【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、遠位端部分に取り外し可能なように結合されたマウスピース部分を含む、ニコチン粒子を提供するために適切な吸入器システムを目的とする。マウスピース部分は、カプセル空洞と、マウスピース端からカプセル空洞に延びるマウスピース空気チャネルとを含む。遠位端部分は、遠位端部分に結合された貫通要素と、マウスピース部分が遠位端部分に結合されている時にカプセル空洞を密封するように構成された再び封じることができる膜とを含む。再び封じることができる膜は、貫通要素が再び封じることができる膜の外に動く時に再び封じるように構成されている。
【0005】
ニコチン粒子を提供するために適切な吸入器システムは、マウスピース端から遠位端に延びる吸入器本体を含んでもよく、また遠位端部分に取り外し可能なように結合されたマウスピース部分を含んでもよい。マウスピース部分はマウスピース端と第一の嵌合端との間に延びる。遠位端部分は第二の嵌合端と遠位端の間に延びる。マウスピース部分は、第一の嵌合端の中に画定されたカプセル空洞と、マウスピース端からカプセル空洞に延びるマウスピース空気チャネルとを含む。遠位端部分は、遠位端部分に結合された貫通要素と、マウスピース端が遠位端に結合されている時に第一の嵌合端でカプセル空洞を密封している再び封じることができる膜とを含む。貫通要素は緩和位置と貫通位置の間を動くように構成されている。貫通位置において、貫通要素はカプセル空洞の中に延びる。再び封じることができる膜は、貫通要素が貫通位置から緩和位置に動く時に再び封じるように構成されている。
【0006】
容器はカプセル空洞の中に配置されてもよいことが好ましい。容器は吸入器の交換可能な物品である。容器は、ニコチンを含む粒子を包含してもよいカプセルを収容する。容器は、容器の第一の端で膜で密封されてもよく、また反対側の容器の第二の端で空気出口を画定してもよい。容器は空気吸込み口を含んでもよい。吸入器システムを通した気流管理は、カプセルを回転させてニコチン粒子を(貫通したら)気流の中へと放出してもよい。
【0007】
再び封じることができる膜は、容器の第一の端に接触することが好ましい。再び封じることができる膜は、マウスピース部分が遠位端部分に結合されている時に容器の第一の端で膜に接触してもよい。再び封じることができる膜は、容器の第一の端で膜を通した、容器の第一の端の中への気流を防止する場合がある。
【0008】
容器およびカプセル物品は、複数回使用ニコチン吸入器システムのモジュール式の構成要素であってもよい。物品は、複数回使用吸入器の中で簡単に交換可能であってもよい。消費されると、物品は複数回使用吸入器から取り外され、処分されてもよい。
【0009】
有利なことに、本明細書に記載の吸入器システムは、カプセルを収容する消耗品の容器と組み合わせられた時に、再使用可能なモジュール式の構成要素の手法を提供する。再び封じることができる膜は、吸入器システムを通じる気流経路が空気吸込み口から始まってマウスピース空気チャネルを通って出ることを確実にする。この気流管理は、吸入中および消費中にカプセルが回転しうることを確実にする。この回転は、吸入器システムを通じて移動する吸入空気中でニコチン粒子を懸濁化およびエアロゾル化してもよい。ニコチン粒子は従来の喫煙方法の吸入量または気流量の範囲内の吸入量または気流量で、吸入器で送達されてもよい。
【0010】
「ニコチン」という用語は、ニコチンおよびニコチン誘導体(遊離塩基ニコチン、ニコチン塩、ならびにこれに類するものなど)を意味する。
【0011】
「風味剤」または「風味」という用語は、その消費中または吸入中にニコチンの味覚特性または芳香特性を変化させる、また変化させるよう意図される、感覚刺激性の化合物、組成物、または材料を意味する。「風味剤」または「風味」という用語は、風味抽出物製造業組合(FEMA)の風味成分ライブラリに開示された化合物、および特にGRAS風味付け物質に関する出版物3〜27(例えば、Hall,R.L.& Oser,B.L.,Food Technology,February 1965 pg 151−197)、GRAS風味付け物質27(S.M.Cohen et al.,Food Technology Aug.2015 pg.40−59)、および介在するGRAS風味付け物質に関する出版物4〜26に開示された化合物を意味することが好ましい。本開示の目的において、ニコチンは風味剤または風味としては考えられない。
