(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1のハウジング部分および前記第2のハウジング部分のうちの少なくとも一方が、前記線形アクチュエータに取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の気体調節弁。
少なくとも1つの開口部が、前記第1のハウジング部分および前記第2のハウジング部分のうちの一方の内部に形成され、前記薄膜アセンブリの一部が、前記少なくとも1つの開口部を閉じる閉位置と前記少なくとも1つの開口部を開く開位置との間で動かすことができる閉塞部材を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の気体調節弁。
前記線形アクチュエータが前記閉塞部材を前記開位置から前記閉位置へと動かすことができるように、前記薄膜アセンブリが前記線形アクチュエータの可動部分に結合されることを特徴とする請求項3に記載の気体調節弁。
前記少なくとも1つの開口部が、前記第1のハウジング部分上に形成され、前記第1のハウジング部分が、封止面を備え、前記線形アクチュエータが、前記第1のハウジング部分上の前記少なくとも1つの開口部を閉じるために、前記閉塞部材上の封止面を前記第1のハウジング部分上の前記封止面に係合させることを特徴とする請求項3又は4に記載の気体調節弁。
少なくとも1つのセンサ開口部が、前記第1のハウジング部分および前記第2のハウジング部分のうちの一方の内部に形成され、前記センサ開口部が、前記第1のハウジング部分および前記第2のハウジング部分によって形成される流路の内部にセンサを結合させるように構成されることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の気体調節弁。
前記第1のハウジング部分が、少なくとも1つのラッチ機構を外面上に備え、前記第2のハウジング部分が、少なくとも1つの相補的な受容機構を外面上に備えることを特徴とする請求項11又は12に記載の方法。
前記薄膜アセンブリの一部が、閉塞部材を備え、前記第2のハウジング部分が、少なくとも1つの開口部および封止面を備え、前記第2のハウジング部分を前記第1のハウジング部分に取り付ける前記ステップにより、前記線形アクチュエータが前記閉塞部材を前記少なくとも1つの開口部を閉じる閉位置と前記少なくとも1つの開口部を開く開位置との間で動かすことができるように、前記閉塞部材が前記第2のハウジング部分の前記封止面に隣接して位置決めされることを特徴とする請求項11から13のいずれか一項に記載の方法。
前記薄膜アセンブリを前記第1のハウジング部分の前記第1の端部内に挿入する前記ステップがまた、前記線形アクチュエータの可動部材を前記薄膜アセンブリの作動リングに結合させることを特徴とする請求項11から14のいずれか一項に記載の方法。
【背景技術】
【0003】
今日では、本文で一般に「人工呼吸器」とも呼ばれる、様々な呼吸補助装置が利用可能である。これらの人工呼吸器は、加圧された呼吸気体の供給源を備える。それらを動作させるためには、加圧された外部気体の供給が必要とされないので、それらは一般に「自律的」であると言われる。これらの装置は、各吸気の際に、呼吸気体(通常、酸素など補足気体を加えることができる周囲空気)を患者に提供する。
【0004】
様々なタイプの人工呼吸器が知られている。これらの装置のサイズは重要なパラメータであるので、こうした様々なタイプの人工呼吸器は、そのサイズに従って分類することができる。一般に、たとえば家庭ならびに病院内など、多数の異なる場所での人工呼吸器の動作を促進するために、人工呼吸器のサイズを最小化することが望ましい。さらに、より小さいサイズの人工呼吸器は、患者の可動性を高める傾向がある。
【0005】
非可搬型人工呼吸器
第1のタイプの人工呼吸器は、一般に、非可搬型人工呼吸器と呼ばれる。非可搬型人工呼吸器は、
図1aから
図1dに概略的に示される。そのような装置は、一般に、非常に大きいサイズおよび/または重量を有する呼吸気体供給源S1を備える。この気体供給源は、装置の内部にあることができ、または装置の外部にあることができる。気体供給源S1は、一般に、2つのダクトを通じて患者Pに結合されるが、単一のダクトを使用することもできる。吸気ダクト11は、吸気相専用であり、吸気中に、加圧された気体を気体供給源から患者Pへと運ぶ。呼気ダクト12は、呼気相専用であり、呼気相中に患者によって吐き出される二酸化炭素などの呼気気体を運ぶ。
【0006】
これらの非可搬型人工呼吸器は、吸気弁13および呼気弁14をさらに備える。これら2つの弁はそれぞれ、気体供給源S1の付近で、吸気ダクト11上および呼気ダクト12上に配置される。吸気弁13は、吸気相中に患者に送られる、加圧された気体の流束を制御する。呼気弁14は、患者の呼気気体が呼気ダクト12を通り、周囲外気中に出ることを可能にする。呼気弁は、呼気終末陽圧(PEEP)制御方式に基づいて制御することができる。
【0007】
人工呼吸器のほとんどの動作モードは、呼気気体流および/または呼気圧力の監視を必要とする。したがって、気体流および/または圧力を感知するための1つまたは複数のセンサ19が、呼気ダクト12内に配置される。それぞれのセンサは通常、電力の供給を受けるため、およびデータを伝達するために、少なくとも3本のワイヤにより人工呼吸器の中央装置10に接続される必要がある。したがって、センサ19は一般に、センサおよびワイヤを加えることにより、既に非常に複雑かつ大きい二重伝送回路をさらに複雑にすることを避けるために、気体供給源S1の付近に配置される。吸気弁および呼気弁は両方とも、一般に処理装置または制御装置15の形である、複雑であることが多い固有の制御システムを必要とし、この処理装置または制御装置15は、弁およびセンサ19に結合され、そうでなければそれらと通信する。
【0008】
非可搬型人工呼吸器は、一般に、通常約150cm〜180cmの、比較的長いダクトを備える。この構成は、高い呼吸抵抗をもたらし、それにより患者が呼吸する労力が増大する。実際、呼気弁14が気体供給源S1付近の呼気ダクト12の端部(「遠位端部」)に配置され、呼気ダクト12が比較的長い場合、患者Pは、吐き出された空気がそれを大気中に放出する呼気弁14に到達するまで、呼気ダクト12を通して自分の呼吸を「押す」ことが必要となる。
【0009】
非可搬型人工呼吸器につながれるとき、患者Pは、
図1dに示すように、気体供給源S1が機能しない場合でも、呼気ダクト12を通して常に呼息することができる。呼気中に、呼気気体の陽圧により、吸気ダクト11上の安全逆流弁16が閉じられ、呼気ダクト12上の呼気弁14が開かれる。こうして患者は、呼気気体を吐き出すことができるようになる。
【0010】
また、気体供給源S1が機能しない場合、患者は、吸気ダクト11を通じて大気気体を吸い込むことができるようになる。
図1cに示すように、吸気相中に、患者は、吸気ダクト上の安全逆流弁16を通じて大気気体を吸い込むことができるようになり、呼気ダクト12上の呼気弁14が閉じられる。患者Pが、通常吐き出された二酸化炭素を含む呼気ダクト12を通じて吸息することは危険なので、安全逆流停止弁16は、呼気ダクト12上に配置されない。
【0011】
可搬型人工呼吸器
第2のタイプの人工呼吸器は、可搬型人工呼吸器と呼ぶことができる。可搬型人工呼吸器は、
図2aから
図2dに概略的に示される。この可搬型人工呼吸器は、内部呼吸気体供給源S2を含む中央装置20を備える。気体供給源S2は、装置が占める体積を制限するために最適化された特徴を有する、小さいタービンまたはブロアとすることができる。
【0012】
これらの可搬型人工呼吸器は通常、2つのダクト(吸気ダクトおよび呼気ダクト)を有する装置と対照的に、供給源S2と患者Pとの間で単一の気体輸送ダクト21を使用する。人工呼吸器は、患者Pの付近(すなわちダクトの近位端にて)単一のダクト21上に配置される、呼気弁22を使用する。上記で説明した非可搬型人工呼吸器とは対照的に、呼気弁22を近位に配置することにより、非可搬型人工呼吸器における患者と呼気弁との間のダクトの長さによって生じる、呼気相中の呼吸抵抗現象がなくなる。
【0013】
典型的な可搬型人工呼吸器では、
図2aから
図2dに示すように、呼気弁22は、空気弁であり、この空気弁は、呼吸気体供給源S2(または独立したマイクロブロアなど別の圧力供給源)と呼気弁22の閉塞カフ24との間に結合される、加圧された空気の供給導管23によって動作させられる。気体供給源S2からの圧力は、吸気相中に閉塞カフ24を膨張させて、輸送ダクト21に沿って移動する気体が患者Pに確実に送達されるようにする。
【0014】
すなわち呼気弁の制御には、第2の導管23が必要であり、これによって人工呼吸器、特に呼吸回路の小型化が、明らかに制限される。呼気相中に、患者の肺内の残留する過剰圧力を相殺するように気体輸送ダクト内に呼気終末陽圧(PEEP)を確立するために、呼気弁24が開かれ、または部分的に閉じられる。そのようなPEEPを確立するために、呼気弁22のカフ24の膨張空気圧を、非常に精密に制御する必要がある。これにより、人工呼吸器の制御装置25の複雑さが増す。
【0015】
一部の吸気モードでは、呼気弁22は可能な限りリアルタイムで操作されなければならないが、そのような呼気弁では、それらに付随する空気圧慣性のため非常に難しい。さらに、そのような知られた人工呼吸器の構成は、PEEPの値を約20cmH
2Oに制限するが、一部の吸気モードは、より高い値のPEEP(たとえば40cmH
2Oまたはそれ以上)を必要とする。
【0016】
非可搬型人工呼吸器と同じ理由で、呼気気体流および/または呼気圧力を制御しなければならないことがあり、したがって気体流および/または圧力センサ29は、通常呼気弁22の近くに設けられる。ここでも同様に、これにより、中央装置20と患者Pとの間の気体輸送ダクト21に沿ってワイヤを設けることが必要となる。通常、3本のワイヤ(2本は電力供給用、および1本はデータ伝送用)が、それぞれの圧力センサおよびそれぞれの気体流センサに設けられる。呼気気体の流量および圧力を一般に測定しなければならないので、中央装置20と装置の近位端の呼気弁22との間に、少なくとも5本のワイヤの接続ケーブル26が必要となる。
【0017】
そのような可搬型人工呼吸器を患者が安全に使用するために、装置は、加圧された気体の供給源が機能しない場合を含め、いかなる状況においても患者が呼吸することを可能にしなければならない。単一の気体輸送ダクト21と、呼気弁22の空気圧制御用の別個の導管23とを有する人工呼吸器を用いると、患者Pは、
図2dに示すように、呼気弁22の空気供給が機能しない場合でも呼気空気弁22を通して常に呼息することができる。実際、呼気弁の空気供給が機能しない場合、すなわち気体供給源が機能しない場合、呼気弁22のカフ24は膨張させられず、患者Pは、呼気弁22を通じて呼気気体E
Pを吐き出すことができる。そのような場合、カフ24が通路を閉塞させるので、患者Pがこの呼気空気弁22を通じて吸息することが不可能となる。ただし患者Pは、
図2cに示すように、吸気導管21上に配置された安全逆流停止弁27を通じて吸息することができる。
図2aに示すように、この安全弁27は通常、気体供給源S2からの圧力供給G
Sの効果で閉じられる。しかし、気体供給源S2が機能しない場合、
図2cに示すように、患者吸気I
Pの圧力により安全弁27が開き、患者Pが外側からの空気を吸入することを可能にする。
【0018】
安全弁27およびダクト21の全長を通る安全な吸気を可能にするために、ダクトの直径は、相対的に大きくなければならない。この安全性の問題を解決するために、満たすべき圧力損失の標準要件が一般に存在する。たとえば仏国標準では、供給源と患者との間の最大圧力損失が、成人では1リットル/秒で6hPa、小児では0.5リットル/秒で6hPaを超えてはいけないと述べられている。これらの要件を満たすためには、
