(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記部分範囲と複数の前記測定点との位置ズレ量のばらつきを算出する第3処理を、複数の前記部分範囲のそれぞれについて実行し、前記ばらつきが予め定められたしきい値を超えている前記部分範囲について、前記部分範囲を複数に分けてできた複数の部分を新たな複数の前記部分範囲とし、前記第3処理を実行することにより、新たに前記ばらつきを算出する第3算出部をさらに備え、
前記第3算出部は、前記ばらつきが前記しきい値を超えている前記部分範囲について、前記ばらつきが前記しきい値以下になるまで、前記第3処理を実行し、
前記第1算出部は、前記ばらつきが前記しきい値以下となる前記部分範囲について、前記平均値を算出する、請求項1または2に記載の形状測定装置。
前記第1算出部は、並べられた前記撮像範囲のそれぞれに含まれる前記測定範囲の部分を前記部分範囲として、前記平均値を算出する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の形状測定装置。
前記第1算出部は、並べられた前記撮像範囲のそれぞれに含まれる前記測定範囲の部分をさらに分けた部分を前記部分範囲として、前記平均値を算出する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の形状測定装置。
前記制御部は、並べられた前記撮像範囲で、前記測定範囲の基準となる基準測定範囲が覆われた状態となる前記基準測定範囲の第2撮像位置に、複数の前記撮像部を一体的に移動させる第2制御をした後、前記第2撮像位置で複数の前記撮像部に、前記基準測定範囲の画像を撮像させる第3制御をし、
前記第1算出部は、前記基準測定範囲の部分を示し、前記部分範囲に対応する基準部分範囲と、複数の前記測定点との位置ズレ量の平均を前記平均値とし、前記第1処理の替わりに、前記基準測定範囲の画像を基にして前記平均値を算出する第4処理を、前記基準測定範囲を分けてできた複数の前記基準部分範囲のそれぞれについて実行し、
前記制御部は、複数の前記撮像部を一体的に前記第1撮像位置に移動させる第4制御をした後、前記第1制御をする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の形状測定装置。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳細に説明する。各図において、同一符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その構成について、既に説明している内容については、その説明を省略する。本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し(例えば、センサ13)、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す(例えば、センサ13−1)。
【0034】
図1は、実施形態に係る形状測定装置1を示す全体構成図である。
図2は、形状測定装置1にセットされた測定対象物300および基準物400を上方から見た平面図である。形状測定装置1は、溝302が螺旋状に形成された測定対象物300に対して、溝302の断面形状を測定する装置である。形状測定装置1は、機械部MEと、コンピュータ部CPと、を備える。機械部MEは、溝302の断面形状の測定に必要となる画像を取得するために必要な各種の作業をする。コンピュータ部CPは、機械部MEを制御すると共に、機械部MEで取得された画像を基にして、溝302の断面形状を測定する。
【0035】
図1および
図2において、Z方向は、測定対象物300の長手方向を指し、+Z方向は、長手方向の前方を指し、−Z方向は、長手方向の後方を指す。Y方向は、上下方向を指し、+Y方向は、上方を指し、−Y方向は、下方を指す。X方向は、Y方向およびZ方向のそれぞれと直行する左右方向を指し、+X方向は、後方から前方を見て右方を指し、−X方向は、後方から前方を見て左方を指す。
【0036】
図1を参照して、機械部MEは、台座部100と、ステージ110と、支持部120と、センサ部130と、取付部140と、天井部150と、を備える。
【0037】
測定対象物300の表面には、測定対象物300の中心軸CZに対して螺旋状に溝302が形成されている。本明細書の図面では示されていないが、溝302は、捻れながら螺旋状に延びている。測定対象物300としては、例えば、スクリュー、プロペラ、ドリル等が採用される。
【0038】
台座部100は、例えば、平板状であり、地上に対して固定されている。ステージ110は、台座部100に対して+Z方向、−Z方向に移動可能、つまり、測定対象物300の長手方向に対して移動可能に取り付けられている。
【0039】
例えば、台座部100の上面にはZ方向に沿って案内溝(図略)が設けられ、ステージ110の底面にはこの案内溝に勘合するローラ(図略)が設けられている。これにより、ステージ110はこの案内溝に沿ってローラが案内されることで、台座部100の上をZ方向に沿って移動できる。
【0040】
ステージ110のZ方向の両端には一対の支持部120が立設されている。−Z方向側の支持部120は測定対象物300の−Z方向側の端部320を支持し、+Z方向側の支持部120は測定対象物300の+Z方向側の端部320を支持する。ここで、一対の支持部120は、測定対象物300の長手方向がZ方向と平行になるように測定対象物300を支持する。
【0041】
図2を参照して、測定対象物300は、螺旋状に溝302が形成された測定対象領域310と、一対の端部320と、を備える。一対の端部320は、それぞれ、測定対象領域310のZ方向側の端部から中心軸CZに沿って延びる円柱形状の部材である。
【0042】
図1を参照して、測定対象物300は、長手方向の中心軸CZを回転軸として回転可能に一対の支持部120により支持されている。具体的には、一対の支持部120は、それぞれ、端部320が挿入される軸受(図略)を備え、軸受を介して、測定対象物300を回転可能に支持する。
【0043】
