(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも1つの活動事象は、前記センサによって検出された患者のグルコースレベルが依然として目標範囲内にある間でも発生し得る、請求項1に記載の送達システム。
インスリン送達システムを改善するための方法であって、前記システムは、インスリン送達デバイスと、患者のグルコースレベルを測定するための少なくとも1つのセンサと、コントローラであって、自律的調節に基づいて前記インスリン送達デバイスによってインスリンを送達するように構成され、ある期間にわたる前記システムによって行われたインスリン送達及びスケジュールされた基礎レートの逐次平均化を実施するように構成された、コントローラと、を含み、前記方法が、
前記センサからのグルコースレベルデータ及びポンプからのインスリン送達データを可視化ツールに提供する工程と、
自律的調節送達アルゴリズムに基づいて前記システムによって送達されたインスリンと所定の基礎レートとの間の所定の差異に基づいて、少なくとも1つの活動事象を検出及び表示する工程と、を含み、
前記検出工程が、
所定の時刻に関して、予想されるインスリン送達を、インスリンの実際の送達と比較することを更に含み、
前記検出工程が、所定の時間的間隔にわたって前記システムによって行われたインスリン送達及び基礎レートの逐次平均化と、システムによって送達されたインスリンと所定の基礎レートとを比較した少なくとも2つの連続した平均が、所定の閾値を満たすかどうかを決定することと、を更に含む、方法。
前記所定の期間が長期間であり、前記方法が、検出された活動事象の回数を前記長期間にわたって時刻に基づいて詳細に示すグラフィカルプロットを作成及び表示する工程を更に含み、
前記長期間が、1週間超である、請求項7に記載の方法。
【背景技術】
【0003】
真性糖尿病は、膵臓が十分な量のホルモンインスリンを産生できないことに起因する慢性代謝異常である。この障害は、高血糖症、すなわち、血漿中に過剰量のグルコースが存在する原因となる。持続性高血糖は、様々な深刻な病状及び生命を脅かす長期合併症と関係付けられてきた。内因性インスリン産生の復元は未だ不可能であるため、血糖値を正常範囲内に維持するために一定の血糖管理を提供する維持療法が必要である。そのような血糖管理は、外的インスリンを患者の身体に定期的に供給することによって実現される。
【0004】
自然発生的な生理学的プロセスと同様の方法で薬物を送達することができ、かつ、標準的な又は個別に修正されたプロトコルに従って、患者により良好な血糖管理をもたらすように制御され得る薬物送達デバイスの開発によって、血糖管理が大幅に改善されてきた。
【0005】
薬物送達デバイスは、埋め込み可能なデバイスとして構成することができる。あるいは、カテーテル又はカニューレの経皮的挿入を介して患者に皮下注入するための注入セットを有する外部デバイスを使用してもよい。外部薬物送達デバイスは、一般的には衣類に装着され、又は、好ましくは、衣類の下又は内側に隠され、あるいは身体に装着され、一般には、デバイス若しくは別の遠隔制御デバイスに内蔵されたユーザーインターフェースによって制御される。
【0006】
薬物送達デバイスによって好適な量のインスリンを送達するためには、患者が自身の血糖値を頻繁に定量する必要がある。この値が外部ポンプ又はコントローラに入力されて、デフォルト又は現在使用されているインスリン送達プロトコル(すなわち、投薬及びタイミング)への適切な変更が必要かどうかが決定される。血糖濃度の測定は、典型的には、酵素系の試験紙によって血液サンプルを受容し、酵素反応に基づいて血糖値を算出する、ハンドヘルド型電子計器などの間欠的測定デバイスによって実施される。
【0007】
あるいは、持続グルコースモニタ(「continuous glucose monitor、CGM」)を薬物送達デバイスと共に利用して、糖尿病患者に注入されるインスリンの閉ループ制御を可能にすることができる。注入されたインスリンの閉ループ制御を可能にするために、1つ又は2つ以上のアルゴリズムを使用するコントローラによって、ユーザーに送達される薬物が自律的に調節される。例えば、比例積分微分(「proportional-integral-derivative、PID」)コントローラを利用してもよく、代謝モデルの単純な規則に基づいて当該コントローラを調整することができる。
【0008】
別の方法としては、PIDは典型的に、未来の変化を判定する際に過去の出力のみを取り込むのに対して、モデル予測コントローラ(「model predictive controller、MPC」)は、MPCの出力を判定する際に、制御変化の近い未来の効果を積極的に考慮し、制約を受けることもあるため、MPCコントローラはPIDよりもロバストであることが実証されている。制約は、解が限定された「スペース」内にあること、つまり課せられた送達限界内にあることが保証され、かつ、システムが到達した限界を超えるのを防止するように、MPCコントローラにおいて実装され得る。
【0009】
MPCコントローラ、MPC上の変動、及びグルコースとインスリンとの複雑な相互作用を表した数学的モデルの詳細は、以下の文献に示され、説明されている。
【0010】
米国特許第7,060,059号;米国特許出願第2011/0313680号、同第2011/0257627号、及び同第2014/0180240号;国際公開第2012/051344号;Percival et al.,「Closed−Loop Control and Advisory Mode Evaluation of an Artificial Pancreatic β−Cell:Use of Proportional−Integral−Derivative Equivalent Model−Based Controllers」,J.Diabetes Sci.Techn.,Vol.2,Issue 4,July 2008;Paola Soru et al.,「MPC Based Artificial Pancreas;Strategies for Individualization and Meal Compensation」,Annual Reviews in Control 36,p.118〜128(2012);Cobelli et al.,「Artificial Pancreas:Past,Present,Future」 Diabetes,Vol.60,November 2011;Magni et al.,「Run−to−Run Tuning of Model Predictive Control for Type 1 Diabetes Subjects:In Silico Trial」J.Diabetes Sci.Techn.,Vol.3,Issue 5,September 2009;Lee et al.,「A Closed−Loop Artificial Pancreas Using Model Predictive Control and a Sliding Meal Size Estimator」,J.Diabetes Sci.Techn.,Vol.3,Issue 5,September 2009;Lee et al.,「A Closed−Loop Artificial Pancreas