特許第6976927号(P6976927)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6976927堅い包装用ウェブ材料を取り扱うための改良型フィルターロッドメーカー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6976927
(24)【登録日】2021年11月12日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】堅い包装用ウェブ材料を取り扱うための改良型フィルターロッドメーカー
(51)【国際特許分類】
   A24D 3/02 20060101AFI20211125BHJP
【FI】
   A24D3/02
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-503150(P2018-503150)
(86)(22)【出願日】2016年8月1日
(65)【公表番号】特表2018-521660(P2018-521660A)
(43)【公表日】2018年8月9日
(86)【国際出願番号】EP2016068278
(87)【国際公開番号】WO2017021347
(87)【国際公開日】20170209
【審査請求日】2019年7月23日
(31)【優先権主張番号】15179400.5
(32)【優先日】2015年7月31日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】カザーレ クリスティアーノ
(72)【発明者】
【氏名】アンジェリーニ ファビオ
(72)【発明者】
【氏名】ディ ドメニコ ルチアーノ
【審査官】 沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−265052(JP,A)
【文献】 特開平01−132367(JP,A)
【文献】 特開2000−189137(JP,A)
【文献】 特表2007−504824(JP,A)
【文献】 特開2009−112276(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102013210634(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
喫煙物品の製造で使用するためのフィルターロッドを作製するための装置であって、前記装置が、
フィルタープラグ材料および包装用ウェブ材料を受けるための、ならびに前記フィルタープラグ材料および前記包装用ウェブ材料から、包装されたフィルターロッドを形成するための動作ステーションと、
前記包装されたフィルターロッドを細長いロッドセグメントに切断するための少なくとも一つのカッターブレードと、
間隙を介した複数の溝部を外側表面上に有する回転ドラムを含んでいる移動装置と、を備え、前記溝部は、前記ドラムの回転に際して前記細長いロッドセグメントを受けるように構成・配置され、前記ドラムは、前記細長いロッドセグメントが前記溝部内に受けられた時に、前記細長いロッドセグメントが位置付けられる、それぞれの前記溝部の一方の端に停止手段をさらに備えており、
前記停止手段が、円筒形本体を持つピンを備え、該円筒形本体は、第一の直径(D1)を有し、且つ、前記ピンがドラムフレームに取り付けられる第一の端と前記第一の端と反対側の第二の端との間を溝部の軸(F)に沿って延びており、
前記ピンが、前記円筒形本体の前記第二の端から前記軸(F)に沿って延びる隣接部分を含み、前記隣接部分が、前記第一の直径(D1)よりも小さい第二の直径(D2)を有し、かつ前記細長いロッドセグメントの端部に隣接するための実質的に平面の表面を提示する、装置。
【請求項2】
前記第二の直径(D2)が前記第一の直径(D1)の80パーセント未満である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第二の直径(D2)が前記第一の直径(D1)の少なくとも50パーセントである、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記溝部の前記軸(F)に沿って測定した前記隣接部分の長さ(L)が少なくとも0.5mmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記溝部の前記軸(F)に沿って測定した前記隣接部分の長さ(L)が3mm未満である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置であって、前記動作ステーションが、
