(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
熱圧着部面積率が6〜40%であり、不織布の流れ方向(機械方向)とその方向と直角方向(巾方向)の熱圧着部間距離がいずれも、0.6〜3mmである、請求項1に記載のカイロ用長繊維不織布。
【背景技術】
【0002】
使い捨てカイロをはじめとした使い捨て保温具は、一般的に空気中で発熱する組成物を、不織布又は紙にポリエチレン等のフィルムをラミネートした材料であって、該フィルムが有孔若しくは微孔フィルムであるか又はラミネート後に該フィルムを孔あけして通気性を持たせたもので包んだものである。一般に、フィルム単体では硬いものの、不織布を積層することにより、フィルム特有の貼りついた触感、ゴワゴワする肌触り等を防ぎ、布的触感が付与されている。
【0003】
また、貼らないカイロの不織布には、人体への接触時の柔らかさを与える機能等が要求されると同時に、使用者の揉みしだき動作に伴う布帛の毛羽立ちによる使用感の劣化を防止するための機能も必要となる。
以下の特許文献1には、ポリエステル系又はポリプロピレン系合成繊維を含む不織布を水流交絡によって接合する方法による得られる、肌触り、柔軟性、耐摩耗性に優れた不織布が開示されている。しかしながら、この方法では、繊維の固定が不十分であり長繊維を用いても繊維が切断され布帛の毛羽立ち・ピリングを抑制することができないという問題がある。
【0004】
また、以下の特許文献2と3には、スパンボンド法での製造において一対の彫刻ロール/フラットロールにより加熱・圧着する際、フラットロールの温度を彫刻ロールより低温とし、温度差を設けることで、エンボス面側のみ毛羽立ちを抑え、フラット面をフィルムと複合する方法が開示されている。かかる方法であれば、不織布厚み方向全体が熱圧着されないため、不織布の柔らかさを残すことが可能となるが、フラット面が熱圧着されていないため、強度面において劣るという問題がある。
【0005】
不織布の柔軟性を向上させる方法として、繊維の剛性を低下させる方法がある。例えば、以下の特許文献4には、ポリブチレンテレフタレートに非晶性ポリエステルをブレンドして、素材のモジュラスを低減させ、柔らかさとヒートシール性を付与する方法が開示されている。しかしながら、この方法では、柔軟性は向上するものの、繊維が柔らかいため、不織布強度が弱く、破れやすい問題がある。
【0006】
また、以下の特許文献5には、不織布に、軟化剤として界面活性剤・パラフィンオイルを塗布し、表面摩擦を制御した表面が滑らかなおむつ用不織布が開示されているが、毛羽立ち低減と不織布強度向上の両立させる観点での検討は何らなされていない。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本実施形態のカイロ用長繊維不織布を構成する繊維としては、熱可塑性合成繊維、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、共重合ポリプロピレンなどのポリオレフィン系繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、共重合ポリエステルなどのポリエステル系繊維、ナイロン-6、ナイロン-66、共重合ナイロンなどのポリアミド系繊維、鞘がポリエチレン、ポリプロピレン、共重合ポリエステル、芯がポリプロピレン、ポリエステルなどの組み合わせから成る芯鞘構造等の複合繊維、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネートなどの生分解性繊維などの繊維などが挙げられ、紡糸性に影響のない範囲で、これらの樹脂が混合されていてもよい。
柔軟性の点からはポリアミド系繊維が好ましく、寸法安定性、剛性、耐熱性の点からはポリエステル系繊維が好ましい。
【0013】
