【文献】
WALLACE, D et al.,Determination of the olfactory threshold using a piezoelectric microdispenser for neurodegenerative disease diagnostics,MEASUREMENT SCIENCE AND TECHNOLOGY,英国,INSTITUTE OF PHYSICS PUBLISHING,2006年,17,p3102-3109
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記臭い判別テストと前記第一臭い識別テスト、前記第二臭い識別テストの少なくとも1つの前記スコアに応じて、前記コンピュータ装置が前記第一予測臭い記憶スコアと前記第二予測臭い記憶スコアを較正することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
前記第一臭い識別テスト、前記第二臭い識別テスト、の少なくとも1つと前記臭い判別テストのスコアに応じて、前記コンピュータ装置が前記第一予測臭い記憶スコアと前記第二予測臭い記憶スコアを較正することを特徴とする請求項7に記載の方法。
前記ユーザーインタフェースによって電子的に制御されない別個の臭い供給装置を介して前記ユーザーが臭いを除去するための命令を前記ユーザーインタフェースを介して受け取り、
前記臭いの除去に続けて、前記ユーザーインタフェースを介して前記ユーザーから応答を受け取り、
前記ユーザーによって前記応答を保存する、ステップをさらに備える請求項7に記載の方法。
前記オルファクトメータが臭いを供給する前には、前記ユーザーインタフェースは予想される臭いの兆候を備えないことを特徴とする請求項14に記載の持続的にコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
前記臭い記憶テストと前記臭い判別テストのスコアに応じて、前記コンピュータ装置が前記第一予測臭い記憶スコアと前記第二予測臭い記憶スコアを較正することを特徴とする請求項14に記載の持続的にコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、上で簡単に述べた本発明を添付図面に関して詳細に説明する。以下の記載では、多くの具体的詳細が、本発明を実施する出願人のベストモードを示しながら説明され、当業者に本発明の利用を可能にしている。しかしながら、当業者が多くのこれら具体的詳細無しに本発明を実施できることは明らかである。他の例では、本発明を不必要に不明瞭にすることを避けるため、既知の装置、構造、及び方法ステップは特に詳細に記載されていない。別段の指示がない限り、類似の部品や方法ステップは類似の参照符号が付されている。
【0009】
本開示は、神経変性病のリスクがある個人を検出しフォローする見込みのある新しい嗅覚パラダイムを提供する。それは、ポジトロン放出断層撮影(PET)、磁気共鳴映像法(MRI)、腰椎穿刺、その他集中して開発されている現行手法と比較して、非侵襲性で安価である。
【0010】
図1と
図2に、テストを行い、結果を計算することのできる、本開示に従うハードウエアとソフトウエア環境を示す。
図1と
図2に示すように、この環境は後述のクライアントコンピュータ120に結合されたオルファクトメータ150を備えている。1つ以上のコンピュータ装置と組み合わせた1つ以上のプロセッサ(例えばサーバーコンピュータ110及び/又はクライアントコンピュータ120)が、例えばネットワーク100と通信可能に接続された1つ以上のコンピュータ装置120を介して、ネットワーク環境で相互作用をする。プロセッサは例えばコンパイルされた命令や実行可能なソフトウエアコードを実行し、プロセッサによってこの命令が実行されると、テストの実行や結果の計算のためにプロセッサが後述のアルゴリズムや方法ステップを実行する。サーバー110及び/又はクライアント120は、本開示のアルゴリズムを実行して、テスト結果を計算し、ユーザーや被験者及び/又は患者に表示する。これらの計算に用いられたデータは、これらの計算結果と共に、データベース130から照会され、及び/又はデータベース130内に保存され、データベース130はネットワーク100、サーバー110、及び/又はクライアント120と通信可能に接続されている。
【0011】
オルファクトメータ150は、臭いを検出し、ユーザー、被験者、又は患者の臭いを識別する能力を測定するために用いられる様々な器具を備えている。オルファクトメータ150は、人の臭覚を定量化と定性化し、及び/又は物質(substances)の臭い検出閾値を測定するために、研究室又は他の設定で、被験者と協働して用いられる。非限定的な例として、オルファクトメータ150は、Osmic Enterprises of Cincinnati, OHが製造したポータブルOLFACTオルファクトメータを備えている。
【0012】
