(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記切替ドア(50,55)は、前記空気取入ハウジング(10,10c,10d)の内面に沿って、前記内気取入口(12)を開放する第1位置と前記内気取入口(12)を閉鎖する第2位置との間を移動可能なロータリー式切替ドアまたはスライド式切替ドアである、請求項1に記載の送風機(2,2a,2b,2c,2d)。
前記切替ドア(50,55)を制御して前記第1位置または前記第2位置に配置する制御装置(60,60a,60b)をさらに備えた、請求項2に記載の送風機(2,2a,2b,2c,2d)。
前記制御装置(60)は、前記吐出口(6b)を流出した空気が受ける通気抵抗が高いほど前記切替ドア(50,55)が前記第1位置に配置された際の前記連通口(81;87,88)の開口面積が小さくなるように、前記第1位置を決定する、請求項3に記載の送風機(2)。
前記制御装置(60a)は、前記モータ(5)の回転速度が速いほど前記切替ドア(50,55)が前記第1位置に配置された際の前記連通口(81;87,88)の開口面積が小さくなるように、前記第1位置を決定する、請求項3に記載の送風機(2a)。
前記共鳴室(80)の内部に、前記切替ドア(50,55)の軌道面(Sc)に交差して延び、前記共鳴室(80)の内側面との間に、一方の端部が前記空気取入ハウジング(10c)の内部空間に向けて開放され、他方の端部が前記共鳴室(80)の内部空間に向けて開放された通路を形成するリブ(70)が配置されている、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の送風機(2c)。
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の送風機(2,2a,2b,2c,2d)と、前記送風機から送り出された空気を車両の室内に吹き出す空気調和部(3)と、を備えた車両用の空調装置(1,1a,1b)。
前記少なくとも一つの吹出通路(32a,32b,32c)は、フット吹出通路(32a)と、前記フット吹出通路よりも上方に設けられた上方吹出通路(32b)と、を含み、
前記少なくとも一つの吹出通路ドアは、前記フット吹出通路(32a)を開放する位置と閉鎖する位置との間で移動可能なフット吹出通路ドア(38a)と、前記上方吹出通路(32b)を開放する位置と閉鎖する位置との間で移動可能な上方吹出通路ドア(38b)と、を含み、
前記制御装置(60)は、前記フット吹出通路ドア(38a)が前記フット吹出通路(32a)を閉鎖する位置にあり、且つ、前記上方吹出通路ドア(38b)が前記上方吹出通路(32b)を開放する位置にある場合よりも、前記フット吹出通路ドア(38a)が前記フット吹出通路(32a)を開放する位置にあり、且つ、前記上方吹出通路ドア(38b)が前記上方吹出通路(32b)を閉鎖する位置にある場合に、前記切替ドア(50,55)が前記第1位置に配置された際の前記連通口(81)の開口面積が小さくなるように、前記第1位置を決定する、請求項10に記載の空調装置(1)。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施の形態による空調装置の構造を模式的に示す図である。また、
図2および
図3は、それぞれ、
図1に示す送風機の斜視図、および、
図2に示す送風機の断面を模式的に示す図である。
図3は、後述する切替ドアの旋回軸線Bxに垂直な断面を示している。
図4は、
図3に示す空気取入ハウジングの断面を拡大して示す図であって、切替ドアが第1位置にある場合を示す図である。なお、図示の明確化のため、
図2および
図3では、後述する制御装置の図示を省略している。さらに、
図2では、後述する羽根車やフィルタなどの図示を省略している。各図では、Uが車両の上方、Dが車両の下方、Frが車両の前方、Rrが車両の後方、Rが車両の右方、Lが車両の左方を、それぞれ意味している。但し、車両に対する送風機および後述する空気調和部の設置方向は、図示例に限定されるものではない。
【0013】
図1に示すように、車両用の空調装置1は、送風機2と、送風機2から送り出された空気を車両の室内に吹き出す空気調和部3と、を備えている。
【0014】
図1および
図3に示すように、送風機2は、羽根車4を有する。羽根車4は、その外周部分に、周方向に並んだ翼列を形成する複数の翼4aを有している。羽根車4は、モータ5の回転軸5aに接続されて回転軸線Ax周りに回転駆動され、軸方向の上側(軸方向一端側)から羽根車4の翼列の半径方向内側の空間に吸入した空気を、半径方向外側に向けて吹き出す。
【0015】
本明細書において、説明の便宜上、モータ5及び羽根車4の回転軸線Axの方向を「軸方向」と呼ぶ。以下の説明においては、軸方向が上下方向に一致している前提で説明を行うが、軸方向が上下方向に対して角度を成すように空調装置が車両に組み込まれることもあることに注意すべきである。本明細書においては、特別な注記が無い限り、回転軸線Ax上の任意の点を中心として回転軸線Axと直交する平面上に描かれた円の半径の方向を半径方向と呼び、当該円の円周方向を周方向または円周方向と呼ぶ。
【0016】
図3に示すように、羽根車4は、当該羽根車4と一体成形されたコーン部(内側偏向部材)4bを含む。コーン部4bは、幾何学的な意味における回転体である。コーン部4bの中央部において、モータ5の回転軸5aが羽根車4に連結される。なお、
図1に示された空調装置1においては、モータ5の回転速度は、モータ制御部8aによって制御される。
【0017】
図1に示すように、羽根車4は、スクロールハウジング6の内部に収容される。
図2および
図3に示すように、スクロールハウジング6は、軸方向上側に開口する吸込口6aと、吐出口6bとを有している。スクロールハウジング6を軸方向から見た場合、吐出口6bはスクロールハウジング6の外周面の概ね接線方向に延びている。
【0018】
図1に示すように、送風機2は、また、スクロールハウジング6に接続された空気取入ハウジング10を有する。空気取入ハウジング10の内部空間は、スクロールハウジング6の吸込口6aに連通している。
図2に示すように、空気取入ハウジング10は、概ね前方に向けて開口する外気取入口11と、概ね後方に向けて開口する内気取入口12とを有している。内気取入口12は概ね左方及び右方に向けても開口していてもよい。外気取入口11には、両端部に開口部を有する筒状の外気取入ダクト20が接続されている。外気取入ダクト20は、その一方の開口部21において外気取入口11に接続し、外気取入口11から空気取入ハウジング10の内部空間とは反対側に(概ね前方且つ上方に)延び出している。外気取入ダクト20は、
