(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記後処理装置は、前記所定処理が完了した前記記録媒体を、前記所定処理が完了するまでの前記記録媒体の搬送速度よりも遅い搬送速度で前記後処理装置から排出するように構成される、請求項2に記載の画像形成システム。
前記後処理装置は、前記記録媒体の搬送経路上において前記所定処理が行われる位置よりも上流側に配置され、前記記録媒体の搬送タイミングを調整するためのレジストローラーを含み、
前記第1位置は、前記搬送経路において前記レジストローラーが配置される位置から予め定められた距離だけ下流側に離れた位置であって、
前記第2位置は、前記搬送経路の最も下流側に配置される搬送ローラーが配置される位置から予め定められた距離離れた位置である、請求項4に記載の画像形成システム。
前記記録媒体の先端が前記第1位置に到達したときに当該記録媒体に接する搬送ローラーは、搬送方向に搬送される前記記録媒体から力を受けて前記搬送方向に回転するように構成される、請求項4または5に記載の画像形成システム。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、この技術的思想の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。なお、以下で説明される各実施形態および各変形例は、適宜選択的に組み合わされてもよい。
【0031】
[実施形態1]
図1は、実施形態1に従う画像形成システム100、および関連技術に従う画像形成システム100Xの構成を表す図である。以下、画像形成システム100Xと対比しながら画像形成システム100の制御概要について説明する。
【0032】
(制御概要)
まず、画像形成システム100の制御概要を説明するために画像形成システム100のハードウェア構成の概略について説明する。画像形成システム100の詳細なハードウェア構成は後述される。なお、画像形成システム100のハードウェア構成と画像形成システム100Xのハードウェア構成とは同じである。そのため、画像形成システム100Xのハードウェア構成の説明は繰り返さない。
【0033】
画像形成システム100は、後処理装置1と、画像形成装置110とを有する。後処理装置1は、画像形成装置110に接続可能であって、画像形成装置110によって画像を形成された用紙(記録媒体)に対して所定の後処理(ステープル処理など)を行なう。後処理装置1は、画像形成装置110から電力の供給を受け、駆動する。なお、他の局面において、後処理装置1は、商用電源から直接電力供給を受けるように構成されてもよい。
【0034】
画像形成装置110は、用紙に対して画像を形成および定着させるための画像形成ユニット130を含む。画像形成ユニット130は、用紙に画像を定着するための定着装置132を含む。画像形成ユニット130によって画像を形成および定着された用紙は、搬送経路上を搬送される。この用紙は、本体排出ローラー133によって、後処理装置1の水平搬送部2に搬送される。この用紙は、最終ローラー24によって後処理装置1の処理部本体3に搬送される。画像形成装置110における用紙の搬送速度と、水平搬送部2における用紙の搬送速度とは同じ速度に設定される。
【0035】
処理部本体3に搬送された用紙は、レジストローラー35によって、搬送タイミングを調整された後、後処理装置1内の搬送経路上をさらに搬送される。ある局面において、この用紙は、搬入ローラー45によって中綴じ処理部8に搬送される。
【0036】
図2は、電力不足が生じていない状態の画像形成システム100の生産性(処理可能枚数)について説明するための図である。画像形成システム100の生産性は、主に用紙の搬送速度と、用紙と用紙との間隔(以下、「紙間距離」とも言う)とに依存する。具体的には、用紙の搬送速度が大きいほど、紙間距離が短いほど画像形成システム100の生産性は向上する。
【0037】
図2の横軸は用紙が最終ローラー24を通過してからの経過時間を表し、縦軸は用紙が最終ローラー24を通過してからの移動距離を表す。電力不足が生じていない状態において、画像形成装置110および後処理装置1の水平搬送部2は、300mm/sで用紙を搬送し、後処理装置1の処理部本体3は950mm/sで用紙を搬送する。後処理装置1(処理部本体3)の搬送速度が画像形成装置110の搬送速度より速いのは、後処理装置1において1枚目の用紙の後処理を、2枚目の用紙が後処理位置(例えば、レジストローラー35)に到達するまでに完了させるためである。
【0038】
電力不足が生じていない状態において、1枚目の用紙後端が最終ローラー24を通過してから時間T1経過後に2枚目の用紙先端が最終ローラー24を通過する。つまり、電力不足が生じていない状態の画像形成装置110における紙間距離D1は、時間T1と300mm/sとを乗じた値になる。一例として、電力不足が生じていない状態における画像形成装置110の処理可能枚数(生産性)は、60PPM(Pages Per Minute)に設定される。
【0039】
図3は、処理可能枚数と、定着装置132で必要な電力との相関関係を表す図である。
図3を参照して、処理可能枚数が大きくなるほど、定着装置132で必要な電力(以下、「定着電力」とも言う)が大きくなる。これは、処理可能枚数が大きくなるほど単位時間あたりに定着装置132が用紙によって奪われる熱量が大きくなる一方、定着装置132は用紙に画像を定着するために用紙に所定熱量を加える必要があるためである。
【0040】
次に、電力不足が生じたときの関連技術に従う画像形成システム100Xの処理と、実施形態1に従う画像形成システム100の処理との相違点について説明する。
【0041】
<関連技術に従う画像形成システム100Xの制御概要>
図4は、電力不足が生じたときの関連技術に従う画像形成システム100Xの処理を説明するためのフローチャートである。以下では、画像形成システム100Xの構成に参照符号Xを付して説明する。例えば、画像形成装置110Xは、画像形成システム100Xに含まれる。
【0042】