based on MPC:Human Friendly Identification and Automatic Meal Disturbance Rejection」,Proceedings of the 17th World Congress,The International Federation of Automatic Control,Seoul Korea Jul.6〜11,2008;Magni et al.,「Model Predictive Control of Type 1 Diabetes:An in Silico Trial」,J.Diabetes Sci.Techn.,Vol.1,Issue 6,November 2007;Wang et al.,「Automatic Bolus and Adaptive Basal Algorithm for the Artificial Pancreatic β−Cell」,Diabetes Techn.Ther.,Vol.12,No.11,2010;Percival et al.,「Closed−Loop Control of an Artificial Pancreatic β−Cell Using Multi−Parametric Model Predictive Control」Diabetes Research 2008;Kovatchev et al.,「Control to Range for Diabetes:Functionality and Modular Architecture」,J.Diabetes Sci.Techn.,Vol.3,Issue 5,September 2009;及びAtlas et al.,「MD−Logic Artificial Pancreas System」,Diabetes Care,Vol.33,No.5,May 2010。本出願において引用される全ての記事又は文献は、その全体が本明細書においてあたかも記載されているかのように、参照により組み込まれる。
【0011】
糖尿病治療における自律的投与、人工膵臓(「artificial pancreas、AP」)型デバイスの出現は、必然的に、従来の非APインスリンポンプよりもはるかに豊富で複雑なデータを生成する。この追加された複雑さは、特に、そのようなデータの解釈を支援する適切なツールがなく、AP投与パラダイムの完全な値が失われ得る場合に、デバイスのユーザー、並びに介護者及び医療従事者(「health care practitioner、HCP」)に負担となる可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
添付の図面は、本発明の現時点で好ましい実施形態を例解したものであって、上に述べた一般的説明及び以下に述べる詳細な説明と共に、本発明の特徴を説明する役割を果たすものである。
【
図2】糖尿病管理システムの選択された実施形態を略図形式で示す。
【
図3】CGM及び連携するインスリン送達履歴を所定の期間に及ぶ時刻に対して示す、可視化及び解析ツールから抜粋したグラフィカルプロットを示す。
【
図4】
図3に示された期間と異なる所定の期間に及ぶCGM及び連携するインスリン送達履歴を示す、可視化及び解析ツールから抜粋したグラフィカルプロットを示す。
【
図5】長期間(7日間)にわたるCGM及び連携するインスリン送達履歴を示す、可視化及び解析ツールから抜粋したグラフィカルプロットを示し、関連するメトリック(APAE)が際立った様式で表示されている。
【
図6】具体的なメトリック(すなわち、低血糖APAE)の、可視化及び解析ツールを使用したグラフィカル表示である。
【
図7】別の具体的なメトリック(すなわち、高血糖APAE)の、可視化及び解析ツールを使用したグラフィカル表示である。
【
図8】インスリン送達がCGMデータと連携している、24時間周期の可視化及び解析ツールを使用したグラフィカル表示である。
【
図9】
図8の24時間プロットの可視化及び解析ツールを使用したグラフィカル表示であり、範囲の変動幅を上回る及び範囲の変動幅を下回ることに関する統計がそれぞれ表示されている。
【
図10】
図8の24時間プロットの可視化及び解析ツールを使用したグラフィカル表示であり、範囲の変動幅を上回る及び範囲の変動幅を下回ることに関する統計がそれぞれ表示されている。
【
図11】炭水化物摂取に関する統計を含む、
図8〜
図10の24時間周期のプロットの可視化及び解析ツールを使用したグラフィカル表示である。
【
図12】低血糖APAE及び高血糖APAEが存在するか否かに基づいて強調表示及び色分けされているAPAEを示す、
図8の24時間周期のプロットの可視化及び解析ツールを使用したグラフィカル表示である。
【
図13】強調表示された高血糖APAE事象及び低血糖APAE事象に関する統計がそれぞれ表示されている、
図12の24時間周期のプロットの可視化及び解析ツールを使用したグラフィカル表示である。
【
図14】強調表示された高血糖APAE事象及び低血糖APAE事象に関する統計がそれぞれ表示されている、
図12の24時間周期のプロットの可視化及び解析ツールを使用したグラフィカル表示である。
【
図15】2週間の患者データに基づくAPAEランドスケーププロットのグラフィカル表示であり、その期間にわたって蓄積されたAPAEと連携している平均CGMデータを示す。
【
図16】蓄積されたAPAEと連携している平均CGMデータを示す、別のAPAEランドスケーププロットの別のグラフィカル表示である。
【
図17】所定期間にわたるインスリン送達システムの様々なCGMセンサ関連メトリックを列挙している表形式表現である。
【
図18】所定の(1日の)期間にわたる送達システムのインスリン送達に関するメトリックの表形式表現である。
【
図19】所定期間にわたる高血糖活動事象を示す表形式表現である。
【
図20】所定期間にわたる高血糖活動事象を示す一実施形態による表形式表現である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の詳細な説明は、図面を参照して読まれるべきであり、図面において、異なる図面における同様の要素には、同一の参照符号が付されている。図面は選択的実施形態を示しており、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。詳細な説明は、本発明の原理を限定ではなく一例として例証するものである。この説明により、当業者が本発明を作製し使用することが明確に可能になり、本発明を実施する最良の形態であると現時点において考えられるものを含む、本発明のいくつかの実施形態、適用例、変形例、代替例、及び使用が説明される。
【0014】
本明細書で用いるとき、「患者」、「ホスト」、及び「ユーザー」という用語は、任意のヒト又は動物被験対象を指し、ヒト患者における本発明の使用は、好ましい実施形態を表わすが、システム又は方法をヒトにおける使用に限定することを意図したものではない。更に、「ユーザー」という用語は、薬物注入デバイスを使用する患者だけでなく、世話人(例えば、親若しくは保護者、看護スタッフ、又はホームケア従業員)も含む。「薬物」という用語は、ホルモン剤、生物活性物質、ユーザー又は患者の体内において生物学的反応(例えば、血糖反応)の原因となる医薬品又は他の化学薬品を含むことができ、好ましくはインスリンである。
