(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6976897
(24)【登録日】2021年11月12日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】印刷前に3次元物体に複数の表面処理を提供するプリンタおよびプリンタを作動する方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20211125BHJP
B05C 9/10 20060101ALI20211125BHJP
B05C 13/00 20060101ALI20211125BHJP
【FI】
B41J2/01 121
B05C9/10
B05C13/00
B41J2/01 109
B41J2/01 305
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-71970(P2018-71970)
(22)【出願日】2018年4月4日
(65)【公開番号】特開2018-183981(P2018-183981A)
(43)【公開日】2018年11月22日
【審査請求日】2021年4月2日
(31)【優先権主張番号】15/494,883
(32)【優先日】2017年4月24日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ジャック・ティー・レストレンジ
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー・エス・コンデロ
(72)【発明者】
【氏名】マンダキニ・カナンゴ
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・ジェイ・クナウスドルフ
【審査官】
長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−093950(JP,A)
【文献】
特開2000−301711(JP,A)
【文献】
特開2015−128848(JP,A)
【文献】
特開2015−009193(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2019/0100038(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0285800(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01−2/215
B05C 5/00−21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の表面処理装置を有する表面処理システムであって、各表面処理装置は、前記複数の表面処理装置中の他の表面処理装置によって使用可能な表面処理とは異なる、物体の表面に表面処理を使用するように構成される、表面処理システムと、
マーキング材料を吐出するように構成された少なくとも1つのプリントヘッドを有する印刷システムであって、前記表面処理システムによって処理された前記物体の前記表面の少なくとも一部を有する、前記表面処理システムから直接搬送される物体を受け取り、前記印刷システムがマーキング材料を前記表面処理システムによって処理された前記物体の前記表面の前記一部分上に吐出することを可能にするように構成される、印刷システムと
を含み、
前記表面処理システムが、
第1の支持部材と、
前記支持部材に取り付けられた第1のホルダであって、物体を前記ホルダ内に固定するように構成された第1のホルダと、
前記第1のホルダに作動可能に接続された第1のアクチュエータと、
複数の表面処理装置であって、各表面処理装置は、前記複数の表面処理装置中の前記他の表面処理装置のそれぞれとは異なる態様で、前記第1のホルダ内の前記物体の表面を処理するように構成される、複数の表面処理装置と、
前記複数の表面処理装置を取り付ける第2の支持部材と、
前記複数の表面処理装置に作動可能に接続された第2のアクチュエータと、
前記第1のアクチュエータ、前記第2のアクチュエータ、および前記複数の表面処理装置に作動可能に接続された制御装置であって、前記第1のアクチュエータを作動して前記第1のホルダを前記第1の支持部材に沿って移動させ、前記第2のアクチュエータを作動して前記複数の表面処理装置を前記第2の支持部材に沿って移動させ、前記表面処理装置を前記第1のホルダ内の前記物体を基準に位置決めし、前記複数の表面処理装置中の各表面処理装置を作動して、前記物体の表面の少なくとも一部を少なくとも1つの表面処理装置で処理することを可能にするように構成される、制御装置と、