作動可能なようにエンドレスベルトコンベヤーと結合され、また前記フィルタープラグ材料および前記包装用ウェブ材料を受けるように、かつ前記包装用ウェブ材料の第一および第二の長軸方向の端部が重なって前記包装されたフィルターロッドを形成するように、前記包装用ウェブ材料をフィルタープラグ材料の周りで包装するように構成された、ガーニチャーと、
前記包装用ウェブ材料の前記重なり合った第一および前記第二の長軸方向の端部を封着するための接着剤を供給するためのアプリケータとを備える、装置。
【請求項7】
前記ガーニチャーがさらに、前記包装用ウェブ材料の前記重なり合った第一および前記第二の長軸方向の端部に熱を供給するための、かつ前記ガーニチャー内を摺動自在に進む前記エンドレスベルトコンベヤーの長軸方向の側方端を支持するための加熱バーと作動可能なように結合し、前記加熱バーが、封着されている前記包装されたフィルターロッドを少なくとも部分的に受けるための円弧状の輪郭を有する溝を備える、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記加熱バーが一対の加熱バー陵を含み、それぞれの加熱バー陵が、一方の側で前記溝の境界を定め、他方の側で支持表面を提示して、前記陵の前記支持表面が前記エンドレスベルトコンベヤーの前記長軸方向の側方端を、横断面で見た時にV字型配置で支持するよう適合されるようになっており、また前記エンドレスベルトコンベヤーの前記端部が前記溝の外側を摺動自在に進み、よって前記エンドレスベルトコンベヤーのベルトが前記ガーニチャー内の実質的に中心の位置で維持される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記陵が実質的に三角形の断面を持ち、また前記エンドレスベルトコンベヤーの前記長軸方向の側方端がそれらの間で少なくとも約30度の角度を形成するように、前記支持表面が傾いている、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記装置がさらに、前記接着剤を冷却し硬化させるために作動可能なように、かつ熱的に前記ガーニチャーと結合された冷却バーを備え、前記冷却バーが、冷却バー入口と冷却バー出口の間に延びる長軸方向の冷却バー溝を備え、また前記包装されたフィルターロッドを少なくとも部分的に受けるように前記冷却バー溝が適合されるように、前記ガーニチャー内を進む前記エンドレスベルトコンベヤーのベルトの上側表面に面して前記冷却バー溝とともに配置されて前記ベルトの通路を画定し、前記冷却バー溝が、前記エンドレスベルトコンベヤーの前記長軸方向の側方端と連携するように適合されたそれぞれの外側隣接表面を提示する側方の陵によって横方向に境界が定められ、前記冷却バー溝の断面の表面積が前記冷却バー入口と前記冷却バー出口の間で減少する、請求項6に記載の装置。
【請求項11】
作動可能なように前記ガーニチャーと結合された圧縮手段を備える請求項6に記載の装置であって、前記包装されたフィルターロッドの半径方向に実質的に沿って方向付けられた圧縮荷重を前記包装されたフィルターロッドにかけるように、前記ガーニチャーの下流端に配置され、前記包装用ウェブ材料の前記重なり合った第一および第二の長軸方向の端部に沿った位置で前記包装されたフィルターロッドと連携するように適合される、装置。
【請求項12】
前記圧縮手段が実質的に球体の形状を持つ連携部分を備える、請求項11に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルター紙巻たばこなど喫煙物品の製造で使用するためのフィルターロッドを作製するための装置に関連する。
【背景技術】
【0002】
フィルター紙巻たばこは一般的に、紙ラッパーで囲まれたたばこカットフィラーのロッドと、包まれたたばこロッドと端と端を接して整列され、チッピングペーパーによってそれに取り付けられた円筒形のフィルターとを備える。フィルターは一般的に、繊維質の濾過材料でできた1つ以上のプラグから成る。一つの適切な繊維質の濾過材料は、酢酸セルローストウであり、これはトリアセチンなどの可塑剤で処理されることがよくある。1つ以上のプラグは、「プラグラップ」と一般に呼ばれる紙材料によって囲まれている。