図2aから
図2dに示すような典型的な装置の輸送ダクトは、成人用で22mmの最小直径、小児用で15mmの最小直径をもたなくてはならない。そのような大直径のダクトの要求は、装置、特に呼吸回路の小型化の障害である。
【0019】
可搬型人工呼吸器と同じ理由で、
図1aから
図1dに示す非可搬型人工呼吸器上のダクトの直径は、圧力損失要件を満たすために比較的大きくなくてはならない。すなわちダクトは、安全弁16を通る安全な吸気を可能にするために、小児用で少なくとも15mm、および成人用で22mmの直径をもたなくてはならない。
【0020】
上記で説明した人工呼吸器によって治療されるべき病理および疾患は多種多様であり、したがって呼吸補助装置は、様々なタイプのものとすることができる。人工呼吸器は、圧力制御式または体積制御式とすることができ、それらは異なる動作モードに従って動作させることができる。それぞれの動作モードは、特定の設定変数およびチェック変数によって規定されるが、同様に、特定のタイプの材料によっても規定される。
【0021】
ハイブリッド人工呼吸器と呼ぶことができる一部の人工呼吸器は、いくつかの動作モードに従って動作することができる。ただし、それらの材料構成、具体的には付属部品(気体供給源と患者との間のダクトのタイプ、呼気弁の存在、装置とマスクの併用など)は、選択される動作モードに適合されなければならない。
【発明を実施するための形態】
【0036】
共通の特徴および特徴部分を共有することができるいくつかの実施形態に関して、以下で説明する。いかなる実施形態の1つまたは複数の特徴部分も、他の実施形態の1つまたは複数の特徴部分と組み合わせることができることを理解されたい。さらに、いかなる単一の特徴部分、またはいかなる実施形態の特徴部分の組み合わせも、さらなる実施形態を構築することができる。
【0037】
この明細書では、「備えている(comprising)」という語は、その「開いた」意味、すなわち「含んでいる(Including)」という意味で理解されるべきであり、したがって、その「閉じた」意味、すなわち「のみからなる(consisting only of)」という意味に限定されない。対応する語「備える(comprise)」、「備えられた(comprised)」および「備える(comprises)」は、それらが現れるところで、対応する意味を示す。
【0038】
「空気」という用語は、たとえば補給用酸素を含む空気など、呼吸可能な気体を含むとみなされる。本明細書に記載されるブロアは、空気以外の流体を給送するように設計することができると考えられる。
【0039】
人工呼吸器および呼吸補助装置の全体的な構造
最初に、
図3に示すような、人工呼吸器または呼吸補助装置として用いることができる装置の全体的な構造を説明する。この装置のいくつかの実施形態は、睡眠時無呼吸および他の同様な疾患を治療するための持続気道陽圧(C−PAP)装置として使用することもできる。たとえばこの装置は、C−PAPモードにおいて動作する換気装置の一部となることができる。
【0040】
また、気体調節弁は高度に制御可能であるので、この装置は、吐出中よりも吸入中により高圧の空気または気体を送達する、バイレベル気道陽圧(Bi−PAP)装置として使用することもできる。装置はまた、気体圧力が能動的な可変制御下にあるモードにおいて動作させることもできる。
【0041】
この装置は、加圧された呼吸気体を患者Pに供給するための内部気体供給源Sを備える、中央装置30を含む。気体供給源Sは通常、小型のブロアである。いくつかの例では、気体供給源はまた、患者に送達される気体内に選択された量の酸素を導入することができる、酸素混合器を備えることもできる。酸素混合器システムの詳細は、その内容が参照により本明細書に組み込まれる2005年6月23日出願の国際出願PCT/IB2005/002326号(公開番号WO2006/136878号)に見ることができる。呼吸補助装置はさらに、患者Pが吸息および呼息することを可能にするように、中央装置30と患者Pとの間の気体輸送回路を備える。
【0042】
気体調節弁32は、近位位置にて前記気体輸送回路内に間置される。「近位位置」という用語は、気体調節弁32が、患者Pに結合された気体輸送回路の端部付近(たとえば通常数センチメートル)に配置されることを意味する。本文においてさらに説明するように、調節弁は多くの異なる実施形態に従って製作することができ、そのいくつかの例を以下で説明する。そのような気体調節弁のさらなる実施形態は、その内容が参照により本明細書に組み込まれる2006年5月2日出願の国際出願PCT/EP2006/061989号(公開番号WO2006/117379号)に見ることができる。
【0043】
気体供給源Sは、好ましくは、いくつかの呼気モードに従って動作することができる。この気体供給源は、患者Pに供給される周囲空気を収集するための空気入口33aに連結される。周囲空気に混入するための酸素など2次呼吸気体のための、さらなる入口33bを設けることもできる。気体供給源Sは、電力供給部37を通じて電力供給される。この電力供給部37は、内部電池または外部電力供給部とすることができる。
【0044】
気体輸送回路は、1つまたは複数の空気輸送ダクトで構成することができる。
図3に示すように、一実施形態では、呼吸補助装置は、単一の気体輸送ダクト31で構成される気体輸送回路を備える。この気体輸送ダクト31は、供給源Sに結合された遠位端31d、および患者Pに結合された近位端31pを備える。輸送ダクト31の近位端31pは、患者インタフェース36など連結装置を用いて、患者Pに連結させられる。この患者インタフェース36は、気管切開または鼻マスク、全面マスクなどマスクに適合される装置とすることができ、あるいは患者インタフェースは、鼻挿入具、鼻プラグ、およびそのような他の装置に連結されるように、適合させることができる。一代替実施形態では、呼吸補助装置は、2つの別個の気体輸送ダクトを備えることができ、一方は吸息用であり、もう一方は呼息用である。
【0045】
呼吸補助装置は、データ伝送および電力供給のために使用される連結リンク39を介して気体調節弁32を制御するための、処理装置または制御装置35をさらに備える。この連結リンク39は、接続ケーブル39とすることができる。制御装置35は、1つまたは複数の測定装置、すなわちセンサ34に結合される。センサは通常、接続ケーブル39を介して制御装置35に結合される、気体流センサおよび圧力センサを備える。これらのセンサの一部またはすべては、近位に配置することができ、すなわち気体調節弁32付近に配置される。これらのセンサの一部またはすべてを、気体輸送ダクト31の遠位端31d付近など、気体輸送ダクト31の別の部分上に配置することも可能である。制御装置35は、ハードウェア、ソフトウェアおよび場合によってはファームウェアを含むことができる様々なセンサからの信号を処理するための、データ処理装置をさらに備える。
【0046】
いくつかの実施形態では、制御装置35のデータ処理装置は、遠位位置、すなわち気体供給源S上に配置することができる。他の実施形態では、データ処理装置は、近位位置、すなわち患者P付近に配置することができる。実際、より多くのセンサが気体調節弁32付近に存在するほど、気体輸送ダクト31に沿った接続ケーブル39内により多くのワイヤが存在しなければならない。ワイヤの数を減らすのを支援するためには、センサからの多数の異なる信号を近位位置にて処理し、次いで単一のデータ伝送ワイヤを通じて制御装置35の遠位データ処理装置へと伝送することができるように、近位データ処理装置38を気体調節弁32に隣接して設けることが有利となることがあり、この例では、3本のワイヤ、すなわち1本のデータ伝送ワイヤおよび2本の電力供給ワイヤしか必要としなくてもよい。
【0047】
気体輸送ダクト31は、様々な直径のものとすることができる。特に、この気体輸送ダクト31は、
図1a〜
図1dおよび
図2a〜
図2dに示すものなど、知られている呼吸補助装置において使用されるダクトよりも小さい直径を有することができる。以下でより詳細に説明するように、気体輸送ダクト31内に間置される気体調節弁32の特徴により、相対的に大きい直径のダクトを必要とせずに、このタイプの呼吸補助装置が圧力損失および安全基準を満たすことが可能になる。したがって気体輸送ダクト31は、成人用で22mm(内径19mm)より小さく、小児用で15mmより小さい外径を有することが可能である。たとえば、成人用の気体輸送ダクトは、15mmなど、10mmから18mmの間の、または12mmから17mmの間の内径を有することができる。
【0048】
気体調節弁32は、弁を動作させるための別個の空気供給導管が不必要となるように、弁に供給される空気圧とは無関係に制御される。たとえば気体調節弁32は、電気的に制御することができる。応答を遅延させる空気圧慣性が存在しないので、これはまた、気体調節弁がリアルタイムでより速く応答することも可能にする。すなわちこれは、より小型の装置をもたらす。気体調節弁上、すなわち近位に配置されるデータ処理装置38を用いる場合、呼吸補助装置はさらに小型化される。上記で説明した従来技術の呼吸補助装置とのこれらの差異にもかかわらず、呼吸補助装置は安全性および信頼性が非常に高いままである。
【0049】
気体調節弁の動作方法
上記で説明した気体弁は、気体供給源または制御装置が故障したとしても患者が呼吸することができるように構成される。このことを、上記で説明した弁の基本動作概念を一緒に示す
図4a〜
図4c、
図5aおよび
図5bを参照しながら説明する。
【0050】
図4a〜
図4cは、円筒状の閉塞要素が円筒状の弁体の外部上で開口部を遮断しまたは開く、第1のタイプの弁を示す。この実施形態では、気体供給源から患者へと移動する気体は、円筒状の閉塞要素の中心を下方へと移動する。
図5aおよび
図5bは、遮断要素が気体の主通路の片側に配置される、別の弁構造を示す。弁は、円形断面形状を有する円柱として示されるが、弁は、正方形、長方形、または他の何らかの幾何学形状など、他の断面形状を有することができることに留意されたい。
【0051】
装置の正常動作は、気体供給源Sおよび制御装置35の両方が、正常に動作する場合に相当する。
図4aおよび
図5aに示すように、吸気相中は、閉塞要素72/82は、開口部71/81が閉塞させられるように位置決めされる。その結果、気体供給源Sからの加圧された気体Gが、患者Pへと輸送される。
【0052】
図4bおよび
図5bに示すように、呼気相中は、開口部71/81は少なくとも部分的に開き、弁の内側と外側との間で気体が循環することを可能にする。その結果、患者が息を吐くとき、開いた開口部は、吐き出された気体が開口部71/81を通って弁から出ることを可能にする。開口のサイズを制御することにより、PEEPモードにおける呼気陽圧を制御することができ、いくつかの例では、患者が正しく呼息することができるように、気体輸送におけるPEEPを注意深く制御することが重要である。PEEPを制御することは、患者の肺内に残留する過剰圧力を相殺するための方法である。PEEPの制御を実行するために、閉塞要素72/82の位置が、感知された気体輸送ダクト内の圧力に基づいてリアルタイムで制御される。
【0053】
気体供給源Sが動作不可能となる場合にも患者は呼吸可能でなければならず、この状況では、呼吸補助装置の制御装置によって、閉塞要素は、吸気中および呼息中の両方において開口部71/81を少なくとも部分的に開いたままにする位置に置かれる。吸気相中は、開口部が開くので、患者は開口部を通じて周囲大気から空気を吸い込むことが可能となる。呼気相中は、制御装置は閉塞要素の位置を依然注意深く制御し、それにより正しいPEEPを維持することができる。
【0054】
