(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
残留エポキシオリゴマー生成物が残留エポキシオリゴマー生成物の合計重量に基づいて約10重量%−約35重量%の範囲の量で式(II)を有するエポキシオリゴマーを含む請求項4に記載の付加物。
残留エポキシオリゴマー生成物が残留エポキシオリゴマー生成物の合計重量に基づいて約35重量%−約70重量%の範囲の量で式(III)を有するエポキシオリゴマーを含む請求項4に記載の付加物。
残留エポキシオリゴマー生成物が残留エポキシオリゴマー生成物の合計重量に基づいて約1重量%−約20重量%の範囲の量で式(IV)を有するエポキシオリゴマーを含む請求項4に記載の付加物。
残留エポキシオリゴマー生成物が残留エポキシオリゴマー生成物の合計重量に基づいて約1重量%−約20重量%の範囲の量で式(V)を有するエポキシオリゴマーを含む請求項4に記載の付加物。
残留エポキシオリゴマー生成物が残留エポキシオリゴマー生成物の合計重量に基づいて3重量%未満の量で式(VI)を有するエポキシオリゴマーを含む請求項4に記載の付加物。
残留エポキシオリゴマー生成物がさらに約750g/モルより大きい分子量を有するエポキシオリゴマーを、エポキシオリゴマー生成物の合計重量に基づいて10重量%未満の量で含む請求項4に記載の付加物。
【発明の概要】
【0005】
概略
本開示は、(A)残留(residual)エポキシオリゴマー生成物及び(B)2つ以上の反応性水素原子を有する反応性化合物の反応生成物を含む付加物を目的とし、得られる付加物は硬化性樹脂と関連して硬化剤として用いられる場合がある。
【0006】
別の側面において、(A)残留エポキシオリゴマー生成物を(B)2つ以上の反応性水素原子を有する反応性化合物と反応させることによる付加物の製造方法を提供し、ここで残留エポキシオリゴマー生成物は(i)芳香族ヒドロキシル及びアミン含有材料とエピハロヒドリン又はグリセロールジハロヒドリン及びルイス酸触媒の反応ならびに続く塩基を用いる処理;あるいは(ii)塩基及び相間移動触媒の存在下における芳香族ヒドロキシル及びアミン含有材料とエピハロヒドリン又はグリセロールジハロヒドリンの反応により生成する芳香族エポキシ樹脂の製造における共生成物である。
【0007】
別の側面において、本開示の付加物を1種以上のエポキシ化合物ならびに任意的に硬化剤及び/又は触媒と配合し、硬化系を形成する場合がある。
【0008】
本開示に従う硬化系は航空宇宙、自動車又は電子工業におけるような種々の工業における使用のためのコーティング、接着剤、シーラント又は構造用複合材料におけるような多様な用途で用いられる場合がある。
【0009】
詳細な記述
本明細書に現れる場合、「含む」という用語及びその派生語は、追加の成分、段階又は方法が本明細書中に開示されていてもいなくても、それらの存在を排除することを意図していない。いかなる疑問も避けるために、「含む」という用語の使用を介して本明細書で特許請求されるすべての組成物は、そうでないと記載されなければ、追加の添加剤、助剤又は化合物を含む場合がある。対照的に、「本質的に〜からなる」という用語は、本明細書に現れる場合、操作性に必須でないものを除いて、他の成分、段階又は方法を続く記述の範囲から排除し、「〜からなる」という用語は、用いられる場合、特定的に記述されるか又は挙げられていないいずれの成分、段階又は方法も排除する。「又は」という用語は、他にことわらなければ、挙げられているメンバーを個別に、ならびにいずれかの組み合わせにおいて指す。
【0010】
“a”及び“an”という冠詞は、冠詞の文法的な対象の1つ以上(すなわち少なくとも1つ)を指すために本明細書で用いられる。例えば「エポキシオリゴマー(an epoxy oligomer)」は1種のエポキシオリゴマー又は1種より多いエポキシオリゴマーを意味する。「1つの側面において」、「1つの側面に従うと」などの句は一般に、句に続く特定の特徴、構造又は特性が本開示の少なくとも1つの側面に含まれ、且つ本開示の1つより多い側面に含まれる場合があることを意味する。重要なことに、そのような句は必ずしも同じ側面を指さない。明細書が、ある成分又は特徴が含まれるか又はある特性を有する「場合がある(may)」、「ことができる(can)」、「ことができた(could)」又は「場合があった(might)」と記載する場合、その特定の成分又は特徴が含まれるか、又はその特性を有することを要求されてはいない。
【0011】
「残留エポキシオリゴマー生成物」という用語は本明細書で、エポキシオリゴマーを含み、且つ芳香族エポキシ樹脂生成物の製造方法の間に共製造されるオリゴマー画分を意味し、ここで共製造されるオリゴマー画分と芳香族エポキシ樹脂生成物の混合物は続く分離法に供されて共製造されるオリゴマー画分は芳香族エポキシ樹脂生成物から実質的に分離され且つ単離される。例えば蒸留装置操作(distillation unit operation)によるような既知の手段により分離法を行うことができる。共製造されるオリゴマー画分が例えば蒸留により芳香族エポキシ樹脂生成物から分離されると、得られる分離/単離されたオリゴマー画分、典型的に蒸留法の残留底材料(bottoms material)は、本開示において有用な残留エポキシオリゴマー生成物を含む。
【0012】
「エポキシオリゴマー」という用語は、少なくとも1つのエポキシ基を有する化合物を意味する。
【0013】
「付加物」という用語は、各分子実体(each molecular entity)が少なくとも2つの別の分子実体A及びBの直接の結合により形成されている化学種ABを意味する。
【0014】
1つの側面に従い、(A)残留エポキシオリゴマー生成物;及び(B)分子当たりに2つ以上の反応性水素原子を有する反応性化合物の反応から得られる付加物を提供し、ここで反応性水素原子はエポキシド基と反応性である。
【0015】
一般に反応物として用いられる残留エポキシオリゴマー生成物(A)は:(i)芳香族ヒドロキシル及びアミン含有材料とエピハロヒドリン又はグリセロールジハロヒドリン及
びルイス酸触媒を反応させ、続いて塩基を用いて処理する;あるいは(ii)塩基及び相間移動触媒の存在下で芳香族ヒドロキシル及びアミン含有材料とエピハロヒドリン又はグリセロールジハロヒドリンを反応させることを含む芳香族エポキシ樹脂(第1生成物流)の製造方法の間に第2生成物流として得られる場合がある。前記方法は任意的に、用いられる反応物、生成する中間体及び製造される生成物との反応に実質的に不活性である1種以上の溶剤の使用を含む場合がある。いくつかの側面において、エピハロヒドリンはエピクロロヒドリン又はエピブロモヒドリンの場合があり、グリセロールジハロヒドリンはグリセロール1,3−ジクロロヒドリンの場合があり、そして塩基は水酸化ナトリウム、水酸化バリウム、水酸化カリウムなどの場合がある。相関移動触媒の例にはテトラメチルアンモニウムクロリド、第3級アミン又は第4級アンモニウム塩基が含まれる。
【0016】
エポキシ化反応の後、残留エポキシオリゴマー生成物(第2生成物流)を、例えば蒸留装置操作によるような既知の手段により芳香族エポキシ樹脂生成物(第1生成物流)から分離し、且つ単離する。1つの特定の側面において、(1)例えばもしあれば溶剤;未反応エピハロヒドリン及び/又はグリセロールジハロヒドリンのような軽い成分;(2)もしあれば未反応芳香族ヒドロキシル及びアミン含有材料;ならびに(3)例えばトリグリシジルp−アミノフェノールのような芳香族エポキシ樹脂生成物を蒸留により実質的に取り出した後に残留エポキシオリゴマー生成物を芳香族エポキシ樹脂生成物から分離して、残る残留エポキシオリゴマー生成物が残留エポキシオリゴマー生成物の合計重量に基づいて10重量パーセント以下又は5重量パーセント以下又はさらに1重量パーセント以下又はさらにもっと0.5重量パーセント以下の芳香族エポキシ樹脂生成物(3)を含有するようにする場合がある。
