特許第6977098号(P6977098)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6977098露光装置、パターン形成装置及び露光方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6977098
(24)【登録日】2021年11月12日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】露光装置、パターン形成装置及び露光方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 9/00 20060101AFI20211125BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20211125BHJP
【FI】
   G03F9/00 Z
   G03F7/20 501
【請求項の数】11
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2020-69429(P2020-69429)
(22)【出願日】2020年4月7日
(65)【公開番号】特開2021-165803(P2021-165803A)
(43)【公開日】2021年10月14日
【審査請求日】2021年4月22日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100124442
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 創吾
(72)【発明者】
【氏名】張 劬
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 徹
(72)【発明者】
【氏名】塚原 剛
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 恭平
【審査官】 植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2019−179186(JP,A)
【文献】 特開2005−092137(JP,A)
【文献】 特開平10−050601(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
G03F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上の層に第1パターンを露光する別の露光装置における露光の後に、前記第1パターンを露光する領域とは異なる前記層の領域に第2パターンを走査露光する露光装置であって、
前記基板上に形成された少なくとも2つのアライメントマークを含む第1マーク群の位置と、前記第1マーク群の2つのアライメントマークを結ぶ直線に対して垂直な成分を含む方向に前記基板を移動させた状態で形成された少なくとも2つのアライメントマークを含む第2マーク群の位置と、を計測する計測部を有し、
前記別の露光装置により計測された前記第1マーク群及び前記第2マーク群の位置と、前記計測部により計測された前記第1マーク群及び前記第2マーク群の位置との差分に基づいて、前記基板上に前記第2パターンを露光することを特徴とする露光装置。
【請求項2】
前記計測部で前記第1マーク群を計測したときの基板位置から、前記計測部で前記第2マーク群を計測したときの基板位置へ移動した方向に、前記第2パターンを走査露光することを特徴とする請求項に記載の露光装置。
【請求項3】
前記基板を保持する基板ステージを更に有し、
前記基板ステージの移動によるずれを補正して、前記基板上に前記第2パターンを走査露光することを特徴とする請求項又はに記載の露光装置。
【請求項4】
前記基板ステージに前記基板を載置したときの前記基板の回転方向の目標位置からの位置ずれか、前記基板ステージの移動による前記基板の目標位置からのずれか、を判別した結果に基づいて、前記基板上に前記第2パターンを走査露光することを特徴とする請求項乃至のいずれか1項に記載の露光装置。
【請求項5】
前記第1マーク群及び前記第2マーク群のアライメントマークを結んだ領域は、前記基板上に前記第1パターン及び第2パターンを露光する領域を含むことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の露光装置。
【請求項6】
前記第1パターン及び前記第2パターンの露光は、前記基板上に潜像パターンを形成することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の露光装置。
【請求項7】
前記アライメントマークは、前記第1パターンが露光される領域に対する前記第2パターンが露光される領域を決定するためのマークであることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の露光装置。
