特許第6976947号(P6976947)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6976947自己免疫疾患の処置に有用なビピラゾリル誘導体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6976947
(24)【登録日】2021年11月12日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】自己免疫疾患の処置に有用なビピラゾリル誘導体
(51)【国際特許分類】
   C07D 403/14 20060101AFI20211125BHJP
   A61K 31/4155 20060101ALI20211125BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20211125BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20211125BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20211125BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20211125BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20211125BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20211125BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20211125BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20211125BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20211125BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20211125BHJP
   A61P 11/02 20060101ALI20211125BHJP
   A61P 17/04 20060101ALI20211125BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20211125BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20211125BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20211125BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20211125BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20211125BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20211125BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20211125BHJP
【FI】
   C07D403/14
   A61K31/4155
   A61K31/4439
   A61P19/02
   A61P29/00 101
   A61P27/02
   A61P37/02
   A61P13/12
   A61P9/00
   A61P29/00
   A61P17/00
   A61P11/06
   A61P37/08
   A61P11/02
   A61P17/04
   A61P35/02
   A61P25/00
   A61P37/06
   A61P7/00
   A61P1/04
   C07D401/14CSP
   !C07B61/00 300
【請求項の数】12
【全頁数】124
(21)【出願番号】特願2018-531127(P2018-531127)
(86)(22)【出願日】2016年12月15日
(65)【公表番号】特表2019-505491(P2019-505491A)
(43)【公表日】2019年2月28日
(86)【国際出願番号】US2016066799
(87)【国際公開番号】WO2017106429
(87)【国際公開日】20170622
【審査請求日】2019年12月9日
(31)【優先権主張番号】62/268,278
(32)【優先日】2015年12月16日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/431,008
(32)【優先日】2016年12月7日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503385923
【氏名又は名称】ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ボサナック,トッド
(72)【発明者】
【氏名】ベントツィーン,イェルク
(72)【発明者】
【氏名】バーク,マイケル・ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】フライアー,ライアン・マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ラーソン,エリック・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】マオ,ワン
(72)【発明者】
【氏名】マッキベン,ブライアン・パトリック
(72)【発明者】
【氏名】シェン,ユエ
(72)【発明者】
【氏名】ソリマンザデー,ファリバ
(72)【発明者】
【氏名】チャンツ,マット・アーロン
【審査官】 東 裕子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2015−524480(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/116485(WO,A1)
【文献】 特表2016−500119(JP,A)
【文献】 特表2015−509107(JP,A)
【文献】 特表2016−513648(JP,A)
【文献】 特表2003−521537(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

で示される化合物、又はその薬学的に許容し得る塩若しくは水和物。
【請求項2】
式:
【化2】

で示される化合物、又はその薬学的に許容し得る塩若しくは水和物。
【請求項3】
式:
【化3】

で示される化合物、又はその薬学的に許容し得る塩若しくは水和物。
【請求項4】
式:
【化4】

で示される化合物、又はその薬学的に許容し得る塩若しくは水和物。
【請求項5】
式:
【化5】

で示される化合物、又はその薬学的に許容し得る塩若しくは水和物。
【請求項6】
式:
【化6】

で示される化合物、又はその薬学的に許容し得る塩若しくは水和物。
【請求項7】
式:
【化7】

で示される化合物、又はその薬学的に許容し得る塩若しくは水和物。
【請求項8】
式:
【化8】

で示される化合物、又はその薬学的に許容し得る塩若しくは水和物。
【請求項9】
式:
【化9】

で示される化合物、又はその薬学的に許容し得る塩若しくは水和物。
【請求項10】
式:
【化10】

で示される化合物、又はその薬学的に許容し得る塩若しくは水和物。
【請求項11】
治療上有効量の請求項1〜10のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩若しくは水和物を含む医薬組成物。
【請求項12】
関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、シェーグレン病、血管炎、強皮症、喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性湿疹、B細胞リンパ腫、多発性硬化症、若年性関節リウマチ、若年性特発性関節炎、炎症性腸疾患、移植片対宿主病、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎及びブドウ膜炎から選択される疾患の処置用の医薬を製造するための、請求項1〜10のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩若しくは水和物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、BTKを阻害する新規な化合物及び医薬としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒト酵素のタンパク質キナーゼファミリーメンバーは、リン酸基の付加を介する特定のタンパク質のそれらの翻訳後修飾に起因して、多くの別個のシグナル伝達プロセスにおいて重要な制御的な役割を果たしている(非特許文献1)。ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)は、チロシンキナーゼのTecファミリーのメンバーであり、B細胞の発達、活性化及び抗体産生に重要な役割を果たしている。
【0003】
B細胞レセプター(BCR)会合におけるカルシウムシグナル伝達の減弱を表わし、プロB細胞段階とプレB細胞段階との間の遮断により末梢における成熟B細胞を欠き、正常で健康な対象より低いレベルの循環抗体を有するヒトにおけるX連鎖無ガンマグロブリン血症(XLA)免疫不全において、B細胞生物学に対するBTKの寄与が例示されている(非特許文献2でレビューされている)。関節リウマチ(RA)及び多発性硬化症(MS)等の疾患におけるB細胞枯渇抗CD20分子による近年の臨床試験のアウトカムから、B細胞が自己免疫障害を制御するのに重要な介在節点(intervention node)を提供するという仮説が支持される(非特許文献3)。したがって、BTK阻害を介したB細胞の活性化及び増殖の減弱は、類似する治療上の有益性を提供し得、コラーゲン誘引関節炎(非特許文献4)及び実験的自己免疫脳炎(非特許文献5及び6)に対して説明されたBTK欠損マウスの抵抗性と一致する。同様に、B細胞刺激因子BlySに対する中和抗体について観察された臨床的有効性から、全身性エリテマトーデス(SLE)の病理におけるB細胞の役割が支持される(非特許文献7)。SLEのマウスモデルにおいて、抗DNA抗体を含めた自己抗体の生成にBTKが必須であると仮定すると(非特許文献8〜13)、BTK阻害剤は、SLE患者に対して治療上の有益性を提供し得る。
【0004】
骨髄細胞内において、BTKシグナル伝達は、刺激された単球からの炎症性サイトカイン(例えば、TNFα)の刺激された放出(非特許文献14)に、並びに最適なアクチン細胞骨格組織化及び単離された破骨細胞におけるラクナ骨再吸収(非特許文献15)に必須である。BTKを欠いている骨髄由来のマスト細胞は、活性化誘引脱顆粒及びサイトカイン放出の減弱を示す。自己免疫障害及びアレルギー障害の病因に関与する複数の細胞種にわたるシグナル伝達プロセスにおけるBTKの役割からすると、BTK活性の阻害により、RA、MS、SLE、ループス腎炎、シェーグレン病、血管炎、喘息及びアレルギー性障害等の疾患における臨床上の有益性を提供し得る。
【0005】
発明の概要
現在、A及びC等の化合物(以下で検討される)並びに、例えば、特許文献1に示されたものが、BTK阻害剤として公知である。しかしながら、本明細書中の以下で提供されるように、これらの化合物は、他のキナーゼと交叉反応性であり、他のキナーゼを阻害してしまう。したがって、これらの代表例は、他のターゲットを上回って、BTKに選択的ではない。選択的なBTK阻害を欠いていることにより、臨床の現場において、有害作用の可能性が大きくなる。
【0006】
有効性及び選択性とは別に、治療化合物は、好ましい安全性プロファイル(例えば、心血管安全性)を有する必要がある。化合物の心血管(CV)安全性を評価するための1つのパラメータは、平均動脈圧(MAP)である。前臨床ラットCV安全性研究におけるMAPの統計学的に有意な変化は、ヒトにおける有害な心血管イベントを示す。本明細書中で以下に提供されるように、比較化合物A、B及びCは、ラットCV研究におけるMAPでの統計学的に有意な増大を示す。該データから、これらの化合物は、ヒトにおける好ましい心血管安全性プロファイルを有さないかもしれないと示唆される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2014/025976号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Hunter, Cell, 1987, 50, 823-829
【非特許文献2】Lindvall, Immunol. Rev., 2005, 203, 200-215
【非特許文献3】Townsend, Immunol. Rev., 2010, 237, 264-283
【非特許文献4】Jansson, Clin. Exp. Immunol., 1993, 94, 459-465
【非特許文献5】Svensson, Eur. J. Immunol., 2002, 32, 1939-1946
【非特許文献6】Mangla, Blood 2004, 104, 1191-1197
【非特許文献7】La Cava, Expert Opin. Biol. Ther., 2010, 10, 1555-1561
【非特許文献8】Steinberg, J. Clin. Invest., 1982, 70, 587-597
【非特許文献9】Golding, J. Immunol., 1983, 130, 1043-1046
【非特許文献10】Scribner, J. Immunol., 1987, 138, 3611-3617
【非特許文献11】Seldin, J. Exp. Med., 1987, 166, 1585-1590
【非特許文献12】Takeshita, Int. Immunol., 1998, 10, 435-4444
【非特許文献13】Whyburn, J. Immunol., 2003, 171, 1850-1858
【非特許文献14】Horwood, J. Exp. Med., 2003, 197, 1603-1611
【非特許文献15】Danks, J. Bone Miner. Res., 2010, 26, 182-192
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
他の公知のBTK阻害剤に関する上記された安全性を考慮して、BTK阻害に対してより高く選択的であり、関連する心血管パラメータ(例えば、MAP)に有害な影響を有さない更なる化合物についての必要性が未だに存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の化合物は、前述のBTK関連疾患を処置するために必須のBTKに対する強力な阻害活性を維持し、他の公知のBTK阻害剤(例えば、比較化合物A、B及びC(以下で検討される)により表わされるもの)に関連する選択性及び心血管安全性の問題を解決する。本発明の化合物により説明されるBTK選択性及び好ましい心血管安全性プロファイルから、他の公知のBTK阻害剤を上回る予期しなかった驚くべき改善を表わされる。
【0011】
特に、本発明の化合物は、他の公知のBTK阻害剤に関連する有効性及び安全性の問題を、MAPについて統計学的に有意な影響を何ら有することなく、BTK活性の阻害において高いレベルの活性及び選択性を維持することにより解決する。
【0012】
したがって、本発明は、新規な分類の複素芳香族化合物、並びにそれを製造する方法及びそれを使用する方法を含む。これらの化合物は、それらがBTKに対する優れた阻害作用を示す点において、自己免疫障害及びアレルギー性障害の処置に有用である。
【0013】
第1の一般的な実施態様では、式(I)
【化1】

