特許第6977230号(P6977230)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6977230
(24)【登録日】2021年11月15日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】配管加熱装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/40 20060101AFI20211125BHJP
   F16L 53/30 20180101ALI20211125BHJP
【FI】
   H05B3/40 A
   F16L53/30
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-198898(P2017-198898)
(22)【出願日】2017年10月12日
(65)【公開番号】特開2019-75215(P2019-75215A)
(43)【公開日】2019年5月16日
【審査請求日】2020年7月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】390004064
【氏名又は名称】株式会社河合電器製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100081776
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 宏
(72)【発明者】
【氏名】川合 基之
(72)【発明者】
【氏名】林 あす美
【審査官】 吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】 実開平03−124489(JP,U)
【文献】 特開2012−004028(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/40
F16L 53/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属からなり、配管の外周面に接触する半筒状の湾曲部を有する内側プレートと、前記内側プレートの径方向外側に配置され、電流を流すことで発熱する発熱部材と、前記発熱部材の径方向外側に配置される断熱部材と、前記内側プレートと前記発熱部材の間、及び、前記発熱部材と前記断熱部材の間に配置される絶縁部材と、前記断熱部材の径方向外側に配置される外側プレートと、前記内側プレートと前記外側プレートで前記発熱部材、前記断熱部材及び前記絶縁部材を挟持するように、前記内側プレートと前記外側プレートを連結する連結部材と、をそれぞれ有する一対の半筒状の発熱装置と、
一対の前記発熱装置が筒状になるように、一方の前記発熱装置の周方向端部を他方の前記発熱装置の周方向端部に回動可能に連結するヒンジ部材と、
有し、
前記発熱部材は、径方向外側に突出した端子部を有し、
前記端子部は、外径が大きい一端部を径方向内側に外径が小さい他端部を径方向外側にした状態の錐台形状の保護部材で覆われ、
前記発熱部材と前記断熱部材の間に配置される前記絶縁部材、前記断熱部材及び前記外側プレートは、前記端子部が突出する部分に切り欠き部又は孔部を有し、
前記外側プレートの前記切り欠き部は、前記保護部材の一端部の外径より小さく、かつ前記他端部の外径より大きく形成され、
前記保護部材が前記外側プレートの前記切り欠き部を貫通して突出していることを特徴とする配管加熱装置。
【請求項2】
前記外側プレートは、前記連結部材によって前記内側プレートに連結されている部分を除いて、前記内側プレートから離れた状態で配置されている請求項1に記載の配管加熱装置。
【請求項3】
前記発熱部材は、全体が帯状の形状を有し、前記端子部が長手方向の両端部に形成されている請求項1又は2に記載の配管加熱装置。
【請求項4】
長手方向の両端部の間に、前記内側プレートと前記外側プレートとを連結する連結部材を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の配管加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管を加熱する配管加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、配管を加熱する配管加熱装置として、例えば以下に示す特許文献1に開示されているマントルヒータがある。