制御装置自体が機能しないときは、閉塞要素を制御することができない。したがって、制御装置が機能しない場合はいつでも、開口部が確実に開いたままになるように、戻り機構が設けられる。これにより、患者が開口部を通じて大気を吸い込むことおよび吐き出すことが可能になる。ただし、閉塞要素の位置を制御することができないので、PEEPを制御することは不可能である。
【0055】
図4a〜
図4cに示す実施形態では、閉塞要素72の位置を制御するために、磁石73およびコイル74が使用される。これらの要素は、信号が制御装置からコイル74に供給されないときに、コイルと磁石との間の磁力によって、閉塞要素72が
図4cに示すように開位置となることを保証するように設計される。当然、代替実施形態では、開口部71を開いたままにする位置へと閉塞要素72が戻ることを保証するために、偏移するばね要素など戻り装置を使用することもできる。
【0056】
図5a〜
図5bに示す実施形態では、磁石およびコイルもまた、閉塞要素の位置を制御する。ただし、閉塞要素82を開位置へと偏移させるために、戻りばねも設けられる。すなわち、制御装置からの信号がコイルに送信されないとき、閉塞要素82は
図5bに示すように開位置をとる。
【0057】
線形アクチュエータ
図6aおよび
図6bは、以下で説明するような気体調節弁において用いることができる線形アクチュエータを示す。線形アクチュエータ1200は、可動コイルアセンブリおよび磁気要素を収容する、ハウジング1202を備える。ケーブルアセンブリ1204は、線形アクチュエータ1200のコイルへの電気接続を提供する。線形アクチュエータは、気体流路を受容するための通路を形成するようになされた中央開口部を有する。可動コイルアセンブリおよび磁気要素は、アクチュエータの外周の周り、好ましくはアクチュエータの環状外周の周りに設けられる。線形アクチュエータは、好ましくは円形であるが、別の形状を用いることができる。アクチュエータは、直線的に動く。
【0058】
図7は、線形アクチュエータのコイルおよび磁気要素を示す。
図7に示すように、コイルアセンブリ1210は、ボビン1213の周りに巻かれたワイヤコイル1211を備える。ボビン1213は、ボビン1213の片側から上方に延在する、第1のアーム1212aおよび第2のアーム1212bを備える。ワイヤコイル1211の自由端部1217a、1217bは、第1および第2のアームの上方へと延在する。すなわち、アーム1212a、1212bは、ワイヤ位置合せ構造であり、他の形のそのような構造を用いることができることを、当業者であれば理解するであろう。さらにボビンは、第1および第2のアームと反対のボビンの第2の側から下向きに延在する、複数の従属脚部1215を備える。これらの脚部1215は、以下でより詳細に示すようなコイルの運動と共に動く、薄膜など閉塞部材の運動を促進する突起である。ボビンの第2の側の上の、コイルの運動との閉塞要素の協調運動を容易にする、異なる形状およびサイズを有する他の形の突起を用いることもできることを認識されたい。
【0059】
1つの例示的な実施形態では、ボビン1213は、合成の成形材料で形成され、ワイヤコイル1211は、被覆された銅ワイヤで形成される。当然、代替実施形態では、他の材料を用いることができる。
【0060】
線形アクチュエータはまた、磁石1230および磁極片1232も備える。磁石1230および磁極片1232は、示されるように好ましくは全体的に円筒形を有するが、線形アクチュエータの他の構成要素の形状に応じて、他の形状を有することもできる。ボビン1213およびワイヤコイル1211、磁石1230および磁極片1232はすべて、ヨーク1220の内側に嵌まる。このアセンブリはまた、可撓性の回路アセンブリ1224も備える。
【0061】
1つの例示的な実施形態では、磁石は、エポキシ、ニッケル、または金など耐食材料で被覆された、NdFeB焼結磁石である。ヨーク1220および磁極片1232は、ステンレス鋼で製作される。代替実施形態では、他の材料をこれらの部片に用いることができる。
【0062】
図8は、コイルアセンブリ1210をより詳細に示す。そこに示されるように、ワイヤコイル1211は、ボビン1213の周りに巻かれる。突起1214a、1214bは、第1のアーム1212aの端部および第2のアーム1212bの端部の上に形成される。いくつかの実施形態では、突起1214aおよび1214bは、断面が楕円形である。
【0063】
線形アクチュエータの組立工程を、
図9a〜
図9eに示す。
図9aおよび
図9bに示すように、コイルアセンブリ1210はまず、ヨーク1220内に挿入される。第1の開口部1221aおよび第2の開口部1221bがヨーク1220内にあり、コイルアセンブリの第1のアーム1212aおよび第2のアーム1212bが開口部を通って突出することを可能にする。上記で説明したように、コイルワイヤ1211の自由端部1217a、1217bもまた、第1のアーム1212aおよび第2のアーム1212bの上へと、すなわち開口部1221a、1221bを通って延在する。
【0064】
次いで、可撓性の回路アセンブリ1224が、コイルアセンブリの第1および第2のアームに取り付けられる。第1のアーム1212aおよび第2のアーム1212bの頂部上の突起1214a、1214bは、可撓性の回路1224の端部1226a、1226b内の対応する開口部内へと挿入される。第1のアーム1212aおよび第2のアーム1212bの頂部上の突起1214a、1214bを、可撓性の回路1224の端部内の開口部に設けることができ、またはそうでなければ、熱かしめを用い(可撓性の回路内の開口部内に突起が挿入された後に突起を溶融させることにより)、締り嵌めにより、接着剤を用いて、または他の適当な手段により、そこに取り付けることができる。
【0065】
さらに、ワイヤコイル1217a、1217bの自由端部は、可撓性アセンブリ1224の端部1226a、1226b内に形成された切欠き内へと挿入される。ワイヤコイル1211の端部1217a、1217bは、はんだ付けにより、接着剤を用いて、または他の適当な手段で、可撓性の回路1224の端部1226a、1226b内の切欠きに取り付けることができる。次いで、残っているワイヤのいかなる自由端部も切り落とされる。
【0066】
可撓性の回路1224の電気接点1225の下にある部分は、接着剤または何らかの他のタイプの固定方法を用いて、ヨーク1220の頂部に取り付けることができる。いくつかの実施形態では、追加の取付け要素を、組立工程中にヨーク1220の頂面と可撓性の回路アセンブリ1224の底面との間に位置決めすることができ、現在好ましい実施形態では、可撓性の回路アセンブリの製造中に、スペーサ要素が可撓性の回路アセンブリの下面に予め取り付けられ、それにより線形アクチュエータの最終的なアセンブリを単純にする。可撓性の回路の電気接点アセンブリ1225は、第1および第2の電気接点を備え、これらの電気接点は、可撓性の回路1224内の導電路によって、ワイヤコイルの自由端部に電気的に結合される。
【0067】
図9c〜
図9eに示すように、次いで磁石1230が、コイルアセンブリ1210の内側に取り付けられる。次に、磁極片1232が、コイルアセンブリ1210の内側および磁石1230の隣に取り付けられる。磁石および磁石片は、磁気要素を形成するように、接着剤を用いて互いに結合させることができる。さらに、この磁石を、接着剤を用いてヨーク1220に結合させることができる。現在好ましい実施形態では、磁石1230および磁極片1232がコイルアセンブリおよびヨークの内側に取り付けられた後に、ヨーク1220が、シアノアクリレートなどウィッキング接着剤を用いて磁石1230および磁極片1232に結合させられる。
【0068】
図10に示すように、次いでケーブルアセンブリ1204が、ハウジング1202の突起1201内へと挿入される。
図10に示すように、ケーブルアセンブリ1204上の第1の電気接点1203aおよび第2の電気接点1203bは、ケーブルアセンブリ1204がハウジング1202上の突起1201の内側に取り付けられた後に、ハウジング1202内で上方を向く。2つの電気接点1203a、1203bは、ケーブルアセンブリ1204内を通って延在する2本の電線に接続される。
【0069】
ヨーク内に取り付けられたコイルアセンブリ、ならびにコイルアセンブリの内側に取り付けられた磁石および磁極片を備える、
図9eに示すアセンブリは次いで、
図11に示すように線形アクチュエータハウジング1202の内側に取り付けられる。可撓性の回路1224上の電気接点1225は、ケーブルアセンブリ1204上の電気接点1203a、1203bと整列させられる。その結果、ヨーク1220がハウジング1202内へと挿入されるので、可撓性の回路1224の電気接点1225は、ケーブルアセンブリ1204の電気接点1203a、1203bに係合する。ハウジング1202上のタブ1205は、ヨーク、コイル、および磁石アセンブリを、ハウジング1202内に保持する。ラッチ、フック、クランプなど、ヨーク、コイル、および磁石アセンブリをハウジング1202内に保持するための他の手段を用いることができる。その最終的な結果が、
図6aおよび
図6bに示す線形アクチュエータ1200である。線形アクチュエータの構造化された設計により、線形アクチュエータの統合および組立てが容易になり、その結果製造コストが低減される。
【0070】
組み立てられた線形アクチュエータ内で、ヨーク1220は、ハウジング1202に固定され、磁石1230および磁極片1232は、ヨーク1220に固定される。こうして、これらの要素は、静止したままとなることが意図される。ボビンに巻き回されたワイヤコイル1211を備えるコイルアセンブリ1210は、装置内で軸方向に自由に動く。ボビンの従属脚部1215は、気体調節弁を通る気体の流れを制御するために、閉塞部材など気体調節弁の可動部分に対して押し付け、または取り付けることができる。コイルは、低質量および非常に低い抵抗力を有し、その結果、迅速な動的応答を有する線形アクチュエータがもたらされる。迅速な動的応答を有することにより、線形アクチュエータを、以下でより詳細に説明するような様々な異なる換気モードの実現において用いることが可能になる。
【0071】
一代替実施形態では、磁気要素は可動式とすることができ、コイルアセンブリはヨークに固定する(すなわち静止したままにする)ことができる。これにより、電力供給部の配線に関する利点をもたらすことができる。ただし磁気要素は、コイルアセンブリよりも大きい重量を有し、そのため結果的に、より高い慣性およびより遅い応答時間をもたらし、アクチュエータの全体的な効率を低下させる。また、磁石の運動を駆動するために、より高い電流需要が必要となる。
【0072】
線形アクチュエータのコイルアセンブリが軸方向に動くとき、ボビンの第1のアーム1212aおよび第2のアーム1212bが、ヨーク1220の頂面上に形成された開口部1221a、1221b内で動く。これにより、可撓性の回路アセンブリ1224のアーム1226a、1226bの端部が、ボビンのアーム1212a、1212bとともに動かされる。可撓性の回路アセンブリ1224の中心部分は、ヨーク1220の頂面上に固定される。こうして、コイルアセンブリが軸方向に動くとき、それにより可撓性の回路アセンブリの撓みが生じる。
【0073】
この線形アクチュエータは、アクチュエータの磁気設計のため、非常に効率的であり、要求される最適の力を送達することができる一方で低い電力消費をもたらす。さらに、この線形アクチュエータは非常に小型の設計であるため、この線形アクチュエータは、全体の重量およびサイズが小さい。線形アクチュエータの重量は、約25g〜30g、好ましくは27.5gとすることができる。線形アクチュエータのヨークは、約25mmから40mm、好ましくは30mmの外径を有することができ、完全に後退させられた位置にある線形アクチュエータの高さは、約16mmか〜20mm、好ましくは18.7mmである。線形アクチュエータの他のサイズ、形状、および重量を用いることができることが認識されるが、それらは依然本発明の範囲内にある。
