(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
(一般的な空気調和機)
一般的な空気調和機の室内空調機について、図を用いて説明する。
【0014】
図1は、一般的な空気調和機の室内空調機を下方から見た下方斜視図である。
【0015】
図1において、室内空調機10は、天井裏に埋設された室内空調機10の本体筐体12と、本体筐体12の下方から室内側に開口した開口部をカバーする化粧パネル14からなる。吸い込みグリル16から吸い込まれた室内の空気は、本体筐体12で冷却若しくは暖気され、4方に設けられた吹き出し口18から室内に吹き出される。それぞれの吹き出し口18には、それぞれ送風方向を調節する開閉可能なベーン20が設けられている。
【0016】
図2は、一般的な空気調和機の室内空調機の外観図であり、
図1で説明した一般的な空気調和機の室内空調機を直下から見た外観図である。化粧パネル14の裏側において、本体筐体12の中央に、点線で示したファン22が設けられ、点線で示された熱交換器24が設けられている。
【0017】
ファン22は、図示しないモータで回転することにより、吸い込みグリル16から室内の空気を吸い込み、吹き出し口18側に放射状に放散する。
【0018】
熱交換器24はおおよそC字状の形状をなした管であり、本体筐体12内を4つの吹き出し口18に沿って配管されている。熱交換器24の一端はガス管26を介して本体筐体12の外部である天井裏に延出しており、熱交換器24の他端は液管28を介して本体筐体12の外部である天井裏に延出している。ガス管26と液管28とは互いに近接して配置されている。以下、ガス管26と液管28をまとめて「配管30」と称することがある。ガス管26と液管28は天井裏で図示しないパイプに接続され、パイプは図示しないダクトを通って図示しない室外機の方向に向かって延出しており、ダクトを介して室外機に接続されている。
【0019】
熱交換器24は内部を冷媒が給送されており、空気調和機が冷房機として機能するときは、液管28から液体冷媒が熱交換器24に供給され、熱交換器24の流路32d、32c、32b、及び32aの順に給送される間に、ファン22から放散された空気の熱を吸収することで、液体冷媒からガス冷媒へ相変化してガス管26へ送られる。ガス冷媒はガス管26からダクト内のパイプに送られ、更に室外機へ送られる。
【0020】
空気調和機が暖房機として機能するときは、ガス管26からガス冷媒が熱交換器24に供給され、熱交換器24の流路32a、32b、32c、及び32dの順に給送される間に、ファン22から放散された空気に熱を吸収され、ガス冷媒から液体冷媒へ相変化して液管28へ給送される。液体冷媒は液管28からダクト内のパイプに送られ、更に室外機へ送られる。
【0021】
(第1実施形態)
(室内空調機設置方向表示装置)
以下、本発明の第1実施形態に係る室内空調機設置方向表示装置について説明する。
【0022】
図3は、本発明の第1実施形態に係る室内空調機設置方向表示装置を用いて温度測定対象物を撮影した使用例を示す図である。
【0023】
図3において、室内空調機設置方向表示装置(サーモカメラ)34は、温度測定対象物が発する赤外線を、サーモカメラ34に内蔵されるセンサ(図示せず)で受光して電気信号に変換し、赤外線のエネルギー量に基づいて温度測定対象物の温度分布を測定するカメラである。サーモカメラ34は、受光した赤外線から色情報を取り出し、撮像画像に色表示して、サーモグラフィ38として表示部36に表示する。
【0024】
サーモカメラ34は、外観上、少なくとも、図示しない操作部と、温度測定対象物が発する赤外線、又は照射した赤外光が温度測定対象物で反射した反射波を受光する受光部と、サーモグラフィ38を表示する表示部36を備え、更に可視光及び赤外光を照射可能な照射部を備えることも選択でき、作業員が手で持って照射部及び受光部を温度測定対象物に向けて使用できるよう、ハンディタイプになっている。
【0025】
また、照射部と受光部とは、全ての実施形態において、まとめて撮像部として機能する。
【0026】
但し、サーモカメラ34の形態は、ハンディタイプのものの他、直方体型のカメラタイプ、後述するスマートフォンタイプ等、適宜選択可能である。
【0027】
図3において、作業員はサーモカメラ34を手で持って、図示しない受光部を温度測定対象物である室内空調機10に向けて、赤外線を受光すると、表示部36に室内空調機10のサーモ画像がサーモグラフィ38として表示される。
【0028】
表示部36には、サーモグラフィ38と併せて、サーモグラフィ38の色と温度の対応を表す温度グラフ40が表示されるため、作業員は、温度グラフ40とサーモグラフィ38の色とを照合し、室内空調機10のどの部位がどの程度の温度になっているかを認識することができる。
【0029】
