(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
段階(I)、(II)および/または(III)の間に表面伝導度改良剤を添加し、この表面伝導度改良剤が吸湿剤(hygroscopic agents)、脂肪酸、滑剤、金属、金属膜被覆、金属粉、金属ナノパウダー、アルミノ珪酸塩、アミン、エステル、繊維、カーボンブラック、炭素繊維、カーボンナノチューブ、ポリエチレングリコール、本質的に伝導性のポリマー、マスターバッチおよびこれらの混合物である請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
段階(I)、(II)および/または(III)の間に添加剤および/またはアジュバンドを添加し、添加剤および/またはアジュバンドが有機または無機の充填剤、補強剤、可塑剤、安定剤、抗酸化剤、耐UV剤、難燃剤、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、無機または有機の染料、顔料、染料、離型剤、滑剤、起泡剤、耐衝撃剤、防縮加工剤、難燃剤、核剤およびこれらの混合物である請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
上記の少なくとも一つの有機塩はアンモニウム、スルホニウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、イミダゾリウム、イミダゾリニウム、ホスホニウム、リチウム、グアニジニウム、ピペリアニウム、チアゾリウム、トリアゾリウム、オキサゾリウム、ピラゾリウムおよびこれらの混合物の分子の少なくとも一つから成る少なくとも一つのカチオンを有するのが好ましい。
【0018】
上記の少なくとも一つの有機塩は下記分子の少なくとも一つから成る少なくとも一つのアニオンを含むのが好ましい:イミド、特にビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ボレート、特にテトラフルオロボレート、ホスフェート、特にヘキサフルオロホスフェイト、ホスフィナートおよびホスホネート、特にアルキルホスホネート、アミド、特にジシアナミド、アルミネート、特にテトラクロロアルミネート、ハロゲネート、例えばボライド、クロライドまたはイオダイドアニオン、シアネート、アセテート、特にトリフルオロアセテート、スルホネート、特にメタンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、サルフェート、特にエチルサルフェート、ハイドロジェンサルフェートおよびこれらの混合物。
【0019】
上記の合成方法は下記下記(I)〜(III)の段階から成るのが好ましい:
(I) 少なくとも一種のポリアミド・ブロックPAを作り、
(II) 上記の少なくとも一つのポリアミド・ブロックPAと少なくとも一つの軟いブロックSBを重縮合してガラス転移温度Tgが15℃以下であるブロック共重合体を作り、
(III) 上記ブロック共重合体アロイを回収する。
【0020】
上記の少なくとも一つの有機塩はそれを加える合成プロセスの上記段階の温度以下の融点を有するのが好ましい。上記の少なくとも一つの有機塩の融点は300℃以下、好ましくは200℃以下、好ましくは100℃以下、有利には30℃以下のイオン性液体を構成するのが好ましくい
【0021】
有機塩が大気標準状態で液体であるのが好ましい。
【0022】
段階(I)は連鎖調整剤の存在下でポリアミド先駆体の重縮合から成るのが有利である。この段階(I)は下記サブステップから成るのが好ましい:
(I−1) 少なくとも一つのPA先駆体と少なくとも一つの連鎖調整剤から成る混合物を反応装置に入れ、
(I−2) この混合物を180〜350℃、好ましくは200〜300℃、好ましくは230〜290℃の温度に加熱する加熱期、
(I−3) 等温加熱期(この間はI−1で導入した混合物の粘度が均一な混合物となるのに十分な時間の間、混合物を180〜350℃、好ましくは200〜300℃、好ましくは230〜290℃の温度に保持する)、
(I−4) 混合物を大気圧に戻すか、および/または、蒸留し、上記混合物を膨張(減圧)して水を除去する期、
(I−5) 混合物がポリアミドブロックの形に完全重合するまで希ガス下でパージする。
【0023】
段階(I)はさらに下記のサブステップの少なくとも一つを有するのが有利である:
(I−6)重合収率を増やすために、必要に応じて、減圧下に維持するオプション段階。この圧力は500mbar以下、好ましくは100mbar以下にするのが好ましい。
(I−7) PAブロックを回収するオプション段階。
【0024】
上記段階(II)は下記のサブステップを有するのが好ましい:
(II−1) 反応装置中で、少なくとも一つの軟いブロックSBの量の少なくとも一部分を段階(I)からのPAブロックと接触させ、混合物の温度を調整し、混合物を均一にする。この温度は180〜350℃、好ましくは200〜300℃、好ましくは200〜260℃の範囲であるのが好ましい。
【0025】
段階(II)はさらに下記のサブステップを有するのが好ましい:
(II−2) 希ガス下でパージおよび/またはわずかな減圧下に置いて、共重合中に反応装置中に形成された水を除去するオプション段階、この圧力は500mbar以下、好ましくは100mbar以下にするのが好ましい。
(II−3) 必要に応じて上記の少なくとも一つのSBブロックの残留部を導入するオプション段階。
【0026】
段階(III)は下記のサブステップを有するのが好ましい:
(III−1) アロイの所望粘度が得られるまでコポリマー・アロイの粘度を調整する。反応装置を100 mbar以下、好ましくは50mbar以下、好ましくは10 mbar以下、好ましくは1mbar以下の圧力にする。
(III−2) ブロック共重合体の押出し、回収する。
(III−3) 顆粒をストービング加熱して残留含水率を0.1重量%以下に減らすオプション段階。
【0027】
本発明の一つの実施例では、段階(I)および(II)は連続的に実行される。本発明の第2の実施例では、段階(I)と(II)が同時に実行される。この第2の実施例が好ましい。
【0028】
上記の少なくとも一つの有機塩は段階(I)、(II)および/または(III)の間に入れるのが好ましい。上記の少なくとも一つの有機塩を段階(II)の間に入れると、ブロック共重合体の重合速度を加速することができる。
【0029】
本発明の上記方法には段階(I)、(II)および/または(III)の間に表面伝導度を改良する薬剤を添加する段階を含むことができる。この薬剤は下記の中から選択できる:引湿剤(hygroscopic agent)、脂肪酸、滑剤、金属、金属フィルムコーティング、金属粉、金属ナノパウダー、アルミノ珪酸塩、アミン(例えば第四アミン)、エステル、繊維、カーボンブラック、炭素繊維、カーボンナノチューブ、ポリエチレングリコール、本質的に伝導性の重合体、例えばポリアナリン、ポリチオフェンまたはポリピロールの誘導体、マスターバッチおよびこれらの混合物。
【0030】
本発明方法は段階(I)、(II)および/または(III)の間に添加剤および/またはアジュバントを添加できる。この添加剤および/またはアジュバントは下記の中から選択できる:有機または無機の充填剤、補強剤、可塑剤、安定剤、抗酸化剤、抗−UV剤、難燃剤、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、無機または有機の染料、顔料、染料、離型剤、滑剤、起泡剤、耐衝撃剤、防縮加工剤、難燃剤、核剤およびこれらの混合物。
【0031】
本発明の他の対象は、上記合成方法で得られる少なくとも一つのリジッドなポリアミドブロックと少なくとも一つの軟いブロックとを有する、帯電防止特性が改良されたブロック共重合体アロイにある。このアロイはアロイの総重量に対して0.1〜30重量%の少なくとも一つの有機塩を含むことができる。
【0032】
上記アロイはアロイの総重量に対して0.1〜20重量%、好ましくは0.1〜5重量%の少なくとも一種の有機塩を含むのが好ましい。
【0033】
上記の少なくとも一つのリジッドなポリアミド・ブロックの重量比率はコポリマーの総重量に対して5〜95重量%、好ましくは15〜95重量%であり、可撓性ブロックの重量比率はコポリマーの総重量に対して5〜95重量%、好ましくは5〜85重量%である。
【0034】
上記の少なくとも一つのリジッドなブロックおよび/または少なくとも一つの軟いブロックは少なくとも部分的に再生可能な出発原料に由来するのが好ましい。
上記の少なくとも一つのリジッドなブロックおよび/または少なくとも一つの軟いブロックは全てが再生可能な出発原料に由来するのが好ましい。
【0035】
上記のブロック共重合体アロイのバイオカーボン(biocarbon)含有量は少なくとも1%である。これは
14C/
12Cアイソトープ比が少なくとも1.2×10
-14に対応する。
【0036】
上記バイオカーボン含有量は5%以上、好ましくは10%以上、好ましくは25%以上、好ましくは50%以上、好ましくは75%以上、好ましくは90%以上、好ましくは95%以上、好ましくは98%以上、好ましくは99%以上、より好ましくは100%に等しいのが好ましい。
【0037】
上記の少なくとも一つのポリアミド・ブロックはPA12、PA11、PA10.10、PA6、PA6/12の分子の少なくとも一つを含み、コポリアミドが11、5.4、5.9、5.10、5.12、5.13、5.14、5.16、5.18、5.36、6.4、6.9、6.10、6.12、6.13、6.14、6.16、6.18、6.36、10.4、10.9、10.10、10.12、10.13、10.14、10.16、10.18、10.36、10.T、12.4、12.9、12.10、12.12、12.13、12.14、12.16、12.18、12.36、12.Tおよび混合物およびこれらのコポリマーのモノマーの少なくとも一つを含むのが有利である。
【0038】
上記の少なくとも一つの軟いブロックはリエーテルブロック、ポリエステルブロック、ポリシーロキサンブロック、例えばポリジメチルシロキサンブロック、ポリオレフィンブロック、ポリカーボネートブロックおよびこれらの混合物またはそのランダムブロックコポリマーの中から選択するのが有利である。
【0039】
上記の少なくとも一つのポリエーテル・ブロックが、ポリエーテル・ブロックの総重量に対して少なくとも50重量%のPEGを含むのが有利である。
【0040】
上記ポリエチレングリコールPEGの含有量はブロック共重合体アロイの総重量に対して少なくとも35重量%、好ましくは少なくとも50重量%であるのが有利である。
【0041】