【0015】
一態様によれば、インスリン送達速度を調節するために患者が制御可能なポンプと、グルコースレベルを測定するためのセンサと、自律的調節に基づいてインスリンを送達するように構成されたコントローラとを含むインスリン送達システムが提供される。このシステムは、システムと係合可能な可視化及び解析ツールを更に含み、当該ツールは、患者の血糖変化を示す少なくとも1つの活動事象(メトリック)の検出及び表示を可能にし、その場合、少なくとも1つの活動事象は、システムによって送達されたインスリンと、所定の経時的な基礎レートとの間の所定の差異に基づく。
【0016】
本システムは、周期的な時間間隔でインスリンを送達し、送達された実際のインスリンと比較して、システムによって送達されるようにスケジュールされているインスリンの変化に基づいて、少なくとも1つの活動事象が検出される。1つのバージョンによれば、スケジュールされた実際のインスリンと比較して、送達されたインスリンの割合が、所定の時間間隔にわたって平均化される閾値を周期的に超えると、これが活動事象の発生の引き金となる。活動事象は、周期平均化が閾値を超えなくなるまで継続する。センサによって測定される患者のグルコースレベルが許容可能な目標範囲内に維持されている間でも、活動事象が検出され得る。
【0017】
別の態様によると、インスリン送達デバイスと、グルコースレベルを測定するための少なくとも1つのセンサと、送達デバイスによるインスリンの送達を自律的調節に基づいて指示するように構成されたコントローラとを含むインスリン送達システムを改善するための方法であって、当該方法は、センサからのグルコースデータ及び送達デバイスからのインスリン送達データを所定期間にわたって可視化及び解析ツールに提供する工程と、コントローラによって使用される送達アルゴリズムに基づいてシステムによって送達されたインスリンと、ポンプによって使用される所定の基礎レートとの間の所定の差異に基づいて、少なくとも1つの活動事象を検出及び表示する工程と、を含む。
【0018】
この関連で、1つのバージョンによると、本出願人らは、インスリン送達調節APアルゴリズム(例えば、MPCを利用する)が、システムユーザーの血糖の潜在的低血糖及び高血糖変動を回避又は緩和するために、有意なインスリン調節動作を起こす時を定量的に捉えるメトリックを考案した。このようなメトリックを見て理解することによって生じる価値は、少なくとも2つのコンポーネントを有する。第1に、患者、介護者、又はHCPによるメトリックのレトロスペクティブ分析は、患者の最近の履歴において、システム(アルゴリズム)が有意な動作を起こし、ユーザーの低又は高グルコース閾値のいずれかの突破が明らかに回避され、患者を安全に保つと同時に、煩わしい警報及びユーザーによる素人療法の両方を未然に防いだ出来事を解明することができる。この理解は、システムに対する信頼を高めるうえで、ユーザー及び介護者にとって極めて重要である。
【0019】
第2に、識別されたメトリックのパターンは、時間をかけて、より改善されたグルコース制御をもたらすことができる治療的洞察を明らかにすることができる。例えば、ユーザーは、メトリックが、所定期間(例えば、1週間)にわたって夜間期間のたびに同じ種類の事象を捉えることを確かめることができる。この情報を使用して、ユーザー又はHCPは、夜間期間中の基礎レートを微調整し、それによって、調節後の後続の複数の週及び月におけるグルコース制御をより良好なものにすることができる。本明細書で考案されるメトリックは、本明細書において人工膵臓活動事象(「APAE」)と称される。このメトリックの目的は、ユーザーの糖尿病治療に追加する際に、システムアルゴリズムによって付与された値を捉え、この値の強調表示を、簡略化した方法でユーザーに説明することである。本明細書での議論のために、メトリックは、2つの類似のバリエーション、すなわち、低血糖APAE及び高血糖APAEを有することができる。
【0020】
APAEは、所定の周期的な時間間隔でのサンプリングに基づく計算から導出することができる。1つのバージョンによれば、各サンプリング間隔を、例えば、5分とすることができる、3つのサンプルの平均を得る。その結果、患者がスケジュールしたインスリン送達量(例えば、基礎量)の連続した15分平均、及び、システムのAPアルゴリズムによって決定される、システムが実際に送達したインスリンの連続した15分平均に基づいて、この記載したサンプリング間隔に従ってAPAEを導出することができる。
【0021】
1つのバージョンによると、少なくとも2つの連続した15分平均に関して、システムによって送達されたインスリンが、患者がスケジュールした送達量(一時的基礎量及び複合型/長時間型ボーラスプログラムを含むが、1回のボーラスを含まない)の対応する15分平均の少なくともX分の1(つまり、(1/X)
*100%未満)である場合に、低血糖APAEが検出される。例えば、X=1.5の場合、(1/X
*100%=67%)となる。この例では、一旦検出されると、この条件が少なくとも2つの連続した15分平均に関して満たされなくなるまで、低血糖APAEは記録され続け、表示され続ける。
【0022】
同様に、少なくとも2つの連続した15分平均に関して、システムが命令したインスリンが、患者がスケジュールした送達量(一時的基礎量及び複合型/長時間型ボーラスプログラムを含むが、1回のボーラスを含まない)の対応する15分平均の少なくともY倍(つまり、Y
*100%超)である場合、高血糖APAEが検出され得る。この例の目的のために、Y=1.5の場合、Y
*100%=150%となる。一旦検出されると、この条件が少なくとも2つの連続した15分平均に関して満たされなくなるまで、高血糖APAEは記録され続け、表示され続ける。
【0023】
本明細書に記載の可視化及び解析ツールを使用して、低血糖APAE及び高血糖APAEを検出してユーザーに表示することができるインスリン送達データを詳細に説明する、所定の期間(例えば、1週間)にわたるデータセットを、センサ(すなわち、CGM)データと連携させて、ユーザーに提示することができる。
【0024】
可視化及び解析ツールは、得られたデータ及び算出されたメトリックの解析を容易にすることができる。例えば、1つのバージョンによれば、長期間にわたる時刻を示し、その合計期間にわたって時刻と連携するシステムの動作を評価できる、ランドスケーププロットを作成することができる。このランドスケープ化により、患者及びHCPは、インスリン送達システムの態様(例えば、ポンプ設定)及び基礎レートを微調整して、グルコース制御を更に改善することができる。あるいは、APAEを含む様々なメトリックを、ユーザー又はHCPに表形式で提供することができる。
【0025】
有利には、ユーザーは、閉ループAPシステムが静音であり、低血糖症及び高血糖症にならないように患者を自律的に安全に維持し、システムに対する付加的な信頼性を提供することに気付く。更に、ユーザーは、本明細書に記載される可視化ツールを使用してシステムが生成したデータ(グラフィックであるか、表形式であるかにかかわらない)から洞察を収集することができ、これは、長期にわたる血糖管理を更に改善することができる治療的調整(例えば、基礎レートの調整)を行うことにつながる。
