特許第6976902号(P6976902)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ゼロックス コーポレイションの特許一覧

特許6976902プリンタ内の欠陥紫外線放射発光ダイオードを検出するシステムおよび方法
<>
  • 特許6976902-プリンタ内の欠陥紫外線放射発光ダイオードを検出するシステムおよび方法 図000002
  • 特許6976902-プリンタ内の欠陥紫外線放射発光ダイオードを検出するシステムおよび方法 図000003
  • 特許6976902-プリンタ内の欠陥紫外線放射発光ダイオードを検出するシステムおよび方法 図000004
  • 特許6976902-プリンタ内の欠陥紫外線放射発光ダイオードを検出するシステムおよび方法 図000005
  • 特許6976902-プリンタ内の欠陥紫外線放射発光ダイオードを検出するシステムおよび方法 図000006
  • 特許6976902-プリンタ内の欠陥紫外線放射発光ダイオードを検出するシステムおよび方法 図000007
  • 特許6976902-プリンタ内の欠陥紫外線放射発光ダイオードを検出するシステムおよび方法 図000008
  • 特許6976902-プリンタ内の欠陥紫外線放射発光ダイオードを検出するシステムおよび方法 図000009
  • 特許6976902-プリンタ内の欠陥紫外線放射発光ダイオードを検出するシステムおよび方法 図000010
  • 特許6976902-プリンタ内の欠陥紫外線放射発光ダイオードを検出するシステムおよび方法 図000011
  • 特許6976902-プリンタ内の欠陥紫外線放射発光ダイオードを検出するシステムおよび方法 図000012
  • 特許6976902-プリンタ内の欠陥紫外線放射発光ダイオードを検出するシステムおよび方法 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6976902
(24)【登録日】2021年11月12日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】プリンタ内の欠陥紫外線放射発光ダイオードを検出するシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20211125BHJP
【FI】
   B41J2/01 127
   B41J2/01 109
   B41J2/01 451
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-92654(P2018-92654)
(22)【出願日】2018年5月14日
(65)【公開番号】特開2018-202862(P2018-202862A)
(43)【公開日】2018年12月27日
【審査請求日】2021年5月12日
(31)【優先権主張番号】15/610,779
(32)【優先日】2017年6月1日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー・エス・コンデロ
(72)【発明者】
【氏名】ジャック・ティー・ルストレンジ
(72)【発明者】
【氏名】シン・ヤン
(72)【発明者】
【氏名】マンダキニ・カナンゴ
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・ジェイ・クナウスドルフ
【審査官】 四垂 将志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−218329(JP,A)
【文献】 特開2012−116141(JP,A)
【文献】 特開2016−159629(JP,A)
【文献】 特開2012−148419(JP,A)
【文献】 特許第6004125(JP,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0062271(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J2/01−2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプリントヘッドであって、プロセス方向において前記複数のプリントヘッドを通過する物体移動の経路に対向して固定して配置され、前記物体が前記プロセス方向において前記プリントヘッドを通過する際に前記物体に向けて前記複数のプリントヘッド内の各プリントヘッドがマーキング材料を吐出するように構成されるプリントヘッドと、
