(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0010】
図1は、一実施形態に係るインクジェットプリンタ(以下、プリンタと呼ぶ。)10を示す斜視図である。以下の説明では、特に断らない限り、プリンタ10を正面から見たときに、プリンタ10から遠ざかる方を前方、プリンタ10に近づく方を後方とする。左、右、上、下とは、プリンタ10を正面から見たときの左、右、上、下をそれぞれ意味するものとする。また、図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を意味するものとする。ただし、上記方向は説明の便宜上定めた方向に過ぎず、プリンタ10の設置態様を何ら限定するものではなく、本発明を何ら限定するものでもない。
【0011】
図面中の符号Yは主走査方向を示している。主走査方向Yは左右方向である。符号Xは、副走査方向を示している。副走査方向Xは前後方向である。符号Zは、上下方向を示している。主走査方向Yと副走査方向Xと上下方向Zとは、互いに直交している。ただし、主走査方向Y、副走査方向Xおよび上下方向Zは特に限定されず、プリンタ10の形態に応じて適宜に設定可能である。
【0012】
本実施形態では、プリンタ10は、インクジェット方式のプリンタである。本実施形態において、「インクジェット方式」とは、二値偏向方式または連続偏向方式などの各種の連続方式、および、サーマル方式または圧電素子方式などの各種のオンデマンド方式を含む従来公知の各種の手法によるインクジェット式のことをいう。
【0013】
図1に示すように、プリンタ10は、箱状に形成されている。本実施形態では、プリンタ10は、ケース11と、フロントカバー12とを備えている。
図2は、フロントカバー12を開けた状態のプリンタ10を示す正面図である。
図2に示すように、ケース11の前部には、開口が形成されている。フロントカバー12は、ケース11の開口を開閉自在に設けられている。ここでは、フロントカバー12は、後端を軸に回転可能なように、ケース11に支持されている。フロントカバー12には、窓部12aが設けられている。窓部12aは、例えば、透明のアクリル板によって形成されている。ユーザーは、窓部12aを通じてケース11の内部空間を視認することが可能である。
【0014】
図2に示すように、プリンタ10の内部空間には、テーブル20と、テーブル移動機構25と、キャリッジ30と、キャリッジ移動機構40と、複数のインクヘッド50と、光照射装置60と、キャッピングユニット70と、制御装置80(
図1参照)と、ワイピングユニット100とが設けられている。
【0015】
テーブル20には、記録媒体5が載置される。本実施形態に係るプリンタ10は、いわゆる、フラットベッドタイプのプリンタである。テーブル20は、ケース11の内部空間において、主走査方向Yのほぼ中央に配置されている。テーブル20は、平板状の部材である。テーブル20は、平面を上下方向Zに向けて設置されている。図示は省略するが、テーブル20には、記録媒体5を吸引して固定するための孔が複数設けられている。複数の孔は、テーブル20を上下方向に貫通している。テーブル20の下方には、例えば、図示しないファンが設置されている。ファンは、これら複数の孔から空気を吸引することによって、記録媒体5を吸着する。記録媒体5の形状は特に限定されず、平板状の他、様々な立体形状を有していてもよい。また、記録媒体5の材質も特に限定されず、記録媒体5は、例えば、木、金属、ガラス、紙、布などであってもよい。
【0016】
テーブル20の下方には、テーブル移動機構25が配置されている。テーブル移動機構25は、テーブル20を副走査方向Xおよび上下方向Zに移動させる部材である。テーブル20は、テーブル移動機構25によって下方から支持されている。テーブル移動機構25は、副走査方向移動機構25Xと、上下方向移動機構25Zとを備えている。上下方向移動機構25Zは、テーブル20を支持して上下方向Zに移動させる部材である。ここでは、上下方向移動機構25Zは、図示しないボールねじ機構を備えている。ボールねじ機構は、図示しないZ軸方向モータによって駆動される。上下方向移動機構25Zは、副走査方向移動機構25Xによって下方から支持されている。副走査方向移動機構25Xは、上下方向移動機構25Zを支持して副走査方向Xに移動させる部材である。ここでは、副走査方向移動機構25Xは、図示しないボールねじ機構を備えている。ボールねじ機構は、図示しないX軸方向モータによって駆動される。ただし、テーブル移動機構25の構成は限定されない。例えば、副走査方向移動機構25Xおよび上下方向移動機構25Zを移動させる機構は、ボールねじ機構でなくてもよい。その動力はモータでなくてもよい。副走査方向移動機構25Xと上下方向移動機構25Zとは、上下の位置関係が逆でもよい。テーブル移動機構25のX軸方向モータおよびZ軸方向モータは、制御装置80と電気的に接続され、制御装置80によって制御されている。
【0017】
キャリッジ30は、複数のインクヘッド50と光照射装置60とを搭載している。キャリッジ30は、テーブル20の上方に設けられ、主走査方向Yに移動可能に構成されている。キャリッジ30は、キャリッジ移動機構40によって移動される。キャリッジ移動機構40は、キャリッジ30を主走査方向Yに移動させる機構である。キャリッジ移動機構40は、ガイドレール41と、ベルト42と、図示しない左右のプーリと、図示しないY軸方向モータとを備えている。
【0018】
ガイドレール41は、キャリッジ30を主走査方向Yにガイドする。
図2に示すように、ガイドレール41は、主走査方向Yに延びている。キャリッジ30は、ガイドレール41に摺動自在に係合している。
【0019】
