(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
輸送車両に乗車している乗客に視認させる画像を表示する表示面を備える表示手段であって、前記輸送車両の内部に設けられている前記表示手段を用いて前記輸送車両の乗客の不正を防止する不正防止システムであって、
前記輸送車両の内部画像を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した前記内部画像に基づいて、前記輸送車両に乗車している乗客の不正を検出する検出手段と、
前記検出手段が前記輸送車両に乗車している乗客の不正を検出するまでは、第1画像を前記表示面に表示させ、前記検出手段が前記輸送車両に乗車している乗客の不正を検出した場合に、前記検出手段にて検出された不正を警告する第2画像を、前記表示面の少なくとも一部において前記第1画像の代わりに表示させる表示制御手段と、
を備え、
前記輸送車両は、鉄道車両であり、
前記輸送車両の乗客は、第1起点駅と第2起点駅との間の乗車権利保有区間のみで前記輸送車両に乗車する権利を有しており、
前記検出手段は、前記輸送車両の乗客による不正折り返し乗車であって、前記輸送車両の乗客が、前記輸送車両にて前記乗車権利保有区間内の駅である区間内駅から、前記乗車権利保有区間外の駅である区間外駅に移動した後に、前記輸送車両の乗客が、当該区間外駅にて前記輸送車両に乗車して前記乗車権利保有区間側に移動する前記不正折り返し乗車を検出する、
不正防止システム。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明に係る不正防止システムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0022】
〔実施の形態の基本的概念〕
まずは、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、不正防止システムに関するものである。
【0023】
不正防止システムは、表示手段を用いて輸送車両の乗客の不正を防止するシステムであり、例えば、不正を防止する専用システム、あるいは、汎用的に用いられる装置(一例としては、センター装置、防災装置、パーソナルコンピュータ、携帯端末等)に対して不正を防止する機能を実装することにより実現されるシステム等を含む概念である。また、不正防止システムは、例えば、取得手段、検出手段、及び表示制御手段を備える。
【0024】
ここで、「表示手段」とは、輸送車両に乗車している乗客に視認させる画像を表示する表示面を備える手段であって、輸送車両の内部に設けられている手段であり、例えば、任意の情報を表示するものであり、例えば、平面ディスプレイやプロジェクタ等によって画像又は文字等を表示する表示装置等を含む概念である。
【0025】
また、「取得手段」とは、輸送車両の内部画像を取得する手段であり、また、「検出手段」とは、取得手段が取得した内部画像に基づいて、輸送車両に乗車している乗客の不正を検出する手段であり、また、「表示制御手段」とは、検出手段が輸送車両に乗車している乗客の不正を検出するまでは、第1画像を表示面に表示させ、検出手段が輸送車両に乗車している乗客の不正を検出した場合に、検出手段にて検出された不正を警告する第2画像を、表示面の少なくとも一部において第1画像の代わりに表示させる手段である。
【0026】
なお、「輸送車両」とは、乗客を輸送する車両であり、例えば、乗客を有料又は無料で輸送する車両であり、一例としては、電車(つまり、鉄道車両)、航空機、船、バス、タクシー、及び自家用車等を含む概念である。「乗客」とは、輸送車両に乗るものであり、例えば、人又は人以外の動物(一例としては、犬や猫等)等を含む概念である。「内部画像」とは、輸送車両の内部の画像であり、例えば、輸送車両の内部に設けられている設備の画像、あるいは、輸送車両に乗車している乗客の画像等を含む概念である。
【0027】
「乗客の不正」とは、正しくないこと、あるいは、正しくないように見えることであり、具体的には、正しくない乗客の行為、あるいは、正しくないように見える乗客の行為であり、例えば、不正折り返し乗車、暴力、又は痴漢等の不正行為が実際に行われたこと、あるいは、当該不正行為に見える行為が行われたこと等に対応する概念である。「不正折り返し乗車」とは、例えば、鉄道車両にて行われる行為であり、輸送車両の乗客が、第1起点駅と第2起点駅との間の乗車権利保有区間のみで輸送車両に乗車する権利を有している場合において、当該乗客が、当該輸送車両にて乗車権利保有区間内の駅である区間内駅から、乗車権利保有区間外の駅である区間外駅に移動した後に、当該乗客が、当該区間外駅にて輸送車両に乗車して乗車権利保有区間側に移動する行為である。なお、この「不正折り返し乗車」については、実施の形態にて一例を示す。
【0028】
「第1画像」とは、少なくとも、検出手段が輸送車両に乗車している乗客の不正を検出するまでに表示される画像であり、具体的には、第2画像とは異なる画像であり、例えば、第2画像とは異なる種類の画像であり、一例としては、宣伝広告、天気予報、輸送車両に関する案内(例えば、ドアの開閉、又は経路等の案内)等を含む任意の情報を表示する画像を含む概念である。「第2画像」とは、少なくとも、検出手段が輸送車両に乗車している乗客の不正を検出した場合に表示される画像であり、具体的には、検出手段にて検出された不正を警告する画像であり、例えば、警告テキスト又は警告図等の画像、輸送車両の乗客の画像に対応する画像、及びこれらを組みあわせた画像等を含む概念である。「輸送車両の乗客の画像に対応する画像」とは、輸送車両の乗客に関する画像であり、例えば、乗客そのものを示す画像(一例としては、乗客の全身又は顔等の一部のみを表示する画像等)、乗客のそのものを示す画像を一部編集した画像(一例としては、画像中の乗客を特定し難くするために顔の少なくとも一部をモザイク処理又は黒塗り処理した画像等)、あるいは、乗客そのものではなく乗客のイメージを示す画像(一例としては、予め準備されている固定のイメージ画像等)等を含む概念である。
【0029】
そして、以下に示す実施の形態では、「輸送車両」が「電車(つまり、鉄道車両)」であり、「乗客」が「人」であり、「乗客の不正」が「不正折り返し乗車を実際に行うこと、あるいは、不正折り返し乗車に見える行為を行うこと」であり、「第1画像」が「宣伝広告の情報を表示する画像」(以下、宣伝広告画像)であり、「第2画像」が「乗客のそのものを示す画像を一部編集した画像」(以下、警告用乗客画像)であり、「不正防止システム」が「センター装置」によって実現されている場合について説明する。
