(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記接触要素の前記末端表面と前記皮膚組織の表面との接触圧力を検出するように構成された少なくとも1つの圧力センサをさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
前記接触要素は、前記冷却要素に接触するように構成される基端部を含み、前記接触要素の前記末端表面が前記基端部よりも面積においてより小さいように、前記接触要素は、前記基端部から前記末端表面まで漸減する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置。
前記接触要素は、柔軟な伝導性媒体を用いて前記皮膚組織の表面と結合するように構成され、前記柔軟な伝導性媒体は、液体を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置。
前記接触要素は、異なる熱浸透率を有する2つまたはそれ以上の材料から形成され、前記接触要素の上側部分は、第1の熱浸透率を有する第1の材料を含み、前記接触要素の前記末端表面は、前記第1の熱浸透率よりも低い第2の熱浸透率を有する第2の材料のパターンを含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置。
請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置を含む、皮膚組織を冷却するためのシステムであって、前記接触要素は、前記冷却要素から取り外し可能であり、前記システムは、異なるサイズ、形状、および/または表面特徴を有する複数の接触要素をさらに含む、システム。
前記複数のくぼみの各々は、(i)丸くされるか、または斜角を付けられた端縁を有し、(ii)半球状の形状、円柱形の形状、または楕円体の形状を有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図面全体を通じ、別様に述べられない限り、同じ参照番号および文字は、示される実施形態の類似の特徴、素子、構成要素、または部分を示すために使用される。よって、類似の特徴が同じ参照番号によって記載されることがあり、これは別様に明確に述べられない限り、異なる実施形態の間で特徴の交換を行い得ることを当業者の読者に示すものである。さらに、ここでは図面を参照しながら本開示を詳細に説明するが、これは例示的実施形態に関連して行われるものであって、図面に示される特定の実施形態に限定されるものではない。添付の請求項によって定義される本開示の真の範囲および趣旨から逸脱することなく、記載される実施形態に対する変更および修正が行われ得ることが意図される。
【0034】
本開示の例示的実施形態に従うと、皮膚組織の領域を制御可能かつ非侵襲的に冷却および/または凍結するために、寒冷療法に基づくアプローチを使用できる。こうした冷却または凍結は、皮膚の全体的外観を明るくしたり、過剰な色素沈着を有する特定の皮膚範囲の全体的暗さを低減したりできる。たとえば、皮膚の領域を低温物体と接触させることによって、下にある皮膚の色素の形成および/または発現を阻害できる。この効果は、処置された範囲の長期間またはおそらくは永続的な美白を提供できる。
【0035】
図1は、本開示の例示的実施形態に従う、たとえば皮膚組織において色素沈着低下効果を生じるなどのために皮膚を制御可能に冷却および/または凍結するための例示的装置100の断面図を提供する。例示的装置100は、冷却要素120と熱的に連絡して設けられた接触素子110を含み得る。特定の例示的実施形態において、接触素子110および冷却要素120は、少なくとも部分的に単一の材料から形成されてもよい。制御要素150が任意に提供されて、冷却要素120の特定の局面、たとえば温度、時限式停止などを制御するために使用されてもよい。たとえば装置100の取り扱いおよび位置決めを容易にするなどのために、
図1に示されるとおり、冷却要素120、制御要素150、および/または接触素子110を任意にはハウジングまたはハンドピース130の中に設けるか、またはそこに付着させてもよい。
図1に示される例示的装置100は、必ずしも縮尺どおりに描かれていない。たとえば、冷却要素120と接触素子110との相対的寸法は、
図1に示される割合に限定されない。本開示のさらなる例示的実施形態において、接触素子110は、冷却要素120の寸法よりも大きいかまたは小さい幅または断面積であってもよい。
【0036】
接触素子110は、皮膚表面と接触するように構成された末端(接触)表面140を含み得る。末端表面140は実質的に平坦であってもよい。本開示のさらなる例示的実施形態においては、処置される皮膚組織の局所的形状により良く適合させるため、および/または装置100が処置される皮膚の範囲に置かれたときに皮膚表面との良好な熱接触を提供するために、末端表面140は凸状または凹状であってもよい。本開示のさらなる例示的実施形態においては、たとえば、異なるサイズ、形状、および/または本明細書に記載されるとおりの表面特徴を有する複数の接触素子110を単一の冷却素子120とともに使用できるように、接触素子110は冷却要素120から取り外し可能であってもよい。
【0037】
皮膚の大きい範囲の処置を容易にするために、末端接触表面140は、皮膚の領域の表面に接触するように構成された大きな幅または直径を有してもよく、たとえば約3cmより大きいか、または約5cmより大きい直径または幅を有してもよい。さらなる実施形態において、末端表面140の幅は、たとえば1〜2cm以下のオーダなどの小ささであってもよく、それによって温度制御および/または皮膚の特定の特徴の処置の改善を容易にしてもよい。
【0038】
接触素子110は、たとえばそれらの熱物理特性の値が皮膚組織に対する対応値よりも大きくなるように、金属もしくは金属合金、または高い熱浸透率を有する別の材料から形成されてもよい。熱浸透率εは、材料の熱伝導性とその容積熱容量との積の平方根に等しい。熱浸透率とは、ある材料がその周囲と熱を交換したり、そうする際に一貫した温度を維持したりする能力の尺度である。たとえば、それぞれ温度T
1およびT
2である2つの半無限材料が接触しているところの界面温度T
iは、それらの相対的浸透率ε
1およびε
2に依存し、T
i=T
1+(T
2−T
1)*[ε
2/(ε
2+ε
1)]となる。したがって、たとえばε
2>>ε
1のとき、熱は一方から他方に流れるため、2つの材料が接触しているところの界面温度はT
2に近いままとなる。この態様で、第2の材料が第1の材料と接触するとき、第1の材料の表面は、それよりもかなり高い熱浸透率を有する第2の材料の温度の近くまで冷却される。
【0039】
たとえば、接触素子110の少なくとも一部または全体は、黄銅、銅、銀、アルミニウム、アルミニウム合金、鋼、グラファイト、ダイヤモンド、ダイヤモンド様の炭素、従来の接触クリオプローブに使用されるその他の材料、またはそれらの組み合わせから作られてもよい。たとえば接触素子110は、全体または少なくとも一部が、皮膚組織よりもかなり高い熱伝導性を有する材料から形成されてもよく、接触素子110の末端表面140に接触される組織の部分からの熱抽出を促進するために使用されてもよい。さらに、たとえば皮膚の熱浸透率の少なくとも約10倍など、皮膚組織よりもかなり高い熱浸透率を有する材料は、低温にてより容易に維持され得る。それによって、こうした高浸透率材料は、もっと低い熱浸透率を有する材料よりも接触素子110が接触する組織の部分からより効果的に熱を抽出し、接触界面における組織温度のより良好な制御を容易にしてもよい。
【0040】
本開示の特定の例示的実施形態において、接触素子110の末端接触表面140は、冷却要素120に接触する接触素子110の基端部よりも面積が小さくてもよい。こうしたジオメトリは、特定の利点を提供できる。たとえば、接触素子110の末端部を狭くするか、または先細にすることによって、たとえばハウジング130による視覚的妨害を低減させながら、冷却されるべき皮膚表面の特定の場所への末端表面140のより正確な配置を容易にできる。さらに、接触素子110の基端部を相対的に大きくすることによって、冷却要素120によって直接冷却され得る面積を大きくでき、より小さな末端接触表面140からの熱の抽出の増加を促進できる。特定の実施形態において、接触要素の末端接触表面140の基端部の面積は、末端接触表面140の面積の少なくとも2倍の大きさ、たとえば3〜5倍などの大きさであってもよい。
【0041】
図2Aの断面側面図に示されるとおり、接触素子110の末端表面140には、たとえば接触素子110の接触表面140に形成されたへこみまたはポケットなどの複数のくぼみ210が設けられてもよい。こうしたくぼみ210は実質的に円形であってもよく、約0.3mmから約3mm、または約0.5mmから2mm、または任意には約1mmの直径または幅を有してもよい。くぼみの深さは約0.3mmから約2mm、または約0.5mmから約1.5mm、または任意には約1mmであってもよい。
