特許第6977053号(P6977053)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6977053ギ酸またはその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む肥満または肥満によって惹起された代謝症候群の予防または治療用組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6977053
(24)【登録日】2021年11月12日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】ギ酸またはその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む肥満または肥満によって惹起された代謝症候群の予防または治療用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/19 20060101AFI20211125BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20211125BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20211125BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20211125BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20211125BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20211125BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20211125BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20211125BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20211125BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20211125BHJP
【FI】
   A61K31/19
   A61P1/16
   A61P3/00
   A61P3/04
   A61P3/06
   A61P3/10
   A61P9/00
   A61P9/10
   A61P9/10 101
   A61P9/12
   A23L33/10
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-547565(P2019-547565)
(86)(22)【出願日】2017年11月21日
(65)【公表番号】特表2020-511434(P2020-511434A)
(43)【公表日】2020年4月16日
(86)【国際出願番号】KR2017013277
(87)【国際公開番号】WO2018093237
(87)【国際公開日】20180524
【審査請求日】2019年10月15日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0154963
(32)【優先日】2016年11月21日
(33)【優先権主張国】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518405821
【氏名又は名称】コリア フード リサーチ インスティチュート
【氏名又は名称原語表記】KOREA FOOD RESEARCH INSTITUTE
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】リー ミュン キ
(72)【発明者】
【氏名】リム サン ドン
(72)【発明者】
【氏名】イ サン フン
(72)【発明者】
【氏名】チョ ヨン サン
(72)【発明者】
【氏名】ナム ヨン ド
(72)【発明者】
【氏名】バエ ジン ジュ
【審査官】 深草 亜子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2019−514348(JP,A)
【文献】 特表2019−517992(JP,A)
【文献】 韓国登録特許第10−1611829(KR,B1)
【文献】 国際公開第2010/098131(WO,A1)
【文献】 特開昭63−280027(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/077390(WO,A1)
【文献】 Complementary & Alternative Medicine,2014年11月24日,Vol.14 issue.455,p.1-6
【文献】 先天代謝異常症候群(第2版)下−病因・病態研究,診断・治療の進歩−,第2版,2012年12月20日,p.223-229
【文献】 Molecules (Aug 2016) vol.21, issue 8, 1026
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00−31/80
A61P 1/00−1/18
A61P 3/00−3/14
A61P 9/00−9/14
A23L 33/00−33/29
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ギ酸またはその薬学的に許容可能な塩、及び任意の薬剤学的に許容可能な担体からなる、肥満または肥満によって惹起された代謝症候群の予防または治療用薬剤学的組成物。
【請求項2】
前記代謝症候群は、肥満、糖尿、動脈硬化、高血圧、高脂血症、肝疾患、脳卒中、心筋梗塞、虚血性疾患及び心血管疾患からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1に記載の薬剤学的組成物。