【0030】
[実施の形態の具体的内容]
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0031】
(構成)
まず、本実施の形態に係る鉄道用情報表示システムの構成について説明する。まず、不正折り返し乗車について説明した後に、鉄道用情報表示システムの構成について説明する。
図1は、本実施の形態に係る鉄道用情報表示システムの設置例の図であり、
図2は、鉄道用情報表示システムのブロック図であり、
図3は、路線図である。
【0032】
なお、
図1は、
図3の第2ターミナル駅の上側から見た図であり、また、停車中の電車の内部に設置されている各車両側表示装置等を表示している図である。実際には、電車91、92には、車両側表示装置が多数設けられているが、ここでは、説明の便宜上、車両側表示装置111〜114を図示して、この図示した車両側表示装置111〜114に着目して説明する。また、実際には、
図3の各駅にホーム側表示装置が多数設けられているが、ここでは、説明の便宜上、ホーム側表示装置211、212を図示して、この図示したホーム側表示装置211、212に着目して説明する。
【0033】
また、
図2は、鉄道用情報表示システム100の各車両側表示装置(車両側表示装置111〜114等)の総称を車両側表示装置1として図示し、また、鉄道用情報表示システム100の各ホーム側表示装置(ホーム側表示装置211、212等)の総称をホーム側表示装置2として図示している。なお、以下の説明では、これらの各装置を区別して説明する場合以外には、総称して説明する。また、車両側表示装置1及びホーム側表示装置2を相互に区別しない場合、「各表示装置」と総称して説明する。なお、「各表示装置」と総称した場合の各部については、符号を付さずに例えば「各表示装置の制御部」等と総称して説明する。
【0034】
また、
図3は、第1ターミナル駅と第2ターミナル駅との間の路線を図示しており、また、本実施の形態で説明する乗客の乗車権利保有区間を図示している。ここで、「第1ターミナル駅」は、電車の始発駅又は終着駅になる駅であり、例えば、「As1駅」という名称の駅であり、「第2ターミナル駅」は、電車の始発駅又は終着駅になる駅であり、例えば、「As2駅」という名称の駅である。ここでは、例えば、
図1の電車91(第1の輸送車両)が第1ターミナル駅を始発駅として当該始発駅から、第2ターミナル駅を終着駅として当該終着駅に向かって(つまり、第1の進行方向に向かって)走行して第2ターミナル駅に到着し、この後、電車92(第2の輸送車両)が第2ターミナル駅を始発駅として当該始発駅から、第1ターミナル駅を終着駅として当該終着駅に向かって(つまり、第2の進行方向に向かって)走行する場合について説明する。また、
図3の「乗車権利保有区間」は、乗客が乗車する権利を有している区間であり、第1起点駅と第2起点駅との間の区間(つまり、第1起点駅から第2起点駅までの区間)であり、例えば、乗客が保有する通勤定期区間である。また、「第1起点駅」とは、乗車権利保有区間の端駅であり、例えば、通勤定期区間の端駅であって、乗客の職場の最寄駅である。また、「第2起点駅」とは、乗車権利保有区間の端駅であり、例えば、通勤定期区間の端駅であって、乗客の自宅の最寄駅である。
【0035】
「不正折り返し乗車」については、前述の定義に従う任意の行為であるが、ここでは、例えば、
図3の乗車権利保有区間の権利を有する乗客が、電車91にて区間内駅(例えば、第2起点駅等)から区間外駅である第2ターミナル駅に移動した後に、当該乗客が第2ターミナル駅にて電車92に乗車して乗車権利保有区間側に移動する行為を「不正折り返し乗車」として検出する場合を例示して説明する。
【0036】
図2の鉄道用情報表示システム100は、不正防止システムを含むシステムであり、例えば、車両側表示装置1、ホーム側表示装置2、及びセンター装置3を備える。
【0037】
(構成−車両側表示装置)
車両側表示装置1は、電車の内部に設けられて表示手段であり、例えば、
図1の電車91の内部に設けられている車両側表示装置111、112、及び電車92の内部に設けられている車両側表示装置113、114等である。
図2の車両側表示装置1は、例えば、通信部11、撮像部12、表示部13、記録部14、及び制御部15を備える。
【0038】
(構成−車両側表示装置−通信部)
通信部11は、ネットワークを介して外部装置(例えば、センター装置3等)との間で通信するための通信手段である。この通信部11の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、公知の通信回路等を用いて構成することができる。
【0039】
(構成−車両側表示装置−撮像部)
撮像部12は、自己が設けられている電車内を撮像する撮像手段である。この撮像部12の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、公知のイメージセンサ等を備えるカメラを用いて構成することができる。なお、例えば、車両側表示装置111、112の撮像部12が、第1の撮像手段に相当し、車両側表示装置113、114の撮像部12が、第2の撮像手段に相当する。
【0040】
(構成−車両側表示装置−表示部)
表示部13は、制御部15の制御に基づいて情報を表示する表示面である。この表示部13の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、公知の液晶ディスプレイや有機ELディスプレイの如きフラットパネルディスプレイ(つまり、平面ディスプレイ)等を用いて構成することができる。
【0041】
(構成−車両側表示装置−記録部)
記録部14は、車両側表示装置1の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、外部記録装置としてのハードディスク(図示省略)を用いて構成されている。ただし、ハードディスクに代えてあるいはハードディスクと共に、磁気ディスクの如き磁気的記録媒体、又はDVDやブルーレイディスクの如き光学的記録媒体を含む、その他の任意の記録媒体を用いることができる(他の装置の記録部も同様とする)。
【0042】
また、この記録部14には、例えば、車両側表示装置1を一意に識別するための情報である表示装置識別情報(以下、識別情報を「ID」と称する)(図面では、表示装置IDと図示)が記録されている。なお、ここでは、例えば、
図1の車両側表示装置111〜114の記録部14には各々、表示装置IDとしてID111〜ID114が格納されていることとする。
【0043】
(構成−車両側表示装置−制御部)