前記印刷システムであって、前記第1の支持部材を受け取り、前記第2のアクチュエータが前記第1のホルダおよび、前記第1のホルダ内に固定された前記物体を、前記印刷システムに移動させることを可能にし、前記物体を、前記印刷システム内の前記少なくとも1つのプリントヘッドによって吐出された前記マーキング材料で印刷することを可能にするようにさらに構成される、印刷システムと
をさらに含む、プリンタ。
【請求項2】
前記制御装置に作動可能に接続されたデータ入力装置と、
前記制御装置であって、前記データ入力装置からデータを受信し、前記データ入力装置から受信した前記データを参照して前記第1のアクチュエータ、前記第2のアクチュエータ、および前記複数の表面処理装置を作動させるようにさらに構成される、前記制御装置と
をさらに含む、請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
複数のアクチュエータをさらに含み、前記複数のアクチュエータは、前記複数の表面処理装置に一対一に対応して作動可能に接続され、各表面処理装置をクロスプロセス方向に双方向に移動させることができる、請求項2に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記複数の表面処理装置が、
火炎表面処理装置と、
前記火炎表面処理装置に作動可能に接続された可燃性物質源と、
前記火炎表面処理装置と前記可燃性物質源との間に作動可能に接続されたバルブと、
化学的表面処理装置と、
前記化学的表面処理装置に作動可能に接続された複数の化学的表面処理材料源と、
前記複数の化学的表面処理材料源と前記化学的表面処理装置との間に作動的に接続された第1の多入力バルブであって、前記第1の多入力バルブは、各化学的表面処理材料源を、前記他の化学的表面処理材料源と排他的に、前記化学表面処理装置に空圧的に接続するように構成される、第1の多入力バルブと、
ガスプラズマ表面処理装置と、
前記ガスプラズマ表面処理装置に作動可能に接続された複数のプラズマガスと、
前記複数のプラズマガス源と前記ガスプラズマ表面処理装置との間に作動的に接続された第2の多入力バルブであって、前記第2の多入力バルブは、各プラズマガス源を前記他のプラズマガス源と排他的に前記ガスプラズマ表面処理装置に空圧的に接続するように構成される、第2の多入力バルブと、
前記バルブ、前記第1の多入力バルブおよび前記第2の多入力バルブと作動可能に接続された前記制御装置であって、前記バルブを作動して前記火炎表面処理装置を前記可燃性物質源に選択的に空圧的に接続し、前記第1の多入力バルブを作動して前記化学的表面処理装置を、前記複数の化学的表面処理材料源の内の前記化学的表面処理材料源に独立して空圧的に接続し、前記第2の多入力バルブを作動して前記ガスプラズマ表面処理装置を前記複数のプラズマガス源の内の前記プラズマガス源に独立して空圧的に接続するようにさらに構成される、前記制御装置と
をさらに含む、請求項3に記載のプリンタ。
【請求項5】
前記化学的表面処理装置に作動可能に接続されたフラッシュ流体源と、
前記フラッシュ流体源に作動可能に接続された前記第1の多入力バルブであって、前記フラッシュ流体源を前記化学的表面処理材料源とは独立して前記化学的表面処理装置に空圧的に接続されるように構成される、前記第1の多入力バルブと
をさらに含む、請求項4に記載のプリンタ。
【請求項6】
プリンタを作動する方法であって、
表面処理システム内に配置された物体の表面の少なくとも一部を処理するように、前記表面処理システム内の複数の表面処理装置中の少なくとも1つの表面処理装置を作動することであって、各表面処理装置は、前記複数の表面処理装置中の他の表面処理装置によって使用可能な表面処理とは異なる表面処理を前記物体の前記表面に使用するように構成される、作動することと、
前記表面処理システム内の少なくとも1つの表面処理装置によって処理された前記物体の前記表面の少なくとも一部を有する物体を、前記表面処理システムから印刷システムに直接搬送することと、
前記表面処理システム内の前記少なくとも1つの表面処理装置によって処理された前記物体の前記表面の前記一部上にマーキング材料を吐出するために、前記印刷システム内の少なくとも1つのプリントヘッドを作動させることと
を含み、
前記表面処理システムの前記作動は、
制御装置で第1のアクチュエータを作動して第1のホルダを第1の支持部材に沿って移動させることと、
前記制御装置で第2のアクチュエータを作動して、前記複数の表面処理装置を第2の支持部材に沿って移動させ、前記表面処理装置を前記第1のホルダ内の前記物体を基準に位置決めすることと、
前記制御装置で前記複数の表面処理装置中の各表面処理装置を作動して、前記物体の表面の少なくとも一部を少なくとも1つの表面処理装置で処理することを可能にすることと、
前記印刷システムの前記作動であって、