上記アロイは少なくとも一つのリジッドなポリアミドブロックと、ポリエーテルブロック、ポリエステルブロック、ポリシーロキサンブロック、例えばポリジメチルシロキサンブロック、ポリオレフィンブロック、ポリカーボネートブロックおよびこれらの混合物の中から選択される少なくとも一つの軟いブロックとを有する。全ポリエチレングリコールPEG含有量はアロイの総重量に対して少なくとも35重量%である。このアロイはアロイの総重量に対して0.1%〜30重量%の少なくとも一種の有機塩を含む。
【0042】
上記の少なくとも一つのリジッドなポリアミド・ブロックの重量比率はコポリマーの総重量に対して5〜65重量%であり、上記の少なくとも一つの軟いブロック重量比率はコポリマーの総重量に対して35〜95重量%、好ましくは35〜85重量%であるのが有利である。
【0043】
上記コポリマーはPEBAであるのが有利である。
【0044】
PEBAはPAl2−PEG、PA6−PEG、PA6/12−PEG、PA11−PEG、PAl2−PTMG、PA6−PTMG、PA6/12−PTMG、PA11−PTMG、PAl2−PEG/PPG、PA6−PEG/PPG、PA6/12−PEG/PPGおよび/またはPA11−PEG/PPGから成るのが有利である。後者の例でポリエーテル1/ポリエーテル2はランダムブロック・コポリマーを表す。
【0045】
コポリマーが3つの異なるタイプのブロックから成るセグメントブロック共重合体で、このコポリマーがコポリエーテルアミド、コポリエーテルアミドウレタンの中から選択され、コポリマーの総重量に対して下記であるのが有利である:
(1)リジッドなポリアミドブロックの重量百分率が10%以上であり、
(2)可撓性のあるブロックの重量百分率が20%以上である、
【0046】
本発明の他の対象は、上記定義のコポリマー・アロイを含む組成物にある。アロイは組成物の総重量に対して5〜70重量%、好ましくは5〜100重量%、好ましくは5〜30重量%存在するのが好ましい。
【0047】
本発明の他の対象は、上記ブロック共重合体アロイまたは上記組成物の、マトリックスの静電気防特性を改良するための熱可塑性の高分子マトリックスでの使用にある。
【0048】
上記高分子マトリックスは少なくとも一つの熱可塑性ポリマー(ホモポリマーまたはコポリマーである)から成るのが有利である。熱可塑性ポリマーは下記の中から選択するのが好ましい:ポリオレフィン、ポリアミド、フルオロポリマ、飽和ポリエステル、ポリカーボネート、スチレン樹脂、PMMA、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、エチレンと酢酸ビニールのコポリマー(EVA)、ポリアミド・ブロックとポリエーテル・ブロックとを有するコポリマー、ポリエステル・ブロックとポリエーテル・ブロックとを有するコポリマー、ポリアミド・ブロックとポリエーテル・ブロックとポリエステル・ブロックを有するコポリマー、エチレンとアルキル(メタ)アクリレートとのコポリマー、エチレンとビニールアルコールとのコポリマー(EVOH)、ポリアセチル、ポリケトンおよびこれらの混合物、ASA、SAN、ABS。特に、PC−ABSおよびPC−ASA樹脂からなるものを挙げることができる。
【0049】
本発明組成物は、1〜40重量%の少なくとも一つの上記ブロック共重合体アロイと、60〜99重量%の上記高分子マトリックスとを含み、好ましくは、10〜30重量%の本発明の少なくとも一つのブロック共重合体と、70〜90重量%の高分子マトリックスとを含むのが好ましい。
【0050】
本発明の対象は、ポリアミド−ベースのブロック共重合体(TPE−A)をベースにしたアロイの合成方法にある。本発明方法では合成中に少なくとも一種の有機塩を導入して、得られたコポリマー・アロイが、有機塩なしで合成した同じコポリマーの性質と比較して帯電防止特性が改良され、しかも、全く同じ機械特性を有するようにする。
【0051】
有機塩は無機または有機のアニオンと組み合わされた有機カチオンから成る塩である。本発明では、上記の少なくとも一種の有機塩は、本発明のブロック共重合体の少なくとも一部にアロイの総重量に対して0.1〜30重量%の比率で加えられる。
【0052】
本発明では、上記の少なくとも一種の有機塩は溶融状態で加えられる。すなわち有機塩がその融解点以上の温度で加えられる。上記の少なくとも一種の有機塩は、本発明方法の進行中、それが加えられる合成プロセスの段階の温度以下の溶融点を有する。上記の少なくとも一種の有機塩は200℃以下、好ましくは300℃以下、より好ましくは100℃以下の融点を有するのが好ましく、有利には30℃以下でイオン性液体からなるのが好ましい。このイオン性液体の主たる性質は不揮発性(空気中に揮発性有機化合物が拡散しない)で、非発火性(取扱と保存が簡単)で、高温(例えば400℃まで)安定で、非常に良好な伝導性を有し、水および酸素に対して非常に安定なことである。
【0053】
有機カチオンの例としては特にアンモニウム、スルホニウム、ピリジウム、ピロリジウム、イミダゾリウム、イミダゾリニウム、ホスホニウム、リチウム、グアニジニウム、ピペリアニウム、チアゾリウム、トリアゾリウム、オキサゾリウム、ピラゾリウムおよびこれらの混合物のカチオンをあげることができる。
【0054】
アニオンの例としては特にイミド、特にビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(省略NTf2
-)、ボレート、特にテトラフルオロボレート(省略BF4
-)、ホスフェート、特にヘキサフルオロホスフェイト(省略PF6
-)、ホスフィネートおよびホスホネート、特にアルキル・ホスホネート、アミド、特にジシアナミド(省略DCA
-)、アルミネート、特にテトラクロルアルミネート(A1C14
-)、ハロゲネート(例えばブロマイド、クロライド、イオダイドアニオン、その他)、シアネート、アセテート(CH
3C00
-)、特にトリフルオロアセテート、スルホネート、特にメタンスルホネート(CH
3SO
3-)、トリフルオロメタンスルホネート、サルフェート、特にハイドロジェンサルフェートおよびこれらの混合物が挙げられる。
【0055】
本発明で「有機塩」という用語は本発明方法に従ってブロック共重合体を合成する間に使用する温度で安定である任意の有機塩を意味する。当業者は各有機塩の分解制限温度を表した有機塩の技術シートを参照できる。
【0056】
本発明の合成プロセスで使用可能な有機塩の例としては特にアンモニウムカチオンをベースにしたもの、イミダゾリウム・カチオンをベースにしたもの、イミダゾリニウムカチオンをベースにしたもの、ピリジニウムカチオンをベースにしたもの、ジヒドロピリジニウムカチオンをベースにしたもの、テトラヒドロピリジニウムカチオンをベースにしたもの、ピロリジニウムカチオンをベースにしたもの、グアニジンカチオンをベースにしたもの、または、ホスホニウム・カチオンをベースにした有機塩を挙げることができる。
【0057】
アンモニウムカチオンをベースにした有機塩の組合わせには下記がある:
(1) N−トリメチル−N−プロピルアンモニウム・カチオンとビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、
(2) N−トリメチル−N−ブチルアンモニウムまたはN−トリメチル−N−ヘキシルアンモニウムカチオンと、臭化物、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェイトそして、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの中から選択されるアニオン、
(3) N−トリブチル−N−メチルアンモニウムカチオンと、沃化物、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドまたはジシアナミド・アニオン、
(4) テトラフルオロボレートアニオンとテトラエチルアンモニウム・カチオン、
(5) (2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムカチオンと、ジメチルリン酸アニオン、
(6) ジ(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムカチオンとトリフルオロアセテート・アニオン、
(7) N,N−ジ(2−メトオキシ)エチルアンモニウム・カチオンとスルファミン酸エステル・アニオン、
(8) N,N−ジメチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムカチオンと2−ヒドロキシ酢酸塩またはトリフルオロ酢酸アニオン、
(9) N−エチル−N,N−ジメチル−2−メトオキシエチルアンモニウムカチオンとビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドアニオン、
(10)エチルジメチルプロピルアンモニウムカチオンとビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドアニオン、
(11) メチルトリオクチルアンモニウムカチオンとビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドアニオン、
(12) メチルトリオクチルアンモニウムカチオンとトリフルオロアセテートまたはトリフルオロメチルスホネートアニオン、
(13) テトラブチルアンモニウム・カチオンとビス(トリフルオロメチルスルホニルイミドアニオン、
(14) テトラメチルアンモニウムカチオンとビス(オキザレート(2−ボレート))またはトリ(ペンタフルオロエチル)トリフルオロ−ホスフェートイオン
【0058】
イミダゾールをベースにした有機塩としてはモノまたはジまたはトリ置換イミダゾール、またはイミダゾール、特にイミダゾリウムカチオンまたはイミダゾリニウムカチオンをベースにしたものが挙げられる。
【0059】
イミダゾリウムカチオンをベースにした有機塩としては下記が挙げられる:
(1) H−メチルイミダゾリウム・カチオンと塩素アニオン
(2) 1−エチル−3−メチルイミダゾリウム・カチオンと塩素、臭素、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェイト、トリフルオロメタンスルホネート、ビス(トリフルオロメタン−スルホニル)イミドアニオン、テトラクロロアルミネート、エチルホスホネートまたはメチルホスホネート、エチルサルフェートまたはエチルサルホネートアニオン、
(3) 1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム・カチオンと塩化物、臭化物、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェイト、トリフルオロメタンスルホネート、ビス(トリフルオロメタン−スルホニル)イミドアニオン、テトラクロロアルミネート、アセテート、ハイドロジェンサルフェート、トリフルオロヲセテート、メチレンサルホネートアニオン、
