特許第6977027号(P6977027)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6977027
(24)【登録日】2021年11月12日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】ホスフェートを含有するポリマー組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 51/04 20060101AFI20211125BHJP
   C08L 69/00 20060101ALI20211125BHJP
   C08K 5/521 20060101ALI20211125BHJP
   C08K 3/32 20060101ALI20211125BHJP
【FI】
   C08L51/04
   C08L69/00
   C08K5/521
   C08K3/32
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-511728(P2019-511728)
(86)(22)【出願日】2017年9月8日
(65)【公表番号】特表2019-529609(P2019-529609A)
(43)【公表日】2019年10月17日
(86)【国際出願番号】US2017050632
(87)【国際公開番号】WO2018057312
(87)【国際公開日】20180329
【審査請求日】2020年8月31日
(31)【優先権主張番号】62/398,279
(32)【優先日】2016年9月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・ローバッハ
【審査官】 牟田 博一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−126903(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/083396(WO,A1)
【文献】 国際公開第2016/083383(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L51/、69/
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリカーボネートを含有するマトリックス樹脂のための衝撃改質剤ポリマー組成物であって、
(i)
(a)−20℃以下のTを有する第1段階ポリマー、および
(b)50℃以上のTを有する最終段階ポリマー、を含む、1つ以上の多段階ポリマーと、
(ii)前記多段階ポリマーの乾燥重量に基づいて、50ppm以上の量の1つ以上のホスフェート界面活性剤と、
(iii)前記多段階ポリマーの乾燥重量に基づいて、リンの重量として測定される100ppm以上の量の1つ以上のアルカリ性ホスフェートと、を含む、衝撃改質剤ポリマー組成物。
【請求項2】
前記第1段階ポリマーが、エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート、ブタジエン、イソプレン、スチレン、アルファ−メチルスチレン、アクリル酸、およびメタクリル酸のうちの1つ以上から誘導された重合単位を含み、
前記最終段階ポリマーが、スチレン、アルファ−メチルスチレン、メチルメタクリレート、およびブチルアクリレートのうちの1つ以上から誘導された重合単位を含む、請求項
1に記載の衝撃改質剤ポリマー組成物。
【請求項3】
前記第1段階ポリマーが、前記多段階ポリマーの総重量に基づいて、10〜98重量%の量で存在し、前記最終段階ポリマーが、前記多段階ポリマーの総重量に基づいて、2〜50重量%の量で存在する、請求項1に記載の衝撃改質剤ポリマー組成物。
【請求項4】
(iv)多価カチオンの1つ以上のリン酸塩をさらに含む、請求項1に記載の衝撃改質剤ポリマー組成物。
【請求項5】
多価カチオンの前記リン酸塩が、水不溶性である、請求項4に記載の衝撃改質剤ポリマー組成物。
【請求項6】
リン酸塩の形態で存在する前記多価カチオンのモル量が、前記組成物中に存在する前記多価カチオンの総モルに基づいて80%以上である、請求項5に記載の衝撃改質剤ポリマー組成物。
【請求項7】
前記ホスフェート界面活性剤が、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩、およびポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の衝撃改質剤ポリマー組成物。
【請求項8】
前記多段階ポリマーが、50nm〜1マイクロメートルの平均粒径を有するラテックスポリマーである、請求項1に記載の衝撃改質剤ポリマー組成物。
【請求項9】
少なくとも1種のポリカーボネートを含有する1つ以上のマトリックス樹脂と請求項1に記載の衝撃改質剤ポリマー組成物とを含む、マトリックス樹脂組成物。
【請求項10】
前記マトリックス樹脂が、1つ以上のポリカーボネート、1つ以上のポリエステルとブレンドされた1つ以上のポリカーボネート、および1つ以上のABS樹脂とブレンドされた1つ以上のポリカーボネートからなる群から選択される、請求項9に記載のマトリックス樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、衝撃改質剤として有用な多段階ポリマー組成物に関する。組成物は、0℃以下のTを有する第1、および20℃以上のTを有する後続の段階を有するポリマーと、1つ以上のホスフェート界面活性剤と、1つ以上のアルカリ性ホスフェートと、を含有する。
【背景技術】
【0002】
ポリマーラテックスの凝固は、ラテックスの水からラテックスのポリマーを分離することの1つである。しかしながら、凝固プロセスは、多価カチオンおよび他のイオン性不純物を固体ポリマー中に導入するという不利点を有し、これは、例えば、ポリマー組成物が、多価カチオンおよび他のイオン性不純物が悪影響を及ぼすことが知られているマトリックス樹脂中の添加剤として使用される場合、欠点となり得る。