制御部15は、車両側表示装置1を制御する制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである(他の装置の制御部も同様とする)。特に、実施の形態に係る制御プログラムは、任意の記録媒体又はネットワークを介して車両側表示装置1にインストールされることで、制御部15の各部を実質的に構成する。なお、この制御部15の各部により行われる処理については、後述する。
【0044】
(構成−ホーム側表示装置)
ホーム側表示装置2は、駅のホームに設けられた表示手段であり、例えば、
図1の1番線ホームに設けられているホーム側表示装置211、及び2番線ホームに設けられているホーム側表示装置212等である。
図2のホーム側表示装置2は、例えば、通信部21、撮像部22、表示部23、記録部24、及び制御部25を備える。
【0045】
(構成−ホーム側表示装置−通信部)
通信部21は、ネットワークを介して外部装置(例えば、センター装置3等)との間で通信するための通信手段である。この通信部11の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、車両側表示装置1の通信部11と同様にして構成することができる。
【0046】
(構成−ホーム側表示装置−撮像部)
撮像部22は、自己が設けられているホームを撮像する撮像手段である。この撮像部22の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、車両側表示装置1の撮像部12と同様にして構成することができる。
【0047】
(構成−ホーム側表示装置−表示部)
表示部23は、制御部25の制御に基づいて情報を表示する表示面である。この表示部23の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、比較的大きなものとして構成することができ、一例としては、サイズ以外は、車両側表示装置1の表示部13と同様にして構成することができる。
【0048】
(構成−ホーム側表示装置−記録部)
記録部24は、ホーム側表示装置2の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、ホーム側表示装置2を一意に識別するための情報である表示装置IDが記録されている。なお、ここでは、例えば、
図1のホーム側表示装置211、212の記録部24には各々、表示装置IDとしてID211、ID212が格納されていることとする。
【0049】
(構成−ホーム側表示装置−制御部)
制御部25は、ホーム側表示装置2を制御する制御手段である。なお、この制御部25の各部により行われる処理については、後述する。
【0050】
(構成−センター装置)
センター装置3は、不正防止システムであり、例えば、鉄道用情報表示システム100を管理する管理センター等に設けられており、一例としては、通信部31、記録部32、及び制御部33を備える。
【0051】
(構成−センター装置−通信部)
通信部31は、ネットワークを介して外部装置(例えば、車両側表示装置1、及びホーム側表示装置2等)との間で通信するための通信手段である。この通信部31の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、車両側表示装置1の通信部11と同様にして構成することができる。
【0052】
(構成−センター装置−記録部)
記録部32は、センター装置3の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、設備情報データベース(以下、データベースを「DB」と称する)321、監視情報DB322、及び画像情報DB323を備える。
【0053】
設備情報DB321は、設備情報を格納する設備情報格納手段である。「設備情報」とは、鉄道用情報表示システム100の設備を特定する情報であり、例えば、各表示装置を特定する情報である。
図4は、設備情報を例示した図である。
図4に示すように、設備情報は、項目「表示装置ID」、及び項目「設置場所情報」と、各項目に対応する情報とを、相互に関連付けて構成されている。ここで、項目「表示装置ID」に対応する情報は、表示装置IDである(
図4では、「ID111」等)。また、項目「設置場所情報」に対応する情報は、各表示装置の設置場所を特定する設置場所情報である(
図4では、「TrA1後方左側ドア」、「TrB1後方左側ドア」、「As2駅1番線ホーム東側」等)。なお、「TrA1」とは、電車91の車両を一意に識別する車両IDであり、また、「TrB1」とは、電車92の車両を一意に識別する車両IDであり、また、「As2駅」は、前述したように、第2ターミナル駅の名称である。そして、このような設備情報の格納手法は任意であるが、例えば、管理者が、センター装置3の不図示の入力手段、又は通信部31を介してセンター装置3に入力することにより格納される。
【0054】
監視情報DB322は、監視情報を格納する監視情報格納手段である。「監視情報」とは、乗客を監視する情報である。
図5は、監視情報を例示した図である。
図5に示すように、監視情報は、項目「表示装置ID」、項目「撮像時間情報」、項目「撮像位置情報」、及び項目「撮像画像情報」と、各項目に対応する情報とを、相互に関連付けて構成されている。項目「表示装置ID」に対応する情報は、
図4の同一名称の項目に対応する情報と同様である。また、項目「撮像時間情報」に対応する情報は、各表示装置が画像を撮像した時間を特定する撮像時間情報である(
図5では、8月30日18時00分45秒を特定する「0830180045」等)。また、項目「撮像位置情報」に対応する情報は、画像を撮像した表示装置の位置を特定する撮像位置情報である(
図5では、各表示装置の経度及び緯度の座標であり、「(x11,y11)」等)。なお、この座標について具体的に記載されて文字又は数値は便宜上のものである。また、項目「撮像画像情報」に対応する情報は、各表示装置が撮像した画像を特定する撮像画像情報である(例えば、ファイル名であり、「File111_1」等)。そして、このような監視情報の格納手法は任意であるが、例えば、情報格納処理を実行することにより格納される。
【0055】
画像情報DB323は、画像情報を格納する画像情報格納手段である。「画像情報」とは、各表示装置が撮像した画像である。そして、このような画像情報の格納手法は任意であるが、例えば、監視情報と同様に、情報格納処理を実行することにより格納される。
【0056】
(構成−センター装置−制御部)
