特許第6977058号(P6977058)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6977058ピクテ・スペングラー反応を介して得られたタグ付けヌクレオシドを用いたシーケンシング反応のための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6977058
(24)【登録日】2021年11月12日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】ピクテ・スペングラー反応を介して得られたタグ付けヌクレオシドを用いたシーケンシング反応のための方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6869 20180101AFI20211125BHJP
   C12Q 1/6806 20180101ALI20211125BHJP
   C07H 21/04 20060101ALI20211125BHJP
【FI】
   C12Q1/6869 Z
   C12Q1/6806 Z
   C07H21/04 B
【請求項の数】8
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2019-555901(P2019-555901)
(86)(22)【出願日】2018年4月11日
(65)【公表番号】特表2020-516292(P2020-516292A)
(43)【公表日】2020年6月11日
(86)【国際出願番号】US2018027126
(87)【国際公開番号】WO2018191389
(87)【国際公開日】20181018
【審査請求日】2019年12月9日
(31)【優先権主張番号】17166237.2
(32)【優先日】2017年4月12日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100188374
【弁理士】
【氏名又は名称】一宮 維幸
(72)【発明者】
【氏名】ベルクマン,フランク
(72)【発明者】
【氏名】クーヘルマイスター,ハンネス
(72)【発明者】
【氏名】クリサリ,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ポンプルン,ゼーバスティアン・ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ベルナー,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】チャウ,イアン・クアン
(72)【発明者】
【氏名】カレワード−ラム,ハナー・マリエ
(72)【発明者】
【氏名】サキブ,ハッシャム
【審査官】 野村 英雄
(56)【参考文献】
【文献】 WU, F., et al.,"Scaffold tailoring by a newly detected Pictet-Spenglerase activity of strictosidine synthase: from the common tryptoline skeleton to the rare piperazino-indole framework.",J. AM. CHEM. SOC.,2012年01月25日,Vol.134, No.3,pp.1498-1500,doi: 10.1021/ja211524d. Epub 2012 Jan 9
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q 1/00− 3/00
C07K 1/00−19/00
C12N 15/00−15/90
C12M 1/00− 3/10
C07H 21/04
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シーケンシング反応のためのタグ付けされたヌクレオシドの使用であって、タグが、ピクテ・スペングラー反応を介してヌクレオシドリン酸に連結されており、末端N−(2−アミノエチル)ピロール部分を含むタグが、リンカーを介してヌクレオシドリン酸の5’末端に接続されたアルデヒド部分に連結されている、使用。
【請求項2】
ヌクレオシドリン酸が、ヌクレオシドヘキサリン酸である、請求項に記載の使用。
【請求項3】
タグヌクレオシドが、式
【化1】
を有する、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
シーケンシング反応が、合成反応によるシーケンシングである、請求項1からのいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
シーケンシング反応が、単一分子シーケンシング反応である、請求項1からのいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
シーケンシング反応が、ナノポアシーケンシング反応である、請求項に記載の使用。
【請求項7】
タグが、ナノポアをブロックし、タグのアイデンティティが、変更された抵抗、電流、電圧、または静電容量によって識別される、請求項に記載の使用。
【請求項8】
タグが、蛍光タグである、請求項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ナノポアベースの配列決定におけるシーケンシング反応における改善されたタグ付けされたヌクレオシドの使用に関する。ヌクレオシドは、ピクテ・スペングラー化学反応によってタグ付けされている。
【背景技術】
【0002】
タンパク質の部位特異的修飾は、特に診断または治療用途に使用される抗体の場合、難しい問題である。経済的かつ産業規模で適用可能な部位特異的ポリペプチド修飾の信頼できる方法は非常に重要である。
【0003】
タンパク質の機能化の初期の方法は、タンパク質をマレイミドやN−ヒドロキシスクシンイミジルエステルなどの過剰なチオールまたはアミン反応性試薬とそれぞれ反応させることにより、システインまたはリジン残基の反応性を利用するものであった。これらのアミノ酸は豊富で、広く分布しており、適切なカップリング化学反応が利用できるため、簡単に変更できる。
【0004】
しかしながら、「リジン標識」戦略は、例えば抗体またはその抗原結合断片を標識するために使用される場合に、いくつかの欠点:a)多くの場合、抗原結合活性(抗原結合部位内またはその近くのリジン)の大幅な低下をもたらすこと;b)同じ1:1の化学量論であっても単一標識コンジュゲートは、ポリペプチド内のリジンのうちの異なるものを介して付加された標識を含む混合物からなること;およびc)所望の1:1生成物の収率がかなり低いこと、がある。
【0005】
部位特異的タンパク質標識のための最も重要な最近のアプローチの1つは、酵素反応を介して特定の部位のタンパク質に生体直交性機能を組み込むことである。「タンパク質の酵素標識」に関する最近のレビューについては、M.Rashidianら、Bioconjugate Chemistry 24(2013年)、1277〜1294頁を参照されたい。このレビューで対象とする部位特異的コンジュゲーションに使用される酵素には、ホルミルグリシン生成酵素、シアリルトランスフェラーゼ、ホスホパンテテイニルトランスフェラーゼ、O−GlcNAc翻訳後修飾、ソルタギング、トランスグルタミナーゼ、ファルネシルトランスフェラーゼ、ビオチンリガーゼ、リポ酸リガーゼ、およびN−ミリストイルトランスフェラーゼが含まれる。
【0006】
アルデヒドおよびケトンを部位特異的にタンパク質に導入するために、様々な化学的、酵素的、遺伝的方法が開発されてきた。これらには、N末端セリンまたはトレオニン残基の過ヨウ素酸塩酸化が含まれる(Geoghegan,K.F.&Stroh,J.G.,Bioconjugate Chem.(1992年)、3(2):138〜146頁;pyridoxal phosphate−mediated N−terminal transamination to yield an alpha−ketoamide or glyoxamide(Gilmore,J.M.ら、Angew.Chem.Int.Ed.(2006年)45(32):5307〜5311頁;Scheck,R.A.ら、J.Am.Chem.Soc.(2008年)、130(35):11762〜11770頁;Witus,L.S.ら、J.Am.Chem.Soc.(2010年)、132(47):16812〜16817頁;addition of ketone−containing small molecules to protein C−terminal thioesters generated by expressed protein ligation(Esser−Kahn,A.P.&Francis,M.B.Angew.Chem.Int.Ed.(2008年)、47(20):3751〜3754頁);genetically encoded incorporation of unnatural amino acids containing ketones via amber stop codon suppression(Wang,L.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.,USA(2003年)、100(1):56〜61頁;Hutchins,B.M.ら、Chem.Biol.(2011年)、18(3):299〜303頁;Kim,C.H.ら、J.Am.Chem.Soc.(2012年)、134(24):9918〜9921頁);genetic encoding of peptide tags that direct enzymatic ligation of aldehyde− or ketone−bearing small molecules(Rashidian,M.ら、J Am.Chem.Soc.(2012年)、134(20):8455〜8467頁;Chen,I.ら、Nat.Methods(2005年)2(2):99〜104頁);および genetic encoding of a site for modification by the formylglycine generating enzyme(FGE),the 「aldehyde tag」method developed by Carrico and Bertozzi(Carrico,I.S.ら、Nat.Chem.Biol.3(6):321〜322頁;Wu,P.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.米国(2009年)、106:3000〜3005頁;Hudak,J.E.ら、J Am.Chem.Soc.(2011年)、133(40):16127〜16135頁;Hudak,J.E.ら(2012年)、Chem.Int.Ed.(2012年)、51(17):4161〜4165頁;Rabuka,D.ら、Nat.Protoc.(2012年)、7(6):1052〜1067頁)。
【0007】
反応性カルボニル基をタンパク質に導入する方法の多様性は、化学修飾に広く採用されている限られた数の反応とは対照的である。レポートの大部分は、上記のヒドラゾンおよびオキシム形成反応を使用しており、これは、それらの生体直交性、操作の単純さ(つまり、補助試薬が不要)、および穏やかな水性条件下で良好な収率に起因している。残念ながら、結果として生じるC=N結合は加水分解を受けやすく(Mueller,B.M.ら、Bioconjugate Chem.(1990年)、1(5):325〜330頁)、不安定になる。しかしながら、多くの日常的な用途には長期的な安定性が必要である。
