特許第6977054号(P6977054)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6977054
(24)【登録日】2021年11月12日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】プシコースの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C12P 19/02 20060101AFI20211125BHJP
   C12M 1/12 20060101ALI20211125BHJP
   C13K 11/00 20060101ALI20211125BHJP
【FI】
   C12P19/02
   C12M1/12
   C13K11/00
【請求項の数】19
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2019-550530(P2019-550530)
(86)(22)【出願日】2017年11月24日
(65)【公表番号】特表2020-500556(P2020-500556A)
(43)【公表日】2020年1月16日
(86)【国際出願番号】KR2017013541
(87)【国際公開番号】WO2018105933
(87)【国際公開日】20180614
【審査請求日】2019年6月5日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0167049
(32)【優先日】2016年12月8日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500578515
【氏名又は名称】サムヤン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】特許業務法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク,ジウォン
(72)【発明者】
【氏名】パク,ソンウォン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヘジョン
(72)【発明者】
【氏名】パク,チョンジン
(72)【発明者】
【氏名】イ,カンピョ
【審査官】 坂崎 恵美子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/182937(WO,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2014−0021974(KR,A)
【文献】 韓国登録特許第10−1318422(KR,B1)
【文献】 特開平06−277099(JP,A)
【文献】 特表2015−530105(JP,A)
【文献】 特開2011−206054(JP,A)
【文献】 韓国登録特許第10−0967093(KR,B1)
【文献】 国際公開第2016/064087(WO,A1)
【文献】 特表2019−536822(JP,A)
【文献】 特表2020−500557(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2016−0062349(KR,A)
【文献】 Chemical Engineering Science,2015年,Vol.137,p.423-435
【文献】 Journal of Chromatography A,2015年,Vol.1398,p.47-56
【文献】 Journal of Separation Science,2009年,Vol.32, No.11,p.1987-1995
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12P 19/02
C12M 1/12
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プシコース転換反応物を、カルシウム活性基を付着した陽イオン交換樹脂充填カラムクロマトグラフで行われる擬似移動層(simulated moving bed、SMB)クロマトグラフィーで分離してプシコース分画と果糖ラフィネートを得る工程;
前記SMB分離で得られた果糖ラフィネートをイオン精製し、0〜15μs/cmの電気伝導度を有し、果糖ラフィネートの糖類総合100重量%を基準にして85〜98重量%の果糖および2.0重量%以下のプシコースを含む第1果糖含有原料を製造する工程;および、
前記第1果糖含有原料を第果糖原料である新規果糖原料と混合し、プシコース転換反応に再循環させる工程を含み、
前記第1果糖含有原料と前記第2果糖原料の混合比(第1果糖含有原料:第2果糖原料)を、前記第1果糖含有原料と前記第2果糖原料が50ブリックスである場合、時間当たりの体積比1:0.9〜1.5でプシコース転換反応に再循環し、プシコース製造を連続式で行うプシコースの製造方法。
【請求項2】
前記プシコース転換反応物は、果糖含有原料を用いた生物学的プシコース転換工程で製造される請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記第1果糖含有原料と前記第2果糖原料の混合比(第1果糖含有原料第2果糖原料)は、前記第1果糖含有原料前記第2果糖原料が50ブリックスである場合、1:0.95〜1.15または1:1.05〜1.2である請求項に記載の製造方法。
【請求項4】
前記第1果糖含有原料は、プシコース転換反応に再循環される前に、冷却工程、pH調整工程、および濃縮工程よりなる群より選択された1種以上の工程をさらに行う請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記プシコース転換反応物は、プシコース生産用組成物を前記果糖含有原料と反応させて製造される請求項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記SMBクロマトグラフィー分離工程で得られる果糖ラフィネートは、電気伝導度が20〜200μs/cmである請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
前記プシコース転換反応の原料として再循環させる前に、前記第1果糖含有原料または前記第1果糖含有原料を含有する混合原料のカルシウムイオン濃度を0.05mM以下の範囲に調節するイオン精製工程を行う請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
前記冷却工程は、SMBクロマトグラフィー分離工程で得られる果糖ラフィネートを熱交換器で冷却する請求項に記載の製造方法。
【請求項9】
前記プシコース転換反応に投入される果糖原料の果糖含量は、果糖原料の糖類含量100重量%を基準にして85重量%以上である請求項1に記載の製造方法。
【請求項10】
前記プシコース転換反応はマンガンイオンを添加して行われる請求項1に記載の製造方法。
【請求項11】
前記果糖ラフィネートを貯蔵槽に投入して、温度調節する工程、または前記プシコース転換工程に提供される前記第1果糖含有原料の投入量を調節する工程をさらに含む請求項1に記載の製造方法。
【請求項12】
前記製造方法は、SMBクロマトグラフィー分離工程を行う前、SMBクロマトグラフィー分離工程を行った後、またはSMBクロマトグラフィー分離工程を行う前後共に、イオン精製工程をさらに含む請求項1に記載の製造方法。
【請求項13】
前記プシコース転換反応のプシコース転換率が15%〜70%である生物学的触媒を使用する請求項1に記載の製造方法。
【請求項14】
前記プシコース分画を濃縮し、前記濃縮物からプシコースを結晶化してプシコース結晶と結晶化母液を得る工程をさらに含む請求項1に記載の製造方法。
【請求項15】