【0026】
更なる関連した利点は、閉ループシステムが低血糖又は高血糖変動を防止することに失敗し、そのため連動警報の回避に失敗したが、かかる警報が鳴る前にユーザーに代わって有意に作動した場合に、ユーザーが、その重症度、持続時間、又は開始時間の観点から、システムが変動を効果的に緩和したことに気付くことである。
【0027】
少なくとも1つの態様によると、以下の議論は、人工膵臓のインスリン制御に関わる活動事象を決定するためのメトリック、及びメトリックの使用に基づいてメタ解析を行う可視化及び解析ツールに関する。どの種類のアルゴリズムをこのメトリック並びに可視化及び解析ツールに適用することができるかという点について、ツールは、患者が設定した基礎レートに対してインスリンを自律的に調節する文字どおりあらゆるAP(制御)アルゴリズムによって生成されたあらゆるデータと連動することができる。したがって、本明細書に記載される実施例は、MPCを使用するシステムに関するが、本発明は、本発明のインスリン送達システムによって使用されるアルゴリズムの種類に関係なく、任意の形態の連続的な自律的調節(PIDなど)を採用するあらゆるインスリン送達システムに適用することができる。
【0028】
加えて、このシステムは、24時間につき2つ以上の事前に設定された基礎レートに適用可能である。一例として、患者は、1日を通して3つの異なる基礎レート(例えば、夜間用の1つの基礎レート、日中用の別の基礎レート、及び午後の運動時用の別の基礎レート)を設定することができる。既知の基礎レートプロファイル(患者のHCPによって割り当てられる治療の一環であり得る)は、患者がインスリン送達ポンプにプログラムすることができるので、既知であり、また、アルゴリズムの出力、すなわち、変更された送達速度(変更が「ゼロ」であるとき、つまり、事前に設定された基礎レートが変更されないときを含む)もまた、既知である。本明細書において以下でより詳しく説明するように、これらのパラメータは、それぞれ、メトリックの開発のために使用することができる。
【0029】
図1は、薬物(インスリン)送達システム100の態様を示す。薬物送達システム100は、注入ポンプなどの薬物送達デバイス102とコントローラ104とを含む。薬物送達デバイス102は、可撓性チューブ108を介して注入セット106に接続されてもよい。
【0030】
薬物送達デバイス102は、示されるように、例えば、無線周波数(「RF」)又はブルートゥース(登録商標)低消費電力(「BLE」)通信111によって、リモートコントローラ104にデータを送受信するように構成されている。送達デバイス102はまた、無線通信チャネル(例えば、BLE)110を介してCGMセンサ112からグルコースデータを無線受信するように構成されている。あるいは、薬物送達デバイス102は、独自の内蔵型コントローラを有する独立型デバイスとしても機能し得る。一実施形態では、薬物送達デバイス102は、インスリン注入デバイスであってもよく、コントローラ104は、ハンドヘルド型ポータブルコントローラデバイス、又はスマートフォン、運動若しくはユーザーモニタリング機器などの消費者電子デバイスであってもよい。かかる実施形態において、薬物送達デバイス102からコントローラ104に送信されるデータは、例えば、限定するものではないが、インスリン送達データ、血糖情報、基礎量、ボーラス、インスリン対炭水化物比(「I:C」)、及びインスリン感受性要因「ISF」などの情報を含み得る。あるいは、グルコースセンサ112からのグルコースデータを、無線通信チャネル110を介してコントローラ104に直接送信することができる。コントローラ104は、MPCコントローラを含むように構成することができる。あるいは、
図2に模式的に示すように、MPCコントローラ224は、薬物送達デバイス200内に組み込まれていてもよい。
【0031】
制御(AP)アルゴリズムは、薬物送達デバイス102において、又は、
図1に示す形態の両方で、リモートコントローラ104の中に存在することができる。1つの構成において、コントローラ104は、必要な情報(例えば、インスリン履歴)を、薬物送達デバイス102並びにグルコースセンサ112(例えば、グルコースデータ)から無線で収集し、薬物送達デバイス102によって調節しながら送達されるインスリンの量を、薬物送達デバイス102が制御アルゴリズムを用いて算出できるようにする。あるいは、コントローラ104は、制御アルゴリズムを含み、基礎投与又はボーラス計算を実行し、かかる計算の結果を送達指示と共に薬物送達デバイス102に送ってもよい。代替実施形態において、間欠的血糖計器114及び生体内感知装置115を単独で又はCGMセンサ112と共に使用して、血糖データをコントローラ104及び薬物送達デバイス102のいずれか一方又は両方に提供することもできる。代替的に、リモートコントローラ104は、計器114と組み合わされて、(a)統合型モノリシックデバイス、又は(b)相互にドッキング可能な2つの可分デバイスのどちらかとして用いることができ、これらのデバイスは統合型デバイスを形成する。デバイス102、104、114のそれぞれは、種々の機能を実行するようにプログラムされた好適なマイクロコントローラ(簡略化のため図示せず)を有する。
【0032】
薬物送達デバイス102はまた、例えば、無線通信ネットワーク118を通じて、リモートヘルスモニタリングステーション116と双方向無線通信するように構成されていてもよい。リモートコントローラ104及びリモートモニタリングステーション116は、例えば、電話地上波通信網を通じて双方向有線通信するように構成され得る。リモートモニタリングステーション116を使用して、例えば、更新されたソフトウェアを薬物送達デバイス102にダウンロードし、薬物送達デバイス102からの情報を処理してもよい。リモートモニタリングステーション116の例としては、パーソナルコンピュータ又はネットワークコンピュータ126、記憶装置に対するサーバー128、携帯情報端末、他の携帯電話、病院ベースモニタリングステーション、又は専用のリモート臨床監視局を挙げることができるが、これらに限定されない。あるいは、
図1には示されていないが、ストレージ、例えば、制御アルゴリズムをクラウド内に更に設けるようにしてもよい。
【0033】
薬物送達デバイス102は、中央演算処理装置、並びに制御プログラム及び演算データの保存のためのメモリエレメントを含む処理用電子機器と、通信信号(すなわち、メッセージ)の送受信のための高周波モジュール、ブルートゥース(登録商標)インターフェースなどと、ユーザーに運用情報を提供するためのディスプレイと、ユーザーが情報を入力するための複数のナビゲーションボタンと、システムに給電するための電池と、ユーザーにフィードバックを提供するための警報器(例えば、視覚、聴覚、又は触覚)と、ユーザーにフィードバックを提供するための振動器と、所定量のインスリンをインスリンリザーバ(例えば、インスリンカートリッジ)から注入セット108/106及びユーザー体内に接続されたサイドポートを通じて押し出すための薬剤送達機構(例えば、薬剤ポンプ及び駆動機構)と、を含む。薬物送達デバイスの例は、Animas Corporation(Wayne,Pennsylvania)が製造する修正済みAnimas(登録商標)Vibe(登録商標)インスリンポンプの形態である。
