(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6977164
(24)【登録日】2021年11月12日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】洗濯機用の回転槽ユニット及び洗濯機用ダンパーを備える洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 39/12 20060101AFI20211125BHJP
【FI】
D06F39/12 C
【請求項の数】13
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2020-523798(P2020-523798)
(86)(22)【出願日】2019年3月13日
(65)【公表番号】特表2021-500187(P2021-500187A)
(43)【公表日】2021年1月7日
(86)【国際出願番号】CN2019077910
(87)【国際公開番号】WO2019174587
(87)【国際公開日】20190919
【審査請求日】2020年4月27日
(31)【優先権主張番号】201820346493.8
(32)【優先日】2018年3月13日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201910083643.X
(32)【優先日】2019年1月29日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201920156920.0
(32)【優先日】2019年1月29日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519385445
【氏名又は名称】▲無▼▲錫▼小天鵝電器有限公司
【氏名又は名称原語表記】WUXI LITTLE SWAN ELECTRIC CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【弁理士】
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【弁理士】
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ 姚
(72)【発明者】
【氏名】周 薇
(72)【発明者】
【氏名】李 章京
【審査官】
粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】
中国特許出願公開第107475986(CN,A)
【文献】
特開2013−141508(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 39/00−39/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯機用の回転槽ユニット(200)であって、
槽本体(250)を含み、前記槽本体(250)の内径が下方から上方に向かって徐々に増大し、前記槽本体(250)の周壁に前記槽本体(250)の外側へ凸設された導水カバー取り付け部(260)が形成されている回転槽(210)と、
前記導水カバー取り付け部(260)に設けられ、且つ前記回転槽(210)内に位置し、給水口(221)と排水口(211)を有する導水キャビティ(240)を画定し、前記回転槽(210)において遠心力の作用により上昇する液体が前記給水口(221)から前記導水キャビティ(240)に入って前記排水口(211)から排出される導水カバー(220)と、を備え、
前記導水カバー取り付け部(260)のいずれの部位での内径は、該部位の上方に位置する前記導水カバー取り付け部(260)の部分の内径よりも大きい、
ことを特徴とする洗濯機用の回転槽ユニット。
【請求項2】
前記導水カバー取り付け部(260)での上下方向における前記槽本体(250)の輪郭線と、残りの位置での上下方向における前記槽本体(250)の輪郭線との距離が、上方から下方に向かって増大する、
ことを特徴とする請求項1に記載の洗濯機用の回転槽ユニット(200)。
【請求項3】
前記槽本体(250)及び前記導水カバー取り付け部(260)は、一体部材である、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の洗濯機用の回転槽ユニット(200)。