(4) 1,3−ジメチルイミダゾリウム・カチオンとメチルホスホネートアニオン、
(5) 1−プロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウム・カチオンとビス(トリフルオロメタン−スルホニル)イミドアニオン
(6) 1−ブチル−23−ジメチルイミダゾリウム・カチオンとテトラフルオロボレートまたはビス(トリフルオロメタン−スルホニル)イミドアニオン、
(7) 1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム・カチオンとテトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、
(8) 1−オクチル−3−メチルイミダゾリウム・カチオンとビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、
(9) 1−エタノール−3−メチルイミダゾリウム・カチオンと塩化物、臭化物、テトラフルオロヘキサフルオロホスフェイト、テトラフルオロボレート、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン。
【0060】
ピリジニウムカチオンをベースにした有機塩としては下記が挙げられる:N−ブチル−3−メチルピリジニウムブロミド、N−ブチルメチル−4−ピリジニウムクロライド、N− ブチルメチル−4−ピリジニウム・テトラフルオロボレート、N−ブチル−3−メチルピリジニウム・クロライド、N−ブチル−3−メチルピリジニウムジシアナミド、N− ブチル−3−メチルピリジニウム硫酸ジメチル、1−ブチル−3−メチルピリジニウムテトラフルオロボレート、N−ブチルピリジニウムクロリド、N−ブチルピリジニウムテトラフルオロボレート、N−ブチルピリジニウムトリフルオロメチルスルホネート、1−エチル−3−ヒドロキシメチルピリジニウムエチルサルフェート、N−ヘキシルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、N−ヘキシルピリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、N−(3−ヒドロキシプロピル) ピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、N−ブチル−3−メチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホネートまたはN−ブチル−3−メチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート。
【0061】
ピロリジニウム・カチオンをベースにした有機塩としては下記が挙げられる:1−ブチル−1−メチルピロリジニウム・クロライド、1−ブチルメチル−1−メチルピロリジニウムトリス(ペンタフルオロエチル)(1−ブチル−l−メチルピロリジニウムビス[オキザレート(2−)]ボレート、1−ブチルメチル−1−メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメクルスルホネニル)イミド、1−ブチル−l−メチルピロリジニウムジシアナミド、1−ブチルメチル−1−メチルピロリジニウムトリス(ペンコフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムトリフルオロアセテート、1−ブチル−l−メチルピロリジニウムトリフルオロスルホネート、1,1−ジメチルピロリジニウムイオダイド、1−(2−エトキシエチル)−1−メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−ヘキシル−1−メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−(2−メトキシエチル)− 1−メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−メチル1−オクチルピロリジニウムクロライドまたは1−ブチル−1−メチルピロリジニウムブロマイド。
【0062】
有機塩としては下記も挙げられる:
(1) 1−エチル−1−メチルピロリジニウムカチオンと、ブロマイド、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェイトまたはトリフルオロメタンスルホン酸アニオン、
(2) 1−ブチル−1−メチルピロリジニウム・カチオンとクロライド、ブロマイド、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、トリフルオロメタンスルホネート、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ジシアナミド、アセテートまたはハイドロジェンサルフェートアニオン、
(3) N−プロピル−N−メチルピロリジニウム・カチオンとビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、
(4) 1−メチル−1−プロピルピペリアニウム カチオンとビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン。
【0063】
グアニジン・カチオンをベースにした有機塩としてはグアニジントリフルオロメチルスルホネート、グアニジントリ(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェートまたはヘキサメチルグアニジントリ(ペンタフルオロエチル)トリフルオロ−ホスフェートが挙げられる。
【0064】
ホスホニウムカチオンをベースにした有機塩としてはトリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムビス[オキザレート(2−)]ボレート、トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムビス[トリフルオロメチル(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェートまたはトリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムトリ(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェートを挙げることができる。
【0065】
本発明で使用可能な有機塩の組成物の部分となる上記の有機塩のカチオンおよびアニオンのリストは単なる例示で、本発明を制限するものではない。有機塩の分解温度が有機塩が存在する本発明プロセス段階の温度以上である限り、本発明では任意の有機塩を添加することができる。
【0066】
本発明で使用するポリアミド−ベースの熱可塑性エラストマー(TPE−A)、例えばPEBAは下記一般式に対応する硬いブロック(HB)と軟いブロック(SB)とを交互に有するブロック共重合体である:
−[HB−SB]n−
(ここで、
HB(すなわちHardブロック)はポリアミドから成るブロック(ホモポリアミドまたはコポリアミド)を表すか、ポリアミドから成るブロックの混合物(ホモポリアミドまたはコポリアミド)を表し、以下、PAまたはHBブロックと略記し、
【0067】
SB(すなわちSoftブロック)はポリエーテル(PEブロック)、ポリエステル(PESブロック)、ポリジメチルシロキサン(PDMSブロック)、ポリオレフィン(POブロック)、ポリカーボネート(PCブロック)および/またはガラス転移温度が低い他の任意のポリマー、または、交互、ランダムまたはブロック共重合体をベースにしたにブロックの形をした混合物を表し、このSBは全部または一部がエチレンオキシド単位から成るポリエーテルをベースにしたブロックであるのが好ましく、
nは上記コポリマーの−HB−SB−単位の反復単位の数を表す)
nは1〜60、好ましくは5〜30、より好ましくは6〜20である。
【0068】
本発明でSBの組成の一部であるポリマーの「ガラス転移温度が低い」とはガラス転移温度Tgが15℃以下、好ましくは0℃以下、さらに好ましくは−15℃以下、さらに好ましくは−30℃以下であるということを意味する。軟いブロックの例は数平均モル質量が1500グラム/モルで、Tgが−35℃であるPEGをベースにしたものである。この軟いブロックがPTMGをベースにしたものである場合には、ガラス転移温度Tgは−50℃以下にすることができる。
【0069】
本発明のブロック共重合体をベースにしたアロイを合成するプロセスでは軟いブロックに硬いブロックを付ける任意の手段も使用する。多くの手段があり、溶液法、バルク法または界面法の技術が使え、これらについては下記文献に記載されている。
【非特許文献1】Handbook of Condensation Thermoplastic Elastomers (edited by Stoyko Fakirox, Wiley-VCH, Weinheim, 2005、第9章
【0070】
TPE−As、例えばPEBAは一般に下記のような反応性末端基を有する軟いブロック(SB)と反応性末端基を有する硬いブロック(HB)とを隗重縮合して得られる:
(1)アミン鎖端を有するBHとカルボキシル酸またはイソシアネート鎖端を有するSB、
(2)カルボキシル酸鎖端を有するHBとアミン、アルコールまたはイソシアネート鎖端を有するSB
【0071】
PEBAは例えばカルボキシル酸鎖端を有するポリアミドHBブロックとアルコールまたはアミン鎖端を有するポリエーテルSBブロックとの重縮合で得られる。
【0072】
実際にはSBをHBに付けるプロセスは2つの主段階か、単一主段階で実行される。1段階でも2段階でもプロセスは触媒の存在下で実行するのが有利である。「触媒」という用語はポリアミド・ブロックと軟いブロックの結合、特にエステル化またはアミド化を容易にすることができる任意の化合物を意味する。エステル化触媒はチタン、ジルコニウムおよびハフニウムから選択される金属の誘導体または強酸、例えばリン酸または硼酸にするのが有利である。使用可能な触媒は下記文献に記載されている。
【0073】
【特許文献8】米国特許第US 4331786号明細書
【特許文献9】米国特許第US 4115475号明細書
【特許文献10】米国特許第US 4195015号明細書
【特許文献11】米国特許第US 4839441号明細書
【特許文献12】米国特許第US 4864014号明細書
【特許文献13】米国特許第US 4230838号明細書
【特許文献14】米国特許第US 4332920号明細書
【特許文献15】国際特許第WO 04037898号公報
【特許文献16】欧州特許第EP 1262527号公報
【特許文献17】欧州特許第EP 1262527号公報
【特許文献18】欧州特許第EP 127021号公報