【0012】
本明細書で述べる粒子のサイズは、粒子の空気動力学的粒子径を意味することが好ましい。空気動力学的粒子径は、カスケードインパクターで測定することが好ましい。
【0013】
本明細書に記載の吸入器システムは、ニコチン粒子を消費者に送達するために、一つ以上のモジュール式のニコチン粒子送達消耗品と組み合わせられてもよい。複数のこれらのモジュール式のニコチン粒子送達消耗品(異なる製剤または風味のものと同様)は吸入器システムと組み合わせられてキットを形成してもよい。
【0014】
吸入器システムは、遠位端部分に取り外し可能なように結合されたマウスピース部分を含む。マウスピース部分は、カプセル空洞と、マウスピース端からカプセル空洞に延びるマウスピース空気チャネルとを含む。遠位端部分は、遠位端部分に結合された貫通要素と、マウスピース部分が遠位端部分に結合されている時にカプセル空洞を密封するように構成された再び封じることができる膜とを含む。再び封じることができる膜は、貫通要素が再び封じることができる膜の外に動く時に再び封じるように構成されている。
【0015】
吸入器システムは、マウスピース部分と遠位端部分の間に延びる吸入器本体を含む。吸入器容器空洞またはカプセル空洞は、マウスピース部分と遠位端部分の間の吸入器本体の中に画定されてもよい。モジュール式のニコチン粒子送達消耗品または容器物品(ニコチンを含む粒子を包含するカプセルを収容する容器)は、吸入器容器空洞と嵌合する外表面を画定してもよい。消費者は、モジュール式の容器物品を吸入器容器空洞の中へと挿入するために、または枯渇したモジュール式の容器物品を満杯または未使用のモジュール式の容器物品で吸入器容器空洞の中へと置き換えるために、吸入器容器空洞にアクセスしてもよい。空気吸込み口は、吸入器本体を通して、吸入器容器空洞の中へと延びてもよい。マウスピース空気チャネルは、吸入器容器空洞と、マウスピースの近位端とに流体接続している。吸入器本体は、サイズおよび形状が喫煙物品または紙巻たばこに似ていてもよい。
【0016】
一部の実施形態において、カプセルだけがカプセル空洞の中へと挿入される。消費者は、カプセル消耗品を吸入器カプセル空洞の中へと挿入するために、またはカプセル消耗品を満杯または未使用のカプセル消耗品で吸入器カプセル空洞の中へと置き換えるために、吸入器カプセル空洞にアクセスしてもよい。
【0017】
吸入器本体を通して延びる空気吸込み口(複数可)は、吸入器容器空洞の中へと定置された容器物品の側壁を通して延びる空気吸込み口(複数可)と嵌合または整列されてもよい。容器の第二の端を通して延びるモジュール式の容器物品の空気出口は、吸入器本体のマウスピース空気チャネルと嵌合または整列してもよい。モジュール式の容器物品が吸入器容器空洞の中へと定置されると、空気は空気吸込み口から空洞を通って、空気出口を通ってマウスピース空気チャネルへと、モジュール式の容器物品を通じて流れてもよい。
【0018】
再び封じることができる膜は遠位端に固定されてもよく、また遠位部分の第二の嵌合端の部分を形成してもよい。再び封じることができる膜は貫通要素をカプセル空洞から分離してもよい。再び封じることができる膜は、マウスピース部分が遠位部分に結合されている時に容器物品に接触してもよい。再び封じることができる膜は容器物品を吸入器容器空洞の中に固定してもよい。再び封じることができる膜は容器の膜と接触してもよい。貫通要素は、容器物品の中に収容されたカプセルを貫通する時に、再び封じることができる膜と容器の膜との両方を貫通してもよい。貫通要素が、再び封じることができる膜から間隙を介して、その緩和位置に戻るように、かつ再び封じることができる膜の外に動く時に、再び封じることができる膜は再び封じ、かつ貫通要素によって容器の膜の中に作り出された空間を通して空気が容器物品の中へと通るのを防止してもよい。再び封じることができる膜は気密密封を提供することが好ましい。再び封じることができる膜は、貫通要素によって貫通された後に、気密密封を提供してもよい。再び封じることができる膜は、貫通要素によって貫通されている間に、気密密封を提供してもよい。