【請求項3】
前記ギ酸またはその薬学的に許容可能な塩は、組成物総重量に対して0.1〜99重量%で含まれることを特徴とする、請求項1に記載の薬剤学的組成物。
【請求項4】
ギ酸またはその薬学的に許容可能な塩、及び任意の食品学的又は薬剤学的に許容可能な担体からなる、肥満または肥満によって惹起された代謝症候群の予防または改善用食品組成物。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本発明は、ギ酸またはその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む肥満または肥満によって惹起された代謝症候群の予防または治療用組成物;上記有効成分を含む食品組成物及び健康機能食品に関する。
【0002】
[背景技術]
最近、経済発展に伴う生活水準の向上により衛生環境が改善され、頻繁なインスタント食品の摂取や肉中心の食生活変化などは過多な熱量摂取を誘発している。しかし、このような現代人の食生活変化と共に全然足りない運動などによって消費熱量が少ないことから肥満人口の増加傾向が続いている。肥満は単純に外観上の問題だけではなく肥満の持続に伴って様々な疾患、つまり、高血圧、糖尿、高脂血症、冠状動脈疾患などのような成人病を含めて乳房癌、子宮癌及び大膓癌などを引き起こすことが報告され、致命的な疾病の一つとして取り扱われている[J. Biol. Chem., 273, 32487〜32490(1998);Nature, 404, 652〜660 (2000)]。
【0003】
肥満は1980年以後全世界的に約75%が増加し、アメリカでは人口の33%及び26%がそれぞれ過体重及び肥満であると報告されている(Ahn IS, Park KY, Do MS. 2007. Weight control mechanisms and antiobesity functional agents. J Korean Soc Food Sci Nutr 36:503-513.)。韓国でも肥満人口が増え続けており、2007年国民健康栄養調査の結果、肥満人口は1998年には26.3%であったものが、2005年には31.7%と急増している。
【0004】
このような肥満はエネルギーの摂取と消費との不均衡によって惹起され、余分なエネルギーは脂肪細胞の形態に転換されて体内に蓄積され脂肪細胞の個数と細胞の大きさとが増加する。蓄積された脂肪細胞から分泌される遊離脂肪酸及びサイトカインなどはインスリン抵抗性を誘発し、炎症反応を増加させて代謝症侯群、糖尿病、心臓血管疾患及び癌などの慢性疾患発病の直接的な原因となっている。このような肥満を治療するためには運動、食餌療法による食生活習慣の改善、薬物療法、手術治療法などが紹介されており、これらのうち肥満を抑制する抗肥満薬品の開発はアメリカで100種以上の治療薬が販売または開発中であり、市場規模はますます拡大する見込みである。
【0005】
現在肥満を治療する治療剤は、中枢神経系に作用して食欲に影響を及ぼす薬剤と胃腸管に作用して吸収を阻害する薬物とに大別される。中枢神経系に作用する薬物には、それぞれのメカニズムによって、セロトニン(5HT)神経系を阻害するフェンフルラミン、デクスフェンフルラミンなどの薬物、ノルアドレナリン神経系を介したエフェドリン及びカフェインなどの薬物、及び最近はセロトニン及びノルアドレナリン神経系に同時作用して肥満を阻害するシブトラミン(Sibutramine)などの薬物等が市販されている。それら以外にも、胃腸管に作用して肥満を阻害する薬物には、代表的に、膵膓で生成されるリパーゼを阻害し脂肪の吸収を減らすことで最近肥満治療剤として許可されたオルリスタット(Orlistat)などがある。
【0006】
しかし、既存に使われてきた薬物の中でフェンフルラミンなどは原発性肺高血圧や心臓弁膜病変のような副作用を起こして最近使用が禁止されており、シブトラミンは血圧を高める副作用があり、オルリスタットは消化器障害、脂肪便、便失禁、脂溶性ビタミン吸収妨害などの副作用が報告されている。また、他の化学合成薬物等も血圧減少や乳酸血症などの問題点が発生するため、心不全、腎疾患などの患者には使うことができないという問題点がある。
【0007】
従って、副作用が小さくてより優れた肥満治療及び予防法を捜すために、最近は天然由来の化合物など体脂肪の蓄積を抑制するように作用する天然素材の肥満治療剤または抗肥満健康機能食品に対する関心が増加している実情がある。
【0008】
一方、代謝症侯群(Metabolic Syndrome)は、高中性脂肪血症、高血圧、糖代謝異常、血液凝固異常及び肥満のような危険因子が一緒に現れる症侯群を指称する。症状それ自体は致命的ではないが、糖尿病や虚血性心血管系疾患のような深刻な疾病に発展する素因があるため、現代人を最も大きく脅かす疾患となっている。
【0009】
代謝症候群の原因及び治療と関わって知られている因子を見れば、運動、食事習慣、体重、血糖、中性脂肪、コレステロール、インシュリン抵抗性、アディポネクチン(adiponectin)、レプチン(leptin)、AMPK活性、エストロゲンのような性ホルモン、遺伝的因子、malonyl−CoA生体内濃度などが直接的・間接的に関与する。
【0010】
このような代謝性症侯群の症状改善のための最善の方法は、運動、食事制限及び体重減量であると知られている。このような方法が代謝性症侯群に対して効果を発揮する共通分母は、エネルギー代謝を促進させて体内の余剰エネルギーを最大限消費し蓄積を抑制することである。加工食品及びパストフードのような高熱量のエネルギー摂取に比べて運動不足による余剰エネルギーが、脂肪で蓄積されながら代謝性疾患を含めた多様な疾病の原因となる。このような余剰エネルギーを効果的に除去する方法が代謝性疾患治療の方法であろうと判断される。余剰エネルギーを効果的に除去するためには、代謝の活性を高めるのが必須であると判断され、そのためには脂肪合成抑制、糖新生抑制、糖消費促進、脂肪酸化促進、エネルギー代謝の核心となるミトコンドリアの生成促進及び活性化に関与する因子等を活性化させるのが必須であろうと判断される。
