型リードスクリューポンプ。
【請求項6】
前記少なくとも1つの永久磁石は2つの永久磁石であり、前記永久磁石の各々は複数の異なる磁極を有し、かつ、前記2つの永久磁石はそれぞれリードスクリューの両端に設置される、又は、一連のものとしてリードスクリューの同端に配置される、請求項1から4のいずれか一項に記載の小型リードスクリューポンプ。
【請求項7】
前記MCUは、ワイヤード及び/又はワイヤレスのデータ通信機能を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の小型リードスクリューポンプ。
【請求項8】
前記MCUは、それに接続されている連続グルコース監視器(以下、「CGM」と称する。)によって送信される信号を受信し、かつ、前記MCUにプリセットされたCGMルックアップテーブルに従って実際に要求される注入速度を算出する、請求項1記載の小型リードスクリューポンプ。
【請求項9】
前記小型リードスクリューポンプは、前記小型リードスクリューポンプの注入速度と前記実際に要求される注入速度とを比較する比較ユニットを備え、前記MCUは、前記比較ユニットの比較データのフィードバックに従って前記リードスクリューの速度を調整する、請求項8記載の小型リードスクリューポンプ。
【請求項10】
前記モータは、直流(DC)モータ又はステッパモータである、請求項1記載の小型リードスクリューポンプ。
【請求項11】
前記モータ及び前記リードスクリューに接続されている転送デバイスを備える、請求項1記載の小型リードスクリューポンプ。
【請求項12】
滑り面又はガイドロッドを備え、前記滑り面又は前記ガイドロッドは、前記リードスクリューに対して平行であり、前記駆動ヘッドは、前記滑り面内を滑る又は前記ガイドロッドに沿って滑る、請求項1記載の小型リードスクリューポンプ。
【請求項13】
前記リードスクリューに設置されるアンチバックラッシュデバイスを備える、請求項1記載の小型リードスクリューポンプ。
【請求項14】
請求項1記載の小型リードスクリューポンプの製造方法であって、
時計回り又は反時計回りに回転するリードスクリューと、前記リードスクリューに接続される駆動ヘッドとを備えることによって、リザーバ内を移動するスリーブを押すために駆動ヘッドを駆動し、
前記リードスクリューと同軸で回転可能なように前記リードスクリューに少なくとも1つの永久磁石を取り付け、かつ、前記少なくとも1つの永久磁石によって生成される磁場をセンシング可能な位置であって前記ポンプボックス内に磁気抵抗角度センサを取り付け、
前記磁気抵抗角度センサの信号に従って前記リードスクリューの回転方向と回転速度とを制御するためにフィードバックを用いるMCUを前記ポンプボックス内外のいずれかに取り付ける小型リードスクリューポンプの製造方法。
【請求項15】
前記磁気抵抗角度センサは、AMR、GMR、又は、TMRセンサである、請求項14記載の小型リードスクリューポンプの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メディカルデバイスに関し、特に、インシュリンポンプを駆動する小型リードスクリューポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病患者が国際的に増加するにつれて、インシュリンポンプの需要も増加している。インシュリンポンプは、食事後の高血糖を正常にするために糖尿病患者の要求に従って、一定の割合で少量又は多量のインシュリンを投入する必要がある。インシュリンポンプは、糖尿病患者の定量分布図に従ってインシュリンを投入することができるので、糖尿病患者の血液中の血糖濃度は、同じレベルに保持され、糖尿病患者の臓器は、低血圧に保たれる。したがって、インシュリンポンプは、糖尿病患者の様々な要求に合うように、連続的に少量(約0.1Cm
3/日〜1.0Cm