ステップS410において、画像形成装置110Xは、画像形成システム100Xに電力不足が生じたか否かを判断する。画像形成装置110Xは、電力不足が生じたと判断した場合(ステップS410でYES)、ステップS420の処理を実行する。例えば、後処理装置1Xの後処理機能と、画像形成装置110Xのスキャナー機能とが同時に使用される場合に、画像形成システム100Xに電力不足が生じる。
【0043】
ステップS420において、画像形成装置110Xは、処理可能枚数(生産性)を少なくして定着電力を下げることにより、画像形成システム100Xの電力不足を解消する。
【0044】
より具体的には、画像形成装置110Xは、
図5に示されるように、紙間距離を長くすることにより処理可能枚数を少なくする。つまり、画像形成装置110Xは、1枚目の用紙後端が最終ローラー24を通過してから2枚目の用紙先端が最終ローラー24を通過するまでの時間T2を、上記の時間T1よりも長くする。このとき、画像形成システム100Xは、後処理装置1Xにおける用紙の搬送速度を変更しない。
【0045】
<実施形態に従う画像形成システム100の制御概要>
図6は、電力不足が生じたときの実施形態1に従う画像形成システム100の処理を説明するための図である。電力不足が生じた場合、画像形成装置110は、画像形成装置110Xと同様に、画像形成装置110の処理可能枚数を少なくして定着電力を下げる。さらに、画像形成装置110は、後処理装置1における用紙の搬送速度を下げる。
図6に示される例において、後処理装置1の搬送速度は950mm/sから450mm/sに変更されている。
【0046】
これは、画像形成装置110における処理可能枚数が少なくなったことで、後処理装置1における用紙の搬送速度を下げても、後処理装置1が、2枚目の用紙が後処理位置に到達するまでに1枚目の用紙の後処理を完了できるためである。これにより、実施形態1に従う画像形成システム100は、後処理装置1における消費電力を抑制し得る。
【0047】
図7は、後処理装置1における用紙の搬送速度と、削減電力との相関関係を表す図である。削減電力とは、後処理装置1における用紙の搬送速度を低下した場合に削減できる後処理装置1の消費電力を表す。
図7に示される例において、削減電力は、電力不足が生じていないときの後処理装置1における用紙の搬送速度(950mm/s)を基準として、搬送速度の下げ幅に対する消費電力の削減量を表す。
【0048】
図7に示されるように、後処理装置1における用紙の搬送速度を下げるほど、削減電力が大きくなる。例えば、後処理装置1の搬送速度を950mm/sから450mm/sに変更することで、約60Wの削減電力が生じる。以下に、画像形成システム100の具体的な構成および制御について説明する。
【0049】
(画像形成装置110の構成)
図1を再び参照して、画像形成装置110は、制御装置120と、画像形成ユニット130と、スキャナー140とを有する。制御装置120は、画像形成装置110の各部の動作を制御する。制御装置120のより具体的な構成は後述される。
【0050】
画像形成ユニット130は、電子写真方式に従い用紙に画像を形成する。画像形成ユニット130は、例えば用紙カセット131に格納される用紙を1枚ずつ搬送路に送り出し、順次搬送される用紙に画像を形成する。画像形成ユニット130は、定着装置132の定着ローラー134によって、形成された画像を用紙に定着する。定着装置132は、定着ローラー134の温度を測定するための温度センサー136をさらに含む。
【0051】
画像が定着された形成された用紙は、本体排出ローラー133により、画像形成装置110から画像形成装置110の上部に設けられた排紙トレイ135に向けて送出される。
【0052】
スキャナー140は、スキャナー140の所定の位置に配置された原稿を撮像装置などにより読み取り、画像データとして出力する。スキャナー140は、例えば、ADF(Auto Document Feeder)により原稿を搬送しながらその原稿を読み取る。他の局面において、スキャナー140は、画像形成装置110の上面に設けられた原稿台上に載置された原稿をラインセンサで走査して、その原稿を読み取る。
【0053】
図8は、画像形成システム100の電気的な構成を表すブロック図である。
図8を参照して、画像形成装置110はさらに、入力装置111と、通信I/F(インターフェイス)117と、電源装置150とを有する。
【0054】
制御装置120は、CPU(Central Processing Unit)121と、ROM(Read Only Memory)123と、RAM(Random Access Memory)125と、HDD(Hard Disk Drive)127と、ネットワーク制御装置129とを有する。制御装置120は、入力装置111、通信I/F117、画像形成ユニット130、およびスキャナー140が接続されるシステムバスに接続されている。これにより、制御装置120と画像形成装置110の各部とが、信号を送受可能に接続されている。
【0055】
HDD127は、ネットワーク制御装置129を介して外部から送られたジョブのデータや、スキャナー140で読み取った画像データなどを記憶する。また、HDD127は、画像形成装置110の設定情報と、画像形成装置110の種々の動作を行なうためのプログラム127aと、相関テーブル127bとを記憶している。また、HDD127は、1以上のクライアント端末から送信された複数のジョブを記憶する。
【0056】
図9は、相関テーブル127bのデータ構造の一例を表す図である。相関テーブル127bは、温度差と、画像形成装置110における処理可能枚数(生産性)と、画像形成装置110における紙間時間と、後処理装置1における用紙の搬送速度とを互いに関連付けて保持する。温度差は、予め設定された目標温度Taから温度センサー136により測定された定着ローラー134の温度Tsを差し引いた値である。紙間時間は、紙間距離を画像形成装置110における用紙の搬送速度で除した値である。つまり、1枚目の用紙の後端が画像形成装置110の所定位置を通過してから2枚目の用紙の後端が当該所定位置を通過するまでに要する時間である。画像形成装置110における用紙の搬送速度が固定値である場合、紙間時間は、紙間距離に比例する。そのため、ある局面において、相関テーブル127bは、画像形成装置110における紙間距離と、後処理装置1における用紙の搬送速度との対応関係を表す。