【0003】
過剰な多価カチオンを扱う様々な解決法が、当該技術分野で提案されている。例えば、米国特許第8,008,372号は、多価カチオンの残留リン酸塩を不溶化するためのアルカリ性ホスフェートの水溶液の後添加を開示している。例えば、そのような不溶性リン酸カルシウムは、ポリマーの表面に残される。しかしながら、先行技術は、マトリックス樹脂と組み合わされた衝撃改質剤ポリマー組成物の混合物の改善された熱安定性を達成する、本発明によるプロセスを開示していない。
【0004】
したがって、先行技術の欠点を受けない新たなプロセスおよび衝撃改質剤ポリマー組成物、すなわち、混合物の熱安定性に有意な改善を提供する、衝撃改質剤ポリマー組成物とマトリックス樹脂との混合物を開発する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一態様は、(i)(a)−20℃以下のTを有する第1段階ポリマー、および(b)50℃以上のTを有する最終段階ポリマーを含む、1つ以上の多段階ポリマーと、(ii)多段階ポリマーの乾燥重量に基づいて、50ppm以上の量の1つ以上のホスフェート界面活性剤と、(iii)多段階ポリマーの乾燥重量に基づいて、リンの重量として測定される100ppm以上の量の1つ以上のアルカリ性ホスフェートと、を含む、ポリマー組成物を提供する。
【0006】
別の態様では、本発明は、(A)(i)(a)−20℃以下のTを有する第1段階ポリマー、および(b)50℃以上のTを有する最終段階ポリマーを含む、1つ以上の多段階ポリマーと、(ii)多段階ポリマーの乾燥重量に基づいて、50ppm以上の量の1つ以上のホスフェート界面活性剤と、(iii)多段階ポリマーの乾燥重量に基づいて、リンの重量として測定される100ppm以上の量の1つ以上のアルカリ性ホスフェートと、を含むポリマー組成物と、(B)1つ以上のマトリックス樹脂と、を含む、マトリックス組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
ここで、本発明者らは、驚くべきことに、ホスフェート石鹸の存在下での水性乳化重合、それに続くアルカリ性ホスフェートの凝固後添加によって作製される多段階ポリマーを含有する衝撃改質剤ポリマー組成物が、マトリックス樹脂と組み合わされたそのようなポリマー組成物の混合物に改善された熱安定性を提供することを見出した。
【0008】
本明細書で使用される場合、「ポリマー」という用語は、同じまたは異なる種類に関わらず、モノマーを重合することによって調製されたポリマー化合物を指す。「ポリマー」という一般的な用語には、「ホモポリマー」、「コポリマー」、「ターポリマー」、および「樹脂」という用語が含まれる。本明細書で使用される場合、「から誘導された重合単位」という用語は、生成物ポリマーが、重合反応の出発物質である構成モノマー「から誘導された重合単位」を含有する、重合技術に従って合成されるポリマー分子を指す。本明細書で使用される場合、「(メタ)アクリレート」という用語は、アクリレートもしくはメタクリレート、またはそれらの組み合わせのいずれかを指し、「(メタ)アクリル系」という用語は、アクリル系もしくはメタクリル系、またはそれらの組み合わせのいずれかを指す。本明細書で使用される場合、「置換」という用語は、少なくとも1つの結合した化学基、例えば、アルキル基、アルケニル基、ビニル基、ヒドロキシル基、カルボン酸基、他の官能基、およびそれらの組み合わせを有することを指す。
【0009】
本明細書で使用される場合、「ホスフェート」という用語は、リン原子および酸素原子から構成されるアニオンを指す。オルトホスフェート(PO−3)、ポリホスフェート(nが2以上である、P3n+1−(n+2))、およびメタホスフェート(式P3m−mを有する環状アニオン(式中、mは2以上である))が含まれる。本明細書で使用される場合、「アルカリ性ホスフェート」という用語は、リン酸アニオンを有するアルカリ金属カチオンの塩を指す。アルカリ性ホスフェートとしては、アルカリ金属オルトホスフェート、アルカリ金属ポリホスフェート、およびアルカリ金属メタホスフェートが挙げられる。アルカリ性ホスフェートはまた、例えば、リン酸一水素二ナトリウムおよびリン酸水素二ナトリウムなどのオルトホスフェートの部分中和塩を含む、リン酸の部分中和塩も含む。
【0010】
本明細書で使用される場合、「多段階ポリマー」という用語は、「第1段階」または「第1段階ポリマー」と呼ばれる第1のポリマーを形成(すなわち、重合)し、次いで、第1段階の存在下で、最終段階の中間段階となり得る、「第2段階」または「第2段階ポリマー」と呼ばれる第2のポリマーを形成することによって作製されるポリマーを指す。多段階ポリマーは、少なくとも第1段階、任意の中間段階、および最終段階を有する。各中間段階は、その中間段階の直前の段階の重合から生じるポリマーの存在下で形成される。各々の後続する段階が前の段階から残っている粒子の各々の周囲に部分的または完全なシェルを形成するような実施形態では、得られる多段階ポリマーは、「コア/シェル」ポリマーとして知られている。
【0011】
本明細書で使用される場合、「重量平均分子量」または「M」という用語は、ASTM D5296−11(2011)に従ったポリスチレン較正標準に対するアクリルポリマーのゲル浸透クロマトグラフィー(「GPC」)によって、テトラヒドロフラン(「THF」)を移動相および希釈剤として使用して測定されるポリマーの重量平均分子量を指す。本明細書で使用される場合、「ポリマーの重量」という用語は、ポリマーの乾燥重量を意味する。
【0012】
本明細書で使用される場合、「ガラス転移温度」または「T」という用語は、ガラス質ポリマーがポリマー鎖のセグメント運動を受ける温度またはそれ以上の温度を指す。コポリマーのガラス転移温度は、Fox方程式(Bulletin of the American Physical Society,1(3)Page123(1956))によって以下のように推定することができる。
1/T=w/Tg(1)+w/Tg(2)
【0013】