実地に臭覚識別の機能的スクリーニングとして用いられる現在主流のテストは、引っ掻いて嗅ぐ(scratch and sniff)臭い識別テストである。オルファクトメータは、例えば本来実施された引っ掻いて嗅ぐテストに基づいた臭いを用いて、このテストを再現するように設計されている。後述のテストには、複数の臭い(例えば、20種の異なる臭い、即ち、メンソール、クローブ、レザー、ストロベリー、ライラック、パイナップル、スモーク、ソープ、グレープ、及びレモンが臭い認識テストに、さらにバナナ、ガーリック、チェリー、ベビーパウダー、グラス、フルーツポンチ、ピーチ、チョコレート、ダート、及びオレンジが臭い記憶テストでの比較のために)及びこれらの組み合わせが、ユーザー、被験者、及び/又は患者に供給される。これらのテストの幾つかでは、被験者が臭いを区別できることが重要である。このように、オルファクトメータ150は、これらの臭いを受け入れ、二次汚染を避けるために専用ラインを介してユーザーに各臭いを供給している。
【0013】
幾つかの構成では、オルファクトメータは香りのするカートリッジ又は臭いパック(例えば商業用香水企業やオルファクトメータの製造者が提供するもの)を備え、テスト中に被験者に供給する臭いを生成するために用いられる。20の特定の臭いが上記にリストされているが、オルファクトメータ150は広範囲の生成された臭いのカートリッジを受け入れるように構成されており、それらをテストに用いることができる。例えば、テストは米国内で一般的な人工香料(例えば人工グレープ又はストロベリー香料)を受け入れるように構成されている。オルファクトメータ150のためにカートリッジを提供する香水企業は、人工香料とは対照的な実際のフルーツ自体からも臭いを提供する。これは、外国では米国居住者のみになじみのある人工的に合成された臭いを認識しないので、本発明の国際的適用に本質的に役立つ。また、香水企業は特定の地域や文化に特化したテストのための臭いを生成できる。
【0014】
オルファクトメータ150は、オルファクトメータを駆動し、後述のアルゴリズムや方法ステップを臨床医が知識無しに実施することを許容する、1つ以上のソフトウエアモジュールと結び付いている。この1つ以上のソフトウエアモジュールは、同じコンピュータ又はコンピュータネットワーク100を介して他のコンピュータ、プログラム、又はユーザーにサービスを提供するコンピュータ又はプログラムを備えたクライアントマシーン120上で実行される。非限定的な例では、クライアント120はラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、又は例えば携帯電話やタブレットコンピュータ装置のような無線でオルファクトメータ150と接続される携帯端末を備える。
【0015】
クライアント120は、ユーザー/被験者/患者がテストを受けることができ、ユーザーにテスト結果を表示させるユーザーインタフェースを備えている。このユーザーインタフェースは、コンピュータプログラムがユーザーに提供するグラフィック、文字、スキャン画像、及び/又は音声の情報と、プログラムを制御するために用いられる、キーストロークやコンピュータマウスの動きやタッチ画面上の選択やスキャン情報等の制御シーケンスとを備える。ソフトウエアモジュール内に収容された命令や他のデータは、このインタフェースで用いられる、テキストボックス、テキストフィールド、ボタン、ハイパーリンク、リスト、ドロップダウンリスト、チェックボックス、ラジオボタン、データグリッド、アイコン、グラフィカルイメージ、埋め込みリンク等の、フィールド、ウィジェット、及び/又はコントロールを用いて受け取られる。
【0016】
幾つかの構成では、被験者は臨床試験の一部である。開示したシステムは、この臨床試験を実施するサイトの初期スクリーニングの一部である。これらの構成では、臨床医及び/又は医者は、被験者がアルツハイマー又は他の神経変性病かスクリーニングする。ユーザーはテストサイトに行って、研究を担当する臨床医又は医者が制御する環境下でコンピュータ又は携帯端末を操作する。
【0017】
幾つかの状況では、被験者は医者を訪問する患者であって、追加の検査(例えばMRI、PETスキャン等)が必要か判断するためのスクリーニングを行う。これらの状況では、クライアント120は待合室でテストを実施する為に用いられ、患者はラップトップコンピュータ又は携帯端末(例えばipad(登録商標))を用いる。患者が携帯端末を持って医者を待っている間に、臭いが患者に供給される。この状況では、患者が医者を見る時までに、医者は医者/患者のインタビュー中にはすでに患者に追加の治療が必要かどうかの結果を得ている。
【0018】
幾つかの構成では、例えばリモートクライアント120を介しアクセス可能なウェブサイトから、例えばユーザーのホームコンピュータ又は携帯端末を用いて、ユーザーは自らテストを実施する。これらの構成では、ユーザーは関係する臭いを検出するためにカード又は他のシステム(例えば、引っ掻いて嗅ぐカードモデルへの逆戻り)を購入し、テストのためのウェブサイトにアクセスする。ユーザーは、ユーザーを識別するための特定のログイン名とパスワードを有する。ユーザーのデータは購入したカードと関連付けられて、テストはオンラインで実施され、ユーザーの回答とカード上の正しい臭いとが比較される。このテストは、医学的所見を構成せず、ユーザーにとって彼らの嗅覚のフィードバックを受け取ることによる全体的な健康状態をモニターする手段である。
【0019】