複数のUV発光ダイオード(LED)を有する紫外線(UV)硬化装置であって、前記UV硬化装置内の各UV LEDはUV光を放射するように構成され、前記UV硬化装置は、前記プリントヘッドの少なくとも1つが前記物体の表面上にUVマーキング材料を吐出し、前記物体が前記プロセス方向において前記複数のプリントヘッドを通過して前記UV硬化装置に対向する位置に続いた後に、前記UV硬化装置が前記物体上に吐出されたUVマーキング材料を硬化させる場所で、前記プロセス方向において固定して配置される、紫外線硬化装置と、
複数のUVセンサを有するUV検出器であって、各UVセンサは、前記UV硬化装置内の前記UV LEDの1つからUV光を受け取り、前記UVセンサによって受け取られた前記UV光の強度に対応する電気信号を生成するように構成される、UV検出器と、
前記UV硬化装置に動作可能に接続された第1のアクチュエータと、
前記複数のプリントヘッド、前記UV硬化装置、前記第1のアクチュエータ、および前記UV検出器に動作可能に接続されたコントローラであって、前記コントローラは、前記UV硬化装置を動作させて、UV光を前記UV検出器に向け、前記UV検出器内のUVセンサによって生成された前記電気信号を受信し、所定の強度以上のUV光を放射していない前記UV硬化装置内のUV LEDを識別し、前記第1のアクチュエータを動作させて、前記UV硬化装置内の単一のUV LEDによって放射されるUV光の幅だけ前記UV硬化装置をクロスプロセス方向に再配置し、そして、他のアクチュエータを動作させて、再配置された前記UV硬化装置によって放射される前記UV光を通じて前記物体を通過させ、前記UV硬化装置内の動作可能なUV LEDがUV光を、所定の強度以上のUV光を放射していないと識別されたUV LEDに対向した前記物体の領域に放射するようにする、前記コントローラと
を含む印刷システム。
【請求項2】
第1の端部と第2の端部とを有する部材であって、前記複数のプリントヘッドが前記部材の前記第1の端部と前記第2の端部との間に固定して配置された、部材と、
物体を保持し、前記部材に沿って前記部材の前記第1の端部と前記第2の端部との間で移動するように構成されたホルダと、
第2のアクチュエータであって、前記第2のアクチュエータが前記ホルダを前記部材に沿って移動させ、前記物体を前記プリントヘッドを通過して移動させて、前記複数のプリントヘッドの前記プリントヘッドからマーキング材料を受け取ることを可能にする、第2のアクチュエータと、
前記UV硬化装置であって、前記複数のプリントヘッドと前記部材の前記第2の端部との間に前記プロセス方向において固定して配置されて、前記UV硬化装置が、前記プロセス方向に移動している前記物体が前記複数のプリントヘッドを通過した後に前記物体上に吐出されるUVマーキング材料を硬化させるようにする、前記UV硬化装置と、
前記コントローラであって、前記第2のアクチュエータに動作可能に接続され、前記第2のアクチュエータを動作させて、前記ホルダおよび前記物体を前記部材に沿ってプロセス方向に移動させて、前記プロセス方向に移動している前記物体が前記複数のプリントヘッド内の前記プリントヘッドを前記UV硬化装置に対向する前記位置まで通過する際に、前記複数のプリントヘッドがマーキング材料を前記物体上に吐出するようにさらに構成される、前記コントローラと
を含む請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記コントローラは、前記UV検出器内の前記UVセンサから受け取った各電気信号の電圧を、前記所定の強度に対応する所定の電圧レベルと比較することによって、前記所定の強度以上のUV光を放射しない前記UV LEDを識別するようにさらに構成される請求項2に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記ホルダは、
プラテンと、
前記部材を受け取り、前記ホルダが前記部材に沿って摺動することを可能にする少なくとも1つのスリーブであって、前記少なくとも1つのスリーブは、前記複数のプリントヘッドおよび前記UV硬化装置に面する前記プラテンの表面の反対側にある前記プラテンの表面に接続されて、前記ホルダの前記プラテンが前記複数のプリントヘッドおよび前記UV硬化装置に対向して通過するようにする少なくとも1つのスリーブと
をさらに含む請求項2に記載の印刷システム。
【請求項5】
前記部材は、前記プロセス方向に整列され、互いに所定の分離距離だけ離間された上部および下部を有し、前記所定の分離距離は前記少なくとも1つのスリーブの長さよりも小さく、
前記UV硬化装置と前記UV検出器との間に置かれた前記部材の前記上部と前記部材の前記下部が分離された状態で、前記UV硬化装置および前記UV検出器は互いに対向している請求項4に記載の印刷システム。
【請求項6】
印刷システムの動作方法であって、