コポリマーについては、wおよびwは、2つのコモノマーの重量分率を指し、Tg(1)およびTg(2)は、モノマーから作製された2つの対応するホモポリマーのガラス転移温度を指す。3つ以上のモノマーを含有するポリマーについては、追加の項(w/Tg(n))が追加される。ホモポリマーのガラス転移温度は、例えば、J.BrandrupおよびE.H.によって編集された「Polymer Handbook」Immergut,Interscience Publishersに見出され得る。ポリマーのTは、例えば、示差走査熱量測定(「DSC」)を含む様々な技術によっても測定することができる。本明細書で使用される場合、「計算されたT」という句は、Fox方程式によって計算されるガラス転移温度を意味するものとする。多段階ポリマーのTを測定すると、2つ以上のTが観察され得る。多段階ポリマーの1つの段階で観察されるTは、その段階を形成するポリマーの特徴であるT(すなわち、その段階を形成するポリマーが、他の段階から離れて形成され、測定された場合に観察されるであろうT)と同じであり得る。モノマーが、ある特定のTを有すると言われる場合、それは、そのモノマーから作製されたホモポリマーがそのTを有することを意味する。
【0014】
化合物は、20℃で水に溶解することができるその化合物の量が、100mlの水当たり5g以上の化合物である場合、本明細書において「水溶性」とみなされる。化合物は、20℃で水に溶解することができるその化合物の量が、100mlの水当たり0.5g以下の化合物である場合、本明細書において「水不溶性」とみなされる。20℃で水に溶解することができる化合物の量が、100mlの水当たり0.5g〜5gである場合、その化合物は、本明細書において「部分的に水溶性」であると言われる。
【0015】
本明細書で使用される場合、「ポリマー組成物が、ある特定の物質をほとんどまたは全く含有しない」と述べられるとき、ポリマー組成物は、その物質を全く含有しない、またはその物質のいくらかが本組成物中に存在する場合、その物質の量は、ポリマー組成物の重量に基づいて、1重量%以下である。ある特定の物質を「ほとんどまたは全く有しない」と本明細書に記載される実施形態の中で、そのある特定の物質が全く存在しない実施形態が想定される。
【0016】
本発明のポリマー組成物は、水性乳化重合によって作製された多段階ポリマーを含有する。水性乳化重合では、水が、重合が起こる連続媒体を形成する。水は、水と混和性であるか、または水中に溶解している1つ以上の追加の化合物と混合されてもよく、または混合されなくてもよい。いくつかの実施形態では、連続媒体は、連続媒体の重量に基づいて、30重量%以上の水、または50重量%以上の水、または75重量%以上の水、または90重量%以上の水を含有する。
【0017】
乳化重合は、1つ以上の開始剤の存在を含む。開始剤は、重合プロセスを開始することができる1つ以上のフリーラジカルを形成する化合物である。開始剤は、通常、水溶性である。いくつかの好適な開始剤は、加熱されると1つ以上のフリーラジカルを形成する。いくつかの好適な開始剤は、酸化剤であり、1つ以上の還元剤と混合したとき、もしくは加熱したとき、またはそれらの組み合わせで1つ以上のフリーラジカルを形成する。いくつかの好適な開始剤は、例えば、紫外線または電子線のような放射線に露光されると、1つ以上のフリーラジカルを形成する。好適な開始剤の組み合わせもまた、好適である。
【0018】
特定の実施形態では、多段階ポリマーは、ラテックスを形成するための乳化重合によって作製される。そのような実施形態では、ラテックスは、50nm以上、または100nm以上の平均粒径を有する。特定の実施形態では、ラテックスは、1マイクロメートル未満、または800nm未満、または600nm未満の平均粒径を有する。
【0019】
乳化重合は、アニオン性ホスフェート界面活性剤を含む1つ以上の界面活性剤の使用を含む。各アニオン性ホスフェート界面活性剤は、それと関連したカチオンを有し、例えば、アルキルリン酸塩およびアルキルアリールリン酸塩を含むホスフェート界面活性剤のアルカリ金属塩を形成する。好適なカチオンとしては、例えば、アンモニウム、アルカリ金属のカチオン、およびそれらの混合物が挙げられる。ホスフェート界面活性剤の好適なアルカリ金属塩としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩、およびポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩が挙げられる。特定の実施形態では、ホスフェート界面活性剤のアルカリ金属塩は、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩を含む。特定の実施形態では、多段階ポリマーの乳化重合中に存在するホスフェート界面活性剤の重量は、ホスフェート界面活性剤の重量によって特徴付けられる際、重合に追加された総モノマー重量に基づいて0.5重量%以上、好ましくは1.0重量%以上、より好ましくは1.5重量%以上である。特定の実施形態では、多段階ポリマーの乳化重合中に存在するホスフェート界面活性剤の重量は、ホスフェート界面活性剤の重量によって特徴付けられる際、重合に追加された総モノマー重量に基づいて5重量%以下、好ましくは4重量%以下、より好ましくは3重量%以下である。特定の実施形態では、上記のアニオン性ホスフェート界面活性剤に加えて1つ以上のアニオン性界面活性剤が、乳化重合に利用される。好適な追加のアニオン性界面活性剤としては、例えば、カルボン酸塩、スルホコハク酸塩、スルホン酸塩、および硫酸塩が挙げられる。
【0020】
特定の実施形態では、多段階ポリマーは、ラテックスを形成するための乳化重合によって作製される。本明細書で使用される場合、「ラテックス」という用語は、ポリマーが、水中に分散している小さなポリマー粒子の形態で存在するポリマーの物理的形態を指す。特定の実施形態では、ラテックスは、50nm以上または100nm以上の平均粒径を有する。特定の実施形態では、ラテックスは、1,000nm以下、または800nm以下、または600nm以下の平均粒径を有する。