【0057】
図8を再び参照して、ネットワーク制御装置129は、例えば、NIC(Network Interface Card)などのハードウェアと、所定の通信プロトコルで通信を行なうソフトウェアとが組み合わされて構成されている。ネットワーク制御装置129は、画像形成装置110をLAN(Local Area Network)などの外部ネットワークに接続する。これにより、画像形成装置110は、外部ネットワークに接続されている外部装置と通信できる。画像形成装置110は、外部ネットワークを介して、印刷ジョブを受信したり、スキャナー140で読み取った画像データを外部装置に送信する。なお、ネットワーク制御装置129は、無線通信により外部ネットワークに接続可能に構成されていてもよい。
【0058】
CPU121は、ROM123、RAM125、またはHDD127などに記憶されたプログラム127aを読み込んで実行することにより、画像形成装置110の各部の動作を制御する。CPU121は、入力装置111から入力される操作信号、または外部装置から入力される操作コマンドに応じて予め定められた処理を実行する。
【0059】
ROM123は、例えばフラッシュROM(Flash Memory)である。ROM123は、画像形成装置110の動作設定などを格納している。ROM123は、書換え不可能なものであってもよい。
【0060】
RAM125は、CPU121のメインメモリとして機能する。RAM125は、CPU121がプログラム127aを実行するときに必要なデータを一時的に記憶する。
【0061】
入力装置111は、画像形成装置110の筐体に、ユーザにより操作可能に配置される。入力装置111は、複数の操作ボタンおよび表示パネル113を含む。表示パネル113は、例えば、タッチパネルを備えたLCD(Liquid Crystal Display)である。
【0062】
表示パネル113は、CPU121により制御されて表示を行なう。入力装置111は、操作ボタンや表示パネル113がユーザにより操作されると、その操作に応じた操作信号または所定のコマンドをCPU121に送信する。
【0063】
通信I/F117は、例えば、ケーブルやコネクタなどを介して、後処理装置1に設けられている通信I/F17に接続可能に構成されている。通信I/F117は、ハードウェアと、後処理装置1と所定の通信プロトコルで通信を行なうためのソフトウェアとが組み合わされて構成されている。通信I/F117が通信I/F17に接続されることにより、画像形成装置110は、後処理装置1と連動して動作する。
【0064】
電源装置150は、画像形成装置110を構成する各種デバイスと、後処理装置1とに電力を供給する。電源装置150は電流センサー151を含む。電流センサー151は、電源装置に流れる電流値を測定し、測定結果をシステムバスを介して制御部120に出力する。
【0065】
以上説明した画像形成装置110は、例えば、スキャナー機能、複写機能、プリンタ機能、ファクシミリ機などを備えたMFP(Multi Function Peripheral)である。複写機能は、読み取った原稿を用紙(記録媒体)に印刷する機能である。プリンタ機能は、ネットワーク制御装置129を介して外部装置から受信した印刷指示に基づいて用紙に印刷を行なう機能である。ファクシミリ機能は、外部のファクシミリ装置などからファクシミリデータを受信してそれをHDD127などに蓄積する機能である。
【0066】
(後処理装置1の構成)
図1を再び参照して、後処理装置1は、水平搬送部2と、処理部本体3と、用紙トレイ4と、冊子トレイ5と、制御装置10とを有している。処理部本体3は、穿孔処理を行なう穿孔処理部6と、平綴じのステープル処理を行なうステープル処理部7と、中綴じ処理を行なう中綴じ処理部8とを含む。
【0067】
水平搬送部2は、画像形成装置110の本体排出ローラー133から送出される用紙を後処理装置1内に導入し、後段の処理部本体3に搬送する。処理部本体3は、搬送される用紙に対して、穿孔処理、仕分け処理、ステープル処理、折り処理などの後処理を行い、用紙トレイ4または冊子トレイ5に排出する。穿孔処理とは、例えば、各用紙の所定の箇所に穴をあける処理である。仕分け処理とは、例えば、複数枚の用紙を、部毎に異なる位置または異なるトレイにまとめて、各部の区別が付きやすいようにして排出する処理である。ステープル処理とは、複数枚の用紙について、まとめてステープルで綴じる処理などである。折り処理とは、用紙を2つ折りまたは3つ折りに折り曲げる処理などである。ステープル処理部7で後処理が行われた用紙は、用紙トレイ4に排出される。中綴じ処理部8で後処理が行われた用紙は、冊子トレイ5に排出される。
【0068】
制御装置10は、後処理装置1の各部の動作を制御する。制御装置10の詳細は後述される。
【0069】
図8を参照して、後処理装置1はさらに、通信I/F17と、駆動ユニット19とを有する。制御装置10は、CPU11と、ROM13と、RAM15とを有している。制御装置10と、通信I/F17と、駆動ユニット19とは、共にシステムバスに接続され、互いに通信可能である。なお、後述の各種センサーなどもシステムバスに接続されており、制御装置10と通信可能である。
【0070】
ROM13は、例えばフラッシュROMである。ROM13は、後処理装置1の動作設定と、後処理装置1が種々の動作を行なうためのプログラム13aとを記憶している。
【0071】
RAM15は、CPU11のメインメモリとして機能する。RAM15は、CPU11がプログラム13aを実行するときに必要なデータを一時的に記憶する。
【0072】
CPU11は、ROM13に記憶されたプログラム13aを実行することにより、後処理装置1の種々の動作を制御する。CPU11は、所定の処理を行なうことにより、ROM13からのデータの読み込みや、ROM13へのデータの書き込みを行なう。なお、ROM13は、書換え不可能なものであってもよい。
【0073】
