(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6977211
(24)【登録日】2021年11月15日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】2−メチルアリルアルコキシドのアルコール溶液を連続的に製造する方法
(51)【国際特許分類】
C07C 29/70 20060101AFI20211125BHJP
C07C 33/03 20060101ALI20211125BHJP
【FI】
C07C29/70
C07C33/03
【請求項の数】8
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2020-543032(P2020-543032)
(86)(22)【出願日】2018年10月10日
(65)【公表番号】特表2021-512931(P2021-512931A)
(43)【公表日】2021年5月20日
(86)【国際出願番号】CN2018109599
(87)【国際公開番号】WO2019165783
(87)【国際公開日】20190906
【審査請求日】2020年8月11日
(31)【優先権主張番号】201810170183.X
(32)【優先日】2018年3月1日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】505072650
【氏名又は名称】浙江大学
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG UNIVERSITY
(73)【特許権者】
【識別番号】520224960
【氏名又は名称】浙江皇馬科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG HUANGMA TECHNOLOGY CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【弁理士】
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】陳 志栄
(72)【発明者】
【氏名】尹 紅
(72)【発明者】
【氏名】王 偉松
(72)【発明者】
【氏名】金 一豊
(72)【発明者】
【氏名】王 勝利
(72)【発明者】
【氏名】万 慶梅
(72)【発明者】
【氏名】高 洪軍
(72)【発明者】
【氏名】馬 定連
(72)【発明者】
【氏名】梁 志▲ミャオ▼
【審査官】
高橋 直子
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭60−228437(JP,A)
【文献】
特開昭63−264430(JP,A)
【文献】
特開2008−297305(JP,A)
【文献】
特開平9−309849(JP,A)
【文献】
特表2003−516373(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第102504239(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 29/70
C07C 33/03
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2−メチルアリルアルコール及びアルカリ金属水酸化物水溶液を原料として、複合型精留塔中で反応精留により水分を除去し、精留塔の塔底で2−メチルアリルアルコキシドのアルコール溶液を得る方法であって、前記アルカリ金属水酸化物水溶液の濃度は40〜60質量%で、アルカリ金属水酸化物水溶液と2−メチルアリルアルコールの質量比は1:10〜50であり、前記複合型精留塔の上部は棚段塔で、下部は充填塔であり、前記2−メチルアリルアルコールは1番目のトレイから精留塔に入れ、前記アルカリ金属水酸化物水溶液は2番目のトレイから精留塔に入れ、前記棚段塔のトレイのメッシュにはガス噴射式循環流体混合コンポーネントが設けられ、前記循環流体混合コンポーネントは内外2つの中空管をスリーブ接続してなり、外側中空管は内側中空管の上部に固定され、前記内側中空管はメッシュと互いに連通する、2−メチルアリルアルコキシドのアルコール溶液を連続的に製造する方法。