【0021】
本発明の多段階ポリマーは、1つ以上の置換もしくは非置換ジエン、1つ以上の置換もしくは非置換スチレン、1つ以上の置換もしくは非置換(メタ)アクリレートモノマー、(メタ)アクリル酸、またはそれらの混合物から誘導された重合単位を含有する第1段階ポリマーを含有する。特定の実施形態では、第1段階ポリマーは、−20℃以下、または−35℃以下、または−50℃以下のTを有する。特定の実施形態では、第1段階ポリマーは、−150℃以上、または−100℃以上のTを有する。特定の実施形態では、多段階ポリマーは、多段階ポリマーの総重量に基づいて、10重量%以上、または20重量%以上、または50重量%以上の量で第1段階ポリマーを含有する。特定の実施形態では、多段階ポリマーは、多段階ポリマーの総重量に基づいて、98重量%以下、または95重量%以下、または90重量%以下の量で第1段階ポリマーを含有する。
【0022】
特定の実施形態では、第1段階は、0℃以下のTを有する重合単位または1つ以上の(メタ)アクリレートモノマーを含有する。好適な(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、および2−エチルヘキシルアクリレートが挙げられる。特定の実施形態では、第1段階は、第1段階ポリマーの総重量に基づいて、50重量%以上、または75重量%以上、または90重量%以上の量で、0℃以下のTを有する(メタ)アクリレートモノマーから誘導された重合単位を含有する。
【0023】
特定の実施形態では、多段階ポリマーの第1段階は、1つ以上の多官能性モノマーから誘導された重合単位を含有する。多官能性モノマーは、重合反応に関与することができる2つ以上の官能基を含有する。好適な多官能モノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン、アリルメタクリレート、エチレングリコールメタクリレート、および1,3−ブチレンジメタクリレートが挙げられる。特定の実施形態では、第1段階は、第1段階ポリマーの総重量の重量に基づいて、0.01重量%以上、または0.03重量%以上、または0.1重量%以上の量で多官能性モノマーから誘導された重合単位を含有する。特定の実施形態では、第1段階は、第1段階ポリマーの総重量の重量に基づいて、5重量%以下、または2重量%以下の量で多官能性モノマーから誘導された重合単位を含有する。
【0024】
特定の実施形態では、多段階ポリマーの第1段階は、1つ以上のジエンモノマーから誘導された重合単位を含有する。好適なジエンモノマーとしては、例えば、ブタジエンおよびイソプレンが挙げられる。特定の実施形態では、第1段階は、第1段階ポリマーの総重量に基づいて、2重量%以上、または5重量%以上、または10重量%以上、または20重量%以上、または50重量%以上、または75重量%以上の量でジエンモノマーから誘導された重合単位を含有する。特定の実施形態では、第1段階は、第1段階ポリマーの総重量に基づいて、100重量%以下、または98重量%以下、または90重量%以下の量でジエンモノマーから誘導された重合単位を含有する。
【0025】
特定の実施形態では、多段階ポリマーの第1段階は、スチレン、置換スチレン、またはそれらの混合物のうちの1つ以上から誘導された重合単位を含有する。好適な置換スチレンとしては、例えば、アルファ−アルキルスチレン(例えば、アルファ−メチルスチレン)が挙げられる。特定の実施形態では、第1段階は、第1段階ポリマーの総重量に基づいて、1重量%以上、または2重量%以上、または5重量%以上、または10重量%以上の量のスチレンおよび置換スチレンのうちの1つ以上から誘導された重合単位を含有する。特定の実施形態では、第1段階は、第1段階ポリマーの総重量に基づいて、80重量%以下、または50重量%以下、または25重量%以下、または10重量%以下、または5重量%以下の量のスチレンおよび置換スチレンのうちの1つ以上から誘導された重合単位を含有する。
【0026】
特定の実施形態では、多段階ポリマーの第1段階ポリマーは、酸官能性モノマーから誘導された重合単位を含有する。酸官能性モノマーは、酸基、例えば、スルホン酸基またはカルボン酸基を有するモノマーである。好適な酸官能性モノマーとしては、例えば、アクリル酸およびメタクリル酸が挙げられる。特定の実施形態では、第1段階は、第1段階ポリマーの総重量に基づいて、3重量%以下、または2重量%以下、または1重量%以下、または0.5重量%以下の量で1つ以上の酸官能性モノマーから誘導された重合単位を含有する。
【0027】
本発明の多段階ポリマーは、1つ以上の置換もしくは非置換スチレン、1つ以上の置換もしくは非置換(メタ)アクリレートモノマー、(メタ)アクリル酸、またはそれらの混合物から誘導された重合単位を含有する最終段階ポリマーを含有する。特定の実施形態では、最終段階ポリマーは、50℃以上、または90℃以上のTを有する。特定の実施形態では、最終段階ポリマーは、200℃以下、または150℃以下のTを有する。特定の実施形態では、多段階ポリマーは、多段階ポリマーの総重量に基づいて、2重量%以上、または10重量%以上、または20重量%以上の量で最終段階ポリマーを含有する。特定の実施形態では、多段階ポリマーは、多段階ポリマーの総重量に基づいて、50重量%以下、または25重量%以下、または10重量%以下の量で最終段階ポリマーを含有する。最終段階における好適なモノマーとしては、例えば、スチレン、アルファ−メチルスチレン、メチルメタクリレート、およびブチルアクリレートのうちの1つ以上が挙げられる。特定の実施形態では、最終段階ポリマーは、最終段階ポリマーの総重量に基づいて、50重量%以上、または75重量%以上、または90重量%以上、または100重量%で、50℃以上のTを有するモノマーから誘導された重合単位を含有する。
【0028】
特定の実施形態では、第1段階ポリマーと最終段階ポリマーとの重量比は、0.1:1以上、または0.2:1以上、または0.4:1以上、または1:1以上、または1.5:1以上、または3:1以上、または4:1以上である。特定の実施形態では、第1段階ポリマーと最終段階ポリマーとの重量比は、50:1以下、または25:1以下、または20:1以下である。
