特許第6977077号(P6977077)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6977077
(24)【登録日】2021年11月12日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】監視制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/36 20060101AFI20211125BHJP
   H02B 1/32 20060101ALI20211125BHJP
   H02B 1/21 20060101ALI20211125BHJP
【FI】
   H02B1/36
   H02B1/32 C
   H02B1/21
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2020-16109(P2020-16109)
(22)【出願日】2020年2月3日
(62)【分割の表示】特願2016-68835(P2016-68835)の分割
【原出願日】2016年3月30日
(65)【公開番号】特開2020-99195(P2020-99195A)
(43)【公開日】2020年6月25日
【審査請求日】2020年2月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】特許業務法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】針生 淳男
(72)【発明者】
【氏名】中井 昭祐
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 真司
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 晋
(72)【発明者】
【氏名】葛西 克哉
(72)【発明者】
【氏名】細谷 憲一
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 英二
(72)【発明者】
【氏名】坪井 佑介
(72)【発明者】
【氏名】大桃 一晃
(72)【発明者】
【氏名】田川 敏夫
【審査官】 関 信之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−012167(JP,A)
【文献】 実開昭56−174902(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/36
H02B 1/32
H02B 1/21
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の収容サイズの複数の枠部と、前記複数の枠部のうち少なくとも一部の枠部の開口を開閉可能に設けられた扉とを有する機能キャビネットと、
前記機能キャビネットの前記枠部に交換可能に収容され、機能単位の回路および部品を含む機能ユニットと、
前記機能キャビネットと隣り合うように配置され、前記機能キャビネットの前記枠部に収容された前記機能ユニットを監視および制御する監視制御機能を有するコントロールキャビネットとを備え、
前記機能キャビネットは、
前記枠部の奥に縦方向に配置された電源供給用のバスバーと、
前記バスバーに直接接続またはコンタクト部材を介して接続され、前記機能ユニット毎に電源を供給するために着脱自在に設けられた接続部と
を具備し、
前記コントロールキャビネットは、
前面に設けられた情報表示用のタッチパネルと、
前記タッチパネルに入力された前記機能ユニットの解錠のための認証情報を基にユーザ認証を行った結果、前記機能ユニットへのアクセス権限を持つユーザであった場合、該当機能ユニットの前記扉を開放する制御部と
を具備する監視制御装置。
【請求項2】
前記機能ユニットは、
前記回路および部品の動作情報を収集し出力する収集部と、
前記機能ユニット内部の状態または前記機能ユニットの位置を報知するための報知部とを備え、
前記コントロールキャビネットは、
前記回路および部品を収容する機能ユニットのユニット番号と前記機能ユニットの機能を示す識別情報と前記回路および部品の動作状態を示すフラグとを対応付けて記憶する管理テーブルを具備し、
前記制御部は、前記収集部から出力された動作情報を基に、前記管理テーブルの該当回路および部品の動作状態のフラグを更新したときにフラグの変化が検出された前記回路および部品、および前記回路および部品を収容する機能ユニットを特定し、特定した前記機能ユニットの前記報知部に前記機能ユニットの位置または動作状態を報知させる
請求項1に記載の監視制御装置。
【請求項3】
前記機能ユニットは、
前記機能ユニットの内部を撮像するカメラを備え、