【0034】
ユーザーのグルコースレベル又は濃度は、CGMセンサ112を用いて測定できる。CGMセンサ112は、例えば、センサエレクトロニクスに動作可能に接続されかつ感知膜及びバイオインターフェース膜で覆われた3つの電極を有する電流測定化学センサ(amperometric chemical sensor)を用いるなど、CGMを介してグルコースを測定することができる既知のセンサ技術を利用する。
【0035】
電極の上端部は、感知膜と電極との間に配設された自由流動性の流体相である電解質相(図示せず)と接触している。感知膜は、電解質相を被覆する酵素、例えば、グルコース酸化酵素を含んでもよい。この例示的なセンサにおいて、作用電極で測定されている種により発生した電流を調和させるために対電極が設けられる。グルコースオキシダーゼベースのグルコースセンサの場合、作用電極で測定される種はH
2O
2である。作用電極で産生される(そして回路を通じて対電極へと流れる)電流は、H
2O
2の拡散流束に比例する。結果的に、ユーザーの体内のグルコース濃度を表し、したがって、有意のグルコース値を推定するために利用することができる原信号が生じ得る。システムにおいて有用なセンサ及び関連する構成要素の詳細は、参照により全体が本出願に記載されているかのように本明細書に組み込まれる米国特許第7,276,029号に図示され、説明されている。一実施形態では、市販の連続グルコースセンサ、例えば、Dexcom,Inc.のG4(登録商標)又はG5(登録商標)を、本明細書に記載される例示的な実施形態で利用することができる。
【0036】
本発明の一実施形態では、人工膵臓と類似である糖尿病の管理のためのシステムとして以下の構成要素を利用することができる:注入ポンプ;間欠的グルコースセンサ;これらの構成要素を接続するための、MATLAB(登録商標)言語又は埋め込まれたコードでプログラムされたインターフェース、及び構成要素を接続するための付属ハードウェアを備える、Dexcom,Inc.製のモニタのような持続グルコースモニタ;並びに、患者のグルコースレベル、過去のグルコース測定値及びインスリン送達、予想される将来のグルコースの傾向、並びに患者固有の情報に基づいてインスリン送達の速度を自動制御する少なくとも1つの制御アルゴリズム。
【0037】
図2を参照して、患者210と関連して使用するために模式的に示される薬物送達デバイス200の別の例示的な実施形態が示される。この実施形態による薬物送達デバイス200は、ポンプ送達モジュール214、CGMモジュール220、及びMPCモジュール224を収容する。好ましくは、この実施形態は、例えば、共に参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる米国特許第8,526,587号及び米国特許出願第14/015,831号に開示されている低血糖−高血糖ミニマイザー(「hypoglycemia-hyperglycemia minimizer、HHM」)システムを採用し、各々が薬物送達デバイス200のハウジング内に組み込まれる。CGMモジュール220は、患者210に配置されたCGMセンサ112からの信号を受信するように構成される。図示のように、MPCモジュール224は、CGMモジュール220並びにポンプ送達モジュール214に動作可能に接続され、皮下グルコース情報を受信して、この情報を、過去の全てのインスリン送達も認識している格納されたアルゴリズムに提供するように構成されている。このデータを用いてグルコースレベルの近い将来の予測を算出し、近い将来に予測される、又は実際の、高血糖又は低血糖状態を緩和するインスリン送達速度を生成する。次いで、ポンプ送達モジュール214が、現在の(例えば、5分)間隔に対応する患者が設定した速度に対して、上記速度を作動させる。このプロトコルは、その後の時間間隔毎に繰り返される。
【0038】
MPCモジュール224に用いられる例示的なアルゴリズムは、参照することによりその全内容が本明細書に組み込まれる、米国特許第8,562,587号及び同第8,762,070号、並びに米国特許第13/854,963号及び同第14/154,241号に詳述されており、インスリンの送達を制御する予測値を、基礎レート、食事活動、及び持続グルコースモニタリングに基づいて作成する。技術的には、CGMは、周期的なスケジュール(例えば、5分毎に1回)に従って行われる。上述したように、インスリンは、この実施形態及びこの考察の以下の全ての部分では、HHMシステムを使用して患者210に送達される。しかしながら、すでに述べたように、他の既知のMPC又はPID型の送達システム、及びこれらシステムによって採用される予測アルゴリズムを利用することができる。
【0039】
一実施形態によれば、CGMモジュール220及びMPCモジュール224からの関連データを、例えば媒介デバイスとしてのリモートコントローラ104を介して無線通信することができる可視化及び解析ツールを、遠隔監視システム116(
図1)に設けることができる。あるいは、ユーザー又はHCPが見ることができるようにするために、少なくとも可視化ツールの態様を、薬物送達デバイス102、200、又はリモートコントローラ104(
図1及び
図2)に設けることができる。
【0040】
下記の記述の目的のために、インスリン送達システム又はグルコース管理システムで使用するためのメトリックが開発された。このメトリックは、本明細書ではAPAEと称される。本明細書に記載される実施例において、APAEは、各サンプリング間隔がHHM送達システムの間隔に従って5分である、3つのサンプル平均に基づく演算から導出される。すなわち、APAEは、患者がスケジュールしたインスリン送達量(例えば、基礎量)の2つの直近15分、及びAP(HHMシステム)アルゴリズムによって決定される、システムが実際に送達したインスリンの2つの直近15分に基づいて導出される。
【0041】
以下により詳細に論じられるように、APAEの発生は時間的に固定されておらず、むしろ可変時間周期を有する現象である。下記の説明に見られるように、上記サンプリング間隔に基づいて、APAEは、その検出条件が満たされるか否かに応じて、持続時間が30分であってもよいし、又は数時間に及んでもよい。
【0042】
低血糖症及び高血糖症に代表されるように、2つの種類のAPAE、すなわち、低血糖APAE及び高血糖APAEが、可視化及び解析目的のメトリックとして使用される。この説明の目的のため、少なくとも2つの連続した15分平均に関し、システムによって送達されたインスリンが、患者がスケジュールした送達量の対応する15分平均の少なくともX分の1である場合に、低血糖APAEが検出される。より詳細には、システムによって送達されたインスリンが、患者がスケジュールした送達量(一時的基礎量及び複合型/長時間型ボーラスプログラムを含むが、1回のボーラスを含まない)の対応する15分平均の(1/X)
*100%未満である場合に、低血糖APAEが検出される。上記例の目的のため、X=1.5の場合、(1/X)
*100%=67%となる。
【0043】
言及したように、上記関係に基づいて低血糖APAEが検出されると、少なくとも2つの連続した15分平均で上記条件が満たされなくなるまで、この事象は継続して記録される(また、可視化及び解析ツールを使用して表される)。