【0003】
このマントルヒータは、一対の半筒体を備えている。半筒体は、内層材と、外層材と、発熱体と、不燃難燃繊維製シートとを備えている。
【0004】
内層材は、樹脂からなり、配管の外周面を覆う配管加熱用被覆体の外周面に接触する半筒状の部材である。内層材は、半筒体同士を接合するための接合部を有している。接合部には、面ファスナーが取り付けられている。外層材は、樹脂からなり、内層材の径方向外側に所定間隔をあけて固定される半筒状の部材である。内層材と外層材は、一体的に形成されている。発熱体は、電圧を印加して電流を流すことで発熱する部材である。発熱体は、絶縁被覆された発熱線を無機繊維製シートに縫い付けて構成されている。発熱体は、内層材と外層材の間に形成された半円筒状の空間に挿入され、内層材の径方向外側に配置されている。不燃難燃繊維製シートは、発熱体の発生した熱が外層材に伝わらないように遮断する部材である。不燃難燃繊維製シートは、内層材と外層材の間に形成された半円筒状の空間に挿入され、発熱体の径方向外側に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−2986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したマントルヒータでは、半筒体を組付ける際に、内層材と外層材の間に形成された半円筒状の空間に、発熱体及び不燃難燃繊維製シートを軸方向から挿入しなければならない。そのため、組付けが難しいという問題があった。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、組付けが容易な配管加熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するためになされた配管加熱装置は、金属からなり、配管の外周面に接触する半筒状の湾曲部を有する内側プレートと、内側プレートの径方向外側に配置され、電流を流すことで発熱する発熱部材と、発熱部材の径方向外側に配置される断熱部材と、内側プレートと発熱部材の間、及び、発熱部材と断熱部材の間に配置される絶縁部材と、断熱部材の径方向外側に配置される外側プレートと、内側プレートと外側プレートで発熱部材、断熱部材及び絶縁部材を挟持するように、内側プレートと外側プレートを連結する連結部材と、をそれぞれ有する一対の半筒状の発熱装置と、一対の発熱装置が筒状になるように、一方の発熱装置の周方向端部を他方の発熱装置の周方向端部に回動可能に連結するヒンジ部材と、を有し、前記発熱部材は、径方向外側に突出した端子部を有し、前記端子部は、外径が大きい一端部を径方向内側に外径が小さい他端部を径方向外側にした状態の錐台形状の保護部材で覆われ、前記発熱部材と前記断熱部材の間に配置される前記絶縁部材、前記断熱部材及び前記外側プレートは、前記端子部が突出する部分に切り欠き部又は孔部を有し、前記外側プレートの前記切り欠き部は、前記保護部材の一端部の外径より小さく、かつ前記他端部の外径より大きく形成され、前記保護部材が前記外側プレートの前記切り欠き部を貫通して突出していることを特徴とする配管加熱装置。
【0009】
この構成によれば、発熱部材、断熱部材及び絶縁部材を径方向に積層し、内側プレートと外側プレートによって挟持することで発熱装置を構成することができる。そのため、前述した従来の構成に比べ、発熱装置を容易に組付けることができる。従って、配管加熱装置を容易に組付けることができる。
【0010】
配管加熱装置の外側プレートは、連結部材によって内側プレートに連結されている部分を除いて、内側プレートから離れた状態で配置されていることが好ましい。この構成によれば、発熱部材の発生した熱が、極力、外側プレートに伝わらないように遮断することができる。そのため、配管に確実に熱を伝えることができる。従って、配管を迅速に加熱することができる。
【0011】
配管加熱装置の発熱部材の端子部は、径方向外側に突出し、発熱部材と断熱部材の間に配置される絶縁部材、断熱部材及び外側プレートは、端子部が突出する部分に切り欠き部又は孔部を有する。この構成によれば、発熱部材の端子部に接続される配線を径方向外側に引き出すことができる。そのため、発熱部材の端子部に接続される配線と干渉することなく、配管の長手方向に複数の配管加熱装置を隣接して配置することができる。従って、長い配管であっても、均一に加熱することができる。