幾つかの構成では、クライアント120はユーザーからの入力を受け取り、この入力は後述のアルゴリズムに由来するテスト結果を得るための計算に用いられる。幾つかの構成では、クライアントによって受け取られた入力は、サーバー110及び/又はクライアント120の組み合わせを介した計算の実行の為に用いられる。例えば、上述の待合室でのテストとオンラインで実行されるテストでは、テストは表示され、ユーザーの応答はクライアント120を介して受け取られるが、クライアント120から遠く離れた位置にある1つ以上のサーバー110が、表示内容を生成し、ユーザーの応答を受け取り、結果を求めるために計算を実行する。サーバー110は、他のコンピュータ、プログラム、又はコンピュータネットワークを通じたユーザーへサービスを提供するコンピュータ又はプログラムを備えている。
【0020】
サーバー110及び/又はクライアント120で実行されるソフトウエアモジュールは、データベース130に保存されたデータを用いて、ユーザーに提供するオプションを含むユーザーのための表示内容を生成する。このソフトウエアモジュールは、ユーザーの入力に基づくテスト結果を計算するようにも構成され、これらの結果をデータベース130に保存する。構造的に、データベースはデータのコレクションを備え、このデータは例えばクラウド上の安全なサーバーに長い期間保存され、所望のデータを生成するためのアクセスを提供する。
【0021】
後述する複数のテストが、開示したシステムを介して実施される。これらのテストは、臭い感知(odor percept)の作業記憶とエピソード記憶を組み込み(以下では臭い記憶テスト又はPOEMテストと称す)、これらのタスクの能力は嗅覚と記憶神経系の両方の完全性(integrity)を反映すると考えられているので、臨床前アルツハイマー病の生体指標として嗅覚の感度と特異度(specificity)を向上させる。臭い感知は、経験した臭いの精神印象(mental impression)である。
【0022】
幾つかの構成では、開示されたテストのすべては単一セッションで実施される。幾つかの状況では、テストは約30分かかる(例えば、3つのテストを10分間隔で行う)。それぞれのテストでは、被験者はオルファクトメータの隣に着席し、テスト指示を与えられ、テストのタイミングとやり方(task)に慣れるために、臭いプレゼンテーションと反応選択の試行を受けさせられる。
【0023】
テストバッテリ(総合的な判定を行うために組み合わされた複数のテスト)の最後では、開示されたシステムソフトウエアはユーザーが臭い記憶又はPOEMテストに関して良い成績を挙げたか悪い成績を挙げたかを判定する。このソフトウエアはここに開示されたアルゴリズムを用いてこの判定を行い、リアルタイムでテスト結果を生成し、これらのテスト結果の解釈を行う(例えば、被験者のPOEMテスト成績が悪くて従って神経変性病リスクがあるかどうか)。テスト結果とテスト解釈は、医師へのレポートとして表示される。放射線科や心室遅延電位結果で現在行われているのと同様に、医者は患者に結果を示し状況を説明する。直接的な消費者テストでは、規定された結果(result stated)は嗅覚機能に関しより一般的なものになる。
【0024】
臭い供給の間で、臭い識別選択のプレゼンテーションの前に、参加者にはい/いいえの質問に答えさせることによって、作業記憶遅延コンポーネントが、臭い識別テスト(臭い識別テスト、臭い知覚識別テスト、又はOPIDテストと称し、例えばOPID-10)及び/又は臭い記憶テスト(例えば臭い記憶テスト、又は臭い知覚識別OPID-20)に導入される。臭い識別テストでは、はい/いいえの質問は、参加者が臭いを良く知っているかどうかを知るためであって、臭い記憶テストでは、提示された臭いが臭いの第一セットに含まれていたかどうかを知るためである。
【0025】
最初のテストである臭い識別テストには、
図3〜5に示されたテストが含まれる。伝統的な引っ掻いて嗅ぐテストでは、参加者がテスト臭いをサンプリングする前に応答選択を見ている。開示された臭い記憶テストでは、参加者には自分たちが嗅ぐ臭いを状況的に説明するための視覚情報や意味情報は与えられない。
【0026】
臭い識別テストは、軽度認知障害から例えばアルツハイマー病のような神経変性病への転換を予測できることが判った複数の臭い(例えば上述の10種の臭い)を採用している。このテストは、被験者に臭いの知覚又は被験者の記憶しているものに基づいた臭いの識別を要求し、そうすることで被験者の作業記憶をテストに従事させるので、臭い知覚識別テストと称される。
【0027】
このテストでは、被験者は嗅ぐ準備をするように指示される(ステップ300)。幾つかの構成では、サーバー110及び/又はクライアント120が
図5に示すようなユーザーインタフェースを生成し、被験者に表示するように構成され、一定時間(例えば2秒)供給された臭いを嗅いでサンプリングする準備をするように指示する(ステップ310)。
【0028】
この方法は、被験者にどんな臭いか予測を与えないから、従来の範例から逸脱している。換言すれば、被験者が嗅ぐことになる臭いのリストを提示するのでなくむしろ、開示したシステムでは臭いの起源に関してはヒント無しで単にユーザーに嗅ぐ準備をするように告げている。
【0029】
次にオルファクトメータ150は、クライアント120から被験者に臭いを提示する命令を受け取り、一定期間(例えば
図4の2秒)臭いの1つを被験者に提示することによってこの命令を実行する(ステップ310)。幾つかの構成では、各反応選択と反応時間はソフトウエアによって記録され、これがオルファクトメータ150を動作させ、反応に重み付けをするのに用いられる。
【0030】
