【実施例】
【0045】
[使用原料]
実施例1ないし17及び比較例1ないし13の直進引裂性シーラントフィルムの作製に際し、各層を形成する原料樹脂として、次の樹脂「PP1」ないし「PP7」のポリプロピレン系樹脂、「PE1」、「PE2」のポリエチレン樹脂から選択し、表1ないし表7の配合量(重量%)に基づいて調製した。樹脂PP1ないしPP5については、後出のとおりキシレン可溶分樹脂の重量平均分子量(MW
X)とキシレン可溶分中のエチレンコンテントを測定し、特定の物性の樹脂として表す。
【0046】
(PP1):プロピレン−エチレンブロック共重合体
メルトフローレート:7g/10min
キシレン可溶分樹脂の重量平均分子量:4.83×10
5
キシレン可溶分中のエチレンコンテント:43.8重量%
PP1の(MW
X)と(MFR
X)の積(P):34×10
5
(PP2):プロピレン−エチレンブロック共重合体
メルトフローレート:7g/10min
キシレン可溶分樹脂の重量平均分子量:18.8×10
5
キシレン可溶分中のエチレンコンテント:73.4重量%
PP2の(MW
X)と(MFR
X)の積(P):132×10
5
(PP3):プロピレン−エチレンブロック共重合体
メルトフローレート:2.5g/10min
キシレン可溶分樹脂の重量平均分子量:10.1×10
5
キシレン可溶分中のエチレンコンテント:59.9重量%
PP3の(MW
X)と(MFR
X)の積(P):25×10
5
(PP4):プロピレン−エチレンブロック共重合体
メルトフローレート:2.5g/10min
キシレン可溶分樹脂の重量平均分子量:4.35×10
5
キシレン可溶分中のエチレンコンテント:51.8重量%
PP4の(MW
X)と(MFR
X)の積(P):11×10
5
(PP5):プロピレン−エチレンブロック共重合体
メルトフローレート:2.5g/10min
キシレン可溶分樹脂の重量平均分子量:3.96×10
5
キシレン可溶分中のエチレンコンテント:40.8重量%
PP5の(MW
X)と(MFR
X)の積(P):10×10
5
【0047】
(PP6):ホモポリプロピレン(日本ポリプロ株式会社製,商品名「FL203D」,MFR:3.0g/10min)
(PP7):プロピレン−エチレンランダム共重合体(日本ポリプロ株式会社製,商品名「WFW4M」,MFR:7.0g/10min,融点:125℃)
(PE1):高密度ポリエチレン(京葉ポリエチレン株式会社製,商品名「FX501」,MFR:0.04g/10min,密度:950kg/m
3)
(PE2):低密度ポリエチレン(宇部丸善ポリエチレン株式会社製,商品名「R300」,MFR:0.35g/10min,密度:920kg/m
3)
また、炭酸カルシウム(平均粒径1.1μm)を使用した。
各樹脂のメルトフローレートの測定は、JIS K 7210−1(2014)のA法に準拠し、ポリプロピレン系樹脂については230℃、2.16kg荷重の条件とし、ポリエチレン系樹脂については、190℃、2.16kg荷重の条件とした。
【0048】
[キシレン溶解]
樹脂PP1ないしPP5のそれぞれ5ないし6gをキシレン中で還流溶解し、冷却後に遠心分離してキシレン可溶分液を分取した。キシレン可溶分液をさらに濃縮し、ここにメタノールを添加して析出、沈殿した。この析出物を濾過して回収し、乾燥した。こうして、各樹脂に対応するキシレン可溶分の試料を得た。
【0049】
〈重量平均分子量の測定〉
キシレン可溶分の重量平均分子量(MW
X)は、Agilent社製,PL−GPC220を使用し、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定した。そして、重量平均分子量(MW
X)とメルトフローレート(MFR
X)との積(P)も算出した。
【0050】
〈エチレンコンテントの測定〉
キシレン可溶分のエチレンコンテントの測定に際し、社団法人日本分析学会 高分子分析懇談会編集 高分子分析ハンドブック(2013年5月10日,第3刷) 412〜413ページに記載のエチレン含有量の定量方法(IR法)に従い各樹脂のエチレンコンテントを測定した(単位:重量%)。
【0051】
[直進引裂性シーラントフィルムの作製]
