【課題を解決するための手段】
【0018】
この目的は、請求項1に記載の特性を有する処理により、及び請求項12に記載の特性を有する多結晶シリコン粒状物により、達成される。
【0019】
ポリシリコンの製造におけるオフガスの処理/水素の回収のための連続(再循環)工程及び対応する再循環ガス系はそれ自体公知である。ここでは例えばEP2551239A1を参照し得る。
【0020】
驚くべきことに、1050℃〜1150℃の析出温度でさえ、窒素、特に再循環ガス中に含有される窒素によって、ポリシリコン粒状物の表面上にSi
3N
4が形成されることが分かった。Si
3N
4の形成速度は、析出温度の上昇につれて指数関数的に上昇する。さらに、ポリシリコン粒状物中の少量の<10ppbaのSi
3N
4でさえも、単結晶又は多結晶シリコンなどの派生製品の品質に悪影響を及ぼすことが認識されている。
【0021】
ポリシリコン粒状物の内部及び表面上のSi
3N
4微結晶は、融点が高いため、引き上げ又は鋳造法などの下流工程において溶融せず、したがって派生製品中に転位及び積層欠陥を生じさせると考えられる。しかし、根本的な機序はまだ決定的には説明されていない。
【0022】
好ましい実施形態において、再循環ガス中の窒素含有量は500ppmv(体積百万分率)未満、好ましくは100ppmv未満、特に好ましくは10ppmv未満、特に0.5ppmv未満である。
【0023】
再循環ガス中の窒素含有量がより低いと、先行技術から知られている反応器において慣用されているものよりも高い析出温度、特に1100℃を上回る温度で流動床反応器を操作することが特に有利に可能となる。析出温度が上昇すると、その結果、反応速度が上昇し、したがって反応器の出力が上昇する。したがって、製品の品質を損なうことなく処理の経済性が向上する。
【0024】
元素状シリコンの析出は、好ましくは、1000℃〜1300℃、好ましくは1080℃〜1250℃、特に好ましくは1100℃〜1200℃の析出温度で行われる。1200℃の析出温度で処理を実行することは、特に好ましいものであり得る。
【0025】
処理中、再循環ガスの窒素含有量は、好ましくは測定機器によって決定される。測定機器は特にガスクロマトグラフである。この目的のために、反応空間及び/又は再循環ガス系から試料を抜き出し、測定機器に供給し得る。測定機器はまた、試料抜き出しの位置に直接提供され得る。
【0026】
試料抜き出しは、好ましくは、オフガスが反応器から排出されるか、又は再循環ガスが反応器に送り返される再循環ガス系上の点で行われる。これら2つの選択肢の組み合わせも想定され得る。このような組み合わせは、反応器の反応空間において、又はオフガス処理の連続工程中に望ましくない窒素導入が生じる傾向があるか否かを測定し得る。代替的に又は追加的に、1つ以上の試料が再循環ガス系の異なる点で、例えば吸着装置の上流又は下流で抜き出されることもまた提供され得る。
【0027】
好ましい実施形態において、0.01〜1000ppmvの窒素閾値を超過したときに、流動床反応器の運転が停止される。これにより、析出したポリシリコンがSi
3N
4によって汚染されないことを確実にすることが可能になる。
【0028】
窒素閾値を超過したときに、反応器への再循環ガスの供給が中断され、窒素閾値に再び達しなくなるまで、処理が外部水素で専ら操作される場合が好ましい。外部水素は、特に外部供給源から供給される水素を意味すると理解されるべきである。外部供給源は、例えば貯蔵容器又は水蒸気改質用の装置であり得る。高純度水素が考慮される場合、特に3.0以上の品質の水素、特に5.0の品質の水素が好ましい。
【0029】
再循環ガス系は、好ましくは、窒素閾値に達しなくなるまでの時間内に反応器の反応空間から完全に切り離される。再循環ガス系は、好ましくは、窒素閾値に達しなくなるまで外部水素でパージされる。再循環ガス系に測定機器が割り当てられていない場合は、パージ持続時間を特定の持続時間、例えば1時間に指定することもできる。窒素以外のガス、例えばアルゴン又はヘリウムなどの希ガスで再循環ガス系のパージを行うことも可能である。窒素閾値に達しなくなったら、外部水素の添加を再び部分的に停止し、再循環ガスを使用する処理の実行を再開し得る。