【0074】
線形アクチュエータが上記で説明したような気体調節弁内に設置されるときは、電力が喪失した場合に、患者が依然呼吸することができるように気体調節弁が「開いた」位置/構成に留まることを保証するための機構がなければならず、いくつかの実施形態では、気体調節弁内のばねまたは他の偏位要素が、気体調節弁の閉塞要素を開位置に偏位させるように作用し、いくつかの実施形態では、電力がない場合に、薄膜の弾性自体により、弁を開くための戻りばね力がもたらされて、患者が呼吸することを可能にする。薄膜は、閉塞要素および戻りばねの両方として作用し、別個の戻りばねの必要をなくす。
【0075】
線形アクチュエータを備える気体調節弁
上記で説明したような線形アクチュエータを利用する、気体調節弁の一実施形態をここで説明する。この気体調節弁は、
図3に示すような呼吸補助装置において使用することができる。この気体調節弁の設計は、線形アクチュエータのどの部分も、患者によって使用される空気経路内に存在しないこと、またはそうでなければ患者の気道を通る空気に露出されないことを保証する。その結果、各使用の間に線形アクチュエータを滅菌せずに、線形アクチュエータを多数の患者に再利用することができる。
【0076】
図12は、気体調節弁1300の主要要素を示す。そこに示すように、気体調節弁1300は、遠位ハウジング1310、薄膜アセンブリ1320、線形アクチュエータ1330、近位ハウジング1340、ならびに、気体調節弁1300内の流量および圧力を検出するために使用することができる管1350を備える。
【0077】
図12に示す実施形態では、管1350は、患者に隣接する近位位置から、気体供給アセンブリ上の遠位位置へと通る。圧力および流動状態を感知するためのセンサは、気体供給アセンブリ上の遠位位置に配置することができ、代替実施形態では、圧力および流量センサを気体調節弁自体に取り付けることができる。センサに結合された処理装置または制御装置は、近位位置または遠位位置にて、気体供給アセンブリ上など、気体調節弁自体の上に配置することができる。
【0078】
気体調節弁1300を組み立てるために、近位ハウジング1340の突出部分1342が、線形アクチュエータ1330の第1の端部を通して挿入される。薄膜アセンブリ1320が、線形アクチュエータ1330の第2の端部内へと挿入され、近位ハウジング1340の突出部分1342に連結される。近位ハウジング1340は、以下でより詳細に説明するように、薄膜アセンブリ1320上に係止される。遠位ハウジング1310は、線形アクチュエータモジュール1330の外部を覆って嵌められる。感知管1350は、近位ハウジング1340上の対応する開口に取り付けられる。
【0079】
気体調節弁アセンブリ1300の組み立てられたものを
図14に示す。そこに示すように、近位ハウジング1340の突出部分1342は、線形アクチュエータ1330のヨーク1220、磁石1230、および磁極片1232の、内部中央開口部を通って下方に延在する。薄膜アセンブリ1320の一部は、近位ハウジング1340内の円筒状の内側開口部内へと延在する。
【0080】
薄膜アセンブリ1320もまた、
図13に示される。そこに示すように、薄膜アセンブリは、クランプリングおよび流量制限器1329、作動リング1326、ならびに薄膜1322を備える。例示的な一実施形態では、薄膜1322は、s字型または蛇行断面を形成する、複数のより小さい直径部分およびより大きい直径部分を備える。作動リング1326の内径1328は、
図14に示すように、薄膜のより小さい直径部分のうちの1つの中に挿入される。上述のように、薄膜は、閉塞要素および戻りばねの両方として作用し、別個の戻りばねの必要をなくす。
【0081】
同様に
図14に示すように、遠位ハウジング1310は、線形アクチュエータモジュール1330の外面を覆って嵌められ、近位ハウジング1340の外面に取り付けられる。遠位ハウジング1310を近位ハウジング1340のハウジング上に係止するために、係止機構が設けられる。図示の実施形態では、近位ハウジング1340は、ラッチ機構1348を備え、遠位ハウジングは、1つのユニットの調節弁をもたらすように連結される、相補的なラッチ受容機構1318を備える。あるいは、遠位ハウジング1310は、係止機構1348を備えることができ、近位ハウジング1340は、ラッチ受容機構1318を備えることができる。さらに、近位ハウジング1340を遠位ハウジング1310に連結させるために、クリップ、フックなど、他の知られた代替係止機構を用いることができることを理解されたい。さらに、薄膜1322の外部リング1324は、遠位ハウジング1310上の段1314と、線形アクチュエータアセンブリ1330の軸方向外面1332との間に捕えられる。その結果、薄膜1322が、近位ハウジング1340の内部と遠位ハウジング1310の内部との間に封止部を形成する。これにより線形アクチュエータが、気体調節弁の内部通路、したがって弁を通る気体から隔離される。こうして、薄膜は複数の機能を有し、上記で説明したように閉塞要素および戻りばねの両方として作用し、線形アクチュエータが患者の気体流で汚染されることを防ぐように、線形アクチュエータを気体流から隔離する。
【0082】
作動リング1326は、内径1328を備え、この内径1328は、薄膜1322の低減された直径部分1327内へと挿入される。さらに、作動リング1326の周縁は、近位ハウジング1340に向かって上向きに湾曲する、湾曲部分1331を備える。
【0083】
線形アクチュエータモジュール1330のコイルアセンブリ1210の従属脚部1215は、作動リング1326の平坦な環状表面に対して押し付けられる。作動リング1326の湾曲部分1331は、コイルアセンブリの従属脚部1215を取り囲む。コイル1211が通電させられるとき、もたらされる磁界が磁石1230と相互作用して、コイルアセンブリを遠位ハウジング1310に向かって動かす。コイルアセンブリの脚部1215は、作動リング1326を押し、それにより薄膜が、遠位ハウジング1310の封止面1312に逆らって下向きに動かされる。コイルアセンブリのコイル1211に加えられる信号を制御することにより、遠位ハウジングの封止面1312と薄膜1322上の対応する封止面1325との間の間隙を、選択的に変えることができる。
【0084】
同様に
図14に示すように、管アセンブリ1350の連結部1352が、近位ハウジング1340の対応する開口部1344内へと挿入される。近位ハウジング1340内の1つまたは複数の開口部1346が、管アセンブリ1350の管の内部を、近位ハウジングの内部に連結させる。これにより、近位ハウジング内の流量および圧力を検出することが可能になる。上述のように、代替実施形態では、流量または圧力を検出するためのセンサ要素を、気体調節弁内のこの位置に設置することもできる。
【0085】
図15aおよび
図15bは、それぞれ開位置にある弁および閉位置にある弁を示す。
図15aでは、ボビンの脚部1215が作動リング1328を近位端に向かって上向きに引っ張るように、コイルが作動させられている。これはまた、好ましくは、作動されずまたは電力が供給されない状態にあるコイルの位置である。すなわち、薄膜1325が遠位ハウジング1310の封止面1312から離れて動かされ、開口部を開く。こうして、
図15aに示すように弁が開いた状態にあるとき、患者は呼息することができる。
【0086】
図15bでは、ボビンの脚部1215が作動リング1328および薄膜1325を遠位ハウジング1310の封止面1312に逆らって押し、それにより開口部を閉じるように、コイルが作動させられる。こうして、遠位端から供給される気体を圧力下で患者と連通させることができるように、弁が封止される。
【0087】
PEEPをもたらすように弁を動作させることが望ましい場合、コイルは、患者が呼息する間に開口部を部分的に開くように作動させられる。この例では、作動リング1328および薄膜1325は、
図15aと
図15bの間の位置にある。コイルの運動の程度は、感知された圧力および流量からのフィードバックに基づいて、リアルタイムで慎重に制御することができる。
【0088】
有利には、気体調節弁はサイズおよび重量が小さく、その使用をより容易にし、可搬性をより高める。一実施形態では、電力供給ケーブルおよび連結具を除いた気体調節弁は、約40gから60g、好ましくは45gから50g、最も好ましくは47gの重量を有する。最大外径は、約40mm〜100mm、好ましくは45mm〜60mm、より好ましくは48.5mmなど、45mm〜50mmである。気体調節弁の長さは、長さ約60mm〜100mm、より好ましくは70mm〜85mm、より好ましくは77.7mmなど、70mm〜80mmである。ただし気体調節弁は、本発明の範囲内にありながら、様々な重量、長さ、直径、ならびに様々な形状で製作することができることが認識される。
【0089】
線形アクチュエータは有利には、単一の軸に沿った運動をもたらすことにより、吸気流、呼気流量、および薄膜の作動を集中的に管理する。
【0090】
図13に示すような流量制限器1329は、流路の両端間で圧力差を生じる。流量制限器1329は、それぞれある種の特徴を提供することが意図される、様々な異なる設計を有することができる。こうして、様々な流量制限器を、弁の様々な実施形態において用いることができる。適当な流量制限器を選択および設置することによって、たとえば弁を成人および小児など異なる患者グループにカスタマイズするために、流量測定の感度をカスタマイズすることができる。
【0091】
同じやり方で、薄膜は、ある種の特徴を有するように適応させることができる。たとえば、一部の薄膜の可撓性を相対的に高め、他の薄膜の剛性を相対的に高めることができる。また薄膜は、装置に電気が加えられないときに、気体調節弁を開位置へと偏位させる要素のうちの1つとして作用することができる。
【0092】
いくつかの例では、医療従事者は、ある薄膜、ある作動リング、およびある流量制限器を選択することができ、次いで、弁アセンブリがある所望の特徴を示すように、それらを弁アセンブリの一部として組み合わせることができる。他の例では、これらの要素を有する複数の異なるキットを販売することができる。それぞれのキットは、特定のタイプの流量制限器、作動リング、および薄膜を備え、それぞれのキットは、ある用途/患者に適用可能となる。
【0093】
流量調節器1329、作動リング1328、および薄膜1322を備える、
図13に示す薄膜アセンブリは、取り外され、洗浄/滅菌され、かつ複数回再利用されるように設計される。当然、薄膜および作動リングは、定期的に交換される比較的低コストの要素である。
【0094】
弁の動作によりコイルが熱を放出させられ、この熱が有益となることがある。たとえばコイルの熱は、弁上での凝縮を防ぐのに役立つ可能性がある。
【0095】
上記で説明したように、図示のような気体調節弁は、線形アクチュエータモジュールが、患者の空気経路の外側にあることを保証するので、線形アクチュエータモジュールは、最小限の表面洗浄で再利用することができる。気体弁の他の要素は、必要に応じて滅菌または交換することができる。さらに遠位ハウジングおよび近位ハウジングは、任意の圧力および流量感知管とともに、必要に応じて滅菌または交換することができる。
【0096】
パーカッション換気モード
上記で説明した線形アクチュエータは、電気信号に応答して迅速に動くことができる。通常、線形アクチュエータは、開位置と閉位置との間を1秒間に30回またはそれ以上の速さで動くことができる。気体調節弁が迅速かつ反復的に開閉されるとき、気体調節弁は、患者の気道内の分泌物を動かすことを助けることができるパーカッション換気モードで用いることができる。さらに、線形アクチュエータの迅速な応答により、気体調節弁を、圧力センサおよび流量センサによって感知される現在の動作状態に迅速に適合させることが可能になる。これにより、この気体調節弁を備える呼吸補助装置に連結させられるときに、患者が呼吸することをより容易にすることができる。