図2Aに示されるとおり、末端表面140の端縁は丸くされるか、または斜角を付けられてもよく、それによって処置のために装置100が皮膚表面に置かれたときに、あらゆる鋭利または急峻な端縁または角との接触を避けながら、末端表面140と皮膚表面との連続的な接触を容易にできる。
【0042】
くぼみ210を有する接触表面140の例示的端部の図を
図2Bに示す。接触表面140上のくぼみ210の面積分率は、たとえば約0.05から約0.50、または任意には約0.10から約0.30、または約0.20などであってもよい。面積被覆分率のこうした例示的な範囲および値は、色素沈着低下効果を生じるための局所的冷却および/または凍結の効力を改善するために、くぼみ210の十分な面積密度を提供すると同時に、接触表面140による十分な面積の直接的皮膚接触を提供できるものである。
【0043】
図2Aおよび
図2Bに示される例示的くぼみのサイズおよび深さは実質的に均一であるが、本開示のさらなる実施形態においては、単一の接触素子110に関連する個々のくぼみのサイズおよび/または深さは、本明細書に記載される範囲内で変動し得る。
【0044】
図2Bに示されるとおり、接触表面140におけるくぼみ210の例示的配置は、実質的にランダムであってもよい。
図2Cに示される本開示のさらなる例示的実施形態において、くぼみ210は放射状の配置で設けられてもよい。こうした例示的配置/構成は、くぼみ210の密度を低くする(例、隣り合うくぼみ210間の平均間隔が広くなる)ことがあり、それによって接触表面140の外周近くのくぼみ210の効果が低減するおそれがある。さらなる実施形態においては、たとえば
図2Dに示される六角形の配列または正方形の配列など、規則的な配列でくぼみ210が設けられてもよい。
【0045】
本開示のさらなる例示的実施形態においては、
図2Eの例示的構成に示されるとおり、くぼみ210が伸長した形状を有してもよい。こうした伸長したくぼみ210は、小さい方の寸法(例、幅)が約0.5mmから約3mm、または任意には約1mmであってもよい。こうした伸長したくぼみ210の長い方の寸法(例、長さ)は幅よりも大きくてもよく、たとえば幅の2倍またはそれ以上などであってもよい。たとえば、
図2Eに示される例示的くぼみ210は、幅よりも約5倍大きい長さを有する。本開示のさらなる例示的実施形態においては、その他の例示的な長さ対幅の比率が提供され得る。伸長したくぼみ210の深さは、約0.3mmから約2mm、または約0.5mmから約1.5mm、または任意には約1mmであってもよい。
図2Aに示されるとおり、これらのくぼみ210が接触表面140に接するところでは、末端表面140の端縁が丸くされるか、および/または斜角を付けられてもよい。
【0046】
図2Eに示される例示的な伸長したくぼみ210の長軸または寸法は、互いに実質的に平行であってもよい。本開示のさらなる例示的実施形態においては、たとえば
図2Fに示されるとおり、いくつかの伸長したくぼみ210の長軸が、他のものと実質的に垂直であってもよい。本開示のさらなる例示的実施形態においては、伸長したくぼみ210の長軸が、接触表面140上で互いに対してさまざまな角度で設けられてもよい。
図2Eおよび
図2Fに示されるとおり、伸長したくぼみ210は規則的な配列またはパターンで設けられてもよい。代替的または付加的には、たとえば
図2Gに示されるとおり、伸長したくぼみ210が不均一またはランダムな配置で設けられてもよい。
【0047】
本開示のさらなる例示的実施形態においては、単一の末端接触表面140に設けられたくぼみ210の個々のものが、異なるサイズ、形状、および/または配向を有してもよい。たとえば
図2Hに示されるとおり、たとえば伸長したくぼみ210の異なるものが、同じ幅(小さい寸法)および異なるアスペクト比(例、長さ対幅の比率)を有してもよい。本開示のさらなる例示的実施形態においては、たとえば
図2Iに示されるとおり、異なるくぼみ210は互いに異なる幅および/または異なる長さを有してもよい。本開示のさらなる例示的実施形態においては、たとえば
図2Jに示されるとおり、接触表面140が円形および伸長したくぼみ210の両方を含んでもよい。一般的に、さまざまなくぼみ210の幅(または直径)および深さは、本明細書に記載されるサイズ範囲内であることが好ましくてもよい。本開示のさらに別の例示的実施形態においては、たとえば
図2Kに示されるとおり、伸長したくぼみ210が複数の実質的に平行な溝として設けられてもよい。
図2Kの例示的構成に示されるとおり、こうしたくぼみ210の端部は、接触表面140の外周の内側に位置してもよい。代替的には、くぼみ210の少なくともいくつかが接触表面140の全長にわたる連続的な溝を形成するように、伸長したくぼみ210が接触表面210の外周を通って延在してもよい。
【0048】
くぼみ210の内部表面は丸くされても、円柱形であっても、正方形の輪郭であってもよいし、別の形状を有してもよい。たとえば、円形のくぼみ210の内部表面は円柱形であってもよいし、球または楕円体の一部の形状を有してもよい。伸長したくぼみ210の内部表面は、たとえば円形または楕円形の円柱の一部などのように丸くされた形状を有してもよいし、たとえば正方形に切られたチャネルなどのように、内部に角が設けられてもよい。
【0049】
一般的に、接触表面における隣り合うくぼみ210の間の最短距離は、少なくともくぼみ210の幅と同じ大きさであってもよい。たとえば
図2B〜2Kに示されるとおり、隣り合うくぼみ210の間のこの例示的距離は、それらの幅よりも大きくてもよい。こうした分離距離は、各くぼみ210の近傍からの十分な熱抽出を促進でき、さらにくぼみ210の間の接触表面140の十分な面積を提供できるため、皮膚表面上に接触表面140を快適に置くことができる。
【0050】
図2B〜2Kに示される例示的接触表面140の形状は、実質的に円形である。本開示のさらなる例示的実施形態においては、実質的に正方形、矩形、または六角形の形状を有する接触表面140が提供されてもよい。こうした形状は、処置範囲の顕著な重複を低減または回避しつつ、接触表面140によって皮膚の隣接する範囲に連続的に接触することによる、皮膚のより大きい範囲の処置を容易にし得る。さらなる実施形態においては、接触表面140がさらに異なる形状を有してもよい。
【0051】
異なる例示的実施形態において、接触表面形状のアスペクト比は変動し得る。たとえば、接触表面140の正方形、矩形、または六角形の形状は、処置領域の重複がほとんどまたはまったくないようにしながら、皮膚の実質的にすべての所望の処置範囲が装置100によって冷却されるように、皮膚組織の隣接領域に装置100を連続的に置くことによる、より大きな範囲の皮膚組織の均一な適用範囲を促進できる。たとえば、皮膚の特定の領域に適合するため、および/または処置すべき特定の皮膚の特徴、たとえば加齢によるシミなどの形状に適合するなどのために、その他の例示的なプレート形状および/またはサイズが提供されてもよい。
【0052】
本開示の任意の例示的実施形態および特徴とともに、任意の例示的なくぼみの形状、寸法、くぼみのパターン、接触表面のサイズおよび形状など、またはそれらの組み合わせの1つまたはそれ以上が使用されてもよい。たとえば本明細書に記載されるとおり、単一の接触表面140が複数のくぼみ形状(例、円形、伸長した形など)、空間配置などを含んでもよく、さらに単一の接触表面140上に設けられたこうしたくぼみ210のさまざまな特定のものが1つまたはそれ以上の特徴的な直径、幅、および/または深さを有してもよい。
【0053】
くぼみ210に対する幾何学的パラメータのこの例示的な範囲および値によって、接触表面140が皮膚の上に置かれたときに、皮膚表面とくぼみ210の内表面との部分的接触または完全な接触が提供され得る。これによって、本明細書にさらに詳細に記載される色素沈着低下効果を生じるための局所的冷却および/または凍結の効力を改善できる。たとえば、皮膚組織300の上に置かれたくぼみ210を含む接触素子110の断面図を
図3Aに示す。
図3Aに示されるとおり、皮膚表面の上に接触表面140が置かれるとき、柔軟な皮膚300の小部分がくぼみ210の中に突出し得る。
【0054】
特定の理論に結び付けられることなく、皮膚300のこうした局所的変形は、くぼみ210の内表面に接触する局所的表面積の増加を提供できる。加えて、くぼみ210の端縁が接触表面140に接するところで、皮膚300のいくらかの局所的伸張が起こり得る。さらに、くぼみ210の中でくぼみ210の内部表面を通じて皮膚300の一部から熱を横向きに抽出でき、これによって皮膚冷却の局所的有効性を促進できる。本明細書に記載されるとおり、くぼみ210の幅が比較的小さいために、こうした冷却の向上はくぼみ210内の皮膚300の上部(例、表皮領域)に局在化し得る。加えて、くぼみ210の間の接触素子110の熱伝導性材料は、たとえば皮膚に接触する複数の別個の小さな突起を含む、同じ材料で作られた同じ温度で提供される低温物体などよりも良好な、皮膚300からの熱抽出を提供できる。
【0055】
