(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記高次元モデル予測コントローラは、前記最適な屋内サブシステム負荷プロファイルから得られる各屋内サブシステムに対する予測温度プロファイルを生成するように構成され、
前記低次元屋内モデル予測コントローラは、屋内サブシステム温度と前記予測温度プロファイルとの間の誤差を最小化することによって前記最適な屋内セットポイントを生成するように構成される、請求項1のモデル予測制御システム。
前記屋内サブシステムの各々が、前記屋内サブシステム間で直接熱交換が起こらないように、互いに熱的に分離された別個の建物を表す、請求項1のモデル予測制御システム。
【発明を実施するための形態】
【0029】
一般に図を参照すると、いくつかの実施形態による、可変冷媒流量(VRF)システム用のモデル予測制御(MPC)システムが示されている。MPCは、システム入力(例えば、制御動作、セットポイントなど)をシステム状態およびシステム出力(例えば、測定値、プロセス変数など)と関連付けるために、制御されたシステムのモデルを使用する制御技法である。モデルは、最適化期間の間の各時間ステップにおいてコントローラが取った動作に基づいてシステム状態およびシステム出力を予測するために使用することができる。各時間ステップでは、MPCは、機器能力および安全性の限界などのプロセス制約(例えば、温度制約、機器切替制約など)に配慮しながら目的(例えば、追跡誤差を最小化すること、エネルギー費用を最小化することなど)を達成する制御動作のシーケンスを決定するために、システムモデルを使用してオンライン最適化問題を解く。シーケンスにおける第1の制御動作が実装され、新しい測定値が得られた後、次の時間ステップにおいて再び最適化問題が解かれる。
【0030】
本明細書で説明されるMPCシステムは、建物またはキャンパスへの暖房および/または冷房を提供するために使用されるエネルギーの総費用を最適化する(例えば、最小化する)ことができる。多くの研究では、MPCは、将来を見通すその能力や、事象が起こる前にそれを見越すその能力により、既存の制御システムより性能が優れていることが示されている。MPCは、パッシブ熱エネルギー貯蔵(TES)に対する建物の質量を使用することによって、ピーク時間からオフピーク時間へのエネルギー負荷のシフトを可能にする。すべてが各建物内の快適性制限を維持しながら、低資源価格の時間に機器使用量を集中させることによって、エネルギー費用を減少することができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、MPCシステムは、MPC層および規制層を含む。MPC層は、規制層から測定値を受信したり、規制層にセットポイントを提供したりすることができる。MPC層は、様々な決定変数の最適値(例えば、ゾーン温度セットポイント、冷媒流量レート、および機器オン/オフ決定を含む)を生成することができる。MPC層は、ゾーン温度から冷却/加熱デューティへのモデル、冷却/加熱デューティから温度セットポイントへのモデル、および機器モデルなどのシステムモデルを使用して、決定変数の最適値を決定することができる。MPC層は、いくつかの制約を受けることを条件として、最適化プロセスを実行することによって、決定変数の最適値を決定することができる。制約は、ゾーン空気温度の快適性限界、機器能力制約、冷媒バランス制約および規制層の機器の変化率限界を含み得る。
【0032】
すべての決定変数の最適値を決定するために単一のMPC問題を解くことは、大規模なアプリケーションでは難しい可能性がある。例えば、いくつかのVRFシステムは、数千の離散ゾーンおよび数千の独特のHVACデバイスを含み得る。離散決定(例えば、機器をオン/オフにする)は、混合整数最適化問題をもたらし得、それにより、複雑性がさらに増す。MPC問題の困難性およびコンピュータ処理の複雑性により、MPC層は、MPC問題全体をより小さく且つより扱い易い最適化問題に分解することができる。
【0033】
分散MPCシステムは、MPC問題全体を高次元最適化問題および低次元最適化問題に分解することができる。高次元問題は、高次元モデル予測コントローラによって、複数の低次元屋内サブシステムの各々に対する負荷プロファイルおよび屋外サブシステムに対する需要プロファイルを決定するために解くことができる。屋内サブシステムは屋内VRFユニットを含み得るのに対して、屋外サブシステムは屋外VRFユニットを含み得る。いくつかの実施形態では、高次元コントローラは、コンピュータ処理の複雑性を低減するために各屋内サブシステムに対する集計低次元モデルを使用する。高次元コントローラは、最適化期間にわたるMPCシステムの総動作費用を最適化する(例えば、最小化する)負荷プロファイルを決定することができる。各負荷プロファイルは、最適化期間の各時間ステップに対する負荷値を含み得る。高次元コントローラは、複数の低次元屋内モデル予測コントローラに負荷プロファイルを提供することができる。低次元屋内コントローラは、最適化期間の各時間ステップに対する各屋内サブシステムに対する最大許容負荷値を定義する制約として負荷プロファイルを使用することができる。
【0034】
低次元最適化問題は、低次元屋外最適化問題および1つ以上の低次元屋内最適化問題にさらに分解することができる。各低次元屋内問題は、低次元屋内コントローラのうちの1つによって、屋内VRFユニットに対するゾーン温度セットポイントおよび/または冷媒流量セットポイントを決定するために解くことができる。各低次元屋内コントローラは、定義された温度制限内にゾーン温度を維持しながら、高次元コントローラによって提供された負荷値を超えることなく、対応する屋内サブシステムのエネルギー消費量を最適化する(例えば、最小化する)ゾーン温度セットポイントおよび/または冷媒流量セットポイントを決定することができる。あるいは、各低次元屋内コントローラは、高次元最適化問題からの平均屋内サブシステム温度(例えば、予測サブシステム温度状態)を追跡する温度セットポイントおよび/または冷媒流量セットポイントを決定することができる。MPCシステムのこれらのおよび他のコンポーネントは、以下でさらに詳細に説明する。
【0035】
可変冷媒流量システム
ここで
図1A〜1Bを参照すると、いくつかの実施形態による、可変冷媒流量(VRF)システム100が示されている。VRFシステム100は、複数の屋外VRFユニット102および複数の屋内VRFユニット104を含むように示されている。屋外VRFユニット102は、建物の外側に位置し得、冷媒を加熱または冷却するように動作することができる。屋外VRFユニット102は、液体相、気相および/または過熱気相間で冷媒を変換するために電気を消費することができる。屋内VRFユニット104は、建物内の様々な建物ゾーン全体を通じて分散させることができ、屋外VRFユニット102から加熱または冷却された冷媒を受け取ることができる。各屋内VRFユニット104は、屋内VRFユニットが位置する特定の建物ゾーンに対する温度制御を提供することができる。
【0036】
VRFシステムの主要な利点は、いくつかの屋内VRFユニット104が冷却モードで動作する一方で、他の屋内VRFユニット104は加熱モードで動作できることである。例えば、屋外VRFユニット102および屋内VRFユニット104の各々は、加熱モード、冷却モードまたはオフモードで動作することができる。各建物ゾーンは、独立して制御することができ、異なる温度セットポイントを有し得る。いくつかの実施形態では、各建物は、建物の外側(例えば、屋上)に位置する最大で3つの屋外VRFユニット102および建物全体を通じて(例えば、様々な建物ゾーンに)分散された最大で128の屋内VRFユニット104を有する。
【0037】
VRFシステム100に対し、多くの異なる構成が存在する。いくつかの実施形態では、VRFシステム100は、各屋外VRFユニット102が単一の冷媒還流管および単一の冷媒送出管に接続される2パイプシステムである。2パイプシステムでは、屋外VRFユニット102はすべて同じモードで動作するが、その理由は、単一の冷媒送出管を介して加熱または冷却された冷媒の一方しか提供することができないためである。他の実施形態では、VRFシステム100は、各屋外VRFユニット102が冷媒還流管、高温冷媒送出管および低温冷媒送出管に接続される3パイプシステムである。3パイプシステムでは、加熱および冷却は両方とも、デュアル冷媒送出管を介して同時に提供することができる。VRFシステム100に対して使用することができる3パイプVRFシステムの例は、以下で詳細に説明する。
【0038】
ここで
図2A〜4Bを参照すると、いくつかの実施形態による、冷却モード、加熱モードおよび組み合わされた加熱/冷却モードにおけるVRFシステム100の動作を示すいくつかの図が示されている。各屋外VRFユニット102は、1つ以上の熱交換器106を含み得る(
図2A、3Aおよび4Aに示されるように)。冷却モードで屋外VRFユニット102が動作する際、熱交換器106は、冷媒の冷却を提供するために、復水器128として動作することができる(
図2Bおよび4Bに示されるように)。屋外VRFユニット102が加熱モードで動作する際、熱交換器106は、冷媒の加熱を提供するために、蒸発器130として動作することができる(
図3Bに示されるように)。復水器128および蒸発器130は、屋外VRFユニット102の動作モードに応じて、屋外VRFユニット102内に別個のデバイスとして存在することも、復水器128および蒸発器130の両方として動作することができる熱交換器106として存在することもできることが企図される。2つの屋外VRFユニット102しか示されていないが、VRFシステム100は、いかなる数nの屋外VRFユニット102も含み得ることを理解すべきである。
【0039】
各屋内VRFユニット104は、1つ以上の熱交換器107を含み得る(
図2A、3Aおよび4Aに示されるように)。屋内VRFユニット104が冷却モードで動作する際、熱交換器107は、建物ゾーンに送られる空気の冷却を提供するために、蒸発器105として動作することができる(
図2Bおよび4Bに示されるように)。屋内VRFユニット104が加熱モードで動作する際、熱交換器107は、建物ゾーンに送られる空気の加熱を提供するために、復水器103として動作することができる(
図3Bに示されるように)。復水器103および蒸発器105は、屋内VRFユニット104の動作モードに応じて、屋内VRFユニット104内に別個のデバイスとして存在することも、復水器103および蒸発器105の両方として動作することができる熱交換器107として存在することもできることが企図される。3つの屋内VRFユニット104しか示されていないが、VRFシステム100は、いかなる数mの屋内VRFユニット104も含み得ることを理解すべきである。
【0040】
具体的に
図2A〜2Bを参照すると、いくつかの実施形態による、冷却モードにおけるVRFシステム100の動作が示されている。冷却モードでは、屋外VRFユニット102の熱交換器106は、過熱気体冷媒124を液体冷媒120に凝縮させるために、復水器128として動作する。熱交換器106からの液体冷媒120は、膨脹バルブ(EEV)108を通じて、屋内VRFユニット104の熱交換器107へと流れる。冷却モードでは、熱交換器107は、液体冷媒120を気体冷媒122に蒸発させるための蒸発器105として動作し、それにより、建物ゾーン内の空気から熱が吸収され、建物ゾーンに対する冷却が提供される。ソレノイドバルブ110は、屋外ユニット102の1つ以上の圧縮機112への気体冷媒122の還流を可能にする。圧縮機112は、過熱気体冷媒124を生み出すために気体冷媒122を圧縮し、過熱気体冷媒124は、復水器128に提供される。
【0041】
ここで
図3A〜3Bを参照すると、いくつかの実施形態による、加熱モードにおけるVRFシステム100の動作が示されている。加熱モードでは、屋外VRFユニット102の熱交換器106は、屋内VRFユニット104から液体冷媒120を蒸発させるために、蒸発器130として作用する。熱交換器106は、液体冷媒120に熱を伝達し、それにより、液体冷媒120を蒸発させ、気体冷媒122を形成する。気体冷媒122は、圧縮機112に提供され、圧縮機112は、気体冷媒122を圧縮して過熱気体冷媒124を形成する。次いで、過熱気体冷媒124は、屋内VRFユニット104の熱交換器107に提供される。熱交換器107は、過熱気体冷媒124から建物ゾーンに熱を伝達することによって過熱気体冷媒124を凝縮させるために復水器102として動作し、それにより、過熱気体冷媒124は熱を失い、液体冷媒120になる。次いで、液体冷媒120は、熱交換器106屋外VRFユニット102に還流する。
【0042】
ここで
図4A〜4Bを参照すると、いくつかの実施形態による、組み合わされた加熱モードおよび冷却モードにおけるVRFシステム100の動作が示されている。組み合わされた加熱/冷却モデルでは、いくつかの屋内VRFユニット104および屋外VRFユニット102が加熱モードで動作する一方で、他の屋内VRFユニット104および屋外VRFユニット102は冷却モードで動作する。例えば、屋内VRFユニット2は、加熱モードで動作するように示されているのに対して、屋内VRFユニット1および屋内VRFユニットmは、冷却モードで動作するように示されている。屋外VRFユニット1および屋外VRFユニットnは両方とも、冷却モードで動作するように示されている。
【0043】
冷却モードにおける屋外VRFユニット102の動作は、
図2A〜2Bを参照して以前に説明されるものと同じものであり得る。例えば、屋外VRFユニット102は、気体冷媒122を受け取り、気体冷媒122を液体冷媒120に凝縮させることができる。液体冷媒120は、ゾーン1およびゾーンmに対する冷却を提供するために、屋内VRFユニット1および屋内VRFユニットmに送ることができる。屋内VRFユニット1および屋内VRFユニットmの熱交換器107は、建物ゾーン1および建物ゾーンmから熱を吸収することによって蒸発器105として動作し、それにより、液体冷媒120は気体冷媒122になる。次いで、気体冷媒122は、屋外VRFユニット1022の圧縮機112に送られる。圧縮機112は、気体冷媒122を圧縮して過熱気体冷媒124を形成する。過熱気体冷媒124は、屋外VRFユニット102の熱交換器106に提供することができ、熱交換器106は、気体冷媒122を液体冷媒120に凝縮させるために復水器128として動作する。また、過熱気体冷媒124は、屋内VRFユニット2に提供し、建物ゾーン2に加熱を提供するために使用することもできる。
【0044】
加熱モードにおける屋内VRFユニット2の動作は、
図3A〜3Bを参照して以前に説明されるものと同じものであり得る。例えば、屋内VRFユニット2の熱交換器107は、過熱気体冷媒124から建物ゾーン2に熱を排出することによって復水器103として動作することができ、それにより、過熱気体冷媒124は液体冷媒120になる。液体冷媒120は、屋内VRFユニット1および屋内VRFユニットmの熱交換器107に送ることができ、熱交換器107は、以前に説明されるように、建物ゾーン1および建物ゾーンmから熱を吸収するために蒸発器105として動作する。
【0045】
いずれの動作モードにおいても、VRFシステム100は、冷媒状態がバランスの取れた状態を保つことを保証するように動作することができる。例えば、冷却モードで動作する際、VRFシステム100は、屋内VRFユニット104が液体冷媒120を気体冷媒122に変換するのと同じレートで屋外VRFユニット102が気体冷媒122を液体冷媒120に変換することを保証するように屋外VRFユニット102および屋内VRFユニット104を操作することができる。同様に、加熱モードで動作する際、VRFシステム100は、屋内VRFユニット104が過熱気体冷媒124を液体冷媒120に変換するのと同じレートで屋外VRFユニット102が液体冷媒120を過熱気体冷媒124に変換することを保証するように屋外VRFユニット102および屋内VRFユニット104を操作することができる。
【0046】
動作モードの各々では、VRFシステム100は、屋外VRFユニット102および屋内VRFユニット104によって生産される各冷媒状態(例えば、液体冷媒120、気体冷媒122および過熱気体冷媒124)の量が屋外VRFユニット102および屋内VRFユニット104によって消費される各冷媒状態の量と等しいことを保証するように屋外VRFユニット102および屋内VRFユニット104を操作することができる。言い換えれば、VRFシステム100は、冷媒が冷媒状態の各々に追加されるレートと冷媒が冷媒状態の各々から除去されるレートのバランスを取ることができる。いくつかの実施形態では、VRFシステム100は、冷媒状態の各々における冷媒の正味量が最適化期間の各時間ステップにおいてバランスの取れた状態を保つことを保証するために、質量バランス制約またはボリュームバランス制約を課す。
【0047】
いくつかの実施形態では、VRFシステム100は、予測エネルギー費用最適化フレームワークを使用して制御される。例えば、VRFシステム100は、高次元最適化および低次元最適化を実行する1つ以上のコントローラを含み得る。高次元最適化は、各ゾーンに送られる要求された冷却または加熱デューティならびに屋内VRFユニット104および屋外VRFユニット102の動作モードを操作することによって、いくつかのシステム制約を受けることを条件として、VRFシステム100全体にわたる電気使用量費用にピーク電気料金を加えたもの(すなわち、電気デマンドチャージ)を最適化しようと努めることができる。高次元最適化において課される制約は、冷媒状態のバランス(以前に説明されるような)およびゾーン温度制約などのシステム制約を含み得る。ゾーン温度制約は、占有者の快適性を維持するために、各建物ゾーンの温度を許容温度範囲内に維持することを必要とし得る。
【0048】
低次元最適化は、低次元最適化への入力データとして、高次元最適化によって演算された各建物ゾーンに対する要求された加熱および冷却デューティを使用することができる。低次元最適化は、高次元最適化において演算された要求された加熱または冷却デューティプロファイルをゾーン加熱および冷却デューティが追跡するように、様々な建物ゾーンに対するゾーン温度セットポイントを操作することができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、低次元最適化は、いくつかの低次元モデル予測コントローラにわたって分散され、その各々は、特定の建物ゾーンに対する温度セットポイントを決定するように動作することができる。例えば、制御システムは、高次元モデル予測コントローラ(MPC)およびいくつかの低次元MPCを含み得る。高次元MPCは、建物ゾーンの各々に対する最適な負荷プロファイルを決定し、最適な負荷プロファイルを建物ゾーンに対する低次元MPCに分散することができる。各低次元MPCは、特定の建物ゾーンを制御するように構成することができ、対応する建物ゾーンに対する負荷プロファイルを高次元MPCから受信することができる。各低次元MPCは、高次元MPCからの負荷プロファイルを使用して、対応する建物ゾーンに対する最適な温度セットポイントを決定することができる。そのような分散型の実装形態の例は、