3/日)のインシュリンを投入可能とすべきであり、かつ、広範囲の投入速度(すなわち、定量の速度かつ多量の速度)に調整可能とすべきである。結果として、市場において適用可能な多くのインシュリンポンプは、小型リードスクリューポンプとなり、小型リードスクリューポンプは、スリーブを駆動してリザーバ内で移動させ、リザーバ内のインシュリンを糖尿病患者の体内に投入する。リードスクリューを回転させるモータは、回転速度を正確に制御できるステッパモータとすることができる。一方で、ステッパモータを用いると、インシュリンポンプの価格が高くなり、このタイプのインシュリンポンプの価格が5000ドルになる場合があるため、糖尿病患者による使用は非常に限定される。他方、注入速度を制御するステッパモータの精度は、位相数及びビート数に依存しており、位相数及びビート数が多いほど、高精度となる。ステッパモータが低速で回転する場合には、低周波振動が簡単に発生する。ステップ損失又はロックロータは、過度の起動周波数又は過度の負荷で簡単に発生し、回転速度が高すぎると、モータが停止した場合に、オーバーシュートが発生する可能性がある。本発明は、インシュリンポンプの価格を低減させるために、ステッパモータに代えて、磁気抵抗角度センサとDCモータとを用いることによってインシュリンポンプのコストを低減するとともに、インシュリンポンプの性能を改善させる。
【発明の開示】
【0003】
本発明は、ステッパモータを用いて注入速度を制御する手法に代えて、マイクロ制御ユニット(MCU)とともに、磁気抵抗角度センサと連続グルコース監視器(CGM)とを用いることによって、注入速度を制御するフィードバックを用いて、インシュリンポンプを駆動する小型リードスクリューに関する。本発明は、ステッパモータに代えて他のモータを用いることができ、また、ステッパモータを用いてもよく、インシュリン又は他の液体の注入速度の精度と信頼性とを改善させることができる。
【0004】
リードスクリューを駆動するモータと、前記リードスクリューに接続される駆動ヘッドとを備え、前記リードスクリューは、そのネジ山の方向に対して逆方向のネジ山を有するナット内で回転することによって、リザーバ内を移動するスリーブを押すために駆動ヘッドを駆動する、ポンプボックス内に取り付けられている小型リードスクリューポンプであって、
前記リードスクリューと同軸で回転する少なくとも1つの永久磁石と、
前記少なくとも1つの永久磁石によって生成される磁場のセンシングが可能であり、前記少なくとも1つの永久磁石によって生成される磁場の一方向の飽和領域内に設置される磁気抵抗角度センサと、
前記磁気抵抗角度センサの信号を受信し、かつ、前記磁気抵抗角度センサの信号に従って前記リードスクリューの回転方向及び回転速度を制御するためにフィードバックを用いるMCUと、を備える。
【0005】
好ましくは、前記磁気抵抗角度センサは、2軸の磁気角度センサ、2つの直交1軸磁気角度センサ、又は、1軸若しくは2軸のリニア磁気センサである。
【0006】
好ましくは、前記磁気抵抗角度センサは、ARM、GMR、又は、TMRセンサである。
【0007】
好ましくは、前記永久磁石の中心軸と前記リードスクリューの中心軸とが、前記磁気抵抗角度センサの中心を通る。
【0008】
好ましくは、前記少なくとも1つの永久磁石は、一体の永久磁石又は分割タイプの永久磁石であり、円盤状、リング状又は角状である。
【0009】
好ましくは、前記少なくとも1つの永久磁石は2つの永久磁石であり、前記永久磁石の各々は複数の異なる磁極を有し、かつ、2つの永久磁石はそれぞれ前記リードスクリューの両端に設置される、又は、一連のものとして前記リードスクリューと同端に配置される。
【0010】
好ましくは、前記MCUは、モータ制御部を介して、前記モータの回転方向と回転速度とを制御する。
【0011】
好ましくは、前記MCUは、磁気抵抗センサ情報管理ユニットを備え、前記磁気抵抗センサ情報管理ユニットは、前記モータの角度を監視するモータ角度計数ユニットと、前記リードスクリューのリニアな移動位置を算出するリードスクリュー位置ユニット及び/又は前記リザーバにおけるスリーブの位置を算出するスリーブ位置ユニットと、前記リザーバ内の溶液の容量を算出する溶液容量ユニットと、前記リードスクリューの回転速度を前記リザーバの注入速度に変換する流速ユニットとを備える。
【0012】
好ましくは、前記MCUは、ワイヤード及び/又はワイヤレスのデータ通信機能を有する。
【0013】
