【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的は、請求項1に指定されるポリイソシアヌレートプラスチック、ならびに請求項12および13に指定される使用および製品、ならびに請求項14に指定される方法によって、本発明により達成される。
【0016】
本発明の有利な構成は、従属請求項に指定されており、本発明の一般的な概念であるように、以下に詳細に具体的に説明される。
【0017】
本発明は、(1)オリゴマーポリイソシアネートを含有し、(2)モノマージイソシアネートが少ない(「モノマージイソシアネートが少ない」はポリイソシアネート組成物A)が最大20重量%のモノマージイソシアネート含量を有することを意味する)ポリイソシアネート組成物A)の触媒三量化によって得られるポリイソシアヌレートプラスチックに関する。
【0018】
本発明はさらに、本発明のポリイソシアヌレートプラスチックが得られる方法も提供する。これは以下のステップ:
a)オリゴマーポリイソシアネートを含有し、モノマージイソシアネートが少ない(「モノマージイソシアネートが少ない」はポリイソシアネート組成物A)が最大20重量%のモノマージイソシアネート含量を有することを意味する)ポリイソシアネート組成物A)を用意するステップと;
b)ポリイソシアネート組成物A)を触媒三量化するステップと
を含む。
【0019】
さらに、本発明はまた、コーティング、フィルム、半製品または成形品を製造するための本発明のポリイソシアヌレートプラスチックの使用も提供する。
【0020】
以下に詳細に記載される本発明は、低モノマーオリゴマーポリイソシアネート組成物の触媒三量化が、多くの有利な特性を有する新規なポリイソシアヌレートプラスチックを与え、特に硬化工程中に比較的低い体積収縮しか有さないという驚くべき知見に基づいている。
【0021】
ポリイソシアヌレートプラスチックを製造するための出発材料としてモノマージイソシアネートよりも低モノマーオリゴマーポリイソシアネート組成物を使用することは、オリゴマー反応物質のイソシアネート含量が比較的低いために、硬化中に除去しなければならない反応熱がはるかに少なく、これにより特に大量の成分の製造も促進されるという利点をさらに有する。さらに、三量化反応のためのオリゴマー反応物質としてオリゴマーポリイソシアネートを含有する低モノマーポリイソシアネート組成物を使用することにより、先行技術から公知の材料と構造的に区別される入手可能なポリイソシアヌレートプラスチック中の新規な架橋構造ももたらされる。
【0022】
ここで使用される「ポリイソシアヌレートプラスチック」は、ポリイソシアヌレートを含有するポリマーである。これはまた、主としてまたは完全にポリイソシアヌレートからなることができる。ポリイソシアヌレートと他のプラスチックのブレンドも同様に、ここで使用される「ポリイソシアヌレートプラスチック」という用語によって網羅される。
【0023】
ここで「プラスチック」に言及する場合、これは、例えばゲルまたは液体とは対照的に、室温で極めて実質的に寸法的に安定な製品を意味する。ここで使用される「プラスチック」という用語は、全ての標準クラスのプラスチックを包含する、すなわち特に熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂およびエラストマーを含む。
【0024】
ここで使用される「ポリイソシアヌレート」は、複数のイソシアヌレート構造単位、例えば少なくとも10個のイソシアヌレート構造単位を有する任意の分子、好ましくはポリマーである。単一のイソシアヌレート構造単位を有する分子を「イソシアヌレート」と呼ぶことができる。
【0025】
特徴的な環状イソシアヌレート構造単位は、以下の構造式で示される:
【化1】
【0026】
イソシアヌレートおよびポリイソシアヌレートは、ポリイソシアネートの環化三量化によって得ることができる。モノマージイソシアネートから進行する慣用的に運用される環化三量化は、上記のように、強い発熱反応である。これは、工業的かつ効率的に達成可能な使用オプションおよび三量化のレベルをかなり制限し得る。
【0027】
ここで使用される「ポリイソシアネート」という用語は、分子中に2個以上のイソシアネート基を含有する化合物の総称である(これは、一般構造−N=C=Oの遊離イソシアネート基を意味すると当業者によって理解される)。これらのポリイソシアネートの最も単純で最も重要な代表物がジイソシアネートである。これらは、一般構造O=C=N−R−N=C=O(Rは、典型的には脂肪族、脂環式および/または芳香族基を表す)を有する。
【0028】
多官能性(2個以上のイソシアネート基)のために、ポリイソシアネートを使用して多数のポリマー(例えば、(例えば、ポリウレタン、ポリ尿素およびポリイソシアヌレート)および低分子量化合物(例えば、ウレトジオン、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンおよび/またはオキサジアジントリオン構造を有するもの)を調製することが可能である。
【0029】
ここで、「ポリイソシアネート」に一般的に言及する場合、これは、モノマーおよび/またはオリゴマーポリイソシアネートを同様に意味する。しかしながら、本発明の多くの態様を理解するために、モノマージイソシアネートとオリゴマーポリイソシアネートを区別することが重要である。ここで「オリゴマーポリイソシアネート」に言及する場合、これは、少なくとも2個のモノマージイソシアネート分子から形成されたポリイソシアネート、すなわち少なくとも2個のモノマージイソシアネート分子から形成された反応生成物を構成するまたは含有する化合物を意味する。
【0030】
モノマージイソシアネートからのオリゴマーポリイソシアネートの調製を、ここではモノマージイソシアネートの変性とも呼ぶ。ここで使用されるこの「変性」は、ウレトジオン、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンおよび/またはオキサジアジントリオン構造を有するオリゴマーポリイソシアネートを得るためのモノマージイソシアネートの反応を意味する。
【0031】
例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)は、2個のイソシアネート基を含有し、少なくとも2個のポリイソシアネート分子の反応生成物ではないので、「モノマージイソシアネート」である:
【化2】
【0032】
対照的に、少なくとも2個のHDI分子から形成され、なおも少なくとも2個のイソシアネート基を有する反応生成物は、本発明の文脈内の「オリゴマーポリイソシアネート」である。このような「オリゴマーポリイソシアネート」の代表物は、モノマーHDI、例えば、HDIイソシアヌレートおよびHDIビウレットから進行しており、これらの各々は、3個のモノマーHDI単位から形成される:
【化3】
【0033】
本発明の文脈における「ポリイソシアネート組成物A)」とは、最初の反応混合物中のイソシアネート成分を指す。換言すれば、これはイソシアネート基を有する最初の反応混合物中の全ての化合物の総和である。したがって、ポリイソシアネート組成物A)は、本発明の方法で反応物質として使用される。ここで「ポリイソシアネート組成物A)」、特に「ポリイソシアネート組成物A)を用意する」に言及する場合、これはポリイソシアネート組成物A)が存在し、反応物質として使用されることを意味する。
【0034】
本発明によると、反応物質として三量化に使用されるポリイソシアネート組成物A)は、モノマーが少なく(すなわち、モノマージイソシアネートが少ない)、オリゴマーポリイソシアネートを既に含有する。本発明の一実施形態では、ポリイソシアネート組成物A)が、完全に、または各場合でポリマーイソシアネート組成物A)の重量基準で、少なくとも80重量%、85重量%、90重量%、95重量%、98重量%、99重量%もしくは99.5重量%の程度のオリゴマーポリイソシアネートからなる。このオリゴマーポリイソシアネート含量は、ポリイソシアネート組成物A)に基づく(オリゴマーポリイソシアネートが、例えば、本発明の方法中に中間体として形成されず、反応物質として使用されるポリイソシアネート組成物A)中に反応の開始時に既に存在することを意味する)。
【0035】
「モノマーが少ない」と「モノマージイソシアネートが少ない」は、ポリイソシアネート組成物A)に関してここで同義的に使用される。
【0036】
ポリイソシアネート組成物A)が、各場合でポリイソシアネート組成物A)の重量基準で、20重量%以下、特に15重量%以下または10重量%以下のポリイソシアネート組成物A)中のモノマージイソシアネートの割合を有する場合、特に実際に有効な結果が確立される。好ましくは、ポリイソシアネート組成物A)が、各場合でポリイソシアネート組成物A)の重量基準で、5重量%以下、特に2.0重量%以下、より好ましくは1.0重量%以下のモノマージイソシアネート含量を有する。ポリマー組成物A)がモノマージイソシアネートを本質的に含まない場合に、特に良好な結果が確立される。「本質的に含まない」とは、モノマージイソシアネート含量がポリイソシアネート組成物A)の重量基準で、0.5重量%以下であることを意味する。