配管加熱装置の発熱部材は、全体が帯状の形状を有し、端子部が長手方向の両端部に形成されていることが好ましい。
配管加熱装置は、長手方向の両端部の間に、内側プレートと外側プレートとを連結する連結部材を有することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】配管に装着された状態における、配管の径方向から見た配管加熱装置の平面図である。
図2】配管に装着された状態における、配管の軸方向から見た配管加熱装置の平面図である。
図3】内側プレートの平面図である。
図4】長手方向から見た図3に示す内側プレートの平面図である。
図5】組付け前の状態における発熱部材の平面図である。
図6】長手方向から見た図5に示す発熱部材の平面図である。
図7図5におけるVII−VII矢視断面図である。
図8】組付け前の状態における断熱部材の平面図である。
図9】長手方向から見た図8に示す断熱部材の平面図である。
図10】組付け前の状態における、内側プレートと発熱部材の間に配置される絶縁部材の平面図である。
図11】長手方向から見た図10に示す絶縁部材の平面図である。
図12】組付け前の状態における、発熱部材と断熱部材の間に配置される絶縁部材の平面図である。
図13】長手方向から見た図12に示す絶縁部材の平面図である。
図14】組付けられた状態における、リード線及び保護部材の断面図である。
図15】外側プレートの平面図である。
図16】長手方向から見た図15に示す外側プレートの平面図である。
図17】内側プレートに固定された状態における連結部材の平面図である。
図18】内側プレートの長手方向から見た図17に示す連結部材の平面図である。
図19】配管への装着の仕方を説明するための配管の軸方向から見た配管加熱装置の平面図である。
図20】変形形態における一方の発熱装置の内側プレートの斜視図である。
図21】変形形態における他方の発熱装置の内側プレートの斜視図である。
図22図20及び図21に示す内側プレートの爪部と孔部が係合した状態における斜視図である。
図23】他の変形形態において、配管に装着された状態における、配管の軸方向から見た配管加熱装置の平面図である。
図24】組付け前の状態における変形形態の発熱部材の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に実施形態を挙げ、本発明をより詳しく説明する。
【0014】
まず、図1図18を参照して本形態の配管加熱装置の構成について説明する。ここで、図1は、配管に装着された状態における、配管の径方向から見た配管加熱装置の平面図である。図2は、配管に装着された状態における、配管の軸方向から見た配管加熱装置の平面図である。図3は、内側プレートの平面図である。図4は、長手方向から見た図3に示す内側プレートの平面図である。図5は、組付け前の状態における発熱部材の平面図である。図6は、長手方向から見た図5に示す発熱部材の平面図である。図7は、図5におけるVII−VII矢視断面図である。図8は、組付け前の状態における断熱部材の平面図である。図9は、長手方向から見た図8に示す断熱部材の平面図である。図10は、組付け前の状態における、内側プレートと発熱部材の間に配置される絶縁部材の平面図である。図11は、長手方向から見た図10に示す絶縁部材の平面図である。図12は、組付け前の状態における、発熱部材と断熱部材の間に配置される絶縁部材の平面図である。図13は、長手方向から見た図12に示す絶縁部材の平面図である。図14は、組付けられた状態における、リード線及び保護部材の断面図である。図15は、外側プレートの平面図である。図16は、長手方向から見た図15に示す外側プレートの平面図である。図17は、内側プレートに固定された状態における連結部材の平面図である。図18は、内側プレートの長手方向から見た図17に示す連結部材の平面図である。
【0015】
図1及び図2に示す配管加熱装置1は、配管Pの外周面を覆うように装着され、配管Pを加熱する装置である。配管加熱装置1は、一対の発熱装置10、10と、ヒンジ部材11と、固定部材12とを備えている。
【0016】
発熱装置10は、電圧を印加して電流を流すことで配管を加熱するための熱を発生する半円筒状の装置である。
【0017】