したがって、接触表面140に提供されるか、または存在する特定の温度(一般的には0℃未満)に対して、本明細書において示唆される局所的冷却効果の向上は、くぼみ210を有さない同じ温度の接触表面140に比べて、くぼみ210における皮膚組織300の局所的凍結を促進してもよい。くぼみのある接触表面に存在し得るこうした要素は、実質的に平坦であるか、または1つまたはそれ以上の突起を含む接触表面140よりも一貫した、および/または良好な色素沈着低下効果を提供してもよい。示唆されるくぼみ210の局所的冷却効果の向上によって、本明細書に記載される例示的装置100の例示的実施形態はさらに、いかなるくぼみ210も伴わない接触表面140を用いて類似の効果を生じるために必要な温度および時間よりもわずかに温かい表面温度(例、おそらく1〜2度温かい)および/またはわずかに短い接触時間によって、色素沈着低下効果を提供できる。
【0056】
図3Aに示される例示的なくぼみ210の断面図は、実質的に半球状のくぼみ、または代替的には、この頁の面の中に延在し得る円柱形の溝、または楕円体のくぼみに対応し得る。本開示のさらなる例示的実施形態に従って使用され得るさらなる例示的なくぼみの構成を、
図3B〜3Dに示す。たとえば、
図3Bに示される例示的くぼみ210の断面図は、たとえば円柱形のくぼみ(例、直交する面において円形の断面形状を有するもの)、または矩形の溝などに対応し得る。
図3Cに示される例示的くぼみ210の断面図は、たとえば浅い円形のくぼみまたは浅い円柱形の溝などに対応してもよく、一方
図3Dに示される例示的な「深い」くぼみ210は、たとえばもっと深い円形のくぼみまたは深くて狭い円柱形の溝などに対応し得る。本開示のさまざまな例示的実施形態において、これらの例示的なくぼみ形状のいずれか、またはそれらの組み合わせが使用され得る。
【0057】
本開示のさらなる例示的実施形態において、冷却要素120は、たとえばペルチェ・デバイスなどの熱電冷却デバイスを含んでもよい。こうした冷却デバイス120の低温側を、接触素子110と熱的に連絡して設けてもよい。こうした冷却要素120に電力を供給するための電源は、例示的装置100の一部として提供されてもよいし、代替的にはそれとは分離した外部電源が提供されてもよい。こうした冷却デバイス120の高温側は、それを冷却した物体と接触させること、その少なくとも一部の上に空気もしくは別の気体を流すかもしくは導くこと、および/またはその他の従来の冷却もしくは通気技術によって、任意に冷却されてもよい。特定の例示的実施形態においては、高温側を冷却するために、従来の冷水循環配置(図示せず)を冷却デバイス120と熱的に連絡して設けてもよい。さらなる例示的実施形態においては、冷却要素120からの熱の消散を促進するために、従来のヒートシンク配置が提供されてもよい。
【0058】
本開示のさらなる例示的実施形態においては、接触素子110の中またはそれに隣接して、1つまたはそれ以上の温度センサ410が任意に設けられてもよい。たとえば、上に設置された3つの熱センサ410の例示的構成を伴う接触表面140を
図4Aに示す。
【0059】
温度センサ410は、接触素子110の1つまたはそれ以上の場所に設けられてもよい。たとえば、
図4Bは、接触表面140の上またはそれに隣接する温度センサ410と、接触素子110の中央部分に設けられた別の温度センサ410と、接触素子110の基端部分、たとえば冷却要素120(図示せず)に隣接するか、またはその近くに設けられたさらなる温度センサ410との断面図を示す。たとえば
図4Bの下側部分に示されるとおり、温度センサ410の表面または接触部分が接触表面140と実質的に同一平面上になるように、温度センサ410は末端表面140に位置する小さい溝または凹部の中に設けられてもよい。特定の例示的実施形態においては、接触素子110の中またはそれに隣接して複数の温度センサ410が設けられてもよく、それによって例示的装置100の動作中のより正確な温度制御を促進できる。
【0060】
温度センサ410は、たとえば1つまたはそれ以上の熱電対、サーミスタ、または抵抗温度検出器(resistance temperature detectors:RTD)などを含んでもよい。単一の装置100が、1つまたはそれ以上のタイプのこうした温度センサ410を含んでもよい。たとえばサーミスタなどの、小さいサイズおよび/または小さい質量を有する温度センサ410は、周囲の接触素子材料の熱伝達および熱特性に対する影響を小さくし得るため、特定の例示的実施形態において望ましいかもしれない。本明細書に記載される任意の例示的実施形態とともに、温度センサ410が使用され得る。
【0061】
温度センサ410は、冷却要素120に関連付けられ得る制御要素150(
図1に示される)と通信して設けられてもよい。こうした例示的制御要素150は、
図1に示されるとおりハウジング130内に設けられてもよく、任意には冷却要素120と一体化されてもよいし、またはハウジング130の外に設けられてもよい。制御要素150は、冷却要素120の特定のパラメータ、たとえば熱電冷却器に与えられる電力レベル、冷却要素120またはその一部とともに使用され得る(例、熱電冷却デバイスの高温側を冷却するため、または接触素子110の直接的冷却を提供するための)冷却剤の流速または冷却剤の温度などを変更または制御するように構成されてもよい。たとえば、接触表面140および/または接触素子110内の別の場所における特定の温度(または温度範囲)の安定化および/または維持を容易にするために、温度センサ410からの信号を用いた従来のフィードバック制御システムを用いる制御要素150が提供されてもよい。制御要素150は、たとえば接触素子110の接触表面140を予め定められた温度に維持するためか、または予め定められた経時的な温度プロファイルに近付けることなどのために、冷却要素120の動作を制御するために、従来の比例、積分、および/または微分フィードバックアルゴリズムを使用するように構成されてもよい。こうした制御アルゴリズムは当該技術分野において公知である。
【0062】
本開示のさらなる例示的実施形態において、こうした温度およびプロセス制御は、複数の温度センサ410を用いて達成されてもよい。温度センサ410は接触表面140の上(またはそれと同一平面上)に設けられてもよく、たとえば
図4Bに示されるとおり、接触表面140の近く、接触素子110の中、および/または接触素子110の基端部の近くもしくは上(例、冷却要素120の隣)などに設けられてもよい。接触表面140またはその近くにおける温度の制御は、特定の冷却要素120および特定の接触素子110の特性(例、接触素子110の形状および材料)に対して熱応答を較正することによって、任意にはこうした場所から離れて測定された温度に少なくとも部分的に基づいてもよい。
【0063】
たとえば、皮膚の基底層(真皮−表皮接合部の近く)の冷却は、(組織の局所的凍結が始まるときに開始する時間間隔として定められ得る)特定の処置時間の間、皮膚の表面を特定の温度に冷却することによって達成され得る。加えて、こうした冷却または局所的凍結は、たとえば皮膚の冷却領域の全体的に明るくなった外観などの、美容上望ましい色素脱失効果を生じ得る。こうした明るくなった外観は、数ヵ月またはそれ以上持続してもよい。加えて、本明細書に記載されるとおりの複数のくぼみ210を含む低温接触表面140によって皮膚表面を冷却または凍結することは、実質的に平坦であるか、特徴を有さないか、または複数の突起を含む接触表面によって提供される同等の冷却手順よりも、冷却皮膚範囲の一貫した均一な美白を提供できることが観察されている。
【0064】
したがって、本明細書に記載される任意の例示的実施形態は、約−4℃またはそれ以下、たとえば約−5℃から−10℃などの温度の1つまたはそれ以上の表面(例、接触素子110および/またはその接触表面140)を提供するように構成され得る。こうした温度に対応する処置時間は、たとえばこうした温度において約1分間以下、たとえば約30秒から1分間などであってもよい。組織の凍結を生じる温度および時間のこうした組み合わせは、色素脱失(すなわち全体の色素沈着の喪失)を生成することなく、皮膚における色素沈着低下効果を生じ得る。
【0065】
本開示のさらなる例示的実施形態においては、過剰な冷却から望ましくない組織損傷を誘導することなく組織の十分な局所的冷却および凍結を生じさせるために、接触素子110の少なくとも一部の温度は−10℃よりも低くてもよく、たとえば−15℃または−20℃などの低温であってもよく、それに従って接触または処置時間を短くしてもよい。たとえば、これらのさらなる低温における接触時間は、約−15℃から−20℃の温度にて30秒以下、たとえば約15〜30秒間などであってもよい。こうしたさらなる低温は、たとえばより速い処置時間を容易にするため、ならびに/または、たとえば接触素子110の熱伝導の熱的非能率性および/もしくは局所的血流によって加熱され得る皮膚の加温効果などの効果を補償するためなどに使用されてもよい。しかし、こうしたさらなる低温および対応するより短い接触時間は、正確な制御が困難になることがあり、組織の何らかの過剰な局所的冷却または凍結をもたらすことがあり、その結果として不均一な色素沈着効果、何らかの浮腫または痂皮の形成などがもたらされ得る。