【0011】
そこで、本発明者等は、生体に副作用がなく抗肥満活性に優れた物質を捜そうと模索していたところ、50代の韓国人を対象として正常群と肥満群との糞便で差異を示す多様な有機酸を分析し、これらを対象として抗肥満薬理学的効果を実験した結果、特にギ酸塩を肥満動物モデルに経口投与した実験群において体重減少及び臓器における脂肪蓄積抑制効果を奏するだけでなく、血中中性脂肪及びコレステロールの数値を効果的に低めることを確認し、本発明を完成するに至った。
【0012】
[発明の概要]
[発明が解決しようとする課題]
従って、本発明の目的は、体内脂肪蓄積を抑制し、血中脂肪及びコレステロール数値を効果的に低めることができる代謝症候群の予防または治療用薬剤学的組成物を提供することにある。
【0013】
本発明の他の目的は、体内脂肪蓄積を抑制し、血中脂肪及びコレステロール数値を効果的に低めることができる代謝症候群の予防または改善用食品組成物を提供することにある。
本発明のまた他の目的は、体内脂肪蓄積を抑制し、血中脂肪及びコレステロール数値を効果的に低めることができる代謝症候群の予防または改善用健康機能食品を提供することにある。
【0014】
[課題を解決するための手段]
上記のような本発明の目的を達成するために、本発明は、ギ酸またはその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む代謝症候群の予防または治療用薬剤学的組成物を提供する。
【0015】
本発明の一実施例において、上記代謝症候群は肥満、糖尿、動脈硬化、高血圧、高脂血症、肝疾患、脳卒中、心筋梗塞、虚血性疾患及び心血管疾患からなる群より選択されることができる。
【0016】
本発明の一実施例において、上記ギ酸またはその薬学的に許容可能な塩は、組成物総重量に対して0.1〜99重量%で含まれてもよい。
また、本発明は、ギ酸またはその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む代謝症候群の予防または改善用食品組成物を提供する。
【0017】
また、本発明は、ギ酸またはその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む代謝症候群の予防または改善用健康機能食品を提供する。
本発明の一実施例において、上記代謝症候群は肥満、糖尿、動脈硬化、高血圧、高脂血症、肝疾患、脳卒中、心筋梗塞、虚血性疾患及び心血管疾患からなる群より選択されることができる。
【0018】
本発明の一実施例において、上記食品は飲料類、肉類、チョコレート、食品類、お菓子類、ピザ、ラーメン、その他麺類、ガム類、キャンディー類、アイスクリーム類、アルコール飲料類、ビタミン複合剤及び健康補助食品類からなる群より選択されてもよい。
【0019】
[発明の効果]
本発明によるギ酸またはその塩は、体重減少及び臓器における脂肪蓄積抑制の効果を有するだけでなく、血中中性脂肪及びコレステロールの数値を効果的に低める活性を持つため、これを有効成分として含む組成物は肥満または代謝症候群の予防/改善又は治療が可能な組成物として有用である。従って、本発明によるギ酸またはその塩は、医薬品または健康食品素材として活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】高脂肪食餌で肥満が誘導された実験動物の、多様な有機酸給与による飼育期間別体重変化を測定してグラフで示したものである(A:一般食餌群、B:高脂肪食餌群、C:高脂肪食餌+ギ酸塩給与群、D:高脂肪食餌+酪酸塩給与群、E:高脂肪食餌+プロピオン酸塩給与群、F:高脂肪食餌+酢酸塩給与群)。
図2】高脂肪食餌で肥満が誘導された実験動物の、多様な有機酸給与による副睾丸脂肪組職細胞の大きさを測定した写真である(A:一般食餌群、B:高脂肪食餌群、C:高脂肪食餌+ギ酸塩給与群、D:高脂肪食餌+酪酸塩給与群、E:高脂肪食餌+プロピオン酸塩給与群、F:高脂肪食餌+酢酸塩給与群)。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明で使った用語を説明する。
本発明で“薬剤学的に許容可能な”とは、生物体を刺激しないながら投与活性物質の生物学的活性及び特性を阻害しないことを意味する。
【0022】
本発明で使われる用語“予防”は、本発明の組成物の投与で特定疾患(例えば、肥満または代謝症侯群)の症状を抑制させるか進行を遅らせる全ての行為を意味する。
本発明で使われる用語“治療”は、本発明の組成物の投与で特定疾患(例えば、肥満または代謝症侯群)の症状を好転させるか有利に変更させる全ての行為を意味する。
【0023】
本発明で使われる用語“改善”は、治療状態に係るパラメーター、例えば症状の程度を少なくとも減少させる全ての行為を意味する。
本発明で使われる用語“投与”は、任意の適切な方法で個体に所定の本発明の組成物を提供することを意味する。この時、個体は本発明の組成物の投与により特定疾患の症状が好転可能な疾患を有する人間、猿、犬、山羊、豚または鼠など全ての動物を意味する。
【0024】
本発明で用語“薬学的に有効な量”は、医学的治療に適用可能な合理的な利益または危険比率(reasonable benefit/risk ratio)で疾患を治療するに十分な量を意味し、これは個体の疾患の種類、重症度、薬物の活性、薬物に対する敏感度、投与時間、投与経路及び排出比率、治療期間、同時に使われる薬物を含む要素、及びその他医学分野においてよく知られた要素によって決められる。
【0025】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明はギ酸またはその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む代謝症候群の予防または治療用組成物を提供することにその特徴がある。