図2に示すように、空気取入ハウジング10と一体化されていてもよい。外気取入ダクト20の他方の開口部22は、車両に設けられた外気導入路の出口(図示せず)と連結されているかあるいは当該出口の近傍にある。外気取入ダクト20を通じて、外気(車両外部から取り入れた空気)を効率良く空気取入ハウジング10内に導入することができる。内気取入口12は車両の室内に開口しており、内気(車室内空気)を空気取入ハウジング10内に導入することができる。
【0019】
空気取入ハウジング10内には、外気取入口11及び内気取入口12の開閉を行う切替ドア50が設けられている。図示された例では、切替ドア50は、ロータリー式切替ドアと呼ばれる形式のものであり、
図2から理解されるように、全体として、扇形の底面を有する柱体の形状を有している。切替ドア50は、旋回軸線Bxを中心とする円弧形の断面を有する周面51と、この周面51の左右両側に接続された扇形の側面52とを有している。切替ドア50は、左右方向に延びる旋回軸線Bxを中心として図示しないアクチュエータにより旋回させることができる。
図3および
図4に示す例では、切替ドア50の周面51の軌道面Sは、旋回軸線Bxに垂直な断面が円弧形状を成している。上述した外気取入口11および内気取入口12は、この軌道面Sに沿って開口している。そして、切替ドア50は、その周面51を外気取入口11(内気取入口12)に対面させることにより、外気取入口11(内気取入口12)を閉鎖し、内気取入口12(外気取入口11)を開放することができる。切替ドア50は、内気取入口12を開放し外気取入口11を閉鎖する第1位置(
図4参照)と、外気取入口11を開放し内気取入口12を閉鎖する第2位置(
図3参照)との間を、空気取入ハウジング10の内面に沿って移動可能である。
【0020】
送風機2が内気モードで運転されるときには、
図4に示すように、切替ドア50は第1位置に配置される。このとき、空気取入ハウジング10内には、内気取入口12から内気ARが導入される。また、送風機2が外気モードで運転されるときには、
図3に示すように、切替ドア50は第2位置に配置される。このとき、空気取入ハウジング10内には、外気取入口11から外気AEが導入される。内気取入口12から空気取入ハウジング10内に導入された内気ARおよび外気取入口11から空気取入ハウジング10内に導入された外気AEは、スクロールハウジング6の吸込口6aからから羽根車4の翼列の半径方向内側の空間に流入する。
【0021】
空気取入ハウジング10内の、外気取入口11及び内気取入口12が設けられている領域と、空気取入ハウジング10の下端部(スクロールハウジング6の吸込口6aに接続する端部)との間に、空気中に含まれるダスト、パーティクル等の汚染物質や異臭を除去するためのフィルタ13が設けられている。フィルタ13は、空気取入ハウジング10内に設けられたスロットまたはレールからなるフィルタ支持部14に挿入されて、スクロールハウジング6の吸込口6aに近接する位置に保持されている。
【0022】
次に、
図1を参照して、空気調和部3について説明する。空気調和部3は、内部に空気が流れる空気通路3aを形成する空調ケース30を有する。空調ケース30の上流側端部(
図1の左側端部)には、送風機2の吐出口6bに接続する流入口31が形成されており、送風機2から送られた空気が流入口31を通じて空調ケース30の空気通路3aに流れ込むようになっている。また、空調ケース30の下流側端部(
図1の右側端部)には、複数の吹出通路32a,32b,32cが形成されており、空気通路3aに流れ込んだ空気が吹出通路32a,32b,32cから流出するようになっている。
【0023】
空調ケース30の複数の吹出通路32a,32b,32cは、フット吹出通路32aと、ベント吹出通路32bと、デフロスト吹出通路32cとを含む。
図1に示すように、フット吹出通路32aは、空調ケース30の下流側端面33aの下側部分に設けられている。フット吹出通路32aの下流端は、運転席及び助手席(場合によっては後席も)に座っている乗員の足元に向けて空気を吹き出す図示しないフット吹出口に接続されている。また、ベント吹出通路32bは、空調ケース30の下流側端面33aの上側部分に設けられている。ベント吹出通路32bの下流端は、運転席及び助手席(場合によっては後席も)に座っている乗員の上半身に向けて空気を吹き出す図示しないベント吹出口に接続されている。また、デフロスト吹出通路32cは、空調ケース30の天面33bに設けられている。デフロスト吹出通路32cの下流端は、車室内のフロントガラスの内面に向けて空気を吹き出す図示しないデフロスト吹出口に接続されている。
【0024】
空調ケース30の空気通路3a内には、冷却用熱交換器(エバポレータ)35、加熱用熱交換器36、および、空気通路3aを通流する空気の流れを変更する各種ドア(エアミックスドア7及び吹出通路ドア38a,38b,38c)が設けられている。
【0025】
冷却用熱交換器35は、空調ケース30内に流入した空気の全てが冷却用熱交換器35を通過するように設けられている。冷却用熱交換器35は、そこを通過する空気から熱を奪い、かつ、空気の湿度が高い場合には空気中の水分を凝縮させることにより空気の湿度を下げる。
【0026】
加熱用熱交換器36は、空調ケース30が形成する空気通路3a内において、空調ケース30の内側面33cとの間に(
図1に示す例では加熱用熱交換器36の上方に)迂回路3bを形成するように配置されている。
【0027】
エアミックスドア7は、冷却用熱交換器35と加熱用熱交換器36との間に設けられている。図示された例では、エアミックスドア7は、板状の部材であり、加熱用熱交換器36の上流側の面に概ね平行に配置されている。エアミックスドア7は、空気通路3a内を上下方向に沿ってスライドすることができるようになっており、その位置を変更することで迂回路3bの開口度を調整することができる。そして、エアミックスドア7は、その位置に応じて、加熱用熱交換器36に向かう空気と、迂回路3bに向かう空気との比率を調整する。
【0028】
図1に示すように、エアミックスドア7は、それぞれ、空気通路3a内を左右方向に沿って延びるシャフト7sに連結されており、シャフト7sを回転させることにより、空気通路3a内を上下方向に沿ってスライドすることができるようになっている。より具体的には、各エアミックスドア7の一方の面には、その上端縁から下端縁に亘って図示しないラックが設けられている。また、各シャフト7sの外周面には、このラックと噛み合うピニオンが設けられている。そして、シャフト7sを周方向に回転させると、シャフト7sの回転運動がピニオンとラックとによって上下方向の運動に変換され、エアミックスドア7が上下にスライドするようになっている。シャフト7sは、図示しないアクチュエータによって直接的に、あるいは間接的に回転駆動される。