【0017】
1つの側面において、芳香族ヒドロキシル及びアミン含有材料は式(I)
【化1】
[式中、R及びR’のそれぞれは独立して水素、C
1−C
6アルキル、フェニル、シクロヘキシル又はシクロペンチルであり、そしてR
1、R
2、R
3及びR
4のそれぞれは独立して水素、ハロゲン又はC
1−C
6アルキルである]
により示される化合物である。
【0018】
いくつかの側面において、R及びR’のそれぞれは独立して水素又はメチルである。他の側面において、R
1、R
2、R
3及びR
4のそれぞれは独立して水素、塩素、臭素又は最高で4つの炭素原子を有するアルキル基である。
【0019】
式(I)の化合物は既知の化合物であり、式
【化2】
[式中、R、R’、R
1及びR
2は上記で定義されている]
を有するビスフェノールを式
【化3】
[式中、R
3及びR
4は上記で定義されている]
を有する非置換又は置換アニリンと反応させることにより得られる場合がある。
【0020】
用いられる場合があるビスフェノール化合物の例にはビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノールF)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン(テトラブロモビスフェノールA)、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−クロロメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン及び2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパンが含まれるがこれらに限られない。用いられる場合があるアニリン化合物の例にはアニリン、2,6−ジエチルアニリン、2−イソプロピル−6−メチルアニリン、2,6−ジクロロアニリン、o−クロロアニリン、o−ブロモアニリン及びo−トルイジンが含まれるがこれらに限られない。
【0021】
別の側面において、芳香族ヒドロキシル及びアミン含有材料は式(Ia)
【化4】
[式中、アミノ基はm、o又はp位にあり、そしてR
5は水素、C
1−C
5アルキル、C
6−C
12アリール、少なくともC
7アルカリール、ハロゲン又はC
1−C
5アルコキシである]
により示される化合物である。
【0022】
式(Ia)の化合物の例には2−アミノフェノール、3−アミノフェノール、4−アミノフェノール、2−フェニル−4−アミノフェノール、2−メチル−4−アミノフェノール、3−メチル−4−アミノフェノール、2−クロロ−4−アミノフェノール、3−クロロ−4−アミノフェノール、2−アミノ−4−エチルフェノール、5−アミノ−2−メチルフェノール及び5−アミノ−2−エチルフェノールが含まれるがこれらに限られない。
【0023】
1つの側面に従うと、残留エポキシオリゴマー生成物は、芳香族エポキシ樹脂生成物から分離され、且つ単離されたら、その望ましい使用まで約0℃以下の温度で適した容器内において保存される場合がある。他の側面において、残留エポキシオリゴマー生成物は、芳香族エポキシ樹脂生成物から分離され、且つ単離されたら、分子当たりに2つ以上の反応性水素原子を有する反応性化合物を含む成分(B)と接触し、反応して付加物を生成することを許される。
【0024】
残留エポキシオリゴマー生成物は、上記のエポキシ化反応及び分離/単離において用いられる化学及び処理に依存して、以下のエポキシオリゴマー化合物(II)−(VI):
【化5】
【化6】
の1つ以上を含む場合がある。
【0025】
1つの側面において、残留エポキシオリゴマー生成物は、残留エポキシオリゴマー生成物の合計重量に基づいて約10重量%−約35重量%又は約15重量%−約30重量%又はさらに(even)約20重量%−約25重量%の範囲の量でエポキシオリゴマー(II)を含む場合がある。
【0026】
別の側面において、残留エポキシオリゴマー生成物は、残留エポキシオリゴマー生成物の合計重量に基づいて約35重量%−約70重量%又は約40重量%−約65重量%又はさらに約45重量%−約60重量%の範囲の量でエポキシオリゴマー(III)を含む場合がある。
【0027】
別の側面において、残留エポキシオリゴマー生成物は、残留エポキシオリゴマー生成物の合計重量に基づいて約1重量%−約20重量%又は約2.5重量%−約15重量%又はさらに約5重量%−約10重量%の範囲の量でエポキシオリゴマー(IV)を含む場合がある。
【0028】
別の側面において、残留エポキシオリゴマー生成物は、残留エポキシオリゴマー生成物の合計重量に基づいて約1重量%−約20重量%又は約2.5重量%−約15重量%又はさらに約5重量%−約10重量%の範囲の量でエポキシオリゴマー(V)を含む場合がある。
【0029】
別の側面において、残留エポキシオリゴマー生成物は、残留エポキシオリゴマー生成物の合計重量に基づいて約3重量%未満又は約1重量%未満又はさらに約0.5重量%未満の量でエポキシオリゴマー(VI)を含む場合がある。
【0030】
さらなる側面において、残留エポキシオリゴマー生成物は、約750g/モルより大きい分子量を有するエポキシオリゴマーを、残留エポキシオリゴマー生成物の合計重量に基づいて10重量%未満又は約5重量%未満又はさらに約2重量%未満そしてさらに約1重量%未満又はさらに約0.5重量%未満の量で含む場合がある。
【0031】
1つの特定の側面において、残留エポキシオリゴマー生成物は、残留エポキシオリゴマー生成物の合計重量に基づいて(a)約10重量%−約35重量%の範囲の量におけるエポキシオリゴマー(II)、(b)約35重量%−約70重量%の範囲の量におけるエポキシオリゴマー(III)、(c)約1重量%−約20重量%の範囲の量におけるエポキシオリゴマー(IV)、(d)約1重量%−約20重量%の版鵜の量におけるエポキシオリゴマー(V)及び(e)約3重量%未満の量におけるエポキシオリゴマー(VI)を含む。別の側面において、残留エポキシオリゴマー生成物はさらに、約750g/モルより大きい分子量を有するエポキシオリゴマーを残留エポキシオリゴマー生成物の合計重量に基づいて10重量%未満の量で含む。
【0032】
別の特定の側面において、残留エポキシオリゴマー生成物は、残留エポキシオリゴマー生成物の合計重量に基づいて(a)約20重量%−約25重量%の範囲の量におけるエポキシオリゴマー(II)、(b)約45重量%−約60重量%の範囲の量におけるエポキシオリゴマー(III)、(c)約5重量%−約10重量%の範囲の量におけるエポキシオリゴマー(IV)、(d)約5重量%−約10重量%の版鵜の量におけるエポキシオリゴマー(V)及び(e)約1重量%未満の量におけるエポキシオリゴマー(VI)を含む。別の側面において、残留エポキシオリゴマー生成物はさらに、約750g/モルより大きい分子量を有するエポキシオリゴマーを残留エポキシオリゴマー生成物の合計重量に基づいて10重量%未満の量で含む。
【0033】
残留エポキシオリゴマー生成物(A)と反応して付加物を生成するべく本開示において用いられる成分(B)は、分子当たりに2つ以上の反応性水素原子を有する反応性化合物を含む。反応性水素原子は、エポキシオリゴマー化合物中に含有されているエポキシド基のようなエポキシド基と反応性である。本明細書で用いられる「反応性水素原子」という用語は、水素原子がエポキシド基と反応性であることを意味する。反応性水素原子は、付加物を形成する反応においてエポキシド基と非反応性であるが、1種以上のエポキシ樹脂と一緒に付加物を硬化させる後のプロセスにおいてエポキシド基と反応性の場合がある水素原子を含む他の水素原子と異なる。