[式中、
Cyは、
【化2】

から選択され;
各Rは、独立して、水素又はメチルから選択され;
は、L−Arであり、ここで、Arは、フェニル又はピリジニルであり、それぞれ1つ以上の、ハロゲン、ハロC1−4アルキル、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、−CN、ハロC1−4アルコキシ又はシクロアルキルにより場合により置換されており;
Lは、−(CH)−又は−(CHCH)−であり;
Yは、1つの環窒素原子を含有するC〜Cスピロ環であり、1つのRにより置換されており;
は、
【化3】

から選択され;
各Rは、独立して、水素、C1−4アルキル又はC3−4シクロアルキルから選択され;
〜R及びYについて上記定義された各基は、可能な場合、部分的に又は完全にハロゲン化されていてもよい]
で示される化合物、又はその薬学的に許容し得る塩若しくは水和物が提供される。
【0014】
更なる実施態様では、
Yが、
【化4】

から選択される、上記本明細書中の実施態様に記載の式(I)で示される化合物、又はその薬学的に許容し得る塩若しくは水和物が提供される。
【0015】
更なる実施態様では、
Cyが、
【化5】

であり、
Yが、
【化6】

から選択され;
が、
【化7】

であり;
ここで、各Rが、独立して、水素、C1−4アルキル又はC3−4シクロアルキルから選択される、上記本明細書中の実施態様に記載の式(I)で示される化合物、又はその薬学的に許容し得る塩若しくは水和物が提供される。
【0016】
更なる実施態様では、
【化8】

Yが、
【化9】

から選択され;
が、
【化10】

であり;
ここで、Rが、水素、C1−4アルキル又はC3−4シクロアルキルから選択される、上記本明細書中の実施態様に記載の式(I)で示される化合物、又はその薬学的に許容し得る塩若しくは水和物が提供される。
【0017】
更なる実施態様では、
Cyが、
【化11】

であり、
Yが、
【化12】

から選択され;
が、
【化13】

であり;
ここで、Rが、水素、C1−4アルキル又はC3−4シクロアルキルから選択される、上記本明細書中の実施態様に記載の式(I)で示される化合物、又はその薬学的に許容し得る塩若しくは水和物が提供される。
【0018】
更なる実施態様では、
Cyが、
【化14】

であり、
Yが、
【化15】

から選択され;
が、
【化16】

であり;
ここで、各Rが、独立して、水素、C1−4アルキル又はC3−4シクロアルキルから選択される、上記本明細書中の実施態様に記載の式(I)で示される化合物、又はその薬学的に許容し得る塩若しくは水和物が提供される。
【0019】
更なる実施態様では、
Cyが、
【化17】

であり、
Yが、
【化18】

から選択され;
が、
【化19】

であり;
ここで、各Rが、独立して、水素、C1−4アルキル又はC3−4シクロアルキルから選択される、上記本明細書中の実施態様に記載の式(I)で示される化合物、又はその薬学的に許容し得る塩若しくは水和物が提供される。
【0020】
更なる実施態様では、
各Rが、独立して、水素、メチル又はシクロプロピルから選択される、上記本明細書中の実施態様のいずれかに記載の式(I)で示される化合物、又はその薬学的に許容し得る塩若しくは水和物が提供される。
【0021】
更なる実施態様では、
が、L−Arであり、ここで、Arが、フェニル又はピリジニルであり、それぞれが、1つ以上の、ハロゲン、ハロメチル、メチル、メトキシ、−CN、ハロメトキシ又はシクロプロピルにより場合により置換されており;
Lが、−(CH)−又は−(CHCH)−である、上記本明細書中における実施態様のいずれかに記載の式(I)で示される化合物、又はその薬学的に許容し得る塩若しくは水和物が提供される。
【0022】
別の実施態様では、本発明は、一般的なスキーム、実施例、並びに本明細書中で記載された方法及び当技術分野において知られているものを考慮して調製することができる、表Iにおいて調製された化合物を提供する。
【0023】
【表1】















【0024】
第2の一般的な実施態様では、治療上有効量の第1の実施態様若しくはその関連する実施態様のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩を含む医薬組成物が提供される。
【0025】
第3の一般的な実施態様では、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythromatosis)、ループス腎炎、シェーグレン病、血管炎、強皮症、喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性湿疹、B細胞リンパ腫、多発性硬化症、若年性関節リウマチ、若年性特発性関節炎、炎症性腸疾患、移植片対宿主病、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎及びブドウ膜炎から選択される疾患を処置する方法であって、患者に、治療上有効量の第1の実施態様若しくはその関連する実施態様のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩を投与することを含む、方法が提供される。
【0026】
第4の一般的な実施態様では、
(i)式
【化20】

で示される化合物を、式
【化21】

で示される化合物とカップリングさせて、式
【化22】

[式中、各Rは、独立して、水素又はメチルから選択され;Xは、ハロゲン(即ち、クロロ、ブロモ又はヨード)であり;LGは、脱離基であり;Y’は、保護基によりキャッピングされている1つの環窒素を含有するC〜Cスピロ環である]
で示される化合物を形成すること、
(ii)式(I−1)で示される化合物を、式
【化23】

で示される複素環式のボロン酸エステル又はボロン酸と、好適な塩基及びパラジウム触媒の存在下でカップリングさせ、その後、ニトリルをカルボキサミドに加水分解して、式(II−1)
【化24】

[式中、
式Cで示される化合物の各R基は、H、アルキルであるか、又は両R基が結合して、環を形成しており;
式(II−1)で示される化合物におけるCyは、
【化25】

から選択され;
は、L−Arであり、ここで、Arは、フェニル又はピリジニルであり、それぞれは、1つ以上の、ハロゲン、ハロC1−4アルキル、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、−CN、ハロC1−4アルコキシ又はシクロアルキルにより場合により置換されており;
Lは、−(CH)−又は−(CHCH)−である]
で示される化合物を形成すること、
(iii)式(II−1)で示される化合物のキャッピングされている窒素を、酸性条件下で脱保護し、式(II−1)で示される脱保護された化合物を、以下
【化26】