【0029】
図1に示すように、吹出通路ドア38a,38b,38cは、それぞれ、上述した吹出通路32a,32b,32cに設けられて、当該吹出通路32a,32b,32cを開閉する。具体的には、フット吹出通路32aにはフット吹出通路ドア38aが設けられ、ベント吹出通路32bにはベント吹出通路ドア38bが設けられ、デフロスト吹出通路32cにはデフロスト吹出通路ドア38cが設けられている。図示の例では、吹出通路ドア38a,38b,38cは板状の部材であり、左右方向に延びるシャフト38as,38bs,38csから延出している。そして、吹出通路ドア38a,38b,38cは、シャフト38as,38bs,38csを周方向に回転させると、シャフト38as,38bs,38csの回転軸線を中心に回転して、対応する吹出通路32a,32b,32cを開閉することができるようになっている。シャフト38as,38bs,38csは、図示しないアクチュエータによって直接的に、あるいは間接的に回転駆動される。
【0030】
吹出通路ドア38a,38b,38cは、空調装置1の運転モード(吹出しモード)に応じて、対応する吹出通路32a,32b,32cを開放または閉鎖する。例えば、空調装置1がフットモードで運転される場合、フット吹出通路32aが開放され、デフロスト吹出通路32cが開放されつつも絞られ、ベント吹出通路32bが閉鎖される。また、空調装置1がベントモードで運転される場合、ベント吹出通路32bが開放され、フット吹出通路32aおよびデフロスト吹出通路32cが閉鎖される。
【0031】
図1に示す例では、空調装置1は、さらに、エアミックスドア7のシャフト7sや吹出通路ドア38a,38b,38cのシャフト38as,38bs,38csを回転駆動するアクチュエータを制御する空調ケース内ドア制御部8bを有する。空調ケース内ドア制御部8bは、モータ制御部8aと一体的に構成されていてもよい。
【0032】
ところで、羽根車を用いた送風機は、羽根車による風切音等の騒音を発生させる。したがって、このような送風機および当該送風機を用いた空調装置に対しては、上記騒音が車両の室内に漏れることを抑制することが求められている。上記騒音が車両の室内に漏れることを抑制する方法として、スクロールハウジングに開口を通じて連通する共鳴室を設け、共鳴室で騒音のエネルギーを減衰させる方法が知られている。
【0033】
なお、上述したような共鳴室の共鳴周波数(共鳴室で消音される音の周波数)は、一般に、次式で表される。ここで、fは共鳴周波数(共鳴室で消音される音の周波数)、cは音速、Aは共鳴室の開口の開口面積、Vは共鳴室の容積、Lは開口の長さである。
【数1】
【0034】
このように、共鳴室は、共鳴室の容積や開口の大きさに応じた周波数の音を消音することができる。
【0035】
しかしながら、送風機が発する騒音の周波数特性は、送風機や空調装置の運転条件等によって変動する。これに応じて、騒音を効果的に低減させるために共鳴室で消音すべき音の周波数も、送風機や空調装置の運転条件等によって変動する。
【0036】
例えば、共鳴室が設けられていない送風機を有する空調装置をフットモードおよびベントモードで運転して送風機の内気取入口の近傍で得られる騒音を測定したところ、
図5に示す結果を得た。
図5は、測定された騒音の周波数特性を示す図である。横軸は周波数を示し、縦軸は1/3オクターブ帯域幅フィルタのA特性音圧レベルを示す。
【0037】
図5に示すように、ベントモードの場合、周波数特性曲線は、63〜10000Hzの周波数帯域に亘って、全体としてなだらかな山を形成している。このような周波数特性を有する騒音の場合、音圧レベルが最大となる周波数の音(
図5に示す例では630Hz近傍の音)を消音すれば、騒音を効果的に低減させることができる。一方で、
図5から理解されるように、フットモードの場合、周波数特性曲線は、130Hz近傍で鋭いピークを形成し、その他の周波数帯域では、全体としてなだらかな山を形成している。このような周波数特性を有する騒音の場合、音圧レベルが鋭いピークを形成する130Hz近傍の音が耳障りな音として知覚される。したがって、130Hz近傍の音を消音すれば、騒音を効果的に低減させることができる。このように、空調装置の運転モード等によって、消音すべき音の周波数が異なる。
【0038】
以上のような事情を考慮して、図示された送風機2および空調装置1には、送風機2が発する騒音を低減させるための共鳴室80が設けられている。また、図示された送風機2および空調装置1には、共鳴室80で消音される音の周波数を変更可能とし、上記騒音が車両の室内に漏れることを送風機や空調装置の運転条件等に応じて効果的に抑制するための工夫がなされている。
【0039】
まず、送風機2を内気モードで運転する場合には、上述のように車両の室内に開口する内気取入口12が開放される(
図4参照)。一方、送風機2を外気モードで運転する場合には、車両に設けられた外気導入路の出口に向けて開口する外気取入口11が開放される一方で、内気取入口12は閉鎖される(
図3参照)。このため、送風機2を外気モードで運転する場合よりも内気モードで運転する場合の方が、上記騒音は、内気取入口12を通じて車両の室内に届きやすい。したがって、送風機2を内気モードで運転する場合に室内に拡散する騒音を、送風機2や空調装置1の運転条件等に応じて効果的に低減させれば、車両の室内に漏れる騒音を顕著に抑制することができる。この点を考慮して、図示された送風機2では、共鳴室80は、送風機2を内気モードで運転する場合に、当該共鳴室80で消音される音の周波数を変更可能なように、構成されている。
【0040】
具体的には、共鳴室80は、空気取入ハウジング10の内部空間に隣接して設けられている。共鳴室80の内部空間は、連通口81を通じて、空気取入ハウジング10の内部空間と連通している。連通口81は、外気取入口11よりもスクロールハウジング6の吸込口6a側に、切替ドア50の軌道面Sに沿って設けられている。
図1乃至
図3に示す例では、共鳴室80は、外気取入ダクト20の下方に設けられ、共鳴室80の内部空間と空気取入ハウジング10の内部空間とは、壁部82によって仕切られている。連通口81は、この壁部82の、外気取入口11の下方かつフィルタ13の上方となる領域に設けられている。