駆動ユニット19は、後処理装置1の各部を動作させるモーターや、その動作のための情報を取得するセンサーなどを含む。具体的には、例えば、駆動ユニット19は、穿孔ユニット37や、ステープルユニット72や、その他の駆動モーターなどを含んでいる。駆動ユニット19は、制御装置10の指示に基づいて動作し、水平搬送部2や処理部本体3などを駆動させ、用紙の搬送や後処理を行なう。
【0074】
穿孔ユニット37は、パルスモーター39により駆動される。穿孔ユニット37は、穿孔処理部6の用紙の搬送方向に直交する方向に移動できる。穿孔ユニット37は、紙端検知センサー38を含む。紙端検知センサー38は、穿孔処理部6に搬送された用紙の端部を検知する。すなわち、穿孔ユニット37が用紙の搬送方向に直交する方向に移動している場合において、紙端検知センサー38に用紙の端部が近接すると、紙端検知センサー38により用紙が検出される。そうすると、制御装置10は、そのときの穿孔ユニット37の位置に基づいて、用紙の端部の位置に対応する端部情報を取得する。
【0075】
ステープル処理ユニット72は、パルスモーター77により駆動される。ステープル処理ユニット72は、ステープル処理部7に搬送された用紙の搬送方向に直交する方向に移動できる。ステープル処理ユニット72は、紙端検知センサー73を含む。紙端検知センサー73は、処理トレイ70に位置する用紙の端部を検知する。すなわち、ステープル処理ユニット72が用紙の搬送方向に直交する方向に移動している場合において、紙端検知センサー73に用紙の端部が近接すると、紙端検知センサー73により用紙が検出される。そうすると、制御装置10は、そのときのステープル処理ユニット72の位置に基づいて、用紙の端部の位置に対応する端部情報を取得する。
【0076】
通信I/F17は、画像形成装置110の通信I/F117に接続可能である。通信I/F17は、通信I/F117に接続するために用いられるケーブルやコネクタなどを接続可能なハードウェアと、画像形成装置110と所定の通信プロトコルで通信を行なうためのソフトウェアとが組み合わされて構成されている。
【0077】
通信I/F17が通信I/F117に接続された状態で、制御装置10は、画像形成装置110の制御装置120と通信可能である。制御装置120は、画像形成装置110の動作状況を表す情報を制御装置10に送信する。動作状況を表す情報は、例えば、後処理情報や用紙情報を含む。後処理情報は、実行される後処理についての情報である。用紙情報は、用紙の厚さ、用紙の種類、および1回の後処理毎に処理対象となる用紙の枚数などの情報を含む。
【0078】
制御装置10は、制御装置120から送信される情報を受信して、それに応じて駆動ユニット19を駆動させ、後処理装置1の各部の動作を制御する。また、制御装置10は、後処理装置1の動作状況などについての情報を制御装置120に送信する。これにより、画像形成装置110と後処理装置1とが連動する。例えば、制御装置120は、後処理装置1で適切に後処理が行われるように、複数枚の用紙の画像形成タイミングを変更するなどし、適切な間隔で用紙が後処理装置1に搬送されるように制御する。
【0079】
なお、制御装置10は、画像形成装置110の入力装置111などで入力された指示や画像形成装置110に接続された外部機器から送られた指示などに基づいて動作可能である。続いて、
図10を用いて後処理装置1のより詳細な構成を説明する。
【0080】
図10は、後処理装置1の構成を表す側面図である。水平搬送部2は、用紙の搬送路である水平搬送路21と、3つの搬送ローラー22,23,24と、用紙を検出するセンサー25,26とを有している。
【0081】
水平搬送路21は、搬入口2aから排出口2bまで用紙を略水平に結ぶように配置されている。3つの搬送ローラー22,23,24は、水平搬送路21の上流側(搬入口2a側)から順に水平搬送路21に沿って設けられている。3つの搬送ローラー22,23,24のうち最も下流側に位置する搬送ローラー24を最終ローラー24とも言う。画像形成装置110の本体排出ローラー133から排出された用紙は、搬入口2aから水平搬送部2の内部に導入される。導入された用紙は、搬送ローラー22,23,24によって処理部本体3へ送られる。
【0082】
処理部本体3は、用紙の搬送路として、第1搬送路31と、第2搬送路32と、第3搬送路33とを有している。第1搬送路31は、処理部本体3の上部に設けられた用紙の搬入口3aから第2搬送路32の始点までを略水平に結ぶように配置されている。
【0083】
第2搬送路32は、第1搬送路31の終点から用紙トレイ4までを略水平に結ぶように配置されている。第2搬送路32のうち第1搬送路31に接続されている部位(上流側)の近傍は、スイッチバックポイント34となる。第3搬送路33は、第1搬送路31の終点から、処理部本体3の下部に配置された中綴じ処理部8まで、用紙を搬送するように配置されている。すなわち、第3搬送路33は、スイッチバックポイント34から処理部本体3への下部までの用紙の搬送路となる。
【0084】
第1搬送路31には、その上流側から、レジストセンサー35aと、レジストローラー35と、中間ローラー36と、穿孔ユニット37とが設けられている。レジストセンサー35aは、第1搬送路31に搬送された用紙を検知する。レジストローラー35は、搬送された用紙の搬送タイミングを整え、所定のタイミングで搬送を再度開始する。穿孔ユニット37は、搬送される用紙の所定の箇所に穴をあける(穿孔処理を行なう)。中間ローラー36は、用紙を第2搬送路32に搬送する。
【0085】
スイッチバックポイント34には、スイッチバックセンサー40が設けられている。第2搬送路32には、スイッチバックセンサー40の他、その上流側から、収容センサー41と、収容ローラー42とが設けられている。第2搬送路32の下流端部すなわち用紙トレイ4側には、排出ローラー43が設けられている。スイッチバックセンサー40および収容センサー41は、それぞれ、搬送される用紙の有無などを検知する。収容ローラー42は、正転および逆転可能であって、用紙を用紙トレイ4に搬送したり、逆方向に搬送したりできる。収容ローラー42が逆転されると、第2搬送路32の用紙は第3搬送路33に搬送される。排出ローラー43は、その一対のローラーを接触させたり離間させたりすることで、用紙の排出/非排出を制御する。ある局面において、制御部10は、用紙先端の位置が排出ローラー43(排出口)から上流側に所定距離(例えば10mm)離れた位置に到達すると、用紙の搬送速度を減速する。これにより、後処理装置1は、用紙が勢いよく飛び出すことを抑制する。