【0008】
T.Sasakiら、Bioorg.Med.Chem.Lett.(2008年)、18:4550〜4553頁)により、ベータ位で置換されたインドール化合物が説明されている。国際公開第2009/150865号では、ピクテ・スペングラー反応を使用して修飾タンパク質を生成する方法が開示されている。ベータ−C位で置換された複素環式インドール誘導体が記載されており、実施例では、ベータ−C位で置換されたインドール誘導体のみが使用され示されている。Bertozziのグループは、ピクテ・スペングラー型の反応において、反応性を高めるためのインドールアミノオキシまたはヒドラジン官能性を説明している(P.Agarwalら、PNAS(2013年)、110(1)、46〜51頁;P.Agarwalら、Bioconjugate Chem.(2013年)、24(6)、846〜851頁;国際公開第2014/078733号)。
【発明の概要】
【0009】
驚くべきことに、ピロール環の窒素を介してアミノエチルが付加され、所望の対象部分をさらに含むN−(2−アミノエチル)ピロールをベースとする化合物が、例えば反応速度論および収率に関して、大きな利点を伴って、ピクテ・スペングラー型反応で使用できることが今や見出された。さらに、この方法で得られたコンジュゲート(化合物)と特定のN−(2−アミノエチル)ピロール物質が開示される。
【0010】
本発明は、アルデヒドを含む標的分子に、N−(2−アミノエチル)ピロールから誘導された化合物を結合させる方法であって、この化合物は対象部分も含む、方法を開示する。より詳細には、式IIの化合物を生成する方法であって、式Iの化合物を、以下に示すように、アルデヒド基を含む標的Tと反応させ、
【0011】
【化1】
【0012】
それにより式II
【0013】
【化2】
【0014】
[式中、R1、R2およびR3は、独立して、H、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
R4、R5、R6、R7およびR8は、独立して、H、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換ヘテロアリール、または−LMであり、R4、R5、R6、R7およびR8のうちの2つが連結して、置換もしくは非置換シクロアルキルまたは置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルを形成してもよく、
Lは存在しないかまたはリンカーであり、Mは対象部分であり、Tは標的分子であり、ただし、R4、R5、R6、R7またはR8のうちの少なくとも1つが−LMである。]
の化合物(=コンジュゲート)を得るステップを含む、方法に関する。
【0015】
さらに開示されるのは、本明細書に開示される方法によって得られるコンジュゲートであって、標的分子Tと対象部分Mの両方を含むコンジュゲート、例えば式II
【0016】
【化3】
【0017】
[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびTは上記で定義した通りである。]
の化合物である。
【0018】
さらに開示されるのは、式III
【0019】
【化4】
【0020】
[式中、R1、R2およびR3は、独立して、H、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
R4、R5、R6およびR7は、独立して、H、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換ヘテロアリール、または−LMであり、
R8は、H、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
R4、R5、R6、R7およびR8のうちの2つ連結して、置換もしくは非置換シクロアルキルまたは置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルを形成してもよく、
Mは、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ペプチド、標識、細胞毒性剤、結合対のパートナーおよびマレイミドからなる群から選択される対象部分であり、
リンカーLは、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、またはオリゴペプチドから選択され、かつ、アミド結合、エステル結合、アルケンまたはトリアゾールを含んでもよく、
ただし、R4、R5、R6またはR7のうちの少なくとも1つは−LMである。]
の物質である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、アルデヒドを含む標的分子に、N−(2−アミノエチル)ピロールから誘導された化合物を結合させる一般的な方法であって、この化合物は対象部分も含む、方法を開示する。
【0022】
一実施形態では、本開示は、式IIの化合物を生成する方法であって、式Iの化合物を、以下に示すように、アルデヒド基を含む標的Tと反応させ、
【0023】
【化5】
【0024】
それにより式II
【0025】
【化6】
【0026】
[式中、R1、R2およびR3は、独立して、H、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
R4、R5、R6、R7およびR8は、独立して、H、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換ヘテロアリール、または−LMであり、R4、R5、R6、R7およびR8のうちの2つが連結して、置換もしくは非置換シクロアルキルまたは置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルを形成してもよく、
Lは存在しないかまたはリンカーであり、Mは対象部分であり、Tは標的分子であり、ただし、R4、R5、R6、R7またはR8のうちの少なくとも1つが−LMである。]
の化合物を得ることを含む、方法に関する。
【0027】
「含む」という語、および「含む」や「含んでいる」などのバリエーションは、指定された整数あるいはステップまたは整数あるいはステップのグループを含むことを意味するが、いずれの他の整数もしくはステップ、または整数もしくはステップのグループも除外するものではない。
【0028】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、内容が明らかにそうでないことを示さない限り、複数の指示対象を含む。
【0029】
添付の特許請求の範囲を含む本明細書で使用される場合、置換基は、当業者に一般的に知られている意味を有する。
「アルキル」という用語は、それ自体または別の置換基の一部として、特に明記しない限り、指定の炭素原子数を有する直鎖または分岐鎖、または環状炭化水素基、またはそれらの組み合わせを意味する(すなわち、C1〜C20は炭素数1〜20であることを意味する)。飽和炭化水素基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、シクロヘキシル、(シクロヘキシル)メチル、シクロプロピルメチル、同族体および、例えば、n−ペンチル、n−ヘキシルなどの異性体などの基が含まれるがこれらに限定されない。特定の実施形態では、アルキルは、1〜20個の炭素原子の長さ、1〜10個の炭素原子の長さ、または1〜6個の炭素原子の長さの直鎖または分岐アルキル鎖である。一実施形態では、アルキルはメチルまたはエチルである。
【0030】
「アリール」および「ヘテロアリール」という用語は、それ自体または別の置換基の一部として、特に明記しない限り、追加の芳香族環系(好ましくは、1〜4個の環)と縮合し得る芳香族環系(すなわち、5または6員環)を意味する。「ヘテロアリール」環系は、O、S、およびNから選択される1〜4個のヘテロ原子を含む。「アリール」の例には、フェニルおよびナフチルなどの基が含まれるが、これらに限定されない。「ヘテロアリール」の例には、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、トリアゾールおよびインドールから誘導される基が含まれるが、これらに限定されない。
【0031】
当業者が理解するように、アルキルまたはアリールのような化学的実体(2つの非限定的な例に言及するだけであるが)は「置換」、すなわち1つまたは複数の水素を置き換える/置換することができる。一実施形態では、水素は、ハロアルキル(例えば、−CF3および−CH2CF3)およびアシル(例えば、−C(O)CH3、−C(O)CF3、−C(O)CH2OCH3)、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアリール、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、−OR’、=O、−NR’R”、−SR’、−ハロゲン、−C(O)OR’、−C(O)NR’R”、−OC(O)NR’R”、−NR”C(O)R’、−NR’−C(O)NR”R”’、−NR”C(O)OR’、−S(O)R’、−S(O)2R’、−S(O)2NR’R”、−NRS(O)2R’、−CN、ハロゲンおよび−NO2、−N3、−CH(Ph)2、フルオロ(C1〜C4)アルコキシ、およびフルオロ(C1〜C4)アルキルから選択される基で置換され、ここで、R’、R”およびR”’は、好ましくは、水素および置換または非置換アルキルから独立して選択される。好ましい置換基は、メチルまたはエチルのようなアルキル、フェニルまたはベンジルのようなアリール、メトキシまたはエトキシ、ジメチルアミノのようなアミン、カルボン酸のようなカルボン酸誘導体、エステルまたはアミド、およびニトロ、シアノ、アジドおよびハロゲンである。
【0032】
「ヘテロアルキル」という用語は、それ自体または別の用語と組み合わせて、上記の「アルキル」の下に記載された炭素原子の数およびO、N、PおよびSからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子からなる、安定な直鎖または分岐鎖、または環状炭化水素基、またはその組み合わせを意味する。ヘテロ原子は、ヘテロアルキル基の任意の内部位置または末端位置、すなわち、ヘテロアルキル基が分子の残りに結合する位置の反対側に配置されてもよい。ヘテロ原子は、N−(2−アミノエチル)ピロールコア構造のピロール環と(ヘテロ)アルキルまたは(ヘテロ)アリール置換基の間に配置することもできる。好ましくは、内部位置で鎖または環のメンバーである各ヘテロ原子には、炭素原子が隣接している。内部位置のヘテロ原子は、非置換であってもよく、例えば、水素原子を有していても、アルキルおよびOからなる群から選択される少なくとも1つの置換基を有していてもよい。ヘテロアルキルの例には、−CH2−CH2−O−CH3、−CH2−CH2−NH−CH3、−CH2−CH2−N(CH3)−CH3、−CH2−S−CH2−CH3、−CH2−CH2−S(O)−CH3、−CH2−CH2−S(O)−CH3、−O−CH3、−O−CH2−CH3、−NH−CH3、−NH−CH2−CH3、−N(CH3)2、−N(CH2−CH3)2およびポリ(アルキレンオキシド)、特にポリエチレングリコール(PEG)誘導体が含まれるが、これらに限定されない。
【0033】
「アルケニル」という用語は、少なくとも1つの二重結合の存在を除いて、そうでなければ上記のアルキルの下で定義される化学基を表す。
「ヘテロアルケニル」という用語は、少なくとも1つの二重結合の存在を除いて、そうでなければ上記のヘテロアルキルの下で定義される化学基を表す。