【0041】
このような連通口81は、切替ドア50が外気取入口11を閉鎖する第1位置にあるとき、当該切替ドア50によって少なくとも部分的に閉鎖可能である。また、連通口81の開口面積は、切替ドア50を移動(旋回)させることにより、変更され得る。そして、上述した式から理解されるように、連通口81の開口面積を変更することにより、共鳴室80で消音可能な音の周波数を変更することができる。この結果、送風機2や空調装置1の運転条件等に応じて、共鳴室80で消音すべき音を適切に消音することができる。
【0042】
例えば、
図6には、
図1乃至
図4に示す本実施の形態の送風機2と、共鳴室が設けられていないことを除いて
図1乃至
図4に示す送風機2と同様に構成された送風機とを、内気モードで運転した場合に、各送風機の内気取入口の近傍で得られた騒音の周波数特性が示されている。
図6において、横軸は周波数を示し、縦軸は1/3オクターブ帯域幅フィルタのA特性音圧レベルを示す。
【0043】
図6に示す例では、後述するように、
図1乃至
図4に示す本実施の形態の送風機2と上記共鳴室が設けられていない送風機とは、送風機2で連通口81の開口度が調整されたことを除いて、同様の条件で運転された。
【0044】
図6に示すように、共鳴室が設けられていない送風機が発する騒音の周波数特性曲線は、100〜12500Hzの周波数帯域に亘って、全体としてなだらかな山を形成している。このような周波数特性を有する騒音の場合、音圧レベルが最大となる周波数の音(
図6に示す例では630Hz近傍の音)を消音すれば、騒音を効果的に低減させることができる。そこで、
図1乃至
図4に示す本実施の形態の送風機2を運転する際、共鳴室80で630Hz近傍の周波数の音が消音されるように連通口81の開口面積を調整し、内気取入口12の近傍で騒音を測定した。この結果、
図6に示すように、送風機2の内気取入口12の近傍で得られる騒音の音圧レベルは、共鳴室が設けられていない送風機と比較して、630Hz近傍で抑えられ、100〜12500Hzの周波数帯域におけるオーバーオール値も低減された。
【0045】
図6に示す例から理解されるように、
図1乃至
図4に示す本実施の形態の送風機2によれば、送風機2が内気モードで運転される際、共鳴室80で消音される音の周波数を適切に調節して、車両の室内に漏れる騒音を効果的に抑制することができる。上述した式から理解されるように、共鳴室80で消音される音の周波数は、連通口81の開口面積が小さくなるほど、低くなる。
【0046】
また、
図1乃至
図4に示す本実施の形態の送風機2によれば、連通口81の開口面積は外気取入口11および内気取入口12を開閉するためのドア50によって調整されるので、送風機4に、連通口81の開口面積を調整するための追加のドアを設ける必要が無い。したがって、連通口81の開口面積を調整するために送風機4の構造が複雑化される、ということが防止される。
【0047】
本実施の形態において制御装置60は、送風機2や空調装置1の運転条件等に応じて、第1位置を決定する。
図1に示す例では、制御装置60は、
図5に示す結果を考慮して、空気調和部30の吹出しモードに応じて(言い換えると少なくとも一つの吹出通路ドア38a,38b,38cの位置に応じて)、切替ドア50の第1位置を決定する。そして、送風機2が内気モードで運転される際、切替ドア50を決定された第1位置に配置する。
【0048】
具体的には、
図5に示すように、また上述したように、空調装置1をベントモードで運転する場合とフットモードで運転する場合とでは、フットモードで運転する場合のほうが、消音すべき音の周波数が低い。したがって、本実施の形態の制御装置60は、空調装置1をベントモードで運転する場合よりもフットモードで運転する場合に、切替ドア50が第1位置に配置された際の連通口81の開口面積が小さくなるように、第1位置を決定する。言い換えると、フット吹出通路32aと、フット吹出通路32aよりも上方に設けられた上方吹出通路(ベント吹出通路)32bと、フット吹出通路32aを開放する位置と閉鎖する位置との間で移動可能なフット吹出通路ドア38aと、上方吹出通路(ベント吹出通路)32bを開放する位置と閉鎖する位置との間で移動可能な上方吹出通路ドア(ベント吹出通路ドア)38bと、を含む空調装置1において、制御装置60は、フット吹出通路ドア38aがフット吹出通路32aを閉鎖する位置にあり、且つ、上方吹出通路ドア(ベント吹出通路ドア)38bが上方吹出通路(ベント吹出通路)32bを開放する位置にある場合よりも、フット吹出通路ドア38aがフット吹出通路32aを開放する位置にあり、且つ、上方吹出通路ドア38bが上方吹出通路(ベント吹出通路)32bを閉鎖する位置にある場合に、切替ドア50が第1位置に配置された際の連通口81の開口面積が小さくなるように、第1位置を決定する。これにより、上述した式から理解されるように、空調装置1をベントモードで運転する場合に共鳴室80で消音される音の周波数よりも、フットモードで運転する場合に共鳴室80で消音される音の周波数を低くすることができる。
【0049】
なお、
図1に示す例では、制御装置60は、空調ケース内ドア制御部8bから得られる情報に基づいて、吹出通路ドア38a,38b,38cの位置(各吹出通路ドア38a,38b,38cが対応する吹出通路32a,32b,32cを開放する位置にあるのか閉鎖する位置にあるのか)を判断し、切替ドア50の第1位置を決定する。制御装置60と空調ケース内ドア制御部8bとが一体的に構成されて複合制御装置(図示せず)とされている場合、複合制御装置は、吹出通路ドア38a,38b,38cの位置の指示情報に基づいて、切替ドア50の第1位置を決定する。
【0050】
なお、
図5に示す運転モードの違いによる消音すべき音の周波数の違いは、エアミックスドアの配置の違いによるものとも理解される。すなわち、一般に、エアミックスドアは、空調装置をベントモードで運転する場合は、加熱用熱交換器と空調ケースの内側面との間の迂回路の開口面積を最大にするように配置されるのに対し、フットモードで運転する場合は、上記迂回路の開口面積を最小にするように配置される。
図5に示す例でも、エアミックスドアは、ベントモードで運転中は、上記迂回路の開口面積を最大にするように配置され、フットモードで運転中は、上記迂回路の開口面積を最小にするように配置された。したがって、
図5は、エアミックスドアが上記迂回路の開口面積を最大にするように配置される場合と最小にするように配置される場合とでは、上記開口面積を最小にするように配置される場合のほうが、消音すべき音の周波数が低いことを示している、と理解することもできる。