【0086】
ステープル処理部7は、第2搬送路32の近傍に配置されている。ステープル処理部7は、上端部が排出ローラー43に近接するように傾いた処理トレイ70と、処理トレイ70に沿うように配置された収容ベルト71と、処理トレイ70の下端部に位置するステープル処理ユニット72とを有している。処理トレイ70の上端側近傍部の上方には、収容上パドル78が配置されている。処理トレイ70の下端部近傍部の上方には、収容下パドル79が設けられている。
【0087】
第3搬送路33には、上流側(スイッチバックポイント34側)から、スイッチバックローラー44と、搬入ローラー45と、サドル搬入センサー46とが設けられている。第3搬送路33のうちサドル搬入センサー46よりも下流側の部位は、中綴じ処理部8の内部に位置している。ある局面において、収容ローラー42が逆回転することによって第2搬送路32に位置する用紙が第3搬送路33に導入される。スイッチバックローラー44は、用紙を第3搬送路33に沿って搬送する。搬入ローラー45は、用紙を中綴じ処理部8に搬送する。サドル搬入センサー46は、中綴じ処理部8に搬送される用紙を検知する。ある局面において制御部10は、用紙後端が搬入ローラー45から上流側に所定距離(例えば10mm)離れた位置に到達すると、用紙の搬送速度を減速する。これにより、後処理装置1は、用紙が勢いよくサドルに搬入することを抑制する。
【0088】
中綴じ処理部8には、第3搬送路33に沿うように、中綴じトレイ80が配置されている。中綴じトレイ80付近には、中綴じステープラー83や折りナイフ86などが設けられている。中綴じ処理部8には、折りナイフ86に対向するように、一対の折りローラー90が配置されている。
【0089】
(後処理)
後処理装置1における後処理は、制御装置10の制御に基づいて行われる。制御装置10は、画像形成装置110の入力装置111等を介したユーザからの指示入力内容に応じて、適宜、指定された後処理を実行する。
【0090】
後処理装置1は、画像形成装置110から1枚ずつ送出される用紙を順次搬送して、処理トレイ70または中綴じトレイ80に積載する。後処理装置1は用紙の搬送中に、ユーザからの指示入力内容に応じて、穿孔処理部6による穿孔処理を行なう。ステープル処理部7または中綴じ処理部8は、処理トレイ70,80に積載された複数枚の用紙の束毎に後処理を行った後、その用紙を排出する。
【0091】
穿孔処理部6は、搬送される用紙毎に、後処理位置またはその近傍位置において、穿孔ユニット37により用紙に穿孔を行なう。穿孔された用紙は、他の後処理内容に応じて、処理トレイ70,80に搬送されたり、処理部本体3から排出されたりする。
【0092】
ステープル処理部7は、搬送される用紙を1枚ずつ処理トレイ70に重ね、所定の枚数の用紙をステープル処理ユニット72で平綴じする。より具体的には、ステープル処理部7は、用紙後端が収容ローラー42を通過すると、収容上パドル78、収容下パドル79、収容ベルト71を駆動し、用紙を処理トレイ70に積載する。平綴じされた用紙は、用紙トレイ4上に排出される。次に、実施形態1に従う画像形成システム100の具体的な処理について説明する。
【0093】
(制御構造)
図11は、実施形態1に従う画像形成装置110の印刷処理を表すフローチャートである。
図11に示される各処理は、制御装置120のCPU121が、プログラム127aを読み込んで実行することにより実現される。
【0094】
ステップS1105において、CPU121は、入力装置111またはネットワーク制御装置129を介して印刷指示(印刷ジョブ)の入力を受け付ける。
【0095】
ステップS1110において、CPU121は、印刷指示の入力に応じて定着ローラー134の加熱を開始する。
【0096】
ステップS1115において、CPU121は、温度センサー136により測定された定着ローラー134の温度Tsが目標温度Ta以上になったか否かを判断する。CPU121は、温度Tsが目標温度Ta以上になったと判断した場合(ステップS1115でYES)、ステップS1120の処理を実行する。
【0097】
ステップS1120において、CPU121は、画像形成ユニット130による用紙の搬送、および画像形成動作を開始する。CPU121はさらに、後処理装置1に対して駆動指示を送信する。後処理装置1の制御装置10は、駆動指示の受信に応じて、駆動ユニット19に含まれる各種モーターの駆動を開始する。
【0098】
ステップS1125において、CPU121は、余剰電力があるか否かを判断する。より具体的には、CPU121は、電流センサー151により測定される電源装置150に流れる電流値に基づいて、画像形成システム100(画像形成装置110および後処理装置1)で消費している消費電力Peを算出する。CPU121はさらに、予め定められた設定消費電力Ptから消費電力Peを差し引いた余剰電力Pfを算出する。CPU121は、余剰電力Pfが0より大きい場合(ステップS1125でYES)、当該余剰電力Pfを定着装置132に供給する(ステップS1130)。一方、CPU121は、余剰電力Pfが0以下である場合(ステップS1125でNO)、ステップS1135の処理を実行する。
【0099】
ステップS1135において、CPU121は、目標温度Taから定着ローラー134の温度Tsを差し引いた温度差が10℃以上であるか否かを判断する。CPU121は、温度差が10℃以上であると判断した場合、ステップS1140の処理を実行する。そうでない場合(ステップS1135でNO)、CPU121は、ステップS1170の処理を実行する。
【0100】
ステップS1140において、CPU121は、目標温度Taから定着ローラー134の温度Tsを差し引いた温度差が20℃より大きいか否かを判断する。CPU121は、温度が20℃より大きいと判断した場合、ステップS1145の処理を実行する。そうでない場合(ステップS1145でNO)、CPU121は、ステップS1155の処理を実行する。