天井部150は、例えば平板状であり、台座部100の上側に設けられている。天井部150には、取付部140がZ方向に移動可能に取り付けられている。例えば、天井部150には、Z方向と平行に案内溝(図略)が設けられ、取付部140の上面には、この案内溝に嵌合するローラ(図略)が設けられている。取付部140は、この案内溝にローラが案内され、天井部150に対してZ方向に移動できる。
【0044】
取付部140の下面には、センサ部130が着脱可能に取り付けられている。
【0045】
センサ部は、物体の断面形状を測定するための画像を取得する。実施形態では、光切断法を用いて、物体の断面形状を非接触で測定する。光切断法は、シート光を物体の表面に照射することにより、その表面に光切断線を形成し、シート光の照射方向と所定の角度(例えば、45度)を有する撮像方向から、光切断線を含む領域の画像を撮像し、その画像を基にして、光切断線に沿ってその物体を切断した断面の高さデータを算出する。光切断法では、光切断線が延びる方向と直交する方向に物体を走査することにより、その物体の三次元形状を測定することができる。
【0046】
図1および
図2を参照して、光切断法を用いて測定される溝断面の1つとして、溝302の断面C1がある。断面C1は、交点P21において、溝302の延設方向L21と直交する面(言い換えれば、溝302の幅方向に沿った面)で溝302を切断したときの溝302の形状を示す面である。交点P21について説明する。交点P21は、中心軸CZの上方に位置する。交点P21は、溝302の底部を通る溝底線L23と中心軸CZとが立体交差する箇所において、溝302の溝底が位置する点を示す。交点P21の真上にある位置Z1において、センサ部130は、断面C1の形状を非接触で測定するための画像を撮像する。この撮像において、センサ部130の光源は、延設方向L21と直交する方向(溝302の幅方向)に光切断線を照射する。
【0047】
基準物400には、断面C2を有する溝402が形成されている。基準物400の材料は、測定対象物300の材料と同じである。断面C2の設計値は、断面C1の設計値と同じである。設計値とは、言い換えれば、設計形状および設計寸法である。
【0048】
基準物400は、+Z方向側の支持部120の上面に設置されている。溝402の延設方向L11は、溝302の延設方向L21と平行である。センサ部130は、取付部140によって基準物400の上方の所定の位置Z2に位置決めされて、基準物400の溝402に形成された基準測定範囲mr(
図7)の画像を撮像する。
【0049】
断面C2は、交点P11において、溝402の延設方向L11と直交する面(言い換えれば、溝402の幅方向に沿った面)で溝402を切断したときの溝402の形状を示す面である。交点P11について説明する。交点P11は、中心軸CZの上方に位置する。交点P11は、溝402の底部を通る溝底線L13と中心軸CZとが立体交差する箇所において、溝402の溝底が位置する点を示す。交点P11の真上にある位置Z2において、センサ部130は、基準測定範囲mrの画像を撮像する。この撮像において、センサ部130の光源は、延設方向L11と直交する方向(溝402の幅方向)に光切断線を照射する。
【0050】
位置Z1は、測定対象物300を上方から下方に見た場合、中心軸CZ上にある。そのため、センサ部130を位置Z2に位置決めして、基準測定範囲mrの画像を撮像した後、センサ部130を−Z方向に移動させて位置Z1に位置決めするだけで、断面C1の形状の測定に必要な画像を撮像できる。
【0051】
実施形態では、測定対象物300がZ方向へのみ移動され、中心軸CZ回りに回転されないものとする。そのため、形状測定装置1は、測定対象物300の溝302の全域の形状を測定できない。そこで、形状測定装置1は、溝302の1カ所または数カ所の断面の形状を測定する。ここでは、1カ所の断面(断面C1)を例に説明する。
【0052】
形状測定装置1は、切削加工機で構成されてもよい。この場合、形状測定装置1は、センサ部130が加工刃に交換されることで、切削加工機になる。切削加工する際には、ステージ110上には円筒状の加工対象物が取り付けられる。そして、加工刃が取り付けられた取付部140は、位置Z1に位置決めされた後、−Y方向に移動して加工刃を加工対象物に当接させる。そして、加工対象物は、支持部120により中心軸CZを回転軸として回転されながら、ステージ110により−Z方向または+Z方向に移動されることで、螺旋状の溝302が形成される。これにより、測定対象物300が加工される。
【0053】
図3は、前方から後方に見た場合の形状測定装置1を示す図である。支持部120は、ステージ110に立設された柱部1202と、柱部1202の上側に設けられた治具1201とを備える。治具1201は、上面に基準物400が載置される。そのため、治具1201のX方向の幅は柱部1202の幅よりも多少広くなっている。
【0054】
治具1201は、端部320の上半分と当接する半円筒状の孔1203を備えている。また、治具1201は、端部の320の下半分と当接する孔1204を備えている。孔1203と孔1204とは、端部320を挟持することで軸受を構成する。
【0055】
センサ部130について詳しく説明する。
図4は、センサ部130の構成図である。この図は、センサ部130によって、溝302の断面C1の形状を測定している状態を示している。断面C1は、円弧状の形状を有する。センサ部130は、断面C1の形状を測定する場合、断面C1上の溝302の表面に、線状の測定範囲MRを設定する。従って、測定範囲MRは、円弧状の線である。測定範囲MRに沿って、溝302を切断した断面が、断面C1である。
【0056】
センサ部130は、3つのセンサ13を備える。各センサ13は、光源11と撮像部12とを備える。一つの撮像部12の画角では、測定範囲MRの画像の全体を撮像できないので、複数の撮像部12が用いられる。実施形態では、撮像部12の数が3個の場合である。
【0057】
光源11は、シート光SLを出射するレーザ光源である。シート光SLの先端は、直線状である。これにより、シート光SLが照射された測定対象物の表面には、光切断線が形成される。撮像部12は、例えば、CCDイメージセンサまたはCMOSイメージセンサを備える、動画撮影が可能なカメラである。光源11の光軸(図略)と撮像部12の光軸(図略)とで所定の角度(例えば、45度)が形成されている。