不織布を構成する長繊維としては、単独でもよく又は2種以上の繊維を積層して用いることもできる。長繊維の断面形状としては、丸型、及び扁平型、C型、Y型、V型などの異形断面などのいずれでも構わないが、強度の観点から、丸型繊維が好ましい。
【0014】
本実施形態のカイロ用長繊維不織布の好ましい風合いは、KES曲げ剛性が0.2gf・cm
2/cm以下であるものである。曲げ剛性が0.2gf・cm
2/cmより大きいと、カイロとして使用する際のゴワつき感が強く使用者から敬遠され、カイロ用不織布としては好ましくない。より好ましい風合いは、曲げ剛性が0.15gf・cm
2/cm以下であるものである。曲げ剛性の下限は、特に限定はないが、通常得られる不織布のKES曲げ剛性の値である0.01gf・cm
2/cm以上が好ましい。
【0015】
本実施形態のカイロ用長繊維不織布の好ましい耐磨耗性(毛羽等級)は、学振型100回測定における測定方法において3級以上である。耐摩耗性が3級未満である場合、カイロとして使用している際に揉みしだき回数が増えると毛羽立ちを引き起こすため、使用者の触り心地を悪化させ、さらには熱の伝わり具合の変化を引き起こし、カイロ用途として好ましくない。
【0016】
本実施形態のカイロ用長繊維不織布の表面摩擦係数は、0.29以下であり、好ましくは0.27以以下であり、より好ましくは0.25以下である。0.29以下であれば、カイロ用不織布として、触り心地の良い風合いを得ることができると共に、揉みしだき動作時の摩擦による毛羽立ちを抑制することができる。表面摩擦係数は小さいほどよいが、極度に小さくしようとすると圧着面積率を大きく増加させる必要があり、前記したKES曲げ剛性の増加につながり、カイロ用不織布として使用する際のゴワつき感が強くなる。また、界面活性剤の塗布量増加によっても表面摩擦係数を低減させることができるが、フィルムとのラミネートの際、接合強力が低下することがあるため、0.15以上が好ましい。
【0017】
本実施形態のカイロ用長繊維不織布の目付は、好ましくは15〜60g/m
2であり、より好ましくは20〜50g/m
2、さらに好ましくは25〜45g/m
2である。目付が15g/m
2より小さいと、不織布としての強度が下がりすぎ、発熱剤を包み込むというカイロ用途の基本的な性能を維持できない。他方、目付が60g/m
2より大きいと、どんなに圧着を調整しても目付の高さ故のゴワつき感をなくすことができず、揉みしだき性に劣るものとなる。
【0018】
本実施形態のカイロ用長繊維不織布は、例えば、スパンボンド法により効率よく製造することができる。例えば、前記したポリエステル系樹脂を加熱溶融して紡糸口金から吐出させ、得られた紡出糸条を公知の冷却装置を用いて冷却し、エアジェットによる高速気流牽引装置にて牽引細化する。引き続き、吸引装置から排出された糸条群を開繊させた後、コンベア上に堆積させてウェブとする。次いで、このコンベア上に形成されたウェブ、凹凸の表面構造を有するエンボスロールとフラットロールからなる一対の加熱ロール間に不織布を通過させ、不織布全体に均等に分散された熱圧着部を形成させることにより、長繊維スパンボンド不織布を得ることができる。
【0019】
本実施形態のカイロ用長繊維不織布は界面活性剤を含有する。界面活性剤としては、公知の繊維柔軟剤が挙げられる。具体的には、カルボン酸塩系のアニオン界面活性剤、スルホン酸塩系のアニオン界面活性剤、硫酸エステル塩系のアニオン界面活性剤、リン酸エステル塩系のアニオン界面活性剤(特にアルキルリン酸エステル塩)等のアニオン界面活性剤;ソルビタン脂肪酸エステル、ジエチレングリコールモノステアレート、ジエチレングリコールモノオレエート、グリセリルモノステアレート、グリセリルモノオレート、プロピレングリコールモノステアレート等の多価アルコールモノ脂肪酸エステル、N−(3−オレイロキシ−2−ヒドロキシプロピル)ジエタノールアミン