図6を参照してさらに詳細に説明する。
【0050】
ここで
図5を参照すると、いくつかの実施形態による、複数のVRFシステム510、520、530用の制御システム500のブロック図が示されている。VRFシステム510〜530の各々は、
図1A〜4Bを参照して説明されるような、VRFシステム100のコンポーネントおよび/または特徴のいくつかまたはすべてを含み得る。上記で説明される最適化フレームワークは、上記の高次元および低次元最適化フレームワークを操作する追加の制御層(例えば、監視層)を導入することによって、複数のVRFシステム510〜530を含む、より大きなシステムに拡張することができる。例えば、予測費用最適化コントローラは、複数のVRFシステム510〜530が最適なエネルギー費用性能(例えば、VRFシステム510〜530の全セットの最小総エネルギー費用)を達成するように、経時的な複数のVRFシステム510〜530の電気使用量を調節するために、コーディネータとして動作することができる。
【0051】
様々な実施形態では、予測費用最適化コントローラによって実行された費用最適化は、エネルギー費用(例えば、消費電気の$/kWh)、デマンドチャージ(例えば、ピーク電力消費量の$/kW)、ピーク負荷寄与費用および/またはインセンティブベースの需要応答(IBDR)プログラムに参加することからの金銭的インセンティブを説明することができる。予測費用最適化コントローラによって実行することができる費用最適化のいくつかの例は、2017年1月12日に出願された米国特許出願第15/405,236号明細書、2017年1月12日に出願された米国特許出願第15/405,234号明細書、2017年2月7日に出願された米国特許出願第15/426,962号明細書および2017年3月29日に出願された米国特許出願第15/473,496号明細書で詳細に説明されている。これらの特許出願の各々の全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0052】
監視層では、個々のVRFシステム510〜530の各々は、電気公益事業508からの電気502を建物ゾーンによって必要とされる熱気504または冷気506に変換する単一のアセットとして表すことができる。熱気504および冷気506は、空気供給側ユニット512、522、532によって供給される建物ゾーンに対する加熱および/または冷却を提供する空気供給側ユニット512、522、532に送ることができる。熱気504および冷気506は、VRFシステム510〜530によって生産される資源として扱うことができるのに対して、電気502は、VRFシステム510〜530によって消費される資源として扱うことができる。各VRFシステム510〜530による資源生産と電気消費との間の関係は、各VRFシステム510〜530に対するシステム性能曲線によって定義することができる。システム性能曲線は、VRFシステム510〜530が建物ゾーンに対する十分な熱気504および冷気506を生成するように動作することを保証するために予測費用最適化コントローラによって実行される費用最適化に対する制約として監視層において使用することができる。
【0053】
最適化期間の各時間ステップにおいてVRFシステム510〜530の各々によって生産される熱気504および冷気506の量は、予測費用最適化コントローラによって、アセット配分プロセスを実行することによって決定することができる。予測費用最適化コントローラによって実行することができるアセット配分プロセスのいくつかの例は、米国特許出願第15/405,236号明細書、米国特許出願第15/405,234号明細書、米国特許出願第15/426,962号明細書および米国特許出願第15/473,496号明細書で詳細に説明されている。
【0054】
分散型モデル予測制御システム
ここで
図6を参照すると、いくつかの実施形態による、分散型モデル予測制御(MPC)システム600のブロック図が示されている。MPCシステム600は、時間ホライズンにわたるVRFシステム(例えば、VRFシステム100)の機器に対する最適なセットポイントを決定するためにMPC技法を使用する。MPCシステム600は、
図1〜5を参照して説明されるように、VRFシステム100と組み合わせて使用することができる。例えば、MPCシステム600は、屋内VRFユニット104に対する最適な温度セットポイントおよび屋外VRFユニット102に対する最適な負荷セットポイントを決定することができる。
【0055】
MPCは、システム入力(例えば、制御動作、セットポイントなど)をシステム状態およびシステム出力(例えば、測定値、プロセス変数など)と関連付けるために、制御されたシステムのモデルを使用する制御技法である。モデルは、最適化期間の間の各時間ステップにおいてコントローラが取った動作に基づいてシステム状態およびシステム出力を予測するために使用することができる。各時間ステップでは、MPCは、機器能力および安全性の限界などのプロセス制約(例えば、温度制約、機器切替制約など)に配慮しながら目的(例えば、追跡誤差を最小化すること、エネルギー費用を最小化することなど)を達成する制御動作のシーケンスを決定するために、システムモデルを使用してオンライン最適化問題を解く。シーケンスにおける第1の制御動作が実装され、新しい測定値が得られた後、次の時間ステップにおいて再び最適化問題が解かれる。
【0056】
経済的なMPCでは、最適化問題の目的は、費用関数によって定義されるような総費用を最小化することである場合が多い。多くの研究では、MPCは、将来を見通すその能力や、事象が起こる前にそれを見越すその能力により、既存の制御システムより性能が優れていることが示されている。MPCは、パッシブ熱エネルギー貯蔵(TES)に対する建物の質量を使用することによって、ピーク時間からオフピーク時間へのエネルギー負荷のシフトを可能にする。すべてが各建物内の快適性制限を維持しながら、低資源価格の時間に機器使用量を集中させることによって、エネルギー費用を減少することができる。
【0057】
依然として
図6を参照すると、分散型MPCシステム600は、MPC層610および規制層620を含むように示されている。MPC層610は、高次元モデル予測コントローラ608およびいくつかの低次元モデル予測コントローラ612〜618を含むように示されている。コントローラ612、614、616は、低次元屋内モデル予測コントローラとして示されるのに対して、コントローラ618は、低次元屋外モデル予測コントローラとして示されている。MPC層610は、最適な温度セットポイントおよび機器動作セットポイントを決定して規制層620の機器に提供するように構成することができる。いくつかの実施形態では、MPC層610は、VRFシステムの機器に対するセットポイント最適化を提供するために、任意の既存のVRFシステムに組み込むことができる。
【0058】
規制層620は、屋内VRFユニット622〜626および屋外VRFユニット628を含むように示されている。屋内VRFユニット622〜626は、屋内VRFユニット104のいくつかまたはすべてを含み得るのに対して、屋外VRFユニット628は、屋外VRFユニット102のいくつかまたはすべてを含み得る。いくつかの実施形態では、規制層620は、PIDコントローラ、動作可能な機器(例えば、屋外VRFユニット、屋内VRFユニット、ポンプ、ファン、バルブなど)および/またはプロセス変数をセットポイントに制御するように構成された他のシステムもしくはデバイスを含み得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、分散型MPCシステム600は、負荷/料金予測器602を含む。負荷/料金予測器602は、負荷および料金予測(例えば、外乱予測、電気価格、デマンドチャージ価格および外気温度を含む)をMPC層610に提供することができる。負荷/料金予測器602は、気象サービス604から気象予報を受信するように示されている。いくつかの実施形態では、負荷/料金予測器602は、気象予報の関数として外乱予測を生成する。いくつかの実施形態では、負荷/料金予測器602は、規制層620からのフィードバックを使用して外乱予測を生成する。規制層620からのフィードバックは、様々なタイプの感覚入力(例えば、温度、流れ、湿度、エンタルピなど)または制御される建物もしくはキャンパスに関連する他のデータ(例えば、建物占有データ、建物電気負荷など)を含み得る。いくつかの実施形態では、負荷/料金予測器602は、最適化期間内の各時間ステップに対する予測外乱値を含む外乱予測を生成する。
【0060】
いくつかの実施形態では、負荷/料金予測器602は、外乱予測を生成するために、負荷データ履歴から訓練された決定論的モデルに確率論的モデルを加えたものを使用する。負荷/料金予測器602は、様々な予測方法(例えば、決定論的部分に対する線形回帰および確率論的部分に対する自己回帰モデル)のいずれかを使用して外乱予測を生成することができる。負荷/料金予測器602は、建物またはキャンパスに対して1つ以上の異なるタイプの外乱を予測することができる。例えば、負荷/料金予測器602は、建物内の空気と建物の壁を通じる外気との間の熱伝達から生じる熱負荷を予測することができる。負荷/料金予測器602は、建物内の内部熱生成(例えば、建物内の電子機器によって生成された熱、建物占有物によって生成された熱)から生じる熱負荷を予測することができる。いくつかの実施形態では、負荷/料金予測器602は、その全開示が参照により本明細書に組み込まれる「Building Management System for Forecasting Time Series Values of Building Variables」と称する2015年5月20日に出願された米国特許出願第14/717,593号明細書で説明される技法を使用して、負荷/料金予測を行う。
【0061】
負荷/料金予測器602は、公益事業606から公共料金を受信するように示されている。公共料金は、最適化期間の各時間ステップにおいて公益事業606によって提供された単位資源(例えば、電気、天然ガス、水など)当たりの費用または価格を示し得る。いくつかの実施形態では、公共料金は、時間変化料金である。例えば、電気の価格は、ある時間または日にち(例えば、需要が高い期間の間)には高く、他の時間または日にち(例えば、需要が低い期間の間)には低いものであり得る。公共料金は、様々な期間および各期間の間の単位資源当たりの費用を定義することができる。公共料金は、公益事業606から受信された実際の料金または負荷/料金予測器602によって推定された予測公共料金であり得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、公共料金は、公益事業606によって提供された1つ以上の資源に対するデマンドチャージを含む。デマンドチャージは、デマンドチャージ期間の間の特定の資源の最大使用量(例えば、最大エネルギー消費量)に基づいて公益事業606によって課された別個の費用を定義することができる。公共料金は、様々なデマンドチャージ期間および各デマンドチャージ期間と関連付けられた1つ以上のデマンドチャージを定義することができる。いくつかの例では、デマンドチャージ期間は、互いにおよび/または最適化期間と部分的にまたは完全に重複し得る。有利には、MPC層610は、高次元モデル予測コントローラ608によって実行された高次元最適化プロセスにおけるデマンドチャージを説明することができる。公益事業606は、時間変化(例えば、1時間ごと)価格、最大サービスレベル(例えば、物理的なインフラによってまたは契約によって認められた最大消費レート)、そして、電気の事例では、デマンドチャージまたはある期間内のピーク消費レートに対する料金によって定義することができる。負荷/料金予測器602は、予測負荷および公共料金をメモリに格納することならびに/あるいは予測負荷および公共料金を高次元MPC608に提供することができる。
【0063】
MPC層610は、規制層620から測定値を受信したり、規制層620にセットポイントを提供したりすることができる。MPC層610は、様々な決定変数の最適値(例えば、ゾーン温度セットポイント、可変冷媒流量セットポイント、動作モードセットポイント(例えば、加熱または冷却)および/または機器オン/オフ決定を含む)を生成することができる。MPC層610は、ゾーン温度から冷却/加熱デューティへのモデル、冷却/加熱デューティから温度セットポイントへのモデルおよび機器モデルなどのシステムモデルを使用して、決定変数の最適値を決定することができる。MPC層610は、いくつかの制約を受けることを条件として、最適化プロセスを実行することによって、決定変数の最適値を決定することができる。制約は、ゾーン空気温度の快適性限界、機器能力制約、冷媒状態バランス制約および規制層620の機器の変化率限界を含み得る。
【0064】
上記で論じられるように、決定変数の最適値を決定するために単一のMPC問題を解くことは、大規模なアプリケーションでは難しい可能性がある。例えば、建物または建物システムは、数千の離散ゾーンおよび数千の独特のHVACデバイスを含み得る。離散決定(例えば、機器をオン/オフにする)は、混合整数最適化問題をもたらし得、それにより、複雑性がさらに増す。MPC問題の困難性およびコンピュータ処理の複雑性により、MPC層610は、MPC問題全体をより小さく且つより扱い易い最適化問題に分解することができる。
【0065】
図6に示されるように、分散型MPCシステム600は、MPC問題全体を高次元最適化問題および低次元最適化問題に分解することができる。高次元問題は、屋内サブシステム632〜636に対する負荷プロファイルおよび屋外サブシステム638に対する需要プロファイルを決定するために、高次元コントローラ608によって解くことができる。いくつかの実施形態では、高次元コントローラ608は、コンピュータ処理の複雑性の低減のために、各屋内サブシステム632〜636に対して集計低次元モデルを使用する。高次元コントローラ608は、最適化期間にわたるMPCシステム600の総動作費用を最適化する(例えば、最小化する)負荷プロファイルを決定することができる。各負荷プロファイルは、最適化期間の各時間ステップに対する負荷値を含み得る。低次元屋内コントローラ612〜616は、最適化期間の各時間ステップに対する各屋内サブシステム632〜636に対する最大許容負荷値を定義する制約として負荷プロファイルを使用することができる。高次元コントローラ608は、低次元屋内コントローラ612〜616の各々に負荷プロファイルを提供することができる。高次元コントローラ608によって実行される高次元最適化は、
図7を参照してさらに詳細に説明する。
【0066】
低次元最適化問題は、低次元屋外最適化問題および1つ以上の低次元屋内最適化問題にさらに分解することができる。各低次元屋内問題は、各屋内サブシステム632〜636の屋内VRFユニット622〜626に対するゾーン温度セットポイントを決定するために、低次元屋内コントローラ612〜616のうちの1つによって解くことができる。各低次元屋内コントローラ612〜616は、定義された温度制限内にゾーン温度を維持しながら、高次元コントローラ608によって提供された負荷値を超えることなく、対応する屋内サブシステム632〜636のエネルギー消費量を最適化する(例えば、最小化する)ゾーン温度セットポイントを決定することができる。あるいは、各低次元屋内コントローラ612〜616は、高次元最適化問題から平均屋内サブシステム温度(例えば、予測サブシステム温度状態)を追跡する温度セットポイントを決定することができる。低次元コントローラ612〜616によって実行される低次元最適化は、
図8を参照してさらに詳細に説明する。
【0067】
低次元屋外問題は、低次元屋外コントローラ618によって解くことができる。いくつかの実施形態では、低次元屋外問題は、混合整数線形計画である。低次元屋外コントローラ618は、高次元コントローラ608からの需要プロファイルを満たしながら動作費用を最小化する屋外VRFユニット628に対する最適なセットポイントを決定することができる。低次元屋外コントローラ618によって最適化される決定変数は、例えば、機器オン/オフ状態、冷凍機の熱負荷、圧縮機セットポイント、ポンプの流速、および他の補助屋外機器に対するセットポイントを含み得る。低次元屋外コントローラ618は、最適化期間の各時間ステップにおいて屋外VRFユニット628によって満たすべき総需要を指定する入力として、高次元コントローラ608からの需要プロファイルを使用することができる。
【0068】
いくつかの実施形態では、低次元屋外コントローラ618は、低次元屋外最適化問題を第1の屋外最適化問題および第2の屋外最適化問題に分解する。第1の屋外最適化問題は、屋外サブシステムの複数の屋外VRFユニットにわたって高次元コントローラ608によって指定された需要を割り当てることができる。第2の屋外最適化問題は、屋外VRFユニット628に対する最適な機器オン/オフ状態および機器セットポイントを決定するために、各サブプラントに対する混合整数最適化問題に分解することができる。低次元屋外コントローラ618によって使用することができる最適化技法の例は、その全開示が参照により本明細書に組み込まれる2015年2月27日に出願された米国特許出願第14/634,609号明細書で詳細に説明されている。
【0069】
図6に示されるように、各低次元屋内モデル予測コントローラ612〜616は、VRFシステム100全体のサブシステム632〜636を制御することができる。各低次元屋内コントローラ612〜616は、対応する屋内サブシステム632〜636の屋内VRFユニット622〜626に対する最適な温度セットポイントを決定するために、別個の屋内最適化プロセスを実行することができる。各屋内サブシステム632〜636は、1つ以上の屋内VRFユニットを含み得、その各々は、空気を1つ以上の建物ゾーンに送るように構成することができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、高次元コントローラ608は、各屋内サブシステム632〜636の集計モデルを使用し、熱エネルギー負荷を各屋内サブシステム632〜636に割り当てる。低次元屋内コントローラ612〜616は、対応する屋内サブシステムの各建物ゾーンに対する最適な温度セットポイントを決定するために、低次元最適化プロセスの間により詳細なゾーンレベルモデルを使用することができる。別個の屋内サブシステム632〜636へのVRFシステム100の分解は、コンピュータ処理の性能を改善し、低次元MPC問題を解くために必要な時間の量を実質的に減少することができる。例えば、低次元MPC問題はすべて、数分以内に解くことができる。
