(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記デバイス通信制御部が入力デバイスから非定常を示す入力信号を受信した場合、非定常を示す入力信号を出力した入力デバイス、および、非定常を示す入力信号を出力した入力デバイスが所属するグループの少なくとも一方を特定する特定部をさらに備え、
前記上位通信制御部は、前記特定部によって特定された入力デバイスおよびグループの少なくとも一方を示す情報を、前記コントローラに送信することを特徴とする請求項1に記載のマスタースレーブ制御システム。
前記コントローラは、前記スレーブ装置に対する入力情報の要求に対して前記スレーブ装置から定常を示す入力情報を受信しない場合、所定の制御動作を実行することを特徴とする請求項1または2に記載のマスタースレーブ制御システム。
前記コントローラは、さらに上位のマスタースレーブ制御システムにおけるスレーブ装置であり、前記コントローラは、前記さらに上位のマスタースレーブ制御システムにおけるデータ伝送を管理する上位マスタ装置に前記付加情報を送信することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のマスタースレーブ制御システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述のような従来技術は、オン/オフ信号である検出信号と付加情報とを、直列に接続された複数のセンサ装置から受信することができないという問題がある。
【0008】
具体的には、非特許文献1の中継装置は、センサ装置の検出信号(オン/オフ信号)のみを受信することができ、センサ装置の付加情報を受信することはできない。また非特許文献2の中継装置は、複数のセンサ装置から検出信号と付加情報とを受信することができるが、複数のセンサ装置を自装置に並列に接続させる必要があり、自装置に直列に接続させた複数のセンサ装置から検出信号と付加情報とを受信することはできない。つまり、非特許文献2の中継装置は、複数のセンサ装置を自装置に並列に接続させるため、設置する検出器の台数と同じ数の通信ポートを備える必要がある。そのため、非特許文献2の中継装置を用いたFAシステムにおいては、設置する検出器の台数を増やすほど、増やした検出器の台数と同じ数の通信ポートを追加して準備する必要があり、設備投資に係る費用が増大する傾向がある。
【0009】
さらに、非特許文献2に開示されている制御システム98において安全制御装置820は、従来の中継装置810を介して、複数のセンサ装置の各々から、検出信号および付加情報を受信し、受信した全ての検出信号に対応する処理を実行する。つまり、安全制御装置820は、全てのセンサ装置の検出信号を受信してから受信した全ての検出信号に対応する処理を実行するため、検出信号の受信から当該処理の完了までにかかる時間を短縮するのが困難であるという問題がある。
【0010】
本発明の一態様は、複数のデバイスとの通信のための費用を抑制しつつ、複数のデバイスの各々の付加情報をマスタ装置に通知でき、かつ、マスタ装置と複数のデバイスとの間の信号の送受信を効率化して高速制御を実現できるスレーブ装置等を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るスレーブ装置は、マスタ装置であるコントローラに接続されるスレーブ装置であって、直列に接続された複数のデバイスの各々と1つの通信ポートで通信するデバイス通信制御部と、前記コントローラとの通信を制御する上位通信制御部と、前記複数のデバイスの各々が所属するグループを定義したグルーピング情報を格納する記憶部と、を備え、前記上位通信制御部は、前記デバイス通信制御部が受信した前記複数のデバイスの各々が保有する付加情報を、前記コントローラに送信可能であり、さらに、(1)前記上位通信制御部が、前記コントローラから、オンまたはオフを示す1つの出力情報を受信した場合に前記デバイス通信制御部によって実行される、或るグループに所属する全てのデバイスへの、オンまたはオフを示す出力信号の送信と、(2)前記デバイス通信制御部が、或るグループに所属するデバイスの各々から、定常または非定常を示す入力信号を受信した場合に前記上位通信制御部によって実行される、前記コントローラへの、前記或るグループ全体の定常または非定常を示す1つの入力情報の送信と、の少なくとも一方を実行することを特徴としている。
【0012】
前記の構成によれば、前記スレーブ装置は、1つの通信ポートで受信した「前記複数のデバイスの各々の付加情報」をコントローラに送信することができ、かつ、以下の少なくとも一方の処理を実行する。すなわち、(1)前記コントローラから前記出力情報を受信した場合に実行する、或るグループに所属する全てのデバイスに対しての出力信号の送信と、(2)或るグループに所属するデバイスの各々から前記入力信号を受信した場合に実行する、前記或るグループ全体の入力情報の送信と、の少なくとも一方を実行する。
【0013】
ここで、従来のスレーブ装置は、複数の入力デバイスの各々が接続される複数の通信ポートを備え、複数の入力デバイスが前記複数の通信ポートに並列に接続されて、複数のデバイスの各々の付加情報および入力信号を受信していた。したがって、設置する入力デバイスの台数を増やすほど、増やした入力デバイスの台数と同じ数の通信ポートを追加して準備する必要があり、設備投資に係る費用が増大する傾向があった。
【0014】
これに対して、前記の構成を備えるスレーブ装置は、1つの通信ポートで、「前記複数のデバイスの各々の付加情報および入力信号」を受信する。したがって、前記スレーブ装置は、「前記複数のデバイスの各々の付加情報および入力信号」を受信する通信ポートを1つ準備するだけでよく、通信ポート等のための費用を、前記従来のスレーブ装置に比べて抑えることができるという効果を奏する。
【0015】
また、従来のマスタースレーブ制御システムにおいてマスタ装置は、(1)複数のデバイスの各々に対して、オンまたはオフを示す出力信号を送信し、または、(2)複数のデバイスの各々が出力した入力信号を受信していた。
【0016】
これに対して、前記の構成を備えるスレーブ装置は、(1)前記コントローラから前記出力情報を受信した場合に実行する、或るグループに所属する全てのデバイスに対しての出力信号の送信と、(2)或るグループに所属するデバイスの各々から前記入力信号を受信した場合に実行する、前記或るグループ全体の入力情報の送信と、の少なくとも一方を実行する。
【0017】
したがって、前記の構成を備えるスレーブ装置を含むマスタースレーブ制御システムは、(1)前記コントローラが、前記の構成を備えるスレーブ装置に、1つの前記出力情報を送信するだけで、或るグループに所属する全てのデバイスに対して、出力信号を送信することができる。つまり、前記の構成を備えるスレーブ装置は、従来のスレーブ装置と比べて、前記デバイスに対する出力信号の送信を効率化し、前記コントローラが、従来に比べてより高速度で、複数のデバイスに対して所望の処理の実行指示を送信することができるようになるという効果を奏する。
【0018】
また、前記の構成を備えるスレーブ装置を含むマスタースレーブ制御システムは、(2)前記コントローラが、前記の構成を備えるスレーブ装置から、1つの前記入力情報を受信するだけで、或るグループに所属する全てのデバイスの入力信号の全体に対応する処理を実行することができる。つまり、前記の構成を備えるスレーブ装置は、前記コントローラによる入力信号の受信を効率化し、前記コントローラに、複数のデバイスの入力信号に対応する処理を、従来に比べてより高速度で実行させることができるという効果を奏する。
【0019】
さらに、前記スレーブ装置は、1つの通信ポートで「直列に接続された複数のデバイス」の各々と通信する。したがって、並列に接続された複数のデバイスの各々と、前記複数のデバイスの台数と同数の通信ポートで通信する従来のスレーブ装置に比べて、前記スレーブ装置は、デバイスおよび配線の敷設性においても優れている。
【0020】
本発明の一態様に係るスレーブ装置について、前記複数のデバイスは、前記出力信号を受信すると所定の動作を出力する出力デバイスを1つ以上含み、前記上位通信制御部が、前記コントローラから、オンまたはオフを示す1つの出力情報を受信した場合、前記デバイス通信制御部は、或るグループに所属する全ての前記出力デバイスへ、オンまたはオフを示す出力信号を送信してもよい。
【0021】
前記の構成によれば、前記スレーブ装置は、1つの通信ポートで受信した「前記複数のデバイスの各々の付加情報」をコントローラに送信することができ、かつ、例えば、コントローラから出力情報を受信した場合、或るグループに所属する複数の出力デバイスに対して出力信号を送信することができる。
【0022】
したがって、前記スレーブ装置は、或るグループに所属する複数の出力デバイスの各々に対してコントローラが出力信号を送信する場合に比べて、前記デバイスに対する出力信号の送信を効率化し、前記コントローラが、従来に比べてより高速度で、複数のデバイスに対して所望の処理の実行指示を送信することができるようになるという効果を奏する。
【0023】
本発明の一態様に係るスレーブ装置について、前記グルーピング情報において、前記複数のデバイスは、2つ以上のグループに分けられていてもよい。
【0024】
前記の構成によれば、前記スレーブ装置は、(1)前記上位通信制御部が、前記コントローラから、例えばグループAに所属するデバイスのみを宛先とする出力情報を受信した場合、グループAに所属する全てのデバイスへ前記出力信号を送信し、グループBに所属するデバイスに対しては前記出力信号を送信しないとすることができる。つまり、前記スレーブ装置は、グループ毎に、前記デバイスに対する出力信号の送信を効率化し、前記コントローラが、従来に比べてより高速度で、複数のデバイスに対して所望の処理の実行指示を送信することができるようになるという効果を奏する。
【0025】
また、前記の構成によれば、前記スレーブ装置は、(2)前記デバイス通信制御部が、例えばグループAに所属するデバイスの各々から前記入力信号を受信した場合、前記コントローラに、グループA全体についての入力情報を送信し、グループB全体に対応する入力情報は送信しないとすることができる。つまり、前記スレーブ装置は、グループ毎に、前記複数のデバイスから受信した入力信号を整理して入力情報としてコントローラに送信するので、つまり、前記コントローラによる入力信号の受信を効率化し、前記コントローラに、複数のデバイスの入力信号に対応する処理を、従来に比べてより高速度で実行させることができるという効果を奏する。
【0026】
本発明の一態様に係るスレーブ装置について、前記複数のデバイスは、定常または非定常を検出する入力デバイスを1つ以上含み、前記デバイス通信制御部が、或るグループに所属する全ての前記入力デバイスの各々から、定常または非定常を示す入力信号を受信した場合、前記上位通信制御部は、前記コントローラへ、前記或るグループ全体の定常または非定常を示す1つの入力情報を送信してもよい。
【0027】
前記の構成によれば、前記スレーブ装置は、「前記複数のデバイスの各々の付加情報」を1つの通信ポートで受信し、「前記複数のデバイスの各々の付加情報」を前記コントローラに送信し、かつ、以下の処理を実行する。すなわち、前記スレーブ装置は、或るグループに属する1つ以上の入力デバイスから非定常を示す入力信号を受信した場合、前記或るグループについて非定常を示す1つの入力情報を、前記コントローラに送信する。
【0028】
したがって、前記スレーブ装置は、例えば、或るグループに所属する複数の入力デバイスの各々から受信した入力信号が示す情報を整理して前記入力情報として前記コントローラに送信するので、前記コントローラによる入力信号の受信を効率化し、前記コントローラに、複数のデバイスの入力信号に対応する処理を、従来に比べてより高速度で実行させることができるという効果を奏する。
【0029】
本発明の一態様に係るスレーブ装置は、前記デバイス通信制御部が入力デバイスから非定常を示す入力信号を受信した場合、非定常を示す入力信号を出力した入力デバイス、および、非定常を示す入力信号を出力した入力デバイスが所属するグループの少なくとも一方を特定する特定部をさらに備え、前記上位通信制御部は、前記特定部によって特定された入力デバイスおよびグループの少なくとも一方を示す情報を、前記コントローラに送信してもよい。
【0030】
前記の構成によれば、前記スレーブ装置は、非定常を示す入力信号を出力した入力デバイスを特定する情報、および、非定常を示す入力信号を出力した入力デバイスが所属するグループを特定する情報の少なくとも一方を、前記コントローラに送信することができるという効果を奏する。
【0031】
本発明の一態様に係るスレーブ装置について、前記コントローラは安全制御機能を有し、非定常を示す入力情報を受信すると安全制御動作を実行してもよい。
【0032】
前記の構成によれば、前記コントローラは安全制御機能を有し、非定常を示す入力情報を受信すると、前記安全制御動作(例えば、駆動装置に駆動を停止させる制御動作)を実行する。
【0033】
ここで、安全制御については、複数のデバイスの少なくとも1台が非定常を示す入力信号を出力した時には、コントローラは、例えば駆動装置に駆動を停止させる等の前記安全制御動作を実行する必要がある。つまり、安全制御については、複数のデバイスの各々が送信する入力信号が定常であるか非定常であるかを区別する必要まではなく、少なくとも1台のデバイスが非定常を示す入力信号を出力した場合には、コントローラは前記安全制御動作を実行する必要がある。
【0034】
前記スレーブ装置によって、例えば1台のコントローラが、複数のデバイスの各々の付加情報を受信し、かつ、複数のデバイスの各々の入力信号の全体によって示される情報に対応する入力情報を受信して、安全制御動作の実行要否を判断することができるという効果を奏する。
【0035】