【0003】
連続的な繊維フィルタートウからのフィルターロッドの製造は、トウ繊維を並べるための連続した処理工程を通して概して長軸方向にフィルタートウを移動する工程と、トウが集められ、圧縮され、所定の形状(実質的に円筒形のロッドなど)に形成される前に、可塑剤および/またはその他の添加物を繊維に塗布する工程とを含む。さらに、製造工程は、包装されたフィルターロッドを生産するために、繊維トウロッドをプラグラップで包む工程を含む。
【0004】
この目的で、フィルターロッドメーカーには、ロッド形状の繊維トウを形成ステーションから受けるための、およびロッド形状の繊維トウをフィルター紙で包んで連続的なフィルターロッドを形成するための、包装ステーションが含まれる。包装ステーションは、エンドレスの経路に沿って所定の方向に進行するように構成されたエンドレスベルトコンベヤー(例えば、ガニチュール(ガーニチャー(garniture))テープとして提供される)と、経路の第一の部分でフィルター紙リボンをベルトコンベヤー上に供給するための供給装置とを備える。さらに、包装ステーションは、ベルトの側方端を相互に向かって移動することによって、第一の経路部分の下流にある経路の第二の部分でコンベヤーを管に徐々に変換する案内要素を備える。このタイプのフィルターロッドメーカーは、例えばUS 4768526号に記載がある。
【0005】
より詳細には、コンベヤーは一般に、2つのリターンローラーの周りで輪になったベルトを備える。ベルトの一つの支流は、案内要素またはガニチュール内に提供された長軸方向の溝に沿って摺動自在に走る。溝は、案内の入口端と出口端の間で連続的に異なり、出口端で実質的に円筒形の断面を持つ。溝内で摺動するベルトはガニチュールテープを構成し、このガニチュールテープによって、第一の経路部分から進むフィルター紙リボンが案内され、かつ第二の経路部分で繊維トウロッドの周りが包装される。従って、包装ステーションでは、フィルター紙リボンが、フィルター紙リボンの縁の部分が重なるように、ロッド形状の繊維トウの周りに巻かれる。
【0006】
さらに、フィルターロッドメーカーは、フィルター紙リボンの一方または両方の側方端が重なった時に相互に結合されるように、フィルター紙リボンの一方または両方の側方端に適切な接着剤を塗布するための接着手段を含む。接着剤は、包装用ガニチュールに沿ったアプリケータ領域で、または代替として、包装用ウェブ材料が包装ステーションのガニチュールに入る部分の上流で、包装用ウェブ材料上に塗布されうる。
【0007】
一例として、熱活性化可能な接着剤をフィルター紙リボンの一方または両方の側方端に塗布してもよく、またフィルターロッドメーカーは、接着剤を活性化させるための熱源をさらに備え、熱源はガニチュールに沿った位置に配置される。
【0008】
さらに、フィルターロッドメーカーは一般に、接着剤を急速に硬化させるために接着剤を冷却する手段をさらに含む。特に、フィルターロッドメーカーは、熱源の下流の包装用ウェブ材料の経路に沿った位置で、作動可能なようにエンドレスベルトコンベヤーと結合された冷却バーを備えることが周知である。こうした一つの冷却バーは一般に、使用時に約−5℃〜約6℃の温度になるように構成される。これによって、包装されたロッドが冷却バーに沿って移動する際に、接着剤が硬化し、封着された長軸方向の継ぎ目が形成されることが確保される。
【0009】
こうして製造された包装されたフィルターロッドはその後、所定の長さを持つセグメントに切断され、フィルタープラグ要素が得られうる。特に、フィルターメーカーは、包装ステーションを去る連続的な包装されたフィルターロッドを、複数のフィルタープラグ要素に対応する長さを持つフィルターロッド部分に切断するための切断用組立品を冷却バーの下流位置で備える。これらのフィルターロッド部分はその後、たばこロッドに取り付けるために、フィルターコンバイナーまたはチッピング機械に移されてもよい。この目的で、フィルターロッドメーカーの出口ステーションは、包装ステーションを去るフィルターロッド部分を受けるように適合された複数のフルート(溝(flute))を備え、フィルターロッド部分を別の作業ユニットに搬送するための、移動ドラムを備える。
【0010】
ある一定の用途では、より大きな剛性をフィルターに与えるためなど、堅い厚めの包装用ウェブ材料を使用することが好ましい場合がある。ところが、こうすることで低い楕円率のフィルターロッドの形成が困難になることがある。さらに、堅い包装用ウェブ材料とフィルターロッドメーカーの部品との間での包装用ウェブ材料経路に沿った摩擦が増大するため、より多くの熱が発生し、冷却バーの封着効率が影響を受けうる。