【0044】
同様に、以下の例によれば、少なくとも2つの連続した15分平均に関し、システムによって送達されたインスリンが、患者がスケジュールした送達量の対応する15分平均の少なくともY倍である場合に、高血糖APAEが検出される。より詳細には、システムによって送達されたインスリンが、患者がスケジュールした送達量(一時的基礎量及び複合型/長時間型ボーラスプログラムを含むが、1回のボーラスを含まない)の対応する15分平均のY
*100%超である場合に、高血糖APAEが検出される。上記例の目的のため、Y=1.5の場合、Y
*100%=150%となる。
【0045】
低血糖APAEの場合と同様に、少なくとも2つの連続した15分平均で上記条件が満たされなくなるまで、高血糖APAEは継続して記録される(また、可視化及び解析ツールを使用して表される)。結果として、この記載した実施形態の目的のため、APAE(低血糖又は高血糖)の最小継続時間は、30分である。
【0046】
例示的に、
図3及び
図4を参照して、例示的な7日間のデータセットからの抜粋が、可視化及び解析ツールを使用して、3つの連携したプロット300、300A、320、320A、340、340Aとして提供される。本発明の可視化及び解析ツールは、CGM測定データと連携した15分平均に対応する、インスリンの実際に送達した量と個別のシステムによって送達された量との容易な比較を可能にする。各プロットのx軸は、時刻に基づいてx軸を共通に定義する。2つの図の目的のため、連続した9時間周期が与えられており、
図3は、特定の日(本例では5日目)の06時00分から15時00分までのタイムラインを示し、
図4は、15時00分(6日目)〜00時00分(7日目)のタイムラインを示している。各図における最上部のプロット300、300Aは、ミリグラム/デシリットル(mg/dL)を単位として測定されるCGM血糖データ304のトレースを示し、望ましいグルコース範囲は、下限値である700mg/dL及び上限値である180mg/dLの水平黒線305で示されている。トレース304は連続しているものとして示されているが、実際は周期的な読み取り(例えば、5分毎)に基づいている。中間のプロット320、320Aは、インスリン送達の15分平均を示し、サンプル平均のそれぞれが1/4時間毎に開始するように位置付けられた網掛けバー321として示される。すなわち、対応する平均を算出するために用いられるサンプル一式は、下記の1時間の範囲内に位置することになる。すなわち、{00分〜<15分}、{15分〜<30分}、{30分〜<45分}及び{45分〜<60分}。こうすることで、15分平均の境界が基礎量プロファイル変化(これは典型的には1/2時間毎にのみスケジュールすることができる)と確実に整列する。水平黒線323は、スケジュールされた基礎送達量を示し、網掛けバー321は、HHMシステム(AP)アルゴリズムに基づいてシステムによって送達されたインスリンの15分平均を示す。最後に、最下部(底部)のプロット340、340Aは、送達システムに従って5分毎に作動される実際のインスリン送達を示す。送達は、中間のプロット320、320Aにおける平均を算出するために使用される縦線341として、スケジュールされた基礎量と共に示されており、スケジュールされた基礎量は、底部のプロットにおいても同様に、水平黒線のトレース343として示されている。
図3では、基礎レートは、5日目の06時30分、5日目の08時00分、5日目の10時00分、及び5日目(Day)の14時00分に変化しているが、一時基礎レート又は複合型ボーラスの長時間型部分が存在せず、各平均を算出するときに一定であるため、中間及び最下部のプロット320、340の黒線323、343は同一である。しかしながら、一時基礎レートは、任意の5分ステップで開始するように患者が設定することができる。これは、
図4の例によってより明確に示されおり、図中、−50%の一時基礎レート(底部のプロット340Aに示される)が、15分と非同期的に開始されている(6日目の17時20分〜6日目の18時20分)。この結果、中間のプロット320Aの対応する網掛け15分平均321Aは、一時基礎レートの開始時間及び停止時間の近くで中間値を示している。前述と同様に、複合型ボーラスは存在しない。この例示の一連の図では、欠落したCGMデータ点が、
図3の5日目の14時20分及び
図4の6日目の22時00分にそれぞれ見られる。
【0047】
図5を参照して、全7日間のデータセットを示す。最上部の(上部)プロット500は、ここでも同様に、mg/dLを単位として測定される全7日間にわたるCGM(グルコース)データ表示を提供し、当該データは時刻にわたって所定範囲(70〜180mg/dL)上に重畳され、この範囲は水平線503によって示される。下の2つのプロット520、540は、上部プロット500と時刻の点で連携しており、中間のプロット520は、インスリン送達の15分平均(網掛けバー521)を提供し、黒い区分的水平線523は、スケジュールされた基礎送達を表す。このプロット520の上部は、図表化されたデータから離れて図示された低血糖APAE及び高血糖APAE事象525の存在を示し、上記メトリックは、送達されたインスリンの量と患者がスケジュールしたインスリンの量との間の15分平均の差異に基づく上記の活動状況に基づいて検出される。事象525は、事象525が検出された送達期間の真上に示されている。
【0048】
図6及び
図7を参照して、低血糖APAE及び高血糖APAEの例を、それぞれ、
図5のデータセットの一部分に基づいてより詳細に示す。
図6を具体的に参照すると、与えられたグラフィカル表示は
図3及び
図4のものと同様であり、最上部のプロット(上部)プロット600は、5日目(00時00分)〜5日目(04時00分)の間の4時間のスパンにわたるCGM(グルコース)データをmg/dLの単位で表わし(トレース602として示す)、中間のプロット620は、システムによって送達されたインスリン(網掛けバー621)及びスケジュールされた基礎送達(黒線623)の15分送達平均を示し、底部のプロット640は、実際の5分増分のシステム送達(縦線641)及び基礎送達(水平線643)を示す。図示のように、低血糖APAE 624が検出され、これはつまり、2つの直近の連続した15分平均(5日目の1時15分、1時20分、1時25分の3つの包括的サンプル、及び5日目の1時30分、1時35分、1時40分の3つの包括的サンプル)が、上記のX=1.5に関する条件を満たし、平均がスケジュールされたインスリン送達の67%未満であったことを意味する。より具体的には、この特定の事象において、HHMシステムは、患者がスケジュールしたインスリン量の21%を送達した(HHMによって送達された0.13U対基礎送達量として当初スケジュールされていた0.63U)。低血糖APAE 624は、2つの連続した15分平均(5日目の2時00分、2時05分、2時10分の3つの包括的サンプル、及び5日目の2時15分、2時20分、2時25分の3つの包括的サンプル)が上記条件を満たさなくなるまで継続して記録された。この可視化ツールにより、3つの15分バーが、中間のプロット620の水平黒線によって示される患者がスケジュールした基礎送達量の対応する15分平均よりも有意に(1.5倍を超えて)低いことを見て取ることができる。更に、ある他の表示データは、2つの連続した15分平均がスケジュールされたレートの1.5分の1であるという低血糖APAEの条件を満たさなかったことに留意されたい。5日目の03時00分、03時05分、及び03時10分の3回の送達では、網掛け平均は、明らかに基礎量(黒線レベル)の67%未満である。しかしながら、後続の15分間隔が必要条件を満たしていないため、記録されたAPAEは存在しない。