【0019】
遠位部分は貫通要素に結合されている。遠位部分は貫通要素の部分を包囲してもよい。貫通要素は、貫通(起動した)位置と緩和位置の間で長軸方向軸に沿って動いてもよい。付勢要素は貫通要素を緩和位置に維持してもよい。付勢要素は、ばね部材であってもよい。貫通要素が貫通位置へと押された時に、付勢要素は圧縮される場合がある。貫通要素を開放することは、付勢要素が貫通要素を緩和位置に戻るように強制することを可能にする。
【0020】
貫通要素は、再び封じることができる膜と、容器物品またはカプセル空洞の中に収容されたカプセルとを貫通する能力を有する剛直な要素であってもよい。貫通要素は針などの金属要素であってもよい。
【0021】
再び封じることができる膜は容器の膜に接触し、かつ貫通要素によって容器の膜の中に作り出された空間を効果的に密封する場合がある。こうして吸入器システムを通る気流は容器の貫通された膜を通過できない場合がある。
【0022】
再び封じることができる膜は、針などの貫通要素によって作り出された再び封じることができる膜の中に作り出された空間を閉じるように構成されている。再び封じることができる膜は、複数回(少なくとも約3回、または少なくとも約5回、または少なくとも約10回、または少なくとも約20回)貫通されて空間を密封または閉じてもよい。空間は、再び封じることができる膜の厚さを通して作り出される。再び封じることができる膜の厚さは、約0.1〜約5ミリメートルの範囲、または約0.5〜約2ミリメートルの範囲であってもよい。再び封じることができる膜は、任意の弾力性のある材料で形成されてもよい。再び封じることができる膜はセプタム様の要素を含んでもよい。再び封じることができる膜は、ゴム、シリコーン、ポリマーで共積層化された金属箔、またはラテックス、およびこれに類するものなどの弾性材料で形成されてもよい。
【0023】
吸入器システムは、遠位端部分に取り外し可能なように結合されたマウスピース部分を含む。マウスピース部分は、遠位部分の第二の嵌合端に適合または嵌合する第一の嵌合端を有する。第一の嵌合端は第二の嵌合端に結合する。第一の嵌合部分は第二の嵌合端にスナップ嵌めしてもよい。第一の嵌合部分は、第二の嵌合端上に螺着、または第二の嵌合端とネジ係合してもよい。第一の嵌合部分は、第二の嵌合端との気密適合または気密接続を形成してもよい。
【0024】
モジュール式の容器物品は、マウスピース部分の第一の嵌合端の中に画定された吸入器容器空洞またはカプセル空洞の中に交換可能に配置されるように構成されてもよい。モジュール式の容器物品は空洞を画定する容器を含む。カプセルは空洞の中に配置されている。容器はカプセルを空洞の中に収容するように構成されている。空洞は空洞長さの少なくとも一部分に沿って延びる円形断面を有する。空洞は中央軸または質量中心長軸方向軸を有してもよい。空洞はカプセルの形状に類似する形状を有することが好ましい。空洞は円形断面形状および第一の直径を有してもよく、またカプセルは第一の直径より小さい第二の直径を有してもよい。第二の直径は第一の直径の約80%〜約99%の範囲であってもよく、または第二の直径は第一の直径の約90%〜約98%の範囲であってもよい。
【0025】
容器はカプセルを収容するように構成された容器の第二の端を含み、カプセルが容器の第二の端を通過するのを防止する。容器の第二の端は、容器の本体と一体型の横壁によって画定されてもよい。容器の第二の端は、容器の本体に固定された端キャップによって画定されてもよい。一つ以上の空気出口は、空気が物品空洞から容器の外部に流れることを可能にするように容器の第二の端を通して延びてもよい。
【0026】
膜は容器の第一の端を密封してもよい。カプセルは、開放している第一の端を通して容器の空洞の中へと定置されてもよく、その後、カプセルを物品の空洞の中に保持するために、膜は開放している第一の端を密封してもよい。膜は気密密封またはバリアを形成してもよい。