【0037】
使用されるポリイソシアネート組成物A)が低モノマー組成物であることが本発明にとって必要である。実際には、これは特に、ポリイソシアネート組成物A)として、その調製が実際の変性反応後に、各場合で未転化の過剰モノマージイソシアネートを除去するための少なくとも1つのさらなるステップを含むオリゴマーポリイソシアネートを使用することによって達成することができる。特に実際に有効な方法では、このモノマーの除去を、それ自体公知の方法、好ましくは高真空下での薄膜蒸留、またはイソシアネート基に対して不活性な適当な溶媒、例えば脂肪族または脂環式炭化水素(ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロペンタンまたはシクロヘキサンなど)による抽出によって行うことができる。
【0038】
本発明の好ましい実施形態では、本発明のポリイソシアネート組成物A)が、モノマージイソシアネートを変性してその後未転化モノマーを除去することによって得られる。
【0039】
ポリイソシアヌレートプラスチックを製造するための先行技術に記載される方法は、反応物質として極めて実質的にモノマージイソシアネートを使用する(純粋なモノマージイソシアネートまたはモノマーに富んだポリイソシアネート組成物を触媒三量化することを意味する)。対照的に、本発明の使用、すなわちオリゴマーポリイソシアネートを既に含有する低モノマーポリイソシアネート組成物A)の「提供」は、驚くべきことに、はるかに低い体積収縮をもたらす。本発明の反応の低い発熱性は、高い転化率レベルを有するポリイソシアヌレートプラスチックを得ることをさらに可能にする。
【0040】
好ましくは、モノマージイソシアネートが本発明の三量化反応に使用されない。しかしながら、本発明の特定の実施形態では、ポリイソシアネート組成物A)が、余分なモノマージイソシアネートを含有してもよい。これに関連して、「余分なモノマージイソシアネート」は、ポリイソシアネート組成物A)中に存在するオリゴマーポリイソシアネートの調製に使用されたモノマージイソシアネートとは異なることを意味する。余分なモノマージイソシアネートの添加は、特別な技術的効果、例えば例外的な硬度の達成に有利となり得る。ポリイソシアネート組成物A)が、各場合でポリイソシアネート組成物A)の重量基準で、20重量%以下、特に15重量%以下または10重量%以下のポリイソシアネート組成物A)中の余分なモノマージイソシアネートの割合を有する場合、特に実際に有効な結果が確立される。好ましくは、ポリイソシアネート組成物A)が、各場合でポリイソシアネート組成物A)の重量基準で、5重量%以下、特に2.0重量%以下、より好ましくは1.0重量%以下の余分なモノマージイソシアネート含量を有する。
【0041】
本発明の方法のさらなる特定の実施形態では、ポリイソシアネート組成物A)が、2を超えるイソシアネート官能度を有する、すなわち1分子あたり2個を超えるイソシアネート基を有するモノマーモノイソシアネートまたはモノマーイソシアネートを含有してもよい。2を超えるイソシアネート官能度を有するモノマーモノイソシアネートまたはモノマーイソシアネートの添加が、ポリイソシアヌレートプラスチックのネットワーク密度に影響を及ぼすために特に有利であることが分かった。ポリイソシアネート組成物A)が、各場合でポリイソシアネート組成物A)の重量基準で、20重量%以下、特に15重量%以下または10重量%以下のポリイソシアネート組成物A)中の2を超えるイソシアネート官能度を有するモノマーモノイソシアネートまたはモノマーイソシアネートの割合を有する場合、特に実際に有効な結果が確立される。好ましくは、ポリイソシアネート組成物A)が、各場合でポリイソシアネート組成物A)の重量基準で、5重量%以下、特に2.0重量%以下、より好ましくは1.0重量%以下の2を超えるイソシアネート官能度を有するモノマーモノイソシアネートまたはモノマーイソシアネート含量を有する。好ましくは、本発明の三量化反応に、2を超えるイソシアネート官能度を有するモノマーモノイソシアネートまたはモノマーイソシアネートが使用されない。
【0042】
低モノマーポリイソシアネート組成物A)およびその中に存在するオリゴマーポリイソシアネートは、典型的には、単純脂肪族、脂環式、芳香脂肪族および/または芳香族モノマージイソシアネートあるいはこのようなモノマージイソシアネートの混合物を変性することによって得られる。
【0043】
オリゴマーポリイソシアネートは、本発明によると、特にウレトジオン、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンおよび/またはオキサジアジントリオン構造を有することができる。本発明の一実施形態では、オリゴマーポリイソシアネートが、以下のオリゴマー構造型の少なくとも1つまたはその混合型を有する:
【化4】
【0044】
本発明の特に好ましい実施形態では、低モノマーポリイソシアネート組成物A)が、ウレトジオン、イソシアヌレート、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンおよび/またはオキサジアジントリオンからなる群から選択される少なくとも1つの構造を有するが、本質的にアロファネート構造を含まない。「本質的にアロファネート構造を含まない」という用語は、99:1を超えるイソシアヌレート基とアロファネート基の比を指す。アロファネート含量を除いて上記で与えられる他の全ての定義をこの実施形態にも適用する。
【0045】
本発明の基礎をなす研究は、驚くべきことに、国際公開第2015/166983号パンフレットの教示とは対照的に、満足できる技術的特性を有するポリイソシアヌレートプラスチックを、アロファネート基を含有しないポリイソシアネートから製造することができることを示した。
【0046】
驚くべきことに、少なくとも2つのオリゴマーポリイソシアネートが異なる構造である少なくとも2つのオリゴマーポリイソシアネートの混合物であるオリゴマーポリイソシアネートを使用することが有利となり得ることが分かった。この構造は、好ましくは、ウレトジオン、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンおよびオキサジアジントリオン構造、ならびにこれらの混合型からなる群から選択される。この種の出発混合物は、特に、ただ1つの定義される構造のオリゴマーポリイソシアネートを用いた三量体化反応と比較して、多くの用途に有利なTg値に対する効果をもたらすことができる。
【0047】
好ましくは、本発明の方法で、ビウレット、アロファネート、イソシアヌレートおよび/またはイミノオキサジアジンジオン構造およびこれらの混合型を有する少なくとも1つのオリゴマーポリイソシアネートからなるポリイソシアネート組成物A)が使用される。
【0048】
別の実施形態では、ポリイソシアネート組成物A)が、ただ1つの定義されるオリゴマー構造のみ、例えば専らまたは大部分イソシアヌレート構造を含有するポリイソシアネート組成物である。しかしながら、一般に、調製の結果として、ポリイソシアネート組成物A)には、常にいくつかの異なるオリゴマー構造が互いに並んで存在する。
【0049】
本発明の文脈では、ウレトジオン、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンおよび/またはオキサジアジントリオン構造から選択されるオリゴマー構造が、各場合でポリイソシアネート組成物A)中に存在するウレトジオン、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンおよびオキサジアジントリオンからなる群のオリゴマー構造の総和基準で、少なくとも50mol%、好ましくは60mol%、より好ましくは70mol%、特に好ましくは80mol%、特に90mol%の程度まで存在する場合に、ポリイソシアネート組成物A)が単一の定義されるオリゴマー構造のポリイソシアネート組成物とみなされる。
【0050】
本発明の方法で、さらなる実施形態では、オリゴマー構造がウレトジオン、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンおよび/またはオキサジアジントリオン構造から選択され、各場合でポリイソシアネート組成物A)中に存在するウレトジオン、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンおよびオキサジアジントリオン構造からなる群のオリゴマー構造の総和基準で、少なくとも50mol%、好ましくは60mol%、より好ましくは70mol%、特に好ましくは80mol%、特に90mol%の程度まで存在する、単一の定義されるオリゴマー構造のポリイソシアネート組成物が使用される。
【0051】