制御部33は、センター装置3を制御する制御手段である。この制御部33は、機能概念的に、取得部331、検出部332、及び表示制御部333を備える。取得部331は、電車の内部画像を取得する取得手段である。検出部332は、取得部331が取得した内部画像に基づいて、電車に乗車している乗客の不正を検出する検出手段である。表示制御部333は、検出部332が電車に乗車している乗客の不正を検出するまでは、第1画像である宣伝広告画像を車両側表示装置1の表示部13に表示させ、検出部332が電車に乗車している乗客の不正を検出した場合に、検出部332にて検出された不正を警告する第2画像である警告用乗客画像を、車両側表示装置1の表示部13の少なくとも一部において宣伝広告画像の代わりに表示させる表示制御手段である。なお、この制御部33の各部により行われる処理については、後述する。
【0057】
(処理)
次に、このように構成される鉄道用情報表示システム100によって実行される情報格納処理、及び表示制御処理について説明する。
【0058】
(処理−情報格納処理)
まず、情報格納処理について説明する。
図6は、情報格納処理のフローチャートである(以下の各処理の説明ではステップを「S」と略記する)。情報格納処理は、概略的には、各表示装置とセンター装置3とによって実行される処理であり、具体的には、センター装置3の情報を格納する処理である。この情報格納処理を実行するタイミングは任意であるが、例えば、鉄道用情報表示システム100の各装置の電源をオンした後に実行を開始し、比較的短い時間(例えば、1秒〜2秒等、あるいは、5秒〜10秒等)間隔で繰り返し実行するものとし、実行が開始されたところから説明する。なお、車両側表示装置1に関する処理については、車両側表示装置111〜114にて相互に同様であるので、ここでは、例えば、車両側表示装置111の処理を例示して説明し、また、ホーム側表示装置2に関する処理については、ホーム側表示装置221、222にて相互に同様であるので、ここでは、例えば、ホーム側表示装置221の処理を例示して説明する。
【0059】
図6のSA1において各表示装置の制御部は、情報を取得する。具体的には任意であるが、例えば、車両側表示装置1の制御部15は、記録部14から表示装置IDを取得し、また、撮像部12にて電車内を撮像し、当該撮像部12から当該撮像した画像を取得し、また、不図示の計時手段(例えば、時計回路等)から当該画像を撮像した日時を取得し、また、自己が設けられている電車の不図示の現在位置検出手段(例えば、GPSやジャイロセンサ、距離センサ(いずれも図示省略)を有し、現在の電車の位置(座標)及び方位等を公知の方法にて検出する手段等)から、当該電車の経度及び緯度の座標を取得する。ここでは、例えば、車両側表示装置111の制御部15は、表示装置IDとして「ID111」を取得し、また、電車内の画像を取得し、また、日時として「8月30日18時00分45秒」を取得し、また、電車の座標として「(x11,y11)」を取得する。
【0060】
また、このSA1において例えば、ホーム側表示装置2の制御部25は、記録部24から表示装置IDを取得し、また、撮像部22にてホームを撮像し、当該撮像部22から当該撮像した画像を取得し、また、不図示の計時手段(例えば、時計回路等)から当該画像を撮像した日時を取得する。ここでは、例えば、ホーム側表示装置211の制御部25は、表示装置IDとして「ID211」を取得し、また、ホームの画像を取得し、また、日時として「8月30日18時00分45秒」を取得する。
【0061】
図6のSA2において各表示装置の制御部は、情報を送信する。具体的には任意であるが、例えば、各表示装置の制御部は、SA1で取得した情報を、各表示装置の通信部を介してセンター装置3に送信する。ここでは、例えば、車両側表示装置111の制御部15は、「ID111」、電車内の画像、「8月30日18時00分45秒」、及び「(x11,y11)」(以下、これらの情報を「車両側表示装置111の送信情報」と称する)を送信する。また、ここでは、例えば、ホーム側表示装置211の制御部25は、「ID211」、ホームの画像、及び「8月30日18時00分45秒」(以下、これらの情報を「ホーム側表示装置211の送信情報」と称する)を送信する。
【0062】
一方、
図6のSB1においてセンター装置3の制御部33は、情報を受信する。具体的には任意であるが、SA2で各表示装置から送信された情報を、通信部31を介して受信する。ここでは、例えば、「車両側表示装置111の送信情報」、及び「ホーム側表示装置211の送信情報」を受信する。
【0063】
図6のSB2においてセンター装置3の制御部33は、情報を格納する。具体的には任意であるが、例えば、SB1で受信した情報に基づいて、
図2の監視情報DB322の監視情報及び画像情報DB323の画像情報を格納する。詳細には、例えば、SB1にて車両側表示装置1からの情報を受信した場合、受信した情報から表示装置ID、撮像部12が撮像した画像、画像を撮像した日時、及び電車の座標を取得した上で、取得した表示装置IDに対応する情報を
図5の表示装置IDに格納し、また、取得した日時に対応する情報を
図5の撮像時間情報に格納し、また、取得した電車の座標を撮像位置情報に格納し、また、取得した撮像部12が撮像した画像を、
図2の画像情報DB323に画像情報として所定の一意に識別可能なファイル名を付してファイル形式にて格納し、この付したファイル名を
図5の撮像画像情報に格納する。ここでは、例えば、SB1にて「車両側表示装置111の送信情報」を受信した場合、
図2の画像情報DB323に電車内の画像を格納し、また、
図5のID111についての最上段の情報を格納する。
【0064】
また、例えば、SB1にてホーム側表示装置2からの情報を受信した場合、受信した情報から表示装置ID、撮像部22が撮像した画像、及び画像を撮像した日時を取得した上で、SB1にて車両側表示装置1からの情報を受信した場合と同様にして、
図5の表示相内ID、撮像時間情報、撮像画像情報、及び
図2の画像情報DB323の画像情報を格納する。なお、
図5の撮像位置情報については、任意の手法で格納できるが、例えば、ホーム側表示装置2が駅のホームに固定されて移動しないことに着目して、ホーム側表示装置2が設置されている駅のホームの座標と当該ホーム側表示装置2の表示装置IDとを相互に関連付けて格納している情報が記録部32に記録されていることとし、当該情報を参照して、前述の取得した表示装置IDに対応する座標を特定し、特定した座標に対応する情報を
図5の撮像位置情報として格納する。ここでは、例えば、SB1にて「ホーム側表示装置211の送信情報」を受信した場合、
図2の画像情報DB323にホームの画像を格納し、また、