前記制御部は、
前記タッチパネルに入力された認証情報を基にユーザ認証を行った結果、前記機能ユニットへのアクセス権限を持つユーザであった場合、該当機能ユニットの内部を撮像した前記カメラの映像を前記タッチパネルに表示する請求項1又は2に記載の監視制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば発電所などの電力プラントにはプラント内の各機器を監視および制御するための監視制御装置が設けられている。
【0003】
従来の監視制御装置は、監視制御装置内部にそのとき必要な機能をランダムに組み込んで要求される機能を実現していた。また、各機器からの監視および制御用の配線や給電用の電力線などが集中することから、障害発生時などに作業員が現場に向かい監視制御装置の扉を開けて装置内のどこにどの配線が通っているかなどを確認し、不具合発生箇所を突き止め、処置を行うのに時間と労力を要していた。
【0004】
また、監視制御装置は1枚または2枚程度の扉を開放することで、装置内に容易にアクセスできる反面、経験の少ない作業者が不用意に部品や回路に触れるとさらに不具合を拡大させる恐れがある。
【0005】
さらに、監視制御装置に新たな機能を追加する場合、配線系を含めた全体的な変更が必要になり、ここでの作業ロスも発生する。
【0006】
このように従来は、機能の更新や作業者の保守作業を考慮した構造ではなかった。さらに、扉を開放すると、全ての機能にアクセスできる反面、作業者が触れてはならない箇所にも不用意に触れる可能性があり、扉を開ける物理的な鍵以外ではセキュリティという面で管理できていなかった。
【0007】
そこで、近年では、外形寸法を標準化した機能単位の複数のユニットを積み重ね、キャビネットで覆う組み立て構造が考案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平7−155663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の構造の場合、積み重ねた中間のユニットの位置に新たな機能の追加または入り換えを行う場合、上段にある全てのユニットを取り外す必要があり、作業性に難がある。また個々のユニットに対するセキュリティは考慮されていない。
【0010】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、機能の復旧、保守、更新および拡張を行う際に、セキュリティを確保した上で、適切な作業者が所望の機能にアクセスし速やかに作業を行うことができる監視制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
実施形態の監視制御装置は、所定の収容サイズの複数の枠部と、前記複数の枠部のうち少なくとも一部の枠部の開口を開閉可能に設けられた扉とを有する機能キャビネットと、前記機能キャビネットの前記枠部に交換可能に収容され、機能単位の回路および部品を含む機能ユニットと、前記機能キャビネットと隣り合うように配置され、前記機能キャビネットの前記枠部に収容された前記機能ユニットを監視および制御する監視制御機能を有するコントロールキャビネットとを備え、前記機能キャビネットは、前記枠部の奥に縦方向に配置された電源供給用のバスバーと、前記バスバーに直接接続またはコンタクト部材を介して接続され、前記機能ユニット毎に電源を供給するために着脱自在に設けられた接続部とを具備し、前記コントロールキャビネットは、前面に設けられた情報表示用のタッチパネルと、前記タッチパネルに入力された前記機能ユニットの解錠のための認証情報を基にユーザ認証を行った結果、前記機能ユニットへのアクセス権限を持つユーザであった場合、該当機能ユニットの前記扉を開放する制御部とを具備する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一つの実施の形態の監視制御装置の外観構成を示す図である。
図2】監視制御装置の機能キャビネットの一列部分(3段)の内部構成を示す図である。
図3】監視制御装置の制御系統の構成を示す図である。
図4】監視制御装置のユニット管理テーブルの一例を示す図である。
図5】監視制御装置の解錠履歴管理テーブルの一例を示す図である。
図6】監視制御装置の電源関連の制御系統の構成を示す図である。
図7】監視制御装置の動作を示すフローチャートである。
図8】タッチパネルに表示したキューブ内部の監視画像の一例を示す図である。
図9】故障したモジュールの説明図の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の一つの実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の一つの実施の形態の監視制御装置の構成を示す図である。