【0011】
同時に、堅い厚めの包装用ウェブ材料が弾性的に元の平坦な状態に戻る固有の傾向が増大するため、ロッド形状の繊維トウの周りに巻かれた包装用ウェブ材料の重なった側方端を正しく封着するためには、より多量の接着剤が必要である。ところが、これは、包装ステーションの出口で包装されたフィルターロッド部分を受ける移動ドラムの表面に余分な接着剤が蓄積するという望ましくない効果をもたらし得る。このため、フィルターロッドメーカーは、停止されなければならないことが頻繁に起こる可能があり、そのため機械のダウンタイムが望ましくない程に増大する。
【0012】
よって、上記で特定された欠点が効果的に対処されうるように、喫煙物品の製造で使用するためのフィルターロッドを作製するための装置を提供することが望ましい。特に、機械のダウンタイムが著しく短縮され、その一方で同時に、装置によって得られたフィルターロッドが、例えばシールの品質、楕円率、視覚的影響、その他の点で必要な製造要件を満たすことを確実にする装置を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0013】
本発明の一態様によれば、喫煙物品の製造に使用するためのフィルターロッドを作製するための装置が提供されている。装置は、フィルタープラグ材料および包装用ウェブ材料を受けるための、ならびにフィルタープラグ材料および包装用ウェブ材料から、包装されたフィルターロッドを形成するための動作ステーションを備える。装置はまた、包装されたフィルターロッドを細長いロッドセグメントに切断するための少なくとも一つのカッターブレードを備える。さらに、装置は、ドラムの外側表面上にある、間隙を介した複数のフルートを有する回転ドラムを含む移動装置を備え、フルートはドラムの回転に伴い細長いロッドセグメントを受けるように構成・配置される。ドラムは、細長いフィルターロッドがフルート内に受けられた時に位置付けられる、それぞれのフルートの一方の端で停止手段をさらに備える。停止手段は、第一の直径(D1)を有し、ピンがドラムフレームに取り付けられる第一の端と、第一の端と反対側の第二の端との間をフルートの軸(F)に沿って延びる、円筒形本体を持つピンを備える。さらに、ピンは、円筒形本体の第二の端から軸(F)に沿って延びる隣接部分を含み、隣接部分は、第一の直径(D1)よりも小さい第二の直径(D2)を有し、かつ細長いフィルターロッドの端部に隣接するための実質的に平面の表面を提示する。
【0014】
「楕円率」という用語は本明細書において、フィルターロッドの横断部分の形状を描写するために、かつ完全な円からの逸脱の度合いを描写するために使用される。本件においては、楕円率は長さとして表現されることができ、その数学的な定義を下記に示す。
【数1】
楕円率=(b−a).
【0015】
フィルターロッドのセグメントの楕円率を決定するには、一方の端をフィルターロッドの長軸方向に沿って見る。例えば、フィルターロッドは透明な台の上にその端がくるように配置されてもよく、そうすることでフィルターロッドの端のイメージが、透明な台の下に位置する適切な撮像装置によって記録される。寸法「a」は、その下流端でのセグメントの最小外径になるように取られ、また寸法「b」は、その下流端でのセグメントの最大外径になるように取られる。プロセスは同じデザインを有する合計10本のフィルターロッドについて繰り返され、10回の楕円率測定の平均はフィルターロッドのそのデザインについての楕円率として記録される。
【0016】
周知の装置とは対照的に、フィルターロッドメーカーは、新しく形成されたフィルターロッドセグメントを送るための改良型移動装置を備えて提供される。移動装置は、ドラムの外側表面上にある、間隙を介した複数のフルートを有する回転ドラムを含み、ここでフルートはドラムの回転に伴い細長いロッドセグメントを受けるように構成・配置される。ドラムは、それぞれのフルートの一方の端で停止手段を備え、そこでは細長いフィルターロッドがフルート内に受けられた時に隣接する。停止手段は、細長いフィルターロッドの端部に隣接するための実質的に平面の表面を提示するピンを含む。ピンは、使用時に細長いフィルターロッドと接触する端部で、ピンの円筒形本体と比べて小さい直径を持つ部分を含む。
【0017】