【0034】
一実施形態では、R1、R2およびR3は、独立して、Hまたはメチルである。
一実施形態では、R1、R2およびR3はすべてHである。
当業者が理解するように、「リンカー」は、任意の所望の距離で2つの部分間の連結を提供する任意の適切な構造である。したがって、2つの部分は、互いに直接結合するのではなく、そのような連結構造またはリンカーを介して結合する。
【0035】
一実施形態では、式IまたはIIそれぞれに含まれるリンカーLは、その骨格長によって定義されてもよく、一実施形態では、原子数1〜100個の骨格長を有する。一実施形態では、Lは、原子数1〜50個の骨格長を有する。一実施形態では、Lは、直鎖または分岐の飽和、不飽和、非置換、または置換C1〜C50アルキル鎖、または炭素原子およびO、NおよびSから選択される1つまたは複数のヘテロ原子からなる骨格を有する1〜50原子鎖であるか、または炭素原子およびO、NおよびSから選択される1つまたは複数のヘテロ原子からなる骨格を有し、少なくとも1つのアリール、ヘテロアリール、置換アリールまたは置換ヘテロアリール基を含む1〜50原子鎖(例えば、フェニレン環は、4つの原子の長さを占める)である。一実施形態では、本発明による化合物中のリンカーLは、飽和C1〜C20アルキル鎖、または炭素原子およびO、NおよびSから選択される1つまたは複数のヘテロ原子からなる骨格を有する1〜20原子鎖、または炭素原子およびO、NおよびSから選択される1つまたは複数のヘテロ原子からなる骨格を有し、少なくとも1つのアリール、ヘテロアリール、置換アリールまたは置換ヘテロアリール基を含む1〜20原子鎖(例えば、フェニレン環は、4つの原子の長さを占める)である。
【0036】
一実施形態では、式Iまたは式IIの化合物それぞれに含まれるリンカーLは、存在しないか、あるいは置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、またはオリゴペプチドから選択され、かつ、アミド結合、エステル結合、アルケンもしくはトリアゾールを含んでもよく、またはそれからなってもよい。一実施形態では、Lは、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、またはオリゴペプチドから選択され、かつ、アミド結合、エステル結合、アルケンもしくはトリアゾールを含んでもよく、またはそれからなってもよい。
【0037】
一実施形態では、式Iまたは式IIの化合物それぞれの定義に含まれるようなリンカーLは存在しない。
一実施形態では、式Iまたは式IIの化合物それぞれに含まれるリンカーLは、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキルまたはオリゴペプチドから選択され、かつ、アミド結合、エステル結合、アルケンもしくはトリアゾールを含んでもよく、またはそれからなってもよい。一実施形態では、式Iまたは式IIの化合物それぞれに含まれるLは、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、アミド結合およびオリゴペプチドから選択される。
【0038】
一実施形態では、式Iまたは式IIの化合物それぞれに含まれるLは、置換または非置換アルキルおよび置換または非置換ヘテロアルキルから選択される。
一実施形態では、Lに含まれ得るペプチドはオリゴペプチドであり、2〜20個のアミノ酸からなる。
【0039】
一実施形態では、式Iまたは式IIの化合物それぞれに含まれるLは、エステル、エーテル、チオエーテル、アミン、アミド、ジスルフィド、カーボネート、カルバメート、アルケン、トリアゾール、ジヒドロピリダジンまたはホスホジエステル結合を介して対象部分Mに結合している。
【0040】
一実施形態では、式Iまたは式IIの化合物それぞれに含まれ、本明細書に開示される方法で使用される「対象部分」(M)は、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ペプチド、すなわちオリゴペプチド、またはポリペプチド、標識、細胞毒性剤、結合対のパートナーおよび官能基からなる群から選択される。
【0041】
一実施形態では、式Iまたは式IIの化合物それぞれに含まれる対象部分Mは低分子量、すなわち、分子量が20000ダルトン未満である。さらなる実施形態では、対象部分は、100〜15000ダルトン、100〜10000ダルトン、100〜5000ダルトン、および100〜2000ダルトンの分子量を有する。
【0042】
一実施形態では、本明細書で開示される方法で使用される対象部分Mを表し得るペプチドは、1〜100個のアミノ酸からなる。
一実施形態では、リンカーLまたは対象部分Mのいずれか一方のみがそれぞれオリゴペプチドまたはペプチドである。
【0043】
一実施形態では、本明細書に開示される方法で使用される対象部分Mを表し得るオリゴヌクレオチドは、2〜100個のヌクレオチドからなる。
一実施形態では、対象部分Mはヌクレオチドを含む。
【0044】
式Iまたは式IIの化合物それぞれに含まれる対象部分Mの1つは標識である。リンカー(L)に共有結合できるいずれの標識も使用できる。標識は次の機能を果たす:(i)検出可能な信号を提供する;(ii)第2の標識と相互作用して、第1の標識または第2の標識によって提供される検出可能な信号を変更し、例えば、FRET(蛍光共鳴エネルギー移動)を与える:(iii)移動度、例えば、電荷、疎水性、形状、または他の物理的パラメーターによる電気泳動移動度または細胞透過性に影響を与える:または(iv)捕捉部分を与え、例えば、イオン錯化を調整する。
【0045】
多数の標識(染料とも呼ばれる)を使用でき、これらの標識は通常、次のカテゴリに分類できる。
(a)蛍光染料
蛍光染料は、例えば、Briggsらによる「Synthesis of Functionalized Fluorescent Dyes and Their Coupling to Amines and Amino Acids」、J.Chem.Soc.、Perkin−Trans.1(1997年)、1051〜1058頁)で説明されている。
【0046】
蛍光標識または蛍光団には、希土類キレート(ユーロピウムキレート)、FITCを含むフルオレセイン型の標識、5−カルボキシフルオレセイン、6−カルボキシフルオレセイン、TAMRAを含むローダミン型標識、リサミン、Texas Red、ダンシル、シアニン、フィコエリスリンおよびその類似体が含まれる。蛍光標識は、本明細書に開示される技術を使用して、標的分子に含まれるアルデヒド基に結合され得る。蛍光色素および蛍光標識試薬は、例えば、Invitrogen/Molecular Probes(米国オレゴン州ユージーン)、ThermoFisher Scientific(米国マサチューセッツ州ウォルサム)およびPierce Biotechnology,Inc.(Rockford,Ill.)から市販されているものが含まれる。
(b発光染料)
発光染料または標識は、化学発光染料と電気化学発光染料とにさらに分類できる。
【0047】
異なるクラスの化学発光標識には、ルミノール、アクリジニウム化合物、セレンテラジンおよび類似体、ジオキセタン、ペルオキシシュウ酸をベースとする系およびそれらの誘導体が含まれる。免疫診断手順では、主にアクリジニウムベースの標識が使用される(詳細な概要は、Dodeigne C.ら、Talanta 51(2000年)、415〜439頁)に与えられている)。
【0048】
電気化学発光標識として使用される主要な関連性の標識は、ルテニウムおよびイリジウムのそれぞれをベースとする電気化学発光錯体である。電気化学発光体(ECL)は、高感度で選択的な方法として分析用途において非常に有用であることが証明されている。これは、化学発光分析の分析上の利点(バックグラウンドの光信号がない)と、電極電位を適用することによる反応制御の容易さとを兼ね備えている。一般にルテニウム錯体、特に液相または液固界面でTPA(トリプロピルアミン)で再生する[Ru(Bpy)3]2+(〜620nmで光子を放出する)はECL標識として使用される。近年では、イリジウムベースのECL標識も記載されている(国際公開第2012107419(A1)号)。
(c)3H、11C、14C、18F、32P、35S、64Cu、68Gn、86Y、89Zr、99TC、111In、123I、124I、125I、131I、133Xe、177Lu、211Atまたは131Biなどの放射性同位体(放射性核種)を使用する放射性標識
(d)画像化および治療目的の標識として適切な金属キレート錯体は、当技術分野で周知である(米国特許出願公開第2010/0111856号、米国特許第5,342,606号、米国特許第5,428,155号、米国特許第5,316,757号、米国特許第5,480,990号、米国特許第5,462,725号、米国特許第5,428,139号、米国特許第5,385,893号、米国特許第5,739,294号、米国特許第5,750,660号、米国特許第5,834,456、Hnatowichら、J.Immunol.Methods 65(1983年)、147〜157頁、Mearesら、Anal.Biochem.142(1984年)、68〜78頁、Mirzadehら、Bioconjugate Chem.1(1990年)、59〜65頁、Mearesら、J.Cancer(1990年)、Suppl.10:21〜26頁、Izardら、Bioconjugate Chem.3(1992年)、346〜350頁、Nikulaら、Nucl.Med.Biol.22(1995年)、387〜90頁、Cameraら、Nucl.Med.Biol.20(1993年)、955〜62頁、Kukisら、J.Nucl.Med.39(1998年)、2105〜2110頁、Verelら、J.Nucl.Med.44(2003年)、1663〜1670頁、Cameraら、J.Nucl.Med.21(1994年)、640〜646頁、Rueggら、Cancer Res.50(1990年)、4221〜4226頁、Verelら、J.Nucl.Med.44(2003年)、1663〜1670頁、Leeら、Cancer Res.61(2001年)、4474〜4482頁、Mitchelら、J.Nucl.Med.44(2003年)、1105〜1112頁、Kobayashiら、Bioconjugate Chem.10(1999年)、103〜111頁、Miedererら、J.Nucl.Med.45(2004年)、129〜137頁、DeNardoら、Clinical Cancer Research 4(1998年)、2483〜90頁、Blendら、Cancer Biotherapy&Radiopharmaceuticals 18(2003年)、355〜363頁、Nikulaら、J.Nucl.Med.40(1999年)、166〜76頁、Kobayashiら、J.Nucl.Med.39(1998年)、829〜36頁、Mardirossianら、Nucl.Med.Biol.20(1993年)、65〜74頁、Roselliら、Cancer Biotherapy&Radiopharmaceuticals,14(1999年)、209〜20頁)。
【0049】
式Iまたは式IIの化合物それぞれに含まれる対象部分Mの1つは、細胞毒性剤である。一実施形態では、対象部分は、以下から選択される細胞毒性剤である:(i)微小管阻害剤、有糸分裂阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、またはDNA挿入剤として機能し得る化学療法剤、(ii)酵素的に機能し得るタンパク質毒素、および(iii)治療用放射性同位体。一実施形態では、対象部分は化学療法剤である。