【0051】
この点を考慮して、制御装置60は、エアミックスドア7の位置に応じて、切替ドア50の第1位置を決定してもよい。言い換えると、制御装置60は、エアミックスドア7が迂回路3bを開放する位置にある場合よりも閉鎖する位置にある場合に、切替ドア50が第1位置に配置された際の外気取入口11の開口面積が小さくなるように、第1位置を決定してもよい。これにより、上述した式から理解されるように、エアミックスドア7が迂回路3bの開口面積を最大にするように配置される場合に共鳴室80で消音される音の周波数よりも、迂回路3bの開口面積を最小にするように配置される場合に共鳴室80で消音される音の周波数を低くすることができる。
【0052】
なお、この場合、制御装置60は、空調ケース内ドア制御部8bから得られる情報に基づいて、エアミックスドア7の位置(エアミックスドア7が迂回路3bの開口面積を最大にする位置にあるか最小にする位置にあるか)を判断してもよい。また、制御装置60と空調ケース内ドア制御部8bとが一体的に構成されて複合制御装置とされている場合、複合制御装置は、エアミックスドア7の位置の指示情報に基づいて、切替ドア50の第1位置を決定してもよい。
【0053】
さらに、
図5に示す運転モードの違いによる消音すべき音の周波数の違いは、空調ケース内の通気抵抗の違いによるものとも理解される。すなわち、上述のように、
図5に示す例において、空調装置をベントモードで運転した際、エアミックスドアが上記迂回路の開口面積を最大にするように配置されたため、空調ケース内の通気抵抗が比較的低くなったのに対し、フットモードで運転した際は、エアミックスドアが上記迂回路の開口面積を最小にするように配置されたため、空調ケース内の通気抵抗が比較的高くなった。したがって、
図5は、空調ケース内の通気抵抗が低い場合と高い場合とでは、上記通気抵抗が高い場合のほうが、消音すべき音の周波数が低いことを示している、と理解することもできる。
【0054】
この点を考慮して、制御装置60は、空調ケース30内の通気抵抗が高いほど、あるいはスクロールハウジング6の吐出口6bを流出した空気が受ける通気抵抗が高いほど、切替ドア50が第1位置に配置された際の外気取入口11の開口面積が小さくなるように、第1位置を決定してもよい。これにより、上述した式から理解されるように、上記通気抵抗が高いほど、共鳴室80で消音される音の周波数を低くすることができる。
【0055】
以上に説明してきた実施形態において、車両用の空調装置1で用いられる送風機2は、周方向翼列を形成する複数の翼4aを有し、モータ5の回転軸5aにより回転駆動される羽根車4を有している。また、送風機2は、羽根車4を収容する内部空間と、上記回転軸5aの軸方向に開口する吸込口6aと、羽根車4の周方向に開口する吐出口6bと、を有するスクロールハウジング6を有している。また、送風機2は、スクロールハウジング6の吸込口6aに連通する内部空間を有する空気取入ハウジング10を有している。空気取入ハウジング10には、空気取入ハウジング10の内部空間に外気を取り込むための少なくとも一つの外気取入口11と、空気取入ハウジング10の内部空間に内気を取り込むための少なくとも一つの内気取入口12と、が設けられている。また、送風機2は、上記外気取入口11及び上記内気取入口12の開閉を行う少なくとも一つの切替ドア50を有している。そして、空気取入ハウジング10には、さらに、外気取入口11よりも吸込口6a側、かつ、切替ドア50の軌道面Sに沿って設けられた連通口81を通じて空気取入ハウジング10の上記内部空間と連通する内部空間を有する共鳴室80が設けられており、切替ドア50は、外気取入口11を閉鎖しつつ上記連通口81を少なくとも部分的に閉鎖可能であり、上記連通口81の開口面積を変更可能である。
【0056】
上述した送風機2によれば、送風機2が発する騒音を、共鳴室80で低減させることができる。したがって、上記騒音が車両の室内に漏れることを抑制することができる。また、送風機2が発する騒音は、送風機2が内気モードで運転される場合に車両の室内に漏れやすいが、上述した送風機2によれば、送風機2を内気モードで運転する際、上記騒音を効果的に低減させて、上記騒音が車両の室内に漏れることを効果的に抑制することができる。具体的には、上述した送風機2によれば、送風機2を内気モードで運転する際、切替ドア50によって連通口81の開口面積を変更することができ、共鳴室80で消音される音の周波数を変更することができる。これにより、送風機2を内気モードで運転する際、送風機2が発する騒音の周波数特性が送風機2や空調装置1の運転条件等に応じて変動して、上記騒音を効果的に低減させるために共鳴室80で消音すべき音の周波数が変動しても、共鳴室80で消音すべき音を適切に消音することができる。
【0057】
さらに、上述した送風機2によれば、連通口81の開口面積は外気取入口11および内気取入口12を開閉するための切替ドア50によって調整されるので、送風機4に、連通口81の開口面積を調整するための追加のドアを設ける必要が無い。したがって、連通口81の開口面積を調整するために送風機4の構造が複雑化される、ということが防止される。
【0058】
具体的には、上述した実施形態において、切替ドア50は、空気取入ハウジング10の内面に沿って、内気取入口12を開放する第1位置と内気取入口12を閉鎖する第2位置との間を移動可能なロータリー式切替ドアである。このような切替ドア50によれば、外気取入口11を閉鎖しつつ、上記連通口81の開口面積を容易に変更可能である。
【0059】
また、以上に説明してきた実施形態において、車両用の空調装置1は、上述した送風機2と、送風機2から送り出された空気を車両の室内に吹き出す空気調和部3と、を備えている。
【0060】
また、上述した実施形態において、送風機2は、切替ドア50を制御して上記第1位置または上記第2位置に配置する制御装置60をさらに備えている。空調装置1の空気調和部3は、内部に空気が流れる空気通路3aを形成する空調ケース30を有している。空調ケース30は、スクロールハウジング6の吐出口6bに接続されて送風機2からの空気が流入する流入口31と、空気通路3aを通過した空気が吹き出される少なくとも一つの吹出通路32a,32b,32cと、を有している。また、空気調和部3は、少なくとも一つの吹出通路32a,32b,32cの各々に対して設けられ、対応する吹出通路を開放する位置と閉鎖する位置との間で移動可能な少なくとも一つの吹出通路ドア38a,38b,38cを有している。そして、制御装置60は、少なくとも一つの吹出通路ドア38a,38b,38cの位置に応じて第1位置を決定する。