特定の期間の最後に、そして臭いの提示に続けてただちに、サーバー110及び/又はクライアント120上のソフトウエアモジュールは、
図5に示すようなディスプレイを生成して、はい/いいえメニューを介してその臭いを知っているかユーザーに質問する(ステップ320)。幾つかの構成では、ディスプレイは、臭いを知覚して知っているということが意味的ラベル(semantic label)を必要としないことを示す。
【0031】
クライアント120は被験者から臭い識別応答(例えばはい又はいいえ)を受け取る(ステップ330)。この反応は転送されて開示されたアルゴリズムによってテスト結果を計算し表示するために利用され、及び/又は、例えばテストされた被験者に関連する1つ以上のデータ記録としてデータベース130内に保存される。被験者のはい又はいいえの選択の受け取りに応じて、ソフトウエアモジュールは
図5に示すようなディスプレイを生成し、ユーザーに臭いの名前を言えるか質問する(ステップ340)。次に被験者には複数の臭いの名前が提示され(
図5のa、b、c、d)、試行の始めに経験した臭い知覚の記憶に関連した臭いの名前を選択するように求められる。幾つかの構成では、選択にはグラフィックが添付される(
図5には図示せず)。クライアント120は被験者から臭い識別反応を受け取る(ステップ350)。この反応は解析され、次にここに開示のアルゴリズムに転送されてテスト結果を計算し表示し、及び/又は、例えばテストされた被験者に関連するデータ記録としてデータベース130内に保存される(ステップ360)。
【0032】
臭い認知度テストは、被験者が自身の嗅覚に対してどの程度用心深いかと、自身の嗅覚に対してどの程度行動面及び感情面で影響されるかを測定する(例えば彼らの環境下での臭い認知を照会する)。このテストには被験者がテストと次のテストの間に記入する調査が含まれる。幾つかの構成では、このテストは他のテストで観察される変形(variants)にはまったく貢献しないが、テストの間の一貫した遅延として機能する。
【0033】
加えて又は代わりに、複数項目テスト(例えば上記臭いを含む20品目)が実施され、それには
図7に示す2つのコンポーネントが含まれる:臭い記憶テスト及び臭い識別テスト。臭いの提示に続く質問「この臭いを先のテストで嗅ぎましたか?」を除き、手順(protocol)はオリジナルの臭い識別テストと同様である。
【0034】
このテストでは、被験者はディスプレイを介して臭いを嗅ぐ準備をするように合図され(再び、これは被験者には何が臭うかの予測無しに任意に行われる、ステップ300)、オルファクトメータは先に開示したものと類似の技術を用いて一定時間被験者に臭いを提示する。OPID-10テストでは10種の臭いが提示され、POEM/OPID-20テストでは新しく10種の臭いが提示される。
【0035】
特定の期間の終わりで臭い提示に続いて直ちに、サーバー110及び/又はクライアント120上で実行されるソフトウエアモジュールは、
図8に示すディスプレイを生成して、はい/いいえメニューを介して先のテストで嗅いだ臭いかどうかを質問する(ステップ600)。このように、臭い記憶テストは、ヒント無しで一定時間(例えば10分)の遅延の後に先に提示された臭いを覚えている被験者の能力を測定し、さらに被験者がどの程度正確に臭いを識別できたかを測定する。言い換えれば、提示された臭いが新しいか、先の臭い知覚識別テストで提示されていたかを被験者は問われる。幾つかの構成では、テストの命令フェーズは新しい/古いの指示が、現在のテストセッションに関するものであって、より広い人生の中で嗅いだものに関するものではないという明確な識別を備えている。
【0036】
このエピソード臭い記憶又は自伝的臭い記憶の測定(ステップ600)に続けて、被験者には複数の臭いの名前が提示され、どの名前が試行開始時に彼らの経験した臭いの知覚記憶に関連しているか選択するように質問される(ステップ340)。換言すれば、被験者の選択したはい又はいいえを受け取り、それに応じてサーバー110又はクライアント120は
図8に示すディスプレイを生成して、ユーザーに臭いの名前を挙げることができるか質問する(ステップ340)。次に被験者には複数の臭いの名前が提示され(
図8のa、b、c、及びd)、どの名前が試行開始時に彼らの経験した臭いの知覚記憶に関連しているか選択するように質問される。幾つかの構成では、グラフィックが選択肢に伴っている(
図8に図示せず)。クライアント120は被験者から臭い記憶
及び/
又は識別応答(例えばはい又はいいえ)を受け取るだけでなく、彼らの経験した臭い知覚の記憶
及び/
又は識別に関連した臭いの名前も受け取る。これたの応答は解析され採点され、ここに開示したアルゴリズムに転送されてテスト結果を計算し表示し、及び/又は例えば被験者に関連したデータ記録としてデータベース130に保存される(ステップ360)。
【0037】
加えて、又は代替的に、
図10に示す臭い判別テスト(臭い判別テスト又はODテストと称する)が実施され、被験者には一定時間に(例えば各2秒)2種の臭いが連続的に提示され、これらは同一の臭いか異なる臭いか質問される。
【0038】
このテストでは、被験者はディスプレイを介して嗅ぐ準備をするように指示され(再びステップ300で、被験者が何を嗅ぐのかの予想無し)、オルファクトメータは先に開示したものと類似の技術を用いて、一定時間被験者に臭いを提示する(ステップ310)。所定の時間(例えば
