特許第6977236号(P6977236)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6977236ジアザ−ベンゾフルオランテン化合物の塩の型及び結晶形
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6977236
(24)【登録日】2021年11月15日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】ジアザ−ベンゾフルオランテン化合物の塩の型及び結晶形
(51)【国際特許分類】
   C07D 461/00 20060101AFI20211125BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20211125BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20211125BHJP
   A61K 31/4375 20060101ALI20211125BHJP
【FI】
   C07D461/00 ZCSP
   A61P25/08
   A61P9/00
   A61K31/4375
【請求項の数】20
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2019-527941(P2019-527941)
(86)(22)【出願日】2017年8月3日
(65)【公表番号】特表2019-523306(P2019-523306A)
(43)【公表日】2019年8月22日
(86)【国際出願番号】CN2017095762
(87)【国際公開番号】WO2018024225
(87)【国際公開日】20180208
【審査請求日】2019年4月4日
(31)【優先権主張番号】201610633622.7
(32)【優先日】2016年8月4日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519041194
【氏名又は名称】哈薬集団制薬総厂
【氏名又は名称原語表記】HARBIN PHARMACEUTICAL GROUP CO., LTD. GENERAL PHARMACEUTICAL FACTORY
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】陸青青
(72)【発明者】
【氏名】施沈一
(72)【発明者】
【氏名】白鉄忠
(72)【発明者】
【氏名】袁淑杰
(72)【発明者】
【氏名】李鄭武
(72)【発明者】
【氏名】戸巧芬
(72)【発明者】
【氏名】曹翊▲ジェ▼
(72)【発明者】
【氏名】高晶
(72)【発明者】
【氏名】丁輝
(72)【発明者】
【氏名】李金花
(72)【発明者】
【氏名】徐光海
(72)【発明者】
【氏名】王崢
(72)【発明者】
【氏名】金▲シン▼
【審査官】 西澤 龍彦
(56)【参考文献】
【文献】 特許第6434170(JP,B2)
【文献】 国際公開第2013/076646(WO,A1)
【文献】 特開昭61−033187(JP,A)
【文献】 特開昭52−007999(JP,A)
【文献】 特開昭52−012199(JP,A)
【文献】 特開2008−056681(JP,A)
【文献】 特開昭63−126878(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物1の塩酸塩、クエン酸塩、リン酸塩又は硫酸塩。
【請求項2】
から選択される請求項1に記載の化合物1の塩酸塩、クエン酸塩、リン酸塩又は硫酸塩。
【請求項3】
【請求項4】
【請求項5】
【請求項6】
【請求項7】
【請求項8】
【請求項9】
【請求項10】
【請求項11】
【請求項12】
【請求項13】
【請求項14】
【請求項15】
【請求項16】
【請求項17】
【請求項18】
【請求項19】
遊離アルカリを酸に接触させること、洗浄及び乾燥を含む、請求項3〜18のいずれか1項に記載の結晶形態の調製方法。
【請求項20】