【0061】
このような空調装置1によれば、送風機2を内気モードで運転する際、吹出通路ドア38a,38b,38cの位置に応じて異なる消音すべき音(言い換えると、いずれの吹出通路32a,32b,32cが開放(閉鎖)されるかに応じて異なる消音すべき音)を、適切に消音することができる。
【0062】
具体的には、少なくとも一つの吹出通路32a,32b,32cは、フット吹出通路32aと、フット吹出通路32aよりも上方に設けられた上方吹出通路(ベント吹出通路)32bと、を含んでいる。また、少なくとも一つの吹出通路ドア38a,38b,38cは、フット吹出通路32aを開放する位置と閉鎖する位置との間で移動可能なフット吹出通路ドア38aと、上方吹出通路(ベント吹出通路)32bを開放する位置と閉鎖する位置との間で移動可能な上方吹出通路ドア(ベント吹出通路ドア)38bと、を含んでいる。そして、制御装置60は、フット吹出通路ドア38aがフット吹出通路32aを閉鎖する位置にあり、且つ、上方吹出通路ドア(ベント吹出通路ドア)38bが上方吹出通路(ベント吹出通路)32bを開放する位置にある場合よりも、フット吹出通路ドア38aがフット吹出通路32aを開放する位置にあり、且つ、上方吹出通路ドア(ベント吹出通路ドア)38bが上方吹出通路(ベント吹出通路)32bを閉鎖する位置にある場合に、切替ドア50が第1位置に配置された際の連通口81の開口面積が小さくなるように、第1位置を決定する。
【0063】
一般に、送風機2が発する騒音は、空調装置1を、フット吹出通路32aが閉鎖され上方吹出通路(ベント吹出通路)32bが開放される運転モード(例えばベントモード)で運転する場合よりも、フット吹出通路32aが開放され上方吹出通路(ベント吹出通路)32bが閉鎖される運転モード(例えばフットモード)で運転する場合のほうが、消音すべき音の周波数が低い。上述した空調装置1によれば、空調装置1を、フット吹出通路32aが閉鎖され上方吹出通路(ベント吹出通路)32bが開放される運転モード(例えばベントモード)で運転する場合よりも、フット吹出通路32aが開放され上方吹出通路(ベント吹出通路)32bが閉鎖される運転モード(例えばフットモード)で運転する場合に、共鳴室80で消音される音の周波数を低くすることができる。
【0064】
あるいは、上述した実施形態において、空調装置1は、上記制御装置60を有する送風機2と、送風機2から送り出された空気を車両の室内に吹き出す空気調和部3と、を備えている。空気調和部3は、内部に空気が流れる空気通路3aを形成する空調ケース30と、空気通路3a内に、空調ケース30の内側面33aとの間に迂回路3bを形成するように配置された加熱用熱交換器36と、空気通路3a内に配置され、上記迂回路3bを開放する位置と閉鎖する位置との間で移動して、加熱用熱交換器36に向かう空気と上記迂回路3bに向かう空気との比率を調整するエアミックスドア7と、を含んでいる。そして、制御装置60は、エアミックスドア7が迂回路3bを開放する位置にある場合よりも、エアミックスドア7が迂回路3bを閉鎖する位置にある場合に、切替ドア50が第1位置に配置された際の連通口81の開口面積が小さくなるように、第1位置を決定する。
【0065】
一般に、送風機2が発する騒音は、エアミックスドア7を迂回路3bを開放する位置に配置して空調装置1を運転する場合よりも、エアミックスドア7を迂回路3bを閉鎖する位置に配置して空調装置1を運転する場合のほうが、消音すべき音の周波数が低い。上述した空調装置1によれば、エアミックスドア7が迂回路3bを開放する位置にある場合よりも、エアミックスドア7が迂回路3bを閉鎖する位置にある場合に、共鳴室80で消音される音の周波数を低くすることができる。
【0066】
あるいは、上述した実施形態において、制御装置60は、吐出口6bを流出した空気が受ける通気抵抗が高いほど切替ドア50が第1位置に配置された際の連通口81の開口面積が小さくなるように、第1位置を決定する。一般に、送風機2が発する騒音は、上記通気抵抗が低い場合と高い場合とでは、上記通気抵抗が高い場合のほうが、当該騒音を効果的に低減させるために消音すべき音の周波数が低い。したがって、上記通気抵抗が高いほど、切替ドア50が第1位置に配置された際の外気取入口11の開口面積が小さくなるように、第1位置を決定することで、上記消音されるべき音を共鳴室80で適切に消音することができる。
【0067】
<変形例1>
次に、
図7および
図8を参照して、上述の実施形態の空調装置の変形例1について説明する。
図7は、変形例1による空調装置1aの構成を模式的に示す図である。また、
図8は、共鳴室が設けられていない送風機が発する騒音の、羽根車の回転数の違いによる周波数特性の違いを示す図である。吹出しモードは、フットモードである。
【0068】
図7および
図8に示す変形例1では、
図1乃至
図6に示す一実施の形態の空調装置1と比較して、制御装置60aが、モータ5の回転速度に基づいて切替ドア50を制御する点で異なっている。送風機2aおよび空調装置1aのその他の構成は、
図1乃至
図6に示す一実施の形態の送風機2および空調装置1と略同一である。
図7および
図8に示す変形例1において、
図1乃至
図6に示す一実施の形態と同様の部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0069】
まず、
図8を参照して、共鳴室が設けられていない送風機が発する騒音の、羽根車の回転速度の違いによる周波数特性の違いについて説明する。
図8は、上述した共鳴室が設けられていない送風機の羽根車を、2900rpmの回転速度で回転させた場合および2000rpmの回転速度で回転させた場合に、送風機の内気取入口の近傍で得られた騒音の周波数特性を示す図である。横軸は周波数を示し、縦軸は1/3オクターブ帯域幅フィルタのA特性音圧レベルを示す。
【0070】
図8に示すように、羽根車を2000rpmの回転速度で回転させた場合に得られた騒音の周波数特性曲線は、80〜6300Hzに亘って、全体としてなだらかな山を形成している。このような周波数特性を有する騒音の場合、音圧レベルが最も高い周波数の音(
図8に示す例では800Hz近傍の音)を消音すれば、騒音を効果的に低減させることができる。一方で、羽根車を2900rpmの回転速度で回転させた場合に得られた騒音の周波数特性曲線は、130Hz近傍で鋭いピークを形成し、その他の周波数帯域では、全体としてなだらかな山を形成している。このような周波数特性を有する騒音の場合、音圧レベルが鋭いピークを形成する130Hz近傍の音が耳障りな音として知覚される。したがって、130Hz近傍の音を消音すれば、騒音を効果的に低減させることができる。