【0014】
図1に示すように、この実施の形態の監視制御装置は、縦・横にほぼ同じ寸法で仕切られ、一面、例えば前面が開口された複数の枠部としての収容部3を設けた筐体としての機能キャビネット4と、収容部3に交換可能(矢印A方向に着脱自在)に収容された機能ユニットとしてのキューブ2と、機能キャビネット4に隣り合うように配置されたコントロールキャビネット1とを備える。収容部3の開口を設ける位置は前面以外に側面または上面でもよい。
【0015】
コントロールキャビネット1は、内部にこの装置を制御するための回路および部品およびその他の用具などを収容する筐体である。図1の例は、3つ分(3段分)の収容部3の高さ(機能キャビネット4と同等の高さ)と、1つ分(1列)の収容部3の幅を有するものだがこれに限定されない。
【0016】
機能キャビネット4は、外側の外壁と、内側の骨組みにより仕切られた複数の収容部3とを含むものである。図1の例では、収容部3を横2列、縦3段で構成した例であるが、これ以外にも例えば図2のように横1列、縦3段で構成したものも含む。キューブ2は、収容部3内に収容される内容物であり、機能毎に異なる。
【0017】
収容部3は、機能キャビネット4の内部を骨組みにより仕切ることで形成した内側の枠(内側の空間)である。収容部3は、所定の収容サイズ(高さ600mm、幅600mm、奥行き600mm)に設けられており、複数の収容部3のうち少なくとも一部の収容部3にキューブ2が収容される。
【0018】
機能キャビネット4の各収容部3の前面開口には個々に開閉可能な扉6が設けられている。扉6には電子錠27(図3参照)が設けられており、コントロールキャビネット1側からの制御によって施錠および解錠が可能である。扉6は電子錠27によって解錠された場合、開放する仕組みになっている。電子錠27は全ての扉6に設ける必要は無く、少なくとも一部の扉6に設ければよい。
【0019】
扉6は他の収容部3のものと共用可能であり、表面のデザインを変えることも可能である。つまり扉6は表面の化粧板の部分が交換可能であり、化粧板としては例えばスケルトンパネル、ブラックパネル、パンチングパネルなどがあり、一部またはすべてを交換可能である。
【0020】
例えば扉6を全てブラックパネルなどにした場合、外観的に均一感が図られる。この機能キャビネット4の内部を知らない人は外観からでは各扉6の内部が判らないため、セキュリティが確保される。
【0021】
キューブ2には機能単位の回路および部品(以下「モジュール」と称す:図8の映像61参照)が設けられている。キューブ2には機能キャビネット4の奥側に向けて電源接続用のプラグ52(図6参照)が設けられている。
【0022】
各キューブ2は、発変電設備、送配電設備等を監視および制御するための機能毎の回路および部品としてのモジュールを有する。一例として、機能キャビネット4の6つある収容部3のうち、例えば上段左の収容部3のキューブ2には、ある電力設備の主回路(A系統)を制御するCPUを含むA系制御モジュールが備えられている。
【0023】
上段右の収容部3のキューブ2には、ある電力設備の副回路(B系統)を制御するCPUを含むB系制御モジュールが備えられている。
【0024】
中段左の収容部3のキューブ2には、A系統のCPUを含む回路部品に対して電源を供給するA系統電源モジュールが備えられている。中段右の収容部3のキューブ2には、B系統のCPUを含む回路部品に対して電源を供給するB系統電源モジュールが備えられている。
【0025】
下段左の収容部3のキューブ2には、A系統用の外部ケーブル端子台のモジュールが備えられている。下段右の収容部3のキューブ2には、B系統用の外部ケーブル端子台のモジュールが備えられている。
【0026】
また、外部ケーブル端子台は、発電所の廃止まで使用できる用品で構成されるか、更新時に外部ケーブルを個々に解線することなく、更新後の端子台に容易に付け替え可能な機能が備えられている。
【0027】
この機能は部品を立体的にワンタッチで取り付けおよび取り外し可能な立体フレーム構造(DINフレーム構造)であり、CPU、I/O機能を集約しユニット化したものである。このためユニット毎に着脱可能である。この構造では、基部に設けたレールフレームによりユニットをスライドさせて手前に引き出すことができる。
【0028】
このようなキューブ2の配置例は一例であり、さまざまに入れ替えが可能である。例えば電源系モジュールを上段に配置してもよい。この場合、重量あるものが高い位置に配置されることになるため、キューブ2の修理や交換の際に取り出し難くなることが想定される。そこで、高い位置のキューブ2には昇降機構を設けることも考えられる。昇降機構は例えば昇降式の吊戸棚機構とする。