図10で2秒)が終わると、オルファクトメータは先に開示したものと類似の技術を用いて、同じ時間間隔で次々と臭いを提示する。
【0039】
換言すれば、臭い判別テストの間、被験者は各トライアルで、それぞれ一定時間で臭いを嗅ぐ準備と連続的に提示される複数の臭いを抽出することの両方を指示される(ステップ300−310、ステップ900−910)。次に被験者は提示された臭いが同一であるか又は異なるか質問される(ステップ920)。幾つかの例示的な構成では、トライアルの半数は同一であり、臭いは上記リストの臭いから予め選択されたものである。臭いは、先に露出した臭いのサブセットとすることができる。
【0040】
臭いがユーザーに提示された後に、サーバー110及び/又はクライアント120が実行するソフトウエアモジュールは、
図11に示すディスプレイを生成して、メニューを介してユーザーに連続的に提示された臭いが同一か又は異なるか質問する。
【0041】
クライアント120は被験者から臭い判別応答(例えば、同一又は異なる)を受け取る(ステップ930)。この応答は解析され採点され、ここに開示したアルゴリズムに転送されてテスト結果を計算し表示し、及び/又は例えば被験者に関連した1つ以上のデータ記録としてデータベースに保存される(ステップ360)。
【0042】
サーバー110又はクライアント120上で走るソフトウエアモジュールによって実行されるソフトウエア命令の組み合わせは、テストのそれぞれ皆からユーザー入力を受け取り、ユーザーの応答とユーザーが受け取る入力促進に対応した正解(例えばデータベース130に保存されたもの)とを比較して、受け取った回答が正解と一致しているかどうかを判定する。次にソフトウエアモジュールは、被験者の回答を解析するために計算して、臭い識別テスト、臭い記憶テスト、及び/又は臭い判別テストのすべて又はそれぞれに対する正解数を含むスコアを生成する。
【0043】
これらのスコアの生成後に、臭い判別テストと臭い識別テストは別々に解析されて、被験者に対する複数の予測臭い記憶スコアと信頼区間閾値(例えば50%信頼区間)を生成し、被験者が臭い記憶が苦手で、神経変性病になり易いかどうかを判定するために部分的に利用される。
【0044】
被験者の予測臭い記憶スコアは、データベース130に保存された事前の研究及び/又はテスト被験者からの成績と結果データの集合に基づいて、被験者の臭い識別スコアから生成された、臭い識別スコアと第一予測臭い記憶スコアとの間の関係に部分的に基づく。この臭い識別スコアと第一予測臭い記憶スコアとの間の関係は、線形である。データベース130内の成績と結果データの集合は、さらに第二の個別予測臭い記憶スコアの生成に用いられ、これは被験者の臭い判別スコアと、事前の研究及び/又はテスト被験者の成績と結果データの集合と、の関係に基づいている。この被験者の臭い判別スコアと、事前の研究及び/又はテスト被験者の成績と結果データの集合と、の関係は線形である。
【0045】
解析の最終ステップには、閾値としての50%以下の信頼区間を用いた実際の記憶スコアと予測記憶スコアの比較が含まれる。両方のテストに対し観測された記憶スコアがこの閾値より低い被験者は、POEMテスト成績の劣った人(poor POEM performer)とみなされる。これにより神経変性のリスク増加と神経変性病の症状を起こすリスクの増加が伝えられる。
【0046】
データベース130内の成績と結果データの集合は、先の被験者又は研究の第一と第二予測臭い記憶スコアと信頼区間閾値を決定するために用いられた調査研究及び/又は追加のユーザーテストの結果に基づいている。このような研究の非限定的な例では、ボストンのマサチューセッツ総合病院(MGH)神経科が、アルツハイマー病の生体指標として臭い知覚の識別と回想の能力に関する研究を実施した。この研究はアルツハイマー病の臨床前段階、発症前段階に対する生体指標の識別を目的とした。
【0047】
しばらくの間、病理学的研究や他のレポートが、認知症の基準に達していない症状のある患者の移行期や認知症の後記における嗅覚変化を判定していた。上述のように、この分野での現在の一般的なテストは引っ掻いて嗅ぐ臭い識別テストである。
【0048】
MGH研究の目標は、認知症の実例を発症前の段階で識別するための(PET画像、MRI、及び腰椎穿刺と比較して)非侵襲性の安価な技術を検討することであった。この研究では、臭い知覚の識別や判別と比較して、臭い知覚のエピソード記憶の選択的障害は、よく特徴付けられたプレマイルド(pre-mild)認識機能障害集団におけるアルツハイマー病の生体指標と関連付けられた。上述の手頃な料金の非侵襲性の嗅覚テストは、潜在的に認知低下のリスク増加がある臨床的に正常な人々を識別するために用いられる。
【0049】
この研究は、臭い識別テスト、臭い記憶テスト、及び臭い判別テストで実証された、記憶コンポーネントをテストに組み込むことによって神経変性病のリスクのある人々を検出しフォローする。臭い記憶コンポーネントは、例えばパーキンソン病に用いられる嗅覚障害テストより、臨床前段階のアルツハイマー病により特化している。
【0050】
この研究データから、臨床的に正常でも、臭い識別テスト(OPID-20)や臭い判別テスト(OD)の結果と比較してPOEMテスト結果の悪い参加者の嗅覚結果は、アルツハイマー病の悪化段階及びアルツハイマー病が進展する危険因子のすべてと関連していることが判った。具体的には、これらの参加者は認知スコアの著しく悪い軌跡(trajectory)(詳細は以下に記載)及びAPOE (