果糖原料を用いた生物学的プシコース転換反応およびプシコース分離工程を行うプシコース製造装置であって、
生物学的触媒を用いて果糖原料からプシコース転換反応を行うプシコース転換反応器、
カルシウム活性基を付着した陽イオン交換樹脂充填カラムを含み、原料投入口、およびプシコース分画と果糖ラフィネートを排出する排出口を備えた擬似移動層(simulated moving bed、SMB)クロマトグラフ分離器、および
前記分離器から排出された果糖ラフィネートを、イオン交換樹脂充填カラムを備えて果糖ラフィネートの電気伝導度を0〜15μs/cmに調節するイオン精製器および濃縮器を含み、
前記イオン精製器および濃縮器を経て果糖ラフィネートの糖類総合100重量%を基準にして85〜98重量%の果糖および2.0重量%以下のプシコースを含む果糖含有原料を得て、
前記果糖含有原料を新規果糖原料と混合し、プシコース転換反応器に投入してプシコース連続式転換反応を行うものであり、
前記果糖含有原料と前記新規果糖原料の混合比(果糖含有原料:新規果糖原料)が、前記果糖含有原料と前記新規果糖原料が50ブリックスである場合、時間当たりの体積比で1:0.9〜1.5であるプシコース製造装置。
【請求項16】
前記プシコース転換反応器に連結され、分離器から排出された果糖ラフィネートと新規果糖原料を混合する混合槽をさらに含む請求項15に記載の製造装置。
【請求項17】
前記イオン交換樹脂充填カラムを備えたイオン精製器が、プシコース転換反応器とクロマトグラフ分離器の間に連結された請求項15に記載の製造装置。
【請求項18】
前記果糖ラフィネートの冷却のための熱交換器をさらに備える請求項15に記載の製造装置。
【請求項19】
プシコース転換反応器に投入する前に、前記果糖ラフィネートを貯蔵する貯蔵槽をさらに含む請求項15に記載の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プシコース製造工程で得られる果糖ラフィネートの利用に関し、プシコース製造工程で得られる果糖ラフィネートをプシコース転換反応の原料として再循環させてプシコースを製造する方法およびこれに使用される装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プシコース(Pscicose)は果糖(D−fructose)のエピマーであって希少糖として知られた機能性糖類の一種であり、砂糖の約60〜70%の高い甘味度を示しながら熱量は殆どゼロカロリーに近く、糖尿病の予防および改善に効能があることが知られている。また、プシコースは溶解性にも優れていることが知られており、食品への利用が注目されている素材の一つである。
【0003】
プシコースを製造する方法には化学的方法と生物学的方法がある。最近の生物学的方法でプシコースを製造する方法では、果糖含有基質溶液とプシコースエピマー化酵素または前記酵素を生産する菌体と接触してプシコース転換反応を行う。プシコース転換工程に使用される反応原料である果糖含有溶液は、デンプンなどの分解から得られるブドウ糖の異性化反応によって得られた果糖異性化反応物であり得る。
【0004】
しかし、D−プシコースを含む反応液は低純度製品であるため、高純度にプシコースを分離することが要求される。実際に産業的に生産される素材では高純度に分離するために様々な方法が適用されており、糖の場合、主にクロマトグラフィーを使用して高純度溶液を作製した後、結晶化して製品を生産している。
【0005】
前記プシコース転換反応液から高純度プシコース製品を得るためには高純度分離工程を行い、プシコース分離工程ではプシコース分画だけでなく果糖を高濃度で含む果糖ラフィネートが得られるので、この果糖ラフィネートを再利用して、プシコース純度および収率を向上させて原料の利用率を高める方法が切望されているのが実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
よって、本発明の一実施形態は、果糖ラフィネートを再利用してプシコースの純度および収率を向上させて原料の利用率を高めるために、プシコース製造工程で得られた果糖ラフィネートをプシコース転換反応の原料として再循環させてプシコースを製造する方法、およびこれに使用する装置に関する。
【0007】
本発明の他の一実施形態は、プシコース製造工程で得られる果糖ラフィネートのイオン濃度を調節して果糖ラフィネートをプシコース転換反応の原料として再循環させてプシコースを製造する方法およびこれに使用する装置に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態は、プシコース製造工程で得られる果糖ラフィネートをプシコース転換反応の原料として再循環させてプシコースを製造する方法および装置に関する。プシコース分離工程では果糖を高濃度で含む果糖ラフィネートが得られるので、この果糖ラフィネートを再利用してプシコース純度および収率を向上させて原料の利用率を高める方法である。
【0009】
本発明の一実施形態は、プシコース転換反応物を擬似移動層(simulated moving bed、SMB)クロマトグラフィーで分離してプシコース分画と果糖ラフィネートを得て、前記果糖ラフィネートをプシコース転換反応の原料として再循環させる工程を含むプシコースの製造方法に関する。
【0010】
前記プシコース転換工程は、プシコース転換反応を行って果糖含有原料からプシコースを転換する工程であって、工程の生産物として果糖から転換されたプシコースを含有する反応液を得る。したがって、プシコース転換反応には従来の転換反応に使用されない新規な果糖含有原料を使用して生物学的方法で行われる。よって、本発明ではプシコース転換反応に投入される果糖含有原料として、前記プシコース転換反応物を擬似移動層(simulated moving bed、SMB)クロマトグラフィーで分離して得られた果糖ラフィネートまたはその加工物をプシコース転換反応の果糖含有原料として使用することができる。したがって、本発明による果糖含有原料は、前記プシコース転換反応物を擬似移動層クロマトグラフィーで分離して得られた果糖ラフィネートまたはその加工物(以下、第1果糖原料と呼ぶ)単独、またはプシコース転換反応に使用されない新規な果糖含有原料(以下、第2果糖原料と呼ぶ)と混合した原料を含む趣旨である。前記果糖ラフィネートの加工物は様々な工程を処理して得られる果糖含有原料であってもよく、例えば前記果糖ラフィネートはプシコース転換反応に再循環される前に、冷却、pH調整、イオン精製、および濃縮工程よりなる群より選択された1種以上の工程を処理して得られた生産物であってもよい。
【0011】
本発明の一実施形態で、プシコース製造の高純度分離工程で得られた果糖ラフィネートはプシコース転換反応の原料として利用することができ、例えば、イオン精製と共に、またはイオン精製後に濃縮して果糖含量を増加させる工程をさらに行うことができる。
【0012】
前記プシコース分離工程で得られる果糖ラフィネートをそのままプシコース転換工程に投入する場合、擬似移動層クロマトグラフィー分離工程で使用する強イオン樹脂の影響で陽イオン、特にカルシウムイオンが過剰に含まれていて、プシコース転換反応に好ましくない影響を及ぼすことがある。したがって、果糖ラフィネートをイオン精製して特定濃度範囲以下にカルシウムイオン濃度を調節するか、電気伝導度数値以下に陽イオン濃度を調節することができる。
【0013】
本発明の一実施形態で、前記果糖ラフィネートをプシコース転換反応に投入する前に、前記果糖ラフィネートまたは前記果糖ラフィネートと新規な果糖原料の混合原料のカルシウムイオン濃度を0.05mM以下の濃度に調節するイオン濃度の調節工程をさらに含むことが好ましい。また、前記果糖ラフィネートをプシコース転換反応に投入する前に、果糖ラフィネートの処理物が、電気伝導度0〜15μs/cmを満足するように前記クロマトグラフィー分離工程で得られる果糖ラフィネートをイオン精製する工程をさらに含むことが好ましい。