【0071】
このように、送風機が発する騒音の特性は、羽根車の回転速度によって異なり、したがって、消音すべき音の周波数も、羽根車の回転速度によって異なる。そして、
図8に示すように、羽根車の回転速度が速い場合と遅い場合とでは、速い場合の方が消音すべき音の周波数が低い。
【0072】
この点を考慮して、変形例1の制御装置60aは、羽根車4を回転させるモータ5の回転速度に応じて第1位置を決定する。
【0073】
具体的には、制御装置60aは、モータ5の回転速度が速いほど切替ドア50が第1位置に配置された際の連通口81の開口面積が小さくなるように、第1位置を決定する。これにより、上述した式から理解されるように、送風機2aを内気モードで運転する際、モータ5の回転速度が速いほど、共鳴室80で消音される音の周波数を低くすることができる。
【0074】
なお、
図7に示す例では、制御装置60aは、モータ制御部8aから得られる情報に基づいて、モータ5の回転速度を判断する。
【0075】
このように、変形例1による送風機2aにおいて、制御装置60aは、モータ5の回転速度が速いほど切替ドア50が第1位置に配置された際の連通口81の開口面積が小さくなるように、第1位置を決定する。一般に、送風機2が発する騒音は、モータ5の回転速度が速いほど、消音すべき音の周波数が低い。上述した送風機2aによれば、送風機2aを内気モードで運転する際、モータ5の回転速度が速いほど、上記共鳴室80で消音される音の周波数を低くすることができる。
【0076】
<変形例2>
次に、
図9を参照して、上述の実施形態の空調装置の変形例2について説明する。
図9は、変形例2による空調装置1bの構成を模式的に示す図である。
【0077】
図9に示す変形例2では、
図1乃至
図6に示す一実施の形態の送風機2と比較して、送風機2bが騒音検出手段65を有しており、制御装置60bが、騒音検出手段65の検出結果に基づいて第1位置を決定することができるようになっている点で異なっている。送風機2bおよび空調装置1bのその他の構成は、
図1乃至
図6に示す一実施の形態の送風機2および空調装置1と略同一である。
図9に示す変形例2において、
図1乃至
図6に示す一実施の形態と同様の部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0078】
上述のように、送風機2bは、騒音レベルを検出する騒音検出手段65をさらに有している。
図9に示す例では、騒音検出手段65は、内気取入口12の近傍に配置され、内気取入口12における騒音レベルを周波数毎に検出する。そして、制御装置60bは、騒音検出手段65により検出された周波数毎の騒音レベルに応じて、第1位置を決定する。具体的には、上記騒音を効果的に低減させるために消音すべき音の周波数が低いほど、切替ドア50が第1位置に配置された際の連通口81の開口面積が小さくなるように、第1位置を決定する。
【0079】
このように、変形例2による送風機2bは、内気取入口12における騒音レベルを周波数毎に検出する騒音検出手段65をさらに備えている。そして、制御装置60bは、騒音検出手段65により検出された周波数毎の騒音レベルに応じて、第1位置を決定する。このような送風機2bによれば、送風機2bを内気モードで運転する際、送風機2bが発する騒音の中の消音すべき音を、共鳴室80で適切に消音することができる。
【0080】
<変形例3>
次に、
図10および
図11を参照して、上述の実施形態の空調装置の変形例3について説明する。
図10は、変形例3による送風機2cの空気取入ハウジング10cを模式的に示す断面図である。また、
図11は、空気取入ハウジング10の切替ドア55の分解斜視図である。
【0081】
図10および
図11に示す変形例3では、
図1乃至
図6に示す一実施の形態の送風機2と比較して、切替ドア55がスライド式切替ドアである点で異なっている。また、共鳴室80の内部にリブ70が配置されている点で異なっている。送風機2bおよび空調装置1bのその他の構成は、
図1乃至
図6に示す一実施の形態の送風機2および空調装置1と略同一である。
図10および
図11に示す変形例3において、
図1乃至
図6に示す一実施の形態と同様の部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0082】
まず、切替ドア55について説明する。上述したように、切替ドア55は、スライド式切替ドアと呼ばれる形式のものである。
図10および
図11から理解されるように、切替ドア55は板状部材であり、空気取入ハウジング10cの内気取入口12および外気取入口11に近接する軌道面Sc上を、空気取入ハウジング10cの内面に沿って移動する。切替ドア55は、内気取入口12を開放し外気取入口11を閉鎖する第1位置(
図9において実線で示す位置)と、内気取入口12を閉鎖して外気取入口11を開放する第2位置(
図9において破線で示す位置)との間を移動可能である。
【0083】
より具体的には、切替ドア55は、空気取入ハウジング10c内の内気取入口12および外気取入口11に近接する位置に設けられたスロットまたはレールからなるドア支持部(図示せず)に挿入されて、上記第1位置と上記第2位置との間を移動可能に保持されている。切替ドア55の一方の面(内気取入口12または外気取入口11に対面する側とは反対側の面)55mには、ラック55aが設けられている。ラック55aは、切替ドア55の移動方向の一側に位置する一端縁55fから、他側に位置する他端縁55rに亘って延びている。また、空気取入ハウジング10c内には、上記切替ドア55の一方の面55mに対面して、左右方向に延びるシャフト56が設けられている。シャフト56の外周面には、上記ラック55aと噛み合うピニオン56aが設けられている。そして、シャフト57を周方向に回転させると、ピニオン56aとラック55aを介して切替ドア55が駆動され、上記第1位置と上記第2位置との間をスライドするようになっている。シャフト56は、図示しないアクチュエータによって、回転駆動される。
【0084】