請求項3〜7のいずれか1項に記載の結晶形態を含む、脳卒中又はてんかんを治療するための薬物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物1の塩酸塩、クエン酸塩、リン酸塩又は硫酸塩、これらの塩の結晶形及び調製方法、並びにこれらが脳卒中またはてんかんの治療薬の製造における使用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
世界保健機関WHOの調査によると、脳卒中は、すでに虚血性疾患に次いで、人類を死亡させる大きな要因となっており、障害や後遺症を起こす主な病的要因でもある。患者自身の肢体障害を軽減して身体機能と労働能力を最大限に回復させ、患者の予後と生活の質を改善して、個人と社会の負担を軽減する必要がある。
【0003】
式(B−I)に示す構造を有するビンポセチンは、キョウチクトウ科ヒメツルニチニチソウから抽出されるインドールアルカロイドであり、脂溶性が高く血液脳関門を透過しやすいため、脳組織で比較的高い濃度で分布して治療効果を発揮する。ハンガリーのGedleon Richter社によって開発されて1978年に市場に投入されて以来、欧州ではすでに30年以上使用されている。ビンポセチンは、主に、脳梗塞後遺症、脳出血後遺症、脳動脈硬化症などが引き起こす種々の症状の緩和に用いられ、現在、すでに心・脳血管疾患の常用治療薬として使用されている。近年、加齢性記憶障害の緩和と健常者の精神活動の改善など、その他の生理活性が発見されている。また、思考力や注意力の低下、怒り、視覚と聴覚の異常、情緒不安定などに一定の効果を示している。また、臨床試験データによると、67%以上のてんかん患者に対して発作の頻度が著しく減らされ又は完全に発病しないという効果が現れる。全身強直・間代性痙攣のてんかんにも顕著な効果がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
中国では、脳卒中の発病率とその後遺障害発生率が極めて高く、すでに医療業界の大きな負担となっている。また、ビンポセチンが、脳卒中と関連疾患の治療において幅広い用いられており、脳卒中の予後改善のための重要な治療手段となっているが、その治療効果の確実性に疑問があり、錠剤でのバイオアベイラビリティが低いという問題がある。
【0005】
てんかんは、慢性反復性に発作する一時的な脳機能障害の症候群である。それは、罹患率が脳卒中に次いで二番目高く、大脳ニューロンの異常な放電から由来する反複性のてんかん発作を主徴とする代表的な神経系疾患の一つである。我が国のてんかん患者の数が多く、尚且20歳以下の青少年及び児童がてんかん患者の主体となった。てんかんは、後遺障害の発生率及び死亡率が比較的高いため、既に重視すべき社会問題になった。ビンポセチンは、67%以上のてんかん患者に異なる程度の治療効果があり、特に全身強直・間代性痙攣のてんかんに対して顕著な効果がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、化合物1の塩酸塩、クエン酸塩、リン酸塩または硫酸塩を提供する。
【0007】
本発明のいくつかの形態では、上記化合物の塩が以下のものから選ばれる:
【0008】
本発明は、更に、式(I)で示される化合物のA結晶形を提供し、ただし、上記A結晶形の粉末X線回折スペクトルは、下記角度2θにて特徴的な回折ピークを有する:9.14±0.2°、10.43±0.2°、11.38±0.2°、12.54±0.2°、13.86±0.2°、19.04±0.2°、19.36±0.2°、21.00±0.2°。
【0009】
本発明のいくつかの形態では、上記式(I)で示される化合物のA結晶形について、その粉末X線回折スペクトルの解析データが表−1に示されている。
【0010】
【表1】
【0011】
本発明は、更に、式(I)で示される化合物のB結晶形を提供し、ただし、前記B結晶形の粉末X線回折スペクトルは、下記角度2θにて特徴的な回折ピークを有する:9.17±0.2°、 11.75±0.2°、12.16±0.2°、12.67±0.2°、15.14±0.2°、17.81±0.2°、20.54±0.2°、22.34±0.2°。
【0012】