図5のID211についての最上段の情報を格納する。これにて情報格納処理を終了する。
【0065】
(処理−表示制御処理)
次に、表示制御処理について説明する。
図7は、表示制御処理のフローチャートである。表示制御処理は、概略的には、センター装置3によって実行される処理であり、具体的には、各表示装置に表示されている画像を切り替える処理である。この表示制御処理を実行するタイミングは任意であるが、例えば、鉄道用情報表示システム100の各装置の電源をオンした後に実行を開始し、繰り返し実行するものとし、実行が開始されたところから説明する。
図8は、宣伝広告画像を例示した図であり、
図9は、警告用乗客画像を例示した図である。
【0066】
図7のSC1において表示制御部333は、宣伝広告画像を表示させる。具体的には任意であるが、例えば、
図8の宣伝広告画像を含む複数の宣伝広告画像が記録部32に格納されていることとし、この記録されている複数の宣伝広告画像を、通信部31を介して各表示装置に送信することにより各表示装置の表示部に表示させる。この場合、各表示装置は、前述の複数の宣伝広告画像を受信して自己の記録部に格納し、この格納している複数の宣伝広告画像を、所定時間毎に切り替えて1つずつ自己の表示部に表示することになる。ここでは、例えば、
図8の宣伝広告画像等が各表示装置の表示部に順次表示されることになる。
【0067】
図7のSC2において取得部331は、情報を取得する。具体的には任意であるが、例えば、設備情報DB321、監視情報DB322、及び画像情報DB323に格納されている情報を取得する。ここでは、例えば、
図4の設備情報、
図5の監視情報、及び画像情報DB323に格納されている画像を取得する。
【0068】
図7のSC3において検出部332は、SC2で取得した少なくとも一部の情報に基づいて、乗客の不正があるか否かを判定する。具体的には任意であるが、例えば、判定する対象となる乗客の不正の種類、当該不正を行う場合の乗客の一般的な行為、あるいは、不正を判定する環境(例えば、駅の構造、電車の乗り入れの仕方等)の任意の事象を考慮して所定の基準を生成し、生成した基準に基づいて判定することとする。ここでは、例えば、前述したように、乗客の不正が「不正折り返し乗車」であり、また、
図1の電車91が第2ターミナル駅に到着した後に、電車92が第2ターミナル駅から出発するという電車の乗り入れの仕方において、不正折り返し乗車を行う乗客は、一般的には、この第2ターミナル駅にて電車91から電車92に乗り換えを行うということに着目して、乗り換えを行ったか否かに基づいて判定する。
【0069】
なお、この乗り換えを行ったか否かの判定の手法は任意であるが、例えば、まず、
図5の撮像位置情報及び撮像画像情報から画像の撮像位置を特定し、また、
図5の撮像時間情報及び撮像画像情報から画像の撮像時間を特定する。次に、特定した撮像位置に基づいて第2ターミナル駅で撮像された画像を特定し、特定した画像について任意の手法で画像認識を行い、同一人物が写っている画像を特定し、
図5の表示装置ID、撮像画像情報、及び
図4の設備情報を参照して、前述の特定した同一人物が写っている画像中に電車91内の画像及び電車92内の画像があるか否かを判定し、ないものと判定した場合には、乗客は乗り換えを行っていないものと判定し、一方、あるものと判定した場合、前述の特定した撮像時間に基づいて、電車91内の画像の撮像時間及び電車92内の画像の撮像時間の時間差が所定時間(例えば、5分〜10分)以内であるか否かを判定し、所定時間以内でないものと判定した場合、乗客は乗り換えを行っていないものと判定し、一方、所定時間以内であるものと判定した場合、乗客は乗り換えを行ったものと判定する。そして、SC3の判定においては、乗り換えを行っていないものと判定した場合、乗客の不正を検出せずに、乗客の不正はないものと判定し(SC3のNO)、処理を終了する。また、乗り換えを行ったものと判定した場合、乗客の不正を検出し、乗客の不正があるものと判定し(SC3のYES)、SC4に移行する。
【0070】
ここでは、例えば、
図1の乗客P1が
図5の「撮像画像情報」=「File111_1」、「File113_5」、「File211_2」、「File211_3」、及び「File211_4」が特定する各画像に写っており、また、
図5の撮像位置情報である「(x11,y11)」、「(x33,y33)」、及び「(x22,y22)」が、第2ターミナル駅に停車している電車91の位置、電車92の位置、及び1番線ホーム東側の位置に対応していることとして、以下説明する。まず、
図5の「撮像位置情報=「(x11,y11)」及び「撮像画像情報」=「File111_1」から、「File111_1」が特定する画像の撮像位置が「第2ターミナル駅に停車している電車91の位置」であること等を特定する。次に、「撮像時間情報」=「0830180045」及び「撮像画像情報」=「File111_1」から、「File111_1」が特定する画像の撮像日時が「8月30日18時00分45秒」であること等を特定する。次に、特定した撮像位置に基づいて第2ターミナル駅で撮像された画像を特定し、特定した画像について任意の手法で画像認識を行い、同一人物である乗客P1が写っている画像として
図5の「撮像画像情報」=「File111_1」、「File113_5」、「File211_2」、「File211_3」、及び「File211_4」が特定する各画像を特定し、
図5の表示装置ID、撮像画像情報、及び
図4の設備情報を参照して、前述の特定した乗客P1が写っている画像中に電車91内の画像(「File111_1」の画像)及び電車92内の画像(「File113_5」の画像)があるものと判定し、これらの画像の撮像日時は「8月30日18時00分45秒」及び「8月30日18時03分46秒」であるので、これらの時間差が所定時間以内であるので、乗り換えを行ったものと判定し、乗客の不正を検出し、乗客の不正があるものと判定する。
【0071】
図7のSC4において検出部332は、乗客を特定する。具体的には任意であるが、例えば、SC3に乗客の不正があるものと判定した根拠となった乗客を特定する。ここでは、例えば、
図1の乗客P1を特定する。
【0072】
図7のSC5において表示制御部333は、警告用乗客画像を表示させる。具体的には任意であるが、例えば、各表示装置全ての表示部に警告用乗客画像を表示させてもよいし、あるいは、SC4で特定した乗客の周辺の各表示装置の表示部に警告用乗客画像を表示させてよいが、ここでは、例えば、乗客の周辺の各表示装置の表示部に表示させる場合について説明する。この場合、SC4で特定した乗客の現在位置を特定した上で、特定した現在位置の周辺の各表示装置を特定した上で、警告用乗客画像を生成し、生成した警告用乗客画像を当該特定した各表示装置の表示部に表示させる。詳細には、まず、SC2で取得した情報のうちの