また、後述するように、室内空調機10の配管30が室内空調機10の本体筐体12から外部の天井裏に延出する方向を示す方向表示42を、サーモグラフィ38に重畳して表示部36に表示することもできる。あるいは、
図4で後述するように、配管30が設置されている位置を表示部36に位置表示することも可能である。
【0030】
これによって、作業員は、室内空調機10の配管30の延出方向若しくは設置位置を認識でき、室内空調機10の取り付け方向、設置方向又は設置位置を判別、確認することができる。
【0031】
図4は、本発明の第1実施形態に係る室内空調機設置方向表示装置の表示例を示す図であり、
図3で説明したサーモカメラ34の表示部36を拡大した詳細図である。
【0032】
図4において、表示部36は、サーモグラフィ38と温度グラフ40が表示される。温度グラフ40は、一例として、11℃から18℃までを各温度に対応する色に色分けして表示しており、濃い青→薄い青→薄い赤→濃い赤の順に低温から高温になっている。但し、温度と色の対応と組み合わせは、適宜設計可能である。
【0033】
図4のサーモグラフィ38では、室内空調機10の4つの吹き出し口18にそれぞれ設けられているベーン20の温度及び吹き出し口18から吹き出された送風の温度がその温度に対応した色で表示されている。
【0034】
図2で説明した通り、例えば、空気調和機が冷房機として機能するときは、
液管28から液体冷媒が熱交換器24に供給され、熱交換器24の流路
32d、32c、32b、及び32aの順に給送される間に、ファン22から放散された空気の熱を吸収することで、
液体冷媒が
低温から徐々に
高温になり、
ガス冷媒へ相変化して、
ガス冷媒として
ガス管26へ送られる。
【0035】
従って、
図4では、吹き出し口18
dが濃い
青色、吹き出し口18
cが薄い
青色、吹き出し口18
bが薄い
赤色、及び吹き出し口18
aが濃い
赤色で表示されている。つまり、吹き出し口18
d、吹き出し口18
c、吹き出し口18
b、及び吹き出し口18
aの順で
低温から
高温に変化していることがわかるため、吹き出し口18
dが最も
低温であり、吹き出し口18
aが最も
高温であることが、外部から視認できる。
【0036】
このことから、
図2において、外部から視認できない配管30が、吹き出し口18aの端部46と吹き出し口18dの端部48とが近接する部分から、室内空調機10の本体筐体12から外部の天井裏に向かって延出していることがわかり、作業員は室内空調機10の取り付け方向、設置方向又は設置位置が判別できる。
【0037】
このとき、
図4に示すように、配管30が室内空調機10の本体筐体12から外部の天井裏に向かって延出している方向が方向表示42で表示されてもよく、若しくは、配管30が設置されている位置が点線の枠で示した位置表示44で示されてもよい。
【0038】
これにより、作業員はより明確に配管30の延出している方向若しくは設置位置がわかり、室内空調機10の取り付け方向、設置方向又は設置位置が明確に判別できる。
【0039】
(信号処理)
次に、図を用いて、本発明に係る室内空調機設置方向表示装置の信号処理について説明する。
【0040】
図5は、本発明の第1実施形態に係る室内空調機設置方向表示装置の信号処理を行なう機能ブロック図である。
【0041】
図5に示す、操作部50、照射部52、受光部54、信号処理部56、記憶部58、画像処理部60、判定部62、及び制御部70により、全ての実施形態において温度測定部を構成し、この他に表示部36を備える。
【0042】
作業員がサーモカメラ34(
図3)の操作部50を操作して、温度計測対象物である室内空調機10(
図3)の温度測定開始の操作を行うと、操作信号が制御部70に送られ、制御部70は照射部52を起動する。
【0043】
照射部52は、可視光を照射可能な可視光ライトと赤外光を照射可能な赤外光ライトとを備え、それぞれ作業員による操作部50の操作によって、温度測定対象物の室内空調機10に可視光ライトと赤外光ライトとを向けることにより、可視光と赤外光が室内空調機10に照射される。但し、サーモカメラ34の種類によっては、温度測定対象物が発する赤外線を後述する受光部54で受光するだけのものもあるので、照射部52は必須の構成要素ではない。
【0044】
受光部54は、室内空調機10が発する赤外線を受光し、若しくは照射部52から照射して反射した可視光及び赤外光を受光するレンズ等を備えたカメラである。
【0045】
制御部70は、信号処理部56を起動し、信号処理部56は、受光部54が受光した赤外光をCCD(Charge Coupled Device)センサ等で光電変換し、赤外光のエネルギー量を電気エネルギーに変換して出力する。
【0046】
記憶部58は、室内空調機10における4つの吹き出し口18(
図2)の位置関係を記憶する他、信号処理部56が出力した赤外光のエネルギー量に対応した電気エネルギー量と、温度情報、及び色情報とを対応付けて記憶している。