【請求項8】
基板上の層に第1パターンを形成する別のパターン形成装置におけるパターン形成の後に、前記第1パターンを形成する領域とは異なる前記層の領域に第2パターンを形成するパターン形成装置であって、
前記基板上に形成された少なくとも2つのアライメントマークを含む第1マーク群の位置と、前記第1マーク群の2つのアライメントマークを結ぶ直線に対して垂直な成分を含む方向に前記基板を移動させた状態で形成された少なくとも2つのアライメントマークを含む第2マーク群の位置と、を計測する計測部を有し、
前記別のパターン形成装置で得られた前記第1マーク群及び前記第2マーク群の位置と、前記計測部で得られた前記第1マーク群及び前記第2マーク群の位置との差分に基づいて、前記第2パターンを形成することを特徴とするパターン形成装置。
【請求項9】
第1露光装置で基板上の層に第1パターンを露光する第1工程、及び、第2露光装置で前記基板上の前記第1パターンを露光する領域とは異なる前記層の領域に第2パターンを露光する第2工程によって、前記基板上にパターンを露光する露光方法であって、
前記第1工程は、
第1基板位置において、少なくとも2つのアライメントマークを前記基板上に形成する第1マーク形成工程と、
前記第1マーク形成工程で形成された少なくとも2つのアライメントマークの位置を計測する第1計測工程と、
前記第1マーク形成工程で形成された2つのアライメントマークを結ぶ直線に対して垂直な成分を含む方向に、前記基板を移動させる移動工程と、
前記移動工程で移動させた基板位置において、少なくとも2つのアライメントマークを前記基板上に形成する第2マーク形成工程と、
前記第2マーク形成工程で形成された少なくとも2つのアライメントマークの位置を計測する第2計測工程と、
前記移動工程で前記基板を移動させた方向に走査しながら、前記基板上に前記第1パターンを露光する第1露光工程と、
を含み、
前記第2工程は、
前記第1マーク群及び前記第2マーク群の位置を、前記第2露光装置で計測する第3計測工程と、
前記第1計測工程前記第2計測工程で得られた前記第1マーク群及び前記第2マーク群の位置と、前記第3計測工程で得られた前記第1マーク群及び前記第2マーク群の位置との差分に基づいて、前記基板上に前記第2パターンを走査露光する第2露光工程と、
を含むことを特徴とする露光方法。
【請求項10】
第1露光装置で基板上の層に第1パターンを露光する第1工程と、
前記第1工程で露光された前記基板を現像する前に、第2露光装置で前記基板上の前記第1パターンを露光する領域とは異なる前記層の領域に第2パターンを露光する第2工程と、
前記第1工程及び前記第2工程で露光された前記基板を現像する第3工程と、を含み、
前記第1工程は、
第1基板位置において、少なくとも2つのアライメントマークを前記基板上に形成する第1マーク形成工程と、
前記第1マーク形成工程で形成された少なくとも2つのアライメントマークの位置を計測する第1計測工程と、
前記第1マーク形成工程で形成された2つのアライメントマークを結ぶ直線に対して垂直な成分を含む方向に、前記基板を移動させる移動工程と、
前記移動工程で移動させた基板位置において、少なくとも2つのアライメントマークを前記基板上に形成する第2マーク形成工程と、
前記第2マーク形成工程で形成された少なくとも2つのアライメントマークの位置を計測する第2計測工程と、
前記移動工程で前記基板を移動させた方向に走査しながら、前記基板上に前記第1パターンを露光する第1露光工程と、
を有し、
前記第2工程は、
前記第1マーク群及び前記第2マーク群の位置を、前記第2露光装置で計測する第3計測工程と、
前記第1計測工程前記第2計測工程で得られた前記第1マーク群及び前記第2マーク群の位置と、前記第3計測工程で得られた前記第1マーク群及び前記第2マーク群の位置との差分に基づいて、前記基板上に前記第2パターンを走査露光する第2露光工程と、
を有し、
前記第3工程で現像された前記基板から物品を製造することを特徴とする物品の製造方法。
【請求項11】
請求項に記載の露光方法の各工程の制御をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上にパターンを露光する露光装置、パターンを形成するパターン形成装置、露光方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、フラットパネルディスプレイ(FPD)においてはパネルの大きさが大型化しており、パネルの基台としての基板を無駄なく利用することが求められている。そのため、1枚の基板に複数の異なるサイズのパネルを複数の装置を用いて形成する、いわゆるMMG(Multi Model on Glass)と呼ばれる技術が提案されている(特許文献1参照)。このようなMMG技術では、複数の装置によって基板上の1つの層に形成された複数のパターン全体での寸法と位置とが、パターンの形成精度の評価指標として用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−092137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