キャリッジ30には無端状のベルト42が固定されている。ベルト42は、ガイドレール41の右側および左側に設けられたプーリに巻き掛けられている。一方のプーリにはY軸方向モータが取り付けられている。Y軸方向モータは、制御装置80と電気的に接続され、制御装置80によって制御されている。Y軸方向モータが駆動するとプーリが回転し、ベルト42が走行する。それにより、キャリッジ30がガイドレール41に沿って主走査方向Yに移動する。
【0020】
複数のインクヘッド50は、キャリッジ30に搭載されている。複数のインクヘッド50は、ここでは、キャリッジ30の下面に設けられている。
図3は、キャリッジ30の下面の構成を模式的に示す平面図である。
図3に示すように、複数のインクヘッド50は、主走査方向Yに並んで配置されている。複数のインクヘッド50は、いずれも副走査方向Xに延びている。
【0021】
複数のインクヘッド50は、それぞれ、副走査方向Xに並ぶ複数のノズル51を備えている。ノズル51は、インクが吐出される微細な穴である。複数のノズル51は、インクヘッド50の下面に形成されている。インクヘッド50の下面は、複数のノズル51が形成されたノズル面50aを構成している。各インクヘッド50において、複数のノズル51は、副走査方向Xに並んでノズル列52を形成している。ノズル列52は、副走査方向Xに延びている。なお、ここでは、各インクヘッド50におけるノズル列52の数は1列であったが、2列以上でもよい。また、
図3では、ノズル列52を形成するノズル51の数は10個に図示されているが、実際にはもっと多数(例えば300個)形成されている。ノズル列52を形成するノズル51の数は限定されない。
【0022】
ノズル51は、それぞれ、インクが貯留される圧力室に連通している。インクは、例えば圧電素子等の駆動によって圧力室が膨張/収縮されることによってノズル51から吐出される。圧電素子等は、制御装置80に電気的に接続され、制御装置80によって制御されている。
【0023】
複数のインクヘッド50には、それぞれ、図示しないインクチューブによってインクカートリッジ55(
図2参照)が接続されている。複数のインクヘッド50には、それぞれ異なるインクカートリッジ55が接続されている。本実施形態では、インクヘッド50から吐出されるインクは、いずれも光硬化性インクである。光硬化性インクは、ここでは、紫外線を照射されると硬化する紫外線硬化型のインクである。光硬化性インクの成分、特性等は特に限定されない。また、吐出されるインクの色も限定されない。複数のインクヘッド50から吐出されるインクは、例えば、CMYKのプロセスカラーインクや、クリアインク、ホワイトインク等の特色インクである。
【0024】
図3に示すように、光照射装置60は、キャリッジ30に設けられている。光照射装置60は、光硬化性インクを硬化させる光を照射する装置である。光照射装置60は、図示しない光源と、照射口61を備えている。光照射装置60は、照射口61から下方に向けて光を照射する。光照射装置60は、副走査方向Xに延びている。光照射装置60は、ここでは、インクヘッド50の左方に配置されている。ただし、光照射装置60は、キャリッジ30の右方に配置されていてもよい。あるいは、左右両方に配置されていてもよい。光照射装置60は、制御装置80に電気的に接続され、制御装置80によって制御されている。
【0025】
図2に示すように、キャッピングユニット70は、プリンタ10の右端部付近に設けられている。キャリッジ移動機構40は、キャリッジ30をキャッピングユニット70の上方に移動させることができるように構成されている。
図2に示すように、キャッピングユニット70は、複数のキャップ71と、キャップ移動機構72と、吸引ポンプ73とを備えている。
【0026】
複数のキャップ71は、それぞれ、1つのインクヘッド50のノズル面50aに装着可能に構成されている。キャップ71は、インクヘッド50と同数設けられている。複数のキャップ71は、主走査方向Yに並んでいる。各キャップ71は、上部が開口した有底の箱状の形状を有している。複数のキャップ71は、それぞれ、例えば、ゴム等によって形成されている。キャップ71がインクヘッド50に装着されると、キャップ71はインクヘッド50のノズル面50aに密着し、ノズル面50aはキャップ71に覆われる。キャップ71は、インクヘッド50に装着されることによって、インクヘッド50を保護している。また、ノズル51やノズル面50aを乾燥から守っている。
【0027】
キャップ移動機構72は、複数のキャップ71を上下方向に移動可能に支持している。キャップ移動機構72は、キャップ71を上昇させることにより、キャップ71をインクヘッド50に装着する。また、キャップ71を下降させることにより、キャップ71をインクヘッド50から離間する。キャップ移動機構72は、例えば、ボールねじ機構と、駆動モータとを備えている。駆動モータが駆動すると、ボールねじ機構によって、キャップ71が上下方向に移動される。
【0028】
複数の吸引ポンプ73は、それぞれ、1つのキャップ71に接続されている。吸引ポンプ73は、キャップ71の数と同数設けられている。吸引ポンプ73は、キャップ71に溜まったインクを吸引する。吸引ポンプ73は、例えば、チューブポンプである。複数の吸引ポンプ73は、それぞれ、チューブ等を介して、キャップ71の底部に接続されている。キャップ71がインクヘッド50に装着された状態で吸引ポンプ73が駆動されると、インクヘッド50のノズル51からインクが吸い出される。吸引ポンプ73に吸引されたインクは、図示しないチューブ等を介して図示しない廃液タンクに廃棄される。
【0029】
図2に示すように、本実施形態では、ワイピングユニット100は、キャッピングユニット70の左方に設けられている。