4遺伝子(散発性アルツハイマー病と最も著しい関係のある対立遺伝子)の増加と関係していた。
【0051】
またこのデータから、臨床前期の非常に早期に生じる神経変性の感度が判った。内嗅皮質(非常に初期のアルツハイマー病に関連する脳での神経変性指標)を備えた嗅覚入力を処理する脳の領域及び嗅球は、無症状の人々でさえ、アルツハイマー疾患病状の影響を受けやすい。嗅覚障害識別は、認知症の患者やアルツハイマー病の前駆症状的段階の患者に対する一貫性のある結果であり、近年アルツハイマー病の臨床前段階でも同様に報告されている。
【0052】
OPID-10、OPID-20/POEM、及びODテストを実施し、追跡調査した183人の参加者を含む研究が被験者に対して定期的に実施された。参加者は認知機能が正常な者(CN)から認知症になった者(AD)にまで及んだ。参加者は以下のサブグループに細分された:CN、つまり認知症の症状が無く、定期的な神経心理学的テストで問題の無いサブグループと;主観的認知機能に懸念のあると報告された(即ち症状のある)しかし認知力テストで正常な者;軽度認知障害(MCI)、つまり健忘症の又は非健忘症の軽度認知障害と診断されたが認知症でない参加者;及び、アルツハイマー病の可能性のある被験者を含む認知症患者(AD)。
【0053】
すべての被験者のデータは解析され、長期的な認知スコアの線形混合モデリングが、認知症患者を認知症の早期段階から切り離して実行された。臭い知覚の識別及びエピソード記憶の正確さは、診断結果と年齢にわたって著しく異なり、機能障害の程度によって次第に悪い成績であった。
【0054】
この研究では、テストを完了した症状の無い被験者は、OPID-20テストとODテストでは正常であると採点されたが、POEMスコアは、他の2テストのスコアに基づいて予測されたものより悪い(以下では、「POEMテスト成績の劣った人」と称す)ことが見出された。POEMテスト成績の劣った人は、ODテストとOPID-20テストで正常なスコアを得た者に限らないことに留意すべきである。ODテストとOPID-20テストでも成績の劣った人がPOEMテストでもスコアが悪くて、POEMテスト成績の劣った人の地位を得ることが可能である。この例の研究の範囲では、これが著しくて、「正常」グループ内のPOEMテスト成績の劣った人は、OPID-20テストとODテストに基づく予測されたPOEMスコアの50%信頼区間以下であり、従ってアルツハイマー病の影響をより受けた。CN又はSCCサブグループのPOEMテスト成績の劣った人は、3つの受容危険因子、神経変性の生体指標、及び又はアルツハイマー病の生体指標を多く持っており、それにはAPOE e4リスク対立遺伝子が豊富(即ち、より高い頻度)である証拠、内嗅皮質厚の減少(即ち、薄膜化)、及び論理的記憶スコアの長期的衰退(即ち、後述のPOEMテスト成績の劣ってない人と比較した劣った認知軌跡)が含まれる。このように、ロジスティック回帰モデルはPOEMテストの成績において、アルツハイマー病の参加者とCN及びSCCグループとの間で著しい差異を明らかにした。
【0055】
ロジスティック回帰モデルによる正しい応答の割合のモデル化は、共変量効果に対して調整すると、診断結果((
2(3) = 13.28, p < 0.0001)と年齢((
2(1) = 6.01, p = 0.01)の著しい主効果を明らかにした。アルツハイマー病の参加者と比較して、先に提示された臭いを正確に識別した割合の記録は、CNグループ(p = 0.003)で54.3%高く、SCCグループ(p = 0.016)で44.9%高かった。与えられた診断、性別、教育レベルに対して、正確なエピソード想起の割合の記録は、参加者が年齢を重ねる各年に対し0.011(p = 0.014)減少した。二次分析では、診断、年齢、教育、及び性別効果に応じたPOEMテスト成績は、神経生理学的記憶テストを含む他の検査した生体指標と著しくは関係しなかった。
【0056】
OD結果のロジスティック回帰モデルは、CNとAD診断の成績の間に著しい差異を示した。正確な応答の割合のモデリングは、共変量効果の調整を行うと、診断(p = 0.01)と年齢(p < 0.0001)の著しい主効果を明らかにした。二次分析では、診断と共変量効果の調整を行うと、より悪いOD成績はより高いTrails Bスコア(p < 0.0001)と著しく関連することをこの研究が見出した。
【0057】
OPID-20テストでの先に提示した(又は提示しなかった)臭いのエピソード認識は、判別臭い知覚と識別臭い知覚の両方に依存した複雑なタスクである。これに一致して、POEMとODとOPID-20テストの成績は研究サンプルにわたって実質的に相関性があった。この研究は、嗅覚的/内嗅皮質的神経系における病態生理学的変化のあった人々は、病気の初期においてさえ、識別と判別タスクに比較して記憶コンポーネントの成績が劣ると仮定した。臭い知覚のエピソード記憶において特定の欠点を有する人々を識別するために、この研究はOPID-20テストとODテストの関数としてPOEMスコアの予測モデルを開発した。予測スコアの50%信頼区間の下限より下のPOEMスコアだったCN及びSCC参加者は、POEMテスト成績の劣った人(PPPs, n = 23; 21%)と識別され、残りの人々はPOEMテスト成績の良好な人(n = 88)と識別された。この50%閾値は、CN参加者の下位四分位のPOEMインデックススコアは、AD参加者(成績は偶然並み)のスコア範囲に近似できるという初期観察に基づいていた。POEMテストの成績の良好な人と劣った人の間では、判別テストの成績(78.0±1.4%の正解に対し78.3%, P = 0.9)又はパーキンソン病に関連するUPDRSテストを含めた又は他の人口統計学的変数に関し、互いに差異はなかった。しかし、PPPsは識別タスクにおいて成績が悪かった(OPID-20: 76.4%正解に対し68.8%, P = 0.04)。