【0027】
膜は貫通可能な材料で形成されてもよい。吸入器システムの貫通要素は膜を通過し、容器の中のカプセルを穿孔する。貫通要素が膜から引っ込むと、膜は再密封されてもよい。別の方法として、貫通要素が膜から引っ込んでも膜が再密封されない場合があり、本明細書に記載の再び封じることができる材料で形成されていない場合がある。再密封されない場合がある膜には例えば、金属箔がある。
【0028】
空気吸込み口は容器本体を通して、かつ空洞の中へと延びてもよい。吸入器本体を通る空気吸込み口は、容器本体を通して延びる空気吸込み口と整列または空気連通してもよい。空気吸込み口は、吸入器本体マウスピース部分と遠位部分のうちの一方または両方に配置されてもよい。これらの空気吸込み口は、第一の嵌合端または第二の嵌合端の一部と隣接しているか、それらを形成することが好ましい。吸入器本体マウスピース部分と遠位部分の両方の上にある空気吸込み口は、マウスピース部分が遠位部分に結合されている時に整列してもよい。
【0029】
空洞の長さは、約15mm〜約25mm、または約20mm〜約24mmの範囲であってもよい。空洞の内径は、約5mm〜約10mm、または約6mm〜約8mmの範囲であってもよい。サイズ3のカプセルをぴったりと収容する時に、空洞の長さは約20mmであって、空洞の内径は約6.6mmであってもよい。サイズ1のカプセルをぴったりと収容する時に、空洞の長さは約24mmであって、空洞の内径は約7.7mmであってもよい。
【0030】
空気吸込み口は、容器の第二の端よりも容器の第一の端に近くてもよい。空気吸込み口は、容器の第一の端から約5mm以内、または約4mm以内、または約3mm以内、または約2mm以内に位置してもよい。空気吸込み口は、容器の第一の端から約1mm〜約5mm、または容器の第一の端から約2mm〜約4mmに位置してもよい。
【0031】
空気吸込み口は、容器空洞の質量中心長軸方向(中央)軸、または空洞の中に収容されたカプセルの質量中心長軸方向(中央)軸からずれていてもよい。ずれている空気吸込み口は、消費者による吸入中に容器物品内で、カプセルの回転またはスピンを誘発する。空気吸込み口は、空洞の内径が約5mm〜約10mmまたは約6mm〜約8mmである場合、カプセルまたは容器空洞の長軸方向(中央)軸から、約1mmまたは約2mmまたは約3mmまたは約4mmずれていてもよい。一つ以上の空気吸込み口の直径は、約0.5〜1.5mm、または約0.7〜約0.9mmであってもよい。空気吸込み口は、容器物品の中に収容されたカプセルの外径の接線方向に空気を向けることが好ましい。
【0032】
容器物品容器は、その中心軸に沿って(ある長さの距離だけ)延び、かつ円筒状の容器を形成する、円形断面形状を有することが好ましい。容器は、ある半径と、中心軸に沿って延びる長さとを有する直円筒を画定することが好ましい。空気吸込み口は、円筒状の容器に対して接線方向に容器に入ってもよい。二つ以上の空気吸込み口が、円筒状の容器に対して接線方向に容器空洞に入る。これらの空気吸込み口は相互に反対向きであり、第一の空気吸込み口は第一の方向で円筒状の容器に対して接線方向に空気を向け、かつ第二の空気吸込み口は、第一の方向と対向するまたは反対方向である、第二の方向で円筒状の容器に対して接線方向に空気を向けることが好ましい。これらの対向する空気吸込み口は、容器の中に収容されたカプセルの反対側に吸入空気を向け、容器の中に収容されたカプセルの回転を促進してもよい。
【0033】
カプセルは、消費または吸入器システムの中への定置の前に容器物品の中に密封されてもよい。容器物品は、密封されたまたは気密の容器もしくは袋の中に収容されてもよい。容器物品は、容器物品上の一つ以上の空気吸込み口または一つ以上の空気出口を覆う一つ以上の剥離可能な密封層を含んでもよい。空気出口密封層が、空気出口上に配置されてもよい。この密封層は、空気出口を暴露するために穿孔されるように、または剥離可能となるように構成されてもよい。空気吸込み口密封層が、空気吸込み口の上に配置されてもよい。この密封層は、空気吸込み口を暴露するために穿孔されるように、または剥離可能となるように構成されてもよい。吸入器システムは、容器物品を吸入器容器空洞の中へ挿入すると、または吸入器を起動すると、これらの密封層のうちの一方または両方を穿孔するように構成された空気吸込み口貫通要素または空気出口貫通要素を含んでもよい。