実施例1ないし18及び比較例1ないし13の直進引裂性シーラントフィルムの作製は、表1ないし表7に示した樹脂種(前記参照)とその配合割合(重量%)に基づく。実施例及び比較例のフィルムは第1外層部20、内層部10、及び第2外層部30を備える3層構造とした(
図1参照)。そこで、第1外層部、内層部、及び第2外層部に対応する原料樹脂のペレット等を押出機に供給し、供給原料を溶融、混練して一度に三層共押出Tダイフィルム成形機とこれに続くロール間縦一軸延伸機により製膜した。延伸倍率は、各表に記載の縦方向(流れ方向,MD)の倍率とした。ただし、比較例12の製膜に際し、縦一軸延伸を省略した。
【0052】
[直進引裂性シーラントフィルムを用いたつや消し調複合フィルムの作製]
つや消し調複合フィルムの作製に際し、実施例1の直進引裂性シーラントフィルムの第2外層部の表面に、シール層部として無延伸キャストポリプロピレンフィルム(フタムラ化学株式会社製,商品名「FHK2#20」,厚さ20μm)を積層した。フィルム同士の積層に際し、接着剤(ドライラミネート接着剤)は、主剤(東洋モートン株式会社製,TM−329)を17.2重量%、硬化剤(同社製,CAT−8B)を17.2重量%、及び酢酸エチル65.6重量%を混合して調製した。前記調製の接着剤(固形分)の塗布量は4g/m
2とした。こうして、実施例18のつや消し調複合フィルムを作製した。
【0053】
[厚さの測定]
直進引裂性つや消し調縦一軸延伸フィルム(縦一軸延伸フィルム)について、厚さ測定器(株式会社東洋精機製作所製)を用い測定して全層厚さ(μm)を求めた。
【0054】
[光学物性の測定]
ヘーズの測定は、JIS K 7136(2000)に準拠し、ヘーズメーター(日本電色工業株式会社製,NDH−4000)を使用し、全実施例及び比較例について測定した(単位%)。
光沢の測定は、JIS Z 8741(1997)に準拠し、光沢計(スガ試験機株式会社製,UGV−5P)を使用し、入射角60°において全実施例及び比較例について測定した(単位%)。なお、光沢は流れ方向(MD)と幅方向(TD)の両方について測定した。
全光線透過率は、JIS K 7361−1(1997)に準拠し、ヘーズメーター(日本電色工業株式会社製,NDH−4000)を使用し、全実施例及び比較例について測定した(単位%)。
【0055】
[直進引裂性試験]
前掲の
図3ないし5に開示の直進引裂性試験(I)に従った。製膜により得た実施例1ないし18及び比較例1ないし13の直進引裂性シーラントフィルムについて、各フィルムの製膜時の流れ方向(MD)に300mmの長辺、幅方向(TD)に100mmの短辺の長方形状に切り出して各実施例及び比較例に対応した試験フィルムとした。一方の短辺側端より試験フィルムの内側に10mmと110mmの距離に短辺と平行となる100mm間隔の直線を油性ペンにより書いた。他方の短辺の中間部分において、短辺から長辺と平行に試験フィルムの内側に向けて10mmの間隔で170mmの切れ込みを2本入れた。結果、同箇所に幅10mmの長尺の舌片部を形成した。舌片部を捲って逆向きに折り返した。
【0056】
続いて、試験フィルムをアクリル樹脂の板部材に固定し、試験フィルムを板部材とともに引張試験機の固定台部に固定した。舌片部を試験フィルム50から180°の対向位置に捲り舌片部の末端部を引張試験機の掴持部に固定した。各部の固定後、掴持部は1000mm/minで120mmの距離分、舌片部の切れ込み方向に引っ張り上げて試験フィルムを引き裂いた。
【0057】
直進引裂試験(I)において、はじめに試験フィルムの引き裂き前(引き裂き開始時点)の舌片部の幅(L1)を計測した。舌片部の幅(L1)は10mmとみなすことができる。そして、引き裂きを終えて試験フィルムの内部側に食い込み引き裂きが進んだ舌片部の幅(L2)も計測した。そこで、前出の式(fi)のとおり、引き裂きの前の幅(L1)と後の幅(L2)の差を求め(絶対値)、直進引裂性の切れ込み幅の幅変化量(D)とした。幅変化量(D)が5mm以内に収まったか否かを確認した。幅変化量(D)が5mm以内を「○」、5mm超過を「×」として評価した。
【0058】