【特許文献19】欧州特許第EP 1136512号公報
【特許文献20】欧州特許第EP 1046675号公報
【特許文献21】欧州特許第EP 1057870号公報
【特許文献22】欧州特許第EP 1155065号公報
【特許文献23】欧州特許第EP 5064950号公報
【特許文献24】欧州特許第EP 504058号公報
【0074】
本発明の最初の実施例では、本発明プロセスが2つの主段階から成る。最初の段階(I)では少なくとも一つのPAブロックが作られ、第2段階(II)で上記の少なくとも一つのPAブロックを少なくとも一つのSBブロックと好ましくは触媒の存在下かつ減圧下に反応させる。
【0075】
段階(I)はポリアミド・ブロックを製造するための当業者に公知の任意の手段でポリアミド先駆体とジカルボン酸または連鎖調整剤としてのジアミンとの重縮合反応にすることができる。この場合、段階(I)はいくつかのサブステップに分割される:
【0076】
(I−1) 少なくとも一種のPA先駆体と少なくとも一種の鎖レギュラー(例えばジアミンまたは二酸)から成る混合物を反応装置(例えばオートクレーブ)へ入れる。連鎖調整剤はアジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸およびこれらの混合物から選択するのが好ましい。
【0077】
(I−2)混合物を180〜350℃、好ましくは200〜300℃、好ましくは230〜290℃の温度に加熱する加熱期。伝導伝熱を改良するため、および/または、充分な圧力にするため、特にラクタム12のようなリングを開くために必要に応じて混合物に水を加えることができる。
【0078】
(I−3) I−1で導入した全ての原料を流体状態すなわち十分に低粘度の均一な混合物にするのに十分な時間、混合物を180〜350℃、好ましくは200〜300℃、好ましくは230〜290℃の温度に一定に維持する等温維持期。この等温維持時間は一般に15分〜5時間、好ましくは30分〜4時間、好ましくは30分〜3時間である。この等温維持期の間、反応装置の圧力は例えば1〜40バールになる。この圧力は30バール未満、好ましくは5バール以下にするのが好ましいが、最大圧力は反応装置とその構造に依存する。
【0079】
(I−4) 混合物を大気圧に戻すか、および/または、蒸留によって混合物を膨張(減圧)させ、水を除去する期間。この水は(I−1)、(I−2)および/または(I−3)でオプションとして加えた水またはこれらの期間に形成された水である。
【0080】
(I−5) 混合物がポリアミドブロックの形に完全重合するまで、希ガス下にパージする期間。このパージ時間は2、3分〜2、3時間、好ましくは5分〜5時間、好ましくは30分〜3時間、好ましくは1時間〜2時間である。
【0081】
段階(I)はさらに下記のサブステップの少なくとも一つを含むことができる:
【0082】
(I−6) 重合収率を上げるために、減圧下、例えば500mbar以下、好ましくは100mbar以下に維持する必要に応じて行うオプション段階、
(I−7) 硬いブロックHB、すなわちPAブロックを回収するオプション段階。
【0083】
HBブロックを形成するのに必要な全ての出発原料は当業者が適当と判断する規則に従って。例えば(I−1)の間に反応装置に導入できるが、上記サブステップ(I−1)〜(I−7)の任意の段階で一つまたは複数の出発材料を導入することができる。
【0084】
この主段階(I)での温度は180〜350℃、好ましくは200〜300℃、より好ましくは230℃〜290℃である。
【0085】
上記の少なくとも一つの硬いブロックHB(PAブロック)は後の使用のために押出成形でき、また、反応装置中に蓄積でき、また、以下に記載する段階(II)を実行するために他の反応装置へ移される。
【0086】
段階(II)は下記サブステップから成る:
(II−1) 反応装置中で、少なくとも一つの軟いブロックSBの量の少なくとも一部を段階(I)で作ったPAブロックと接触させ、必要に応じて、得られた混合物の温度を180〜350℃、好ましくは200〜300℃、好ましくは200〜260℃の温度に調整する。
【0087】
(II−2) 窒素(またはその他の希ガス)でパージする、および/または、減圧下、好ましくは100mbar以下、例えば500mbar以下の圧力下において共重合中に生じた水を反応装置から除去するオプション段階。
【0088】
(II−3) 必要に応じて上記の少なくとも一つのSBブロックの残った部分を導入するオプション段階。
【0089】
各段階の温度および持続期間は重縮合反応性を最適化すると同時に、副作用を最小限度にするように、当業者が容易に調整できる。この主段階(II)の温度は180〜350℃、好ましくは200〜300℃、より好ましくは200〜260℃にする。
【0090】
本発明の第2実施例では本発明のプロセスは、単一の主段階から成る。主段階(I)中に上記の少なくとも一つの軟いブロックを、PAブロックを形成するのに必要な出発原料と同様に、すなわち任意の中間段階(I−1)〜(I−7)中に直接に導入することで特徴付けられる。この実施例では主段階(I)と(II)が同時に実行され、時間が節約される。これに対して2つの主段階を有する実施例では段階(I)と(II)が連続的に実行される。
【0091】
一段階または2段階の違いには関わりなく、本発明方法はブロック共重合体アロイを最終処理し、回収する最終の段階(III)を有する。この段階(III)は少なくとも2つのサブステップから成る:
【0092】
(III−1) 得られたコポリマー・アロイの粘度の調整。コポリマーが所望の粘度、従って所望モル質量に達するまで反応装置を減圧下、強い減圧下に置く。「所望のモル質量」とは10000〜100000g/モル、好ましくは15000〜50000g/モル、好ましくは20000〜40000g/モルの範囲の数平均モル質量を意味する。このサブステップで圧力は、好ましくは100mbar以下、好ましくは50mbar以下、好ましくは10mbar以下、好ましくは1mbar以下であるのが好ましい。
【0093】
コポリマーのモル質量、従って媒体の粘度が増加することは攪拌機で溶融ポリマに加わる捩れトルク値の変化を測定するか、一定速度で撹拌するのに必要な攪拌機の電力を測定して求めることができる。
【0094】
(III−2) ブロック共重合体アロイを顆粒、その他の形に押出し、回収する。
【0095】
(III−3)残留する水を0.1重量%以下まで減らすために顆粒をストービングする追加の段階。
【0096】
攪拌機の撹拌速度は媒体のレオロジおよび攪拌機に応じて最適化する。
【0097】
減圧処理は徐々に実行するか、連続的に行うことができる。最大減圧のレベルは存在する成分と、その親水性、疎水性、反応性に依存する。加水解離に敏感な触媒のために、触媒は段階Iおよび/またはIIの一つの間、好ましくはサブステップ IIの一つの間、加えられることが可能である。
【0098】
本発明の合成プロセスでは、主段階の数やHBをSBに付ける方法とは無関係に、上記プロセスの任意の段階:段階(I)、(II)および/または(III)で、少なくとも一種の有機塩を加える。この少なくとも一つの有機塩の加える量はアロイの総重量に対して0.1〜30重量%である。採択する段階は有機塩の加水解離に対するセンシティビティと温度に依存する。加水解離または温度に対して特にセンシティブな有機塩は窒素パージ段階中にその高温での滞留時間が最少となり、および/または、多量の水の存在下での有機塩の滞在時間を最少となるように加えるのが好ましい。
【0099】
有機塩が主段階(II)から加えるのを開始するのが好ましい。驚くことに、本発明プロセスに従って段階(II)中に有機塩を添加すると、PAブロックと軟いブロックとの間の重合の化学反応速度が加速することが証明されている。従って、最終コポリマー・アロイの予想粘度に段階(III−1)の間に迅速に到達する。段階(II)の間に有機塩を添加することによって得られる有利な効果は実施例1〜4、実施例10〜14に記載されている。
【0100】
有機塩は段階(III)の間のコポリマー・アロイの粘度を調整する段階(III−1)、押出段階(III−2)の間および/またはストービング段階(III−3)の間に加えることができる。
【0101】
有機塩は例えばコポリマー(III−2)の押出しの出口で、有機塩を含んだ含浸液体を用いて加えることができる。この含浸液体は有機塩を100%含むか、溶剤中に少なくとも一種の有機塩を1〜99重量%希釈したものから成ることができる。この純粋または希釈した有機塩ベースの含浸液体は押出し成形されたコポリマー(例えばコポリマーのロッドまたは顆粒)を直接に含浸できる。本発明の一実施例では押出し成形されたコポリマーと有機塩を容器中で接触させ、全体を2、3時間攪拌する。コポリマーの含浸は5分〜10時間にすることができ、この時間はコポリマーに入れる有機塩のレベルやコポリマーへの含浸液体の含浸能力に依存する。得られたコポリマーアロイはアロイの総重量に対して0.1〜30重量%の純粋有機塩を含むことができる。
【0102】
上記の含浸はストービング段階(III−3)の間に実行するのが有利である。例えば顆粒をドライヤ中で有機塩と直接接触させ、60℃で8時間減圧下に攪拌する。
【0103】
TPE−A顆粒の含浸は最初または乾燥時に実行できるが、接触には少なくとも2、3時間が必要である。含浸液体を顆粒上に直接に注ぐか、滴下またはスプレーのような噴霧系を用いて加える。含浸による有機塩の添加は外界温度〜段階III−3の乾燥またはストービング温度(例えば60℃)で実行できる。
【0104】
本発明の合成プロセスでは、段階(II−1)の前および/または他のどの段階(I、IIおよび/またはIII)の間にアジュバントおよび/または添加剤をアロイに加えることもできる。有機塩の添加と同様に、これらのアジュバントおよび/または添加剤を加える最も適切な段階は添加剤および/またはアジュバントの劣化または構造およびその有効度を変化させる反応に対するセンシティビティに従って選ぶ。
【0105】
添加剤の例としては有機または無機のフィラー、補強剤、可塑剤、安定剤、抗酸化剤、耐UV剤、難燃剤、カーボンブラック、その他が挙げられる。アジュバントの例としては無機または有機の染料、顔料、染料、離型剤、滑剤、起泡剤、耐衝撃剤、防縮加工剤、難燃剤、核剤を挙げることができる。
【0106】
有機塩以外の静電防止剤、例えば無機塩、引湿剤、脂肪酸、滑剤、金属、金属フィルムコーティング、金属粉、金属ナノパウダー、アルミノ珪酸塩、アミン(例えば第四アミン)、エステル、繊維、カーボンブラック、炭素繊維、カーボンナノチューブ、ポリエチレングリコール、ポリチオフェンのまたはポリピロール系の本質的に伝導性の重合体(例えばポリアニリンの誘導体)、マスターバッチおよびこれらの混合物、および/または、ポリマーアロイの表面伝導度を高くして電荷の流れを増加させることが可能な他の任意の薬剤を本発明プロセス中に加えられることができる。
