特許第6976801号(P6976801)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6976801
(24)【登録日】2021年11月12日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】投射型表示装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20211125BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20211125BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20211125BHJP
   H05K 7/14 20060101ALI20211125BHJP
【FI】
   G03B21/14 Z
   G03B21/00 E
   H04N5/74 Z
   H05K7/14 A
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-194839(P2017-194839)
(22)【出願日】2017年10月5日
(65)【公開番号】特開2019-66784(P2019-66784A)
(43)【公開日】2019年4月25日
【審査請求日】2020年9月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】宮島 健
【審査官】 石本 努
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−198817(JP,A)
【文献】 実開平01−093790(JP,U)
【文献】 特開2004−117791(JP,A)
【文献】 実開平02−038764(JP,U)
【文献】 特開2006−084917(JP,A)
【文献】 特開2008−118772(JP,A)
【文献】 特開2012−243875(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B21/00−21/10
21/12−21/13
21/134−21/30
33/00−33/16
G09F9/00
H05K1/14
3/36
7/12−7/14
7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤色、青色、および、緑色の光を変調する複数のパネルと、
前記複数のパネルをそれぞれ制御する複数の回路基板と、
前記複数のパネルのそれぞれから延びており、前複数の回路基板のそれぞれ対して所定の位置関係でのみ接続可能な接続部と、
前記複数の回路基板のうち一つの回路基板を回動可能に支持する支持部を有することを特徴とする投射型表示装置
【請求項2】
前記複数の回路基板のうち一つの回路基板は、所定の軸部を中心として回動可能であることを特徴とする請求項1に記載の投射型表示装置
【請求項3】
前記支持部は板金を含み、
前記板金は、前記複数の回路基板のうち一つの回路基板を支持した状態で回動することにより前記回路基板を回動させることを特徴とする請求項1に記載の投射型表示装置
【請求項4】
前記板金は、ヒンジ部を有し、
所定の軸部を中心として回動することにより前記複数の回路基板のうち一つの回路基板を回動させることを特徴とする請求項3に記載の投射型表示装置
【請求項5】
前記板金は、弾性部材を含み、
前記弾性部材の変形により前記複数の回路基板のうち一つの回路基板を回動させる
ことを特徴とする請求項3に記載の投射型表示装置
【請求項6】
前記複数の回路基板には、前記接続部を接続するためのコネクタが前記複数の回路基板のそれぞれに対して共通の位置に設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の投射型表示装置
【請求項7】
光源からの緑色の光を緑色用の前記パネルへ導く第1の偏光分離部と、
前記光源からの赤色および青色の光を赤色用の前記パネルおよび青色用の前記パネルへそれぞれ導く第2の偏光分離部と、
赤色、青色、および、緑色の前記パネルからの光を合成する合成部と、を有する
ことを特徴とする請求項乃至のいずれか1項に記載の投射型表示装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投射型表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高解像度な画像を投射可能な投射型表示装置は、複数の回路基板を必要とし、投射型表示装置の内部配置の制約上、投射型表示装置の高さ方向に複数の回路基板を積み重ねるようにして配置している。特許文献1には、2枚の回路基板を重ねて配置した電力変換装置が開示されている。特許文献2には、3枚の基板を重ねて配置した半導体装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−174518号公報
【特許文献2】特開2016−146444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された電力変換装置や特許文献2に開示された半導体装置を投射型表示装置に転用しようとすると、R、G、Bのパネルのそれぞれに対する別個のパネル駆動基板が必要となる。すなわち、パネルの構造はRGBのそれぞれに共通であるが、パネルの取り付け姿勢はそれぞれ互いに異なっている。
【0005】
このような状態で各パネル駆動基板の配置制約を守ろうとすると、パネルFPCの端子面とパネル駆動基板に実装されたコネクタの位置および端子面とが合わなくなり、組み立てが困難になる。一方、組み立て性を確保するために、パネルFPCとパネル駆動基板のコネクタ位置および端子面とが合うようにパネル駆動基板を配置すると、投射型表示装置が大型化してしまう。