【0097】
能動可変ベント
上記で説明したような線形アクチュエータはまた、可変通気呼吸マスクを備える、呼吸補助装置の一部として使用することもできる。そのような装置の一例を
図16に示す。
【0098】
可変通気呼吸マスク1400は、マスクシェル1402、気体供給ホース1406、および、使用者の顔に対する良好な封止を保証するための任意選択のガスケット1404を備える。マスク1400はまた、上記で説明したような線形アクチュエータを有する流量調節器1410を備える。ただしこの例では、線形アクチュエータの部品を、気体供給ライン上に設けられる上記で説明した線形アクチュエータにおける部品よりも、物理的に小さくすることができる。電気ケーブル1412は、流量調節器1410を制御機構に接続する。
【0099】
上記で説明した機構と同様、流量調節器1410の線形アクチュエータは、マスクから気体が出ることを可能にする開口部のサイズを変えるように、遮断要素を動かして流路内の開口部と係合および分離させる。こうして線形アクチュエータは、マスクを出る流量を選択的に変えることができる。気体が相対的に一定の圧力でマスクに供給される場合、線形アクチュエータは、使用者が吸息および呼息する間にマスク内で相対的に一定の圧力が維持されることを保証するように、開口部のサイズを制御することができる。すなわちこのタイプのマスクは、CPAPシステムにおいて特に有用となり得る。いくつかの実施形態では、線形アクチュエータは、マスク内の内圧を監視する制御装置によって作動させることができる。
【0100】
上記で説明した弁と同様、流量調節器1410内の線形アクチュエータの要素は、気体流路から完全に隔離することができる。その結果、線形アクチュエータは、線形アクチュエータ自体を滅菌することを必要とせずに、様々な患者に再使用することができる。たとえば線形アクチュエータを、第1の使用者のマスクの第1の流量調節器1410内に設置し、次いで線形アクチュエータを、そのマスクから取り外し、線形アクチュエータを滅菌せずに第2の使用者のマスクの流量調節器1410内に設置することができる。
【0101】
図16に示すようなマスクはまた、上記で説明したような線形アクチュエータを有する流体弁1420を気体供給ライン1406内に備えるシステム内で使用することもできる。流体弁1420内の線形アクチュエータはまた、電気ケーブル1422によって制御装置に連結される。このタイプのシステムでは、気体供給ライン内の弁1420の線形アクチュエータと、マスクの流量調節器1410の線形アクチュエータを、同じ制御装置で作動させることができる。また、2つの線形アクチュエータを選択的に作動させることにより、制御装置は、マスクを出入りする気体の流れの極めて良好な制御を実現することができる。
【0102】
既存の装置への組込み
上記で説明したような気体調節弁は、相対的に小型かつ単純な構造を用いて、患者への気体の送達を制御することができる。こうして弁は、
図1a〜
図1dおよび
図2a〜
図2dに示すものなど、既存の換気装置および呼吸補助装置上に組み込むことができる。特に、空気圧力に基づいて予め動作させられた近位弁を置き換えるために、上記で説明したような気体調節弁のうちの1つを
図2a〜
図2dに示す実施形態内に組み込むことができうる。これにより、気体調節弁の開閉を制御するための別個の空気管23の必要がなくなり、それによる制御構造の単純化が見込まれる。
図2a〜
図2dに示す装置に対するこれらの変更により、装置のサイズが縮小され、場合によっては、装置の持ち運びがより容易になる。さらに、電気制御される線形アクチュエータを有する気体調節弁は、より迅速かつ精密に開閉可能にすることができる。
【0103】
再配置される弁アセンブリおよび/または多数の弁アセンブリを有する呼吸補助システム
図3に示す呼吸補助システムは、患者に送達される空気流を制御する単一の気体調節弁32を備え、気体調節弁は、患者Pに隣接して配置される。
【0104】
いくつかの実施形態では、
図3に示す呼吸補助システムの気体供給源Sは、患者への治療を行うために、加湿気体または加湿環境の空気を送達する。加湿気体は通常、正常な周囲温度より高い温度で、気体供給源Sから出力される。加湿気体は、患者に到達する前に、気体送達ラインおよび気体調節弁を通って移動する。加湿気体は、この流路に沿って移動するとき、冷却および凝縮する傾向がある。その結果、加湿気体中の水蒸気の一部が気体供給ライン内で凝縮し、集まることがある。凝縮水の存在は、治療の提供を阻害するおそれがあり、また微生物の成長による患者の感染をもたらすおそれがある。
【0105】
加湿気体を送達するいくつかの呼吸補助装置では、治療は断続的にのみ行われる。たとえば呼吸補助装置は、必要とされるときにのみ治療を行い、治療が必要とされないときに止まるように設計することができる。治療は、いびきが検出されるときにのみ提供することができ、いびきが止まると、治療を中断することができる。他の例では、呼吸補助装置は、患者が睡眠段階4にあるときにのみ、あるいは患者が睡眠段階3または4にあるときにのみ、治療を提供するように構成することができる。他のすべての場合には、治療は提供されない
【0106】
他の例では、呼吸補助装置は、周期的に治療を提供するように構成することができる。たとえば呼吸補助装置は、第1の所定の期間に治療を行い、第2の所定の期間に治療を中断するように構成することができる。このオン/オフの周期は、無期限に続けることができる。
【0107】
加湿気体を送達する呼吸補助装置がオンおよびオフに切り換えられるとき、オフ時間中に、気体供給ライン内に留まる何らかの加湿気体が冷却される傾向があり、気体中の水蒸気は、気体供給パイプ内で凝縮し、集まるおそれがある。上述のように、気体供給ライン内に凝縮水が存在することにより、後続の治療周期の効率が低減されるおそれがあり、かつ、微生物の成長による感染のリスクが生じる。
【0108】
図3に示すようなシステムでは、治療が終了したとき、または一時的に中断させられたときに、気体調節弁が、「開」位置へと戻り、それにより患者が呼吸することを可能にし、また、患者に隣接する気体送達ラインの端部を大気へと開く。ただし、患者側でのみ大気に開くので、気体送達ライン内の加湿空気内のすべての水蒸気を逃がすことは困難である。
【0109】
図17は、気体調節弁が患者側から気体供給源側に再配置された、第1の代替実施形態を示す。この実施形態では、気体供給源2000は、出力パイプ2012を通じて加湿気体または加湿周囲空気を提供する。遠位の気体調節弁2100は、出力パイプ2012に連結される。遠位の気体調節弁2100はまた、気体供給ライン2010の第1の端部に結合され、第1の端部は、患者インタフェース2030へと続く。患者インタフェース2030は、開いたCPAP治療を提供するために使用されるものなど、鼻マスク、全面マスク、鼻プロング、または鼻カニューレなどいかなるタイプの患者インタフェースユニットとすることもできる。遠位の気体調節弁2100は、
図12〜
図15bに示すような直線的に作動させられる気体調節弁のうちの1つとすることができる。
【0110】
図17に示すシステムは、気体調節弁が加湿器の出口に取り付けられる、開いたCPAPシステムとして用いることができる。いくつかの実施形態では、補助気体供給ライン2040もまた、所定の量の酸素など追加気体を、気体供給ライン2010へと送達することができる。補助気体供給ライン2040は、
図17に示すように、遠位の気体調節弁2100の患者側で気体供給ライン2010に結合することができる。代替実施形態では、補助気体供給ライン2040は、出力パイプ2012に結合することができる。
【0111】
気体供給源2000と患者インタフェース2030との間の距離が短い限り、気体調節弁を気体供給源に隣接する位置に再配置することができ、そうすることは、上記で議論した凝縮の問題を低減するのに役立つ。治療周期中は、遠位の気体調節弁2100は閉じられ、または少なくとも部分的に閉じられる。したがって治療空気は、遠位の気体調節弁2100および送達管2010を通り、患者インタフェースへと進む。
【0112】
治療が中断されるとき、遠位の気体調節弁2100は、気体送達管2010を大気へと開き、気体は患者インタフェースへと流れない。こうして空気送達管2010は、気体供給源から切り離される。気体調節弁は、上記で説明したように、望まれるときまたは必要とされるときにのみ、治療の送達を制御するために使用することができる。
【0113】
いくつかの実施形態では、気体供給源はまた、治療を中断するために遠位の気体調節弁2100が大気へと開かれるのと同時にオフにし、または非作動状態にすることができる。これによりまた、加湿器/気体供給源を通る流れがなくなり、それにより、加湿器内の加熱された水の冷却がより少なくなる。結果的に、治療が再開されるときに、効果的な治療を迅速に開始することができるように、加湿器内の水の温度が実質的に維持される。加湿器内の水の再加熱による遅延が短縮され、またはなくなる。治療が再開されるとき、気体供給源がオンにされ、または再び作動させられ、遠位の気体調節弁2100が大気に対して閉じられ、または少なくとも部分的に閉じられる。
【0114】
治療が中断し、患者が気体送達管2010を通じて呼吸するとき、患者の呼吸は、終了したばかりの治療周期からの、気体送達管内に残るいかなる水分も追い出す。すなわち、気体調節弁のみを気体送達管2010の気体供給源2000に配置することは、気体送達管内の凝縮を防ぐのに役立つ。気体調節弁2100は、空気送達管内で生じる凝縮をなくしまたは少なくとも低減し、かつ加湿器内の温水を隔離する、蒸気停止システムを提供する。治療が中断されるときにシステム内に存在する飽和蒸気は、患者が「押し出し」回路を設けることで、迅速に放出される。空気送達管を通る通気を作り出すことにより、管が乾燥すること、および凝縮を防止することが可能になる。
【0115】
一実施形態では、このシステムは、2009年5月28日に出願されWO2009/146484として公開された、本出願人の同時係属中のPCT出願PCT/AU2009/000671号に記載される装置など、開いたCPAP装置とともに使用することができる。開いたCPAPシステムでは、患者インタフェースは、鼻カニューレを備えることができる。他の実施形態では、システムは、マスクまたは鼻プロングを用いるCPAPシステムとともに用いることができる。
【0116】
図18は、気体調節弁が気体送達管2010の両端部に配置される、別の代替実施形態を示す。この実施形態では、近位気体調節弁2200は、気体送達管の第2の端部と患者インタフェースとの間に連結させられる。
【0117】
図18に示す呼吸補助装置は、治療が中断されるときに、遠位の気体調節弁2100および近位気体調節弁2200の両方が、自動的に開位置となるように構成される。これは、気体供給ライン2010の両端部が大気へと開くことを意味し、それにより、治療が中断されたときに気体供給ライン2010に残される何らかの水分を、より迅速に消散および蒸発させることを助ける。
【0118】
図3、
図17、および
図18に示すようないくつかの呼吸補助装置は、乾燥を促進し、望ましくない凝縮を減少させるように設計された、加熱される気体送達管を備える。
図3に示すように、近位気体調節弁のみが設けられる場合、および患者インタフェース側が、気体供給源よりも低い場合、気体送達ラインの加熱は、治療周期と治療周期の間に湿った空気を押し出すのに効果的ではないことがある。こうした状況では、気体送達ライン内の湿った空気を加熱することにより、湿った空気が、気体送達ラインから出ることができない気体供給源側へと上昇させられる。