図4は、ワイピングユニット100の構成を模式的に示す平面図である。また、
図5は、ワイピングユニット100を右方から見た側面図である。
図4および
図5に示すように、ワイピングユニット100は、ワイパー110と、ワイパー移動機構130と、ワイパークリーナ200とを備えている。
【0030】
ワイパー110は、インクヘッド50のノズル面50aを拭うことが可能に構成されている。
図4および
図5に示すように、ワイパー110は、平板状の部材である。ワイパー110は、可撓性を有する材料、例えばゴムで形成されている。ワイパー110は、主走査方向Yと上下方向Zとに延びている。ワイパー110は、主走査方向Yに関して所定の幅を有している。また、ワイパー110は、上下方向Zに関して所定の高さを有している。以下では、主走査方向Yのことをワイパー110の幅方向Yとも称する。
【0031】
ワイパー110は、ワイパーホルダ120に保持されている。ワイパーホルダ120は、ワイパー110の下端を把持している。ワイパーホルダ120に保持されることにより、ワイパー110は概ね直立している。図示は省略するが、ワイパー110の上端は、インクヘッド50のノズル面50aよりも若干上方に位置している。よって、ワイパー110の上端付近の一部は、上下方向に関してインクヘッド50と重なっている。
【0032】
図4に示すように、ワイパー110およびワイパーホルダ120は、不使用時にはガイドレール41の後方に位置している。ワイパー移動機構130は、ワイパー110およびワイパーホルダ120を副走査方向Xに移動させる機構である。以下では、副走査方向Xのことをワイパー110の移動方向Xとも称する。ワイパー110の移動方向Xは、ワイパー110の幅方向Yと直交している。また、ワイパー110の移動方向Xのうち、後方のことを第1移動方向X1、前方のことを第2移動方向X2とも称する。ワイパー移動機構130は、ワイパー110をガイドレール41よりも第2移動方向X2側に移動させることができ、また、ガイドレール41よりも第1移動方向X1側に戻すこともできる。ワイパー移動機構130は、ガイドレール131と、ベルト132と、前後のプーリ133aおよび133bと、駆動モータ134とを備えている。
【0033】
ガイドレール131は、ワイパー110の移動方向Xに延びている。ワイパーホルダ120は、ガイドレール131に係合している。ワイパーホルダ120およびそれに保持されたワイパー110は、ガイドレール131に沿って移動方向Xに移動可能である。ワイパーホルダ120には、無端状のベルト132が固定されている。ベルト132は、ガイドレール131の前方側のプーリ133aおよび後方側のプーリ133bに巻き掛けられている。前方側のプーリ133aには駆動モータ134が取り付けられている。駆動モータ134は、制御装置80と電気的に接続され、制御装置80によって制御されている。駆動モータ134が駆動するとプーリ133aが回転し、ベルト132が走行する。それにより、ワイパー110がガイドレール131に沿って移動方向Xに移動する。
【0034】
ワイパークリーナ200は、不使用時のワイパー110よりも後方に設けられている。ワイパークリーナ200は、ワイパー110の移動方向Xにワイパー110と並んで設けられている。ワイパークリーナ200は、ワイパー110の可動範囲内に配置されている。よって、ワイパー移動機構130は、ワイパー110をワイパークリーナ200のクリーニング面252a、252b(
図5参照)よりも第1移動方向X1側にも第2移動方向X2側にも位置させることができる。
【0035】
図6は、ワイパークリーナ200の斜視図である。
図6に示すように、ワイパークリーナ200は、ケース210と、吸収体アッセンブリ220とを備えている。また、
図7は、ケース210から吸収体アッセンブリ220を引き出した状態を示す斜視図である。吸収体アッセンブリ220は、ワイパー110の移動方向Xにスライドさせることによって、ケース210に挿入され、またはケース210から引き出されるように構成されている。
【0036】
ケース210は、下方および前後方向が開放された箱状に形成されている。
図6に示すように、ケース210は、天板211と、左側板212と、右側板213とを備えている。ケース210は、ワイパー110の移動方向Xに向かって見ると、下方が開いた略コの字形状を有している。
【0037】
ケース210の下方の開口には、ガイド214が形成されている。ガイド214は、左側板212の下端からケース210の内方(右方)に向かって張り出した左方ガイド214aと、右側板213の下端からケース210の内方(左方)に向かって張り出した右方ガイド214bとから構成されている。左方ガイド214aは、左側板212の下端に沿ってワイパー110の移動方向Xに延びている。右方ガイド214bは、右側板213の下端に沿ってワイパー110の移動方向Xに延びている。ガイド214は、吸収体アッセンブリ220を移動方向Xにスライドさせてケース210に挿入する際の下方側のガイドである。また、吸収体アッセンブリ220がケース210に対して下方に移動するのを規制する規制部材でもある。吸収体アッセンブリ220は、ケース210に挿入される際には、規制部材としてのガイド214の上面に当接する。それにより、吸収体アッセンブリ220がガイド214よりも下方に移動することが規制される。
【0038】
天板211は、吸収体アッセンブリ220を移動方向Xにスライドさせてケース210に挿入する際には、上方側のガイドとして機能する。また、天板211は、吸収体アッセンブリ220がケース210に対して上方に移動するのを規制する第2の規制部材でもある。吸収体アッセンブリ220は、ケース210に挿入される際には、第2の規制部材としての天板211の下面に当接する。それにより、吸収体アッセンブリ220が天板211よりも上方に移動することが規制される。