【請求項4】
前記給水口(221)は、前記導水カバー(220)に設けられ、前記排水口(211)は、前記導水カバー取り付け部(260)及び/又は前記槽本体(250)の底壁に設けられている、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の洗濯機用の回転槽ユニット(200)。
【請求項5】
前記給水口(221)は、前記導水カバー(220)の上方に設けられ、前記排水口(211)は、前記導水カバー取り付け部(260)の下部に設けられている、
ことを特徴とする請求項4に記載の洗濯機用の回転槽ユニット(200)。
【請求項6】
前記給水口(221)は、前記導水カバー(220)の上端に設けられ、前記排水口(211)は、前記槽本体(250)の底壁に隣接する、
ことを特徴とする請求項5に記載の洗濯機用の回転槽ユニット(200)。
【請求項7】
前記導水カバー(220)の導水キャビティ(240)は、前記導水カバー(220)によって単独に画定されるか、又は前記導水カバー(220)と前記導水カバー取り付け部(260)の両方によって画定される、
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の洗濯機用の回転槽ユニット(200)。
【請求項8】
前記導水カバー取り付け部(260)は、前記槽本体(250)の周方向に間隔を空けて複数設けられており、前記導水カバー(220)は、それぞれ複数の前記導水カバー取り付け部(260)に複数設けられる、
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の洗濯機用の回転槽ユニット(200)。
【請求項9】
洗濯機(1)であって、
筐体(100)と、
前記筐体(100)内に回転可能に設けられる請求項1〜8のいずれかに記載の洗濯機用の回転槽ユニット(200)と、を備える、
ことを特徴とする洗濯機(1)。
【請求項10】
前記槽本体(250)の上端に設けられ、且つ前記槽本体(250)の上端に接続され、前記導水カバー(220)の上端に隣接し又は接続され、前記給水口(221)が前記導水カバー(220)の上端に設けられるバランスリング(230)を更に備える、
ことを特徴とする請求項9に記載の洗濯機(1)。
【請求項11】
少なくとも部分的に前記回転槽(210)の下方に位置するように前記筐体(100)内に設けられ、前記回転槽(210)から脱水された液体が前記導水キャビティ(240)により前記排水口(211)からガイドされる水受けトレイ(400)を更に備える、
ことを特徴とする請求項9又は10に記載の洗濯機(1)。
【請求項12】
回転槽(210)内に回転可能に設けられるパルセータ(300)を更に備える、
ことを特徴とする請求項11に記載の洗濯機(1)。
【請求項13】
前記水受けトレイ(400)に取り付けられ、前記回転槽(210)及び前記パルセータ(300)のうちの少なくとも一方を回転駆動するための駆動ユニット(500)を更に備える、
ことを特徴とする請求項12に記載の洗濯機(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、出願番号が201820346493.8、出願日が2018年3月13日の中国特許出願及び出願番号が201910083643.X、201920156920.0、出願日が2019年1月29日の中国特許出願に基づいて提出され、該中国特許出願の優先権を主張し、該中国特許出願の内容の全体が本願の一部として援用される。
【0002】
本願は電器製造の技術分野に関し、具体的には、洗濯機用の回転槽ユニット及び前記洗濯機用の回転槽ユニットを備える洗濯機に関する。
【背景技術】
【0003】
洗濯機の技術の持続的な発展に伴い、洗濯機は、大容量化へ発展しているが、洗濯機の大容量化とともに、洗濯機全体のサイズが増大し、このため、小型化・大容量化の洗濯機を提供することが期待され、また、従来の洗濯機では、洗濯するときに水が回転槽及び水槽にあり、即ち、水槽と回転槽との間にも水があり、水の使用量が大きく、水資源の浪費をもたらし、従来の洗濯機では、汚れが水槽と回転槽との間に残留して、細菌が発生しやすく、且つ、水槽と回転槽との間に水があるため、洗剤の使用量も大きくなり、洗剤の浪費をもたらし、コストダウンに不利である。