前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る制御方法は、マスタ装置であるコントローラに接続されるスレーブ装置の制御方法であって、直列に接続された複数のデバイスの各々と1つの通信ポートで通信するデバイス通信制御ステップと、前記コントローラとの通信を制御する上位通信制御ステップと、を含み、前記スレーブ装置は、前記複数のデバイスの各々が所属するグループを定義したグルーピング情報を格納する記憶部を備え、前記上位通信制御ステップは、前記デバイス通信制御ステップにて受信した前記複数のデバイスの各々が保有する付加情報を、前記コントローラに送信可能であり、さらに、(1)前記上位通信制御ステップにて、前記コントローラから、オンまたはオフを示す1つの出力情報を受信した場合に前記デバイス通信制御ステップにて実行される、或るグループに所属する全てのデバイスへの、オンまたはオフを示す出力信号の送信と、(2)前記デバイス通信制御ステップにて、或るグループに所属するデバイスの各々から、定常または非定常を示す入力信号を受信した場合に前記上位通信制御ステップにて実行される、前記コントローラへの、前記或るグループ全体の定常または非定常を示す1つの入力情報の送信と、の少なくとも一方を含んでいる。
【0036】
前記の制御方法によれば、1つの通信ポートで受信した「前記複数のデバイスの各々の付加情報」をコントローラに送信することができ、かつ、以下の少なくとも一方の処理が実行される。すなわち、(1)前記コントローラから前記出力情報を受信した場合に実行される、或るグループに所属する全てのデバイスに対しての出力信号の送信と、(2)或るグループに所属するデバイスの各々から前記入力信号を受信した場合に実行される、前記或るグループ全体の入力情報の送信と、の少なくとも一方が実行される。
【0037】
ここで、従来のスレーブ装置は、複数の入力デバイスの各々が接続される複数の通信ポートを備え、複数の入力デバイスが前記複数の通信ポートに並列に接続されて、複数のデバイスの各々の付加情報および入力信号を受信していた。したがって、設置する入力デバイスの台数を増やすほど、増やした入力デバイスの台数と同じ数の通信ポートを追加して準備する必要があり、設備投資に係る費用が増大する傾向があった。
【0038】
これに対して、前記の制御方法は、1つの通信ポートで、「前記複数のデバイスの各々の付加情報および入力信号」を受信する。したがって、前記の制御方法は、「前記複数のデバイスの各々の付加情報および入力信号」を受信する通信ポートを前記スレーブ装置が1つ備えるだけでよく、通信ポート等のための費用を、前記従来のスレーブ装置の制御方法に比べて抑えることができるという効果を奏する。
【0039】
また、従来のマスタースレーブ制御システムにおいてマスタ装置は、(1)複数のデバイスの各々に対して、オンまたはオフを示す出力信号を送信し、または、(2)複数のデバイスの各々が出力した入力信号を受信していた。
【0040】
これに対して、前記の制御方法においては、(1)前記コントローラから前記出力情報を受信した場合に実行される、或るグループに所属する全てのデバイスに対しての出力信号の送信と、(2)或るグループに所属するデバイスの各々から前記入力信号を受信した場合に実行される、前記或るグループ全体の入力情報の送信と、の少なくとも一方が実行される。
【0041】
したがって、前記の制御方法は、(1)前記コントローラが、前記の構成を備えるスレーブ装置に、1つの前記出力情報を送信するだけで、或るグループに所属する全てのデバイスに対して、出力信号を送信することができる。つまり、前記の制御方法は、前記デバイスに対する出力信号の送信を効率化し、前記コントローラが、従来に比べてより高速度で、複数のデバイスに対して所望の処理の実行指示を送信することができるようになるという効果を奏する。
【0042】
また、前記の制御方法は、(2)前記コントローラが、前記の構成を備えるスレーブ装置から、1つの前記入力情報を受信するだけで、或るグループに所属する全てのデバイスの入力信号の全体に対応する処理を実行することができる。つまり、前記の制御方法は、前記コントローラによる入力信号の受信を効率化し、前記コントローラに、複数のデバイスの入力信号に対応する処理を、従来に比べてより高速度で実行させることができるという効果を奏する。
【0043】
前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るマスタースレーブ制御システムは、前記スレーブ装置と、前記コントローラと、を含んでいる。
【0044】
前記の構成によれば、前記マスタースレーブ制御システムは、前記スレーブ装置の1つの通信ポートで受信した「前記複数のデバイスの各々の付加情報」をコントローラに送信することができ、かつ、以下の少なくとも一方の処理を実行する。すなわち、(1)前記コントローラから前記出力情報を受信した場合に実行する、或るグループに所属する全てのデバイスに対しての出力信号の送信と、(2)或るグループに所属するデバイスの各々から前記入力信号を受信した場合に実行する、前記或るグループ全体の入力情報の送信と、の少なくとも一方を実行する。
【0045】
ここで、従来のスレーブ装置は、複数の入力デバイスの各々が接続される複数の通信ポートを備え、複数の入力デバイスが前記複数の通信ポートに並列に接続されて、複数のデバイスの各々の付加情報および入力信号を受信していた。したがって、設置する入力デバイスの台数を増やすほど、増やした入力デバイスの台数と同じ数の通信ポートを追加して準備する必要があり、設備投資に係る費用が増大する傾向があった。
【0046】
これに対して、前記マスタースレーブ制御システムにおける前記スレーブ装置は、1つの通信ポートで、「前記複数のデバイスの各々の付加情報および入力信号」を受信する。したがって、前記マスタースレーブ制御システムは、前記スレーブ装置が「前記複数のデバイスの各々の付加情報および入力信号」を受信する通信ポートを1つ備えるだけでよく、通信ポート等のための費用を、前記マスタースレーブ制御システムに比べて抑えることができるという効果を奏する。
【0047】
また、従来のマスタースレーブ制御システムにおいてマスタ装置は、(1)複数のデバイスの各々に対して、オンまたはオフを示す出力信号を送信し、または、(2)複数のデバイスの各々が出力した入力信号を受信していた。
【0048】
これに対して、前記マスタースレーブ制御システムは、(1)前記コントローラから前記出力情報を受信した場合に実行する、或るグループに所属する全てのデバイスに対しての出力信号の送信と、(2)或るグループに所属するデバイスの各々から前記入力信号を受信した場合に実行する、前記或るグループ全体の入力情報の送信と、の少なくとも一方を実行する。
【0049】
したがって、前記マスタースレーブ制御システムは、(1)前記コントローラが、前記の構成を備えるスレーブ装置に、1つの前記出力情報を送信するだけで、或るグループに所属する全てのデバイスに対して、出力信号を送信することができる。つまり、前記マスタースレーブ制御システムは、前記デバイスに対する出力信号の送信を効率化し、前記コントローラが、従来に比べてより高速度で、複数のデバイスに対して所望の処理の実行指示を送信することができるようになるという効果を奏する。
【0050】
また、前記マスタースレーブ制御システムは、(2)前記コントローラが、前記の構成を備えるスレーブ装置から、1つの前記入力情報を受信するだけで、或るグループに所属する全てのデバイスの入力信号の全体に対応する処理を実行することができる。つまり、前記マスタースレーブ制御システムは、前記コントローラによる入力信号の受信を効率化し、前記コントローラに、複数のデバイスの入力信号に対応する処理を、従来に比べてより高速度で実行させることができるという効果を奏する。
【0051】
本発明の一態様に係るマスタースレーブ制御システムについて、前記コントローラは、前記スレーブ装置に対する入力情報の要求に対して前記スレーブ装置から定常を示す入力情報を受信しない場合、所定の制御動作を実行してもよい。
【0052】
前記の構成によれば、前記コントローラは、前記スレーブ装置に対する入力情報の要求に対して前記スレーブ装置から定常を示す入力情報を受信しない場合、所定の制御動作を実行する。つまり、前記コントローラは、前記スレーブ装置に対する入力情報の要求に対して、(1)前記スレーブ装置から非定常を示す入力情報を受信した場合、所定の制御動作を実行する。
【0053】
さらに、前記コントローラは、前記スレーブ装置に対する入力情報の要求に対して、(2)前記スレーブ装置から前記入力情報自体を受信しない場合、所定の制御動作を実行する。前記コントローラは、例えば、前記スレーブ装置自体に故障等の事象が発生し、または通信経路に異常等が発生し、前記入力情報の要求に対して前記スレーブ装置から前記入力情報自体を受信しない場合、所定の制御動作を実行する。
【0054】
したがって、前記マスタースレーブ制御システムは、例えば、前記コントローラが定常を示す入力情報を受信することによって安全を確認している場合、前記コントローラが、(1)非定常を示す入力情報を受信した場合、または、(2)前記入力情報自体を受信できず安全が確認できない場合、駆動装置に駆動を停止させる等の所定の制御動作を実行することができるという効果を奏する。
【0055】
本発明の一態様に係るマスタースレーブ制御システムについて、前記コントローラは、さらに上位のマスタースレーブ制御システムにおけるスレーブ装置であり、前記コントローラは、前記さらに上位のマスタースレーブ制御システムにおけるデータ伝送を管理する上位マスタ装置に前記付加情報を送信してもよい。
【0056】
前記の構成によれば、前記コントローラは、前記さらに上位のマスタースレーブ制御システムにおける上位マスタ装置に前記付加情報を送信することができるという効果を奏する。
【0057】
本発明の一態様に係る情報処理プログラムは、直列に接続された複数のデバイスと通信するための通信ケーブルが接続される通信ポートを備えるコンピュータを、本発明の一態様に係るスレーブ装置として機能させるための情報処理プログラムであって、前記各部として前記コンピュータを機能させることを特徴としている。
【0058】
前記の構成によれば、前記情報処理プログラムは、前記コンピュータを、本発明の一態様に係るスレーブ装置として機能させることができるという効果を奏する。
【発明の効果】
【0059】
本発明の一態様によれば、複数のデバイスとの通信のための費用を抑制しつつ、複数のデバイスの各々の付加情報をマスタ装置に通知でき、かつ、マスタ装置と複数のデバイスとの間の信号の送受信を効率化して高速制御を実現できるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0061】
〔実施形態1〕
以下、本発明の実施形態1について
図1から
図6に基づいて詳細に説明する。図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。本発明の一態様に係る中継装置10(スレーブ装置)についての理解を容易にするため、先ず、中継装置10を含む安全制御システム1の概要を、
図2および
図3を用いて説明する。
【0062】
なお以下では、本発明の一態様に係る中継装置10を含む制御システムが安全制御システム1(マスタースレーブ制御システム)である例を説明するが、中継装置10を含む制御システムが安全制御システムであることは必須ではない。中継装置10を含む制御システムは、スレーブ装置である中継装置10と、中継装置10に接続されるマスタ装置と、を含むマスタースレーブ制御システムであって、以下の機能を備えるマスタースレーブ制御システムであればよい。すなわち、中継装置10を含む制御システムは、「1つ以上のデバイスの各々の入力信号と、1つ以上のデバイスの各々が保有している付加情報と、を利用するマスタ装置」と、「スレーブ装置としての中継装置10」と、を含むマスタースレーブ制御システムであればよい。
【0063】
(システムの概要)
図2は、安全制御システム1を部分システムとして含む、上位マスタースレーブ制御システム1000の概要を示す図である。上位マスタースレーブ制御システム1000における安全制御システム1は、以下の装置を含むマスタースレーブ制御システムである。すなわち、マスタ装置としての安全制御装置20と、マスタ装置にフィールドネットワーク40(上位バス、すなわち、上位通信ネットワーク)を介して接続されるスレーブ装置である中継装置10と、を含むマスタースレーブ制御システムである。安全制御装置20には複数の中継装置10が接続されてもよく、また、安全制御装置20には、中継装置10に加えて、中継装置10以外のスレーブ装置が接続されてもよい。すなわち、マスタ装置としての安全制御装置20には、複数のスレーブ装置が接続されてもよい。さらに、詳細は
図6を用いて後述するが、スレーブ装置としての中継装置10には複数のマスタ装置(例えば、安全制御装置20Aおよび20B)が接続されてもよい。
【0064】
図2に示すように、安全制御装置20は、さらに上位のマスタースレーブ制御システムである「上位マスタースレーブ制御システム1000」におけるスレーブ装置であってもよい。言い換えれば、安全制御システム1は、安全制御システム1を部分システムとして含む上位マスタースレーブ制御システム1000の一部であってもよい。上位マスタースレーブ制御システム1000は、マスタ装置(上位マスタ装置)としての制御装置90と、制御装置90に接続されるスレーブ装置としての安全制御装置20と、を含んでいる。制御装置90は、上位マスタースレーブ制御システム1000におけるデータ伝送を管理しているという意味で、上位マスタースレーブ制御システム1000におけるマスタ装置(上位マスタ装置)と呼ばれる。
【0065】
上位マスタースレーブ制御システム1000は、種々の装置(