【0071】
いくつかの実施形態では、各屋内サブシステム632〜636は、別個の建物を表す。各屋内サブシステム632〜636間の有意な結合(例えば、サブシステム632〜636間の熱交換)は性能に影響を及ぼし得るが、その理由は、低次元コントローラ612〜616はそれらの解を調節する必要がないためである。サブシステム632〜636間の結合がないことを保証するためにVRFシステム100を分解するための方法の1つは、建物ごとに分解することであるが、その理由は、別個の建物は互いに熱交換を行わないためである。この理由のため、各屋内サブシステム632〜636が別個の建物を表すように屋内サブシステム632〜636を選択することが望ましい場合がある。各屋内サブシステム632〜636は、複数のゾーン(例えば、建物内の部屋または空間)を含み得、その各々は、別個の屋内VRFユニットによって制御することができる。他の実施形態では、各屋内サブシステム632〜636は、単一の建物ゾーン、建物内のゾーンの集合体または複数の建物でさえも表し得る。
【0072】
MPCシステム600では、高次元モデル予測コントローラ608は、各屋内サブシステム632〜636(例えば、各建物または各ゾーン)に割り当てるための熱エネルギー負荷と、屋外サブシステム638に対する需要プロファイルとを決定する。各屋内サブシステム632〜636は、その屋内サブシステム632〜636の各ゾーンに対する温度セットポイント(例えば、建物の各屋内VRFユニットに対するセットポイント)または可変冷媒流量レートを演算する別個の低次元屋内コントローラ612〜616を含み得る。低次元屋内問題は、分散方式で解くことができる。低次元屋内問題は、コンピュータ処理の複雑性を増大することなく、大規模な産業およびキャンパス規模の実装形態を処理するために容易に拡張することができる。
【0073】
分散型MPCシステム600は、代替の制御戦略にわたっていくつかの利点を提供する。例えば、高次元コントローラ608は、各低次元コントローラ612〜616に提供された負荷プロファイルを介して、低次元屋内サブシステム632〜636の動作を調節することができる。デマンドチャージを高次元目的関数に含めることにより、高次元コントローラ608は、低次元屋内サブシステム632〜636の動作をベテランである負荷プロファイルを生成することができる。言い換えれば、高次元コントローラ608は、低次元屋内サブシステム632〜636がすべて同時に電力を消費しないことを保証する負荷プロファイルを生成することができる。これにより、高次元コントローラ608は、低次元屋内コントローラ612〜616間の通信を必要とすることなく、低次元屋内サブシステム632〜636の動作を調節し、デマンドチャージを説明することができる。また、すべての屋内サブシステム632〜636に対する単一の屋外サブシステム638の存在によって生じる結合も、高次元コントローラ608によって対処される。従って、低次元制御問題は、低次元コントローラ612〜616間の反復および通信が必要とされないように、完全に分離される。
【0074】
また、MPC層610と規制層620との間のデータ通信は、大いに低減することができる。例えば、MPC層610と規制層620との間のデータ通信は、
図6に示されるように、測定値およびセットポイントに制限され得る。これにより、MPCシステム600を任意の既存のBMSと統合することができる。高次元コントローラ608は、高次元最適化の間のコンピュータ処理の複雑性を低減するために、各屋内サブシステム632〜636および屋外サブシステム638の集計モデルを使用することができる。各低次元屋内コントローラ612〜616は、対応する屋内サブシステム632〜636に対する集計外乱推定、集計温度および集計システムパラメータ(例えば、熱キャパシタンス、熱伝達係数など)を高次元コントローラ608に提供することができる。
【0075】
分散型MPCシステム600は、例えば、冷凍機プラント、空気処理ユニット、屋上ユニット、可変冷媒流量システム、空気供給側システム、水供給側システム、建物管理システム、および/または、電力消費量もしくは熱エネルギー負荷を異なるサブシステムに割り当てることができる他のタイプのシステムを含む、様々な異なるシステムを制御するために使用することができる。ほとんどの建物温度規制方法は、VRF機器628の詳細モデルまたは整数決定変数を考慮せず、それにより、エネルギー費用計算の忠実性が減少する。しかし、MPCシステム600は、ヒューリスティクスに頼るというよりむしろ、機器をいつオンおよびオフにするかを決定するために、最適化問題において整数変数を含み得る。
【0076】
高次元モデル予測コントローラ
ここで
図7を参照すると、いくつかの実施形態による、高次元モデル予測コントローラ(MPC)608をさらに詳細に示すブロック図が示されている。高次元MPC608は、通信インタフェース702および処理回路704が示されている。通信インタフェース702は、様々なシステム、デバイスまたはネットワークとのデータ通信を実施するための有線または無線インタフェース(例えば、ジャック、アンテナ、送信機、受信機、トランシーバ、ワイヤ端子など)を含み得る。例えば、通信インタフェース702は、イーサネット(登録商標)ベースの通信ネットワークを介してデータを送信および受信するためのイーサネットカードおよびポートならびに/あるいは無線通信ネットワークを介して通信するためのWiFiトランシーバを含み得る。通信インタフェース702は、ローカルエリアネットワークまたは広域ネットワーク(例えば、インターネット、建物WANなど)を介して通信するように構成することができ、様々な通信プロトコル(例えば、BACnet、IP、LONなど)を使用することができる。
【0077】
通信インタフェース702は、高次元MPC608と様々な外部のシステムまたはデバイス(例えば、気象サービス604、公益事業606、低次元コントローラ612〜618、BMS機器など)との間の電子データ通信を容易にするように構成されたネットワークインタフェースであり得る。例えば、高次元MPC608は、気象サービス604から気象予報を受信すること、公益事業606から公共料金を受信することおよび/または負荷/料金予測器602から負荷および料金予測を受信することができる。高次元MPC608は、制御される建物またはキャンパスの1つ以上の測定状態(例えば、温度、湿度、電気負荷など)および屋外サブシステム638の1つ以上の状態(例えば、機器ステータス、電力消費量、機器利用可能性など)を示す測定値をBMSから受信することができる。
【0078】
高次元MPC608は、各低次元屋内コントローラ612〜616から屋内サブシステム外乱推定を受信することができる。屋内サブシステム外乱推定は、各屋内サブシステム632〜636に対して推定された熱エネルギー負荷を示し得る。高次元MPC608は、集計システム曲線、集計屋内サブシステムパラメータおよび/または性能係数を各低次元コントローラ612〜618から受信することができる。高次元MPC608は、通信インタフェース702で受信された情報を使用して、各屋内サブシステム632〜636に対する負荷プロファイルおよび屋外サブシステム638に対する需要プロファイルを生成することができる。高次元MPC608は、負荷プロファイルおよび需要プロファイルを低次元コントローラ612〜618に提供することができる。
【0079】
処理回路704は、プロセッサ706およびメモリ708を含むように示されている。プロセッサ706は、汎用もしくは専用プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、1群の処理コンポーネントまたは他の適切な処理コンポーネントであり得る。プロセッサ706は、メモリ708に格納されるかまたは他のコンピュータ可読媒体(例えば、CDROM、ネットワーク記憶装置、リモートサーバなど)から受信されるコンピュータコードまたは命令を実行するように構成することができる。
【0080】
メモリ708は、本開示で説明される様々なプロセスの完了および/または促進のためのデータおよび/またはコンピュータコードを格納するための1つ以上のデバイス(例えば、メモリユニット、メモリデバイス、記憶装置など)を含み得る。メモリ708は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、ハードドライブストレージ、一時記憶装置、不揮発性メモリ、フラッシュメモリ、光メモリ、あるいは、ソフトウェアオブジェクトおよび/またはコンピュータ命令を格納するための他の任意の適切なメモリを含み得る。メモリ708は、本開示で説明される様々な活動および情報構造をサポートするためのデータベース構成要素、オブジェクトコード構成要素、スクリプト構成要素または他の任意のタイプの情報構造を含み得る。メモリ708は、処理回路704を介してプロセッサ706に通信可能に接続することができ、本明細書で説明される1つ以上のプロセスを実行する(例えば、プロセッサ706によって)ためのコンピュータコードを含み得る。プロセッサ706がメモリ708に格納された命令を実行する際、プロセッサ706は、一般に、そのような活動を完了するように高次元MPC608(より具体的には、処理回路704)を構成する。
【0081】
依然として
図7を参照すると、高次元MPC608は、サブシステム温度モデラ714を含むように示されている。サブシステム温度モデラ714は、各屋内サブシステム632〜636に対する温度モデルを生成することができる。サブシステム温度モデラ714によって生成された温度モデルは、各屋内サブシステム632〜636が別個の建物を表すという想定の下で、建物温度モデルと呼ばれ得る。しかし、サブシステム温度モデラ714によって生成された温度モデルは、屋内サブシステム632〜636が他のタイプの空間を表す場合は、他のタイプのサブシステムに対する温度モデルであり得る。サブシステム温度モデラ714は、各屋内サブシステムに対する温度モデルを生成することができる。
図6では3つの屋内サブシステム632〜636しか示されていないが、いかなる数の建物および屋内サブシステム632〜636も存在し得ることを理解すべきである。一般に、サブシステム温度モデラ714は、n
b個の屋内サブシステム温度モデルを生成することができ、n
bは、建物および/または屋内サブシステム632〜636の総数である。
【0082】
いくつかの実施形態では、サブシステム温度モデラ714は、建物熱伝達モデルを使用して各屋内サブシステムの温度をモデル化する。単一の建物ゾーンの暖房または冷房の動力学は、エネルギーバランス
【数1】
[この文献は図面を表示できません]
によって説明され、式中、Cは、建物ゾーンの熱キャパシタンスであり、Hは、建物ゾーンに対する周囲の熱伝達係数であり、Tは、建物ゾーンの温度であり、T
aは、建物ゾーン外の周囲温度(例えば、外気温度)であり、
【数2】
[この文献は図面を表示できません]
は、建物ゾーンに適用された冷房の量(すなわち、冷却負荷)であり、
【数3】
[この文献は図面を表示できません]
は、建物ゾーンによって経験された外部負荷、放射線または他の外乱である。以前の方程式では、
【数4】
[この文献は図面を表示できません]
は、HVACシステムによって建物ゾーンから出る熱伝達(すなわち、冷却)を表し、従って、負号を有する。しかし、冷房というよりむしろ、暖房が建物ゾーンに適用される場合は、
【数5】
[この文献は図面を表示できません]
の符号は、正号に切り替えることができ、その結果、
【数6】
[この文献は図面を表示できません]
は、HVACシステムによって建物ゾーンに適用された暖房(すなわち、加熱負荷)の量を表す。
【0083】
以前の方程式は、建物ゾーンのすべての質量および空気プロパティを組み合わせて単一のゾーン温度にする。サブシステム温度モデラ714によって使用することができる他の熱伝達モデルは、以下の空気および質量ゾーンモデルを含み、
【数7】
[この文献は図面を表示できません]
式中、C
zおよびT
zは、建物ゾーンの空気の熱キャパシタンスおよび温度であり、T
aは、周囲の空気温度であり、H
azは、建物ゾーンの空気と建物ゾーン外の周囲の空気(例えば、建物ゾーンの外部壁を通じる)との間の熱伝達係数であり、C
mおよびT
mは、建物ゾーン内の非空気質量の熱キャパシタンスおよび温度であり、H
mzは、建物ゾーンの空気と非空気質量との間の熱伝達係数である。
【0084】
以前の方程式は、建物ゾーンのすべての質量プロパティを組み合わせて単一のゾーン質量にする。サブシステム温度モデラ714によって使用することができる他の熱伝達モデルは、以下の空気、浅部質量(shallow mass)および深部質量(deep mass)ゾーンモデルを含み、
【数8】
[この文献は図面を表示できません]
C
zおよびT
zは、建物ゾーンの空気の熱キャパシタンスおよび温度であり、T
aは、周囲の空気温度であり、H
azは、建物ゾーンの空気と建物ゾーン外の周囲の空気(例えば、建物ゾーンの外部壁を通じる)との間の熱伝達係数であり、C
sおよびT
sは、建物ゾーン内の浅部質量の熱キャパシタンスおよび温度であり、H
szは、建物ゾーンの空気と浅部質量との間の熱伝達係数であり、C
dおよびT
dは、建物ゾーン内の深部質量の熱キャパシタンスおよび温度であり、H
dsは、浅部質量と深部質量との間の熱伝達係数である。
【0085】
いくつかの実施形態では、サブシステム温度モデラ714は、以下のサブシステム温度モデルを使用して各屋内サブシステムの温度をモデル化し、
【数9】
[この文献は図面を表示できません]
式中、C
bおよびT
bは、インデックスbによって指定された屋内サブシステムの熱キャパシタンスおよび温度であり、T
aは、屋内サブシステムb外の周囲の空気温度(例えば、外気温度)であり、H
bは、屋内サブシステムbと周囲の空気との間の熱伝達係数であり、
【数10】
[この文献は図面を表示できません]
は、MPCシステム600によって屋内サブシステムに適用された冷房の量(すなわち、屋内サブシステムから除去された熱の量)であり、
【数11】
[この文献は図面を表示できません]
は、屋内サブシステムbによって経験された外部負荷、放射線または外乱である。冷房というよりむしろ、暖房が屋内サブシステムに提供される場合は、
【数12】
[この文献は図面を表示できません]
の符号は、負号から正号に切り替えることができる。
【0086】
サブシステム温度モデラ714は、低次元屋内コントローラ612〜616から受信された屋内サブシステム外乱推定を使用して、最適化期間の各時間ステップにおける各屋内サブシステムbに対する外部外乱
【数13】
[この文献は図面を表示できません]
の適切な値を特定することができる。いくつかの実施形態では、サブシステム温度モデラ714は、気象サービス604からの気象予報ならびに/あるいは負荷/料金予測器602によって提供された負荷および料金予測を使用して、最適化期間の各時間ステップにおける各屋内サブシステムbに対する周囲の空気温度T
aおよび/または外部外乱
【数14】
[この文献は図面を表示できません]
の適切な値を決定する。C
bおよびH
bの値は、屋内サブシステムbの低次元屋内コントローラから受信された、ユーザから受信された、メモリ708から回収されたまたはサブシステム温度モデラ714に別の方法で提供された屋内サブシステムbのパラメータとして指定することができる。サブシステム温度モデラ714は、各屋内サブシステムbに対して屋内サブシステム温度モデルを生成することができ、b=1…n
bであり、n
bは、屋内サブシステムの総数である。
【0087】
高次元MPC608は、屋外ユニット需要モデラ722を含むように示されている。屋外ユニット需要モデラ722は、最適化期間の各時間ステップにおける各屋内サブシステムbに割り当てられた熱エネルギー負荷
【数15】
[この文献は図面を表示できません]
の関数として屋外サブシステム638における需要を表すモデルを生成することができる。いくつかの実施形態では、屋外ユニット需要モデラ722は、以下の方程式を使用して屋外ユニット需要をモデル化し、
【数16】
[この文献は図面を表示できません]
式中、
【数17】
[この文献は図面を表示できません]
は、時間ステップkにおける屋外ユニット需要(例えば、時間ステップkにおける屋外サブシステム638の熱エネルギーまたは冷媒状態配分)であり、
【数18】
[この文献は図面を表示できません]
は、時間ステップkにおける屋内サブシステムbに割り当てられた熱エネルギー負荷である。以前の方程式は、屋外サブシステム638における総需要
【数19】
[この文献は図面を表示できません]
が各屋内サブシステムbに割り当てられた熱エネルギー負荷
【数20】
[この文献は図面を表示できません]
の総和であることを示す。この方程式は、各時間ステップkにおける屋内サブシステムをカバーするのに十分な熱エネルギーを屋外サブシステム638が生成することを保証するために、高次元MPC608によって、エネルギーバランス制約として使用することができる。
【0088】
高次元MPC608は、制約モデラ710を含むように示されている。制約モデラ710は、最適化制約を生成し、高次元オプティマイザ712によって実行される最適化手順に課すことができる。制約モデラ710によって課される制約は、例えば、機器能力制約および屋内サブシステム温度制約を含み得る。いくつかの実施形態では、制約モデラ710は、各時間ステップkにおける屋外ユニット需要
【数21】
[この文献は図面を表示できません]
が屋外サブシステム638の最大能力
【数22】
[この文献は図面を表示できません]
以下であることを保証するために、以下の制約
【数23】
[この文献は図面を表示できません]
を課す。
【0089】
いくつかの実施形態では、制約モデラ710は、屋内サブシステム温度T
bに対する制約を課す。例えば、制約モデラ710は、以下の方程式に示されるように、屋内サブシステム温度T
bを最小温度T
minと最大温度T
maxとの間に制約することができ、
T
min≦T
b≦T
max
式中、T
minおよびT
maxの値は、屋内サブシステムの温度セットポイントに基づいて調整することができる。いくつかの実施形態では、制約モデラ710は、屋内サブシステムの低次元屋内コントローラおよび/またはBMSから受信された情報に基づいてT
minおよびT
maxの値を自動的に調整する。例えば、制約モデラ710は、屋内サブシステムに対する温度セットポイントスケジュールおよび/または占有スケジュールを使用して、各時間ステップkに対するT
minおよびT