【0034】
空気が吸入器システムを通って(空気吸込み口から容器を通って空気出口に)流れる時に、カプセルは、その長軸方向軸または中央軸を中心として回転するように構成されてもよい。カプセルは、吸入器システムの貫通要素によって貫通または穿孔されてもよい気密材料で形成されてもよい。カプセルは金属材料または高分子材料で形成されてもよく、この材料は汚染物質をカプセルに入れないように機能するが、カプセルの中のニコチン粒子の消費の前に貫通要素によって貫通または穿孔される場合がある。カプセルはポリマー材料で形成されることが好ましい。ポリマー材料はヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)であってもよい。カプセルはサイズ1〜サイズ4のカプセル、またはサイズ3のカプセルであることが好ましい。
【0035】
カプセルは、固体ニコチン粒子(「ニコチン粉末」または「ニコチンを含む粒子」とも呼ばれる)および随意の風味粒子を包含する。カプセルは所定の量のニコチン粒子および随意の風味粒子を包含してもよい。カプセルは、少なくとも2回の吸入もしくは「吸煙」、または少なくとも約5回の吸入もしくは「吸煙」、または少なくとも約10回の吸入もしくは「吸煙」を提供するのに十分なニコチン粒子を包含してもよい。カプセルは、約5〜50回の吸入もしくは「吸煙」、または約10〜30回の吸入または「吸煙」を提供するのに十分なニコチン粒子を包含しうることが好ましい。各々の吸入または「吸煙」は、約0.1mg〜約3mgのニコチン粒子をユーザーの肺に、または約0.2mg〜約2mgのニコチン粒子をユーザーの肺に、または約1mgのニコチン粒子をユーザーの肺に送達する場合がある。
【0036】
ニコチン粒子は、採用される特定の製剤に基づいてニコチンの任意の有用な濃度を有してもよい。ニコチン粒子は、少なくとも約5重量%〜最高約30重量%、または約5重量%〜約25重量%、または約5重量%〜約20重量%、または約5重量%〜約15重量%、または約7重量%〜約13重量%のニコチンを有してもよい。毎回の「吸煙」で、約50〜約150マイクログラムのニコチンがユーザーの肺に送達されることが好ましい。
【0037】
カプセルは、少なくとも約5mgのニコチン粒子、または少なくとも約10mgのニコチン粒子を保持または包含してもよい。カプセルは約900mg未満のニコチン粒子、または約300mg未満のニコチン粒子、または150mg未満のニコチン粒子を保持または包含することが好ましい。カプセルは、約5mg〜約300mgのニコチン粒子、または約10mg〜約200mgのニコチン粒子を保持または包含してもよい。
【0038】
カプセルの中で風味粒子がニコチン粒子とブレンドまたは組み合わせられた時、ユーザーに送達される各々の吸入または「吸煙」毎に望ましい風味を提供する量の風味粒子が存在する。
【0039】
ニコチン粒子は、優先的にユーザーの肺の中へと吸入送達するために有用な任意のサイズ分布を有してもよい。カプセルはニコチン粒子以外の粒子を含んでもよい。ニコチン粒子およびその他の粒子は粉末システムを形成する。
【0040】
カプセルは、少なくとも約5mgの粉末システム、または少なくとも約10mgの粉末システムを保持または包含してもよい。カプセルは、約900mg未満の粉末システム、または約300mg未満の粉末システム、または約150mg未満の粉末システムを保持または包含することが好ましい。カプセルは、約5mg〜約300mgの粉末システム、または約10mg〜約200mgの粉末システムを保持または包含してもよい。
【0041】
粉末システムは、粒子サイズが約10マイクロメートル以下、または約5マイクロメートル以下、または約1マイクロメートル〜約3マイクロメートルの範囲であるニコチン粒子から成る粉末システムの少なくとも約40重量%、または少なくとも約60重量%、または少なくとも約80重量%を有してもよい。
【0042】