【0026】
本明細書で言及する“ギ酸(formic acid)”は、蟻酸、hydrogen carboxylic acidとも言う。化学式HCOOH、分子量は46.0でカルボン酸類の中で最も少なく、沸点100.5℃、融点8.4℃、比重1.220である。このようなギ酸は天然でも存在し、合成でも得られる流動性の無色液体であって、空気に晒される場合には若干発煙され刺激臭及び腐食性がある。染色・タンニング・ラテックスの凝固・防腐剤として医薬用または有機合成に使われる。
【0027】
本発明による上記ギ酸(formic acid)は、塩、望ましくは薬学的に許容可能な塩の形態で使われることができる。例えば、ギ酸カルシウム(calcium Formate)またはギ酸ナトリウム(sodium formate)の形態であってもよい。
【0028】
上記ギ酸カルシウム(calcium formate)は、化学式CCaO、分子量130.1154を有し、白色結晶あるいは粉末で吸湿性があり少し苦味がある。ギ酸カルシウムは中性、無毒、水に溶解される特徴を持つ。このようなギ酸カルシウムは、飼料添加剤として使用可能であり、各種動物に適用されて酸化、防黴、抗菌などの作用があると知られている。
【0029】
上記ギ酸ナトリウム(sodium formate)は、化学式NaHCO、分子量 68.01を有し、潮解性の結晶性白色粉末で融点253℃であり、高温で加熱すれば水素と蓚酸ナトリウムとに分解される。このようなギ酸ナトリウムは医薬品、化粧品などは勿論、有機合成にも用いられる。人体に使用する場合は低い毒性を有し、経口投与の際には10gまで副作用が表れないことが知られている (SODIUM FORMATE-National Library of Medicine HSDB Database,https://toxnet.nlm.nih.gov/cgi-bin/sis/search/a?dbs+hsdb:@term+@DOCNO+744)。
【0030】
本発明の下記実施例では、肥満誘導動物モデルへのギ酸ナトリウム経口投与による体重減少効果、臓器組織における脂肪蓄積抑制効果、血中中性脂肪及びコレステロールの濃度を低める効果を確認するとともに、ギ酸ナトリウム経口投与群にて副睾丸脂肪細胞の大きさが小さくなることを最初に確認した。
【0031】
従って、本発明はギ酸またはその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む代謝症候群の予防または治療用薬剤学的組成物を提供する。
本発明で上記“代謝症侯群”は、肥満によって惹起される代謝性疾患やその他原因によって惹起される代謝性疾患であり、代謝症候群の例示としては肥満、糖尿、動脈硬化、高血圧、高脂血症、肝疾患、脳卒中、心筋梗塞、虚血性疾患及び心血管疾患からなる群より選択されることができるが、これらに限るものではない。
【0032】
本発明で上記“肥満”は、単純肥満、症侯性肥満、小児肥満、成人肥満、細胞増殖型肥満、細胞肥大型肥満、上体肥満、下体肥満、内臓脂肪型肥満及び皮下脂肪型肥満を含むが、必ずしもこれらに限るものではない。
【0033】
本発明の薬剤学的組成物は、上記有効成分の以外に薬剤学的に適合で生理学的に許容される補助剤を使って製造されてもよく、このような補助剤には賦形剤、崩壊剤、甘味剤、結合剤、被覆剤、膨張剤、潤滑剤、滑沢剤または香味剤などを使うことができる。
【0034】
上記薬剤学的組成物は投与されるために、上記した有効成分以外に追加で薬剤学的に許容可能な担体を1種以上含めて薬剤学的組成物に望ましく製剤化することができる。
上記薬剤学的組成物の剤形は、顆粒剤、散剤、錠剤、被覆錠、カプセル剤、坐剤、液剤、シロップ、汁、懸濁剤、乳剤、点滴剤または注射可能な液剤などであってもよい。例えば、錠剤またはカプセル剤の形態への製剤化のために、有効成分はエタノール、グリセロール、水などのような経口、無毒性の薬剤学的に許容可能な不活性担体と結合されることができる。また、望むか必要な場合、適した結合剤、潤滑剤、崩壊剤及び発色剤も混合物として含まれてもよい。適した結合剤は制限されるものではないが、澱粉、ゼラチン、グルコースまたはベーターラクトースのような天然糖、とうもろこし甘味剤、アカシア、トラガカントまたはオレイン酸ナトリウムのような天然及び合成ガム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどを含む。崩壊剤は制限されるのではないが、澱粉、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどを含む。液状溶液に製剤化される組成物において許容可能な薬剤学的担体には、滅菌及び生体に適したものとして、食塩水、滅菌水、リンゲル液、緩衝食塩水、アルブミン注射溶液、デキストロース溶液、マルトデキストリン溶液、グリセロール、エタノール及びこれら成分のうち一つ以上の成分を混合して使うことができ、必要に応じて抗酸化剤、緩衝液、静菌剤など他の通常の添加剤を添加してもよい。また希釈剤、分散剤、界面活性剤、結合剤及び潤滑剤を付加的に添加して水溶液、懸濁液、乳濁液などのような注射用剤形、丸薬、カプセル、顆粒または錠剤に製剤化してもよい。更に該当分野の適切な方法としてRemington's Pharmaceutical Science,Mack Publishing Company,Easton PAに開示されている方法を用いて、各疾患又は成分に応じて望ましく製剤化してもよい。
【0035】
本発明の一実施例において、本発明のギ酸またはその薬学的に許容可能な塩は、組成物総重量に対して0.1〜99重量%で含まれることができる。
本発明の組成物は、上述したギ酸またはその薬学的に許容可能な塩の他に、ギ酸(またはその塩)と反応して副作用を起こさない限度内で従来から使われてきた抗肥満剤を混合して使うこともできる。
【0036】