結果は表1ないし表7のとおりである。上から順に、第1外層部(20)、内層部(10)、及び第2外層部(30)の樹脂種、延伸倍率(倍)、厚さ(μm)、ヘーズ(%)、光沢(MD)及び(TD)(%)、全光線透過率(%)、及び直進引裂性(良否)を示す。さらに、表8において、実施例18のつや消し調複合フィルムの結果も示す。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】
【表4】
【0063】
【表5】
【0064】
【表6】
【0065】
【表7】
【0066】
【表8】
【0067】
[結果・考察]
〈延伸倍率〉
製膜時に縦一軸延伸を行っていない比較例12は直進引裂性が劣る。また、延伸倍率が10倍の比較例13では全光線透過率が低下した。次に、実施例1、実施例13ないし17の延伸倍率によると、3種の光学物性のいずれも良好であり、しかも直進引裂性も良い。ゆえに、ロール間延伸は2ないし10倍、さらには3ないし8倍が好ましい。
【0068】
〈第1外層部〉
(i)第1外層部はプロピレン−エチレンブロック共重合体を主成分とし、その好ましい量は過半数ないし全量(60ないし100重量%の割合)である。実施例8と比較例4の比較から、プロピレン−エチレンブロック共重合体の量が少ないほど光沢が強まる傾向にある。
【0069】
(ii)各実施例の第1外層部の主成分となるプロピレン−エチレンブロック共重合体について、各樹脂のメルトフローレート(MFR
X)は、いずれも1ないし15g/10minを満たす。ゆえに前記のメルトフローレートの範囲は好ましい範囲と考えられる。
【0070】
(iii)キシレン可溶分樹脂の重量平均分子量(MW
X)とメルトフローレート(MFR
X)との積(P)に関し、20×10
5〜150×10
5の範囲内の樹脂PP1、PP2、PP3を使用の実施例はいずれも好ましい光学物性を示した。これに対し、当該範囲から外れた樹脂PP4、PP5を使用の比較例1と2については光沢が強まった。従って、前記の積(P)の範囲が適切である。
【0071】
(iv)実施例に使用した樹脂のキシレン可溶分のエチレンコンテントはいずれも30ないし95重量%の範囲内にある。この点を加味し、キシレン可溶分のエチレンコンテントの範囲は好ましい範囲と考えられる。
【0072】
〈内層部〉
内層部中のポリプロピレン系樹脂と炭酸カルシウムの関係について、炭酸カルシウムの無配合の比較例10では、ヘーズ値が少なくつや消し調になり難い。また、12重量%を超過する比較例11ではつや消し調は高まるものの、全光線透過率が下がることから視認性の低下が問題となる。そこで、実施例9,10を勘案して、内層部中の炭酸カルシウム量は、当該内層部の重量当たり2ないし10重量%が好例の範囲である。
【0073】
〈光学物性〉
光学物性は機械測定の数値とともに、作製したフィルムを目視により確認しつや消し調、光沢、光の透過具合を踏まえて範囲の絞込みを行った。ヘーズ値について、比較例10の数値では、フィルムのつや消し具合が少ない。そこで、適度な曇り具合を呈する実施例5を基準に他の物性を考慮して50%をヘーズ値の下限とした。ヘーズ値の上限は実施例10より95%とした。よって、ヘーズ値は50ないし95%の範囲となる。
【0074】
光沢の数値は延伸の倍率、第1外層部の樹脂組成、炭酸カルシウムの添加量等によりばらつく。しかしながら、数値が低いほど照りやぎらつき感は抑えられ、美麗なつや消し調を呈する。そこで、フィルムにおけるつや消し調を実現する観点から光沢は10ないし40%の範囲となる。また、全光線透過率については、視認性確保とつや消し調を両立させる観点から比較例13では不十分であった。そこで、同例を上回る数値を採用して75%以上とした。
【0075】
〈つや消し調複合フィルム〉
表8は実施例18のつや消し調複合フィルムである。同例の直進引裂性シーラントフィルムの第2外層部の表面にシール層部を備えた構造においても、各種の光学物性は良好であり、しかも、直進引裂性試験も良好であった。
【0076】
[まとめ]
一連の実施例及び比較例の検証よって、縦一軸延伸の製膜を採用しながらもつや消し調の美麗さや高級感を備えて直進引裂性シーラントフィルムを作製することができた。そこで、各種の包装資材用途の需要に適する。特に、真っ直ぐな引き裂きが容易となるため、開封し易さの付加価値も伴う。加えて、直進引裂性シーラントフィルムはつや消し調複合フィルムとすることが可能となるため、さらに各種の機能を備えた資材としても柔軟に対応できる。