【0029】
特定の実施形態では、多段階ポリマーは、1つ以上の中間段階ポリマーを含有する。特定の実施形態では、中間段階ポリマーの総量は、多段階ポリマーの総重量に基づいて、1重量%以上、または2重量%以上、または5重量%以上、または10重量%以上の量で存在する。特定の実施形態では、中間段階ポリマーの総量は、多段階ポリマーの総重量に基づいて、60重量%以下、または2重量%以下、または5重量%以下、または10重量%以下の量で存在する。
【0030】
本発明のプロセスでは、多段階ポリマーラテックスを凝固させる。ラテックスポリマーを凝固させる方法は、当該技術分野において知られている。凝固は、多段階ポリマーをラテックスからペレットまたは粉末のような固体形態に変換するために実施される。好適な方法としては、例えば、多価カチオンの添加、酸の添加、イオン強度を高めるための塩の添加、ならびに高温および高撹拌の使用が挙げられる。
【0031】
特定の実施形態では、多段階ポリマーは、多段階ポリマーを1つ以上の多価カチオンと混合することによって凝固される。そのような実施形態では、本発明の組成物は、以下で論じられる過剰のアルカリ性ホスフェートの後添加によって生成される1つ以上の多価カチオンのリン酸塩を含有する。好適な多価カチオンとしては、例えば、多価金属カチオンおよびアルカリ土類カチオンが挙げられる。好適な多価カチオンとしては、例えば、アルミニウム(+3)、カルシウム(+2)、コバルト(+2)、銅(+2)、鉄(+2)、マグネシウム(+2)、亜鉛(+2)、およびそれらの混合物が挙げられる。特定の実施形態では、カルシウム(+2)、およびマグネシウム(+2)である。特定の実施形態では、存在するあらゆる多価カチオンは、カルシウム(+2)、もしくはマグネシウム(+2)、またはそれらの混合物である。特定の実施形態では、多価カチオンは、多段階ポリマーの乾燥重量に基づいて、10重量ppm以上、または30重量ppm以上、または100重量ppm以上の量で存在する。特定の実施形態では、多価カチオンは、多段階ポリマーの乾燥重量に基づいて、3重量%以下、または1重量%以下、または0.3重量%以下の量で存在する。
【0032】
多価カチオンのリン酸塩の中で、アニオンは、オルトホスフェートのうちの1つ以上、1つ以上のピロホスフェート、1つ以上のメタホスフェート酸、またはそれらの混合物である。いくつかの実施形態では、多価カチオンのリン酸塩のアニオンは、オルトホスフェートである。いくつかの実施形態では、リン酸アニオンは、オルトホスフェート以外には存在しない。特定の実施形態では、多価カチオンのリン酸塩は、水不溶性である。特定の実施形態では、その多価カチオンのオルトホスフェート塩は、水不溶性であるが、その多価カチオンの塩化物塩は、水溶性であるという特徴を有する多価カチオンが選択される。
【0033】
組成物中に存在するリン酸塩の量は、多段階ポリマーの乾燥重量に基づいて、百万分の一(「ppm」)またはパーセントとして表される、その塩の中のホスフェートイオン中に存在するリン元素の重量によって特徴付けられ得る。特定の実施形態では、多価カチオンのリン酸塩の量は、リンの重量によって特徴付けられる際、多段階ポリマーの乾燥重量に基づいて10ppm以上、または30ppm以上、または100ppm以上である。特定の実施形態では、多価カチオンのリン酸塩の量は、リンの重量によって特徴付けられる際、多段階ポリマーの乾燥重量に基づいて3重量%以下、または1重量%以下、または0.3重量%以下、または0.1重量%以下である。
【0034】
特定の実施形態では、組成物中に存在する多価カチオンの大部分または全部が、水不溶性リン酸塩の形態である。いくつかの実施形態では、水不溶性リン酸塩の形態で存在する多価カチオンのモル量は、組成物中に存在する多価カチオンの総モル数に基づいて、80%以上、または90%以上、または95%以上、または98%以上、または100%である。
【0035】
特定の実施形態では、凝固ポリマーと共に残る水の大部分または全部が、濾過(例えば、真空濾過を含む)、および/または遠心分離の操作のうちの1つ以上によって凝固ポリマーから除去される。特定の実施形態では、凝固ポリマーは、任意に、水で1回以上洗浄される。凝固ポリマーは、複雑な構造であり、水が、凝固ポリマーのあらゆる部分に容易に接触することができないことが知られている。理論に縛られることを望まないが、かなりの量の多価カチオンおよび残留ホスフェート界面活性剤が残されることが考えられる。したがって、特定の実施形態では、本発明の組成物は、多段階ポリマーの乾燥重量に基づいて、50ppm以上、または100ppm以上、または500ppm以上の量でホスフェート界面活性剤を含有するであろう。特定の実施形態では、本発明の組成物は、多段階ポリマーの乾燥重量に基づいて、10,000ppm以下、または7,500ppm以下、または5,000ppm以下の量でホスフェート界面活性剤を含有するであろう。
【0036】
本発明のプロセスでは、凝固した多段階ポリマーをアルカリ性ホスフェートで処理する。特定の実施形態では、そのような処理は、以下で論じる乾燥ステップの前に実行される。特定の実施形態では、アルカリ性ホスフェートは、水溶液の形態である。好適な処理としては、例えば、凝固した多段階ポリマーにアルカリ性ホスフェートの水溶液を噴霧すること、またはアルカリ性ホスフェートの水溶液を保持する容器に凝固した多段階ポリマーを添加し、続いて、水溶液から凝固した多段階ポリマーを分離する(例えば、濾過により)ことが挙げられる。そのような実施形態では、本発明の組成物は、1つ以上のアルカリ性ホスフェートを含有する。好適なアルカリ金属としては、例えば、ナトリウム、カリウム、およびそれらの混合物が挙げられる。特定の実施形態では、アルカリ性ホスフェートは、リンの重量によって特徴付けられる際、多段階ポリマーの乾燥重量に基づいて100ppm以上、または300ppm以上の量で存在する。特定の実施形態では、アルカリ性ホスフェートは、リンの重量によって特徴付けられる際、ポリマー組成物の乾燥重量に基づいて100ppm以上、または300ppm以上の量で存在する。独立して、アルカリ性ホスフェートは、ポリマー組成物の乾燥重量に基づいて1重量%以下、または0.5重量%以下、または0.25重量%以下、または0.1重量%以下の量で存在する。