【0034】
用いられる反応条件下でエポキシド基ともっとずっと反応性である他の官能基がある場合、水素原子は付加物を形成するプロセスにおいてエポキシド基と非反応性であることができるが、エポキシ樹脂と一緒に付加物を硬化させる後のプロセスにおいて反応性である。例えば反応性化合物(B)は、それぞれ少なくとも1つの反応性水素原子を有する2つの異なる官能基を有し、1つの官能基が用いられる反応条件下で他より本質的にエポキシド基と反応性の場合がある。これらの反応条件は、一方の官能基の反応性水素原子のエポキシド基との反応を他方の官能基の反応性水素原子とエポキシド基との反応より優先させる(favors)触媒の使用を含む場合がある。
【0035】
他の非反応性水素原子は、付加物を製造するプロセスにおけるエポキシド開環反応の間に生成する第2級ヒドロキシル基中の水素原子を含む場合もある。
【0036】
分子当たりに2つ以上の反応性水素原子を有する反応性化合物を含む成分(B)はさらに反応性化合物(B)構造内に脂肪族、脂環式又は芳香族基を含む場合がある。脂肪族基は分枝状又は非分枝鎖状の場合がある。脂肪族又は脂環式基は飽和又は不飽和の場合もあり、且つ反応物及び生成物を含む本開示の付加物の製造プロセスにおいて不活性である(
反応性でない)1つ以上の置換基を含む場合がある。置換基は、置換基の化学構造に依存して、末端炭素原子に結合している場合があるか又は2つの炭素原子の間にある場合がある。そのような不活性置換基の例には塩素又は臭素のようなハロゲン原子、ニトリル、ニトロ、アルキルオキシ、ケト、エーテル(−O−)、チオエーテル(−S−)又は第3級アミンが含まれる。芳香環は、反応性化合物(B)構造内に存在する場合、N、O、Sなどのような1つ以上のヘテロ原子を含む場合がある。
【0037】
反応性化合物(B)の例にはジ−及びポリフェノール、ジ−及びポリカルボン酸、ジ−及びポリメルカプタン、ジ−及びポリアミン、第1級モノアミン、スルホンアミド、アミノフェノール、アミノカルボン酸、フェノール性ヒドロキシル含有カルボン酸、スルファニルアミドのような化合物及びそのような化合物の2つ以上の組み合わせが含まれる場合がある。
【0038】
ジ−及びポリフェノールの例には1,2−ジヒドロキシベンゼン(カテコール);1,3−ジヒドロキシベンゼン(レゾルシノール);1,4−ジヒドロキシベンゼン(ヒドロキノン);4,4’−イソプロピリデンジフェノール(ビスフェノールA);4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン;3,3’,5,5’−テトラブロモビスフェノールA;4,4’−チオジフェノール;4,4’−スルホニルジフェノール;2,2’−スルホニルジフェノール;4,4’−ジヒドロキシジフェニルオキシド;4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン;1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン;3,3’,5,5’−テトラクロロビスフェノールA;3,3’−ジメトキシビスフェノールA;3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニル;4,4’−ジヒドロキシビフェニル;4,4’−ジヒドロキシ−アルファ−メチルスチルベン;4,4’−ジヒドロキシベンズアニリド;4,4’−ジヒドロキシスチルベン;4,4’−ジヒドロキシ−アルファ−シアノスチルベン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン;1,4−ジヒドロキシ−3,6−ジメチルベンゼン;1,4−ジヒドロキシ−3,6−ジメトキシベンゼン;1,4−ジヒドロキシ−2−tert−ブチルベンゼン;1,4−ジヒドロキシ−2−ブロモ−5−メチルベンゼン;1,3−ジヒドロキシ−4−ニトロフェノール;1,3−ジヒドロキシ−4−シアノフェノール;トリス(ヒドロキシフェニル)メタン;ジシクロペンタジエン又はそのオリゴマー及びフェノール又は置換フェノール縮合産物;ならびにそれらの混合物が含まれるがこれらに限られない。
【0039】
ジ−及びポリカルボン酸の例にはテレフタル酸;イソフタル酸;ジシクロペンタジエンジカルボン酸;トリス(カルボキシフェニル)メタン;4,4’−ジカルボキシジフェニルメタン;1,4−シクロヘキサンジカルボン酸;1,6−ヘキサンジカルボン酸;1,4−ブタンジカルボン酸;1,1−ビス(4−カルボキシフェニル)シクロヘキサン;3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジカルボキシジフェニル;4,4’−ジカルボキシ−アルファ−メチルスチルベン;1,4−ビス(4−カルボキシフェニル)−トランス−シクロヘキサン;1,1’−ビス(4−カルボキシフェニル)シクロヘキサン;1,3−ジカルボキシ−4−メチルベンゼン;1,3−ジカルボキシ−4−メトキシベンゼン;1,3−ジカルボキシ−4−ブロモベンゼン;及びそれらの組み合わせが含まれるがこれらに限られない。
【0040】
ジ−及びポリメルカプタンの例にはビス(2−メルカプトエチル)スルフィド;トリス(メルカプトフェニル)メタン;1,3−ベンゼンジチオール;1,4−ベンゼンジチオール;4,4’−ジメルカプトジフェニルメタン;4,4’−ジメルカプトジフェニルオキシド;4,4’−ジメルカプト−アルファ−メチルスチルベン;3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジメルカプトジフェニル;1,4−シクロヘキサンジチオール;1,6−ヘキサンジチオール;2,2’−ジメルカプトジエチルエーテル;1,2−ジメルカプトプロパン;1,1−ビス(4−メルカプトフェニル)シクロヘキサン;及びそ
れらの組み合わせが含まれるがこれらに限られない。
【0041】
ジ−及びポリアミンの例にはトリス(アミノフェニル)メタン;ビス(アミノメチル)ノルボルナン;ピペラジン;エチレンジアミン;ジエチレントリアミン;トリエチレンテトラミン;テトラエチレンペンタミン;1−(2−アミノエチル)ピペラジン;ビス(アミノプロピル)エーテル;ビス(アミノプロピル)スルフィド;イソホロンジアミン;1,2−ジアミノベンゼン;1,3−ジアミノベンゼン;1,4−ジアミノベンゼン;4,4’−ジアミノジフェニルメタン;4,4’−ジアミノジフェニルスルホン;2,2’−ジアミノジフェニルスルホン;4,4’−ジアミノジフェニルオキシド;3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニル;3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニル;4,4’−ジアミノ−アルファ−メチルスチルベン;4,4’−ジアミノベンズアニリド;4,4’−ジアミノスチルベン;1,4−ビス(4−アミノフェニル)−トランス−シクロヘキサン;1,1−ビス(4−アミノフェニル)シクロヘキサン;1,2−ジアミノシクロヘキサン;1,4−ビス(アミノシクロヘキシル)メタン;1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン;1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン;1,4−シクロヘキサンジアミン;1,6−ヘキサンジアミン;1,3−キシレンジアミン;2,2’−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン;4−(2−アミノプロパン−2−イル)−1−メチルシクロヘキサン−1−アミン(メタンジアミン);及びそれらの組み合わせが含まれるがこれらに限られない。