図2に示す例では、装置A、B、およびC)を組み合わせて構成される。上位マスタースレーブ制御システム1000は、例えば、製品の生産装置である装置Aと、製品の移動装置である装置Bと、製品の検査装置である装置Cと、を含む生産システムである。上位マスタースレーブ制御システム1000に含まれる種々の装置の中には、
図2に示す装置C(例えば、その駆動によって人命・人体・生産物に対して悪影響を及ぼすことのない検査装置)のように、安全制御装置20による制御が不要なものもある。また、上位マスタースレーブ制御システム1000は、装置Aのように、その駆動をデバイス30によって確認し、「非定常」状態が検出された場合には、駆動を制御される生産装置を含んでいてもよい。
【0066】
なお、マスタ装置およびスレーブ装置は、安全制御装置20と中継装置10とを接続するフィールドネットワーク40上のデータ伝送の制御機能に着目して定義されるものであり、各装置間でどのような情報が送受信されるかについては、特に限定されない。中継装置10以外のスレーブ装置としては、例えば、安全制御装置20からの制御指示を出力先の出力デバイスに与える出力ユニットとしてのモータ制御装置(サーボドライバ)を挙げることができる。
【0067】
安全制御装置20は、フィールドネットワーク40を介した中継装置10とのデータ伝送を管理しているという意味で「マスタ装置」と呼ばれ、安全制御システム1の全体の安全制御を行う。具体的には、安全制御装置20は、第1に、入力デバイスとしてのデバイス30A(1)〜30A(5)および30B(1)〜30B(5)からの情報を、中継装置10を介して、入力データとして取得する。安全制御装置20は、第2に、予め組み込まれたユーザプログラムに従って、取得した入力データを用いて演算処理を実行する。安全制御装置20は、前記演算処理を実行して、デバイス30A(1)〜30A(5)および30B(1)〜30B(5)への制御内容を決定する。安全制御装置20は、第3に、決定した制御内容に対応する制御データを、中継装置10を介して、出力デバイスとしてのデバイス30A(1)〜30A(5)および30B(1)〜30B(5)へ出力する。例えば、安全制御装置20は、フィールドネットワーク40を介して中継装置10から「非定常(オフ)を示す入力情報」を受信すると、所定の安全制御動作を実行し、例えば、駆動装置に駆動を停止させる。また、安全制御装置20は、フィールドネットワーク40を介して中継装置10から、「定常(オン)を示す入力情報」を所定の周期で受信しない場合、所定の制御動作を実行してもよい。
【0068】
デバイス30A(1)〜30A(5)および30B(1)〜30B(5)について、デバイス30A(1)〜30A(5)は、デバイス通信ケーブル50Aを介して中継装置10のデバイス通信ポート200Aに接続されている複数のデバイスである。同様に、デバイス30B(1)〜30B(5)は、デバイス通信ケーブル50Bを介して中継装置10のデバイス通信ポート200Bに接続されている複数のデバイスである。中継装置10のデバイス通信ポート200Aに接続されている複数のデバイス30A(1)〜30A(5)の各々を区別する必要がない場合には、単に「デバイス30A」と表記する。同様に、中継装置10のデバイス通信ポート200Bに接続されている複数のデバイス30B(1)〜30B(5)の各々を区別する必要がない場合には、単に「デバイス30B」と表記する。さらに、デバイス通信ポート200Aに接続されているデバイス30Aであるのか、または、デバイス通信ポート200Bに接続されているデバイス30Bであるのかを区別する必要がない場合については、単に「デバイス30」と表記する。同様に、中継装置10のデバイス通信ポート200Aおよび200Bの各々を区別する必要がない場合には、単に「デバイス通信ポート200」と表記する。また、デバイス通信ケーブル50Aおよび50Bの各々を区別する必要がない場合には、単に「デバイス通信ケーブル50」と表記する。
【0069】
なお、
図2に示す例では、直列に接続された3つのデバイス30A(1)〜30A(3)および30B(1)〜30B(3)が、中継装置10のデバイス通信ポート200Aおよび200Bの各々に接続されている。しかしながら、デバイス通信ポート200Aおよび200Bの各々に接続されるデバイス30が3つであることは必須ではない。直列に接続された1つ以上のデバイス30が、デバイス通信ケーブル50Aおよび50Bを介して、デバイス通信ポート200Aおよび200Bの各々に接続されればよい。
【0070】
デバイス30は、入力デバイスまたは出力デバイスである。入力デバイスであるデバイス30は、例えば、温度センサ、光センサなどの「検出器」、「スイッチ(押ボタンスイッチ、リミットスイッチ、圧力スイッチなど)」などである。出力デバイスであるデバイス30は、例えば、「アクチュエータ」、「リレー」、「電磁弁」、「表示器」、「表示灯」などである。
【0071】
図3に示すように、入力デバイスとしての複数のデバイス30(1)〜30(5)は、例えば、人の立ち入る領域に設置される。入力デバイスとしてのデバイス30(1)〜30(5)は、例えば、安全制御装置20による安全制御動作の対象となる駆動装置の駆動によって人命・人体・生産物が損害を被ることがないように、「非定常」状態(危険および異常など)を検出する。
【0072】
図3は、入力デバイスとしての複数のデバイス30(1)〜30(5)の設置例を示す図である。
図3に示すように、1つの駆動装置(動力部)について危険発生部位は複数存在するため、安全制御装置20が制御する1つ以上の駆動装置に対して、複数のデバイス30(1)〜30(5)を設置する必要がある。そして、少なくともデバイス30(1)〜30(5)の1つが「非定常」状態を認めれば(異常等を検出すれば)、安全制御装置20は、駆動装置を制御する(安全制御動作を実行する)必要がある。
【0073】
フィールドネットワーク40は、安全制御装置20と中継装置10とを接続し、例えば、安全制御装置20が中継装置10から受信し、または安全制御装置20が中継装置10に送信する各種データを伝送する。フィールドネットワーク40は、例えば、EtherCAT(登録商標)、PROFINET(登録商標)、MECHATROLINK(登録商標)−III、Powerlink、SERCOS(登録商標)−III、CIP Motionである。また、フィールドネットワーク40は、EtherNet/IP(登録商標)、DeviceNet、CompoNet(登録商標)などであってもよい。フィールドネットワーク40は、安全制御装置20が中継装置10から受信する、デバイス30の「付加情報」および「入力情報」を伝送し、または、安全制御装置20が中継装置10に送信する、デバイス30に対する「出力情報」を伝送する。
【0074】
デバイス通信ケーブル50は、中継装置10とデバイス30とを接続し、例えば、中継装置10がデバイス30から受信し、または中継装置10がデバイス30に送信する各種データを伝送する。デバイス通信ケーブル50は、中継装置10がデバイス30から受信する「付加情報」および「入力信号」を伝送し、または、中継装置10がデバイス30に送信する「出力信号」を伝送する。
【0075】
なお、以下では、フィールドネットワーク40上をデータフレームが順次転送されることで、安全制御装置20と中継装置10との間でデータが送受信される安全制御システム1について説明を行う。また、以下の説明においては、安全制御装置20と中継装置10とを接続するフィールドネットワーク40を、「上位バス(上位通信ネットワーク)」と呼ぶことがある。これに対して、中継装置10とデバイス30とを接続するデバイス通信ケーブル50を、「下位バス(下位位通信ネットワーク)」と呼ぶことがある。
【0076】
中継装置10は、マスタである安全制御装置20とデバイス30との間でデータの送受信を行なうための中継装置である。言い換えれば、中継装置10は、例えば、安全制御装置20からの制御指示などの出力情報を出力先のデバイス30に与える出力ユニットとしてのデバイス通信管理ユニットであり、または、安全制御装置20が入力元のデバイス30の状態等に係る情報(入力情報および付加情報)を取り込むための入力ユニットとしてのデバイス通信管理ユニットである。中継装置10には、デバイス通信ケーブル50を介して、1つ以上のデバイス30が接続される。中継装置10は、直列に接続された1つ以上のデバイス30と通信するためのデバイス通信ケーブル50が接続されるデバイス通信ポート200を備えている。なお、本実施の形態に係る中継装置10は、デバイス通信ポート200Aおよび200Bという、デバイス通信ケーブル50が接続される2つの通信ポートを備えているが、デバイス30と通信するための通信ポートが2つであることは必須ではない。中継装置10は、デバイス30と通信するための通信ポートを1つ以上備えていればよい。
【0077】
安全制御システム1においては、安全制御装置20が、中継装置10を介して、入力デバイスとしてのデバイス30が検出した情報等(入力情報)の受信を行い、また、出力デバイスとしてのデバイス30の動作制御を行う。なお、安全制御装置20には、例えばUSB(Universal Serial Bus)ケーブルを介して、HMI(Human MachineInterface)を接続させてもよい。HMIは、人間と機械とが情報をやり取りするための手段であり、具体的には、人間が機械を操作したり(機械に指示を与えたり)、機械が現在の状態・結果を人間に知らせたりする手段である。HMIについて、人間が機械に指示を与える手段は、例えば、スイッチ、ボタン、ハンドル、ダイヤル、ペダル、リモコン、マイク、キーボード、マウスなどを含む。また、機械が現在の状態・結果等に係る情報を人間に伝える手段は、例えば、液晶画面、メーター、ランプ、スピーカーなどを含む。
【0078】
(入力デバイスからの入力信号)
安全制御システム1において、デバイス30は、デバイス30が何らかの「定常」状態を検出し(オン)、または「非定常」状態を検出した(オフ)といったオン/オフ情報などの検出信号(入力信号)を出力する。中継装置10は、複数のデバイス30の各々から、オン(定常)またはオフ(非定常)を示す「入力信号」を受信する。
【0079】
(入力デバイスからの付加情報)
また、デバイス30は、デバイス30の保有している「付加情報」を出力する。中継装置10は、複数のデバイス30の各々から、複数のデバイス30の各々が保有している「付加情報」を受信する。中継装置10は、安全制御装置20から付加情報のリクエスト(送信要求)を受信すると、複数のデバイス30の各々の付加情報を、安全制御装置20に送信する。「付加情報」は、例えば、デバイス30の通信プロパティ、デバイス30のデバイスパラメータ、およびデバイス30の識別データ(識別情報)等であり、詳細は
図4を用いて後述する。
【0080】
(出力デバイスに対する出力信号)
安全制御システム1において、デバイス30は、オンまたはオフを示す出力信号を、中継装置10から受信する。出力デバイスであるデバイス30は、中継装置10から受信した出力信号に対応する処理を実行する。例えばデバイス30がスイッチである場合、デバイス30は、中継装置10から、オフを示す出力信号を受信すると「オフ」の状態に切り替わり、オンを示す出力信号を受信すると「オン」の状態に切り替わる。
【0081】
(マスタ装置への入力情報)
安全制御システム1において、中継装置10は、安全制御装置20に対して、「複数のデバイス30の各々の入力信号」の全体が示している情報を、「入力情報」として送信する。ここで、中継装置10は、「複数のデバイス30の各々の入力信号」を、複数のデバイス30の各々が所属するグループ毎にまとめる。そして、中継装置10は、安全制御装置20に対して、グループ毎の入力情報(グループに所属する全てのデバイスの入力信号が全体として示している情報)を送信する。
【0082】
具体的には、グループPに所属する全てのデバイス30から「定常」を示す入力信号を受信すると、中継装置10は、安全制御装置20に対して、グループPの入力情報として、グループPの「定常」を示す入力情報を送信する。また、グループPに所属するデバイス30の少なくとも1つから「非定常」を示す入力信号を受信すると、中継装置10は、安全制御装置20に対して、グループPの入力情報として、グループPの「非定常」を示す入力情報を送信する。例えば、中継装置10は、グループPに所属する複数のデバイス30の各々が検出した状態を1つの情報に整理し、グループP全体の「定常(オン)」または「非定常(オフ)」を示す1つの入力情報を、安全制御装置20に通知する。言い換えれば、中継装置10は、安全制御装置20に、複数のデバイス30の各々の入力信号を1つ1つ送信するのではなく、複数のデバイス30の入力信号をグループ毎に整理して1つにまとめた入力情報を送信する。
【0083】
安全制御システム1において安全制御装置20は、「入力情報」を用いて、例えば、安全制御動作の実行要否を判断する。安全制御装置20は、例えば、「非定常を示す入力情報」を受信すると、「安全制御動作の実行が必要である」する。また、安全制御装置20は、例えば、「定常を示す入力情報」を受信すると、「安全制御動作の実行が不要である」と判断する。安全制御装置20は、グループ毎の入力情報を受信することによって、例えば、各グループに所属するデバイス30が検出した状態を把握することができる。すなわち、安全制御装置20は、(1)グループPの「非定常」を示す入力情報を受信することにより、グループPに所属するデバイス30によって「非定常」状態が検出されたことを把握し、(2)グループPの「定常」を示す入力情報を受信することにより、グループPに所属するデバイス30によって「定常」状態が検出されたことを把握する。安全制御装置20は、複数のデバイス30の各々の入力信号を1つ1つ受信して全て入力信号を受信してから制御内容を決定するのではなく、複数のデバイス30の入力信号がグループ毎に整理して1つにまとめられた入力情報を受信して制御内容を決定する。