さらなる実施形態では、オリゴマーポリイソシアネートが主にイソシアヌレート構造を有するものであり、副産物としてのみ上記ウレトジオン、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンおよび/またはオキサジアジントリオン構造を含有し得る。したがって、本発明の一実施形態は、オリゴマー構造がイソシアネート構造であり、各場合でポリイソシアネート組成物A)中に存在するウレトジオン、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンおよびオキサジアジントリオン構造からなる群のオリゴマー構造の総和基準で、少なくとも50mol%、好ましくは60mol%、より好ましくは70mol%、特に好ましくは80mol%、特に90mol%の程度まで存在する、単一の定義されるオリゴマー構造のポリマー組成物A)の使用を想起する。
【0052】
同様に、本発明によると、イソシアヌレート構造を極めて実質的に全く有さず、主に上記ウレトジオン、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンおよびオキサジアジントリオン構造型の少なくとも1つを含有するオリゴマーポリイソシアネートを使用することが可能である。本発明の特定の実施形態では、ポリイソシアネート組成物A)が、各場合でポリイソシアネート組成物A)中に存在するウレトジオン、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンおよびオキサジアジントリオン構造からなる群のオリゴマー構造の総和基準で、少なくとも50mol%、好ましくは60mol%、より好ましくは70mol%、特に好ましくは80mol%、特に90mol%の程度まで、ウレトジオン、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンおよび/またはオキサジアジントリオン構造からなる群から選択される構造型を有するオリゴマーポリイソシアネートからなる。
【0053】
本発明のさらなる実施形態は、ポリイソシアネート組成物A)中に存在するウレトジオン、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンおよびオキサジアジントリオン構造からなる群のオリゴマー構造の総和基準で、50mol%以下、好ましくは40mol%以下、より好ましくは30mol%以下、特に好ましくは20mol%、10mol%または5mol%以下のイソシアヌレート構造を含有する低イソシアヌレートポリイソシアネート組成物A)の使用を想起する。本発明のさらなる実施形態は、単一の定義されるオリゴマー構造型のポリマー組成物A)の使用であって、前記オリゴマー構造型がウレトジオン、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンおよび/またはオキサジアジントリオン構造からなる群から選択され、この構造型がポリイソシアネート組成物A)中に存在するウレトジオン、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンおよびオキサジアジントリオン構造からなる群のオリゴマー構造の総和基準で、少なくとも50mol%、好ましくは60mol%、より好ましくは70mol%、特に好ましくは80mol%、特に90mol%の程度まで存在する使用を想起する。
【0054】
ポリイソシアネート組成物A)中のウレトジオン、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンおよび/またはオキサジアジントリオン構造の割合は、例えばNMR分光法によって測定することができる。言及されるオリゴマー構造は特徴的なシグナルを与えるので、ここでは好ましくはプロトン−デカップリング形態の
13CNMR分光法を使用することが好ましくは可能である。
【0055】
基礎をなすオリゴマー構造型(ウレトジオン、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンおよび/またはオキサジアジントリオン構造)にかかわらず、本発明の方法に使用するオリゴマーポリイソシアネート組成物A)および/またはその中に存在するオリゴマーポリイソシアネートは、好ましくは2.0〜5.0、好ましくは2.3〜4.5の(平均)NCO官能度を有する。
【0056】
本発明により使用するためのポリイソシアネート組成物A)が8.0重量%〜28.0重量%のイソシアネート基含量を有する場合、特に実際に有効な結果が確立される。本発明のポリイソシアネート組成物A)が、各場合でポリイソシアネート組成物A)の重量基準で14.0重量%〜25.0重量%のイソシアネート基含量を有する場合、特に実際に有効であることが分かった。
【0057】
低モノマーポリイソシアネート組成物A)において本発明により使用するための、ウレトジオン、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンおよび/またはオキサジアジントリオン構造を有するオリゴマーポリイソシアネートの調製方法は、例えば、J.Prakt.Chem.336(1994)185−200、ドイツ特許第1670666号明細書、ドイツ特許第1954093号明細書、ドイツ特許第2414413号明細書、ドイツ特許第2452532号明細書、ドイツ特許第2641380号明細書、ドイツ特許第3700209号明細書、ドイツ特許第3900053号明細書およびドイツ特許第3928503号明細書または欧州特許第0336205号明細書、欧州特許第0339396号明細書および欧州特許第0798299号明細書に記載されている。
【0058】
本発明の追加のまたは代替実施形態では、本発明のポリイソシアネート組成物A)が、使用される変性反応の性質にかかわらず、モノマージイソシアネートから得られたオリゴマーポリイソシアネートを含有し、オリゴマー化レベルが5%〜45%、好ましくは10%〜40%、より好ましくは15%〜30%であることが認められると定義される。「オリゴマー化レベル」は、ここでは、ウレトジオン、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンおよび/またはオキサジアジントリオン構造を形成するために調製工程中に消費される出発混合物中に最初に存在するイソシアネート基の割合を意味すると理解される。
【0059】
本発明の方法に使用するためのポリイソシアネート組成物A)およびその中に存在するオリゴマーポリイソシアネートを調製するのに適したポリイソシアネートは、種々の方法で、例えば液相もしくは気相中のホスゲン化またはホスゲンフリーの経路、例えば、熱ウレタン開裂によって得ることができる任意の所望のポリイソシアネートである。ポリイソシアネートがモノマージイソシアネートである場合に、特に良好な結果が確立される。好ましいモノマージイソシアネートは、脂肪族的、脂環式的、芳香脂肪族的および/または芳香族的に結合したイソシアネート基を有する分子量が140〜400g/molの範囲のもの、例えば1,4−ジイソシアナトブタン(BDI)、1,5−ジイソシアナトペンタン(PDI)、1,6−ジイソシアナトヘキサン(HDI)、2−メチル−1,5−ジイソシアナトペンタン、1,5−ジイソシアナト−2,2−ジメチルペンタン、2,2,4−または2,4,4−トリメチル−1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,10−ジイソシアナトデカン、1,3−および1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,4−ジイソシアナト−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,3−ジイソシアナト−2−メチルシクロヘキサン、1,3−ジイソシアナト−4−メチルシクロヘキサン、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート;IPDI)、1−イソシアナト−1−メチル−4(3)−イソシアナトメチルシクロヘキサン、2,4’−および4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン(H12MDI)、1,3−および1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ビス(イソシアナトメチル)ノルボルナン(NBDI)、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジイソシアナト−3,3’,5,5’−テトラメチルジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジイソシアナト−1,1’−ビ(シクロヘキシル)、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメチル−1,1’−ビ(シクロヘキシル)、4,4’−ジイソシアナト−2,2’,5,5’−テトラメチル−1,1’−ビ(シクロヘキシル)、1,8−ジイソシアナト−p−メンタン、1,3−ジイソシアナトアダマンタン、1,3−ジメチル−5,7−ジイソシアナトアダマンタン、1,3−および1,4−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン(キシリレンジイソシアネート;XDI)、1,3−および1,4−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼン(TMXDI)およびビス(4−(1−イソシアナト−1−メチルエチル)フェニル)カーボネート、2,4−および2,6−ジイソシアナトトルエン(TDI)、2,4’−および4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)、1,5−ジイソシアナトナフタレンならびにこのようなジイソシアネートの任意の所望の混合物である。同様に適したさらなるジイソシアネートは、例えばJustus Liebigs Annalen der Chemie,volume 562(1949)p.75−136中にさらに見出すことができる。