形成されたばかりのフィルターロッドセグメントと直接接触するための小さい表面積を提示する停止手段を提供することによって、接着剤が停止手段上に蓄積する可能性は有利なことに著しく低減される。理論に拘束されることを望むものではないが、ピンの隣接する端部はフィルターロッドセグメントの半径方向中央部分と接触し、そこには一般に、接着剤がないことが期待されると理解されている。同時に、停止手段とフィルターロッドセグメントの周辺部との間に小さなギャップが残され、このフィルターロッドセグメントの周辺部は接着剤が存在する可能性が最も高いフィルターロッドセグメントの部分であり、これは接着剤が包装用ウェブ材料の重なり合った長軸方向の側方端の間にシールを形成するように塗布されているためである。
【0018】
従って、フィルターロッドメーカーが停止する回数および頻度は著しく低減され、そのため有利なことに機械ダウンタイムは全体的に短縮される。よって、本発明によるフィルターロッドメーカーは、堅い厚めのラッパーを含むフィルターロッドの製造に特に有用であり、またはフィルタープラグ材料の周りで包装用ウェブ材料を確実かつ安全に封着するために、より大量の接着剤が必要とされる時はいつでも、特に有用である。以下の説明から明らかとなるように、一部の好ましい実施形態では、シールの品質、楕円率、視覚的影響など、フィルターロッドの特性に関連してさらなる有利な改良が得られうる。
【0019】
本発明による装置は、フィルタープラグ材料および包装用ウェブ材料を受けるための、ならびにフィルタープラグ材料および包装用ウェブ材料から、包装されたフィルターロッドを形成するための動作ステーションを備える。さらに、装置は、包装されたフィルターロッドを細長いロッドセグメントに切断するための少なくとも一つのカッターブレードを備える。さらに、装置は、新しく形成された細長いロッドセグメントを送るための移動装置を備える。移動装置は、ドラムの外側表面上にある、間隙を介した複数のフルートを有する回転ドラムを含み、フルートはドラムの回転に伴い細長いロッドセグメントを受けるように構成・配置される。ドラムは、細長いフィルターロッドがフルート内に受けられた時に位置付けられる、それぞれのフルートの一方の端で停止手段をさらに備える。停止手段は、第一の直径(D1)を有し、ピンがドラムフレームに取り付けられる第一の端と、第一の端と反対側の第二の端との間をフルートの軸(F)に沿って延びる、円筒形本体を持つピンを備える。さらに、ピンは、円筒形本体の第二の端から軸(F)に沿って延びる隣接部分を含み、隣接部分は、第一の直径(D1)よりも小さい第二の直径(D2)を有し、かつ細長いフィルターロッドの端部に隣接するための実質的に平面の表面を提示する。隣接部分は円筒形の形状が好ましい。
【0020】
第二の直径(D2)は第一の直径(D1)の約80パーセント未満であることが好ましい。さらに、または別の方法として、第二の直径は第一の直径(D1)の少なくとも約50パーセントである。フィルターロッドセグメントの周辺部の十分に広い環状部分が停止手段の平坦な表面に隣接せず、それによって接着剤がドラムにかかりうる可能性を最小限に抑えられるため、これらの値は有利である。一部の特に好ましい実施形態において、第二の直径(D2)は第一の直径の約75パーセントである。一例として、第一の直径(D1)は8mmでもよく、また第二の直径(D2)は6mmでもよい。
【0021】
フルートの軸(F)に沿って測定した隣接部分の長さ(L)は、少なくとも約0.5mmであることが好ましい。さらに、または別の方法として、フルートの軸(F)に沿って測定した隣接部分の長さ(L)は、約2mm未満である。十分に広い軸方向のギャップがこうして、フィルターロッドセグメントの周辺部と停止手段の平坦な表面との間に残されるため、これらの値は有利である。これは、接着剤がドラムにかかりうる可能性を最小限に抑えることにも貢献する。一部の特に好ましい実施形態において、フルートの軸(F)に沿って測定された隣接部分の長さ(L)は約1mmである。
【0022】
装置の動作ステーションは一般に、作動可能なようにエンドレスベルトコンベヤーと結合され、またフィルタープラグ材料および包装用ウェブ材料を受けるように構成され、かつ包装用ウェブ材料の第一および第二の長軸方向の端部が重なって、包装されたフィルターロッドを形成するように、包装用ウェブ材料をフィルタープラグ材料の周りで包装するように構成された、ガニチュールを備える。さらに、動作ステーションは、包装用ウェブ材料の重なり合った第一および第二の長軸方向の端部を封着するために熱活性化可能な接着剤を供給するアプリケータを備える。熱活性化可能な接着剤は、包装用ウェブ材料の一方または両方の長軸方向の側方端に塗布されうる。