【0039】
天板211には、取付板215が設けられている。取付板215は、天板211の前端から上方に延びている。取付板215は、プリンタ10にケース210を取り付ける際に、プリンタ10に固定される部位である。取付板215には、2つの長孔215aが形成されている。2つの長孔215aは、幅方向Yに並んで設けられている。長孔215aは、取付板215を移動方向Xに貫通している。長孔215aは、上下方向に長い扁平な形状を有している。長孔215aの上端は、取付板215の上端に達している。長孔215aは、上方に切り抜けている。長孔215aには、プリンタ10にケース210を固定するボルト101(
図5参照)が挿入される。ボルト101はプリンタ10に締結されることにより長孔215aの周囲を押さえ、ケース210をプリンタ10に固定する。
【0040】
取付板215には、ラッチ216が設けられている。ラッチ216は、途中で略直角に曲げられた板状の形状を有している。ラッチ216は、上下方向に延びる取付部216aと、ワイパー110の移動方向Xに延びるラッチ部216bとを備えている。取付部216aは、取付板215に固定されている。ラッチ部216bは、取付部216aの下端から天板211の上面に沿って第1移動方向X1に延びている。
図5に示すように、ラッチ部216bは、下方に向かって波打つように曲げられた湾曲部216b1を有している。天板211には、
図6に示すように、湾曲部216b1に対応する部分にラッチ孔211aが設けられている。湾曲部216b1は、天板211のラッチ孔211aから、ケース210の内部に張り出している。ラッチ216は、金属板等によって形成され、弾性を有している。
【0041】
吸収体アッセンブリ220は、インクを吸収する吸収体250を所定の形状に形成している。吸収体アッセンブリ220は、ケース210の前方側の開口からケース210に挿入されるように構成されている。吸収体アッセンブリ220は、第1部材230と、第2部材240と、吸収体250とを備えている。
【0042】
第1部材230は、上方が開口した箱状の形状を有している。
図5および
図7に示すように、第1部材230の底面231には、開口部232が形成されている。開口部232は、扁平な貫通孔であり、ワイパー110の幅方向Yに延びている。開口部232の幅方向Yの長さは、ワイパー110の幅方向Yの長さよりも長く構成されている。開口部232の移動方向Xの長さは、吸収体250の厚さの2倍または2倍程度に設定されている。
【0043】
第2部材240は、第1部材230の上方に設けられている。第2部材240は、一部が曲げられた平板状の形状を有している。第2部材240は、第1部材230の上方で回動するように構成されている。
図5に示すように、吸収体アッセンブリ220は、それを中心に第2部材240を回動させる軸部221を備えている。軸部221は、第1部材230の後端に設けられている。軸部221の回動軸は、幅方向Yに延びている。軸部221には、第2部材240の後端が接続されている。第1部材230と第2部材240とは、軸部221を介して回動可能に接続されている。
【0044】
第2部材240は、下方に向かって凸した凸部241を備えている。凸部241は、第2部材240の一部が下方に向かって凸するように曲げられた部分である。凸部241は、第2部材240を第1部材230に対向させたときに開口部232に対向するように設けられている。凸部241は、幅方向Yに向かって見たときに凸部241の凸方向(ここでは下方)に向かうほど移動方向Xの長さが狭まるような形状に形成された先端部241aを備えている。幅方向Yに向かって見ると、凸部241は、先端部241aを1つの頂点とする三角形の2辺の形状を有している。先端部241aの頂点の移動方向Xに関する位置は、開口部232の移動方向Xに関する中心線と一致している。凸部241は、この断面形状を保ったまま、ワイパー110の幅方向Yに延びている。凸部241の幅方向Yの長さは、開口部232の幅方向Yの長さと同じか、または少し短い。
【0045】
先端部241aの角度は、特に限定されない。先端部241aの角度は、例えば、吸収体250の硬さや厚さ、開口部232の移動方向Xに関する長さ(短手の長さ)、ワイパー110の硬さや厚さなどに応じて適宜に設定されてよい。
【0046】
図6に示すように、第2部材240には、吸収体挿入孔242が形成されている。吸収体挿入孔242は、凸部241の前方に形成されている。吸収体挿入孔242は、第2部材240を貫通する矩形の孔である。吸収体挿入孔242には、吸収体250の段部251が挿入される。これについては後述する。
【0047】
図7に示すように、第2部材240には、ラッチ受部243が形成されている。ラッチ受部243は、凸部241の後方に形成されている。ラッチ受部243は、第2部材240を貫通する矩形の孔である。吸収体アッセンブリ220をケース210に装着する際、ラッチ受部243には、ラッチ216の湾曲部216b1が係合する。これについても後述する。
【0048】
吸収体250は、インクを吸収可能であって、かつ可撓性を有する材料で構成されている。吸収体250には、インクに対する耐性を備える材料が好適に利用される。吸収体250は、例えば、多孔質スポンジである。吸収体250は、インクジェットプリンタ以外の装置に利用される場合には、液体吐出ヘッドが吐出する液体を吸収可能に構成されているとよい。
【0049】
吸収体250は、平板状の材料から構成されている。吸収体アッセンブリ220に装着された状態では、吸収体250は、変形されている。吸収体250の幅方向Yの長さは、ワイパー110の幅方向Yの長さよりも長い。また、吸収体250の幅方向Yの長さは、開口部232および凸部241の幅方向Yの長さよりも短い。よって、吸収体250は、開口部232を挿通可能である。