【0037】
特定の実施形態では、凝固ポリマーをアルカリ性ホスフェートで処理する方法は、乾燥形態(例えば、オーブン内または流動床乾燥機内で乾燥することによって)の本発明のポリマー組成物中に保持されるホスフェートイオンの量を制御する目的で選択される。本発明のポリマー組成物は、ポリマー組成物の総重量に基づいて1重量%以下、または0.5重量%以下の量の水を含有する場合、本明細書において乾燥しているとみなされる。特定の実施形態では、乾燥形態の本発明のポリマー組成物中に保持されるホスフェートイオンの量は、本発明のポリマー組成物中に存在する多価カチオンを超える当量である。
【0038】
特定の実施形態では、本発明のポリマー組成物は、流動助剤も含み得る。流動助剤は、粉末の形態(平均粒径1マイクロメートル〜1mm)の硬質材料である。好適な流動助剤としては、例えば、硬質ポリマー(すなわち、80℃以上のTを有するポリマー)またはミネラル(例えば、シリカ)が挙げられる。
【0039】
特定の実施形態では、本発明のポリマー組成物は、安定剤も含み得る。好適な安定剤としては、例えば、ラジカル捕捉剤、過酸化物分解剤、および金属不活性化剤が挙げられる。好適なラジカル捕捉剤としては、例えば、ヒンダードフェノール(例えば、ヒドロキシル基が結合している炭素原子に隣接する芳香環の各炭素原子に第三級ブチル基が結合しているもの)、第二級芳香族アミン、ヒンダードアミン、ヒドロキシルアミン、およびベンゾフラノンが挙げられる。好適な過酸化物分解剤としては、例えば、有機硫化物(例えば、二価硫黄化合物、例えば、チオプロピオン酸のエステル)、亜リン酸のエステル(HPO)、およびヒドロキシルアミンが挙げられる。好適な金属不活性化剤としては、例えば、キレート剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸)が挙げられる。
【0040】
上記のように、本発明の一態様は、多段階ポリマー組成物およびマトリックス樹脂を含有するマトリックス樹脂組成物中の衝撃改質剤として本明細書に記載されるポリマー組成物を利用する。多段階ポリマーとマトリックス樹脂との混合物を混合し、溶融し、固体製品に形成した後、その製品の耐衝撃性は、多段階ポリマーと混合していないマトリックス樹脂を用いて作製した同じ固体製品よりも良好であろう。特定の実施形態では、多段階ポリマーは、固体形態、例えば、ペレットもしくは粉末、またはそれらの混合物で提供される。特定の実施形態では、マトリックス樹脂は、固体形態、例えば、ペレットもしくは粉末、またはそれらの混合物で提供される。特定の実施形態では、固体多段階ポリマーは、室温(20℃)または高温(例えば、30℃〜90℃)のいずれかで固体マトリックス樹脂と混合される。特定の実施形態では、固体多段階ポリマーは、例えば、押出機または他の溶融ミキサー内で溶融マトリックス樹脂と混合される。特定の実施形態では、固体多段階ポリマーは、固体マトリックス樹脂と混合され、次いで、固体の混合物は、十分に加熱されてマトリックス樹脂を溶融させ、混合物は、例えば、押出機または他の溶融加工装置内でさらに混合される。特定の実施形態では、マトリックス樹脂と本発明の多段階ポリマーとの重量比は、1:1以上、または1.1:1以上、または2.3:1以上、または4:1以上、または9:1以上、または19:1以上、または49:1以上、または99:1以上である。
【0041】
好適なマトリックス樹脂としては、例えば、ポリオレフィン、ポリスチレン、スチレンコポリマー、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(酢酸ビニル)、アクリルポリマー、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、およびポリアミドが挙げられる。特定の実施形態では、マトリックス樹脂は、少なくとも1つのポリカーボネートを含有する。好適なポリカーボネートには、例えば、ビスフェノールAから誘導された重合単位のホモポリマー(「BPA」)、および1つ以上の他の重合単位と共にBPAの重合単位を含むコポリマーも含まれる。特定の実施形態では、マトリックス樹脂は、少なくとも1つのポリエステルを含有する。好適なポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートが挙げられる。特定の実施形態では、マトリックス樹脂は、ポリマーのブレンドを含有する。好適なポリマーのブレンドとしては、例えば、ポリカーボネートとスチレン樹脂とのブレンド、およびポリカーボネートとポリエステルとのブレンドが挙げられる。好適なスチレン樹脂としては、例えば、ポリスチレンおよびスチレンと他のモノマーとのコポリマー、例えば、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(「ABS」)樹脂が挙げられる。
【0042】
多段階ポリマーおよびマトリックス樹脂を含有するマトリックス樹脂組成物は、混合物に添加される1つ以上の追加の材料を含有し得る。全ての材料の最終混合物を形成する前に、そのような追加の材料のいずれか1つ以上は、多段階ポリマーまたはマトリックス樹脂に添加され得る。マトリックス樹脂が固体形態または溶融形態である場合、追加の材料の各々(いずれかが使用される場合)は、マトリックス樹脂に(単独で、または互いに組み合わせておよび/もしくは多段階ポリマーと組み合わせて)添加され得る。好適な追加の材料としては、例えば、染料、着色剤、顔料、カーボンブラック、充填剤、繊維、滑剤(例えば、モンタンワックス)、難燃剤(例えば、ホウ酸塩、三酸化アンチモン、またはモリブデン酸塩)、および本発明の多段階ポリマーではない他の衝撃改質剤が挙げられる。
【0043】