前記制御装置で、前記第2のアクチュエータを作動し、前記第1のホルダおよび、前記第1のホルダ内に固定された前記物体を、前記印刷システムに移動させ、前記物体を、前記印刷システム内の前記少なくとも1つのプリントヘッドによって吐出された前記マーキング材料で印刷することを可能にすること
をさらに含む、前記印刷システムの前記作動と
をさらに含む、方法。
【請求項7】
データ入力装置から前記制御装置データを受信することと、
前記制御装置で、前記第1のアクチュエータ、前記第2のアクチュエータ、および前記複数の表面処理装置を、前記データ入力装置から受信した前記データを参照して作動することと
をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記制御装置で、前記複数の表面処理装置に一対一に対応して作動可能に接続された複数のアクチュエータを作動して、各表面処理装置をクロスプロセス方向に双方向に移動できること
をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はプリンタに関し、より詳細には、印刷する表面を準備するために3次元(3D)物体の表面を処理するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
3D物体の表面に複数色でテキストおよびグラフィックスを直接印刷できるプリンタが開発された。direct−to−object(DTO)プリンタとして知られているこれらのプリンタは、少数の物体、単一の物体であっても印刷することができる。これらのプリンタは、小売環境において特に有利であり、印刷されていない物体を保管し、その後、物体にカスタマイズされた外観を提供するために印刷できる。この柔軟性により、様々なスポーツで使用される様々なタイプのボールなどの、印刷されていない物体の在庫をその場に保持し、特定のチームのロゴを印刷することが可能になる。その結果、特定のロゴまたは配色の物体の在庫は必要ない。
【0003】
DTOプリンタで物体を印刷することに関連する問題の1つは、3D物体の製造に使用される金属、プラスチック、布などの広範な材料である。これらの異なる材料は、対応する広範な表面エネルギーを有する。これらの材料の多くの表面エネルギーは、これらの表面上のインク画像の接着性および耐久性に悪影響を与える。これらの材料のいくつかは、耐久性のある印刷のために、材料の表面エネルギーを増加させるのにある種の表面前処理を必要とする。典型的な表面処理プロセスは、(1)洗浄剤または溶剤を使用する一般的な洗浄、(2)サンダー仕上げ、サンドブラスト、プラズマエッチングなどを用いたテクスチャリング、(3)低圧プラズマ曝露またはプラズマエッチング、(4)コロナ、化学的コロナ、吹付アーク、プラズマジェット、および吹付イオンプロセスなどの大気圧プラズマ処理、(5)化学的プライマの使用、および(6)表面の火炎処理を含むが、これらに限定されるものではない。
【0004】
現在、DTOプリンタを有する多くの施設は、印刷前に物体を手動で処理する。手作業のバフみがきおよびイソプロピルアルコール(IPA)拭きのみを必要とする物体は、手作業による処理に変更することができるが、低圧プラズマチャンバでのかなりの曝露時間のような、より複雑な処理を必要とする他の物体は変更できない。他の物体は、最適な結果を得るために一連の異なるタイプの表面処理を必要とすることがある。例えば、いくつかの物体は、物体を手作業でバフみがきした後IPA拭きを使用し、次に表面を火炎処理して、印刷のために最良に準備される。表面処理の使用寿命は様々であり、処理される材料、材料処理のために使用するプロセス、および物体が保管される環境によって、数分から数ヶ月の範囲である。一般的な経験則では、インクを濡らして材料に付着させるための処理の反応性が高いほど、処理の寿命が短くなる。したがって、広範な材料をうまく処理し、人間の変動性や化学物質への曝露を除去するために表面処理手順を自動化し、印刷直前に物体を処理するシステムは有用であろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
プリンタは、DTOプリンタでの物体の印刷を改善するために物体の表面エネルギーを上昇させる複数の表面処理装置を有する物体表面処理システムを備えて構成される。このシステムは、複数の表面処理装置を有する表面処理システムを含み、各表面処理装置は、複数の表面処理装置中の他の表面処理装置によって使用可能な表面処理とは異なる、物体の表面に表面処理を使用するように構成され、さらに、マーキング材料を吐出するように構成された少なくとも1つのプリントヘッドを有する印刷システムを含み、印刷システムは、表面処理システムによって処理された物体の表面の少なくとも一部を有する、表面処理システムから直接搬送される物体を受け取り、印刷システムがマーキング材料を表面処理システムによって処理された物体の表面の一部分上に吐出することを可能にするように構成される。