発熱装置10は、内側プレート100と、発熱部材101と、断熱部材102と、絶縁部材103、104と、リード線105と、保護部材106と、外側プレート107と、連結部材108とを備えている。
【0018】
図2図4に示すように、内側プレート100は、配管Pの径方向外側に配置され配管Pの外周面に接触する金属からなる長方形板状の部材である。具体的には、厚さが0.5mm〜1.0mmの金属からなる長方形板状の部材である。内側プレート100は、湾曲部100aを有している。湾曲部100aは、配管Pの外周面に接触する部位である。具体的には、短辺方向の中央部分が径方向外側に円弧状に突出し、長辺方向に延在するように形成された半円筒状の部位である。湾曲部100aは、内側の表面全体が配管Pの外周面に接触するように、寸法が設定されている。
【0019】
図1図2図5図7に示すように、発熱部材101は、電圧を印加して電流を流すことで発熱する、全体として帯状の部材である。発熱部材101は、電圧を印加して電流を流すことで発熱する、断面が方形状の線材をつづら折り状に成形して構成されている。図2に示すように、発熱部材101は、外周の平坦面部101aを内側プレート100に対向させた状態で、内側プレート100の径方向外側に配置されている。発熱部材101は、後述する、内側プレート100と外側プレート107で挟持されることで、湾曲部100aの形状に沿うように湾曲し、内側プレート100の径方向外側に配置されることになる。図5及び図6に示すように、発熱部材101は、両端部に電圧を印加するための端子部101bを備えている。端子部101bは、径方向外側に突出するように屈曲成形されている。
【0020】
図2図8及び図9に示すように、断熱部材102は、発熱部材101の発生した熱が径方向外側に伝わらないように遮断する、断熱性を有する長方形板状の部材である。具体的には、アルミナ系繊維の集積体である。図2に示すように、断熱部材102は、発熱部材101の径方向外側に配置されている。断熱部材102は、後述する、内側プレート100と外側プレート107で挟持されることで、湾曲部100aの形状に沿うように湾曲し、発熱部材101の径方向外側に配置されることになる。図8及び図9に示すように、断熱部材102は、孔部102aと、切り欠き部102bとを備えている。
【0021】
孔部102aは、連結部材108が挿通する円形状に切り抜かれた部位である。孔部102aは、短辺方向の中央部分であって連結部材108に対応した位置に設けられている。具体的には、短辺方向の中央部分であって、長辺方向に間隔をあけて、2箇所に設けられている。
【0022】
切り欠き部102bは、径方向外側に突出する端子部101bとの干渉を避けるために長方形状に切り欠かれた部位である。また、後述する保護部材106との干渉を避けるための部位でもある。切り欠き部102bは、短辺方向の中央部分であって、長手方向の両端部に形成されている。
【0023】
図2図10及び図11に示すように、絶縁部材103は、内側プレート100と発熱部材101を絶縁する長方形の極薄板状の部材である。具体的には、雲母からなる長方形の極薄板状の部材である。図10に示すように、絶縁部材103は、孔部103aを有している。
【0024】
孔部103aは、連結部材108が挿通する円形状に切り抜かれた部位である。孔部103aは、連結部材108に対応した位置に設けられている。具体的には、短辺方向の中央部分であって、長辺方向に間隔をあけて、2箇所に設けられている。
【0025】
図2に示すように、絶縁部材103は、内側プレート100と発熱部材101の間に、径方向に複数積層された状態で配置されている。絶縁部材103は、後述する、内側プレート100と外側プレート107で挟持されることで、湾曲部100aの形状に沿うように湾曲し、内側プレート100の径方向外側に配置されることになる。
【0026】
図1図2図12及び図13に示すように、絶縁部材104は、発熱部材101と断熱部材102を絶縁する長方形の極薄板状部材である。具体的には、雲母からなる極薄板状の部材である。図12に示すように、絶縁部材104は、孔部104a、104bを有している。
【0027】
孔部104aは、連結部材108が挿通する円形状に切り抜かれた部位である。孔部104aは、連結部材108に対応した位置に設けられている。具体的には、短辺方向の中央部分であって、長辺方向に間隔をあけて、2箇所に設けられている。
【0028】
