(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記モータ軸は、運転者が乗車し、かつ停車して直立した状態において、前記スイングアームよりも下方に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗型電動車両。
前記左右一対の部分は、車両前後方向に延びる左右一対のバックボーンフレームと、該バックボーンフレームの後端部から上下方向に延びる左右一対のピボットフレームと、を含み、
前記ピボットフレームの下部には、モータ支持部が形成され、
前記モータ支持部は、車両前後方向の前側と後側にそれぞれ、前記モータユニットを取り付ける取付部を有し、
前記モータユニットは、該モータユニットの前側および後側において前記取付部にそれぞれ支持され、
前記モータ支持部は、前記ピボットフレームの下部から車両前後方向後方に延設される、
ことを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の鞍乗型電動車両。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面を参照して本発明の実施形態に係る鞍乗型車両について説明する。各図において、矢印X、Y、Zは互いに直交する方向を示し、X方向は鞍乗型車両の前後方向、Y方向は鞍乗型車両の車幅方向(左右方向)、Z方向は上下方向を示す。以下、鞍乗型車両の前後方向の前方または後方を単に前方または後方と、鞍乗型車両の車幅方向(左右方向)の内側または外側を単に内側または外側と呼ぶことがある。また、左右一対で設けられるものにおいて、左右のいずれかで説明したものは他方については不図示もしくは説明を省略する場合がある。
【0010】
<鞍乗型車両の概要>
図1は本発明の一実施形態に係る鞍乗型電動車両1の左側面図である。同図は鞍乗型電動車両1の要部を中心に表した概略図である。以下、鞍乗型電動車両1のことを車両1と呼ぶ場合がある。
【0011】
車両1は車体フレーム10として、車両前部に設けられるヘッドパイプ11、ヘッドパイプ11に接続し前後方向に延びるメインフレーム12、メインフレーム12よりも下側において前後方向に延びるダウンフレーム13、およびメインフレーム12から後方に延びるシートフレーム14を含む。また、メインフレーム12とダウンフレーム13とはそれぞれの後端部同士で接続されている。
【0012】
図1とともに
図2を参照する。
図2は
図1のI−I線断面図であって一部の構成を省略した図である。
図2では、特にモータユニット30および制御ユニット40の配置を示すため、バッテリ16やリアサスペンション21、ピボットフレーム124の上部等の構成を省略している。本実施形態のメインフレーム12は、ヘッドパイプ11から車両1の左側を通って延びるメインフレーム12Lと、ヘッドパイプ11から車両1の右側を通って延びるメインフレーム12Rとを含み、これらのフレーム部分は車幅方向に(左右に)離間して形成されている。メインフレーム12L、12Rは、それぞれ、左右一対のバックボーンフレーム123L、123Rと、左右一対のピボットフレーム124L、124Rとを含む。以下、左右一対のバックボーンフレーム123L、123Rを単にバックボーンフレーム123と、左右一対のピボットフレーム124L、124Rを単にピボットフレーム124と呼ぶことがある。(以下、左右一対で設けられるものについて同じ)
本実施形態のバックボーンフレーム123は、ヘッドパイプ11の上部から車両斜下後方に延びる上側部分123aとヘッドパイプ11の下部から車両斜下後方に延びる下側部分123bとを含む。上側部分123aと下側部分123bとはバックボーンフレーム123の後端部126において接続され、また、途中の部位でも接続されている。このような構成とすることで、軽量化を図りつつ、メインフレーム12の剛性を高めることができる。
【0013】
なお、本実施形態では、メインフレーム12がヘッドパイプ11から左右に分かれて車両斜下後方に延びており、メインフレーム12が全領域にわたってメインフレーム12L、12Rに分かれて形成されている。しかし、ヘッドパイプ11から単一のフレーム部分が後方に延びてから、左右に分岐するように形成される構成や、分岐しない構成も採用可能である。また、本実施形態ではバックボーンフレーム123は、ヘッドパイプ11の上部から上側部分123aが、下部から下側部分123bが、それぞれ左右に分かれて後方に延びているが、ヘッドパイプ11から左右に一本ずつ後方に延びる構成も採用可能である。
【0014】
左右一対のピボットフレーム124L、124Rは、バックボーンフレーム123L、123Rの後端部126からそれぞれ下方に延びて形成されおり、その下端においてダウンフレーム13の後端とそれぞれが接続している。なお、バックボーンフレーム123とピボットフレーム124とは一体的に形成してもよく、それぞれ別体に形成して溶接等の冶金的接合やボルト締結等の機械的接合等によって接合してもよい。