【0014】
本発明の他の一実施形態は、生物学的触媒を用いて果糖原料からプシコース転換反応を行うプシコース転換反応器;活性基が付着した陽イオン交換樹脂充填カラムを含み、原料投入口、およびプシコース分画と果糖ラフィネートを排出する排出口を備えた擬似移動層(simulated moving bed、SMB)クロマトグラフィー分離器;および前記分離器から排出された果糖ラフィネートを、イオン交換樹脂充填カラムを備えたイオン精製器および濃縮器を含み、前記濃縮器を通過した処理物をプシコース転換反応器に再循環させる、プシコースの製造装置に関する。
【0015】
本発明は、果糖ラフィネートを利用して効率的にプシコースを生産し、果糖ラフィネートを果糖異性化シロップと混合して液状果糖製品の品質低下を防止し、プシコースシロップの生産に使用される高果糖シロップの果糖含量を維持することができる。
【0016】
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
【0017】
本発明によるプシコースの製造方法は、プシコース転換反応物を擬似移動層(simulated moving bed、SMB)クロマトグラフィーで分離してプシコース分画と果糖ラフィネートを得て、前記果糖ラフィネートをプシコース転換反応の原料として再循環させる工程を含むプシコースの製造方法に関する。
【0018】
具体的な一実施形態で、本発明のプシコース製造方法は、(1)果糖含有原料でプシコースの生物学的転換反応を行ってプシコース転換反応物を製造するプシコース転換工程;(2)前記転換反応物を第1次イオン精製および擬似移動層(simulated moving bed、SMB)クロマトグラフィーによる分離を行ってプシコース分画と果糖ラフィネートを得るプシコース分離工程;および(3)前記果糖ラフィネートをプシコース転換反応に投入して原料として使用する工程を含むことができ、さらに(4)前記プシコース分画を用いてプシコース結晶を得る工程を含むことができる。
【0019】
本発明のプシコース製造方法は連続式と配置式の両方とも使用可能であり、好ましくは連続式である。
【0020】
本明細書において用語「ラフィネート(raffinate)」とは抽残液とも呼ばれ、分離工程に投入した原料が分離工程を通過して得られる生産物には分離工程で含量を高めようとする目的物質を含む目的分画と、分離工程で除去または含量を減少しようとする物質などを含む残留液を含み、前記残留液をラフィネートという。本発明の一実施形態において、プシコース転換工程で得られる生産物は原料基質である果糖と生産物であるプシコースを含む混合物であり、高純度分離工程を経るにつれて目的物質であるプシコースの含量が増加したプシコース分画と残留液を得て、残留液にはプシコース転換反応の基質である果糖が多量に含まれるので過剰のラフィネートを意味することができる。
【0021】
以下、本発明によるプシコース転換反応生産物の高純度分離工程で得られる果糖ラフィネートの再循環を通じてプシコースを製造する工程を、各工程別に詳しく説明する。
【0022】
(1)プシコース転換工程
プシコース転換工程は、プシコース転換反応を行って果糖含有原料からプシコースを転換する工程であって、工程の生産物として果糖から転換されたプシコースを含有する反応液を得る。
【0023】
本発明の一具体例において、生物学的方法によってプシコースを製造する方法としては、プシコースエピマー化酵素を生産する菌株、またはプシコースエピマー化酵素を暗号化する遺伝子が導入された組換え菌株を培養し、これから得られたプシコースエピマー化酵素を果糖含有原料と反応させて生産することができる。前記プシコースエピマー化酵素は、液相反応または固定化酵素を用いた固相反応で生産することができる。
【0024】
或いは、プシコースエピマー化酵素を生産する菌株またはプシコースエピマー化酵素を暗号化する遺伝子が導入された組換え菌株を得て、菌株の菌体、前記菌株の培養物、前記菌株の破砕物、および前記破砕物または培養物の抽出物よりなる群より選択された1種以上を含むプシコース生産用組成物を、果糖含有原料と反応させて製造することができる。プシコースエピマー化酵素を生産する菌株の菌体を用いてプシコースを製造する場合、液相反応または固定化菌体を用いた固相反応により製造することができる。
【0025】
本発明の一具体例において、プシコースエピマー化酵素を生産する菌株は、高い安定性を有しながらも果糖からプシコースを高収率で転換することができるか、プシコースエピマー化酵素を生産することができる菌株であってもよく、前記菌株は自然から分離した菌株またはその突然変異菌株であるnon−GMO菌株、またはプシコースエピマー化酵素を暗号化する遺伝子を宿主細胞に導入した組換え菌株であってもよい。本発明の一実施形態では、前記non−GMO菌株として知られている様々な菌株を使用することができる。前記組換え菌株は様々な宿主細胞、例えば大腸菌、バシラス属菌株、サルモネラ属菌株、およびコリネバクテリウム属菌株などを使用することができるが、好ましくはGRAS菌株であるコリネバクテリウム属菌株であってもよく、コリネバクテリウムグルタミクムであってもよい。
【0026】
本発明の一実施形態によるプシコース転換工程は生物学的方法で行い、例えば固相反応の場合、前記プシコースエピマー化酵素または菌体を担体に固定化しカラムに充填させる工程、および前記充填カラムに果糖溶液を供給する工程をさらに含んでもよい。酵素や菌体が固定化された担体を充填させるカラムおよび前記カラムに充填させる方法は、本発明に属する技術分野の当業者が使用可能な酵素や菌体、または固定化担体に適するものを容易に選択して行うことができる。本発明の一具体例において、前記固定化された酵素または菌体をカラムに充填させて充填床カラム(packed−bed column)を製造することができる。充填床カラムに基質である果糖溶液を供給することによって酵素反応、即ち、果糖のプシコースへの転換が行われる。
【0027】
前記プシコースの転換反応において、前記反応はpH4.5〜7.5、例えば、pH4.7〜7.0、またはpH5.0〜6.0、またはpH5.0〜5.5の条件下で行ってもよい。また、前記反応は30℃以上、例えば40℃以上の温度条件下で行ってもよい。前記果糖をプシコースに転換させる酵素(例えば、エピメラーゼ)は金属イオンによって活性化を調節できるので、前記プシコースの生産において、金属イオンを添加すると果糖からプシコースへの転換効率、即ち、プシコース生産率が向上する。したがって、前記プシコース生産用組成物は、銅イオン、マンガンイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、亜鉛イオン、ニッケルイオン、コバルトイオン、鉄イオン、アルミニウムイオンなどよりなる群より選択された1種以上の金属イオンをさらに含むものであってもよい。
【0028】
プシコースおよびその製造方法に関する詳しい技術内容は、韓国公開特許第2014−0021974号、韓国公開特許第2014−0054997号、韓国公開特許第2014−0080282号、または韓国登録特許第10−1318422号に記載されている。
【0029】
本発明によるプシコース転換工程に投入される果糖原料は生物学的方法または化学的方法により製造することができ、好ましくは生物学的方法である。
【0030】
前記果糖原料は果糖シロップのような液状原料、または果糖粉末のような粉末原料として提供してもよく、前記果糖シロップの場合、生物学的方法または化学的製造工程で得られた生産物であるか、果糖粉末を水のような溶媒に溶解して製造されたものであってもよい。
【0031】