から選択される化合物とカップリングさせて、式(I)
【化27】

[式中、Yは、Rに結合し又は共有結合している1つの環窒素を含有するC〜Cスピロ環であり、ここで、Rは、
【化28】

であり;
各Rは、水素、C1−4アルキル又はC3−4シクロアルキルから独立して選択される]
で示される化合物又はその薬学的に許容し得る塩を形成することにより、第1の実施態様若しくはその関連する実施態様のいずれかに記載の化合物を調製するためのプロセスが提供される。
【0027】
図面の簡単な説明
目的の技術の更なる理解を提供するために含まれ、そして、本明細書中に包含され、かつ本明細書中の一部を構成する添付の図面は、目的の技術の原理を説明するのに役立つ記載と共に、目的の技術の態様を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、本発明の化合物、例えば、実施例12及び22が、比較化合物A〜C(実施例セクションで記載)と比較して、in vivoでの平均動脈圧(MAP)において影響を及ぼさないことを示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
発明の詳細な説明
定義
ここで具体的に定義されない用語は、本開示全体及び文脈全体を参照して、当業者に明らかである意味を有する。
【0030】
本明細書中で使用する場合、そうではないと記載しない限り、下記定義が適用される。
【0031】
接頭辞Cx−y(ここで、x及びyはそれぞれ、自然数を表わす)の使用は、直接的な関連で特定され、かつ言及される、鎖若しくは環構造又は全体として鎖と環構造との組み合わせが、最大でy個及び最少でx個の炭素原子からなり得ることを示す。
【0032】
アルキルは、一価で飽和の炭化水素鎖を意味し、これは、直鎖(非分岐鎖)及び分岐形態の両方の状態で存在し得る。アルキルが置換されている場合、置換は、それぞれ独立して、水素を担持している全ての炭素原子上で、それぞれの場合において単置換又は多置換により行われ得る。
【0033】
例えば、「C1−5アルキル」という用語は、例えば、HC−、HC−CH−、HC−CH−CH−、HC−CH(CH)−、HC−CH−CH−CH−、HC−CH−CH(CH)−、HC−CH(CH)−CH−、HC−C(CH−、HC−CH−CH−CH−CH−、HC−CH−CH−CH(CH)−、HC−CH−CH(CH)−CH−、HC−CH(CH)−CH−CH−、HC−CH−C(CH−、HC−C(CH−CH−、HC−CH(CH)−CH(CH)−及びHC−CH−CH(CHCH)−を含む。
【0034】
アルキルの更なる例は、メチル(Me;−CH)、エチル(Et;−CHCH)、1−プロピル(n−プロピル;n−Pr;−CHCHCH)、2−プロピル(i−Pr;イソ−プロピル;−CH(CH)、1−ブチル(n−ブチル;n−Bu;−CHCHCHCH)、2−メチル−1−プロピル(イソ−ブチル;i−Bu;−CHCH(CH)、2−ブチル(sec−ブチル;sec−Bu;−CH(CH)CHCH)、2−メチル−2−プロピル(tert−ブチル;t−Bu;−C(CH)、1−ペンチル(n−ペンチル;−CHCHCHCHCH)、2−ペンチル(−CH(CH)CHCHCH)、3−ペンチル(−CH(CHCH)、3−メチル−1−ブチル(イソ−ペンチル;−CHCHCH(CH)、2−メチル−2−ブチル(−C(CHCHCH)、3−メチル−2−ブチル(−CH(CH)CH(CH)、2,2−ジメチル−1−プロピル(ネオ−ペンチル;−CHC(CH)、2−メチル−1−ブチル(−CHCH(CH)CHCH)、1−ヘキシル(n−ヘキシル;−CHCHCHCHCHCH)、2−ヘキシル(−CH(CH)CHCHCHCH)、3−ヘキシル(−CH(CHCH)(CHCHCH))、2−メチル−2−ペンチル(−C(CHCHCHCH)、3−メチル−2−ペンチル(−CH(CH)CH(CH)CHCH)、4−メチル−2−ペンチル(−CH(CH)CHCH(CH)、3−メチル−3−ペンチル(−C(CH)(CHCH)、2−メチル−3−ペンチル(−CH(CHCH)CH(CH)、2,3−ジメチル−2−ブチル(−C(CHCH(CH)、3,3−ジメチル−2−ブチル(−CH(CH)C(CH)、2,3−ジメチル−1−ブチル(−CHCH(CH)CH(CH)CH)、2,2−ジメチル−1−ブチル(−CHC(CHCHCH)、3,3−ジメチル−1−ブチル(−CHCHC(CH)、2−メチル−1−ペンチル(−CHCH(CH)CHCHCH)、3−メチル−1−ペンチル(−CHCHCH(CH)CHCH)、1−ヘプチル(n−ヘプチル)、2−メチル−1−ヘキシル、3−メチル−1−ヘキシル、2,2−ジメチル−1−ペンチル、2,3−ジメチル−1−ペンチル、2,4−ジメチル−1−ペンチル、3,3−ジメチル−1−ペンチル、2,2,3−トリメチル−1−ブチル、3−エチル−1−ペンチル、1−オクチル(n−オクチル)、1−ノニル(n−ノニル)、1−デシル(n−デシル)等である。
【0035】
何ら更に定義されることのない、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル等の用語は、対応する数の炭素原子を有する飽和の炭化水素基(ここで、全ての異性体が含まれる)を意味する。
【0036】
アルキルについての上記定義は、アルキルが別の(組み合わせられた)基、例えば、Cx−yアルキルアミノ又はCx−yアルコキシ等の一部である場合にも適用される。
【0037】
アルキルとは異なり、アルケニルは、少なくとも2つの炭素原子からなり、ここで、少なくとも2つの隣接する炭素原子同士がC−C二重結合により結合しており、炭素原子が、1つのC−C二重結合の一部のみであることができる。少なくとも2つの炭素原子を有する本明細書中で定義されたアルキルにおいて、隣接する炭素原子における2つの水素原子が形式的に除去され、自由原子価が飽和されて、第2の結合を形成する場合、対応するアルケニルが形成される。
【0038】
アルケニルは、場合により、二重結合に関してcis若しくはtrans、又はE若しくはZ配向で存在し得る。
【0039】
アルキルとは異なり、アルキニルは、少なくとも2つの炭素原子からなり、ここで、少なくとも2つの隣接する炭素原子同士がC−C三重結合により結合している。少なくとも2つの炭素原子を有する本明細書中で定義されたアルキルにおいて、隣接する炭素原子の各場合における2つの水素原子が、形式的に除去され、自由原子価が飽和されて、2つの更なる結合を形成する場合、対応するアルキニルが形成される。
【0040】
ハロアルキル(ハロアルケニル、ハロアルキニル)は、先で定義されたアルキル(アルケニル、アルキニル)から、炭化水素鎖の1つ以上の水素原子をそれぞれ独立してハロゲン原子により置き換えることにより得られ、それは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。ハロアルキル(ハロアルケニル、ハロアルキニル)が更に置換されている場合、置換は、それぞれ独立して、水素を担持している全ての炭素原子上で、それぞれの場合において単置換又は多置換の形式で行われ得る。
【0041】
ハロアルキル(ハロアルケニル、ハロアルキニル)の例は、−CF、−CHF、−CHF、−CFCF、−CHFCF、−CHCF、−CFCH、−CHFCH、−CFCFCF、−CFCHCH、−CF=CF、−CCl=CH、−CBr=CH、−C≡C−CF、−CHFCHCH、−CHFCHCF等である。
【0042】
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素及び/又はヨウ素原子に関する。
【0043】
シクロアルキルは、サブ基である単環式炭素水素環、二環式炭素水素環及びスピロ炭化水素環から構成される。これらの系は、飽和である。二環式炭化水素環において、2つの環は、それらが少なくとも2つの炭素を共に有するように、互いに結合している。
【0044】
シクロアルキルが置換されている場合、置換は、それぞれ独立して、水素を担持している全ての炭素原子上で、それぞれの場合において単置換又は多置換の形式で行われ得る。シクロアルキル自体は、置換基として分子に、環系の全ての適切な位置を介して結合し得る。
【0045】
シクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルである。
【0046】
対応する基は、例:
【化29】

である。
【0047】
スピロ環は、1つの炭素原子(スピロ原子)が2つの環の両方に属するスピロ−炭化水素環である。
【0048】
アリールは、少なくとも1つの芳香族炭素環を有する単環、二環又は三環式の炭素環を意味する。好ましくは、それは、6つの炭素原子を有する単環基(フェニル)又は9個若しくは10個の炭素原子を有する二環基(2つの6員環又は1つの6員環と5員環)を意味し、ここで、第2の環が芳香族であってもよいし、しかしながら、飽和若しくは部分的に飽和であってもよい。
【0049】
アリールが置換されている場合、置換は、それぞれ独立して、水素を担持している全ての炭素原子上で、それぞれの場合において単置換又は多置換の形式で行われ得る。アリール自体は、置換基として分子に、環系の全ての好適な位置を介して結合することができる。
【0050】
アリールの例は、フェニル及びナフチルである。
【0051】
アリールの上記定義は、アリールが別の(組み合わせられた)基(例えば、アリールアミノ、アリールオキシ又はアリールアルキルにおける場合)の一部である場合にも適用される。
【0052】
ヘテロシクリルは、先で定義されたシクロアルキル又はスピロ環から、炭化水素環における1つ以上の基−CH−をそれぞれ独立して、基−O−、−S−又は−NH−により置き換えることにより得られる環系を意味し、ここで、合計5個を超えないヘテロ原子が存在し得、少なくとも1つの炭素原子が、2つの酸素原子の間及び2つのイオウ原子の間、又は1つの酸素原子と1つのイオウ原子との間に存在し得、全体として環は、化学的安定性を有する必要がある。ヘテロ原子は、場合により、全ての可能性ある酸化段階(イオウ→スルホキシド−SO−、スルホン−SO−;窒素→N−オキシド)で存在し得る。
【0053】
ヘテロシクリルが置換されている場合、置換は、それぞれ独立して、水素を担持している全ての炭素原子及び/又は窒素原子上で、それぞれの場合において単置換又は多置換の形式で行われ得る。ヘテロシクリル自体は、置換基として分子に、環系の全ての好適な位置を介して結合し得る。
【0054】
ヘテロシクリルの例は、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、モルホリニル
又は下記複素環式スピロ環
【化30】

である
【0055】
ヘテロアリールは、単環式の複素芳香族環又は少なくとも1つの複素芳香族環を有する多環式環を意味し、これは、対応するアリール又はシクロアルキルと比較して、1つ以上の炭素原子に代えて、窒素、イオウ及び酸素の中からそれぞれ独立して選択される1つ以上の同一又は異なるヘテロ原子を有し、ここで、得られた基は、化学的に安定である必要がある。ヘテロアリールの存在についての必要条件は、ヘテロ原子及び複素芳香族系である。
【0056】
ヘテロアリールが置換されている場合、置換は、それぞれ独立して、水素を担持している全ての炭素原子及び/又は窒素原子上で、それぞれの場合において単置換又は多置換の形式で行われ得る。ヘテロアリール自体は、置換基として分子に、環系(炭素及び窒素の両方)の全ての適切な位置を介して結合し得る。
【0057】
ヘテロアリールの例は、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ベンゾオキサゾリル、インドリル、イソインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル等である。
【0058】
ヘテロ原子は、場合により、全ての可能性ある酸化段階(イオウ→スルホキシド−SO−、スルホン−SO−;窒素→N−オキシド)で存在し得る。
【0059】
炭素環は、3〜12個の炭素原子を含有する炭化水素環を含む。これらの炭素環は、芳香族又は非芳香族の環系のいずれであってもよい。非芳香族環系は、一価不飽和であってもよいし、多価不飽和であってもよい。好ましい炭素環は、限定されるものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプタニル、シクロヘプテニル、フェニル、インダニル、インデニル、ベンゾシクロブタニル、ジヒドロナフチル、テトラヒドロナフチル、ナフチル、デカヒドロナフチル、ベンゾシクロヘプタニル及びベンゾシクロヘプテニルを含む。
【0060】
本明細書中のこのセクションで上記定義された全ての環系及び非環系は、可能な場合、そうではないと指示されない限り、場合により部分的に又は完全にハロゲン化されていると理解されたい。
【0061】
立体化学/溶媒和物/水和物:具体的に指示されない限り、本明細書中及び添付の特許請求の範囲を通して、所与の化学式又は名称は、互変異体並びに全ての立体、光学及び幾何異性体(例えば、エナンチオマー、ジアステレオマー、E/Z異性体等)、並びにそれらのラセミ体、並びに、このような異性体及びエナンチオマーが存在する場合、別個のエナンチオマーの異なる比率での混合物、ジアステレオマーの混合物又は前述の形態のいずれかの混合物、並びにそれらの薬学的に許容し得る塩を含む塩を包含するものとする。本発明の化合物及び塩は、非溶媒和、及び薬学的に許容し得る溶媒(例えば、水、エタノール等)と溶媒和した形態で存在することができる。一般的には、溶媒和した形態(例えば、水和物)は、本発明の目的について、非溶媒和形態と等価であると考えられる。
【0062】
また、本発明の化合物は、それらの同位体ラベルされた形態も含む。本発明の組み合わせにおける活性剤の同位体ラベルされた形態は、前記活性剤の1つ以上の原子が天然に通常見出される前記原子の原子量又は質量数とは異なる原子量又は質量数を有する1つ以上の原子により置き換えられているという事実以外は、前記活性剤と同一である。商業的に容易に入手でき、十分確立された手法に従って本発明の組み合わせにおける活性剤に包含させることができる同位体の例は、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素及び塩素の同位体、例えば、それぞれ、H、H、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F及び36Clを含む。1つ以上の上記言及された同位体及び/又は他の原子の他の同位体を含有する本発明の組み合わせにおける活性剤、そのプロドラッグ又はいずれかの薬学的に許容し得る塩が、本発明の範囲内であることが企図される。
【0063】
塩:「薬学的に許容し得る」という表現は、本明細書中において、正常な医療的判断の範囲内にあり、過剰な毒性、刺激、アレルギー応答又は他の問題若しくは合併症がなく、ヒト及び動物の組織との接触に使用するのに好適であり、合理的な有益性/リスク比で釣り合っている、化合物、材料、組成物及び/又は投与形態を意味するように利用される。
【0064】
本明細書中で使用する場合、「薬学的に許容し得る塩」は、親化合物がそれらの酸性又は塩基性塩を形成することにより修飾されている、開示された化合物の誘導体を意味する。薬学的に許容し得る塩の例は、限定されるものではないが、鉱酸塩又は塩基性残基(例えば、アミン)の有機酸塩;アルカリ塩又は酸性残基(例えば、カルボン酸)の有機塩;等を含む。
【0065】
例えば、このような塩は、酢酸塩、アスコルビン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、重炭酸塩、重酒石酸塩、臭化物/臭化水素酸塩、Ca−エデト酸/エデト酸塩、カムシル酸塩、炭酸塩、塩化物/塩酸塩、クエン酸塩、エジシル酸塩、エタンジスルホン酸塩、エストラート、エシラート、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、グリコリルアルサニラート、へキシルレゾルシン酸塩、ヒドラバミン、ヒドロキシマレイン酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、メシル酸塩、臭化メチル、硝酸メチル、硫酸メチル、ムチン酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、パントテン酸塩、フェニルアセタート、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、スルファミド、硫酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トルエンスルホン酸塩、トリエチオジド、アンモニウム塩、ベンザチン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン及びプロカインを含む。
【0066】
更なる薬学的に許容し得る塩は、金属(例えば、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、亜鉛等)からのカチオンと形成され得る(Pharmaceutical salts, Birge, S.M. et al., J. Pharm. Sci., (1977), 66, 1-19も参照のこと)。
【0067】
本発明の薬学的に許容し得る塩は、塩基性又は酸性部分を含有する親化合物から、従来の合成法により合成することができる。一般的には、このような塩は、これらの化合物の遊離の酸又は塩基の形態を十分な量の適切な塩基又は酸と、水中又は有機希釈剤(例えば、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール若しくはアセトニトリル、又はそれらの混合物)中で反応させることにより調製することができる。
【0068】
例えば、本発明の化合物を精製し又は単離するのに有用な上記言及されたもの以外の他の酸の塩(例えば、トリフルオロアセタート)も、本発明の一部を構成する。
【0069】
幾つかの省略された表記及びその構造対応が以下に列記される。
例えば、
【化31】