【0101】
ステップS1145において、CPU121は、HDD127に格納される相関テーブル127bを参照して、ステップS1140で算出した温度差に対応するように画像形成装置110の処理可能枚数を、60PPMから50PPMに下げる。より具体的には、CPU121は、相関テーブル127bを参照して、紙間時間を0.28sから0.40sに変更する。その結果、画像形成ユニット130内のレジストローラー(不図示)は、1枚目の用紙の後端が通過してから設定された紙間時間経過後に、2枚目の用紙の先端を通過させる。つまり、CPU121は、紙間時間を変更することにより紙間距離を変更する。これにより、紙間距離が長くなって、画像形成装置110の処理可能枚数が少なくなる。
【0102】
画像形成装置110の処理可能枚数が少なくなると、定着ローラー134が単位時間あたりに用紙に奪われる熱量が少なくなる。そのため、画像形成装置110の処理可能枚数が少なくなると、定着ローラー134の温度Tsが目標温度Taに近づく。
【0103】
ステップS1150において、CPU121は、後処理装置1が単位時間あたりに処理可能な枚数(後処理装置1の処理可能枚数)を60PPMから50PPMに下げる指示を後処理装置1の制御装置10に送信する。より具体的には、CPU121は、相関テーブル127bを参照して、ステップS1145で変更された紙間時間に対応する搬送速度の情報を、通信I/F117を介して後処理装置1に送信する。
【0104】
後処理装置1の制御装置10は、画像形成装置110から受信した搬送速度の情報に基づいて、用紙の搬送速度を950mm/sから650mm/sに変更する。その結果、後処理装置1における消費電力が削減される。
【0105】
ステップS1155において、CPU121は、相関テーブル127bを参照して、ステップS1140で算出した温度差に対応するように画像形成装置110の処理可能枚数を、60PPMから53PPMに下げる。より具体的には、CPU121は、相関テーブル127bを参照して、紙間時間を0.28sから0.45sに変更する。
【0106】
ステップS1160において、CPU121は、後処理装置1の処理可能枚数を60PPMから53PPMに下げる指示を後処理装置1の制御装置10に送信する。より具体的には、CPU121は、相関テーブル127bを参照して、ステップS1145で変更された紙間時間に対応する搬送速度の情報を、通信I/F117を介して後処理装置1に送信する。
【0107】
後処理装置1の制御装置10は、画像形成装置110から受信した搬送速度の情報に基づいて、用紙の搬送速度を950mm/sから550mm/sに変更する。
【0108】
ステップS1170において、CPU121は、入力された印刷指示(入力ジョブ)に対応する印刷を終了したか否かを判断する。CPU121は、印刷を終了したと判断した場合、一連の処理を終了する。そうでない場合(ステップS1170でNO)、CPU121は、ステップS1125の処理を再び実行する。
【0109】
上記によれば、実施形態1に従う画像形成システム100は、画像形成装置110の処理可能枚数が少なくなるように紙間時間(紙間距離)を変更する場合に、後処理装置1の処理可能枚数が少なくなるように後処理装置1における用紙の搬送速度を下げる。その結果、画像形成システム100は、後処理装置1における消費電力を削減できる。したがって、実施形態1に従う画像形成システム100は、関連技術に従う画像形成システム100Xに比して低消費電力を実現し得る。
【0110】
近年、1つのコンセント(商用電源)で必要な消費電力を賄うことができる画像形成システムのニーズが高まってきている。実施形態1に従う画像形成システム100は、システム全体の消費電力を抑制できるため、このニーズを満たし得る。
【0111】
さらに、画像形成システム100は、後処理装置1における消費電力を削減した分の電力(削減電力)を定着装置132に供給するように構成されている。これにより、画像形成システム100は、関連技術に従う画像形成システム100に比して、処理可能枚数を増やすことができる。この効果について
図12を用いてより詳しく説明する。
【0112】
図12は、実施形態1に従う画像形成システム100と関連技術に従う画像形成システム100Xとを比較するための図である。ある局面において、画像形成システム100および100Xにおいて定着装置に供給する電力が140W不足しているとする。
【0113】
係る場合、関連技術に従う画像形成システム100Xは、画像形成装置110の処理可能枚数を15PPM減らすことにより、定着装置に供給する電力を140W不足している状態でも画像を用紙に定着できるように制御する(定着電力を140W削減する)。このとき、画像形成システム100Xは、後処理装置1Xにおける用紙の搬送速度を変更しない(つまり、後処理装置1の処理可能枚数を変更しない)。
【0114】
一方、実施形態1に従う画像形成システム100は、画像形成装置110の処理可能枚数を10PPM減らすことにより、定着装置132の定着電力を80W削減する。また、画像形成システム100は、後処理装置1における用紙の搬送速度を500mm/s下げることにより、後処理装置1の消費電力を60W削減する。このように実施形態1に従う画像形成システム100は、電力の不足分を、画像形成装置110と後処理装置1とで賄う。そのため、
図12に示されるように、実施形態1に従う画像形成システム100の処理可能枚数は、関連技術に従う画像形成システム100の処理可能枚数よりも多くなる。
【0115】
処理可能枚数が多くなると、画像形成システム100を構成する複数のモーターが空転している時間が短くなる。そのため、実施形態1に従う画像形成システム100の使用可能期間は、関連技術に従う画像形成システム100Xの使用可能期間よりも長くなる。さらに、モーターの空転時間が短くなることに起因して、画像形成システム100の消費電力は、画像形成システム100Xの消費電力よりも小さくなる。
【0116】
なお、