【0015】
左右一対のダウンフレーム13L、13Rは、メインフレーム12よりも下側において車両前後方向に延びて設けられている。ダウンフレーム13L、13Rはメインフレーム12の下部から下方に延び、その下端から後方に延びてピボットフレーム124L、124Rの下端にそれぞれ接続する。
【0016】
本実施形態では、ダウンフレーム13はメインフレーム12の下部から下方に延びているが、ヘッドパイプ11から下方に延びる構成も採用可能である。また、ダウンフレーム13は全体にわたってダウンフレーム13Lとダウンフレーム13Rに分かれて形成されているが、ヘッドパイプ11またはメインフレーム12から単一のフレームで下方に延びてから左右に分岐するように形成される構成も採用可能である。
【0017】
シートフレーム14は、メインフレーム12L、12Rからそれぞれ後方に延びるように設けられ、シート4を支持する左右一対のシートレール141を含む。また、左右一対のシートレール141より下側において、メインフレーム12と、左右一対のシートレール141とに接続する左右一対のサポートフレーム142が設けられている。
【0018】
ヘッドパイプ11は、前輪FWを操舵する操舵機構18を支持している。操舵機構18は、ヘッドパイプ11に回動可能に支持されるステアリングステム181を含み、その上端部および下端部にトップブリッジ182およびボトムブリッジ183がそれぞれ取り付けられている。トップブリッジ182には運転者が前輪FWを操舵するハンドル184が設けられている。トップブリッジ182およびボトムブリッジ183により左右一対のフロントフォーク185が支持されている。フロントフォーク185は車両斜下前方へ延び、下端に前輪FWが回転可能に支持されている。
【0019】
リアスイングアーム19は、その前端部において、ピボットフレーム124に設けられたピボット軸125に揺動自在に支持されている。リアスイングアーム19の後端部には後輪RWが回転可能に支持され、モータユニット30のドライブスプロケット323と後輪RWの従動スプロケット22とに巻きかけられるチェーン23によって後輪RWが回転駆動される。リアスイングアーム19は、その上部においてリアサスペンション21の下部を支持する支持部191を有しており、その揺動がリアサスペンション21により減衰される。本実施形態の場合、単一のリアサスペンション21が、リアスイングアーム19の車幅方向中央部に支持されているが、リアスイングアーム19の左右一対の部分に左右一対のリアサスペンション21をそれぞれ設ける構成も採用可能である。
【0020】
リアサスペンション21は、その下部が下部取付部191に取り付けられるとともに、その上部がピボット
フレーム124に設けられた上部取付部124aに取付けられている。また、リアサスペンション21は、上部取付部124aおよび下部取付部191に取付けられることにより、モータユニットの上方に位置している。このような構成により、重量物であるモータユニット30およびリアサスペンション21を車両前後方向で中央寄りに配置できる。したがって、構成部品の配置のコンパクト化およびマスの集中化を図ることができる。
【0021】
図1、
図2とともに
図3ないし
図5を参照する。
図3はモータユニット30の正面図であってモータユニット30の概略を示す図であり、
図4はモータユニット30の
背面図であって
モータユニット30の概略を示す図である。また、
図5はモータユニット30の上面図であって内部の概略を示す図である。
【0022】
モータユニット30はドライブスプロケット323の回転駆動力を出力する電動モータ31を含む。また、電動モータ31はモータ収容部31aに収容されている。本実施形態の場合、電動モータのモータ軸311の軸方向が車幅方向と一致し、モータユニット30の正面が左側を向くように配置されている。
【0023】
また、モータユニット30は、電動モータ31の回転駆動力を減速する減速部32を含む。減速部32は、モータ収容部31aから車幅方向外側に突出するケース部32aとモータ軸311の回転を減速するリダクションギア32bと、リダクションギア32bにより減速された後の回転駆動力を出力する出力軸322を含む。本実施形態の場合、出力軸322は、モータ軸311よりも車両前後方向で前方かつ上方に設けられている。また、減速部32の出力軸322にはドライブスプロケット323が取付けられている。
【0024】
モータユニット30の底部にはオイルパン33が形成され、このオイルパン33内に貯留されたオイルがオイルポンプ34により吸入、吐出されてモータユニット30内部の潤滑および冷却を行う。モータユニット30内各部に供給されたオイルは、自然滴下等によりオイルパン33に戻される。