好ましくは、前記MCUは、それに接続されているCGMによって送信される信号を受信し、かつ、前記MCUにプリセットされたCGMルックアップテーブルに従って実際に要求される注入速度を算出する。
【0014】
好ましくは、前記小型リードスクリューポンプは、前記小型リードスクリューポンプの注入速度と前記実際に要求される注入速度とを比較する比較ユニットを備え、前記MCUは、前記比較ユニットの比較データのフィードバックに従って前記リードスクリューの回転速度を調整する。
【0015】
好ましくは、前記モータは、DCモータ又はステッパモータである。
【0016】
好ましくは、前記モータ及びリードスクリューに接続されている転送デバイスを含む。
【0017】
好ましくは、滑り面又はガイドロッドを含み、前記滑り面又は前記ガイドロッドは、前記リードスクリューに対して平行であり、前記駆動ヘッドは、前記滑り面内を滑る又は前記ガイドロッドに沿って滑る。
【0018】
好ましくは、前記リードスクリューに設置されるアンチバックラッシュデバイスを含む。
【0019】
上記の小型リードスクリューポンプの製造方法であって、時計回り又は反時計回りに回転するリードスクリューと、前記リードスクリューに接続される駆動ヘッドとを備えることによって、リザーバ内を移動するスレーブを押すように駆動ヘッドを駆動し、
前記リードスクリューと同軸で回転可能なように前記リードスクリューに少なくとも1つの永久磁石を取り付け、かつ、前記少なくとも1つの永久磁石によって生成される磁場の一方向の飽和領域内の位置に磁気抵抗角度センサを取り付け、
前記磁気抵抗角度センサの信号に従って前記リードスクリューの回転方向と回転速度とを制御するためにフィードバックを用いるMCUを取り付ける。
【0020】
好ましくは、前記磁気抵抗角度センサは、AMR、GMR、又は、TMRセンサである。
【0021】
本発明によれば、高価なステッパモータに代えて、一般的なDCモータが用いることによって、インシュリンポンプのコストを低減している。さらに、低電力消費の磁気抵抗角度センサの応用は、インシュリンポンプの電力消費を低減することもできるし、充電の頻度を低減することもできる。これは、一般的に電池を電力とするインシュリンポンプについての重要な改善であり、これによって使用が容易となる。結論として、本発明のインシュリンポンプは、高感度、高信頼性、低電力消費、低コスト、使いやすさなどのいくつかの利点を有している。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図4】磁気抵抗センサ情報管理ユニットの原理図である。
【0023】
上記説明は、単に、本発明の技術的な解決法をまとめたものである。より明確に本発明の技術的手段について説明し、かつ、本明細書の内容に従って本発明を実施するために、本発明は、本実施形態及び添付の図面を参照しながら以下に詳細に説明されるであろう。本発明の具体的な実装は、以下の実施形態によって詳細に提供される。
【0024】
図1は、小型リードスクリューポンプ又はインシュリンポンプ2の概略上面図である。このポンプは、モータ52と、リードスクリュー22と、モータ52により駆動される駆動ヘッド18とを備え、ポンプボックス15内に取り付けられている。ポンプボックス15は、ボックスカバー35を有している。リザーバ4は、その中で移動可能なスリーブ8を有している。ロックコネクター3(ルアーロック)は、リザーバ4と注入チューブのコネクタ5とに接続されている。注入チューブのコネクタ5は、患者の身体にインシュリンを注入するためのホースに接続されている。
【0025】