次に、共鳴室80の内部に配置されたリブ70について説明する。図示された例では、リブ70は、板状の部材であり、連通口81が設けられた壁部82から、共鳴室80の内部空間に向かって、切替ドア55の軌道面Scに交差する方向に延びている。リブ70は、共鳴室80の内側面80a(より具体的には、内側面80aのうち上方に位置する上方面80au)に沿って延びている。リブ70は、その空気取入ハウジング10cの内部空間側の端部が、第1位置に配置された切替ドア55の下端縁(図示された例では、上記一端縁55f)に沿うように配置される。また、リブ70は、上記内側面80aの上方面80auとの間に、通路71を形成している。通路71は、一方の端部が空気取入ハウジング10cの内部空間に向けて開放され、他方の端部が共鳴室80の内部空間に向けて開放されている。
【0085】
リブ70の長さL70は、上述した式における開口の長さLに対応する。したがって、このような空気取入ハウジング10cによれば、上述した式から理解されるように、リブ70の長さL70を調節することにより、共鳴室80で消音される音の周波数を調節することができる。すなわち、共鳴室80で消音される音の周波数を、連通口81が設けられた壁部82の厚さに依存させることなく、騒音を低減させることができる。なお、長さL70を長くするほど、共鳴室80で消音される音の周波数を小さくすることができる。
【0086】
このように、変形例3による送風機2cでは、切替ドア55は、空気取入ハウジング10cの内面に沿って、内気取入口12を開放する第1位置と内気取入口12を閉鎖する第2位置との間を移動可能なスライド式切替ドアである。このような切替ドア55によっても、外気取入口11を閉鎖しつつ、連通口81の開口度を変更することができる。
【0087】
また、変形例3による送風機2cでは、共鳴室80の内部に、切替ドア55の軌道面Scに交差して延び、共鳴室80の内側面80aとの間に、一方の端部が空気取入ハウジング10cの内部空間に向けて開放され、他方の端部が共鳴室80の内部空間に向けて開放された通路を形成するリブ70が配置されている。このような送風機2cによれば、リブ70の長さL70を調節することにより、共鳴室80で消音される音の周波数を調節することができる。
【0088】
<変形例4>
次に、
図12および
図13を参照して、上述の実施形態の空調装置の変形例4について説明する。
図12は、変形例4による送風機2dの空気取入ハウジング10dを模式的に示す断面図である。また、
図13は、
図12のI−I線に沿った空気取入ハウジング10dの断面を示す図である。
【0089】
図12および
図13に示す変形例4では、
図1乃至
図6に示す一実施の形態の空気取入ハウジング10と比較して、空気取入ハウジング10dに複数の共鳴室85,86が設けられている点で異なっている。空気取入ハウジング10dおよび送風機2dのその他の構成は、
図1乃至
図6に示す一実施の形態の空気取入ハウジング10および送風機2と略同一である。
図12および
図13に示す変形例4において、
図1乃至
図6に示す一実施の形態と同様の部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0090】
上述したように、
図12および
図13に示す例において、送風機2dは、複数の共鳴室85,86を有している。各共鳴室85,86は、空気取入ハウジング10dの内部空間と連通口87,88を通じて連通する内部空間を有している。連通口87,88は、外気取入口11よりもスクロールハウジング6の吸込口6a側に、切替ドア50の軌道面Sに沿って設けられている。図示された例では、送風機2dは、第1共鳴室85および第2共鳴室86を有している。第1共鳴室85および第2共鳴室86は、外気取入ダクト20の下方に左右方向(切替ドア50の移動方向と交差する方向)に並んで設けられ、その内部空間は隔壁90によって隔てられている。また、第1共鳴室85および第2共鳴室86の内部空間と空気取入ハウジング10cの内部空間とは、それぞれ、壁部82a,82bによって仕切られている。第1共鳴室85および第2共鳴室86の容積は、互いに異なる。第1共鳴室85および第2共鳴室86は、それぞれ、空気取入ハウジング10dの内部空間に開口する第1連通口87および第2連通口88を有している。第1連通口87および第2連通口88は、それぞれ、壁部82a,82bの、外気取入口11の下方かつフィルタ13の上方となる領域に設けられている。第1連通口87および第2連通口88は、左右方向(切替ドア50の移動方向と交差する方向)に並んでいる。
【0091】
第1共鳴室85および第2共鳴室86の容積は、それぞれ、上述した式における共鳴室の容積Vに対応する。したがって、このような送風機2dによれば、上述した式から理解されるように、第1共鳴室85および第2共鳴室86で、互いに異なる周波数の音を消音することができる。すなわち、第1共鳴室85および第2共鳴室86によって、送風機2dが発する騒音を、より広い周波数帯域に亘って低減させることができる。
【0092】
なお、図示された例では、第1共鳴室85および第2共鳴室86の容積が異なっており、さらに、第1連通口87および第2連通口88の大きさ(最大開口面積)が異なっているが、第1連通口87および第2連通口88の大きさは等しくてもよい。また、第1共鳴室85および第2共鳴室86の容積が互いに等しく、第1連通口87および第2連通口88の大きさ(最大開口面積)が互いに異なっていてもよい。第1連通口87および第2連通口88の大きさが互いに異なっていることにより、切替ドア50が第1位置に配置された際の第1連通口87および第2連通口88の開口面積を互いに異ならせることができる。ここで、第1連通口87および第2連通口88の開口面積は、それぞれ、上述した式における共鳴室の開口の開口面積Aに対応する。したがって、第1共鳴室85および第2共鳴室86の容積が等しくても、第1連通口87および第2連通口88の開口面積を互いに異ならせることにより、第1共鳴室85および第2共鳴室86で消音される音の周波数を互いに異ならせることができる。
【0093】
また、図示された例では、第1連通口87および第2連通口88は左右方向(切替ドア50の移動方向と交差する方向)に並び、切替ドア50の第1位置を変更すると、第1連通口87および第2連通口88の開口面積はいずれも変更される。しかしながら、これに限られない。第1連通口87および第2連通口88は切替ドア50の移動方向(図示された例では上下方向)に並び、切替ドア50の第1位置を変更すると第1連通口87および第2連通口88の一方の開口面積のみが変更されてもよい。
【0094】
このように、変形例4による送風機2dは、共鳴室85,86を複数有し、複数の共鳴室85,86の容積は互いに異なる。このような送風機2dによれば、第1共鳴室85および第2共鳴室86で、互いに異なる周波数の音を消音することができる。したがって、送風機2dが発する騒音を、より広い周波数帯域に亘って、低減させることができる。