【0029】
図2に示すように、機能キャビネット4の各列には、奥部に各キューブ2への給電用のブスバー71(以下「電源BUS71」と称す)とコンタクト板72が設けられている。コンタクト板72には、電源BUS71に接続された接続部としてのソケット51が設けられている。コンタクト板72は板状の部材であり、その表面にソケット51が設けられている。
【0030】
ソケット51は各キューブ2毎またはモジュール毎に電源を供給するためにキューブ2側のプラグ52(図6参照)と着脱自在に設けられている。なおコンタクト板72を介さずに電源BUS71にソケット51を直接接続してもよいが、キューブ2側のプラグ52との位置合わせのためコンタクト板72を設けておいた方がよい場合がある。
【0031】
図3に示すように、各キューブ2は、例えばCPU22、インターフェース23(以下「IF23」と称す)などによりそれぞれの機能を実現するモジュールの他、通信部21、収集部としての盤内情報コントローラ24と、盤内情報収集センサー25、キューブ2内に設置されて内部のモジュールを撮像するカメラ26、扉6に設けられた電子錠27、扉6に設けられた報知部28および電源部29を備える。
【0032】
電源部29は、電源BUS71からの電力をキューブ2内の各部に適した電圧に変換して各部に供給する。IF23は通信部21とCPU22間の通信インターフェースである。
【0033】
盤内情報収集センサー25は、キューブ2内の各回路および部品の位置に設けられており、例えば温度、湿度、振動、電圧などのセンサー類であり、回路および部品の動作状態または動作環境の情報(動作情報)を検知する。
【0034】
盤内情報コントローラ24は、盤内情報収集センサー25により検知された回路および部品の動作情報を収集し、収集した動作情報を、通信部12を通じてコントロールキャビネット1の情報管理コントローラ15へ出力する。
【0035】
盤内情報コントローラ24は、キューブ2の中にある盤内情報収集センサー25、カメラ26、電子錠27などが収集したデータをコントロールし情報管理コントローラ15とやりとりする。これに対して情報管理コントローラ15は、複数のキューブ2の盤内情報を一元管理するコントローラである。電子錠27は、情報管理コントローラ15からの制御により扉6を施錠および解錠する。
【0036】
報知部28は、キューブ2内部の状態またはキューブ2の位置を報知するためものである。報知部28は、例えば報知する内容に応じて色が変えられる表示デバイス(扉6の表の面に透過する照明装置やLEDなど)であり、キューブ2内部の状態(異常、アクセス許可など)を、表示色を変えるなどしてそれぞれ異なる形態で外部へ報知するためのものである。
【0037】
一方、コントロールキャビネット1は、各キューブ2の状態監視用の筐体であり、高さ1800、幅600、奥行き600の直方体形状のものであり、機能キャビネット4と同じ高さと奥行とされており、機能キャビネット4と隣接させると一体的な外観形状(高さと幅が同じ寸法)となる。
【0038】
コントロールキャビネット1は、収容部3に収容したキューブ2を監視および制御する監視制御機能を備えるものであり、キャビネット表面にグラフィック・ユーザ・インターフェース(GUI)の画面としてのタッチパネル11が設けられている。この他、コントロールキャビネット1の内部には、通信部12、記憶部13、データ保存部14、情報管理コントローラ15が設けられている。
【0039】
コントロールキャビネット1は、3個分のキューブ2の高さがあるため、内部下段に点検工具の他、ヘルメットなどの避難グッズを収容したツールボックスが収容されている。ツールボックスのサイズもキューブ2と同様のサイズである。
【0040】
また、コントロールキャビネット1内には照明装置が備え付けられている。照明装置は、非常時に外部へ持ち出し可能なバッテリー駆動のものである。
【0041】
通信部12は、各キューブ2と通信線を介して接続されており、互いの間で通信する。データ保存部14には、通信部12を通じて各キューブ2とやり取りされるデータが記憶される。データ保存部14は、情報管理コントローラ15が処理を行う際の作業領域として利用される。
【0042】
記憶部13は、情報を読み出しおよび書き込み可能なランダムアクセスメモリであり、以下に示すテーブルやモジュールの画像、位置、説明図などの情報を記憶している。
【0043】
すなわち記憶部13には、各キューブ2(機能ユニット)を管理するためのキューブ管理テーブル13aと、扉6の解錠履歴を管理するための解錠履歴管理テーブル13bが記憶されている。なお、記憶部13はデータ保存部14と共用することも可能である。
【0044】