MMG技術に用いられる複数の装置では、パターンの形成特性に個体差が生じていることがある。この場合、複数の装置によりそれぞれ形成された複数のパターンの位置関係が目標位置に対してずれてしまい、基板上にパターンを精度よく形成することが困難になる。
【0005】
そこで、本発明は、MMG技術におけるパターンの形成精度の低下を抑制するために有利な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一側面としての露光装置は、基板上の層に第1パターンを露光する別の露光装置における露光の後に、前記第1パターンを露光する領域とは異なる前記層の領域に第2パターンを走査露光する露光装置であって、前記基板上に形成された少なくとも2つのアライメントマークを含む第1マーク群の位置と、前記第1マーク群の2つのアライメントマークを結ぶ直線に対して垂直な成分を含む方向に前記基板を移動させた状態で形成された少なくとも2つのアライメントマークを含む第2マーク群の位置と、を計測する計測部を有し、前記別の露光装置により計測された前記第1マーク群及び前記第2マーク群の位置と、前記計測部により計測された前記第1マーク群及び前記第2マーク群の位置との差分に基づいて、前記基板上に前記第2パターンを露光することを特徴とする。
【0007】
本発明の更なる目的又はその他の側面は、以下、添付図面を参照して説明される好ましい実施形態によって明らかにされるであろう。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、例えば、MMG技術におけるパターンの形成精度の低下を抑制するために有利な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】形成システムの全体構成を示す概略図である。
図2】第1露光装置の構成を示す図である。
図3】パターン形成精度の指標を示す図である。
図4】比較例におけるパターン形成を示す図である。
図5】比較例におけるアライメントマーク形成手順を示す図である。
図6】4つのアライメントマークにおけるパターン形成を示す図である。
図7】4つのアライメントマークによって判別可能な基板の位置ずれを示す図である。
図8】パターン形成処理を示すフローチャートである。
図9】6つのアライメントマークが形成された基板を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の好ましい実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
<第1実施形態>
本発明に係る第1実施形態の形成システムについて説明する。本実施形態の形成システムは、複数のパターン形成装置を用いて、基板上の1つの層における互いに異なる領域にパターンをそれぞれ形成する、いわゆるMMG技術を実行するシステムである。パターン形成装置としては、例えば、基板を走査露光してマスクのパターンを基板に転写する露光装置、モールドを用いて基板にインプリント材のパターンを形成するインプリント装置、荷電粒子線を用いて基板にパターンを形成する描画装置などが挙げられる。
【0012】
また、本発明に係るMMG技術が適用される「基板上の1つの層」は、例えば、パターンが未だ形成されていないベア基板上に最初に形成される第1層でありうるが、それに限られず、第2層以降であってもよい。本実施形態では、複数の露光装置を有する形成システムを用いて、基板上の1つのレジスト層に潜像パターンを形成する例について説明する。ここで、基板としては、例えば、ガラスプレートや半導体ウェハなどが適用されうるが、本実施形態では、基板としてガラスプレートを用いる例について説明する。また、以下では、「基板上の1つの層」を単に「基板上」と称することがある。
【0013】
図1は、本実施形態の形成システム100の全体構成を示す概略図である。基板Wの表面に対して垂直な方向をZ方向とし、Z方向に対して垂直な方向をX、Y方向とする。形成システム100は、第1露光装置10と、第2露光装置20と、搬送部30と、主制御部40とを含む。搬送部30は、第1露光装置10及び第2露光装置20に基板Wを搬送する。主制御部40は、例えばCPUやメモリを有するコンピュータで構成され、形成システム100の全体を統括的に制御する。また、主制御部40は、第1露光装置10と第2露光装置20との間でのデータや情報の転送を制御する。
【0014】