本発明のいくつかの形態では、前記式(I)で示される化合物のB結晶形について、その粉末X線回折スペクトルの解析データが表−2に示されている。
【0013】
【表2】
【0014】
本発明は、更に、式(II)で示される化合物のC結晶形を提供し、ただし、前記C結晶形の粉末X線回折スペクトルは、下記角度2θにて特徴的な回折ピークを有する:14.04±0.2°、 16.28±0.2°、16.70±0.2°、17.73±0.2°、18.18±0.2°、20.29±0.2°、23.40±0.2°、25.95±0.2°。
【0015】
本発明のいくつかの形態では、前記式(II)で示される化合物のC結晶形について、その粉末X線回折スペクトルの解析データが表−3に示されている。
【0016】
【表3】
【0017】
本発明は、さらに、式(III)で示される化合物のD結晶形を提供し、ただし、前記D結晶形の粉末X線回折スペクトルは、下記角度2θにて特徴的な回折ピークを有する:4.47±0.2°、9.80±0.2°、10.67±0.2°、13.05±0.2°、16.30±0.2°、16.80±0.2°、17.65±0.2°、17.82±0.2°。
【0018】
本発明のいくつかの形態では、上記式(III)で示される化合物のD結晶形について、その粉末X線回折スペクトルの解析データが表−4に示されている。
【0019】
【表4】
【0020】
本発明は、更に、式(IV)で示される化合物のE結晶形を提供し、ただし、前記E結晶形の粉末X線回折スペクトルは、下記角度2θにて特徴的な回折ピークを有する:4.71±0.2°、 12.30±0.2°、16.26±0.2°、16.78±0.2°、19.80±0.2°、23.70±0.2°、25.65±0.2°、26.22±0.2°。
【0021】
本発明のいくつかの形態では、上記式(IV)で示される化合物のE結晶形について、その粉末X線回折スペクトルの解析データが表−5に示されている。
【0022】
【表5】
【0023】
本発明は、更に、式(IV)で示される化合物のF結晶形を提供し、ただし、前記F結晶形の粉末X線回折スペクトルは、下記角度2θにて特徴的な回折ピークを有する:5.79±0.2°、9.75±0.2°、14.03±0.2°、15.67±0.2°、17.46±0.2°、18.86±0.2°、20.42±0.2°、20.99±0.2°。
【0024】
本発明のいくつかの形態では、上記(IV)で示される化合物のF結晶形について、その粉末X線回折スペクトルの解析データが表−6に示されている。
【0025】
【表6】
【0026】
本発明は、更に、式(V)で示される化合物のG結晶形を提供し、ただし、前記G結晶形の粉末X線回折スペクトルは、下記角度2θにて特徴的な回折ピークを有する:4.59±0.2°、12.24±0.2°、15.93±0.2°、16.66±0.2°、18.46±0.2°、19.72±0.2°、22.10±0.2°、23.56±0.2°。
【0027】
本発明のいくつかの形態では、上記式(V)で示される化合物のG結晶形について、その粉末X線回折スペクトルの解析データが表−7に示されている。
【0028】
【表7】
【0029】
本発明は、更に、式(V)で示される化合物のH結晶形を提供し、ただし、前記H結晶形の粉末X線回折スペクトルは、下記角度2θにて特徴的な回折ピークを有する:5.85±0.2°、 8.80±0.2°、9.87±0.2°、12.47±0.2°、14.06±0.2°、17.62±0.2°、18.70±0.2°、20.58±0.2°。
【0030】
本発明のいくつかの形態では、上記式(V)で示される化合物のH結晶形について、その粉末X線回折スペクトルの解析データが表−8に示されている。
【0031】
【表8】
【0032】
本発明は、更に、遊離アルカリを酸と接触させること、洗浄及び乾燥を含む、前記結晶形の調製方法を提供する。
【0033】
本発明は、更に、有効成分としての治療有効量の前記化合物或いは前記結晶形と、薬学的に許容されるキャリアとを含む医薬組成物を提供する。
【0034】
本発明は、更に、前記化合物が脳卒中或いはてんかんを治療するための薬物の製造における使用を提供する。
【0035】