【0066】
本明細書に記載される任意の実施形態において、中間接触素子110が設けられないときには、冷却要素120の低温表面が接触表面140ともなり得るように、温度センサ410および/またはくぼみ210が、冷却要素120の低温表面(例、熱電冷却デバイスなどの低温側)の上に直接設けられてもよい。
【0067】
接触素子110の接触表面140によって接触される皮膚組織の表皮層の温度は、好ましくは例示的装置100が処置される皮膚の範囲に接触されるときにその皮膚表面領域の少なくとも一部を局所的に凍結するために十分に低くなってもよい。接触表面140は、凍結領域のその後の色素沈着低下を生じるために十分な例示的持続時間の間、処置される皮膚の領域に接触して置かれてもよい。この例示的な持続時間は、装置100の皮膚との最初の接触後の時間間隔として定められてもよいし、代替的には皮膚組織の局所的凍結の開始後の時間間隔として定められてもよい。これらの温度で皮膚組織の上側層(例、基底層まで)の局所的凍結を誘導することによって、さらに色素沈着低下応答を改善できる。上側真皮層の少なくともいくつかの部分も凍結され得る。この例示的持続時間は、約15秒間よりも長くてもよい。
【0068】
処置時間は、好ましくは過剰な凍結を引き起こして冷却または凍結した組織の損傷を生じるほど長くなくてよい。たとえば、接触素子110の底面が約−4℃から−10℃の温度に維持されるとき、色素沈着低下をもたらし得る皮膚表面領域の局所的凍結を誘導するためには約30秒から60秒間の接触時間で十分であり得る。本明細書に記載されるとおり、接触表面140に設けられたくぼみ210の存在によって、こうした凍結の一貫性および予測可能性を改善できる。一般的に、本明細書に記載される装置の例示的実施形態のジオメトリ、材料、および初期冷却温度に基づいて、適切な接触時間を定めることができる。特定の持続時間だけ接触素子110に近接する凍結組織のゾーンを生成するように、使用される時間および温度が選択され得る。
【0069】
本開示の特定の例示的実施形態において、接触素子110の材料は、対応する装置が最初に冷却され、皮膚組織との接触が延長される際に接触素子110が徐々に温められ得るように選択されてもよい。たとえば、接触素子110および冷却要素120を特定の温度に冷却するために、例示的装置100を冷凍庫に入れてもよい。代替的に、接触素子110および/または冷却要素120は、たとえば液体窒素などの冷媒を噴霧するか、またはたとえばアルコールおよび水の冷却溶液または低温生理食塩水などの低温浴に浸漬することによって冷却されてもよい。好ましくは、浴槽は予め定められた温度に維持され得る。冷却後、次いで接触素子110の底面を美白すべき皮膚の範囲に予め定められた時間だけ押し付けてもよく、それによって皮膚組織の一部を局所的に冷却および/または凍結してもよい。装置100が皮膚表面に接触されるときに接触素子110が皮膚組織を十分に冷却して皮膚組織の少なくとも一部を凍結でき、それによってさらに色素沈着低下応答を生成できるように、たとえば接触素子110および冷却要素120は、好ましくは少なくとも−4℃またはそれ以下、たとえば−5℃または−7℃から−10℃など、あるいは−15℃から−20℃という低温に冷却されてもよい。したがって、接触素子110はより長期間にわたって皮膚に接触して提供されてもよく、接触素子110を徐々に温めることによって、それに近接する皮膚の領域の過剰な冷却または凍結を防止できる。
【0070】
本開示のさらなる例示的実施形態において、例示的冷却要素120は、1つまたはそれ以上のチャネルが設けられた材料の熱伝導性ブロックを含んでもよい。冷却要素120および隣接する接触素子110を冷却し、かつ任意にはそれらを特定の温度に維持するために、冷却された冷媒がチャネルに循環されてもよい。たとえば、こうした冷却要素120内のチャネルに冷却媒体を循環させるために、従来の流体ポンプ(図示せず)が用いられてもよい。こうした例示的ポンプは装置100の近くまたは遠隔に置かれてもよいし、特定の例示的実施形態においては例示的装置100に付着されてもよい。加えて、従来の技術を用いて断熱および/または能動的に冷却され得るリザーバ(図示せず)の中に冷却媒体が提供されてもよい。たとえば、本明細書に記載される1つまたはそれ以上の温度センサ410によって提供される信号に基づいて、冷却媒体の温度および/または流速を制御または変動することなどによって、接触表面140の所望の温度が維持され得る。
【0071】
本開示のさらなる例示的実施形態において、装置100の冷却要素120は、たとえば少なくとも約−4℃の低温、たとえば約−5℃から−10℃、または任意には約−15℃から−20℃の低温などの特定の温度または温度範囲において固相−液相転移を示すように選択され得る冷媒を含み得る中空のリザーバ(図示せず)を含んでもよい。たとえば、接触素子110が(最初に低温であるときに)たとえばより温かい皮膚組織に接触することなどによって相転移温度まで温められるとき、相転移冷媒は、冷却要素120および/または接触素子110の温度を、より長期間にわたって(例、接触素子110および処置される皮膚組織のより長い接触期間の間、または処置される皮膚の複数の領域に対する例示的装置100の適用の間)ほぼ相転移温度または特定の相転移温度範囲内に維持できる。皮膚組織から抽出された熱は、接触素子110および冷却要素120を通って、その中に提供された冷媒に伝導されてもよく、冷媒の相転移が進行するために、冷媒はその熱を比較的一定の温度で吸収できる。装置100によって提供される冷却要素120と接触表面140との間の温度差が延長された期間にわたって実質的に一定に維持され得るため、この例示的配置は、接触表面140の予測可能および繰り返し可能な温度と、それに対応する、接触素子110に接触する皮膚からの熱伝達の流れの速度とを促進できる。加えてこの例示的配置は、特定の温度または温度の狭い範囲内、たとえば約−4℃以下、たとえば−5℃から−10℃などにおける皮膚組織の上側部分の冷却および/または凍結を提供できる。こうした冷却温度を一貫して維持できる持続時間は、たとえば冷却要素120のサイズおよび材料、ならびに中に提供される相転移冷媒の量および組成などの要素に基づいていてもよい。
【0072】
さまざまな例示的実施形態に関して本明細書に記載される、皮膚表面の接触冷却に基づく色素沈着低下効果は、表面に近接する組織の少なくとも局所的体積が凍結されるときにより効果的であり得る。0℃未満に冷却された、たとえば約−4℃から−10℃などに冷却されたプレートまたはその他の物体に皮膚表面を接触させることによって達成されたものであっても、皮膚組織の冷却が常に局所的組織凍結をもたらすわけではない。代わりに、こうした例示的冷却手順が、凍結しない局所的に過冷却された組織をもたらすことがある。本明細書におけるさまざまな例示的実施形態に記載されるとおり、低温接触表面140上にくぼみ210を設けることによって、特定の接触表面温度および接触時間に対して何らかの局所的凍結を開始させる可能性を高くすることができる。特定の場合には、皮膚組織の局所的凍結の存在を確認できることが望ましくてもよい。
【0073】
したがって、本開示のさらなる例示的実施形態において、接触表面140に近接する皮膚組織の局所的凍結を検出するための配置が提供されてもよい。こうした凍結検出は、たとえば冷却された皮膚において検出される光学特性、熱特性、および/または機械的特性の変化、またはその他の指標および技術などに基づいていてもよい。
【0074】
本開示の例示的実施形態に従う冷却手順の際の組織凍結の検出を容易にできる例示的装置500を、
図5に示す。例示的装置500は、たとえば
図1に示される装置100と類似の冷却要素120と、冷却要素120の下側表面に設けられた任意の冷却プレート110と、ハンドル130とを含み得る。冷却要素120は、本明細書のさまざまな例示的実施形態に記載される任意の冷却デバイスまたは配置(またはそれらの組み合わせ)を含み得る。たとえば、冷却要素120はペルチェ・デバイスなどを含んでもよい。装置500には1つまたはそれ以上の光学コンジット510が設けられてもよく、この光学コンジット510の末端部520は、冷却プレート110の下側接触表面140(または任意には、分離した冷却プレート110が設けられていないときには、冷却要素120の底面)に近接して位置してもよい。光学コンジット510は、たとえば光ファイバまたは導波管などを含んでもよい。
【0075】
本開示の特定の例示的実施形態において、光学コンジット510の1つまたはそれ以上の末端部520は、たとえば底部プレート110の一部を通って穿孔された小さい孔の中に光学コンジット510の末端部分を置くことなどによって、冷却プレート110の下側接触表面140に近接して設けられてもよい。さらなる例示的実施形態においては、他の例示的構成の光学コンジット510が設けられてもよく、ここでは装置500の接触表面140が皮膚の上に置かれたときに、光学コンジット510の末端部520が皮膚表面に近接して設けられるか、および/または皮膚表面と光学的に連絡して設けられてもよい(例、光学コンジット510の末端部520と皮膚表面との間に妨害のない光路が存在するようにする)。