【0004】
このため、関連技術では、水槽を省略して回転槽だけを装着した洗濯機が提案されており、回転槽の内周囲の壁面には、導水カバーが設けられ、脱水時に、回転槽内の水が遠心力の作用によりまず上り、次に導水カバーを介して重力の作用下で落下して排出される。しかしながら、脱水過程に亘って遠心力が関とするので、水の上昇及び落下時の遠心力による影響を考慮できず、脱水効果を損なってしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願は、少なくとも従来技術に存在する技術課題の1つを解決することを目的とする。そのために、本願は、脱水効果が良好であるなどの利点を有する洗濯機用の回転槽ユニットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願は、前記洗濯機用の回転槽ユニットを備える洗濯機を更に提供する。
【0007】
本願の第1形態による実施例は、槽本体を含み、槽本体の内径が下方から上方に向かって徐々に増大し、槽本体の周壁に前記槽本体の外側へ凸設された導水カバー取り付け部が形成されている回転槽と、前記導水カバー取り付け部に設けられ、且つ前記回転槽内に位置し、給水口と排水口を有する導水キャビティを画定し、前記回転槽において遠心力の作用により上昇する液体が前記給水口から前記導水キャビティ内に入って前記排水口から排出される導水カバーと、を備える洗濯機用の回転槽ユニットを提供する。
【0008】
本願の実施例による洗濯機用の回転槽ユニットは、槽本体の内径が下方から上方に向かって徐々に増大するようにして、水が上昇して導水カバーに入りやすく、それにより脱水効果が良好であるなどの利点を有する。
【0009】
本願の実施例による洗濯機用の回転槽ユニットは、更に、下記付加的な技術的特徴を有する。
【0010】
本願のいくつかの特定実施例によれば、前記導水カバー取り付け部での上下方向における前記槽本体の輪郭線と、残りの位置での上下方向における前記槽本体の輪郭線との距離が、上方から下方に向かって増大する。
【0011】
本願のいくつかの特定実施例によれば、前記導水カバー取り付け部のいずれの部位での内径は、この部位の上方に位置する前記導水カバー取り付け部の部分の内径以上である。
【0012】
更に、前記導水カバー取り付け部の上下方向における各部位での内径が一致している。
【0013】
更に、前記導水カバー取り付け部の内径は、上方から下方に向かって増大する。
【0014】
本願のいくつかの特定実施例によれば、前記槽本体及び前記導水カバー取り付け部は、一体部材である。
【0015】
本願のいくつかの特定実施例によれば、前記給水口は、前記導水カバーに設けられ、前記排水口は、前記導水カバー取り付け部及び/又は前記槽本体の底壁に設けられる。
【0016】
更に、前記給水口は、前記導水カバーの上方に設けられ、前記排水口は、前記導水カバー取り付け部の下部に設けられる。
【0017】
更に、前記給水口は、前記導水カバーの上端に設けられ、前記排水口は、前記槽本体の底壁に隣接する。
【0018】
本願のいくつかの特定実施例によれば、前記導水カバーの導水キャビティは、前記導水カバー単独で画定されるか、又は前記導水カバーと前記導水カバー取り付け部の両方で画定される。
【0019】
本願のいくつかの特定実施例によれば、前記導水カバー取り付け部は、前記槽本体の周方向に間隔を空けて複数設けられており、前記導水カバーは、それぞれ複数の前記導水カバー取り付け部に複数設けられる。
【0020】
本願の第2形態の実施例によれば、筐体と、前記筐体内に回転可能に設けられる本願の第1形態の実施例に記載の洗濯機用の回転槽ユニットと、を備える洗濯機を提供する。
【0021】
本願の実施例による洗濯機は、本願の第1形態の実施例に記載の洗濯機用の回転槽ユニットを用いることで、脱水効果が良好であるなどの利点を有する。
【0022】
本願のいくつかの特定実施例によれば、前記洗濯機は、前記槽本体の上端に設けられ、且つ前記槽本体の上端に接続され、前記導水カバーの上端に隣接し又は接続され、前記給水口が前記導水カバーの上端に設けられるバランスリングを更に備える、ことを特徴とする。
【0023】