図7に示すように、吸収体250は、前方側の側面に段部251を備えている。段部251は、幅方向Yの長さが小さく、第2移動方向X2側に突出している。
図8および
図9は、吸収体250を第1部材230および第2部材240に装着する手順を模式的に示す側面図である。そのうち
図8は、吸収体250を第2部材240に装着した状態を示す図である。
図9は、
図8の状態から第2部材240を回動させ、吸収体250を第1部材230に密着させた状態を示す図である。
図8に示すように、吸収体250は、段部251を吸収体挿入孔242に挿入することにより、第2部材240に装着される。
【0050】
吸収体250を装着または取り外ししようとする場合、第2部材240は、
図5等に示される第1部材230と向き合った位置から移動される。詳しくは、第2部材240は、前端が第1部材230の前端から離反するように軸部221を中心に回動され、
図8に示すような位置に移動される。以下、この状態を「第2部材240が開いている」と言い、このような状態にすることを「第2部材240を開く」と言う。
図8に示すように、吸収体250は、第2部材240が開いた状態で、第2部材240に装着される。第2部材240が開いた状態は、吸収体250を第1部材230および第2部材240に対して着脱自在な状態である。
【0051】
図9に示すように、
図8の状態から第2部材240を下方に向かって回動させると、吸収体250は、第1部材230と第2部材240とに挟まれる。以下では、この第2部材240が略水平に配置され、第1部材230と対向している状態を「第2部材240が閉じている」と言い、このような状態にすることを「第2部材240を閉じる」と言う。第2部材240は、軸部221を中心に回動することによって、吸収体250を押圧する位置(
図9参照)と、吸収体250を解放する位置(
図8参照)との間を移動する。
図9に示すように、第2部材240が閉じられた状態において、吸収体250は、第1部材230と第2部材240との間に配置される。このとき、吸収体250の一部、詳しくは、吸収体250のうち開口部232の上方の部分には、第2部材240の凸部241が上方から接触している。
【0052】
図9に示すように、第2部材240を閉じた状態で、下方に向かって第2部材240を押圧すると、吸収体250が第1部材230と第2部材240とに挟まれて変形される。第2部材240が第1部材230の側に向かって押圧されると、第2部材240の凸部241は、吸収体250を第1部材230の開口部232側に押圧する。すると、吸収体250の凸部241と開口部232とに挟まれた部分は、凸部241に押圧されて変形する。詳しくは、凸部241の形状に倣うように下方に凸な形状に変形される。その結果、吸収体250の凸部241と開口部232とに挟まれた部分の一部は、開口部232から凸部241の凸方向(ここでは下方)に向かって突出して、突出部252を構成する。突出部252は、吸収体250のうち、第1部材230の開口部232よりも下方に突出した部分である。
【0053】
第2部材240は、ケース210の天板211によって第1部材230の側に押圧される。天板211は、第2部材240を第1部材230の側に向かって押圧する押圧部材としての機能を有している。第2部材240は、押圧部材としての天板211によって第1部材230の側に押圧されることによって、吸収体250を第1部材230の側に押圧する。
【0054】
吸収体アッセンブリ220をスライドさせてケース210に挿入すると、第2部材240の上面は、天板211の下面に当接する。このとき、第2部材240は、吸収体250を変形させながら、閉じる方向に回動する。第1部材230は、ケース210の下端に設けられたガイド214に当接し、下方への移動が規制されている。第2部材240は、第1部材230がガイド214に当接し、第2部材240が天板211に当接した状態において、吸収体250を押圧し変形させる。天板211は、それ自体不動であるが、吸収体250が変形されて発生する復元力を押し返すことによって、吸収体250を押圧し変形させる押圧部材として機能している。
【0055】
吸収体アッセンブリ220をケース210に挿入していくと、ラッチ216の湾曲部216b1は、第2部材240のラッチ受部243に係合される。ユーザーは、ラッチ216がラッチ受部243に係合することによって、吸収体アッセンブリ220がケース210に適正に装着されたことを認識する。また、ラッチ216は、吸収体アッセンブリ220をケース210に固定し、吸収体アッセンブリ220がケース210から容易に脱落することを防止している。しかし、吸収体アッセンブリ220を第2移動方向X2に引き抜けば、ラッチ216はラッチ受部243から簡単に外れる。よって、ユーザーは、ケース210への吸収体アッセンブリ220の着脱を容易に行うことができる。
【0056】
上記のようにして吸収体250がワイパークリーナ200に装着されると、吸収体250の一部は、ケース210の下面よりも下方に突出した突出部252を形成する。
図5に示すように、ワイパー110は、ワイパークリーナ200の開口部232よりも下方に設けられている。かつ、ワイパー110は、その上部が吸収体250の突出部252に接触しうるような高さに設けられている。ワイパー110の上端の高さは、少なくとも開口部232よりも低く、突出部252の先端(下端)よりも高い。ワイパー移動機構130は、ワイパー110が吸収体250の突出部252に接触するようにワイパー110を移動させる。
【0057】