【0058】
上述のシステム及び方法に合致して、アルツハイマー病の診断に対してPOEMテストの感度と特異性(それぞれ90%と78%)は、OPID-20テスト(それぞれ80%と69%)とODテスト(それぞれ70%と66%)を超えていた。このように、この研究は被験者の認知機能の乏しい軌跡(poor trajectory)を有し、記憶に症状の無い人を識別した。
【0059】
特に、POEMテスト成績の劣った人のグループにおける被験者の認知機能の軌跡は、釣合のとれた態度のPOEMテスト成績の良好な人のグループと著しく異なった。この研究において、最初の8年間で、POEMテスト成績の良好な人のスコアは年を追って向上したが、POEMテスト成績の劣った人のスコアは横ばいか低下さえした(即ち、「正常」範囲にまだあっても、彼らの軌跡は平坦を維持するか低下した)。
【0060】
図12に嗅覚テストを一度受け、6年にわたって毎年の神経心理学的テストを受けてきたCN/CI被験者に対し算出した修正臨床前アルツハイマーの認知複合スコアの非限定的例を示す。線形混合モデルは、年齢と訪問数(visit number)の間に交互作用効果の無い有意な関連性を明らかにした。このモデルは嗅覚テストを受けたすべてのCN/CI被験者に対しプロットした。そしてこれらCN/CI被験者と同等のPOEM成績者(POEMテスト成績の良好な人)とは重複している。
【0061】
しかし、同じ時間スパンにわたるOPID-20テストとODテストスコアを補正後のPOEM成績が50%信頼区間以下(POEMテスト成績の劣った人)のCN/CI被験者サブセットの認知軌跡は、CN/CIグループ全体及びCN/CIでPOEMテスト成績の良好な人に比べて著しく劣っている。
【0062】
図13は、容積測定MRIを受けた嗅覚テスト済みのCN/CI被験者のサブセットでは、POEMテスト成績の劣ってない人の平均内嗅皮質厚さ(entorhinal thickness)が、POEMテスト成績の劣っている人より著しく厚いことを示す。
【0063】
このデータに基づく患者の区別は、POEMテスト成績の劣った人(OPID-20テストとODテストでの成績に基づく、予測成績の50%信頼区間以下のPOEMスコアを受け取った被験者)というコンセプトの導入によって開発され、アルツハイマー病のリスクがあるこれらの被験者を識別するために用いられる。
【0064】
上述の例示的研究は、本発明の範囲を限定するものではない。
図14に示すように、以下でより詳細に説明するが、データベース(例えば上述の特定の研究による研究データの集合、データはデータ又はシステム管理者等によって入力される)内のデータは、被験者が臭い記憶テストの成績が良好な又は劣った人であると識別される時に、臭い記憶
及び/
又は識別テスト又は臭い判別テストの予測臭い記憶スコアの計算や信頼区間閾値の計算に用いられる。
【0065】
この収集されたデータは、例えばカスタマイズされたMySQLデータベースのようなデータベースにインポートされ保存される。臭い判別テスト及び臭い識別テストでのエピソード臭い記憶インデックスや%精度の計算は、解析のためにデータのデータベース130外へのエクスポートと同時にサーバー110又はクライアント120によって実行されるソフトウエアモジュールによって自動的に計算される。
【0066】
言い換えれば、
図14に示すように、ソフトウエアモジュールは、(例えば前回の研究から及び/又はデータ又はシステム管理者の入力による)臭い記憶
及び/
又は識別テストに関する前回入力された成績データ(例えば研究、テスト結果)についてデータベースに照会するように構成されている。データベース照会から返された前回入力した成績データを用いて、ソフトウエアモジュールは、被験者の臭い記憶
及び/
又は識別スコアとデータベース130内の前回入力された成績データとの間の直線関係に基づいて、予測臭い記憶スコアを計算する。被験者の臭い記憶
及び/
又は識別スコアとデータベース内の前回入力された成績データとの間の直線関係に基づくこの予測臭い記憶スコアは、データセットの変動
及び/
又は分散に基づいて、この予測臭い記憶スコアの信頼区間閾値を備えるか、又は、計算するために用いられる。両方の計算は、MGH調査研究で用いられるものと類似のアルゴリズムを用いて求められる。
【0067】
同様に、ソフトウエアモジュールは、臭い判別テスト結果に関する前回入力した成績データを含むデータをデータベースに照会するように構成されている。データベース照会から返されたこの前回入力した成績データを用いて、ソフトウエアモジュールは、被験者の臭い判別スコアとデータベース内の前回入力された成績データとの間の直線関係に基づいて、予測臭い記憶スコアを計算する。被験者の臭い判別スコアとデータベース内の前回入力された成績データとの間の直線関係に基づくこの予測臭い記憶スコアは、データセットの変動/分散に基づいて、この予測臭い記憶スコアの信頼区間閾値を備えるか、又は、計算するために用いられる。両方の計算は、MGH調査研究で用いられるものと類似のアルゴリズムを用いて求められる。