図5の撮像時間情報及び撮像画像情報から、各表示装置が撮像した最新の画像を特定し、画像情報DB323にてこの特定した最新の画像を参照して、SC4で特定した乗客が写っている画像を特定し、
図5の表示装置ID及び撮像画像情報を参照して、特定した画像に対応する表示装置IDを取得する。次に、
図4を参照して、当該取得した表示装置IDに対応する設置場所情報に対応する位置を、SC4で特定した乗客の現在位置と特定し、また、当該取得した表示装置IDの各表示装置を特定した現在位置の周辺の各表示装置と特定する。次に、各表示装置との間で適宜の通信を行った上で、この特定した各表示装置の撮像部でSC4で特定した乗客を撮像し、撮像した乗客の画像において顔をモザイク処理することにより警告用乗客画像を生成する。この後、前述の特定した各表示装置の表示部において、SC1で表示した宣伝広告画像の代わりに当該生成した警告用乗客画像を表示させて警告する。
【0073】
ここでは、例えば、まず、SC2で取得した情報のうちの
図5の撮像時間情報及び撮像画像情報から、各表示装置が撮像した最新の画像として
図5の「File111_5」の画像、「File113_5」の画像、及び「File211_5」の画像等を特定し、これらの特定した画像を参照、SC4で特定した乗客P1が写っている画像として「File113_5」の画像を特定し、
図5の「表示装置ID」=「ID113」及び「撮像画像情報」=「File113_5」を参照して、特定した「File113_5」の画像に対応する表示装置IDとして「ID113」を取得する。次に、
図4を参照して、当該取得した「ID113」に対応する「TrB1後方左側ドア」に対応する位置を、乗客P1の現在位置と特定し、また、当該取得した「ID113」の車両側表示装置113を乗客P1の現在位置の周辺のものと特定する。次に、車両側表示装置113との間で適宜の通信を行った上で、この特定した車両側表示装置113の撮像部12で乗客P1を撮像し、撮像した乗客P1の画像において顔をモザイク処理することにより
図9の警告用乗客画像を生成する。この後、車両側表示装置113の表示部13において、
図8等の宣伝広告画像の代わりに
図9の警告用乗客画像を所定時間表示させて警告する。この場合、例えば、乗客P1は、
図9の警告用乗客画像を視認して、自分が監視されていることを認識して、不正を行っていることを改めて自覚して罪悪感が増長することになり、不正折り返し乗車を行うことを自粛するようになる。
【0074】
図7のSC6において表示制御部333は、SC5にて表示した警告用乗客画像を宣伝広告画像に戻すか否かを判定する。具体的には任意であるが、例えば、不図示の計時手段を参照して、SC5にて警告用乗客画像を表示させてから所定時間(例えば、20秒〜30秒等)経過したか否かに基づいて判定する。そして、所定時間経過していない場合、警告用乗客画像を宣伝広告画像に戻すとは判定せずに(SC6のNO)、警告用乗客画像を宣伝広告画像に戻すと判定するまで、繰り返しSC6を実行する。また、所定時間経過した場合、警告用乗客画像を宣伝広告画像に戻すと判定し(SC6のYES)、SC7に移行する。
【0075】
図7のSC7において表示制御部333は、宣伝広告画像を表示させる。具体的には任意であるが、例えば、SC5にて警告用乗客画像を表示させた各表示装置を特定し、特定した各表示装置において、SC1と同様な処理を行って、宣伝広告画像を表示させる。これにて、表示制御処理を終了する。なお、この表示制御処理は、前述したように、繰り返し実行されることになるが、繰り返し実行時のSC1において、各表示装置の表示部に宣伝広告画像が既に表示されている場合には、当該SC1の実行を省略してもよい。
【0076】
(実施の形態の効果)
このように本実施の形態によれば、取得した内部画像に基づいて、電車に乗車している乗客の不正を検出することにより、例えば、電車内の電波状況に関わらず乗客の不正を検出することができるので、乗客の不正を確実に警告することが可能となる。また、乗客の不正を検出するまでは、第1画像を車両側表示装置1の表示部13に表示させ、乗客の不正を検出した場合に、不正を警告する第2画像を、車両側表示装置1の表示部13の少なくとも一部において第1画像の代わりに表示させることにより、例えば、乗客の不正を検出するまでにおいても、車両側表示装置1を有効利用することが可能となる。また、例えば、乗客の不正を検出するまでに第1画像を表示しているので、車両側表示装置1に対して乗客の注意を引き付けることができるので、第1画像から第2画像に切り替えた場合に、不正を検出した乗客に対して第2画像を確実に視認させることができ、警告の効果を向上させることが可能となる。
【0077】
また、電車の乗客の画像に対応する画像を第2画像として表示させることにより、例えば、乗客に対して監視されているというイメージを与えることができるので、警告の効果を一層向上させることが可能となる。
【0078】
また、撮像部12は車両側表示装置1と一体に構成されることにより、例えば、乗客の視線を車両側表示装置1に誘導することで撮像部12の正面方向に乗客の顔を捉えることが可能となり人物の特定を行いやすくすることが可能となる。
【0079】
また、検出部332が不正折り返し乗車を検出することにより、例えば、乗客の不正折り返し乗車を警告することが可能となる。
【0080】
また、例えば、乗り換え元と乗り換え先の車両の内部画像で一致した乗客を検出することができるので、乗客の不正折り返し乗車を確実に警告することが可能となる。
【0081】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0082】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の詳細に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏したりすることがある。
【0083】
(分散や統合について)