【0042】
第1級モノアミンの例にはアニリン;4−クロロアニリン;4−メチルアニリン;4−メトキシアニリン;4−シアノアニリン;4−アミノジフェニルオキシド;4−アミノジフェニルメタン;4−アミノジフェニルスルフィド;4−アミノベンゾフェノン;4−アミノ−ジフェニル;4−アミノスチルベン;4−アミノ−アルファ−メチルスチルベン;メチルアミン;4−アミノ−4’−ニトロスチルベン;n−ヘキシルアミン;シクロヘキシルアミン;アミノノルボルナン;N,N−ジエチルトリメチレンジアミン;2,6−ジメチルアニリン;及びそれらの組み合わせが含まれるがこれらに限られない。本発明の反応性化合物(B)としてアンモニアが用いられる場合、アンモニアは液化アンモニア(NH
3)又は水酸化アンモニウム(NH
4OH)の形態で用いられる場合がある。
【0043】
スルホンアミドの例にはフェニルスルホンアミド;4−メトキシフェニルスルホンアミド;4−クロロフェニルスルホンアミド;4−ブロモフェニルスルホンアミド;4−メチルスルホンアミド;4−シアノスルホンアミド;4−スルホンアミドジフェニルオキシド;4−スルホンアミドジフェニルメタン;4−スルホンアミドベンゾフェノン;4−スルホンアミドジフェニル;4−スルホンアミドスチルベン;4−スルホンアミド−アルファ−メチルスチルベン;2,6−ジメチルフェニルスルホンアミド;及びそれらの組み合わせが含まれるがこれらに限られない。
【0044】
アミノフェノールの例にはo−アミノフェノール;m−アミノフェノール;p−アミノフェノール;2−メトキシ−4−ヒドロキシアニリン;3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシアニリン;2,6−ジブロモ−4−ヒドロキシアニリン;5−ブチル−4−ヒドロキシアニリン;3−フェニル−4−ヒドロキシアニリン;4−(1−(3−アミノフェニル)−1−メチルエチル)フェノール;4−(1−(4−アミノフェニル)エチル)フェノール;4−(4−アミノフェノキシ)フェノール;4−((4−アミノフェニル)チオ)フェノール;(4−アミノフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)メタノン;4−((4−アミノフェニル)スルホニル)フェノール;N−メチル−p−アミノフェノール;4−アミノ−4’−ヒドロキシ−アルファ−メチルスチルベン;4−ヒドロキシ−4’−アミノ−アルファ−メチルスチルベン;3,5−ジメチル−4−ヒドロキシアニリン;4−(1−(4−アミノ−3,5−ジブロモフェニル−1−メチルエチル)−2,6−ジブロモフェノール;及びそれらの組み合わせが含まれるがこれらに限られない。
【0045】
アミノカルボン酸の例には2−アミノ安息香酸;3−アミノ安息香酸;4−アミノ安息香酸;2−メトキシ−4−アミノ安息香酸;3−シクロヘキシル−4−アミノ安息香酸;5−ブチル−4−アミノ安息香酸;3−フェニル−4−アミノ安息香酸;4−(1−(3−アミノフェニル)−1−メチルエチル)安息香酸;4−(1−(4−アミノフェニル)エチル)安息香酸;4−(4−アミノフェノキシ)安息香酸;4−((4−アミノフェニル)チオ)安息香酸;(4−アミノフェニル)(4−カルボキシフェニル)メタノン;4−((4−アミノフェニル)スルホニル)安息香酸;N−メチル−4−アミノ安息香酸;4−アミノ−4’−カルボキシ−アルファ−メチルスチルベン;4−カルボキシ−4’−アミノ−アルファ−メチルスチルベン;グリシン;N−メチルグリシン;4−アミノシクロヘキサンカルボン酸;4−アミノヘキサン酸;4−ピペリジンカルボン酸;5−アミノフタル酸;3,5−ジメチル−4−アミノ安息香酸;2,6−ジブロモ−4−アミノ安息香酸;4−(1−(4−アミノ−3,5−ジブロモフェニル−1−メチルエチル)−2,6−ジブロモ安息香酸;及びそれらの組み合わせが含まれるがこれらに限られない。
【0046】
カルボン酸の例には2−ヒドロキシ安息香酸;3−ヒドロキシ安息香酸;4−ヒドロキシ安息香酸;2−メトキシ−4−ヒドロキシ安息香酸;3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ安息香酸;5−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸;3−フェニル−4−ヒドロキシ安息香酸;4−(1−(3−ヒドロキシフェニル−1−メチルエチル)安息香酸;4−(1−(4−ヒドロキシフェニル)エチル)安息香酸;4−(4−ヒドロキシフェノキシ)安息香酸;4−((4−ヒドロキシフェニル)チオ)安息香酸;(4−ヒドロキシフェニル)(4−カルボキシフェニル)メタノン;4−((4−ヒドロキシフェニル)スルホニル)安息香酸;4−ヒドロキシ−4’−カルボキシ−アルファ−メチルスチルベン;4−カルボキシ−4’−ヒドロキシ−アルファ−メチルスチルベン;2−ヒドロキシフェニル酢酸;3−ヒドロキシフェニル酢酸;4−ヒドロキシフェニル酢酸;4−ヒドロキシフェニル−2−シクロヘキサンカルボン酸;4−ヒドロキシフェノキシ−2−プロパン酸;4−(1−(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル−1−メチルエチル)−2,6−ジブロモ安息香酸;3,5−ジメチル−4−ヒドロキシ安息香酸;2,6−ジブロモ−4−ヒドロキシ安息香酸;及びそれらの組み合わせが含まれるがこれらに限られない。
【0047】
スルファニルアミドの例にはo−スルファニルアミド;m−スルファニルアミド;p−スルファニルアミド;2−メトキシ−4−アミノ安息香酸;3−メチル−4−スルホンアミド−1−アミノベンゼン;5−メチル−3−スルホンアミド−1−アミノベンゼン;3−フェニル−4−スルホンアミド−1−アミノベンゼン;4−(1−(3−スルホンアミドフェニル−1−メチル−エチル)アニリン;4−(1−(4−スルホンアミドフェニル)エチル)アニリン;4−(4−スルホンアミドフェノキシ)アニリン;4−((4−スルホンアミドフェニル)チオ)アニリン;(4−スルホンアミドフェニル)(4−アミノフェニル)メタノン;4−((4−スルホンアミドフェニル)スルホニル)アニリン;4−スルホンアミド−1−N−メチルアミノベンゼン;4−アミノ−4’−スルホンアミド−アルファ−メチルスチルベン;4−スルホンアミド−4’−アミノ−アルファ−メチルスチルベン;4−(1−(4−スルホンアミド−3,5−ジブロモフェニル)−1−メチルエチル)−2,6−ジブロモ−アニリン;2,6−ジメチル−4−スルホンアミド−1−アミノベンゼン;及びそれらの組み合わせが含まれるがこれらに限られない。
【0048】
別の側面に従い、(A)上記の残留エポキシオリゴマー生成物;(B)上記の反応性化合物;及び(C)エポキシ樹脂化合物の反応生成物を含む付加物を提供し、ここでエポキシ樹脂化合物(C)はエポキシオリゴマー化合物(II)−(VI)以外の1種以上のエポキシ樹脂を含む。
【0049】
エポキシ樹脂化合物(C)として用いられ得るエポキシ樹脂は、分子当たりに平均で1
つより多いエポキシド基を有するいずれのエポキシド含有化合物の場合もある。本明細書におけるエポキシ樹脂化合物(C)として用いられ得るエポキシド含有化合物には、芳香族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれるものが含まれるがこれらに限られない。