【0107】
本発明の他の対象は、上記合成プロセス中に少なくとも一つの有機塩を添加して静電気防止特性が改良し上記合成プロセスによって得られるTPE−A熱可塑性エラストマー・アロイすなわち少なくとも一つのリジッドなポリアミドと少なくとも一つの可撓性のブロックホモポリアミドまたはコポリアミド)ブロックから成るブロック共重合体のアロイにある。このTPE−Aアロイの例はポリエーテル・ブロックとポリアミド・ブロックとから成るコポリマー(PEBA)である。
【0108】
本発明の帯電防止特性が改良したブロック共重合体アロイはコポリマーの総重量に対して0.1〜30重量%の少なくとも一種の有機塩を含む。少なくとも一つの有機塩はコポリマーの総重量に対して0.1〜20重量%、好ましくは0.1〜5重量%含まれるのが好ましい。
【0109】
本発明のコポリマー・アロイでは、上記の少なくとも一つのリジッドなポリアミド・ブロックの重量比率はコポリマーの総重量に対して5〜95重量%、好ましくは15〜95重量%、少なくとも一つのフレクシブルなブロックの重量比率は5〜95重量%、好ましくは5〜85重量%である。
【0110】
本発明のTPE−Aアロイの「リジッドまたは硬いブロック」という用語はホモポリアミドまたはコポリアミドから成るポリアミド・ブロックを意味する。ポリアミド・ブロックの数平均モル質量Mnは400か20000 g/モル、好ましくは500か10000g/モルまで、さらに好ましくは600〜3000グラム/モルであるのが好ましい。
【0111】
本発明のブロック共重合体アロイでは、PAブロックはカルボン酸末端基を有することができ、二酸PAという用語が使われか、アミン末端基を有し、ジアミンPAという用語が使われる。PAブロックと軟いブロック(SB)との間の結合はエステル結合またはアミド結合にできる。ジカルボン酸鎖端を有するポリアミド・ブロックは例えば連鎖制限剤のジカルボン酸の存在下でポリアミド先駆体を縮合で得られる。ジアミン鎖端を有するポリアミド・ブロックは例えば連鎖制限剤のジアミンの存在下でポリアミド先駆体を縮合で得られる。
【0112】
PAブロックの組成の一部をポリアミドの3つのタイプは構成することができる。
最初のタイプのポリアミド・ブロックは少なくとも一つの(脂肪族、脂環式または芳香族)ジカルボン酸、特に炭素原子数が4〜36、好ましくは6〜18のジカルボン酸と、少なくとも1つの(脂肪族、脂環式または芳香族)ジアミン、特に炭素原子が2〜36、好ましくは6〜12のジアミンとの縮合で得られる。
【0113】
脂肪族二酸の例としてはブタン二酸、アジピン酸、コルク酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、ミリスチン酸、テトラデカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸およびダイマー化された脂肪酸を挙げることができる。脂環式二酸の例としては1,4− シクロヘキシルジカルボン酸が挙げられる。芳香族二酸の例としてはテレフタル酸(T)、イソフタル酸(I)および5−スルホイソフタル酸のナトリウム、カリウムまたはリチウム塩が挙げられる。
【0114】
脂肪族ジアミンの例としてはテトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,10−デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミンおよびトリメチルヘキサメチレンジアミンが挙げられる。脂環式ジアミンの例としてはビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン(BACMまたはPACM)、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン(BMACMまたはMACM)、2,2−ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)プロパン(BMACP)、イソホロンジアミン(IPDA),2,6−ビス(アミノ−メチルノルボルナン(BAMN)およびピペラジン(Pup)の異性体を挙げることができる。
【0115】
本発明のコポリマーは下記をベースにした少なくとも一つのPAブロックを有するのが有利である:PA4.4、PA4.6、PA4.9、PA4.10、PA4.12、PA4.13、PA4.14、PA4.16、PA4.18、PA4.36、PA6.4、PA6.6、PA6.9、PA6.10、PA6.12、PA6.13、PA6.14、PA6.16、PA6.18、PA6.36、PA9.4、PA9.6、PA9.10、PA9.12、PA9.13、PA9.14、PA9.16、PA9.18、PA9.36、PA10.4、PA10.6、PA10.9、PA10.10、PA10.12、PA10.13、PA10.14、PA10.16、PA10.18、PA10.36、PA10.T、PA10.I、PA BMACM.4、PA BMACM.6、PA BMACM.9、PA BMACM.10、PA BMACM.12、PA BMACM.13、PA BMACM.14、PA BMACM.16、PA BMACM.18、PA BMACM.36、PA PACM.4、PA PACM.6、PA PACM.9、PA PACM.10、PA PACM.12、PA PACM.13、PA PACM.14、PA PACM.16、PA PACM.18、PA PACM.36、PA Pip.4、PA Pip.6、PA Pip.9、PA Pip.10、PA Pip.12、PA Pip.13、PA Pip.14、PA Pip.16、PA Pip.18および/またはPA Pip.36およびこれらのコポリマー。
【0116】
第2のタイプのポリアミドブロックは、4〜36の炭素原子を有するジカルボン酸またはジアミンの存在下で一つ以上のα、ω−アミノカルボン酸および/または6〜12の炭素原子を有する一つ以上のラクタムを縮合して得られる。
【0117】
ラクタムの例としてはカプロラクタム、エナンチオラクタムおよびラウリルラクタムを挙げることができる。α、ω−アミノカルボン酸の例としてはアミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、11−アミノウンデカン酸および12−アミノドデカン酸を挙げることができる。第2のタイプおポリアミドブロックはポリアミド11、ポリアミド12またはポリアミド6であるのが有利である。
【0118】
第3のタイプのポリアミドブロックは、第2のタイプの少なくとも一つのモノマーと第1のタイプの少なくとも一つのモノマーとの縮合で得られる。換言すれば、このポリアミドブロックは少なくとも1つのα、ω−アミノカルボキシル酸(または一つのラクタム)と少なくとも一つのジアミンと一つのジカルボン酸との縮合で得られる。
【0119】
この場合、PAブロックは下記の重縮合で得られる:
(1)X個の炭素原子を有する脂肪族、脂環式または芳香族ジアミン、
(2)Y個の炭素原子を有するジカルボン酸、および
(3)Z個の炭素原子を有するラクタムおよびα、ω−アミノカルボン酸から選択されるコモノマ{Z}、
(4)ジカルボン酸またはジアミンから選択される連鎖リミッタまたは構造単位として使われる過剰な二酸またはジアミンの存在下。
【0120】
Y個の炭素原子を有するジカルボン酸を連鎖リミッタとして使用し、そのジカルボン酸をジアミンの化学量論に対して過剰に導入するのが有利である。
【0121】
他のコポリアミドでは、ポリアミドブロックが少なくとも2つの互いに異なる2つのα、ω−アミノカルボン酸または炭素原子数が6〜12の少なくとも2つの互いに異なるラクタムまたは同じ炭素原子数を有しないラクタムとアミノカルボン酸の、オプションとしての連鎖リミッタの存在下での、縮合で得られる。
【0122】
ポリアミドブロックの例としては下記ポリアミド(コポリアミド)から形成されるものを挙げることができる:
(1)PA6/12(ここで6はカプロラクタム、12はラウリルラクタムを示す)、
(2)PA11/12(ここで11は11−アミノウンデカン酸、12はラウリルラクタムを示す)、
(3)PA6/11(ここで6はカプロラクタム、11は11−アミノウンデカン酸を示す)
(4)PA6/6.6(ここで6はカプロラクタム、6.6はヘキサメチレンジアミンとアジピン酸との縮合で得られるモノマーを示す)
【0123】
例としては下記が挙げられる:PA10.10/11、PA6.10/11、PA10.12/11、PA10.10/11/12、PA6.10/10.10/11、PA6.10/6.12/11、PA6.10/6.12/10.10、PA11/6.36、PA11/10.36およびPA10.10/10.36
【0124】
本発明での熱可塑性エラストマー(TPE−A)は少なくとも一つの可撓性ブロック(すなわちガラス転移温度(Tg)が低いブロック)を有する。「ガラス転移温度(Tg)が低い」とは遷移温度Tgが15℃以下、好ましくは0℃以下、有利には−15℃以下、より有利には−30℃以下、場合によっては−50℃以下であることを意味する。
【0125】
本発明の可撓性ブロックの数平均モル質量Mnは250〜5000グラム/モル、好ましくは250〜3000グラム/モル、より好ましくは500〜2000グラム/モルであるのが好ましい。
【0126】
本発明のTPE−Aで「可撓性または軟いブロック」とは特にポリエーテル・ブロック、ポリエステル・ブロック、ポリシロキサン・ブロック、例えばポリジメチルシロキサンまたはPDMSブロック、ポリオレフィン・ブロックおよびポリカーボネート・ブロックおよびこれらの混合物の中から選択されるものを意味する。
【0127】
本発明で「ポリエーテル(以下、PEと略記)ブロック」という用語はポリオキシアルキレン、ポリアルキレンポリオール、特にポリアルキレンエーテルジオールを意味する。本発明のコポリマーのPEブロックはポリ(エチレングリコール(PEG)、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリ(1,2−プロピレングリコール)(PPG)、ポリ(テトラメチレングリコール)(PTMG)、ポリ(ヘキサメチレングリコール)、ポリ(1,3−プロピレングリコール)(PO3G)、ポリ(3−アルキルテトラヒドロフラン)、特に、ポリ(3−メチルテトラヒドロフラン)(ポリ(3MeTHF))およびこれらの混合物を意味する。さらに、上記PEの少なくとも2つのタイプを含む交互、ランダムまたはブロック「コポリエーテル」タイプのPEブロックでもよい。
【0128】
ポリエーテルブロックはビスフェノール、例えばビスフェノールAのオキシエチル化(oxyethylation)で得られるブロックから成ることができる。その製造方法は下記文献に記載されている。
【特許文献25】欧州特許第EP613919号公報