モータ52に接続されているリードスクリュー22の一端は前方ベース16Aに回転可能に固定され、他端は後方ベース16Bに回転可能に固定されている。駆動ヘッド18を駆動するために、リードスクリュー22は、リンケージロッド61を介して駆動ヘッド18に接続されており、その回転が駆動ヘッド18の並進移動に変換され、リードスクリュー22の外ネジに一致する内ネジを有するナット7内で回転される。ナット7は、ポンプボックス15に固定されている。1以上の減速ギア13及びギア31を含み、回転速度を変化させることが可能な機械的伝動デバイスを通じて、モータ52は、ナット7内を時計回り又は反時計回りに回転するように、リードスクリュー22を駆動する。したがって、リードスクリュー22は、滑り面17に対して平行な方向に沿ってリニアに前後に移動するように駆動ヘッド18を駆動する。滑り面17は、駆動ヘッド18がそこを滑ることが可能な溝であり、かつ、リードスクリュー22に対して平行である。コスト削減のために、ギア31及び減速ギア13に代えて、モータ52、ギア31及び減速ギア13の間でプーリ及び伝動ベルトを用いてもよい。アンチバックラッシュデバイス19は、バックラッシュを防止するために、リードスクリュー22に取り付けられている。
【0026】
滑り面17は用いなくてもよいが、ガイドロッドは安定化及び案内のために用い、かつ、ガイドロッドは、リードスクリュー22に対して平行である。安定化のため、ガイドロッドの数は、1つ以上とするとよい。
【0027】
モータ52は、DCモータ、ACモータ、ステッパモータ、サーボモータなどとすればよい。
【0028】
さらに、小型リードスクリューポンプは、磁気抵抗角度センサ28と、リードスクリュー22に対して同軸で回転する少なくとも1つの永久磁石30とを備え、磁気抵抗角度センサ28は、静的であり、かつ、永久磁石30によって生成される磁場をセンスすることができる。
【0029】
駆動ヘッド18は、スリーブ8を保持するために、同じ投入器の中心軸又は別の投入器の中心軸に対して異なる直径のリザーバ4を固定可能な一対のリザーバークリップ14を有する。したがって、リードスクリュー22がナット7内を回転する場合に、駆動ヘッド18は、滑り面17の方向に沿ってリニアに移動し、それにより、リザーバ4内に移動するようにスリーブ8を押す。ポンプボックス15は、一対のシリンジクリップ12が設けられており、同じ投入器の中心軸又は異なる投入器の中心軸に対して異なる直径のリザーバ4に固定することができる。
【0030】
図2Aは、磁気抵抗角度センサ28と永久磁石30との間の位置関係の模式的な断面図であり、
図2B〜
図2Dは、永久磁石30の磁化方向の模式図である。リードスクリュー22は、XY平面に直交していて、永久磁石30の中心を通り、かつ、永久磁石30と同軸であるZ軸方向の長軸100を有する。永久磁石30の中心軸及び磁気抵抗角度センサ28の中心軸は、磁気抵抗角度センサ28の中心を通る。磁気抵抗角度センサ28は、2軸の磁気角度センサ、2つの直交回転センサであり、1軸リニアセンサ又は2軸リニア磁気センサとすることもできる。磁気抵抗角度センサ28は、AMR、GMR又はTMRセンサである。
図2B、
図2C及び
図2Dは、本発明に適用可能な永久磁石の一部を示している。永久磁石30は、円盤状、リング状又角状であり、かつ、一体の永久磁石又は分割型の永久磁石である。永久磁石30は、2つの磁石を備えていてもよく、各永久磁石は、異なる数の複数の磁極を有する。XY平面の磁気抵抗角度センサ28の表面エリアは、XY平面の永久磁石30のカバレッジエリアよりも小さい。永久磁石30は、直径方向又は対角線方向に磁化され、その磁化方向は、Z軸方向又はリードスクリュー22の長軸方向に対して直交している。円盤状又はリング状の永久磁石は直径方向に磁化され、角状の永久磁石は対角線方向に沿って磁化される。永久磁石30は、モータ52から離れたリードスクリュー22の一端に設置されているが、モータ52と同じ端部に設置されてもよい。永久磁石30が2つの磁石を備える場合、2つの永久磁石は、それぞれ、リードスクリュー22の両端に設置され、又は、一連のものとしてリードスクリュー22の同じ端部に配置される。永久磁石30は、磁気抵抗角度センサ28の近くに又はこれから離して設置することができる。2つの永久磁石が一連のものとしてリードスクリュー22の同じ端部に配置されている場合は、磁気抵抗角度センサ28は、リードスクリューの近く又はこれから離して設置してもよい。磁気抵抗角度センサ28は、永久磁石30の磁場の一方向の飽和領域内に設置される。
【0031】