【0023】
動作ステーションは、接着剤を活性化させるための熱源をさらに備え、熱源はガニチュールに沿った位置に配置される。より詳細には、ガニチュールは、包装用ウェブ材料の重なり合った第一および第二の長軸方向の端部に熱を供給するように適合され、一方でガニチュール内を摺動自在に進むエンドレスベルトコンベヤーの長軸方向の側方端を支持する加熱バーと作動可能なように結合されることが好ましい。加熱バーは、封着されている包装されたフィルターロッドを少なくとも部分的に受けるための円弧状の輪郭を有する溝を備えることが好ましい。
【0024】
加熱バーは、一対の加熱バー陵を含み、ベルトがガニチュールに沿って摺動自在に進むに伴い、陵の支持表面が、V字型の配置(横断面で見た時)内にエンドレスベルトコンベヤーの長軸方向の側方端を支持するように適合されるように、それぞれの加熱バー陵は、一方の側で加熱バーの溝の境界を定め、および他方の側で支持表面を提示することがさらに好ましい。
【0025】
実際に、加熱バーは、加熱バーの溝がガニチュールの溝内を進むベルトの上側表面に面して配置される。ベルトがガニチュールに沿って進む際、ベルトの長軸方向の側方端は加熱バー陵の(外側)支持表面に対して摺動し、封着されている包装されたフィルターロッドは、ベルトの上側表面と加熱バーの溝の表面との間に含まれる容積内に実質的に囲まれる。これは、ベルトがガニチュール内の正しい中心位置から離れて移動することを阻止するという点で有利である。さらに、このことは、有利なことに低楕円率のフィルターの形成にとって有利に働く。
【0026】
加熱バー陵は、実質的に三角形の断面を持ち、かつベルトの長軸方向の側方端がそれら(V字型の配置)の間で少なくとも約30度の角度を形成するように、支持表面が傾いていることが好ましい。ベルトの長軸方向の側方端がそれらの間で少なくとも約45度の角度を形成するように、支持表面は傾いていることがより好ましい。一部の好ましい実施形態において、ベルトの長軸方向の側方端がそれらの間で約60度の角度を形成するように、支持表面は傾いている。
【0027】
さらに、動作ステーションは、接着剤を冷却し硬化させるために、ガニチュールおよびエンドレスベルトコンベヤーに動作可能なようにかつ熱的に結合された冷却バーを備えることが好ましい。冷却バーは熱源の下流に配置される。好ましい実施形態において、冷却バーは加熱バーのすぐ下流に配置され、同じブラケットに取り付けられうる。
【0028】
冷却バーは、冷却バー入口と冷却バー出口の間に延びる長軸方向の溝を備え、また包装されたフィルターロッドを少なくとも部分的に受けるように溝が適合されるように、ガニチュールの溝内を進むベルトの上側表面に面して長軸方向の溝とともに配置される。冷却バー入口では、溝の断面は実質的に半円形であることが好ましい。
【0029】
実際に、冷却バーは、ベルトの通路がガニチュールと冷却バーの間に画定されるように、ガニチュールから少し離して配置される。溝は、冷却バーとガニチュールの間を進むベルトの長軸方向の側方端と連携するように適合されたそれぞれの外側隣接表面を提示する側方の陵によって横方向に境界が定められることが好ましく、また溝の断面の表面積は、冷却バー入口と冷却バー出口の間で減少することが好ましい。
【0030】
従って、ベルトがガニチュールに沿って進む際、ベルトの長軸方向の側方端の向かい合った表面間の距離は、ベルトが冷却バー入口に達する際に増大し、またベルトの長軸方向の側方端は冷却バー溝の側方の陵と接触するようになる。このことは、ベルトがこうして、その後で冷却バーの残りの部分に対して摺動しないよう抑制され、そのため冷却バーが冷却バーに対するベルトの摩擦によって加熱されないため、有利である。一方で、包装されたフィルターロッドは包装用ウェブ材料の重なり合った側方端を封着する加熱活性化接着剤とともに、ベルトの上側表面と冷却バー溝の表面との間に維持され進む。こうして、包装用ウェブ材料の重なり合った長軸方向の側方端の間に提供され、熱源によって以前に加熱された接着剤は冷却され、接着剤の急速な硬化が達成されうる。
【0031】