また、上述した構成は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、任意の単位で機能的または物理的に分散又は統合して構成できる。また、本出願における「装置」とは、単一の装置によって構成されたものに限定されず、複数の装置によって構成されたものを含む。例えば、センター装置3を、相互に通信可能に構成された複数の装置に分散して構成し、これら複数の装置の一部に制御部33の各部の一部を設けると共に、これら複数の装置の他の一部に制御部33の各部の他の一部を設けてもよい。また、センター装置3に記録されている情報の少なくとも一部、あるいは、制御部33の各部の少なくとも一部を鉄道用情報表示システム100の各表示装置に設けてもよい。また、各表示装置の撮像部を各表示装置から分離した別体の装置として設けてもよい。
【0084】
(不正の検出について(その1))
また、上記実施の形態では、
図7のSC3にて、電車91内の画像及び電車92内の画像(つまり、車両側表示装置1にて撮像した画像)に基づいて、不正を検出する場合について説明したが、これに限らず、例えば、不正折り返し乗車を検出するために、ホーム側表示装置2にて撮像した画像も用いてよい。具体的には、ホーム側表示装置2の画像にて、乗客が電車91から電車92に乗り換える様子も把握した上で、不正折り返し乗車を検出してもよい。ここでは、例えば、前述したように、乗客P1が写っている
図5の「撮像画像情報」=「File211_2」、「File211_3」、及び「File211_4」の画像にて、当該乗客P1が乗り換える様子も把握して不正を検出してもよい。このように構成した場合、不正の検出精度を向上させることができる。
【0085】
(不正の検出について(その2))
また、上記実施の形態では、
図7のSC3にて、乗車権利保有区間外の駅である第2ターミナル駅にて電車91から電車92にて、所定時間以内に乗り換えを行ったことに基づいて、不正を検出する場合について説明したが、これに限らない。例えば、電車91が第1及び第2ターミナル駅間を往復運転している場合において、第2ターミナル駅にて不正折り返し情報を検出する場合には、第2ターミナル駅に向かう電車91に乗客が乗車しており、且つ、第2ターミナル駅から発車する電車91に当該乗客が乗車している場合に、不正を検出してもよい。
【0086】
(不正の検出について(その3))
また、上記実施の形態の
図7のSC3の不正を検出する手法については、ターミナル駅以外の駅(例えば、
図3の第1ターミナル駅の隣の駅等)に適用することも可能である。
【0087】
(警告用乗客画像について(その1))
また、上記実施の形態の
図7のSC5の警告用乗客画像の表示態様を任意に変更してもよい。例えば、実施の形態にて説明したように、宣伝広告画像全部の代わりに警告用乗客画像を表示してもよい(つまり、宣伝広告画像を消して警告用乗客画像を表示してもよい)が、宣伝広告画像の一部の代わりに警告用乗客画像を表示してもよい(つまり、宣伝広告画像の一部(例えば、右下の一部等)を消して、当該消した一部に警告用乗客画像を表示してもよい)。また、例えば、警告用乗客画像について、「不正折り返し乗車を行った方には、割増料金をお支払い頂きます」等の警告メッセージを含めてもよい。また、例えば、警告用乗客画像について、予め準備されている固定のイメージ画像(例えば、電車に乗車している乗客のイメージ画像)を表示させてもよい。
【0088】
(警告用乗客画像について(その2))
また、上記実施の形態の
図7のSC5〜SC7に関して、車両側表示装置1の撮像部12にて乗客P1の顔認識を行って、当該乗客P1が警告用乗客画像の方向を向いたか否かを判定するように構成した上で、乗客P1が警告用乗客画像の方向を向くまで警告用乗客画像を表示させ続けてもよい。また、例えば、警告用乗客画像を表示した場合、宣伝広告画像を視認できなくなる(あるいは、「(警告用乗客画像について(その1))」の技術を適用した場合は、視認し難くなる)ことを考慮して、警告用乗客画像及び宣伝広告画像を交互に表示させることにより、警告用乗客画像を間欠的に表示させてもよい。
【0089】
(構成の省略について)
また、上記実施の形態において、車両側表示装置1のみにて不正を確実に警告できる場合等の任意の場合には、ホーム側表示装置2を省略してもよい。
【0090】
(警告について)
また、上記実施の形態において、
図7のSC3に乗客の不正があるものと判定した根拠となった乗客(以下、不正判定乗客)について、不正があるものと判定された回数をカウントするように構成した上で、カウントした回数が第1の所定回数(例えば、4回〜5回等)を超えた場合に、車両側表示装置1の不図示のスピーカ、あるいは、表示部13を介して、アラーム音又はアラームメッセージを出力してもよく、また、カウントした回数が第2の所定回数(例えば、第1の所定回数よりも多い回数であり、9回〜10回等)を超えた場合に、当該乗客が乗車している電車の非常放送システム(例えば、電車単位、あるいは、車両単位で放送を行うシステム)を介して、警告放送を出力してもよい。
【0091】
(行動パターンの分析について)
また、上記実施の形態においては、
図1において1つの車両を具体的に図示して説明したが、不正折り返し乗車を行う乗客は、乗車する車両を日によって変更する場合等も考えられるが、乗客の週単位又は月単位の行動パターンを分析した上で、乗車する車両を推測して不正を検出してもよい。このように構成した場合、効率的に不正を検出することが可能となる。
【0092】
(不正情報書込部及び禁止部について)
また、上記実施の形態において、乗客が、自己が携帯する端末装置(例えば、通勤定期の情報が格納されているスマートフォン、あるいは、非接触型ICカード端末等の公知の端末)を用いて駅の自動改札を通過することを前提として、センター装置3の制御部33に対して、不正情報書込部及び禁止部を設けてもよい。「不正情報書込部」とは、検出手段にて不正折り返し乗車を検出された輸送車両の乗客が携帯する端末装置に対して、不正が行われたことを特定する不正特定情報を書き込む不正情報書込手段である。また、「禁止部」とは、不正情報書込手段が書き込んだ端末装置の不正特定情報に基づいて、自動改札での輸送車両の乗客の通過を禁止する禁止手段である。この不正情報書込部及び禁止部の構成又は処理は任意であるが、例えば、駅の自動改札に監視カメラを設置して、この監視カメラにて自動改札を出入りする電車の乗客を撮像するように構成し、また、駅の自動改札に設置されている自動改札装置にて、不正特定情報として不正折り返し乗車を検出した旨と当該検出の回数とを、乗客の端末装置に対して非接触にて読み書きできるように構成した上で、以下のようにしてもよい。
【0093】