【0084】
(マスタ装置からの出力情報)
安全制御システム1において安全制御装置20は、安全制御装置20が決定した制御内容をデバイス30に実行させる、つまり、デバイス30に所定の処理を実行させる、「オンまたはオフを示す出力情報」を送信する。中継装置10は、安全制御装置20から、オンまたはオフを示す出力情報を受信すると、その出力情報に対応する、オンまたはオフを示す出力信号を、デバイス通信ポート200に直列に接続された複数のデバイス30に送信する。デバイス通信ポート200に直列に接続された複数のデバイス30は、中継装置10を介して、安全制御装置20の出力した制御データ(出力情報)に対応する出力信号を受信する。
【0085】
ここで、安全制御装置20は、特定のグループに所属するデバイス30のみに所定の処理を実行させる、「オンまたはオフを示す出力情報」を、つまり、特定のグループを宛先とする出力情報を、送信することができる。中継装置10は、特定のグループを宛先とする出力情報を安全制御装置20から受信すると、その出力情報に対応する出力信号を、その特定のグループに所属する全てのデバイス30のみに送信する。例えば、グループPを宛先とする、オンを示す出力情報を受信すると、中継装置10は、グループPに所属する全てのデバイス30に対して、オンを示す出力信号を送信し、グループP以外のグループに所属するデバイス30に対しては出力信号を送信しない。同様に、グループQを宛先とする、オフを示す出力情報を受信すると、中継装置10は、グループQに所属する全てのデバイス30に対して、オフを示す出力信号を送信し、グループQ以外のグループに所属するデバイス30に対しては出力信号を送信しない。
【0086】
(本発明の一態様に係る安全制御システムの整理)
これまで
図2に基づいて概要を説明してきた安全制御システム1は、
図8に例示する制御システム99および98と以下の点において異なっている。すなわち、
図8の(A)に例示する制御システム99において、従来の中継装置910は、複数のセンサ930(1)〜930(3)の各々の検出信号(オン/オフ信号)のみを受信する。また、
図8の(B)に例示する制御システム98において、従来の中継装置810は、複数のデバイス通信ポート812(1)〜812(5)を備えている。従来の中継装置810は、複数のデバイス通信ポート812(1)〜812(5)の各々に接続された複数のセンサ830(1)〜830(3)の各々から、検出信号(オン/オフ信号)と、検出信号とは異なる付加情報と、を受信する。
【0087】
さらに、制御システム98において安全制御装置820は、センサ830(1)〜830(3)の各々から、検出信号および付加情報を受信し、受信した全ての検出信号に対応する処理を実行する。つまり、安全制御装置820は、全てのセンサ830(1)〜830(3)の検出信号を受信してから受信した全ての検出信号に対応する処理を実行するため、検出信号の受信から当該処理の完了までにかかる時間を短縮するのが困難である。
【0088】
これに対して、安全制御システム1における中継装置10は、直列に接続された複数のデバイス30の各々の付加情報を、1つのデバイス通信ポート200で受信し、受信した付加情報を安全制御装置20に送信する。中継装置10は、1つのデバイス通信ポート200で複数のデバイス30の各々の付加情報を受信できるので、従来の中継装置810に比べて、複数のデバイス30との通信のための費用を抑制することができる。中継装置10は、さらに、安全制御装置20とデバイス30との間で以下の2つのデータ中継機能を果たしている。
【0089】
第1に、中継装置10は、直列に接続された複数のデバイス30の各々から、入力信号(例えば、定常(オン)または非定常(オフ)を示す検出信号)を受信し、受信した複数の入力信号が全体として示している情報を、入力情報として安全制御装置20に送信する。言い換えれば、安全制御装置20は、1つの入力情報を中継装置10から受信するだけで、複数のデバイス30の各々の入力信号の全体が示している情報を把握することができる。したがって、中継装置10は、安全制御装置20と複数のデバイス30との間の信号の送受信を効率化して安全制御システム1における制御の高速化を実現できる。
【0090】
第2に、中継装置10は、安全制御装置20から1つの出力情報(制御データ)を受信し、受信した1つの出力情報に対応する出力信号を、複数のデバイス30に送信する。言い換えれば、安全制御装置20は、1つの出力情報を中継装置10に送信するだけで、複数のデバイス30に対して、所望の処理の実行を指示することができる。したがって、中継装置10は、安全制御装置20と複数のデバイス30との間の信号の送受信を効率化して安全制御システム1における制御の高速化を実現できる。
【0091】
安全制御システム1において中継装置10は、1つのデバイス通信ポート200に直列に接続されている複数のデバイス30を1つ以上のグループに分け、グループに分けられたデバイス30と安全制御装置20との間で、データ中継機能を果たしている。例えば、中継装置10は、デバイス30A(1)〜30A(5)を、デバイス30A(1)〜30A(3)が所属するグループPと、デバイス30A(4)〜30A(5)が所属するグループQと、に分け、以下のデータ中継処理を実行する。
【0092】
第1に、中継装置10は、複数のデバイス30の各々の入力信号を、デバイス30の所属するグループによって整理し、グループ単位で、デバイス30の入力信号の全体が示している情報を、安全制御装置20に送信する。言い換えれば、中継装置10は、デバイス30A(1)〜30A(3)の各々の入力信号の全体が示している情報を、デバイス30A(4)〜30A(5)の各々の入力信号の全体が示している情報と区別して、安全制御装置20に送信する。
【0093】
例えば、中継装置10は、デバイス30A(1)〜30A(3)の少なくとも1つから非定常(オフ)を示す入力信号を受信すると、グループP全体の非定常(オフ)を示す入力情報を安全制御装置20に送信する。中継装置10は、デバイス30A(1)〜30A(3)の全てから定常(オン)を示す入力信号を受信すると、グループP全体の定常(オン)を示す入力情報を安全制御装置20に送信する。同様に、中継装置10は、デバイス30A(4)〜30A(5)の少なくとも1つから非定常(オフ)を示す入力信号を受信すると、グループQ全体の非定常(オフ)を示す入力情報を安全制御装置20に送信する。中継装置10は、デバイス30A(4)〜30A(5)の全てから定常(オン)を示す入力信号を受信すると、グループQ全体の定常(オン)を示す入力情報を安全制御装置20に送信する。中継装置10は、複数のデバイス30の各々の入力信号(複数のデバイス30の各々が検出した情報)を、複数のデバイス30の各々が所属するグループ毎にまとめる。そして、中継装置10は、グループ単位で、グループに所属するデバイス30の各々の入力信号の全体が意味する1つの情報を、1つの入力情報として、安全制御装置20に通知する。
【0094】
第2に、中継装置10は、安全制御装置20から1つの「グループ単位の出力情報(制御データ)」を受信し、受信した1つの「グループ単位の出力情報」に対応する出力信号を、グループ内のデバイス30の全てに送信する。言い換えれば、中継装置10は、グループP(グループPに所属するデバイス30)を宛先とする出力情報を、グループQ(グループQに所属するデバイス30)を宛先とする出力情報と区別して、各々のグループに属するデバイス30に出力信号を送信する。
【0095】
例えば、中継装置10は、グループPを宛先とする「オン」を示す出力情報を受信すると、デバイス30A(1)〜30A(3)のみに「オン」を示す出力信号を送信し、デバイス30A(4)〜30A(5)には「オン」を示す出力信号を送信しない。中継装置10は、グループQを宛先とする「オン」を示す出力情報を受信すると、デバイス30A(4)〜30A(5)のみに「オン」を示す出力信号を送信し、デバイス30A(1)〜30A(3)には「オン」を示す出力信号を送信しない。中継装置10は、「グループ単位の出力情報」を1つ取得することによって、「グループ単位の出力情報」の宛先となっているグループに所属する全てのデバイス30に対して、「グループ単位の出力情報」に対応する出力信号を送信する。
【0096】
なお、中継装置10は、安全制御装置20と複数のデバイス30との間の信号の中継(情報の相互通知)について、以下の2つの情報通知処理の少なくとも一方を実行する。すなわち、中継装置10は、(1)デバイス30から安全制御装置20への情報通知処理と、(2)安全制御装置20からデバイス30への情報通知処理と、の少なくとも一方を実行する。ここで、「(1)デバイス30から安全制御装置20への情報通知処理」とは、例えば、「デバイス30の入力信号に対応する(特に、グループ毎の、入力信号全体に対応する)入力情報の、安全制御装置20への送信」である。「(2)安全制御装置20からデバイス30への情報通知処理」とは、例えば、「安全制御装置20からの出力情報に対応する(特に、グループ毎の、出力情報に対応する)出力信号の、デバイス30への送信」である。
【0097】
これまでに
図2および
図3を用いて概要を説明してきた安全制御システム1および中継装置10は、以下のように整理することができる。すなわち、安全制御システム1は、マスタ装置としての安全制御装置20(コントローラ)と、安全制御装置20に接続されるスレーブ装置としての中継装置10と、を含むマスタースレーブ制御システムである。中継装置10は、直列に接続された複数のデバイス30の各々とデバイス通信ポート200(1つの通信ポート)で通信するデバイス通信制御部110と、安全制御装置20との通信を制御する上位通信制御部120と、複数のデバイス30の各々が所属するグループを定義したグルーピング定義テーブル330(グルーピング情報)を格納する記憶部300と、を備えている。上位通信制御部120は、デバイス通信制御部110が受信した複数のデバイス30の各々が保有する付加情報を、安全制御装置20に送信可能である。
【0098】
中継装置10は、さらに、以下の2つの処理のうちの少なくとも一方を実行する。すなわち、(1)上位通信制御部120が、安全制御装置20から、オンまたはオフを示す1つの出力情報を受信した場合にデバイス通信制御部110によって実行される、或るグループに所属する全てのデバイス30への、オンまたはオフを示す出力信号の送信と、(2)デバイス通信制御部110が、或るグループに所属するデバイス30の各々から、定常または非定常を示す入力信号を受信した場合に上位通信制御部120によって実行される、安全制御装置20への、前記或るグループ全体の定常または非定常を示す1つの入力情報の送信と、の少なくとも一方を実行する。
【0099】
前記の構成によれば、中継装置10は、デバイス通信ポート200で受信した「複数のデバイス30の各々の付加情報」を安全制御装置20に送信することができ、かつ、以下の少なくとも一方の処理を実行する。すなわち、(1)安全制御装置20から前記出力情報を受信した場合に実行する、或るグループに所属する全てのデバイス30に対しての出力信号の送信と、(2)或るグループに所属するデバイス30の各々から前記入力信号を受信した場合に実行する、前記或るグループ全体の入力情報の送信と、の少なくとも一方を実行する。
【0100】
ここで、従来のスレーブ装置は、複数の入力デバイスの各々が接続される複数の通信ポートを備え、複数の入力デバイスが前記複数の通信ポートに並列に接続されて、複数のデバイスの各々の付加情報および入力信号を受信していた。したがって、設置する入力デバイスの台数を増やすほど、増やした入力デバイスの台数と同じ数の通信ポートを追加して準備する必要があり、設備投資に係る費用が増大する傾向があった。
【0101】
これに対して、中継装置10は、1つのデバイス通信ポート200で、直列に接続された複数のデバイス30の各々の「付加情報および入力信号」を受信する。したがって、中継装置10は、複数のデバイス30の各々の「付加情報および入力信号」を受信するデバイス通信ポート200を1つ準備するだけでよく、デバイス30との通信のための通信ポート等のための費用を、前記従来のスレーブ装置に比べて抑えることができるという効果を奏する。
【0102】
また、従来のマスタースレーブ制御システムにおいてマスタ装置は、(1)複数のデバイスの各々に対して、オンまたはオフを示す出力信号を送信し、または、(2)複数のデバイスの各々が出力した入力信号を受信していた。
【0103】
これに対して、中継装置10は、(1)安全制御装置20から前記出力情報を受信した場合に実行する、或るグループに所属する全てのデバイス30に対しての出力信号の送信と、(2)或るグループに所属するデバイス30の各々から前記入力信号を受信した場合に実行する、前記或るグループ全体の入力情報の送信と、の少なくとも一方を実行する。
【0104】
したがって、中継装置10を含む安全制御システム1(マスタースレーブ制御システム)は、(1)安全制御装置20が、中継装置10に、1つの前記出力情報を送信するだけで、或るグループに所属する全てのデバイス30に対して、出力信号を送信することができる。つまり、中継装置10は、従来のスレーブ装置と比べて、前記デバイス30に対する出力信号の送信を効率化し、安全制御装置20が、従来に比べてより高速度で、複数のデバイス30に対して所望の処理の実行指示を送信することができるようになるという効果を奏する。
【0105】
また、中継装置10を含む安全制御システム1は、(2)安全制御装置20が、中継装置10から、1つの前記入力情報を受信するだけで、或るグループに所属する全てのデバイス30の入力信号の全体に対応する処理を実行することができる。つまり、中継装置10は、安全制御装置20による入力信号の受信を効率化し、安全制御装置20に、複数のデバイス30の入力信号に対応する処理を、従来に比べてより高速度で実行させることができるという効果を奏する。