前記果糖原料を生物学的方法で製造するための一実施形態によれば、ブドウ糖含有原料を果糖異性化酵素または前記酵素を生産する菌体を用いて異性化する果糖異性化工程を行い、前記果糖異性化工程の反応物を第1次イオン精製、高純度クロマトグラフィー分離工程、第2次イオン精製、および濃縮工程を通じて分離して得ることができる。
【0032】
前記プシコースの生産方法において、効率的なプシコース生産のために、基質として使用される果糖の濃度は、全反応物を基準にして、85w/v%以上、90w/v%以上、または95w/v%以上であってもよく、例えば85〜99w/v%、88〜99w/v%、88〜99w/v%、85〜87%(w/v)、88〜90%(w/v)、91〜93%(w/v)、94〜99%(w/v)または97〜99%(w/v)であってもよい。果糖の濃度は工程の経済性および果糖の溶解性を考慮して決定することができ、前記果糖は緩衝溶液または水(例えば、蒸留水)に溶解した溶液状態で使用してもよい。
【0033】
本発明の一実施形態による果糖製造工程を具体的に説明すると、果糖は砂糖またはブドウ糖から得ることができる。これによって、ブドウ糖、果糖、砂糖のように普遍化された低廉な原料を使用して高収率のプシコースを製造する方法を提供できるため、プシコースの大量生産が可能になる。
【0034】
本発明の果糖製造工程の一実施形態を説明すると、とうもろこしデンプンを30〜35重量%になるように水と混合した後、酵素加水分解を行ってブドウ糖含量88重量%以上の糖化液を得る。その後、前記糖化液の不純物を除去する工程と果糖異性化工程を経て、果糖含量40〜44重量%の果糖シロップを得る。その後、擬似移動層吸着分離方法(simulated moving bed、SMB)を用いてブドウ糖ラフィネートと果糖分画を得て、前記果糖分画に第2次イオン精製工程および濃縮工程を行って、果糖含量が85重量%以上、例えば85〜99重量%の果糖含有溶液を得る。擬似移動層吸着分離方法は、下記(2)の項目で詳述したとおりである。前記不純物を除去する工程は、ろ過による不溶性物質の除去工程、および活性炭を用いた脱色工程、有色成分とイオン成分などの不純物を除去するためにイオン交換樹脂充填カラムに通液させて行うことができる。
【0035】
果糖分離工程の具体的な例は、第1次イオン精製工程、高純度クロマトグラフィー分離工程、第2次イオン精製工程、濃縮工程、および結晶化工程を含んでもよく、選択的に行なわれる果糖異性化反応物の不純物を除去する工程では、脱塩工程、脱色工程、または脱色工程と脱塩工程を行ってもよい。
【0036】
本発明の果糖製造工程に含まれる濃縮工程は、様々な方法で濃縮して果糖含量を85重量%以上に含むようにする。例えば、擬似移動層吸着分離方法で得られた果糖分画(例えば、固形分濃度20〜30%)は、濃縮工程を通じて固形分濃度45〜55%に濃縮することができる。
【0037】
(2)プシコース転換反応物の分離工程
本発明によるプシコースの製造方法は、前記プシコース転換反応物をイオン精製および擬似移動層(SMB)クロマトグラフィー分離工程に付すプシコース転換反応物の分離工程を含むことができる。具体的な一例では、前記プシコース転換反応物に、SMBクロマトグラフィーによる分離を行って、転換反応物よりプシコース含量の高いプシコース分画と果糖ラフィネートに分離し、前記プシコース分画を、プシコース濃縮工程または結晶化工程に投入し、果糖ラフィネートを果糖含有原料としてプシコース転換工程に投入して再循環させる。
【0038】
前記プシコース分画内のプシコースの含量は、85重量%以上、例えば85重量%〜95%(w/w)以上になるように分離/精製することができる。前記高純度分離工程で得られる果糖ラフィネート内の果糖含量は85重量%以上、例えば85重量%〜98重量%であってもよく、プシコース含量は2重量%以下であることが好ましい。果糖ラフィネート中で果糖とブドウ糖を除いたその他の二糖類以上の糖類の含量は、全体糖類の総固形分含量を基準にして10重量%未満であることが好ましい。前記不純物中の二糖類以上の糖類は、マルトース、イソマルトースなどを含み、マルトースまたはイソマルトース関連オリゴサッカリドを含むことができる。
【0039】
前記果糖ラフィネートをプシコース転換反応に再循環させる場合、再循環回数が増加する程、不純物の含量が増加する。前記果糖ラフィネートの不純物含量が特定数値範囲以下に維持できるように工程を行うことが好ましく、前記不純物含量が特定数値範囲を超える場合、プシコース製造工程の一部または全部で排出して除去できる。例えば、果糖ラフィネート内の二糖類以上の糖類含量は、果糖ラフィネートの総糖類固形分100重量%基準にして10重量%未満、例えば8重量%未満、6重量%未満、または5重量%未満に維持することが好ましい。
【0040】
前記プシコースの製造工程において、イオン精製工程は反応物中に含まれているイオンを除去する工程であり、SMBクロマトグラフィー分離工程の前および/または後に行うことができる。前記SMBクロマトグラフィー分離を行う前にイオン精製工程を行う第1次イオン精製は、下記プシコース分画の第2次イオン精製と同一または異なる方法で行うことができ、例えば、同一種類または異なる種類のイオン交換樹脂が充填された分離塔を1つまたは2以上使用して行うことができる。前記イオン精製工程は、イオン精製に使用する樹脂の物性およびイオン精製効率を考慮して、温度を35〜50℃、例えば38〜58℃で行ってもよい。
【0041】
本発明の一実施形態では、前記プシコース転換反応物の第1次イオン精製工程を行う前に、選択的に、プシコース転換反応物を活性炭で処理する工程をさらに行ってもよい。
【0042】
本発明の一実施形態において、SMBクロマトグラフィーを用いた高純度分離工程は、分離過程で相変化がないため、物質の安定性確保に容易な分離方法である。このような吸着分離方法のうち液状吸着分離方法としては、クロマトグラフィー分離方法が多く使用されている。このうち擬似移動層吸着分離方法(simulated moving bed、SMB)は、1961年米国特許第2,985,589号で提案された分離技術であって、多数のカラムを用いて連続的に分離することによって既存の回分式クロマトグラフィーに比べて純度および生産性に優れ、溶媒の使用を少なくできるという長所を有する。前記擬似移動層(SMB)吸着分離工程は、分離対象混合物の注入とラフィネートおよび抽出物の生産を連続的に行う工程である。
【0043】
SMBの基本原理は、カラムの間の位置を一定時間の間隔で動かすことによって固定床と移動床の向流の流れを模写して連続的な分離を可能にすることである。吸着剤との親和力が弱くて速く動く物質は、液状の流れ方向に動いて抽出物(extract)に集まり、吸着剤との親和力が強くて遅く動く物質は固定床の流れ方向に動いてラフィネート(raffinate)に集まる。カラムは連続的に連結されており、入口は混合物と移動床、出口は目的抽出物(extract)とラフィネートから構成される。
【0044】
前記SMBでは、分離樹脂として単糖分離工程にも広く使用されている塩を添加した強酸の陽イオン交換樹脂を使用するので、分離工程を行った後に得られる生産物には金属イオンが含まれる。前記強酸の陽イオン交換樹脂は、例えばカルシウム活性基が付着された陽イオン交換樹脂であってもよい。
【0045】
図1に、一般的な擬似移動層(SMB)吸着分離装置の工程図を示す。一般的な擬似移動層(SMB)吸着分離装置は、一つまたはそれ以上のカラムから構成された4個の区間と各区間の間に位置した脱着剤(desorbent)流入ポート、強吸着質である抽出物(extract)排出ポート、分離対象混合物(feed)流入ポート、および弱吸着質であるラフィネート(raffinate)排出ポートから構成される。擬似移動層(SMB)吸着分離装置を使用した混合物の分離方法は、芳香族炭化水素の混合物の分離工程、エチルベンゼンの分離工程、キラル化合物の分離工程などに適用でき、医薬品製造過程の中の最終産物、或いは中間物質であるラセミ混合医薬品の分離工程などに適用できる。