孔部104bは、径方向外側に突出する端子部101bとの干渉を避けるために長方形状に切り抜かれた部位である。孔部104bは、短辺方向の中央部分であって、長手方向の両端部に設けられている。
【0029】
図2に示すように、絶縁部材104は、発熱部材101と断熱部材102の間に、径方向に複数積層された状態で配置されている。絶縁部材104は、後述する、内側プレート100と外側プレート107で挟持されることで、湾曲部100aの形状に沿うように湾曲し、発熱部材101の径方向外側に配置されることになる。
【0030】
図1図2及び図14に示すリード線105は、外部から発熱部材101に電圧を供給するための部材である。図14に示すように、リード線105は、導線部105aと、絶縁被覆部105bとを備えている。
【0031】
導線部105aは、電圧を供給する導電材料からなる線状の部材である。絶縁被覆部105bは、導線部105aの外周を被覆する絶縁材料からなる筒状の部位である。導線部105aの先端部105cは、発熱部材101の端子部101bに電気的に接続されている。具体的には、発熱部材101の端子部101bに溶接されている。絶縁被覆部105bは、先端部105cが端子部101bに溶接され、その接続部分が後述する保護部材106によって覆われた後に、導線部105aの外周を被覆するように配置される。
【0032】
保護部材106は、発熱部材101の端子部101bとリード線105の導線部105aの接続部分の外周を覆って保護する、絶縁材料からなる円錐台状の部材である。保護部材106は、リード線105の導線部105aが挿通する軸方向に貫通した貫通孔部106aを有している。保護部材106は、貫通孔部106aにリード線105の導線部105aを挿通させた状態で、端子部101bと導線部105aの接続部分を覆うように配置されている。外径が大きい一端部106bを径方向内側に、外径が小さい他端部106cを径方向外側にした状態で配置されている。
【0033】
図1図2図15及び図16に示す外側プレート107は、内側プレート100とは別体であって、内側プレート100との間で、発熱部材101、断熱部材102及び絶縁部材103、104を挟持する金属からなる長方形板状の部材である。具体的には、厚さが0.5mm〜1.0mmの金属からなる長方形板状の部材である。外側プレート107は、半円筒状に成形されている。外側プレート107は、孔部107aと、切り欠き部107bとを有している。
【0034】
孔部107aは、連結部材108が挿通する円形状に切り抜かれた部位である。孔部107aは、連結部材108に対応した位置に設けられている。具体的には、短辺方向の中央部分であって、長辺方向に間隔をあけて、2箇所に設けられている。
【0035】
切り欠き部107bは、径方向外側に突出する端子部101bとの干渉を避けるために長方形状に切り欠かれた部位である。切り欠き部107bは、短辺方向の中央部分であって、長手方向の両端部に形成されている。切り欠き部107bの短辺方向及び長辺方向の寸法は、保護部材106の一端部106bの外径より小さく、かつ、他端部106cの外径より大きくなるように設定されている。
【0036】
図2に示すように、外側プレート107は、内側プレート100の径方向外側に、発熱部材101、断熱部材102、絶縁部材103、104を配置し、発熱部材101の端子部101bにリード線105が接続されるとともに保護部材106を配置した後に、断熱部材102の径方向外側に配置されている。外側プレート107は、保護部材106の他端部106cを切り欠き部107bから突出させた状態で配置されている。外側プレート107は、周縁部が内側プレート100から離れた状態で配置されている。
【0037】
図1図2図17及び図18に示すように、連結部材108は、内側プレート100と外側プレート107で発熱部材101、断熱部材102及び絶縁部材103、104を挟持するように内側プレート100と外側プレート107を連結する金属からなる円柱状の部材である。連結部材108の一端部は、内側プレート100の湾曲部100a径方向外側の表面であって、長手方向に所定の間隔をあけて、2箇所に溶接されている。発熱部材101は、連結部材108に接触しないように配置されている。断熱部材102及び絶縁部材103、104は、連結部材108が孔部102a、103a、104aに挿通するように配置されている。図1及び図2に示すように、連結部材108の他端部は、外側プレート107の孔部107aを挿通し、外側プレート107の径方向外側の表面に溶接されている。外側プレート107は、連結部材108によって内側プレート100に連結されている部分を除いて、内側プレート100から離れた状態で配置されている。