【0006】
そこで本発明は、従来よりも小型の投射型表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面としての投射型表示装置は、赤色、青色、および、緑色の光を変調する複数のパネルと、前記複数のパネルをそれぞれ制御する複数の回路基板と、前記複数のパネルのそれぞれから延びており、前複数の回路基板のそれぞれ対して所定の位置関係でのみ接続可能な接続部と、前記複数の回路基板のうち一つの回路基板を回動可能に支持する支持部を有する。
【0008】
本発明の他の目的及び特徴は、以下の実施形態において説明される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、従来よりも小型の投射型表示装置を提供することができる。

【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態におけるパネルFPC組み込み前(R基板支持部材の回動前)の状態を示す図である。
図2】各実施形態における投射型表示装置の光学系の模式図である。
図3】各実施形態におけるパネルに実装されたパネルFPCの状態を示す図である。
図4】各実施形態におけるパネル駆動基板の説明図である。
図5】第1の実施形態におけるパネルFPC組み込み後(R基板支持部材の回動後)の状態を示す図である。
図6】第2の実施形態における支持部および基板の説明図である。
図7】第1の実施形態におけるR基板支持部材の周囲構成図である。
図8】第1の実施形態における変形例としてのR基板支持部材の周囲構成図である。
図9】第1の実施形態におけるR基板支持部材の周囲断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
まず、図2を参照して、本発明の第1の実施形態における投射型表示装置の光学系について説明する。図2は、投射型表示装置(プロジェクタ)100の光学系の模式図である。
【0013】
光源から出射した光1は、色分離光学系に入射し、ダイクロミラー2により、直進する緑色光とそれ以外のマゼンダ色光(青色光および赤色光)とに分離される。続いて、直進した緑色光は、1/2波長板3によりS偏光に変換され、偏光ビームスプリッタ4に入射する。そして緑光は、偏光ビームスプリッタ4の反射面で反射し、1/4波長板5を通過した後に緑色用のパネル6に入射して変調される。変調された緑色光は、再び1/4波長板5に入射した後、色合成プリズム(合成部)13に入射する。1/2波長板3、偏光ビームスプリッタ4、および、1/4波長板5は、光源からの緑色の光を緑色用のパネル6へ導く第1の偏光分離部を構成する。
【0014】
一方、青色光および赤色光は、カラーセレクト素子7に入射し、赤色光は例えばP偏光に変換され、青色光はそのままS偏光で偏光ビームスプリッタ8に入射する。S偏光の青色光は、偏光ビームスプリッタ8の反射面で反射し、P偏光の赤色光は透過する。続いて青色光は、1/4波長板11を通過した後に青色用のパネル12に入射して変調され、再び1/4波長板11に入射した後、色合成プリズム13に入射する。赤色光は、1/4波長板9を通過した後に赤色用のパネル10に入射して変調される。変調された赤色光は、再び1/4波長板9に入射し、偏光ビームスプリッタ8で反射した後に色合成プリズム13に入射する。カラーセレクト素子7、偏光ビームスプリッタ8、1/4波長板9、11は、光源からの赤色および青色の光を赤色用のパネル10および青色用のパネル12へそれぞれ導く第2の偏光分離部を構成する。
【0015】
続いて、色合成プリズム13は、赤色光、緑色光、および、青色光を合成して白色光を生成し、投射レンズ14に入射する。投射レンズ14を通過した光は、スクリーン(不図示)上に投影される。
【0016】
次に、図3を参照して、緑色、赤色、青色用のパネル(液晶パネル)6、10、12に実装されたパネルFPC(フレキシブルプリント基板)について説明する。図3は、緑色、赤色、青色用のパネル6、10、12にそれぞれ実装されたパネルFPC(接続部)6a、10a、12aの状態を示す図である。図3に示される構成は、一般的に縦型光学系と呼ばれ、各色用のパネルFPC6a、10a、12aが全て水平方向に延出するという特徴を有する。ただし本実施形態は、これに限定されるものではなく、一部または全てのパネルFPC6a、10a、12aが鉛直方向に延出する光学系にも適用可能である。一般的に、緑色、赤色、青色用のパネル6、10、12は、コストダウンや性能のばらつきを抑える目的で共通化されている(少なくとも、パネルFPCを接続するためのコネクタが共通の位置に設けられている)場合が多い。従って、パネルFPC6a、10a、12aの形状や長さも共通化されている。本実施形態において、回路基板(G基板22、R基板20、B基板21)は、赤色、青色、および、緑色用のパネル6、10、12のそれぞれに対応して複数設けられている。そしてパネルFPC6a、10a、12aは、パネル6、10、12からそれぞれ延びており、G基板22、R基板20、B基板21に対して所定の位置関係でのみG基板22、R基板20、B基板21にそれぞれ接続可能である。
【0017】
ここで、パネルFPC6a、10a、12aのそれぞれの端子面(コネクタ面)の向きに注目する。赤色用のパネルFPC10aの端子面が−Z方向を向いているとすると、青色用のパネルFPC12aはX方向を向き、緑色用のパネルFPC6aはZ方向を向く。この状態で、各色に関して共通化されたパネル駆動基板(R基板20、B基板21、G基板22:回路基板)を配置すると、図4に示されるようになる。
【0018】