【0006】
物体表面処理システムを有するプリンタを操作する方法は、プリンタによって印刷される直前に、広範な材料から作られた物体の表面エネルギーを上昇させることを可能にする。この方法は、表面処理システム内に配置された物体の表面の少なくとも一部を処理するように、表面処理システム内の複数の表面処理装置中の少なくとも1つの表面処理装置を作動することであって、各表面処理装置は、複数の表面処理装置中の他の表面処理装置によって使用可能な表面処理とは異なる表面処理を物体の表面に使用するように構成される、作動することと、表面処理システム内の少なくとも1つの表面処理装置によって処理された物体の表面の少なくとも一部を有する物体を、表面処理システムから印刷システムに直接搬送することと、表面処理システム内の少なくとも1つの表面処理装置によって処理された物体の表面の一部上にマーキング材料を吐出するために、印刷システム内の少なくとも1つのプリントヘッドを作動させることと、を含む。
【0007】
DTOプリンタでの物体の印刷を改善するために物体の表面エネルギーを上昇させるための複数の表面処理を提供する物体表面処理システムの前述の態様および他の特徴は、添付の図面と関連して以下の説明において説明される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、物体が印刷される直前に複数のタイプの物体材料に複数の表面処理を使用するように構成されたシステムの概略図である。
【
図2】
図2は、
図1のシステムによって実行可能なフロー図である。
【
図3】
図3は、
図1のシステムに統合されたプリンタのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書に開示された装置の環境および装置の詳細の一般的な理解のために、図面を参照する。図面において、同一の参照番号は同一の要素を示す。
【0010】
本明細書で使用する、「プリンタ」という用語は、媒体または物体上に1つまたは複数のマーキング材料で画像を生成する任意の装置を包含する。本明細書で使用する、「プロセス方向」(P)という用語は、少なくとも1つのプリントヘッドを有するプリンタまたは複数の表面処理装置を有する表面処理システムを通る物体の移動方向を指す。本明細書で使用する、「クロスプロセス」方向(CP)という用語は、プロセス方向に垂直な軸を指す。本明細書で使用する、「表面処理」という言葉は、表面のインクの濡れ性と耐久性を向上させるために材料の表面エネルギーを上昇させるあらゆるプロセスを意味する。
【0011】
図1は、複数の表面処理装置を作動して、物体が印刷される直前に複数のタイプの物体材料に複数の表面処理を使用させるように構成されたシステムの概略図である。このシステムは、表面処理システム108が、ホルダ116によって搬送される物体120の表面を処理するように構成されたハウジング104を含む。
図1では、物体120は水筒であるが、ホルダは他のタイプの物体を固定するように構成することができる。本明細書で使用する、「固定」という用語は、物体が構造から解放されるまで物体を特定の向きに維持するように構成された構造を意味する。ハウジング104は、物体の表面を処理するために使用される材料を収容するために、システム108、ホルダ116、および物体120を囲む壁を含む。ハウジング104の一方の壁は、中にファン128が配置されて、オーバースプレー構造136からフィルタ132を介して材料およびフュームを引き出す通気口124を含む。したがって、使用される材料および材料によって生成されたフュームは、物体120を取り囲む空気から除去され、ハウジング104から排出される前に濾過できる。システム100は、物体120に表面処理を施すために独立して作動される複数の表面処理装置を含む。本明細書で使用する、用語「独立して作動される」または同等のものは、複数の装置中の1つの装置を作動させ、複数の装置中の他の装置は作動されないことを意味する。
【0012】
引き続き