本願のいくつかの特定実施例によれば、前記洗濯機は、少なくとも部分的に前記回転槽の下方に位置するように、前記筐体内に設けられ、前記回転槽から脱水された液体が前記導水キャビティにより前記排水口からガイドされる水受けトレイを更に備える。
【0024】
更に、前記洗濯機は、回転槽内に回転可能に設けられるパルセータを更に備える。
【0025】
更に、前記洗濯機は、前記水受けトレイに取り付けられ、前記回転槽と前記パルセータのうちの少なくとも一方を回転駆動するための駆動ユニットを更に備える。
【0026】
本願の追加の形態と利点は、以下の説明において部分的に説明され、その一部は、以下の説明から明らかなになるか、又は本願を実施することによって把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本願の上記及び/又は追加の態様及び利点は、以下の図面を参照しながら実施例を説明することによって明らかで容易に理解できるようになる。
【
図2】本願の実施例による洗濯機用の回転槽ユニットの構造模式図である。
【
図3】本願の実施例による洗濯機用の回転槽ユニットの部分構造模式図である。
【
図4】本願の実施例による洗濯機用の回転槽ユニットの回転槽の構造模式図である。
【
図5】本願の実施例による洗濯機用の回転槽ユニットの回転槽の断面図である。
【
図6】本願の他のいくつかの実施例による洗濯機用の回転槽ユニットの回転槽の断面図である。
【
図7】本願のまた他のいくつかの実施例による洗濯機用の回転槽ユニットの回転槽の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本願の実施例を詳細に説明し、前記実施例の例は図面に示され、一貫して同様又は類似の参照番号は、同一又は類似の要素および同一又は類似の機能を有する要素を示す。以下、図面を参照して記述される実施例は、例示的なものであって、本願を解釈するためのものに過ぎず、本願を制限するものとして理解してはならない。
【0029】
なお、本願の説明において、「上」、「下」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」「内」、「外」、「径方向」、「周方向」などの用語が示す方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づき、本願を便利に又は簡単に説明するためのものであり、指定された装置又は部材が特定の方位にあり、特定の方位において構造され操作されると指示又は暗示するものではないので、従って本願を限定するものと理解してはいけない。また、本願の説明において、特に説明しない限り、「複数」の意味は2つ以上である。
【0030】
ただし、本願の説明において、明確な規定と限定がない限り、用語「取り付け」、「互いに接続」、「接続」の意味は広く理解されるべきである。たとえば、固定接続や、着脱可能な接続や、あるいは一体的な接続でも可能であり、機械的接続、電気的接続でも可能であり、直接的に接続することや、中間媒体を介して間接的に接続することも可能である。2つの部材の内部が貫通することも可能である。当業者にとって、具体的な状況に応じて上記用語の本願中の具体的な意味を理解することができる。
【0031】
以下、図面を参照しながら、本願の実施例による洗濯機用の回転槽ユニット200について説明する。
【0032】
図1〜
図7に示すように、本願の実施例による洗濯機用の回転槽ユニット200は、回転槽210と導水カバー220を備える。
【0033】
回転槽210は槽本体250を備え、槽本体250の内径が下方から上方に向かうに向かって増大し、槽本体250の周壁に槽本体250の外側へ凸設された導水カバー取り付け部260が形成される。槽本体250の内径Dは下方から上方に向かって徐々に増大し、即ち、槽本体250は上が大きくて下が小さい錐体形に構成できる。導水カバー220は導水カバー取り付け部260に設けられ、且つ回転槽210内に位置し、導水カバー220は、給水口221と排水口211を有する導水キャビティ240を画定し、回転槽210において遠心力の作用により上昇する液体が給水口221から導水キャビティ240内に入って排水口211から排出される。
【0034】