【0047】
制御部70は、記憶部58から上記した諸情報を呼び出し、画像処理部60を起動する。画像処理部60は、信号処理部56が出力した電気エネルギー量と、記憶部58から呼び出された諸情報とに基づいて、温度測定対象物である室内空調機10の赤外線画像と、温度に基づく色画像とを重畳して、サーモ画像を生成し、温度グラフ40(
図4)と共に出力する。
【0048】
制御部70は、判定部62を起動し、判定部62は、記憶部58に記憶された室内空調機10における4つの吹き出し口18の位置関係と、画像処理部60が出力したサーモ画像の情報から、
図4に示すように、最も高温の吹き出し口18aと最も低温の吹き出し口18dとを判定して、配管30が延出する方向である方向表示42の情報、又は配管30の位置を示す位置表示44の情報を出力する。
【0049】
表示部36は、液晶等からなり、画像処理部60が出力したサーモ画像と、温度グラフ40と、及び判定部62が出力した方向表示42又は位置表示44とを組み合わせて、液晶画面にサーモグラフィ38を表示する。
【0050】
図6は、本発明の第1実施形態に係る室内空調機設置方向表示装置の信号処理を行なうフローチャートである。
【0051】
S10において、作業員は、サーモカメラ34の操作部50を操作し、サーモカメラ34を天井の室内空調機10に向けると、赤外線カメラの受光部54により赤外線が受光されてサーモ画像が撮影される。
【0052】
S12において、制御部70は、信号処理部56と画像処理部60を起動する。信号処理部56は、受光した赤外線のエネルギー量に基づき赤外線を電気信号に変換し、画像処理部60は、記憶部58に記憶された赤外線のエネルギー量と色情報の関係に基づき、サーモグラフィ38を作成する。
【0053】
S14において、制御部70は、判定部62を起動する。判定部62は、画像処理部60から受信したサーモグラフィ38の情報と、記憶部58に記憶された室内空調機10における4つの吹き出し口18の位置関係に基づき、最も高温の吹き出し口18aと最も低温の吹き出し口18dとを判定して、配管30が延出する方向である方向表示42の情報、又は配管30の位置を示す位置表示44の情報を出力する。
【0054】
S16において、制御部70は、表示部36を起動する。表示部36は、画像処理部60が出力したサーモ画像と、温度グラフ40と、及び判定部62が出力した方向表示42又は位置表示44とを組み合わせて、サーモカメラ34の液晶画面にサーモグラフィ38を表示する。
【0056】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る室内空調機設置方向表示装置について説明する。
【0057】
図7は、本発明の第2実施形態に係る室内空調機設置方向表示装置を用いて温度測定対象物を撮影した使用例を示す図である。
【0058】
図7は、サーモカメラ34をスマートフォン64で構成した例である。スマートフォン64は、接続端子68で赤外線カメラ66を接続可能であり、スマートフォン64の表示部36に表示された赤外線カメラ用アイコン(図示せず)を選択することで、スマートフォン64にインストールされた可視光カメラ(図示せず)又は赤外線カメラ66のソフトウェアが起動し、
図3のハンディタイプのサーモカメラ34と同様、表示部36にサーモグラフィ38が表示される。
【0059】
また、スマートフォン64本体に赤外線カメラ機能が搭載されていてもよい。
【0060】
室内空調機10(
図1)の設置方向又は設置位置の判別方法、及び信号処理構成と、制御手順のフローチャートは、第1実施形態を準用する。
【0061】
これにより、高額なサーモカメラ34を購入する必要がなく、作業員は、一般的なスマートフォン64に赤外線カメラ機能のアプリケーションをインストールし、スマートフォン64に安価な赤外線カメラ66を装着すればよい。また、スマートフォン64自体に赤外線カメラ66の機能が搭載されていれば、更に使い勝手がよくなる。
【0062】
作業員は、スマートフォン64の表示部36に表示されたアイコンを選択することにより、赤外線カメラ66が起動し、表示部36にサーモグラフィ38と方向表示42又は位置表示44が表示されるので、配管30の延出している方向又は配管30の設置位置を認識することができ、室内空調機10の取り付け方向、設置方向又は設置位置が明確に判別できる。
【0063】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係る室内空調機設置方向表示装置について説明する。
【0064】
本発明の第3実施形態に係る室内空調機設置方向表示装置は、第1実施形態で示したサーモカメラ34に可視光カメラと赤外線カメラを搭載し、又は、可視光カメラが搭載されたスマートフォン64に、赤外線カメラ66を接続して、可視光カメラで撮影された可視光画像に、サーモカメラ34又は赤外線カメラ66で受光した赤外線に基づいて加工したサーモ画像を重畳し、拡張現実(AR:Augmented Reality)画像として表示部36に表示することができる。