【0050】
芳香族エポキシ樹脂の例には、ヒドロキノン、レゾルシノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、トリスフェノール(トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン)、1,1,2,2−テトラ(4−ヒドロキシフェニル)エタン、テトラブロモビスフェノールA、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオプロパン、1,6−ジヒドロキシナフタレンのようなポリフェノールのグリシジルエーテル化合物及びそれらの組み合わせが含まれるがこれらに限られない。
【0051】
脂環式エポキシ樹脂の例には、少なくとも1つの脂環式環を有するポリオールのポリグリシジルエーテルあるいは酸化剤を用いてシクロヘキセン環又はシクロペンテン環を含む化合物をエポキシ化することにより得られるシクロヘキセンオキシド又はシクロペンテンオキシドを含む化合物が含まれるがこれらに限られない。いくつかの特定の例には水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル;3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート;3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−1−メチルヘキサンカルボキシレート;6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート;3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキサンカルボキシレート;3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキサンカルボキシレート;ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート;メチレン−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン);2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロパン;ジシクロペンタジエンジエポキシド;エチレン−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート);ジオクチルエポキシヘキサヒドロフタレート;ジ−2−エチルヘキシルエポキシヘキサヒドロフタレート;及びそれらの組み合わせが含まれるがこれらに限られない。
【0052】
脂肪族エポキシ樹脂の例には脂肪族ポリオール又はそのアルキレンオキシド付加物のポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル、グリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレートをビニル重合させることにより合成されるホモポリマー及びグリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレートと他のビニルモノマーをビニル重合させることにより合成されるコポリマーが含まれるがこれらに限られない。いくつかの特定の例には1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル;1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル;グリセリンのトリグリシジルエーテル;トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル;ソルビトールのテトラグリシジルエーテル;ジペンタエリスリトールのヘキサグリシジルエーテル;ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル;及びポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテルのようなポリオールのグリシジルエーテル;プロピレングリコール、トリメチロールプロパン及びグリセリンのような脂肪族ポリオールに1つの型又は2つ以上の型のアルキレンオキシドを付加させることにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル;脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステル;及びそれらの組み合わせが含まれるがこれらに限られない。
【0053】
上記の通り、本開示の付加物は残留エポキシオリゴマー生成物、成分(A)、反応性化合物、成分(B)及び任意的に式(II)−(VI)のエポキシオリゴマー化合物以外の1種以上のエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂化合物、成分(C)の反応生成物である。
【0054】
1つの側面に従うと、十分な量の残留エポキシオリゴマー生成物(A)及びもし用いられるならエポキシ樹脂化合物(C)ならびに過剰な量の反応性化合物(B)を反応混合物において準備し、本開示の付加物を形成する。本開示の付加物の形成のための反応の最後に、エポキシオリゴマー化合物(II)−(VI)中のエポキシド基の本質的にすべてが反応性化合物(B)中の反応性水素原子と反応する。未反応の反応性化合物(B)は反応の最後に除去される場合があるか又は付加生成物(adduct product)の一部として残る場合がある。
【0055】
一般に反応性化合物(B)と残留エポキシオリゴマー生成物(A)の比は、約2:1−約100:1又は約3:1−約60:1又はさらに約4:1−約40:1の反応性化合物(B)中の反応性水素原子の当量対残留エポキシオリゴマー生成物(A)及びもし用いられるならエポキシ樹脂化合物(C)中のエポキシド基の当量である。
【0056】
1種以上の任意的な溶剤が本開示の付加物形成反応に存在する場合がある。溶剤の存在は反応物の溶解性を向上させることができ、且つ付加物形成反応を穏やかにして付加物形成反応から発生する熱を抑制するため又は反応物の有効濃度を下げるために反応物の濃度を希釈する場合もあり、反応物の有効濃度を下げることは今度は付加生成物の構造に影響を与えることができ、例えば付加物形成反応に由来するオリゴマー成分がより少ない付加物を与えることができる。
【0057】
溶剤は、反応物、もしあるなら中間生成物及び最終的な生成物に不活性であることを含んで付加物形成反応に実質的に不活性であるいずれの溶剤の場合もある。適した溶剤の例には脂肪族、脂環式及び芳香族炭化水素、ハロゲン化脂肪族及び脂環式炭化水素、脂肪族及び脂環式第2級アルコール、脂肪族エーテル、脂肪族ニトリル、環状エーテル、グリコールエーテル、エステル、ケトン、アミド、スルホキシド及びそれらの組み合わせが含まれるがこれらに限られない。
【0058】
溶剤の特定の例にはペンタン、ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジメチルスルホキシド、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、エチレンジクロリド、メチルクロロホルム、エチレングリコールジメチルエーテル、アセトニトリル、イソプロパノール、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド及びそれらの組み合わせが含まれるがこれらに限られない。