マトリックス樹脂組成物は、例えば、フィルムブロー成形、異形押出し、成形、他の方法、またはそれらの組み合わせによって有用な物品を形成するために使用され得る。成形方法としては、例えば、ブロー成形、射出成形、圧縮成形、他の成形方法、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0044】
ここで、本発明のいくつかの実施形態を、以下の実施例において詳細に説明する。
【実施例】
【0045】
実施例1
比較ポリマー組成物C1の調製
(カルボン酸塩界面活性剤+アルカリ性ホスフェートの後添加)
撹拌機およびいくつかの入口を有するステンレス鋼オートクレーブに、7390部の脱イオン水中の3部のオレイン酸カリウム乳化剤および9.6部のナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートを装入した。オートクレーブを空にし、5272部のブタジエン、183部のスチレン、52部のクメンヒドロペルオキシド、および46部のジビニルベンゼンを添加し、70℃において10時間にわたり反応させた。追加の59部のオレイン酸カリウム乳化剤も添加した。反応期間の終わりに、それ以上の圧力降下は観察されず、反応圧力を排気した。
【0046】
上記のように調製した約40%の固形分を有する2000部のゴムラテックスに、112部のスチレン、続いて、10部の脱イオン水中に溶解した0.23部のナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートおよび0.37部の70%活性強度tert−ブチルヒドロペルオキシドを添加した。発熱が完了してから1時間後、115部のメチルメタクリレート、1.2部のブチレンジメタクリレート、24部の脱イオン水中に溶解した0.58部のナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、および0.93部の70%活性強度tert−ブチルヒドロペルオキシドを添加し、反応を完了させた。得られた多段階ポリマーラテックスは、約45%の固形分を有していた。
【0047】
このラテックスをオクタデシル3−(3,5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパノエート(BASFからIGONOX1076として入手可能)の20%固形分エマルションで処理して、固形物上の固形物2.9%のヒンダードフェノール酸化防止剤を供給した。次いで、ラテックスを、よく混合しながら1分間かけて51℃の温度で8000グラムの0.10%塩酸凝固剤溶液に添加することによって凝固させた。このようにして形成されたスラリーを、5.5のpHに達するまで水酸化ナトリウム溶液を使用して中和し、次いで、1時間80℃に加熱した。スラリーを遠心分離により濾過して、ウェットケーキを作製した。流出水の導電率が50μS/cmに達するまで、ウェットケーキを遠心分離機上で、水で洗浄した。遠心分離機から集められた洗浄されたウェットケーキは、約35%の固形分レベルを有し、本明細書で「IMウェットケーキ」と標識される。IMウェットケーキに、60グラムの水に溶解した1.13グラムのリン酸一ナトリウムおよび2.30グラムのリン酸二ナトリウムを含有する溶液を噴霧した。利用したホスフェートスプレーは、固形分重量で33%のリン酸一ナトリウムおよび67%のリン酸二ナトリウムからなる水溶液混合物であった。溶液をスプレーとして適用して、最終粉末中に750ppmのリンを供給した。噴霧されたIMウェットケーキを1分間手で混合して、ホスフェートの均一な分布を達成した。次いで、噴霧されたIMウェットケーキを、50℃に保持した真空オーブンで16時間乾燥させて、本明細書で「IM粉末」と呼ばれる粉末を形成した。
【0048】
実施例2
比較ポリマー組成物C2の調製
(ホスフェート界面活性剤+アルカリ性ホスフェートの後添加なし)
Stepan CompanyからのRhodafac(登録商標)RS−610(ホスフェート官能性末端基に結合した6個のエチレンオキシド単位に結合したC1327アルキル基を有する界面活性剤)を、オレイン酸カリウムの代わりに乳化剤として利用した以外は、上記の比較ポリマー組成物C1について記載されたラテックス合成法に従った。重合反応へのRS−610の装入量は、最初は7.8グラムであり、続いて、重合中のさらなる148グラムであった。このラテックスをオクタデシル3−(3,5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパノエートの20%固形分エマルションで処理して、固形物上の固形物2.9%のヒンダードフェノール酸化防止剤を供給した。次いで、ラテックスを、よく混合しながら1分間かけて54℃の温度で8000グラムの0.14%塩化カルシウム凝固剤溶液に添加することによって凝固させた。次いで、このようにして形成したスラリーを80℃で1時間加熱した。スラリーを遠心分離により濾過して、ウェットケーキを生成した。流出水の導電率が50μS/cmに達するまで、ウェットケーキを遠心分離機上で、水で洗浄した。遠心分離機から集められた洗浄されたウェットケーキは、約35%の固形分レベルを有し、本明細書で「IMウェットケーキ」と標識される。IMウェットケーキを、50℃に保持した真空オーブンで16時間乾燥させて、本明細書で「IM粉末」と呼ばれる粉末を形成した。
【0049】
実施例3
比較ポリマー組成物C3の調製
(ホスフェート/スルホン酸塩界面活性剤+アルカリ性ホスフェートの後添加なし)
本実施例のIM粉末は、Kaneka Corporation製の商品名M−732であった。ゴム成分は、ポリブタジエンである。製品タイプは、コア/シェル型メタクリレート−ブタジエン−スチレンコポリマーである。酸化防止剤オクタデシル3−(3,5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパノエートは、2.9重量%で存在する。存在する乳化剤は、C12、C14(およびいくらかのC16)リン酸化アルコールエトキシレート(EO8でのモード)である。カルシウムは、830ppmで存在する。可溶性(アルカリ性)ホスフェートは、存在しない。