UV光をUV光検出器に向けるためにコントローラを備えた紫外線(UV)硬化装置を動作させるステップであって、前記UV硬化装置は複数のUV発光ダイオード(LED)を有し、前記UV検出器は複数のUVセンサを有し、前記UV硬化装置内の各UV LEDはUV光を放射するように構成され、各UVセンサは、前記UV硬化装置内の前記UV LEDの1つからUV光を受け取り、前記UVセンサによって受け取られたUV光の強度に対応する電気信号を生成するように構成される、ステップと、
前記UV検出器内の前記UVセンサによって生成された電気信号を前記コントローラで受信するステップと、
所定の強度以上でUV光を放射していない前記UV硬化装置内のUV LEDを前記コントローラで識別するステップと、
前記コントローラによってアクチュエータを動作させて、前記UV硬化装置内の単一のUV LEDによって放射されるUV光の幅に対応する所定の距離だけ前記UV硬化装置をクロスプロセス方向に移動させるステップと、
前記コントローラによって他のアクチュエータを動作させて、再配置された前記UV硬化装置を通過して物体を移動させ、前記UV硬化装置内の動作可能なUV LEDがUV光を、所定の強度以上のUV光を放射していないと識別されたUV LEDに対向した前記物体の領域に放射するステップと
を含む、方法。
【請求項7】
所定の強度以上のUV光を放射することができないUV LEDの識別は、
前記UV検出器内の前記UVセンサから受け取った各電気信号の電圧を、前記所定の強度に対応する所定の電圧レベルと比較するステップ
をさらに含む請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、3次元(3D)物体に印刷するシステムに関し、より詳細には、紫外線(UV)硬化型インクを用いて物体に印刷するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
商業用物品印刷は、通常、物品の製造中に行われる。例えば、ボール表皮には、ボールが完成して膨張される前にパターンまたはロゴが印刷される。その結果、潜在的な製品顧客が複数のプロチームまたは大学チームを支援する地域において、配布サイトまたは小売店などの非製造施設は、地域で人気の様々なチームのロゴを載せる製品の在庫を維持する必要がある。在庫を維持するために、異なるロゴごとに正しい数の製品を注文することは問題になり得る。
【0003】
非生産店でこれらの問題に対処する1つの方法は、印刷されていないバージョンの製品を保管し、配布サイトや小売店でパターンやロゴを印刷することである。個々の物体を印刷するために、direct−to−object(DTO)プリンタとして知られているプリンタが開発されている。これらのプリンタのいくつかは、UV硬化型インクを使用して、物体上にインク画像を形成する。UV硬化型インクは、物体表面のインク上にUV光を向けるUV放射源を必要とする。この光はインクを硬化させ、さもなければインクから発散する蒸気を除去するのに役立つ。これらの蒸気の中には、人に有害なものがある。
【0004】
UV放射発光ダイオード(LED)は、UV放射源の1つの効率的な形態である。これらの半導体装置は、装置内の半導体接合部に印加されるDC電圧に応答して、光スペクトルのUV範囲内の光を生成する。典型的には、これらのUV LEDは、インク印刷のために1つまたは複数のプリントヘッドを通過するホルダおよび物体の移動経路に対して垂直であるクロスプロセス方向に延在するLEDのアレイ内に配置される。この文書では、「プロセス方向」とは、プリンタにおいてプリントヘッドを通過する物体の移動方向を指し、「クロスプロセス方向」とは、物体のホルダが移動する平面に平行な平面においてプロセス方向に垂直な軸を指す。UV LEDの動作寿命にわたって、LEDのいくつかは、UVインクを硬化させるのに有効な強度を有するUV光をもはや放射しなくなるまで、低いレベルで放射を生成し始める。UVインクの硬化に完全に無効になる前に、プリンタ内のUV LEDのこの消滅を検出することは有益である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
新しい印刷システムは、UV硬化型インクを吐出してインク画像を形成するプリンタにおける欠陥UV LEDを識別するように構成された検出器を含む。印刷システムは、複数のプリントヘッドであって、複数のプリントヘッド内の各プリントヘッドがマーキング材料を吐出するように構成されるプリントヘッドと、複数のUV発光ダイオード(LED)を有する紫外線(UV)硬化装置であって、UV硬化装置内の各UV LEDはUV光を放射するように構成され、UV硬化装置はプリントヘッドの少なくとも1つが表面上にUVマーキング材料を吐出した後にUVマーキング材料を硬化させるように配置される、紫外線硬化装置と、複数のUVセンサを有するUV検出器であって、各UVセンサは、UV検出器内のUV LEDの1つからUV光を受け取り、UVセンサによって受け取られたUV光の強度に対応する電気信号を生成するように構成される、UV検出器と、複数のプリントヘッド、UV硬化装置およびUV検出器に動作可能に接続されたコントローラとを含む。コントローラは、UV硬化装置を動作させて、UV光をUV検出器に向け、UV検出器内のUVセンサによって生成された電気信号を受信し、所定の強度以上のUV光を放射していないUV硬化装置内のUV LEDを識別するように構成される。