【0050】
例示的な化学療法剤には、マイタンシノイド、オーリスタチン、ドラスタチン、トリコテセン、CC1065、カリケアマイシンおよび他のエンジイン抗生物質、タキサン、アントラサイクリン、およびその立体異性体、アイソスター、類似体または誘導体が含まれるが、これらに限定されない。
【0051】
タンパク質毒素には、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、外毒素A鎖(緑膿菌由来)、リシンA鎖(Vitettaら(1987年)、Science,238:1098)、アブリンA鎖、モデシンA鎖、アルファサルシン、シナあぶらぎり(支那油桐、大油桐)(Aleurites fordii)タンパク質、ダイアンチンタンパク質、ヨウシュヤマゴボウ(Phytolaca americana)タンパク質(PAPI、PAPII、およびPAP−5)、ツルレイシ(momordica charantia)阻害剤、クルシン、クロチン、サボンソウ(sapaonaria officinalis)阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン、およびトリコテセン(国際公開第93/21232号)が含まれる。
【0052】
治療用放射性同位体には、32P、33P、90Y、125I、131I、131In、153Sm、186Re、188Re、211At、212B、212Pb、およびLuの放射性同位体が含まれる。
【0053】
放射性同位体は、既知の方法で組み込むことができる(Frakerら(1978年)、Biochem.Biophys.Res.Commun.80:49〜57頁、「Monoclonal Antibodies in Immunoscintigraphy」Chatal,CRC Press 1989年)。炭素−14標識1−イソチオシアナトベンジル−3−メチルジエチレントリアミン五酢酸(MX−DTPA)は、放射性核種の複合体へのコンジュゲーションのための例示的なキレート剤である(国際公開第94/11026号)。
【0054】
上記のように、式Iまたは式IIの化合物それぞれに含まれる可能性のある対象部分Mの1つは、結合対のパートナーである。
本明細書で使用される結合対は、高い親和性で、すなわち1ナノモル以上の親和性で互いに結合する2つのパートナーからなる。当業者が容易に理解するように、式Iまたは式IIの化合物それぞれに含まれるMは、2つの可能なパートナー要素のうちの1つは、例えばハプテン/抗ハプテン結合対のハプテンを表す。結合対の実施形態は、例えば、受容体およびリガンド、ハプテンおよび抗ハプテン抗体からなる結合対、および天然に存在する高親和性結合対ベースの結合対である。特定の実施形態では、結合対のパートナーはリガンドまたはハプテンであるか、または天然に存在する高親和性結合対のパートナーである。
【0055】
受容体−リガンド結合対の一例は、ステロイドホルモン受容体と対応するステロイドホルモンからなる対である。一実施形態では、リガンドはステロイドホルモンである。
一実施形態では、結合対のパートナーはハプテンであるか、または天然に存在する高親和性結合対のパートナーである。
【0056】
本発明による一実施形態を代表する天然に存在する高親和性結合対ベースの結合対の例は、アミノビオチン、イミノビオチンまたはデスチオビオチンおよびアビジンまたはストレプトアビジンなどのビオチンまたはビオチン類似体、ならびにFimGおよびDsF結合対である。ビオチン−(ストレプト)アビジン結合対は、当技術分野で周知である。FimG−DsF結合対の基本原則は、例えば、国際公開第2012/028697号に記載されている。
【0057】
本発明の結合対および実施形態のもう1つのタイプは、ハプテンおよび抗ハプテン抗体結合対である。ハプテンは、分子量が100〜2000ダルトンの有機分子である。一実施形態では、ハプテンの分子量は100〜1000ダルトンである。通常、そのような分子量の有機分子は免疫原性ではないか、比較的免疫原性が低い。ハプテンは、それを担体分子に結合することにより免疫原性にすることができ、抗ハプテン抗体は標準的な手順に従って生成することができる。一実施形態では、ハプテンは、ステロール、胆汁酸、性ホルモン、コルチコイド、カルデノリド、カルデノリド−グリコシド、ブファジエノリド、ステロイド−サポゲニンおよびステロイドアルカロイド、カルデノリドおよびカルデノリド−グリコシドを含む群から選択することができる。これらの物質クラスの代表は、ジゴキシゲニン、ジギトキシゲニン、ジトキシゲニン、ストロファンチジン、ジゴキシン、ジギトキシン、ジトキシン、ストロファンチンである。さらなる適切なハプテンは、例えばフルオレセインである。
【0058】
当業者には明らかなように、いくつかの物質、例えばビオチンまたはその類似体は、両方とも天然に存在する結合対またはハプテンのパートナーであり、すなわち、それらはそれに結合する抗体を生成するために使用できる。
【0059】
一実施形態では、式Iまたは式IIの化合物それぞれに含まれる対象部分Mは、カルボン酸、カルボン酸エステル、エポキシド、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、アミノ基、ハロゲン、ヒドラジン、ヒドロキシル、スルフヒドリル、マレイミド、アルケニル、アルキニル、アジド、イソシアネート、イソチオシアネート、ホスホルアミダイト、トランス−シクロオクテン、およびテトラジンからなる群から選択される官能基である。
【0060】
一実施形態では、式Iまたは式IIの化合物それぞれに含まれる対象部分Mは、カルボン酸、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、アミノ基、ハロゲン、スルフヒドリル、マレイミド、アルキニル、アジド、イソシアネート、イソチオシアネートおよびホスホルアミダイトからなる群から選択される官能基である。
【0061】
一実施形態では、式Iまたは式IIの化合物それぞれに含まれる対象部分Mは、結合対のパートナーである。
一実施形態では、式Iまたは式IIの化合物それぞれに含まれる対象部分Mは、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、蛍光または発光標識、細胞毒性剤、ビオチンまたはビオチン類似体、ジゴキシンまたはジゴキシン類似体、およびマレイミドからなる群から選択される。
【0062】
好ましいジゴキシン類似体はジゴキシゲニンである。
一実施形態では、式Iまたは式IIの化合物それぞれに含まれる対象部分Mは、ハプテン、ビオチン、またはアミノビオチン、イミノビオチンまたはデスチオビオチンなどのビオチン類似体、FimG、リガンドおよびオリゴヌクレオチドから選択される。
【0063】
一実施形態では、式Iまたは式IIの化合物それぞれに含まれる対象部分Mは、ハプテンおよびビオチン、またはアミノビオチン、イミノビオチンまたはデスチオビオチンなどのビオチン類似体から選択される。
【0064】
一実施形態では、式Iまたは式IIの化合物それぞれに含まれる対象部分Mは、ビオチンまたはアミノビオチン、イミノビオチンまたはデスチオビオチンなどのビオチン類似体である。
一実施形態では、式Iまたは式IIの化合物それぞれに含まれる対象部分Mはビオチンである。
【0065】
ビオチン類似体は、アミノビオチン、イミノビオチンまたはデスチオビオチンである。
当業者が理解するように、ヌクレオチドは、プリンまたはピリミジン塩基およびリン酸基に結合したリボースまたはデオキシリボース糖からなる化合物であり、これは、例えば、核酸の基本構造単位(RNAおよびDNAなど)である。ヌクレオチドは、糖、塩基、またはリン酸部分で修飾されてもよく、例えば、ピリミジン塩基のC5位で修飾されてもよい。好ましい例は、2’−デオキシアデノシン、2’−デオキシグアノシン、2’−デオキシシチジンおよび2’−デオキシチミジンの5’−リン酸またはポリリン酸である。他のヌクレオチド類似体または誘導体は、オリゴヌクレオチド(核酸)に関する詳細な説明で以下にさらに説明されている。
【0066】
オリゴヌクレオチドは、リン酸エステル結合を介して接続された複数のヌクレオチドで構成され、オリゴヌクレオチドに組み込むことができる限り、例えば、グリコール、1,3−プロパンジオール、Glen ResearchまたはChemgenesのdSpacer(登録商標)のようなスペーサー分子としての非ヌクレオチドビルディングブロック、またはさらには、置換ベンゼンのような芳香族ビルディングブロックも含み得る。そのようなオリゴヌクレオチドに含まれるヌクレオチドのいくつかは、標識部分(例えば、ビオチン、フルオレセイン)などの他の官能基で置換されていてもよい。
【0067】
一実施形態では、対象部分Mを表すオリゴヌクレオチドは、ヌクレオチドおよび非ヌクレオチドビルディングブロックから選択される2〜50個のサブユニットからなる。
一実施形態では、式Iまたは式IIの化合物それぞれに含まれ、本明細書に開示される方法で使用される対象部分Mは、20000ダルトン未満の分子量を有し、官能基、結合対のパートナー、細胞毒性剤、または標識である。
【0068】
一実施形態では、式Iまたは式IIの化合物それぞれに含まれる対象部分Mは、100〜20000ダルトンの分子量を有し、結合対のパートナーおよび標識からなる群から選択される。
【0069】
上記のように、本明細書に開示される方法は、アルデヒド基を含む任意の種類の標的分子Tを式Iの化合物に結合するのに非常に有用である。
一実施形態では、標的分子Tは、固相、ポリペプチド、タンパク質、炭水化物、ヌクレオチドおよび核酸からなる群から選択される。
【0070】
「固相」、「固体支持体」または「固体表面」は通常、ガラスまたはポリマーであり、最も一般的に使用されるポリマーはセルロース、ポリアクリルアミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、またはポリプロピレンである。当業者が理解するように、固相は、その性質によりアルデヒド官能基を含むか、化学的に修飾してアルデヒド基を導入することができる。さらに明らかなように、固相は、本発明の目的のためにアルデヒド基を含むポリペプチド、タンパク質、炭水化物、ヌクレオチド、および核酸のいずれかでコーティングすることができる。固体支持体は、チューブ、ビーズ、またはマイクロプレートのディスクの形であってもよい。一実施形態では、固相は、ガラスまたは上述のポリマーのいずれかをベースとする常磁性ビーズである。
【0071】
一実施形態では、標的分子Tは、ポリペプチド、タンパク質、炭水化物、ヌクレオチド、および核酸からなる群から選択される。
「炭水化物」とは、炭素(C)、水素(H)、および酸素(O)原子で構成され、通常は水素と酸素の原子比が2:1(水など)、つまり、経験式Cm(H2O)n(ここで、mは通常nと同じである)による生体分子である。いくつかの例外、(mがnとは異なる)、例えば、DNAの糖成分であるデオキシリボースは経験式C5H10O4を有する。炭水化物は、技術的には炭素の水和物であり、構造的には、それらをポリヒドロキシアルデヒドおよびケトンと見なす方がより正確である。
【0072】
炭水化物という用語は生化学で最も一般的であり、糖、デンプン、およびセルロースを含む分子のグループである「糖類」の同義語である。一実施形態では、炭水化物は、糖、デンプン、およびセルロースから選択される。
【0073】
一実施形態では、標的分子Tは、ポリペプチド、タンパク質、および核酸からなる群から選択される。