【0046】
前記高純度分離工程は、45〜70℃の温度、例えば50〜65℃で行ってもよい。
【0047】
(3)果糖ラフィネートの再循環工程
本発明によるプシコース製造方法は、SMBクロマトグラフィー分離工程で得られる果糖ラフィネートをプシコース転換工程に再循環させて反応原料として使用することによって、プシコースの生産収率を最大限まで高めてプシコースの製造原価を低減することができる。プシコース製造の分離工程で得られる果糖ラフィネートをプシコース製造工程に再循環させる場合、再循環させない場合に比べて果糖原料の投入量が減少して原料生産の負荷を減らすことができる。前記のようなプシコース製造工程を実行するにあたり、プシコースのような目的産物を連続的に生産するために、生物転換反応器を初期活性に適した水準の生産性を維持しながら運転することができる。
【0048】
また、果糖ラフィネートを利用して果糖異性化シロップの混合を通じて液状果糖製品の品質低下を防止できるため、プシコースシロップの生産に使用される高果糖シロップの果糖含量を維持することができる。
【0049】
前記プシコース製造の分離工程で得られる果糖ラフィネートをプシコース転換反応の原料として使用する前に、プシコース転換反応の原料として使用するのに適した条件を満足するように、冷却、濃縮、イオン精製、およびpH調整よりなる群より選択された1種以上の工程をさらに行ってもよい。本発明の好ましい一例において、果糖ラフィネートは、高純度分離精製工程で排出され、冷却、1次イオン精製、濃縮、およびpH調整の各工程を行って、新規果糖原料と類似の固形分含量(ブリックス)およびpH(例えば、中性pH)に調節し、カルシウムイオン濃度が減少した果糖原料としてプシコース転換反応に投入してもよい。
【0050】
本発明の一実施形態において、プシコース製造の高純度分離工程で得られる果糖ラフィネートは、プシコース転換反応の原料として単独で、または新規果糖原料と共に投入してもよい。前記果糖ラフィネートと新規果糖原料の混合物をプシコース転換反応の反応原料として使用する場合、果糖ラフィネートを最大限に利用して、得られるプシコースの収率を最大限維持することができるように、果糖ラフィネートと新規果糖原料の混合比を適切に調節することができる。工程の維持という観点からは、新規果糖含量を最大に設定することができるが、果糖ラフィネートの再利用という観点からは適切でなく、高純度分離工程で得られる果糖ラフィネートを最大限利用することができるように混合比を設定することが好ましい。例えば、プシコース転換反応に供給される原料で転換反応を行った後に、減少した果糖不足分を補充する含量で果糖ラフィネートを混合してもよく、プシコースの収率を特定数値以上に維持可能な含量まで果糖ラフィネート混合量を増加してもよい。
【0051】
また、果糖ラフィネートの再循環回数が増加する程、果糖ラフィネートで果糖と共に得られるブドウ糖および二糖類以上の果糖以外の不純物の含量が増加するという問題点があるため、これら不純物の含量が特定含量以下に維持されるように、再循環回数および新規果糖原料との混合比を適切に調節することができる。
【0052】
果糖ラフィネートと混合する新規果糖原料の混合量は、果糖原料をプシコースに転換する転換率または収率を決定する生物学的転換手段、例えば酵素、菌体、抽出物、または破砕物などの生物学的触媒の転換率を考慮するか;プシコース製造工程上の様々な因子、例えば果糖含量などを考慮して決定することができる。例えば、新規果糖原料内の果糖含量および/または果糖ラフィネート中の果糖含量を考慮して、新規果糖原料の混合量を決定することができる。即ち、新規果糖原料中の果糖含量が高い場合、果糖ラフィネートとの混合時に得られる混合原料の果糖含量が増加するため、相対的に低い果糖含量を有する新規果糖原料を使用する場合に比べて、果糖ラフィネートの混合量が多くなるように調節することができる。
【0053】
本発明によるプシコース製造工程の分離過程で得られる果糖ラフィネートは、果糖含量85重量%以上、例えば85重量%〜99重量%であってもよい。また、プシコース転換反応に投入する果糖原料の新規果糖含量は、85重量%以上、例えば85重量%〜99重量%であってもよい。
【0054】
前記果糖ラフィネートと新規果糖原料の混合物をプシコース転換反応の反応原料として使用する場合、前記のような様々な影響因子を考慮して果糖ラフィネートと混合する新規果糖原料の混合量を決定することができ、通常、果糖含量、ブリックス(Brix)、プシコース生産システムの運営方式、収率などを考慮して適切に調節することができる。プシコース製造の分離工程で得られる果糖ラフィネートの利用度を考慮すれば、果糖ラフィネートを全て使用し、プシコース転換によって減少した原料分を新規果糖原料で補充して実施することができ、新規果糖原料のみで稼動されるプシコース製造システムで果糖ラフィネートの一部を果糖原料として使用してもよい。したがって、果糖ラフィネートの全部を使用してもよく、果糖原料に最小限の含量で添加し、残りはシステムから排出してもよい。したがって、果糖ラフィネートをプシコース転換反応に投入する含量は、分離工程で得られる果糖ラフィネート全部を最大限の含量にして、システムが許容される限り、果糖ラフィネートの一部を再循環させることができる。
【0055】
具体的には、果糖ラフィネートの最大利用度を考慮すれば、果糖ラフィネート全部を使用することが好ましく、この場合、プシコース転換工程と分離工程で減少した果糖原料分のみの不足分を新規果糖原料で補充することができる。例えば、果糖ラフィネートと新規果糖原料を全て同一に50ブリックスに調整した場合、新規果糖原料体積100を基準にして5体積比〜150体積比、好ましくは50〜130体積比で使用することができる。
【0056】
例えば、果糖ラフィネートと新規果糖原料を全て同一に50ブリックスに調整した場合、果糖ラフィネートと新規果糖原料の混合比は果糖ラフィネート:新規果糖原料=1:0.9〜1.5体積比であってもよい。新規果糖原料の果糖濃度によって混合比が変化してもよい。例えば、果糖ラフィネートと新規果糖原料を全て同一に50ブリックスに調整した場合、果糖ラフィネートと新規果糖原料の混合比は1:0.9〜1.5体積比、または果糖ラフィネート:新規果糖原料=1:0.95〜1.15体積比または1:0.98〜1.05体積比であってもよく、或は果糖ラフィネート:新規果糖原料の混合は1:1.05〜1.2体積比または1:1.08〜1.13体積比であってもよい。
【0057】
前記果糖ラフィネートに対する新規果糖原料の添加量が前記範囲より少ない場合、果糖ラフィネートの再循環回数が増加する程、プシコース転換工程に投入されるラフィネート原料の果糖純度が低下するようになってプシコース転換率が減少するようになり、プシコース最終生産収率が低下する。したがって、生産所要時間およびプシコース収率を考慮して、適切なプシコース生産収率を維持できるように工程を最適化しなければならない。前記混合比が前記範囲条件を満足する場合、プシコース転換工程を継続して行ってもプシコース異性化工程に投入される原料の果糖純度を適正範囲に維持することができ、プシコース転換率も安定的に維持することができる。
【0058】
本発明の一実施形態によれば、果糖ラフィネートの再循環によりカルシウム含量が増加するようになり、このようなカルシウムはプシコース転換反応の活性を低下させることがあるため、カルシウムイオン濃度を調節するための工程を施すことが好ましい。前記イオン濃度を調節する工程は、イオン交換樹脂が充填されたクロマトグラフィーを用いて行うことができる。具体的には、金属イオンを結合できるヒドロキシ基(OH-)で置換された強塩基性または弱塩基性の陰イオン樹脂を用いたイオン交換工程を行うことができる。
【0059】