図5に示すように、突出部252は、ワイパー110の移動方向Xを向くとともに幅方向Yに延びる2つのクリーニング面252aと252bとを備えている。そのうち、第1クリーニング面252aは、第2移動方向X2側を向いており、ワイパー110の第1移動方向X1に向いた面(以下、第1ワイパー面110aと言う)をクリーニングする。第2クリーニング面252bは、第1移動方向X1側を向いており、ワイパー110の第2移動方向X2に向いた面(以下、第2ワイパー面110bと言う)をクリーニングする。
【0058】
図5に示すように、第1クリーニング面252aは、突出部252の突出方向(ここでは下方)に向かうにつれて第1移動方向X1(後方)に向かうような傾斜を有している。第1クリーニング面252aは、後方に向かって下降する傾斜を有している。また、第2クリーニング面252bは、突出部252の突出方向(ここでは下方)に向かうにつれて第2移動方向X2(前方)に向かうような傾斜を有している。第2クリーニング面252bは、前方に向かって下降する傾斜を有している。前述したように、開口部232の移動方向Xに関する中心線と、凸部241の先端部241aの移動方向Xに関する位置とは、第2部材240が閉じた状態では一致している。よって、第1クリーニング面252aと第2クリーニング面252bとは、上記開口部232の中心線に対して概ね対称な形状に形成されている。第1クリーニング面252aおよび第2クリーニング面252bは、若干曲面に形成されている。より詳しくは、第1クリーニング面252aは、第2移動方向X2側に凸した曲面をなし、第2クリーニング面252bは、第1移動方向X1側に凸した曲面をなしている。
【0059】
突出部252とワイパー110が接触する程度、言い換えれば、ワイパー110の上端と開口部232との間のギャップは、ケース210の取付板215に設けられた長孔215aによって調整される。
図5に示すように、ワイピングユニット100は、ワイパークリーナ200を固定するボルト101が締結されるタップ102を備えている。ボルト101は、長孔215aに挿通された上で、タップ102に締結される。ワイパークリーナ200は、ボルト101が締め切られない状態では、長孔215aの範囲内で上下方向に移動可能である。これにより、ワイパー110の上端と開口部232との間のギャップが調整される。ただし、ワイパー110の上端と開口部232との間のギャップを調整する機構は、このようなものに限定されない。ワイパー110の上端と開口部232との間のギャップを調整する位置調整機構は、突出部252の突出方向およびその逆方向にワイパー110またはワイパークリーナ200を移動させることが可能に構成されていれば足り、それ以上限定されない。例えば、位置調整機構は、ワイパー110の高さを調整するように構成されていてもよい。また、高さの調整手段は長孔に限らず、例えば、上下方向に挿入され、回転させると上下方向に移動するネジを利用したものであってもよい。
【0060】
ワイパー110でインクヘッド50を拭うとき、キャリッジ30は、ワイパー110の移動経路上に移動される。ワイピングのプロセスは特に限定されないが、例えば1つの好適なプロセスでは、最初にワイパー110がガイドレール41よりも第2移動方向X2側(前方側)に移動される。その後、キャリッジ30がワイパー110の後方に移動される。これにより、インクヘッド50は、ワイパー110の移動経路上に位置する。この状態から、ワイパー110が第1移動方向X1に移動される。ワイパー110の上端の位置は、インクヘッド50のノズル面50aよりも若干上方に設定されている。よって、ワイパー110の上端付近の一部は、ワイパー110の移動によりインクヘッド50のノズル面50aに接触する。このようなプロセスによれば、主にワイパー110の第1ワイパー面110aがノズル面50aを払拭する。このノズル面50aの払拭により、第1ワイパー面110aには、インクが付着する。また、第2ワイパー面110bにもインクが回り込み、付着している可能性がある。
【0061】
ワイパー110に付着したインクは、除去しないとワイパー110の表面で固化する。そうなると、ワイパー110の状態が悪化し、ワイピングの品質が低下するおそれがある。そこで、ワイパー110に付着したインクは、ワイパークリーナ200によって除去される。
【0062】
ワイパー110のクリーニングにおいては、ワイパー110は、ワイパー移動機構130によって移動され、ワイパークリーナ200に接触する。ワイパー110は、ワイピング終了時には、ワイパークリーナ200の突出部252よりも第2移動方向X2に位置している。この状態から、ワイパー移動機構130は、ワイパー110を第1移動方向X1に移動させる。それにより、ワイパー110の第1ワイパー面110aをワイパークリーナ200の第1クリーニング面252aに接触させることができる。
【0063】
ワイパー110と吸収体250の突出部252とが接触すると、両者の接触部分のインクが吸収体250に吸収される。これにより、ワイパー110に付着していたインクが除去される。
【0064】
本実施形態では、突出部252は、下方に向かって凸する立体形状を備えている。よって、ワイパー110の払拭すべき面である第1ワイパー面110aと突出部252とがワイパー110の移動方向Xに沿って向かい合い、第1ワイパー面110aが好適にクリーニングされる。本実施形態に係るワイピングユニット100によれば、平板状の吸収体250をワイパー110のクリーニングに好適な凸した立体形状に形成することが非常に簡易にできる。
【0065】