【0059】
溶剤は、例えば真空蒸留のような通常の手段を用いて付加反応(adduct reaction)の完了時に除去される場合がある。あるいはまた、溶剤を付加生成物中に残して溶剤型付加物(solvent borne adduct)を与える場合もあり、それは後に例えばコーティング又はフィルムの調製において用いられる場合がある。
【0060】
付加物形成反応条件は、用いられる反応物の型及び量、もしあるならば用いられる溶剤の量、用いられる反応物の付加の様式のような因子に依存して変わる場合がある。
【0061】
例えば付加物形成反応を大気圧(例えば760mmHg)、過圧又は減圧(subatmospheric pressures)において、及び約0℃−約200℃又は約20℃−約150℃又はさらに約60℃−約100℃の温度において行う場合がある。
【0062】
付加物形成反応を完了させるのに必要な時間は、前記の因子のみでなく用いられる温度にも依存する。より高い温度はより短い時間を必要とするが、より低い温度はより長い時
間を必要とする。一般に付加反応を完了させる時間は約5分−約12時間又は約15分−約6時間又はさらに約30分−1.5時間であるのが好ましい。
【0063】
付加物形成反応の実施において、残留エポキシオリゴマー生成物(A)を反応性化合物(B)と直接混合するか、徐々に増やしていく方法で(in incremental steps)反応性化合物(B)に加えるか、又は継続的に反応性化合物(B)に加える場合がある。さらに1種以上の溶剤を残留エポキシオリゴマー生成物(A)と反応性化合物(B)を混合する前に最初に残留エポキシオリゴマー生成物(A)及び/又は反応性化合物(B)に加える場合がある。
【0064】
徐々に増やしていく残留エポキシオリゴマー生成物(A)の添加を用いる場合、加えられる増加分の全部又は一部を次の増加分の添加の前に反応させる場合がある。過剰量の反応性化合物(B)と反応する残留エポキシオリゴマー生成物(A)の徐々に増やしていく添加は、一般に付加物形成反応に由来するオリゴマー成分の量がより少ないか又は含まない付加物の形成を優先させる。
【0065】
別の側面に従うと、付加物は硬化性樹脂の硬化のための硬化剤として用いられる場合がある。かくして硬化性樹脂及び本開示の付加物を含有する硬化系も提供する。
【0066】
1つの側面において、硬化性樹脂はエポキシ化合物である。一般に米国特許第5,476,748号明細書に開示されているエポキシ化合物のようないずれのエポキシ化合物も本開示における使用に適しており、前記特許の記載事項は引用することにより本明細書の内容となる。エポキシ化合物は固体又は液体の場合がある。特にエポキシ化合物は:ポリグリシジルエポキシ化合物;非グリシジルエポキシ化合物;エポキシクレゾールノボラック化合物;及びエポキシフェノールノボラック化合物ならびにそれらの混合物の群から選ばれる。
【0067】
ポリグリシジルエポキシ化合物はポリグリシジルエーテル、ポリ(β−メチルグリシジル)エーテル、ポリグリシジルエステル又はポリ(β−メチルグリシジル)エステルの場合がある。ポリグリシジルエーテル、ポリ(β−メチルグリシジル)エーテル、ポリグリシジルエステル又はポリ(β−メチルグリシジル)エステルの合成及び例は米国特許第5,972,563号明細書に開示されており、その記載事項は引用することにより本明細書の内容となる。例えばエーテルは、少なくとも1つの遊離のアルコール性ヒドロキシル基及び/又はフェノール性ヒドロキシル基を有する化合物を適切に置換されたエピクロロヒドリンと、アルカリ性条件下で反応させるか又は酸性触媒の存在下で反応させ、続いてアルカリ処理することにより得られる場合がある。アルコールは例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール及び高級ポリ(オキシエチレン)グリコール、プロパン−1,2−ジオール又はポリ(オキシプロピレン)グリコール、プロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ペンタン−1,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、ヘキサン−2,4,6−トリオール、グリセロール、1,1,1−トリメチロールプロパン、ビストリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール及びソルビトールのような非環式アルコールの場合がある。しかしながら適したグリシジルエーテルは1,3−又は1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシシクロ−ヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン又は1,1−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキセ−3−エンのような脂環式アルコールから得られる場合もあるか、あるいはそれらはN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アニリン又はp,p’−ビス(2−ヒドロキシエチルアミノ)ジフェニルメタンのように芳香環を有している場合がある。
【0068】
ポリグリシジルエーテル又はポリ(β−メチルグリシジル)エーテルの特に重要な代表
例は単環式フェノール、例えばレゾルシノール又はヒドロキノンに、多環式フェノール、例えばビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノールF)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン(ビスフェノールS)、アルコキシル化ビスフェノールA、F又はS、トリオール伸長(triol extended)ビスフェノールA、F又はS、臭素化ビスフェノールA、F又はS、水素化ビスフェノールA、F又はS、フェノール及び側鎖基(pendant groups)又は側鎖(pendant chains)を有するフェノールのグリシジルエーテルに、フェノールノボラック及びクレゾールノボラックのような酸性条件下で得られるフェノール又はクレゾールとホルムアルデヒドの縮合産物に、あるいはシロキサンジグリシジルに基づく。
【0069】
ポリグリシジルエステル及びポリ(P−メチルグリシジル)エステルは、エピクロロヒドリン又はグリセロールジクロロヒドリン又はβ−メチルエピクロロヒドリンをポリカルボン酸化合物と反応させることにより製造される場合がある。反応は便宜的に塩基の存在下で行われる。ポリカルボン酸化合物は、例えばグルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸又は二量体化若しくは三量体化リノール酸の場合がある。しかしながら、同様に脂環式ポリカルボン酸、例えばテトラヒドロフタル酸、4−メチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸又は4−メチルヘキサヒドロフタル酸を用いることもできる。例えばフタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸又はピロメリット酸のような芳香族ポリカルボン酸を用いることも可能であり、あるいは他に例えばトリメリット酸とポリオール、例えばグリセロール又は2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのカルボキシ−末端付加物が用いられる場合がある。