【請求項2】
前記循環流体混合コンポーネントは、1平方メートル当たりに50〜200個設けられている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記内側中空管及び外側中空管はコーン状管で、コーン状管の狭い口は上方を向いている、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記複合型精留塔の上部の棚段塔のトレイ数は10〜30段で、下部の充填塔部分は30〜50段の理論段を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記充填塔内の充填物は規則充填物又は不規則充填物である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記アルカリ金属水酸化物水溶液は水酸化ナトリウム水溶液又は水酸化カリウム水溶液である、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記精留塔の塔頂に水処理装置が接続され、前記水処理装置は、凝縮器、分層器及び2−メチルアリルアルコール回収塔を含み、精留塔の塔頂の共沸物蒸気が凝縮器により凝縮された後に分層器に入り、上層のアルコール相及び2−メチルアリルアルコールが1番目のトレイに入り、下層の水相が2−メチルアリルアルコール回収塔の仕込みとされ、回収塔の塔頂から出た共沸物蒸気が凝縮器に入り、回収塔の塔底から水を排出し、アルカリ水溶液の調製に用いる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記2−メチルアリルアルコール回収塔は充填塔で、該塔は20〜30段の理論段を有し、前記回収塔内の充填物は規則充填物又は不規則充填物である、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機合成反応分野に属し、アルコールとアルカリ溶液の脱水反応に関する。
【背景技術】
【0002】
2−メチルアリルアルコールポリエーテルは、高性能減水剤の重要なモノマーであり、通常、2−メチルアリルアルコール(2−メチル−2−プロペン−1−オールともいう)をアルカリ触媒の存在でエチレンオキサイド、プロピレンオキシドと開環重合反応させて得られる。エポキシドの開環重合反応過程において、系内の微量の水、遊離アルカリはいずれもジヒドロキシポリマーの生成を誘発するが、ジヒドロキシポリマーは無効成分であり、その生成はなるべく回避すべきである。
【0003】
アルカリ触媒は、通常、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ金属アルコキシドである。アルカリ金属水酸化物はジヒドロキシポリマーの生成を引き起こしやすいため、工業上、一般的にはアルカリ金属アルコキシドを使用する。
【0004】
アルカリ金属アルコキシドの合成方法としては、通常、以下の幾つかの方法が用いられる。
【0005】
1つ目は、アルコールをアルカリ金属と直接に反応させてアルカリ金属アルコキシドを得る方法である(Organic Synthesis,1973,5:361)。この方法では、水素ガスが生成し、活性アルカリ金属を投入する時に安全上のリスクがあり、かつ、アルカリ金属の価額が高い。
【0006】
2つ目は、アルコールとアミノナトリウムを反応させてアルカリ金属アルコキシドを得る方法である(現代農薬,2004,1(3):9,19)。この方法では、副産物であるアンモニアが生成し、かつ、アミノナトリウムの価額も高い。
【0007】
3つ目は、ポタシウムアマルガムとアルコールを反応させてアルカリ金属カリウムアルコキシドを得る方法である(US6150569,US6191319,US2002062050,US2005101806,EP1195369)。この方法では、同様に水素ガスが生成し、原料の価額が高く、かつ水銀の毒性が強く、安全リスクがある。
【0008】
上記の3種類の方法は、固体反応物を投入する必要があるので、断続的に行わなければならない。
【0009】