本願の実施例による洗濯機用の回転槽ユニット200は、槽本体250の内周壁に導水カバー取り付け部260を構成し、導水カバー220は、導水カバー取り付け部260に取り付けられ、且つ槽本体250内に位置し、槽本体250の回転中に、槽本体250内の水が遠心力の作用により槽本体250の内周壁に沿って上昇して給水口221から導水キャビティ240に入り、次に重力の作用により下へ流れて排水口211から排出され、それにより、回転槽210における水槽を不要として、回転槽ユニット200の構造を簡略化する。また、槽本体250の内径が下方から上方に向かって徐々に増大するようにすることで、水が上昇して導水カバー220に入りやすく、それにより脱水効果を向上させる。
【0035】
本願のいくつかの実施例では、
図5〜
図7に示すように、導水カバー取り付け部260での上下方向における槽本体250の輪郭線と、残りの位置での上下方向における槽本体250の輪郭線との距離が、上方から下方に向かって増大する。
【0036】
いくつかの実施例では、導水カバー取り付け部260と垂直方向(即ち、上下方向)との夾角αは、槽本体250の周壁と垂直方向との夾角より小さい。
【0037】
なお、槽本体250の周壁は垂直方向に対して上方から下方へ内向きに徐々に傾斜して延びており、槽本体250の周壁に形成された上方から下方への輪郭線と垂直方向との夾角が正数であると仮定すると、導水カバー取り付け部260と垂直方向との夾角αが槽本体250の周壁と垂直方向との夾角より小さい(導水カバー取り付け部260と垂直方向との夾角αが正数、ゼロ及び負数であるといった状況を含む)。
【0038】
本願の実施例では、導水カバー取り付け部260での上下方向における槽本体250の輪郭線と、残りの位置での上下方向における槽本体250の輪郭線はいずれも直線に形成され、槽本体250は上が大きくて下が小さい錐体形に構成されるため、導水カバー取り付け部260での上下方向における槽本体250の輪郭線は、
図5中の上下方向に延びている垂直線に形成されてもよく、
図6中の上下方向に対して上方から下方へ外向きに徐々に傾斜して延びている傾斜直線に形成されてもよく、又は
図7中の上下方向に対して上方から下方へ内向きに徐々に傾斜して延びている傾斜直線に形成されてもよい。
【0039】
導水カバー取り付け部260の内径dは、導水カバー取り付け部260での槽本体250の内径であり、ここで内径dの測定起点と終点がいずれも導水カバー取り付け部260の内側壁であり、槽本体の内径Dは、槽本体250の導水カバー取り付け部260以外の部分の内径であり、ここで内径Dの測定起点と終点がいずれも槽本体250の導水カバー取り付け部260以外の部分の内側壁であり、ただし、
図5〜
図7に示される内径dは、導水カバー取り付け部260での肉厚を無視したものであり、内径Dは、槽本体250の導水カバー取り付け部260以外の部分の肉厚を無視したものである。
【0040】
本願のいくつかの実施例では、
図7に示すように、導水カバー取り付け部260の内径dは、下方から上方に向かって徐々に増大してもよく、即ち、導水カバー取り付け部260と垂直方向との夾角が正数であり、ここでは、導水カバー取り付け部260の上端の内径は、導水カバー取り付け部260の上端と同じ高さの槽本体250の部分の内径以上であり、導水カバー取り付け部260の残りの部分の内径は、いずれも、これらの部分と同じ高さの槽本体250の部分の内径よりより大きいようにしてもよく、即ち、回転槽210の径方向には、導水カバー取り付け部260の上端以外の残りの部分がいずれも槽本体250の周壁の外側に位置し、この例では、導水カバー取り付け部260と垂直方向との夾角が正数であり、即ち、導水カバー取り付け部260が垂直方向に対して傾斜する方向は、槽本体250の周壁が垂直方向に対して傾斜する方向と同一である。
【0041】
本願の他のいくつかの実施例では、導水カバー取り付け部260のいずれの部位での内径は、この部位の上方に位置する部分の内径以上である。つまり、導水カバー取り付け部260のいずれの部位での内径は、この部位の上方に位置する導水カバー取り付け部260の部分の内径以上である。
【0042】
たとえば、
図5に示すように、導水カバー取り付け部260は上下方向に沿って垂直に延びてもよい。つまり、導水カバー取り付け部260と垂直方向との夾角αがゼロ度であり、導水カバー取り付け部260の上下方向における各部位での内径dが一致している。
【0043】
またたとえば、