等の表現において、実線は、環系が炭素原子1、2又は3を介して分子に結合し得、このため、下記表現
【化32】

と等価であることを意味する。
【0070】
本発明の目的で、治療上有効量は、疾患の症候を予防し若しくはこれらの症候を緩和することが可能であるか、又は処置された患者の生存を伸ばす、物質の量を意味する。
【0071】
【表2】


【0072】
本発明の特徴及び利点は、本発明の基礎をその範囲を制限することなく一例として説明する下記詳細な実施例から明らかとなるであろう;
【0073】
本発明による化合物の調製
一般的な合成方法
最適な反応条件及び反応時間は、使用される特定の反応物質に応じて変動し得る。そうではないと特定されない限り、溶媒、温度、圧力及び他の反応条件は、当業者により容易に選択され得る。具体的な手順は、合成実施例のセクションで提供される。中間体及び生成物を、シリカゲルのクロマトグラフィー、再結晶化及び/又は逆相HPLC(RHPLC)により精製し得る。別個のエナンチオマーを、キラルHPLCを使用するラセミ生成物の分離により得られ得てもよい。0.1% ギ酸、0.1% TFA又は2.5mM 重炭酸アンモニウムを含有する水中の、0〜100%のどこかのアセトニトリルを使用し、かつ下記カラムのうちの1つを使用した、RHPLC精製法。
a)Waters Sunfire OBD C18 5μm 30×150mmカラム
b)Waters XBridge OBD C18 5μm 30×150mmカラム
c)Waters ODB C8 5μm 19×150mmカラム
d)Waters Atlantis ODB C18 5μm 19×50mmカラム
e)Waters Atlantis T3 OBD 5μm 30×100mmカラム
f)Phenomenex Gemini Axia C18 5μm 30×100mmカラム
【0074】
HPLC法
【表3】
【0075】
【表4】
【0076】
【表5】
【0077】
本発明の化合物を、本明細書中の以下で記載された合成法により調製し、一般式の置換基は、本明細書中の上記で与えられた意味を有する。これらの方法は、その主題及びこれら実施例に対して主張された化合物の範囲を制限することなく、本発明を説明するものと意図している。開始化合物の調製が記載されていない場合、それらは、商業的に得ることができるか、又は本明細書中で記載された公知の化合物若しくは方法と同様に調製され得る。文献に記載された物質は、公開された合成法により調製される。
【0078】
アミド結合形成を、当技術分野において周知の標準的なカップリング条件(例えば、Bodanszky, M. The Practice of Peptide Synthesis, Springer-Verlag, 1984、同文献は、その全体が参照により本明細書中に援用される)、例えば、カルボン酸とアミンとをカップリング試薬(例えば、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチル−ウロニウム ヘキサフルオロホスファート(HATU))の存在下で反応させることにより行われ得る。保護基の使用(即ち、官能基の保護又は脱保護)は、当技術分野において周知の標準的な条件(例えば、Greene, T. W.; Wuts, P. G. M. Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Ed. New York, Wiley, 1999、同文献は、その全体が参照により本明細書中に援用される)により行われ得る。
【0079】
式Iで示される化合物を、以下のスキームI又はIIで示されるように調製し得る。
【化33】
【0080】
スキームIにおいて、式(式中、Xは、ブロモ、クロロ又はヨードであることができる)で示されるピラゾールを、式(R=H)で示される好適なボロン酸、式(R=メチル)で示される好適なボロン酸エステル又は式で示される好適なボロン酸エステルと、パラジウム触媒クロスカップリング条件、例えば、好適な塩基(例えば、CsCO水溶液、NaH)、好適な触媒[例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)]の存在下で、好適な溶媒(例えば、DME)中、好適な温度で反応させて、式で示される化合物を提供する。複素環を、式(式中、LGは、好適な脱離基(例えば、O−Ts)である)で示される化合物と、好適な溶媒(例えば、DMA)中、好適な塩基(例えば、NaH)の存在下、好適な温度で反応させて、式で示される化合物を得る。ニトリルを、好適な条件下、例えば、好適な溶媒又は溶媒混合物(例えば、水とエタノールとの混合物)中、好適な試薬(例えば、(ヒドリド(ジメチル亜ホスフィン酸−KP)[水素 ビス(ジメチルホスフィニト−KP)]プラチナ(II))の存在下、好適な温度で、対応するカルボキサミドに加水分解する。当技術分野において周知の条件を使用するその後の脱保護及びアミドカップリング(例えば、上記されたもの)により、式(I)で示される化合物が提供される。
【0081】
加えて、式(I)で示される化合物を、スキームIIにより調製することができる。
【化34】
【0082】
スキームIIにより、式(式中、Xは、ブロモ、クロロ又はヨードであることができる)で示されるピラゾールを、式(式中、LGは、脱離基(例えば、O−Ts)である)で示される化合物と、好適な溶媒(例えば、アセトン)中、好適な塩基(例えば、CsCO、NaH)の存在下、好適な温度で反応させて、式で示される複素環を得てもよい。アミノ−ピラゾールを、式(R=H)で示される好適なボロン酸、式(R=メチル)で示される好適なボロン酸エステル又は式で示される好適なボロン酸エステルと、パラジウム触媒クロスカップリング条件下、例えば、好適な塩基(例えば、KCO水溶液)、好適な触媒[例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)]の存在下で、好適な溶媒(例えば、DME)中、好適な温度で反応させて、式で示される化合物が得てもよい。ニトリルをスキームIで記載された方法により式(I)で示される化合物に変換し得る。
【実施例】
【0083】
合成実施例
方法A
中間体I−1の合成
【化35】

CsCOR−1(22.0g、118mmol)及びR−2(47.6g、129mmol)のアセトン(250mL)中溶液に加える。この混合物を80℃で2日間加熱する。この混合物を水(200mL)で希釈し、CHCl(100mL×2)で抽出する。次いで、有機物を収集し、濃縮して、I−1(25g)を得る。m/z=382.1[M+H]。
【0084】
方法B
中間体I−2の合成
【化36】

水素化ナトリウム(14.3g;372.2mmol)をR−1(58g;310.2mmol)のDMA(460mL)中溶液に加える。30分後、R−3(130.2g;341.2mmol)を加え、80℃で18時間加熱する。この反応物を室温まで冷却し、MeOH(250mL)及び水(35mL)で希釈する。次いで、この反応物を一晩激しく撹拌する。不均質な混合物を減圧ろ過し、乾燥後、ピラゾール異性体の1:1混合物として固体(96g)を得る。固体をCHCl(240mL)と組み合わせ、一晩激しく撹拌する。不均質な混合物を減圧ろ過して、オフホワイト色の固体(40g)を得る。この固体をCHCl(58mL)と合わせ、激しく撹拌する。2時間後、不均質な溶液を5分間超音波処理し、次いで、5℃まで冷却し、1時間撹拌する。この不均質な溶液を減圧ろ過し、固体を、冷えたCHCl(2×)で洗浄し、収集し、乾燥して、I−2(27.7g)を得る。合わせたろ液をi−PrOH(180mL)で希釈し、3時間激しく撹拌する。この不均質な溶液をろ過し、固体を少量のi−PrOH(2×)で洗浄する。このろ液を減圧下で濃縮して、残留物を得る。その残留物をCHCl(32mL)と合わせ、5分間超音波処理する。更に1時間撹拌した後、この溶液を0℃まで冷却し、1時間撹拌する。この不均質な溶液をろ過し、固体を収集し、乾燥して、更なる量のI−2(5.6g)を得る。単離されたI−2の総量は、33.3gである。m/z 394.0/396.0[M+H]。
【0085】
方法C
中間体I−3の合成
【化37】