4つ目は、低級アルコキシドと高級アルコールを交換反応させてアルカリ金属アルコキシドを得る方法である(Membr Sci.1996,114:227)。この方法では、ナトリウムメトキシド又はカリウムメトキシドを用いる必要があり、コストが高く、かつメトキシドが残存し、ポリエーテルの反応活性に影響することがある。
【0010】
5つ目は、アルコールとアルカリ金属水酸化物を用いて共沸剤の存在下で共沸反応精留によりアルカリ金属アルコキシドを製造する方法である(US3418383,JP09077730,DE10158354)。アルコールとアルカリ溶液が非完全に相溶する場合、この反応の速度は遅く、アルカリの転化率が低く、得られたアルカリ金属アルコキシドの中に無機アルカリが多く含まれる。
【発明の概要】
【0011】
先行技術文献に報告された2−メチルアリルアルコキシドの製造過程に存在する課題に対して、本発明では、2−メチルアリルアルコール及びアルカリ水溶液を原料として、反応精留して十分な気液接触によって非完全に相溶する両相を迅速に反応させる。そのため、反応を連続的に行うことができ、安全性が高く、無機アルカリの残存が少なく、高品質の2−メチルアリルアルコールポリエーテルの製造に直接使用することができる。
【0012】
本発明では、以下の2−メチルアリルアルコキシドのアルコール溶液を連続的に製造する方法を提供する。すなわち、2−メチルアリルアルコール及びアルカリ金属水酸化物水溶液を原料として、複合型精留塔中で反応精留により水分を除去し、精留塔の塔底で2−メチルアリルアルコキシドのアルコール溶液を得る方法であって、上記アルカリ金属水酸化物水溶液の濃度は40〜60質量%であり、アルカリ金属水酸化物水溶液と2−メチルアリルアルコールの質量比は1:10〜50であり、上記複合型精留塔の上部は棚段塔であり、下部は充填塔であり、2−メチルアリルアルコールは1番目のトレイから精留塔に入れ、アルカリ金属水酸化物水溶液は2番目のトレイから精留塔に入れ、上記棚段塔のトレイのメッシュにはガス噴射式循環流体混合コンポーネントが設けられ、上記循環流体混合コンポーネントは内外2つの中空管をスリーブ接続してなり、外側中空管は内側中空管の上部に固定され、上記内側中空管はメッシュと互いに連通することを特徴とする。
【0013】
上記循環流体混合コンポーネントの分布は、1平方メートル当たりに50〜200個が設けられていることが好ましい。
【0014】
上記内側中空管及び外側中空管はコーン状管であり、コーン状管の狭い口は上方を向いていることが好ましい。
【0015】
上記複合型精留塔の上部の棚段塔のトレイ数は10〜30段であり、下部の充填塔部分は30〜50段の理論段を有することが好ましい。
【0016】
上記充填塔内の充填物は規則充填物又は不規則充填物であることが好ましい。
【0017】
上記アルカリ金属水酸化物水溶液は水酸化ナトリウム水溶液又は水酸化カリウム水溶液であることが好ましい。
【0018】
上記精留塔の塔頂に水処理装置が接続されており、上記水処理装置は、凝縮器、分層器及び2−メチルアリルアルコール回収塔を含み、精留塔の塔頂の共沸物蒸気が凝縮器により凝縮された後に分層器に入り、上層のアルコール相及び2−メチルアリルアルコールが1番目のトレイに入り、下層の水相が2−メチルアリルアルコール回収塔の仕込みとされ、回収塔の塔頂から出た共沸物蒸気が凝縮器に入り、回収塔の塔底から水を排出し、アルカリ水溶液の調製に用いる。
【0019】
上記2−メチルアリルアルコール回収塔は充填塔であり、該塔は20〜30段の理論段を有し、上記回収塔内の充填物は規則充填物又は不規則充填物であることが好ましい。
【0020】
本発明者らは、研究の結果、以下のことを見い出した。固体アルカリと2−メチルアリルアルコールを用いて断続的反応精留により2−メチルアリルアルコキシドを製造すれば、固体の比表面積が小さく、溶解速度が遅いので、アルカリの転化率を95%程度に到達させるのに反応時間が10時間以上必要となる。、充填塔を用いてアルカリ溶液と2−メチルアリルアルコールを反応させれば、両者の相溶度が低く、物質移動が反応の制御要素となるので、10メートルのCY充填機(約70段の理論段)であっても70%程度の転化率しか達成できない。