【0006】
欠陥UV LEDを識別するように構成された検出器を有するプリンタを操作する方法は、画像がプリンタを出る前にUV硬化インク画像が適切に硬化されることを保証するのに役立つ。この方法は、UV光をUV光検出器に向けるためにコントローラを備えた紫外線(UV)硬化装置を動作させるステップであって、UV硬化装置は複数のUV発光ダイオード(LED)を有し、UV検出器は複数のUVセンサを有し、UV硬化装置内の各UV LEDはUV光を放射するように構成され、各UVセンサは、UV硬化装置内のUV LEDの1つからUV光を受け取り、UVセンサによって受け取られたUV光の強度に対応する電気信号を生成するように構成される、ステップと、UV検出器内のUVセンサによって生成された電気信号をコントローラで受信するステップと、所定の強度以上でUV光を放射していないUV硬化装置内のUV LEDをコントローラで識別するステップを含む。
【0007】
プリンタ内の欠陥UV LEDを識別する印刷システムの前述の態様および他の特徴は、添付図面と関連して以下の説明において説明される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A図1Aは、プリンタ内のUV LEDのアレイ内の欠陥UV LEDを識別する検出器を有する印刷システムの側面図の概略図である。
図1B図1Bは、図1Aのシステムにおけるホルダの正面斜視図である。
図2A図2Aは、様々な温度におけるUV放射の増加する強度に対するUVセンサの応答を示すグラフである。
図2B図2Bは、UVセンサの分光応答度を示すグラフである。
図3図3は、UV LEDアレイの構造と、欠陥UV LEDを検出するためのUVセンサの構造を示すブロック図である。
図4図4は、図3のアレイ内の欠陥UV LEDと、図3のUVセンサにおけるUV検出器の応答を示すブロック図である。
図5図5は、欠陥UV LEDの検出に対処するUV硬化動作の調整を示す。
図6図6は、図5に示す調整動作を実施するプロセスのフロー図である。
図7A図7Aは、欠陥UVセンサを検出するために、UV検出器がUV硬化装置からUV光を受け取ることを可能にするプリンタの代替の実施形態を示す。
図7B図7Bは、欠陥UVセンサを検出するために、UV検出器がUV硬化装置からUV光を受け取ることを可能にするプリンタの代替の実施形態を示す。
図7C図7Cは、欠陥UVセンサを検出するために、UV検出器がUV硬化装置からUV光を受け取ることを可能にするプリンタの代替の実施形態を示す。
図7D図7Dは、欠陥UVセンサを検出するために、UV検出器がUV硬化装置からUV光を受け取ることを可能にするプリンタの代替の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施形態の一般的な理解のために、図面を参照する。図面において、同様の参照番号は同様の要素を示すために全体を通して使用されている。
【0010】
図1は、ホルダ108がプリントヘッド118のアレイを通過した部材116上の矢印によって示されるプロセス方向に移動するときに、ホルダ108に取り付けられた物体104の表面を印刷するように構成された印刷システム100を示す。アレイ112内の1つまたは複数のプリントヘッド118が紫外線(UV)インクを吐出する場合、UV硬化装置120はコントローラ124によって動作されUVインクを硬化させる。コントローラ124はまた、物体がホルダに取り付けられた後に、アクチュエータ128を動作させて、ホルダ108を部材116に沿って移動させるように構成される。コントローラ124は、アレイ112内のプリントヘッド118を動作させ、マーキング材料を物体104の表面に吐出させるように構成される。電気スイッチ130は、電源134とUV硬化装置120との間に動作可能に接続されている。コントローラ124はスイッチ130に動作可能に接続され、電源134をUV硬化装置120に選択的に結合する。コントローラ124は、アクチュエータ138を動作させ、以下に詳述するように、UV硬化装置120をホルダ108のプロセス方向に直交するクロスプロセス方向に移動させる。物体104またはホルダ108が検出器142とUV硬化装置120との間に置かれていない場合、UV検出器142は装置120に対向して配置され、装置120からUV放射を受け取る。本明細書で使用される場合、「UV光」は、可視光よりも短いがX線よりも長い波長を有する光を指す。この範囲の光は約10〜400nmの波長を有する。