【0060】
ポリイソシアネート組成物A)に使用してもよい適当なモノマーモノイソシアネートは、例えば、n−ブチルイソシアネート、n−アミルイソシアネート、n−ヘキシルイソシアネート、n−ヘプチルイソシアネート、n−オクチルイソシアネート、ウンデシルイソシアネート、ドデシルイソシアネート、テトラデシルイソシアネート、セチルイソシアネート、ステアリルイソシアネート、シクロペンチルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、3−もしくは4−メチルシクロヘキシルイソシアネートまたはこのようなモノイソシアネートの任意の所望の混合物である。ポリイソシアネート組成物A)に添加してもよい2を超えるイソシアネート官能度を有するモノマーイソシアネートの例は、4−イソシアナトメチルオクタン1,8−ジイソシアネート(トリイソシアナトノナン;TIN)である。
【0061】
本発明の一実施形態では、ポリイソシアネート組成物A)が、各場合でポリイソシアネート組成物A)の重量基準で30重量%以下、特に20重量%以下、15重量%以下、10重量%以下、5重量%以下または1重量%以下の芳香族ポリイソシアネートを含有する。ここで使用される場合、「芳香族ポリイソシアネート」は、少なくとも1個の芳香族的に結合したイソシアネート基を有するポリイソシアネートを意味する。
【0062】
芳香族的に結合したイソシアネート基は、芳香族ヒドロカルビル基に結合したイソシアネート基を意味すると理解される。
【0063】
本発明の方法の好ましい実施形態では、専ら脂肪族的および/または脂環式的に結合したイソシアネート基を有するポリイソシアネート組成物A)が使用される。
【0064】
脂肪族的および脂環式的に結合したイソシアネート基は、脂肪族および脂環式のヒドロカルビル基にそれぞれ結合したイソシアネート基を意味すると理解される。
【0065】
本発明の方法の別の好ましい実施形態では、1つまたは複数のオリゴマーポリイソシアネートが専ら脂肪族的および/または脂環式結合したイソシアネート基を有する、1つまたは複数のオリゴマーポリイソシアネートからなるまたは該オリゴマーポリイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物A)が使用される。
【0066】
本発明のさらなる実施形態では、ポリイソシアネート組成物A)が、各場合でポリイソシアネート組成物A)の重量基準で、少なくとも70重量%、80重量%、85重量%、90重量%、95重量%、98重量%または99重量%の程度の専ら脂肪族的および/または脂環式的に結合したイソシアネート基を有するポリイソシアネートからなる。実際の実験は、そこに存在するオリゴマーポリイソシアネートが専ら脂肪族的および/または脂環式的に結合したイソシアネート基を有するポリイソシアネート組成物A)で特に良好な結果を達成することができることを示した。
【0067】
本発明の方法の特に好ましい実施形態では、1つまたは複数のオリゴマーポリイソシアネートが1,5−ジイソシアナトペンタン(PDI)、1,6−ジイソシアナトヘキサン(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)もしくは4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン(H12MDI)またはこれらの混合物に基づく、1つまたは複数のオリゴマーポリイソシアネートからなるまたは該オリゴマーポリイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物A)が使用される。
【0068】
本発明のポリイソシアヌレートは、本発明の方法による触媒三量化によって得られる。ここで「触媒」とは、適切な触媒B)の存在下でのことを意味する。
【0069】
本発明の方法に適した触媒B)は、原則としてイソシアネート基のイソシアヌレート構造への三量化を促進する任意の化合物である。イソシアヌレート形成は、使用される触媒に応じて、しばしば、副反応、例えば、ウレトジオン構造を与える二量化またはイミノオキサジアジンジオン(非対称三量体と呼ばれる)を形成する三量化を伴い、出発ポリイソシアネート中のウレタン基の存在下では、アロファネート化(allophanatization)反応を伴い、本発明の文脈における「三量化」という用語は追加的に進行するこれらの反応とも同義的に使用される。
【0070】
しかしながら、特定の実施形態では、三量化が、主に、イソシアヌレート構造単位を与えるためのポリイソシアネート組成物A)中に存在するイソシアネート基の少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、特に少なくとも80%の環化三量化が触媒されることを意味する。しかしながら、副反応、特にウレトジオン、アロファネートおよび/またはイミノオキサジアジンジオン構造を与えるものが典型的に起こり、例えば、得られたポリイソシアヌレートプラスチックのTg値に有利に影響を及ぼすために制御された様式で使用することさえ可能である。
【0071】
本発明の方法に適した触媒B)は、例えば、単純な三級アミン、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N−エチルピペリジンまたはN,N’−ジメチルピペラジンである。適当な触媒はまた、英国特許第2221465号明細書に記載される三級ヒドロキシアルキルアミン、例えばトリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、N−イソプロピルジエタノールアミンおよび1−(2−ヒドロキシエチル)ピロリジン、または英国特許第2222161号明細書から公知で、三級二環式アミン、例えばDBUと単純な低分子量脂肪族アルコールの混合物からなる触媒系である。
【0072】
本発明の方法に三量化触媒B)として同様に適しているのは、多数の異なる金属化合物である。適当な例は、ドイツ特許第3240613号明細書で触媒として記載されているマンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、セリウムまたは鉛のオクトエートおよびナフテネート、またはそのリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウムもしくはバリウムの酢酸塩との混合物、ドイツ特許第3219608号明細書から公知の最大10個の炭素原子を有する直鎖または分岐アルカンカルボン酸、例えばプロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸およびウンデシル酸のナトリウムおよびカリウム塩、欧州特許第0100129号明細書から公知の2〜20個の炭素原子を有する脂肪族、脂環式または芳香族モノカルボン酸およびポリカルボン酸のアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、例えば安息香酸ナトリウムまたは安息香酸カリウム、英国特許第1391066号明細書および英国特許第1386399号明細書から公知のアルカリ金属フェノキシド、例えばナトリウムまたはカリウムフェノキシド、英国特許第809809号明細書から公知のアルカリ金属およびアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、アルコキシドおよびフェノキシド、エノール化可能な化合物のアルカリ金属塩および弱い脂肪族または脂環式カルボン酸の金属塩、例えばナトリウムメトキシド、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、アセト酢酸ナトリウム、2−エチルヘキサン酸鉛およびナフテン酸鉛、欧州特許第0056158号明細書および欧州特許第0056159号明細書から公知のクラウンエーテルまたはポリエーテルアルコールと錯化した塩基性アルカリ金属化合物、例えば錯化カルボン酸ナトリウムまたはカリウム、欧州特許第0033581号明細書から公知のピロリジノン−カリウム塩、出願欧州特許第13196508.9号明細書から公知のチタン、ジルコニウムおよび/またはハフニウムの単核または多核錯体、例えばジルコニウムテトラ−n−ブトキシド、ジルコニウムテトラ−2−エチルヘキサノエートおよびジルコニウムテトラ−2−エチルヘキソキシド、ならびにEuropean Polymer Journal,vol.16,147−148(1979)に記載されている種類のスズ化合物、例えばジブチルスズジクロリド、ジフェニルスズジクロリド、トリフェニルスタンナノール、トリブチルスズアセテート、トリブチルスズオキシド、オクチル酸スズ、ジブチル(ジメトキシ)スタンナンおよびトリブチルスズイミダゾレートである。