【0025】
モータユニット30は、その上部にモータユニット30の内部と外部とを連通して気液分離するブリーザ室37を有している。また、モータユニット30はオイルフィルタ36を含み、モータユニット30内を循環するオイルを浄化する。
【0026】
バッテリ16はモータユニット30に供給する電力を蓄電する。制御ユニット40は、バッテリ16を電源としてモータユニット30、特に電動モータ31に対する電力の供給制御(駆動制御)を運転者のアクセル操作等に応じて行う。モータユニット30と制御ユニット40とは電気接続部材42で接続され、電気接続部材42を介して制御ユニット40からモータユニット30へ電力が供給される。本実施形態では、電気接続部材42として電線を採用しているが、バスバーやその他の電気信号を伝達可能な接続部材を採用可能である。また、モータユニット30や制御ユニット40は、駆動により発熱するが、熱交換器24とこれらを循環する冷却媒体により冷却され、高温となることが抑制される。
【0027】
<モータユニットおよび制御ユニットの配置構成>
図1および
図3を参照する。本実施形態の場合、バッテリ16の収容部10aが主にメインフレーム12、ダウンフレーム13により画定されている。収容部10aの車幅方向の左側については、本実施形態の場合、ヘッドパイプ11、メインフレーム12L、ダウンフレーム13Lをループ状に連結することで規定され、右側についても、同様に、ヘッドパイプ11、メインフレーム12R、ダウンフレーム13Rをループ状に連結することで規定されている。このようなフレームのループによって、バッテリ16の側面の保護性能を高めることができる。収容部10aの上下方向の下限はダウンフレーム13で規定され、上側は車体フレーム10としては開放される一方、カバー部材17により規定されている。
【0028】
また、バッテリ16は、車両上面視でバックボーンフレーム123L、123Rの間に配置され、かつ、不図示の固定構造を介してバックボーンフレーム123L、123Rおよびダウンフレーム13L、13Rに支持されている。そして、バッテリ16のみ、カバー部材17で覆いつつ、バックボーンフレーム123よりも上方まで突出して配置されている。バッテリ16については、バックボーンフレーム123よりも上方まで突出させることで、より大型のバッテリを搭載できる。
【0029】
本実施形態では、収容部10a内において、バッテリ16の収容スペースをより広くするため、以下の構造を採用している。すなわち、本実施形態では、モータユニット30は、車両側面視でメインフレーム12互いに重なるように配置され、電動モータのモータ軸311がピボットフレーム124に設けられたピボット軸125よりも下方、かつ、車両前後方向で後方に配置されている。したがって、収容部10aのうち、メインフレーム12の間のスペースがモータユニット30の配置スペースとして利用されるので、その余のスペースをバッテリ収容スペースとして利用することができる。また、モータ軸311がピボット軸125よりも下方に設けられるので、車両1の重心を低くすることができる。
【0030】
また、本実施形態の場合、バッテリ16の後端を通る仮想鉛直線V上に制御ユニット40が配置されている。したがって、バッテリ16と制御ユニット40とを近くに配置できるため、配線などによる電力損失を低減することができる。また、本実施形態の場合、バッテリ16の下端から後方に引いた仮想直線H上にモータユニット
30が配置されている。これにより、車両1の下部にモータユニット
30が配置される。したがって、車両1の低重心化を図ることができる。
【0031】
また、本実施形態の場合、モータユニット30が、ピボットフレーム124と重なって配置されるので、収容部10aの前側の部分をバッテリ16の収容スペースとしてより大きくとることができる。また、モータユニット30がピボットフレームの間に配置されるので、飛び石等の飛来物やその他の外乱からモータユニット30を保護することができる。
【0032】
また、本実施形態の場合、モータユニット30は、車両前後方向で前側の部分において、ピボットフレーム124と車両側面視で重なっている。したがって、モータユニット30の後側の部分が収容部10aの外側に配置されるので、バッテリ16の収容スペースをより大きくとることができる。
【0033】
なお、本実施形態の場合、モータユニット30は、その前側の部分が車両側面視でピボットフレーム124と重なるように配置されているが、その後側の部分がピボットフレーム124と重なるように配置される構成や、その中央部分が、ピボットフレーム124と重なる構成も採用可能である。また、モータユニット30の全部がピボットフレーム124と重なる構成も採用可能である。
【0034】