【0119】
ただし、遠位気体調節弁2100および近位気体調節弁2200の両方が設けられる場合、どちらの端部がより高いかは問題にならない。両方の気体調節弁が開いている間に、治療周期と治療周期の間で気体送達ラインを加熱することにより、気体送達ライン内の湿った気体が、より高い端部へと上昇し、そこから脱け出す。
【0120】
図17および
図18に示す呼吸補助装置のいくつかの実施形態では、遠位の気体調節弁2100はまた、治療が中断されるときに出力パイプ2012を密封するための手段を備えることもできる。これらの実施形態では、遠位の気体調節弁2100が「開いた」位置に配置されるとき、気体送達ライン2010が大気へと開き、出力パイプ2012が封止される。出力パイプを封止することは、非治療期間中に、気体供給源2000内の加熱された何らかの気体が脱け出すことを防止するのに役立つ。出力パイプ2012の封止はまた、気体供給源2000内の何らかの加熱された水または液体を、高い温度に保つのにも役立つ。気体供給源2000が加湿気体を供給するために必要な温度まで液体を加熱する間に遅延が生じないので、後に治療が再開されるとき、気体供給源は加湿気体を即座に送達することができる。
【0121】
上記で説明したすべての実施形態において、気体調節弁と気体供給源は、好ましくは、何らかの要素が故障した場合にすべての要素がオフになるように連結される。上記で説明したように、気体調節弁がオフになるとき、それらは単純に、自動的に開位置となる。
【0122】
呼気流量の測定を伴う呼吸補助システム
図19は、呼吸補助装置を示す。装置は、気体調節弁3030を通して気体の流れを患者インタフェース3040に供給する、流量制御装置3000を備える。
図6a〜
図15bに示すように、かつ上記で説明したように、気体調節弁は、直線的に作動させられる気体調節弁とすることができる。
【0123】
流量制御装置3000は、通常大気である治療気体の流れを発生させる、流れ発生器3010を備える。逆止め弁3012は、流れ発生器3010に連結される出力ラインを選択的に遮断するように動作することができる。また、供給ラインの圧力センサ3016は、気体調節弁3030へと続く気体供給ライン3017内の圧力を感知する。流れ発生器3010、逆止め弁、および供給ラインの圧力センサ3016はすべて、制御装置3014に結合される。
【0124】
気体調節弁は、制御装置3014から弁駆動ライン3018を通じて供給される信号に応答して開閉する。
【0125】
また、2つのバイパス流導管3022が、気体調節弁3030と流量制御装置内の流量センサ3020との間に結合される。患者が呼息するとき、呼気流量のごく一部が一方のバイパス流導管を下り、流量センサ3020を横断し、もう一方のバイパス流導管を後退して気体調節弁へと戻る。流量センサ3020が発生させる、呼気流量を示す信号は、制御装置3014に伝達される。
【0126】
呼吸補助装置は、患者が吸息するときに逆止め弁3012が開き、気体調節弁3030が閉じるように構成される。その結果、加圧された気体が、流れ発生器3010から気体供給ライン3017を通り、気体調節弁3030を通り、患者インタフェース3040内へと流れる。患者が呼息するとき、制御装置によって逆止め弁3012が閉じられ、気体調節弁3030が少なくとも部分的に開く。その結果、圧縮された気体は気体供給ライン3017を下って流れず、開かれた気体調節弁3030を通じて患者が呼息することが可能になる。いくつかの例では、気体調節弁が開かれる度合は、呼息工程全体を通して所望の圧力を維持するように、制御装置3014によって選択的に変えられる。
【0127】
多くの例において、適当な治療を患者に提供するために、患者の呼気流量を測定することが望ましい。
図19に示す実施形態では、呼気流量は、流量センサ3020によって測定される。代替実施形態では、制御装置3014は、流量センサ3020からの信号に基づいて、呼気流量を決定することができる。
【0128】
バイパス流導管および流量センサ3020を設けることにより、かなりの嵩およびコストがシステムに加わる。また、バイパス流導管の配置が、不都合となることがある。患者の呼息の一部が、バイパス流導管3022を通り、流量センサ3020を通って流れることは、患者の呼息抵抗が、そうでない場合よりも大きくなり得ることを意味する。さらに、患者の呼息が流量センサに連通させられるので、流量センサ3020が汚染され、このシステムを使用するそれぞれの新しい患者のために、流量センサ3020を交換することが必要になる。
【0129】
患者の呼気流量を感知するための別のやり方は、
図20に示すようなシステムを用いて実現することができる。この実施形態では、流量センサ3020およびバイパス流導管がない。ただし、圧力センサ3042が、患者インタフェースに加えられる。圧力センサは、気体調節弁3030へと延在する電力ラインから電力を得る電子センサとすることができ、この圧力センサは、弁駆動ラインとともに延在する1つまたは複数の追加のワイヤに沿って、センサ信号を制御装置3014へと送信する。代替実施形態では、圧力センサは、気体調節弁3030の近位側に配置することができる。
【0130】
上記で説明したように、気体調節弁3030は、呼気中に少なくとも部分的に開き、患者は、大気への開口部を通じて呼息する。呼気流量は、患者インタフェースと大気との間の圧力降下、および気体調節弁3030によって示されるインピーダンスに基づいて計算することができる。Pmaskが、気体調節弁の患者側の圧力であり、Patmが大気圧である場合、一般式は、
【0131】
呼気流量=(Pmask−Patm)/弁インピーダンスとなる。
【0132】
上記で説明するように、気体調節弁によって提供される開口部は、呼息中の所望の圧力を維持するために、制御装置3014によって選択的に変えられる。その結果、弁インピーダンスは、呼息中に変動する。
【0133】
上記で説明したように、
図6a〜
図15bに示すような気体調節弁は、コイルに信号を加えることによって開閉される。コイルに信号が加えられない場合、弁は開いたままとなる。コイルに加えられる信号の値が大きいほど、弁はより大きく閉じる。その結果、気体調節弁によってもたらされる流れ抵抗の大きさが、気体調節弁に加えられる駆動信号と比例する。信号の値が大きいほど、弁がより大きく閉じ、流れ抵抗がより大きくなる。
【0134】
弁インピーダンスが、制御装置2014によって弁に加えられる信号の値と直線的に比例する場合、駆動信号の値を、相関定数とともに実際の弁インピーダンスの代用として単純に用いることができる。相関係数がKである場合、呼気流量を計算するための用いられる等式は、
【0135】
呼気流量=(K)*(Pmask−Patm)/弁駆動信号となる。
【0136】
実際、弁インピーダンスは、駆動信号の値に直線的に比例しない。ただし、導電性実験の後に、弁駆動信号の様々な異なる値に関する弁インピーダンスを提供する、ルックアップテーブルを作り出すことができる。次いで、呼気流量を計算するために、ルックアップテーブルを用いて得られる弁インピーダンスを、圧力差とともに用いることができる。
【0137】
また、患者インタフェース3040内、または気体調節弁の患者側で用いられる圧力センサ3042が、大気圧に対する気体調節弁の患者側の圧力を示す場合、PmaskとPatmの間の圧力差を求める等式の部分は単純に、圧力センサ3042の出力によって与えられる。
【0138】
上記を鑑みると、気体調節弁に加えられる信号の値および圧力センサ3042から出力される信号の値を用いて、呼気流量を厳密に推定することができる。
【0139】
代替実施形態では、気体調節弁3030の患者側の圧力は、気体調節弁の患者側で開口部に結合された、単一のバイパス導管3022を有することによって感知することもできる。この単一のバイパス流導管は、流量制御装置3000上の圧力センサにつなげることができる。
【0140】
呼息中は、逆止め弁3012が閉じられるべきであり、気体調節弁の遠位側に陽圧空気が加えられるべきではない。ただし、呼吸補助装置の特定の実施形態が、呼気中に流れ発生器3010によって陽圧空気が加えられることを求める場合、その圧力の値は、供給ライン圧力センサ3016によって提供される。こうして、その圧力の値を、呼気流量の計算において考慮することができる。
【0141】
患者の吸気流を推定するために、同様の技法を用いることができる。患者の吸気中は、気体調節弁3030が閉じられ、気体が流れ供給部3010から、気体供給ライン3017を通り、気体調節弁3030を通り、患者インタフェース3040内へと流れる。Pfgが、流れ供給部によって供給されるような気体の圧力である場合、Pmaskは、気体調節弁の患者側の圧力であり、全インピーダンスは、気体供給ライン3017および気体調節弁3030によってもたらされるインピーダンスであり、吸気流は、以下の等式によって与えられる。
【0142】
吸気流=(Pfg−Pmask)/全インピーダンス
【0143】
圧力センサ3016が、流れ供給部3010にて提供されるので、Pfgはわかる。同様に、気体調節弁3030の患者側の圧力は、患者インタフェース上、または気体調節弁の患者側の圧力センサによって感知されるので、Pmaskもわかる。同様に上述のように、気体調節弁の患者側の圧力もまた、バイパス導管によって気体調節弁3030の患者側に結合された流量制御装置3000上の圧力センサによって感知することができる。
【0144】
システムの全インピーダンスは、気体調節弁3030、および流れ供給部3010と気体調節弁との間に配置される要素、特に気体供給ライン3017によって提供される、インピーダンスを含む。インピーダンスは、供給圧力に関して非線形に変動する。こうして、全インピーダンスを気体供給圧力Pfgの関数として示すルックアップテーブルを作り出すために、実験を行うことができる。あるいはルックアップテーブルは、全インピーダンスを、気体調節弁の患者側の圧力の関数として示すことができる。
【0145】
上記で説明したように、Pfg、Pmask、および全インピーダンスが決定されると、吸気流を推定することができる。
【0146】
本発明を、最も実用的かつ好ましい実施形態であると現在考えられているものに関連付けて説明してきたが、本発明は、開示された実施形態に限定されず、反対に、本発明の精神および範囲内に含まれる様々な修正形態および同等構成を網羅することが意図されることを理解されたい。また、上記で説明した様々な実施形態は、他の実施形態と併せて実装することができ、たとえば、さらに別の実施形態を実現するために、一実施形態の態様を、別の実施形態の態様と組み合わせることができる。さらに、いかなる所与のアセンブリのそれぞれの独立した特徴部分または構成要素も、さらなる実施形態を構築することができる。
【0147】
さらに、所与の何らかのアセンブリのそれぞれ個々の構成要素、所与の何らかのアセンブリの個々の構成要素の1つまたは複数の部分、および1つまたは複数の実施形態からの構成要素の様々な組み合わせは、1つまたは複数の装飾的な設計特徴部分を備えることができる。
【0148】
さらに本発明は、換気装置を必要とする患者またはOSAを患う患者への特定の応用例を有するが、他の疾患(たとえば欝血性心不全、糖尿病、病的肥満、脳卒中、肥満手術など)を患う患者も、上記教示による利益を得ることができることを理解されたい。さらに上記教示は、非医療的応用例においても同様に、患者および非患者への適用性を有する。
【0149】
本願には、下記の発明も含まれる。
[項目1]
気体調節弁のための線形アクチュエータであって、
ハウジングと、
前記ハウジング内部に取り付けられるヨークと、
前記ヨーク内に挿入されるコイルアセンブリと、
前記コイルアセンブリ内に挿入される磁気要素と、