図6に示すように、導水カバー取り付け部260の内径dは、上方から下方に向かって増大してもよく、即ち、回転槽210の径方向に、導水カバー取り付け部260の下端が導水カバー取り付け部260の上端の外側に位置してもよく、この例では、導水カバー取り付け部260と垂直方向との夾角αが負数であり、即ち、導水カバー取り付け部260が垂直方向に対して傾斜する方向は、槽本体250の周壁が垂直方向に対して傾斜する方向と逆である。
【0044】
ただし、回転槽ユニット200の横断面においては、導水カバー取り付け部260は槽本体250と同心の弧形であり、従って導水カバー取り付け部260の内径はその内側面が位置する弧形の直径である。
【0045】
槽本体250及び導水カバー取り付け部260は、一体部材であり、即ち、槽本体250及び導水カバー取り付け部260は、一体に成形され、加工しやすく、また、密封性と構造強度が高い。
【0046】
導水カバー220は、導水カバー取り付け部260に設けられ、且つ回転槽210内に位置し、導水カバー220は、給水口221と排水口211を有する導水キャビティ240を画定する。回転槽210において遠心力の作用により上昇する液体が給水口221から導水キャビティ240内に入って排水口211から排出される。
【0047】
具体的には、洗濯機1の脱水中、回転槽210が回転し、即ち、導水カバー220が槽本体250とともに回転し、回転槽210内の液体が遠心力の作用により上へ移動し、給水口221から導水キャビティ240に入り、導水キャビティ240に入った液体が導水カバー220により排水口211までガイドされ、排水口211から排出される。
【0048】
当業者にとっては明らかに、
図1〜
図3に示される例では、槽本体250の上下方向における内径Dの差が非常に小さいので、図面から、槽本体250の内径Dが下方から上方に向かって徐々に増大することをはっきりと観察できないが、
図4〜
図6に示される例では、槽本体250の該構造特徴をはっきりと示すことができる。
【0049】
関連技術では、パルセータ洗濯機の回転槽は、一般的に、内径が一致するストレートバケツであり、又は、上が大きくて下が小さい錐体形バケツであり、回転槽は、回転中に、内径が大きな部分の離心力が大きく、内径が小さな部分の離心力も小さい。このように、ストレートバケツ構造の場合、脱水時に水が上昇しにくく、錐体形バケツ構造の場合、脱水時に水が落下にくいため、いずれも脱水効果に影響を与える。
【0050】
本願の実施例による洗濯機用の回転槽ユニット200では、槽本体250の内径が下方から上方に向かって徐々に増大するようにすることで、脱水時に、回転槽210内の水が上昇しやすいため、給水口221から導水キャビティ240内に入り、且つ導水カバー取り付け部260と垂直方向との夾角が槽本体250の周壁と垂直方向との夾角より小さく、好ましくは、導水カバー取り付け部260のいずれの部位での内径をこの部位の上方に位置する部分の内径以上にすることによって、導水キャビティ240内に入った水が、遠心力で制限されずに、排水口211から順調に流出できる。
【0051】
従って、本願の実施例による洗濯機用の回転槽ユニット200は、水の上昇及び落下時の遠心力による影響を考慮でき、それにより脱水効果が良好であるなどの利点を有する。
【0052】
本願のいくつかの特定実施例では、
図1〜
図4に示すように、給水口221が導水カバー220に設けられ、排水口211が導水カバー取り付け部260及び/又は槽本体250の底壁に設けられる。即ち、排水口211は、導水カバー取り付け部260に設けられてもよく、槽本体250の底壁に設けられてもよく、又は、導水カバー取り付け部260と槽本体250の両方に設けられてもよい。
【0053】
具体的には、排水口211が導水カバー取り付け部260に設けられる場合、導水カバー220が排水口211に覆設され、且つ導水カバー220の下端が導水カバー取り付け部260のみに接続され、それにより、導水カバー220を密封しやすい。勿論、本願の排水口211が槽本体250の底壁に設けられてもよく、導水カバー220が排水口211に覆設され、脱水時の脱水効率の向上に寄与し、脱水効果が良好であり、また水が排水口211から飛び散ることを効果的に減少できる。排水口211が導水カバー取り付け部260と槽本体250の底壁の両方に設けられる場合、導水カバー220を密封しやすく、脱水時の脱水効率の向上にも寄与し、また水が排水口211から飛び散ることを効果的に防止できる。