【0038】
図1及び図2に示すように、ヒンジ部材11は、一対の発熱装置10、10の軸方向の位置を揃えた状態で、一対の発熱装置10、10が円筒状になるように、一方の発熱装置10の一方の周方向端部を、その周方向端部と周方向に対向する他方の発熱装置10の周方向端部に回動可能に連結する部材である。具体的には、一方の発熱装置10の外側プレート107の一方の周方向端部を、その周方向端部と周方向に対向する他方の発熱装置10の外側プレート107の周方向端部に回動可能に連結する部材である。より具体的には、金属からなる蝶番である。ヒンジ部材11の一端部は一方の発熱装置10の外側プレート107の外周面に、他端部は他方の発熱装置10の外側プレート107の外周面にそれぞれ溶接されている。
【0039】
固定部材12は、一対の発熱装置10、10の外周を締め付けて、一対の発熱装置10、10を配管Pの固定する部材である。具体的には、耐熱性を有する樹脂からなるベルトである。
【0040】
次に、図2及び図19を参照して配管加熱装置の配管への装着の仕方、及び、配管加熱装置の動作について説明する。
【0041】
ここで、図19は、配管への装着の仕方を説明するための配管の軸方向から見た配管加熱装置の平面図である。
【0042】
図19に示すように、一対の発熱装置10、10のヒンジ部材11で連結されていない周方向端部を開いて、配管Pの外周面を覆うように、配管加熱装置1を配管Pに取り付ける。そして、図2に示すように、一対の発熱装置10、10のヒンジ部材11で連結されていない周方向端部を閉じ、固定部材12で一対の発熱装置10、10の外周を締め付けて、配管加熱装置1を配管Pに固定する。
【0043】
配管加熱装置1が配管Pに装着された状態において、リード線105を介して発熱部材101に電圧を印加し電流を流すと、発熱部材101が発熱する。発熱部材101の発生した熱は、絶縁部材103及び内側プレート100を介して配管Pに伝わり配管Pを加熱する。発熱部材101の径方向外側には、断熱部材102が配置されている。そのため、断熱部材102によって熱の伝達が遮断され、外側プレート107が高温になることはない。
【0044】
次に、本形態の配管加熱装置の効果について説明する。
【0045】
本形態によれば、配管加熱装置1は、一対の半筒状の発熱装置10、10と、ヒンジ部材11とを備えている。発熱装置10は、電圧を印加して電流を流すことで配管を加熱するための熱を発生する半円筒状の装置である。ヒンジ部材11は、一対の発熱装置10、10が円筒状になるように、一方の発熱装置10の周方向端部を他方の発熱装置10の周方向端部に回動可能に連結する部材である。発熱装置10は、内側プレート100と、発熱部材101と、断熱部材102と、絶縁部材103、104と、外側プレート107と、連結部材108とを備えている。内側プレート100は、金属からなり、配管Pの外周面に接触する半筒状の湾曲部100aを有する部材である。発熱部材101は、内側プレート100の径方向外側に配置され、電流を流すことで発熱する部材である。断熱部材102は、発熱部材101の径方向外側に配置され、発熱部材101の発生した熱が径方向外側に伝わらないように遮断する部材である。絶縁部材103、104は、内側プレート100と発熱部材101の間、及び、発熱部材101と断熱部材102の間に配置され、内側プレート100と発熱部材101、及び、発熱部材101と断熱部材102をそれぞれ絶縁する部材である。外側プレート107は、断熱部材102の径方向外側に配置され、内側プレート100との間で、発熱部材101、断熱部材102及び絶縁部材103、104を挟持する部材である。連結部材108は、内側プレート100と外側プレート107で発熱部材101、断熱部材102及び絶縁部材103、104を挟持するように、内側プレート100と外側プレート107を連結する部材である。そのため、発熱部材101、断熱部材102及び絶縁部材103、104を径方向に積層し、内側プレート100と外側プレート107によって挟持することで発熱装置10を構成することができる。従って、前述した従来の構成に比べ、発熱装置10を容易に組付けることができる。これにより、配管加熱装置1を容易に組付けることができる。