【0073】
本発明の方法に適したさらなる三量化触媒B)は、例えば、ドイツ特許第1667309号明細書、欧州特許第0013880号明細書および欧州特許第0047452号明細書から公知の四級アンモニウムヒドロキシド、例えばテトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、N,N−ジメチル−N−ドデシル−N−(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、N−(2−ヒドロキシエチル)−N,N−ジメチル−N−(2,2’−ジヒドロキシメチルブチル)アンモニウムヒドロキシドおよび1−(2−ヒドロキシエチル)−1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンヒドロキシド(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンとエチレンオキシドおよび水のモノ付加物)、欧州特許第3765号明細書または欧州特許第10589号明細書から公知の四級ヒドロキシアルキルアンモニウムヒドロキシド、例えばN,N,N−トリメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、ドイツ特許第2631733号明細書、欧州特許第0671426号明細書、欧州特許第1599526号明細書および米国特許第4789705号明細書から公知のトリアルキルヒドロキシルアルキルアンモニウムカルボキシレート、例えばN,N,N−トリメチル−N−2−ヒドロキシプロピルアンモニウムp−tert−ブチルベンゾエートおよびN,N,N−トリメチル−N−2−ヒドロキシプロピルアンモニウム2−エチルヘキサノエート、欧州特許第1229016号明細書から公知の四級ベンジルアンモニウムカルボキシレート、例えばN−ベンジル−N,N−ジメチル−N−エチルアンモニウムピバレート、N−ベンジル−N,N−ジメチル−N−エチルアンモニウム2−エチルヘキサノエート、N−ベンジル−N,N,N−トリブチルアンモニウム2−エチルヘキサノエート、N,N−ジメチル−N−エチル−N−(4−メトキシベンジル)アンモニウム2−エチルヘキサノエートまたはN,N,N−トリブチル−N−(4−メトキシベンジル)アンモニウムピバレート、国際公開第2005/087828号パンフレットから公知の四置換アンモニウムα−ヒドロキシカルボキシレート、例えばテトラメチルアンモニウムラクテート、欧州特許第0339396号明細書、欧州特許第0379914号明細書および欧州特許第0443167号明細書から公知の四級アンモニウムまたはホスホニウムフルオリド、例えばC
8〜C
10−アルキル基を有するN−メチル−N,N,N−トリアルキルアンモニウムフルオリド、N,N,N,N−テトラ−n−ブチルアンモニウムフルオリド、N,N,N−トリメチル−N−ベンジルアンモニウムフルオリド、テトラメチルホスホニウムフルオリド、テトラエチルホスホニウムフルオリドまたはテトラ−n−ブチルホスホニウムフルオリド、欧州特許第0798299号明細書、欧州特許第0896009号明細書および欧州特許第0962455号明細書から公知の四級アンモニウムおよびホスホニウムポリフルオリド、例えばベンジルトリメチルアンモニウム水素ポリフルオリド、欧州特許第0668271号明細書から公知であり、三級アミンとジアルキルカーボネートまたはベタイン構造四級アンモニオアルキルカーボネートの反応によって得られるテトラアルキルアンモニウムアルキルカーボネート、国際公開第1999/023128号パンフレットから公知の四級アンモニウム水素カーボネート、例えばコリンビカーボネート、欧州特許第0102482号明細書から公知であり、三級アミンとリン酸のアルキル化エステルから得られる四級アンモニウ塩(このような塩の例はトリエチルアミン、DABCOまたはN−メチルモルホリンとジメチルメタンホスホネートの反応生成物である)、あるいは国際公開第2013/167404号パンフレットから公知のラクタムの四置換アンモニウム塩、例えばトリオクチルアンモニウムカプロラクタメートまたはドデシルトリメチルアンモニウムカプロラクタメートである。
【0074】
本発明の方法に適したさらなる三量化触媒は、例えばJ.H.Saunders and K.C.Frisch,Polyurethanes Chemistry and Technology,p.94 ff.(1962)およびそこに引用された文献中に見出すことができる。
【0075】
触媒B)は、本発明の方法において、個々にまたは互いの任意の所望の混合物の形態で使用することができる。
【0076】
好ましい触媒B)は、前記種類の金属化合物、特にアルカリ金属、アルカリ土類金属またはジルコニウムのカルボキシレートおよびアルコキシド、ならびに前記種類の有機スズ化合物である。
【0077】
特に好ましい三量化触媒B)は、2〜20個の炭素原子を有する脂肪族カルボン酸のナトリウム塩およびカリウム塩、ならびに脂肪族的に置換されたスズ化合物である。
【0078】
本発明の方法のための極めて特に好ましい三量化触媒B)は、酢酸カリウム、オクチル酸スズおよび/またはトリブチルスズオキシドである。
【0079】
本発明の方法で、三量化触媒B)は、一般的に0.0005重量%〜5.0重量%、好ましくは0.0010重量%〜2.0重量%、より好ましくは0.0015重量%〜1.0重量%の、使用されるポリイソシアネート組成物A)の量基準の濃度で使用される。
【0080】
本発明の方法で使用される三量化触媒B)は、一般的に、オリゴマー化反応の開始に必要な量のポリイソシアネート組成物A)への十分な溶解性を有する。そのため、触媒B)は、好ましくはポリイソシアネート組成物A)にニート形態で添加される。
【0081】
しかしながら、触媒B)を、それらの組込性(incorporability)を改善するために、適切な有機溶媒に溶解して使用してもよい。触媒溶液の希釈レベルは、極めて広範囲で自由に選択することができる。触媒活性触媒溶液は、典型的には、約0.01重量%を超える濃度の触媒溶液である。
【0082】
適切な触媒溶媒は、例えば、イソシアネート基に対して不活性な溶媒、例えばヘキサン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルまたはモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルおよびブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、1−メトキシプロパ−2−イルアセテート、3−メトキシ−n−ブチルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ラクトン(β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトンおよびε−メチルカプロラクトンなど)であるが、N−メチルピロリドンおよびN−メチルカプロラクタム、1,2−プロピレンカーボネート、塩化メチレン、ジメチルスルホキシド、トリエチルホスフェートまたはこのような溶媒の任意の所望の混合物などの溶媒もである。
【0083】
触媒溶媒を本発明の方法に使用する場合、イソシアネートに対して反応性の基を有し、ポリイソシアヌレートプラスチックに組み込むことができる触媒溶媒を使用することが好ましい。このような溶媒の例は、一価および多価単純アルコール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、n−ヘキサノール、2−エチル−1−ヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、異性体ブタンジオール、2−エチルヘキサン−1,3−ジオールまたはグリセロール;エーテルアルコール、例えば1−メトキシ−2−プロパノール、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールまたは他の液体の高分子量ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、混合ポリエチレン/ポリプロピレングリコールおよびそのモノアルキルエーテル;エステルアルコール、例えばエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノラウレート、グリセロールモノ−およびジアセテート、グリセロールモノブチレートまたは2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオールモノイソブチレート;不飽和アルコール、例えばアリルアルコール、1,1−ジメチルアリルアルコールまたはオレイルアルコール;芳香脂肪族アルコール、例えばベンジルアルコール;N−一置換アミド、例えばN−メチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、シアノアセトアミドまたは2−ピロリドン、あるいはこのような溶媒の任意の所望の混合物である。
