【実施例】
【0015】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施例について詳細に説明する。かかる実施例に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0016】
図1は、本発明の第1の実施例にかかる車両用ランプ取付構造(ランプ取付構造100)の概要を示す図である。以下、
図1その他の本願のすべての図面において、車両前後方向をそれぞれ矢印F(Forward)、B(Backward)、車幅方向の左右をそれぞれ矢印L(Leftward)、R(Rightward)、車両上下方向をそれぞれ矢印U(upward)、D(downward)で例示する。
【0017】
図1(a)は、ランプ取付構造100を実施した車両を後方から見て示している。本実施例では、ランプ取付構造100は、車両のバックドア104のアウタパネル106に、バックランプ108、110を取り付ける構造として実施している。ガーニッシュ112もバックドア用のものであって、車幅方向両側のバックランプ108、110の周囲を覆うよう車幅方向に延びた形状になっている。なお、ランプ取付構造100の技術的思想は、バックランプ108、110だけでなく、ヘッドランプ等の各種ランプ用としても実施可能である。
【0018】
図1(b)は、
図1(a)の車両右側のバックランプ108付近の拡大図である。バックランプ108、110は同様の構成であるため、以下では車両右側のバックランプ108を例に挙げてランプ取付構造100を説明する。
図1(b)に示すように、バックランプ108は、レンズ114の周囲をガーニッシュ112によって覆われた状態で、アウタパネル106に取り付けられている。レンズ114は、バックランプ108の内部の光源116(
図2(b)参照)から放射される光を透過させ、外部に明かりを送る。
【0019】
図2は、
図1(b)の車両用ランプ取付構造100の分解図である。
図2(a)は、ランプ取付構造100を、車両後方の左上側から見て示している。当該ランプ取付構造100は、バックランプ108およびガーニッシュ112等のアウタパネル106への取り付けやすさ、雨水等に対する止水性能、およびバックランプ108とガーニッシュ112との間の見切り線を精度よく形成することによる美観向上などを図っている。
【0020】
ガーニッシュ112は、主に車両102の装飾を目的とした、車幅方向に長尺な樹脂製の部材である。ガーニッシュ112には、レンズ114を露出させるガーニッシュ開口部118が設けられている。ガーニッシュ112は、レンズ114を露出させた状態でバックランプ108の周囲を覆い、アウタパネル106に取り付けられる。
【0021】
バックランプ108では、レンズ114の全体のうち、中央付近の車幅方向に設けられた長方形の領域120がガーニッシュ開口部118から露出する。レンズ114の周囲の車幅方向右側および車幅方向左側には、フランジ122、124が設けられている。フランジ122、124は、ガーニッシュ112との接続およびアウタパネル106への固定に使用される。フランジ122、124は、後述するハウジング128におけるレンズ114側の部分に形成され、アウタパネル106とガーニッシュ112との間へと延びている(
図6(a)等参照)。
【0022】
バックランプ108とアウタパネル106との間には、パッキン126が備えられる。パッキン126は、バックランプ108とアウタパネル106との間に挟まれ、光源116(
図2(b)参照)の端子やアウタパネル106の内側への雨水等の浸入を防ぐ。
【0023】
パッキン126は、板状であって、中央にバックランプ108のハウジング128(
図2(b)参照)を通過させるパッキン開口部130を有している。パッキン126には、後述する固定部品140a〜140cが貫通する貫通孔129a〜129cも設けられている。さらに、パッキン126のうち、パッキン開口部130と貫通孔129a〜129cとの間には、スリット132が設けられている。スリット132は、線状にパッキン126を切り欠いて設けられていて、パッキン126を変形させやすくさせ、パッキン126の組付け時の寸法誤差を緩衝して止水性能を高める。
【0024】
アウタパネル106には、パネル開口部134が設けられている。パネル開口部134には、パッキン開口部130を通過したハウジング128(
図2(b)参照)が挿入される。アウタパネル106のうち、パネル開口部134の周囲は、バックランプ108の形状等に応じて、外部に露出する面より一段低くなっている(領域136)。パッキン126は、領域136にはまる形状になっている。領域136には、後述する固定部品140a〜140dが貫通する貫通孔137a〜137dも設けられている。
【0025】
図2(b)は、