【0106】
さらに、中継装置10は、1つのデバイス通信ポート200で「直列に接続された複数のデバイス30」の各々と通信する。したがって、並列に接続された複数のデバイス30の各々と、複数のデバイス30の台数と同数の通信ポートで通信する従来の中継装置に比べて、中継装置10は、デバイス30およびデバイス通信ケーブル50等の配線の敷設性においても優れている。
【0107】
安全制御システム1において、中継装置10のデバイス通信ポート200に直列に接続された複数のデバイス30には、前記出力信号を受信すると所定の動作を出力する出力デバイスが1つ以上含まれている。例えば、デバイス通信ポート200Bに直列に接続された複数のデバイス30B(1)〜30B(5)の少なくとも1つは、出力信号を受信すると所定の動作を出力する出力デバイスである。例えば、デバイス30B(1)〜30B(3)は出力デバイスである。
【0108】
上位通信制御部120が、安全制御装置20から、或るグループを宛先とする「オンまたはオフを示す1つの出力情報」を受信した場合、デバイス通信制御部110は、前記或るグループに所属する全ての出力デバイスへ、オンまたはオフを示す出力信号を送信する。
【0109】
また、上位通信制御部120が、安全制御装置20から、特定のグループを宛先として特定しない「オンまたはオフを示す1つの出力情報」を受信した場合、デバイス通信制御部110は、中継装置10に接続する全ての出力デバイスへ、オンまたはオフを示す出力信号を送信する。つまり、中継装置10は、宛先の特定されていない「オンまたはオフを示す1つの出力情報」を、中継装置10に接続する全ての出力デバイスが所属するグループ宛ての「オンまたはオフを示す1つの出力情報」であると見なす。
【0110】
例えば、上位通信制御部120が、安全制御装置20から、宛先を「グループS」とする、オンを示す出力情報を受信した場合、デバイス通信制御部110は、以下の処理を実行する。すなわち、デバイス通信制御部110は、先ず、記憶部300のグルーピング定義テーブル330を参照して、デバイス30B(1)〜30B(3)がグループSに所属することを確認する。デバイス通信制御部110は、デバイス30B(1)〜30B(3)が全て出力デバイスであることを確認すると、デバイス30B(1)〜30B(3)の全てに対して、オンを示す出力信号を送信する。
【0111】
前記の構成によれば、中継装置10は、デバイス通信ポート200で受信した「複数のデバイス30の各々の付加情報」を安全制御装置20に送信することができ、かつ、例えば、安全制御装置20から出力情報を受信した場合、或るグループに所属する複数の出力デバイスに対して出力信号を送信することができる。
【0112】
したがって、中継装置10は、或るグループに所属する複数の出力デバイスの各々に対して安全制御装置20が出力信号を送信する場合に比べて、前記デバイスに対する出力信号の送信を効率化し、安全制御装置20が、従来に比べてより高速度で、複数のデバイスに対して所望の処理の実行指示を送信することができるようになるという効果を奏する。
【0113】
グルーピング定義テーブル330において、複数のデバイス30は、2つ以上のグループに分けられている。
【0114】
前記の構成によれば、中継装置10は、(1)上位通信制御部120が、安全制御装置20から、例えばグループSに所属するデバイス30のみを宛先とする出力情報を受信した場合、グループSに所属する全てのデバイス30へ前記出力信号を送信し、グループS以外のグループに所属するデバイス30に対しては前記出力信号を送信しない。したがって、中継装置10は、グループ毎に出力信号を送信することによって、デバイス30に対する出力信号の送信を効率化することができるという効果を奏する。また、中継装置10は、安全制御装置20に、従来に比べてより高速度で、複数のデバイスに対して所望の処理の実行指示を送信させることができるようになるという効果を奏する。
【0115】
また、前記の構成によれば、中継装置10は、(2)デバイス通信制御部110が、例えばグループPに所属するデバイスの各々から前記入力信号を受信した場合、安全制御装置20に、グループP全体についての入力情報を送信し、グループP以外のグループ全体に対応する入力情報は送信しない。したがって、中継装置10は、グループ毎に、複数のデバイス30から受信した入力信号を整理して入力情報として安全制御装置20に送信するので、つまり、安全制御装置20による入力信号の受信を効率化することができるという効果を奏する。また、中継装置10は、安全制御装置20に、複数のデバイスの入力信号に対応する処理を、従来に比べてより高速度で実行させることができるという効果を奏する。
【0116】
安全制御システム1において、中継装置10のデバイス通信ポート200に直列に接続された複数のデバイス30には、定常または非定常を検出する入力デバイスが1つ以上含まれている。例えば、デバイス通信ポート200Aに直列に接続された複数のデバイス30A(1)〜30A(5)の少なくとも1つは、出力信号を受信すると所定の動作を出力する入力デバイスである。例えば、デバイス30A(1)〜30A(3)は入力デバイスである。
【0117】
デバイス通信制御部110が、或るグループに所属する全ての入力デバイスの各々から、定常または非定常を示す入力信号を受信した場合、上位通信制御部120は、安全制御装置20へ、前記或るグループ全体の定常または非定常を示す1つの入力情報を送信する。
【0118】
例えば、デバイス通信制御部110が、デバイス30A(1)〜30A(3)の全てから「定常」を示す入力信号を受信した場合、上位通信制御部120は、安全制御装置20へ、上位通信制御部120は、以下の入力情報を送信する。すなわち、記憶部300のグルーピング定義テーブル330においてデバイス30A(1)〜30A(3)が全てグループPに所属しているので、上位通信制御部120は、安全制御装置20へ、グループP全体の「定常」を示す入力情報を送信する。また、デバイス通信制御部110が、デバイス30A(1)〜30A(3)の少なくとも1つから「非定常」を示す入力信号を受信した場合、上位通信制御部120は、安全制御装置20へ、グループP全体の「非定常」を示す入力情報を送信する。
【0119】
前記の構成によれば、中継装置10は、「複数のデバイス30の各々の付加情報」をデバイス通信ポート200で受信し、「複数のデバイス30の各々の付加情報」を安全制御装置20に送信し、かつ、以下の処理を実行する。すなわち、中継装置10は、或るグループに属する1つ以上の入力デバイスから非定常を示す入力信号を受信した場合、前記或るグループについて非定常を示す1つの入力情報を、安全制御装置20に送信する。
【0120】
したがって、中継装置10は、或るグループに所属する複数の入力デバイスの各々から受信した入力信号が示す情報を整理してグループ全体の入力情報として安全制御装置20に送信するので、安全制御装置20による入力信号の受信を効率化することができるという効果を奏する。また、中継装置10は、安全制御装置20に、複数のデバイスの入力信号に対応する処理を、従来に比べてより高速度で実行させることができるという効果を奏する。
【0121】
中継装置10は特定部130を備えており、以下の処理を実行する。すなわち、特定部130は、デバイス通信制御部110が入力デバイスであるデバイス30から非定常を示す入力信号を受信した場合、非定常を示す入力信号を出力したデバイス30、および、非定常を示す入力信号を出力したデバイス30が所属するグループの少なくとも一方を特定する。そして、上位通信制御部120は、特定部130によって特定されたデバイス30およびグループの少なくとも一方を示す情報を、安全制御装置20に送信する。
【0122】
前記の構成によれば、中継装置10は、非定常を示す入力信号を出力したデバイス30を特定する情報、および、非定常を示す入力信号を出力したデバイス30が所属するグループを特定する情報の少なくとも一方を、安全制御装置20に送信することができるという効果を奏する。以上までに概要を説明してきた中継装置10について、次に、
図1等に基づいて詳細に説明していく。
【0123】
(中継装置の要部構成)
図1は、中継装置10の要部構成の一例を示すブロック図である。なお、本実施形態に直接関係のない部分(例えば、中継装置10が備える、電源スイッチ、表示部分など)については、以下の説明および上記ブロック図から省略している。ただし、実施の実情に則して、中継装置10は、当該省略した構成を含んでもよい。
図1に示すように、中継装置10は、制御部100、デバイス通信ポート200、記憶部300、および上位通信ポート400を備えている。
【0124】
デバイス通信ポート200は、デバイス30と通信するための通信ポートであり、直列に接続された複数のデバイス30(1)〜30(5)と通信するためのデバイス通信ケーブル50が接続されるインタフェースである。
図1に示す例において中継装置10は、デバイス通信ケーブル50Aが接続されるデバイス通信ポート200Aと、デバイス通信ケーブル50Bが接続されるデバイス通信ポート200Bと、を備えている。デバイス通信ケーブル50Aには、直列に接続された複数のデバイス30A(1)〜30A(5)が接続されている。デバイス通信ケーブル50Bには、直列に接続された複数のデバイス30B(1)〜30B(5)が接続されている。
【0125】
中継装置10は、1つのデバイス通信ポート200で、複数のデバイス30(1)〜30(5)の各々から、以下の2種類の信号を受信する。すなわち、中継装置10は、1つのデバイス通信ポート200で、複数のデバイス30の各々から、「入力信号(例えば、入力デバイスであるデバイス30の検出信号)」と、複数のデバイス30の各々が保有している「付加情報」と、を受信する。例えば、中継装置10は、デバイス通信ポート200Aで、デバイス30A(1)〜30A(5)の各々の入力信号と付加信号とを受信し、デバイス通信ポート200Bで、デバイス30B(1)〜30B(5)の各々の入力信号と付加信号とを受信する。
【0126】
中継装置10は、1つのデバイス通信ポート200で、複数のデバイス30(1)〜30(5)の各々に対して、オンまたはオフを示す「出力信号」を送信する。例えば、中継装置10は、デバイス通信ポート200Aで、デバイス30A(1)〜30A(5)の各々に対して出力信号を送信し、デバイス通信ポート200Bで、デバイス30B(1)〜30B(5)の各々に対して出力信号を送信する。
【0127】
上位通信ポート400は、安全制御装置20と通信するための通信ポートであり、安全制御装置20とフィールドネットワーク40を介して通信するための伝送ケーブルが接続されるインタフェースである。中継装置10は、上位通信ポート400に接続されるフィールドネットワーク40を介して、「入力情報」を安全制御装置20に送信し、また、「出力情報」を安全制御装置20から受信する。
【0128】
また、中継装置10は、上位通信ポート400に接続されるフィールドネットワーク40を介して、「特定情報」および「付加情報」の少なくとも一方についてのリクエスト(送信要求)を受信する。
【0129】
ここで、「特定情報」とは、「非定常を示す入力信号を出力したデバイス30」および「非定常を示す入力信号を出力したデバイス30の所属するグループ」の少なくとも一方を示す情報である。「非定常を示す入力信号を出力したデバイス30」を示す情報とは、例えば、「非定常を示す入力信号を出力したデバイス30」の識別情報であり、「グループ」を示す情報とは、例えば、グループの識別情報である。
【0130】
また、「付加情報」とは、デバイス30の出力する情報であって、検出信号(オン/オフ信号)とは異なる情報(データ)であり、詳細については
図4等を用いて後述する。
【0131】
中継装置10は、リクエストされた「特定情報」および「付加情報」の少なくとも一方を、上位通信ポート400に接続されるフィールドネットワーク40を介して安全制御装置20に送信する。
【0132】
制御部100は、中継装置10の機能を統括して制御するものである。図示の制御部100には、機能ブロックとして、デバイス通信制御部110、上位通信制御部120、特定部130、および判定部140が含まれている。
【0133】
デバイス通信制御部110は、デバイス30との通信を統括して制御するものであり、デバイス30からの受信を制御するデバイス受信制御部111と、デバイス30への送信を制御するデバイス送信制御部112と、を含んでいる。
【0134】
デバイス受信制御部111は、デバイス通信ポート200にデバイス通信ケーブル50を介して接続されている「複数のデバイス30の各々の、入力信号および付加情報」を受信する。デバイス受信制御部111は、定期的に、または、上位受信制御部121が安全制御装置20から「入力情報」のリクエスト(送信要求)を受信すると、「複数のデバイス30の各々の入力信号」を受信する。複数のデバイス30の各々は「非定常」状態を検出すると、「非定常」を示す入力信号を出力し、出力された「非定常」を示す入力信号をデバイス受信制御部111が受信する構成であってもよい。デバイス受信制御部111は、上位受信制御部121が安全制御装置20から「付加情報」のリクエストを受信すると、「複数のデバイス30の各々の付加信号」を受信する。
【0135】
デバイス受信制御部111は、「複数のデバイス30の各々の付加情報」を上位通信制御部120に通知する。また、デバイス受信制御部111は、「複数のデバイス30の各々の付加情報」を記憶部300の付加情報テーブル320に格納する。デバイス受信制御部111は、「複数のデバイス30の各々の付加情報」を、例えば受信時刻と共に、付加情報テーブル320に格納してもよい。
【0136】