【0058】
3個(複数)のセンサ13は、剛体で形成された支持部材10によって固定的に支持されている。支持部材10を剛体で形成することにより、3個(複数)のセンサ13どうしの位置関係(距離関係)が変化しない。支持部材10は、例えば、鋼材、ステンレス材等で形成される剛体台座(剛体板)である。これらのセンサ13は、締結部材(例えば、ネジ、ボルトとナット)で支持部材10に固定されている。
【0059】
測定範囲MRは、円弧状の線であり、等間隔に3つに分けられる。これらの測定範囲MRの部分が部分範囲PRである。各センサ13は、対向する部分範囲PRにシート光SLを照射し、この部分範囲PRを含む領域の画像を撮像する。センサ13−1とこれに対向する部分領域PRとの距離、センサ13−2とこれに対向する部分領域PRとの距離、センサ13−3とこれに対向する部分領域PRとの距離は、それぞれ等しくされている。
【0060】
図5は 実施形態において、測定範囲MRと、部分範囲PRと、光切断線LCと、撮像範囲IRとの平面的な位置関係を説明する説明図である。撮像部12−1の撮像範囲IR−1と、撮像部12−2の撮像範囲IR−2と、撮像部12−3の撮像範囲IR−3とが、測定範囲MRに沿って並んでいる。これらの撮像範囲IRは、連続して並んでいる(言い換えれば、隙間無く繋がっている)。隣り合う撮像範囲IRの一部が重複していてもよい。センサ部130が
図1に示す位置Z1(第1撮像位置)にあるとき、測定範囲MRは、並べられた3つの撮像範囲で覆われている。
【0061】
光源11−1から出射されたシート光SL(
図4)によって溝302の表面に光切断線LC−1が形成されている。光切断線LC−1は、撮像範囲IR−1に含まれている。光源11−2から出射されたシート光SLによって溝302の表面に光切断線LC−2が形成されている。光切断線LC−2は、撮像範囲IR−2に含まれている。光源11−3から出射されたシート光SLによって溝302の表面に光切断線LC−3が形成されている。光切断線LC−3は、撮像範囲IR−3に含まれている。
【0062】
測定範囲MRのうち、撮像範囲IR−1に含まれる部分が、1つの部分範囲PRである。この部分範囲PRは、センサ13−1と対向している。測定範囲MRのうち、撮像範囲IR−2に含まれる部分が、1つの部分範囲PRである。この部分範囲PRは、センサ13−2と対向している。測定範囲MRのうち、撮像範囲IR−3に含まれる部分が、1つの部分範囲PRである。この部分範囲PRは、センサ13−3と対向している。
【0063】
形状測定装置1は、光切断線LCに沿った断面の形状を測定するので、部分範囲PRと光切断線LCとの位置(言い換えれば、測定範囲MRと光切断線LC)は、一致すべきである。そのためには、3本の光切断線LCが、測定範囲MRと平行に一直線に繋がらなければならない。3個のセンサ13は、
図4に示す支持部材10に取り付けられる。この取付において、取付位置、取付角度に誤差が不可避的に発生する。従って、3本の光切断線LCが繋がらなかったり、これらの光切断線LCが、測定範囲MRと平行でなかったりする事象が発生する。
【0064】
図6は、実施形態に係る形状測定装置1の構成を示すブロック図である。機械部MEについては、既に説明した通りである。コンピュータ部CPについて説明する。コンピュータ部CPは、本体部710と、操作部720と、表示部730と、を備える。
【0065】
本体部710は、機能ブロックとして、制御処理部711と、記憶部712と、第1算出部713と、制御部714と、第2算出部715と、を備える。後で説明する第3変形例の本体部710は、さらに、第3算出部718を備える(
図16)。本体部710は、これらの機能を実現するめのハードウェアプロセッサ(CPU、RAM、ROM、HDD等)、ソフトウェア、プログラム、データ等により構成される。
【0066】
制御処理部711は、本体部710の各部(記憶部712、第1算出部713、制御部714、第2算出部715、第3算出部718(
図16))を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御するための装置である。
【0067】
記憶部712は、上記ソフトウェア、プログラム、データ等を記憶する。
【0068】
図1、
図5および
図6を参照して、位置Z1(第1撮像位置)にセンサ部130が位置するとき、測定範囲MRは、並べられた3つの撮像範囲で覆われている。第1算出部713は、位置Z1にセンサ部130が位置した状態で、部分範囲PRと、この部分範囲PRの断面形状を求めるための複数の測定点との位置ズレ量の平均値を算出する第1処理を、測定範囲MRを3つに分けてできた3つの部分範囲PRのそれぞれについて実行する。複数の測定点は、光切断線LC上に位置する点から選択される。実施形態では、部分範囲PRの数が3を例にして説明するが、これに限定されず、部分範囲PRの数が複数であればよい。
【0069】
制御部714は、移動制御部716と撮像制御部717とを備える。移動制御部716は、ステージ110、支持部120および取付部140を制御する。詳細には、移動制御部716は、ステージ110をZ方向に移動させるモータ(図略)に駆動信号を出力することで、ステージ110をZ方向に移動させる。
【0070】
また、移動制御部716は、測定対象物300を中心軸CZ回りに回転させるモータ(図略)に駆動信号を出力することで、支持部120に、測定対象物300を中心軸CZ回りに回転させる。但し、実施形態では、測定対象物300は、中心軸CZ回りに回転されないものとする。また、移動制御部716は、取付部140をZ方向に移動させるモータ(図略)に駆動信号を出力することで、取付部140をZ方向に移動させる。これにより、センサ部130が中心軸CZに沿って移動し、位置Z1または位置Z2に位置決めされる。
【0071】
撮像制御部717は、センサ部130に、測定範囲MR(
図5)および光切断線LCを含む領域の画像、並びに、基準測定範囲mr(
図7)および光切断線LCを含む領域の画像を撮像させる制御をする。
【0072】
図5および