maxの値を自動的に調整することができる。これにより、制約モデラ710は、屋内サブシステム温度T
bが時間に応じた温度制限(T
min〜T
max)内に維持されるように、屋内サブシステムに対する時間変動セットポイント温度範囲に基づいて温度制限を使用することができる。
【0090】
依然として
図7を参照すると、高次元MPC608は、エネルギー費用モデラ720およびデマンドチャージモデラ718を含むように示されている。エネルギー費用モデラ720は、MPCシステム600によって消費されたエネルギーの費用を表すエネルギー費用モデルを生成することができる。エネルギーの費用は、最適化期間の間にMPCシステム600によって消費された単位エネルギー資源(例えば、電気、水、天然ガスなど)当たりの費用と、最大電力消費量に基づくデマンドチャージの両方を含み得る。エネルギー費用モデルのデマンドチャージコンポーネントは、デマンドチャージモデラ718によってモデル化し、デマンドチャージ制約を介して実施することができる。いくつかの実施形態では、エネルギー費用モデルは、屋外サブシステム638によって消費されたエネルギー資源のみを説明する。他の実施形態では、エネルギー費用モデルは、屋内サブシステム622〜626の電力消費量も説明し、屋内サブシステム622〜626の電力消費量は、屋内電力消費量モデラ716によってモデル化することができる。両方のシナリオの例は、以下で説明する。
【0091】
例1:屋内電力消費量を含まないエネルギー費用モデル
いくつかの実施形態では、エネルギー費用モデラ720は、屋内電力消費量を含まない屋外サブシステム638のエネルギー消費量を説明するエネルギー費用モデルを生成する。例えば、エネルギー費用モデラ720は、以下の方程式を使用して、最適化期間の間の総エネルギー費用をモデル化することができる。
【数24】
[この文献は図面を表示できません]
【0092】
エネルギー費用モデルの第1の項は、最適化期間の各時間ステップkの間に消費された単位エネルギー当たりの費用(例えば、$/kWh)を説明する。いくつかの実施形態では、c
kは、時間ステップkにおける屋外ユニット総需要
【数25】
[この文献は図面を表示できません]
を満たすために時間ステップkにおいて消費された単位エネルギー当たりの費用であり、パラメータη
totは、VRFサブシステムの集計性能の逆係数であり(例えば、0.1≦η
tot≦0.25)、Δは、時間ステップkの持続時間である。それに従って、
【数26】
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の項は、屋外ユニット需要
【数27】
[この文献は図面を表示できません]
を満たすために時間ステップkの間に消費されたエネルギーの総量(例えば、kWh)を表す。消費された単位エネルギー当たりの費用c
k(例えば、$/kWh)を乗じることにより、時間ステップkの間に消費されたエネルギーの総費用(例えば、$)が得られる。エネルギー費用モデルは、最適化期間にわたるエネルギー消費量の総費用を決定するために、各時間ステップkの間のエネルギー費用の総和を含み得る。
【0093】
エネルギー費用モデルの第2の項は、デマンドチャージを説明する。いくつかの実施形態では、c
peakは、デマンドチャージ料金(例えば、$/kW)であり、
【数28】
[この文献は図面を表示できません]
は、デマンドチャージ期間の間のピーク屋外ユニット需要であり、例えば、
【数29】
[この文献は図面を表示できません]
の最大であり、η
totは、VRFサブシステムの集計性能の逆係数である。それに従って、
【数30】
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の項は、ピーク屋外ユニット需要
【数31】
[この文献は図面を表示できません]
を満たすためのピーク電力消費量を表す。デマンドチャージ料金c
peakを乗じることにより、デマンドチャージの総費用(例えば、$)が得られる。
【0094】
いくつかの実施形態では、デマンドチャージモデラ718は、
【数32】
[この文献は図面を表示できません]
が適切な値を有することを保証するために、デマンドチャージ制約を生成する。デマンドチャージ期間が最適化期間(例えば、時間ステップk=0とk=N−1との間)内に完全に含まれる場合は、
【数33】
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の適切な値は、単に、最適化期間の間の
【数34】
[この文献は図面を表示できません]
の最大である。デマンドチャージモデラ718は、ピーク屋外ユニット需要
【数35】
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が各時間ステップにおいて常に屋外ユニット需要
【数36】
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以上であることを保証するために、以下のデマンドチャージ制約を実装することができる。
【数37】
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これにより、ピーク屋外ユニット需要
【数38】
[この文献は図面を表示できません]
は最適化期間の間の最大屋外ユニット需要と少なくとも同じ程度であることが強いられる。
【0095】
最適化期間の前にデマンドチャージ期間が始まる場合は、最適化期間が始まる前のデマンドチャージ期間の間に
【数39】
[この文献は図面を表示できません]
の最大値が起こり得る。デマンドチャージモデラ718は、現在の最適化期間が始まる前に最大屋外ユニット需要が起こった場合であっても、ピーク屋外ユニット需要
【数40】
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が常に同じデマンドチャージ期間の間に起こった最大屋外ユニット需要
【数41】
[この文献は図面を表示できません]
以上であることを保証するために、以下のデマンドチャージ制約
【数42】
[この文献は図面を表示できません]
を実装することができる。いくつかの実施形態では、デマンドチャージモデラ718は、電力公益事業によって課されるデマンドチャージをエネルギー費用モデルが正確に表すことを保証するために新しい最大屋外ユニット需要が設定される度に
【数43】
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を更新する。
【0096】
高次元オプティマイザ712は、エネルギー費用モデル、デマンドチャージモデル、屋内サブシステム温度モデル、屋外ユニット需要モデルおよび最適化制約を使用して最適化問題を公式化することができる。いくつかの実施形態では、高次元オプティマイザ712は、屋内サブシステム温度制約および本明細書で説明される高次元モデルによって提供される他の制約を受けることを条件として、屋外サブシステム638によって消費されるエネルギーの総費用(すなわち、エネルギー費用およびデマンドチャージ)を最小化しようと努める。例えば、高次元オプティマイザ712は、
【数44】
[この文献は図面を表示できません]
として高次元最適化問題を公式化することができ、以下の制約、すなわち、
【数45】
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と、各状態(例えば、液体、気体、過熱気体など)の冷媒の量が各時間ステップkにおいてバランスの取れた状態を保つことを保証する必要がある任意の冷媒バランス制約とを受ける。
【0097】
いくつかの実施形態では、高次元オプティマイザ712は、高次元最適化問題での使用のために、上記で識別されたモデルおよび/または制約のうちの1つ以上を状態・空間形態に変換する。例えば、高次元オプティマイザ712は、先行方程式を以下の形態の離散化状態・空間モデルに変換することができ、
x
k+1=Ax
k+Bu
k+B
dd
k
y
k=Cx
k+Du
k
式中、x
kは、時間ステップkにおけるシステム状態のベクトルであり、u
kは、時間ステップkにおけるシステム入力のベクトルであり、y
kは、時間ステップkにおける測定値またはシステム出力のベクトルであり、d
kは、時間ステップkにおける外乱のベクトルであり、x
k+1は、時間k+1におけるシステム状態(予測されたもの)のベクトルである。表1は、これらのベクトルの各々に含めることができる変数を示す。
【表1】
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【0098】
表1に示されるように、システム状態ベクトルxは、屋内サブシステム温度T
bを含む。いくつかの実施形態では、システム状態ベクトルxは、システム状態ベクトルxの変数の総数nがn
bと等しくなるように、n
b個の屋内サブシステムの各々に対する屋内サブシステム温度T
bを含む。入力ベクトルuは、各屋内サブシステムbに割り当てられた熱エネルギー負荷
【数46】
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を含み得る。いくつかの実施形態では、入力ベクトルuは、入力ベクトルuの変数の総数mがn
bと等しくなるように、n
b個の屋内サブシステムの各々に対する熱エネルギー負荷
【数47】
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を含む。外乱ベクトルdは、各屋内サブシステムに対する周囲の空気温度T
aおよび推定外乱
【数48】
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を含み得る。いくつかの実施形態では、外乱ベクトルdは、外乱ベクトルdの変数の総数n
dがn
b+1と等しくなるように、n
b個の屋内サブシステムの各々に対する推定外乱
【数49】
[この文献は図面を表示できません]
および単一の周囲の空気温度T
aを含む。
【0099】
いくつかの実施形態では、測定値ベクトルyは、システム状態ベクトルxと同じである。これは、すべてのシステム状態が直接測定され(すなわち、y
k=x
k)、状態・空間モデルの行列CおよびDの値がC=IおよびD=0であることを示す。他の実施形態では、システム状態xは、測定値yから構築または予測することができる。例えば、高次元MPC608は、カルマンフィルタまたは他の予測技法を使用して、測定値yからシステム状態xを構築することができる。それに従って、システム状態xは、
【数50】
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と置き換えることができ、ハット記号は、そのような状態が予測されることを示す。状態・空間表現における行列A、B、CおよびDの値は、システム識別技法を使用して識別することができる。高次元MPC608によって使用することができる状態予測およびシステム識別技法の例は、その全開示が参照により本明細書に組み込まれる「System Identification and Model Development」と称する2013年3月13日に出願された米国特許第9,235,657号明細書で詳細に説明されている。
【0100】
例2:屋内電力消費量を含むエネルギー費用モデル
いくつかの実施形態では、エネルギー費用モデラ720は、屋外サブシステム638のエネルギー消費量および屋内サブシステム622〜626のエネルギー消費量の両方を説明するエネルギー費用モデルを生成する。例えば、エネルギー費用モデルは、割り当てられた熱エネルギー負荷
【数51】
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を屋内サブシステムに送るために、屋内VRFユニット622〜626内のファンおよび他のタイプの機器によって消費された電力
【数52】
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を説明することができる。いくつかの実施形態では、各屋内サブシステム632〜636の電力消費量
【数53】
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は、その屋内サブシステムに割り当てられた熱エネルギー負荷
【数54】
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の関数である。
【0101】
屋内電力消費量モデラ716は、屋内電力消費量
【数55】
[この文献は図面を表示できません]
を熱エネルギー負荷
【数56】
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と関係付ける屋内電力消費量モデルを生成することができる。いくつかの実施形態では、屋内電力消費量モデラ716は、以下の方程式を使用して、屋内電力消費量をモデル化する。
【数57】
[この文献は図面を表示できません]
式中、
【数58】
[この文献は図面を表示できません]
は、熱エネルギー負荷
【数59】
[この文献は図面を表示できません]
を送るために屋内サブシステムbの屋内VRFユニット622によって消費された電力の量である。変換係数η
airは、屋内VRFユニット622の性能の係数の関数(例えば、性能の逆係数)であり得る。いくつかの実施形態では、η
airは定数であり、それは、屋内電力消費量
【数60】
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と熱エネルギー負荷
【数61】
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との関係が線形であることを示す。他の実施形態では、η
airは、動作データを使用して負荷および他のパラメータの非線型関数として屋内電力消費量モデラ716によって計算することができる。
【0102】
いくつかの実施形態では、屋内電力消費量モデラ716は、屋内サブシステム内の屋内VRFユニットのタイプ、時刻、快適性限界、周囲条件、冷却水供給温度、冷却水供給流速および/または屋内サブシステム632〜636もしくは屋内サブシステム632〜636のいずれかを特徴付ける他のパラメータなどの様々なシステムパラメータの関数として変換係数η
airを計算する。例えば、屋内電力消費量モデラ716は、屋内VRFユニット622および/または低次元屋内コントローラ612から動作データを収集し、動作データを使用してη
airの適切な値を決定することができる。
【0103】
いくつかの実施形態では、屋内電力消費量モデラ716は、熱エネルギー負荷
【数62】
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および個々のファン電力モデルの関数としてη
airを計算する。例えば、20℃の空気は、以下の方程式に示されるように、密度ρ
airおよび熱容量C
p,airを有し得る。
【数63】
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気流によって提供される熱エネルギー負荷
【数64】
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は、以下のモデルを使用して表すことができる。
【数65】
[この文献は図面を表示できません]
式中、
【数66】
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は、建物ゾーンへの給気の体積流量であり、T
roomは、建物ゾーンの温度であり、T
supplyは、給気の温度である。給気温度T
supplyはおよそ55°Fであり、部屋の気温T
roomはおよそ72°Fであると想定すると、屋内電力消費量モデラ716は、以下のように、単位気流量当たりの熱エネルギー負荷(例えば、空気の冷却能力)を計算することができる。
【数67】
[この文献は図面を表示できません]
【0104】
屋内電力消費量モデラ716は、冷却能力のこの値
【数68】
[この文献は図面を表示できません]
および典型的な屋内VRFユニットのファンの単位体積当たりの推定電力消費量を使用して、η
airの値を推定することができる。例えば、典型的なHVACファンは、1000立方フィート/分(CFM)〜1500 CFMの気流を提供するために、およそ1馬力(hp)を消費する。これらの値は、以下のように、メトリック値に変換することができる。
【数69】
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これらの値を屋内電力消費量モデルに代入すると、
【数70】
[この文献は図面を表示できません]
が得られ、これは、各屋内サブシステム632〜636の屋内電力消費量
【数71】
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は屋内サブシステムによって送られる熱エネルギー負荷
【数72】
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のおよそ10%であることを示す。
【0105】
屋内電力消費量
【数73】
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を
【数74】
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としてモデル化できることを考慮すると、エネルギー費用モデラ720は、以下の方程式を使用して、最適化期間の間の総エネルギー費用をモデル化することができる。
【数75】
[この文献は図面を表示できません]
【0106】
エネルギー費用モデルの第1の部分は、最適化期間の各時間ステップkの間に屋外サブシステム638によって消費された単位エネルギー当たりの費用(例えば、$/kWh)を説明する。いくつかの実施形態では、c
kは、時間ステップkにおいて消費された単位エネルギー当たりの費用であり、Δは、時間ステップkの持続時間であり、η
HVACは、屋外サブシステム638の性能の逆係数である(例えば、η
HVAC≒0.2)。
【数76】
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の項は、屋外ユニット需要
【数77】
[この文献は図面を表示できません]
を満たすための時間ステップkの間の屋外サブシステム638による電力消費量(例えば、kW)を表す。消費された単位エネルギー当たりの費用c
k(例えば、$/kWh)および持続時間Δ(例えば、時間)を乗じることにより、時間ステップkの間に屋外サブシステム638によって消費されたエネルギーの総費用(例えば、$)が得られる。エネルギー費用モデルの第1の部分は、最適化期間の間に屋外サブシステム638によって消費された総エネルギーを決定するために、最適化期間のすべての時間ステップk=0…N−1にわたる総和を求めることができる。