【0049】
図7は、同じデータセットのものであるが異なる期間にわたる、高血糖APAE事象の表示例を示す。この例において、最上部のプロット700は、ここでも同様に、2日目の5時00分から5日目の9時00分に達する時刻の期間にわたってmg/dLの単位で測定される、CGM(グルコース)データトレース702を示す。中間のプロット720は、同一期間(水平黒線723)にわたるスケジュールされたインスリン送達、並びに、15分平均で決定される、システムによって送達されたインスリン(網掛け領域721)を示す。前述の例と同様に、一番下の(下側)プロット740は、スケジュールされた基礎送達量(水平線743)、及び縦線741として表される、システムによって送達されたインスリンを含む、5分間隔の具体的な送達事象を示す。中間のプロット720に示すように、少なくとも2つの連続した15分平均(2日目の06時30分〜06時55分の6つの包括的サンプル)は、システムによって送達されたインスリンが、患者がスケジュールした送達量(一時的基礎量及び複合型/長時間型ボーラスプログラムを含むが、1回のボーラスを含まない)の対応する15分平均のY
*100%を超え、Y=1.5であり、送達量がスケジュールされた量の少なくとも150%であるという条件を満たす。より詳細には、この事象の間、HHMシステムは、この期間にわたって、患者によって当初スケジュールされていた量の206%を送達した(すなわち、HHMの2.32U(システム)対1.13U(基礎量))。先述のとおり、これ以上事象が記録されないために、少なくとも2つの連続した15分平均は、定義された条件を満たしてはいけない。言及したように、この可視化ツールにより、3つの15分の網掛けバー721が、患者がスケジュールした基礎量の対応する15分平均よりも有意に高いことを、中間のプロット720において見て取ることができる。先の説明から分かるように、患者のグルコースレベルが依然として十分に許容可能な目標範囲内にある間に、活動事象(APAE)を検出することができる。
【0050】
図7はまた、この連続性条件を満たさなかった「将来の高血糖APAE」の例を明瞭に示している。2日目の08時30分、08時35分、08時40分における3回の送達は、中間のプロット720の網掛けバー721で示されるように、基礎量(黒線723)レベルの150%超である平均を明確に生成する。しかしながら、後続の15分間隔は条件を満たさないので、高血糖APAEは記録されない。
【0051】
図8〜
図14を参照すると、上で定義されたメトリック(すなわち、低血糖APAE及び高血糖APAE)に基づく可視化ツールを使用した更なるグラフィカル表示が提供される。
図8は、24時間周期(午前0時〜午前0時)にわたって収集したインスリンデータの表示を提供する。図中、最上部の(上部)プロット800は、トレース804によって表されたCGMデータを示すが、データの一部は特定のデータ点に基づいて図示されており、平滑化された曲線状の出力になっていない。下限値である70mg/dL及び上限値である180mg/dLを含む目標範囲は、中央の網掛け部分808に示され、下限及び上限(警戒)閾値は、それぞれ、50mg/dL及び250mg/dLの位置に水平破線812によって表示されている。この表示では、食事などの炭水化物事象及び皮下注射治療(システムのユーザーによってタグ付けされる)は、定義されたタイムライン(x軸)に沿った三角マーク816によって示される。下側(底部)のプロット840は、同じ24時間タイムラインにわたってCGMデータと連携したインスリン送達を示し、図中、網掛けバー844は、システムによって送達されたインスリンの15分平均(3つの5分のサンプリング間隔から得た)を示す。底部のプロット840の水平黒線848は、スケジュールされた基礎レートを表し、各縦線852は1回のボーラスを示し、それぞれがグルコースの単位(「U」)で測定される。
【0052】
図9〜
図11は、CGM変動及び活動事象に関する統計を得るための様々な特徴を示している。
図9によると、CGMデータの一部(矢印851)は、網掛け上限値である180mg/dLを超えていることが分かる。可視化ツールは、限界を超えたCGMデータ部分の上にカーソルを合わせることによって(あるいはその領域をクリックすることによって)、表示されたプロット800に重畳された統計ボックス850を提供するように構成されている。統計ボックス850は、変動の持続時間、変動の時間の範囲、並びにグルコースの最大レベル、及び対応するタイムスタンプのスナップショットサマリーを提供する。
【0053】
図10を参照すると、グラフィカル表示の一部(矢印853参照)は、下限値である70mg/dL(上部プロット800の中央網掛け区域808の下)を明らかに下回っている。この場合、可視化ツールは、限界を下回るCGMデータ部分853の上にカーソルを合わせることによって(あるいはその領域をクリックすることによって)、表示されたプロット800に重畳された統計ボックス854を同様に提供する。このバージョンによる統計ボックス854は、変動の持続時間、変動の時間の範囲、並びにグルコースの最小レベル、及び対応するタイムスタンプのスナップショットサマリーを提供する。
【0054】
同様に、同じ上部プロット800及び底部プロット840を別様に含む
図11を参照すると、上部プロット800上の炭水化物摂取856(例えば、18時00分)の上にカーソルを合わせて、摂取時刻並びに摂取した炭水化物の量を含む統計ボックス855を表示させることができる。統計ボックス850、854、855のそれぞれは、色分けなどによって、視認性を改善する方法で提供することができる。表示される各データも同様に、視覚化ツールに取り込まれた他のデータからの任意のデータを好適に対比させるために、色及び濃淡を付けて提供されてもよいことに留意されたい。
【0055】
図12〜
図14を参照して、
図8〜
図11でグラフィカル表示されたデータセットに関連した更なる拡張を、上述のAPAEメトリック(低血糖及び高血糖APAE)に基づいて本明細書に説明する。
図12に示すように、検出されたAPAEは、水平網掛け領域920、924内に提供され、これら水平網掛け領域920、924は、好ましくは、低血糖APAEが検出されたのか、又は高血糖APAEが検出されたのかに応じて色分けされ、かつ、上述したように定義された条件を満たす2つの連続した15分平均に基づいて記録されて、上部及び底部のプロット800、840のそれぞれに示される。
【0056】
図13及び
図14を参照すると、可視化及び解析ツールによって、ユーザーは、検出されたAPAEに関する追加の統計情報を得ることができる。1つのバージョンによれば、