【0084】
本発明の方法により得られるポリイソシアヌレートプラスチックは、それ自体でさえ、すなわち適当な助剤および添加剤C)を添加しなくても、非常に良好な光安定性を特徴とする。それにもかかわらず、標準的な助剤および/または添加剤C)、例えば標準的な充填剤、UV安定剤、抗酸化剤、離型剤、水捕捉剤、スリップ添加剤、消泡剤、レベリング剤、レオロジー添加剤、難燃剤および/または顔料を同様にその製造に使用してもよい。充填剤および難燃剤を除くこれらの助剤および/または添加剤C)は、典型的には、ポリイソシアヌレートプラスチック中に、ポリイソシアネート組成物A)基準で10重量%未満、好ましくは5重量%未満、より好ましくは最大で3重量%の量で存在する。難燃剤は、典型的には、ポリイソシアヌレートプラスチック中に、ポリイソシアネート組成物A)基準で、使用される難燃剤の総量として計算される70重量%以下、好ましくは50重量%以下、より好ましくは30重量%以下の量で存在する。
【0085】
適切な充填剤C
w)は、例えばAlOH
3、CaCO
3、金属顔料(TiO
2など)およびさらに公知の標準的な充填剤である。これらの充填剤C
w)は、好ましくはポリイソシアネート組成物A)基準で、使用される充填剤の総量として計算される70重量%以下、好ましくは50重量%以下、より好ましくは30重量%以下の量で使用される。
【0086】
特に好ましい実施形態では、本発明は、(1)オリゴマーポリイソシアネートを含有し、(2)モノマージイソシアネートが少ない(「モノマージイソシアネートが少ない」はポリイソシアネート組成物A)が最大20重量%のモノマージイソシアネート含量を有することを意味する)ポリイソシアネート組成物A)の触媒三量化によって得られるポリイソシアヌレートプラスチックであって、ポリイソシアヌレートプラストが上に定義される少なくとも1つの充填剤C
w)を含有するポリイソシアヌレートプラスチックに関する。
【0087】
適切なUV安定剤C
x)は、好ましくは、ピペリジン誘導体、例えば、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−1,4−ピペリジニル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)スベレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ドデカンジオエート;ベンゾフェノン誘導体、例えば2,4−ジヒドロキシ−、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−、2−ヒドロキシ−4−オクトキシ−、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシ−または2,2’−ジヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン;ベンゾトリアゾール誘導体、例えば2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ペンチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−ドデシル−4−メチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1,1−ジメチルエチル)−4−メチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、イソオクチル3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)フェノール;オキサルアニリド、例えば2−エチル−2’−エトキシ−または4−メチル−4’−メトキシオキサルアニリド;サリチル酸エステル、例えばフェニルサリチレート、4−tert−ブチルフェニルサリチレート、4−tert−オクチルフェニルサリチレート;桂皮酸エステル誘導体、例えばメチルα−シアノ−β−メチル−4−メトキシシンナメート、ブチルα−シアノ−β−メチル−4−メトキシシンナメート、エチルα−シアノ−β−フェニルシンナメート、イソオクチルα−シアノ−β−フェニルシンナメート;およびマロン酸エステル誘導体、例えばジメチル4−メトキシベンジリデンマロネート、ジエチル4−メトキシベンジリデンマロネート、ジメチル4−ブトキシベンジリデンマロネートからなる群から選択され得る。これらの好ましい光安定剤は、単独で、または互いの任意の所望の組み合わせで使用することができる。
【0088】
本発明により製造可能なポリイソシアヌレートプラスチックのための特に好ましいUV安定剤C
x)は、400nm未満の波長の放射を完全に吸収するものである。これらには、例えば、上記ベンゾトリアゾール誘導体が含まれる。特に好ましいUV安定剤は、2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1,1−ジメチルエチル)−4−メチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールおよび/または2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)フェノールである。
【0089】
例として挙げたUV安定剤C
x)の1つまたは複数を、ポリイソシアネート組成物A)の総重量基準で、使用されるUV安定剤の総量として計算される好ましくは0.001〜3.0質量%、より好ましくは0.01〜2質量%の量でポリイソシアネート組成物A)に添加してもよい。
【0090】
特に好ましい実施形態では、本発明は、(1)オリゴマーポリイソシアネートを含有し、(2)モノマージイソシアネートが少ない(「モノマージイソシアネートが少ない」はポリイソシアネート組成物A)が最大20重量%のモノマージイソシアネート含量を有することを意味する)ポリイソシアネート組成物A)の触媒三量化によって得られるポリイソシアヌレートプラスチックであって、ポリイソシアヌレートプラストが上に定義される少なくとも1つのUV安定剤C
x)を含有するポリイソシアヌレートプラスチックに関する。
【0091】
適切な抗酸化剤C
y)は、好ましくは2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(イオノール)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクタデシル3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリエチレングリコールビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)および2,2’−チオジエチルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]からなる群から選択され得る立体障害フェノールである。必要に応じて、これらを、単独で、または互いの任意の所望の組み合わせで使用することができる。
【0092】
これらの抗酸化剤C
y)は、好ましくは、ポリイソシアネート組成物A)基準で、使用される抗酸化剤の総量として計算される0.01〜3.0重量%、より好ましくは0.02〜2.0重量%の量で使用される。
【0093】
特に好ましい実施形態では、本発明は、(1)オリゴマーポリイソシアネートを含有し、(2)モノマージイソシアネートが少ない(「モノマージイソシアネートが少ない」はポリイソシアネート組成物A)が最大20重量%のモノマージイソシアネート含量を有することを意味する)ポリイソシアネート組成物A)の触媒三量化によって得られるポリイソシアヌレートプラスチックであって、ポリイソシアヌレートプラストが上に定義される少なくとも1つの抗酸化剤C
y)を含有するポリイソシアヌレートプラスチックに関する。
【0094】
さらに使用するための少量の任意の触媒溶媒は別として、本発明の方法を溶媒を用いないで実施することができる。さらに特に、コーティングまたはフィルムを製造するための本発明の使用の場合、ポリイソシアネート成分を有機溶媒で希釈して加工粘度を低下させてもよい。この目的に適した溶媒は、例えば、イソシアネート基に対して不活性であり、既に上に記載された触媒溶媒である。
【0095】
フィルム、半製品または成形品を製造するための本発明の使用の場合、添加されるさらなる助剤および添加剤C)が、最終的に、内部離型剤C
z)であってもよい。
【0096】