【0065】
AR画像を作成するには、サーモカメラ34又はスマートフォン64の記憶部58(
図5)に、
図2で示した室内空調機10の吹き出し口18、ベーン20、配管30の位置をマーカーとして記憶させ、サーモカメラ34又はスマートフォン64に搭載された可視光カメラで撮影した可視光画像に、サーモカメラ34又はスマートフォン64に接続された赤外線カメラ66で撮影したサーモ画像を重畳させる。
【0066】
これによって、
図4に示した室内空調機10の各部のサーモグラフィ38、温度グラフ40、方向表示42、若しくは位置表示44を、室内空調機10の可視化画像に浮かび上がらせるように表示させることができる。
【0067】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態に係る室内空調機設置方向表示装置について説明する。
【0068】
本発明の第4実施形態に係る室内空調機設置方向表示装置は、複数の各室内空調機10のID番号と、各室内空調機10のサーモのON/OFF状態と、4つの吹き出し口18毎の各ベーン20の開閉状態の組み合わせと、が対応付けられて記憶部58(
図5)にテーブルとして記憶されており、各室内空調機10がそれぞれ稼働している状態において、各室内空調機10のサーモのON/OFF状態を赤外線カメラで撮影し、4つの吹き出し口18毎の各ベーン20の開閉状態の組み合わせを可視光カメラで撮影する。そして、サーモのON/OFF状態と、各ベーン20の開閉状態の組み合わせとを、記憶部58のテーブル72と照合することで、各室内空調機10のID番号を取得するものである。
【0069】
なお、以下では、
図3で説明したような、可視光カメラ機能を備えたサーモカメラ34を用いて説明するが、
図7で説明したような、赤外線カメラ66を取り付けたスマートフォン64、若しくは赤外線カメラ機能を本体に搭載するスマートフォン64にも適用され得る。
【0070】
図8乃至
図12は、本発明の第4実施形態に係る室内空調機設置方向表示装置を用いたID番号取得例を示した図である。
【0071】
図8は、テーブル72の例であり、室内空調機10のID番号と、サーモ状態と、4つの吹き出し口18のベーン20の開閉状態とを紐付けしたものである。テーブル72は、記憶部58(
図5)に記憶されている。
【0072】
サーモ状態とは、各室内空調機10がサーモON状態(冷暖房稼働状態)か、サーモOFF状態(冷暖房休止状態、送風状態)かを示し、ONとOFFの2種類ある。
【0073】
4つの吹き出し口18のベーン20の開閉状態とは、吹き出し口18a、18b、18c、及び18d(
図4)の開閉状態の組み合わせであり、開と閉の2種類と、吹き出し口18a、18b、18c、及び18dの4種類とで、2の4乗の16種類の組み合わせがある。
【0074】
従って、室内空調機10は、2種類のサーモ状態と16種類の開閉状態とで、最大、2×16=32種類のID番号で分けられる。
【0075】
図9は、天井の室内空調機10をサーモカメラ34で撮影している様子を示す図である。ここでは、サーモカメラ34の赤外線カメラ機能(図示せず)のみを使用する。
【0076】
天井には、多数の室内空調機10が設置可能であるが、ここでは、説明の便宜上、6つの室内空調機10を対象とする。
【0077】
作業員は、サーモカメラ34の赤外線カメラを天井の室内空調機10に向け、サーモ画像を撮影する。吹き出し76は、サーモカメラ34の表示部36を拡大した図であり、6つの室内空調機10のそれぞれのサーモグラフィ38が表示されている。そして、室内空調機10のそれぞれのサーモグラフィ38には、第1実施形態の
図4で説明したように、室内空調機10の吹き出し口18(18a、18b、18c、及び18d)のサーモグラフィ38と共に、サーモ状態がONかOFFかの表示が付加される。サーモグラフィ38の色情報とサーモ状態のON/OFFの関係は、記憶部58(
図5)に記憶されている。
【0078】
次に、
図10は、天井の室内空調機10をサーモカメラ34で撮影している様子を示す図である。ここでは、サーモカメラ34の可視光カメラ機能(図示せず)のみを使用する。
【0079】
作業員は、サーモカメラ34の可視光カメラを天井の室内空調機10に向け、可視光画像を撮影する。吹き出し78は、サーモカメラ34の表示部36を拡大した図であり、6つの室内空調機10のそれぞれの可視画像74が表示されている。そして、室内空調機10のそれぞれの可視画像74には、室内空調機の吹き出し口18(18a、18b、18c、及び18d)のベーン20の開閉状態(グレーが開状態、黒色が閉状態)の可視画像74と共に、吹き出し口18a、吹き出し口18b、吹き出し口18c、及び吹き出し口18dのそれぞれの開閉状態が付加表示される。ベーン20が開状態の吹き出し口18には、「開」の文字画像が付加され、ベーン20が閉状態の吹き出し口18には、「閉」の文字画像が付加される。ベーン20の可視画像74と開閉状態の開/閉の関係は、記憶部58(