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビット蜜ロウ、ポリオキシエチレンソルビタンセスキステアレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンセスキステアレート、ポリオキシエチレングリセリルモノオレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、非イオン変性アミノシリコーンオイル等の、非イオン系界面活性剤;第4級アンモニウム塩、アミン塩又はアミン等のカチオン界面活性剤;カルボキシ、スルホネート、サルフェートを含有する第2級若しくは第3級アミンの脂肪族誘導体、又は複素環式第2級若しくは第3級アミンの脂肪族誘導体等の、両性イオン界面活性剤;などが挙げられる。
中でも非イオン系界面活性剤が好ましい。使い捨てカイロは、空気中で発熱する発熱剤を包み込むために不織布等の布帛にポリエチレン等のフィルムをラミネートするため、ポリオレフィンとの親和性が比較的良好な非イオン系界面活性剤が好ましい。
【0020】
界面活性剤の塗布量(オイルピックアップ量)は、不織布重量に対し、好ましくは0.1wt%〜3.0wt%で塗布され、より好ましくは0.3wt%〜2.0wt%であり、さらに好ましくは0.4wt%〜1.0wt%である。塗布量が少なすぎると、十分な柔軟性の発現、及び表面摩擦低減による毛羽立ちを抑制することができない。不織布を構成する繊維表面が適度に親油性基で覆われていれば十分な柔軟性を発現することができる。塗布量を過剰に多くしても、柔軟性が大幅に向上する訳ではなく、かえってフィルムとのラミネートの際、接合強力が低下するおそれがある。界面活性剤の種類や塗布量は、塗布後の乾燥の兼ね合いによって適宜選択することができる。
【0021】
界面活性剤の塗布方法は、公知の方法で構わない。例えば、ダイレクトグラビアコーター、チャンバードクターコーター、オフセットグラビアコーター、キスコーター、リバースキスコーター、バーコーター、カーテンコーター、エアードクターコーター、ブレードコーター、含浸コーター、等が挙げられる。
【0022】
本実施形態のカイロ用長繊維不織布のドット構造における熱圧着部については、不織布全面積に対して6〜40%の範囲の熱圧着部面積率で熱圧着が行われることが好ましく、より好ましくは7〜30%であり、更に好ましくは7〜25%である。熱圧着部面積率がこの範囲内であれば、良好な繊維相互間の熱圧着処理を実施することができ、得られる不織布を、適度な機械的強度、剛性、寸法安定性を有するものとすることができる。
熱圧着部の形状については、特には限定されないが、好ましくは織目柄、アイエル柄、ピンポイント柄、ダイヤ柄、四角柄、亀甲柄、楕円柄、格子柄、水玉柄、丸柄などが例示できる。
【0023】
熱圧着によって不織布に転写される熱圧着部間の距離は、不織布の流れ方向(機械方向)とその方向と直角方向(巾方向)のいずれにおいても、0.6〜3mmの範囲が好ましく、より好ましくは0.8〜2.5mm、更に好ましくは1〜2mmである。熱圧着部間の距離がこの範囲であれば、界面活性剤を塗布した際に、揉みしだき動作に伴う圧着されていない自由度の高い糸同士の摩擦低減効果が十分に発揮され、柔軟性を向上させると共に、圧着されていない自由度の高い糸が圧着部から外れて毛羽立つ現象を十分に抑制することができる。すなわち、熱圧着部間の距離が狭すぎると毛羽立ちが抑制しやすいが、界面活性剤の摩擦低減効果が低くなり、熱圧着部間距離が広すぎると界面活性剤の摩擦低減効果と基材の柔らかさが十分に発揮されるが、毛羽立ちやすくなってしまう。
【0024】