【0030】
さらなる実施形態において、0.01〜1000ppmvの窒素閾値を超過すると、窒素閾値に再び達しなくなるまで流動床及び/又は反応器壁の温度を上昇させることが提供される。閾値は、好ましくは、流動床反応器のオフガス中で測定される。
【0031】
流動床及び/又は反応器壁の温度は、反応器に導入される反応ガスの量を減少させることによって上昇させ得る。反応ガスは、一般に、反応器に入るときに、流動床温度よりも低い。これは、反応ガスがある程度の冷却効果を有することを意味する。したがって、反応ガス量の減少の結果、この冷却効果が低下し得る。流動床温度が上昇する。
【0032】
代替的に又は追加的に、温度上昇は、反応器内の流動床を下げる(流動床の高さを下げる)ことによって実現され得る。反応空間は、原則として反応器壁を介して加熱され得る。反応空間内の流動床は一般に反応器壁よりも低温であり、したがって前記壁を冷却し得る。流動床の高さを低くすると、流動床によって冷却される反応器壁の面積が減少し、反応器温度が上昇する。
【0033】
驚くべきことに、流動床及び/又は反応器壁温度を上昇させると、その結果、反応空間への窒素導入が減少することが分かった。根本的な機序はまだ完全には説明されていない。温度上昇の結果、反応器壁が膨張し、したがってシールの領域におけるクランプ力を増大させると考えられる。温度上昇の結果また、反応器壁における微小亀裂が密封され得る。この微小亀裂の密封は、上述の(recited)膨張又は析出したシリコンによる亀裂の内張りのいずれかに起因し得る。
【0034】
再循環ガスは、最大90%、好ましくは最大40%、特に好ましくは最大10%の外部水素と混合され得る。オフガスから回収され得る水素が多いほど、混合しなければならない外部水素の割合は低くなる。
【0035】
好ましい実施形態において、反応ガスの成分であるハロシランはクロロシラン、特にトリクロロシラン(TCS)である。
【0036】
ハロシランの比質量流量(specific mass flow)は好ましくは1600〜12000kg/h
2の範囲である。
【0037】
反応ガスは、好ましくは、特に反応器の底部に配置される1つ以上のノズルを通じて流動床に吹き込まれる。
【0038】
流動床でのシリコン粒子の流動化に関与する流動化ガスは、好ましくは水素である。ヘリウム又はアルゴンなどの窒素以外の不活性ガス又は不活性ガス/水素混合物の使用も想定可能である。
【0039】
処理の開始前−反応器の始動前−に、水素による加圧とそれに続く減圧が反応器の内部で行われる場合が好ましい。加圧中の最大圧力が3.1〜15barの範囲、特に約6.5barであり、減圧中の最小圧力が1.1〜3barの範囲、特に約1.4barである場合が好ましい。この加圧及び減圧は、特に好ましくは、連続して数回、特に連続して3回行われる。
【0040】
この加圧及び減圧には再循環ガス系が含まれ得る。しかし、再循環ガス系が加圧及び減圧の前に反応空間から切り離され、任意選択的に、特に水素による別個のパージプログラムを受ける場合が好ましい。
【0041】
加圧及び減圧の両方が1〜60分間、特に好ましくは10〜30分間の持続時間を有する場合が好ましい。結果的に、この手順を3回実行すると6〜360分を要する。
【0042】
加圧は、好ましくは10〜7000m
3/hV
R、好ましくは300〜1500m
3/hV
R、特に好ましくは500〜1000m
3/hV
R、特には約520m
3/hV
Rの、反応器容積(V
R[m
3])あたりの水素体積流量(標準立方メートル[m
3]/時[h])で行われる。例えば反応器直径が1.5mであり、反応器高さが10mである流動床反応器の場合、これは9200m
3/hの水素体積流量に相当する。