前記ヨークの前記外面に結合される回路アセンブリと、
内部を通る気体流路を受けるようになされる中央開口部と、
を備え、
前記コイルアセンブリが、ワイヤコイルが巻かれたボビンと、前記ワイヤコイルの端部を、前記ヨーク内に設けられた開口部を通して前記回路アセンブリに取り付けることを容易にするようになされたワイヤ位置合せ構造と、を含み、
前記コイルアセンブリが、前記磁気要素によって加えられる電磁力に応じて前記ヨーク内で直線方向に動くようになされることを特徴とする線形アクチュエータ。
[項目2]
前記回路が可撓性の回路であることを特徴とする項目1に記載の線形アクチュエータ。
[項目3]
前記磁気要素が磁石を備え、前記磁石に磁極片が結合されていることを特徴とする項目1または2に記載の線形アクチュエータ。
[項目4]
円形断面形状を有することを特徴とする項目1から3のいずれか一項に記載の線形アクチュエータ。
[項目5]
前記中央開口部が、円形断面形状を有することを特徴とする項目4に記載の線形アクチュエータ。
[項目6]
前記ワイヤ位置合せ構造が、前記ボビンの第1の端部から延在する一対のアームであることを特徴とする項目1から5のいずれか一項に記載の線形アクチュエータ。
[項目7]
項目1から6のいずれか一項に記載の線形アクチュエータと、
前記線形アクチュエータの前記中央開口部内に配置されるように構成される気体流路を備えるハウジングと、
薄膜アセンブリと、
を備え、
前記線形アクチュエータが、前記気体流路を通る気体から隔離されることを特徴とする気体調節弁。
[項目8]
前記ハウジングが、2つの部分、すなわち、近位ハウジング部分および遠位ハウジング部分で形成され、前記2つの部分が、前記線形アクチュエータを前記ハウジング内に固定するために互いに結合されることを特徴とする項目7に記載の気体調節弁。
[項目9]
前記近位ハウジング部分が、前記気体流路を形成する突起を含み、前記気体流路が、前記線形アクチュエータの前記中央開口部の第1の端部を通して挿入されることを特徴とする項目8に記載の気体調節弁。
[項目10]
前記薄膜アセンブリが、前記線形アクチュエータの前記第2の端部に挿入され、前記近位ハウジング部分の前記気体流路に結合されることを特徴とする項目9に記載の気体調節弁。
[項目11]
前記遠位ハウジング部分が、前記薄膜アセンブリおよび線形アクチュエータを覆って挿入され、前記近位ハウジング部分に結合されることを特徴とする項目10に記載の気体調節弁。
[項目12]
前記ハウジングに取り付けられる感知管をさらに備えることを特徴とする項目7から11のいずれか一項に記載の気体調節弁。
[項目13]
前記近位ハウジング部分および前記遠位ハウジング部分のうちの一方が、気体が前記弁を通過して大気中に抜け出すことを可能にするようになされた少なくとも1つの開口部を含むことを特徴とする、項目8に記載の気体調節弁。
[項目14]
前記薄膜アセンブリが、閉塞要素と、アクチュエータリングと、締め付けリングと、を備え、前記閉塞要素を、前記少なくとも1つの開口部を閉じる閉位置と前記少なくとも1つの開口部を開く開位置との間で動かすことができることを特徴とする項目13に記載の気体調節弁。
[項目15]
前記線形アクチュエータにより、前記閉塞要素が前記開位置と閉位置との間で動かされるように、前記閉塞要素が、前記線形アクチュエータに結合されることを特徴とする項目14に記載の気体調節弁。
[項目16]
前記閉塞要素が薄膜であることを特徴とする項目14または15のいずれか一項に記載の気体調節弁。
[項目17]
前記薄膜が、前記少なくとも1つの開口部の前記開放を制御し、かつ前記線形アクチュエータを前記気体流路から隔離するように機能することを特徴とする項目16に記載の気体調節弁。
[項目18]
前記気体調節弁の電源異常の場合に、前記少なくとも1つの開口部が大気へと開くことを保証するように、前記薄膜が戻りばねとして作用することを特徴とする項目16または17のいずれか一項に記載の気体調節弁。
[項目19]
ハウジングと、
前記ハウジング内部に取り付けられるヨークと、
前記ヨークの内部に可動式に取り付けられたボビンであって、前記ボビンの第1の端部から延在する第1および第2のアームを有し、ワイヤコイルが周りに巻かれるボビンと、
前記ヨークに取り付けられた中心部分と、前記中心部分から延在する第1および第2の延長部とを有する可撓性の回路アセンブリであって、前記第1の延長部は前記ボビンの前記第1のアームに、第2の延長部は前記ボビンの前記第2のアームにそれぞれ取り付けられ、
第1および第2の電気接点が前記中心部分上に形成され、前記第1の電気接点が前記ワイヤコイルの第1の端部に、前記第2の電気接点が前記ワイヤコイルの第2の端部にそれぞれ取り付けられる、可撓性の回路アセンブリと、
前記ヨークに取り付けられる磁石と、
を備えることを特徴とする気体調節弁のための線形アクチュエータ。
[項目20]
前記ワイヤコイルの前記第1の端部が前記ボビンの前記第1のアームの上方に、前記ワイヤコイルの前記第2の端部が前記ボビンの前記第2のアームの上方にそれぞれ延在し、前記ワイヤコイルの前記第1の端部が前記可撓性の回路アセンブリ内の第1の導電路に、前記ワイヤコイルの前記第2の端部が前記可撓性の回路アセンブリ内の第2の導電路にそれぞれ電気的に結合され、前記第1の導電路が前記可撓性の回路アセンブリの前記第1の電気接点に、前記第2の導電路が前記可撓性の回路アセンブリの前記第2の電気接点にそれぞれ結合されることを特徴とする項目19に記載の線形アクチュエータ。
[項目21]
前記ハウジング、ヨーク、ボビン、および磁石が円筒形状を有することを特徴とする項目19に記載の線形アクチュエータ。
[項目22]
前記可撓性の回路アセンブリが、全体的に馬蹄形であり、前記第1および第2の延長部が弧形状のアームを形成することを特徴とする項目21に記載の線形アクチュエータ。
[項目23]
前記円筒状の磁石の中心部分が開き、前記ヨークの中心部分が開き、前記ハウジングの中心部分が開き、前記可撓性の回路アセンブリの前記第1および第2の弧形状のアームが、前記円筒状の磁石、ヨーク、およびハウジング内の前記開口部の周りに延在することを特徴とする項目22に記載の線形アクチュエータ。
[項目24]
前記線形アクチュエータの前記中心を通る通路を形成するように、前記ハウジング、前記ヨーク、前記ボビン、および前記磁石の中心部分が開いていることを特徴とする項目19に記載の線形アクチュエータ。
[項目25]
項目24に記載の線形アクチュエータを備える気体調節弁。
[項目26]
気体送達管に取り付けるように構成される第1のハウジング部分と、
患者インタフェースに取り付けられるように構成される第2のハウジング部分と、
薄膜アセンブリであって、前記第1および第2のハウジング部分を通り、かつ前記薄膜アセンブリを通る気体が、前記線形アクチュエータから隔離されるように、前記第1のハウジング部分と第2のハウジング部分との間に結合された薄膜アセンブリと、
をさらに備え、
前記第1および第2のハウジング部分のうちの一方が、少なくとも部分的に前記線形アクチュエータの中心の前記通路を通って延在することを特徴とする項目25に記載の気体調節弁。
[項目27]
前記第1および第2のハウジング部分のうちのもう一方が、前記線形アクチュエータの前記円筒状のハウジングの外部に取り付けられ、かつ、少なくとも部分的に前記ハウジングの外部を取り囲むことを特徴とする項目26に記載の気体調節弁。
[項目28]
少なくとも1つの開口部が、前記第1および第2のハウジング部分のうちの一方の内部に形成され、前記薄膜アセンブリの一部が、前記少なくとも1つの開口部を閉じる閉位置と前記少なくとも1つの開口部を開く開位置との間で動かすことができる閉塞部材を備えることを特徴とする項目26に記載の気体調節弁。
[項目29]
前記線形アクチュエータが前記閉塞部材を前記開位置から前記閉位置へと動かすことができるように、前記薄膜アセンブリが前記線形アクチュエータの前記ボビンに結合されることを特徴とする項目28に記載の気体調節弁。
[項目30]
前記少なくとも1つの開口部が、前記第1のハウジング部分上に形成され、前記第1のハウジング部分が、円筒状の封止面を備え、前記線形アクチュエータが、前記第1のハウジング部分上の前記少なくとも1つの開口部を閉じるために、前記閉塞部材上の封止面を前記第1のハウジング部分上の前記封止面に係合させることを特徴とする項目29に記載の気体調節弁。
[項目31]
前記薄膜アセンブリが、
前記第1のハウジング部分と前記第2のハウジング部分との間に結合される、可撓性円筒状の薄膜と、
前記可撓性円筒状の薄膜の中心部分に結合される実質的に剛性の作動リングと、
を備え、
前記線形アクチュエータの前記ボビンの下方端部が、前記閉塞部材を前記開位置から前記閉位置へと動かすために前記作動リングを押すことを特徴とする項目29に記載の気体調節弁。
[項目32]
前記薄膜アセンブリに結合される流量制限器をさらに備え、前記流量制限器が、少なくとも部分的に前記線形アクチュエータの前記中央通路を通って延在し、前記流量制限器が、前記第1および第2のハウジング部分のうちの一方に結合されることを特徴とする項目26に記載の気体調節弁。
[項目33]
少なくとも1つのセンサ開口部が、前記第2のハウジング部分内に形成され、前記センサ開口部が、前記第2のハウジング部分の内部をセンサ管に結合させるように構成されることを特徴とする項目26に記載の気体調節弁。
[項目34]
項目26に記載の気体調節弁を備える、呼吸補助装置。
[項目35]
項目19に記載の線形アクチュエータを備える、可変通気呼吸マスク。
[項目36]
内部を通って延在する中央通路を有する、全体的に線形のアクチュエータと、
気体送達管に取り付けるように構成される第1のハウジング部分と、
患者インタフェースに取り付けられるように構成される第2のハウジング部分と、し、前記気体調節弁が、
前記第1および第2のハウジング部分を通り、かつ、前記薄膜アセンブリを通る気体が、前記線形アクチュエータから隔離されるように、前記第1のハウジング部分と第2のハウジング部分との間に結合された薄膜アセンブリと、
を備え、
前記第1および第2のハウジング部分の一方が少なくとも部分的に、前記線形アクチュエータの前記中心通路を通って延在することを特徴とする気体調節弁。
[項目37]
前記第1および第2のハウジング部分のうちの少なくとも一方が、前記線形アクチュエータに取り付けられることを特徴とする項目36に記載の気体調節弁。
[項目38]
少なくとも1つの開口部が、前記第1および第2のハウジング部分のうちの一方の内部に形成され、前記薄膜アセンブリの一部が、前記少なくとも1つの開口部を閉じる閉位置と前記少なくとも1つの開口部を開く開位置との間で動かすことができる閉塞部材を備えることを特徴とする項目36に記載の気体調節弁。
[項目39]
前記線形アクチュエータが前記閉塞部材を前記開位置から前記閉位置へと動かすことができるように、前記薄膜アセンブリが前記線形アクチュエータの可動部分に結合されることを特徴とする項目38に記載の気体調節弁。
[項目40]
前記少なくとも1つの開口部が、前記第1のハウジング部分上に形成され、前記第1のハウジング部分が、封止面を備え、前記線形アクチュエータが、前記第1のハウジング部分上の前記少なくとも1つの開口部を閉じるために、前記閉塞部材上の封止面を前記第1のハウジング部分上の前記封止面に係合させることを特徴とする項目39に記載の気体調節弁。
[項目41]
前記薄膜アセンブリが、
前記第1のハウジング部分と前記第2のハウジング部分との間に結合される、可撓性の薄膜と、
前記可撓性薄膜の中心部分に結合される実質的に剛性の作動リングと、
を備え、
前記線形アクチュエータの可動部材が、前記作動リングを押して、前記閉塞部材を前記開位置から前記閉位置へと動かすことを特徴とする項目38に記載の気体調節弁。
[項目42]