図6を参照して、制御部714は、移動制御部716と撮像制御部717とを備えており、第1制御をする。第1制御は、部分範囲PRと、この部分範囲PRの断面形状を求めるための複数の測定点(光切断線LC)との位置ズレ量が、第1撮像位置(位置Z1)から見て、第1算出部713によって算出された平均値だけ小さくなる方向に、センサ部130を移動させ、そして、撮像範囲IRに部分範囲PRを含む撮像部12に、部分範囲PRの画像を撮像させる制御である。制御部714は、第1制御を、3つの部分範囲PRのそれぞれについて実行する。
【0073】
制御部714は、第1制御において、センサ部130の移動を制御することにより、3つの撮像部12を一体的に移動させる。言い換えれば、制御部714は、第1制御において、
図4に示す支持部材10の移動を制御することにより、3つの撮像部12を一体的に移動させる。
【0074】
3つの撮像部12の相互の位置関係が変化すれば、測定範囲MRの断面形状の測定精度が低下する。実施形態では、剛体で形成される支持部材10で3つの撮像部12を支持し、支持部材10の移動を制御することにより、3つの撮像部12を一体的に移動させる制御をする。従って、3つの撮像部12の相互の位置関係が変化しないようにすることができる。
【0075】
第2算出部715は、第1制御によって撮像された部分範囲PRの画像を基にして、部分範囲PRの断面形状を算出する第2処理を、3つの部分範囲PRのそれぞれについて実行する。断面形状の算出には、光切断法が用いられる。第2算出部715は、光切断線LC上に、等間隔に設定された複数の測定点のそれぞれの高さデータを算出し、これらの高さデータを基にして、部分範囲PRの断面形状を算出する。
【0076】
操作部720は、例えば、キーボードやマウス等の入力装置で構成され、オペレータから種々の操作を受け付ける。種々の操作としては、断面形状の測定開始の指示等が含まれる。
【0077】
表示部730は、例えば、液晶ディスプレイ等の表示装置で構成され、断面形状の測定結果等を表示する。
【0078】
第1算出部713は、基準物400を利用して、部分範囲PRと、この部分範囲PRの断面形状を測定するための複数の測定点(光切断線LC)との位置ズレ量の平均値を算出する(以下、単に「位置ズレ量の平均値」と記載することがある)。詳しく説明する。
図7は、光切断線LCが形成された溝402の斜視図である。基準物400の溝402の表面に、溝402の幅方向に沿って、基準測定範囲mrが描かれている。基準測定範囲mrは、測定範囲MRと形状、長さおよび延びる方向が一致するように設計されており、目視することができる。基準測定範囲mrは、例えば、けがきにより描かれている。基準測定範囲mrに沿って基準物400を切断した断面が断面C2である。
【0079】
図4および
図7を参照して、光源11−1から出射されたシート光SLにより、溝402の表面には、光切断線LC−1が形成されている。光源11−2から出射されたシート光SLにより、溝402の表面には、光切断線LC−2が形成されている。光源11−3から出射されたシート光SLにより、溝402の表面には、光切断線LC−3が形成されている。基準測定範囲mrと光切断線LCとは、測定範囲MRと光切断線LCとの場合と同じ理由で、Z方向に位置ズレが発生している。
【0080】
なお、基準物300のエッジのうち、基準測定範囲mrと、長さ、形状および延びる方向が同じエッジ(エッジ400aまたはエッジ400b)を基準測定範囲mrとして用いてもよい。これによれば、基準測定範囲mrを示すけがき線を基準物400に描く手間を省くことができる。光切断線LCが、エッジ400a(エッジ400b)より外側に位置したとき、光切断線LCが溝402の外側に位置し、位置ズレ量の測定ができない。従って、光切断線LCが、エッジ400a(エッジ400b)より内側に位置させる調整をする必要がある。
【0081】
図8は 実施形態において、基準測定範囲mrと、基準部分範囲prと、光切断線LCと、撮像範囲IRとの平面的な位置関係を説明する説明図である。
図8が
図5と相違する点は、センサ部130の位置が第2撮像位置(位置Z2)であり、測定範囲MRの替わりに基準測定範囲mrがあり、部分範囲PRの替わりに基準部分範囲prがある。センサ部130の位置が第2撮像位置(位置Z2)のとき、基準測定範囲mrは、並べられた3つの撮像範囲IRで覆われている。
図8に示す基準測定範囲mrと光切断線LCとの位置関係は、
図5に示す測定範囲MRと光切断線LCとの位置関係と同じである。第1算出部713は、基準測定範囲mrを測定範囲MRと見なし、基準部分範囲prを部分範囲PRと見なして、位置ズレ量の平均値を算出する。位置ズレの方向は、Z方向である。
【0082】
撮像範囲IR−1を例にして説明する。
図9は、撮像範囲IR−1において、基準部分範囲prと光切断線LC−1との位置関係を説明する説明図である。第1算出部713は、撮像範囲IR−1の画像に写された光切断線LC−1上に、複数の測定点Pを設定する。複数の測定点Pは、部分範囲PRの断面形状を求めるために用いられる。第1算出部713は、測定点Pと基準部分範囲prとの位置ズレ量を算出する処理を、光切断線LC−1に設定された複数の測定点Pのそれぞれについて実行する。位置ズレ量の算出方法の具体例は、後で説明する。
図9には、複数の測定点Pのそれぞれと基準部分範囲prとの位置ズレ量が「z」で示されている。第1算出部713は、これらの位置ズレ量の平均値を算出する。
【0083】
図5および
図8を参照して、撮像範囲IR−1に含まれる部分範囲PRおよび基準部分範囲prを1番目とし、撮像範囲IR−2に含まれる部分範囲PRおよび基準部分範囲prを2番目とし、撮像範囲IR−3に含まれる部分範囲PRおよび基準部分範囲prを3番目とする。1番目の基準部分範囲prと光切断線LC−1との位置ズレ量の平均値が、1番目の部分範囲PRと光切断線LC−1との位置ズレ量の平均値となる。2番目の基準部分範囲prと光切断線LC−2との位置ズレ量の平均値が、2番目の部分範囲PRと光切断線LC−2との位置ズレ量の平均値となる。3番目の基準部分範囲prと光切断線LC−3との位置ズレ量の平均値が、3番目の部分範囲PRと光切断線LC−3との位置ズレ量の平均値となる。
【0084】
部分範囲PRの断面形状を求めるための複数の測定点P(