また、記憶部13は、各キューブ2(機能ユニット)内の回路および部品などのモジュールを識別する情報であるモジュールIDと、キューブ2内に設置されたカメラ26の画像61(図8参照)におけるモジュールの位置とを対応付けて記憶している。なお、画像61はカメラ26の画像以外にも、事前に別なカメラで撮影された画像や、用品配置のイメージ図を使用することも可能である。
【0045】
さらに、記憶部13には、モジュール(回路および部品)に関連する説明図のデータなどの関連情報が保存されている。つまり記憶部13はモジュールの識別情報(モジュールID)とカメラ26の画像におけるモジュールの位置とモジュールに関連する関連情報とを対応付けて記憶する記憶機能を有する。
【0046】
図4に示すように、キューブ管理テーブル13aは、回路および部品などのモジュールを収容するキューブ2を特定するためのキューブ番号とこのキューブ2の機能を識別する情報としての機能IDと、キューブ2にアクセス可能なユーザの認証情報と、モジュールの状態を示すフラグとを対応付けて記憶する管理テーブルである。
【0047】
すなわちこのキューブ管理テーブル13aは、各キューブ2の機能を示す識別情報である機能IDとモジュールを収容するキューブ番号(ユニット番号)とモジュール単位の動作状態を示すフラグとを対応付けて記憶する管理テーブルである。
【0048】
キューブ番号は例えば001、002、003…などである。機能IDはCPU1、CPU2、電源部1…などであり、各キューブ2の機能を示す。認証情報はユーザIDとパスワードの対(組み)で構成されている。
【0049】
キューブ番号001にアクセス可能な認証情報は例えばユーザ1、ユーザ2などである。キューブ番号003にアクセス可能な認証情報は例えばユーザ3、ユーザ4などである。例えばフラグの「1」は正常動作を示すし、フラグの「2」は故障を示し、フラグの「0」はアクセス許可を示す。
【0050】
図5に示すように、解錠履歴管理テーブル13bは、登録したレコードの番号順に、日時、認証情報のうちのユーザID、内容が対応して記憶される。内容としては、例えば「ドア1解錠」、「ドア1オープン」、「ドア1クローズ」など、どの扉6がどういった状態になったかが記憶される。
【0051】
情報管理コントローラ15は、盤内情報コントローラ24から入力された盤内情報を基に、キューブ管理テーブル13aの該当モジュールのフラグを更新する。また情報管理コントローラ15は、フラグを更新したときに、フラグの値に変化が発生したことを検出した場合、例えば異常が検出されたモジュールとこのモジュールを収容するキューブ2を特定する。キューブ2と扉6の報知部28との対応情報は予め設定されているものとする。
【0052】
そして、情報管理コントローラ15は特定したキューブ2の報知部28に対して異常を示す報知制御信号を出力し、扉6の報知部28を動作(異常の場合は赤色LEDを点灯させるなど)させることでキューブ2の内部の異常を報知させる。
【0053】
また、情報管理コントローラ15は、例えばユーザ認証によりアクセス許可したキューブ2を特定し、特定したキューブ2の報知部28に対してアクセス許可の報知制御信号を出力し、報知部28を動作させる(アクセス許可の場合は緑色のLEDを点灯させる)ことで、作業者がアクセス可能なキューブ2を視認させる。
【0054】
すなわち、情報管理コントローラ15は、電子錠27を解錠したキューブ2の扉6に設けた報知部28に、キューブ2の内部の状態として、異常またはアクセス許可をそれぞれ異なる形態で報知させる機能を有する。
【0055】
この他、情報管理コントローラ15は、タッチパネル11に入力されたキューブ2の扉6の解錠のための認証情報を基にユーザ認証を行った結果、キューブ2へのアクセス権限を持つユーザであった場合、該当キューブ2の扉6の電子錠27を解錠し扉6を開放する。
【0056】
情報管理コントローラ15は、タッチパネル11に入力された認証情報を基にユーザ認証を行った結果、キューブ2へのアクセス権限を持つユーザ(作業者)であった場合、該当キューブ2の内部を撮像したカメラ26の映像および/または、事前に別なカメラで撮影された画像や、用品配置のイメージ図をタッチパネル11に表示する。
【0057】
情報管理コントローラ15は、記憶部13を参照し、特定したモジュールに対応するカメラ26の画像中のモジュールの位置に異常部位(状態が変化した部位)を示す情報(図8に示す枠線63)を付与して表示し、タッチパネル11に表示された異常部位がタッチ操作された場合、該当モジュールに関連する説明図などの関連情報を記憶部13より読み出してタッチパネル11に表示する。
【0058】