一実施形態では、標的分子Tは、タンパク質および核酸からなる群から選択される。
【0074】
一実施形態では、標的分子Tはポリペプチドまたはタンパク質である。
「ペプチド」、「オリゴペプチド」、「ポリペプチド」および「タンパク質」という用語は、当業者に知られており、本明細書で以下にさらに定義されている。
【0075】
一般に、「ペプチド」という用語は、アミノ酸のモノマーがアミド結合を介して結合している2つ以上のアミノ酸(=アミノ酸残基)を含むポリマーを指す。アミノ酸は、そのD−異性体またはL−異性体のいずれかであり得、ポリペプチドは、アミノ酸のD−異性体またはL−異性体のいずれかで構成され得る。一実施形態では、ペプチドはアミノ酸のL−異性体からなる。ペプチドという用語は、オリゴペプチドとポリペプチドの両方を含む。
【0076】
「オリゴペプチド」という用語は、少なくとも2個から最大20個のアミノ酸を含むペプチドに使用される。
「ポリペプチド」という用語は、少なくとも21個のアミノ酸を含むペプチドに使用される。天然のポリペプチドは、天然のアミノ酸で構成されている。さらに、例えばβ−アラニン、フェニルグリシン、または/およびホモアルギニンなどの非天然アミノ酸を含むポリペプチドを合成することができる。ポリペプチドは、リン酸化やグリコシル化などのいわゆる二次修飾を受ける場合がある。そのような修飾されたポリペプチドもまた、本発明によるポリペプチドである。一実施形態では、本開示による方法で使用されるポリペプチドは、21〜1000個のアミノ酸残基を有する。
【0077】
本発明の異なる態様の文脈において、「タンパク質」という用語は、二次および三次構造を再開する1つまたは複数のペプチド鎖を含む分子を指し、さらに、四次構造を形成するいくつかのペプチド鎖、すなわちいくつかのサブユニットで構成されるタンパク質を指す。タンパク質には、非ペプチド基が付加されていることがあり、これは補欠分子族または補因子と呼ばれることがある。タンパク質はまた、二次修飾、例えばリン酸化、グリコシル化などを含んでもよい。
【0078】
一実施形態では、アルデヒド基を含む標的分子Tにおいて、アルデヒド基はホルミル生成酵素(FGE)方法論により導入される。手短に言えば、ホルミルグリシン生成酵素はペンタペプチドのコンセンサス配列CxPxRを認識し、この配列のシステインをホルミルグリシンに特異的に酸化する。FGE認識配列またはアルデヒドタグは、原核生物または真核生物のいずれかの発現系で産生された異種組換えタンパク質に挿入できる(例:Rabukaら、Nature Protocols 2012年、7、1052〜1067頁を参照)。別の実施形態では、N末端グリシンは、アミノ交換反応によりアルデヒドに変換することができる(例えば、Gilmoreら、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.2006年、45、5307頁を参照)。他の実施形態では、例えば、N末端セリンまたはスレオニンをアルデヒドに酸化し、糖修飾タンパク質の糖構造を過ヨウ素酸塩で酸化してアルデヒド基を生成することができる。
【0079】
一実施形態では、標的分子Tは、結合対のポリペプチドパートナーおよび抗体から選択されるポリペプチドまたはタンパク質である。
例えば、結合対のポリペプチドパートナーは、受容体リガンド結合対の受容体、ビオチンアビジンまたはストレプトアビジン結合対のアビジンまたはストレプトアビジン、またはFimG/DsF結合対のFimGである。
【0080】
一実施形態では、本開示による方法で使用される標的分子Tは、FimG、アビジン、ストレプトアビジンおよび抗体から選択されるポリペプチドまたはタンパク質である。
一実施形態では、本開示による方法で使用される標的分子Tは、アビジン、ストレプトアビジンおよび抗体から選択されるポリペプチドまたはタンパク質である。
【0081】
本明細書における「抗体」という用語は、最も広い意味で使用され、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2つの完全な抗体から形成される多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、および所望の生物活性を示す限り抗体断片を具体的に包含する。
【0082】
「単離された」抗体は、その自然環境の成分から同定および分離および/または回収されたものである。その自然環境の汚染成分は、抗体の研究、診断または治療用途を妨げる物質であり、酵素、ホルモン、および他のタンパク質性または非タンパク質性溶質を含む場合がある。いくつかの実施形態では、抗体は、(1)例えば、ローリー法によって決定される抗体の95重量%超、およびいくつかの実施形態では、99重量%超に、(2)例えば、回転カップ・シーケネーターの使用により、N末端または内部アミノ酸配列の少なくとも15残基を得るのに十分な程度までに、または、(3)例えば、クーマシーブルーまたは銀染色を使用した還元または非還元条件下でのSDS−PAGEによる均一化するために精製される。抗体の自然環境の少なくとも1つの成分が存在しないため、単離された抗体には、組換え細胞内のインサイツの抗体が含まれる。しかしながら、通常は、少なくとも1つの精製ステップで単離抗体を調製する。
【0083】
「天然抗体」は通常、2つの同一の軽(L)鎖と2つの同一の重(H)鎖で構成される約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。各軽鎖は1つの共有ジスルフィド結合によって重鎖にリンクされているが、ジスルフィド結合の数は異なる免疫グロブリンアイソタイプの重鎖間で異なる。また、各重鎖と軽鎖には、一定の間隔を置いた鎖内ジスルフィド架橋がある。各重鎖の一端には可変ドメイン(VH)があり、その後にいくつかの定常ドメインが続く。各軽鎖には、一端に可変ドメイン(VL)があり、他端に定常ドメインがあり、軽鎖の定常ドメインは重鎖の最初の定常ドメインと整列し、軽鎖の可変ドメインは重鎖の可変ドメインと整列する。特定のアミノ酸残基は、軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインの間に界面を形成すると考えられている。
【0084】
抗体の「可変領域」または「可変ドメイン」とは、抗体の重鎖または軽鎖のアミノ末端ドメインを指す。重鎖の可変ドメインは「VH」と呼ばれる場合がある。軽鎖の可変ドメインは「VL」と呼ばれる場合がある。これらのドメインは通常、抗体の最も可変性の高い部分であり、抗原結合部位を含んでいる。
【0085】
「可変」という用語は、可変ドメインの特定の部分の配列が抗体間で大幅に異なり、その特定の抗原に対する各特定の抗体の結合および特異性に使用されるという事実を指す。しかしながら、抗体の可変ドメイン全体にばらつきは均一に分布していない。軽鎖および重鎖可変ドメインの両方で、超可変領域(HVR)と呼ばれる3つのセグメントに集中している。可変ドメインのより高度に保存された部分は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。ネイティブの重鎖および軽鎖の可変ドメインはそれぞれ、主にベータシート配置をとっている4つのFR領域を含み、そのFR領域は3つのHVRによって接続され、HVRは、ベータシート構造を接続し、場合によりベータシート構造の一部を形成するループを形成する。各鎖のHVRはFR領域によって互いに近接して保持され、他の鎖のHVRと一緒になって、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、 Fifth Edition、 National Institute of Health、 Bethesda、 MD(1991年)を参照)。定常ドメインは、抗体の抗原への結合には直接関与しないが、抗体依存性細胞毒性への抗体の関与など、様々なエフェクター機能を示す。
【0086】
任意の脊椎動物種の抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」は、定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)とラムダ(λ)と呼ばれる2つの明確に異なるタイプのいずれかに割り当てることができる。
【0087】
重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、抗体(免疫グロブリン)を異なるクラスに割り当てることができる。免疫グロブリンには、IgA、IgD、IgE、IgG、IgMの5つの主要なクラスがあり、これらのいくつかはさらにサブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2に分けられ得る。免疫グロブリンの異なるクラスのサブユニット構造および三次元配置は周知であり、例えば、Abbasら、Cellular and Mol.Immunology、第4版、W.B.Saunders、Co.(2000年)において全体的に説明されている。抗体は、抗体と1つ以上の他のタンパク質またはペプチドとの共有結合または非共有結合により形成される、より大きな融合分子の一部であり得る。
【0088】
「全長抗体」、「完全な抗体」、および「全抗体」という用語は、本明細書において互換的に使用され、以下に定義される抗体断片ではなく、実質的に完全な形態の抗体を指す。この用語は特に、Fc領域を含む重鎖を持つ抗体を指す。
【0089】
「抗体断片」は、完全な抗体の一部、好ましくはその抗原結合領域を含む。抗体断片の例には、Fab、Fab’、F(ab’)2、およびFv断片、ダイアボディ、線形抗体、単鎖抗体分子、および抗体断片から形成された多重特異性抗体が含まれる。
【0090】
抗体のパパイン消化は、それぞれが単一の抗原結合部位を持つ「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗原結合断片と、その名前が容易に結晶化する能力を反映する残留「Fc」断片を生成する。ペプシン処理により、2つの抗原結合部位を持ち、依然として抗原を架橋できるF(ab’)2断片が生成される。
【0091】
「Fv」は、完全な抗原結合部位を含む最小の抗体断片である。一実施形態では、二本鎖Fv種は、緊密な非共有結合した1つの重鎖および1つの軽鎖可変ドメインの二量体からなる。単鎖Fv(scFv)種では、1つの重鎖可変ドメインと1つの軽鎖可変ドメインを柔軟なペプチドリンカーで共有結合できるため、軽鎖および重鎖は、二本鎖Fv種の構造と類似した「二量体」構造で結合できる。この構成では、各可変ドメインの3つのHVRが相互作用して、VH−VL二量体の表面に抗原結合部位を定義する。集合的に、6つのHVRは抗体に抗原結合特異性を付与する。しかし、単一の可変ドメイン(または抗原に特異的な3つのHVRのみを含むFvの半分)でさえ、結合部位全体よりも低い親和性ではあるが、抗原を認識して結合できる能力を有する。
【0092】
Fab断片は、重鎖および軽鎖可変ドメインを含み、軽鎖の定常ドメインおよび重鎖の最初の定常ドメイン(CH1)も含む。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域からの1つ以上のシステインを含む重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端にいくつかの残基が追加されていることにより、Fab断片とは異なる。Fab’−SHは、本明細書において、定常ドメインのシステイン残基が遊離チオール基を有するFab’の指定である。F(ab’)2抗体断片は、元々、ヒンジシステインを間に持つFab’断片の対として生成された。抗体断片の他の化学的結合も知られている。