前記果糖ラフィネートをプシコース転換反応に投入する前に、前記果糖ラフィネートまたは前記果糖ラフィネートを含有する果糖原料のカルシウムイオン濃度を0.05mM以下の範囲、0.01mM以下、0.005mM以下、または0.001mM以下の範囲にカルシウム濃度を調節することができる。SMBクロマトグラフィー工程で発生される果糖ラフィネートを再使用する場合において、SMBクロマトグラフィー工程で混入されるカルシウム(Ca)イオンを精製しない場合にはマンガンを単独で使用することより活性が低下するので、プシコース生産量に悪影響を与えることがある。
【0060】
プシコース転換反応物のSMB高純度分離工程では、分離樹脂として単糖分離工程にも広く使用されている塩を添加した強酸の陽イオン交換樹脂を使用するため、この使用により、樹脂に付着している金属の一部が流出され、その結果、分離工程後に得られる産物には金属イオンが含まれる。特に、カルシウムイオンが過量で含まれており、プシコース転換反応に悪影響を及ぼす。したがって、果糖ラフィネートをイオン精製して、特定濃度範囲以下にカルシウムイオン濃度を調節する必要がある。これは樹脂の耐久性とも相関があり、粘度のある糖液が流入してきた場合、粘度による摩擦が発生して樹脂の表面に付着している金属イオンが少量ずつ流出される。そのような理由により、イオン交換樹脂を充填後に長期間使用する場合には、一定の周期で樹脂を交替する。
【0061】
前記果糖ラフィネートのイオン精製は、前記(2)項目のプシコース転換反応物の分離工程で行うイオン精製工程と同様の方法で行うことができる。
【0062】
前記クロマトグラフィー分離工程で得られる果糖ラフィネートは、電気伝導度が20〜200μs/cmであり、前記果糖ラフィネートをイオン精製工程で処理することができ、前記処理物の電気伝導度は0〜15μs/cmであってもよい。
【0063】
本発明の一実施形態において、プシコース製造の分離工程で得られた果糖ラフィネートは、イオン精製と共に、またはイオン精製後に濃縮して果糖含量を増加させる工程をさらに行ってもよい。プシコース製造の高純度分離工程で得られる果糖ラフィネートのブリックスが低い場合、濃縮工程を行って、新規果糖原料と同一または類似のブリックスになるように固形分含量を調節することができる。プシコース製造の高純度分離工程で得られる果糖ラフィネートは15〜25ブリックス(Brix)程度であり、プシコース転換工程に供給される通常の果糖含有原料が45〜55ブリックス、例えば約50ブリックスであることを考慮すれば、濃縮工程を行って果糖含量を増加させることが好ましい。
【0064】
前記濃縮工程は、ブドウ糖を原料にして果糖異性化を行って果糖原料を製造する果糖製造工程で使用される濃縮過程と同一であるか、プシコース製造のSMB高純度分離後に得られるプシコース分画の濃縮工程と同様の方法で行うことができる。前記果糖製造工程において、濃縮する工程はプシコースより熱安定性が高いため、70〜85℃の温度下で10〜15分間濃縮する工程を含んでもよい。
【0065】
本発明の具体的な一例において、プシコース製造の分離工程で得られる果糖ラフィネートをプシコース転換工程に投入する前に、イオン精製工程および/または果糖濃縮工程を行うに当たり、プシコース製造装置に連結された別途装置を用いて行ってもよい。
【0066】
前記冷却、濃縮、イオン精製、およびpH調整よりなる群より選択された1種以上の工程でさらに処理した果糖ラフィネートを貯蔵槽に投入して、温度調節する工程、または前記プシコース転換工程に提供される果糖ラフィネートの投入量を調節する工程をさらに行ってもよい。
【0067】
(4)プシコースの濃縮または結晶化工程
本発明のプシコース製造方法において、SMBクロマトグラフィーを用いた高純度分離工程で得られたプシコース分画は、プシコース濃縮工程を経て液状シロップとして製品化するか、プシコース結晶化工程を経てプシコース結晶として製品化することができる。
【0068】
前記工程(2)のSMBクロマトグラフィー分離工程で得られたプシコース分画をイオン精製し、濃縮して得られた濃縮物を製造する工程である。前記濃縮物は、プシコースシロップ製品として使用するか、結晶化工程に投入してプシコース結晶として製造することができる。
【0069】
本発明の一実施形態では、前記SMBクロマトグラフィーを用いた高純度分離工程で得られたプシコース分画を、第2次イオン精製工程に付すことができ、前記分離工程で行った第1次イオン精製と同一または異なる方法で行うことができる。
【0070】
プシコース結晶を得るためのプシコース溶液中のプシコースの含量は、過飽和状態で高い濃度で含まれなければならないが、プシコース転換反応物のプシコースの含量は低いため、直接結晶化を行うことができず、結晶化工程の前にプシコース含量を増加させるために精製して、所望の水準まで濃縮する工程を行わなければならない。
【0071】
本発明の一具体例において、前記精製したプシコース溶液を濃縮させる工程は55〜75℃で行ってもよい。濃縮液の温度が75℃より高くなるとD−プシコースの熱変性が生じる場合があり、55℃より低くなると所望の水準の濃縮を達成し難い。濃縮が進むにつれて、蒸発熱によって反応物の温度が急激に高くなるため、濃縮液の温度を75℃以下に維持しながら、速かに濃縮しなければならない。
【0072】
本発明の一具体例において、プシコースの熱変性および所望の水準の濃縮を達成するために、55〜75℃の温度、好ましくは60〜70℃の範囲で濃縮することができる。前記濃縮工程は、所望の濃縮水準を達成するまで、1回または2回以上繰り返して行ってもよい。
【0073】
具体的には、前記SMBクロマトグラフィー分離工程で得られたプシコース分画の濃縮工程は様々な方法で行うことができ、濃縮物の固形分含量が70ブリックス以上になるように濃縮することができる。例えば、擬似移動層吸着分離方法で得られたプシコース分画(例えば、固形分含量20〜30重量%)は、濃縮工程を通じて固形分含量70ブリックス以上に濃縮することができる。前記プシコース濃縮物の固形分含量は70ブリックス以上、例えば70ブリックス〜85ブリックスであってもよい。
【0074】
前記プシコース製造工程で濃縮する工程は、55〜75℃の温度で10〜15分間濃縮する工程を含むことができる。前記濃縮は、連続真空濃縮装置(Falling Film Evaporator)または薄膜真空濃縮器(Thin Film Evaporator)を用いて減圧または真空条件下で濃縮することができる。
【0075】
前記プシコース濃縮物に含まれているプシコース含量は、前記SMBクロマトグラフィー分離工程で得られたプシコース分画のプシコース含量と殆ど変わらず、固形分含量が増加した後、結晶化工程を行うことができる。前記プシコース濃縮物に含まれているプシコース含量は、固形分総含量100重量%を基準にして、94重量%以上、95重量%以上、96重量%以上、97重量%以上、98重量%以上、または99重量%以上であってもよい。
【0076】
前記プシコース結晶化工程は、前記高純度分離工程で得られたプシコース分画を第2次イオン精製する工程、前記イオン精製されたプシコース分画を濃縮する工程、前記濃縮物からプシコースを結晶化してプシコース結晶とプシコース結晶化母液を得る工程を含む。前記プシコース分離工程の具体的な例は、第1次イオン精製、高純度クロマトグラフィー分離、第2次イオン精製、濃縮、および結晶化の各工程を含むことができ、選択的に、プシコース転換反応物の脱塩工程、脱色工程、または脱色と脱塩工程を行ってもよい。
【0077】
前記プシコース分画内のプシコースの含量は、85重量%以上、90重量%以上、91重量%以上、92重量%以上、93重量%以上、94重量%以上、または95重量%以上、例えば85重量%〜99.9%(w/w)になるように分離/精製してもよい。
【0078】