【0129】
ポリエーテルブロックはエトキシ化した第一アミンをさらに含むことができる。エトキシ化した第一アミン例としては下記式の化合物が挙げられる:
【0130】
(ここで、mとnは1〜20の数、xは8〜18の数である)
この化合物はCECA社からNoramox(登録商標)の名称、Clariant社からGenamin(登録商標)の名称で市販されている。
【0131】
従って、PEブロックの鎖端はdiOH、diNH
2、ジイソシアネートまたは二酸で、合成プロセスに依存する。
【0132】
NH
2鎖端有するPEブロックはポリエーテルジオールとよばれるジヒドロキシル化されたα、ω−脂肪族ポリオキシアルキレンブロックのシアノアセチル化によって得られ、例えばHuntsman社からのJeffamines(登録商標)D300、D400、D2000、ED−600、ED−900およびED2003またはElastamines(登録商標)RP−409、RP−2009、RT−1000、RE−600、RE−900、RE−2000、HT−1700およびHE−180がある。このブロックは下記文献に記載されている。
【特許文献26】日本特許第JP 2004346274号公報
【特許文献27】日本特許第JP 2004352794号公報
【特許文献28】欧州特許第EP 1482011号公報
【0133】
本発明アロイのブロック共重合体のSBブロックはエチレングリコール単位を含むブロックであるのが有利である。このSBブロックはPEGブロックであるか、ブビスフェノール、例えばビスフェノールAのエトキシ化で得られたブロックであるのが好ましい。
【0134】
ポリエーテル・ブロックは主モノマーがエチレンオキシドであるコポリマーである。この場合、エチレンオキシドはコポリマーの総重量に対して50重量%以上にする。
【0135】
本発明のブロック共重合体アロイの全PEG含有量は35重量%以上、好ましくは50重量%以上であるのが好ましい。また、他のポリエーテル・ブロックまたは他の可撓性ブロック、例えばポリエステルをさらに含むことができる。
【0136】
驚くことに、PTMGのみから成るブロック(このブロックは低吸水性)を有するコポリマーアロイの合成中に有機塩を加えても改良された静電気防止効果が得られる。静電気防止剤の使用で広く知られている考え(偏見)とは逆に、本発明の合成プロセスでは改良された静電気防止特性を有する本発明のコポリマーアロイにするためには(親水性の)PEGブロックの存在は必須ではない。
【0137】
本発明のブロック共重合体アロイはポリエーテル・ブロック・アミド(PEBAと略記)から成るのが好ましい。
【0138】
PEBAは反応性末端基を有するポリアミドブロックと反応性末端基を有するポリエーテル・ブロックとの重縮合で得られる。特に下記の重縮合で得られる:
(1) ジカルボン酸鎖端を有するポリオキシアルキレン・ブロックとジアミン鎖端を有するポリアミド・ブロック、
(2) ジカルボン酸末端基を有するポリアミドブロックと、ポリエーテルジオールとよばれるα、ω−ジヒドロキシ脂肪族ポリオキシアルキレン・ブロックのシアノエチル化および水素化で得られるジアミンを有するポリオキシアルキレンブロック、
(3) ジカルボン酸末端基を有するポリアミド・ブロックとポリエーテルジオール(この場合に得られる生成物を特にポリエーテルエステルアミドという)
【0139】
本発明のPEBAはPAl2−PEG、PA6−PEG、PA6/12−PEG、PA11−PEG、PAl2−PTMG、PA6−PTMG、PA12分の6−PTMG、PA11−PTMG、PAl2−PEG/PPG、PA6−PEG/PPG、PA6/12−PEG/PPGおよび/またはPA11−PEG/PPGから成るのが有利である。
【0140】
本発明で「ポリエステル(以下に、PESに略記)ブロック」という用語はジカルボン酸とジオールとの重縮合によって得られるポリエステルを意味する。適切なカルボキシル酸は芳香族酸、例えばテレフタル酸およびイソフタル酸を除く、ポリアミド・ブロックを作るために用いた上記ものである。適切なジオールは直鎖脂肪族ジオール、例えばエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコールまたは1,6−ヘキシレングリコール、分岐したジオール、例えばネオペンチル・グリコール、3−メチルペンタン・グリコールまたは1,2−プロピレングリコールおよび環状ジオール、例えば1,4−ビス(ヒドロキシルメチル)シクロヘキサンおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールである。
【0141】
「ポリエステル」という用語はポリ(カプロラクトン)および脂肪酸二量体をベースにしたPES、特に、Uniqema社から市販のPriplast(登録商標)を意味する。
【0142】
また、上記PESの少なくとも2つのタイプの配列を含の交互、ランダムまたはブロックコポリエステルタイプのPESブロックにすることもできる。
【0143】
本発明で「ポリシーロキサン(以下、Psiと略記)ブロック」という用語は直鎖または環式の、分岐または架橋構造の官能化されたシラン誘導体の重合によって得られる任意の有機珪素重合体またはオリゴマを意味し、これはシリコン原子が酸素原子を介して互いに結合した(シロキサン結合Si−O−Si)主単位の繰返しから本質的に成る。必要に応じて置換された炭化水素ベースの基が炭素原子を介してシリコン原子に直接結合している。最も一般的な炭化水素ベースの基はアルキル、特にC1〜C10アルキル、特にメチル、フルオロアルキル、アリール、特にフェニル、アルケニル基、特にビニル、直接または炭化水素ベースの基を介してシロキサン鎖に結合可能なその他のタイプの基、特に水素、ハロゲン、特に塩素、臭素または弗素、チオール、アルコキシ基、ポリオキシアルキレン(またはポリエーテル)、特にポリオキシエチレンおよび/またはポリオキシプロピレン基、ヒドロキシルまたはヒドロキシアルキル基、置換または未置換のアミン基、アミド基、アシロキシまたはアシルオキシアルキル基、ヒドロキシアルキルアミノまたはアミノアルキル基、第四アンモニウム基、アンホテリックまたはベタイン基、カルボキシレートのようなアニオン性の基、チオグリコレート、スルホスクシナート、チオスルフェート、ホスフェートおよびスルフェートおよびこれらの混合物であるが、このリストに限定されるものではない(「有機変成された」シリコーンとよばれる)。
【0144】
上記のポリシーロキサンポリジメチルシロキサンブロック(以下、PDMSブロックと略記)は ポリメチルフェニルシロキサンおよび/またはポリビニールシロキサンから成るのが好ましい。
【0145】
「ポリオレフィン・ブロック(以下、POブロックと略記)はモノマーとしてアルファオレフィンを有する任意のポリマーを意味する。すなわちオレフィンのホモポリマーまたは少なくとも一つのアルファオレフィンと少なくとも一つの他の共重合可能なモノマーとのコポリマーであり、アルファオレフィンは2〜30の炭素原子を有するのが有利である。
【0146】
アルファオレフィンの例としてはエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチルl−ブテン、1−ヘキセン、4−メチルl−ペンテン、3−メチルl−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、1−ドコセン、1−テトラコセン、1−ヘキサコセン、1−オクタコセンおよび1−トリアコセンが挙げられる。これらのアルファオレフィンは単独または2つ以上の混合物として使用できる。
【0147】
例としては下記が挙げられる:
(1)エチレンのホモポリマーおよびコポリマー、特に低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低濃度ポリエチレン(VLDPE)、メタロセン触媒を用いて得られるポリエチレン、
(2)プロピレンのホモポリマーおよびコポリマー、
(3)本質的に非晶質かアタクチックなポリ−αオレフィン(APAO)、
(4)エチレン/アルファオレフィン・コポリマー、例えばエチレン/プロピレン・コポリマー、EPR(エチレンプロピレンゴム)エラストマー、EPDM(エチレン−プロピレン・ジエン)およびポリエチレンとEPRまたはEPDMとの混合物、
(5)スチレン/エチレン−ブテン/スチレン(SEBS)、スチレン/ブタジエン/スチレン(SBS)、スチレン/イソプレン/スチレン(SIS)、スチレン/エチレン−プロピレン/スチレン(SEPS)コポリマー、
(6)不飽和カルボン酸の塩またはエステルから選択される少なくとも一つの化合物とエチレンとのコポリマー、例アルキル(メタ)アクリレート(アルキルは最大で24個の炭素原子を有することができる)、飽和カルボン酸ビニル・エステル、例えば酢酸ビニールまたはビニル・プロピオネートおよびジエン類、例えば1,4−ヘキサジエンまたはポリブタジエン。
【0148】
本発明の一つの有利な実施例では、上記の少なくとも一つのポリオレフィン・ブロックはポリイソブチレンおよび/またはポリブタジエンから成る。
【0149】
本発明の一つの特に有利な実施例では、本発明のブロック共重合体は少なくとも一つの可撓性ポリオレフィン・ブロック(POブロック)と、少なくとも一つのポリアミドとポリエーテルの両方を有する親水性のある硬いブロック(以下、hHBと略記)、例えばポリエーテルアミド・ブロック、ポリエーテルエステルアミド・ブロックおよび/またはポリエーテルアミドイミド・ブロック等とから成る。上記POブロックは酸、アルコールまたはアミン末端基を有するポリオレフィンから成るのが好ましい。POブロックは高分子量ポリオレフィンの熱劣化によって低分子の官能化されたポリオレフィンを形成する方法で得るのが好ましい(下記文献参照)。
【特許文献29】特開平03−62804号公報
【0150】
hHBは第四アミンタイプおよび/またはリン含有誘導体のカチオン性ポリマーおよび/またはポリオールと反応可能でスルホン酸基を有する変成された二酸タイプのアニオン性ポリマーから選択をされる少なくとも一つのポリマーから成ることもできる。有機塩の添加はhHBブロックの製造時またはPOブロックとhHBブロックとの反応時に行うことができる。下記文献には、コポリマーの合成方法と、各種構造を有するPOブロックとhHBブロックが記載されている。これらの構造を本発明プロセスで使用できることは当然である。
【特許文献30】米国特許第US6552131号明細書
【0151】
本発明で「ポリカーボネート・ブロック」(以下、PCブロックと略記)は任意の脂肪族ポリカーボネートを意味する。脂肪族のポリカーボネートは例えば特許文献31、32に記載されている。このポリカーボネートのホモポリマーまたはコポリマーは特許文献33にも記載されている。特許文献34、35にはポリカーボネート・ブロックう有するコポリマーとその合成方法が記載されている。