図9)は、光切断線LC上に設定される。このため、部分範囲PRと光切断線LCとの位置ズレ量の平均値は、部分範囲PRとこの部分範囲PRの断面形状を測定するための複数の測定点Pとの位置ズレ量の平均値を意味する。基準部分範囲prと光切断線LCとの位置ズレ量の平均値は、基準部分範囲prと対応する部分範囲PRと、この部分範囲PRの断面形状を測定するための複数の測定点Pとの位置ズレ量の平均値を意味する。基準部分範囲prと対応する部分範囲PRとは、基準部分範囲prと同じ順番の部分範囲PRである(例えば、基準部分範囲prが1番目の場合、1番目の部分範囲PRである)。
【0085】
測定範囲MR自体を用いて、位置ズレ量の平均値を算出する場合、画像上での測定範囲MRの位置を明確にする必要がある。このために、例えば、測定範囲MRを示すけがき線が、
図2に示す断面C1に対応する溝302の表面に描かれる。しかしながら、測定対象物300の溝302にけがき線を描きたくない場合もある。実施形態によれば、基準物400に設けられた基準測定範囲mrを用いて、位置ズレ量の平均値を算出するので、測定対象物300の溝302に測定範囲MRを示すけがき線を描かなくてもよい。
【0086】
実施形態に係る形状測定装置1の動作を説明する。
図10は、この動作を説明するフローチャートである。
図1および
図6を参照して、制御処理部711は、移動制御部716に対して、センサ部130の位置を位置Z2(第2撮像位置)に移動させる命令をする。移動制御部716は、取付部140を移動させて、取付部140に取り付けられたセンサ部130を位置Z2に移動させる制御(第2制御)をする(
図10のステップS1)。光切断線LCが、溝402の表面に形成されている。基準測定範囲mrと光切断線LCとの位置関係は、
図8に示す通りである。
【0087】
図6および
図8を参照して、制御処理部711は、撮像制御部717に対して、センサ部130に画像を撮像させる命令をする。これにより、撮像制御部717は、センサ13−1に備えられる撮像部12−1に、光切断線LC−1および1番目の基準部分範囲prを含む撮像範囲IR−1の画像、センサ13−2に備えられる撮像部12−2に、光切断線LC−2および2番目の基準部分範囲prを含む撮像範囲IR−2の画像、センサ13−3に備えられる撮像部12−3に、光切断線LC−3および3番目の基準部分範囲prを含む撮像範囲IR−3の画像を、それぞれ撮像させる制御(第3制御)をする(
図10のステップS2)。
【0088】
第1算出部713は、これらの画像を基にして、各撮像範囲IRにおいて、基準部分範囲prと光切断線LCとの位置ズレ量の平均値を算出する処理(第4処理)をする(
図10のステップS3)。具体的には、第1算出部713は、ステップS2で撮像された撮像範囲IR−1の画像を基にして、基準部分範囲prと光切断線LC−1との位置ズレ量の平均値を算出し、ステップS2で撮像された撮像範囲IR−2の画像を基にして、基準部分範囲prと光切断線LC−2との位置ズレ量の平均値を算出し、ステップS2で撮像された撮像範囲IR−3の画像を基にして、基準部分範囲prと光切断線LC−3との位置ズレ量の平均値を算出する。
【0089】
図1および
図6を参照して、制御処理部711は、移動制御部716に対して、センサ部130の位置を位置Z1(第1撮像位置)に移動させる命令をする。これにより、移動制御部716は、取付部140を移動させて、取付部140に取り付けられたセンサ部130を位置Z1に移動させる制御(第4制御)をする(
図10のステップS4)。光切断線LCが、溝302の表面に形成されている。測定範囲MRと光切断線LCとの位置関係は、
図5に示す通りである。
【0090】
図5および
図6を参照して、制御部714は、3つの部分範囲PRについて、1番目の部分範囲PRから順番に第1制御をする(
図10のステップS5)。詳しく説明する。
図11は、実施形態で実行される第1制御を説明する説明図である。この図には、
図5に示す測定範囲MR、部分範囲PRおよび光切断線LCが示されている。1番目の部分範囲PRと光切断線LC−1との位置ズレ量の平均値がz1とし、2番目の部分範囲PRと光切断線LC−2との位置ズレ量の平均値がz2とし、3番目の部分範囲PRと光切断線LC−3との位置ズレ量の平均値がz3とする(z2<z1<z3)。平均値z1は、
図8に示す1番目の基準部分範囲prと光切断線LC−1との位置ズレ量の平均値であり、ステップS3で予め算出されている。平均値z2は、2番目の基準部分範囲prと光切断線LC−2との位置ズレ量の平均値であり、ステップS3で予め算出されている。平均値z3は、3番目の基準部分範囲prと光切断線LC−3との位置ズレ量の平均値であり、ステップS3で予め算出されている。
【0091】
図11Aは、
図5と同じく、センサ部130の位置が位置Z1の状態を示す。
図11Bは、1番目の部分範囲PRと光切断線LC−1との位置ズレ量の平均値z1だけ、位置Z1からセンサ部130を移動させた状態を示す。
図11Cは、2番目の部分範囲PRと光切断線LC−2との位置ズレ量の平均値z2だけ、位置Z1からセンサ部130を移動させた状態を示す。
図11Dは、3番目の部分範囲PRと光切断線LC−3との位置ズレ量の平均値z3だけ、位置Z1からセンサ部130を移動させた状態を示す。
【0092】
図6および
図11を参照して、移動制御部716は、センサ部130の位置が位置Z1の状態において(
図11A)、1番目の部分範囲PRと光切断線LC−1との位置ズレ量が、平均値z1だけ小さくなる方向に、センサ部130を移動させる(
図11B)。センサ部130を支持する支持部材10(
図4)は、取付部140に取り付けられており、移動制御部716は、取付部140を移動させることにより、センサ部130を移動させる。以下のセンサの移動も同様である。撮像範囲IR−1は、1番目の部分範囲PRおよび光切断線LC−1を含む。撮像制御部717は、撮像部12−1に撮像範囲IR−1の画像を撮像させる。
【0093】
図11Bから分かるように、1番目の部分範囲PRと光切断線LC−1との位置ズレ量が、位置Z1(第1撮像位置)から見て、平均値z1だけ小さくなる方向に、センサ部130が移動している。
【0094】
次に、移動制御部716は、センサ部130の位置が
図11Bに示す状態において、2番目の部分範囲PRと光切断線LC−2との位置ズレ量が、z1−z2だけ小さくなる方向に、センサ部130を移動させる(