前記プシコース結晶に含まれているプシコースは純度90重量%以上、95重量%以上、または99重量%以上であり、前記結晶化母液内のプシコース含量は85重量%以上、90重量%以上、93重量%以上、または95重量%以上、例えば85重量%〜95重量%であってもよい。
【0079】
本発明の方法によって果糖から得られたプシコースは、通常の方法によって精製してもよく、このような結晶は当業者にとって通常の技術範囲に属する。例えば、遠心分離、ろ過、結晶化、イオン交換クロマトグラフィー、およびこれらの組み合わせよりなる群より選択された一つ以上の方法によって製造できる。
【0080】
本発明の一実施形態において、前記SMBクロマトグラフィーを用いた高純度分離工程で得られたプシコース分画を第2次イオン精製することができ、前記プシコースの分離工程で使用した第1次イオン精製と同一または異なる方法で行うことができる。
【0081】
本発明によるD−プシコース結晶を製造する方法は、精製されたD−プシコース溶液を濃縮させる工程を含み得る。プシコース結晶を得るためのプシコース溶液中のプシコースの含量は、70重量%以上でなければならない。プシコースエピマー化酵素によって製造されたプシコース溶液中のプシコースの純度は20〜30%程度と低いため、直接結晶化を行うことができず、結晶化工程の前に、プシコースを精製して所望の水準まで濃縮しなければならない。本発明の一具体例では、プシコースの熱変性および所望の水準の濃縮を達成するために、55〜75℃の温度で濃縮することができる。前記濃縮工程は、所望の濃縮水準を達成するまで、1回または2回以上繰り返して行ってもよい。
【0082】
前記冷却させて結晶化する工程は、熱交換器を通じて10〜25℃の温度で急速に冷却した後、昇温と冷却を繰り返し行って結晶の成長を促進させる工程を含んでもよい。
【0083】
本発明によるD−プシコース結晶を製造する方法は、前記結晶化工程で得られたプシコース結晶を遠心分離によって回収し、脱イオン水で洗浄した後、乾燥させる工程をさらに含んでもよい。
【0084】
本発明の一実施形態は、果糖原料を用いた生物学的プシコース転換反応およびプシコース分離工程を行うプシコース製造装置であって、
果糖原料からプシコース転換反応を行うプシコース転換反応器、
前記転換反応器で得られたプシコース転換反応物をイオン精製するイオン交換樹脂充填カラムを備えたイオン精製器、
活性基を付着した陽イオン交換樹脂充填カラムを含み、イオン精製器を通過した反応物を投入する投入口、プシコース分画と果糖ラフィネートを排出する排出口を備えた擬似移動層(simulated moving bed、SMB)クロマトグラフ分離器、および前記分離器から排出された果糖ラフィネートを、イオン交換樹脂充填カラムを備えたイオン精製器および濃縮器を通過してプシコース転換反応器に再循環させるものであるプシコース製造装置を提供する。
【0085】
前記プシコース製造装置は、プシコース転換反応器に連結して、濃縮器から排出された果糖ラフィネートと新規果糖原料を混合する混合槽をさらに含んでもよい。また前記製造装置は、前記クロマトグラフ分離器から排出された果糖ラフィネートの冷却のための熱交換器をさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0086】
本発明による果糖ラフィネートの利用によりプシコース生産および液状果糖を効率的に生産することができ、特にラフィネートと新規果糖原料の混合比を調節して液状果糖製品の品質低下を防止し得、プシコースシロップの生産に使用される高果糖シロップの果糖含量を維持させて、長期間安定して高い収率でプシコースを生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
図1図1は、一般的なSMB工程の一例を示す図である。
図2図2は、本発明の一実施形態によって得られる果糖ラフィネートの全量をプシコース転換反応に投入するプシコース製造方法に関する模式図である。
図3図3は、本発明の一実施形態によって得られる果糖ラフィネートの一部をプシコース転換反応に投入するプシコース製造方法に関する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0088】
以下、本発明を下記の実施例によってさらに詳しく説明する。しかし、これらの実施例は本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の範囲はこれら実施例によって限定されない。
【実施例】
【0089】
製造例1.プシコースシロップの製造
韓国公開特許第2014−0054997号に記載の製造方法と実質的に同一の生物学的方法により、果糖基質からプシコースシロップを製造した。
【0090】
具体的には、クロストリジウムシンデンス(Clostridiuim scindens ATCC 35704)由来のプシコースエピマー化酵素の暗号化遺伝子(DPE gene;Gene bank:EDS06411.1)を組換えベクター(pCES_sodCDPE)に導入して、製造した組換えベクター(pCES_sodCDPE)プラスミドを、電気穿孔法(electroporation)を使用してコリネバクテリウムグルタミクムに形質転換させた。形質転換したコリネバクテリウムグルタミクム細胞を含むビードを製造して、固定化反応カラムに充填し、40ブリックスの88重量%果糖または95重量%果糖からプシコースシロップを製造した。即ち、88重量%果糖含有基質からブドウ糖:果糖:プシコース:オリゴ糖=41:39:15:5の21〜23(w/w)%プシコースシロップを得て(プシコースシロップA)、果糖含量95重量%を含む原料からブドウ糖:果糖:プシコース:オリゴ糖=6:67:25:2の24〜26(w/w)%プシコースシロップを得た(プシコースシロップB)。
【0091】
製造例2.果糖ラフィネートの製造
上記製造例1で得られた2種類のプシコースシロップについて、有色およびイオン成分などの不純物を除去するために、陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂、および陽イオンと陰イオン交換樹脂の混合樹脂で充填した常温のカラムに、1時間当りイオン交換樹脂2倍体積の速度で通液させて脱塩させた。
【0092】
その後、カルシウム(Ca2+)型イオン交換樹脂で充填したクロマトグラフィーを用いて高純度のプシコース分画を分離した後、残りをラフィネートとして得た。88重量%果糖含量の原料を用いて得られたプシコースシロップ(プシコースシロップA)から得られた果糖ラフィネートは、糖類固形分総100重量%を基準にして果糖85〜95重量%、ブドウ糖1〜10重量%、および還元糖1〜5重量%を含んでいた。
【0093】
95重量%果糖含量の原料を用いて得られたプシコースシロップ(プシコースシロップB)から得られた果糖ラフィネートは、糖類固形分総100重量%を基準にして果糖88〜98重量%、ブドウ糖1〜8重量%、および還元糖1〜4重量%を含んでいた。
【0094】
実施例1:果糖ラフィネートを用いたプシコースの生産
上記の製造例1および製造例2のように果糖含量88重量%のシロップを用いてプシコース含量95重量%の固形分10トンを生産するために、流量3.8m3/hrでプシコース転換工程と分離工程を行った。
【0095】
具体的には、果糖含量88重量%の原料基質溶液(プシコースシロップA)を用いてプシコース転換工程を経て得られたプシコースシロップのプシコース含量は20〜23重量%であった。前記プシコース転換反応物を陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂、および陽イオンと陰イオン交換樹脂の混合樹脂で充填した常温のカラムに、1時間当りイオン交換樹脂2倍(1〜2倍)体積の速度で通液させて脱塩させた後、濃縮工程を行って45〜50重量%のプシコース濃度のシロップを得た。Ca2+類型分離樹脂を用いて高純度クロマトグラフィーを行った結果、果糖ラフィネートは1時間当り3.1m3ずつ生成した。