【0093】
「単鎖Fv」または「scFv」抗体断片は、抗体のVHおよびVLドメインを含み、これらのドメインは単一のポリペプチド鎖に存在する。一般的に、scFvポリペプチドは、scFvが抗原結合のための所望の構造を形成することを可能にするポリペプチドリンカーをVHドメインとVLドメインとの間にさらに含む。scFvのレビューについては、例えば、Plueckthun、In:The Pharmacology of Monoclonal Antibodies、Vol.113、Rosenburg and Moore(eds.)、Springer−Verlag、ニューヨーク(1994年)、269〜315頁を参照。
【0094】
「ダイアボディ」という用語は、同じポリペプチド鎖(VH−VL)の軽鎖可変ドメイン(VL)に接続された重鎖可変ドメイン(VH)を含む2つの抗原結合部位を持つ抗体断片を指す。同じ鎖上の2つのドメインをペアリングするには短すぎるリンカーを使用することにより、ドメインは別の鎖の相補ドメインとのペアリングを強制され、2つの抗原結合部位を作成する。ダイアボディは二価または二重特異性であり得る。ダイアボディは、例えば、欧州特許第0404097号、国際公開第1993/01161号;Hudson、 P.J.ら、Nat.Med.9(2003年)、129〜134頁;およびHolliger、P.ら、PNAS USA 90(1993年)6444〜6448頁においてより完全に記載されている。トリアボディおよびテトラボディは、Hudson、P.J.ら、Nat.Med.9(2003年)129〜134頁においても記載されている。
【0095】
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を指す、すなわち、集団を含む個々の抗体は、少量で存在する可能性のある突然変異、例えば天然に生じる突然変異を除いて同一である。したがって、修飾語「モノクローナル」は、個別の抗体の混合物ではないという抗体の特性を示す。特定の実施形態では、そのようなモノクローナル抗体は、典型的には、標的に結合するポリペプチド配列を含む抗体を含み、標的結合ポリペプチド配列は、複数のポリペプチド配列からの単一の標的結合ポリペプチド配列の選択を含むプロセスによって得られた。例えば、選択プロセスは、ハイブリドーマクローン、ファージクローン、または組換えDNAクローンのプールなど、複数のクローンからのユニークなクローンの選択であり得る。選択された標的結合配列は、例えば標的に対する親和性を改善するため、標的結合配列をヒト化するために、細胞培養での産生を改善し、in vivoでの免疫原性を低下させ、多重特異性抗体を作成するなどのためにさらに変更でき、変更された標的結合配列を含む抗体も本発明のモノクローナル抗体であることを理解すべきである。通常、異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対するものである。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体調製物は、それらが典型的に他の免疫グロブリンによって汚染されていないという点で有利である。
【0096】
上述のように、一実施形態では、本開示による方法で使用される標的分子Tは、固相、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、炭水化物、ヌクレオチド、および核酸からなる群から選択される。
【0097】
一実施形態では、本開示による方法で使用される標的分子Tは核酸である。
本明細書で使用される「オリゴヌクレオチド」または「核酸」という用語は、一般に、少なくとも2ヌクレオチドおよび最大約1000ヌクレオチドを含む短い、一般的に一本鎖のポリヌクレオチドを指す。好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも9、10、11、12、15、18、21、24、27または30ヌクレオチドの長さを有することになる。好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチドは200、150、100、90、80、70、60、50、45、40、35または30ヌクレオチド以下の長さを有することになる。一実施形態では、オリゴヌクレオチドは、天然のヌクレオシド2’−デオキシアデノシン(dA)、2’−デオキシグアノシン(dG)、2’−デオキシシチジン(dC)、2’−デオキシチミジン(dT)、アデノシン、グアノシン、シチジンおよびウリジン、および2’−デオキシウリジン(dU)を含む。別の実施形態では、核酸は二本鎖であってもよい。
【0098】
オリゴヌクレオチドまたは核酸という用語は広く理解されるべきであり、DNAおよびRNA、ならびにその類似体および修飾体を含む。核酸類似体は、例えば、標準塩基アデニン、グアニン、シトシン、チミン、ウラシルで置換基を運ぶ置換ヌクレオチドを含んでもよい。置換核酸塩基を含むそのようなヌクレオシドの例は、5メチルdC、アミノアリルdUまたはdCなどの5−置換ピリミジン、5−(アミノエチル−3−アクリルイミド)−dU、5−プロピニル−dUまたは−dC、5ハロゲン化−dUまたは−dC、N4−エチル−dCなどのN置換ピリミジン、N6−エチル−dA、N2−エチル−dGなどのN置換プリン、8−[(6−アミノ−ヘキサ−1−イル)−アミノ]−dGまたは−dAなどの8個の置換プリン、8個のハロゲン化dAまたはdG、8−アルキルdGまたはdA、および2アミノdAのような2置換dAである。
【0099】
核酸類似体は、ヌクレオチドまたはヌクレオシド類似体を含んでもよい。つまり天然に存在する核酸塩基は、5−ニトロインドールdリボシドなどの核酸塩基類似体、3ニトロピロールdリボシド、デオキシイノシン(dI)、デオキシキサントシン(dX)、7デアザ−dG、−dA、−dIまたは−dX、7−デアザ−8−アザ−dG、−dA、−dIまたは−dX、8−アザ−dA、−dG、−dIまたは−dX、dホルマイシン、擬似dU、擬似イソdC、4チオdT、6チオdG、2チオdT、イソdG、5−メチル−イソ−dC、N8リンクの8−アザ−7−デアザ−dA、5,6−ジヒドロ−5−アザ−dC、およびエテノdAまたはピロロ−dCを使用して交換できる。当業者に明らかなように、相補鎖の核酸塩基は、二重鎖形成が特異的であるような方法で選択されなければならない。例えば、5−メチル−イソ−dCが1本の鎖(例えば(a))で使用される場合、イソdGは相補鎖(例えば(a’))に存在する必要がある。
【0100】
核酸類似体において、オリゴヌクレオチド骨格は、置換糖残基、糖類似体、ヌクレオシド間リン酸部分の修飾を含むように修飾され、および/またはPNAであり得る。
オリゴヌクレオチドは、例えば、2’−メトキシ、2’−フルオロ、2’−メチルセレノ、2’−アリルオキシ、4’−メチルdNのような置換デオキシリボースを含むヌクレオチドを含有してもよい(ここで、Nは核酸塩基、例えば、A、G、C、TまたはUである)。
【0101】
糖類似体は、例えば、キシロース、(2’−O、4’−Cメチレン)−架橋リボース(LNAとして知られるオリゴマー)または(2’−O、4’−Cエチレン)−架橋リボース(ENAとして知られるオリゴマー)などの2’、4’架橋リボース、L−リボース、L−d−リボース、ヘキシトール(HNAとして知られるオリゴマー)、シクロヘキセニル(CeNAとして知られるオリゴマー)、アルトリトール(ANAとして知られるオリゴマー)、C3’およびC5’原子がシクロプロパン環に縮合したエチレン架橋によって接続されている三環式リボース類似体(トリシクロDNAとして知られるオリゴマー)、グリセロール(GNAとして知られるオリゴマー)、グルコピラノース(ホモDNAとして知られるオリゴマー)、カルバリボース(テトラヒドロフランサブユニットの代わりにシクロペンタンを使用)、ヒドロキシメチルモルホリン(モルホリノDNAとして知られるオリゴマー)である。
【0102】
修飾されたヌクレオシド間リン酸部分を含む多数の修飾もハイブリダイゼーション特性を妨げないことが知られており、そのような骨格修飾は置換ヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体と組み合わせることができる。例は、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホルアミデートおよびメチルホスホネートオリゴヌクレオチドである。
【0103】
PNA(リン酸とd−リボースを含まない骨格を有する)もDNA類似体として使用できる。上記の修飾ヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、およびオリゴヌクレオチド骨格修飾は、本発明の意味でのオリゴヌクレオチドにおいて望まれるように組み合わせることができる。
【0104】
核酸またはオリゴヌクレオチドを標的分子Tとして使用する場合、特定の実施形態では、化学的または酵素的手段によりアルデヒド修飾を組み込むことができる。化学的手段により、ホルミル修飾ホスホルアミダイト(例えば、ホルミルインドールホスホロアミダイト、Glen Research)を使用してアルデヒド基を導入することができ、NHSエステル化学も適用することができる。アルデヒド修飾ヌクレオシド三リン酸を使用して、アルデヒド基を酵素的に組み込むことができる。
【0105】
本開示による方法では、式Iの化合物に含まれる対象部分Mについて、ならびに標的部分Tについて上述した様々な実施形態を組み合わせることができる。例えば、一実施形態では、式Iの化合物に含まれる対象部分Mは、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、蛍光または発光標識、細胞毒性剤、ビオチンまたはビオチン類似体、ジゴキシンまたはジゴキシン類似体、およびマレイミドからなる群から選択され、標的分子Tはポリペプチドまたはタンパク質、例えば、抗体である。別の例では、式Iの化合物に含まれる対象部分Mはヌクレオチドであり、標的分子Tは核酸である。
【0106】
一実施形態では、式Iの化合物に含まれる対象部分Mはオリゴヌクレオチドであり、標的分子Tはヌクレオチドである。一実施形態では、式Iの化合物に含まれる対象部分Mはオリゴヌクレオチドであり、標的分子Tはオリゴヌクレオチドである。
【0107】
一実施形態では、標的分子Tは、複数、すなわち2〜50個のアルデヒド基を含む。結果として、本明細書に開示される方法を実施する場合、複数の対象部分Mが標的分子Tに連結される。
【0108】
また、本明細書に開示されているのは、標的分子Tおよび対象部分Mの両方を含む、本発明に記載および開示された方法により得られたコンジュゲートである。
一実施形態では、本開示は、式IIの化合物(またはコンジュゲート)に関する。
【0109】
【化7】
【0110】
[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびTはすべて、式Iの下で上記で定義された通りである。つまり、R4、R5、R6、R7、またはR8のうちの少なくとも1つは−LMであり、LおよびMは上記で定義されている。当業者が理解するように、式IIの化合物は、本明細書に開示される方法を実施する際に得られる生成物である。式IIの化合物では、標的分子Tは、式IIのコア構造、1,2,3,4−テトラヒドロピロロ[1,2−a]ピラジンを介して対象部分Mに結合する、または当業者が同様に呼ぶように言えば、コンジュゲートする。]