図2は第1露光装置10の構成例を示す図である。第1露光装置10は、パターン形成部11と、マーク形成部12と、マーク計測部13と、制御部14とを有する。パターン形成部11は、光源11aと、照明光学系11bと、マスクステージ11cと、投影光学系11dと、基板ステージ11eとを含む。マスクステージ11cはマスクMを保持して移動可能なステージである。照明光学系11bは、光源11aからの光を用いてマスクMを照明する。基板ステージ11eは基板Wを保持して移動可能なステージである。マスクMと基板Wは投影光学系11dを介して光学的に共役な位置に配置されている。投影光学系11dは照明光学系11bによって照明されたマスクMのパターンを基板W上に投影して、基板W上のレジスト層に潜像パターンを形成する。
【0015】
マーク形成部12は、アライメントマークを形成すべき目標位置座標を示す情報に基づいて、基板W上にアライメントマークを形成する。マーク計測部13は、マーク形成部12によって形成されたアライメントマークの位置を計測する。制御部14は、例えばCPUやメモリなどを有するコンピュータによって構成され、装置座標系に従ってパターン形成部11、マーク形成部12及びマーク計測部13を制御する(即ち、第1露光装置10による各処理を制御する)。また、制御部14は、第2露光装置20で利用できるように、第1露光装置10で得られたデータや情報を出力する出力部として機能する。本実施形態では、制御部14は、主制御部40と別体として設けられているが、主制御部40の構成要素として設けられてもよい。
【0016】
第2露光装置20は、パターン形成部21と、マーク計測部23と、制御部24とを有する。本実施形態の第2露光装置20では、マーク形成部が設けてられていない点で第1露光装置10とは異なるが、それ以外の構成については同様である。つまり、第2露光装置20のパターン形成部21及びマーク計測部23は、第1露光装置10のパターン形成部11及びマーク計測部13とそれぞれ同様に構成される。また、第2露光装置20にもマーク形成部が設けられてもよい。パターン形成部21は、例えば、第1露光装置10で基板W上に形成したパターンの露光領域とは異なる露光領域に、潜像パターンを形成する。マーク計測部23は、第1露光装置10のマーク形成部12によって形成されたアライメントマークの位置を計測する。制御部24は、例えばCPUやメモリなどを有するコンピュータによって構成され、装置座標系に従ってパターン形成部21及びマーク計測部23を制御する(即ち、第2露光装置20による各処理を制御する)。本実施形態では、制御部24は、主制御部40と別体として設けられているが、主制御部40の構成要素として設けられてもよい。
【0017】
[パターン形成精度について]
次に、形成システム100に求められるパターンの形成精度について、図3を用いて説明する。第1パターンP1は、第1露光装置10のパターン形成部11により形成される。第2パターンP2は、第2露光装置20のパターン形成部21により、第1パターンP1が形成される露光領域とは異なる露光領域に形成される。図3に示す例では、矩形の基板Wに第1パターンP1及び第2パターンP2が同じ大きさで1つずつ基板上に形成されているが、それに限られず、互いに異なる寸法及び個数であってもよい。
【0018】
形成システム100に求められるパターンの形成精度は、基板上に形成されたパターン全体の寸法と位置とに基づいて評価されうる。基板上に形成されたパターン全体の寸法は、例えば、基板上に形成されたパターン全体における対角線の長さを表す第1指標TP(Total Pitch)によって規定されうる。本実施形態では、第1露光装置10によって基板上に形成された第1パターンP1の右下の端点EP1と、第2露光装置20によって基板上に形成された第2パターンP2の左上の端点EP2とを結ぶ直線の長さが、第1指標TPとして決定されうる。一方、基板上に形成されたパターン全体の位置は、例えば、基板上に形成されたパターン全体における中心点の位置を示す第2指標CS(Center Shift)によって規定されうる。本実施形態では、端点EP1と端点EP2とを結ぶ直線の中心点が、第2指標CSとして決定されうる。
【0019】
[比較例]
本実施形態の比較例として、第1露光装置10のパターン形成部11において、基板W上に3個のアライメントマークを形成する場合の例を挙げる。図4に示す例では、3個のマークAM1〜AM3が、同一直線上に配置されないように、矩形である基板Wの四隅付近に形成されている。このように3個のマークAM1〜AM3を基板W上に形成すると、3個のマークAM1〜AM3の位置の計測結果に基づいて、基板WのX方向シフト、Y方向シフト、Z軸回りの回転、X方向倍率、Y方向倍率を求めることができる。
【0020】
形成システム100では、上述した第1指標TP及び第2指標CSがそれぞれ許容範囲に収まるように、基板W上にパターンを形成することが求められる。マーク形成部12が2つの場合、まず、図5(a)のようにマークAM1とマークAM2を同時に形成する。その後、図5(b)のように基板Wを保持している基板ステージ11eをY方向に移動させて、マークAM3を形成する手順が考えられる。