I−1(1.1g、2.9mmol)、R−4(1.71g、3.2mmol)、2M 炭酸カリウム水溶液(2.9ml、5.8mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(333mg、0.3mmol)及びDME(6mL)を合わせ、マイクロ波チューブ中に密閉し、熱的に一晩、120℃で加熱する。この混合物をろ過し、次いで、水(100mL)で希釈し、EtOAc(4×200mL)で抽出する。合わせたEtOAc層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮する。粗製の残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、0〜60% EtOAc/ヘプタン)により精製して、I−3(1.2g)を得る。m/z=500.5[M+H]。
【0086】
下記中間体を類似する方法で調製する:
【表6】
【0087】
方法D
中間体I−5の合成
【化38】

R−1(2.0g、10.7mmol)、R−4(6.4g、60%、11.8mmol)、2M CsCO水溶液(10.7ml;21mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.2g;1.1mmol)及びDME(6mL)をマイクロ波チューブ中で合わせ、マイクロ波中で2時間、135℃まで加熱する。この混合物をろ過し、次いで、水で希釈し、EtOAcで抽出する。合わせた抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して、粗製の残留物を提供し、これをフラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン中の0〜100% EtOAc)により精製して、I−5(3.2g)を得る。m/z=382.1[M+H]。
【0088】
下記中間体を類似する方法で調製する:
【表7】
【0089】
方法E
中間体I−8の合成
【化39】

水素化ナトリウム(250mg、6.5mmol)をI−5(1.64g、5.4mmol)のDMA(10mL)中溶液に加える。5分後、R−3(2.26g、5.9mmol)を加え、70℃で18時間加熱する。この混合物を水(20mL)で希釈し、EtOAc(4×10mL)で抽出する。合わせたEtOAc抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、次いで、減圧下で濃縮する。粗製の残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、ヘプタン中の0〜50% EtOAc)により精製して、I−8(1.1g)を提供する。m/z=514.5[M+H]。
【0090】
下記中間体を類似する方法で調製する:
【表8】

方法F
中間体I−10の合成
【化40】

I−3(845mg、1.7mmol)をTHF(15mL)中に溶解させる。この溶液に1M R−5のTHF中溶液(5.1ml、5.1mmol)を加える。この混合物を70℃で一晩撹拌する。この反応溶液を飽和NHCl(水溶液)とEtOAcの間で分配する。層を分離し、有機層を減圧下で濃縮する。少量のCHClを残留物に加え、得られた固体をろ過して、I−10(900mg)を得る。m/z=370.3[M+H]。
【0091】
下記中間体を類似する方法で調製する:
【表9】
【0092】
方法G
中間体I−13の合成
【化41】

炭酸カリウム(270mg、1.94mmol)をI−10(143mg、0.39mmol)のDMA(5mL)中溶液に加える。5分後、R−6(110mg、0.47mmol)を加え、この溶液を18時間、70℃まで加熱する。粗製の溶液をシリカカラム上に直接ロードし、精製して(勾配:ヘプタン中の0〜60% EtOAc)、I−13(71mg)を得る。m/z=528.4[M+H]。
【0093】
下記中間体を類似する方法で調製する:
【表10】


【0094】
方法H
中間体I−21の合成
【化42】

R−7(19.2g、99.1mmol)の撹拌したDMA(54mL)中溶液に、炭酸カリウム(27.4g、198.1mmol)を加える。次いで、R−8(23.0g、109mmol)をゆっくり加える。この反応物を室温で6時間撹拌する。次いで、この反応物を水でクエンチし、EtOAcで抽出する。EtOAcを減圧下で濃縮し、残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、ヘキサン中の10% EtOAc)により精製して、I−21(18g)を得る。m/z=324.4[M+H]。
【0095】
下記中間体を類似する方法で調製する:
【表11】

【0096】
方法I
中間体I−31の合成
【化43】

1LフラスコにDMF 100mL中のR−7(25g、128.8mmol)及び炭酸カリウム(35.6g、257.7mmol)を入れる。この混合物にR−9(33.9g、141.7mmol)を加え、この反応物を一晩撹拌するにまかせる。次いで、この反応物をろ過し、濃縮する。残留物をCHCl中に溶解させ、celiteに通してろ過する。このろ液を濃縮して、I−31(45.4g)を提供する。m/z=353.4[M+H]。中間体I−31を、更に精製することなくその後の工程に使用する。
【0097】
下記中間体を類似する方法で調製する:
【表12】



【0098】
方法J
中間体I−52の合成
【化44】

1LフラスコにDMF 100mL中のR−7(75g、386.5mmol)及びKCO(106.7g、773mmol)を入れる。これにR−10(101.6g、425.2mmol)を加え、この反応物を一晩撹拌するにまかせる。この反応物をろ過し、濃縮する。残留物をCHCl中に溶解させ、Celiteに通してろ過する。このろ液を濃縮して、I−52(136g)を提供する。m/z=353.0[M+H]。中間体I−52を、更に精製することなくその後の工程に使用する。
【0099】
方法K
中間体I−53混合物の合成
【化45】

R−7(5.0g、25.8mmol)、アセトニトリル(29mL)及び炭酸カリウム(7.1g、51.5mmol)の混合物に、R−11(3.9mL、25.6mmol)を加える。この混合物をAr下で18時間撹拌する。次いで、この反応物を濃縮し、残留物をEtOAcと水の間で分配する。層を分離し、水層をEtOAc(2×)で抽出する。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、濃縮して、I−53(8.75g)を得る。m/z=271.0[M+H]。中間体I−53混合物を、更に精製することなくその後の工程に使用する。
【0100】
下記中間体を類似する方法で調製する:
【表13】
【0101】
方法L
中間体I−60の合成
【化46】

I−2(1.1g、2.8mmol)、1−53(1.12g、4.16mmol)、炭酸セシウム(1.81g、5.5mmol)をマイクロ波チューブ中で合わせ、この容器をArでフラッシュする。DME(6.6mL)及びPd(PPh(320mg、0.28mmol)を加え、この容器を脱気し、熱的に一晩、125℃まで加熱する。この混合物をCeliteに通してろ過し、このCeliteをEtOAc及び水で洗浄する。層を分離し、水層をEtOAc(2×)で抽出する。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、濃縮する。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、ヘプタン中の10〜80% EtOAc)により精製して、I−60(407mg)を得る。m/z=542.2[M+H]。
【0102】
方法M
中間体I−61の合成
【化47】

I−2(1.0g、1.31mmol)、I−30(790mg、2.8mmol)、炭酸セシウム(1.6g、5.1mmol)、Pd(PPh(0.29g、0.25mmol)及びDME(6mL)をマイクロ波チューブ中で合わせ、熱的に一晩、125℃まで加熱する。この混合物をろ過し、次いで、水(30mL)で希釈し、EtOAc(4×30mL)で抽出する。合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、濃縮して、粗製の残留物を提供する。粗製の材料をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、ヘプタン中の0〜100% EtOAc)を介して精製して、I−61(1.1g)を得る。m/z=474.3[M+H]。
【0103】
下記中間体を類似する方法で調製する:
【表14】











【0104】
方法N
中間体I−87の合成
【化48】

I−2(0.7g、1.8mmol)、I−39(1.5g、3.5mmol)、炭酸セシウム(1.15g、3.5mmol)、Pd(PPh(0.2g、0.21mmol)をマイクロ波チューブ中で合わせる。脱気したジオキサン(8mL)及び水(2mL)を加える。この反応容器をAr下で密閉し、マイクロ波中、125℃で60分間加熱する。この反応物を分液ロートに移し、EtOAcで希釈し、水及びブラインで濯ぐ。有機物を乾燥し、ろ過し、減圧下でエバポレートする。次いで、残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、0〜55% EtOAc/ヘプタン)により精製して、I−87(710mg)を得る。m/z=622.2[M+H]。
【0105】
下記中間体を類似する方法で調製する:
【表15】


【0106】
方法O
中間体I−95の合成
【化49】

I−2(310mg、0.78mmol)、I−21(380mg、1.17mmol)、トリシクロヘキシルホスフィン(175mg、0.63mmol)及びリン酸カリウム(500mg、2.3mmol)を20mLマイクロ波バイアル中のジオキサン(8mL)及び水(2mL)と合わせる。この溶液にArを通して10分間バブリングする。次いで、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)を加え、この反応物にArを通して更に5分間バブリングする。この反応物を密閉し、マイクロ波中、120℃で60分間加熱する。rtまで冷却した後、この反応溶液を水で希釈し、EtOAc(2×)で抽出する。合わせた有機抽出物をMgSOで乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮する。粗製の残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、ヘプタン中の10〜90% EtOAc)により精製して、I−95(340mg)を得る。m/z=514.3[M+H]。
【0107】
下記中間体を類似する方法で調製する:
【表16】

【0108】
方法P
中間体I−101の合成
【化50】

1LフラスコにAr脱気したDMA 225mL及び水 75mL中のI−2(32.0g、80.8mmol)、I−31(56.9g、161.5mmol)、炭酸セシウム(52.6g、161.5mmol)及びPd(PPhを入れる。このフラスコにアルゴン下でコンデンサーを取り付け、次いで、予め加熱した反応ブロック上で140℃に加熱する。45分後、この反応物をrtまで冷却し、次いで、ろ過する。固体を最少量のEtOAcで濯ぐ。合わせたろ液を2L分液ロートに移し、水(約750mL)で希釈し、EtOAc(750mL)で抽出する。次いで、EtOAcを更なる水(750mL)、次いで、ブライン 750mLで濯ぐ。次いで、有機物を組み合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮する。フラッシュクロマトグラフィー(SiO、0〜75% EtOAc/ヘプタン)により、I−101(25g)を得る。不純物の画分を単離し、フラッシュクロマトグラフィー(SiO、0〜75% EtOAc/ヘプタン)により再度精製して、I−101(7.5g)を得る。合計33gのI−101(75%)。m/z=560.4[M+H]。
【0109】
下記中間体を類似する方法で調製する:
【表17】
【0110】
方法Q
中間体I−103の合成
【化51】

ヒドリド(ジメチル亜ホスフィン酸−KP)[水素 ビス(ジメチルホスフィニト−KP)]プラチナ(II)(79mg、0.19mmol)を水(3.0mL)及びエタノール(15mL)中のI−95(1.0g、1.9mmol)に加える。この不均質な反応物を80℃まで加熱する。18時間後、この反応物をrtまで冷却する。この反応物を減圧下で濃縮する。残留物をEtOAcと合わせ、ろ過する。このろ液を減圧下で濃縮して、I−103(500mg)を得る。m/z=532.3[M+H]。この生成物を、更に精製することなくその後の工程に使用する。
【0111】
下記中間体を類似する方法で調製する:
【表18】