【0107】
エネルギー費用モデルの第2の部分は、最適化期間の各時間ステップkの間に各屋内サブシステムによって消費された単位エネルギー当たりの費用(例えば、$/kWh)を説明する。上記で説明されるように、η
airは、屋内サブシステムの性能の逆係数であり(例えば、η
air≒0.1)、
【数78】
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は、時間ステップkにおいて屋内サブシステムbによって送られた熱エネルギー負荷である。
【数79】
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の項は、サブシステムbに対する屋内VRFユニットの電力消費量
【数80】
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を表す。エネルギー費用モデルの第2の部分は、最適化期間の間のすべての屋内サブシステムの総電力消費量を決定するために、すべての屋内サブシステムb=1…n
bにわたるおよびすべての時間ステップk=0…N−1にわたる総和を求めることができる。消費された単位エネルギー当たりの費用c
k(例えば、$/kWh)および持続時間Δ(例えば、時間)を乗じることにより、最適化期間の間に屋内サブシステムによって消費されたエネルギーの総費用(例えば、$)が得られる。
【0108】
エネルギー費用モデルの第3の部分は、デマンドチャージを説明する。いくつかの実施形態では、c
peakは、デマンドチャージ料金(例えば、$/kW)であり、
【数81】
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は、適用可能なデマンドチャージ期間の間のピーク集計屋内および屋外電力消費量である。デマンドチャージ料金c
peakを乗じることにより、デマンドチャージの総費用(例えば、$)が得られる。いくつかの実施形態では、デマンドチャージモデラ718は、
【数82】
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が適切な値を有することを保証するために、デマンドチャージ制約を生成する。デマンドチャージ期間が最適化期間(例えば、時間ステップk=0とk=N−1との間)内に完全に含まれる場合は、
【数83】
[この文献は図面を表示できません]
の適切な値は、最適化期間の間の任意の時間ステップkにおける組み合わされた屋内/屋外電力消費量の最大である。デマンドチャージモデラ718は、ピーク電力消費量
【数84】
[この文献は図面を表示できません]
が各時間ステップにおいて常に屋外電力消費量
【数85】
[この文献は図面を表示できません]
および屋内電力消費量
【数86】
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の総和以上であることを保証するために、以下のデマンドチャージ制約を実装することができる。
【数87】
[この文献は図面を表示できません]
これにより、ピーク電力消費量
【数88】
[この文献は図面を表示できません]
は最適化期間の間の最大の組み合わされた屋内/屋外電力消費量と少なくとも同じ程度であることが強いられる。
【0109】
最適化期間の前にデマンドチャージ期間が始まる場合は、最適化期間が始まる前のデマンドチャージ期間の間に最大ピーク電力消費量が起こり得る。デマンドチャージモデラ718は、現在の最適化期間が始まる前に最大電力消費量が起こった場合であっても、ピーク電力消費量
【数89】
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が常に同じデマンドチャージ期間の間に起こった最大電力消費量
【数90】
[この文献は図面を表示できません]
以上であることを保証するために、以下のデマンドチャージ制約
【数91】
[この文献は図面を表示できません]
を実装することができる。いくつかの実施形態では、デマンドチャージモデラ718は、電力公益事業によって課されるデマンドチャージをエネルギー費用モデルが正確に表すことを保証するために新しい最大電力消費量が設定される度に
【数92】
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を更新する。
【0110】
高次元オプティマイザ712は、エネルギー費用モデル、屋内電力消費量モデル、デマンドチャージモデル、屋内サブシステム温度モデル、屋外ユニット需要モデルおよび最適化制約を使用して最適化問題を公式化することができる。いくつかの実施形態では、高次元オプティマイザ712は、屋内サブシステム温度制約および本明細書で説明される高次元モデルによって提供される他の制約を受けることを条件として、集計VRFシステムによって消費されるエネルギーの総費用を最小化しようと努める。例えば、高次元オプティマイザ712は、
【数93】
[この文献は図面を表示できません]
として高次元最適化問題を公式化することができ、以下の制約、すなわち、
【数94】
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と、以前に説明されるような任意の冷媒バランス制約とを受ける。
【0111】
いくつかの実施形態では、高次元オプティマイザ712は、高次元最適化問題での使用のために、上記で識別されたモデルおよび/または制約のうちの1つ以上を状態・空間形態に変換する。例えば、高次元オプティマイザ712は、先行方程式を以下の形態の離散化状態・空間モデルに変換することができ、
x
k+1=Ax
k+Bu
k+B
dd
k
y
k=Cx
k+Du
k
式中、x
kは、時間ステップkにおけるシステム状態のベクトルであり、u
kは、時間ステップkにおけるシステム入力のベクトルであり、y
kは、時間ステップkにおける測定値またはシステム出力のベクトルであり、d
kは、時間ステップkにおける外乱のベクトルであり、x
k+1は、時間k+1におけるシステム状態(予測されたもの)のベクトルである。各ベクトルに含まれる変数は、上記の表1に示されるものと同じものであり得る。
【0112】
高次元オプティマイザ712は、最適化期間の各時間ステップkにおけるベクトルuの各入力変数に対する最適値を決定するために、最適化手順を実行することができる。例えば、高次元オプティマイザ712は、各時間ステップkにおける各時間ステップkにおける各屋内サブシステムbに割り当てられた熱エネルギー負荷
【数95】
[この文献は図面を表示できません]
の各々に対する最適値を決定することができる。同じ屋内サブシステムインデックスbを有する熱エネルギー負荷
【数96】
[この文献は図面を表示できません]
の各セットは、特定の屋内サブシステムに対する負荷プロファイルを形成し、最適化期間の各時間ステップkに対する負荷値を含む。高次元オプティマイザ712は、低次元屋内コントローラ612〜616に屋内サブシステム負荷プロファイルを提供することができる。
【0113】
いくつかの実施形態では、高次元オプティマイザ712は、各低次元屋内サブシステム632〜636に対する予測温度状態
【数97】
[この文献は図面を表示できません]
のベクトルを生成する。予測温度状態
【数98】
[この文献は図面を表示できません]
の各ベクトルは、最適化期間の間の各時間ステップkに対する予測温度状態
【数99】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得る。温度状態
【数100】
[この文献は図面を表示できません]
は、例えば、米国特許第9,235,657号明細書で説明されるようなカルマンフィルタを含む、様々な予測技法のいずれかを使用して予測することができる。高次元オプティマイザ712は、対応する低次元屋内サブシステム632〜636の低次元屋内コントローラ612〜616に予測温度状態
【数101】
[この文献は図面を表示できません]
の各ベクトルを提供することができる。いくつかの実施形態では、低次元屋内コントローラ612〜616は、予測温度状態
【数102】
[この文献は図面を表示できません]
を使用して、各時間ステップkにおける予測温度状態
【数103】
[この文献は図面を表示できません]
を追跡するゾーン温度セットポイントを生成する。
【0114】
いくつかの実施形態では、高次元オプティマイザ712は、各時間ステップkにおける屋内サブシステム熱エネルギー負荷
【数104】
[この文献は図面を表示できません]
の総和として、各時間ステップkにおける屋外サブシステム638における総需要
【数105】
[この文献は図面を表示できません]
を計算する。屋外需要値のセットは、屋外サブシステム638に対する需要プロファイルを形成し、最適化期間の各時間ステップkに対する需要値を含む。特定の時間ステップkに対する需要値
【数106】
[この文献は図面を表示できません]
は、その時間ステップkにおいて屋外サブシステム638によって満たさなければならない総需要を表す。高次元オプティマイザ712は、低次元屋外コントローラ618に屋外ユニット需要プロファイルを提供することができる。
【0115】
低次元屋内モデル予測コントローラ
ここで
図8を参照すると、いくつかの実施形態による、低次元屋内モデル予測コントローラ(MPC)612をさらに詳細に示すブロック図が示されている。たった1つの低次元屋内MPC612しか詳細に示されていないが、制御システム600の他のいかなる低次元屋内MPC(例えば、低次元屋内MPC614〜616)も、低次元屋内MPC612と同じコンポーネントのいくつかまたはすべてを含み得ることを理解すべきである。制御システム600は、いかなる数の低次元屋内MPCも含み得、その各々は、別個の低次元屋内サブシステム(例えば、屋内サブシステム632〜636)のモニタおよび制御を行うために、独立して動作することができる。
【0116】
低次元屋内MPC612は、通信インタフェース802および処理回路804が示されている。通信インタフェース802は、様々なシステム、デバイスまたはネットワークとのデータ通信を実施するための有線または無線インタフェース(例えば、ジャック、アンテナ、送信機、受信機、トランシーバ、ワイヤ端子など)を含み得る。例えば、通信インタフェース802は、イーサネットベースの通信ネットワークを介してデータを送信および受信するためのイーサネットカードおよびポートならびに/あるいは無線通信ネットワークを介して通信するためのWiFiトランシーバを含み得る。通信インタフェース802は、ローカルエリアネットワークまたは広域ネットワーク(例えば、インターネット、建物WANなど)を介して通信するように構成することができ、様々な通信プロトコル(例えば、BACnet、IP、LONなど)を使用することができる。
【0117】
通信インタフェース802は、低次元屋内MPC612と様々な外部のシステムまたはデバイス(例えば、気象サービス604、高次元MPC608、屋内VRFユニット622など)との間の電子データ通信を容易にするように構成されたネットワークインタフェースであり得る。例えば、低次元屋内MPC612は、気象サービス604から気象予報を受信することおよび/または負荷/料金予測器602から負荷予測を受信することができる。低次元屋内MPC612は、制御される建物またはキャンパスの1つ以上の測定状態(例えば、温度、湿度、電気負荷など)および屋内サブシステム632の1つ以上の状態(例えば、機器ステータス、電力消費量、機器利用可能性など)を示す測定値をBMSから受信することができる。低次元屋内MPC612は、予測温度状態および/または負荷プロファイルを高次元MPC608から受信することができる。低次元屋内MPC612は、通信インタフェース802で受信された情報を使用して、低次元屋内サブシステム632のゾーン温度セットポイント各ゾーンおよび/または低次元屋内サブシステム632の各屋内VRFユニットに対する冷媒流量セットポイントを生成することができる。低次元屋内MPC612は、屋内VRFユニット622にゾーン温度セットポイントおよび/または冷媒流量セットポイントを提供することができる。
【0118】
処理回路804は、プロセッサ806およびメモリ808を含むように示されている。プロセッサ806は、汎用もしくは専用プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、1群の処理コンポーネントまたは他の適切な処理コンポーネントであり得る。プロセッサ806は、メモリ808に格納されるかまたは他のコンピュータ可読媒体(例えば、CDROM、ネットワーク記憶装置、リモートサーバなど)から受信されるコンピュータコードまたは命令を実行するように構成することができる。
【0119】
メモリ808は、本開示で説明される様々なプロセスの完了および/または促進のためのデータおよび/またはコンピュータコードを格納するための1つ以上のデバイス(例えば、メモリユニット、メモリデバイス、記憶装置など)を含み得る。メモリ808は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、ハードドライブストレージ、一時記憶装置、不揮発性メモリ、フラッシュメモリ、光メモリ、あるいは、ソフトウェアオブジェクトおよび/またはコンピュータ命令を格納するための他の任意の適切なメモリを含み得る。メモリ808は、本開示で説明される様々な活動および情報構造をサポートするためのデータベース構成要素、オブジェクトコード構成要素、スクリプト構成要素または他の任意のタイプの情報構造を含み得る。メモリ808は、処理回路804を介してプロセッサ806に通信可能に接続することができ、本明細書で説明される1つ以上のプロセスを実行する(例えば、プロセッサ806によって)ためのコンピュータコードを含み得る。プロセッサ806がメモリ808に格納された命令を実行する際、プロセッサ806は、一般に、そのような活動を完了するように低次元屋内MPC612(より具体的には、処理回路804)を構成する。
【0120】
依然として
図8を参照すると、低次元屋内MPC612は、ゾーン外乱予測器824を含むように示されている。ゾーン外乱予測器824は、屋内サブシステム632の各ゾーンiに対する外乱予測を生成することができる。この開示全体を通じて、インデックスiは、個々のゾーンを示すために使用され、i=1…n
zであり、n
zは、所定の屋内サブシステムのゾーンの総数である。いくつかの実施形態では、各ゾーンiは、ゾーンiの温度を制御するように構成された特定の屋内VRFユニットと独特に関連付けられる。それに従って、インデックスiは、個々の屋内VRFユニットを示すこともできる。ゾーンiに対する外乱予測は、外乱値のベクトル
【数107】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得、ベクトル
【数108】
[この文献は図面を表示できません]
の各要素は、最適化期間の特定の時間ステップkに対する予測外乱値
【数109】
[この文献は図面を表示できません]
を含む。
【0121】
ゾーン外乱予測器824は、気象サービス604から気象予報を受信するように示されている。いくつかの実施形態では、ゾーン外乱予測器824は、気象予報の関数として外乱予測を生成する。いくつかの実施形態では、ゾーン外乱予測器824は、規制層620からのフィードバックを使用して外乱予測を生成する。規制層620からのフィードバックは、様々なタイプの感覚入力(例えば、温度、流れ、湿度、エンタルピなど)または制御される建物もしくはキャンパスに関連する他のデータ(例えば、建物占有データ、建物電気負荷など)を含み得る。いくつかの実施形態では、ゾーン外乱予測器824は、外乱予測を生成するために、負荷データ履歴から訓練された決定論的モデルに確率論的モデルを加えたものを使用する。ゾーン外乱予測器824は、様々な予測方法(例えば、決定論的部分に対する線形回帰および確率論的部分に対する自己回帰モデル)のいずれかを使用して外乱予測を生成することができる。
【0122】
ゾーン外乱予測器824は、各建物ゾーンiに対して1つ以上の異なるタイプの外乱を予測することができる。例えば、ゾーン外乱予測器824は、各建物ゾーンi内の空気と建物の壁を通じる外気との間の熱伝達から生じる熱負荷を予測することができる。ゾーン外乱予測器824は、建物ゾーン内の内部熱生成(例えば、建物ゾーン内の電子機器によって生成された熱、ゾーン占有物によって生成された熱)から生じる熱負荷を予測することができる。いくつかの実施形態では、ゾーン外乱予測器824は、米国特許出願第14/717,593号明細書で説明される予測技法を使用して、外乱予測を行う。
【0123】
依然として
図8を参照すると、低次元屋内MPC612は、ゾーン温度モデラ814を含むように示されている。ゾーン温度モデラ814は、屋内サブシステム632の各建物ゾーンiに対する温度モデルを生成することができる。屋内サブシステム632は、いかなる数のゾーンも有し得る。いくつかの実施形態では、各ゾーンの温度は、独立して制御および/または調整を行うことができる。いくつかの建物ゾーンは互いに熱を交換することができるのに対して(例えば、建物ゾーンが互いに隣接する場合)、他の建物ゾーンは、エネルギーを直接交換しない。一般に、ゾーン温度モデラ814は、n
z個のゾーン温度モデルを生成することができ、n
zは、屋内サブシステム632のゾーンの総数である。
【0124】
いくつかの実施形態では、ゾーン温度モデラ814は、ゾーン熱伝達モデルを使用して各建物ゾーンの温度をモデル化する。単一の建物ゾーンの暖房または冷房の動力学は、エネルギーバランス
【数110】
[この文献は図面を表示できません]
によって説明され、式中、Cは、建物ゾーンの熱キャパシタンスであり、Hは、建物ゾーンに対する周囲の熱伝達係数であり、Tは、建物ゾーンの温度であり、T
aは、建物ゾーン外の周囲温度(例えば、外気温度)であり、
【数111】
[この文献は図面を表示できません]
は、建物ゾーンに適用された冷房の量(すなわち、冷却負荷)であり、
【数112】
[この文献は図面を表示できません]
は、建物ゾーンによって経験された外部負荷、放射線または他の外乱である。以前の方程式では、
【数113】
[この文献は図面を表示できません]
は、HVACシステムによって建物ゾーンから出る熱伝達(すなわち、冷却)を表し、従って、負号を有する。しかし、冷房というよりむしろ、暖房が建物ゾーンに適用される場合は、
【数114】
[この文献は図面を表示できません]
の符号は、正号に切り替えることができ、その結果、
【数115】
[この文献は図面を表示できません]
は、HVACシステムによって建物ゾーンに適用された暖房(すなわち、加熱負荷)の量を表す。
【0125】