図5)に記憶されている。
【0080】
図11は、上記したサーモグラフィ38と可視画像74と、テーブル72とを照合し、室内空調機10のID番号が認識される手順を示した図である。
【0081】
図11において、
図9の室内空調機10aがサーモカメラ34の赤外線カメラで撮影されたサーモグラフィ38aから、サーモ状態がON状態であると判定され、
図10の室内空調機10aがサーモカメラ34の可視光カメラで撮影された可視画像74aから、吹き出し口18a乃至18dが全て開状態であると判定されたことから、
図11において、この組み合わせをテーブル72から検索し、室内空調機10aのID番号は「1」であると判定される。
【0082】
また、
図10の室内空調機10bがサーモカメラ34の可視光カメラで撮影された可視画像74から、サーモ状態がOFF状態であると判定され、
図10の室内空調機10bがサーモカメラ34の可視光カメラで撮影された可視画像74bから、吹き出し口18aが開状態、吹き出し口18bが開状態、吹き出し口18cが開状態、及び吹き出し口18dが閉状態であると判定されたことから、
図11において、この組み合わせをテーブル72から検索し、室内空調機10bのID番号は「18」であると判定される。
【0083】
上記の手順で室内空調機10のID番号が判定された結果が、
図12に示すように、サーモカメラ34の表示部36に室内空調機10ごとに表示される。吹き出し80は、サーモカメラ34の表示部36を拡大した図であり、6つの室内空調機10のそれぞれにID番号が表示されている。
【0084】
このとき、
図12のサーモカメラ34の表示部36には、室内空調機10のID番号と共に、
図4で説明したように、それぞれの室内空調機10の配管30の方向表示42又は位置表示44が合成されて表示されてもよい。
【0085】
また、室内空調機10が32台よりも多い場合、
図8に示すように、テーブル72を複数用意し、若しくはテーブル72の行数を増やすことによって、32よりも大きい数値のIDを付与し、検索に用いてもよい。
【0086】
図13は、本発明の第4実施形態に係る室内空調機設置方向表示装置の機能ブロック図であり、
図5を準用できる構成については同じ番号が付される。
【0087】
作業員がサーモカメラ34の赤外線カメラを天井の室内空調機10に向け、操作部50を操作すると、操作信号が制御部70に送られ、制御部70は照射部52を起動する。
【0088】
照射部52は、温度測定対象物の室内空調機10に赤外線を照射する。但し、温度測定対象物が発する赤外線を受光部54で受光するタイプの機種の場合、照射部52は不要である。
【0089】
制御部70は受光部54を起動する。受光部54は、室内空調機10が発する赤外線を受光し、若しくは照射部52から照射して反射した赤外光を受光する。
【0090】
制御部70は、信号処理部56を起動する。信号処理部56は、受光部54が受光した赤外光をCCDセンサ等で光電変換し、赤外光のエネルギー量を電気エネルギーに変換して出力する。
【0091】
記憶部58は、室内空調機10における4つの吹き出し口18(
図2)の位置関係を記憶する他、信号処理部56が出力した赤外光のエネルギー量に対応した電気エネルギー量と、温度情報、及び色情報とを対応付けて記憶している。
【0092】
制御部70は、記憶部58から上記した諸情報を呼び出し、画像処理部60を起動する。画像処理部60は、信号処理部56が出力した電気エネルギー量と、記憶部58から呼び出された諸情報とに基づいて、温度測定対象物である室内空調機10の赤外線画像と、温度に基づく色画像とを重畳して、サーモ画像を生成し、出力する。
【0093】
制御部70は、判定部62を起動する。判定部62は、画像処理部60が出力したサーモ画像の情報と、記憶部58(
図5)に記憶されているサーモグラフィ38の色情報とサーモ状態のON/OFFの関係から、各室内空調機10のサーモ状態のON/OFFを判定し、判定情報を出力する。
【0094】
制御部70は、表示部36を起動する。表示部36は、画像処理部60が出力したサーモ画像に、判定部62が出力した判定情報に付加して、液晶画面にサーモグラフィ38とサーモ状態のON/OFFを表示する。
【0095】
次に、作業員がサーモカメラ34の可視光カメラを天井の室内空調機10に向け、操作部50を操作すると、操作信号が制御部70に送られ、制御部70は照射部52を起動する。
【0096】
照射部52は、温度測定対象物の室内空調機10に可視光を照射する。
【0097】
制御部70は受光部54を起動する。受光部54は、室内空調機10に反射した可視光を受光する。