【0011】
従来技術で知られているホルダ108の一実施形態が図1Bに示されている。ホルダ108は、部材116を受け取る一対のスリーブ132およびプラテン136を含む。この構成は、ホルダ108のプラテン136を部材116からオフセットする。プリントヘッド118は部材116の長手方向軸からクロスプロセス方向にオフセットされて、プリントヘッドがホルダ108に保持された物体に向けてインクを吐出することを可能にする。同様に、UV硬化装置120とUV検出器142はクロスプロセス方向にオフセットされ、UV硬化装置がUV光を物体104上のインク画像の方に向け、物体上のUV硬化型インクを硬化させる。UV検出器はまた、UV硬化装置とは反対のプロセス方向にオフセットされているので、以下でより詳細に説明するように、ホルダ108がUV硬化装置とUV検出器との間に置かれていない場合、UV硬化装置のUVセンサからUV光を受けることができる。
【0012】
図2Aは、センサが受け取るUV光の強度に関して、UV検出器142内のUVセンサの出力電圧レベルを示すグラフである。UV放射強度が増加すると、UVセンサの出力電圧は線形的に増加する。この関係は、図に示される温度のそれぞれについてほぼ同じである。図2Bは、同じセンサの分光応答度を示すグラフである。
【0013】
図3は、UV硬化装置120内のUV LEDアレイの構造と、UV硬化装置内の欠陥UV LEDを識別するためのUV検出器142の構造を示すブロック図である。硬化装置120は、ハウジング304とUV LEDアレイ308A〜308Eとを含む。LED308A〜308Eは入力電圧接続部312および戻り接続部316に電気的に接続され、硬化装置120のUV LEDを電源134に結合することができる。入力電圧接続部312は、スイッチ130を介して電圧供給部134の出力に接続され、スイッチは、コントローラ124によって動作され、電圧供給部134を硬化装置120内のLEDに選択的に結合する。図は5つのLED308A〜308Eを示しているが、LEDの数は、ホルダ108が収容できる最も広い物体の幅に対応する距離に対して、クロスプロセス方向にホルダ108の経路にわたって延びるUV放射の連続線をLEDが形成することを可能にする数である。
【0014】
引き続き図3を参照すると、UV検出器142は、UV LED308A〜308Eと1対1に対応して、UVセンサ324A〜324Eのアレイがクロスプロセス方向に配列されたハウジング320を含む。隣接するUVセンサの間には、剛性仕切り328がある。これらの仕切りは、特定のUVセンサの正反対ではないUV LEDによって生成されるUV放射から各UVセンサを遮蔽するのに役立つ。この構成は、各UVセンサが、UVセンサの正反対にある硬化装置120のUV LEDに対応することを保証するのに役立つ。UV硬化装置120のUV LED308A〜308Eが動作され、UV光をUV検出器142のUVセンサ324A〜324Eにそれぞれ向けながら、UVセンサ324A〜324Eの出力はコントローラ124に出力され、コントローラが出力信号を参照して欠陥UV LEDを識別するのを可能にする。コントローラ124は、これらの信号を所定の閾値と比較して、LEDのいずれかが欠陥であると識別するか否かを決定する。一実施形態では、UVセンサは、コロラド州NiwotのSparkFun Electronicsによって製造された部品番号ML8511であるが、他の適切なUVセンサを使用することもできる。ユーザインターフェース340は、コントローラ124に動作可能に接続され、以下により詳細に説明するように、コントローラがUV硬化装置120の修理のための表示を生成することを可能にする。
【0015】
図4は、LEDアレイ308A〜308Eにおける欠陥UV LEDと、UV検出器におけるUVセンサ324A〜324Eの応答を示すブロック図である。図に示すように、硬化装置120のUV LED308Bは、そのLEDから進行する矢印の不在によって示されるようにUV光を生成しない。その結果、UV LED308Bに対向するUVセンサ324Bは、物体上のUVインクを硬化させるのに適した最小UV強度に対応する閾値250未満の出力電圧レベルを生成する。残りのUV LED308Aおよび308C〜308Eは、残りのUVセンサによって生成された出力電圧が閾値を上回る十分な量のUV放射を生成する。したがって、コントローラ124は、UV硬化装置120内のUV LED308Bが、装置120内の唯一の欠陥LEDであると特定する。
【0016】