また、本発明はギ酸またはその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む代謝症候群の予防または改善用食品組成物を提供する。
本発明で上記‘代謝症侯群’は、肥満によって惹起される代謝性疾患やその他原因によって惹起される代謝性疾患であり、代謝症候群の例示としては肥満、糖尿、動脈硬化、高血圧、高脂血症、肝疾患、脳卒中、心筋梗塞、虚血性疾患及び心血管疾患からなる群より選択されることができるが、これらに限るものではない。
【0037】
本発明の一実施例において、本発明のギ酸またはその薬学的に許容可能な塩は、食品組成物総重量に対して0.1〜99重量%で含まれることができ、参考までに韓国食品医薬品安全処はギ酸の一日摂取許容量を0〜3mg/kg bwと指定している。
【0038】
本発明の食品組成物は、有効成分であるギ酸またはその薬学的に許容可能な塩以外に、通常の食品組成物と同様にさまざまな香味剤または天然炭水化物などを追加成分として含有することができる。
【0039】
上述した天然炭水化物の例は、単糖類、例えば、葡萄糖、果糖など;二糖類、例えばマルトース、シュクロースなど;及び多糖類、例えばデキストリン、シクロデキストリンなどのような通常の糖、及びキシリトール、ソルビトール、エリスリトールなどの糖アルコールである。上述した香味剤は、天然香味剤(ソーマチン)、ステビア抽出物(例えばレバウデ−オシドA、グリシルヒジンなど)及び合成香味剤(サッカリン、アスパルタムなど)を好ましく使うことができる。
【0040】
また、本発明の食品組成物は、上記した有効成分以外に追加で食品学的に又は薬剤学的に許容可能な担体を1種以上含めて食品組成物として望ましく製剤化することができる。
上記食品組成物の剤形には、錠剤、カプセル剤、粉末、顆粒、液状、丸剤、液剤、シロップ、汁、懸濁剤、乳剤、または点滴剤などが挙げられる。例えば、錠剤またはカプセル剤の形態への製剤化のために、有効成分はエタノール、グリセロール、水などのような経口、無毒性の薬剤学的に許容可能な不活性担体と結合されることができる。また、望むか必要な場合、適した結合剤、潤滑剤、崩壊剤及び発色剤も混合物で含まれてもよい。適した結合剤は、制限されるのではないが、澱粉、ゼラチン、グルコースまたはベーターラクトースのような天然糖、とうもろこし甘味剤、アカシア、トラガカントまたはオレイン酸ナトリウムのような天然及び合成ガム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどを含む。崩壊剤は、制限されるものではないが、澱粉、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどを含む。液状溶液に製剤化される組成物において許容可能な薬剤学的担体としては、滅菌及び生体に適したものとして、食塩水、滅菌水、リンゲル液、緩衝食塩水、アルブミン注射溶液、デキストロース溶液、マルトデキストリン溶液、グリセロール、エタノール及びこれら成分のうち一つ以上の成分を混合して使うことができ、必要に応じて抗酸化剤、緩衝液、静菌剤など他の通常の添加剤を添加してもよい。また、希釈剤、分散剤、界面活性剤、結合剤及び潤滑剤を付加的に添加して水溶液、懸濁液、乳濁液などのような注射用剤形、丸薬、カプセル、顆粒または錠剤に製剤化することができる。
【0041】
上記のような方式で製剤化された本発明の食品組成物は、機能性食品に利用しても各種食品に添加してもよい。
本発明の組成物が添加可能な食品には例えば、飲料類、肉類、チョコレート、食品類、お菓子類、ピザ、ラーメン、その他麺類、ガム類、キャンディー類、アイスクリーム類、アルコール飲料類、ビタミン複合剤及び健康補助食品類などがある。
【0042】
また、上記食品組成物は、有効成分であるギ酸またはその薬学的に許容可能な塩の他にさまざまな栄養剤、ビタミン、鉱物(電解質)、合成風味剤及び天然風味剤などの風味剤、着色剤及び増進剤(チーズ、チョコレートなど)、ペクチン酸及びその塩、アルギン酸及びその塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に使われる炭酸化剤などを含有してもよい。その他本発明の食品組成物は天然果物ジュース及び果物ジュース飲料及び野菜飲料の製造のための果肉を含有してもよい。
【0043】
本発明の有効成分であるギ酸またはその薬学的に許容可能な塩は、有機酸の一種で化学薬品のような副作用が殆どないため、抗肥満または代謝症侯群改善などのような機能性の付与を目的として長期服用する際にも安心して使用することができる。
【0044】
本発明はまた、ギ酸又はその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む代謝症侯群の予防または改善用の健康機能食品を提供する。
本発明の健康機能食品は、肥満または代謝症候群の予防または改善を目的として、錠剤、カプセル、粉末、顆粒、液状、丸剤などの形態に製造及び加工することができる。
【0045】
本発明で“健康機能食品”とは、健康機能食品に関する法律に基づく人体に有用な機能性を有する原料や成分を使って製造及び加工した食品のことを言い、人体の構造及び機能に対して栄養素を調節するか生理学的作用などのような保健用途に有用な効果を得る目的で摂取するものを意味する。
【0046】
本発明の健康機能食品は、通常の食品添加物を含んでもよく、食品添加物としての適否は他の規定がない限り、韓国食品医薬品安全庁で承認した韓国食品添加物公典(Korean Food Additives Codex)の総則及び一般試験法などに則って該当品目に関する規格及び基準によって判定する。
【0047】
上記“食品添加物公典”に収載された品目には例えば、ケトン類、グリシン、クエン酸カルシウム、ニコチン酸、ケイ皮酸などの化学的合成物;柿色素(persimmon color)、甘草抽出物、結晶セルロース、コウリャン色素(Kaoliang color)、グアガムなどの天然添加物;L−グルタミン酸ナトリウム製剤、麺類添加アルカリ剤、保存料製剤、タール色素製剤などの混合製剤類などが挙げられる。