図11C)。撮像範囲IR−2は、2番目の部分範囲PRおよび光切断線LC−2を含む。撮像制御部717は、撮像部12−2に撮像範囲IR−2の画像を撮像させる。
【0095】
図11Cから分かるように、2番目の部分範囲PRと光切断線LC−2との位置ズレ量が、位置Z1(第1撮像位置)から見て、平均値z2だけ小さくなる方向に、センサ部130が移動している。
【0096】
次に、移動制御部716は、センサ部130の位置が
図11Cに示す状態において、3番目の部分範囲PRと光切断線LC−3との位置ズレ量が、z3−z2だけ小さくなる方向に、センサ部130を移動させる(
図11D)。撮像範囲IR−3は、3番目の部分範囲PRおよび光切断線LC−3を含む。撮像制御部717は、撮像部12−3に撮像範囲IR−3の画像を撮像させる。
【0097】
図11Dから分かるように、3番目の部分範囲PRと光切断線LC−3との位置ズレ量が、位置Z1(第1撮像位置)から見て、平均値z3だけ小さくなる方向に、センサ部130が移動している。
【0098】
第2算出部715は、1番目の部分範囲PRおよび光切断線LC−1を含む撮像範囲IR−1の画像を基にして、1番目の部分範囲PRの断面形状を算出し、2番目の部分範囲PRおよび光切断線LC−2を含む撮像範囲IR−2の画像を基にして、2番目の部分範囲PRの断面形状を算出し、3番目の部分範囲PRおよび光切断線LC−3を含む撮像範囲IR−3の画像を基にして、3番目の部分範囲PRの断面形状を算出する(
図10のステップS6)。これにより、測定範囲MRの断面形状(断面C1の形状)が算出される。
【0099】
実施形態の主な効果を説明する。第1算出部713は、基準部分範囲prを用いて、部分範囲PRと光切断線LCとの位置ズレ量の平均値を算出する(
図10のステップS3)。制御部714は、位置ズレ量が、位置Z1(第1撮像位置)から見て、第1算出部713によって算出された平均値だけ小さくなる方向に、センサ部130を移動させ(3つの撮像部12を一体的に移動させ)、そして、撮像範囲IRに部分範囲PRを含む撮像部12に、部分範囲PRの画像を撮像させる第1制御を、3つの部分範囲PRのそれぞれについて実行する(
図10のステップS5)。これにより、3つの部分範囲PRのそれぞれの画像撮像時において、部分範囲PRの断面形状を測定するための複数の測定点(光切断線LC)と、この部分範囲PRとの位置ズレ量の平均値を、第1算出部713によって算出された平均値より小さくすることができる。従って、実施形態に係る形状測定装置1によれば、測定範囲MRを複数に分け、複数の撮像部12のそれぞれに、測定範囲MRの一部(部分範囲PR)の撮像を割り当て、これにより得られた複数の画像を基にして測定範囲MRの断面形状を測定する場合において、測定精度を向上させることができる。
【0100】
実施形態および後で説明する変形例では、基準部分範囲prを用いて、位置ズレ量の平均値を算出しているが、測定範囲MRを用いて、位置ズレ量の平均値を算出してもよい。この場合は、
図4に示す断面C1に対応する溝302の表面に、測定範囲MRを示す線(例えば、けがき線)が描かれ、
図10に示すステップS1,S2,S3の替わりに、以下のステップS1a,S2a,S3aが実行され、ステップS4の実行は不要となる。
【0101】
図1および
図6を参照して、移動制御部716は、取付部140を移動させて、取付部140に取り付けられたセンサ部130を位置Z1に移動させる制御をする(ステップS1a)。測定範囲MRと光切断線LCとの位置関係は、
図5に示す通りである。
【0102】
図5および
図6を参照して、撮像制御部717は、センサ13−1に備えられる撮像部12−1に、光切断線LC−1および1番目の部分範囲PRを含む撮像範囲IR−1の画像、センサ13−2に備えられる撮像部12−2に、光切断線LC−2および2番目の部分範囲PRを含む撮像範囲IR−2の画像、センサ13−3に備えられる撮像部12−3に、光切断線LC−3および3番目の部分範囲PRを含む撮像範囲IR−3の画像を、それぞれ撮像させる(ステップS2a)。
【0103】
第1算出部713は、ステップS2aで撮像された撮像範囲IR−1の画像を基にして、1番目の部分範囲PRと光切断線LC−1との位置ズレ量の平均値を算出し、ステップS2aで撮像された撮像範囲IR−2の画像を基にして、2番目の部分範囲PRと光切断線LC−2との位置ズレ量の平均値を算出し、ステップS2aで撮像された撮像範囲IR−3の画像を基にして、3番目の部分範囲PRと光切断線LC−3との位置ズレ量の平均値を算出する(ステップS3a)。
【0104】
実施形態の変形例を説明する。第1変形例から説明する。
図5に示すように、実施形態では、並べられた撮像範囲IRのそれぞれに含まれる測定範囲MRの部分を部分範囲PRとしている。よって、実施形態では、1つの撮像範囲IRに含まれる部分範囲PRの数が1つである。これに対して、第1変形例では、1つの撮像範囲IRに含まれる部分範囲PRの数が複数である。1つの撮像範囲IRに含まれる部分範囲PRの数が3を例にして説明する。
図12は、第1変形例において、測定範囲MRと、部分範囲PRと、光切断線LCと、撮像範囲IRとの平面的な位置関係を説明する説明図である。
図13は、第1変形例において、基準測定範囲mrと、基準部分範囲prと、光切断線LCと、撮像範囲IRとの平面的な位置関係を説明する説明図である。
【0105】
第1変形例は、並べられた撮像範囲IRのそれぞれに含まれる測定範囲MR(基準測定範囲mr)の部分を、さらに分けた部分を部分範囲PR(基準部分範囲pr)とする。1つの撮像範囲IRに含まれる部分範囲PR(基準部分範囲pr)の数が3なので、部分範囲PR(基準部分範囲pr)の数は、9個である。1番目〜9番目の部分範囲PRは、(1)PR〜(9)PRで示され、1番目〜9番目の基準部分範囲prは、(1)pr〜(9)prで示されている。
【0106】
第1変形例において、第1算出部713(