熱圧着の温度は、供給されるウェブの目付、速度等の条件によって適宜選択されるべきものであり、一概には定められないが、長繊維を構成する樹脂の融点よりも10〜90℃低い温度であることが好ましく、より好ましくは20〜60℃低い温度である。熱圧着の圧力も、供給されるウェブの目付、速度等の条件によって適宜選択されるべきものであり、一概には定められないが、10〜100N/mmであることが好ましく、より好ましくは30〜70N/mmであり、この範囲内であれば、良好な繊維相互間の熱圧着処理を行うことができ、得られる不織布を適度な機械的強度、剛性、寸法安定性を有するものとすることができる。
【0025】
本実施形態のカイロ用長繊維不織布の見かけ密度は、好ましくは0.06〜0.35g/cm
3であり、より好ましくは0.1〜0.33g/cm
3である。見かけ密度が0.06g/cm
3未満では、嵩高い不織布となりすぎ、求められる耐摩耗性を持つことが困難となる。他方、見かけ密度が0.35g/cm
3を超えるとゴワつき感が増し、カイロ特有の手による揉みしだき感が劣化する。
【0026】
本実施形態のカイロ用長繊維不織布をスパンボンド法により製造する際の紡糸速度は、好ましくは3000m/min〜6000m/minであり、より好ましくは3500〜5500m/min、さらに好ましくは3700〜5000m/minである。紡糸速度が3000m/min未満では、熱圧着時の熱収縮を引き起こしやすい。他方、紡糸速度が6000m/min超では、紡糸時の糸切れによる欠点が発生しやすく、また、糸の配向性、結晶性が高くなりすぎ、熱圧着時に熱圧着部での接着が十分でなく、布強力の低下を引き起こす。
【0027】
本実施形態のカイロ用長繊維不織布の非熱圧着部の繊維の複屈折(Δn)は、0.10〜0.15であることが好ましく、より好ましくは0.12〜0.15であり、さらに好ましくは0.13〜0.15である。
本実施形態のカイロ用長繊維不織布を熱圧着する前の繊維の複屈折としては、好ましくは0.06〜0.10の範囲であるが、この繊維を熱圧着することで、繊維の配向性は高まり、非熱圧着部の繊維のΔnが上記の範囲となり、この範囲であると、繊維の微細構造が安定し、低収縮で寸法安定性に優れ、熱圧着部間の繊維強度も十分となる。
【0028】
本実施形態のカイロ用長繊維不織布を構成する長繊維の平均繊維径は7.0μm以上20.0μm以下であることが好ましく、より好ましくは8.0μm以上18μm以下、さらに好ましくは9.0μm以上16.5μm以下である。紡糸安定性の観点から7.0μm以上であることが好ましい。他方、強力や耐熱性の観点や、繊維の構成本数が少なくなり、繊維同士の接点が減少し、熱圧着がされ辛く耐摩耗性を得ることができなくなる可能性から20μm以下が好ましい。
【実施例】
【0029】
以下、実施例と比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例のみに限定されるものではない。尚、不織布製造における流れ方向(機械方向)をMD方向、その方向と直角方向で巾方向をCD方向という。
まず、用いた測定条件等を以下に記載する。
【0030】
1.平均繊維径(μm)
キーエンス社製のマイクロスコープ顕微鏡(VH−8000)を用い、繊維の直径を1000倍に拡大して測定し、各20本の平均値として求めた。
【0031】
2.目付(g/m
2)
JIS−L1906に準じ、MD方向20cm×CD方向5cmの試験片を不織布のCD方向に採取位置が均等になるように5枚採取して質量を測定し、その平均値を単位面積あたりの重量に換算して目付(g/m
2)を求めた。
【0032】
3.厚さ(mm)
JIS L1906(2000)5.1 厚さに準拠し、荷重19.6cN/cm
2(20gf/cm2)で測定した。
【0033】
4.見かけ密度(g/cm
3)
上記2で測定した目付と上記3で測定した厚さから、下記式:
見かけ密度=目付け÷(厚さ×1000)
を用いて算出した。
【0034】
5.耐摩耗性(毛羽等級)[級]