また、本実施形態では、モータユニット30は、車体フレーム10のうち、車両側面視でピボットフレーム124と重なっているが、バックボーンフレーム123およびピボットフレーム124と重なる構成やピボットフレーム124と重なる構成も採用可能である。また、モータユニット30の一部がシートフレーム14と車両側面視で重なる構成も採用可能である。
【0035】
また、本実施形態の場合、モータユニット30は、車両側面視でピボットフレーム124と重なるとともに、リアスイングアーム19の左右一対の部分と重なって配置されている。したがって、リアスイングアーム19の間の部分をモータユニット30の配置スペースとして利用できるので、収容部10aのより多くのスペースをバッテリ16の収容スペースとして利用することができる。また、本実施形態の場合、ピボット軸125は、車両側面視でピボットフレーム124とモータユニット30とが重なる位置に設けられている。このため、ピボット軸125は、ピボットフレーム124およびモータユニット30を車幅方向に横断して設けられている。
【0036】
また、本実施形態の場合、モータユニット30は、そのモータ軸311がピボット軸125後方に配置され、その出力軸322がピボット軸125の前方に配置されている。すなわち、ピボット軸125は、車両前後方向でモータ軸311と出力軸322の間に設けられている。また、運転者が車両1に乗車した状態で、且つ停車して(車体に加減速時の力を作用させずに)直立させたときの位置において、後輪RWの車軸、ピボット軸125および出力軸322が同一直線上(
図1の直線L上)に並ぶように配置されている。これらが同一直線に並ぶことによって、動力伝達効率を向上することができる。
【0037】
また、モータユニット30は、車両側面視で、オイルパン33がピボットフレーム124より下方に突出するように配置されている。したがって、走行風等がオイルパン33に当たりやすく、オイルの冷却効率を向上することができる。また、本実施形態の場合、オイルパン33の下端はダウンフレーム13の下端よりも上方に位置しているが、ダウンフレーム13の下端よりも下方に突出するように配置してもよい。オイルパン33の下端がダウンフレーム13の下端よりも下方に突出することで、より走行風に当たりやすくなり、オイルの冷却効率をより向上することができる。
【0038】
また、制御ユニット40は、車両前後方向でモータユニット30よりも前方に、モータユニット30と近接して配置されている。モータユニット30と制御ユニット40とが近接して配置されるので、これらを接続する電気接続部材42を短くすることができる。本実施形態の場合、制御ユニット40は、前後方向でモータユニット30と熱交換器24の間に位置し、上下方向で収容部10aの下部に配置されている。制御ユニット40は、箱状の形状を有しており、上下方向に薄くなるように配置されている。制御ユニット40が上下方向に薄くなるように配置されるので、その上部をバッテリ16の収容スペースとしてより大きくとることができる。
【0039】
また、制御ユニット40は、ダウンフレーム13に不図示の固定構造を介して固定されている。制御ユニット40が剛性の高いダウンフレーム13に固定されるので、制御ユニット40の支持剛性を高めることができる。本実施形態の場合、制御ユニット40は、その一部がダウンフレーム13と車両側面視で重なって配置されているが、ダウンフレーム13よりも上方に、ダウンフレーム13に近接して配置してもよい。
【0040】
また、モータユニット30の内部には電動モータ31の回転角を検知するレゾルバ35が設けられる。また、モータユニット30の前側を向く面と、制御ユニット40の後側を向く面とが電気信号を伝達可能なワイヤハーネス352によって接続される。ワイヤハーネス352を介して、レゾルバ35の検知結果に基づく電気信号がモータユニット30から制御ユニット40へ伝達される。
【0041】
また、モータユニット30は、車両上面視で、シートレール141の間に配置されている。車両上面視でモータユニット30がシートレール141の間に配置されるので、乗員が脚でグリップする際にモータユニット30と乗員の脚との干渉を防ぐことができる。
【0042】
次に、モータユニット30の取付構造について説明する。モータユニット30は、メインフレーム12に設けられる取付部133と、ピボットフレーム124の下部に形成されるモータ支持部127L、127Rの各取付部128および129とにそれぞれ支持されている。すなわち、モータユニット30は、前側取付部128、後側取付部129および取付部133の三箇所でメインフレーム12に支持されている。モータユニット30が、支持剛性の高い車体メインフレーム12三点で支持されるので、支持剛性を高めることができる。また、モータユニット30の車幅方向を向く面がピボットフレーム124によって囲まれるので、モータユニット30の保護性能を高めることができる。また、モータユニット30の下部がモータ支持部127の前側取付部128および後側取付部129によって支持されるので、モータユニット30の荷重を下部の二点で均一に受け止めることができ、各支持部の荷重の偏りを抑制することができる。