【0098】
制御部70は、信号処理部56を起動する。信号処理部56は、受光部54が受光した可視光をCCDセンサ等で光電変換して出力する。
【0099】
記憶部58は、室内空調機10における4つの吹き出し口18(
図2)の位置関係を記憶する他、ベーン20の可視画像74と開閉状態の開/閉の関係を記憶している。
【0100】
制御部70は、記憶部58から上記した諸情報を呼び出し、画像処理部60を起動する。画像処理部60は、信号処理部56が出力した信号と、記憶部58から呼び出された諸情報とに基づいて、温度測定対象物である室内空調機10の可視画像を生成し、出力する。
【0101】
制御部70は、判定部62を起動する。判定部62は、画像処理部60が出力した可視画像の情報と、記憶部58(
図5)に記憶されているベーン20の開閉状態の関係から、各室内空調機10のベーン20の開閉状態を判定し、判定情報を出力する。
【0102】
表示部36は、画像処理部60が出力した可視画像に、判定部62が出力した判定情報に付加して、液晶画面に可視画像74と、ベーン20ごとに「開」と「閉」を表示する。
【0103】
次に、記憶部58は、更に、各室内空調機10のサーモ状態のON/OFFと、ベーン20の開閉状態と、各室内空調機10のID情報との関係をテーブル72として記憶している。
【0104】
制御部70は、判定部62を再度起動する。判定部62は、各室内空調機10のサーモ状態のON/OFFと、ベーン20の開閉パターンの組み合わせから、記憶部58に記憶されたテーブル72を検索し、各室内空調機10のID番号を判定する。
【0105】
制御部70は、表示部36を起動する。表示部36は、液晶画面に、画像処理部60が出力した室内空調機10の可視画像若しくはサーモ画像に、判定部62が出力したID番号を付加して表示する。
【0106】
但し、サーモ画像のON/OFF画像作成と、可視画像の開閉状態画像作成と、各室内空調機10のID番号付加画像作成の制御は、並行して行われてもよい。
【0107】
図14は、本発明の第4実施形態に係る室内空調機設置方向表示装置を用いたID番号取得手順を示したフローチャートである。
【0108】
S20において、作業員は、サーモカメラ34の操作部50を操作し、サーモカメラ34を天井の室内空調機10に向けると、赤外線カメラの受光部54により赤外線が受光されてサーモ画像が撮影され、信号処理部56が受光した赤外線のエネルギー量に基づき赤外線を電気信号に変換し、画像処理部60が、記憶部58に記憶された赤外線のエネルギー量と色情報の関係に基づき、サーモグラフィ38を作成する。
【0109】
S22において、制御部70は、判定部62を起動し、判定部62は、画像処理部60から受信したサーモグラフィ38の情報と、記憶部58に記憶された室内空調機10の吹き出し口18(18a、18b、18c、及び18d)のサーモグラフィ38の色情報とサーモ状態のON/OFFの関係に基づき、サーモ状態がONかOFFかを室内空調機10ごとに判定する。
【0110】
S24において、制御部70は、表示部36を起動し、サーモグラフィ38にON/OFFのサーモ状態を付加して表示する。
【0111】
次に、S26において、作業員は、サーモカメラ34の操作部50を操作し、サーモカメラ34を天井の室内空調機10に向けると、可視光カメラの受光部54により可視光が受光されて可視光画像が撮影され、信号処理部56が受光した可視光を電気信号に変換し、画像処理部60が、可視画像74を作成する。
【0112】
S28において、制御部70は、判定部62を起動し、判定部62は、画像処理部60から受信した可視画像74の情報と、記憶部58に記憶されたベーン20の可視画像74と開閉状態の開/閉の関係から、室内空調機10の吹き出し口18(18a、18b、18c、及び18d)の開閉状態を室内空調機10ごとに判定する。
【0113】
S30において、制御部70は、表示部36を起動し、表示部36は、可視画像74に吹き出し口18a、吹き出し口18b、吹き出し口18c、及び吹き出し口18dのそれぞれの開閉状態を付加表示する。
【0114】
次に、S32において、作業員が、サーモカメラ34の操作部50を操作すると、制御部70が、記憶部58からテーブル72を読み出し、
図11に示すように、サーモグラフィ38のサーモ状態と、可視画像74の開閉状態とから、テーブル72を照合し、マッチするIDを検索する。
【0115】
S34において、制御部70は、表示部36を起動し、サーモグラフィ38又は可視画像74に、それぞれの室内空調機10のID番号を合成して表示させる。
【0116】
S36において、制御部70は、それぞれの室内空調機10の配管30の方向表示42又は位置表示44を合成して表示部36に表示してもよい。
【0118】
なお、作業員が操作部50を1回だけ操作することにより、以上のフローが処理されてもよい。