【0050】
実施例4
比較ポリマー組成物C4の調製
(スルホン酸界面活性剤+アルカリ性ホスフェートの後添加)
Stepan CompanyからのPolystep(登録商標)A−18をオレイン酸カリウムの代わりに乳化剤として利用した以外は、上記の比較ポリマー組成物C1について記載されたラテックス合成法に従った。重合反応への(39%活性型)A−18の装入量は、最初は9.3グラムであり、続いて、重合中のさらなる181グラムであった。このラテックスをオクタデシル3−(3,5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパノエートの20%固形分エマルションで処理して、固形物上の固形物2.9%のヒンダードフェノール酸化防止剤を供給した。次いで、ラテックスを、よく混合しながら1分間かけて51℃の温度で8000グラムの0.43%塩化カルシウム凝固剤溶液に添加することによって凝固させた。次いで、スラリーを1時間かけて80℃に加熱した。スラリーを遠心分離により濾過して、ウェットケーキを生成した。流出水の導電率が50μS/cmに達するまで、ウェットケーキを遠心分離機上で、水で洗浄した。遠心分離機から集められた洗浄されたウェットケーキは、約35%の固形分レベルを有し、本明細書で「IMウェットケーキ」と標識される。IMウェットケーキに、60グラムの水に溶解した1.13グラムのリン酸一ナトリウムおよび2.30グラムのリン酸二ナトリウムを含有する溶液を噴霧した。噴霧されたIMウェットケーキを1分間手で混合して、ホスフェートの均一な分布を達成した。噴霧されたIMウェットケーキを、50℃に保持した真空オーブンで16時間乾燥させて、本明細書で「IM粉末」と呼ばれる粉末を形成した。
【0051】
実施例5
本発明のポリマー組成物E1の調製
(ホスフェート界面活性剤+アルカリ性ホスフェートの後添加)
Stepan CompanyからのRhodafac(登録商標)RS−610をオレイン酸カリウムの代わりに乳化剤として利用した以外は、上記の比較ポリマー組成物C1について記載されたラテックス合成法に従った。重合反応へのRS−610の装入量は、最初は7.8グラムであり、続いて、重合中のさらなる148グラムであった。
【0052】
このラテックスをオクタデシル3−(3,5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパノエートの20%固形分エマルションで処理して、固形物上の固形物2.9%のヒンダードフェノール酸化防止剤を供給した。次いで、ラテックスを、よく混合しながら1分間かけて54℃の温度で8000グラムの0.14%塩化カルシウム凝固剤溶液に添加することによって凝固させた。次いで、このようにして形成したスラリーを80℃で1時間加熱した。スラリーを遠心分離により濾過して、ウェットケーキを生成した。流出水の導電率が50μS/cmに達するまで、ウェットケーキを遠心分離機上で、水で洗浄した。遠心分離機から集められた洗浄されたウェットケーキは、約35%の固形分レベルを有し、本明細書で「IMウェットケーキ」と標識される。IMウェットケーキに、60グラムの水に溶解した1.13グラムのリン酸一ナトリウムおよび2.30グラムのリン酸二ナトリウムを含有する溶液を噴霧した。噴霧されたIMウェットケーキを1分間手で混合して、ホスフェートの均一な分布を達成した。噴霧されたIMウェットケーキを、50℃に保持した真空オーブンで16時間乾燥させて、本明細書で「IM粉末」と呼ばれる粉末を形成した。
【0053】
実施例6
比較ポリマーおよび本発明のポリマーを含むマトリックス樹脂組成物の安定性研究
比較ポリマー組成物C1〜C4を含有する比較マトリックス樹脂組成物の安定性を、本発明のポリマー組成物E1を含有する本発明のマトリックス組成物と比較した。試験は、特定の湿度で特定の時間貯蔵した後のメルトフローレート(「MFR」)および黄色度指数(「YI」)の両方についてマトリックス樹脂組成物を評価した。
【0054】
粉末IM試料を、SABIC Industriesから入手したLexan(登録商標)141−112ポリカーボネート樹脂とブレンドした。ブレンドは、5重量%の粉末IMを含有していた。ブレンドを30mmのWerner Pfleider押出機内で最終ゾーンを290℃に保持して配合した。押し出されたストランドを、水浴を通して供給し、次に、細断してペレットを製造した。ペレットを290℃のノズル温度を使用して射出成形して、色試験用の2×3×1/8インチのフラットバーを形成した。ペレットおよびバーを90℃および95%相対湿度に制御されたチャンバに入れた。定期的に、ペレットおよびバーの試料を試験のために取り出した。
【0055】
メルトフローレート(「MFR」)試験のために、ペレットを利用した。MFRに使用したペレットを80℃/27Hgで23.5時間再乾燥させた。MFRは、1.2kgの重さおよび300℃の温度を使用して、ASTM D1238−04Cを使用して行った。結果をgm/10分として記録する。
【0056】
黄色度指数(「YI」)試験のために、0.25インチの面積視野を使用して、0/45の照明および観察幾何学形状、ならびに0.40インチの口径を使用して、Hunter Labs LabScan XE分光光度計機器を利用した。これらの条件は、ASTM E1349のガイドラインに従う。
【0057】
MFR試験およびYI試験の結果を表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
試験結果は、本発明によるマトリックス樹脂組成物、すなわち、本発明のポリマー組成物1を使用して調製されたものが、驚くべきことに、高温多湿条件下で最少量のポリカーボネート化合物分解を引き起こすことを示す。最小量のポリカーボネート分解は、分子量と直接相関するメルトフローレートの最低値によって実証され、これは、加水分解による鎖開裂の程度と直接相関する。最小量の黄色の発生(すなわち、黄色度指数)は、化合物のポリブタジエン部分の最高レベルの化学的安定性を実証する。