【0043】
本実施形態の場合、取付部133、128および129の三点すべてがピボットフレーム124に形成されているが、バックボーンフレーム123や、シートフレーム14に設ける構成も採用可能である。また、バックボーンフレーム123やシートフレーム14からモータユニットに向けて延設したブラケット等に取付部133を設けてもよい。
【0044】
本実施形態の場合、モータユニット30は、各取付部128、129および133に対応する位置に貫通孔301、302および303を有している。前側取付部128には、ピボットフレーム124を車幅方向に横断するように固定部材501を取り付け可能である。固定部材501が貫通孔301を貫通した状態で前側取付部128に取付けられることで、モータユニット30がピボットフレーム124に固定される。同様に、固定部材502が貫通孔302を貫通した状態で取付部129に取付けられることで、モータユニット30がピボットフレーム124に固定される。さらに、同様の構成により、固定部材503が貫通孔303を貫通した状態で取付部133に取付けられることで、モータユニット30がピボットフレーム124に固定される。
【0045】
なお、モータユニット30が車体フレーム10に固定される態様として、上記構成の他、例えば、各フレームの左右一対の部分にそれぞれにボルト締結等によって固定する等、各種の取付構造を採用可能である。
【0046】
また、制御ユニット40は、ダウンフレーム13と車両側面視で重なる部分において、不図示の固定構造を介してダウンフレーム13に挟持されている。したがって、収容部10aの下端部に偏って制御ユニット40を配置することができ、その上側においてバッテリ16の収容スペースをより大きくとることができる。また、制御ユニット40剛性の高いダウンフレーム13に挟持されているので、制御ユニット40の取付剛性を向上することができる。
【0047】
次に、本実施形態の冷却回路の構成について、
図1および
図2を用いて説明する。本実施形態に係る熱交換器24はラジエータであり、冷却媒体は冷却水(クーラント)である。
【0048】
熱交換器24で冷やされた冷却媒体は、第一管状部材251内を通ってモータユニットへと循環する。ここで、第一管状部材251は、熱交換器24からダウンフレーム13に沿って下方に延びた後に後方に延びてモータユニット30に接続する。モータユニット30の背面(減速部32等が設けられる面と反対側の面)には不図示のウォータジャケットが形成されており、冷却媒体がウォータジャケットを通過することでモータユニット30が冷却される。ウォータジャケットを通過した冷却媒体は、第二管状部材252内部を通って熱交換器24に循環する。ここで、第二管状部材252は、モータユニット30からダウンフレーム13に沿って前方に延び、制御ユニット40の側方を通った後に上方に延びて熱交換器24に接続する。すなわち、循環路25は第一管状部材251、モータユニット30および第二管状部材252を含み、冷却媒体は循環路25を通って、熱交換器24、モータユニット30、熱交換器24の順で循環する。また、冷却媒体は循環路を循環する際にモータユニット30、制御ユニット40の順に冷却する。
【0049】
本実施形態の場合、第一管状部材251および第二管状部材252は、可撓性を有するホースが採用されているが、例えばパイプ状の金属部材等も採用可能である。なお、本実施形態では、熱交換器24はラジエータであるが、オイルクーラも採用可能である。オイルクーラを採用する場合は、第一管状部材251および第二管状部材252がモータユニット30内部と接続し、冷却媒体であるオイルがモータユニット30内部の潤滑を兼ねることができる。
<実施形態のまとめ>
上記実施形態は、以下の車両を少なくとも開示する。
【0050】
1.上記実施形態の鞍乗型電動車両は、前輪(例えばFW)および後輪(例えばRW)と、
前記前輪を操舵する操舵機構を支持するヘッドパイプ(例えば11)と、
該ヘッドパイプに接続し車両前後方向に延びるメインフレーム(例えば12)と、
前記後輪の回転駆動力を出力する電動モータを有するモータユニット(例えば30)と、
前記モータユニットに電力を供給するバッテリ(例えば16)と、
前記メインフレームに設けたピボット軸(例えば125)に揺動可能に支持され、前記後輪を回転可能に支持するスイングアーム(例えば19)と、
を備えた鞍乗型電動車両(例えば1)であって、
前記モータユニットおよび前記バッテリが、前記前輪と前記後輪との間において、前記メインフレームに支持され、
前記メインフレームは、左右一対の部分(例えば12L,12R)を含み、
前記モータユニットが、車両上面視で前記左右一対の部分の間に位置し、車両側面視で前記メインフレームと重なるように配置され、