一部の好ましい実施形態において、装置は、作動可能なようにガニチュールと結合され、ガニチュールの下流端に配置され、また包装用ウェブ材料の重なり合った第一および第二の長軸方向の端部に沿った位置で、包装されたフィルターロッドと連携するように適合された圧縮手段をさらに備える。圧縮手段は、包装されたフィルターロッドの半径方向に実質的に沿って方向付けられた圧縮荷重を、包装されたフィルターロッドにかけるように構成・配置される。このことは、堅いまたは厚めの包装用ウェブ材料が使用される時に特に有利である。その理由は、こうした圧縮手段の提供によって、巻かれた包装用ウェブ材料がフィルタープラグ材料の周りの完全に円筒形の配置から離れるように移動するという固有の傾向に効果的に対抗できるからであり、この固有の傾向は楕円形の主な原因の一つであると理解されている。
【0032】
圧縮手段は、実質的に球体の形状を持つ連携部分を備えることが好ましい。このことは、包装されたフィルターロッドの表面仕上げが大きな影響を受けず、その一方で同時に楕円率が低減されるように、圧縮手段と包装されたフィルターロッドの外側表面との間のかなり滑らかな連携が提供されるという点で有利である。従って、包装されたフィルターロッドの全体的な視覚的影響は、有利なことに改善される。
【0033】
本発明は、以下の添付図面を参照しながら、例証としてのみではあるがさらに記述する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は、本発明による装置の移動装置の詳細の概略的斜視図を図示する。
図2図2は、図1の移動装置のドラムフレームの概略的斜視図を示す。
図3図3は、図1の移動装置の停止手段の概略的側面図を示す。
図4図4は、本発明による装置の好ましい実施形態の動作ステーションのガニチュールおよび加熱バーの概略的断面図を示す。
図5図5は、本発明による装置の好ましい実施形態の冷却バーの概略的斜視図を示す。
図6図6は、本発明による装置の好ましい実施形態の圧縮手段の概略的側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、本発明による装置の移動装置の詳細を図示したものである。移動装置は、回転するドラム100の外側表面にある、間隙を介した複数のフルート102を有するドラム100を備える。フルート102は、ドラム100が回転する際に細長いロッドセグメント104を受けるように構成・配置される。ドラム100は、細長いフィルターロッドセグメント104がフルート102内に受けられた時に位置付けられる、それぞれのフルート102の一方の端で停止手段106をさらに備える。
【0036】
図3にもより詳しく図示する通り、停止手段106は、約8mmの第一の直径D1を有し、ドラム100上に取り付けられたドラムフレーム116(図2を参照)にピンが取り付けられる第一の端112と、第一の端112と反対側の第二の端114との間をフルートの軸(F)に沿って延びる、円筒形本体110を持つピン108を備える。さらに、ピン108は、円筒形本体110の第二の端114から軸(F)に沿って延びる隣接部分118を含む。隣接部分118は約6mmの第二の直径D2を持つ。隣接部分118は、細長いフィルターロッドセグメント104の端部に隣接するための実質的に平面の表面120を提示する。図1〜3に図示した実施形態において、隣接部分118は円筒形の形状を有し、約1mmの軸(F)に沿って測定される長さLを持つ。
【0037】
図4は、本発明による装置の好ましい実施形態の動作ステーションのガニチュール200および加熱バー202の概略的断面図を示す。ガニチュール200は、作動可能なようにエンドレスベルトコンベヤー204と結合される。さらに、ガニチュール200は、フィルタープラグ材料および包装用ウェブ材料を受けるように構成され、かつ包装用ウェブ材料の第一および第二の長軸方向の端部が重なって、包装されたフィルターロッドを形成するように、包装用ウェブ材料をフィルタープラグ材料の周りで包装するように構成される。ガニチュール200はさらに、作動可能なように加熱バー202と結合され、これは、上流の位置で包装用ウェブ材料の長軸方向の側方端の一方または両方に塗布した接着剤を活性化するための熱を供給する。同時に、加熱バーは、ガニチュール200内を摺動自在に進むエンドレスベルト204の長軸方向の側方端を支持する。加熱バー202は、熱封着されている包装されたフィルターロッドを少なくとも部分的に受けるための円弧状の輪郭を持つ溝206を備える。