デバイス受信制御部111は、「複数のデバイス30の各々の入力信号」を判定部140に通知する。デバイス受信制御部111は、記憶部300のグルーピング定義テーブル330を参照して、「複数のデバイス30の各々の入力信号」を、「複数のデバイス30の各々が所属するグループに係る情報(グルーピング定義情報)」と共に、判定部140に通知する。例えば、デバイス受信制御部111は、「デバイス30A(1)〜30A(5)の各々の入力信号」を、「デバイス30A(1)〜30A(3)はグループPに所属し、デバイス30A(4)〜30A(5)はグループQに所属する」とのグルーピング定義情報と共に、判定部140に通知する。
【0137】
デバイス受信制御部111は、「複数のデバイス30の各々の入力信号」を記憶部300の入力信号テーブル310に格納し、例えば、受信時刻(検出時刻)と共に、「複数のデバイス30の各々の入力信号」を入力信号テーブル310に格納する。デバイス受信制御部111は、「複数のデバイス30の各々の入力信号」を、グルーピング定義情報と共に入力信号テーブル310に格納してもよい。
【0138】
デバイス送信制御部112は、デバイス通信ポート200にデバイス通信ケーブル50を介して接続されている「複数のデバイス30の各々」に対して、中継装置10が安全制御装置20から受信した出力情報(制御データ)に対応する出力信号を送信する。デバイス送信制御部112は、記憶部300のグルーピング定義テーブル330を参照して、出力情報に対応する出力信号を、特定のグループに所属するデバイス30のみに送信し、それ以外のグループに所属するデバイス30に送信しない。
【0139】
具体的には、(1)中継装置10が、安全制御装置20から、或るグループを宛先とする「オンまたはオフを示す1つの出力情報」を受信した場合、デバイス送信制御部112は、前記或るグループに所属する全ての出力デバイスへ、オンまたはオフを示す出力信号を送信する。例えば、上位通信制御部120(上位受信制御部121)がグループSを宛先とする「オンを示す出力情報」を受信した場合、デバイス送信制御部112は、グループSに所属する全てのデバイス30へ、オンを示す出力信号を送信する。例えば、上位通信制御部120(上位受信制御部121)がグループQを宛先とする「オフを示す出力情報」を受信した場合、デバイス送信制御部112は、グループQに所属する全てのデバイス30へ、オフを示す出力信号を送信する。
【0140】
(2)中継装置10が、安全制御装置20から、特定のグループを宛先として特定しない「オンまたはオフを示す1つの出力情報」を受信した場合、デバイス送信制御部112は、中継装置10に接続する全ての出力デバイスへ、オンまたはオフを示す出力信号を送信する。例えば、特定のグループを宛先として指定しない「オンを示す出力情報」を上位通信制御部120(上位受信制御部121)が受信した場合、デバイス送信制御部112は、中継装置10に接続している全てのデバイス30へ、オンを示す出力信号を送信する。例えば、特定のグループを宛先として指定しない「オフを示す出力情報」を上位通信制御部120(上位受信制御部121)が受信した場合、デバイス送信制御部112は、中継装置10に接続している全てのデバイス30へ、オフを示す出力信号を送信する。
【0141】
上位通信制御部120は、上位ネットワークに含まれる安全制御装置20等の装置との通信を制御するものであり、安全制御装置20からの受信を制御する上位受信制御部121と、安全制御装置20への送信を制御する上位送信制御部122と、を含んでいる。上位通信制御部120は、安全制御装置20を含む上位ネットワークと通信を行うことができる。
【0142】
上位受信制御部121は、上位通信ポート400に接続されるフィールドネットワーク40を介して安全制御装置20から、「入力情報」、「特定情報」、および「付加情報」の少なくとも1つについてのリクエスト(送信要求)を受信する。
【0143】
(1)上位受信制御部121は安全制御装置20から「入力情報」のリクエストを受信すると、デバイス通信制御部110(デバイス受信制御部111)にその旨を通知する。安全制御装置20からの「入力情報」のリクエストを通知されたデバイス通信制御部110(デバイス受信制御部111)は、デバイス30から入力信号を受信する。
【0144】
(2)上位受信制御部121は安全制御装置20から「特定情報」のリクエストを受信すると、特定部130にその旨を通知する。安全制御装置20からの「特定情報」のリクエストを通知された特定部130は、特定したデバイス30および特定したデバイス30の所属するグループの少なくとも一方を示す情報を、上位送信制御部122に通知する。
【0145】
(3)上位受信制御部121は安全制御装置20から「付加情報」のリクエストを受信すると、上位送信制御部122にその旨を通知する。安全制御装置20からの「付加情報」のリクエストを通知された上位送信制御部122は、デバイス30の付加情報を安全制御装置20に送信する。
【0146】
上位受信制御部121は、安全制御装置20から、安全制御装置20が決定した制御内容をデバイス30に実行させる、つまり、デバイス30に所定の処理を実行させる、「オンまたはオフを示す出力情報」を受信する。ここで、上位受信制御部121は、「特定のグループに所属するデバイス30のみに所定の処理を実行させる出力情報」を、つまり、「特定のグループを宛先とする出力情報」を、安全制御装置20から受信する。「特定のグループを宛先とする出力情報」を受信すると、上位受信制御部121は、その「特定のグループ」を示す情報と共に、その「出力情報」を、デバイス通信制御部110(特に、デバイス送信制御部112)に通知する。なお、「特定のグループを宛先としない出力情報」、つまり、「宛先となるグループの指定されていない出力情報」を受信すると、上位受信制御部121は、「宛先となるグループが指定されていない」旨の情報と共に、その「出力情報」を、デバイス通信制御部110(特に、デバイス送信制御部112)に通知する。
【0147】
上位送信制御部122は、上位受信制御部121が安全制御装置20から受信したリクエスト(送信要求)に基づいて、安全制御装置20に対して、「入力情報」、「特定情報」、および「付加情報」の少なくとも1つを送信する。
【0148】
(1)上位送信制御部122は、「デバイス通信ポート200に直列に接続された複数のデバイス30の各々の入力信号」の全体が示している情報を、「入力情報」として、安全制御装置20に送信する。ここで、上位送信制御部122は、「特定のグループに所属するデバイス30の各々の入力信号の全体が示している情報」を、つまり、「特定のグループ全体の定常または非定常を示す入力情報」を、安全制御装置20に送信する。例えば、デバイス通信制御部110(デバイス受信制御部111)がグループPに所属する全てのデバイス30から「定常」を示す入力信号を受信すると、上位送信制御部122は、グループPの「定常」を示す入力情報を、安全制御装置20に対して送信する。デバイス通信制御部110(デバイス受信制御部111)がグループPに所属するデバイス30の少なくとも1つから「非定常」を示す入力信号を受信すると、上位送信制御部122は、グループPの「非定常」を示す入力情報を、安全制御装置20に対して送信する。
【0149】
(2)上位送信制御部122は、特定部130から通知された、「特定部130が特定したデバイス30と、特定したデバイス30の所属するグループと、の少なくとも一方を示す情報(特定情報)」を、安全制御装置20に対して送信する。
【0150】
(3)上位送信制御部122は、上位受信制御部121が安全制御装置20から「付加情報」のリクエストを受信すると、以下のようにして取得したデバイス30の付加情報を安全制御装置20に対して送信する。すなわち、上位送信制御部122は、付加情報テーブル320を参照してデバイス30の付加情報を取得し、または、デバイス受信制御部111にデバイス30の付加情報を受信させてデバイス受信制御部111からデバイス30の付加情報を取得する。
【0151】
なお、上位送信制御部122は、上位受信制御部121が安全制御装置20からリクエストを受信した場合だけではなく、以下の場合にも、安全制御装置20に対して、「入力情報」および「特定情報」の少なくとも一方を送信してもよい。すなわち、デバイス30の少なくとも1つが「非定常」状態を検出した場合、上位送信制御部122は、「入力情報」および「特定情報」の少なくとも一方を安全制御装置20に対して送信してもよい。言い換えれば、デバイス受信制御部111がデバイス30の少なくとも1つから「非定常」を示す入力信号を受信した場合、上位送信制御部122は、「入力情報」および「特定情報」の少なくとも一方を安全制御装置20に対して送信してもよい。
【0152】
特定部130は、デバイス通信制御部110(デバイス受信制御部111)が複数のデバイス30の少なくとも1つから非定常(オフ)を示す入力信号を受信した場合、非定常を示す入力信号を出力したデバイス30を特定する。例えば、特定部130は、先ず、デバイス通信制御部110から、「複数のデバイス30の各々の入力信号(例えば、直近の入力信号)」を取得する。特定部130は、記憶部300の入力信号テーブル310を参照して、「複数のデバイス30の各々の入力信号(例えば、直近の入力信号)」を取得してもよい。
【0153】
次に、特定部130は、(1)取得した入力信号の中に非定常を示す入力信号があった場合、「非定常」を示す入力信号(例えば、「オフ」を示す入力信号)を出力したデバイス30を特定する。特定部130は、特定した「非定常を示す入力信号を出力したデバイス30(例えば、デバイス30(3))」を示す情報を、上位通信制御部120に通知する。特定部130は、(2)通知された入力信号の中に非定常を示す入力信号がない場合には処理を終了する。
【0154】
特定部130は、さらに、記憶部300のグルーピング定義テーブル330を参照して、特定した「非定常を示す入力信号を出力したデバイス30(例えば、デバイス30(3))」の所属するグループを特定してもよい。
【0155】
なお、特定部130は、入力信号テーブル310を参照して、例えば、受信時刻が同一である「複数のデバイス30の各々の入力信号」の中に非定常を示す入力信号があった場合、非定常を示す入力信号を出力したデバイス30を特定してもよい。特定部130は、入力信号テーブル310を参照して特定した「非定常を示す入力信号を出力したデバイス30」および「そのデバイス30の所属するグループ」の少なくとも一方を示す情報を、つまり、特定情報を、上位通信制御部120に通知してもよい。
【0156】
特定部130は、安全制御装置20からの「特定情報」のリクエストを上位受信制御部121から通知されると、特定情報を、上位通信制御部120に通知する。なお、特定部130は、判定部140による「複数のデバイス30の各々の入力信号の中に非定常を示す入力信号があった」との判定結果を通知されると(例えば上位通信制御部120から通知されると)、特定情報を上位通信制御部120に通知してもよい。
【0157】
判定部140は、デバイス通信制御部110が複数のデバイス30の少なくとも1つから「非定常」を示す入力信号を受信したか否かを判定する。判定部140は、デバイス通信制御部110が複数のデバイス30の少なくとも1つから「非定常」を示す入力信号を受信したと判定すると、上位通信制御部120(上位送信制御部122)に、「非定常」を示す入力情報を、安全制御装置20に送信させる。
【0158】
判定部140は、記憶部300のグルーピング定義テーブル330を参照して、特定のグループに所属するデバイス30の少なくとも1つから「非定常」を示す入力信号を受信したか否かを判定する。判定部140は、特定のグループに所属するデバイス30の少なくとも1つから「非定常」を示す入力信号を受信したと判定すると、上位送信制御部122に、前記特定のグループの「非定常」を示す入力情報を、安全制御装置20に送信させる。判定部140は、特定のグループに所属する全てのデバイス30から「定常」を示す入力信号を受信したと判定すると、上位送信制御部122に、前記特定のグループの「定常」を示す入力情報を、安全制御装置20に送信させる。
【0159】
具体的には、判定部140は、先ず、デバイス通信制御部110から、「特定のグループに所属する、複数のデバイス30の各々の入力信号」を取得する。判定部140は、次に、取得した「特定のグループに所属する、複数のデバイス30の各々の入力信号」の中に非定常を示す入力信号があるか否かを判定する。そして、判定部140は、判定結果を上位送信制御部122に通知し、上位送信制御部122に、前記「特定のグループ」の「定常」または「非定常」を示す入力情報を、安全制御装置20に送信させる。
【0160】
上述した制御部100の各機能ブロックは、例えば、CPU(centralprocessing unit)などが、ROM(read only memory)、NVRAM(non-Volatile random access memory)等で実現された記憶装置(記憶部300)に記憶されているプログラムを不図示のRAM(random access memory)等に読み出して実行することで実現できる。
【0161】
記憶部300は、中継装置10が使用する各種データを格納する。記憶部300は、中継装置10が実行する(1)制御プログラム、(2)OSプログラム、(3)各種機能を実行するためのアプリケーションプログラム、および、(4)該アプリケーションプログラムを実行するときに読み出す各種データを記憶する。上記の(1)〜(4)のデータは、例えば、ROM(read only memory)、フラッシュメモリ、EPROM(ErasableProgrammable ROM)、EEPROM(登録商標)(Electrically EPROM)、HDD(Hard Disc Drive)等の不揮発性記憶装置に記憶される。また、記憶部300には、入力信号テーブル310、付加情報テーブル320、およびグルーピング定義テーブル330が格納されている。
【0162】