粉末システム中またはニコチン粒子中のニコチンは、医薬的に許容される遊離塩基ニコチン、またはニコチン塩もしくはニコチン塩水和物であることが好ましい。有用なニコチン塩またはニコチン塩水和物には例えば、ピルビン酸ニコチン、クエン酸ニコチン、アスパラギン酸ニコチン、乳酸ニコチン、重酒石酸ニコチン、サリチル酸ニコチン、フマル酸ニコチン、モノ−ピルビン酸ニコチン、グルタミン酸ニコチン、またはニコチン塩酸塩が挙げられる。ニコチンと結合して塩または塩水和物を形成する化合物は、その予想される薬理学的効果に基づいて選ばれてもよい。
【0043】
ニコチン粒子はアミノ酸を含むことが好ましい。アミノ酸はL−ロイシンなどのロイシンであることが好ましい。ニコチンを含む粒子にL−ロイシンなどのアミノ酸を提供することは、ニコチンを含む粒子の接着力を低減する場合があり、またニコチン粒子間の引力を低減し、従ってニコチン粒子の凝集を低減する場合がある。
【0044】
同様に、風味を含む粒子に対する接着力も低減し、従ってニコチン粒子の風味粒子との凝集も低減する。従って、本明細書に記載の粉末システムは自由流動材料であってもよく、またニコチン粒子と風味粒子が組み合わせられる時でも、各々の粉末構成成分の安定した相対的な粒子サイズを有する場合がある。
【0045】
粉末システムは風味粒子を含んでもよい。風味粒子は、選択的にユーザーの口または口腔に吸入送達するために有用な任意のサイズ分布を有してもよい。
【0046】
粉末システムは、約20マイクロメートル以上の粒子サイズの粒子から成る粉末システムの風味の少なくとも約40重量%、または少なくとも約60重量%、または少なくとも約80重量%を有してもよい。粉末システムは、約50マイクロメートル以上の粒子サイズの粒子から成る粉末システムの風味の少なくとも約40重量%、または少なくとも約60重量%、または少なくとも約80重量%を有してもよい。粉末システムは、約50マイクロメートル〜約150マイクロメートルの範囲内の粒子サイズの粒子から成る粉末システムの風味の少なくとも約40重量%、または少なくとも約60重量%、または少なくとも約80重量%を有してもよい。
【0047】
風味剤または風味は、固体の風味として(約22℃の室温および1気圧で)提供されてもよく、風味製剤、風味含有材料および風味前駆体を含んでもよい。風味剤は、一つ以上の天然風味剤、一つ以上の合成風味剤、または天然風味剤と合成風味剤との組み合わせを含んでもよい。本明細書に記載の風味剤は、ニコチン構成要素の味覚特性または芳香特性をその消費中または吸入中に変化させるために、または変化させることを意図するために選択および利用される感覚刺激性の化合物、組成物、または材料である。
【0048】
風味剤または風味は、天然起源または合成起源のさまざまな風味材料を指す。これらには、単一の化合物および混合物が含まれる。風味または風味剤は、消費中のニコチン構成要素の体験を高める風味特性を有することが好ましい。風味は、可燃性喫煙物品の喫煙の結果から得られるものと類似する体験を提供するように選択されることが好ましい。例えば、風味または風味剤は、口充足感および複雑さなどの風味特性を高める場合がある。複雑さは、単一の感覚属性が支配的になることなく、より豊かな風味の全体的なバランスが取れていることとして、一般的に知られている。口充足感は、消費者の口および喉の中での豊かさと量の知覚として説明される。
【0049】
適切な風味には例えば、たばこ、煙、メントール、ミント(ペパーミントおよびスペアミントなど)、チョコレート、甘草、柑橘類およびその他の果実風味、ガンマ八量体、バニリン、エチルバニリン、口臭消臭風味、スパイス風味(シナモンなど)、サルチル酸メチル、リナロール、ベルガモット油、ゼラニウム油、レモン油、およびジンジャー油、およびこれに類するものなどの任意の天然風味または合成風味が含まれるが、これらに限定されない。
【0050】