本開示による方法では、一方で標的分子Tの様々な実施形態と、他方で様々な対象部分Mとを所望に応じて組み合わせることができる。組み合わせのためのこれらのオプションは、様々な使用分野で非常に有用な多種多様なコンジュゲートをもたらす。
【0111】
一実施形態では、標的分子として抗体および蛍光標識または発光標識、または対象部分としてビオチンまたはビオチン類似体、ジゴキシンまたはジゴキシン類似体を含む式IIの化合物(コンジュゲート)が生成される。一実施形態では、このような化合物は免疫学的検出方法に使用される。
【0112】
一実施形態では、標的分子として抗体および対象部分として細胞毒性剤を含む式IIの化合物(コンジュゲート)が生成される。一実施形態では、そのような化合物は、治療目的、例えば、抗がん療法に使用される。
【0113】
一実施形態では、標的分子としてヌクレオチドおよび対象部分としてオリゴヌクレオチドを含む式IIの化合物(コンジュゲート)が生成される。一実施形態では、そのような化合物は、次世代シーケンシングアプローチ、例えば、ナノポアシーケンスに使用される。
【0114】
さらに開示されるのは、式IIIの物質である。
【0115】
【化8】
【0116】
[式中、R1、R2およびR3は、独立してH、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、R4、R5、R6、およびR7は、独立して、H、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換ヘテロアリール、または−LMであり、
R8はH、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
R4、R5、R6、R7、およびR8のうちの2つが連結して、置換もしくは非置換シクロアルキルまたは置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルを形成してもよく、
Mは、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ペプチド、標識、細胞毒性剤、結合対のパートナー、およびマレイミドからなる群から選択される対象部分であり、
リンカーLは、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、またはオリゴペプチドから選択され、かつ、アミド結合、エステル結合、アルケンまたはトリアゾールを含んでもよく、
ただし、R4、R5、R6またはR7のうちの少なくとも1つは−LMである。]
式Iの化合物と式IIIの物質それぞれの重要な違いの1つは、式IIIのR8が−LMではないという事実である。
【0117】
一実施形態では、式IIIの物質中のR1、R2およびR3は、独立して、Hまたはメチルである。
一実施形態では、式IIIの物質中のR1、R2およびR3はすべてHである。
【0118】
上記のように、式IIIの物質に含まれるリンカーLは、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、またはオリゴペプチドから選択され、かつ、アミド結合、エステル結合、アルケンまたはトリアゾールを含んでもよい。これらの制限を除いて、式IIIの物質に含まれるリンカーLは、それぞれ式Iおよび式IIの化合物に含まれるリンカーLについて上述した定義を満たす。
【0119】
一実施形態では、式IIIの物質に含まれるLは、置換または非置換アルキル、および置換または非置換ヘテロアルキルから選択され、かつ、アミド結合、エステル結合、アルケンもしくはトリアゾールを含んでもよく、またはそれからなってもよい。
【0120】
一実施形態では、式IIIの物質に含まれるLは、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、およびオリゴペプチドから選択される。
一実施形態では、式IIIの物質に含まれるLは、置換または非置換アルキルおよび置換または非置換ヘテロアルキルから選択される。
【0121】
式IIIに含まれるリンカーLは、その骨格の長さによってさらに定義されてもよく、一実施形態では、1〜100原子の骨格の長さを有する。
式IIIの物質に含まれる「対象部分」(M)は、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ペプチド、標識、細胞毒性剤、結合対のパートナーおよび官能基からなる群から選択される。これらの制限を除いて、式IIIの物質に含まれる対象部分Mは、式Iおよび式IIの化合物それぞれに含まれる対象部分Mについて上述した定義を満たす。
【0122】
式IIIの物質に含まれる対象部分Mがヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ペプチド、標識、細胞毒性剤、結合対のパートナーまたは官能基である場合、これらの部分はすべて上で定義した通りである。
【0123】
一実施形態では、式IIIの物質に含まれる対象部分は、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、蛍光または発光標識、細胞毒性剤、ビオチンまたはビオチン類似体、ジゴキシンまたはジゴキシン類似体、およびマレイミドからなる群から選択される。
【0124】
ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、蛍光標識、発光標識、細胞毒性剤、ビオチンまたはビオチン類似体、ジゴキシンまたは式IIIの物質中の対象部分Mとして含まれるジゴキシン類似体はすべて上で定義した通りである。
【0125】
一実施形態では、式IIIの物質に含まれる対象部分は、発光標識、細胞毒性剤、およびビオチンまたはビオチン類似体からなる群から選択される。
一実施形態では、式IIIの物質に含まれる対象部分は、ヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドである。
【0126】
実施例のセクションで実証されているように、式Iおよび式IIIそれぞれの両方に開示されているN位置で置換されたピロール化合物は、C置換ピロール化合物よりも高い反応性を示す。加えて、アルデヒドを含む標的分子と、ピロール環のN位置で置換されている本開示によるピロール化合物とを反応させることにより得られるコンジュゲーション生成物(式IIの物質)も、より高い安定性を示した。
【実施例】
【0127】
実施例1
(1):Boc−N−ピロロ−アラニン(2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−(1H−ピロール−1−イル)プロパン酸)の合成
【0128】
【化9】
【0129】
Chemical Science、6(4)、2219〜2223頁;2015年の手順に従って合成した。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ = 12.93 - 12.78 (m, 1H), 7.18 - 7.07 (m, 1H), 6.74 - 6.66 (m, 2H), 6.06 - 5.84 (m, 2H), 4.31 - 3.91 (m, 3H), 1.32 (s, 9H)
実施例2
(2):Fmoc−N−ピロロ−アラニン−OHの合成
【0130】
【化10】
【0131】
Boc−N−ピロロ−アラニン(1)(150mg、0.591mmol)をCH2Cl2/TFA(3mL、1:1)に溶解させ、室温で1時間撹拌した。この時間後、溶媒を減圧下で除去し、残渣を1,4−ジオキサン/H2O(5mL、1:1)に再溶解させ、溶液を0℃に冷却した。NaHCO3(150mg、1.77mmol)およびFmoc−OSu(220mg、0.650mmol)を加え、反応物を室温で一晩撹拌した。1,4−ジオキサンを減圧下で除去し、水性残渣をヘキサンで洗浄し、次いでHCl(1M水溶液)で酸性化し、EtOAcで抽出した。SiO2上のカラムクロマトグラフィーにより、所望の生成物を無色の固体として得た。
MS(ESI):実測値 377.1[M+H]+、計算値 377.1[M+H]+
実施例3
(3):Fmoc−N−ピロロ−アラニン−ペンタフルオロフェニルエステルの合成
【0132】
【化11】
【0133】
DMF(2mL)およびジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(93μL、0.534mmol)中のFmoc−N−ピロロ−アラニン(2)(100mg、0.267mmol)の溶液を0℃に冷却した。ペンタフルオロフェニル−トリフルオロアセテート(50μL、0.292mmol)を加え、反応物を室温で1時間撹拌した。飽和NaCl水溶液(15mL)を加え、EtOAc(3×30mL)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、SiO2カラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc=4:1)により精製して、所望の生成物(58mg、40%)を無色の固体として得た。
MS(ESI):実測値 543.1[M+H]+、計算値 543.13[M+H]+
実施例4
(4):5’−ピロロ−アラニン−アミノヘキサノ−ル−T10−3’の合成
【0134】
【化12】
【0135】
5’−アミノヘキサノール−T10−3’オリゴヌクレオチド(80μL、H2Oで2.15mM、172nmol、従来のオリゴヌクレオチド合成手順に従って合成)をホウ酸ナトリウム緩衝液(250μL、pH=8.5、0.1M)に加えた。その後、Fmoc−N−ピロロ−アラニン−ペンタフルオロフェニルエステル(3)(150μL、MeCNで10mM、1500nmol)を加えた。室温で2時間振とうした後、ジエチルアミン(100μL)を溶液に加え、さらに30分間振とうした。シリンジろ過および透析により、所望の生成物(120nmol、70%)を得た。
MS(ESI):実測値 1097.3[(M−3H)/3]−
実施例5
(5):4−ホルミルベンゾエートNHS−エステルの合成
【0136】
【化13】
【0137】
DMF(30mL)中の4−ホルミル安息香酸(1.00g、6.66mmol)の溶液に、EDC−HCl(1.40g、7.33mmol)およびN−ヒドロキシスクシンイミド(842mg、7.33mmol)を加えた。室温で16時間撹拌した後、混合物をEtOAc(150mL)で希釈し、飽和NaCl水溶液(3×50mL)で洗浄した。有機相をNa2SO4で乾燥させ、溶媒を除去して、無色の固体として所望の生成物(1.40g、5.66mmol、85%)を得た。
1H NMR (クロロホルム-d, 400 MHz): δ = 10.13 (s, 1H), 8.21-8.37 (m, 3H), 7.96-8.07 (m, 3H), 2.93 ppm (d, J = 8.7 Hz, 6H)
実施例6
(6):4−ホルミルベンズアミド−ウンデカノール−ヘキサホスフェート−2’−デオキシシチジンの合成
【0138】
【化14】
【0139】
アミノ−ウンデカノール−ヘキサホスフェート−2’−デオキシシチジン(Fullerら、PNAS、113、5233に従って合成)(H2O中の714μL、5.6mM、4μmol)および4−ホルミルベンゾエートNHS−エステル(5)(MeCN中の800μL、50mM、40μmol)をホウ酸ナトリウム緩衝液(500μL、pH=8.5、0.1M)に加えた。室温で3時間振とうした後、反応混合物を逆相クロマトグラフィー(H2O中の0〜35%MeCN、0.1Mトリエチルアンモニウムアセテート)により精製し、所望の生成物(1.82μmol、46%)を得た。