図3は、MCU50の制御原理図である。インシュリンポンプ2は、磁気抵抗角度センサ28からの信号を受信するMCU50を備え、これに接続されているモータ制御器/モータ制御ユニット48を通じて、モータ52の回転方向及び回転速度を制御する。さらに、MCU50は、操作用キーボード56、ディスプレイ60及びバッテリ64に接続されている。ディスプレイ60及びキーボード56は、ボックスカバー35に設置されている。
【0032】
さらに、モータ制御器48は、磁気抵抗角度センサ28の出力信号を監視するために用いられ、プリセットされたスリーブの位置及び注入速度が検出された場合に、モータ制御器48は、それに接続された警報器54を作動することができる。
【0033】
MCU50は、インシュリンポンプ2のユーザが知得すべき情報をディスプレイ60に表示する。また、ユーザは、MCU50に接続されているキーボード56を用いることによって、インシュリンポンプ2との間の通信が可能となる。MCU50は、力センサ51に接続され、力センサ51は、リザーバ4に印加される力を検知し、力がプリセット値を超えた場合に、力センサ51は、モータ制御器48を通じて警報器54を作動することができる。力センサ51の典型的な設計は、入力を増幅するためにアナログ/デジタル変換(ADC)及び差動プログラマブル・ゲインを用いる、又は、増幅用の信号調整を行うためにADC及び外付け差動機器を用いるブリッジ構造である。
【0034】
バッテリ64は、電気機器及びモータ52によって必要とされる電力を提供する。電力表示は、単純なバッテリ電圧又は温度センサ27に依存する。読み取られた電圧又は温度は、ADC23でデジタル化される。MCU50は、デジタル化されたデータを受信し、そのデータを処理し、予め記憶されたルックアップテーブルを用いることによって、残りの電力を測定することができる。この電力は、ディスプレイ60上に表示される。この電力が低すぎる場合には、警報器54は、アラームを送信することができる。
【0035】
バッテリ64に接続されている電力管理ユニット66は、電力供給がターンオフされた場合、又は、インシュリンポンプ2が使用されていない場合には、低電力消費状態にバッテリを切り替える。
【0036】
マルチ電圧システムにおける電源投入リセット信号を生成する最も簡単な方法は、ロジック電源を監視することである。電源投入中に、ロジック電圧が、その閾値を超えて上昇すると、電源管理ユニット66に接続されているマルチ電圧監視リセットウォッチドッグ59は、リセットステージを起動して、引き続き、MCU50が確実に起動するようにしている。マルチ電圧監視リセットウォッチドッグ59は、ホストの電源電圧が指定された仕様の範囲内である限り、起こり得る短時間の電力供給問題又は停電について、いかなる検知も継続する。市場で入手可能な既存のマルチ電圧監視リセットウォッチドッグ59は、2つ、3つ又は4つの電力供給電圧を監視することができる。
【0037】
ユーザが情報を入力する場合には、視覚的信号又は聴覚的信号が提供されるべきである。ディスプレイ60は、インシュリンの量及び注入速度と、残りの電力と、時間及び日付と、プロンプトと、システムアラーム(つまり、インシュリンが遮断されたこと、又は、残りが少ないこと)とを提供する。また、ディスプレイ60は、電源投入中のセルフテストに関する情報を提供することができる。音声プレーヤ33は、セルフテスト機能を有するべきであり、このセルフテスト機能は、音が適切なレベルであるかどうかを測定するために、マイクロスピーカのインピーダンスを間接的に監視することによって、又は、マイクロスピーカのそばにラウドスピーカを配置することによって音を受信することができる。音声プレーヤ33に接続されている自動増幅器35は、ボリュームを調整するために用いられる。ディスプレイ60は、タッチスクリーンとすることができる。ディスプレイ60がタッチスクリーンである場合には、ボックスカバー35の内側に配置されていることが好ましい。
【0038】
インシュリンポンプ2は、エラーが発見された場合、指定された時間に到達した場合、又は、アラームすべき何らかのイベントが発生した場合に、視覚的アラーム及び聴覚的アラームが提供されることを要求する。警報器54は、電力が低下したこと、バッテリが故障したこと、インシュリンが低下したこと、インシュリンボトルにインシュリンがないこと、インシュリン量が過剰であること、ポンプが休止したこと、ポンプが故障したこと(多くの異なる状況が存在し得る)、ブロッキング等の事象が生じたことのアラームを送信することができる。また、インシュリンポンプ2の動作状態を表示するために、赤色が異常状態を示し、緑色が正常な状態を示す、単一のLEDを用いてもよい。