【0054】
更に、
図1〜
図4に示すように、給水口221は、導水カバー220の上方に設けられ、排水口211は、導水カバー取り付け部260の下部に設けられる。ただし、ここでは、導水カバー220の上方は、導水カバー220の上下方向における中心の上の部分であり、導水カバー取り付け部260の下部は、導水カバー取り付け部260の上下方向における中心の下の部分である。それにより、脱水時に、回転槽210が回転し、回転槽210内の水が遠心力の作用により上昇し、導水カバー220の上方に位置する給水口221は上昇した水を効果的に収集でき、この部分の水が給水口221から導水カバー220内に入り、導水カバー220のガイドで下方の排水口211へ流れ、それにより脱水効率と脱水効果を更に向上させる。
【0055】
更に、
図1〜
図4に示すように、給水口221が導水カバー220の上端に設けられることで、回転槽210内において遠心力の作用により回転槽210の上端に上昇した液体を収集しやすい。排水口211は導水カバー取り付け部260に設けられ、且つ槽本体250の底壁と隣接して設けられ、槽本体250の底壁と所定の距離を空けており、それにより、導水カバー220を密封しやすい。
【0056】
好ましくは、導水カバー220の導水キャビティ240は、導水カバー220単独で画定されるか、又は導水カバー220と導水カバー取り付け部260の両方で画定される。つまり、導水カバー220内に完全な導水キャビティ240を画定し、導水カバー220に導水キャビティ240と排水口211を連通させる貫通孔を開設する。あるいは、導水カバー220内に一面が開放する導水キャビティ240を画定し、導水カバー220が導水カバー取り付け部260に取り付けられる場合、導水カバー取り付け部260が導水キャビティ240の開放面を密閉する。
【0057】
本願のいくつかの特定実施例では、
図1〜
図6に示すように、洗濯機1の排水効果を向上させるために、導水カバー取り付け部260は、槽本体250の周方向に間隔を空けて複数設けられており、導水カバー220は、それぞれ複数の導水カバー取り付け部260に複数設けられる。つまり、導水カバー取り付け部260の数が導水カバー220の数と対応し、導水カバー取り付け部260のそれぞれに導水カバー220が取り付けられる。一例としては、導水カバー取り付け部260は、2つあり、槽本体250の径方向に相対設けられ、導水カバー220は、2つあり、それぞれ一対一で2つの導水カバー取り付け部260に設けられる。
【0058】
以下、図面を参照しながら、本願の実施例による洗濯機1について説明する。
【0059】
図1〜
図6に示すように、本願の実施例による洗濯機1は、筐体100と回転槽ユニット200を備える。
【0060】
回転槽ユニット200が筐体100内に回転可能に設けられる。
【0061】
本願の実施例による洗濯機1は、水槽を設けられずに回転槽210のみを設ける単一槽構造を用い、洗浄中、水が回転槽210内にあり、節水し、更に、回転槽210の内周壁面に、給水口221と排水口211を有する導水キャビティ240が画定されている導水カバー220を設けることで、脱水時に、回転槽210内の水が遠心力の作用により上昇し、給水口221から導水カバー220内に入り、導水カバー220のガイドで排水口211まで流れて、排水口211から排出される。それにより、水槽を不要として構造を簡略化し、容量を増加させ、汚れや細菌繁殖を減少させ、節水するとともに、脱水効果を向上できる。
【0062】
更に、導水カバー220が回転槽210に接続されることで、脱水中の導水を実現するために、筐体100に付加の構造を設けたり、筐体100を内部と外部の二層構造に設けたりする必要はなく、このように、筐体100の材料は制限されず、たとえば板金などの材料を用いることができ、それにより外観が大幅に改善される。
【0063】
また、本願の上記実施例の回転槽ユニット200を用いることで、水の上昇及び落下時の遠心力による影響を考慮でき、脱水効果が良好であるなどの利点を有する。
【0064】
ただし、本願の実施例による洗濯機用の回転槽ユニット200は、単一槽洗濯機を用いてもよく、二重槽洗濯機を用いてもよく、本願はこれについて制限しない。
【0065】
本願のいくつかの特定例では、