【0068】
ソフトウエアモジュールは、この予測臭い記憶スコアを臭い記憶
及び/
又は識別テストと臭い判別テストに対して用いて、ユーザーが選択的な臭い記憶に欠点を有しているか否かを計算する。
図14に示すように、ユーザーがPOEMテスト成績の劣った人かどうかを判定し、適切な結果レポートを生成するアルゴリズムは、サーバー110及び/又はクライアント120上で実行され嗅覚テストバッテリからの入力を受け取るソフトウエアモジュールを含む。幾つかの構成では、この入力はPOEM/OPID-20スコアとODスコアに対するテストスコアを含んでいる。
【0069】
臭い記憶
及び/
又は識別テストと臭い判別テストの両方に対する予測臭い記憶スコアは、
図14に示すように生成される。ソフトウエアの組み合わせは、臭い記憶
及び/
又は識別テストに対し被験者の臭い記憶
及び/
又は識別スコアが予測臭い記憶スコアの信頼区間閾値より低かったかどうかと、臭い判別テストに対し臭い判別スコアが予測臭い判別スコアの信頼区間閾値より低かったかどうかを判定する。
【0070】
もしソフトウエアアルゴリズムが、被験者の臭い記憶
及び/
又は識別スコア又は被験者の臭い判別スコアが、それぞれの予測臭い記憶スコアの信頼区間閾値より大きいと判定すれば、又は換言すれば、信頼区間の範囲内に含まれると判定すれば、ソフトウエアは被験者をPOEMテスト成績の良好な人と選定する。しかし、もしソフトウエアアルゴリズムが、被験者の臭い記憶
及び/
又は識別スコア及び被験者の臭い判別スコアが、それぞれの予測臭い記憶スコアの信頼区間閾値より小さいと判定すれば、又は換言すれば、信頼区間の範囲外にあると判定すれば、ソフトウエアは被験者をPOEMテスト成績の劣った人と選定する。これは、被験者がアルツハイマー病又は他の神経変性病のリスクがあると提案する識別特徴(identifying feature)であり、これに応じてソフトウエアは被験者にレポートを生成して表示するように構成されている。
【0071】
開示されたシステムは、テスト又は上記環境を変更し又は改良するのに十分柔軟性がある。例えば、もしテストの感度又は特異度を変更する必要がある場合、開示したシステムは開示したテストを変更する手段を提供する。
【0072】
被験者から回答を収集するのに加えて、追加の情報が収集される。例えば、被験者が正しく回答したかどうかを判定することに加えて、システムは被験者が回答する及び/又は選択するのに要した時間量を測定するように構成されている。
図4、7、及び10に示すように、時間は被験者によって決められるので、システムは被験者の応答時間を記録して、決心するまでにいくら時間を要したかを測定する。
【0073】
幾つかの構成では、4つの回答の候補を示す代わりに、ソフトウエアは最初により多くの回答の候補の選択肢を示し、次に可能な応答数を減じるように構成される(例えば、表示されたインタフェースは最初に10個の回答の候補を示し、次に供給されたそれぞれの臭いに対して被験者が利用可能な選択肢を減じる)。
【0074】
被験者が利用可能な選択肢に応じて、実際の臭いに選択肢がどの程度近いかによって、テストは応答の困難度を増加させたり低下させたりする微調整を行うことができる。例えば、もし臭いがフルーツの臭いで、4つの異なるフルーツの臭いが被験者に提示された場合、1つのフルーツの臭いと3つのフルーツと異なる臭い(例えば、皮、にんにく、泥)を提示した場合とは対照的に、テストはより困難になる。テストの困難度は、ユーザーがPOEMテスト成績の良好な人か劣った人かを最終的に判定するための微調整に役立つ。
【0075】
幾つかの構成では、略歴がスコアをより正確に関連付けるために用いられる。人口動態(demographics)は重要であって、人口統計学的に(demographically)適切な臭いが、被験者が提示された臭いを知っているべきか保証するために、特に臨床テスト又は消費者テストに対して用いられる。
【0076】
同様に、幾つかの構成では、医療情報がスコアをより正確に関連付けるために用いられる。例えば、特定の嗅覚を無効にするような医学的状態(例えば、喫煙に関する質問、能動喫煙者かどうか、鼻ポリープ、鼻中隔湾曲症の手術、又は美容整形手術など)がある。これらの検討事項は、被験者のスコアを判定する際に考慮する必要がある。
【0077】
図1〜6に示された構成に含まれるステップは、図示した構成に限定するものではなく、幾つかの異なる順序と組み合わせることができ、複数の他の構成の中に変更できる。これらの図の中で特定の組み合わせが開示されているが、開示された各ステップは、単独でも、他のステップとアレンジして組み合わせることもできる。
【0078】
上記発明の他の実施例や利用は、明細書を考慮し、ここに開示の発明を実施することで、当業者には明らかであろう。提供した明細書と例は、例示目的のみとみなすべきであり、添付した請求項は、本発明の真の範囲内で、他のすべての実施例又は変形をカバーすると考えられる。
【0079】
この明細書に添付した要約書は、米国特許庁及び公衆が概観することにより、技術的開示の性質及び趣旨を決定できるために提供され、本発明や他の実施例を定義したり判定したり限定することを意図したものではない。