【0048】
例えば、錠剤形態の健康機能食品は、本発明の有効成分であるギ酸またはその薬学的に許容可能な塩を賦形剤、結合剤、崩壊剤及び他の添加剤と混合した混合物を通常の方法で顆粒化した後、滑沢剤などを入れて圧縮成形するか、上記混合物を直接圧縮成形することができる。また、上記錠剤形態の健康機能食品は必要に応じて矯味剤などを含んでもよい。
【0049】
カプセル形態の健康機能食品のうち硬カプセル剤は、通常の硬質カプセルに本発明の有効成分であるギ酸またはその薬学的に許容可能な塩を充填して製造することができ、軟カプセル剤は、上記ギ酸を賦形剤などの添加剤と混合した混合物をゼラチンのようなカプセル基剤に充填して製造することができる。上記軟カプセル剤は必要に応じてグリセリンまたはソルビトールなどの可塑剤、着色剤、保存剤などを含んでもよい。
【0050】
丸剤形態の健康機能食品は、本発明の有効成分であるギ酸またはその薬学的に許容可能な塩と賦形剤、結合剤、崩壊剤などを混合した混合物を既に公知となった方法で成形して調剤することができ、必要に応じて白糖やその他のコーティング剤で剤皮を施してもよいし、または澱粉、タルクのような物質で表面をコーティングしてもよい。
【0051】
顆粒形態の健康機能食品は、本発明の有効成分であるギ酸またはその薬学的に許容可能な塩と賦形剤、結合剤、崩壊剤などとを混合した混合物を既に公知となった方法で粒状に製造することができ、必要に応じて着香剤、矯味剤などを含有してもよい。
【0052】
上記健康機能食品は飲料類、肉類、チョコレート、食品類、お菓子類、ピザ、ラーメン、その他麺類、ガム類、キャンディー類、アイスクリーム類、アルコール飲料類、ビタミン複合剤及び健康補助食品類などであってもよい。
【0053】
以下、実施例を通して本発明をより詳しく説明する。これらの実施例は本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲はこれらの実施例に限るものではない。
[実施例]
統計処理
肥満群と正常対照群との糞便中の有機酸の統計分析は、SPSS system(statistical Package For Social Science,SPSS Inc., Chicago,IL,USA)software package (version 12.0)を用いて、p<0.05水準でT−testで試料間の有意差検定を行った。体重、臓器重量、血液の統計分析は、Duncan’s multiple range testでp<0.05水準で試料間の有意差検定を行った。
【0054】
<実施例1>
正常対照群と肥満群との糞便収集及び糞便中の有機酸分析
本研究で使われた50代男性の正常対照群(n=33)と肥満群(n=44)との糞便はIRB審議(ソウル聖母病院IRB獲得:KC14TISI0325)を経てカトリック大学ソウル聖母病院(Seocho,Korea)から獲得した試料である。糞便の有機酸分析はソウル大学校農生命科学共同機器研究院(NICEM,Korea)に依頼して進行した。有機酸分析のために、試料は3次蒸溜水に10倍希釈し、3000rpmで10分間遠心分離した後、0.22μmメンブレンフィルターを用いて濾過しHPLC(Ultimate3000,Dionex,USA)分析の試料に用いた。この時に用いたHPLCのカラムはAminex 87H column(300×7.8mm)で、温度は40℃に維持し、移動相は 0.01 N HSOを用いて0.5ml/minで流し、試料の1回注入量は10μlで、detectorはRI(Shodex RI-101,Japan)、UV(210nm)を用いて30分間分析した。
【0055】
その結果、下記表1に示されているように、正常人及び肥満人から共通的に検出された有機酸はギ酸(Formic acid)、酢酸(Acetic acid)、酪酸(Butyric acid)であった。ギ酸(Formic acid)の場合、肥満群に比べて正常対照群が 0.22mMolであり、2.4倍高くて、有意差があることが分かった。酢酸(Acetic acid)及び酪酸(Butyric acid)の場合、正常対照群が肥満群に比べてそれぞれ0.9倍、0.8倍であった。
【0056】
一方、このような含量差は肥満と高い関連性を有する糖尿、高血圧、高脂血症疾患者を含めて分析した結果であることから、これらの疾患者を除いて再び分析した。
その結果、下記表2に示されているように、ギ酸(Formic acid)の場合、正常群が肥満群に比べて約6.8倍高い0.27mMolであり、有意差があることが分かった。その反面、酢酸(Acetic acid)及び酪酸(Butyric acid)の場合は、正常対照群が肥満群に比べてそれぞれ0.82倍、0.66倍であり、有意差はなく、プロピオン酸(Propionic acid)はそれぞれ検出されなかった。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
上記のような結果から、糞便から検出された有機酸のうち、正常対照群が肥満群より有意に高いのはギ酸(Formic acid)のみであることを確認し、ギ酸(Formic acid)が腸内環境で抗肥満効果があると考えられた。
【0059】
参考までに、上記のような本発明の結果は韓国人50代男性の糞便を用いて導き出された結果である点で意味がある。なぜならば、従来の肥満関連研究は韓国人向けではなく他の人種や民族を対象として行われてきたものであり、研究対象の年齢も成人対象ではない場合(肥満の研究対象を幼児や青少年とした場合)は成人肥満に最適化された結果を導き出すことができないからである。人体生理も思春期と更年期とにおいて大きな差があるが、糞便の菌叢も子供と成人とで菌叢に大きな差があるのはよく知られており、糞便の代謝物にも差があるのは自明な事実である。
【0060】