例えば、不正情報書込部が、「不正判定乗客」の画像を、画像情報DB323から取得し、取得した画像と監視カメラの画像とを用いて、駅の自動改札にて「不正判定乗客」を特定し、特定した「不正判定乗客」の端末装置に、自動改札装置を介して不正特定情報を書き込んで格納するように構成してもよい。この場合において、例えば、禁止部が、自動改札を通過しようとする乗客の端末装置に不正特定情報が格納されているか否かを、自動改札装置を介して当該端末装置の情報を読み込むことにより判定し、不正特定情報が格納されていなものと判定した場合に、ゲートを開けて通過を許可し、一方、不正特定情報が格納されているものと判定した場合に、ゲートを閉めて通過を禁止するように構成してもよい。このように構成した場合、端末装置の不正特定情報に基づいて、改札での電車の乗客の通過を禁止することにより、例えば、少なくとも、正しくない行為を実際に行った乗客(例えば、不正折り返し乗車を実際に行った乗客)を駅員側に誘導することが可能となるので、不正の再発を防止したり、あるいは、不正に対する代償(例えば、不正折り返し乗車に対する割増料金等)を支払わせたりすることが可能となる。
【0094】
(特徴について)
また、上記実施の形態の特徴及び変形例の特徴を任意に組合わせてもよい。
【0095】
(付記)
付記1の不正防止システムは、輸送車両に乗車している乗客に視認させる画像を表示する表示面を備える表示手段であって、前記輸送車両の内部に設けられている前記表示手段を用いて前記輸送車両の乗客の不正を防止する不正防止システムであって、前記輸送車両の内部画像を取得する取得手段と、前記取得手段が取得した前記内部画像に基づいて、前記輸送車両に乗車している乗客の不正を検出する検出手段と、前記検出手段が前記輸送車両に乗車している乗客の不正を検出するまでは、第1画像を前記表示面に表示させ、前記検出手段が前記輸送車両に乗車している乗客の不正を検出した場合に、前記検出手段にて検出された不正を警告する第2画像を、前記表示面の少なくとも一部において前記第1画像の代わりに表示させる表示制御手段と、を備える。
【0096】
付記2の不正防止システムは、付記1に記載の不正防止システムにおいて、前記取得手段は、前記輸送車両に乗車している前記輸送車両の乗客の画像を前記内部画像として取得し、前記表示制御手段は、前記検出手段が前記輸送車両に乗車している乗客の不正を検出した場合に、前記取得手段が取得した前記輸送車両の乗客の画像に対応する画像を前記第2画像として表示させる。
【0097】
付記3の不正防止システムは、付記2に記載の不正防止システムにおいて、前記取得手段は前記表示手段と一体に構成されている撮像手段で撮像された前記内部画像を取得する。
【0098】
付記4の不正防止システムは、付記1から3の何れか一項に記載の不正防止システムにおいて、前記輸送車両は、鉄道車両であり、前記輸送車両の乗客は、第1起点駅と第2起点駅との間の乗車権利保有区間のみで前記輸送車両に乗車する権利を有しており、前記検出手段は、前記輸送車両の乗客による不正折り返し乗車であって、前記輸送車両の乗客が、前記輸送車両にて前記乗車権利保有区間内の駅である区間内駅から、前記乗車権利保有区間外の駅である区間外駅に移動した後に、前記輸送車両の乗客が、当該区間外駅にて前記輸送車両に乗車して前記乗車権利保有区間側に移動する前記不正折り返し乗車を検出する。
【0099】
付記5の不正防止システムは、付記4に記載の不正防止システムにおいて、前記輸送車両は、第1の進行方向に向かって走行する第1の輸送車両と、前記第1の進行方向とは反対方向である第2の進行方向に向かって走行する第2の輸送車両とを含んでおり、前記取得手段は、前記第1の輸送車両に設けられている第1の撮像手段で撮像された前記内部画像である第1の内部画像と、前記第2の輸送車両に設けられている第2の撮像手段で撮像された前記内部画像である第2の内部画像とを取得し、前記検出手段は、前記取得手段が取得した前記第1の内部画像と前記第2の内部画像に基づき、前記不正折り返し乗車を検出する。
【0100】
付記6の不正防止システムは、付記4又は5に記載の不正防止システムにおいて、前記輸送車両の乗客は、自己が携帯する端末装置を用いて駅の改札を通過し、前記不正防止システムは、前記検出手段にて前記不正折り返し乗車を検出された前記輸送車両の乗客が携帯する前記端末装置に対して、不正が行われたことを特定する不正特定情報を書き込む不正情報書込手段と、前記不正情報書込手段が書き込んだ前記端末装置の前記不正特定情報に基づいて、前記改札での前記輸送車両の乗客の通過を禁止する禁止手段と、を備える。
【0101】
(付記の効果)
付記1に記載の不正防止システムによれば、取得した内部画像に基づいて、輸送車両に乗車している乗客の不正を検出することにより、例えば、輸送車両内の電波状況に関わらず乗客の不正を検出することができるので、乗客の不正を確実に警告することが可能となる。また、乗客の不正を検出するまでは、第1画像を表示手段の表示面に表示させ、乗客の不正を検出した場合に、不正を警告する第2画像を、表示手段の表示面の少なくとも一部において第1画像の代わりに表示させることにより、例えば、乗客の不正を検出するまでにおいても、表示手段を有効利用することが可能となる。また、例えば、乗客の不正を検出するまでに第1画像を表示しているので、表示手段に対して乗客の注意を引き付けることができ、第1画像から第2画像に切り替えた場合に、不正を検出した乗客に対して第2画像を確実に視認させることができ、警告の効果を向上させることが可能となる。
【0102】
付記2に記載の不正防止システムによれば、輸送車両の乗客の画像に対応する画像を第2画像として表示させることにより、例えば、乗客に対して監視されているというイメージを与えることができるので、警告の効果を一層向上させることが可能となる。
【0103】
付記3に記載の不正防止システムによれば、撮像手段は表示手段と一体に構成されることにより、例えば、乗客の視線を表示手段に誘導することで撮像手段の正面方向に乗客の顔を捉えることが可能となり人物の特定を行いやすくすることが可能となる。
【0104】
付記4に記載の不正防止システムによれば、検出手段が不正折り返し乗車を検出することにより、例えば、乗客の不正折り返し乗車を警告することが可能となる。
【0105】
付記5に記載の不正防止システムによれば、例えば、乗り換え元と乗り換え先の車両の内部画像で一致した乗客を検出することができるので、乗客の不正折り返し乗車を確実に警告することが可能となる。
【0106】
付記6に記載の不正防止システムによれば、端末装置の不正特定情報に基づいて、改札での輸送車両の乗客の通過を禁止することにより、例えば、少なくとも、正しくない行為を実際に行った乗客(例えば、不正折り返し乗車を実際に行った乗客)を駅員側に誘導することが可能となるので、不正の再発を防止したり、あるいは、不正に対する代償(例えば、不正折り返し乗車に対する割増料金等)を支払わせたりすることが可能となる。