図2(a)のランプ取付構造100を車両前方の右下側から見て示している。
図2(b)に示すように、バックランプ108には、ハウジング128が設けられている。ハウジング128は、レンズ側からアウタパネル側に膨出した部位であって、内側に光源116を収容している。ハウジング128のアウタパネル106側からは光源116の端子が露出していて、アウタパネル106のパネル開口部134を通じて所定のハーネス等と接続される。
【0026】
ガーニッシュ112のアウタパネル106側には、各部品の固定に使用する固定部品140a〜140eが設けられている。固定部品140a〜140cは、ガーニッシュ112から延び、バックランプ108のフランジ122、124、パッキン126およびアウタパネル106(
図2(a)参照)を貫通してそれらを互いに固定する。固定部品140d、140eは、ガーニッシュ112のアウタパネル106への取付けに使用される。これら固定部品140a〜140eには、本実施形態で採用しているボルトの他、クリップなどの一般的な固定に用いる各種部品を採用することができる。固定部品140a〜140eは、ヘッド側をガーニッシュ112に形成された台座部138a〜138eにはめ込むことで設置される。
【0027】
図3は、
図2(a)のバックランプ108を単独で示した図である。
図3(a)は、レンズ114に正対してバックランプ108を見た図である。フランジ122には、上下の二箇所に、固定部品140a、140b(
図2(b)参照)が貫通する貫通孔142a、142bが設けられている。フランジ124には、下側の一箇所に、固定部品140cが貫通する貫通孔142cが設けられている。
【0028】
フランジ122、124には、後述するガーニッシュ112の係合部156、158が係合する被係合部144、146が設けられている。被係合部144には貫通孔148およびツメ150が含まれていて、被係合部146にも貫通孔152およびツメ154が含まれている。これら被係合部144、146は、バックランプ108のガーニッシュ112への仮留めに使用される。
【0029】
図3(b)は、
図3(a)のバックランプ108を車両上方から見て示した図である。ツメ150、154は、フランジ122、124の車幅方向の端から、ガーニッシュ112に向かって突出するよう設けられている。
【0030】
図2(b)のガーニッシュ112には、バックランプ108の被係合部144、146と係合する係合部156、158が設けられている。係合部156には、ガーニッシュ112からバックランプ側に突出した突起部160と、突起部160の脇に設けられた凹部162とが含まれている。同様に、係合部158にも、ガーニッシュ112からランプ側に突出した突起部164と、突起部164の脇に設けられた凹部166とが含まれている。
【0031】
図4は、
図2(b)のガーニッシュ112を車両前方から見て示した図である。
図4(a)はガーニッシュ112を単独で示している。係合部156、158は、ガーニッシュ開口部118の車幅方向両側に設けられている。その他、ガーニッシュ112の車両前側には、固定部品140a(
図2(b)参照)をはめ込む部位として、ガーニッシュ開口部118の上側に台座部138a、138dが設けられ、ガーニッシュ開口部118の下側に台座部138b、138cが設けられている。
【0032】
図4(b)は、
図4(a)のガーニッシュ112にバックランプ108を仮止めした状態を示した図である。バックランプ108は、貫通孔148、152にガーニッシュ112の突起部160、164を挿入し、ツメ150、154(
図3(b)参照)をガーニッシュ112の凹部162、166に挿し込むことで、ガーニッシュ112に仮留めすることが可能になっている。
【0033】
バックランプ108では、車幅方向内側の貫通孔152に比べて、車幅方向外側の貫通孔148は車幅方向に長手の長円形状に設けられている。この構成によって、貫通孔152をバックランプ108の軸としたときのバックランプ108の回転方向を貫通孔148で規制することになり、バックランプ108の仮留め時の寸法誤差を吸収し、バックランプ108の姿勢を安定させることができる。
【0034】
これらのように、ランプ取付構造100では、ガーニッシュ112の係合部156、158に、バックランプ108の被係合部144、146を係合させることで、バックランプ108をガーニッシュ112に仮留めすることが可能になっている。このように、本実施形態では、アウタパネル106に固定する前に、ガーニッシュ112とバックランプ108とを仮留めによってユニット化することができる。したがって、その後のアウタパネル106への取付け作業が容易になり、労力を減らすことができる。こうした本実施例による作業性の向上は、仮にバックランプ108のアウタパネル106への取付作業と、ガーニッシュ112のアウタパネル106への取付接続とを別個に行う場合に比較すれば、明らかなものである。またガーニッシュ112とバックランプ108とを安定した姿勢で組み付けることができるため、ガーニッシュ開口部118とレンズ114との間の見切り線を精度よく形成し、美観の向上を図ることも可能になる。