【0112】
方法R
中間体I−130の合成
【化52】

I−102(61.5g;113.6mmol)をエタノール(200mL)及び水(40mL)中に溶解させる。ヒドリド(ジメチル亜ホスフィン酸−KP)[水素 ビス(ジメチルホスフィニト−KP)]プラチナ(II)(2.91g;6.8mmol)を加え、この反応物を80℃で16時間撹拌するにまかせる。この反応溶液を水で希釈し、5% MeOH/CHClで希釈し、有機層を収集し、MgSOで乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮する。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、ヘプタン中の0〜100% EtOAc、次いで、CHCl中の0〜20% MeOH)により精製して、I−130(57.2g)を得る。m/z=560.3[M+H]。
【0113】
方法S
中間体I−131の合成
【化53】

密閉可能容器中、ヒドリド(ジメチル亜ホスフィン酸−KP)[水素 ビス(ジメチルホスフィニト−KP)]プラチナ(II)(2.91g;6.8mmol)(863mg、2.0mmol)をI−101(11.4g、20.2mmol)の水(30mL)及びエタノール(100mL)中溶液に加える。この容器を密閉し、一晩、95℃まで加熱する。この反応物を減圧下で濃縮し、EtOAcで希釈し、Celiteに通してろ過する。このろ液を減圧下で濃縮し、I−131(12g)を得る。m/z=560.4[M+H]。この材料(I−131)を、更に精製することなく使用する。
【0114】
方法T
中間体I−132の合成
【化54】

I−109(1.04g、2.5mmol)、I−41(1.5g、5.0mmol)、炭酸セシウム(1.64g、5.0mmol)、Pd(PPh(0.29g、0.25mmol)をマイクロ波チューブ中で合わせる。脱気したジオキサン(8mL)及び水(2mL)を加える。この反応容器をAr下で密閉し、マイクロ波中、125℃で60分間加熱する。この反応物を分液ロートに移し、EtOAcで希釈し、水及びブラインで濯ぐ。有機物を乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮する。次いで、残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、DCM中の0〜20% MeOH)により精製して、I−132(1000mg)を得る。m/z=517.4[M+H]。
【0115】
方法U
中間体I−133の合成
【化55】

I−95(1.34g、2.6mmol)をトリメチルオルトホルマート(R−12)(17.4mL)中で140℃まで加熱する。18時間後、過剰のトリメチルオルトホルマートを減圧下で除去する。黄色の残留物を無水エタノール(15mL)で希釈し、ナトリウムボロハイドライド(R−13)(118mg、3.1mmol)を加え、この混合物をrtで撹拌する。3時間後、溶媒を減圧下で除去する。残留物を水で希釈し、EtOAcで抽出し、MgSOで乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮する。粗製の残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、ヘプタン中の10〜80% EtOAc)により精製して、I−133(920mg)を得る。m/z=528.3[M+H]。
【0116】
下記中間体を類似する方法で調製する:
【表19】
【0117】
方法V
中間体I−136の合成
【化56】

ヒドリド(ジメチル亜ホスフィン酸−KP)[水素 ビス(ジメチルホスフィニト−KP)]プラチナ(II)(70mg、0.16mmol)を、水(0.8mL)及びエタノール(2.4mL)中のI−133(890mg、1.7mmol)に加える。この不均質な反応物を80℃まで加熱する。18時間後、この反応物をrtまで冷却する。更なるヒドリド(ジメチル亜ホスフィン酸−KP)[水素 ビス(ジメチルホスフィニト−KP)]プラチナ(II)(80mg、0.19mmol)を加え、この反応物を96時間、80℃まで加熱する。この反応物を減圧下で濃縮し、EtOAcと水の間で分配する。層を分離し、水層をEtOAc(2×)で抽出する。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、濃縮して残留物を得、これをフラッシュクロマトグラフィー(SiO、ヘプタン中の30〜100% EtOAc)により精製して、I−136(500mg)を得る。m/z=546.4[M+H]。
【0118】
下記中間体を類似する方法で調製する:
【表20】









【0119】
方法W
実施例1の合成
【化57】

I−110(84mg、0.17mmol)を4.0M HClのジオキサン中溶液(0.427ml、1.7mmol)で処理し、rtで0.5時間撹拌する。この反応物を減圧下で濃縮して、I−158(120mg)を得る。塩化アクリロイルのCHCl(5mL)中溶液(0.03ml、0.37mmol)に、I−158及びDIEA(0.15mL、0.84mmol)を加える。rtで一晩撹拌した後に、塩化アンモニウム飽和水溶液(4mL)を加え、この混合物をEtOAc(4×20mL)で抽出する。合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮する。残留物をRHPLC(カラム:Luna PFP(2) Prep;勾配:水(0.1% TFA)中の25%〜30% ACN)により精製して、実施例1(5mg)を得る。
【0120】
下記化合物を類似する方法で製造する:実施例26
【0121】
方法X
実施例2の合成
【化58】

I−139(220mg、0.42mmol)のCHCl(5mL)中溶液に、4.0M HClのジオキサン中溶液(2.0mL;8.0mmol)を加え、この反応物をrtで16時間撹拌する。この溶液を減圧濃縮して、I−159(175mg)を得る。
【0122】
2−ブチン酸(35mg;0.41mmol)のTHF(5mL)中溶液に、イソブチルクロロホルマート(62mg;0.45mmol)及びN−メチルモルホリン(166mg;1.6mmol)を加える。この反応物をrtで15分間撹拌し、次いで、I−159(175mg;0.41mmol)のTHF(10mL)中溶液に移し、rtで1時間撹拌する。次いで、この混合物をCHCl中の10% MeOHと水との間で分配し、相分離器に通してろ過し、ろ液を濃縮する。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、ヘプタン中の0〜100% 酢酸エチル、次いで、CHCl中の0〜20% MeOH)により精製して、減圧下での濃縮後に、実施例(127mg)を得る。
【0123】
下記化合物を類似する方法で製造する:実施例3〜91314192427〜2934〜374452〜60
【0124】
方法Y
実施例12の合成
【化59】

I−130(57g、102mmol)のCHCl(250mL)中溶液に、4.0M HClのジオキサン中溶液(101.9mL、407.4mmol)を加える。この反応溶液をrtで16時間撹拌するにまかせ、次いで、減圧下で濃縮して、I−160(57.5g)を得、これを更に精製することなく使用する。
【0125】
2−ブチン酸(11.6g、138mmol)のIPAc(228mL)中溶液を0℃まで冷却し、イソブチルクロロホルマート(18mL、138mmol)、続けて、N−メチルモルホリン(50.5mL、460mmol)を逐次的に滴加して加える。この溶液を0℃で15分間撹拌し、次いで、I−160(57g、115mmol)のIPAc(200mL)中溶液に移す。この反応混合物を1時間撹拌し、次いで、水(300mL)で希釈し、3時間、50℃まで温め、次いで、rtで一晩撹拌する。不均質な混合物を減圧ろ過し、固体を水で洗浄し、収集し、乾燥して、実施例12(39g)を得る。ろ液を収集し、層を分離する。IPAc層を濃縮し、残留物をEtOAc中に懸濁させ、均質な溶液が観察されるまで加熱する。この溶液をrtまで冷却し、得られた沈殿物をろ過し、収集し、乾燥して、更に実施例12(8.2g)を得る。
【0126】
方法Z
実施例22の合成
【化60】

I−131(77.4g、138.3mmol)のCHCl(250mL)中溶液に、MeOH(50mL)、続けて、4M HClのジオキサン中溶液(138.3mL、553.3mmol)を加える。この反応溶液をrtで4時間撹拌するにまかせ、次いで、減圧下で濃縮して、I−161(69.6g)を得、これを更に精製することなく使用する。
【0127】
2−ブチン酸(14.3g、168.4mmol)のIPAc(350mL)中溶液を0℃まで冷却し、イソブチルクロロホルマート(25.4g、182.4mmol)、続けて、N−メチルモルホリン(57.3g、561mmol)を逐次的に滴加して加える。この溶液を0℃で30分間撹拌するにまかせ、次いで、I−161(69.6g、140.3mmol)のIPAc(350mL)中溶液に移す。この溶液をrtまで温め、1時間撹拌し、次いで、水(800mL)で希釈し、45分間、50℃まで温める。次いで、この混合物をrtまで冷却し、30分間撹拌し、次いで、ろ過する。固体を収集し、乾燥して、実施例22(55g)を得る。
【0128】
方法AA
実施例25の合成
【化61】

I−139(624mg、1.15mmol)のCHCl(10mL)中溶液に、HClのジオキサン中溶液(4M、2.8mL、11.5mmol)を滴加して加える。この溶液をデカンテーションし、残留物を減圧下で乾燥して、I−162(571mg)を得る。粗製の材料(I−162)を更に精製することなく使用する。
【0129】
I−162(571mg、1.51mmol)のDMF(10mL)中溶液及びDIEA(0.60mL、3.4mmol)を15分間撹拌し、次いで、2−ブチン酸(97mg、1.51mmol)及びHATU(440mg、1.1mmol)を加える。30分後、NHCl飽和水溶液(50mL)を加え、この混合物をEtOAcで抽出する。有機抽出物を水及びブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮して、粗製の残留物を得、これをフラッシュクロマトグラフィー(SiO、EtOAc中の0〜10% MeOH)により精製して、実施例25(55mg)を得る。
【0130】
下記化合物を類似する方法で製造する:実施例15〜18212330〜333839404151
【0131】
方法AB
実施例43の合成
【化62】

I−103(1.2g、2.3mmol)のCHCl(15mL)中溶液に、HClのジオキサン中溶液(4M、5mL、20mmol)を加える。この混合物をrtで1時間撹拌し、次いで、減圧下で濃縮し、残留物をCHCl中でトリチュレートする。固体をろ過し、収集し、乾燥して、I−163(1.09g)を得、これを更に精製することなく使用する。
【0132】
アクリル酸(50mg、0.69mmol)及びHATU(264mg、0.69mmol)のDMA(2.5mL)中溶液に、I−163(250mg、0.53mmol)及びDIEA(0.47mL、2.7mmol)を加える。rtで一晩撹拌した後に、この反応物を減圧下で濃縮して、残留物を得、これをフラッシュクロマトグラフィー(SiO、CHCl中の0〜10% MeOH)により精製して、実施例43(106mg)を得る。
【0133】
下記化合物を類似する方法で調製する:実施例204248
【0134】
方法AC
実施例45の合成
【化63】