【0021】
しかしながら、第1露光装置10において、図5(c)のように基板ステージ11eがY方向からずれた方向に移動してしまうことによる誤差、即ち基板ステージ11eのドリフトによる誤差が発生してしまう場合がある。以下ではこの誤差を、基板ステージ11eのドリフトと呼ぶ。基板ステージ11eのドリフトがある場合、マークAM3が形成される位置は本来形成されるはずであった位置からずれた位置に形成されてしまう。
【0022】
このようにして形成されたマークAM1〜AM3の位置の計測結果からは、基板ステージ11eのドリフトを正確に求めることができない。したがって、第1指標TP及び第2指標CSがそれぞれ許容範囲に収まるように、基板W上にパターンを形成することが困難になる場合がある。具体例としては、基板ステージ11eのドリフトと、基板Wが基板ステージ11e上に載置された際のZ軸回りの回転方向のずれを制御部24が誤って判別することにより、パターンの形成精度が低下してしまう場合がある。なお、第2露光装置20において基板ステージのドリフトが発生している場合や第1露光装置10と第2露光装置20の両方において基板ステージのドリフトが発生している場合にも、パターンの形成精度が低下してしまう場合がありうる。
【0023】
[本実施形態のパターン形成処理]
本実施形態では、基板ステージ11eのドリフトを求めるために、図4に示すような3つのアライメントマークの形成ではなく、図6に示すように4つのマークAM1〜AM4の形成を行う。パターン形成の補正精度を向上させるためには、4つのマークAM1〜AM4が基板Wの四隅付近に形成され、4つのマークAM1〜AM4を結んだ領域が、第1露光装置10及び第2露光装置20で露光される露光領域を含むように形成されることが好ましい。4つのアライメントマークの計測によって基板ステージ11eのドリフトについても精度よく求めることが可能となる。具体例としては、図7(a)のように基板ステージ11eのドリフトがある場合と、図7(b)のように基板Wが基板ステージ11e上に載置された際にZ軸回りの回転方向のずれがある場合を制御部24が判別できるようになる。これにより、基板ステージ11eのドリフトが生じている場合にも、パターン形成の際に基板ステージ11eのドリフトに対応する補正を制御部24により制御された第2露光装置20が実行することにより、パターンの形成精度の低下を抑制することができる。
【0024】
パターン形成の位置を補正する方法の一例として、制御部24が第2露光装置20の投影光学系の構成要素の1つである光学素子(例えば、2枚の平行平板)の駆動や回転を制御する。光学素子の駆動や回転によって、基板W上の露光位置の補正(例えば、走査露光する方向であるY方向や、走査露光する方向に垂直な方向であるX方向の倍率の補正)が可能である。
【0025】
ところで、形成システム100に用いられる第1露光装置10及び第2露光装置20では、装置固有の露光中心のずれに個体差が生じていることがある。特性とは、例えば、装置座標系の誤差、基板Wが載置された際に生じる誤差のことである。このように、第1露光装置10と第2露光装置20とに特性の個体差が生じていると、第1露光装置10で形成された第1パターンP1と第2露光装置20で形成された第2パターンP2との位置関係が目標位置関係からずれてしまう。その結果、パターン全体の寸法としての第1指標TP、及びパターン全体の位置としての第2指標CSの許容範囲に収まらない場合がある。例えば、第1指標TPで要求される精度が10μm以内であったとしても、その許容範囲に収まらないということが起きる。
【0026】
そこで、本実施形態の形成システム100では、第1露光装置10のマーク計測部13により計測されたアライメントマークの位置と、第2露光装置20のマーク計測部23により計測されたアライメントマークの位置との差分を求める。当該差分に基づいて、第2露光装置20の座標系のもとで基板W上に形成される第2パターンP2の露光領域を補正する。具体的には、第1露光装置10と第2露光装置20におけるパターン形成特性の個体差に起因する第1パターンP1と第2パターンP2との位置関係のずれが補正されるように、基板W上に形成される第2パターンP2の露光領域を決定する。
【0027】
なお、本実施形態では差分を求めることにより第2パターンP2の露光領域を補正することについて述べたが、例えば、第1露光装置10と第2露光装置20のそれぞれで第1パターンP1と第2パターンP2の露光領域を決定する方法であっても良い。
【0028】
以下に、本実施形態の形成システム100における基板W上へのパターン形成処理について、図8を参照しながら説明する。図8は、本実施形態に係る基板W上へのパターン形成処理を示すフローチャートである。図8に示すフローチャートの各工程は、主制御部40による制御のもとで実行されうる。また、図8ではマーク形成部12が2つの場合を想定しているが、マーク形成部12が1つでも、3つ以上あってもよい。また、図8ではマーク計測部13、23が2つの場合を想定しているが、マーク計測部13が1つでも、3つ以上あってもよい。