【0035】
図5は、
図1(b)の車両用ランプ取付構造100のA−A断面図である。
図5に示すように、ガーニッシュ112およびバックランプ108は、互いに仮留めした後、固定部品140a〜140c(
図2(b)参照)をパッキン126およびアウタパネル106に挿し込み、アウタパネル106の車両前方からナット168を締めることで、パッキン126と共にアウタパネル106に固定される。本実施形態であれば、パッキン126が板状になっていて、貫通孔129a〜129c(
図2(b)参照)に固定部材140a〜140cを貫通させることが可能になっているため、パッキン126をバックランプ108とアウタパネル106との間に簡単に設置することができる。
【0036】
ここで、バックランプ108のフランジ122には、押圧部170、172が設けられている。押圧部170、172は、アウタパネル106側に膨出した部位であって、バックランプ108をガーニッシュ112に仮留めしたときに、被係合部144と係合部156の接触箇所(例えば貫通孔148のガーニッシュ112側の縁)よりもアウタパネル106に接近している。押圧部170、172には、固定部品140a、140bを通す貫通孔142a、142bが設けられている。同様に、フランジ124(
図3(a)参照)にも、押圧部174が設けられて貫通孔142cが設けられている。
【0037】
押圧部170、172は、固定部品140a、140bがアウタパネル106に締結されたときに、パッキン126に面接触し、パッキン126を押圧する。アウタパネル106もまた、貫通孔137a、137bの周囲にガーニッシュ112側に膨出した周辺部139a、139bが設けられている。周辺部139a139bもまた、パッキン126に面接触し、パッキン126を押圧する。これら構成によって、隙間の生じやすい固定部品140a、140bの周囲にてバックランプ108とパッキン126とを広い面積で密着させ、バックランプ108とアウタパネル106との間の止水性能を向上させることができる。
【0038】
また、フランジ122の縁には、ガーニッシュ112に向かって突出する隔壁リブ176が設けられている。
図3(a)に示したように、隔壁リブ176は、押圧部170および被係合部144を区画するように設けられている。また、フランジ124にも、押圧部174および被係合部146を区画するように、隔壁リブ178が設けられている。これら隔壁リブ176等を設けることでフランジ122等の断面二次モーメントは大きくなり、フランジ122等の剛性は向上する。これによって、フランジ122等によってパッキン126をより好適に押圧することが可能になる。また、隔壁リブ176等は、固定部品140a等をフランジ122等に貫通させるときにガイドの役割を果たすため、ガーニッシュ112にバックランプ108を取り付ける際の作業性の向上にもつながる。
【0039】
図6は、
図1(b)の車両用ランプ取付構造100の各断面図である。
図6(a)は、
図1(b)の車両用ランプ取付構造100のB−B断面図である。バックランプ108には、ハウジング128の周囲からアウタパネル106に向かって突出する外周壁180も設けられている。
図3(b)に示すように、外周壁180は、ハウジング128を取り囲むように設けられている。
図6(a)に示すように、外周壁180は、パッキン開口部130の周辺にて、パッキン126を押圧する。この構成によって、パッキン開口部130への浸水をより効率よく防ぎ、バックランプ108とアウタパネル106との間の止水性能をさらに向上させることができる。
【0040】
図6(b)は、
図1(b)の車両用ランプ取付構造100のC−C断面図である。上述したように、本実施形態では、パッキン開口部130の周囲にて外周壁180がパッキン126を押圧し、固定部品140b、140cの周囲にて押圧部172、174がパッキン126を押圧する。これらによって、アウタパネル106とバックランプ108との間にて高い止水性能を発揮可能になっている。
【0041】
外周壁180および押圧部172等は、パッキン126への干渉量を別個に設定することもできる。パッキン126は、封止材としてだけでなく、バックランプ108の振動を防ぐ緩衝材としても役立つため、外周壁180および押圧部172の干渉量を別個に設定して互いに役割を分担させることも可能である。
【0042】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。