さらに、本実施形態では、突出部252の第1クリーニング面252aは、第1移動方向X1に向かって下降傾斜する形状を備えている。可撓性のワイパー110は、第1クリーニング面252aと接触すると、第1クリーニング面252aの傾斜に沿って湾曲する。そこで、第1ワイパー面110aと突出部252の接触がさらに良好なものとなり、第1ワイパー面110aのクリーニング品質が向上する。また、ワイパー110を移動させる際にワイパー110が突出部252から受ける抵抗を小さく抑えることもできる。
【0066】
ワイパー110は、この後、突出部252よりも第1移動方向X1まで移動される。第1ワイパー面110aのクリーニングが終了した時点において、ワイパー110は、ワイパークリーナ200の突出部252よりも第1移動方向X1に位置している。この状態から、ワイパー移動機構130は、ワイパー110を第2移動方向X2に移動させる。それにより、ワイパー110の第2ワイパー面110bをワイパークリーナ200の第2クリーニング面252bに接触させる。プリンタ10は、ワイパー110を第2移動方向X2に戻しながら、第1ワイパー面110aの裏面である第2ワイパー面110bをクリーニングする。本実施形態に係るワイピングユニット100は、これらのプロセスによって、ワイパー110の第1ワイパー面110aと第2ワイパー面110bの両面をクリーニングする。
【0067】
なお、吸収体挿入孔242から露出している吸収体250の段部251は、吸収体250の状態を確認するインジケータの機能も果たしている。吸収体250の段部251は、第2部材240の吸収体挿入孔242を介して外部に露出している。飽和状態近くまで吸収体250にインクが吸収されると、段部251にインクの色が現れる。ユーザーは、露出している段部251によって、吸収体250の状態を目視確認することができる。
【0068】
以上のように、本実施形態に係るワイパークリーナ200は、開口部232が形成された第1部材230と、開口部232に対向する凸部241を備えた第2部材240と、平板状の材料で構成され、第1部材230と第2部材240との間に配置された吸収体250とを備え、第2部材240は、押圧部材としての天板211によって第1部材230の側に向かって押圧されている。それにより、第2部材240の凸部241は、吸収体250を第1部材230の開口部232側に押圧し、吸収体250の少なくとも一部は、凸部241に押圧されて変形し、開口部232から凸部241の凸方向に向かって突出する突出部252を構成している。かかる構成によれば、平板状の吸収体250をワイパー110のクリーニングに好適な凸した立体形状に簡易に成形することができる。
【0069】
また、本実施形態では、ワイパークリーナ200は、ワイパー110の幅方向Yと直交する移動方向Xにワイパー110と並んで設けられており、開口部232および凸部241は、幅方向Yに延びている。そこで、突出部252には、移動方向Xを向くとともに幅方向Yに延びるクリーニング面252aおよび252bが形成される。かかる構成によれば、ワイパー110のワイパー面110aおよび110bと吸収体250のクリーニング面252aおよび252bとが移動方向Xに沿って向かい合う。よって、ワイパー面110aおよび110bを良好にクリーニングすることができる。
【0070】
さらに、本実施形態では、ワイパー移動機構130は、ワイパー110が突出部252よりも第2移動方向X2に配置された状態からワイパー110を第1移動方向X1に移動させて第1ワイパー面110aを第1クリーニング面252aに接触させる。また、ワイパー移動機構130は、ワイパー110が突出部252よりも第1移動方向X1に配置された状態からワイパー110を第2移動方向X2に移動させて第2ワイパー面110bを第2クリーニング面252bに接触させる。そして、第1クリーニング面252aは、突出部252の突出方向に向かうにつれて第1移動方向X1に向かうような傾斜を有し、第2クリーニング面252bは、突出部252の突出方向に向かうにつれて第2移動方向X2に向かうような傾斜を有している。かかる構成によれば、ワイパー110の両面(第1ワイパー面110a、第2ワイパー面110b)をクリーニングすることができる。さらに、かかる構成によれば、ワイパー110がクリーニング面252aおよび252bに沿って撓むため、ワイパー面110a、110bとクリーニング面252a、252bの接触がそれぞれ良好なものとなり、クリーニング品質が向上する。また、ワイパー110を移動させる際に突出部252から受ける抵抗を小さく抑えることもできる。
【0071】
本実施形態では、第2部材240の凸部241は、幅方向Yに向かって見たときに凸部241の凸方向に向かうほど移動方向Xの長さが狭まる先端部241aを備えている。先端部241aは、ここでは、所定の角度をもって構成されている。かかる構成によれば、第1クリーニング面252aおよび第2クリーニング面252bの傾斜面を形成することが容易にできる。この先端部241aの角度は、鋭角であってもよい。あるいは、先端部241aの角度は、直角または鈍角であってもよい。
【0072】
先端部241aの角度を鋭角に設定すれば、第1クリーニング面252aおよび第2クリーニング面252bの傾斜は鉛直に近くなり、第1ワイパー面110aよび第2ワイパー面110bを、それぞれ第1クリーニング面252aおよび第2クリーニング面252bに比較的強く当接させることができる。それにより、第1ワイパー面110aおよび第2ワイパー面110bをより強く払拭することができる。
【0073】
逆に、先端部241aの角度を直角または鈍角に設定すれば、第1クリーニング面252aおよび第2クリーニング面252bの傾斜は水平に近くなり、第1ワイパー面110aよび第2ワイパー面110bを、それぞれ第1クリーニング面252aおよび第2クリーニング面252bに比較的弱く当接させることができる。それにより、第1ワイパー面110aよび第2ワイパー面110bが、それぞれ第1クリーニング面252aおよび第2クリーニング面252bから受ける抵抗を抑えることができる。先端部241aの角度は、例えば、吸収体250の硬さや厚さ、開口部232の移動方向Xに関する長さ(短手の長さ)、ワイパー110の硬さや厚さなどに応じて適宜に設定されてよい。