【0039】
静電気保護37は、ビルドイン保護を有する電子デバイスを用いることによって、又は、静電気放電(ESD:electrostatic discharge)ライン保護を用いることによって実装されている。
【0040】
データポート39は、データ転送とアップグレードソフトウェアのダウンロードとを許可し、かつ、医師による治療を助けるためにアプリケーションソフトウェアに履歴ファイルを入力することを許可する。
【0041】
さらに、MCU50は、ワイヤード及び/又はワイヤレスのデータ通信相互接続モジュールを備えてもよい。クロックパルス源53及び無線周波数リンク55は、患者の体内のグルコース濃度に関するデータを、CGM45から受信する。CGM45が用いられる場合、ブルートゥースのISMバンドは、信号を受信するために用いられる。CGM45は、患者の体内のグルコース濃度を提供する。MCU50は、患者の体内のグルコース濃度とインシュリンの入力速度とをルックアップするために、そこにプリセットされたCGMルックアップテーブルを有している。MCU50は、そこに接続されているCGM45によって送信される信号を受信し、MCU50にプリセットされたCGMルックアップテーブルに従って、実際に必要な注入速度を算出する。MCU50は、比較ユニット47を有する。MCU50は、リードスクリュー22の回転速度をインシュリン注入速度に変換し、比較ユニット47は、このインシュリン注入速度を、患者の体内のグルコース濃度に従ってCGMルックアップテーブルで特定される実際に必要なインシュリン速度と比較し、MCU50は、比較結果に従ってリードスクリュー22の回転速度を調整する。
【0042】
マルチプレクサ(mux)25は、ADC23に入力される信号を選択するために用いられる。
【0043】
リアルタイムクロック(RTC)68は、実時間でのプログラムの変更を記録するために用いられ、かつ、時間を教示し、時間を記録するためにも用いられる。
【0044】
たとえデバイスがシステムに取り付けられたとしても、電力供給は変動し、温度は変化し、時間は経過し、V
REF21は固定された電圧を提供する。
【0045】
MCU50に接続されている電流リミッタ33は、短絡又は同様の問題を防止するために、用いられる電流の上限をリミットする。MCU50に接続されたレベル変換器29は、異なる電圧を用いる素子に対する変換インターフェースを提供する。メモリカード46は、電流リミッタ33とレベル変換回路29とが用いる電子フラッシュメモリのデータ記憶装置である。
【0046】
ステッパモータが用いられる場合、モータ52自体がモータの回転速度を調整する機能を有していることに加えて、MCU50は、更に、注入速度がより正確となるように、磁気抵抗角度センサ28の信号に従い、モータ制御部48を通じてモータ52の速度を調整かつ制御するために、フィードバックを用いることができる。
【0047】
図4は、MCU50における磁気抵抗角度センサ情報管理ユニット49の原理を示す。磁気抵抗角度センサ情報管理ユニット49は、モータ回転周期計数ユニット66と、リードスクリュー位置ユニット70と、スリーブ位置ユニット74と、溶液容量ユニット68と、流速ユニット72とを備え、リザーバ4内のスリーブ8の位置に対するリザーバ4の注入容量の変換テーブルと、リードスクリュー22の位置に対するリザーバ4のスリーブ8の位置の変換テーブルと、リードスクリュー22の位置に対するリードスクリュー22の回転周期のアルゴリズムとがプリセットされている。
【0048】
インシュリンポンプ2が用いられる場合、インシュリンポンプを較正することが必要である。MCU50は、インシュリンポンプ2を較正するために用いることができ、注入容量と注入速度とを算出することができる。リードスクリュー22が回転すると、スリーブ8はこれに従って移動する。モータ回転周期計数ユニット66は、磁気抵抗角度センサ28の信号に従って、リードスクリュー22の回転周期と回転時間とを記録する。リードスクリュー22の回転周期とMCU50内にプリセットされたリードスクリュー22の位置に対するリードスクリュー22の回転周期のアルゴリズムとに従って、