図1を参照すると、システム108は、火炎表面処理装置156用の可燃性材料源144に作動可能に接続された制御装置140と、化学的表面処理装置160用の多入力バルブ148と、ガスプラズマ表面処理装置164用の多入力バルブ152と、支持部材176に沿って表面処理装置ヘッド172を移動させ、物体120の位置を操作するためのアクチュエータ168とを含む。火炎表面処理装置156、化学的表面処理装置160、およびガスプラズマ表面処理装置162は、表面処理装置ヘッド172に統合されており、支持部材176に沿う双方向プロセス方向Pに直交するクロスプロセス方向C−Pに双方向に移動するためのアクチュエータを備えて構成される。様々な表面処理装置のこの双方向移動は、表面処理装置ヘッド172の内部のアクチュエータを作動する制御装置140によって実行される。アクチュエータは、一対一の対応で装置に作動可能に接続される。したがって、物体120がホルダ116内に固定された後、制御装置140は、アクチュエータ168を作動して、表面処理ヘッド172を支持部材176に沿って双方向に移動させ、別のアクチュエータ168を作動してホルダ116および物体120を回転させ、処理のために表面処理ヘッド172に様々な表面を提示することができる。
【0013】
図1に示すように、可燃性源144は、火炎表面処理装置156に空圧的に接続されている。制御装置140が装置156へのライン内のバルブ142を作動して開放させると、加圧源144からの可燃性流体またはガスが火炎処理装置156に流れ、ここで装置156の点火器が作動して物体表面の処理用の火炎を形成する。火炎処理が完了すると、制御装置はバルブ142を閉じて、可燃性物質の装置156への流れを終了させる。本明細書で使用する、「可燃性物質」という用語は、加圧下で流動し、着火して火炎を形成する気体または流体を意味する。そのような材料には、例えば、プロパンおよび天然ガスが含まれる。
【0014】
多入力バルブ148は、複数の化学的表面処理材料源およびフラッシュ流体源に空圧的に接続される。制御装置140は、多入力バルブ148を作動して、化学的表面処理材料源の1つを排他的に化学的表面処理装置160に連結させる。本明細書で使用する、「化学的表面処理装置」は、物質を放出して、物質が処理される物体の表面に接触し、物体の表面エネルギーを増加させるような任意の装置を意味する。そのような装置は、例えば、ノズル、スプレーヘッド、アプリケータ、またはブラシであってもよい。本明細書で使用される用語「排他的に連結する」またはそれと同等の用語は、複数の供給源の1つの供給源を装置に連結することを意味し、複数の供給源の残りの供給源は装置と直接流体連通しない。アクチュエータ168がヘッド172を移動させて物体120を回転させるときに化学的表面処理装置160を選択的に作動することによって、化学的表面処理装置160から排出された化学物質を選択的に物体表面の異なる領域に使用することができる。1つまたは複数の化学薬品が物体表面に適切に使用され、物体がヘッド172の反対側の位置から除去された後、制御装置は、多入力バルブ148を作動して、フラッシュ流体源を化学的表面処理装置160に連結させる。フラッシュ流体は、バルブ148および装置160に接続されたライン内の残留化学物質ならびに装置内の残留化学物質を除去する材料である。本明細書で使用される「化学的表面処理材料」は、材料の表面エネルギーを増加させる別の材料に使用される任意の物質を意味する。このような材料には、例えば、BondAid1およびBondAid2接着促進剤、いずれもイリノイ州SchaumsburgのINX International Ink Co.のTriangle部門から入手可能、ならびにFujiFilm North America Corporation、Graphic Systems 部門のZE680およびZE1000接着促進剤が含まれる。本明細書で使用される「フラッシュ流体」とは、ラインから装置160へ、および装置160から、化学的表面処理材料をうまく除去する任意の材料を指す。そのような流体には、例えば、水、アルコール、炭化水素などが含まれる。
【0015】
多入力バルブ152は、物体の表面処理用のプラズマを生成するのに有用な複数のプラズマガス源に空圧的に接続されている。制御装置140は、多入力バルブ152を作動して、プラズマガス源の1つをプラズマ表面処理装置164に排他的に連結する。本明細書で使用される「プラズマ表面処理装置」は、プラズマガスに電圧または電流を印加して、材料の表面エネルギーを増加させるプラズマを生成する装置を意味する。そのような装置は、例えば、プラズマ発生器またはプラズマプローブであり得る。制御装置140はまた、装置164内の電圧源または電流源を作動させ、装置に放出されたプラズマガスでプラズマを形成させる。アクチュエータ168がヘッド172を移動させて物体120を回転させるときにプラズマ表面処理装置164を選択的に作動することによって、プラズマ表面処理装置160から排出されたプラズマを選択的に物体表面の異なる領域に使用することができる。1つまたは複数のプラズマが物体表面に適切に使用された後、制御装置は、多入力バルブ152を作動して、プラズマ表面処理装置164からプラズマガスの接続された供給源を分離させる。本明細書で使用される「プラズマガス」は、電圧または電流の存在下でプラズマを生成する任意のガスを意味する。そのようなガスには、例えば、酸素、アルゴン、窒素、ハイドロフルオロカーボン、および四塩化炭素が含まれる。