これらは、好ましくは、離型剤として知られているペルフルオロアルキルまたはポリシロキサン単位を含有する非イオン性界面活性剤、四級アルキルアンモニウム塩、例えばトリメチルエチルアンモニウムクロリド、トリメチルステアリルアンモニウムクロリド、ジメチルエチルセチルアンモニウムクロリド、トリエチルドデシルアンモニウムクロリド、トリオクチルメチルアンモニウムクロリドおよびジエチルシクロヘキシルドデシルアンモニウムクロリド、アルキル基中2〜18個の炭素原子を有する酸性モノアルキルおよびジアルキルホスフェート、例えばエチルホスフェート、ジエチルホスフェート、イソプロピルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、ブチルホスフェート、ジブチルホスフェート、オクチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、イソデシルホスフェート、ジイソデシルホスフェート、ドデシルホスフェート、ジドデシルホスフェート、トリデカノールホスフェート、ビス(トリデカノール)ホスフェート、ステアリルホスフェート、ジステアリルホスフェート、ならびにこのような離型剤の任意の所望の混合物である。
【0097】
特に好ましい離型剤C
z)は、言及される酸性モノ−およびジアルキルホスフェートであり、最も好ましくはアルキル基中に8〜12個の炭素原子を有するものである。
【0098】
内部離型剤C
z)は、適宜、ポリイソシアネート組成物A)基準で、使用される内部離型剤の総量として計算される好ましくは0.01〜3.0重量%、より好ましくは0.02〜2.0重量%の量で本発明の方法に使用される。
【0099】
特に好ましい実施形態では、本発明は、(1)オリゴマーポリイソシアネートを含有し、(2)モノマージイソシアネートが少ない(「モノマージイソシアネートが少ない」はポリイソシアネート組成物A)が最大20重量%のモノマージイソシアネート含量を有することを意味する)ポリイソシアネート組成物A)の触媒三量化によって得られるポリイソシアヌレートプラスチックであって、上に定義される少なくとも1つの離型剤C
z)を含有するポリイソシアヌレートプラスチックに関する。
【0100】
本発明の方法の一実施形態では、三量化触媒B)または異なる三量化触媒B)の混合物を、場合により不活性ガス、例えば窒素下で、場合により上記溶媒および助剤および添加剤C)をさらに使用して、記載されるポリイソシアネート組成物A)に添加し、適切な混合装置を用いて均質に混合する。触媒B)およびさらなる使用のための任意の溶媒および助剤および添加剤C)の添加は、上に指定される量および一般に0〜100℃、好ましくは15〜80℃、より好ましくは20〜60℃の温度で、任意の順序で、連続的に、または混合物で行うことができる。
【0101】
このようにして得られた触媒反応混合物の適用は、最終使用によりそれ自体公知の種々の方法によって行うことができる。フィルムまたはコーティング、例えば塗料を製造するために、触媒B)とポリイソシアネート組成物A)の混合物を、例えば、噴霧、拡散、浸漬、フローコーティングによってまたはブラシ、ローラーもしくはドクターブレードの助けを借りて、コーティング前に標準的なプライマーを提供してもよい任意の所望の基材、例えば金属、木材、ガラス、石材、セラミック材料、コンクリート、硬質および軟質プラスチック、織物、皮革および紙に1つまたは複数の層で適用することができる。
【0102】
固形体、例えば半製品または成形品を製造するために、触媒B)とポリイソシアネート組成物A)の混合物を、例えば単純な手動注入によって、または適切な機械、例えば、ポリウレタン技術の標準である低圧もしくは高圧機械を用いて、開放または閉鎖鋳型に導入することができる。
【0103】
その後、三量化反応を、例えば、コーティングされた基材または充填された型を加熱することによって開始することができ、最適反応温度は、各場合で選択された触媒に応じて、20〜250℃、好ましくは40〜200℃、より好ましくは60〜150℃である。反応温度を硬化作業全体にわたって指定される範囲内で一定に保つことができる、または例えば、数時間の過程にわたって、線形または段階的様式で80℃超、好ましくは100℃超、例えば最高130℃まで加熱することができる。ここで「反応温度」に言及する場合、これは周囲温度を意味する。
【0104】
選択された触媒B)および選択された反応温度に応じて、三量化反応は、1分未満か〜最大数時間の期間の後または数日後にのみ、以下に定義されるように、極めて実質的に完了する。反応の進行は、最初にNCO含量の滴定決定によってまだ監視することができるが、反応混合物のゲル化および固化は、進行する転化によって急速に設定され、これによって湿式化学分析方法が不可能になる。そのため、イソシアネート基のさらなる転化率は、分光法、例えば、約2270cm
−1のイソシアネートバンドの強度を参照してIR分光法によってのみ監視することができる。
【0105】
本発明のポリイソシアヌレートプラスチックは、好ましくは高い転化率を有するポリイソシアヌレート、すなわちポリイソシアヌレート構造を与える三量化反応が極めて実質的に完了したものであることが好ましい。ポリイソシアヌレート構造を与える三量化反応は、本発明の文脈において、ポリイソシアネート組成物A)中に最初に存在する遊離イソシアネート基の少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%が反応した場合に、「極めて実質的に完了した」とみなすことができる。換言すれば、ポリイソシアネート組成物A)中に最初に存在するイソシアネート基の好ましくは最大20%、最大10%、より好ましくは最大5%のみが本発明のポリイソシアネートプラスチック中に存在する。これは、本発明の方法における触媒三量化を、少なくとも例えば、ポリイソシアネート組成物A)中に最初に存在するイソシアネート基の最大20%のみが存在し、結果として高い転化率を有するポリイソシアヌレートが得られる転化率レベルまで継続することによって達成され得る。依然として存在するイソシアネート基の百分率は、例えば、IR分光法によって約2270cm
−1におけるイソシアネートバンドの強度の上記比較により、当初のポリイソシアネート組成物A)中の重量%でのイソシアネート基の含量と、反応生成物中の重量%でのイソシアネート基の含量を比較することによって決定することができる。
【0106】
本発明の方法は、使用する出発ポリイソシアネートの種類ならびにイソシアヌレート構造に応じて、さらなるオリゴマー構造を含んでよく、優れた熱安定性で注目に値する、透明で黄変安定性のポリイソシアヌレートプラスチックを与える。
【0107】
本発明の方法は、様々なオリゴマー構造の出発ポリイソシアネートの適切な選択によって、様々な特性、例えば様々な程度の硬度、機械特性またはガラス転移温度を有するポリイソシアヌレートプラスチックの単純な様式での合成を可能にする。
【0108】
モノマージイソシアネート、例えば、モノマーHDIから進行して製造されたポリイソシアヌレートプラスチックとは対照的に、本発明の方法生成物は、硬化中のかなり低い体積収縮を特徴とし、その理由のためにこれらは超高精密成形品の製造に特に適している。放出される反応熱も比較的少ないため、大量成形体を問題なく製造することも可能になる。
【0109】
本発明を実施例により以下で詳細に説明する。
【0110】
[実施例]
特に明言しない限り、全ての百分率は重量に基づく。
【0111】
NCO含量をDIN EN ISO 11909に準拠して滴定手段によって測定した。
【0112】
残留モノマー含量は、内部標準を用いてガスクロマトグラフィーによってDIN EN ISO 10283に準拠して測定した。
【0113】
全ての粘度測定をDIN EN ISO 3219に準拠してAnton Paar Germany GmbH(DE)製のPhysica MCR 51レオメーターで行った。
【0114】
出発ポリイソシアネートの密度はDIN EN ISO 2811に準拠して、また硬化ポリイソシアヌレートプラスチックの密度はDIN EN ISO 1183−1に準拠して測定した。
【0115】
出発ポリイソシアネート中に存在するウレトジオン、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンおよび/またはオキサジアジントリオン構造の含量(mol%)を、プロトン−デカップリング
13C NMRスペクトル(Bruker DPX−400装置で記録)の強度から計算し、これはそれぞれ存在するウレトジオン、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンおよび/またはオキサジアジントリオン構造の総和に基づく。HDIポリイソシアネートの場合、個々の構造要素は以下の化学シフト(ppm)を有する:ウレトジオン:157.1;イソシアヌレート:148.4;アロファネート:155.7および153.8、ビウレット:155.5;イミノオキサジアジンジオン:147.8、144.3および135.3;オキサジアジントリオン:147.8および143.9。
【0116】
ガラス転移温度T
gをDIN EN 61006に準拠してMettler DSC 12E(Mettler Toledo GmbH、Giessen、ドイツ)を用いてDSC(示差走査熱量測定)によって測定した。インジウムと鉛の溶融開始温度を介して較正を行った。物質10mgを標準的なカプセルで秤量した。20K/分の加熱速度で−50℃から+200℃までの3回の加熱を行い、その後320K/分の冷却速度で冷却することによって測定を行った。液体窒素を用いて冷却を行った。使用したパージガスは窒素であった。以下の表で報告される値は、DSCの熱応力の結果として調査される反応系において高温での測定方法における試料の変化が可能であるので、それぞれ第1の加熱曲線の評価に基づく。測定したガラス転移温度T