本発明は、更に、前記結晶形が脳卒中或いはてんかんを治療するための薬物の製造における使用を提供する。
【0036】
本発明は、更に、前記医薬組成物が脳卒中或いはてんかんを治療するための薬物の製造における使用を提供する。
【発明の効果】
【0037】
本発明が提供する式(I)で示される化合物のA結晶形及びB結晶形、式(II)で示される化合物のC結晶形、式(III)で示される化合物のD結晶形、式(IV)で示される化合物のE結晶形及びF結晶形、並びに式(V)で示される化合物のG結晶形及びH結晶形は、安定性がよく、溶解度が高く、吸湿性も良いため、製剤開発上に明るい見込みがある。
【0038】
本発明の各結晶形の調製方法が簡単であり、厳しい条件及び劇毒溶媒に必要がなく、結晶形の純度が高く、成品率がよいため、工業化生産に有利になる。
【関連の定義と説明】
【0039】
本明細書に使用された以下の用語及び連語は、別途説明のない限り、以下の意味を有する。特定の用語及び連語については、特に定義されていない場合、不明確又は不明瞭なものではなく、通常の意味で理解されるべきである。本明細書に商品名が出た場合、それに対応する商品又はその活性成分を指すものとする。
【0040】
本発明の化合物は、当業者が熟知している様々な合成方法で調製されることができ、下記具体的な実施形態、他の化学的合成方法と組み合わせてなされる実施形態、並びに当業者が熟知している同等の代替的な形態を含み、好適な実施形態は、本発明の実施例を含むがこれに限定されるものではない。
【0041】
本発明に用いられる溶媒は、市販品である。本発明において、以下の略語が使用される:aq.とは水溶液、HATUとはO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート、EDCとはN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N'−エチルカルボジイミド塩酸塩、m−CPBAとは3−クロロ過安息香酸、eqとは当量又は等量、CDIとはカルボニルジイミダゾール、DCMとはジクロロメタン、PEとは石油エーテル、DIADとはアゾジカルボン酸ジイソプロピル、DMFとはN,N−ジメチルホルムアミド、DMSOとはジメチルスルホキシド、EtOAcとは酢酸エチル、EtOHとはエタノール、MeOHとはメタノール、CBzとはアミン保護基であるベンジルオキシカルボニル基、BOCとはアミン保護基であるt−ブトキシカルボニル基、HOAcとは酢酸、NaCNBHとはナトリウムシアノボロヒドリド、r.t.とは室温、O/Nとは一晩経過すること、THFとはテトラヒドロフラン、BocOとはジカルボン酸ジ−t−ブチル、TFAとはトリフルオロ酢酸、DIPEAとはジイソプロピルエチルアミン、SOClとは塩化チオニル、CSとは二硫化炭素、TsOHとはp−トルエンスルホン酸、NFSIとはN−フルオロ−N−(ベンゼンスルホニル)ベンゼンスルホニルアミド、NCSとは1−クロロピロリジン−2,5−ジオン、n−BuNFとはテトラブチルアンモニウムフルオリド、iPrOHとは2−プロパノール、mpとは融点、LDAとはリチウムジイソプロピルアミド、CDClとは重水素化クロロホルム、EAとは酢酸エチル、MeODとはメタノール−D4、IPAとはイソプロピルアルコール、PDEとはホスホジエステラーゼ、AMPとはアデノシン一リン酸、GMPとはグアノシン一リン酸を指す。
【0042】
本発明に使用された溶媒は市販で手に入れられる。市販化合物の名称はメーカーのカタログに準拠する。
【0043】
粉末X線回折法の条件は、下記のようにする。
装置:Bruker D8 ADVANCE X線回折装置、ターゲット:Cu:K− Alpha、波長λ=1.54179Å、管電圧Voltage: 40 kV、管電流Current: 40 mA、走査範囲:4 〜40°、サンプル回転速度:15 rpm、走査速度:10°/分。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、実施例を用いて本発明をより詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。本明細書には、既に本発明を詳細に説明し、その中にも発明を実施するための形態が開示された。当業者に明らかであるように、本発明の趣旨と範囲を逸脱しない場合に本発明の具体的な実施形態に対して様々な変更及び改善を行うことができる。