入力信号テーブル310には、デバイス通信制御部110が受信した「複数のデバイス30(1)〜30(3)の各々の入力信号」が格納されており、例えば、受信時刻と共に、「複数のデバイス30(1)〜30(3)の各々の入力信号」が格納されている。
【0163】
付加情報テーブル320には、デバイス通信制御部110が受信した「複数のデバイス30(1)〜30(3)の各々の付加情報」が格納されており、例えば、受信時刻と共に、「複数のデバイス30(1)〜30(3)の各々の付加情報」が格納されている。
【0164】
グルーピング定義テーブル330には、デバイス通信ポート200に直列に接続された複数のデバイス30の各々が所属するグループを定義したグルーピング情報が格納されている。グルーピング定義テーブル330に格納されているグルーピング情報は、ユーザが作成した情報であってもよく、ユーザは、例えば、中継装置10に接続させたHMI等を用いてグルーピング情報を作成・変更することができる。ユーザはまた、安全制御装置20に接続させたHMI等を用いて安全制御装置20においてグルーピング情報を作成・変更し、中継装置10が、作成・変更されたグルーピング情報を安全制御装置20から取得してもよい。
【0165】
図4は、付加情報の概要、および、グルーピング定義テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
図4の(A)は、デバイス30の付加情報の一例と、付加情報の用途の一例とを対応付けて示す図である。「複数のデバイス30(1)〜30(3)の各々の付加情報」は、複数のデバイス30(1)〜30(3)の各々が出力する入力信号が示す情報とは異なる情報である。デバイス30の付加情報は、例えば、デバイス30の保有している「情報量が1ビットよりも大きな情報」であり、以下に示すような内容を含んでいる。すなわち、デバイス30の付加情報は、例えば、「製品形式」、「シリアルNo./ロットNo.」、「接続位置」、「コメント」、「電源電圧値」、「通電時間」、「作動回数」、「交換日」、「ON/OFF閾値」などの情報を含んでいる。
【0166】
「製品形式」は、例えば、交換時などにおいて交換する部品(デバイス30)の特定に利用し、交換ミスを防ぐのに利用される。「シリアルNo./ロットNo.」は、例えば、故障時の特性解析に利用することができ、主にデバイス30の製造メーカへの問い合わせに際して用いられる。「接続位置」は、例えば、「製品形式」と共に部品(デバイス30)の特定に利用し、交換ミスを防ぐのに利用される。「コメント」は、例えば、デバイス30についての利用者による自由なメモであり、利用方法は様々である。例えば、デバイス30の設置場所について「1号機北側ドアのスイッチ」などのメモをデバイス30の「コメント」として記載しておくことにより、備忘録として用いることができる。「電源電圧値」は、例えば、作動時の動作電源電圧で電源の安定度を監視し、警告するのに用いることができる。「通電時間」は、「どれぐらい運転しているか」の指標として用いることができ、例えば、「通電時間」から、デバイス30の交換時期を特定し、通知するのに利用することができる。「作動回数」は、「どれだけON/OFFしたか」を示しており、例えば、「作動回数」から、交換時期を特定し、通知するのに利用することができる。「交換日」は、「いつ交換したか」を示しており、例えば、「交換日」から、次の交換時期を特定し、通知するのに利用することができる。「ON/OFF閾値」は、信号(入力信号)のON/OFFを判断している機器(デバイス30)のアナログデータを示している。例えば、「ON/OFF閾値」から、デバイス30の摩耗具合、汚れ具合を特定し、メンテナンス(交換・掃除等)時期を特定するのに利用することができる。
【0167】
デバイス30の付加情報としては、
図4に例示したものに加えて、デバイス30の設定情報を挙げることができる。例えば、デバイス30が光電センサである場合の設定情報の例としては、「光電センサの備えるハードウェアスイッチによる設定をロックするか否かを規定したキーロック設定」、「光の検出時にON信号を出力するか、光が非検出となったときにON信号を出力するかを規定したLightON/DarkON設定」、および「ON信号またはOFF信号の出力条件を満たした後、ON信号またはOFF信号を出力するまでの待機時間を規定したON(OFF)ディレータイマ設定」等が挙げられる。
【0168】
図4の(B)に例示するグルーピング定義テーブル330には、グルーピング情報が格納されており、グルーピング情報は、デバイス通信ポート200に直列に接続された複数のデバイス30の各々が所属するグループを定義している。
図4に例示するグルーピング定義テーブル330において、デバイス30A(1)〜30A(5)、および、デバイス30B(1)〜30B(5)の各々が所属するグループとして、以下の内容が定義されている。すなわち、デバイス30A(1)〜30A(3)はグループPに、デバイス30A(4)〜30A(5)はグループQに、デバイス30B(1)〜30B(3)はグループSに、デバイス30B(4)〜30B(5)はグループTに、所属することが定義されている。
【0169】
なお、同じグループに所属するデバイス30の中には、入力デバイスとしてのデバイス30と、出力デバイスとしてのデバイス30と、が含まれていてもよい。例えば、グループPに所属するデバイス30A(1)〜30A(3)のうち、デバイス30A(1)〜30A(2)は入力デバイスであり、デバイス30A(3)は出力デバイスであってもよい。また、同じグループに所属するデバイス30が全て、入力デバイスまたは出力デバイスであってもよい。例えば、複数のデバイス30A(1)〜30A(5)のうち、グループPに所属するデバイス30A(1)〜30A(3)は全て入力デバイスであり、グループQに所属するデバイス30A(4)〜30A(5)は全て出力デバイスであってもよい。
【0170】
また、
図4の(B)に例示するグルーピング定義テーブル330において、デバイス通信ポート200に直列に接続された複数のデバイス30は、複数のグループに分けられている。ただし、デバイス通信ポート200に直列に接続された複数のデバイス30が複数のグループに分けられていることは必須ではない。例えば、デバイス30A(1)〜30A(5)、および、デバイス30B(1)〜30B(5)の全てが、同じ一つのグループに所属していてもよい。また、デバイス30A(1)〜30A(5)のうち、デバイス30A(1)〜30A(3)はグループPに、デバイス30A(4)〜30A(5)はグループQに、デバイス30B(1)〜30B(5)は全てグループSに、所属してもよい。
【0171】
(システムにおいて実行される処理のフロー)
図5は、安全制御システム1において実行される処理の一例を示すフローチャートである。これまでに説明してきた中継装置10、安全制御装置20、およびデバイス30を含む安全制御システム1において実行される処理の一例を、
図5を用いて説明しておく。
【0172】
図5に示す例において、中継装置10は、危険発生部位の動作中に、つまり、安全制御装置20による安全制御動作の対象である駆動装置の駆動中(生産中)に、異常(非定常)を検出した(S110)。具体的には、判定部140が、「複数のデバイス30の各々の入力信号」の中に非定常(オフ)を示す入力信号があると判定した。
【0173】
異常(非定常)を検出した中継装置10は、安全制御装置20に、安全制御動作の実行が必要であることを示す信号を通知する(S120)。具体的には、上位通信制御部120は、「非定常(オフ)を示す入力情報」を安全制御装置20に送信する。
【0174】
安全制御装置20は、中継装置10の上位通信制御部120が送信した信号を受信すると(S210)、つまり、「非定常(オフ)を示す入力情報」を受信すると、制御(安全制御動作)を実行する(S220)。安全制御装置20による安全制御動作の実行によって、危険発生部位(つまり、駆動装置)は停止し、例えば、生産がいったん中断される。
【0175】
安全制御動作を実行後、安全制御装置20は、付加情報(特定情報)を要求し(S230)、つまり、付加情報(特定情報)のリクエストを中継装置10に送信する。なお、以下においては、安全制御装置20が特定情報のリクエストを中継装置10に送信した場合の処理を説明していくが、安全制御装置20が付加情報のリクエストを中継装置10に送信した場合の処理もほぼ同様である。
【0176】
中継装置10の上位通信制御部120が特定情報のリクエストを受信すると、中継装置10は特定情報の応答処理を実行する(S130)。具体的には、中継装置10の特定部130は、非定常(オフ)を示す入力信号を出力したデバイス30、および非定常を示す入力信号を出力したデバイス30の所属するグループの少なくとも一方を特定する。そして、特定部130は、特定したデバイス30およびグループの少なくとも一方を上位通信制御部120に通知する。上位通信制御部120は、特定部130によって特定されたデバイス30およびグループの少なくとも一方を示す情報を安全制御装置20に送信する。
【0177】
なお、中継装置10の上位通信制御部120が付加情報のリクエストを受信すると、上位通信制御部120は、以下のようにして取得したデバイス30の付加情報を安全制御装置20に送信する。すなわち、上位通信制御部120は、付加情報テーブル320を参照してデバイス30の付加情報を取得し、または、デバイス通信制御部110にデバイス30の付加情報を受信させてデバイス通信制御部110からデバイス30の付加情報を取得する。
【0178】
安全制御装置20は、付加情報および特定情報の少なくとも一方を中継装置10から受信し(S240)、受信した付加情報および特定情報の少なくとも一方を、自装置で表示し、または自装置に接続されているHMI等に表示させる(S250)。
【0179】
中継装置10は、デバイス通信ポート200に直列に接続された複数のデバイス30の各々が所属するグループを定義したグルーピング定義テーブル330(グルーピング情報)を格納する記憶部300を備え、以下の制御方法を実行する。すなわち、
図5を用いて説明してきたように、中継装置10によって実行される制御方法は、直列に接続された複数のデバイス30の各々とデバイス通信ポート200で通信するデバイス通信制御ステップと、安全制御装置20との通信を制御する上位通信制御ステップと、を含んでいる。
【0180】
デバイス通信制御ステップには、デバイス通信制御部110による、(1)「デバイス30からの付加情報の受信」処理と、(2)「デバイス30からの入力信号の受信」処理と、(3)「デバイス30への出力信号の送信」処理と、が含まれている。
【0181】
上位通信制御ステップには、上位通信制御部120による、(1)「デバイス30の付加情報および特定情報の少なくとも一方の、安全制御装置20への送信」処理(S130)、(2)「入力情報の、安全制御装置20への送信」処理(S120)と、(3)「デバイス30への出力信号の送信」処理と、が含まれている。
【0182】
前記上位通信制御ステップは、前記デバイス通信制御ステップにて受信した複数のデバイス30の各々が保有する付加情報を、安全制御装置20に送信可能であり、中継装置10によって実行される制御方法は、さらに以下の少なくとも一方を実行する。
【0183】
すなわち、(1)前記上位通信制御ステップにて、安全制御装置20から、オンまたはオフを示す1つの出力情報を受信した場合に前記デバイス通信制御ステップにて実行される、或るグループに所属する全てのデバイスへの、オンまたはオフを示す出力信号の送信と、(2)前記デバイス通信制御ステップにて、或るグループに所属するデバイスの各々から、定常または非定常を示す入力信号を受信した場合に前記上位通信制御ステップにて実行される、安全制御装置20への、前記或るグループ全体の定常または非定常を示す1つの入力情報の送信と、の少なくとも一方を実行する。
【0184】
前記の制御方法によれば、デバイス通信ポート200で受信した「複数のデバイス30の各々の付加情報」を安全制御装置20に送信することができ、かつ、以下の少なくとも一方の処理が実行される。すなわち、(1)安全制御装置20から前記出力情報を受信した場合に実行される、或るグループに所属する全てのデバイスに対しての出力信号の送信と、(2)或るグループに所属するデバイスの各々から前記入力信号を受信した場合に実行される、前記或るグループ全体の入力情報の送信と、の少なくとも一方が実行される。
【0185】
ここで、従来のスレーブ装置は、複数の入力デバイスの各々が接続される複数の通信ポートを備え、複数の入力デバイスが前記複数の通信ポートに並列に接続されて、複数のデバイスの各々の付加情報および入力信号を受信していた。したがって、設置する入力デバイスの台数を増やすほど、増やした入力デバイスの台数と同じ数の通信ポートを追加して準備する必要があり、設備投資に係る費用が増大する傾向があった。
【0186】
これに対して、前記の制御方法は、デバイス通信ポート200で、「複数のデバイス30の各々の付加情報および入力信号」を受信する。したがって、前記の制御方法は、「複数のデバイス30の各々の付加情報および入力信号」を受信する通信ポートを中継装置10が1つ備えるだけでよく、通信ポート等のための費用を、前記従来のスレーブ装置の制御方法に比べて抑えることができるという効果を奏する。
【0187】
また、従来のマスタースレーブ制御システムにおいてマスタ装置は、(1)複数のデバイスの各々に対して、オンまたはオフを示す出力信号を送信し、または、(2)複数のデバイスの各々が出力した入力信号を受信していた。
【0188】
これに対して、前記の制御方法においては、(1)安全制御装置20から前記出力情報を受信した場合に実行される、或るグループに所属する全てのデバイスに対しての出力信号の送信と、(2)或るグループに所属するデバイスの各々から前記入力信号を受信した場合に実行される、前記或るグループ全体の入力情報の送信と、の少なくとも一方が実行される。