図11の例において、CPU121(制御装置120)は、画像形成装置110の処理可能枚数と、後処理装置1の処理可能枚数とが同じ値になるように設定しているが、他の局面においてこれらは異なる値になってもよい。より具体的には、CPU121は、画像形成装置110の処理可能枚数が少なくなるように画像形成装置110における紙間時間(紙間距離)を長くした場合に、後処理装置1の処理可能枚数が少なくなるように後処理装置1における用紙の搬送速度を下げればよい。これにより、画像形成システム100は、少なくとも後処理装置1における消費電力を削減できるためである。
【0117】
ある局面において、CPU121は、後処理装置1の処理可能枚数が画像形成装置110の処理可能枚数以上になるように、後処理装置1における用紙の搬送速度を変更する。これにより、後処理装置1における紙詰まりが抑制される。
【0118】
ある局面において、CPU121は、1枚目の用紙の後処理(穿孔処理、ステープル処理、中綴じ処理など)が完了(例えば、穿孔処理の場合は用紙に対する穿孔が終わったタイミング)した後に、1枚目の用紙に続く2枚目の用紙がレジストローラー35に到達するように、後処理装置1における用紙の搬送速度を設定する。これにより、画像形成システム100は、後処理装置1(および画像形成システム100)の処理可能枚数の低下を抑制し得る。
【0119】
また、
図11の上記の例において、画像形成システム100(相関テーブル127b)は、定着ローラー134の温度Tsと目標温度Taとの差分温度を10℃毎に区切って、画像形成装置110および後処理装置1の処理可能枚数を設定している。他の局面において、相関テーブル127bは、より細かい差分温度毎(例えば、2℃毎)に区切って、画像形成装置110および後処理装置1の処理可能枚数を設定してもよい。これにより、画像形成システム100は、処理可能枚数のより細やかな制御を実現できる。
【0120】
さらに他の局面において、画像形成システム100は、相関テーブル127bに替えて、差分温度と画像形成装置110における紙間時間との相関関係を表す関係式と、差分温度と後処理装置1における用紙の搬送速度との相関関係を表す関係式とをHDD127に格納してもよい。この場合、CPU121は、差分温度を算出後、これら関係式に基づいて画像形成装置110における紙間時間と、後処理装置1における用紙の搬送速度とを算出する。これにより、画像形成システム100は、処理可能枚数のより細やかな制御を実現できる。
【0121】
(後処理装置1における用紙の搬送速度が変更される領域)
ステップS1150またはS1160により後処理装置1における用紙の搬送速度が変更された場合、後処理装置1は、全搬送経路における用紙の搬送速度を変更するのではなく、一部の搬送経路における用紙の搬送速度を変更するように構成される。
【0122】
ある局面において、後処理装置1は、用紙に対する後処理(例えば、ステープル処理、中綴じ処理)が完了するまで、画像形成装置110から受信した搬送速度(以下、「指定搬送速度」とも言う)で当該用紙を搬送する。後処理装置1は、所定処理が完了した用紙を、指定搬送速度よりも遅い搬送速度で後処理装置1から排出する。これにより、後処理装置1は、用紙が勢いよく後処理装置1から排出することを抑制する。
【0123】
他の局面において、後処理装置1は、用紙の先端が後処理装置1の搬送経路の第1位置に到達してから、用紙の後端が第1位置よりも搬送経路上の下流側の第2位置に到達するまで、指定搬送速度で当該用紙を搬送する。
【0124】
第1位置は、例えば、後処理装置1の搬送経路においてレジストローラー35が配置される位置から下流側に所定距離(例えば10mm)離れた位置に設定される。この場合、後処理装置1の制御装置10は、センサー26により用紙の先端を検知してから所定時間経過後に、用紙の先端が第1位置に到達したと判断する。この所定時間は、用紙が第1位置に到達するまでの用紙の搬送速度と、センサー26から第1位置までの距離とに基づいて決定される。
【0125】
第1位置が上記の例の場合、用紙の先端が第1位置に到達したときに、用紙は搬送ローラー22と搬送ローラー23とに接触している。この状態で、後処理装置1は、用紙の搬送速度を指定搬送速度に変更する。上述の通り、画像形成装置110における用紙の搬送速度よりも、指定搬送速度の方が速い。そのため、これらの搬送ローラー22および23は、搬送方向に搬送される用紙から力を受けて搬送方向に回転するように構成される。これにより、搬送ローラー22および23は、用紙の搬送を妨げない。一例として、搬送ローラー22および23は、フリーホイール(ワンウェイクラッチ)、トルクリミッターなどの構成を有する。
【0126】
第2位置は、例えば、後処理装置1の搬送経路において最も下流側に配置される排出ローラー43または折りローラーが配置される位置から上流側に所定距離(例えば10mm)離れた位置に設定される。この場合、後処理装置1の制御装置10は、収容センサー41またはサドル搬入センサー46により用紙の後端を検知してから所定時間経過後に、用紙の先端が第1位置を通過したと判断する。この所定時間は、指定搬送速度と、センサーから第2位置までの距離とに基づいて決定される。
【0127】
(後処理を行なわない場合)
上述の通り、通常、後処理装置1における用紙の搬送速度は、画像形成装置110における搬送速度以上に設定される。その理由は、後処理装置1において1枚目の用紙の後処理を、2枚目の用紙が後処理位置に到達するまでに完了させるためである。
【0128】
しかしながら、ある局面において、後処理装置1が用紙に対して後処理を行なわない場合もあり得る。係る場合、後処理装置1における用紙の搬送速度は、画像形成装置110における用紙の最大搬送速度以下に設定される。
【0129】
より具体的には、CPU121は、印刷指示(印刷ジョブ)の入力を受け付けた場合に、当該印刷指示が後処理の実行指示を含むか否かを判断する。CPU121は、印刷指示が後処理の実行指示を含まない場合、画像形成装置110における用紙の最大搬送速度以下の搬送速度の情報を後処理装置1に送信する。後処理装置1の制御装置10は、画像形成装置110から受信した情報に基づいて用紙の搬送速度を設定する。これにより、画像形成システム100は、後処理装置1の消費電力を一層削減し得る。