【0096】
プシコース転換工程と分離SMBクロマトグラフにおいて1時間ごとに不足した0.9m3を、果糖工程で得られた果糖含量88重量%の新規果糖原料と混合した。即ち、新規果糖原料と果糖ラフィネートの総固形分含量を50重量%(50ブリックス)に調節して、新規果糖原料と果糖ラフィネートの混合体積比0.9:3.1(新規果糖:果糖ラフィネート=0.29:1)で混合した混合物をプシコース転換工程に投入してプシコースの生産を行った。
【0097】
前記工程を10回繰り返して行い、各工程別の混合原料およびラフィネートの糖類組成を分析して、下記表1に示した。
【0098】
【表1】
【0099】
上記表1に示すように、新規果糖原料とラフィネートの混合体積比が0.9:3.1(0.29:1)の場合、再循環回数が増加する程、プシコース転換工程に投入されるラフィネート原料の果糖純度が低下するようになってプシコース転換率が減少するようになり、その結果、プシコースの最終生産収率が低下することを確認した。
【0100】
実施例2:果糖ラフィネートを用いた連続的プシコースの生産
実施例1と同様の方法で行った、高純度分離工程で得られた果糖ラフィネート1.8m3/hrを新規果糖原料(果糖純度88%、固形分濃度50重量%)2.0m3/hrと混合して、イオン精製工程に供給した。前記新規果糖原料とラフィネートの混合比は5.2〜5.3:4.7〜4.8(新規果糖:ラフィネート=1.08〜1.13:1)比率である。
【0101】
前記工程を10回繰り返して行い、各工程別の混合基質およびラフィネートの糖類組成を分析して下記表2に示した。
【0102】
【表2】
【0103】
上記表2から確認できるように、新規果糖原料とラフィネートの混合比は、新規果糖原料とラフィネートを50ブリックスに調節した場合、新規果糖原料:ラフィネートの混合比が5.2〜5.3:4.7〜4.8体積比(新規果糖原料:果糖ラフィネート=1.08〜1.13:1)の場合にはプシコース転換工程を継続的に行ってもプシコース転換工程に投入される原料の果糖純度が大きく低下することはなく、プシコース転換率は、5次混合液から安定的に維持されることを確認した。
【0104】
【表3】
【0105】
上記表3に示すように、果糖原料の果糖純度88重量%を用いてプシコースの製造工程を実施した場合、プシコース転換率は約23%となり、高純度分離を通じてプシコース純度95重量%以上のプシコースシロップを製造できた。この時、分離収率は、原料のプシコース含量90%以上を分離することができた。
【0106】
分離した高純度プシコース分画は、精製を経て液状製品として発売するか、結晶化工程を行ってプシコース含量99.9重量%の結晶化製品として製造することができる。結晶化工程を行う場合、前記表3に示すように、プシコース含量は95重量%以上であった。また、高純度分離後に得られた果糖ラフィネートを固形分含量50〜77重量%に濃縮して、果糖含量42重量%(固形分含量50〜77重量%)の新規果糖原料と混合して果糖純度56.5重量%の液状果糖シロップを製品として得た。
【0107】
実施例3.果糖ラフィネートを用いたプシコースの生産
実施例1と同様の方法で行ったが、但し、ここでは、果糖含量95重量%のシロップを用いたプシコース含量95重量%の固形分10トンを生産するために、流量3.8m3/hrでプシコース転換工程と分離工程を行った。
【0108】
上記プシコース転換工程を経て得られたシロップのプシコース含量は21〜25重量%であり、イオン精製後、45〜50重量%の濃度で分離工程を通過させた。Ca2+類型分離樹脂を用いて分離時に発生する果糖ラフィネートは、1時間当り3m3ずつ発生した。プシコース転換工程と分離クロマトグラフの1時間ごとに不足した0.8m3を果糖工程に供給して混合した。即ち、新規果糖原料とラフィネートを50ブリックスに調節する場合、新規果糖原料とラフィネートの混合体積比0.9:3.1(新規果糖原料:ラフィネート=0.29:1)でプシコースの生産を行った。
【0109】
前記工程を10回繰り返して行い、各工程別の混合基質およびラフィネートの糖類組成を分析して下記表4に示した。
【0110】
【表4】
【0111】
上記表4に示すように、果糖純度95重量%を用いてプシコースを生産した場合、実施例1と異なって、果糖の含量変化が見られないことを確認した。プシコース転換工程に注入される果糖純度95重量%以上の果糖原料は、果糖ラフィネートの再循環回数が増加する程、プシコース転換工程に投入される原料の果糖純度に差がなくて、プシコースの最終生産を維持できることを確認した。これにより、ブドウ糖および二糖類の含量が高くなく還元糖の一部がプシコース分画として排出されながら果糖の含量を維持できることが分かった。この結果より、原料の果糖含量が95重量%以上の高純度条件で高いプシコース転換率を維持しながらラフィネートの再循環が可能であることが分る。
【0112】
実施例4.果糖ラフィネートを用いた連続的なプシコースの生産
実施例3と同様の方法で行ったが、但し、ここでは、果糖42%と混合した後、残りのラフィネート1.9m3/hrを新規果糖原料1.9m3/hrと混合して、プシコース転換工程と分離クロマトグラフィーに供給した。新規果糖原料とラフィネートを50ブリックスに調節する場合、新規果糖原料と果糖ラフィネートの混合比は5.0〜5.1:4.9〜5.1体積比(果糖ラフィネート:新規果糖原料=1:0.98〜1.05)である。前記工程を10回繰り返して行い、各工程別の混合基質およびラフィネートの糖類組成を分析して下記表5に示した。
【0113】
【表5】
【0114】
上記表5に示すように、ラフィネートの一部を液状果糖55重量%シロップとして使用し、ラフィネートの他の一部を新規果糖原料と混合しながら連続的にプシコース転換工程に投入すると、高純度プシコースの生産が安定して維持され得ることを確認した。各工程別に糖組成の変化を下記表6に示した。
【0115】
【表6】
【0116】
上記表6から確認できるように、ラフィネートの一部を液状果糖生産工程に投入しても、プシコースの生産が安定して維持され得る。
【0117】
分離した高純度プシコースは、実施例3と同様にして精製を経て液状製品として発売するか、結晶化工程を行ってプシコース含量99.9重量%の結晶化製品を製造することができる。その他の事項は上記実施例3と同様である。結晶化工程を行った場合、上記表6に示すように、プシコース含量は99.9重量%であった。液状果糖(55%シロップ)についても、既存の液状果糖95%と42%を混合したときの品質と同等な品質の産物が得られた。
【0118】
実施例6.混合金属イオンによるプシコース転換率の比較実験
果糖ラフィネートと類似の組成で、プシコース転換率を評価した。即ち、果糖純度95重量%シロップを50重量%に希釈してCa2+イオンを0.005〜0.01mMにて添加した後、1.0mMのMnをさらに添加してプシコース転換工程を確認した。その結果を表7に示した。
【0119】
【表7】
【0120】
プシコース転換反応の活性を増加させるマンガンで処理した場合、相対活性は152%であった。カルシウムをさらに添加してカルシウムとマンガンの混合状態におけるプシコース転換反応の相対活性は、マンガンで単独処理したものより最大約16%まで減少したことから、カルシウムイオンの濃度が高くなる程、相対活性は次第に減少する傾向にあることが確認された。
【0121】
上記の結果より、高純度分離クロマトグラフィー工程で生成する果糖ラフィネートを再使用することは、分離クロマトグラフィー工程で析出される0.01mM以下のCaイオンを精製しなければならない理由であると推察できる。イオン精製を行わない場合、マンガンを単独で使用したものより活性が低下するため、プシコースの生産量に悪影響を与えることがある。
図1
図2
図3