前記薄膜アセンブリに結合される流量制限器をさらに備え、前記流量制限器が、少なくとも部分的に前記線形アクチュエータの前記中央通路を通って延在することを特徴とする項目36に記載の気体調節弁。
[項目43]
前記第1および第2のハウジング部分のうちの一方が、前記流量制限器に結合されることを特徴とする項目42に記載の気体調節弁。
[項目44]
少なくとも1つのセンサ開口部が、前記第1および第2のハウジング部分のうちの一方の内部に形成され、前記センサ開口部が、前記第1および第2の前記ハウジング部分によって形成される流路の内部にセンサを結合させるように構成されることを特徴とする項目36に記載の気体調節弁。
[項目45]
項目36に記載の気体調節弁を備える、呼吸補助装置。
[項目46]
気体調節弁を製造する方法であって、
中央気体通路の第1の区間を形成するために、線形アクチュエータを通して第1のハウジング部分の第1の端部を挿入するステップと、
前記中央気体通路の第2の区間を形成するために、薄膜アセンブリを前記第1のハウジング部分の前記第1の端部内に挿入し、前記薄膜アセンブリの第1の端部を前記第1のハウジング部分に結合させるステップと、
第2のハウジング部分を前記第1のハウジング部分に取り付けるステップと、
を含み、
前記第2のハウジング部分が、前記薄膜アセンブリの第2の端部に隣接する前記中央気体通路の第3の区間を提供し、したがって、前記中央気体通路が、前記第1のハウジング部分、前記薄膜アセンブリ、および前記第2のハウジング部分を通って形成され、前記中央気体通路が、前記線形アクチュエータから隔離されることを特徴とする方法。
[項目47]
前記第2のハウジング部分の少なくとも1つの外面が、前記第1のハウジング部分の少なくとも1つの外面に取り付けられることを特徴とする項目46に記載の方法。
[項目48]
前記第1のハウジング部分が、少なくとも1つのラッチ機構を外面上に備え、前記第2のハウジング部分が、少なくとも1つの相補的な受容機構を外面上に備えることを特徴とする項目47に記載の方法。
[項目49]
前記薄膜アセンブリの一部が、閉塞部材を備え、前記第2のハウジング部分が、少なくとも1つの開口部および封止面を備え、前記第2のハウジング部分を前記第1のハウジング部分に取り付ける前記ステップにより、前記線形アクチュエータが前記閉塞部材を前記少なくとも1つの開口部を閉じる閉位置と前記少なくとも1つの開口部を開く開位置との間で動かすことができるように、前記閉塞部材が前記第2のハウジング部分の前記封止面に隣接して位置決めされることを特徴とする項目48に記載の方法。
[項目50]
前記薄膜アセンブリを前記第1のハウジング部分の前記第1の端部内に挿入する前記ステップがまた、前記線形アクチュエータの可動部材を前記薄膜アセンブリの作動リングに結合させることを特徴とする項目46に記載の方法。
[項目51]
線形アクチュエータを製造する方法であって、
ボビン上に巻かれたワイヤコイルを有する中空ボビンを、中空ヨークの内側に挿入するステップと、
可撓性の回路アセンブリの中心部分を前記ヨークに取り付けるステップであって、前記可撓性の回路アセンブリが、前記中心部分から突出する第1および第2の延長部を有するステップと、
前記ワイヤコイルの第1および第2の端部を、前記可撓性の回路アセンブリの前記第1および第2の延長部に結合するステップと、
中空の磁石を前記ボビンの内側に挿入するステップと、
前記磁石を前記ヨークに取り付けるステップと、
を含むことを特徴とする方法。
[項目52]
前記中空ボビンが、前記ボビンの第1の端部から延在する第1および第2のアームを有し、前記方法が、前記可撓性の回路アセンブリの前記第1および第2の延長部の端部を、それぞれ前記ボビンの前記第1および第2のアームの端部に取り付けるステップをさらに含むことを特徴とする項目51に記載の方法。
[項目53]
前記可撓性の回路アセンブリの前記第1および第2の延長部の前記端部が、熱かしめによって前記ボビンの前記第1および第2のアームの前記端部に取り付けられることを特徴とする項目52に記載の方法。
[項目54]
前記可撓性の回路アセンブリの前記第1および第2の延長部の前記端部がそれぞれ、そこを通る開口部を有し、前記ボビンの前記第1および第2のアームそれぞれの端部に突起が形成され、前記可撓性の回路アセンブリの前記第1および第2の弧形状の延長部を前記ボビンの前記第1および第2のアーム端部に取り付けるステップが、前記ボビンの前記アーム上の前記突起を前記弧形状の延長部の前記端部内の前記開口部内に挿入するステップを含むことを特徴とする項目53に記載の方法。
[項目55]
前記ヨーク、ボビン、および磁石をハウジング内に挿入するステップと、前記ヨークを前記ハウジングに結合するステップと、をさらに含む、項目51に記載の方法。
[項目56]
前記ハウジングが、ワイヤアセンブリに結合される第1および第2の電気接点を備え、導電路が、前記可撓性の回路アセンブリ内に形成され、前記導電路が、前記ワイヤコイルの前記第1および第2の端部を前記可撓性の回路アセンブリの前記中心部分上に配置される第1および第2の接点に電気的に結合し、前記ヨーク、ボビン、および磁石を前記ハウジング内に挿入する前記ステップによって、前記可撓性の回路アセンブリ上の前記第1および第2の接点が前記ハウジング上の前記第1および第2の電気接点に結合されることを特徴とする項目55に記載の方法。
[項目57]
中空の磁極片を、前記磁石の端部および前記磁極片の端部を互いに当接させるように、前記ボビンの内側に取り付けるステップをさらに含むことを特徴とする項目51に記載の方法。
[項目58]
気体供給部と、患者インタフェースと、前記気体供給部と前記患者インタフェースとを結合させる気体供給ラインと、前記気体供給部から前記患者インタフェースへの流れを制御する気体調節弁と、を備える呼吸補助装置を用いて患者を治療する方法であって、前記気体調節弁が、前記患者の気道から密封される線形アクチュエータを備え、当該方法は、
前記供給ラインおよび前記患者インタフェースのうちの一方の気体圧力を感知するステップと、
前記線形アクチュエータのコイルの直線運動を生じるために、前記感知された気体圧力に基づく制御信号を前記気体調節弁の前記線形アクチュエータに送信するステップと、
を含み、
前記コイルの前記直線運動により前記気体調節弁の閉塞部材が動かされることを特徴とする方法。
[項目59]
前記制御信号により、前記患者の気道を取り囲むコイルの運動が生じるが、前記コイルが前記患者の気道との接触から密封されることを特徴とする項目58に記載の方法。
[項目60]
前記線形アクチュエータの前記コイルが、可撓性の回路アセンブリによって前記線形アクチュエータの固定ヨークに結合され、前記制御信号により前記コイルが動かされるとき、前記可撓性の回路アセンブリが前記コイルの運動に適応するように撓むことを特徴とする項目58に記載の方法。
[項目61]
呼吸補助装置を用いて患者を治療する方法であって、前記呼吸補助装置が、線形アクチュエータを有する患者インタフェースを備え、前記線形アクチュエータが、前記患者インタフェースの呼息通気部のサイズを制御し、前記線形アクチュエータが、前記患者の気道、気体供給部、および前記気体供給部と前記患者インタフェースとを結合する供給ラインから密閉され、当該方法は、
前記気体供給ラインおよび前記患者インタフェースのうちの少なくとも一方の内部の気体圧力を感知するステップと、
前記線形アクチュエータの直線運動を生じるために、前記感知された気体圧力に基づく制御信号を前記線形アクチュエータに送信するステップと、
を含み、
前記コイルの前記直線運動により前記呼息通気部の閉塞部材が動かされることを特徴とする方法。
[項目62]
前記制御信号により、患者の気道を取り囲む円筒状のコイルが前記呼息通気部を通って動かされるが、前記コイルは、前記患者の気道と接触しないように密閉されることを特徴とする項目61に記載の方法。
[項目63]
前記線形アクチュエータの前記コイルが、可撓性の回路アセンブリによって前記線形アクチュエータの固定ヨークに結合され、前記制御信号により前記コイルが動かされるとき、前記可撓性の回路アセンブリが前記コイルの運動を受容するように撓むことを特徴とする項目61に記載の方法。
[項目64]
気体供給部と、
患者インタフェースと、
前記気体供給部と前記患者インタフェースを結合する気体供給ラインと、
前記気体供給部と前記気体供給ラインとの間に結合される気体調節弁と、
を備え、
前記気体調節弁が、前記気体供給部から前記患者インタフェースへの前記気体の流れを制御し、前記気体調節弁が、前記患者の気道から密封された線形アクチュエータを備えることを特徴とする呼吸補助装置。
[項目65]
前記気体供給部が、加湿気体を供給することを特徴とする項目64に記載の呼吸補助装置。
[項目66]
前記気体調節弁が閉位置にあるとき、前記気体調節弁が前記気体供給部の出力ラインを前記気体供給ライン内へと結合し、前記気体調節弁が開位置にあるとき、前記気体調節弁が前記気体供給ラインを大気へと開くことを特徴とする項目64に記載の呼吸補助装置。
[項目67]
前記気体調節弁が前記開位置にあるとき、前記気体調節弁が、前記気体供給部の前記出力ラインを閉じることを特徴とする項目66に記載の呼吸補助装置。
[項目68]
前記気体調節弁が、遠位の気体調節弁を備え、かつ、前記患者インタフェースを前記気体供給ラインに結合する近位の気体調節弁をさらに備えることを特徴とする項目64に記載の呼吸補助装置。
[項目69]
前記遠位および近位気体調節弁が両方とも前記開位置にあるとき、前記気体供給ラインの両端部が大気へと開くことを特徴とする項目68に記載の呼吸補助装置。
[項目70]
気体調節弁に結合される患者インタフェースを備える呼吸補助装置を患者が用いるときの、前記患者の呼気流量を算出する方法であって、気体調節弁を通る流れを制御するために制御信号が前記気体調節弁に加えられ、前記方法が、
前記患者が呼息する間の前記患者インタフェース内の圧力と大気圧との間の圧力差を決定するステップと、
前記患者が呼息する間に前記気体調節弁に加えられる前記制御信号の値を決定するステップと、
前記決定された圧力差および前記制御信号の前記決定された値に基づいて、前記患者の呼気流量を算出するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
[項目71]
前記患者が呼息する間に、前記制御信号の前記決定された値に基づいて前記気体調節弁のインピーダンスを決定するステップをさらに含み、前記患者の呼気流量を算出するステップもまた、前記決定されたインピーダンスに基づくことを特徴とする項目70に記載の方法。
[項目72]
呼吸補助装置であって、
気体供給部と、
前記気体供給部に結合される気体供給ラインと、
患者インタフェースと、
前記患者インタフェース内の圧力を感知する圧力センサと、
前記気体供給ラインと前記患者インタフェースとの間に結合された気体調節弁であって、前記気体調節弁が前記気体供給ラインを前記患者インタフェースに結合する閉位置と前記気体調節弁が前記患者インタフェースを前記大気へと開く開位置との間で動く可動閉塞部材を含む、気体調節弁と、
前記圧力センサおよび前記気体調節弁に結合される制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記閉塞部材が前記開位置から前記閉位置へと動く度合を制御する制御信号を、前記気体調節弁へと送信し、前記患者が呼息するとき、前記圧力センサによって感知される前記患者インタフェース内の圧力と、前記気体調節弁へと送信される前記制御信号の値とに基づいて、前記制御装置が前記患者の呼気流量を算出することを特徴とする呼吸補助装置。
[項目73]
前記制御装置が、前記気体調節弁に送信された前記制御信号の前記値に基づいて前記気体調節弁のインピーダンスを決定し、前記制御装置が、前記決定されたインピーダンスに基づいて前記患者の呼気流量を算出することを特徴とする項目72に記載の呼吸補助装置。