I−137(100mg、0.21mmol)のCHCl(5mL)中溶液に、TFA(1.5mL)を加え、この混合物をrtで一晩撹拌する。この反応物を減圧下で濃縮して、I−164を得、これを更に精製することなく使用する。
【0135】
2−ブチン酸(20mg、0.24mmol)及びEDC(78mg、0.41mmol)のDMF(1mL)中溶液に、DIEA(0.12mL、0.80mmol)を加える。15分後、I−164(100mg、0.27mmol)を加える。rtで一晩撹拌した後に、この反応物を減圧下で濃縮する。RHPLC(10〜90%:ACN/0.1% TFAを含むHO)による精製で、実施例45(9mg)を得る。
【0136】
方法AD
実施例47の合成
【化64】

I−106(87mg、0.159mmol)をCHCl(5mL)中に溶解させる。TFA(1mL)を加え、この混合物を室温で1時間撹拌する。この溶液を減圧下で濃縮し、残留物をMeOH中に溶解させ、Agilent StratoSpheres SPEカラム(MP PL−HCO)(500mg)に通してろ過する。このろ液を減圧下で濃縮して、I−165を得、これを更に精製することなく使用する。
【0137】
2−ブチン酸(17mg、0.207mmol)及びHATU(79mg、0.21mmol)のDMA(1mL)中溶液に、I−165(71mg、0.159mmol)及びDIEA(0.083mL、0.48mmol)を加える。rtで一晩撹拌した後に、NHCl飽和水溶液(4mL)を加え、この混合物をEtOAc(4×20mL)で抽出する。合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮して、残留物を得、これをフラッシュクロマトグラフィー(SiO、CHCl中の1〜6% MeOH)により精製して、実施例47(21mg)を得る。
【0138】
下記化合物を類似する方法で製造する:実施例464950
【0139】
方法AE
実施例48の合成
【化65】

DMF(1mL)中のI−164(100mg、0.27mmol)、アクリル酸(28mg、0.4mmol)、TBTU(127mg、0.4mmol)及びトリエチルアミン(40mg、0.4mmol)をバイアルに入れる。rtで一晩撹拌した後に、溶媒を減圧下で除去して、残留物を提供し、これをRHPLC(10〜80% MeCN/水+0.1% TFA)により精製して、実施例48(20mg)を得る。
【0140】
方法AF
実施例11の合成
【化66】

I−132(1.0g、1.94mmol)のCHCl(5mL)中溶液に、TFA(3mL)を滴加して加える。rtで3時間後、溶媒を除去して、残留物を提供し、これをMeOH中に溶解させ、Agilent StratoSpheres SPEカラム(MP PL−HCO)(500mg)に複数回通過させる。カートリッジをMeOHで洗浄する。ろ液を減圧下で濃縮して、I−167(806mg)を提供し、これを更に精製することなく使用する。
【0141】
2−ブチン酸(197mg、2.3mmol)のEtOAc(10mL)中溶液に、イソブチルクロロホルマート(350mg、2.5mmol)、続けて、N−メチルモルホリン(0.79g、7.7mmol)を加える。この混合物を10分間撹拌し、次いで、I−167(806mg、1.9mmol)のTHF(10mL)中溶液に加え、rtで30分間撹拌する。この反応物を水で希釈し、EtOAcで抽出し、MgSOで乾燥し、ろ過し、濃縮する。粗製の残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、CHCl中の0〜10% MeOH)により精製して、実施例11(370mg)を得る。
【0142】
下記化合物を類似する方法で製造する:実施例10
【0143】
治療的使用
それらの生物学的特性に基づいて、本発明による式(I)で示される化合物又はそれらの互変異体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、それらの混合物及び上記言及された全ての形態の塩は、それらがBTKに対する良好な阻害作用を示す点で、自己免疫障害及びアレルギー性障害を処置するのに適している。
【0144】
このような疾患は、例えば:関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、シェーグレン病、血管炎、強皮症、喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性湿疹、B細胞リンパ腫、多発性硬化症、若年性関節リウマチ、若年性特発性関節炎、炎症性腸疾患、移植片対宿主病、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎及びブドウ膜炎を含む。
【0145】
式(I)で示される化合物は、それら自体又は本発明による少なくとも1つの他の活性物質との組み合わせにおいて、及び/又は場合により、少なくとも1つの他の薬理活性物質との組み合わせでも使用され得る。他の薬理活性物質は、免疫モデュレーション剤、抗炎症剤又は化学療法剤であってもよい。このような剤の例は、これらに限定されるものではないが、シクロホスファミド、ミコフェノレート(MMF)、ヒドロキシクロロキニン、グルココルチコイド、コルチコステロイド、免疫抑制剤、NSAID、非特異的及びCOX−2特異的シクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤、腫瘍壊死因子レセプター(TNF)受容体アンタゴニスト及びメトトレキサートを含む。
【0146】
好適な調製物は、例えば、錠剤、カプセル剤、坐剤、液剤(特に、注射用液剤(s.c.、i.v.、i.m.)及び注入用液剤)、エリキシル剤、乳剤又は分散性散剤を含む。薬学的活性物質の含有量は、組成物全体としての0.1〜90wt%、好ましくは0.5〜50wt%の範囲、即ち、以下で特定される用量範囲を達成するのに十分な量であるべきである。特定された用量は、必要に応じて、1日に複数回与えられ得る。
【0147】
好適な錠剤は、例えば、活性物質を公知の賦形剤(例えば、不活性な希釈剤(例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム若しくはラクトース)、崩壊剤(例えば、トウモロコシデンプン若しくはアルギン酸)、結合剤(例えば、デンプン若しくはゼラチン)、滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム若しくはタルク)及び/又は放出を遅延させるための剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、セルロースアセタートフタラート若しくはポリビニルアセタート))と混合することにより得てもよい。また、錠剤は、複数の層を含んでもよい。
【0148】
コート錠剤は、錠剤と同様に製造されたコアを錠剤コーティングに通常使用される物質(例えば、コリドン又はシェラック、アラビアゴム、タルク、二酸化チタン又は糖)によりコートすることによって調製してもよい。遅延した放出を達成し又は不適合性を防止するために、コアは、多くの層からなっていてもよい。同様に、錠剤コーティングは、遅延した放出を達成するために、場合によっては、錠剤について上記言及された賦形剤を使用した多くの層からなることができる。
【0149】
本発明による活性物質又はそれらの組み合わせを含有するシロップ剤又はエリキシル剤は、更に、甘味料(例えば、サッカリン、シクラマート、グリセロール又は糖)及び風味増強剤(例えば、香料(例えば、バニリン又はオレンジエキス))を含有してもよい。また、それらは、懸濁助剤若しくは増粘剤(例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース)、湿潤剤(例えば、脂肪アルコールとエチレンオキシドとの縮合生成物等)又は保存剤(例えば、p−ヒドロキシベンゾアート)を含有してもよい。
【0150】
注射及び注入用液剤は、通常の方法(例えば、乳化剤及び/又は懸濁化剤を場合により使用し、等張剤、保存剤(例えば、p−ヒドロキシベンゾアート)又は安定剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸のアルカリ金属塩)の添加することにより、一方、水が希釈剤として使用される場合、例えば有機溶媒を溶媒和物化させる剤(solvating agent)又は可溶化助剤として場合により使用してもよい)で調製し、注射用バイアル若しくはアンプル又は注入用ボトル内に移してもよい。
【0151】
1つ以上の活性物質又は活性物質の組み合わせを含有するカプセル剤は、例えば、活性物質を不活性な担体(例えば、ラクトース又はソルビトール)と混合し、それらをゼラチンカプセル内に充填することにより調製してもよい。
【0152】
好適な坐剤は、例えば、この目的で提供される担体(例えば、中性脂肪若しくはポリエチレングリコール又はそれらの誘導体)と混合することより製造してもよい。
【0153】
使用され得る賦形剤は、例えば、水、薬学的に許容し得る有機溶媒(例えば、パラフィン(例えば、石油留分)、植物油(例えば、ピーナッツ油又はゴマ油)、単官能又は多官能アルコール(例えば、エタノール又はグリセロール))、担体(例えば、天然鉱物粉末(例えば、カオリン、クレイ、タルク、チョーク)、合成鉱物粉末(例えば、高分散性ケイ酸及びケイ酸塩)等、糖(例えば、ショ糖、ラクトース及びグルコース))、乳化剤(例えば、リグニン、亜硫酸パルプ廃液、メチルセルロース、デンプン及びポリビニルピロリドン)及び滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸及びラウリル硫酸ナトリウム)を含む。
【0154】
該調製物は、通常の方法により、好ましくは、経口又は経皮経路により、最も好ましくは、経口経路により投与される。経口投与について、錠剤は、当然、上記言及された担体とは別に、添加剤(例えば、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム及びリン酸二カルシウム)を、種々の添加剤(例えば、デンプン(好ましくは、ジャガイモデンプン)、ゼラチン等)と共に含有してもよい。更に、滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム及びタルク)を錠剤化プロセスのために同時に使用してもよい。水性懸濁剤の場合には、活性物質は、上記言及された賦形剤に加えて、種々の風味増強剤又は着色剤と組み合わせてもよい。
【0155】
非経口的使用のために、活性物質と好適な液体担体との溶液を使用してもよい。
【0156】
静脈内使用についての用量は、1時間当たりに1〜1000mg、好ましくは、1時間当たりに5〜500mgの間である。
【0157】
しかしながら、体重、投与経路、薬物に対する個々の応答、その製剤の性質、及び薬物が投与される時間又は間隔に応じて、特定された量とは異なる必要があり得る。このため、幾つかの場合には、上記で与えられた最少用量未満での使用で十分であり得るし、一方、他の場合には、上限を超えなければならない場合があり得る。大量に投与する場合、それらを1日にわたって多くのより少ない用量に分割するのが望ましいかもしれない。
【0158】
生物学的特性の説明
BTK v.EGFR阻害アッセイ
BTK Lanthscreen(登録商標)Euキナーゼ結合アッセイ:
Lanthscreen(登録商標)Euキナーゼ結合アッセイ(Life Technologies)を、試験化合物がBTKに結合する能力を定量するために行う。このアッセイは、ユーロピウムラベル抗His抗体を使用するTR−FRET検出を用いた、Alexa Fluor647ラベルキナーゼトレーサー#236のヒト全長Hisタグ付きBTK(Life Technologies cat #PV3587)のATP結合部位への結合及び解離に基づいている。このアッセイは、384ウェルの低容量NBSブラックプレート(Corning)中で構築され、そこでは、2nM BTK及び種々の濃度でのDMSO中の試験化合物を、50mM HEPES、pH 7.4、10mM MgCl、1mM EGTA、100μM NaVO及び0.01% Brij 35からなるアッセイバッファー中、28℃で30分予めインキュベーションする。次いで、2nM Eu−抗His抗体及び30nM キナーゼトレーサーを加え、28℃で60分間インキュベーションする。インキュベーション後、TR−FRETシグナルをEnvisionプレートリーダー(励起:340nm;発光:615及び665nm)において読み取る。665:615nm発光比を算出し、対照及びブランクウェルと比較してPOCに変換する。
【0159】
ODN2006及び抗hIgDを用いて共刺激されたB細胞におけるIL−6生成阻害
初代CD19+ B細胞(AllCells # PB010F)を融解し、10% HI FBSを含有するRPMI中、384ウェルの組織培養プレート中に20,000個/ウェルで播種する。この細胞を試験化合物(0.5% DMSO終濃度)で処理し、37℃、5% CO2で1時間インキュベーションする。次いで、細胞を5μg/mL ヤギF(ab’)2抗ヒトIgD(SouthernBiotech # 2032)及び2μM ODN 2006(InvivoGen # tlrl-2006)により刺激し、37℃、5% COで18〜24時間インキュベーションする。上清中のIL−6をMeso Scale Discoveryキット♯ K211AKB−6を使用して測定する。
【0160】
上皮成長因子により刺激されたA431ヒト上皮細胞におけるEGFR自己リン酸化阻害
A431細胞(ATCC # CRL-1555 FZ)を融解し、10% FBSを含有するDMEM中、384ウェルの組織培養処理プレート中に15,000個/ウェルで播種する。37℃、5% COで24時間インキュベーションした後に、この細胞を試験化合物(1% DMSO終濃度)で処理し、37℃、5% COで16時間インキュベーションする。EGF(Millipore, 01-107)を終濃度60ng/mLで加え、10分間インキュベーションする。培地を除去し、細胞を溶解させ、ホスホEGFRを測定する(Meso Scale Diagnostics, N31CB-1)。
【0161】
本発明の代表的な化合物を試験し、BTK阻害を示す(表1)。このため、これらは、自己免疫障害の処置に臨床上の有益性を示す能力を有する。加えて、本発明の化合物は、表IIにおける実施例により表わされたように、他の関連するキナーゼを上回ってBTK阻害に選択的である。例えば、表IIに表わされるデータから、本発明の化合物は、EGFRを上回る高度のBTK選択性を有することが示される。この表において、BTK活性を初代CD19 B細胞におけるIL−6生成により測定し、EGFR活性をA431細胞におけるEGFRリン酸化により測定する。
【0162】
【表21】