図4に図示した通り、加熱バー202は一対の加熱バー陵208、210を備え、それぞれの加熱バー陵208、210は、一方の側で加熱バー溝206の境界を定め、また他方の側で支持表面212、214を提示する。加熱バー陵208、210の支持表面212、214は、ベルトがガニチュール200に沿って摺動自在に進む際に、ベルトの長軸方向の側方端をV字型配列で支持するように適合される。ベルト204の上側表面と加熱バー溝206の溝の表面によって画定される容積は、封着されている包装されたフィルターロッドを実質的に囲む。使用時、このことは、有利なことにベルト204が正確な中心位置から移動して離れるのを妨げ、かつ低楕円率の包装されたフィルターロッドの形成に有利に働く。図4の実施形態において、ホッパー陵208、210は、実質的に三角形の断面を有し、また支持表面212、214は、ベルトの長軸方向の側方端がそれらの間で約60度の角度αを形成するように傾いている。
【0038】
本発明による装置の動作ステーションは、フィルタープラグ材料の周りで封着するために包装用ウェブ材料の長軸方向の側方端に供給された接着剤を冷却し硬化させるために、ガニチュールおよびエンドレスベルトコンベヤーと動作可能なようにかつ熱的に結合された冷却バーをさらに備えることが好ましい。冷却バーは加熱バーのすぐ下流に配置される。こうした冷却バー300の詳細を図5に図示する。冷却バー300は、冷却バー入口304と冷却バー出口306の間に延びる長軸方向の溝302を備える。冷却バー溝302は、包装されたフィルターロッドを少なくとも部分的に受けるように適合される。使用時、冷却バー300は、ガニチュールの溝内を進むベルトの上側表面に面して長軸方向の溝302とともに配置され、ベルトの通路がガニチュールと冷却バーの間に画定されるように、ガニチュール(図示せず)から少し離して配置される。冷却バー入口304では、冷却バー溝302の断面は実質的に半円形である。冷却バー溝302は、冷却バー300とガニチュールの間を進むベルトの長軸方向の側方端と連携するように適合されたそれぞれの外側隣接表面を提示する側方の陵306、308によって横方向に境界が定められる。溝302の断面の表面積は、冷却バー入口304と冷却バー出口306の間で減少する。こうして、ベルトがガニチュールに沿って進む際、ベルトの長軸方向の側方端の向かい合った表面間の距離は、ベルトが冷却バー入口304に達する際に増大し、またベルトの長軸方向の側方端は冷却バー300の側方の陵306、308と接触するようになる。従って、ベルトは有利なことに、冷却バー入口304の下流の冷却バー300の残りの部分に対して摺動しないように抑制されるか、または少なくともベルトと冷却バー300の間の連携が著しく制限される。このことは、冷却バー300がベルトと冷却バー300の間の摩擦によって著しく加熱されないという点で有利である。同時に、包装されたフィルターロッドは、加熱バーによって活性化された接着剤が冷却バーと熱的に結合されるようになり、接着剤の急速な硬化が達成されうるように、ベルトと冷却バー溝の表面との間を進む。
【0039】
本発明による装置の好ましい一つの実施形態で使用するための圧縮手段400を図6に図示する。圧縮手段400は、作動可能なようにガニチュールと結合され、ガニチュールの下流端に配置され、また包装用ウェブ材料の重なり合った第一および第二の長軸方向の端部に沿った位置で、包装されたフィルターロッドと連携するように適合されている。より詳細には、圧縮手段400は、包装されたフィルターロッドの半径方向に実質的に沿って方向付けられた圧縮荷重をかけるように構成・配置される。図5の実施形態において、圧縮手段400は、実質的に球体の形状を持つ連携部分402を備える。
【0040】
圧縮手段は有利なことに、堅いまたは厚めの包装用ウェブ材料が、新しく形成された包装されたフィルターロッド内でフィルタープラグ材料の周りの完全に円筒形の配置から離れるように移動するという固有の傾向に効果的に対抗し、この固有の傾向は楕円形の主な原因の一つであると理解されている。さらに、球体の形状であるため、圧縮手段400は、圧縮手段400と包装されたフィルターロッドの外側表面との間の滑らかな連携を提供する。従って、包装されたフィルターロッドの表面仕上げは実質的に影響を受けず、またそのため、包装されたフィルターロッドの全体的な視覚的影響は有利なことに改善される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6