以前の方程式は、建物ゾーンのすべての質量および空気プロパティを組み合わせて単一のゾーン温度にする。ゾーン温度モデラ814によって使用することができる他の熱伝達モデルは、以下の空気および質量ゾーンモデルを含み、
【数116】
[この文献は図面を表示できません]
式中、C
zおよびT
zは、建物ゾーンの空気の熱キャパシタンスおよび温度であり、T
aは、周囲の空気温度であり、H
azは、建物ゾーンの空気と建物ゾーン外の周囲の空気(例えば、建物ゾーンの外部壁を通じる)との間の熱伝達係数であり、C
mおよびT
mは、建物ゾーン内の非空気質量の熱キャパシタンスおよび温度であり、H
mzは、建物ゾーンの空気と非空気質量との間の熱伝達係数である。
【0126】
以前の方程式は、建物ゾーンのすべての質量プロパティを組み合わせて単一のゾーン質量にする。ゾーン温度モデラ814によって使用することができる他の熱伝達モデルは、以下の空気、浅部質量および深部質量ゾーンモデルを含み、
【数117】
[この文献は図面を表示できません]
C
zおよびT
zは、建物ゾーンの空気の熱キャパシタンスおよび温度であり、T
aは、周囲の空気温度であり、H
azは、建物ゾーンの空気と建物ゾーン外の周囲の空気(例えば、建物ゾーンの外部壁を通じる)との間の熱伝達係数であり、C
sおよびT
sは、建物ゾーン内の浅部質量の熱キャパシタンスおよび温度であり、H
szは、建物ゾーンの空気と浅部質量との間の熱伝達係数であり、C
dおよびT
dは、建物ゾーン内の深部質量の熱キャパシタンスおよび温度であり、H
dsは、浅部質量と深部質量との間の熱伝達係数である。
【0127】
いくつかの実施形態では、ゾーン温度モデラ814は、以下のゾーン温度モデルを使用して各建物ゾーンの温度をモデル化し、
【数118】
[この文献は図面を表示できません]
式中、C
iおよびT
iは、ゾーンインデックスiによって指定された建物ゾーンの熱キャパシタンスおよび温度であり、T
aは、ゾーンi外の周囲の空気温度(例えば、外気温度)であり、H
iは、ゾーンiと周囲の空気との間の熱伝達係数であり、
【数119】
[この文献は図面を表示できません]
は、MPCシステム600によって建物ゾーンiに適用された冷房の量(すなわち、ゾーンから除去された熱の量)であり、
【数120】
[この文献は図面を表示できません]
は、ゾーンiによって経験された外部負荷、放射線または外乱である。冷房というよりむしろ、暖房がゾーンに提供される場合は、
【数121】
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の符号は、負号から正号に切り替えることができる。
【0128】
パラメータβ
ijは、ゾーンiと別のゾーンj(例えば、ゾーンiに隣接する建物ゾーン)との間の結合度を特徴付ける。ゾーンiとjが隣接していないおよび/または互いに熱を直接交換しない場合は、ゾーン温度モデラ814は、β
ijの値を0と等しく設定することができる。ゾーン温度モデルは、ゾーン温度T
i、T
jおよび結合係数β
ijの関数として建物ゾーンiと他の各建物ゾーンj≠iとの間の熱伝達の総和を含み得る。他の実施形態では、ゾーン間の熱伝達は、外部外乱推定
【数122】
[この文献は図面を表示できません]
を使用して説明することができる。
【0129】
ゾーン温度モデラ814は、ゾーン外乱予測器824から受信されたゾーン外乱推定を使用して、最適化期間の各時間ステップにおける各ゾーンiに対する外部外乱
【数123】
[この文献は図面を表示できません]
の適切な値を特定することができる。いくつかの実施形態では、ゾーン温度モデラ814は、気象サービス604からの気象予報ならびに/あるいは負荷/料金予測器602によって提供された負荷および料金予測を使用して、最適化期間の各時間ステップにおける各ゾーンiに対する周囲の空気温度T
aおよび/または外部外乱
【数124】
[この文献は図面を表示できません]
の適切な値を決定する。C
iおよびH
iの値は、建物ゾーンiを管理するBMSから受信された、ユーザから受信された、メモリ808から回収されたまたはゾーン温度モデラ814に別の方法で提供されたゾーンiのパラメータとして指定することができる。ゾーン温度モデラ814は、各ゾーンiに対してゾーン温度モデルを生成することができ、i=1…n
zであり、n
zは、ゾーンの総数である。
【0130】
依然として
図8を参照すると、低次元屋内MPC612は、サブシステム負荷モデラ816を含むように示されている。サブシステム負荷モデラ816は、個々のゾーン負荷
【数125】
[この文献は図面を表示できません]
の関数として、屋内サブシステムに送られた熱エネルギーの総量Q
total(例えば、サブシステムに送られる暖房または冷房の総量)のモデルを生成することができる。いくつかの実施形態では、サブシステム負荷モデラ816は、以下の方程式を使用してサブシステムの総負荷をモデル化する。
【数126】
[この文献は図面を表示できません]
式中、Q
totalは、屋内サブシステムに送られた熱エネルギー(例えば、加熱または冷却)の総量であり、
【数127】
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は、特定のゾーンiにおける熱エネルギーが送られているレート(電力の単位)である。屋内サブシステム負荷モデルは、各建物ゾーンの熱エネルギー負荷
【数128】
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を総和して、屋内サブシステムに送られた熱エネルギーの総量Q
totalの微分である屋内サブシステムの総熱エネルギー負荷
【数129】
[この文献は図面を表示できません]
を計算することができる。
【0131】
低次元屋内MPC612は、冷却/加熱デューティモデラ820を含むように示されている。冷却/加熱デューティモデラ820は、以下の方程式に示されるように、ゾーン温度T
iおよびゾーンセットポイントu
iの関数として各建物ゾーンの熱エネルギー負荷
【数130】
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を定義する1つ以上のモデルを生成することができる。
【数131】
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冷却/加熱デューティモデラ820によって生成されたモデルは、ゾーン温度T
iが許容可能なまたは快適な温度範囲から外れることになる値まで熱エネルギー負荷
【数132】
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が低減されないことを保証するために、最適化制約として使用することができる。
【0132】
いくつかの実施形態では、ゾーンセットポイントu
iは、動作モードセットポイントz
i(例えば、加熱または冷却)および冷媒流量セットポイントm
iを含む。例えば、ゾーンセットポイントu
iは、以下のように表現することができ、
【数133】
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式中、変数z
iは、建物ゾーンiに対する屋内VRFユニットの動作モードを示し、変数m
iは、建物ゾーンiに対する屋内VRFユニットに対する冷媒流量レートセットポイントを示す。いくつかの実施形態では、動作モードz
iは、以下の方程式に示されるようなバイナリ変数であり、
【数134】
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式中、z
i=1の値は、動作モードが冷却であることを示すのに対して、z
i=0の値は、動作モードが加熱であるかまたは冷却ではないことを示す。
【0133】
いくつかの実施形態では、冷却/加熱デューティモデラ820は、以下のモデルを使用して、ゾーン熱エネルギー負荷
【数135】
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(すなわち、建物ゾーンiの冷却デューティまたは加熱デューティ)を冷媒流量m
iと関連付ける。
【数136】
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式中、α
i,c(T
i)は、ゾーン冷却デューティ、すなわち、動作モードが冷却である際のゾーン熱エネルギー負荷
【数137】
[この文献は図面を表示できません]
と冷媒流量m
iとの間の変換係数であり、α
i,h(T
i)は、ゾーン加熱デューティ、すなわち、動作モードが加熱である際のゾーン熱エネルギー負荷
【数138】
[この文献は図面を表示できません]
と冷媒流量m
iとの間の変換係数である。いくつかの実施形態では、変換係数α
i,c(T
i)およびα
i,h(T
i)は両方とも、ゾーン温度T
iの関数である。ゾーン温度T
iと変換係数α
i,c(T
i)およびα
i,h(T
i)との間の関係は、冷却/加熱デューティモデラ820が測定されたまたは推定されたゾーン温度T
iに基づいてα
i,c(T
i)およびα
i,h(T
i)の値を計算できるように事前に定義することができる。他の実施形態では、変換係数α
i,c(T
i)およびα
i,h(T
i)の一方または両方は、一定の値を有し得、その場合、冷却/加熱デューティモデルは、混合整数線形計画(MILP)として公式化することができる。
【0134】
いくつかの実施形態では、ゾーンセットポイントu
iは、ゾーン温度セットポイントT
sp,iである。冷却/加熱デューティモデラ820は、複数のモデルを使用して、ゾーン熱エネルギー負荷
【数139】
[この文献は図面を表示できません]
をゾーン温度T
iおよびゾーン温度セットポイントT
sp,iと関連付けることができる。例えば、冷却/加熱デューティモデラ820は、ゾーン温度T
iおよびゾーン温度セットポイントT
sp,iの関数としてコントローラによって実行される制御動作を決定するためにゾーン規制コントローラのモデルを使用することができる。そのようなゾーン規制コントローラモデルの例は、以下の方程式に示されている。
v
air,i=f
1(T
i,T
sp,i)
式中、v
air,iは、建物ゾーンiへの気流の速度(すなわち、制御動作)である。関数f
1は、データから特定することができる。例えば、冷却/加熱デューティモデラ820は、v
air,iおよびT
iの測定値を収集し、対応するT
sp,iの値を特定することができる。冷却/加熱デューティモデラ820は、そのような変数間の関係を定義する関数f
1を決定するために訓練データとして収集されたv
air,i、T
iおよびT
sp,iの値を使用してシステム識別プロセスを実行することができる。
【0135】
冷却/加熱デューティモデラ820は、以下の方程式に示されるように、制御動作v
air,iをゾーン熱エネルギー負荷
【数140】
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と関連付けるエネルギーバランスモデルを使用することができ、
【数141】
[この文献は図面を表示できません]
式中、関数f
2は、訓練データから特定することができる。冷却/加熱デューティモデラ820は、そのような変数間の関係を定義する関数f
2を決定するために収集されたv
air,iおよび
【数142】
[この文献は図面を表示できません]
の値を使用してシステム識別プロセスを実行することができる。
【0136】
いくつかの実施形態では、
【数143】
[この文献は図面を表示できません]
とv
air,iとの間には線形関係が存在する。理想的な比例・積分(PI)コントローラおよび
【数144】
[この文献は図面を表示できません]
とv
air,iとの間の線形関係を想定すると、簡略化された線形コントローラモデルを使用して、ゾーン温度T
iおよびゾーン温度セットポイントT
sp,iの関数として各建物ゾーンの熱エネルギー負荷
【数145】
[この文献は図面を表示できません]
を定義することができる。そのようなモデルの例は、以下の方程式に示され、
【数146】
[この文献は図面を表示できません]
式中、
【数147】
[この文献は図面を表示できません]
は、加熱または冷却レートの定常状態レートであり、K
c,iは、スケーリング済みのゾーンPIコントローラ比例利得であり、τ
I,iは、ゾーンPIコントローラ積分時間であり、ε
iは、セットポイント誤差(すなわち、ゾーン温度セットポイントT
i,spとゾーン温度T
spとの差)である。飽和は、
【数148】
[この文献は図面を表示できません]
に対する制約によって表すことができる。ゾーンiに対するPIコントローラおよび屋内VRFユニットの熱伝達をモデル化するのに線形モデルが十分に正確ではない場合は、非線形加熱/冷却デューティモデルを代わりに使用することができる。
【0137】
有利には、低次元最適化問題において規制コントローラ(例えば、ゾーンPIコントローラ)をモデル化することにより、低次元屋内MPC612は、最適な温度セットポイントを決定する際に、規制コントローラの動力学を使用することができる。いくつかの実施形態では、規制コントローラの応答は、遅い場合がある。例えば、いくつかのゾーンでは、新しい温度セットポイントに達するまでに最大で1時間要し得る。低次元MPC問題において規制コントローラの動力学を使用することにより、低次元屋内MPC612は、制御動作から効果までの時間を考慮することができ、その結果、時間変動エネルギー価格を考慮して最適な温度セットポイントを選択することができる。
【0138】
依然として
図8を参照すると、低次元屋内MPC612は、制約モデラ810を含むように示されている。制約モデラ810は、最適化制約を生成し、低次元オプティマイザ812によって実行される最適化手順に課すことができる。制約モデラ810によって課される制約は、例えば、機器能力制約およびゾーン温度制約を含み得る。いくつかの実施形態では、制約モデラ810は、ゾーン温度T
iに対する制約を課す。例えば、制約モデラ810は、以下の方程式に示されるように、ゾーン温度T
iを最小温度T
minと最大温度T
maxとの間に制約することができ、
T
min≦T
i≦T
max
式中、T
minおよびT
maxの値は、屋内サブシステムの温度セットポイントに基づいて調整することができる。
【0139】
いくつかの実施形態では、制約モデラ810は、建物ゾーンに対するBMSから受信された情報に基づいてT
minおよびT
maxの値を自動的に調整する。例えば、制約モデラ810は、建物ゾーンに対する温度セットポイントスケジュールおよび/または占有スケジュールを使用して、各時間ステップkに対するT
minおよびT
maxの値を自動的に調整することができる。これにより、制約モデラ810は、建物温度T
iが時間に応じた温度制限(T
min〜T
max)内に維持されるように、ゾーンに対する時間変動セットポイント温度範囲に基づいて温度制限を使用することができる。
【0140】
いくつかの実施形態では、制約モデラ810は、任意の時間ステップkの間の屋内サブシステムの総負荷が、高次元MPC608によって屋内サブシステムに割り当てられた熱エネルギー負荷以下であることを保証するために制約を課す。例えば、制約モデラ810は、以下のような制約を課すことができる。
【数149】
[この文献は図面を表示できません]
式中、Q
total,k+1は、時間ステップk+1において消費された屋内サブシステムの総エネルギーであり、Q
total,kは、時間ステップkにおいて消費された屋内サブシステムの総エネルギーであり、
【数150】
[この文献は図面を表示できません]
は、高次元MPC608によって屋内サブシステムbに割り当てられた熱エネルギー負荷であり、Δは、各時間ステップの持続時間である。方程式の左側は、時間ステップkの間の屋内サブシステム熱エネルギー負荷(すなわち、連続時間ステップ間に送られた総熱エネルギーの変化を時間ステップ持続時間で除したもの)を表すのに対して、方程式の右側は、高次元MPC608によって時間ステップkの間に屋内サブシステムbに割り当てられた熱エネルギー負荷を表す。
【0141】
いくつかの実施形態では、制約モデラ810は、以下の方程式に示されるように、送られる熱エネルギーの総量が連続時間ステップ間で減少しないことを保証するために追加の制約を課す。
Q
total,k+1−Q
total,k≧0
Q
total,k+1は時間ステップk+1までに送られた熱エネルギーの量の総和であるため、この制約は、低次元オプティマイザ812が時間ステップkにおける熱エネルギー負荷
【数151】
[この文献は図面を表示できません]
に対して負の値を選択することを防ぐ。言い換えれば、熱エネルギーが送られるレート、すなわち、
【数152】
[この文献は図面を表示できません]
は、最適化期間にわたって送られた熱エネルギーの総量に加えることはできるが、送られた熱エネルギーの総量から減ずることはできない。
【0142】
低次元オプティマイザ812は、ゾーン温度モデル、屋内サブシステム負荷モデル、冷却/加熱デューティモデルおよび最適化制約を使用して最適化問題を公式化することができる。いくつかの実施形態では、低次元最適化問題は、ゾーン温度制約および本明細書で説明される低次元モデルによって提供される他の制約を受けることを条件として、最適化期間にわたって屋内サブシステム632によって使用される熱エネルギーの総量Q
total,Nを最小化しようと努める。例えば、低次元オプティマイザ812は、
【数153】
[この文献は図面を表示できません]
として低次元最適化問題を公式化することができ、以下の制約を受ける。
【数154】
[この文献は図面を表示できません]
式中、関数fは、以前に説明されるように、ゾーン熱エネルギー負荷
【数155】
[この文献は図面を表示できません]
とゾーンセットポイントu
i(例えば、ゾーン温度セットポイントT
sp,iまたは動作モードz
iおよび冷媒流量レートm
i)との間の関係に従って定義される。
【0143】
いくつかの実施形態では、低次元オプティマイザ812は、低次元最適化問題での使用のために、上記で識別されたモデルおよび/または制約のうちの1つ以上を状態・空間形態に変換する。例えば、低次元オプティマイザ812は、先行方程式を以下の形態の離散化状態・空間モデルに変換することができ、
x
k+1=Ax
k+Bu
k+B
dd
k
y
k=Cx
k+Du
k
式中、x
kは、時間ステップkにおけるシステム状態のベクトルであり、u
kは、時間ステップkにおけるシステム入力のベクトルであり、y
kは、時間ステップkにおける測定値またはシステム出力のベクトルであり、d
kは、時間ステップkにおける外乱のベクトルであり、x
k+1は、時間k+1におけるシステム状態(予測されたもの)のベクトルである。表2は、これらのベクトルの各々に含めることができる変数を示す。
【表2】
[この文献は図面を表示できません]
【0144】