発明者らが、鋭意研究した結果、用いるアルカリ溶液と2−メチルアリルアルコールは相溶度が低く、アルカリの転化率が90%以上に達する場合のみ、残りのアルカリがアルコール相中に完全に溶解し得ることを見い出した。本発明では、非常に過量のアルコールをアルカリ水溶液と反応させ、同時に、アルカリ溶液と2−メチルアリルアルコールの反応において、反応速度を加速するためにより激しい撹拌混合を必要とする。このために、本発明では、ガス噴射式循環流体混合コンポーネントを設計し、該混合コンポーネントにより、蒸気の運動エネルギーを利用して噴射を行い、トレイ上の液−液の両相の混合分散を促進させることにより、液−液の両相の物質移動速度を向上させる。また、棚段塔の大きい液体保持量により両相の反応に必要な滞留時間が得られる。アルカリの転化率を向上させるために、アルカリが完全に溶解した後の均一相反応段階において、充填塔により提供される大きな比表面積を利用して反応精留を促進させることにより、系における遊離アルカリの含有量を低下させることができる。本発明は、棚段塔と充填塔の組み合わせにより、2−メチルアリルアルコールとアルカリ溶液の非均一相反応精留系に存在する課題を解決することができ、工業化及び拡大生産に適する。
【発明の効果】
【0021】
本発明では、複合型精留塔において反応精留により2−メチルアリルアルコールとアルカリ水溶液を脱水反応させることにより2−メチルアリルアルコキシドのアルコール溶液を得る。反応を連続的に行うことができ、安全性が高く、無機アルカリの残存が少なく、高品質の2−メチルアリルアルコールポリエーテルの製造に直接利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本発明に係る複合型反応精留装置及びその反応プロセスの流れを示す模式図である。
【
図2】
図2は、ガス噴射式循環流体混合コンポーネントの一例を示す構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、実施例を参照しながら、本発明の技術的解決手段をさらに説明する。
【0024】
実施例1
図1に示す複合型精留塔1は、該塔の上部に10段のトレイを有し、トレイ上に1平方メートル当たり50個のガス噴射式循環流体混合コンポーネントが設けられている(図示せず、具体的な構造図については
図2を参照)。下部には、理論段数が50の不規則充填物を有する。複合型精留塔1の上部の2番目のトレイに濃度40%の水酸化ナトリウム水溶液を連続的に添加し、1番目のトレイに2−メチルアリルアルコール及び分層器3の上層アルコール相を連続的に添加した。水酸化ナトリウム水溶液と2−メチルアリルアルコールの質量比は1:50とした。分層器3の下層水相を2−メチルアリルアルコール回収塔4(該塔には理論段数が20段の不規則充填物が取り付けられている)の塔頂に入れた。2−メチルアリルアルコール回収塔4の塔頂から出た共沸物蒸気を複合型精留塔1の塔頂から出た共沸物蒸気と共に凝縮器2に入れて凝縮させると、凝縮液が分層器3に入る。2−メチルアリルアルコール回収塔4の塔底から2−メチルアリルアルコールの投入量に対して1.55%の水を得た。水中の2−メチルアリルアルコールの含有量は122ppmであった。また、複合型精留塔1の塔底から2−メチルアリルアルコールの投入量に対して100.4%のナトリウム2−メチルアリルアルコキシドのアルコール溶液を得た。該アルコール溶液中に含有されるナトリウム2−メチルアリルアルコキシドは1.86%であり、遊離アルカリの含有量は33ppmであった。換算した結果、水酸化ナトリウムの転化率は99.6%であった。
【0025】
実施例2
図1に示す複合型精留塔1は、該塔の上部に20段のトレイを有し、トレイ上に1平方メートル当たり100個のガス噴射式循環流体混合コンポーネントが設けられている(図示せず、具体的な構造図については