【0076】
本明細書に記載される冷却手順の際に皮膚組織の凍結を検出するために、少なくとも1つの光学コンジット510の基端部が光源またはその他の光学エネルギ(図示せず)に連絡して設けられてもよい。約600nmから約800nmの波長を有する赤色光を放射するLEDまたはその他の光源が、光源として使用され得る。本開示のさらなる例示的実施形態に従うと、その他の波長の光も使用され得る。たとえば、近IR範囲の光(例、約800nmから約2000nmの波長を有する光)を放射する光源も使用され得る。こうした近IR光は、処置される皮膚領域のメラニンレベルの変動に比較的非感受性であり得るため、さまざまな皮膚タイプにおいて凍結を検出するために使用され得る。
【0077】
冷却手順の際に、少なくとも1つの光学コンジット510の末端部520から装置500の下の皮膚表面の領域に、光が放射されてもよい。皮膚によって反射および/または散乱される光は、少なくとも1つの光学コンジット510の末端部520に入り、光学コンジット510を通って、光学コンジット510の基端部に設けられ得るたとえば従来の照度計、電荷結合素子(charge−coupled device:CCD)、または光トランジスタなどの光学検出器(図示せず)に導かれてもよい。本開示のさらなる例示的実施形態においては、光学コンジット510の周囲部分に向けられる光の検出を容易にすることによって、皮膚に対する光学コンジット510の他の配向を用いた光の検出を容易にするために、光学コンジット510の末端部の代わりに、またはそれに加えて、光学コンジット510の他の部分からクラッディングを取り除いてもよい。
【0078】
光学的な光の強度またはその他の特徴の変動が、局所的組織凍結の発生を示し得る。たとえば本開示の特定の例示的実施形態において、散乱光および/または反射光を検出するために用いられる光学コンジット510は、皮膚表面上に光を方向付けるために用いられる光学コンジット510と同じまたは類似のものであってもよいし、光を方向付けるために用いられる光学コンジット510の、たとえば約1〜2mm以内などの非常に近くに位置決めされてもよい。もし組織凍結が起これば、衝突する光の局所的反射率によって、検出光学コンジット510が受け取る光の量が増加し得る。こうした光信号の例示的増加を用いて、装置500が特定の持続時間だけ皮膚の上に置かれるときに、皮膚組織の凍結を確認できる。本開示のさらなる例示的実施形態においては、ファイバ端部および組織表面からの鏡面反射を低減または抑制するために、光学コンジット510に1つまたはそれ以上の偏光素子が設けられてもよく、それによって局所的組織凍結のより高感度の検出が提供され得る。
【0079】
本開示のさらなる例示的実施形態において、光を提供および/または検出するために用いられる光学コンジット510の末端部520は、たとえば約3〜4mmより大きい分離距離などにて、さらに間隔を置かれてもよい。組織凍結が起こるとき、組織の反射率が増加してもよく、皮膚に向けられた光のより多くが表面領域から反射してもよく、一方で組織を通って横方向に散乱される光は少なくなってもよい。したがって、こうしたより遠くの検出光学コンジット510からの検出光信号が減少することによっても、皮膚組織の局所的凍結が示され得る。本開示のさらなる例示的実施形態において、1つまたはそれ以上の光学コンジット510の末端部520は、
図5に示されるとおりにくぼみ210の間の接触表面140の領域に設けられる代わりに、またはそれに加えて、くぼみ210の内表面に設けられてもよい。
【0080】
本明細書に記載されるとおりに組織凍結を検出するか、および/または組織凍結に関するさらなる詳細を得るために、本開示のさらなる例示的実施形態に従って、光学コンジット510の異なる例示的構成を提供してもよい。たとえば、複数の光学コンジット510の各々を、装置の下の皮膚表面に光を方向付けることと、皮膚組織によって散乱または反射された光を検出することとの両方に対して構成してもよい。組織の凍結の深さに対する情報を提供するために、複数のこうした光学コンジット510(例、3つまたはそれ以上)を使用してもよい。代替的または付加的に、本明細書に記載されるとおりに皮膚に光を方向付けるか、および/または光を検出するために、複数の間隔を置かれた光学コンジット510が構成されてもよい。光学コンジット510の1つまたはそれ以上の末端部に近接する凍結を示す光信号レベルの閾値変化を検出するために、光学検出器が構成および/または較正されてもよい。本開示の特定の例示的実施形態においては、装置500が皮膚表面と接触して保持されるか、別様に維持されている間に組織凍結の発生を確認するために、たとえばLEDもしくは白熱電球、音声発生器、またはデジタルディスプレイなどの表示器が提供されてもよい。
【0081】
本開示のさらなる例示的実施形態においては、局所的組織凍結の発生を検出するために、たとえば
図4Aに示されるものなどの温度センサ410が構成されてもよい。たとえば、典型的な冷却手順において、温度センサ410によって検出される温度は、それが接触している冷却プレート110の温度に対応し得る。例示的装置100、500が皮膚表面に置かれるとき、冷却プレート110の接触表面140が皮膚によってわずかに温められるため、検出される温度は最初に上昇する。プレート110による皮膚の冷却が進むと、次いで測定温度が下降し得る。こうした下降の速度および程度は、たとえば冷却プレート110の初期温度、材料、およびジオメトリ(接触表面140のものを含む)、プレート110を冷却するために使用される冷却要素120の効率などのいくつかの要素に依存し得る。
【0082】
(皮膚組織に存在し得るものなどの)水の凍結は発熱性のプロセスであり、液体から固体への相転移の際に特定の量の潜熱を生成または放出する。冷却プレート110の底面140に近接して組織凍結が起こるとき、凍結相転移の際のこの潜熱の放出によって起こる局所的温度のわずかな一時的上昇が検出されてもよい。次いで、(部分的に)凍結した組織のさらなる冷却が進行するにつれて、検出された温度は低下し続けてもよい。したがって、温度センサ410による時間的冷却曲線において検出される「コブ」が、局所的組織凍結の発生をも示し得る。
【0083】
本発明の実施形態に従う組織の凍結の開始を検出するための光センサの使用を示すために、例示的な調査を行った。20mm×20mmの平坦なアルミニウム接触プレートを−7.5℃の温度に冷却した。プレートに穿孔した孔に2本の1mm光ファイバを挿入し、本明細書に記載されるとおり、一方のファイバは冷却組織を照らすように構成し、第2のファイバは組織からの光を検出するように構成した。冷却したプレートを、メスのシンクレアブタの側腹領域の剪毛した皮膚表面に60秒間接触させて置いた。冷却プレートと皮膚表面との接触点における温度をモニタするために、熱電対を用いた。この冷却手順の間に検出された光信号もモニタして記録した。
【0084】
この冷却手順に対する例示的なデータの組を
図6に示す。最初に冷却プレートがより温かい皮膚表面に接触したとき、(
図6の点線で示される)測定温度は最初に急速に(約5〜6秒で)上昇することが観察された。次いで、プレートが隣接する皮膚を熱伝導によって冷却するにつれて、温度は下降した。
図6に示されるデータグラフにおいて、この冷却は約6秒から15秒の間に起こった。(光トランジスタを用いてボルトで測定し、
図6のグラフにおいて実線で示される)光出力は、この冷却プロセスの間かなり一定のままであった。約15秒において、温度の小さい上昇が検出されて、局所的組織凍結の開始および皮膚の凍結の潜熱の放出を示した。この組織凍結の開始には、検出された光信号の増加が付随した。凍結した皮膚が冷却され続けるとき、光信号は上昇したままであった。冷却プレートを除去後、皮膚の表面領域の部分が凍結していることを確認した。この調査は、皮膚表面に低温物体を接触させたときに検出される反射率レベルの変化に基づいて組織凍結の開始を検出するための、本明細書に記載される光センサの使用と、凍結の際の潜熱の放出に関連する局所温度の小さなプラトーまたは一時的上昇の存在によって組織凍結の開始を検出するための温度センサの使用とを実証するものである。
【0085】
本開示のさらなる例示的実施形態においては、電気または機械インピーダンスの測定に基づく組織凍結の検出を容易にするために、センサが提供されてもよい。たとえば、水および組織を含むいくつかの材料において、凍結の開始によって電気インピーダンスが変化することが示されている。たとえばA.A.ゲージ(Gage)、クリオバイオロジー(Cryobiology)
16、p.56−62(1979)、B.ルビンスキー(Rubinsky)、アニュアル・レビュー・オブ・バイオメディカル・エンジニアリング(Ann.Rev.Biomed.Eng.)