図1に示すように、本願の実施例による洗濯機1は、筐体100、回転槽ユニット200、パルセータ300、水受けトレイ400、駆動ユニット500及び支持・振動吸収ユニット600を備える。
【0066】
パルセータ300は、回転槽210内に回転可能に設けられる。水受けトレイ400は、少なくとも部分的に回転槽210の下方に位置するように、筐体100内に設けられ、水受けトレイ400は、回転槽210を支持することに用いられ、ここでは、直接支持であってもよく、間接支持であってもよい。本実施例では、駆動ユニット500は、水受けトレイ400に取り付けられ、たとえば水受けトレイ400の下面に取り付けられ、回転槽210とパルセータ300のうちの少なくとも一方を回転駆動することに用いられる。駆動ユニット500には、水受けトレイ400に挿通され且つ水受けトレイ400に接続嵌合される駆動軸ユニット501が設けられ、水受けトレイ400と回転槽210との間には、駆動軸ユニット501に接続され、回転槽210に固定して接続される支持プレート502が設けられる。導水キャビティ240は回転槽210から脱水した液体を排水口211から水受けトレイ400までガイドする。ここでは、水受けトレイ400内には、受水槽410があり得て、かつ、水受けトレイ400の最も低い部位には排水する排水口が設けられ、水受けトレイ400は、導管などを用いて受水槽410内の水を導出することで、排水口が設けられなくてもよい。支持・振動吸収ユニット600は、筐体100内に取り付けられ、且つ水受けトレイ400に接続される。
【0067】
それにより、水受けトレイ400を設けることで、導水キャビティ240内から排出された液体を受けることができるだけではなく、駆動ユニット500と支持・振動吸収ユニット600を水受けトレイ400に取り付けて、駆動ユニット500と支持回転槽210を載置する役割を果たすことができる。
【0068】
更に、
図1及び
図2に示すように、洗濯機1は、回転槽210の回転時のバランスを維持するためのバランスリング230を更に備え、バランスリング230は、槽本体250の上端に設けられ、且つ槽本体250の上端に接続され、導水カバー220の上端は、バランスリング230に隣接し、且つバランスリング230に間隔を空けて設けられており、該隙間によって導水カバー220が取り付けられやすく、給水口221が導水カバー220の上端に設けられる。このように、給水口221は、バランスリング230と所定の距離を空けるように、バランスリング230の下方に位置し、回転槽210が回転する時、回転槽210内の水が遠心力の作用により給水口221に入り、導水キャビティ240内に入る。導水カバー220の上端がバランスリング230に接続されてもよく、この場合、バランスリング230と導水カバー220の上端が給水口221を画定し、回転槽210が回転する時、回転槽210内の水が遠心力の作用により給水口221に入り、導水キャビティ240内に入る。
【0069】
本願の実施例による洗濯機1のその他の構成及び操作は、当業者にとって既知のものであり、ここでは、詳細な摘要が省略される。
【0070】
本明細書の説明において、「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例示的な実施例」、「例」、「特定例」、又は「いくつかの例」などの用語を参考した説明とは、当該実施例又は例に合わせて説明された具体的な特徴、構造、材料又は特徴が、本願の少なくとも一つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書において、上記用語に対する例示的な説明は必ずしも同一の実施例又は例を示すことではない。また、説明された具体的な特徴、構造、材料、又は特徴は、いずれか一つ又は複数の実施例又は例において適切な形態で結合することができる。
【0071】
本願の実施例を示して開示したが、当業者であれば、本願の原理や主旨から逸脱することなく、これらの実施例に対する様々な変化、補正、置換や変形が可能であることを理解でき、本願の範囲が特許請求の範囲及びその等価物で限定される。
【符号の説明】
【0072】
100 筐体
200 回転槽ユニット
210 回転槽
211 排水口
220 導水カバー
221 給水口
230 バランスリング
240 導水キャビティ
250 槽本体
260 導水カバー取り付け部
400 水受けトレイ
410 受水槽
600 支持・振動吸収ユニット