前記電動モータのモータ軸(例えば311)が、前記ピボット軸より下方、かつ、車両前後方向で後方に配置されている。
【0051】
この実施形態によれば、前記モータユニットが前記メインフレームの間に配置されるので、バッテリの収容スペースをより大きくとることができる。したがって、バッテリの収容スペースをより大きく確保することができる鞍乗型電動車両を提供することができる。また、前記モータ軸が前記ピボット軸より下方に配置されるので、車両の重心を低くすることができる。
【0052】
2.上記実施形態の鞍乗型電動車両は、前記モータ軸は、運転者が乗車し、かつ停車して直立した状態において、前記スイングアームよりも下方に配置されている。
【0053】
この実施形態によれば、車幅方向に長い前記モータ軸が前記スイングアームから下方にオフセットして配置されるので、前記モータ軸と前記スイングアームが車両側面視で重ならずに配置でき、前記スイングアームが車幅方向に大きくなることを抑制することができる。
【0054】
3.上記実施形態の鞍乗型電動車両は、前記左右一対の部分(例えば12L,12R)は、車両前後方向に延びる左右一対のバックボーンフレーム(例えば123L,123R)と、該バックボーンフレームの後端部から上下方向に延びる左右一対のピボットフレーム(例えば124L,124R)と、を含み、
前記ピボットフレームの下部には、モータ支持部(例えば127L,127R)が形成され、
前記モータ支持部は、車両前後方向の前側と後側にそれぞれ、前記モータユニットを取り付ける取付部(例えば128,129)を有し、
前記モータユニットは、該モータユニットの前側および後側において前記取付部にそれぞれ支持されている。
【0055】
この実施形態によれば、前記モータユニットが前記ピボットフレームの下部において二点で支持されるので、前記モータユニットの荷重を前記モータ支持部の二点で均一に受け止めることができる。また、前記モータユニットが前記ピボットフレームの下部に支持されるので、車両の低重心化を図ることができる。
【0056】
4.上記実施形態の鞍乗型電動車両は、前記モータユニットの駆動制御を行う制御ユニット(例えば40)をさらに備え、
前記モータユニットは、前記電動モータの回転駆動力を出力する出力軸(例えば311)と、該出力軸に接続するドライブスプロケット(例えば323)とを含み、
前記ドライブスプロケットは、車両前後方向で、前記ピボットフレームよりも前方に設けられ、
前記制御ユニットは、前記ドライブスプロケットの下方に配置されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の鞍乗型電動車両。
【0057】
この実施形態によれば、前記後輪と前記ドライブスプロケットとの間の距離を確保しつつ、かつ前記ピボットフレームの前方に設けられた前記ドライブスプロケットの下方に前記制御ユニットが配置される。したがって、前記モータユニットの近傍に制御ユニットを配置でき、前記モータユニットと前記制御ユニットとを結ぶ接続部材を短く構成することが出来る。
【0058】
5.上記実施形態の鞍乗型電動車両は、前記モータユニットの下部にオイルパン(例えば33)が設けられ、
前記オイルパンは、前記メインフレームの下方に突出して設けられている。
【0059】
この実施形態によれば、前記オイルパンが前記メインフレームの後方に突出して設けられるので、オイルの冷却効率を向上することができる。
【0060】
6.上記実施形態の鞍乗型電動車両は、前記スイングアームにはリアサスペンション(例えば21)の下部が取り付けられる下部取付部(例えば191)が構成され、
前記メインフレームには前記リアサスペンションの上部が取り付けられる上部取付部(例えば124a)が構成され、
車体側面視で前記リアサスペンションは前記モータユニットの上方に配置されている。
【0061】
この実施形態によれば、車両側面視で前記リアサスペンションが前記モータユニットの上方に配置されるので、重量物であるこれらの構成部品を車両前後方向で中央寄りに配置できる。したがって、コンパクト化およびマスの集中化を図ることができる。
【0062】
7.上記実施形態の鞍乗型電動車両は、前記バッテリの後端を通る仮想鉛直線(例えばV)上に前記制御ユニットが配置されている。
【0063】
この実施形態によれば、前記バッテリと前記制御ユニットとを近くに配置できるため、配線などによる電力損失を低減することができる。
【0064】
8.上記実施形態の鞍乗型電動車両は、前記バッテリの下端から後方に引いた仮想直線(例えばH)上に前記モータユニットが配置されている。
【0065】
この実施形態によれば、前記バッテリの下端から後方に引いた前記仮想直線上に前記モータユニットが配置されるので、前記車両の下部に前記モータユニットが配置される。したがって、車両の低重心化を図ることができる。