参考例1 化合物1の調製
【0045】
((4S,13aS)−13a−エチル−2,3,4,5,6,13a−ヘキサヒドロ−1H−インドロ[3,2,1−de]ピリド[3,2,1−ij][1,5]ナフチリジン−12−カルボン酸(14g、43.4mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(300mg、2.17 mmol)及びトリエチルアミン(31mL、217 mmol)がN,N−ジメチルホルムアミド(200 mL)に溶解された溶液に、O−アザベンゾトリアゾール−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウム テトラフルオロボラート(14.6g、45.6 mmol)とN−ヒドロキシアセトアミジン塩酸塩(5.28g、47.8 mmol)をそれぞれ加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。そして、塩水を加えて濾過し、濾液を水で薄め、ジクロロメタンで抽出した。抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、低沸点溶媒を蒸発で取り除き、残留の粗製品のN、N−ジメチルホルムアミド溶液を直接にマイクロ波で160℃までに加熱し、50分間で反応させた。粗製品がアルカリ性分取高速液体クロマトグラフィーによって分離され、目的化合物が得られた(白色固体、4.0g、収率25%)。
【0046】
H NMR(CDCl,400MHz)δppm 7.46(d,J=6.8Hz,1H)、7.13−7.06(m,2H)、6.73(d,J=8.0Hz,1H)、6.08(s,1H)、4.23(s,1H)、 3.38−3.34(m,2H)、3.29−3.28(m,2H)、2.65−2.63(m,2H)、2.55−2.51(m,1H)、2.51(s,3H)、1.97−1.92(m,2H)、1.59−1.55(m,2H)、1.45−1.41(m,1H)、1.11−1.10(m,1H)、1.00(t, J=7.2Hz,3H)。
【0047】
実施例1 式(I)で示される化合物及びその結晶形の調製
【0048】
[式(I)で示される化合物の調製]
化合物1(15.00g、41.61mmol、1.00Eq.)を500mLの三つ口フラスコの中に入れて、150mLの酢酸エチルと15mLのジクロロメタンを加えて、反応システムを窒素ガスで3回置換した。そして、反応液に1N HCl/EA(60mL)を滴加し、反応温度25℃にて30分間撹拌した後、現れた大量な白色固体を濾過した。濾過ケークを50mLの酢酸エチルで一回洗浄した後、濾過ケークを乾燥して白色製品(15.00 g、37.79 mmol、90.82%)が得られた。
【0049】
H NMR(400MHz,CDCl)=7.52(dd,J=1.8 Hz,1H)、7.24−7.22(m,2H)、6.78(dd,J=4.0 Hz,1H)、6.14(s,1H)、4.78(s,1H)、3.83−3.66(m,2H)、3.32−3.01(m,4H)、2.55(s,3H)、2.33−2.25(m,3H)、1.81−1.68(m,1H)、1.28−1.27(m,1H)、1.12(t,J=8.0Hz,3H)。
【0050】
[A結晶形の調製]
約50mgの式(I)で示される化合物をメタノール(1.5mL )に入れて、懸濁液を40℃にて3日間撹拌した。残る固体物を離心分離させて(10min at 14,000rpm)、40℃真空乾燥機の中で一晩乾燥し、A結晶形が得られた。
【0051】
[B結晶形の調製]
メタノールの代わりにアセトンを使用すること以外、A結晶形の調製方法を参照してB結晶形を調製し、B結晶形が得られた。
【0052】
実施例2 式(II)で示される化合物及びそのC結晶形の調製
【0053】