【0043】
本発明のさらなる態様は、窒素含有量が2ppba未満の多結晶シリコン粒状物に関する。前記粒状物の窒素含有量は、特に好ましくは1ppba未満、特に0.5ppba未満である。
【0044】
窒素含有量を測定するための好ましい測定方法は、SIMS(二次イオン質量分析)、FTIR(フーリエ変換赤外分光分析)及び/又は酸素/窒素/水素分析器による分析(例えばLECOからのONH836シリーズ)である。
【0045】
走査型電子顕微鏡(SEM)及びエネルギー分散型X線分光法(EDX)によって、本発明による多結晶シリコン粒状物中でSi
3N
4は検出可能ではなかった。
【0046】
本発明による多結晶シリコン粒状物は、好ましくは、特に上述の測定方法の検出限界を考慮して、Si
3N
4フリーである。したがって、本発明による多結晶シリコンは、例えば200回のSIMS分析を実行した後にSi
3N
4が検出されなかった場合、Si
3N
4フリーと見なされる。
【0047】
多結晶シリコン粒状物の表面は、好ましくは20000≧Ra≧400nm、好ましくは10000≧Ra≧700nmの表面粗さを有する。表面粗さの測定は、光学的プロフィロメトリーによって実施し得る。
【0048】
中性子放射化分析又はX線蛍光分析によって測定される多結晶シリコン粒状物の塩素含有量は、好ましくは0.01〜30ppma、特に好ましくは0.1〜20ppma、特に0.2〜10ppmaである。
【0049】
本発明のさらなる態様は、単結晶又は多結晶シリコンを製造するための多結晶シリコン粒状物の使用に関する。
【0050】
単結晶シリコンの積層欠陥数は、好ましくは、1平方センチメートルあたり300個未満、好ましくは200個未満、特に好ましくは100個未満、特に10個未満である。
【0051】
単結晶シリコンの転位欠陥数は、好ましくは、ロッド長1mあたり3未満、好ましくは1未満、特に好ましくは0.3未満、特に0.1未満である。
【0052】
本発明によるポリシリコン粒状物をチョクラルスキー法又はフローティングゾーン法による単結晶の製造のために使用する場合が好ましい。
【0053】
るつぼ引き上げ法(チョクラルスキー(CZ)法)によって本発明による多結晶シリコンから製造される単結晶シリコンは、好ましくは70%を超える、好ましくは83%を超える、特に好ましくは87%を超える、特に90%を超える、単結晶の無転位長を有する。
【0054】
インゴット鋳造又はストランド鋳造法、ブリッジマン炉での多結晶インゴット凝固(ブリッジマン−ストックバーガー法)、垂直勾配凍結(vertical gradient freeze)(VGF)法、リボングロース(ribbon growth)法、エッジ−デファインドフィルムフェッドグロース(edge−defined film−fed growth)(EFB)法及びDirect Wafer(TM)法(1366 technologies)による多結晶シリコンの製造のための本発明による多結晶シリコンの使用も好ましい。
【0055】
本発明による多結晶シリコンから製造される多結晶シリコンは材料品質が高い。材料品質改善の原因はまだ詳細には理解されていない。分かっていることは、シリコン中の窒素の溶解度を超過すると、Si
3N
4析出物が形成されることである。これらは結晶性、針状及び繊維状の結晶の形態で出現する。これらは、個々に又はクラスターの形態で、しばしば炭化ケイ素析出物と同時に出現し得る。結晶析出物は、例えばるつぼ引き上げ中にるつぼ壁に形成される。ポリシリコン中のSi
3N
4粒子は、るつぼ中の溶融物中でシード粒子として働き、多結晶シリコンインゴットを与えるための凝固時に、Si
3N
4粒子として多結晶中に取り込まれると考えられる。Si
3N
4は非導電性であるが、多結晶シリコン中のSi
3N
4微結晶に沿って再結合活性の上昇が明らかであり、電荷担体の寿命を短くし得るか、又は短絡を引き起こし得る。この結果、多結晶シリコンの材料品質が低下する。