【0152】
【特許文献31】独国特許第DE2546534号公報
【特許文献32】日本国特許第JP1009225号公報
【特許文献33】米国特許第US471203号明細書
【特許文献34】国際特許第W092/22600号公報
【特許文献35】国際特許第W095/12629号公報
【0153】
これらの文献に記載のブロック(およびその合成方法)は本発明のPCブロックを有するコポリマー・アロイの合成でそのまま使用できる。本発明のコポリマー・アロイのポリカーボネートブロックは下記の式を有するのが好ましい:
【0155】
(ここで、aは2〜300の整数、R
1およびR
2は2〜18の炭素原子を有する直鎖または分岐した脂肪族または脂環式化合物鎖か、ポリオキシアルキレン基か、ポリエステル基を表し、互いに同一でも異なっていてもよい)
【0156】
このポリカーボネートの中でR
1およびR
2がヘキシレン、デシレン、ドデシレン、1,4−シクロヘキシレン、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキシレンまたはポリオキシエチレンから選択されるものが好ましい。
【0157】
上記ブロック共重合体は一般に少なくとも一つのリジッドなポリアミド・ブロックと少なくとも一つの可撓性ブロックとを有するが、本発明は、ブロックの少なくとも一つがポリアミドブロックである限り、上記の中から選択される異なる2、3、4つ以上の他のブロックを含む全てのコポリマー・アロイをカバーするということは明らかである。
【0158】
本発明のコポリマー・アロイは3つの異なるタイプのブロックを有するセグメント化したブロック共重合体(「トリブロック」とよぶ)であるのが有利である。これは上記ブロックの複数を縮合して得られる。このトリブロックはコポリエーテルエステルアミドおよびコポリエーテルアミドウレタンから選択し、トリブロックの全量に対して下記の比率であるのが好ましい:
(1)リジッド・ポリアミド・ブロックの重量百分率は10%以上、
(2)フレクシブル・ブロックの重量百分率は20%以上。
【0159】
本発明のブロック共重合体アロイは単独または混合物として使用できる。混合物でのロック共重合体アロイの比率は混合物の全量に対して5〜100重量%、好ましくは5〜70%、より好ましくは5〜30%である。
【0160】
本発明コポリマー・アロイには安定剤、可塑剤、滑剤、無機または有機の充填剤、染料、ピグメント、パールエッセンス、抗菌物質、難燃剤、静電防止剤、コポリマーの粘度を変える薬剤および/またはその他のどの添加剤と、熱可塑性ポリマーの分野の当業者に公知の上記アジュバントを加えることができる。
【0161】
軟いブロックもリジッドなブロックと同様に再生可能な原料および/または化石起源の原料から作ることができる。リジッドブロックおよび/または軟いブロックが少なくとも部分的に再生可能な原料から作られるのが有利である。本発明の一つの特に有利な型式では、ポリアミド・ブロックおよび/またはポリエーテル・ブロックおよび/またはポリエステル・ブロックおよび/またはポリシーロキサン・ブロックおよび/またはポリオレフィン・ブロックおよび/またはポリカーボネート・ブロックの全てが再生可能な原料から作られる。
【0162】
再生可能な物質を起源とする原料はバイオ(生体)材料ともよばれ、有機原料から得られる。有機原料では炭素が空気中のCO
2から光合成で固定される。この炭素は最近固定されたものである(人間のスケールで)。地上ではCO
2は植物によって捕らえられ、固定される。海中ではCO
2はバクテリアまたは光合成をするプランクトンによって捕らえられ、固定される。生体材料(天然根源物質の100%炭素)のアイソトープ比
14C/
12Cはl0
-12以上であり、一般には
14C/
12C比は1.2×l0
-12である。これに対して化石原料ではこの比はゼロである。
14Cアイソトープは大気中で形成され、その後、人間のスケールでは数世紀以内に光合成によって固定される。
14Cアイソトープの半減期は5730年である。従って、光合成(すなわち植物)に由来する原料は
14Cアイソトープの含有量が最大である。
【0163】
材料中の
14Cの量を測定するこれらの方法はASTM規格D6866(特にD6866−06)およびASTM規格D7026(特に7026−04)に記載されている。ASTM規格D6866の対象は「Determining the Biobased Content of Natural Range Materials Using Radiocarbon and Isotope Ratio Mass Spectrometry Analysis」であり、ASTM規格D7026の対象は「Sampling and Reporting of Results for Determination of Biobased Content of Materials via Carbon Isotope Analysis」である。第2の規格の第1章で第1の規格が参照されている。
【0164】
第1の規格にはサンプル中の
14C/
12C比を測定するためのテスト法が記載されている。これを100%が再生可能な材料を起源と基準サンプルの
14C/
12C比と比較して、サンプル中の再生可能な物質を起源とするCの百分比を求める。この規格は
14Cデーティングと同じ概念に基くものであるが、デーティング(dating,年代決定)の式は適用しない。
【0165】
従って、計算される比は「pMC」(モダーン炭素(Modern Carbon)パーセント)」で示される。分析材料がバイオ原料と化石原料(放射性同位元素なし)との混合物の場合、得られるpMC値はサンプル中に存在する生体材料の量に直接関係する。
14Cのデーティングに使われる参照値は1950年の値である。この日付後に大気圏での核実験があって空気中に多量のアイソトープが導入されたためにこの日付が選択された。1950年のpMCの基準値は100に対応する。熱核実験により、現在の値は約107.5である(補正係数0.93に対応する)。従って、現在の植物の放射性炭素のサインは107.5である。従って、54pMCのサインおよび99pMCのサインはサンプル中のバイオ材料がそれぞれ50%、93%の量であることに対応する。
【0166】
ASTM規格D6866は
14Cアイソトープ含有量の測定に3つの方法を推薦している:
(1)LSC(液体シンチレーション計測法)。この方法の原理は
14Cの壊変に由来する「β」粒子を数えることにある。公知質量サンプル(C原子数が公知)に由来するβ放散を一定期間測定する。「放射能強度」は
14C原子の数に比例すし、従って、
14C原子の数に決定できる。サンプル中に存在する
14Cはβ−放射線を出し、それが液体シンチレータントと接触してフォトンを出す。このフォトンは異なるエネルギ(0〜156keV)を有し、
14Cスペクトルとして公知のものを形成する。この方法の2つの変形法では解析は適切な吸収溶液中で炭素質サンプルによって予め製造されたCO
2か炭素質サンプルをベンゼンへ変換した後のベンゼンに対し関連付ける。ASTM規格D6866はこのLSC法をベースにした2つの方法AおよびCを提供する。
(2)AMS/IRMS(Accelerated Mass Spectrometry Coupled with Isotope Radio Mass Spectrometry)。この方法はマススペクトロメトリをベースにしたものである。サンプルをグラファイトまたはCO
2ガスに還元し、質量分析機で分析する。この技術では加速器と質量分析機を用いて
14Cイオンを
12C イオンから分離して2つのアイソトープの比を決定する。
【0167】
本発明のコポリマー・アロイは少なくとも部分的にバイオ材料から作られ、従って、少なくとも1重量%のバイオ材料を含有する。これは
14C含有量が少なくとも1.2×10
-14に対応することを意味する。この含有量は100重量%まで高くするのが好ましく、これは
14C含有量で1.2×10
-12に対応する。本発明のアロイは100%がバイオカーボンから成るか、化石起源の物質との混合物にすることができる。
【0168】
本発明の他の対象は、熱可塑性高分子マトリックスの静電気防止特性を改良するための上記マトリックスでの本発明ブロック共重合体アロイの使用にある。この高分子マトリックスは少なくとも一主の熱可塑性ポリマー(ホモポリマーまたはコポリマー)から成り、下記から選択される:ポリオレフィン、ポリアミド、フルオロポリマ、飽和ポリエステル、ポリカーボネート、スチレン樹脂、PMMA、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、エチレンと酢酸ビニール(EVA)のコポリマー、ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを有するコポリマー、ポリエステルブロックとポリエーテルブロックとを有するコポリマー、ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとポリエステルブロッとを有するコポリマー、エチレンとアルキル(メタ)アクリレートとのコポリマー、エチレンとビニールアルコールとのコポリマー(EVOH)、アセタール樹脂、ポリケトン、ASA、SAN、ABSおよびこれらの混合物。
【0169】
本発明の他の対象は、1〜40重量%の本発明の少なくとも一つのブロック共重合体アロイと、60〜99重量%の上記定義の高分子マトリックスとから成る組成物にある(組成物の総重量に対する比率)。
された上記
【0170】
本発明組成物は、10〜30重量%の少なくとも一種のブロック共重合体アロイと、70〜90重量%の上記定義の高分子マトリックスとから成る組成物であるのが好ましい(組成物の総重量に対する比率)。
【0171】
本発明組成物は、本発明により帯電防止特性が改良した少なくとも一つのブロック共重合体アロイを少なくとも一種の上記定義の高分子マトリックスの一部へ入れることによって、表面抵抗率が減少する。上記マトリックスへの上記の少なくとも一種のコポリマーアロイの添加はポリマー分野の当業者に周知の任意の方法で実行でき、特に乾式混合、加えた各種ポリマーのガラス転移温度以上の温度での混練、加えた各種ポリマーの流動化温度での剪断、カレンダリング、押出し成形または溶液混合で実行できる。
【実施例】
【0172】
以下、本発明の実施例を示すが、本発明が下記実施例に限定されるものではない。実施例での全ての百分比および部は特に断らない限り重量%、重量部を表す。
【0173】
実施例で使用した材料
PEG1500:
Mn=1500グラム/モルのジヒドロキシポリ(エチレングリコール。
有機塩:
LIl:1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタン−スルホニル)イミド
LI2:1−エチル−3−メチルイミダゾリウムメタンスルホネート