株式会社大栄科学精器製作所製「学振型染色物摩擦堅牢度試験機」を用いて、不織布を試料とし、摩擦布は金巾3号を使用して、荷重500gfを使用、摩擦回数100往復にて摩擦させ、不織布表面の毛羽立ち、磨耗状態を下記の基準に目視判定で評価した(n=5の平均値)。
0級:損傷大
1級:損傷中
2級:損傷小
3級:損傷なし、毛羽発生あり小
4級:損傷なし、毛羽発生微小
5級:損傷なし、毛羽なし
【0035】
6.風合い(KES曲げ剛性)[gf・cm
2/cm]
カトーテック株式会製KES−FB2(KAWABATAS EVALUATION SYSTEM−2 PURE BENDING TESTER)を用い、試料は10cm角とし、1cm間隔のチャックに試料を把持して、曲率−2.5〜+2.5cm
−1の範囲で、0.50(cm
−1)の変形速度で純曲げ試験を行い、曲げ剛性(B)を求めた。
【0036】
7.表面摩擦係数
JIS−K7125に準じ、タテ(MD方向)20cm×ヨコ(CD方向)8cmに切り取った試料に、摩擦子に共布を摩擦方向がタテになるようにセットした接触面積40cm
2(一辺の長さ63mm)の正方形で質量200gのすべり片を乗せ、速度100mm/分で引っ張ったときの動摩擦力を測定した。タテ(MD)方向を3回測定し、下記式から算出した平均値を表面摩擦係数とした。数値が小さい方が、摩擦抵抗が少ないことを意味する。
表面摩擦係数=動摩擦力(N)/滑り片の質量によって生じる法線力(=1.96N)
【0037】
8.引張強力(N/30mm幅)
島津製作所社製オートグラフAGS−5G型を用いて、30mm幅の試料を把握長100mm、引張速度300mm/minで伸長し、得られる破断時の荷重を不織布のMD方向について5回測定を行い、その平均値として求めた。
【0038】
9.複屈折率(Δn)
熱圧着後の不織布から非熱圧着部となる糸を採取し、OLYMPUS社製のBH2型偏光顕微鏡コンペンセーターを用いて、通常の干渉縞法によってレターデーションと繊維径より複屈折率を求めた。
【0039】
[実施例1]
融点が265℃であるポリエチレンテレフタレート樹脂を常用の溶融紡糸装置に供給して300℃で溶融し、円形断面の紡糸孔を有する紡糸口金から吐出し、エアジェットによる高速気流牽引装置を使用して紡糸速度4500m/minで延伸しながら、糸を冷却し、移動捕集面へ開繊し、平均繊維径が13.6μmの長繊維ウェブを目付35g/m
2となるように作製した。次に、熱圧着部面積率14.4%であり、MD方向の熱圧着部間距離が0.7mm、とCD方向の熱圧着部間距離0.7mmとなる織り目柄エンボスロールとフラットロールを用いて、該彫刻ロールの表面温度を230℃、該フラットロールの表面温度を230℃とし、カレンダー線圧30N/mm、熱圧着することにより不織布を得た後、非イオン性アミノ変性シリコーンオイル系界面活性剤を含浸コートにて塗布量0.5wt%で塗布した。得られた不織布の物性等を以下の表1に示す。
【0040】
[実施例2]
熱圧着時に熱圧着部面積率11.4%であり、MD方向の熱圧着部間距離が3.0mmとCD方向の熱圧着部間距離2.8mmとなるアイエル柄エンボスロールとした以外は、実施施例1と同様の条件下で不織布を得た。得られた不織布の物性等を以下の表1に示す。
【0041】
[実施例3]
主原料の熱可塑性樹脂に融点225℃のナイロン-6樹脂を用い260℃で溶融させたこと、平均繊維径が、14.2μmの長繊維ウェブの目付を40g/m
2、彫刻ロールの表面温度を200℃、フラットロールの表面温度を200℃としたこと以外は、実施例1と同様の条件下で不織布を得た。得られた不織布の物性等を以下の表1に示す。
【0042】
[実施例4]
熱圧着時に熱圧着部面積率11.4%であり、MD方向の熱圧着部間距離が3.0mmとCD方向の熱圧着部間距離2.8mmとなるアイエル柄エンボスロールとした以外は、実施例3と同様の条件下で不織布を得た。得られた不織布の物性等を以下の表1に示す。
【0043】
[実施例5]