化合物1(2.00g、5.55mmol、1.00eq)とクエン酸(1.17g、6.11mmol、1.10eq)を100mLの三つ口フラスコの中に加えると同時に、30mLのエタノールを入れて、反応システムを窒素ガスで3回置換した。そして、反応温度を85〜95℃までに上げ、内温が45〜60℃に達した時に、反応液が清らかになり、内温が60℃以上に達した時に、混濁が現れた。反応温度85〜95℃にて30分間撹拌し、大量な白色固体が現れた。そして、加熱を停止させて、内温が20℃〜30℃までに低下した時に、濾過し、濾過ケークを200mLのエタノールで一回洗浄した後、乾燥して、C結晶形の白色製品(2.50g,4.56mmol, 82.21%)が得られた。
【0054】
H NMR(400MHz,MeOD) ppm7.50−7.70(m,1H)、7.06−7.30(m,2H)、6.64−6.84(m,1H)、6.21(s,1H)、3.69−3.76(m,2H)、2.94−3.13(m,2H)、2.87(dd,J=15.56,1.00Hz, 2H)、2.77(d,J=15.31Hz,2H)、2.52(s,3H)、1.89−2.15(m,3H)、1.11(t,J=7.40Hz,3H)。
【0055】
実施例3 式(III)で示される化合物及びそのD結晶形の調製
【0056】
[式(III)で示される化合物の調製]
化合物1(1.00g、2.77mmol、1.00eq.)を100mLの三つ口フラスコの中に加えると同時に、15mLのエタノールを入れて、反応システムを窒素ガスで3回置換した。そして、反応液にリン酸(319.36 mg、2.77mmol、1.00eq.)を滴加し、反応温度を60℃までに上げ、60℃にて30分間撹拌した後、大量な白色固体が現れた。加熱を停止させて、内温が20〜30℃までに低下した時に、濾過し、濾過ケークを20mLのエタノールで一回洗浄した後、濾過ケークを乾燥して、白色製品(1.20g,2.61 mmol, 94.30%)が得られた。
【0057】
H NMR(400MHz,MeOD)=7.57(d,J=6.8Hz,1H)、7.17(t, J=6.0Hz,2H)、6.72(d,J=7.5Hz,1H)、6.20(s,1H)、3.75(d,J=6.3Hz, 2H)、3.23(d,J=15.1Hz,2H)、3.14−2.96(m,2H)、2.50(s,3H)、2.14−1.96(m,3H)、1.83−1.64(m,2H)、1.28−1.21(m,1H)、1.10(t,J=7.3Hz,3H)。
【0058】
[D結晶形の調製]
約30mgの式(III)で示される化合物をエタノール(0.5mL)に入れ、40℃にて3日間撹拌した。残った化合物を離心分離させて(10 min at 14,000 rpm)、40℃の真空乾燥機の中で一晩乾燥して、D結晶形の乾燥固体が得られた。
【0059】
実施例4 式(IV)で示される化合物及びその結晶形の調製
【0060】
[式(IV)で示される化合物の調製]
化合物1(1.00g、2.77mmol、1.00eq.)を100mLの三つ口フラスコに入れ、15mLの酢酸エチルと3mLのジクロロメタンを加えて、反応システムを窒素ガスで3回置換した。そして、反応液に1mL水で希釈された硫酸(272.10 mg、2.77mmol、1.00eq.)を滴加し、反応温度25℃にて30分間撹拌した後、現れた大量な白色固体を濾過した。濾過ケークを10mLの酢酸エチルで一回洗浄した後、濾過ケークを乾燥して、白色製品(1.10 g、2.40 mmol、86.61%)が得られた。
【0061】
H NMR(400MHz,MeOD) =7.65−7.53(m,1H)、7.25−7.12(m,2H)、6.79−6.68(m,1H)、6.19(s,1H)、5.02(s,1H)、3.90−3.74(m,2H)、3.34(d,J=12.3Hz,1H)、3.26−3.04(m,3H)、2.48(s,3H)、2.06−1.89(m,3H)、1.81−1.67(m,2H),1.29−1.16(m,1H)、1.10(t, J=7.4Hz,3H)。
【0062】
[E結晶形の調製]
約30mgの式(IV)で示される化合物を溶媒IPA:HO=1:9(0.5 mL)に加え、40℃にて3日間撹拌した。残留の化合物を離心分離させ(10 min at 14,000 rpm)、40℃の真空乾燥機の中で一晩乾燥して、E結晶形の乾燥した固体が得られた。