従って、韓国人成人肥満に最適化された研究を行うために、本発明者は韓国人成人50代男性を対象とした糞便収集及び有機酸分析を通して正常成人との差異点を確認することにより、韓国人成人肥満と直接的な連関性を持つ因子を最初に発掘した点で意味のある結果を奏する。
【0061】
そこで、下記実験ではギ酸(Formic acid)と他の有機酸とが肥満に及ぼす影響を確認するために動物実験を追加で進行した。
<実施例2>
肥満動物モデル準備
<2−1>実験動物及び食餌
本実験では5週齢のC57BL/6Jマウスを株式会社セロンバイオ(Uiwang,Korea)から購入し、1週間適応させた上で実験に用いた。実験期間中、飼育室温度は20±2℃、湿度は55±10%、明暗は12時間周期で調節した。実験動物は1週間の正常食餌後に卵塊法に基づいて6つの群に分離した。実験群はA群(正常食餌群;n=10)、B群(高脂肪食餌対照群;n=10)、C群(高脂肪食餌+sodium formate10mmol;n=9)、D群(高脂肪食餌+sodium butyrate10mmol;n=9)、E群(高脂肪食餌+sodium propionate10mmol;n=8)、F群(高脂肪食餌+sodium acetate10mmol;n=4)に区分した。
【0062】
<2−2>実験動物の処置
水及び飼料は自由に摂取させてA群及びB群には生理食塩水を、他の群にはそれぞれの有機酸を一日一回ずつ経口投与した(2μg/g bodyweight)。試験群は高脂肪食餌で13週間肥満を誘導し、実験に使われた高脂肪食餌はアメリカのResearch diet社から購入したhigh fat diet(D12492;60% of the calories)であった。本研究におけるあらゆる動物実験は韓国食品研究院実験動物運営委員会 (Institutional Animal Care and Use Committee,IACUC)の承認(KFRI-M-16043(263))の下で行われた。
【0063】
<実施例 3>
実験動物の体重と臓器重量との測定及び血液分析
実験期間における実験動物の体重は週に一回一定時間に測定した。実験動物を犠牲前に12時間節食させ、エーテル(ether)で痲酔させた動物の眼球から血液を採取した。採血後、凝固を防止するために凝固防止チューブに入れて、氷浴(ice bath)中に20分間放置した。採血試料は3000rpmで10分間遠心分離して血清を分離し、実験前までに冷蔵保管した後、盈東製薬(YD Diagnostics;yongin,Korea)から酵素法によるキットを購買して血中脂質(Triglyceride,Cholesterol,HDL-Cholesterol,LDL Cholesterol)を測定した。臓器は摘出して生理食塩水で洗浄した後、濾過紙で水気を取り除いて秤量した。
【0064】
<3−1>体重変化
本実験でIRB審議を経て獲得された50代男性正常対照群(n=33)と肥満群(n=44)との糞便において、ギ酸(formic acid)が肥満群より正常対照群で有意に低いことから、有機酸関連の動物実験を行った。
【0065】
それぞれ10mmolの有機酸を高脂肪食餌で肥満が誘導された実験動物(C57BL/6J mice)に13週間経口投与し、飼育期間中にマウスの体重を週に1回測定した。
【0066】
その結果、図1に示されているように、飼育13週後に一般食餌対照群であるA群の平均重量は31.00g、高脂肪食餌対照群であるB群の平均重量は41.09g、ギ酸塩(Formate)を経口投与したC群は36.78g、酪酸塩(Butyrate)を経口投与したD群は31.25g、プロピオン酸塩(Propionate)を経口投与したE群は30.05g、酢酸塩(Acetate)を経口投与したF群は41.08gでC、D、E群は高脂肪食餌対照群に比べて有意に低い数値を示した。F群は有意差はなかったが(p<0.05)、高脂肪食餌対照群に比べてC群は10.4%、D群は15.6%、E群は18.3%体重増加量が減少した。
【0067】
<3−2>臓器重量に及ぼす影響
各対照群と実験群との腎臓脂肪、副睾丸脂肪、皮下脂肪、褐色脂肪、前立腺、肝、脾臓は採血後直ちに摘出して、生理食塩水で洗い表面の水気を取り除いて重量を測定し、その結果を下記表3に示した。
【0068】
腎臓脂肪重量の場合、高脂肪食餌対照群が一般食餌対照群より有意に高く、C群、D群、E群がそれぞれ0.72g、0.71g、0.66gで高脂肪食餌対照群に比べて有意に(p<0.05)低かった。これはギ酸(formic acid)、プロピオン酸(propionic acid)、酢酸(acetic acid)のような有機酸の給与が腎臓脂肪の蓄積を抑制した結果であると考えられた。
【0069】
副睾丸脂肪重量の場合、食餌による影響が他の脂肪よりも大きいことが分かった。また、有機酸処理群の全てが高脂肪食餌対照群に比べて低い数値で、C群は19.6%、D群は20%、E群は23.6%、F群は7.6%低い値を示してF群を除いては有意差を示した。
【0070】
皮下脂肪の重量も食餌による影響が大きく、C群は1.08g、D群は1.16g、E群は1.07gで有機酸処理群の全てが高脂肪食餌対照群1.58gに比べて低い値を示した。高脂肪食餌対照群に比べてC群は31.16%、D群は26.58%、E群は32.27%低い値を示し、F群は10.13%高い値を示したが、有意差はなかった。副睾丸脂肪及び皮下脂肪で酢酸塩(acetate)を除いた有機酸の給与が脂肪蓄積を抑制したことが考えられた。
【0071】
褐色脂肪の場合、有機酸処理群のうちF群のみが22.22%高い値を示したが有意差はなく、食餌による影響が少ない臓器と思われた。前立腺の場合、一般食餌対照群と高脂肪食餌対照群とが約1.9倍の差があって食餌による影響が大きい組織であることが分かった。前立腺の重量において有機酸処理群の全てが高脂肪食餌対照群に比べて高い重量を示したが有意差はなかった。肝重量及び脾臓重量もまた群別に有意差はなかった。
【0072】
【表3】
<血液分析>