02、p.157−87(2000)、およびT.H.ユ(Yu)ら、インターナショナル・ジャーナル・オブ・サーモフィジックス(Intl.J.Thermophysics)、
24(2)(2003年3月)などを参照。本開示の例示的実施形態の1つにおいて、電気インピーダンスは、皮膚表面に接触している冷却プレート110の底面に沿った2つまたはそれ以上の場所の間で測定できる。代替的には、冷却領域に近接して別個の表面電極を設けて、皮膚の局所電気インピーダンスを測定するために使用してもよい。皮膚の電気インピーダンスを検出するためのこうしたセンサは、本明細書に記載される任意の実施形態とともに用いられ得る。組織凍結を検出するように構成されたこれらのタイプのセンサ(熱、光、機械、力など)のいずれかを、単独または任意の組み合わせで、本明細書に記載される発明のさまざまな実施形態のいずれかとともに使用できる。
【0086】
本開示のさらなる例示的実施形態においては、組織凍結を検出するために使用され得る、本明細書に記載される任意の検知要素(sensing arrangement)(例、温度センサ410または光学ガイド510)および装置と通信して、表示器が設けられてもよい。こうした表示器は、たとえば表示灯、ブザーもしくはその他の音声発生器、またはディスプレイパネルなどを含んでもよい。表示器は、組織凍結がいつ検出されたかを示すために、ユーザに第1の信号を提供または別様に送信するように構成されてもよい。所望の処置時間の開始を定めるために、こうした信号が任意に使用されてもよい。本開示の特定の例示的実施形態において、センサは制御要素150に信号を提供して、冷却要素120の動作および動作パラメータに影響を与えてもよい。たとえば、制御要素150はこうした信号に基づいて、冷却要素120をオンまたはオフにすること、供給される冷却の速度を変えることなどを行うための信号を送信するか、または機械的構成を提供してもよい。
【0087】
加えて、局所的組織凍結の開始が検出されてからの経過時間を示すために、タイミング配置が提供されてもよい。任意には、タイミング配置は、局所的凍結の開始から予め定められた時間間隔または予めプログラムされた時間間隔が過ぎたときに、第2の信号を提供するか、別様に送信するように構成されてもよい。この第2の信号は、局所的冷却処置が終了したときを示し、使用した装置を皮膚表面との接触から離すことをユーザに促すために使用されてもよい。本開示のさらなる例示的実施形態において、タイミング配置は装置をいつ皮膚から取り除くべきかを示す第2の信号のみを提供し、局所的凍結の開始を示す第1の信号は提供しなくてもよい。
【0088】
本開示のさらなる例示的実施形態において、接触素子110は、異なる熱浸透率を有し得る2つまたはそれ以上の材料から形成されてもよい。接触素子110内の特定の温度プロファイルを提供すること、接触素子表面の温度の可制御性を改善すること、接触素子110の表面上の熱吸収特性を修正することなどのために、こうした例示的複合構造を使用してもよい。こうした2つまたはそれ以上の材料は、単一材料の別個の層または領域として、連続的な組成の変動として、または2つもしくはそれ以上の材料の別個および連続的な組み合わせの両方の組み合わせとして提供されてもよい。
【0089】
本開示の特定の例示的実施形態においては、
図7の例示的断面構成に示されるとおり、接触素子110の上側部分720とは異なる熱浸透率を有する材料710が、接触素子110の末端表面140の少なくとも一部に任意に提供されてもよく、その材料は任意には層またはコーティングの形であってもよい。たとえば、ダイヤモンドおよびダイヤモンド様の炭素は非常に高い熱浸透率を有し、接触素子110の下側部分にこれらの材料の1つの層があることによって、接触素子110と処置される皮膚との熱伝達が改善されてもよい。代替的に、本開示のさらなる例示的実施形態において、接触素子110の上側部分720は、その末端または下側表面に提供される材料710よりも高い熱浸透率を有し得る。こうした例示的構成は、くぼみ210の間の接触表面140に隣接する皮膚組織300からの熱抽出速度に対して、(
図3Aに示されるとおり)くぼみ210内に突出する皮膚組織300の熱抽出の速度をさらに増加できる。
【0090】
本開示のさらなる例示的実施形態においては、接触素子110の中および/またはその接触表面140上に、異なる熱浸透率を有する異なる材料のパターンまたは領域を設けてもよい。たとえば、こうした例示的装置100、500などの温度制御に影響するか、またはそれを改善するために、例示的装置100、500による熱抽出(例、冷却)のパターンに影響を与えるために、熱浸透率のこうした例示的変動が提供されてもよい。
【0091】
本開示のさらなる例示的実施形態においては、
図8の例示的断面構成に示されるとおりの、1つまたはそれ以上の圧力センサ810を含む、組織色素沈着に影響を与えるための装置800が提供され得る。例示的装置800はさらに、たとえばそれぞれ
図1および
図5に示される装置100、500と類似のものなどのハンドル300、冷却要素120、および冷却要素120の下側表面に設けられた任意の冷却プレート110、ならびに本明細書に記載されるその任意の変形を含み得る。たとえば、装置800の動作中に装置800の接触表面140と皮膚または組織表面との間の接触圧力などを検出するために、圧力センサ810が使用されてもよい。こうした圧力検出は、たとえば、接触素子110と処置される組織との良好な熱接触を容易にするために十分または適切な圧力が加えられていることを確認すること、
図3Aに示されるとおりに柔軟な皮膚組織300がくぼみ210に少なくとも部分的に突出することを促進するために十分な圧力があるかどうかを示すことなどのために有用であり得る。数PSIまたはそれ以上の接触圧力(例、血管内の収縮期圧力よりも高い、たとえば約2.5PSIまたはそれ以上など)によって、組織表面近くの血流の何らかの局所的分岐(blanching)または制限を生じることもできる。局所的分岐は、流れる血液による局所組織への熱伝達を低減できるために、装置100、500、800による組織または皮膚表面近くの冷却または熱抽出を改善できる。
【0092】
圧力センサ810は、圧力を検出するために使用できる任意の従来の構成要素、たとえば圧電性材料、ピエゾ抵抗ひずみゲージ、容量性または誘導性センサなどを含んでもよい。装置800には1つまたはそれ以上の圧力センサ810が設けられてもよい。圧力センサ810の数、タイプ、および/または場所は、たとえば検出される接触圧力の信頼性などを含むいくつかの要素に基づいて選択されてもよい。たとえば、装置800の熱伝達特性のあらゆる低減を最小化または回避するために、圧力センサ810は小さくてもよく、低い熱質量を有してもよく、および/または高い熱伝導性を有してもよい。
【0093】
1つまたはそれ以上の圧力センサ810の場所は、装置800の使用中に接触表面140と皮膚表面との接触圧力の正確な表示を提供するように選択されてもよい。たとえば、冷却要素120とハンドル300とが良好な機械的接触を行っているときは、
図8に示されるとおり、1つまたはそれ以上の圧力センサ810は冷却要素120の上側部分とハンドル300との間に設けられてもよい。この例示的構成は、冷却要素120と皮膚表面との間の熱の流れまたは伝達のあらゆる低減を回避しながら、圧力検知能力を提供できる。本開示のさらなる例示的実施形態において、1つまたはそれ以上の圧力センサ810は、冷却要素120と接触素子110との間、接触素子110の接触表面140の上、接触素子110の中、またはこうした場所の任意の組み合わせに設けられ得る。
【0094】
装置800の上または近くに、圧力表示器(図示せず)が設けられてもよい。こうした圧力表示器は、検出された接触圧力のデジタルまたはアナログ表示、接触圧力が特定の圧力範囲の中もしくは外にあるか、または特定の限界より上/下にあるときに、それを示すためにオン/オフするかまたは色が変化し得る表示灯、可聴信号などを含み得る。圧力表示器は、装置800の使用中に適切な接触圧力の存在を確認するための信号をオペレータに提供または別様に送信するために使用され得る。この圧力検知特徴は、たとえば異なるサイズおよび/または形状のくぼみ210および接触素子110、異なる冷却要素120、組織の凍結および/または温度を検出するための異なるセンサなどを含む、本明細書に記載される装置および方法の任意の例示的実施形態とともに使用され得る。