図13を参照すると、カーソル(矢印939参照)を、底部(インスリン送達)プロット840に示されるように、検出及び記録された高血糖APAEの上に合わせることができ、又は代替え方法として、その網掛け領域920をクリックすることによって、この事象に関する統計ボックス940を、好ましくは対比色でディスプレイ上に重畳させる。このバージョンによる統計ボックスは、高血糖APAE事象の持続時間並びにその発生時刻、その期間にわたるスケジュールされた平均基礎レート、及びその期間にわたる平均システム送達速度を含む。同様に
図14に示すように、カーソル(矢印943参照)を低血糖APAE(底部のプロット840の網掛け区域920)の上に合わせ、好ましくは高血糖APAEの対比色と異なる対比色で統計ボックス944を表示させることによって、任意の網掛けされた低血糖APAEの更なる詳細を与えることができる。この場合、統計ボックスは、低血糖APAEの持続時間並びにその発生時刻、その期間にわたるスケジュールされた平均基礎レート、及びその期間にわたる平均システム送達速度を含む。先述のとおり、低血糖又は高血糖APAEの発現は、患者のインスリンが依然として中央の網掛け領域内に示された許容可能な範囲内にあることをCGMデータが示している間に発生する場合がある。例えば、検出される低血糖APAEの発現の前兆となる11時00分に測定されたCGMデータは、依然として十分に許容可能な70〜180mg/dLの範囲内である。上記視覚化は、送達(例えば、HHM)システムに対する信用及び信頼を介護者及びユーザーに与える。
【0057】
システムのインスリン調節作用及びAPAEメトリックの使用により、システムの動作の有意義な解析が可能となる。しかしながら、生成され得る情報量は圧倒的となり得る。この情報をより効果的に使用するために、
図15及び
図16を参照すると、可視化及び分析ツールは、長期間(例えば、2週間)又は患者若しくは医療関係者によって選択される任意の他の期間にわたって送達システムの能力を評価する、ランドスケーププロットを作成することができる。このツールは、時刻と連携しているシステムの動作を長期間全体にわたってレビューすることを可能にし、それによって、患者及び医療関係者が、基礎レート又は炭水化物摂取などの患者のポンプ設定を微調整して、グルコース制御を更に改善するのを助ける。
図15は、単一の1つ(1日)のフォーマットに圧縮された、患者から得た2週間のデータに基づく例示的なランドスケーププロット1100を詳細に示す。一対のプロット1120、1160が提供される。最上部の(上部)プロット1120は、mg/dLの単位で測定されるグルコースが2週間のデータにわたって時刻に対してプロットされた平均CGMデータトレース1124を示す。プロット1120の上軸は、ステップ数で表された時間を表し(1時間当たり12ステップ、1ステップはそれぞれ5分)、平均CGMは暗い曲線1124で表され、平均CGMを追尾する網掛け部分1128は、統計的に有意な範囲(すなわち、1つの標準偏差)を表し、目標範囲(70mg/dL〜180mg/dL)は、例えば、異なる色、陰影等を用いて、対比するやり方で更に示されている。この特定の例では、目標範囲も網掛け領域1132として示される。
【0058】
一番下の(下側)プロット1160は、上側プロット1120と連携しており、同じ2週間にわたって発生した低血糖APAE及び高血糖APAE(事象)の数(回数)を図示する。この特定例の目的のため、プロットの上(正)側に高血糖APAE 1164が示され、底(負)側に低血糖APAE 1168が示され、それぞれ網掛け領域で示されている。プロット1160は合計14日間を含んでいるので、時刻に対する活動事象1164、1168の最大数も14である。
【0059】
図16は、患者及び医療関係者が傾向を容易に詳細に見る及び識別することができる、長期間(14日)にわたって取得した別のデータセットによるランドスケーププロットを示す。従来例のように、一対のプロット1220及び1260が与えられ、上部プロット1220は、トレース1224、及び統計的に有意な範囲(すなわち、1つの標準偏差)を示す網掛け部分1228によって表される長期間にわたる平均CGM(センサ)データを提供する。プロットは目標範囲を更に定義し、目標範囲も網掛け部分1232として示される。底部のプロット1260は、同じ期間にわたって連携される低血糖APAE及び高血糖APAEの回数を示し、高血糖APAEは網掛け領域1264として示され、低血糖APAEは網掛け領域1268として示されている。活動事象(例えば、APAE)メトリックを使用することにより、送達システムの有効性に関する大量の情報を一度に見ることができ、患者が糖尿病治療をより良好に管理することができる。例えば、
図15の底部のプロット1160によれば、22時00分から23時00分の間に10を超える低血糖APAEが一貫して認められるので、患者の全体的血糖状態を改善するために、その期間中の基礎レートを調整することもあり得たという結論に至る。
【0060】
提示される情報のフォーマットは適宜変更することができる。例えば、
図17〜
図20に示すように、ツールは、センサデータ、インスリン送達データ、及び検出された活動事象(APAE)を含むシステム関連データを、医師、医療提供者、又は患者がツールにアクセスするときに選択することができる選択された所定の時間枠(例えば、1日、過去3日間、過去7日間、過去14日間、前月、又はカスタマイズされた範囲)を網羅する表形式で表示することができる。
【0061】
例えば、表形式データは、患者のグルコースレベルが許容可能な範囲内(例えば、70〜180mg/dL)にある時間の割合、並びにその期間にわたる平均グルコースレベルを表示して、全体的な制御を提示することができる。加えて、患者の状態が、低血糖であるのか(すなわち、例えば、グルコースレベルが50mg/dL未満、60mg/dL未満、又は70mg/dL未満であった時間の割合)、又は高血糖であるのか(すなわち、例えば、グルコースレベルが180mg/dL超、250mg/dL超、又は300mg/dLであった時間の割合)に関するデータを、表形式で提示することができる。このデータを有するサンプルテーブルを
図17に示す。更に、このデータは、インスリンの平均総1日用量(total daily dose、TDD)、並びに指定された期間(例えば、1日)の基礎量/ボーラス比として更に提示されることができる。上述の表の例を
図18に示す。
【0062】
提示されたデータは、特定の期間中に発生した活動事象(すなわち、上述したように、低血糖又は高血糖のいずれかのAPAE)の数を更に含むことができる。表形式データは、活動事象に関するより詳細なデータ、例えば、発生した活動事象の時間の長さ、事象中に控えた(低血糖APAE)又は送達した(高血糖APAE)基礎インスリンの総量、センサ(CGM)が決定した底値(低血糖APAE)又はピーク(高血糖APAE)、活動事象の開始時及び活動事象の終了時にセンサが決定した値、及び他の患者データなどを、更に含むことができる。この後者データを含むサンプルテーブルは、低血糖関連活動事象に関しては
図19に、及び高血糖関連活動事象に関しては
図20に示されており、各事象は、プロトコルに従って、並びに周期的インスリン送達(例えば、5分、1時間当たり12回送達)及びCGMモニタリングに基づいて、それぞれ決定される。
【0063】
本明細書に述べてきた、また、以下の請求項に記載される、本発明の範囲内で、他の変更及び修正が可能であることは、容易に明らかであろう。