【0119】
(第5実施形態)
第5実施形態は、第1実施形態から第4実施形態で説明した形態に加え、サーモカメラ34又はスマートフォン64に位置検出機能が搭載されていることを特徴とする。第5実施形態は、広いオフィスに多数の室内空調機10が設置されており、サーモカメラ34又はスマートフォン64での1回の撮影では全ての室内空調機10の取り付け方向やID番号の確認ができない場合を想定しており、このような構成により、広いオフィスに多数の室内空調機10が設置されている場合でも、各室内空調機10の取り付け状況、ID番号等を判別し、表示することができる。
【0120】
図15は、本発明の第5実施形態に係る室内空調機設置方向表示装置の使用例を示した図である。
【0121】
第5実施形態では、
図15に示すように、オフィスなどの室内にサーモカメラ34又はスマートフォン64による1回の撮影では全ての室内空調機10を撮影できないほど多くの室内空調機10が設置されている。
【0122】
作業員は、後述するサーモカメラ34又はスマートフォン64に搭載された位置検出部による位置検出機能を起動させ、サーモカメラ34又はスマートフォン64を持ちながら、矢印で示すように室内空調機10の下から一つずつ室内空調機10を撮影して歩く。
【0123】
このとき、サーモカメラ34又はスマートフォン64は定期的に静止画を撮影してもよく、動画を撮影してもよい。
【0124】
図16は、本発明の第5実施形態に係る室内空調機設置方向表示装置の表示例を示した図である。
【0125】
サーモカメラ34又はスマートフォン64で撮影された画像は、第1実施形態乃至第4実施形態で説明された手順でサーモグラフィ38が得られ、表示部36上に方向表示42や位置表示44が表示される。
【0126】
ここで、表示部36は、サーモカメラ34又はスマートフォン64のディスプレイに限定されず、PC(パーソナルコンピュータ)のディスプレイでもよく、制御室のディスプレイでもよい。
【0127】
また、サーモカメラ34又はスマートフォン64の表示部36は、一度にすべての室内空調機10を表示してもよく、数台ずつに分けて順に表示してもよい。
【0128】
これにより、作業員は、広いオフィスなどで多くの室内空調機10が設置されている場合であっても、室内空調機の取り付け方向、取り付け位置、及びそれぞれのID番号を把握することができ、作業の効率化を図ることができる。
【0129】
図17は、本発明の第5実施形態に係る室内空調機設置方向表示装置の制御ブロック図である。
【0130】
以下、サーモカメラ34を用いた例を説明するが、赤外線カメラ66を取り付けたスマートフォン64でも全く同様に制御される。
【0131】
図17において、作業員は、サーモカメラ34の操作部50を操作し、サーモカメラ34を天井の室内空調機10に向けると、赤外線カメラの受光部54により赤外線が受光されてサーモ画像が撮影され、信号処理部56が受光した赤外線のエネルギー量に基づき赤外線を電気信号に変換する。
【0132】
この制御に並行して、制御部70は位置検出部82を起動する。位置検出部82は、加速度センサやジャイロセンサ(3軸加速度センサ)により構成されており、これらのセンサによって作業員の歩行速度、歩行位置、方向を変えた位置等を測定する。若しくは、作業員が保持するサーモカメラ34の移動速度、位置、移動方向を変えた位置等を測定する。
【0133】
信号処理部56は、位置検出部82が出力した測定情報に基づいて、作業員が歩行している位置情報を作成する。
【0134】
画像処理部60は、信号処理部56からサーモ画像に関する電気信号と、作業員が歩行した位置情報を受信し、記憶部58に記憶された赤外線のエネルギー量と色情報の関係、及び作業員が歩行した位置情報に基づいて室内空調機10の位置を特定し、室内空調機10の位置情報を付加したサーモグラフィ38を作成する。
【0135】
制御部70は、判定部62を起動する。判定部62は、画像処理部60から受信したサーモグラフィ38の情報と、記憶部58に記憶された室内空調機10の吹き出し口18(18a、18b、18c、及び18d)のサーモグラフィ38の色情報とサーモ状態のON/OFFの関係に基づき、サーモ状態がONかOFFかを室内空調機10ごとに判定する。
【0136】
制御部70は、表示部36を起動し、サーモグラフィ38にON/OFFのサーモ状態を付加して表示する。
【0137】
次に、制御部70は、可視光カメラを起動する。可視光カメラの受光部54により可視光が受光されて可視光画像が撮影される。
【0138】
この制御に並行して、制御部70は位置検出部82を起動する。位置検出部82は、作業員の歩行速度、歩行位置、方向を変えた位置等を測定する。
【0139】
信号処理部56は、受光した可視光情報を信号処理部56が電気信号に変換すると共に、位置検出部82が出力した測定情報に基づいて、作業員が歩行している位置情報から室内空調機10の位置情報を作成し、可視光情報と併せて出力する。