ギ酸塩(formate)、酪酸塩(butyrate)、プロピオン酸塩(Propionate)、酢酸塩(acetate)の投与が血清脂質濃度に及ぼす影響は下記表4に示した。
【0073】
その結果、血清の中性脂肪(TG)の濃度は正常食餌群(A)の場合に86.64±4.21mg/dLであり、これに比べて高脂肪食餌対照群(B)は130.10±7.69mg/dLで正常食餌群に比べて高かった。ギ酸塩投与群(C)は99.48±14.18mg/dLで高脂肪食餌対照群に比べて23.54%低い値を示し、酪酸塩投与群(D)は128.01±14.72mg/dLで高脂肪食餌対照群と類似の水準を示した。プロピオン酸塩投与群(E)は120.68±10.07mg/dLで高脂肪食餌対照群に比べて7.2%低い値を示し、酢酸塩投与群(F)は155.21±5.43mg/dLで高脂肪食餌対照群に比べて有意に高い値を示した。このような結果から、酢酸塩を除いた有機酸の投与が血中中性脂肪の濃度減少に影響を及ぼしたことが考えられた。
【0074】
一方、コレステロールの含量は正常食餌群(A)に比べて高脂肪食餌給与対照群で61.2%増加し、有機酸投与時に高脂肪食餌給与対照群に比べて有意に減少し、酢酸塩は有意差はなかったが7.8%減少した。有機酸投与群のうちギ酸塩が高脂肪食餌対照群(B)に比べて36.6%減少し、抗肥満に最も効果があると考えられた。
【0075】
HDL−コレステロールは、抗動脈硬化の指標としてコレステロールを末梢血管から肝へ輸送して動脈硬化を進行させない方向にコレステロールを運んで冠状動脈性心臓疾患に対する防御作用を持っている。本実験におけるHDL−コレステロールの濃度は、高脂肪食餌(B)群に比べて酢酸塩(Acetate)を除いた有機酸投与群が有意に低い値を示し、酢酸塩は類似の水準で有意差はなかった。
【0076】
LDL−コレステロールは、血中コレステロールの主な運搬型で動脈血管壁にコレステロールを蓄積させて動脈硬化を促進させるため、血漿LDL−コレステロール濃度と心臓循環器系疾患の発生とは密接な相関関係がある。LDL−コレステロール含量は正常食餌群(A)に比べて高脂肪食餌対照群(B)が23.62%高く、有機酸投与群のうちギ酸塩及び酪酸塩の場合は高脂肪食餌対照群より低い値を示した。
【0077】
【表4】
以上の結果から、脂質の中で特に成人病の原因物質として作用する中性脂肪及び総コレステロールの含量はギ酸塩(formate)、酪酸塩(butyrate)、プロピオン酸塩(Propionate)の供給によって減少し、特にギ酸塩(formate)は高脂肪食餌対照群に比べて有意に減少したことから、抗肥満及び脂肪食餌摂取による心血管疾患の予防に有効であると考えられた。
【0078】
<実施例 4>
副睾丸脂肪組職細胞の大きさ測定
副睾丸脂肪細胞の大きさを測定するために、Hirsch及びGallian(Hirsch,J. and Gallian, E. 1968. Methods for the determination of adipose cell size in man and animals. J. Lipid Res. 9:110-119.)の方法で摘出された副睾丸脂肪組職を10%ホルマリンで固定した後、250μmのナイロンフィルターに通過させて纎維組織及び小さな組織を取り除いた上でPBSで洗浄し完全に除去した。固定された組織は凍結切片機を用いて18μmに切片し、H&E(Hematoxylin and Eosin)脂肪染色方法で脂肪細胞を染色した。染色後60%イソプロパノールを用いて脱色した後、顕微鏡下でデジタルカメラを用いてイメージを測定した。脂肪細胞の大きさ分析のために、Image J Software(National Institute of Health,Maryland,USA)を用いて脂肪細胞の面積を測定した。
【0079】
参考までに、脂肪細胞の大きさの測定は、抗肥満効能が立証可能な効果的な方法であると知られており、高脂肪食餌摂取の場合に脂肪細胞の中性脂肪蓄積を増加させて脂肪細胞の大きさが増加するようになる(Park,S.H., Ko, S. K. and Chung, S. H. 2005. Euonymus alatus prevents the hyperglycemia and hyperlipidemia induced by high-fat diet in ICR mice. J. Ethnophamacol. 102:326-335)。
【0080】
本実験で副睾丸脂肪細胞の大きさを測定した結果を図2に示した。脂肪細胞の大きさの分布を察した結果、B群が4600.18μmと最も大きくA群に比べて55.9%大きかった。有機酸投与群では酪酸塩(butyrate)、プロピオン酸塩(propionate)、ギ酸塩(formate)、酢酸塩(acetate)の順に小さな値を示した。有機酸投与群の全てが高脂肪食餌対照群に比べて脂肪細胞の大きさが小さいことから、有機酸の給与が高脂肪食餌による脂肪細胞の蓄積を抑制したことと考えられた。H&E染色液で染色された脂肪細胞を顕微鏡で観察した際に脂肪細胞の大きさが異なることが肉眼でも確認できた。
【0081】
上記調査の通り、ギ酸塩(formate)は抗肥満効果があり、韓国人の場合ギ酸塩(formate) 関連の抗肥満効果が期待できることが考えられた。
以上、本発明を望ましい実施例を中心として説明したが、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者ならば本発明をその本質的な特性から逸脱することなく変形された形態で具現可能であることが理解できるであろう。よって、開示された実施例は限定的な観点ではなく説明的な観点から考慮しなければならない。本発明の範囲は上述した説明ではなく特許請求範囲に示されており、これと同等な範囲内のあらゆる差異点は本発明に含まれるものと解釈されるべきである。
【0082】
[産業上利用可能性]
本発明によるギ酸またはその塩は医薬品または健康食品素材として有用である。
図1
図2