【0189】
したがって、前記の制御方法は、(1)安全制御装置20が、前記の構成を備えるスレーブ装置に、1つの前記出力情報を送信するだけで、或るグループに所属する全てのデバイスに対して、出力信号を送信することができる。つまり、前記の制御方法は、デバイス30に対する出力信号の送信を効率化し、安全制御装置20が、従来に比べてより高速度で、複数のデバイスに対して所望の処理の実行指示を送信することができるようになるという効果を奏する。
【0190】
また、前記の制御方法は、(2)安全制御装置20が、前記の構成を備えるスレーブ装置から、1つの前記入力情報を受信するだけで、或るグループに所属する全てのデバイスの入力信号の全体に対応する処理を実行することができる。つまり、前記の制御方法は、安全制御装置20による入力信号の受信を効率化し、安全制御装置20に、複数のデバイスの入力信号に対応する処理を、従来に比べてより高速度で実行させることができるという効果を奏する。
【0191】
〔変形例〕
安全制御システム1は、1つの中継装置10と1つの安全制御装置20とが通信を行なうマスタースレーブ制御システムであった。しかしながら、マスタ装置としての安全制御装置20と、スレーブ装置としての中継装置10と、を含むマスタースレーブ制御システムにおいて、1つの中継装置10と1つの安全制御装置20とが通信を行なうことは必須ではない。
【0192】
図6は、マスタ装置としての安全制御装置20と、スレーブ装置としての中継装置10と、を含むマスタースレーブ制御システムについて、安全制御システム1以外の例を示す図である。
図6の(A)に例示する制御システム2は、(1)マスタ装置としての安全制御装置20Aと、安全制御装置20Aにフィールドネットワーク40Aを介して接続されるスレーブ装置としての中継装置10Aと、(2)マスタ装置としての安全制御装置20Bと、安全制御装置20Bにフィールドネットワーク40Bを介して接続されるスレーブ装置としての中継装置10Bと、を含むマスタースレーブ制御システムである。また、
図6の(B)に例示する制御システム3は、(1)マスタ装置としての安全制御装置20Aおよび20Bと、安全制御装置20Aおよび20Bにフィールドネットワーク40を介して接続されるスレーブ装置としての中継装置10と、を含むマスタースレーブ制御システムである。
【0193】
なお、
図6に例示する安全制御装置20Aおよび20Bは、安全制御システム1における安全制御装置20と同様であり、また、フィールドネットワーク40Aおよび40Bは、安全制御システム1におけるフィールドネットワーク40と同様である。さらに、中継装置10Aおよび10Bは、安全制御システム1における中継装置10と同様である。したがって、安全制御装置20Aおよび20B、フィールドネットワーク40Aおよび40B、および、中継装置10Aおよび10Bについて、詳細は略記する。
【0194】
制御システム2において、中継装置10Aは、複数のデバイス30の各々の付加情報を安全制御装置20Aに送信する。中継装置10Bは、複数のデバイス30の各々の入力信号に対応する入力情報を安全制御装置20Bに送信する。中継装置10Bは、安全制御装置20Bからの出力情報に対応する出力信号を複数のデバイス30に送信する。
【0195】
制御システム3において、中継装置10は、複数のデバイス30の各々の付加情報を安全制御装置20Aに送信する。中継装置10は、複数のデバイス30の各々の入力信号に対応する入力情報を安全制御装置20Bに送信する。中継装置10は、安全制御装置20Bからの出力情報に対応する出力信号を複数のデバイス30に送信する。
【0196】
図6に例示するように、スレーブ装置としての中継装置10を含むマスタースレーブ制御システムにおいて、中継装置10と通信するマスタ装置は複数であってもよいし、また、スレーブ装置としての中継装置10を複数含んでいてもよい。デバイス30の出力する付加情報を利用するマスタ装置と、デバイス30の出力する入力信号(より正確には、入力信号に対応する入力情報)を利用するマスタ装置とは、同じ1台のマスタ装置であってもよいし、異なる2台以上のマスタ装置であってもよい。
【0197】
〔付記〕
安全制御装置20は、安全制御装置20によって駆動を制御される駆動装置(生産システム)の動作により人命・人体・生産物が損害を被らないように、駆動装置等に係る危険発生部位のセンシングおよび危険発生部位の制御を行う。そのような目的を実現するための手段として、安全制御装置20は、「非定常」状態(異常)が検出された場合に、駆動装置への動力電源の遮断、および、駆動装置の駆動(動力)の抑制などの安全制御動作を実行する。より具体的には、安全制御装置20は、例えば、危険発生部位について、「異物(人体を含む)、駆動装置の誤動作・故障」などの「非定常」状態(異常)が検出された場合に、安全制御動作を実行する。しかしながら、安全制御装置20の過剰な動作、言い換えれば、必ずしも必須ではない安全制御動作の実行は、生産システムの稼働率、生産性にとってはマイナスに働く傾向がある。
【0198】
ここで、安全制御装置20は以下のような特徴を有している。すなわち、安全制御装置20は、デバイス30(定常/非定常を検出する入力デバイスとしてのデバイス30)自体が故障・誤作動した場合、デバイス30によって「非定常」状態を検出することができない。したがって、安全制御装置20は、確実な安全を担保するために、デバイス30自体の故障・誤作動も「非定常」状態として扱い、安全制御動作を実行する。
【0199】
つまり、安全制御装置20による安全制御動作には、以下に示すジレンマがある。すなわち、安全制御装置20による安全制御動作の実行は、生産システムの稼働率等にとってマイナスに働く傾向があるため、「動力電源の遮断および動力の抑制」が本当に必要な場合にのみ実行したい。しかしながら、デバイス30自体の故障・誤作動など、実際には「動力電源の遮断および動力の抑制」が必須ではない場合であっても、確実な安全を担保するために、安全制御装置20は安全制御動作を実行している。
【0200】
このようなジレンマを解消するために、例えば、以下に示すような対応方法があり得る。すなわち、デバイス30自体の故障・誤動作に基づく安全制御装置20による安全制御動作の実行を防ぐために、例えば、「信頼性の高いデバイス30を使用する」という対応方法が挙げられる。また、デバイス30が急に故障・誤動作しても困らないよう、「故障・誤動作する前にデバイス30を交換する」といった対応方法が検討されている。
【0201】
「故障・誤作動する前にデバイス30を交換する」ための具体的な方法としては、例えば、(1)メーカによる公証値・動作保障を頼りに、交換を計画する方法、および、(2)デバイスの動作回数および動作結果などを基に、故障を事前に予知する方法を挙げることができる。この「(2)デバイス30の動作回数および動作結果などを基に、デバイス30の故障を事前に予知する」ための手法の一つが、「情報化」であり、例えば、デバイス30が出力可能な付加情報等の利用である。
【0202】
具体的には、デバイス30が出力するデータ(例えば、デバイス30の検出信号等の入力信号、および、デバイス30の保有する付加情報などのアナログデータ等)の時間的な変化を把握することによって、予知メンテナンスを実施することが可能となる。例えば、
図7に示すように、デバイス30の出力するデータが示す「バスタブ曲線」を用いて、予知メンテナンスを実施することができる。
【0203】
図7は、デバイス30の出力するデータが示すバスタブ曲線を利用して予知メンテナンスを実施する方法の一例を示す図である。
図7に例示する「デバイス30の出力するデータが示すバスタブ曲線」は、デバイス30の「運転・運用時間」を横軸にとり(運転・運用の開始時間を「0」点とする)、デバイス30の出力する「震動・温度・騒音等のデータ」および「劣化度・故障率」を縦軸にとっている。
図7に示すように、デバイス30のバスタブ曲線において、横軸と平行に、上から故障レベル、メンテナンスレベル、警告レベルを設定しておけば、予知メンテナンスを実施することができるようになる。なお、メンテナンスレベルは「メンテナンスを実行すべきレベル」を示しており、警告レベルは「メンテナンスを実行すべき時期が近付いていることを示すレベル」を示している。
【0204】
中継装置10は、デバイス30の情報化によって、生産システムにおいて故障等の「非定常」状態が発生しやすい装置を特定し、また、危険(異常)等の「非定常」状態が発生しやすい装置を特定し、さらに、それらの装置の特徴等を把握することを可能とする。
【0205】
つまり、中継装置10は、デバイス30等の情報化により、生産システムにおける、(1)ボトルネックの可視化、(2)トラブルシュート性の向上、(3)トラブルの事前予防の3つを実現し、生産システムの稼働率(可動率)および生産性を向上させる。
【0206】
(安全制御装置に係る注記)
安全制御装置20は安全制御機能を有し、非定常を示す入力情報を受信すると安全制御動作を実行する。例えば、安全制御装置20は、非定常を示す入力情報を受信すると、例えば、駆動装置に駆動を停止させる制御動作などの安全制御動作を実行する。
【0207】
ここで、安全制御については、複数のデバイス30の少なくとも1台が「非定常(例えば、危険・異常)」を示す入力信号を出力した時には、安全制御装置20は、例えば駆動装置に駆動を停止させる等の前記安全制御動作を実行する必要がある。つまり、安全制御については、複数のデバイス30の各々が送信する入力信号が「定常」であるか「非定常」であるかを区別する必要まではない。少なくとも1台のデバイス30が「非定常」を示す入力信号を出力した場合には、安全制御装置20は安全制御動作を実行する必要がある。また、全てのデバイス30が「定常」を示す入力信号を出力した場合には、安全制御装置20は安全制御動作を実行する必要がない。
【0208】
例えば、グループPに所属する全ての入力デバイスが「定常」を示す入力信号を出力した場合には、安全制御装置20は、グループPによっては「非定常」は検出されていないことを確認することができる。グループP所属する入力デバイスの少なくとも1つが「非定常」を示す入力信号を出力した場合には、安全制御装置20は、グループPによって「非定常」が検出されたことを確認することができる。
【0209】
中継装置10によって、例えば1台の安全制御装置20が、複数のデバイス30の各々の付加情報を受信することができる。また、中継装置10によって、例えば1台の安全制御装置20が、複数のデバイス30の各々の入力信号の全体によって示される情報に対応する入力情報を受信して、安全制御動作の実行要否を判断することができるようになるという効果を奏する。
【0210】
安全制御システム1において、安全制御装置20は、中継装置10に対する入力情報の要求に対して中継装置10から定常を示す入力情報を受信しない場合、所定の制御動作(例えば、駆動装置に駆動を停止させる等の安全制御動作)を実行する。
【0211】
つまり、安全制御装置20は、中継装置10に対する入力情報の要求に対して、(1)中継装置10から非定常を示す入力情報を受信した場合、前記所定の制御動作を実行する。また、安全制御装置20は、中継装置10に対する入力情報の要求に対して、(2)中継装置10から前記入力情報自体を受信しない場合、前記所定の制御動作を実行する。安全制御装置20は、例えば、中継装置10自体に故障等の事象が発生し、または通信経路に異常等が発生し、前記入力情報の要求に対して中継装置10から前記入力情報自体を受信しない場合、所定の制御動作を実行する。
【0212】
したがって、安全制御システム1は、例えば、安全制御装置20が定常を示す入力情報を受信することによって安全を確認している場合、安全制御装置20が、(1)非定常を示す入力情報を受信した場合、または、(2)前記入力情報自体を受信できず安全が確認できない場合、駆動装置に駆動を停止させる等の所定の制御動作を実行することができるという効果を奏する。
【0213】
図2に示した通り、安全制御装置20は、さらに上位のマスタースレーブ制御システムである上位マスタースレーブ制御システム1000におけるスレーブ装置であってもよい。その場合、安全制御装置20は、上位マスタースレーブ制御システム1000におけるデータ伝送を管理する上位マスタ装置である制御装置90に前記付加情報を送信する。前記の構成によれば、安全制御装置20は、前記さらに上位のマスタースレーブ制御システムにおける制御装置90に前記付加情報を送信することができるという効果を奏する。
【0214】
〔ソフトウェアによる実現例〕
中継装置10は、直列に接続された複数のデバイス30と通信するための通信ケーブルが接続される通信ポートを備えるコンピュータが、「中継装置10として機能させるための情報処理プログラムであって、前記各部として前記コンピュータを機能させるための情報処理プログラム」を読み取って実行することにより実現されてもよい。
【0215】
例えば、中継装置10の制御ブロック(特に、デバイス通信制御部110、上位通信制御部120、特定部130、および判定部140)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0216】
後者の場合、中継装置10は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムおよび各種データがコンピュータ(またはCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)または記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(またはCPU)が上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0217】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。