【0029】
ステップS11では、搬送部30により基板Wを第1露光装置10に搬送する。ステップS12では、形成すべき目標位置座標を示す情報に基づいて、第1露光装置10の座標系のもとで、第1露光装置10のマーク形成部12により基板W上にマークAM1とマークAM2(第1マーク群)を同時に形成する。即ち、第1露光装置10の座標系における当該目標位置座標にマークAM1とマークAM2(第1マーク群)を形成する。
【0030】
ステップS13では、第1露光装置10の座標系のもとで、第1露光装置10のマーク計測部13により、S12の工程で基板W上に形成されたマークAM1とマークAM2(第1マーク群)の位置を計測する。
【0031】
ステップS14では、基板WをマークAM3とマークAM4(第2マーク群)を形成するための基板位置へと移動させるために、基板Wを保持している基板ステージ11eを移動させる。
【0032】
ステップS15では、形成すべき目標位置座標を示す情報に基づいて、第1露光装置10の座標系のもとで、第1露光装置10のマーク形成部12により基板W上にマークAM3とマークAM4(第2マーク群)を同時に形成する。即ち、第1露光装置10の座標系における当該目標位置座標にマークAM3とマークAM4(第2マーク群)を形成する。このとき、基板ステージ11eのドリフトがある場合、図7(a)のようにマークAM3とマークAM4(第2マーク群)は本来形成されるはずであった位置からずれた位置に形成される。
【0033】
ステップS16では、第1露光装置10の座標系のもとで、第1露光装置10のマーク計測部13により、S15の工程で基板W上に形成されたマークAM3とマークAM4(第2マーク群)の位置を計測する。S13の工程及びS16の工程により、第1露光装置10の座標系におけるマークAM1〜AM4の位置座標を示すマーク座標情報C1を得ることができる。このマーク座標情報C1は、第1露光装置10で固有に生じる誤差成分CM1と、マーク形成部12によるアライメントマークの形成誤差成分CMXとを有する。
【0034】
ステップS17では、第1パターンP1を形成すべき目標位置座標を示す位置情報に基づいて、第1露光装置10の座標系のもとで、第1露光装置10のパターン形成部11により基板W上に第1パターンP1を形成する。
【0035】
ステップS21では、搬送部30により基板Wを第1露光装置10から第2露光装置20へと搬送する。ステップS22では、第2露光装置20の座標系のもとで、第2露光装置20のマーク計測部23により、S12の工程及びS15の工程で基板W上に形成されたマークAM1〜AM4(第1マーク群と第2マーク群)の位置を計測する。これにより、第2露光装置20の座標系におけるマークAM1〜AM4(第1マーク群と第2マーク群)の位置座標を示すマーク座標情報C2を得ることができる。このマーク座標情報C2は、第2露光装置20で固有に生じる誤差成分CM2と、マーク形成部12によるアライメントマークの形成誤差成分CMXとを有する。
【0036】
ステップS23では、第2露光装置20の座標系のもとで第2パターンP2を基板W上に形成する際に用いる補正値CVを求める。補正値CVは、第1露光装置10と第2露光装置20との特性の個体差、即ち、第1露光装置10で固有に生じる誤差と第2露光装置20で固有に生じる誤差との差を補正するためのものであり、以下の式(1)によって求められる。
【0037】
CV=C2−C1
=(CM2+CMX)−(CM1+CMX)
=CM2−CM1 ・・・(1)
式(1)では、S16の工程で第1露光装置10により得られたマーク座標情報C1と、S22の工程で第2露光装置20により得られたマーク座標情報C2との差分が、補正値CVとして求められる。マーク座標情報C1及びマーク座標情報C2には、アライメントマークの形成誤差成分CMXが共通に含まれる。そのため、補正値CVはアライメントマークの形成誤差成分CMXが除かれた、第1露光装置10で固有に生じる誤差成分CM1と、第2露光装置20で固有に生じる誤差成分CM2との差分となる。したがって、マーク形成部12によるアライメントマークの形成誤差成分CMXが生じている場合、本実施形態での差分による補正が望ましい。
【0038】
ステップS24では、第2パターンP2を形成すべき目標位置座標を示す位置情報に基づいて、第2露光装置20の座標系のもとで、第2露光装置20のパターン形成部21により基板W上に第2パターンP2を形成する。このとき、S23の工程で求めた補正値CVに基づいて、第2露光装置20の座標系のもとで基板W上に形成される第2パターンP2の位置を決定する。その結果、パターン全体の寸法としての第1指標TP、及びパターン全体の位置としての第2指標CSをそれぞれ許容範囲に収めることができる。ステップS25では、搬送部30により基板Wを第2露光装置20から搬出する。