UV検出器142内のUVセンサ324A〜324Eによって生成された信号から、コントローラ124によって欠陥UV LEDが検出されると、欠陥LEDを交換せずにプリンタ100が動作を継続できるようにするために、UV硬化装置120の配置に対する調整を行うことができる。図5は、欠陥UV LEDの検出に対処するUV硬化動作のそのような調整を示す。図では、UV LED故障の10個の異なるシナリオ504、508、512、516、520、524、528、532、536、および540が示されている。シナリオ504において、UV LEDは、上で使用された参照番号、すなわち308A〜308Eによって識別される。これらの参照番号は、図5に示す他のシナリオのUV LEDにも当てはまる。シナリオ504では、UV LED308Aが欠陥品であると識別される。この状況に対処するために、コントローラ124は、アクチュエータ128を動作させて、ホルダ108および物体104を1回目の通過でUV硬化装置120を通過させ、UV LED308B〜308EがUVインクを硬化できるようにする。次に、コントローラ124はアクチュエータ138を動作させて、UV硬化装置120を1つのUV LED放射パターンの幅だけクロスプロセス方向に左に移動させた後、アクチュエータ128を動作させて、再配置された硬化装置120によって生成されたUV放射線を通って、ホルダ108および物体104を移動させる。この再配置により、LED308Bは、欠陥LED308Aを交換し、硬化装置による2回目の通過中にUVインクを照射することができる。シナリオ508、512、516、および520は、1つのUV LEDのみが欠陥として識別されるシナリオである。これらのシナリオのそれぞれにおいて、コントローラ124は、シナリオ504を参照して説明したのと同様の方法でアクチュエータ128および138を動作させて、UV硬化装置120によってホルダ108および物体104を2回通過させ、2つの通過の間に1つのUV LED放射パターンの幅に対応する距離だけUV硬化装置を再配置させ、物体104上の未硬化領域を装置120内の動作可能なUV LEDによって硬化させることができる。他の可能性のある再配置動作は、同じ目的を達成することができる。
【0017】
シナリオ524、528、532、536、および540では、硬化装置120の2つのLEDが欠陥品であると識別されている。再び、欠陥LEDの検出に応答して、コントローラ124は、シナリオ504を参照して説明したのと同様の方法でアクチュエータ128および138を動作させて、UV硬化装置120によってホルダ108および物体104を2回通過させ、2回の通過の間に1つのUV LED放射パターンの幅に対応する距離だけUV硬化装置を再配置させ、物体104上の両方の未硬化領域を装置120内の2つの動作可能なUV LEDによって硬化させることができる。他の可能性のある再配置動作は、同じ目的を達成することができる。
【0018】
2回以上の通過と組み合わせた硬化装置120の複数の再配置が、他の欠陥LEDシナリオに対処するために使用され得るが、それらは実施するにはあまりにも非効率的であると考えられる。例えば、LED308AおよびLED308Eの両方が欠陥品であると識別された場合、矯正の解決策は、硬化装置の再配置のために3回の通過および2回のクロスプロセス方向の移動を必要とする。このようなシナリオでは、1つの再配置によって、装置120を右または左方向のいずれかに1つの放射パターンの距離だけ移動させて、欠陥のある右端または左端の欠陥LEDにより未硬化領域をそれぞれ硬化させる。残りの未硬化領域に対処するために、硬化装置は、2つの放射パターン幅に対応する距離だけクロスプロセス軸に沿って反対方向に移動される。これらの複数回の通過および再配置動作は時間を消費し、物体上の画像の印刷および硬化を非効率的にする可能性がある。代わりに、コントローラ124は、プリンタが動作状態に戻る前に、UV硬化装置120が欠陥LEDを交換する修理を必要とするという指示を生成するために、ユーザインターフェース340に信号を生成することができる。
【0019】
プリンタ100を動作させるプロセスを図6に示す。プロセスの説明において、プロセスが何らかのタスクまたは機能を実行しているという記述は、コントローラまたはプロセッサに動作可能に接続された非一時的コンピュータ可読記憶媒体に格納されたプログラム命令を実行して、データを操作するか、タスクまたは機能を実行するためにプリンタ内の1つまたは複数の部品を動作するコントローラまたは汎用プロセッサを指す。上述したコントローラ124は、そのようなコントローラまたはプロセッサとすることができる。あるいは、コントローラは、複数のプロセッサならびに関連する回路および部品で実装することができ、各々は、本明細書で説明する1つまたは複数のタスクまたは機能を形成するように構成される。さらに、この方法のステップは、図に示される順序または処理が記述される順序にかかわらず、任意の実行可能な時間順に実行されてもよい。
【0020】