【0140】
制御部70は、画像処理部60を起動する。画像処理部60は、信号処理部56が出力した可視光情報に、室内空調機10の位置情報を付加して、可視画像74を作成する。
【0141】
制御部70は、判定部62を起動し、判定部62は、画像処理部60から受信した可視画像74の情報と、記憶部58に記憶されたベーン20の可視画像74と開閉状態の開/閉の関係から、室内空調機10の吹き出し口18(18a、18b、18c、及び18d)の開閉状態を室内空調機10ごとに判定する。
【0142】
制御部70は、表示部36を起動し、表示部36は、可視画像74に吹き出し口18a、吹き出し口18b、吹き出し口18c、及び吹き出し口18dのそれぞれの開閉状態を付加表示する。
【0143】
次に、作業員が、サーモカメラ34の操作部50を操作すると、制御部70が、記憶部58からテーブル72を読み出し、
図11に示すように、サーモグラフィ38のサーモ状態と、可視画像74の開閉状態とから、テーブル72を照合し、マッチするID番号を検索する。
【0144】
制御部70は、表示部36を起動し、サーモグラフィ38又は可視画像74に、それぞれの室内空調機10のID番号を合成して表示させる。
【0145】
制御部70は、それぞれの室内空調機10の配管30の方向表示42又は位置表示44を合成して表示部36に表示してもよい。
【0146】
なお、作業員が操作部50を1回だけ操作することにより、以上のフローが処理されてもよい。
【0147】
また、可視光カメラによる撮影及び画像処理と、赤外線カメラによる撮影及び画像処理は同時並行的におこなわれてもよい。
【0148】
図18は、本発明の第5実施形態に係る室内空調機設置方向表示装置を用いたID番号取得手順を示したフローチャートである。
【0149】
S40において、作業員は、サーモカメラ34の操作部50を操作し、サーモカメラ34を天井の室内空調機10に向けると、制御部70が位置検出部82を起動し、サーモカメラ34の位置を継続的に計測する。
【0150】
S42において、作業員は、サーモカメラ34の操作部50を操作し、サーモカメラ34を天井の室内空調機10に向けると、赤外線カメラの受光部54により赤外線が受光されてサーモ画像が撮影され、信号処理部56が受光した赤外線のエネルギー量に基づき赤外線を電気信号に変換し、画像処理部60が、記憶部58に記憶された赤外線のエネルギー量と色情報の関係に基づき、サーモグラフィ38を作成する。
【0151】
S44において、制御部70は、判定部62を起動し、判定部62は、画像処理部60から受信したサーモグラフィ38の情報と、記憶部58に記憶された室内空調機10の吹き出し口18(18a、18b、18c、及び18d)のサーモグラフィ38の色情報とサーモ状態のON/OFFの関係に基づき、サーモ状態がONかOFFかを室内空調機10ごとに判定する。
【0152】
S46において、制御部70は、表示部36を起動し、サーモグラフィ38にON/OFFのサーモ状態を付加して表示する。
【0153】
次に、S48において、制御部70が、更に位置検出部82を起動し、サーモカメラ34の位置を継続的に計測する。
【0154】
S50において、可視光カメラの受光部54により可視光が受光されて可視光画像が撮影され、信号処理部56が受光した可視光を電気信号に変換し、画像処理部60が、可視画像74を作成する。
【0155】
S52において、制御部70は、判定部62を起動し、判定部62は、画像処理部60から受信した可視画像74の情報と、記憶部58に記憶されたベーン20の可視画像74と開閉状態の開/閉の関係から、室内空調機10の吹き出し口18(18a、18b、18c、及び18d)の開閉状態を室内空調機10ごとに判定する。
【0156】
S54において、制御部70は、表示部36を起動し、表示部36は、可視画像74に吹き出し口18a、吹き出し口18b、吹き出し口18c、及び吹き出し口18dのそれぞれの開閉状態を付加表示する。
【0157】
次に、S56において、制御部70が、更に位置検出部82を起動し、サーモカメラ34の位置を継続的に計測する。
【0158】
S58において、制御部70が、記憶部58からテーブル72を読み出し、
図11に示すように、サーモグラフィ38のサーモ状態と、可視画像74の開閉状態とから、テーブル72を照合し、マッチするIDを検索する。
【0159】
S60において、制御部70は、表示部36を起動し、サーモグラフィ38又は可視画像74に、それぞれの室内空調機10のID番号を合成して表示させる。
【0160】
S62において、制御部70は、それぞれの室内空調機10の配管30の方向表示42又は位置表示44を合成して表示部36に表示してもよい。
【0162】
なお、作業員が操作部50を1回だけ操作することにより、以上のフローが処理されてもよい。