MS(ESI):実測値 522.2[(M−2H)/2+38]−、1045.3 2 [M−H+38]−
実施例7
4−ホルミルベンズアミド−ウンデカノ−ル−ヘキサホスフェート−2’−デオキシシチジン(6)と5’−ピロロ−アラニン−アミノヘキサノール−T10−3’(4)とのコンジュゲーション
【0140】
【化15】
【0141】
酢酸緩衝液(0.1M、pH=5.4、50μL)に、5’−ピロロ−アラニン−アミノヘキサノール−T10−3’(4)(30μL、H2O中1.2mM)および4−ホルミルベンズアミド−ウンデカノール−ヘキサホスフェート−シチジン2’デオキシシチジン(146)(10μL、H2O中3.6mM)を加え、混合物を37℃で16時間振とうし、基質から所望の環化コンジュゲートへのほぼ完全な変換を得た(87)。ヘキサホスフェート−2’デオキシシチジン(6)(10μL、H2O中3.6mM)を加え、混合物を37℃で16時間振とうし、基質から所望の環化コンジュゲートへのほぼ完全な変換を得た(7)。
MS(ESI):実測値 1439.7[(M−3H)/3]− +38
この例では、オリゴヌクレオチド/ヌクレオチドビルディングブロックのコンジュゲーションのためのピロロピクテ・スペングラー反応の実行可能性が実証されている。0.4mMのLCMSの濃度での化学量論的1:1反応では、16時間以内に基質からコンジュゲーション生成物へのほぼ定量的な変換が示される。
【0142】
実施例8
8:4−(1,3−ジオキソラン−2−イル)−N−(11−ヒドロキシウンデシル)ベンズアミドの合成
【0143】
【化16】
【0144】
4−(1,3−ジオキソラン−2−イル)安息香酸(1.05g、5.4mmol)を12mLの乾燥DMFに溶解させた。DIPEA(1mL、5.94mmol)およびHATU(2.25g、5.9mmol)を加え、室温で15分間撹拌した。黄色がかった/オレンジ色の溶液が形成された。5mL DMF中の11−アミノ−1−ウンデカノール(1.26g、6.7mmol)およびDIPEA(466μL、2.7mmol)の溶液を加えた。この溶液を室温で3時間撹拌した。水の添加後、象牙色の沈殿物が形成され、その後分離した。最終精製は、フラッシュクロマトグラフィー(EtOAc+1%NEt)によって達成された。オフホワイトの固体が得られた(1.6g、80%)。
MS(ESI):実測値362.2[M−H]、計算値362.24[M−H]
1H NMR (クロロホルム-d, 400 MHz): δ = 7.77 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.53 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 6.22 (br s, 1H), 5.84 (s, 1H), 3.98-4.16 (m, 4H), 3.62 (t, J = 6.7 Hz, 2H), 3.44 (q, J = 6.8 Hz, 2H), 2.91-3.01 (m, 2H), 2.85-2.91 (m, 2H), 1.48-1.67 (m, 4H), 1.20-1.41 ppm (m, 14H)
実施例9
9:11−(4−ホルミルベンズアミド)ウンデシルモノホスフェートの合成
【0145】
【化17】
【0146】
アルコール8(1g、2.8mmol)をAr下で40mLのTHF(乾燥)に溶解させた。この溶液にトリエチルアミン(692μL、5.0mmol)を加え、氷浴で0〜4℃に冷却した。POCl(377μL、4.1mmol)の添加後、すぐに白色の沈殿物が形成された。溶液をゆっくりと室温になるまで静置した。150分後、沈殿物が再び溶解するまで水を加えた。溶液を1M HClの添加によりpH1に酸性化し、室温で18時間撹拌した。THFを蒸発させ、粗生成物をRP18クロマトグラフィー(水:MeOH)により精製した。収率(2.55mmol、93%)を、260nmでのUV/Vis吸収により計算した。(ε=8700Lmol−1cm−1)。
MS(ESI):実測値398.2[M−H]、計算値398.17[M−H]
31P NMR (MeOD, 400 MHz): δ = 0.17 (s, 1P)
実施例10
10:11−(4−ホルミルベンズアミド)ウンデシルトリホスフェートの合成
【0147】
【化18】
【0148】
モノホスフェート9(0.78g、2mmol)をAr下で乾燥DMFに溶解させた。CDI(0.95g、5.9mmol)を加え、溶液を4時間撹拌した。過剰のCDIをMeOH(394μmol、9.8mmol)の添加によりクエンチした。30分後、ピロリン酸トリブチルアンモニウム溶液(DMF中0.5M、7.8mL、3.9mmol)を加え、溶液を18時間撹拌した。粘性の沈殿物が形成され、それは時間とともに溶解した。溶液を蒸発させ、20mLの0.1MのTEAAを加え、粗生成物をRP18−HPLC(A:0.1TEAA、B:MeCN)により精製した。生成物を含む画分をプールし、溶液を凍結乾燥した。
収量:1.1mmol(58%、UV−Vis検出)
MS(ESI):実測値558.2[M−H]、計算値558.32[M−H]
1H NMR (重水, 400 MHz): δ = 9.94 (s, 1H), 7.77-8.04 (m, 4H), 7.71 (br d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.54 (br d, J = 8.2 Hz, 1H), 3.90 (q, J = 6.8 Hz, 2H), 3.32 (t, J = 6.9 Hz, 2H), 1.49-1.60 (m, 4H), 1.22 (t, J = 7.3 Hz, 14H),
31P NMR (重水, 162 MHz): δ = -11.04 (dd, J = 20.1, 17.1 Hz, 1P), -23.59 ppm (t, J = 20.1 Hz, 1P)
実施例11
11a−d:アルデヒド−C11−ヘキサホスフェート(dN6P)の合成
【0149】
【化19】
【0150】
アルデヒド−C11−トリホスフェート10(67mg、120μmol)をAr下で乾燥DMFに溶解させた。CDI(116mg、720μmol)を加え、溶液を4時間撹拌した。過剰のCDIをMeOH(49μmol、1.2mmol)の添加によりクエンチした。30分後、トリブチルアンモニウムdNTP溶液(DMF中0.08M、4.5mL、360μmol)および塩化マグネシウム(80mg、840μmol)を加え、溶液を18時間撹拌した。溶媒を除去し、残渣を8mLのTEAA(0.1M、pH7)に溶解させた。最終精製は、RP18−HPLC(A:0.1TEAA、B:ACN)により実施した。生成物を含む画分をプールし、溶液を凍結乾燥した。
典型的な収率:dA6P:37%、dC6P:51%、dG6P:27%、dT6P:72%
31P NMR (重水, 162 MHz): δ = -11.05 (d, J = 17.1 Hz, 1P), -11.95 (d, J = 17.1 Hz, 1P), -23.53- -21.40 ppm (m, 4P)
実施例12
PyrAla−オリゴヌクレオチド−タグの合成のための一般的な手順
【0151】
【化20】
【0152】
アミノ−C6−オリゴヌクレオチドは、ホスホロアミダイト化学反応により、CPG固体支持体上でABI394 DNAシンセサイザーにおいて合成した。MeCN中のFmoc−PyrAla−PFP 3(3当量)およびDIPEA(6当量)(それぞれ50mMおよび100mM)の溶液をCPGに加え、室温で1時間振とうした。CPGをMeCNで洗浄し、続いてMeCN中の20%ジエチルアミンで10分間処理した。濃アンモニアによる固体支持体からの開裂(シンセサイザー上)とVivaspin 3000Kによる脱塩により、さらに精製することなく高純度(>90%)の所望の生成物が得られた。
【0153】
実施例13
PyrAla−オリゴヌクレオチド−タグとアルデヒド官能化ヘキサホスフェート−ヌクレオチドのピクテ・スペングラーコンジュゲーションのための一般的な手順
【0154】
【化21】
【0155】
凍結乾燥したPyrAla−オリゴヌクレオチド−タグ12に、アルデヒド−ヘキサホスフェート−ヌクレオチド(HO中10mM、1当量)および酢酸緩衝液(0.1M、pH=5.3、試薬濃度:1〜5mM)を加えた。基質からピクテ・スペングラー環化生成物への変換が完了するまで、溶液を24時間振とうした。Amicon 3kで遠心分離し、X−Bridge分取C18 HPLCカラムで精製し、所望の生成物(40〜70%)を得た。
【0156】
実施例14
ヘキシニル−オリゴヌクレオチド−タグとアジド官能化ヘキサホスフェート−ヌクレオチドのCuAACコンジュゲーションのための一般的な手順
【0157】
【化22】
【0158】
ヘキシニル−オリゴヌクレオチド−タグは、ホスホアミダイト化学反応により、CPG固体支持体上でABI394 DNAシンセサイザーにおいて合成した。ヘキシニル−オリゴヌクレオチド−タグおよびアジド−ヘキサホスフェート−ヌクレオチドの水溶液(水溶液、1.2当量)を混合した。溶液にTHPTA(H2O中0.1M、7.5当量)およびCuBr(DMSO/t−BuOH3:1中0.1M、5当量)を加え、1時間振とうした。EDTAによるAmicon 3kでの遠心分離およびX−Bridge分取C18 HPLCカラムでの精製により、所望の生成物(40〜70%)を得た。
【0159】
実施例15
ナノポアシーケンサーでのシーケンシングによるクリック対ピクテ・スペングラーコンジュゲートタグセットの機能比較:
組み立てられた電子センサーマイクロチップ上の脂質二重層に埋め込まれた変異アルファ−ヘモリジンナノポアに付着されたPol 6型ポリメラーゼを使用して、シーケンシング実験(各条件の4回の複製)を実行した。
【0160】
合成によるシーケンシング(sequencing−by−synthesis)反応では、実施例13に従ってピクテ・スペングラー化学反応(PAPS)で合成した、4つの5’タグ付けされたヌクレオシドヘキサホスフェートである、dT6P−(PAPS)−タグ−1、dG6P−(PAPS)−タグ−2、dA6P−(PAPS)−タグ−3、およびdC6P−(PAPS)−タグ−4のセットを使用した。対照実験では、クリックケミストリー(トリアゾール)リンカーを介して構築した、4つの5’タグ付けされたヌクレオシドヘキサホスフェートであるdT6P−(トリアゾール)−タグ−1、dG6P−(トリアゾール)−タグ−2、dA6P−(トリアゾール)−タグ−3、およびdC6P−(トリアゾール)−タグ−4を使用した。各ヌクレオシド残基のタグは、選択したリンカー化学反応に関係なく同一であった。
【0161】
シーケンシング反応のために、ヌクレオシドを3μMの濃度で使用した。標的配列はpUC 2.7kbであった。シーケンシング反応では、電圧を2700秒の間印加した。シーケンシングのランが完了すると、独自のソフトウェア分析パッケージを使用してシーケンシングデータが分析され、高品質の読み取り(十分な精度と信頼性の高いベースコールメトリック(base call metrics)を含む読み取り)が各条件から集められて、進行長メトリック(procession length metrics)が計算された。進行速度(procession rate)は、集められたデータからの個々のセルごとのシーケンシングの寿命で割った、進行長の平均として決定した。
【0162】
ピクテ・スペングラーコンジュゲートヌクレオシドセットの場合、約2.35塩基/秒の平均進行速度が得られたが、クリックケミストリー(トリアゾール)コンジュゲートヌクレオシドセットでは、平均進行速度は約1.7塩基/秒であった。