図6は、図5に示す調整動作を実施するプロセスのフロー図である。このプロセスは、装置がUV検出器142内のUVセンサ308と1対1に対応して位置合わせされている間に、UV硬化装置120を動作させることによって開始される(ブロック604)。コントローラ124は、各UVセンサからの出力信号を比較して、UVセンサの全てが動作しているか否かを判定する(ブロック608)。それらが全て動作している場合、物体は印刷され、UV硬化装置による一回の通過は物体に印刷されたUVインクを硬化させるのに十分である(ブロック612)。1つまたは複数の欠陥LEDが検出された場合、プロセスは欠陥UV LEDを識別し(ブロック616)、欠陥パターンが2回通過解決策で対処可能であるか否かを判定する(ブロック620)。可能であれば、2回の通過の間で適切な再配置が実行され、2回通過の物体印刷を実施する(ブロック624)。そうでなければ、コントローラは、UV硬化装置が欠陥LEDを交換するために修理を必要とすることを示す表示を生成する(ブロック628)。1回通過または2回通過のいずれかの物体印刷によって物体が印刷されると、プロセスは別の物体が印刷されるか否かを決定し(ブロック632)、別の物体が印刷準備ができている場合、印刷前にUV LEDがチェックされる(ブロック604および608)。そうでなければ、プロセスは、別の物体が印刷準備ができるまで待つ。
【0021】
硬化装置内のUV LEDがUV検出器内のUVセンサを照射することを可能にするために、構成要素を異なるように構成するプリンタ100の異なる実施形態が示されている。図7Aにおいて、ホルダ108は、部材116を受け取る単一のスリーブ160を有する。スリーブ160は、部材116の端部116Aと端部116Bとの間のギャップ距離より大きい長さを有する。この構成は、プリントヘッドアレイ112を、上述したように部材からオフセットするのではなく、部材116に対向して配置することを可能にする。ギャップ距離により、スリーブ160は上部116Cに続き、UV硬化装置120はUV光を物体104に向けることができる。図7Bでは、部材116は連続的であるが、プリントヘッドアレイ112はオフセットされているのではなく、部材116に対向している。UV検出器142は、スリーブ160から伸びている。この構成は、物体がUV硬化装置を通過する前に、UV検出器がUV硬化装置120に対向して通過することを可能にする。このように、UV硬化装置は光をUV検出器に向け、UV検出器のUVセンサがコントローラ124によって処理される信号を生成するので、コントローラは任意の欠陥LEDを識別して、物体上のインク画像を硬化させるために1回通過または2回通過印刷プロセスを行うことができるか否か判定できる。図7Cでは、部材116は連続的であるが、再び、プリントヘッドアレイ112はオフセットされているのではなく、部材116に対向している。さらに、UV検出器142は、部材116に対して角度をなして配置される。反射面を有する部材168がスリーブ160から延びている。この反射面は、UV硬化装置によって放射されたUV光がUV検出器に反射することを可能にする角度で傾斜している。再び、この部材168およびその反射面により、欠陥UV LEDを識別し、物体がUV硬化装置を通過する前に、1回または2回通過物体印刷プロセスの実現可能性を評価することができる。図7Dでは、部材116は連続的であるが、再び、プリントヘッドアレイ112はオフセットされているのではなく、部材116に対向している。この実施形態では、アクチュエータ138(図1)は、UV硬化装置を回転させ、部材116のUV硬化装置120と同じ側に配置されたUV検出器142に面するようにさらに構成される。コントローラ124がアクチュエータ138を動作させてUV硬化装置120を回転させると、UV硬化装置はUV検出器に面し、任意の欠陥LEDを識別し、1回または2回通過印刷プロセスの実行可能性を評価することができる。物体印刷が可能である場合、コントローラ124はアクチュエータ138を動作させて、UV硬化装置を元の位置に戻して、物体の表面上のUVインクの硬化を可能にする。
【0022】
上に開示された装置ならびに他の特徴および機能の変形、またはそれらの代替物は、望ましくは多くの他の異なるシステムまたは応用に組み合わされることが理解されよう。例えば、上に開示された欠陥UV LED検出器は、DTOプリンタで使用されると説明されているが、検出器はまた、UV硬化型インクを印刷媒体上に吐出して媒体上に画像を形成し、次にそれらを硬化させる印刷システムで使用できる。当業者であれば、以下の特許請求の範囲に包含されることが意図されているが、今は予期せぬ、または予想せぬ様々な代替、改変、変形または改良を後で実行でき、それらも以下の請求項に包含されることが意図される。

図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D