【0095】
本開示のさらなる例示的実施形態においては、たとえばくぼみ210の中などにおける皮膚組織と接触プレート110との接触を改善するために、真空配置が使用されてもよい。たとえば、
図9の例示的構成に示されるとおり、接触素子110の中に、下側表面140および/または1つもしくはそれ以上のくぼみ210の内表面に延在する末端部を有する1つまたはそれ以上のチャネル910が含まれてもよい。チャネル910の基端部に、真空ポンプまたはその他の従来の低圧供給源(図示せず)が結合されてもよい。チャネル910内の低圧の存在を制御するために、弁配置(同様に図示せず)が使用されてもよい。存在するとき、チャネル910は接触素子110を通る熱伝導のあらゆる顕著な妨害を避けるために十分に狭くてもよい。チャネル910の数、形状、サイズ、および構成は、たとえば接触素子110のサイズおよび形状、くぼみ210のサイズ、形状および数などの要素に基づいて選択されてもよい。チャネル910の基端部は、低圧供給源および/または弁配置への接続を容易にするために、装置内の任意の場所に設けられてもよい。
【0096】
こうした例示的な真空配置は、接触素子110と皮膚組織とのより良好な接触を促進できる。たとえば、チャネル910内の低圧によって、くぼみ210と皮膚表面とによって形成される閉鎖された体積の圧力を低くでき、組織を少なくとも部分的にくぼみの凹部に引き上げることによって、くぼみの内部表面と皮膚組織とのより良好な物理的接触および熱接触を促進してもよい。例示的真空配置は、本明細書に記載される方法および装置のその他のさまざまな例示的特徴および実施形態のいずれかと組み合わされてもよい。
【0097】
本開示の別の例示的実施形態においては、たとえば処置される皮膚の局所領域により良好に適合するために、接触素子110の接触表面140は可撓性または柔軟であってもよい。たとえば、可撓性の接触素子110の例示的構成を
図10に示す。接触素子110は、可撓性のくぼみのあるフィルム1010と、柔軟な伝導性媒体1020と、上側の熱伝導層1030とを含む。さらなる例示的実施形態においては、伝導性媒体1020が冷却要素120と直接接触して設けられるようにして、上側の熱伝導層1030が省略されてもよい。
【0098】
フィルム1010は、可撓性または中程度の圧力(例、数PSIまたはそれ以上)において変形可能である1つまたはそれ以上の材料で形成されてもよい。フィルム1010の部分は、中に形成されるくぼみ210の形状を維持するために十分に剛性であってもよい。フィルム1010は少なくとも部分的に、本明細書に記載されるとおりの高い熱浸透率、たとえば皮膚組織の熱浸透率の10倍を超える熱浸透率などを有する材料で形成されてもよい。たとえばフィルム1010は、さまざまな金属または金属合金の任意のものから少なくとも部分的に形成されてもよい。こうした材料は、可撓性を提供するために十分に薄いと同時に、構造的強度および高い熱浸透率をも提供してもよい。
【0099】
伝導性媒体1020は、たとえば従来の熱伝導性のペースト、パテ、またはゲルなどを含み得る。さらなる例示的実施形態において、伝導性媒体1020は、本明細書に記載される好ましい温度範囲内、たとえば約−4℃から−20℃などである相転移温度または範囲を有する2相スラリーまたはスラッシュ(例、固体/液体混合物)を含んでもよい。使用され得るこうした2相混合物の例は、生理食塩水、およびアルコール/水混合物などを含むが、それらに限定されない。こうした2相混合物は、装置100、500、800が組織から熱を抽出して皮膚を冷却する際に、比較的安定な温度の維持を容易にできる。
【0100】
伝導性媒体1020の層または体積は、比較的薄くてもよい。なぜなら、こうした非固体材料は、たとえば金属またはダイヤモンド様炭素などの特定の固体材料よりも低い熱拡散率を有する傾向があるからである。伝導性媒体1020の厚さは、処置される皮膚領域の局所的形状または輪郭に適合するためのフィルム1010の十分な変形を促進するために十分に大きくするべきである。こうした伝導性媒体1020の厚さは、たとえば装置100、500、800が使用されるときのフィルム1010の所望の可撓性または変形の量などに基づいて、特定の装置に対して選択されてもよい。加えて、たとえば
図10などに示される変形可能または可撓性の接触表面140を有する接触素子110は、本明細書において開示される例示的方法および装置のさまざまな実施形態およびその他の特徴のいずれかとともに使用されてもよい。
【0101】
本開示の特定の例示的実施形態において、伝導性媒体1020と接触している上側の熱伝導層1030の下側表面(または、もし上側の伝導層1030が存在しなければ冷却要素120の下側表面)は、それが使用され得る表面の輪郭とより良好に適合するように、輪郭を付けられてもよい。たとえば、熱伝導層1030の下側表面(または冷却要素120の下側表面)は、凹状もしくは凸状であってもよく、円柱形、楕円体、もしくは球形のいずれかであってもよく、またはその下側表面は別の表面形状もしくはこうした局所的形状の組み合わせを有してもよく、実質的に平面状でなくてもよい。
【0102】
本開示のさらに別の例示的実施形態においては、たとえば
図11に示されるとおり、たとえば複数の冷却要素120および/または複数の接触素子110などを含む装置1100が提供されてもよい。
図11に示される例示的構成は、2つの冷却要素120および2つの接触素子110を含み、1つの接触要素110が各冷却要素120と熱的に連絡して設けられる。加えて、例示的装置1100は、たとえば2つまたはそれ以上の接触素子110と熱的に連絡して設けられた1つの冷却要素120、1つの接触素子110と熱的に連絡して設けられた複数の冷却要素120、またはこうした対形成の組み合わせなど、これらの特徴の他の組み合わせを含んでもよい。たとえば、特定の構成においては、単一の冷却要素120よりも複数の冷却要素120の方が、1つまたはそれ以上の接触素子110に対する良好な温度制御を提供できる。代替的に、特定の構成においては、単一の接触素子110よりも複数の接触素子110の方が、組織のより大きい処置面積により適合する接触表面140を提供できる。
【0103】
複数の冷却要素120および/または複数の接触素子110を含む本開示の例示的実施形態は、本明細書に記載されるあらゆるその他の特徴または実施形態とともに使用されてもよい。たとえば、1つもしくはそれ以上の温度センサ410および/または1つもしくはそれ以上の圧力センサ810が、各冷却要素120および/または各接触素子110と関連付けられてもよい。1つまたはそれ以上の制御要素150(
図11には示さず)が設けられてもよく、もし存在すれば温度センサ410および/または圧力センサ810の特定のものが、1つまたはそれ以上のこうした制御要素150と通信して設けられてもよい。本明細書に記載されて
図2B〜2Kに示される任意のくぼみ特徴またはその任意の組み合わせが、接触素子110の任意のものとともに使用されてもよい。2つ以上の特定の特徴を含む装置1100の特定の構成の設計は、たとえば望ましい温度制御を提供すること、より大きい面積の皮膚組織の制御された冷却を容易にすること、装置1100の接触表面140全体にわたる局所的冷却パラメータの変動を与えることなどのための公知の設計原理に基づいていてもよい。1つまたはそれ以上のこうした接触素子110は、たとえば
図10に示されるとおり、変形可能な接触フィルム1010と、伝導性媒体1020とを含んでもよい。さらに、1つまたはそれ以上の接触素子110は、たとえば
図7に示されて本明細書に記載されるとおりの、異なる熱浸透率(diffusivities)を有する複数の材料を含んでもよい。
【0104】
本明細書に記載される任意の例示的実施形態に従う複数の寒冷療法処置が、皮膚のさらなる美白を生成するために皮膚の特定の範囲に対して行われ得る。こうした例示的な複数の処置は、特定の処置による色素沈着低下効果がその後の処置を行う前に視覚的に明白になるようにするために、たとえば数日間または数週間などのより長い間隔を置いて行われてもよい。こうした例示的な複数の処置は、処置範囲の皮膚外観を徐々に明るくするために使用され得る。
【0105】