図6)は、1番目の基準部分範囲prと光切断線LC−1との位置ズレ量の平均値を算出し、2番目の基準部分範囲prと光切断線LC−1との位置ズレ量の平均値を算出し、3番目の基準部分範囲prと光切断線LC−1との位置ズレ量の平均値を算出し、4番目の基準部分範囲prと光切断線LC−2との位置ズレ量の平均値を算出し、5番目の基準部分範囲prと光切断線LC−2との位置ズレ量の平均値を算出し、6番目の基準部分範囲prと光切断線LC−2との位置ズレ量の平均値を算出し、7番目の基準部分範囲prと光切断線LC−3との位置ズレ量の平均値を算出し、8番目の基準部分範囲prと光切断線LC−3との位置ズレ量の平均値を算出し、9番目の基準部分範囲prと光切断線LC−3との位置ズレ量の平均値を算出する。
【0107】
1番目〜9番目の基準部分範囲prと光切断線LCとの位置ズレ量の平均値が、1番目〜9番目の部分範囲PRと光切断線LCとの位置ズレ量の平均値となる。
【0108】
第1変形例では、9つの部分範囲PRのそれぞれについて、第1制御をする(
図10のステップS5)。
図14は、第1変形例で実行される第1制御を説明する説明図である。この図には、
図12に示す測定範囲MR、部分範囲PRおよび光切断線LCが示されている。
【0109】
図14Aは、
図5と同じく、センサ部130の位置が位置Z1の状態を示す。
図14Bは、1番目の部分範囲PRと光切断線LC−1との位置ズレ量の平均値だけ、位置Z1からセンサ部130を移動させた状態を示す。
図14Cは、2番目の部分範囲PRと光切断線LC−1との位置ズレ量の平均値だけ、位置Z1からセンサ部130を移動させた状態を示す。
図14Dは、3番目の部分範囲PRと光切断線LC−1との位置ズレ量の平均値だけ、位置Z1からセンサ部130を移動させた状態を示す。
【0110】
図14Eは、4番目の部分範囲PRと光切断線LC−2との位置ズレ量の平均値だけ、位置Z1からセンサ部130を移動させた状態を示す。
図14Fは、5番目の部分範囲PRと光切断線LC−2との位置ズレ量の平均値だけ、位置Z1からセンサ部130を移動させた状態を示す。
図14Gは、6番目の部分範囲PRと光切断線LC−2との位置ズレ量の平均値だけ、位置Z1からセンサ部130を移動させた状態を示す。
【0111】
図14Hは、7番目の部分範囲PRと光切断線LC−3との位置ズレ量の平均値だけ、位置Z1からセンサ部130を移動させた状態を示す。
図14Iは、8番目の部分範囲PRと光切断線LC−3との位置ズレ量の平均値だけ、位置Z1からセンサ部130を移動させた状態を示す。
図14Jは、9番目の部分範囲PRと光切断線LC−3との位置ズレ量の平均値だけ、位置Z1からセンサ部130を移動させた状態を示す。
【0112】
第1変形例は、9つの部分範囲PRについて、1番目の部分範囲PRから順番に第1制御をする。第1変形例の第1制御は、実施形態の第1制御と同様なので、説明を省略する。
【0113】
第2変形例を説明する。第2変形例において、制御部714は、第4制御(
図10のステップS4)をした後、位置ズレ量の平均値が小さい順に、第1制御をする(
図10のステップS5)。
図15は、第2変形例で実行される第1制御を説明する説明図である。この図には、
図5に示す測定範囲MR、部分範囲PRおよび光切断線LCが示されている。平均値z1〜z3は、
図11に示す平均値z1〜z3と同じである。
【0114】
図15Aは、
図11Aと同じく、センサ部130の位置が位置Z1の状態を示す。
図15Bは、2番目の部分範囲PRと光切断線LC−2との位置ズレ量の平均値z2だけ、位置Z1からセンサ部130を移動させた状態を示す。
図15Cは、1番目の部分範囲PRと光切断線LC−1との位置ズレ量の平均値z1だけ、位置Z1からセンサ部130を移動させた状態を示す。
図15Dは、3番目の部分範囲PRと光切断線LC−3との位置ズレ量の平均値z3だけ、位置Z1からセンサ部130を移動させた状態を示す。
【0115】
第2変形例は、位置ズレ量の平均値が小さい順に第1制御をする。
図6および
図15を参照して、移動制御部716は、センサ部130の位置が位置Z1の状態において(
図15A)、2番目の部分範囲PRと光切断線LC−2との位置ズレ量が、平均値z2だけ小さくなる方向に、センサ部130を移動させる(
図15B)。撮像範囲IR−2は、2番目の部分範囲PRおよび光切断線LC−2を含む。撮像制御部717は、撮像部12−2に撮像範囲IR−2の画像を撮像させる。
【0116】
次に、移動制御部716は、センサ部130の位置が
図15Bに示す状態において、1番目の部分範囲PRと光切断線LC−1との位置ズレ量が、z1−z2だけ小さくなる方向に、センサ部130を移動させる(
図15C)。撮像範囲IR−1は、1番目の部分範囲PRおよび光切断線LC−1を含む。撮像制御部717は、撮像部12−1に撮像範囲IR−1の画像を撮像させる。
【0117】
次に、移動制御部716は、センサ部130の位置が
図15Cに示す状態において、3番目の部分範囲PRと光切断線LC−3との位置ズレ量が、z3−z1だけ小さくなる方向に、センサ部130を移動させる(
図15D)。撮像範囲IR−3は、3番目の部分範囲PRおよび光切断線LC−3を含む。撮像制御部717は、撮像部12−3に撮像範囲IR−3の画像を撮像させる。
【0118】
センサ部130の総移動量について、第2変形例と実施形態とで比較する。第2変形例のセンサ部130の総移動量T1は、式1で示される。
T1=z2+(z1−z2)+(z3−z1)
=z3・・・式1
【0119】
図11を参照して、実施形態のセンサ部130の総移動量T2は、式2で示される。
T2=z1+(z1−z2)+(z3−z2)
=2z1−2z2+z3・・・式2
【0120】
総移動量T1は、総移動量T2より小さいので、第2変形例によれば、実施形態よりも、センサ部130の移動を効率的にすることができる。なお、第2変形例では、位置ズレ量の平均値が小さい順で第1制御をしたが、位置ズレ量の平均値が大きい順で第1制御をしてもよい。
【0121】
第3変形例を説明する。部分範囲PRの断面形状を求めるための複数の測定点P(
図9)は、光切断線LC上に設定される。部分範囲PRと光切断線LCに設定される複数の測定点との位置ズレ量のばらつきが大きい場合、この部分範囲PRと光切断線LCとの位置ズレ量が、位置ズレ量の平均値だけ小さくなる方向にセンサ部130を移動せても、この部分範囲PRの断面形状の測定精度は良くならない。ばらつきが大きい場合、位置ズレ量が十分小さくならない測定点が発生するからである。