【0046】
本形態によれば、外側プレート107は、連結部材108によって内側プレート100に連結されている部分を除いて、内側プレート100から離れた状態で配置されている。そのため、発熱部材101の発生した熱が、極力、外側プレート107に伝わらないように遮断することができる。従って、配管Pに確実に熱を伝えることができる。これにより、配管Pを迅速に加熱することができる。
【0047】
本形態によれば、発熱部材101の端子部101bは、径方向外側に突出している。また、発熱部材101と断熱部材102の間に配置される絶縁部材104、断熱部材102及び外側プレート107は、端子部101bが突出する部分に孔部104b及び切り欠き部102b、107bを有している。そのため、発熱部材101の端子部101bに接続されるリード線105を径方向外側に引き出すことができる。従って、リード線105と干渉することなく、配管Pの長手方向に複数の配管加熱装置1を隣接して配置することができる。これにより、長い配管Pであっても、均一に加熱することができる。また、リード線105が径方向外側に引き出されるため、発熱部材101からリード線105への熱の伝達を抑えることができる。そのため、リード線105の温度上昇を抑えることもできる。
【0048】
本形態によれば、発熱部材101は、断面が方形状であり、外周の平坦面部101aを内側プレート100に対向させた状態で、内側プレート100の径方向外側に配置されている。そのため、内側プレート100に対向する表面積を大きくすることができる。従って、内側プレート100により多くの熱を確実に伝えることができる。
【0049】
本形態によれば、内側プレート100が金属で構成されている。そのため、樹脂に比べ熱が伝わり易い。従って、配管Pの昇温速度を向上させることができる。
【0050】
本形態によれば、保護部材106は、円錐台状である。外側プレート107の切り欠き部107bの短辺方向及び長辺方向の寸法は、保護部材106の一端部106bの外径より小さく、かつ、他端部106cの外径より大きくなるように設定されている。外側プレート107は、保護部材106の他端部106cを切り欠き部107bから突出させた状態で配置されている。そのため、径方向外側に保護部材106が抜けようとしても保護部材106の一端部106bが切り欠き部107bと干渉する。従って、径方向外側への保護部材106の抜けを防止することができる。
【0051】
なお、本形態では、ヒンジ部材11が蝶番である例を挙げているが、これに限られるものではない。図20図22に示すように、ヒンジ部材は、一方の発熱装置10の内側プレート100に設けられ爪部100bと、他方の発熱装置10の内側プレート100に設けられた、爪部100bが係合するための孔部100cとで構成されるものであってもよい。また、可撓性を有する線状又は板状の部材であってもよい。一方の発熱装置の周方向端部を他方の発熱装置の周方向端部に回動可能に連結できる部材であればよい。
【0052】
本形態では、内側プレート100の湾曲部100a及び外側プレート107が半円筒状である例を挙げているが、これに限られるものではない。図23に示すように、内側プレート100の湾曲部100a及び外側プレート107は、配管Pの六角継ぎ手部分に密着するように半六角形筒状であってもよい。半筒状であればよい。
【0053】
本形態では、内側プレート100及び外側プレート107が板状の部材である例を挙げているが、これに限られるものではない。内側プレート100は、網状の部材で構成されていてもよいし、多孔性のパンチングメタルで構成されていてもよい。外側プレート107も、網状の部材で構成されていてもよいし、多孔性のパンチングメタルで構成されていてもよい。
【0054】
本形態では、配管加熱装置1の長手方向に、連結部材108が間隔をあけて2箇所に設けられ、断熱部材102、絶縁部材103、104及び外側プレート107に、連結部材108が挿通する孔部102a、103a、104a、107aが間隔をあけて2箇所に設けられている例を挙げているが、これに限られるものではない。連結部材108は、配管加熱装置1の長手方向に間隔をあけて3箇所以上設けられていてもよい。配管加熱装置1の長手方向に長さに応じて必要な数だけ設けられていればよい。孔部102a、103a、104a、107aは、連結部材108の数に応じた数だけ設けられていればよい。