その他の適切な風味には、酸、アルコール、エステル、アルデヒド、ケトン、ピラジン、これらの組み合わせまたはブレンド、およびこれに類するものから成る群から選択される風味化合物が含まれてもよい。適切な風味化合物は例えば、フェニル酢酸、ソラノン、メガスチグマトリエノン、2−ヘプタノン、ベンジルアルコール、cis−3−ヘキセニルアセタート、吉草酸、吉草酸アルデヒド、エステル、テルペン、セスキテルペン、ノートカトン、マルトール、ダマセノン、ピラジン、ラクトン、アネトール、iso−s吉草酸、その組み合わせ、およびこれに類するものから成る群から選択されてもよい。
【0051】
風味のさらなる特定の実施例は、現在の文献から見いだされる場合があり、また風味付け、すなわち、臭いまたは味覚を製品に付与する当業者に周知である。
【0052】
風味剤は力価の高い風味剤であってもよく、吸入気流内で結果的に200百万分率未満となるレベルで使用・検出される場合がある。こうした風味剤の例は、β−ダマセノン、2−エチル−3,5−ジメチルピラジン、フェニルアセトアルデヒド、グアイアコール、およびフラネオールなどの主なたばこ芳香化合物である。その他の風味剤は、より高い濃度レベルで人間によってのみ感知されうる。本明細書で力価がより低い風味剤と呼ばれるこれらの風味剤は一般に、吸入空気内に放出される風味剤が結果的に、桁違いに多い量のレベルで使用される。力価のより低い適切な風味剤には例えば、天然メントールまたは合成メントール、ペパーミント、スペアミント、コーヒー、茶、スパイス(シナモン、クローブ、およびショウガなど)、ココア、バニラ、果実風味、チョコレート、ユーカリ、ゼラニウム、オイゲノール、およびリナロールが含まれるが、これらに限定されない。
【0053】
風味を含む粒子は、接着力または表面エネルギーおよび結果としてもたらされる凝集を低減する化合物を含んでもよい。風味粒子は接着力低減化合物を用いて表面修飾されて、被覆された風味粒子を形成してもよい。一つの好ましい接着力低減化合物は、ステアリン酸マグネシウムである。ステアリン酸マグネシウムなどの接着力低減化合物を風味粒子に提供すること、特に風味粒子を被覆することは、風味を含む粒子の接着力を低減し、また風味粒子の間の引力を低減する場合があり、従って風味粒子の凝集を低減する場合がある。ひいては、ニコチン粒子を有する風味粒子の凝集も低減する。従って、本明細書に記述される粉末システムは、ニコチン粒子と風味粒子が組み合わせられる時でも、ニコチンを含む粒子と風味を含む粒子の安定した相対的な粒子サイズを有してもよい。粉末システムは自由流動であることが好ましい。
【0054】
乾燥粉末吸入用の従来的な製剤は一般に、活性粒子が吸入器を通る単純な気流による影響を受けるには小さすぎる場合があるため、活性粒子の流動化を増大するように機能する担体粒子を含有する。粉末システムは担体粒子を含んでもよい。これらの担体粒子は、粒子サイズが約50マイクロメートルより大きい、ラクトースまたはマンニトールなどのサッカリドであってもよい。担体粒子は製剤中で希釈剤または膨化剤として作用することによって、用量の均一性を改善するために利用されうる。
【0055】
本明細書に記載のニコチン粉末送達システムとともに利用される粉末システムは、担体を含まなくてもよく、またはラクトースもしくはマンニトールなどのサッカリドを実質的に含まなくてもよい。担体を含まない、またはラクトースもしくはマンニトールなどのサッカリドを実質的に含まないことは、典型的な喫煙方法での吸入量または気流量と類似の吸入量または気流量でニコチンが吸入され、かつユーザーの肺に送達されることを可能にする場合がある。さらに、ニコチンは担体を含まないか、またはラクトースもしくはマンニトールなどのサッカリドを実質的に含まないため、吸入器の気流経路は単純な幾何学的形状または単純な構成を有する場合がある。
【0056】
ニコチン粉末と風味は、単一のカプセル内に組み合わせられてもよい。上述の通り、ニコチン粉末と風味はそれぞれ、低減された接着力を有してもよく、それらが安定した粉末製剤をもたらし、この場合ではニコチン粉末と風味が組み合わせられた時に各構成要素の粒子サイズは実質的に変化しない。
【0057】
ニコチン粒子および風味粒子は、ニコチン粒子とともに消費された時にユーザーが風味粒子を検知するように、任意の有用な相対的な量で組み合わせられてもよい。ニコチン粒子および風味粒子は、粉末システムの全重量の少なくとも約90重量%、または少なくとも約95重量%、または少なくとも約99重量%、または100重量%を形成することが好ましい。