熱圧着時に熱圧着部面積率6.3%であり、MD方向の熱圧着部間距離が1.7mmとCD方向の熱圧着部間距離1.7mmとなるピンポイント柄エンボスロールとした以外は実施例3と同様の条件下で不織布を得た。得られた不織布の物性等を以下の表1に示す。
【0044】
[実施例6]
界面活性剤にポリオレフィン系非イオン界面活性剤を含浸コートにて塗布量0.5wt%にて塗布したこと以外は、実施例4と同様の条件下で不織布を得た。得られた不織布の物性等を以下の表1に示す。
【0045】
[実施例7]
目付を45g/m
2になるようにコンベアネットの速度を調整した以外は、実施例2と同様の条件下で不織布を得た。得られた不織布の物性等を以下の表1に示す。
【0046】
[実施例8]
目付を60g/m
2になるようにコンベアネットの速度を調整したこと、彫刻ロールの表面温度を210℃、フラットロールの表面温度を210℃としたこと以外は、実施例4と同様の条件下で不織布を得た。得られた不織布の物性等を以下の表1に示す。
【0047】
[比較例1]
界面活性剤の塗布を実施しないこと以外は、実施例1と同様の条件下で、不織布を得た。得られた不織布の物性等を以下の表2に示す。得られた不織布の耐磨耗性は良好であったが、KES曲げ剛性が高く、カイロ基布としては風合いの悪いものであった。
【0048】
[比較例2]
界面活性剤の塗布を実施しないこと以外は、実施例2と同様の条件下で不織布を得た。得られた不織布の物性等を以下の表2に示す。得られた不織布は、比較例1よりも、KES曲げ剛性は低減しているものの、カイロ基布としては未だ風合いの悪いものであり、耐磨耗性(毛羽等級)も低くカイロとして使用上問題のあるものであった。
【0049】
[比較例3]
界面活性剤の塗布を実施しないこと以外は、実施例3と同様の条件下で不織布を得た。得られた不織布の物性等を以下の表2に示す。得られた不織布の柔軟性は実施例3よりも劣るものの良好であったが、耐摩耗性(毛羽等級)が低く、カイロとして使用上問題のあるものであった。
【0050】
[比較例4]
界面活性剤の塗布を実施しないこと以外は、実施例4と同様の条件下で不織布を得た。得られた不織布の物性等を以下の表2に示す。得られた不織布の柔軟性は実施例4よりも劣るものの良好であったが、耐摩耗性(毛羽等級)が低く、カイロとして使用上問題のあるものであった。
【0051】
[比較例5]
界面活性剤の塗布を実施しないこと以外は、実施例5と同様の条件下で不織布を得た。得られた不織布の物性等を以下の表2に示す。得られた不織布の柔軟性は実施例5よりも劣るものの良好であったが、耐摩耗性(毛羽等級)が低く、カイロとして使用上問題のあるものであった。
【0052】
[比較例6]
熱圧着時に熱圧着部面積率14.7%であり、MD方向の熱圧着部間距離が0.3mmとCD方向の熱圧着部間距離0.3mmとなる織り目柄エンボスロールとした以外は、実施例3と同様の条件下で、不織布を得た。得られた不織布の物性等を以下の表2に示す。得られた不織布の耐磨耗性(毛羽等級)は良好であったが、KES曲げ剛性が高く、カイロ基布としては風合いの悪いものであった。
【0053】
[比較例7]
紡糸速度5000m/minに調整し平均繊維径12.9μmとしたこと、彫刻ロールの表面温度を250℃、フラットロールの表面温度を150℃としたこと以外は、比較例1と同様の条件下で不織布を得た。得られた不織布の物性等を以下の表2に示す。得られた不織布は、比較例1よりも、KES曲げ剛性は低減しているが、カイロ基布としては未だ風合いの悪いものであった。また、エンボスロール面の耐摩耗性(毛羽等級)は良好であったが、フラットロール面の耐磨耗性(毛羽等級)は低かった。得られた不織布は、引っ張り強力も、実施例1、比較例1よりも劣っていたことからカイロ用基布として使用上問題のあるものであった。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】