リードスクリューのリニア運動の距離=(角度)×(縦ネジピッチ)
という数式から、リードスクリュー位置ユニット70が、リードスクリュー22の位置、又は、Z軸方向におけるその移動のリニアな距離を算出することができる。一方、スリーブ位置ユニット74は、リザーバ4におけるスリーブ8の位置に対するリードスクリュー22の位置の変換テーブルに従って、リザーバ4におけるスリーブ8の位置を知得することもできる。さらに、溶液容量ユニット68は、リザーバ4内のスリーブ8の位置に対するリザーバ4の直径の変換テーブルに従って、注入容量又は残っている液体容量を知得することができる。流速ユニット72は、注入容量及び注入時間に従って、注入速度を計算することができる。リザーバ4の注入容量に対するリードスクリュー22の回転周期の変換テーブルがプリセットされている場合には、流速ユニット72は、変換テーブルとモータ回転周期計数ユニット66とに従って、リードスクリュー22の回転周期と回転時間とを記録し、それによってより迅速に注入速度を算出することができる。注入速度がプリセット値から高すぎ又は低すぎて外れる場合には、MCU50はモータ52の回転方向と回転速度とを調整するためにモータ制御部48に指示することができる。スリーブ位置ユニット74によって提供されるリザーバ4のスリーブ8の位置に従って、又は、溶液容量ユニット68によって提供される注入容量のデータに従って、MCU50は、モータ52の回転方向と回転速度とを調整するためにモータ制御部48に指示することができる。
【0049】
インシュリンポンプ2の較正プロセスは、以下のとおりである。すなわち、空のリザーバ4が投入ポンプ2に配置され、磁気抵抗角度センサ情報管理ユニット49が磁気抵抗センサ28によって検知されるリザーバ4におけるスリーブ8の位置を記録し、その後、知得された容量の液体がリザーバ4に追加され、容量値がMCU50に入力され、磁気抵抗角度センサ情報管理ユニット49がリザーバ4におけるスリーブ8の位置及びリードスクリュー22の位置と液体容量との関係を取得することによって、較正パラメータを計算することができる。
【0050】
図5は、磁気抵抗角度センサ28の変換曲線である。永久磁石30が回転方向101に沿ってリードスクリュー22とともに回転する場合に、磁気抵抗角度センサ28によって検知される角度によって変更するX軸及びY軸の磁場成分の曲線が、
図4において曲線41及び42によってそれぞれ示されている。磁気抵抗角度センサ28は、永久磁石30によって生成される磁場の振幅をアナログ電圧信号に変換し、取得したアナログ電圧信号を直接出力することができ、又は、アナログ−デジタル変換回路(ADC)を用いることによってデジタル信号に変換した後に出力することができる。永久磁石30の角度、すなわち、リードスクリュー22の角度は、出力信号に従って知得することができる。
【0051】
上記の小型リードスクリューポンプ/インシュリンポンプ2の製造方法は、以下のように、簡単に説明される。すなわち、少なくとも1つの永久磁石30をリードスクリュー22と同軸で回転することができるようにリードスクリュー22に取り付け、磁気抵抗角度センサ28を少なくとも1つの永久磁石30によって生成される磁場における一方向の飽和領域内の位置に取り付け、その後、磁気抵抗角度センサ28の信号に従ってモータ52によって回転されるリードスクリュー22の回転方向と回転速度とを制御するためのフィードバックを用いるためにMCU50を取り付ける。
【0052】
上記の説明は、単に本発明の好ましい実施形態であり、本発明を限定することを意図していない。当業者にとって、本発明は、様々な修正及び変更を行うことができ、本発明における実装は、様々な組み合わせ及び変更を行うこともできる。本発明の精神及び原則から逸脱することなく行われる、いかなる修正、等価の置換、改善などは、すべて、本発明の保護範囲内に属する。