表2に示されるように、システム状態ベクトルxは、ゾーン温度T
i、ゾーン追跡誤差の積分
【数156】
[この文献は図面を表示できません]
および屋内サブシステムに送られた総熱エネルギーを含む。いくつかの実施形態では、システム状態ベクトルxは、システム状態ベクトルxの変数の総数nが2n
z+1と等しくなるように、n
z個のゾーンの各々に対するゾーン温度T
iおよび積分されたゾーン追跡誤差
【数157】
[この文献は図面を表示できません]
ならびに単一の総熱エネルギー値を含む。入力ベクトルuは、ゾーンセットポイントu
i(例えば、ゾーン温度セットポイントT
sp,iまたは動作モードz
iおよび冷媒流量レートm
i)を含み得る。いくつかの実施形態では、入力ベクトルuは、入力ベクトルuの変数の総数mがn
zと等しくなるように、n
z個のゾーンの各々に対するゾーンセットポイントu
iを含む。
【0145】
いくつかの実施形態では、測定値ベクトルyは、システム状態ベクトルxと同じであるが、積分されたゾーン追跡誤差
【数158】
[この文献は図面を表示できません]
は含まない。これは、ゾーン温度T
iおよび送られた熱エネルギーの総量Q
totalが直接測定されることを示す。積分されたゾーン追跡誤差
【数159】
[この文献は図面を表示できません]
の値は、T
i,spとT
iとの差から計算することができる。外乱ベクトルdは、周囲の空気温度T
a、各ゾーンに対する推定外乱
【数160】
[この文献は図面を表示できません]
および各ゾーンに対する加熱/冷却の定常状態レート
【数161】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得る。いくつかの実施形態では、外乱ベクトルdは、外乱ベクトルdの変数の総数n
dがn
z+1と等しくなるように、n
z個の屋内サブシステムの各々に対する推定外乱
【数162】
[この文献は図面を表示できません]
および加熱/冷却の定常状態レート
【数163】
[この文献は図面を表示できません]
ならびに単一の周囲の空気温度T
aを含む。
【0146】
いくつかの実施形態では、システム状態xは、測定値yから構築または予測することができる。例えば、低次元屋内MPC612は、カルマンフィルタまたは他の予測技法を使用して、測定値yからシステム状態xを構築することができる。状態・空間表現における行列A、B、CおよびDの値は、システム識別技法を使用して識別することができる。低次元屋内MPC612によって使用することができる状態予測およびシステム識別技法の例は、米国特許第9,235,657号明細書で詳細に説明されている。
【0147】
依然として
図8を参照すると、低次元屋内MPC612は、モデルアグリゲータ818を含むように示されている。モデルアグリゲータ818は、低次元最適化で使用される様々な屋内サブシステムパラメータおよび/または変数に対する集計値を生成することができる。例えば、モデルアグリゲータ818は、サブシステムの各ゾーンの個々のゾーン温度T
iを集計することによって、低次元屋内サブシステムに対する集計サブシステム温度T
bを生成することができる。いくつかの実施形態では、モデルアグリゲータ818は、以下の方程式を使用して集計サブシステム温度T
bを生成する。
【数164】
[この文献は図面を表示できません]
式中、C
iは、ゾーンiの熱キャパシタンスであり、T
iは、ゾーンiの温度である。以前の方程式の分子は、サブシステムの熱の総量を表すのに対して、分母は、サブシステムの総熱キャパシタンスを表す。両方の数量は、すべてのサブシステムゾーンi=1…n
zにわたる総和が求められる。モデルアグリゲータ818は、平均サブシステム温度T
bを推定するために、熱の総量を総熱キャパシタンスで除することができる。モデルアグリゲータ818は、最適化期間の各時間ステップkに対する集計サブシステム温度T
b,kを計算することができる。
【0148】
モデルアグリゲータ818は、サブシステム熱キャパシタンスC
b、サブシステム熱伝達係数H
b、推定サブシステム外乱
【数165】
[この文献は図面を表示できません]
などの他のサブシステムパラメータまたは変数に対する集計値を計算することができる。いくつかの実施形態では、モデルアグリゲータ818は、以下の方程式を使用して、これらの変数およびパラメータに対する集計値を計算する。
【数166】
[この文献は図面を表示できません]
式中、サブシステム熱キャパシタンスC
bは、各サブシステムゾーンに対するゾーン熱キャパシタンスC
i値の総和であり、サブシステム熱伝達係数H
bは、各サブシステムゾーンに対するゾーン熱伝達係数H
i値の総和であり、推定サブシステム外乱
【数167】
[この文献は図面を表示できません]
は、各サブシステムゾーンに対する推定サブシステム外乱
【数168】
[この文献は図面を表示できません]
の総和である。モデルアグリゲータ818は、C
b,k、H
b,kおよび
【数169】
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または最適化期間の各時間ステップkの集計値を計算することができる。
【0149】
いくつかの実施形態では、モデルアグリゲータ818は、集計サブシステムパラメータおよび変数T
b、C
b、H
bおよび
【数170】
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を高次元MPC608に提供する。高次元MPC608は、高次元最適化で使用される高次元モデル、制約および最適化関数への入力としてそのような値を使用することができる。有利には、モデルアグリゲータ818によって実行されるモデル集計は、各低次元屋内MPC612〜616と高次元MPC608との間で交換される情報量を低減する上で役立つ。例えば、各低次元屋内MPC612〜616は、各建物ゾーンに対するそのような変数およびパラメータの個々の値というよりむしろ、上記で説明される集計値を高次元MPC608に提供することができる。
【0150】
依然として
図8を参照すると、低次元屋内MPC612は、温度トラッカ822を含むように示されている。いくつかの実施形態では、温度トラッカ822は、低次元オプティマイザ812によって実行される低次元最適化を補完または交換することができる代替の最適化を実行する。低次元屋内サブシステムによって使用される総熱エネルギーQ
total,Nを最小化するというよりむしろ、温度トラッカ822は、高次元最適化の結果として高次元MPC608によって生成される予測サブシステム温度状態
【数171】
[この文献は図面を表示できません]
を追跡するゾーン温度セットポイントT
sp,iを生成することができる。例えば、高次元MPC608は、高次元MPC608によって生成された負荷プロファイルからの結果に対して予測された各低次元屋内サブシステム632〜636に対するサブシステム温度状態
【数172】
[この文献は図面を表示できません]
を計算することができる。上記で説明されるように、予測温度状態
【数173】
[この文献は図面を表示できません]
は、カルマンフィルタまたは他の任意のタイプの状態予測技法を使用して計算することができる。高次元MPC608は、温度追跡プロセスでの使用のために、各低次元屋内MPC612〜616に予測温度状態
【数174】
[この文献は図面を表示できません]
を提供することができる。
【0151】
温度トラッカ822は、通信インタフェース802を介して予測温度状態
【数175】
[この文献は図面を表示できません]
を受信するように示されている。また、温度トラッカ822は、モデルアグリゲータ818によって生成された集計サブシステム温度T
b,kを受信することもできる。温度トラッカ822は、目的関数を公式化することができ、目的関数は、以下の方程式に示されるように、集計サブシステム温度T
b,kと予測温度状態
【数176】
[この文献は図面を表示できません]
との間の誤差を最小化しようと努める。
【数177】
[この文献は図面を表示できません]
式中、μは、最適化期間にわたって屋内サブシステムによって使用される熱エネルギーの総量Q
total,Nに適用される小さなペナルティ係数である。μの値は、温度追跡誤差に対してエネルギーの総量Q
total,Nに割り当てられる重みを増加または減少するように調整することができる。
【0152】
温度トラッカ822は、最適化手順において目的関数として以前の方程式を使用して、ゾーン温度セットポイントT
sp,iの最適値を決定することができる。温度トラッカ822によって実行される最適化は、温度トラッカ822が、高次元MPC608によって提供される負荷プロファイルによる制約を受けず、異なる目的関数を最適化しようと努めることを除いて、低次元オプティマイザ812によって実行される最適化と同様のものであり得る。例えば、温度トラッカ822は、目的関数
【数178】
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を最小化することができ、以下の制約を受ける。
【数179】
[この文献は図面を表示できません]
式中、関数fは、以前に説明されるように、ゾーン熱エネルギー負荷
【数180】
[この文献は図面を表示できません]
とゾーンセットポイントu
i(例えば、ゾーン温度セットポイントT
sp,iまたは動作モードz
iおよび冷媒流量レートm
i)との間の関係に従って定義される。
【0153】
いくつかの実施形態では、温度トラッカ822は、低次元最適化問題での使用のために、上記で識別されたモデルおよび/または制約のうちの1つ以上を状態・空間形態に変換する。例えば、温度トラッカ822は、先行方程式を以下の形態の離散化状態・空間モデルに変換することができ、
x
k+1=Ax
k+Bu
k+B
dd
k
y
k=Cx
k+Du
k
式中、x
kは、時間ステップkにおけるシステム状態のベクトルであり、u
kは、時間ステップkにおけるシステム入力のベクトルであり、y
kは、時間ステップkにおける測定値またはシステム出力のベクトルであり、d
kは、時間ステップkにおける外乱のベクトルであり、x
k+1は、時間k+1におけるシステム状態(予測されたもの)のベクトルである。各ベクトルに含まれる変数は、上記の表2に示されるものと同じものであり得る。
【0154】
フロー図
ここで
図9を参照すると、いくつかの実施形態による、MPCシステム600によって実行することができるモデル予測制御技法を示すフロー
図900が示されている。フロー
図900は、可変冷媒流量(VRF)システムの複数の屋内サブシステムの各々に対する最適な負荷プロファイルを生成するために高次元モデル予測コントローラ(MPC)において高次元最適化を実行すること(ブロック902)を含むように示されている。いくつかの実施形態では、高次元最適化は、
図6〜7を参照して説明されるように、高次元MPC608によって実行される。例えば、高次元最適化は、屋外ユニット需要プロファイル
【数181】
[この文献は図面を表示できません]
の関数としてエネルギー費用を定義する高次元エネルギー費用関数を生成することを含み得る。いくつかの実施形態では、屋外ユニット需要プロファイル
【数182】
[この文献は図面を表示できません]
は、最適化期間の複数の時間ステップkの各々における屋外サブシステムの熱エネルギーまたは冷媒状態配分を示す。
【0155】
いくつかの実施形態では、高次元MPC608は、エネルギー費用関数を生成し、エネルギー費用関数は、屋外サブシステム638の単位エネルギー消費量当たりの費用およびデマンドチャージを説明するが、屋内サブシステム632〜636のエネルギー消費量は説明しない。そのようなエネルギー費用関数の例は、以下の方程式に示される。
【数183】
[この文献は図面を表示できません]
【0156】
エネルギー費用関数の第1の項は、最適化期間の各時間ステップkの間に消費された単位エネルギー当たりの費用(例えば、$/kWh)を説明する。いくつかの実施形態では、c
kは、時間ステップkにおける屋外ユニット総需要
【数184】
[この文献は図面を表示できません]
を満たすために時間ステップkにおいて消費された単位エネルギー当たりの費用であり、パラメータη
totは、VRFシステムの集計性能の逆係数であり(例えば、0.1≦η
tot≦0.25)、Δは、時間ステップkの持続時間である。それに従って、
【数185】
[この文献は図面を表示できません]
の項は、屋外ユニット需要
【数186】
[この文献は図面を表示できません]
を満たすために時間ステップkの間に消費されたエネルギーの総量(例えば、kWh)を表す。消費された単位エネルギー当たりの費用c
k(例えば、$/kWh)を乗じることにより、時間ステップkの間に消費されたエネルギーの総費用(例えば、$)が得られる。エネルギー費用関数は、最適化期間にわたるエネルギー消費量の総費用を決定するために、各時間ステップkの間のエネルギー費用の総和を含み得る。
【0157】
エネルギー費用関数の第2の項は、デマンドチャージを説明する。いくつかの実施形態では、c
peakは、デマンドチャージ料金(例えば、$/kW)であり、
【数187】
[この文献は図面を表示できません]
は、デマンドチャージ期間の間のピーク屋外ユニット需要であり、例えば、
【数188】
[この文献は図面を表示できません]
の最大であり、η
totは、VRFシステムの集計性能の逆係数である。それに従って、
【数189】
[この文献は図面を表示できません]
の項は、ピーク屋外ユニット需要
【数190】
[この文献は図面を表示できません]
を満たすためのピーク電力消費量を表す。デマンドチャージ料金c
peakを乗じることにより、デマンドチャージの総費用(例えば、$)が得られる。
【0158】
いくつかの実施形態では、高次元MPC608は、エネルギー費用関数を生成し、エネルギー費用関数は、屋外サブシステム638の単位エネルギー消費量当たりの費用、デマンドチャージおよび屋内サブシステム632〜636のエネルギー消費量を説明する。そのようなエネルギー費用関数の例は、以下の方程式に示される。
【数191】
[この文献は図面を表示できません]
【0159】
エネルギー費用関数の第1の部分は、最適化期間の各時間ステップkの間に屋外サブシステム638によって消費された単位エネルギー当たりの費用(例えば、$/kWh)を説明する。いくつかの実施形態では、c
kは、時間ステップkにおいて消費された単位エネルギー当たりの費用であり、Δは、時間ステップkの持続時間であり、η
HVACは、屋外サブシステム638の性能の逆係数である(例えば、η
HVAC≒0.2)。
【数192】
[この文献は図面を表示できません]
の項は、屋外ユニット需要
【数193】
[この文献は図面を表示できません]
を満たすための時間ステップkの間の屋外サブシステム638による電力消費量(例えば、kW)を表す。消費された単位エネルギー当たりの費用c
k(例えば、$/kWh)および持続時間Δ(例えば、時間)を乗じることにより、時間ステップkの間に屋外サブシステム638によって消費されたエネルギーの総費用(例えば、$)が得られる。エネルギー費用関数の第1の部分は、最適化期間の間に屋外サブシステム638によって消費された総エネルギーを決定するために、最適化期間のすべての時間ステップk=0…N−1にわたる総和を求めることができる。
【0160】
エネルギー費用関数の第2の部分は、最適化期間の各時間ステップkの間に各屋内サブシステムによって消費された単位エネルギー当たりの費用(例えば、$/kWh)を説明する。上記で説明されるように、η
airは、屋内サブシステムの性能の逆係数であり(例えば、η
air≒0.1)、
【数194】
[この文献は図面を表示できません]
は、時間ステップkにおいて屋内サブシステムbに対する屋内サブシステムによって送られた熱エネルギー負荷である。
【数195】
[この文献は図面を表示できません]
の項は、屋内サブシステムbに対する屋内VRFユニットの電力消費量
【数196】
[この文献は図面を表示できません]
を表す。エネルギー費用関数の第2の部分は、最適化期間の間のすべての屋内サブシステムの総電力消費量を決定するために、すべての屋内サブシステムb=1…n
bにわたるおよびすべての時間ステップk=0…N−1にわたる総和を求めることができる。消費された単位エネルギー当たりの費用c
k(例えば、$/kWh)および持続時間Δ(例えば、時間)を乗じることにより、最適化期間の間に屋内サブシステムによって消費されたエネルギーの総費用(例えば、$)が得られる。
【0161】
エネルギー費用関数の第3の部分は、デマンドチャージを説明する。いくつかの実施形態では、c
peakは、デマンドチャージ料金(例えば、$/kW)であり、
【数197】
[この文献は図面を表示できません]
は、適用可能なデマンドチャージ期間の間のピーク集計電力消費量である。デマンドチャージ料金c
peakを乗じることにより、デマンドチャージの総費用(例えば、$)が得られる。
【0162】
いくつかの実施形態では、ブロック902における高次元最適化を実行することは、複数の屋内サブシステム負荷プロファイル
【数198】
[この文献は図面を表示できません]
の関数として屋外ユニット需要プロファイル
【数199】
[この文献は図面を表示できません]
を定義するために屋外ユニット需要モデルを使用することを含む。各屋内サブシステム負荷プロファイル
【数200】
[この文献は図面を表示できません]
は、複数の時間ステップの各々における屋内サブシステムのうちの1つへの熱エネルギー配分を示し得る。
【0163】
いくつかの実施形態では、屋外ユニット需要モデルは、最適化期間の各時間ステップにおける各屋内サブシステムに割り当てられた熱エネルギー負荷
【数201】
[この文献は図面を表示できません]
の関数として屋外サブシステム638における需要を表す。そのような屋外ユニット需要モデルの例は、以下の方程式に示されている。
【数202】
[この文献は図面を表示できません]
式中、
【数203】
[この文献は図面を表示できません]
は、時間ステップkにおける屋外ユニット需要(例えば、時間ステップkにおける屋外サブシステム638の熱エネルギーまたは冷媒状態配分)であり、
【数204】
[この文献は図面を表示できません]
は、時間ステップkにおける屋内サブシステムbに割り当てられた熱エネルギー負荷であり、
【数205】
[この文献は図面を表示できません]
は、時間ステップkの間にTESタンクに貯蔵された熱エネルギーの量である。以前の方程式は、屋外サブシステム638における総需要
【数206】
[この文献は図面を表示できません]
が各屋内サブシステムbに割り当てられた熱エネルギー負荷
【数207】
[この文献は図面を表示できません]
の総和であることを示す。この方程式は、各時間ステップkにおける屋内サブシステム負荷をカバーするのに十分な熱エネルギーを屋外サブシステム638が生成することを保証するために、高次元MPC608によって、エネルギーバランス制約として使用することができる。