【0074】
また、本実施形態に係るワイピングユニット100は、ワイパークリーナ200を突出部252の突出方向およびその逆方向に移動させることが可能に構成された位置調整機構を備えている。これにより、ワイパー110と突出部252との当たり具合を調整することができる。なお、前述したように、位置調整機構は、ワイパークリーナ200の位置を調整するものに限定されず、ワイパー110の位置を調整するものであってもよい。
【0075】
本実施形態では、第2部材230を押圧する押圧部材としての天板211と第2部材230とは、離間可能に構成されている。ここでは、吸収体アッセンブリ220をケース210から引き出せば、天板211は、第2部材230から離間する。そして、吸収体250は、押圧部材としての天板211が第2部材240から離間しているときには、第1部材230および第2部材240に対して着脱自在である。つまり、押圧部材によって押圧されていないため、自在に第1部材230および第2部材240に着脱できる。かかる構成によれば、消耗品として、吸収体250を交換可能である。また、吸収体250へのアクセスは、第2部材240の側(ここでは上方)からとなり、交換作業が容易である。
【0076】
第2部材240に吸収体250を保持させ、また解放させる機構として、ワイパークリーナ200は、軸部221を備えている。軸部221は、第2部材240を回動させるように構成されている。第2部材240は、軸部221を中心に回動することによって、吸収体250を押圧する位置と、吸収体250を解放する位置との間を移動する。かかる構成によれば、第1部材230と第2部材240とが分離せず、吸収体250の押圧作業または解放作業が容易である。ただし、ワイパークリーナ200は、必ずしもこのような構成を備えなくてもよく、例えば、第2部材240は第1部材230から完全に分離されてもよい。
【0077】
本実施形態に係るケース210は、規制部材としてのガイド214を備えている。ガイド214は、第1部材230に当接して、第1部材230が突出部252の突出方向(ここでは下方)に移動するのを規制する。また、押圧部材としての天板211は、第2部材240に当接して、第2部材240が突出部252の突出方向の逆方向(ここでは上方)に移動するのを規制するように構成されている。第2部材240は、第1部材230がガイド214に当接し、第2部材240が天板211に当接している状態において吸収体250を押圧し変形させる。かかる構成によれば、押圧部材は可動部や駆動部を備える必要がなく、構成が簡易である。
【0078】
さらに、本実施形態では、規制部材としてのガイド214および天板211が吸収体アッセンブリ220をスライドさせるガイドを兼ねている。本実施形態では、ガイド214は、第1部材230が突出部252の突出方向に直交するスライド方向にスライドするのをガイドするように構成され、天板211は、第2部材240が上記スライド方向にスライドするのをガイドするように構成されている。そして、第1部材230および第2部材240は、上記スライド方向にスライドすることによってワイパークリーナ200に着脱される。なお、上記した「スライド方向」は、本実施形態では移動方向Xであったが、突出部252の突出方向に直交する方向であればどの方向でもよい。かかる構成によれば、第1部材230および第2部材240をスライドさせることによって、第1部材230および第2部材240を容易にワイパークリーナ200に着脱することができる。
【0079】
以上、好適な一実施形態について説明した。しかし、ここに開示するプリンタは、上記した実施形態に限定されない。
【0080】
例えば、上記した実施形態では、ワイパー110が移動され、ワイパークリーナ200は不動であった。しかし、両者の移動は相対的なものであり、いずれの部材が移動されるのかは限定されない。例えば、ワイパークリーナが移動されてもよいし、ワイパーとワイパークリーナの両方が移動されてもよい。また、両者の配置は、ワイパーとワイパークリーナとが接触可能に構成されている限りにおいて特に限定されない。
【0081】
また、上記した実施形態では、突出部252は、第1移動方向X1に向かって下降傾斜しつつ幅方向Yに延びる第1クリーニング面252aと、第2移動方向X2に向かって下降傾斜しつつ幅方向Yに延びる第2クリーニング面252bとを備えていたが、そのような形状には限定されない。ワイパーのクリーニングは、いずれか一方のワイパー面に対してだけ行われてもよく、突出部が備えるクリーニング面は1つだけでもよい。また、必ずしもクリーニング面が傾斜を備える必要はない。突出部252の形状は、特に限定されない。
【0082】
さらに、上記した実施形態では、押圧部材としての天板211は積極的に第2部材240を押圧するようには構成されず、吸収体250の反発力を受けるだけであったが、押圧部材は第2部材を積極的に押圧してもよい。押圧部材は、例えば、弾性体などを備えていてもよい。
【0083】
上記した実施形態では、プリンタ10はフラットベッドタイプのプリンタであったが、プリンタの構成は特に限定されない。例えば、ここに開示される技術は、記録媒体がロールから供給されるタイプのプリンタに対して適用されてもよい。
【0084】
さらに、ここに開示する技術は、プリンタだけでなく、液体吐出ヘッドを備えた他の装置にも利用することができる。例えば、ここに開示する技術は、液体吐出ヘッドから硬化液を吐出する三次元造形装置などに利用されてもよい。