【0122】
そこで、第3変形例では、部分範囲PRと光切断線LCに設定された複数の測定点との位置ズレ量のばらつきが、予め定められたしきい値を超える場合、ばらつきがしきい値以下になるまで、部分範囲PRを分割する。例えば、実施形態のように、基準測定範囲mrを用いて位置ズレ量を算出する場合、基準部分範囲prと光切断線LCに設定された複数の測定点との位置ズレ量のばらつきが、予め定められたしきい値を超える場合、ばらつきがしきい値以下になるまで、基準部分範囲prを分割する。
【0123】
予め定められた値は、位置ズレ量の平均値の目標値を基にして、予め決定されている。位置ズレ量のばらつきとは、位置ズレ量の最大値と最小値との差、分散、標準偏差等である。
【0124】
図16は、第3変形例に係る形状測定装置2の構成を示すブロック図である。形状測定装置2は、
図6に示す形状測定装置1の本体部710がさらに第3算出部718を備える。第3算出部718は、第1算出部713が位置ズレ量の平均値を算出する前に、以下の処理をする。第3算出部718は、基準部分範囲prと光切断線に設定された複数の測定点との位置ズレ量のばらつきを算出する第3処理を、複数の基準部分範囲prのそれぞれについて実行し、ばらつきが予め定められたしきい値を超えている基準部分範囲prについて、この基準部分範囲prを複数に分けてできた複数の部分を新たな複数の基準部分範囲prとし、第3処理を実行することにより、新たにばらつきを算出する。第3算出部718は、ばらつきがしきい値を超えている部分範囲PRについて、ばらつきがしきい値以下になるまで、第3処理を実行する。なお、部分範囲PRを用いて位置ズレ量を算出する場合、「基準部分範囲pr」が「部分範囲PR」と読み替えられる。
【0125】
第3変形例に係る形状測定装置2の動作を説明する。
図17は、この動作を説明するフローチャートである。ステップS1およびステップS2は、
図10に示すステップS1およびステップS2と同じである。
【0126】
図8および
図16を参照して、第3算出部718は、撮像範囲IRの画像を基にして、基準部分範囲prと、光切断線LCに設定された複数の測定点(言い換えれば、この基準部分範囲prと対応する部分範囲PRの断面形状を求めるために光切断線LCに設定された複数の測定点)の位置ズレ量のばらつきを算出する処理(第3処理)を、3つの基準部分範囲prのそれぞれについて実行する(
図17のステップS11)。
【0127】
第3算出部718は、位置ズレ量のばらつきが予め定められたしきい値を超えるか否かを判定する処理を、3つの基準部分範囲prのそれぞれについて実行する(
図17のステップS12)。
【0128】
第3算出部718は、位置ズレ量のばらつきがしきい値を超えていると判定した基準部分範囲prについて(
図17のステップS12でYes)、この基準部分範囲prを、例えば、3つに分けて、新たな基準部分範囲prを生成する(
図17のステップS13)。基準部分範囲prを分ける数は、3に限定されず、複数であればよい。第3算出部718は、新たに生成した3つの基準部分範囲prのそれぞれについて、ステップS12の処理を実行する。
【0129】
第3算出部718が、位置ズレ量のばらつきがしきい値以下と判定した基準部分範囲prについて(
図17のステップS12でNo)、第1算出部713は、位置ズレ量の平均値を算出する(
図17のステップS3)。これは、
図10に示すステップS3と同じである。以降のステップは、
図10に示すステップと同じである。
【0130】
図8を参照して、例えば、3番目の基準部分範囲prについて、位置ズレ量のばらつきがしきい値を超えており、1番目および2番目の基準部分範囲prについて、位置ズレ量のばらつきがしきい値以下とする。この場合、第3算出部718は、3番目の基準部分範囲prを、3つに分けて、
図13に示すように、7番目〜9番目の新たな基準部分範囲prを生成する。
【0131】
第3変形例によれば、第3算出部718は、ばらつきがしきい値を超える基準部分範囲prについて、これを分割する処理を、ばらつきがしきい値以下になるまで実行する。このため、複数の基準部分範囲prの全てについて、ばらつきを小さくした状態で平均値が算出される。従って、測定範囲MRの断面形状の測定精度を向上させることができる。
【0132】
位置ズレ量の算出方法について、
図8に示す1番目の基準部分範囲prと光切断線LC−1とを例にして説明する。
図18は、これを説明する説明図である。
図18Aは、要部全体図であり、
図18Bは、拡大断面図である。符号AX1は、光源11−1の光軸を示し、符号AX2は、撮像部12−1の光軸を示す。
【0133】
図8および
図18を参照して、光源11−1によって、光切断線LC−1が溝402に形成された状態で、撮像部12−1がその画像を撮像する。次に、第1算出部713は、その画像から、基準部分範囲prの形状(基準部分範囲prのプロファイル)および光切断線LC−1の形状(レーザラインプロファイル)をそれぞれ求める。
【0134】
次に、第1算出部713は、予め設定された所定の第1間隔毎に、X軸上の各点Xnそれぞれにおける基準部分範囲prと光切断線LC−1との距離△Z(Xn)が、位置ズレ量z(Xn)として求める(z(Xn)=△Z(Xn))。より具体的には、撮像部12−1は、所定の角度φで基準物400の溝402と対向しているので、画像上では、
図18Bに示すように、見かけの距離(見かけの位置ズレ量)Eが求められる。この見かけの距離Eは、実際の距離△Z(実際の位置ズレ量z)を、撮像部12−1の光軸AX2を法線とする平面に射影したものである。このため、実際の距離△Zは、E/cosφとなる。したがって、位置ズレ量z(Xn)の演算では、1画素に写り込む被写体の実際の長さ(換算長)gが求められて記憶部712(
図6)に予め記憶され、点Xnにおける基準部分範囲prと光切断線LC−1との間のZ方向の画素数enが求められ、この求められた画素数enに換算長gが乗算され(en×g)、この乗算結果がcosφで除算され、距離△Z(Xn)(=位置ズレ量z(Xn)=en×g/cosφ)が求められる。これによって、基準物400の溝402に対し、各点Pn(Xn)での位置ズレ量z(Pn(Xn))が求められる。