gはガラス転移ステップの高さの半分の温度であった。
【0117】
ショア硬さは、Zwick 3100 ショア硬さ試験機(Zwick、ドイツ製)を用いてDIN 53505に準拠して測定した。
【0118】
IRスペクトルを、ATRユニットを備えたPerkin Elmer,Inc.製のSpectrum 2 FT−IR分光計で記録した。
【0119】
出発化合物
出発ポリイソシアネートA1)
イソシアヌレート基を含有するHDIポリイソシアネートを、使用する触媒を2−エチルヘキサン−1,3−ジオールではなく2−エチルヘキサノールにするという変更をして、欧州特許第330966号明細書の実施例11により調製した。ジブチルホスフェートを添加することによって、42%の粗混合物のNCO含量で反応を停止した。その後、温度130℃および圧力0.2mbarでの薄膜蒸留によって未転化HDIを除去した。
【0120】
NCO含量:23.0%
NCO官能度:3.2
モノマーHDI:0.1%
粘度(23℃):1200mPas
密度(20℃):1.17g/cm
3
オリゴマー構造型の分布:
イソシアヌレート:89.7mol%
イミノオキサジアジンジオン2.5mol%
ウレトジオン2.7mol%
アロファネート:5.1mol%
出発ポリイソシアネートA2)
イソシアヌレート基およびイミノオキサジアジンジオン基を含有するHDIポリイソシアネートを、触媒として二フッ化一水素テトラブチルホスホニウムのイソプロパノール/メタノール(2:1)中50%溶液を用いたHDIの三量化によって、欧州特許第0962455号明細書の実施例4により調製した。ジブチルホスフェートを添加することによって、43%の粗混合物のNCO含量で反応を停止した。その後、温度130℃および圧力0.2mbarでの薄膜蒸留によって未転化HDIを除去した。
【0121】
NCO含量:23.4%
NCO官能度:3.2
モノマーHDI:0.2%
粘度(23℃):700mPas
密度(20℃):1.15g/cm
3
オリゴマー構造型の分布:
イソシアヌレート:49.9mol%
イミノオキサジアジンジオン45.3mol%
ウレトジオン4.8mol%
アロファネート:0.0mol%
出発ポリイソシアネートA3)
イソシアヌレート基およびウレトジオン基を含有するHDIポリイソシアネートを、2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオールを使用しないという変更をして欧州特許第0377177号明細書の実施例1a)により、トリブチルホスフィン触媒オリゴマー化によって調製した。反応を42%のNCO含量で停止し、温度130℃および圧力0.2mbarでの薄膜蒸留によって未転化HDIを除去した。
【0122】
NCO含量:22.7%
NCO官能度:2.2
モノマーHDI:0.3%
粘度(23℃):90mPas
密度(20℃):1.13g/cm
3
オリゴマー構造型の分布:
イソシアヌレート:15.6mol%
イミノオキサジアジンジオン6.3mol%
ウレトジオン78.1mol%
アロファネート:0.0mol%
出発ポリイソシアネートA4)
ビウレット基を含有するHDIポリイソシアネートを、欧州特許第0150769号明細書の方法により、0.05molの無水ピバル酸の存在下、125℃で8.2molのHDIと1.0molの水を反応させることによって調製した。36.6%のNCO含量に達したら、温度130℃および圧力0.2mbarでの薄膜蒸留によって、未転化モノマーHDIを無水ピバル酸と一緒に除去した。
【0123】
NCO含量:23.0%
NCO官能度:3.2
モノマーHDI:0.4%
粘度(23℃):2500mPas
密度(20℃):1.13g/cm
3
オリゴマー構造型の分布:
ビウレット:87.7mol%
ウレトジオン12.3mol%
アロファネート:0.0mol%
出発ポリイソシアネートA5)
アロファネート基を含有するHDIポリイソシアネートを、アロファネート化触媒としての亜鉛2−エチルヘキサノエートの2−エチルヘキサノール中5%溶液800ppmの存在下、温度105℃で、HDI12.5molとブタン−1,3−ジオール1.0molを反応させることによって調製した。40.3%のNCO含量に達したら、イソフタロイルジクロリドのHDI中5%溶液800ppmを添加することによって反応を停止し、温度130℃および圧力0.2mbarでの薄膜蒸留によって未転化HDIを除去した。
【0124】
NCO含量:23.0%
NCO官能度:4.4
モノマーHDI:0.2%
粘度(23℃):4900mPas
密度(20℃):1.12g/cm
3
オリゴマー構造型の分布:
イソシアヌレート:3.7mol%
ウレトジオン:3.7mol%
アロファネート:92.6mol%
出発ポリイソシアネートA6)
アロファネートおよびイソシアヌレート基を含有するHDIポリイソシアネートを、欧州特許第496208号明細書の実施例1により調製した。
【0125】
NCO含量:19.8%
NCO官能度:2.5
モノマーHDI:0.3%
粘度(23℃):570mPas
密度(20℃):1.11g/cm
3
オリゴマー構造型の分布:
イソシアヌレート:33.1mol%
アロファネート:66.9mol%
出発ポリイソシアネートA7
出発イソシアネートA1を蒸留して、
13C NMR分光法により99%超のHDIのポリイソシアヌレート三量体を含む分画を得た。
【0126】
NCO含量:24,8%
NCO官能度:3.0
モノマーHDI:<0.1%
粘度(23℃):700mPas
密度(20℃):1.17g/cm
3
オリゴマー構造型の分布:
イソシアヌレート:99,2mol%
イミノオキサジアジンジオン+ウレトジオン+アロファネート<1mol%
[実施例1](本発明)
出発ポリイソシアネートA1)25gをオクチル酸スズ(II)0.4gと一緒にポリプロピレンカップに秤量し、Speed−Mixer DAC 150 FVZ(Hauschild、ドイツ製)の助けを借りて3500rpmで1分間ホモジナイズした。閉鎖ポリプロピレンカップを乾燥キャビネット内で5時間80℃に加熱し、次いで、2時間120℃に加熱した。試験片を脱型し、140℃でさらに2時間熱処理した。
【0127】
以下の特性データを有する透明なポリイソシアヌレートプラスチックが得られた:
Tg:127.7℃
ショアD硬さ:83
密度(20℃):1.24g/cm
3
体積収縮率:5.6%
IR分光法により、イソシアネート基(2270cm
−1のバンド)はもはや検出できなかった。
【0128】
[実施例2](比較)
HDI(密度:1.05g/cm
3)25gをオクチル酸スズ(II)0.4gと一緒にポリプロピレンカップに秤量し、Speed−Mixer DAC 150 FVZ(Hauschild、ドイツ製)の助けを借りて3500rpmで1分間ホモジナイズした。閉鎖ポリプロピレンカップを乾燥キャビネット内で5時間80℃に加熱し、次いで、2時間120℃に加熱した。試験片を脱型し、140℃でさらに2時間熱処理した。
【0129】
以下の特性データを有する透明なポリイソシアヌレートプラスチックが得られた:
Tg:125.4℃
ショアD硬さ:79
密度(20℃):1.24g/cm
3
体積収縮率:15.3%
IR分光法により、イソシアネート基(2270cm
−1のバンド)はもはや検出できなかった。
【0130】
この比較は、同じ三量化条件下で実施例1からのポリイソシアネートA1)を使用して本発明により製造されたポリイソシアヌレートプラスチックが、モノマーHDIから進行して得られるポリイソシアヌレートよりもかなり低い体積収縮を示すことを示している。
【0131】
[実施例3〜7](本発明)
実施例1に記載される方法により、出発ポリイソシアネートA2)〜A6)の各々25gをオクチル酸スズ(II)0.4gで三量化してポリイソシアヌレートプラスチックを得た。
【0132】
製品のいずれも、IR分光法によって依然として検出可能なイソシアネート基(2270cm
−1のバンド)が得られなかった。
【0133】
[実施例8](本発明)
出発ポリイソシアネート100gを、酢酸カリウム0.177g、[18]クラウン−6 0.475gおよびジエチレングリコール3.115gからなる触媒混合物と一緒にポリプロピレンカップに秤量し、Speed−Mixer DAC150FVZ(Hauschild、ドイツ製)を用いて2750rpmで1分間ホモジナイズする。ポリプロピレンカップの内容物8gを、良好な脱型のために酢酸エチル溶液中の1%大豆レシチンW250であらかじめ擦り、乾燥させた直径6.3cmおよび深さ1cmのアルミニウム皿に秤量する。このように充填されたアルミニウム皿を180℃の乾燥キャビネット内で10分間加熱する。室温に冷却した後、試験片を脱型する。約2mmの厚さの試験片が得られる。
【0134】
以下の表は、製品の特性を示している:
【表1】