【0070】
別の側面において、エポキシ化合物は非グリシジルエポキシ化合物である。非グリシジルエポキシ化合物は構造において直鎖状、分枝鎖状又は環状の場合がある。例えばエポキシド基が脂環式又は複素環式環系の一部を形成する1種以上のエポキシド化合物が含まれる場合がある。他には少なくとも1つのケイ素原子を含有する基に直接的又は間接的に結合している少なくとも1つのエポキシシクロヘキシル基を有するエポキシ含有化合物が含まれる。例は米国特許第5,639,413号明細書に開示されており、その記載事項は引用することにより本明細書の内容となる。さらに他には1つ以上のシクロヘキセンオキシド基を含有するエポキシド及び1つ以上のシクロペンテンオキシド基を含有するエポキシドが含まれる。
【0071】
特に適した非グリシジルエポキシ化合物には、エポキシド基が脂環式又は複素環式環系の一部を形成する以下の二官能基性非グリシジルエポキシド化合物が含まれる:ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、1,2−ビス(2,3−エポキシシクロペンチルオキシ)エタン、3,4−エポキシシクロヘキシル−メチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチル−シクロヘキシル−メチル3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)ヘキサンジオエート、ジ(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)ヘキサンジオエート、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エタンジオールジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル。
【0072】
非常に好ましい二官能基性非グリシジルエポキシドには3,4−エポキシシクロヘキシル−メチル3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート及び2,2’−ビス−(3,4−エポキシ−シクロヘキシル)−プロパンのような脂環式二官能基性非グリシジルエポキシドが含まれ、前者が最も好ましい。
【0073】
別の態様において、エポキシ化合物はポリ(N−グリシジル)化合物又はポリ(S−グリシジル)化合物である。ポリ(N−グリシジル)化合物を、例えばエピクロロヒドリン
と少なくとも2つのアミン水素原子を含有するアミンの反応生成物の脱塩化水素により得ることができる。これらのアミンは、例えばn−ブチルアミン、アニリン、トルイジン、m−キシリレンジアミン、ビス(4−アミノフェニル)メタン又はビス(4−メチルアミノフェニル)メタンの場合がある。ポリ(N−グリシジル)化合物の他の例には、エチレンウレア又は1,3−プロピレンウレアのようなシクロアルキレンウレアのN,N’−ジグリシジル誘導体及び5,5−ジメチルヒダントインのようなヒダントインのN,N’−ジグリシジル誘導体が含まれる。ポリ(S−グリシジル)化合物の例はジチオール、例えばエタン−1,2−ジチオール又はビス(4−メルカプトメチルフェニル)エーテルに由来するジ−S−グリシジル誘導体である。
【0074】
1,2−エポキシド基が種々のヘテロ原子又は官能基に結合しているエポキシ化合物を用いることも可能である。例には4−アミノフェノールのN,N,O−トリグリシジル誘導体、サリチル酸のグリシジルエーテル/グリシジルエステル、N−グリシジル−N’−(2−グリシジルオキシプロピル)−5,5−ジメチルヒダントイン又は2−グリシジルオキシ−1,3−ビス(5,5−ジメチル−1−グリシジルヒダントイン−3−イル)プロパンが含まれる。
【0075】
ビニルシクロヘキセンジオキシド、リモネンジオキシド、リモネンモノオキシド、ビニルシクロヘキセンモノオキシド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル9,10−エポキシステアレート及び1,2−ビス(2,3−エポキシ−2−メチルプロポキシ)エタンのような他のエポキシド誘導体が用いられる場合もある。
【0076】
本開示の付加物を硬化性樹脂と、硬化性樹脂を有効に硬化させる量で混合することにより本開示の硬化系を調製する場合があり、前記量は特定の付加物及び用いられる硬化性樹脂に依存すると理解される。一般に付加物中に存在する反応性水素原子の当量対硬化性樹脂中のエポキシド基の当量の比は、硬化のために用いられる条件において約0.60:1−約1.50:1又は約0.95:1−約1.05:1の範囲である。
【0077】
別の側面において、第1の容器中に入れられた硬化性樹脂を含む第1成分パート(1)(Part (1))及び第2の容器中に入れられた本開示の付加物を含む第2成分パート(2)を含む二成分系を提供する。この二成分系のパート(1)及び(2)は標準的な保存条件下で安定であり、適用及び硬化の前にパート(1)をパート(2)と混合する場合がある。硬化系ならびにパート(1)及び/又は(2)は硬化剤、触媒、強靭化剤、安定剤、可塑剤、硬化促進剤、増量剤、充填剤、強化剤、顔料、染料、粘着剤、希釈剤又はそれらの混合物も含む場合がある。
【0078】
硬化性樹脂のために有用な硬化剤及び/又は触媒の例には脂肪族、脂環式、多脂環式(polycycloaliphatic)又は芳香族第1級モノアミン、脂肪族、脂環式、多脂環式又は芳香族第1級及び第2級ポリアミン、カルボン酸及びその無水物、芳香族ヒドロキシル含有化合物、イミダゾール、グアニジン、ウレア−アルデヒド樹脂、メラミン−アルデヒド樹脂、アルコキシル化ウレア−アルデヒド樹脂、アルコキシル化メラミン−アルデヒド樹脂、アミドアミン又はそれらの組み合わせが含まれる。
【0079】
硬化剤の特定の例にはメチレンジアニリン、ジシアンジアミド、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレン−テトラミン、テトラエチレンペンタミン、ウレア−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、メチロール化ウレア−ホルムアルデヒド樹脂、メチロール化メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒドノボラック樹脂、クレゾール−ホルムアルデヒドノボラック樹脂、スルファニルアミド、ジアミノジフェニルスルホン、ジエチルトルエンジアミン、t−ブチルトルエン
ジアミン、ビス−4−アミノシクロ−ヘキシルアミン、ビス(アミノメチル)ノルボルナン、イソホロンジアミン、ジアミノシクロヘキサン、ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、1−(2−アミノエチル)ピペラジン、4,4’−ジアミノスチルベン;4,4’−ジアミノ−アルファ−メチルスチルベン;4,4’−ジアミノベンズアニリド;2,5−ジメチル−2,5−ヘキサン−ジアミン;1,12−ドデカンジアミン;トリス−3−アミノプロピルアミン;1,3−キシレンジアミン;2,2’−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン;4−(2−アミノプロパン−2−イル)−1−メチルシクロヘキサン−1−アミン(メタンジアミン)及びそれらの組み合わせが含まれる。
【0080】