本開示のさらなる例示的実施形態においては、低温技術を用いて色素沈着低下を生じることによって、皮膚組織の外観を徐々に制御可能に明るくするための方法が提供され得る。たとえば、本明細書に記載される例示的温度および時間を用いて色素沈着低下を誘導することなどのために、やはり本明細書に記載される複数のくぼみ210を含み得る接触表面140と接触させることによって、表皮皮膚組織の領域を冷却または凍結してもよい。こうした例示的手順の間に、凍結された表皮領域の下にある上側真皮層の部分も凍結または冷却され得る。これらの例示的な時間および温度の露出は、冷却または凍結した皮膚組織における色素沈着低下応答を誘導し得る。したがって、本明細書に記載される本開示に従う低温色素沈着低下の方法および/または手順の例示的実施形態は、処置される皮膚の範囲の徐々の美白を提供できる。
【0106】
加えて、本明細書に記載される例示的手順は、皮膚の特定の範囲をさらに明るくするためにそこに対して繰り返され得る。好ましくは、連続する手順の間隔は、色素沈着低下効果を視覚的に明白にして、得られる美白の全体の程度をより良好に制御することを可能にするために十分に長くてもよい。所望であれば、たとえば1つまたはそれ以上の特定の処置時間に対する1つまたはそれ以上の特定の温度における接触冷却または凍結を提供するための特定の例示的装置を用いて、皮膚の第1の範囲において第2の範囲よりも全体的に高い程度の色素沈着低下を提供するために、複数の例示的手順がもっと短い間隔で繰り返されてもよい。
【0107】
たとえ本明細書において単一の実施形態に特定の例示的組み合わせが明示的に例示または記載されていなくても、本明細書に記載される冷却要素、温度および/または凍結検出器、ならびにその他の装置特徴のさまざまな組み合わせが、本開示のさらなる例示的実施形態において使用され得る。さらにより有利な例示的実施形態を提供するために、可能であるときに各特徴の利点または特徴が組み合わされてもよい。
【実施例】
【0108】
本明細書に記載される制御された冷却手順の、皮膚色素沈着への影響の効力をテストするために、
図1に示される装置100と類似の、本開示の例示的実施形態に従う例示的装置を用いた。この装置は、約40mmの幅の正方形の低温表面と、深さ約20mmであって、直径約10mmの円形の接触表面140に向かって先細になったアルミニウムで形成される接触素子110とを有する熱電冷却機を含む。接触表面140は18のディボット210を含み、各ディボット210は直径1mmおよび深さ1mmの丸い形状である。したがって、ディボット210によってカバーされる接触表面積の分率は約0.18(18%)である。接触表面140の端縁の近くの小さな溝の中にサーミスタを設けて、サーミスタの側部が接触表面140と実質的に同一平面になるようにした。サーミスタが測定する温度を予め設定した値に維持するために、冷却機に対して従来の制御要素を用いた。冷却機の高温側を冷却するために、循環する冷却剤を用いた。比較の目的のために、わずかに凸状の接触表面を有してくぼみを有さない、類似の寸法の第2の接触素子を用いて、接触温度および時間のさまざまな組み合わせに対する色素沈着効果に対するくぼみの効果を評価した。
【0109】
この例示的装置を用いて、接触表面温度および接触時間のさまざまな組み合わせに対して、シンクレアブタの側腹のマークを付けた場所を制御可能に冷却した。ブタのモデルは、多くの領域においてヒトとの生理学的および解剖学的類似を有する、生物医学研究に対するよく認識されたモデルである。たとえば、ブタの皮膚の組織学的特性および生化学的特性は、ヒトの皮膚のそれと類似していることが一般的に認識されている。ヒトと同様に、ブタは比較的無毛であり、固定された皮膚が皮下組織にしっかりと付着しており、加えてブタの皮膚は、たとえば角質層の厚さおよび濾胞構造など、ヒトの皮膚とのさらなる類似を示す。
【0110】
図12Aは、この図面の中央におけるブタの皮膚の特定の場所と、−9℃の温度にて提供したくぼみのある接触表面とを15秒間の接触持続時間だけ接触させることによって観察された色素沈着低下を示すものであり、処置の4週間後に撮影したものである。
図12Bは、処置の9.5週間後に観察された、
図12Aの色素沈着低下と同じ円形領域を示す。これらの画像においては、処置範囲の美白を明瞭にみることができる。
【0111】
図13Aの中央部分は、同様に−9℃の温度にて提供した平滑な(くぼみのない)接触表面と15秒間の接触持続時間だけ接触させることによって処置したブタの皮膚の場所を、処置の4週間後に観察したものである。
図13Bは、処置の9.5週間後の、
図13Aと同じ皮膚の冷却円形領域を示す。これらの画像においては、処置範囲の識別可能な美白はほとんどまたはまったくない。
【0112】
図14Aおよび
図14Bは、接触持続時間が30秒間であったことを除いて
図12Aおよび
図12Bに対して上述したものと同じパラメータによって、くぼみのある接触表面を用いて制御可能に冷却したブタの皮膚領域の画像(それぞれ処置の4週間後および9.5週間後に得たもの)を示す。同様に、
図15Aおよび
図15Bは、他のパラメータは
図14Aおよび
図14Bに対して上述したものと同じ(例、−9℃の接触表面温度における30秒間の接触持続時間)にして、平滑な接触表面を用いて制御可能に冷却したブタの皮膚領域の画像(それぞれ処置の4週間後および9.5週間後に得たもの)を示す。ここでも、これらの画像の処置中央部分において、処置範囲の色素沈着低下はほとんどまたはまったくみられない。
【0113】
くぼみのある接触表面を用いるときの、
図12A〜
図12Bおよび
図15A〜
図15Bに対して記載されるものを含む時間/温度条件の範囲にわたって、皮膚組織の凍結およびその後の色素沈着低下を観察した。これに対し、類似の条件下で平滑な接触表面を使用したときには結果がそれほど一貫していなかった。たとえば、平滑な接触表面によって皮膚を−9℃に15秒間冷却したときには、皮膚組織の凍結およびその後の色素沈着低下は観察されず、平滑な接触表面によって−9℃に30秒間冷却したときには皮膚の冷却領域のいくつかのみが凍結および色素沈着低下を示した。
【0114】
一般的に、くぼみのある表面は、たとえば−7℃にて15秒間および−5℃にて60秒間などを含む、本明細書に記載されるさまざまな時間/温度条件下でブタの皮膚における何らかの皮膚凍結およびその後の色素沈着低下を一貫して生じ得ることを観察した。これに対し、類似の時間/温度条件下で平滑な接触表面を用いたときの皮膚の色素沈着低下の生成はそれほど一貫しておらず、より短い接触時間およびわずかに温かい温度の特定の組み合わせ(例、−9℃にて15秒間)においては、色素沈着低下を何ら生じなかった。
【0115】
したがって、くぼみのある表面は、本明細書に記載される接触時間および温度の組み合わせに対して、皮膚組織において信頼性が高く繰り返し可能に凍結を開始して色素沈着低下効果を生じ得るのに対し、平滑な低温表面による類似の条件下での皮膚表面の冷却は、より信頼性の低い結果を生じ得る。さらに、くぼみのある接触表面の使用は、平滑な接触表面によって達成できるものよりもわずかに温かい温度および/または短い接触時間における色素沈着低下の生成を促進できる。
【0116】
前述は、本開示の例示的実施形態の原理を単に例示したものである。当業者によって図面、開示および添付の請求項の検討から請求される開示が実施される際に、開示される例示的実施形態に対するその他の変形が理解されて実施されてもよい。請求項において、「含む(comprising)」という言葉は他の構成要素またはステップを排除するものではなく、さらに不定冠詞「a」または「an」は複数形を排除するものではない。単一のプロセッサまたはその他のユニットが、請求項に記載されるいくつかの項目またはステップの機能を満たしてもよい。単に特定の尺度が互いに異なる従属請求項に記載されているという事実は、これらの尺度の組み合わせを有利に使用できないことを示すものではない。請求項中の任意の参照符号は、請求項の範囲を制限するものと解釈されるべきではない。本明細書の教示に鑑みて、当業者には記載される例示的実施形態のさまざまな修正および変更が明らかになるであろう。よって当然のことながら、当業者は、本明細書に明示的に記載されていないが、本開示の原理を具現化するものであるために本開示の趣旨および範囲内である多数の技術を考案できるだろう。本明細書に引用されるすべての特許および出版物は、本明細書においてその全体が引用により援用される。