図2を参照)。下部には、理論段数が30の規則充填物を有する。複合型精留塔1の上部の2番目のトレイに濃度45%の水酸化ナトリウム水溶液を連続的に添加し、1番目のトレイに2−メチルアリルアルコール及び分層器3の上層アルコール相を連続的に添加した。水酸化ナトリウム水溶液と2−メチルアリルアルコールの質量比は1:40とした。分層器3の下層水相を2−メチルアリルアルコール回収塔4(該塔には理論段数が30段の不規則充填物が取り付けられている)の塔頂に入れた。2−メチルアリルアルコール回収塔4の塔頂から出た共沸物蒸気を複合型精留塔1の塔頂から出た共沸物蒸気と共に凝縮器2に入れて凝縮させると、凝縮液が分層器3に入る。2−メチルアリルアルコール回収塔4の塔底から2−メチルアリルアルコールの投入量に対して1.88%の水を得た。水中の2−メチルアリルアルコールの含有量は82ppmであった。複合型精留塔1の塔底から2−メチルアリルアルコールの投入量に対して100.6%のナトリウム2−メチルアリルアルコキシドのアルコール溶液を得た。該アルコール溶液中に含有されるナトリウム2−メチルアリルアルコキシドは2.61%であり、遊離アルカリの含有量は51ppmであった。換算した結果、水酸化ナトリウムの転化率は99.5%であった。
【0026】
実施例3
図1に示す複合型精留塔1は、該塔の上部に25段のトレイを有し、トレイ上に1平方メートル当たり200個のガス噴射式循環流体混合コンポーネントが設けられている(図示せず、具体的な構造図については
図2を参照)。下部には理論段数が40の不規則充填物を有する。複合型精留塔1の上部の2番目のトレイに濃度50%の水酸化カリウム水溶液を連続的に添加し、1番目のトレイに2−メチルアリルアルコール及び分層器3の上層アルコール相を連続的に添加した。水酸化カリウム水溶液と2−メチルアリルアルコールの質量比は1:20とした。分層器3の下層水相を2−メチルアリルアルコール回収塔4(該塔には理論段数が25段の不規則充填物が取り付けられている)の塔頂に入れた。2−メチルアリルアルコール回収塔4の塔頂から出た共沸物蒸気を複合型精留塔1の塔頂から出た共沸物蒸気と共に凝縮器2に入れて凝縮させると、凝縮液が分層器3に入る。2−メチルアリルアルコール回収塔4の塔底から2−メチルアリルアルコールの投入量に対して3.30%の水を得た。水中の2−メチルアリルアルコールの含有量は97ppmであった。複合型精留塔1の塔底から2−メチルアリルアルコールの投入量に対して101.7%のカリウム2−メチルアリルアルコキシドのアルコール溶液を得た。該アルコール溶液中に含有されるカリウム2−メチルアリルアルコキシドは4.81%であり、遊離アルカリの含有量は122ppmであった。換算した結果、水酸化カリウムの転化率は99.5%であった。
【0027】
実施例4
図1に示す複合型精留塔1は、該塔の上部に30段のトレイを有し、トレイ上に1平方メートル当たり150個のガス噴射式循環流体混合コンポーネントが設けられている(図示せず、具体的な構造図については
図2を参照)。下部には理論段数が50の規則充填物を有する。複合型精留塔1の上部の2番目のトレイに濃度60%の水酸化カリウム水溶液を連続的に添加し、1番目のトレイに2−メチルアリルアルコール及び分層器3の上層アルコール相を連続的に添加した。水酸化カリウム水溶液と2−メチルアリルアルコールの質量比は1:10とした。分層器3の下層水相を2−メチルアリルアルコール回収塔4(該塔には理論段数が30段の不規則充填物が取り付けられている)の塔頂に入れ、2−メチルアリルアルコール回収塔4の塔頂から出た共沸物蒸気を複合型精留塔1の塔頂から出た共沸物蒸気と共に凝縮器2に入れて凝縮させると、凝縮液が分層器3に入る。2−メチルアリルアルコール回収塔4の塔底から2−メチルアリルアルコールの投入量に対して5.93%の水を得た。水中の2−メチルアリルアルコールの含有量は85ppmであった。複合型精留塔1の塔底から2−メチルアリルアルコールの投入量に対して104.1%のカリウム2−メチルアリルアルコキシドのアルコール溶液を得た。該アルコール溶液中に含有されるカリウム2−メチルアリルアルコキシドは11.29%であり、遊離アルカリの含有量は173ppmであった。換算した結果、水酸化カリウムの転化率が99.7%であった。
【0028】
図2は、ガス噴射式循環流体混合コンポーネントの一例を示す構造模式図である。
【0029】
図2に示すガス噴射式循環流体混合コンポーネントは複合型精留塔の棚段塔の7番目のトレイ上に取り付けられている。循環流体混合コンポーネントは内外2つの中空管スリーブを接続してなり、外側中空管5が内側中空管6の上部に固定されており、前記内側中空管6がメッシュと互いに連通する。