LI3:N−トリメチル−N−ブチルアンモニウムビス(トリフルオロメタン−スルホニル)イミド
【0174】
モル質量が1500グラム/モルに近いPAl2ブロックの合成
オートクレーブに4300gのラクタム12と、464gのアジピン酸とを300gの水と一緒に入れた。反応媒体の温度を約1時間20分かけて280℃にした後、280℃での3時間保持する。約1時間20分かけて圧力を大気圧へ戻し、窒素パージを2時間実行してからブロックを取り出す℃OOH鎖端の分析からこのブロックのモル質量Mnは1560グラム/モルであった。
【0175】
モル質量2000質量が2000グラム/モルであるPAl2ブロックの合成
オートクレーブへ、355gのアジピン酸と4500gのラクタム12とを340gの水と一緒に入れる。反応媒体の温度を2時間10分かけて280℃にした後、280℃で3時間保持する。約1時間20分かけて圧力を大気圧へ戻し、窒素パージを2時間実行してからブロックを取り出す℃OOH鎖端の分析からこのブロックのモル質量Mnは2000グラム/モルであった。
【0176】
PA6/12ブロック(CoPA 1)の合成
オートクレーブへ、300gのラクタム6と、1200gのラクタム12と、190gのアジピン酸とを127gの水と一緒に入れる。反応媒体の温度を1時間40分かけて280℃にした後、21バールの圧力下に280℃で2時間保持する。約1時間かけて圧力を大気圧へ戻し、窒素パージを50分間実行してからブロックを取り出す℃OOH鎖端の分析からこのブロックのモル質量Mnは1430グラム/モルであった。
【0177】
LI2存在下でのPA6/12ブロック(CoPA2)の合成:段階I中にLI2を取込み
オートクレーブに264gのラクタム6と、1056gのラクタム12と、167.2gのアジピン酸と、32.7g のLI2とを112gの水と一緒に入れる。反応媒体の温度を約1時間20分掛けて280℃にした後、19.5バールの圧力下で280℃に2時間保持する。約1時間10分かけて圧力を大気圧へ戻し、窒素パージを50分間実行してからブロックを取り出す℃OOH鎖端の分析からこのブロックのモル質量Mnは1325グラム/モルであった。
【0178】
実施例1
アンカー型撹拌機を備えたガラス製反応容器に30gのPAl2ブロックと、30gのPEG(1500グラム/モル)を入れる。10分間、窒素パージして反応媒体を不活性化する。全体をオイルバス中に入れ、原料温度を約240℃(+/−5℃)にする。混合物が完全に溶けた後に撹拌を開始する。1時間、窒素パージした後、反応媒体中に0.608gのLI1を例えばシリンジを用いて入れる。反応容器の圧力を2ミリバールに下げた後、シリンジを用いて0.3重量%のZr(0Bu)
4のトルエン濃縮溶液を注入する。撹拌は250回転数/分で固定する。減圧下に置いてから約10分後にトルクは20N.cmになった。
【0179】
比較例1
実施例1と同じ方法を使用してテストを実行する。同じ量のPAl2(1500グラム/モル)とPEG(1500グラム/モル)とを導入するが、他の出発原料は加えない。減圧下に置いてから約10分後にトルクは20N.cmになった。
【0180】
実施例2
実施例1と同じ方法を使用してテストを実行する。同じ量のPAl2とPEG1500とを導入するが、0.304gのLI1を使用した。減圧下に置いてから約15分後にトルクは20N.cmになった。
【0181】
実施例3
実施例1と同じ方法を使用してテストを実行する。同じ量のPAl2とPEG1500とを導入するが、1.52gのLI1を使用した。減圧下に置いてから約15分後にトルクは20N.cmになった。
【0182】
実施例4
実施例1と同じ方法を使用してテストを実行する。同じ量のPAl2とPEG1500とを導入するが、0.62gのLI2を使用した。減圧下に置いてから約13分後にトルクは20N.cmになった。
【0183】
実施例1〜4ではブロック共重合体を得る(段階II)ための重縮合段階(II)中に有機塩を添加することによって上記アロイ粘度(トルク20N℃mに対応)により迅速に到達する。本発明(実施例1〜4)の方法補に従って有機塩を段階(II)の間に添加することで、PAブロックとPEGブロックとの重合の化学反応速度は、有機塩を添加しない同じ重合反応(比較例1)と比較して、加速される。
【0184】
比較例9
比較例1と同じ方法を使用してテストを実行するが、有機塩は添加せず、30g のCoPA1と、31.5gのPEG 1500とを導入する。減圧下に置いてから約66分後にトルクが20N.cmになった。
【0185】
実施例13
実施例1と同じ方法を使用してテストを実行する。30gのPAl2と、30gのPEG 1500と、0.572gのLI1とを導入する。減圧下に置いてから約10分後にトルクが20N.cmになった。
【0186】
実施例14
実施例1と同じ方法を使用してテストを実行する。PAl2の30g、PEG 1500の30gおよびL13の0.572gを導入する。減圧下に置いてから約13分後にトルクが20N.cmになった。
【0187】
本発明(実施例13、14)の方法に従って有機塩を段階(II)に添加することでPAブロックとPEGブロックとの重合の化学反応速度は、有機塩の添加のない同じ重合反応(比較例9)と比較して、加速される。
【0188】
実施例5〜7
[表1]は、本発明の実施例5〜7の表面抵抗率(オーム/平方)を比較例1〜5と比較したもの手ある。
実施例5では実施例1〜4と同じ手順に従ってアロイを製造したが、総重量(ブロック共重合体+有機塩)に対してLI1を1重量%使用した。
【0189】
ブロック共重合体(PAl2−PEG)を総重量に対して20重量%入れることでポリエチレンPE(比較例2)およびポリスチレンPS(比較例4)の各マトリックスの表面抵抗率は、比較例3、5の組成物に対して、それぞれ少なくともファクタ10だけ低下する。
【0190】
ポリエチレンPE(比較例2)およびポリスチレンPS(比較例4)のマトリックス混合物のそれぞれの表面抵抗率は、本発明組成物の実施例6、7では、総重量に対して混合物の20重量%(99%ブロック共重合体PAl2−PEG+1%LI1)を入れることで、ファクタが少なくとも10
3低下する。
【0191】
比較例10
比較例1と同じ方法を使用してテストを実行するが、30gの2000グラム/モル質量のPAl2と、30gのPTMG2000とを導入する。
【0192】
実施例15
実施例1と同じ方法を使用してテストを実行する。30gの2000グラム/モル質量のPAl2と、30gのPTMG2000と、0.608gのLI1とを導入する。
【0193】
実施例15では、有機塩(1% LI1)を加えることによってPTMG−ベースのポリエーテル−ブロック共重合体の固有抵抗が、比較例10と比較して、効果的に低下する(少なくともファクタで10
3)。
【0194】
【表1】
【0195】
実施例8〜11
[表2]ではPEGブロックのモル質量は1500g/モルで、PA6/12のモル質量は1500g/モルである。
比較例7、8および実施例9、10でのマトリックスはダウ社のMagnum3453MFI14グレードのアクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)ターポリマーである。
【0196】
【表2】
【0197】
PA6/12−PEGブロックコポリマーを20重量%入れた比較例8で、ABS(比較例7)の表面抵抗率はファクタが10
3低下する。
【0198】
実施例8(段階IでLIを入れる)
比較例1と同じプロセスを実施するが、30gのCoPA2と、33.9gのPEG1500とを導入する。
【0199】
実施例10(段階IIでLIを入れる)
実施例1と同じプロセスを実施するが、30gのCoPA1と、31.5gのPEG1500と、0.6235gのLI2とを導入する。減圧下に置いてから約45分後にトルクは20N.cmになった。
【0200】
実施例16(段階IIIでLIを入れる)
29.7gの比較例9の生成物と、0.3gのLI2とを混合機に導入し、60℃で8時間真空下に攪拌する。
【0201】
PA6/12−PEGブロック共重合体(比較例6)の表面抵抗率は、PA6/12ブロック(本発明の実施例8)の製造段階(I)中に、あるいは、PA6/12−PEGブロック共重合体(本発明の実施例10)製造の重縮合段階(II)、あるいは、コポリマーアロイ(本発明の実施例16)の回収段階(III)の間に、有機塩LI2を入れることによってファクタが少なくとも10
2低下する。
【0202】
ABS(比較例7)の表面抵抗率は、実施例9でファクタが少なくともの10
3低下する。本発明のこの実施例9は、80%のABSマトリックス中に本発明のコポリマー・アロイ(実施例8)を20%入れた組成物である。実施例9のPA6/12−PEGブロック共重合体では本発明方法の段階(I)の間に1%のLI2を入れる。
【0203】
ABS(比較例7)の表面抵抗率は、実施例11でファクタが少なくともの10
5低下する。本発明のこの実施例11は、80%のABSマトリックス中に本発明のコポリマー・アロイ(実施例10)を20%入れた組成物である。実施例11のPA6/12−PEGブロック共重合体では本発明方法の段階(II)の間に1%のLI2を入れる。
【0204】
本発明方法の段階(II)の間に有機塩を入れることで、PAブロックと可撓性のあるブロック(この場合にはポリエーテル)との間の重合の化学反応速度が加速するだけでなく、本発明で得られるコポリマー・アロイの固有抵抗がより効果的に低下し、本発明方法の段階(I)の間に有機塩を入れたものと比較して、それを組み入れたポリマーマトリックスの固有抵抗がより効果的に低下する。
する。
【0205】
ABS(比較例7)の表面抵抗率は実施例17でファクタが10
5低下する。本発明のこの実施例17は80%のABSマトリックスに本発明のコポリマー・アロイ(実施例16)を20%入れた組成物である。実施例9のPA6/12−PEGコポリマー・アロイは本発明方法の段階(I)の間にLI2を1%入れたものである。
【0206】
本発明方法のどの段階で有機塩を組み入れるかに関係なく、有機塩を「ドープした」Pebaxの静電気防止効果はPebax単独での効果と比較して10倍増加する。
【0207】
本発明コポリマーの機械特性と物理化学的特性
[表3]はTA DMA Q800熱解析機器を使用して実行したDMA(3℃/分のランプ、1Hzでの引張モードでの測定)の分析結果である。使用したPA6/12−PEGブロックはそれぞれ1430〜1500グラム/モルのモル質量を有する。
【0208】
【表3】
【0209】
本発明方法に従って有機塩を取込むことで(取込みの段階IまたはIIまたはIIIに関係なく、それぞれ実施例8、10または16)、コポリマーのみの場合すなわち有機塩を添加しない場合に比べて、同じ機械特性(モジュラス、Tg)を有するコポリマー・アロイを得ることがでる。