図6に示すように、この監視制御装置の機能キャビネット4には電源回路43が設けられている。この電源回路43はコントロールキャビネット1内の情報管理コントローラ15により監視されて、バッテリー41または外部電源42(商用電源や直流電源など)から供給される電圧を、電源装置44を介して所定電圧に変換し電源回路43で突合せを行った後、電源BUS71を通じて各キューブ2に供給する。
【0059】
電源BUS71と各キューブ2との間はソケット51とプラグ52で挿脱自在に接続される。機能キャビネット4において、あるキューブ2が収容部3から引き出されて、キューブ2のプラグ52がソケット51から外れると、この着脱が盤内情報収集センサー25により検知されて、着脱情報がキューブ2から情報管理コントローラ15へ出力される。着脱情報には接続か取り外しかの他にプラグ52が外れたキューブ2内のモジュールの識別情報(モジュールID)が含まれる。
【0060】
以下、図7のフローチャート、図8および図9を参照してこの実施の形態の監視制御装置の動作を説明する。
この実施の形態の監視制御装置の場合、あるキューブ2内のモジュールに異常が発生し、盤内情報収集センサー25により検知されると、盤内情報コントローラ24は、盤内情報収集センサー25により検知されたモジュールの動作情報を収集し、収集した動作情報を、通信部12を通じてコントロールキャビネット1の情報管理コントローラ15へ出力する。
【0061】
情報管理コントローラ15は、受信された動作情報によりキューブ管理テーブル13aの該当モジュールのフラグを更新し、更新したフラグの状態から各モジュールの動作状態をチェックする。
【0062】
このチェックの結果、例えば図4のキューブ管理テーブル13aのように、モジュール#2のフラグが「2」となった場合、情報管理コントローラ15は、キューブ2のモジュール#2の異常を検知し(図7のステップS101のYes)、キューブ管理テーブル13aのキューブ番号からキューブ2を特定する(ステップS102)。
【0063】
情報管理コントローラ15は、特定したキューブ2の異常を報知するために、例えば警報装置などから警報音などを鳴らし(発報し)(ステップS103)、異常を作業者に通知する。このとき、異常をキューブ2の報知部28に表示してもよい。
【0064】
警報を聞いた作業者がコントロールキャビネット1の位置に到着し、タッチパネル11にタッチすると、情報管理コントローラ15は、異常が検知されたキューブ2内に設けられているカメラ26の映像61(図8参照)または、事前に別なカメラで撮影された画像や、用品配置のイメージ図をタッチパネル11の画面に表示する(ステップS104)。
【0065】
この際、情報管理コントローラ15は、記憶部13を参照し、特定したモジュールに対応するカメラ26の画像61または、事前に別なカメラで撮影された画像や、用品配置のイメージ図の中の故障したモジュールの位置に異常部位を示す情報を付与する。
【0066】
これにより、図8に示すように、タッチパネル11の画面には、異常が検知されたキューブ2内の映像61と共に、映像61に重ねるように、異常発生箇所のガイド表示62と、異常が検知されたモジュールの位置を示す枠線63などが表示される。ガイド表示62は、例えばモジュールの状態の説明などである。
【0067】
ここで、タッチパネル11の画面において、異常部位の枠線63がタッチ操作された場合、情報管理コントローラ15は、図9に示すように、異常部位の該当モジュールに関連する説明図65を記憶部13より読み出してタッチパネル11に表示する。これにより、作業者は、異常が発生しているモジュールの機能や構造、交換手順などをその場ですぐに理解することができ、交換作業をすぐに実行することが可能である。
【0068】
タッチパネル11の映像61の横には解錠ボタン64が設けられている。作業者がモジュールの修理または復旧を行うために、この解錠ボタン64をタッチ操作すると、情報管理コントローラ15は、この操作を解錠指示として(ステップS105のYes)、タッチパネル11に作業者の認証情報入力画面(図示せず)を表示する(ステップS106)。
【0069】
タッチパネル11に表示された認証情報入力画面に対して認証情報(ユーザIDとパスワード)が入力されると(ステップS107のYes)、情報管理コントローラ15は、キューブ管理テーブル13aを参照して、入力された認証情報とキューブ管理テーブル13aに予め登録されている認証情報とを照合し、ユーザ認証を行う(ステップS108)。
【0070】
ユーザ認証を行った結果、該当キューブ2へのアクセス権限を持つユーザであった場合(ステップS109のYes)、情報管理コントローラ15は、該当キューブ2の扉6の電子錠27を制御して解錠させると共に該当キューブ2の扉6の報知部28から扉の解錠を報知させる(ステップS110)。
【0071】