【0055】
本形態では、発熱部材101が線材をつづら折り状に成形して全体として帯状に構成されている例を挙げているが、これに限られるものではない。発熱部材101は、所定幅の帯状の部材であってもよい。電圧を印加して電流を流すことで発熱する部材であればよい。
【0056】
本形態では、固定部材12が耐熱性を有する樹脂からなるベルトである例を挙げているが、これに限られるものではない。固定部材12は、シリコンを含む材料や、フッ素を含む材料からなる部材であってもよい。ベルトに限らず、一対の発熱装置10、10を配管Pの固定できるものであればよい。
【0057】
本形態では、発熱部材101が線材を図5に示すようなつづら折り状に成形して構成されている例を挙げているが、これに限られるものではない。つづら折りの仕方を変更してもよい。図5に示す発熱部材101では、幅方向(帯状の発熱部材における幅方向)に延在する線材の長さが長手方向(帯状の発熱部材における長手方向)に延在する線材の長さより長いが、図24に示すように、長手方向に延在する線材の長さが、幅方向に延在する線材の長さより長くなるようにしてもよい。発熱部材101は、内側プレート100と外側プレート107で挟持されることで、湾曲部100aの形状に沿うように幅方向に延在する部分が湾曲する。湾曲すると、その部分に応力が加わる。図24に示すように、つづら折り状に成形して構成することで、湾曲による応力が加わる部分の長さを、図5に示す場合に比べ、少なくすることができる。そのため、発熱部材の寿命を向上させることができる。
【0058】
本形態では、連結部材108の他端部が外側プレート107に溶接されることで、内側プレート100と外側プレート107を連結する例を挙げているが、これに限られるものではない。連結部材108の他端部を屈曲又は変形させることで、内側プレート100と外側プレート107を連結するようにしてもよい。連結部材108の他端部にねじ部を形成し、ボルト締めすることで、内側プレート100と外側プレート107を連結するようにしてもよい。連結部材108の他端部に外側プレート107を押さえる押さえ部材を固定することで、金属からなる円柱状の部材である内側プレート100と外側プレート107を連結するようにしてもよい。
【0059】
本形態では、発熱装置10の軸方向端面において断熱部材102及び絶縁部材103、104が露出している例を挙げているが、これに限られるものではない。発熱装置10の軸方向端面に、断熱部材102及び絶縁部材103、104の露出を抑える保護カバーを設けてもよい。保護カバーにより、断熱部材102や絶縁部材103、104の破損を抑えることができる。
【0060】
本形態では、保護部材106が、外径が大きい一端部106bと、外径が小さい他端部106cとを有する円錐台状である例を挙げているが、これに限られるものではない。保護部材106は、軸方向から見た形状が円形以外の形状であってもよい。軸方向のいずれかの部分に、外側プレート107の切り欠き部107bと干渉する他端部106cより形状の大きい部分があればよい。
【0061】
本発明は、本形態及び変形形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、これらの形成を組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0062】
1・・・配管加熱装置、10・・・発熱装置、100・・・内側プレート、100a・・・湾曲部、100b・・・爪部、100c・・・孔部、101・・・発熱部材、101a・・・平坦面部、101b・・・端子部、102・・・断熱部材、102a・・・孔部、102b・・・切り欠き部、103、104・・・絶縁部材、103a、104a、104b・・・孔部、105・・・リード線、105a・・・導線部、105b・・・絶縁被覆部、105c・・・先端部、106・・・保護部材、106a・・・貫通孔部、106b・・・一端部、106c・・・他端部、107・・・外側プレート、107a・・・孔部、107b・・・切り欠き部、108・・・連結部材、11・・・ヒンジ部材、12・・・固定部材、P・・・配管
図1
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