【0058】
本明細書に記載の吸入器システムは、従来の乾燥粉末吸入器と比較して、より複雑ではなく、また単純化された貯蔵および気流経路を有する。有利なことに、吸入器システム内のカプセルの回転は、ニコチン粒子または粉末システムをエアロゾル化し、また自由流動粉末の維持を補助する場合がある。こうして、この吸入器システムは、上述のニコチン粒子を肺の中へと深く送達するために、従来の吸入器の典型的な高い吸入量を必要としない。
【0059】
吸入器システムは、約5L/分未満または約3L/分未満または約2L/分未満または約1.6L/分の流量を使用してもよい。流量は約1L/分〜約3L/分、または約1.5L/分〜約2.5L/分の範囲であることが好ましい。吸入量または流量は、カナダ保健省(Health Canada)喫煙方法のそれと同様であり、約1.6L/分であることが好ましい。
【0060】
吸入器システムは、従来の紙巻たばこの喫煙または電子たばこのベイピングのように、消費者によって使用されてもよい。こうした喫煙またはベイピングは二つの工程によって特徴付けられ、第一の工程では、消費者が所望するニコチンの全量を含有する少容量が口腔の中に引き出され、それに続く第二の工程では、所望の量のニコチンを含むエアロゾルを含むこの少容量が新鮮な空気によってさらに希釈され、肺の中により深く引き出される。どちらの工程も消費者によって制御される。第一の吸入工程中に、消費者は吸入されるニコチンの量を決定してもよい。第二の工程中に、消費者は肺の中により深く引き出される第一の量を希釈するための量を決定してもよく、気道の上皮表面に送達される有効な薬剤の濃度が最大化される。この喫煙のメカニズムは時に、「吸煙−吸入−吐出」と呼ばれる。
【0061】
本明細書で使用されるすべての科学的および技術的な用語は、別途指定のない限り、当業界で一般に使用される意味を持つ。本明細書で提供した定義は、本明細書で頻繁に使用される特定の用語の理解を容易にするために提供されている。
【0062】
「上流」および「下流」という用語は、吸入器本体を通して遠位端部分からマウスピース部分に引き出される際の吸入気流の方向に関して説明された吸入器の要素の相対的な位置を意味する。
【0063】
本明細書で使用される単数形(「一つの(a)」、「一つの(an)」、および「その(the)」)は、複数形の対象を有する実施形態を含蓄するが、その内容によって明らかに別途定められている場合はその限りではない。
【0064】
本明細書で使用される「または」は一般的に、「および/または」を含む意味で使用されるが、その内容によって明らかに別途定められている場合はその限りではない。「および/または」という用語は、列挙された要素の一つまたはすべて、または列挙された要素のうちの任意の二つ以上の組み合わせを意味する。
【0065】
本明細書で使用される「有する、持つ(have)」、「有している、持っている(having)」、「含む(include)」、「含まれる(including)」、「備える(comprise)」、「備える(comprising)」、またはこれに類するものは制約のない意味で使用され、一般的に「含むが、これに限定されない」を意味する。「から本質的に成る」、「から成る」、およびこれに類する用語は、「含む」およびこれに類するものに包摂されることが理解されるであろう。
【0066】
「好ましい」および「好ましくは」という語は、ある特定の状況下で、ある特定のメリットをもたらしうる本発明の実施形態を指す。ただし、同一またはその他の状況下で、その他の実施形態もまた好ましいものでありうる。その上、一つ以上の好ましい実施形態の列挙は、その他の実施形態が有用ではないことを暗に意味するものではなく、請求の範囲を含む本開示の範囲からその他の実施形態を除外するものではない。
概略図の縮尺は必ずしも正確なものではなく、図示の目的で提示されるものであり、限定するものではない。図面は本開示で説明される一つ以上の態様を図示する。ただし、図面に描かれていないその他の態様が本開示の範囲および精神に則るものと理解される。