つまりタッチパネル11に入力された認証情報を基にユーザ認証を行った結果、キューブ2へのアクセス権限を持つユーザであった場合、該当キューブ2の扉6の電子錠27を解錠すると共に、異常キューブ2の扉6に、扉6の解錠を示す解錠表示を行う。
【0072】
なお異常時以外にも、例えばユーザ認証後、作業者によるキューブ2へのアクセスの指示操作が行われた場合、情報管理コントローラ15は、該当キューブ2の扉6に設けた報知部28にアクセス許可の報知制御信号を送り、該当キューブ2の扉6の報知部28からアクセス許可の旨を報知させる。これにより、作業者は、所望の機能にアクセスする上でどの扉6を開ければよいかを容易に見つけることができる。
【0073】
解錠後、情報管理コントローラ15は、盤内情報コントローラ24から入力される電子錠27の解錠・施錠情報と扉6の開閉情報に基づいて解錠履歴管理テーブル13bに解錠履歴のレコード順次記録(記憶)する(ステップS111)。
【0074】
解錠履歴管理テーブル13bの内容、つまり解錠履歴が記録されたログは、タッチパネル11に対するユーザ認証後の、アクセス権限を持つ人からの閲覧操作により閲覧することができる。
【0075】
そして、異常が検知されたモジュールが正常に動作すると、盤内情報コントローラ24からの動作情報により、情報管理コントローラ15は、異常復旧と判定し(ステップS112のYes)、異常警報の発報を停止する(ステップS113)。
【0076】
なお、このような動作の例は一例であり、各ステップを入れ替え、また新たなステップを追加したり、一部のステップを削除することで、動作の手順をさまざまに変えることも可能である。
【0077】
このようにこの実施の形態の監視制御装置によれば、主に監視・制御を行うコントロールキャビネット1と機能毎の複数のキューブ2を収容した機能キャビネット4とで構成し、各キューブ2内の盤内情報コントローラ24から収集される各キューブ2のモジュールの動作情報をコントロールキャビネット1の情報管理コントローラ15が受け取り、その動作情報を基に各モジュールの動作状態を随時管理し、あるモジュールの異常を検知した場合、そのモジュールを収容するキューブ2を特定し、異常警報を出し、タッチパネル11にてユーザ認証を行った後、特定したキューブ2の扉6を解錠するとともに、扉6に設けた報知部28にキューブ2の状態を報知させるので、機能の復旧、保守、更新および拡張を行う際に、セキュリティを確保した上で、適切な作業者が対象の機能にアクセスし速やかに作業を行うことができる。
【0078】
本発明の実施の形態を説明したが、この実施の形態は、例として示したものであり、この他の様々な形態で実施が可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成要素の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【0079】
また上記の実施の形態に示した監視制御装置のタッチパネル11を、コントロールキャビネット1から着脱自在に設けておき、タッチパネル11と情報管理コントローラ15間を無線または有線で接続することで、作業者がタッチパネル11を携帯したまま作業を行うことができ、復旧作業をよりスムーズに進めることができる。
【0080】
また監視制御装置の各構成要素を、コンピュータのハードディスク装置などのストレージにインストールしたプログラムで実現してもよく、また上記プログラムを、コンピュータ読取可能な電子媒体:electronic mediaに記憶しておき、プログラムを電子媒体からコンピュータに読み取らせることで本発明の機能をコンピュータが実現するようにしてもよい。電子媒体としては、例えばCD−ROM等の記録媒体やフラッシュメモリ、リムーバブルメディア:Removable media等が含まれる。さらに、ネットワークを介して接続した異なるコンピュータに構成要素を分散して記憶し、各構成要素を機能させたコンピュータ間で通信することで実現してもよい。
【符号の説明】
【0081】
1…コントロールキャビネット、2…キューブ、3…収容部、4…機能キャビネット、6…扉、11…タッチパネル、12…通信部、13…記憶部、13a…キューブ管理テーブル、13b…解錠履歴管理テーブル、14…データ保存部、15…情報管理コントローラ、21…通信部、23…インターフェース(IF)、24…盤内情報コントローラ、25…盤内情報収集センサー、26…カメラ、27…電子錠、28…報知部、29…電源部、41…バッテリー、42…商用電源、43…電源回路、44…電源装置、51…ソケット、52…プラグ、71…ブスバー、72…コンタクト板。
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