触媒の特定の例には三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素エーテレート、塩化アルミニウム、塩化第二鉄、塩化亜鉛、四塩化ケイ素、塩化錫、四塩化チタン、三塩化アンチモン、三フッ化ホウ素モノエタノールアミン錯体、三フッ化ホウ素トリエタノールアミン錯体、三フッ化ホウ素ピペリジン錯体、ピペリジン−ボラン錯体、ジエタノールアミンボレート、亜鉛フルオロボレート、第一錫オクトエート又は亜鉛オクトエートのような金属性アシレート及びそれらの組み合わせが含まれる。
【0081】
硬化剤を付加物と一緒に用いて硬化性樹脂を硬化させる場合がある。合される硬化剤と付加物の量は、約0.60:1−約1.50:1又は約0.95:1−約1.05:1当量の硬化剤及び付加物中の合計の反応性水素原子である。
【0082】
触媒は硬化性エポキシ樹脂組成物を有効に硬化させる量で用いられる場合がある。硬化触媒の量は硬化性エポキシ樹脂組成物中で用いられる特定の付加物、エポキシ樹脂及びもしあるならば硬化剤にも依存するであろう。一般に触媒は硬化系の合計重量に基づいて約0.001重量%−約2重量%の量で用いられる場合がある。
【0083】
用いられる場合がある安定剤には:フェノチアジン自身又は1−3つの置換基を有するC−置換フェノチアジン又は1つの置換基を有するN−置換フェノチアジン、例えば3−メチル−フェノチアジン、3−エチル−フェノチアジン、10−メチル−フェノチアジン;3−フェニル−フェノチアジン、3,7−ジフェニル−フェノチアジン;3−クロロフェノチアジン、2−クロロフェノチアジン、3−ブロモフェノチアジン;3−ニトロフェノチアジン、3−アミノフェノチアジン、3,7−ジアミノフェノチアジン;3−スルホニル−フェノチアジン、3,7−ジスルホニル−フェノチアジン、3,7−ジチオシアナトフェノチアジン;置換キニン及びカテコール、ナフテン酸銅、ジメチルジチオ炭酸亜鉛及びリンタングステン酸水和物が含まれる。用いられ得る増量剤、強化剤、充填剤及び顔料には、例えば:コールタール、ビチューメン、ガラス繊維、ホウ素繊維、炭素繊維、セルロース、ポリエチレン粉末、ポリプロピレン粉末、雲母、アスベスト、石英粉末、石膏、三酸化アンチモン、ベントン(bentones)、シリカアエロゲル(「アエロジル」)、リトポン、バライト、二酸化チタン、オイゲノール、過酸化ジクミル、イソオイゲノール、カーボンブラック、グラファイト及び鉄粉末が含まれる。他の添加剤、例えば難燃剤、シリコーン、酢酸酪酸セルロース、ポリビニルブチレート、ワックス及びステアレートのような流れ調整剤を加えることも可能である。
【0084】
別の側面において、本開示はコーティングの形成方法を提供する。前記方法は基材に硬化系を適用し、硬化系を硬化条件に供して硬化系を硬化させてコーティングを形成することを含み、そのような硬化条件は周囲条件下及び/又は加熱下(under heat)である。
【0085】
本明細書で用いられる「硬化(cured)」という表現は、硬化性樹脂及び付加物の混合物が不溶性且つ不融解性の架橋生成物に転換され、同時に成形されて鋳造物、プレス成形物又は積層物のような成形品を与えるかあるいはコーティング、エナメル又は接着結
合(adhesive bond)のような二次元構造を与えることを示す。典型的な硬化法は室温硬化から熱源、放射線源又はエネルギー源の組み合わせを用いる高温硬化まで含む。硬化系を一段階で又は電気用積層物及び複合材料工業において多くの場合に実施されるA,B段階的硬化(A,B staged cures)のような多段階で硬化させる場合がある。又は、初期硬化サイクルの後に異なる温度又はエネルギー源を用いて硬化系を後硬化させる場合がある。
【0086】
従って本開示は、適した基材を硬化系と接触させ、熱源、放射線源又はエネルギー源の組み合わせを用いて硬化系を硬化させることにより得られる硬化製品も提供する。1つの態様において、樹脂がコーティングされた基材を、約120℃−約170℃又は約130℃−約160℃の温度で約1分−約300分又は約45分−約150分間硬化系に熱を適用することにより、熱的に硬化させる場合がある。任意的に、鋳造形態の硬化製品を約120℃−約250℃の温度で約30分−約12時間、真空下でさらに後硬化させる場合がある。1つの特定の側面において、硬化系を約120℃−125℃の温度で約0.5−1時間加熱することにより硬化系を硬化させ、続いて約135℃−145℃の温度で約1.5−2時間加熱して硬化させ、それに続いて硬化系を約145℃−155℃の温度で約0.5−1.5時間加熱して硬化させる場合がある。
【0087】
さらに、硬化系を用いて接着するべき類似又は非類似の基材の1つ以上の表面を、硬化系を硬化させるのに十分な条件下で接触させることにより1つ以上の基材を接着するための方法で本開示の硬化系を用いる場合がある。そのような条件は、当業者により実施されている現在既知の方法で一般的に用いられる条件であり、圧力及び/又は熱の適用を含む場合がある。
【0088】
上記の通り、硬化系はコーティング、接着剤、シーラントならびにプレプレグ及びトウプレグ(towpreg)のような強化複合材料の製造用のマトリックスとしての使用に適しており、射出成形又は押出法においても用いられ得る。
【0089】
かくして別の側面において、本開示は、本開示の硬化系を含む接着剤、シーラント、コーティングあるいは電子又は電気部品用の封入系を提供する。硬化系を含むコーティング、シーラント、接着剤又は封入系を適用する場合がある適した基材には鋼、アルミニウム、チタン、マグネシウム、真鍮、ステンレス鋼、亜鉛メッキ鋼のような金属;ガラス及び石英のようなケイ酸塩;金属酸化物;コンクリート;木材;半導体チップ材料のような電子チップ材料;又はポリイミドフィルム及びポリカーボネートのようなポリマーが含まれる。硬化系を含む接着剤、シーラント又はコーティングは、工業的又は電子的用途におけるような多様な用途で用いられる場合がある。
【0090】
別の側面において、本開示は硬化系を浸み込ませた繊維の束又は層を含む硬化製品を提供する。
【0091】
さらに別の側面において、本開示は(a)繊維の束又は層を準備し;(b)本開示の硬化系を準備し;(c)繊維の束又は層及び硬化系を一緒にしてプレプレグ又はトウプレグアセンブリを形成し;(d)任意的にプレプレグ及びトウプレグアセンブリから過剰の硬化系を除去し、そして(e)繊維の束又は層に硬化系を浸み込ませるのに十分な高温及び/又は高圧条件にプレプレグ又はトウプレグアセンブリを暴露してプレプレグ又はトウプレグを形成する段階を含むプレプレグ又はトウプレグの製造方法を提供する。
【0092】
いくつかの側面において、繊維の束又は層を一方向繊維、編織繊維、短繊維(chopped fibers)、不織繊維又は長い不連続繊維から構築する場合がある。繊維をSガラス、S2ガラス、Eガラス、Rガラス、Aガラス、ARガラス、Cガラス、Dガラ
ス、ECRガラス、ガラスフィラメント、ステープルガラス、Tガラス及びジルコニウムガラスのようなガラス、炭素、ポリアクリロニトリル、アクリル、アラミド、ホウ素、ポリアルキレン、石英、ポリベンズイミダゾール、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリp−フェニレンベンゾビスオキサゾール、炭化ケイ素、フェノールホルムアルデヒド、フタレート及びナフテノエートから選ぶ場合がある。
【0093】
硬化系及びそれから製造されるプレプレグ又はトウプレグは、航空宇宙及び自動車用途用の複合部品の製造及び組み立て、複合材料と金属部品、サンドイッチ構造のためのコアとコアフィル及び複合表面材(composite surfacing)の接着において特に有用である。