【0016】
制御装置140は、制御装置に作動可能に接続されたメモリに記憶されたプログラムされた命令で構成され、制御装置が1つまたは複数の物体に対して異なるタイプの表面処理を実行することを可能にすることができる。このように構成された制御装置は、
図2に示すプロセス200を実行することができる。
図1に示すシステム100の一実施形態でこのプロセスの実行を可能にするために、ユーザが物体を識別するコードと物体が作成される材料を入力できるようにユーザインターフェース182が設けられる。コードを入力する他の方法には、バーコードリーダまたは他の印を検出するセンサが含まれる。
【0017】
図2を参照すると、プロセス200は、制御装置に接続されたメモリに記憶されたコードと物体について入力されたコードとを比較することから始まる(ブロック204)。コードがメモリに記憶されたコードに対応する場合、制御装置は、物体の物理的構成および物体に使用される1つまたは複数の処理に関するデータを取得する(ブロック208)。そうでなければ、プロセスは、入力されたコードに対応する記憶されたコードの欠如に対処するために例外処理(ブロック206)を実行する。制御装置は、物体表面の少なくとも1つの領域に少なくとも1つの処理を使用するために、上述のようにシステム104を作動させる(ブロック212)。この処理は、物体の1つまたは複数の同じ領域に使用される複数の処理、または物体の異なる領域に使用される複数の処理を含むことができる。物体の表面処理が完了すると(ブロック214)、制御装置は、物体が印刷の準備ができていることを示す信号を生成する(ブロック216)。この信号は、ユーザインターフェース182上のディスプレイまたは信号表示器、あるいはシステム状態を示すための他の既知の装置を作動させることができる。処理された物体がシステム104を離れると、制御装置は、任意の化学的表面処理が実行されたかどうかを判定する(ブロック220)。もしあれば、制御装置は多入力バルブ148を作動して、化学的表面処理装置160へのラインおよび装置をフラッシュさせる(ブロック224)。次に、制御装置は、システム104が別の物体の処理の準備ができていることを示す信号を生成する(ブロック228)。
【0018】
図3は、印刷システム308を表面処理システム104と統合するプリンタ300のブロック図である。このプリンタでは、ホルダ116は支持部材304に沿う移動のために取り付けられ、制御装置140はアクチュエータ168を作動してホルダを支持部材に沿って移動させる。このプリンタでは、支持部材がシステム104から延びて、ホルダ116を初期位置に位置決めし、ここで物体をシステム104内に移動するためのホルダに装着できる。物体がシステム104内に移動された後、システムは、物体の表面を処理するために前述のように作動される。物体の表面処理が完了すると、制御装置はアクチュエータ168を作動して物体をシステム104から印刷システム308に直接搬送させる。本明細書では、「直接搬送される」という用語は、表面処理システム内で物体を固定するために使用されるホルダから物体を取り外さない、表面処理システムから印刷システムへの物体の移動を意味する。印刷システム308は、処理された物体の進入を検出し、プリンタを作動してマーキング材料を物体の処理した表面に吐出させて物体上にインク画像を形成する制御装置を有するDTOプリンタである。印刷システム308は、ホルダ116から物体を取り出し、印刷された物体をプリンタから排出する。部材304は、処理された物体が印刷されることを可能にするために少なくとも2つのホルダで構成されてもよく、未処理の物体はシステム104において少なくとも1つの処理プロセスを受ける。部材304が少なくとも3つのホルダ116を含む場合、プリンタ300のシステム104および印刷システム308は、同様の物体の上限のある連続運転を処理し印刷するために連続作動用に構成され、別の未処理の物体をシステム104内で処理しながら、未処理の物体はホルダ116内に配置でき、処理された物体は印刷システム308内で印刷され、アクチュエータ168の作動によってホルダ116が処理システム104の下の供給位置に移動し、一方、他の2つのホルダ116は、処理システムおよび印刷システム内に移動する。
【0019】
上記の開示ならびに他の特徴および機能の変形、またはそれらの代替物は、望ましくは多くの他の異なるシステム、応用または方法に組み合わされることが理解されよう。当業者であれば、以下の特許請求の範囲に包含されることが意図されているが、今は予期せぬ、または予想せぬ様々な代替、改変、変形または改良を後で実行でき、それらも以下の請求項に包含されることが意図される。