【0039】
上述したように、本実施形態の形成システム100は、第1露光装置10で得られたマーク座標情報C1と第2露光装置20で得られたマーク座標情報C2との差分に基づいて、第2露光装置20で基板W上に形成する第2パターンP2の位置を決定する。また、図6に示すような4つのアライメントマークを形成することにより、基板ステージ11eのドリフトも求めることができるため、MMG技術によるパターンの形成精度の低下を防ぐことができる。
【0040】
本実施形態の別の効果として、アライメントマークの数が3つである場合と比較して、各補正成分(特に基板WのX方向倍率、Y方向倍率)の補正精度を向上させることができ、MMG技術によるパターンの形成精度を向上させる効果も期待できる。
【0041】
また、本実施形態で形成するアライメントマークの数は5つ以上であっても良い。例えば、図9に示すように、アライメントマークが6つである場合では、マークAM1〜4の間にマークAM5、6があることによって、補正成分を増やすことが可能となる。具体的には、基板WのX方向倍率、Y方向倍率の非線形成分を補正することが可能となる。このように、アライメントマークの数を増やすことで、MMG技術によるパターンの形成精度を向上させる効果も期待できる。
【0042】
<第2実施形態>
第1実施形態では、第1露光装置10のマーク形成部12によって、基板W上にマークAM1〜AM4を形成する場合について説明した。これに対し、本実施形態では、第1露光装置10とは別の装置によって、基板W上にマークAM1〜AM4を形成する場合について説明する。即ち、マークAM1〜AM4が基板W上に形成された状態で、搬送部30により第1露光装置10に基板Wが搬送される。このとき、図2で示した第1露光装置10のマーク形成部12は設けられていなくても良い。マーク形成部12を設ける理由としては、例えば、第1露光装置10とは別の装置により形成されたアライメントマークではパターン形成精度が不十分となる場合に、マーク形成部12によってアライメントマークを基板W上に再形成するために設けても良い。
【0043】
本実施形態の形成システム100における基板W上へのパターン形成処理は、アライメントマークの形成工程以外については同様である。図8に示した第1実施形態のフローチャートのS12の工程及びS15の工程以外については同様である。
【0044】
上述したように、本実施形態では外部の装置でアライメントマークを形成し、第1露光装置10でのマーク座標情報C1と第2露光装置20でのマーク座標情報C2との差分に基づいて、第2パターンP2の露光領域を決定する。また、アライメントマークの形成を4つにすることにより、基板ステージ11eのドリフトも求めることができるため、MMG技術によるパターンの形成精度の低下を防ぐことができる。
【0045】
本実施形態の別の効果として、アライメントマークの数が3つである場合と比較して、各補正成分(特に基板WのX方向倍率、Y方向倍率)の補正精度を向上させることができ、MMG技術によるパターンの形成精度を向上させる効果も期待できる。
【0046】
また、本実施形態で形成するアライメントマークの数は5つ以上であっても良い。例えば、図9に示すように、アライメントマークが6つである場合では、マークAM1〜4の間にマークAM5、6があることによって、補正成分を増やすことが可能となる。具体的には、基板WのX方向倍率、Y方向倍率の非線形成分を補正することが可能となる。このように、アライメントマークの数を増やすことで、MMG技術によるパターンの形成精度を向上させる効果も期待できる。
【0047】
<物品の製造方法の実施形態>
本発明の実施形態にかかる物品の製造方法は、例えば、フラットパネルディスプレイ(FPD)を製造するのに好適である。本実施形態の物品の製造方法は、基板上に塗布された感光剤に上記の露光装置を用いて潜像パターンを形成する工程(基板を露光する工程)と、かかる工程で潜像パターンが形成された基板を現像する工程とを含む。更に、かかる製造方法は、他の周知の工程(酸化、成膜、蒸着、ドーピング、平坦化、エッチング、レジスト剥離、ダイシング、ボンディング、パッケージング等)を含む。本実施形態の物品の製造方法は、従来の方法に比べて、物品の性能・品質・生産性・生産コストの少なくとも1つにおいて有利である。
【0048】
<その他の実施例>
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0049】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0050】
10 第1露光装置
11 パターン形成部
12 マーク形成部
13 マーク計測部
20 第2露光装置
21 パターン形成部
23 マーク計測部
30 搬送部
40 主制御部
100 形成システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9