【0063】
[F結晶形の調製]
溶媒IPA:HO=1:9の代わりにエタノールを使用すること以外、E結晶形の調製方法を参照してF結晶形を調製した。
【0064】
実施例5 式(V)で示される化合物及びその結晶形の調製
【0065】
[式(V)で示される化合物の調製]
化合物1(1.00g、2.77mmol、1.00eq.)を100mLの三つ口フラスコの中に入れ、15mLの酢酸エチルと3mLのジクロロメタンを加えて、反応システムを窒素ガスで3回置換した。そして、反応液に1mL水で希釈された硫酸(135.84mg、1.39mmol、0.50eq.)を滴加し、反応温度が25℃にて30分間撹拌した後、現れた大量な白色固体を濾過した。濾過ケークを10mL酢酸エチルで一回洗浄した後、濾過ケークを乾燥して、白色製品(500.00mg、1.09mmol、39.37%)が得られた。
【0066】
H NMR(400MHz,MeOD) =7.59(dd,J=2.4,4.6Hz,1H)、7.27−7.08(m,2H)、6.73(d,J=7.5Hz,1H)、6.29−6.13(m,1H)、5.06(d,J=14.8Hz,1H)、3.93−3.73(m,2H)、3.47−3.31(m,1H)、3.28−3.02(m,3H)、2.53−2.41(m,3H)、2.11−1.88(m,3H)、1.77(d,J=4.8Hz,2H)、1.25(d,J=10.3Hz,1H)、1.15−1.02(m,3H)。
【0067】
[G結晶形の調製]
約30mgの式(V)で示される化合物を溶媒(0.5mL)に加え、40℃にて3日間撹拌した。残留の固体化合物を離心分離させ(10 min at 14,000 rpm)、40℃の真空乾燥機の中で一晩乾燥し、G結晶形の乾燥した固体が得られた。
【0068】
[H結晶形の調製]
溶媒IPA:H2O=1:9の代わりにEtOAcを使用すること以外、G結晶形の調製方法を参照してH結晶形を調製した。
【0069】
実施例1:ホスホジエステラーゼ(PDE)の体外検出
【0070】
実験原理:
蛍光偏光法によりAMP/GMPの生成を検出することで、PDE1Aの酵素活性を測定し、反応原理は、AlexaFluor633で標識されたAMP/GMPが、AMP/GMPの代わりに抗体と結合することである。
【0071】
実験試薬:
反応緩衝液:10mM Tris−HCl、pH7.5、5mM塩化マグネシウム、0.01%のBrij35、1mM DTT及び1%DMSO
酵素基質:1MのcAMP又はcGMP(Ca2+−カルモジュリンをPDE1Aの補因子とする)
検出試薬:Transcreener (登録商標)AMP2/GMP2抗体、AMP2/GMP2 AlexaFluor633マーカー
【0072】
実験のステップ及び方法:
1.新たに調製した反応緩衝液で、検出対象のヒト由来酵素(SignalChemから購入)及び基質を希釈した。
2.濃度3pMの酵素溶液を、反応プレートのウェルに加えた。
3.Echo550を用いて、化合物が100%DMSOに溶解された溶液を所望の濃度に応じて、酵素溶液を有するマイクロウェルプレートに加え、室温下で10分間培養した。
4.基質溶液を、酵素及び化合物溶液を有するマイクロウェルプレートに加えて、反応を開始させた。
5.室温下で、1時間培養し、同時にマイクロウェルプレートを振動させた。
6.検出用混合物(マーカー及び抗体が入った反応停止液)を加えて、酵素反応を停止させ、90分間培養し、同時にマイクロウェルプレートを振動させた。
7.装置EnVision (PerkinElmer)、Cy5 FP Ex FP 620,Em S−pol 688/P−pol 688,FP mirror D658fp/D688で検出し、Ex/Em 620/688を用いて蛍光偏光度を測定した。
【0073】
データ分析:
エクセル表において、DMSOをネガティブコントロールとして、AMP/GMP標準曲線からFP信号に対応する酵素活性を見つけて、生成物の濃度(nM)に変換した。GraphPad Prismを用いて分析し、IC50を算出した。
【0074】
実験結果を表9に示す。
【表9】