【0163】
したがって、当業者により理解され得るように、本発明の化合物は、細胞アッセイにおけるEGFRに対するその高い選択性により示されたように、オフターゲット活性に起因する有害作用に対してより低い潜在性を有する。
【0164】
BTK v.BMX、TEC及びTXK阻害アッセイ
本発明の好ましい化合物は、公知のBTK阻害剤に対して、他の関連するキナーゼBMX、TEC及びTXKを上回る一定範囲のBTKの選択的な阻害を表わす。下記のものを試験化合物として使用する:本発明の化合物、及び公知のBTK阻害剤である1−[(3R)−3−[4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]−1−ピペリジル]プロパ−2−エン−1−オン(比較化合物A、イブルチニブ)、5−アミノ−1−(7−ブタ−2−イノイル−7−アザスピロ[3.4]オクタン−2−イル)−3−(4−イソプロポキシフェニル)ピラゾール−4−カルボキサミド(比較化合物B、特許文献1の実施例168)、N−(3−(5−フルオロ−2−(4−(2−メトキシエトキシ)フェニルアミノ)ピリミジン−4−イルアミノ)フェニル)アクリルアミド(比較化合物C、Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics 2013, 346:219-228)。
【0165】
BTK、BMX及びTXKアッセイ
Z’−LYTE(商標)アッセイ(Life Technologies):
Z’−LYTEアッセイは、FRETに基づく結合酵素フォーマットを利用し、タンパク質分解性開裂に対するリン酸化及び非リン酸化ペプチドの感度の違いに基づいている。ヒトリコンビナントBTK(全長、Hisタグ付き)、BMX(全長、Hisタグ付き)又はTxk(全長、GSTタグ付き)の活性を、クマリン及びフルオレセインによりラベルされた合成FRETペプチド基質のリン酸化を測定することにより推定する。10μLアッセイ混合物は、50mM HEPES(pH 7.5)、0.01% Brij−35、10mM MgCl2、1mM EGTA、2μM FRETペプチド基質(Z’−LYTE(商標) BTK及びBMX用のTyr 1ペプチド、並びにTXK用のTyr 06ペプチド)及びキナーゼ(1.3〜9.3ng BTK;2.8〜45.0ng BMX;2.3〜93.6ng TXK)を含有する。インキュベーションを黒色のポリプロピレン384ウェルプレート(Corning)において22℃で行う。アッセイ前に、キナーゼ、FRETペプチド基質及び段階希釈した試験化合物を一緒に、アッセイバッファー(7.5μL)中で10分間予めインキュベーションし、4×ATPを含有するアッセイバッファー 2.5μL(BTKについて25μM;BMX及びTXKの両方について100μM)を加えることによりアッセイを開始する。60分間のインキュベーション後、このアッセイ混合物をZ’−LYTE(商標)展開試薬(development reagent) 5μLを加えることによりクエンチし、1時間後、クマリン(445nm)及びフルオレセイン(520nm)の発光を、Envisionプレートリーダーを使用する400nmでの励起後に測定する。発光比(445nm/520nm)を測定して、基質リン酸化の度合いを定量する。
【0166】
TECアッセイ
Lanthscreen(登録商標)Euキナーゼ結合アッセイ(Life Technologies):
BMXについてのLanthscreen(登録商標)Euキナーゼ結合アッセイを、1nM ヒトリコンビナント全長TEC(Hisタグ付き)キナーゼ及び1nM Alexa Fluor647ラベルキナーゼトレーサー#178を代わりに使用したこと以外は、BTKについて上記されたのと同様に行う。
【0167】
本発明の代表的な化合物を、基質(Z’−LYTE(商標)アッセイ、Life Technologies)のリン酸化を測定してBTK、BMX及びTXKの阻害について、並びに「トレーサー」(Lanthscreen(登録商標)Euキナーゼ結合アッセイ、Life Technologies)の解離を測定してTECの阻害について評価する。
【0168】
【表22】

【0169】
これらの結果から、本発明の化合物は、他のキナーゼと比較して、少なくとも約10倍までBTK阻害に選択的であることが示される。表IIIを参照のこと
【0170】
In−Vivoアッセイ−本発明の化合物と比較化合物A、B及びCとの間の比較
in vivo試験と平行して、本発明の選択した化合物及び比較化合物A〜Cを、遠隔測定機器を取り付けた覚醒ラットにおいて、用量又は上記治療関連濃度での平均動脈圧(MAP)におけるそれらの影響を決定するのに評価する。下記化合物を1日1回(qd)10mg/kg po及び1日1回30mg/kg poにおいて、5日の経過にわたって評価する:本発明の実施例12及び22並びに比較化合物、即ち、1−[(3R)−3−[4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]−1−ピペリジル]プロパ−2−エン−1−オン(比較化合物A、イブルチニブ)、5−アミノ−1−(7−ブタ−2−イノイル−7−アザスピロ[3.4]オクタン−2−イル)−3−(4−イソプロポキシフェニル)ピラゾール−4−カルボキサミド(比較化合物B、特許文献1の実施例168)及びN−(3−(5−フルオロ−2−(4−(2−メトキシエトキシ)フェニルアミノ)ピリミジン−4−イルアミノ)フェニル)アクリルアミド(比較化合物C、Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics 2013, 346:219-228)。
【0171】
実験プロトコール
(遠隔測定装置を取り付けられた)全ての動物を、代謝ケージ中に1匹で収容する。ラットを代謝ケージに少なくとも3日間慣れさせ、次いで、ビヒクルを4日目まで投与する。血圧、心拍数及び体重をベースライン期間の間に収集し、動物をこれらのパラメータに基づいて3つの群にランダム化する(n=8〜9/群)。処置群は:ビヒクル及び試験化合物(1日1回 10mg/kg po及び30mg/kg po)とし;動物を化合物で5日間処置する。翌日、ラットに再度試験化合物を投与し、血漿サンプルを、Tmax(n=3〜9/群)を捕えるために、投与後の複数の時点での化合物暴露について尾の出血により収集する。平均動脈圧(MAP)及び心拍数(HR)を、試験を通して継続的に収集する。統計学的分析を、化合物投与の5日の間での平均24時間の平均値に基づいてGraphPad Prismを使用して実施する(ダネットの事後検定(post-test)(vs.ビヒクル)と一元配置分析;p<0.05は、統計学的に有意と考えられる)。
【0172】
【表23】
【0173】
結果から、本発明の化合物(例えば、実施例12及び22)が、比較化合物A、B及びCと比較して、ラットにおけるMAPに影響を引き起こさないことが示される。当業者により理解され得るように、ラットでの平均動脈圧における有意な変化は、臨床の現場における有害な心血管イベントのより高いリスクを示し得る。したがって、本発明の化合物がMAPにおける統計学的に有意な影響を表わさないという事実は、驚くべきことであり、予期しなかったことである。表IV及び図1を参照のこと。
【0174】
本願で引用された全ての特許文献、及び非特許文献又は文献は、それらの全体が参照により本明細書中に援用される。
図1