【0164】
いくつかの実施形態では、ブロック902における高次元最適化は、複数の屋内サブシステムの各々に対する屋内サブシステム温度モデルを生成することを含む。各屋内サブシステム温度モデルは、屋内サブシステムへの熱エネルギー配分
【数208】
[この文献は図面を表示できません]
と屋内サブシステムの温度T
bとの間の関係を定義することができる。そのような屋内サブシステム温度モデルの例は、以下の方程式に示されている。
【数209】
[この文献は図面を表示できません]
式中、C
bおよびT
bは、インデックスbによって指定された屋内サブシステムの熱キャパシタンスおよび温度であり、T
aは、屋内サブシステムb外の周囲の空気温度(例えば、外気温度)であり、H
bは、屋内サブシステムbと周囲の空気との間の熱伝達係数であり、
【数210】
[この文献は図面を表示できません]
は、MPCシステム600によって屋内サブシステムに適用された冷房の量(すなわち、屋内サブシステムから除去された熱の量)であり、
【数211】
[この文献は図面を表示できません]
は、屋内サブシステムbによって経験された外部負荷、放射線または外乱である。冷房というよりむしろ、暖房が屋内サブシステムに提供される場合は、
【数212】
[この文献は図面を表示できません]
の符号は、負号から正号に切り替えることができる。
【0165】
高次元最適化は、低次元屋内コントローラ612〜616から受信された屋内サブシステム外乱推定を使用して、最適化期間の各時間ステップにおける各屋内サブシステムbに対する外部外乱
【数213】
[この文献は図面を表示できません]
の適切な値を特定することができる。いくつかの実施形態では、高次元最適化は、気象サービス604からの気象予報ならびに/あるいは負荷/料金予測器602によって提供された負荷および料金予測を使用して、最適化期間の各時間ステップにおける各屋内サブシステムbに対する周囲の空気温度T
aおよび/または外部外乱
【数214】
[この文献は図面を表示できません]
の適切な値を決定する。C
bおよびH
bの値は、屋内サブシステムbの低次元屋内コントローラから受信された、ユーザから受信された、メモリから回収されたまたは高次元MPC608に別の方法で提供された屋内サブシステムbのパラメータとして指定することができる。高次元最適化は、各屋内サブシステムbに対して温度モデルを生成することを含み得、b=1…n
bであり、n
bは、屋内サブシステムの総数である。
【0166】
いくつかの実施形態では、ブロック902における高次元最適化を実行することは、屋外ユニット需要モデルおよび各屋内サブシステム温度モデルによって提供される制約を受けることを条件として、エネルギー費用および複数の屋内サブシステム負荷プロファイルを最適化することを含む。高次元最適化は、エネルギー費用モデル、デマンドチャージモデル、屋内サブシステム温度モデル、屋外ユニットモデルおよび最適化制約を使用して最適化問題を公式化することができる。
【0167】
いくつかの実施形態では、高次元最適化は、屋内サブシステム温度制約および本明細書で説明される高次元モデルによって提供される他の制約を受けることを条件として、屋外サブシステム638によって消費されるエネルギーの総費用(すなわち、エネルギー費用およびデマンドチャージ)を最小化しようと努める。例えば、高次元最適化は、
【数215】
[この文献は図面を表示できません]
として高次元最適化問題を公式化することができ、以下の制約を受ける。
【数216】
[この文献は図面を表示できません]
【0168】
いくつかの実施形態では、高次元最適化は、屋内サブシステム温度制約および本明細書で説明される高次元モデルによって提供される他の制約を受けることを条件として、集計VRFシステムによって消費されるエネルギーの総費用を最小化しようと努める。例えば、高次元最適化は、
【数217】
[この文献は図面を表示できません]
として高次元最適化問題を公式化することができ、以下の制約を受ける。
【数218】
[この文献は図面を表示できません]
【0169】
依然として
図9を参照すると、フロー
図900は、高次元MPCから複数の低次元屋内MPCに最適な屋内サブシステム負荷プロファイル
【数219】
[この文献は図面を表示できません]
を提供すること(ブロック904)を含むように示されている。各負荷プロファイル
【数220】
[この文献は図面を表示できません]
は、
図6に示されるように、高次元MPC608から低次元屋内MPC612〜616のうちの1つに送信することができる。いくつかの実施形態では、各低次元屋内MPCは、特定の屋内サブシステムのモニタおよび制御を行うように構成される。各低次元屋内MPCは、その低次元屋内MPCによってモニタおよび制御が行われた屋内サブシステムに対する最適なサブシステム負荷プロファイルを受信することができる。
【0170】
フロー
図900は、屋内サブシステムの各々に対する最適な冷媒流量セットポイントを生成するために低次元屋内MPCの各屋内VRFユニットにおいて低次元最適化を実行すること(ブロック906)を含むように示されている。いくつかの実施形態では、ブロック906における低次元最適化は、各屋内サブシステムの各ゾーンiに対するゾーン温度モデルを生成することを含む。ゾーン温度モデルは、ゾーンの温度T
iとゾーンに対する熱エネルギー負荷プロファイル
【数221】
[この文献は図面を表示できません]
との間の関係を定義することができる。そのようなゾーン温度モデルの例は、以下の方程式に示されている。
【数222】
[この文献は図面を表示できません]
式中、C
iおよびT
iは、ゾーンインデックスiによって指定された建物ゾーンの熱キャパシタンスおよび温度であり、T
aは、ゾーンi外の周囲の空気温度(例えば、外気温度)であり、H
iは、ゾーンiと周囲の空気との間の熱伝達係数であり、
【数223】
[この文献は図面を表示できません]
は、MPCシステム600によって建物ゾーンiに適用された冷房の量(すなわち、ゾーンから除去された熱の量)であり、
【数224】
[この文献は図面を表示できません]
は、ゾーンiによって経験された外部負荷、放射線または外乱である。冷房というよりむしろ、暖房がゾーンに提供される場合は、
【数225】
[この文献は図面を表示できません]
の符号は、負号から正号に切り替えることができる。
【0171】
パラメータβ
ijは、ゾーンiと別のゾーンj(例えば、ゾーンiに隣接する建物ゾーン)との間の結合度を特徴付ける。ゾーンiとjが隣接していないおよび/または互いに熱を直接交換しない場合は、ゾーン温度モデラ814は、β
ijの値を0と等しく設定することができる。ゾーン温度モデルは、ゾーン温度T
i、T
jおよび結合係数β
ijの関数として建物ゾーンiと他の各建物ゾーンj≠iとの間の熱伝達の総和を含み得る。他の実施形態では、ゾーン間の熱伝達は、外部外乱推定
【数226】
[この文献は図面を表示できません]
を使用して説明することができる。
【0172】
低次元最適化は、ゾーン外乱予測器824から受信されたゾーン外乱推定を使用して、最適化期間の各時間ステップにおける各ゾーンiに対する外部外乱
【数227】
[この文献は図面を表示できません]
の適切な値を特定することを含み得る。いくつかの実施形態では、低次元最適化は、気象サービス604からの気象予報ならびに/あるいは負荷/料金予測器602によって提供された負荷および料金予測を使用して、最適化期間の各時間ステップにおける各ゾーンiに対する周囲の空気温度T
aおよび/または外部外乱
【数228】
[この文献は図面を表示できません]
の適切な値を決定する。C
iおよびH
iの値は、建物ゾーンiを管理するBMSから受信された、ユーザから受信された、メモリ808から回収されたまたはゾーン温度モデラ814に別の方法で提供されたゾーンiのパラメータとして指定することができる。
【0173】
いくつかの実施形態では、ブロック906における低次元最適化は、個々のゾーン負荷
【数229】
[この文献は図面を表示できません]
の関数として、屋内サブシステムに送られた熱エネルギーの総量Q
total(例えば、屋内サブシステムに送られる暖房または冷房の総量)のモデルを生成することを含む。いくつかの実施形態では、低次元最適化は、以下の方程式を使用して屋内サブシステムの総負荷をモデル化することを含む。
【数230】
[この文献は図面を表示できません]
式中、Q
totalは、屋内サブシステムに送られた熱エネルギー(例えば、加熱または冷却)の総量であり、
【数231】
[この文献は図面を表示できません]
は、特定のゾーンiにおける熱エネルギーが送られているレート(電力の単位)である。屋内サブシステム負荷モデルは、各建物ゾーンの熱エネルギー負荷
【数232】
[この文献は図面を表示できません]
を総和して、屋内サブシステムに送られた熱エネルギーの総量Q
totalの微分である屋内サブシステムの総熱エネルギー負荷
【数233】
[この文献は図面を表示できません]
を計算することができる。
【0174】
いくつかの実施形態では、低次元最適化は、以下の方程式に示されるように、ゾーン温度T
iおよびゾーン温度セットポイントu
iの関数として各建物ゾーンの熱エネルギー負荷
【数234】
[この文献は図面を表示できません]
を定義する1つ以上のモデルを生成することを含む。
【数235】
[この文献は図面を表示できません]
式中、関数fは、以前に説明されるように、ゾーン熱エネルギー負荷
【数236】
[この文献は図面を表示できません]
とゾーンセットポイントu
i(例えば、ゾーン温度セットポイントT
sp,iまたは動作モードz
iおよび冷媒流量レートm
i)との間の関係に従って定義される。低次元最適化によって生成されたモデルは、ゾーン温度T
iが許容可能なまたは快適な温度範囲から外れることになる値まで熱エネルギー負荷
【数237】
[この文献は図面を表示できません]
が低減されないことを保証するために、最適化制約として使用することができる。
【0175】
いくつかの実施形態では、ブロック906における低次元最適化は、ゾーン温度制約および本明細書で説明される低次元屋内モデルによって提供される他の制約を受けることを条件として、最適化期間にわたって屋内サブシステムによって使用される熱エネルギーの総量Q
total,Nを最小化しようと努める。例えば、低次元最適化は、
【数238】
[この文献は図面を表示できません]
として低次元最適化問題を公式化することができ、以下の制約を受ける。
【数239】
[この文献は図面を表示できません]
【0176】
式中、関数fは、以前に説明されるように、ゾーン熱エネルギー負荷
【数240】
[この文献は図面を表示できません]
とゾーンセットポイントu
i(例えば、ゾーン温度セットポイントT
sp,iまたは動作モードz
iおよび冷媒流量レートm
i)との間の関係に従って定義される。
【0177】
依然として
図9を参照すると、フロー
図900は、屋内サブシステムの各々の屋内VRFユニットに最適な冷媒流量セットポイントを使用すること(ブロック908)を含むように示されている。例えば、各低次元屋内MPC612〜616は、対応する屋内サブシステム632〜636に位置する屋内VRFユニットを操作することができる。屋内VRFユニットを操作することは、冷媒流量セットポイントを達成するために、屋内VRFユニットを起動もしくは解除すること、冷媒流量レートを調整すること、ファン速度を調整すること、または、屋内VRFユニットを別の方法で制御することを含み得る。
【0178】
ここで
図10を参照すると、いくつかの実施形態による、MPCシステム600によって実行することができるモデル予測制御技法を示すフロー
図1000が示されている。フロー
図1000は、可変冷媒流量(VRF)システムにおける複数の屋内サブシステムの各々に対する最適な温度プロファイルを生成するために高次元モデル予測コントローラ(MPC)において高次元最適化を実行すること(ブロック1002)を含むように示されている。いくつかの実施形態では、高次元最適化は、
図6〜7を参照して説明されるように、高次元MPC608によって実行される。高次元最適化は、
図9を参照して説明される高次元最適化と同じものまたは同様のものであり得る。
【0179】
ブロック1002における高次元最適化は、各屋内サブシステムに対する最適な温度プロファイル
【数241】
[この文献は図面を表示できません]
を生成することができる。最適な温度プロファイル
【数242】
[この文献は図面を表示できません]
は、各低次元屋内サブシステム632〜636に対する予測温度状態
【数243】
[この文献は図面を表示できません]
のベクトルを含み得る。予測温度状態
【数244】
[この文献は図面を表示できません]
の各ベクトルは、最適化期間の間の各時間ステップkに対する予測屋内サブシステム温度状態
【数245】
[この文献は図面を表示できません]
を含み得る。温度状態
【数246】
[この文献は図面を表示できません]
は、例えば、米国特許第9,235,657号明細書で説明されるようなカルマンフィルタを含む、様々な予測技法のいずれかを使用して予測することができる。
【0180】
フロー
図1000は、高次元MPCから複数の低次元屋内MPCに最適な屋内サブシステム温度プロファイル
【数247】
[この文献は図面を表示できません]
を提供すること(ブロック1004)を含むように示されている。各サブシステム温度プロファイル
【数248】
[この文献は図面を表示できません]
は、高次元MPC608から低次元屋内MPC612〜616のうちの1つに送信することができる。いくつかの実施形態では、各低次元屋内MPCは、特定の屋内サブシステムのモニタおよび制御を行うように構成される。各低次元屋内MPCは、その低次元屋内MPCによってモニタおよび制御が行われた屋内サブシステムに対する最適なサブシステム温度プロファイル
【数249】
[この文献は図面を表示できません]
を受信することができる。
【0181】
フロー
図1000は、対応する屋内サブシステムの各屋内VRFユニットに対する最適な温度セットポイントを生成するために低次元屋内MPCの各々において低次元最適化を実行すること(ブロック1006)を含むように示されている。ブロック1006における低次元最適化は、ブロック906における低次元最適化と同様のものであり得る。しかし、ブロック1006における低次元最適化は、使用される熱エネルギーの総量を最小化するというよりむしろ、ブロック1002における高次元最適化によって生成された最適な温度を追跡するために、低次元最適化問題を公式化することができる。
【0182】
いくつかの実施形態では、ブロック1006における低次元最適化は、
【数250】
[この文献は図面を表示できません]
として公式化することができ、以下の制約を受ける。
【数251】
[この文献は図面を表示できません]
【0183】
式中、関数fは、以前に説明されるように、ゾーン熱エネルギー負荷
【数252】
[この文献は図面を表示できません]
とゾーンセットポイントu
i(例えば、ゾーン温度セットポイントT
sp,iまたは動作モードz
iおよび冷媒流量レートm
i)との間の関係に従って定義される。
【0184】
依然として
図10を参照すると、フロー
図1000は、屋内サブシステムの各々の屋内VRFユニットを操作するために最適な温度セットポイントを使用すること(ブロック1008)を含むように示されている。例えば、各低次元屋内MPC612〜616は、対応する屋内サブシステム632〜636に位置する屋内VRFユニットを操作することができる。屋内VRFユニットを操作することは、冷媒流量セットポイントを達成するために、屋内VRFユニットを起動もしくは解除すること、冷媒流量レートを調整すること、ファン速度を調整すること、または、屋内VRFユニットを別の方法で制御することを含み得る。
【0185】
例示的な実施形態の構成
様々な例示的な実施形態に示されるようなシステムおよび方法の構築および配列は単なる例示である。この開示ではほんのわずかの実施形態のみを詳細に説明してきたが、多くの変更形態(例えば、様々な要素のサイズ、寸法、構造、形状および割合、パラメータの値、取り付け方法、材料の使用、色、配向などの変化)が可能である。例えば、要素の位置を逆にするかまたは別の方法で変化させることができ、個別の要素または位置の性質または数を変更するかまたは変化させることができる。それに従って、そのような変更形態はすべて本開示の範囲内に含まれることが意図される。いかなるプロセスまたは方法ステップの順序または順番も代替の実施形態に従って変化させるかまたは並べ替えることができる。本開示の範囲から逸脱することなく、例示的な実施形態の設計、動作条件および配列における他の置換、変更、変化および省略を行うことができる。
【0186】
本開示は、様々な動作を遂行するためのいかなる機械可読媒体における方法、システムおよびプログラム製品をも企図する。本開示の実施形態は、既存のコンピュータプロセッサを使用して、このまたは別の目的のために組み込まれた適切なシステム用の専用コンピュータプロセッサによって、あるいは、配線接続されたシステムによって実装することができる。本開示の範囲内の実施形態は、格納された機械実行可能命令またはデータ構造を保持するかまたは有するための機械可読媒体を含むプログラム製品を含む。そのような機械可読媒体は、汎用もしくは専用コンピュータまたはプロセッサを伴う他の機械によるアクセスが可能な利用可能ないかなる媒体でもあり得る。例示として、そのような機械可読媒体は、RAM、ROM、EPROM、EEPROM、CD−ROMまたは他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置または他の磁気記憶装置、あるいは、機械実行可能命令またはデータ構造の形態の所望のプログラムコードを保持または格納するために使用することができ、汎用もしくは専用コンピュータまたはプロセッサを伴う他の機械によるアクセスが可能な他の任意の媒体を含み得る。上記の組合せもまた、機械可読媒体の範囲内に含まれる。機械実行可能命令は、例えば、ある特定の機能または機能グループを汎用コンピュータ、専用コンピュータまたは専用処理機械に実行させる命令およびデータを含む。
【0187】
図は方法ステップの特定の順序を示しているが、ステップの順序は、描写される順序とは異なるものでもよい。また、2つ以上のステップを同時にまたは部分的に同時に実行することもできる。そのような変動は、選ばれるソフトウェアおよびハードウェアシステムならびに設計者の選択に依存する。そのような変動はすべて、本開示の範囲内である。同様に、ソフトウェア実装形態は、様々な接続ステップ、処理ステップ、比較ステップおよび決定ステップを遂行するために、規則ベースの論理および他の論理を伴う標準プログラミング技法を用いて遂行することができる。