図4は、共通化されたパネル駆動基板(R基板20、B基板21、G基板22:回路基板)の説明図である。パネル駆動基板(R基板20、B基板21、G基板22)はそれぞれ、被制御部としてのパネル10、6、12を制御する。図4に示されるように、外装部品15の内部に、電源基板16、光源制御基板17、メイン基板18、インターフェース基板(IF基板)19が積み重ねられている。R基板20、B基板21、および、G基板22はそれぞれ、共通化されたパネル駆動基板(液晶パネル駆動基板、回路基板)である。R基板20はR基板支持部材(支持部)23に取り付けられた状態で、B基板21はB基板支持部材(支持部)24に取り付けられた状態で、パネルの略上側に配置されている。一方、G基板22は、G基板支持部材(支持部)25に取り付けられた状態で、Z方向に沿って立てて配置されている。
【0019】
図1は、赤色用のパネルFPC10aをR基板20の端子部(コネクタ)に挿入するときの状態(パネルFPC10aの組み込み前の状態、すなわちR基板支持部材23の回動前の状態)を示している。図7はR基板支持部材23の周囲構成図であり、図7(a)、(b)はそれぞれ異なる向きから見た図を示している。図9(a)は、R基板支持部材23の周囲断面図である。
【0020】
R基板支持部材(板金)23は、所定の軸部Oを中心としてR基板20を回動させるためのヒンジ部23aを有する。赤色用のパネルFPC10aをR基板20に接続する場合、R基板20は、IF基板19の上部に位置し、その後、ヒンジ部23aを支点にしてR基板20を回動し、最終的には図5に示される位置まで移動する。図5は、パネルFPC10aの組み込み後、R基板支持部材23を回動させた後の状態を示している。R基板支持部材23は、R基板20を支持した状態で、ヒンジ部23aに対応する所定の軸部Oを中心としてR基板20を回動させることによりR基板20を回動させる。
【0021】
図7および図9(a)に示されるように、R基板支持部材23に固定された接続板金23bの穴部とB基板支持部材21に固定された接続板金24bの穴部を同一直線上に並べ、かつ軸を通すことで蝶番の構成をなしている。このような構成により、パネル駆動基板としてのR基板20を支持するR基板支持部材23が所定の軸部Oを中心として回動可能となる。これにより、R基板支持部材23は、R基板20を回動可能に支持することができる。
【0022】
図8は本実施形態の変形例としてのR基板支持部材23の周囲構成図であり、図8(a)、(b)はそれぞれ異なる向きから見た図を示している。図9(b)は、変形例としてのR基板支持部材23の周囲断面図である。本変形例は、ヒンジ部23aに代えて、R基板20を回動させるための弾性部材29を有する。すなわち、板金としてのR基板支持部材23は薄い板金としての弾性部材29を含む。そして、図9(b)中の矢印方向に力を加えることにより、弾性部材29を破線のように変形させる。その結果、R基板20を回動させることができる。すなわち本変形例では、弾性部材29の変形によりR基板20を回動させることができる。
【0023】
本実施形態によれば、組立作業時やメンテナンス時など、赤色用のパネルFPC10aを着脱する場合、作業性を損なうことなくR基板20を回動させることにより、投射型表示装置100の内部にコンパクトに収納することが可能となる。なお本実施形態では、R基板20を回動することが可能であるが、これに限定されるものではなく、B基板21またはG基板22を回動するように構成してもよい。
【0024】
(第2の実施形態)
次に、図6を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。第1の実施形態では回路基板(例えばR基板20)を支持する支持部が明確な回動軸(ヒンジ部23a)を有するが、本実施形態では基板を支持する支持部29が明確な回動軸を有しない。
【0025】
図6は、支持部26および基板(回路基板)27の説明図である。図6(a)は基板27を支持部26に取り付ける前の状態を示し、図6(b)は基板27を支持部26に取り付けた状態を示している。図6(b)に示されるように、支持部26を支点として、矢印Aの方向に基板27を回動させることができる。すなわち基板27は、基板27内の所定の軸部Oを中心として回動することが可能である。パネルFPC6a、10a、12aをそれぞれ接続する場合、基板27上のコネクタ(端子部)が上面を向く姿勢に、完成品状態では投射型表示装置100の内部にスペース効率よく配置することが可能となる。また本実施形態のように、基板27のみを回動させてもよい。このような構成によれば、第1の実施形態における基板支持部材の回転軸周辺の構造を単純化することができる。また本実施形態では、基板支持部材は回動しないため、基板支持部材のエッジによりパネルFPCやその他のハーネスを傷付ける可能性を低減することができる。
【0026】
各実施形態によれば、従来よりも小型の電子機器(例えば投射型表示装置)を提供することができる。また、各実施形態の電子機器の組み立て性を向上させることが可能である。
【0027】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【0028】
各実施形態において、緑、赤、および、青のパネル6、10、12はそれぞれ、反射型のパネル(反射型プロジェクタ)であるものとして説明したが、これに限定されるものではない。各実施形態は、透過型のパネル6、10、12(透過型プロジェクタ)にも適用可能である。また各実施形態は、液晶パネルを用いたプロジェクタを説明しているが、これに限定されるものではない。各実施形態は、液晶パネルに代えて、マイクロミラーアレイを用いたプロジェクタにも適用可能である。また各実施形態は、投射型表示装置以外の電子機器にも広く適用可能である。
【符号の説明】
【0029】
10 赤色用のパネル(被制御部)
10a 赤色用のパネルFPC(接続部)
20 R基板(回路基板)
23 R基板支持部材(支持部)
100 投射型表示装置(電子機器)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9