【0130】
(小括)
以上に開示された技術的特徴は以下のように要約される。
【0131】
画像形成装置110と、画像形成装置110に接続可能であって、画像形成装置110によって画像を形成された記録媒体(用紙)に対して所定の後処理を行なう後処理装置1とを備える画像形成システム100が提供される。画像形成装置110は、記録媒体に画像を形成および定着させるための画像形成ユニット130と、画像形成ユニット130の処理可能枚数に関する画像形成ユニットの第1パラメータと、後処理装置1の処理可能枚数に関する後処理装置1の第2パラメータとを制御するための制御装置120と、第2パラメータを後処理装置1に送信するための通信I/F117とを含む。後処理装置1は、画像形成装置110から受信した第2パラメータに従い動作する。制御装置120は、画像形成装置110の処理可能枚数が少なくなるように第1パラメータを変更する場合に、後処理装置1の処理可能枚数が少なくなるように第2パラメータを変更する。
【0132】
例えば、第1パラメータは、画像形成装置110における紙間距離、紙間時間、用紙の搬送速度、用紙を検知可能なセンサー(例えば、画像形成ユニット130内に設けられるレジストセンサー(図示しない))が用紙の先端を検知してから当該用紙の後端を検知するまでの時間を含む。例えば、第2パラメータは、後処理装置1における紙間距離、紙間時間、用紙の搬送速度、用紙を検知可能なセンサ(例えば、レジストセンサー35a)が用紙の先端を検知してから当該用紙の後端を検知するまでの時間、後処理に要する時間を含む。
【0133】
なお、上記の例において、画像形成装置110が第1および第2パラメータの変更を制御するように構成されている。他の局面において、画像形成装置110と通信可能な外部装置(例えば、サーバー)が、第1および第2パラメータの変更を制御するように構成されていてもよい。係る場合、画像形成システム100は、外部装置に動作情報(例えば、現在実行している印刷動作を表す情報、温度センサー136の測定結果等の情報を含む)を送信する。外部装置は、受信した動作情報に基づいて第1および第2パラメータを決定し、その情報を画像形成システム100に送信する。
【0134】
[実施形態2]
実施形態2に従う画像形成システムは、定着装置(定着ローラー)に蓄えられている熱量(以下、「蓄熱量」とも言う)に応じて、画像形成装置の処理可能枚数(生産性)を変更する。その理由は、定着装置に供給する電力を削減した場合の定着ローラーの温度Tsの落ち込み度合は、定着装置の蓄熱量に依存するためである。より具体的には、定着装置の蓄熱量が多いほど、定着装置に供給する電力を削減した場合の定着ローラーの温度Tsの落ち込み度合は小さい。そのため、定着装置の蓄熱量が多い場合は、画像形成装置の処理可能枚数を大幅に下げなくとも、定着装置は用紙に対して画像を定着するための十分な熱量を加えることができる。以下、実施形態2に従う画像系システムの構成および制御について説明する。
【0135】
図13は、実施形態2に従う画像形成システム100Aの構成を説明するための図である。実施形態2に従う画像形成システム100Aの構成と、上述の実施形態1に従う画像形成システム100の構成とは略同じである。そのため、以下では相違する構成についてのみ説明する。
【0136】
ある局面において、画像形成装置110AのCPU121は、プログラム127aを読み込んで実行することにより、推定部121aとして機能する。
【0137】
推定部121aは、定着ローラーの蓄熱量を推定する。一例として、推定部121aは、定着ローラー134を加熱するヒーター(図示しない)の通電(オン)時間に基づいて、蓄熱量を推定する。通常、ヒーターの通電時間が長いほど、蓄熱量は多くなるためである。
【0138】
他の例として、推定部121aは、定着ローラーの内部(例えば回転軸の中心)の温度を測定する温度センサー(定着ローラー134の表面温度を測定する温度センサー136とは別の温度センサー)(図示しない)の測定結果に基づいて、蓄熱量を推定する。
【0139】
HDD127は、相関テーブル127bに加え、相関テーブル127cをさらに格納している。相関テーブル127cは、定着ローラー134の蓄熱量が予め定められた熱量以上である場合に用いられるテーブルである。ある局面において、CPU121(推定部121a)は、定着ローラー134を加熱するヒーターの通電時間が予め定められた時間(例えば30分)以上である場合に、定着ローラー134の蓄熱量が予め定められた熱量以上であると判断する。他の局面において、CPU121は、定着ローラー134の内部の温度が予め定められた温度以上である場合に、定着ローラー134の蓄熱量が予め定められた熱量以上であると判断する。
【0140】
図14は、相関テーブル127cのデータ構造の一例を表す図である。相関テーブル127cは、
図9に示される相関テーブル127bと比べて、温度差に対する画像形成装置の処理可能枚数が多く、後処理装置1における用紙の搬送速度が高い。例えば、温度差が10℃以上20℃未満である場合、相関テーブル127cに設定される画像形成装置の処理可能枚数は60PPM(つまり、温度差が10℃未満のときの処理可能枚数から変更なし)であるのに対し、相関テーブル127bに設定される画像形成装置の処理可能枚数は53PPMである。
【0141】
上記によれば、実施形態2に従う画像形成システム100Aは、定着ローラー134の蓄熱量が多い場合に相関テーブル127cを用いることにより、実施形態1に従う画像形成システム100よりも高い生産性(多い処理可能枚数)を実現し得る。その結果、実施形態2に従う画像形成システム100Aは、モーターの空転時間を減らすことができるため、実施形態1に従う画像形成システム100よりも低消費電力を実現し得る。
【0142】
[実施形態3]
実施形態3に従う画像形成システムは、画像形成装置が設置される環境の温度(以下、「環境温度」とも言う)に応じて、画像形成装置の処理可能枚数を変更する。その理由は、定着装置に供給する電力を削減した場合の定着ローラーの温度Tsの落ち込み度合は、環境温度に依存するためである。より具体的には、環境温度が低い場合、定着装置に供給する電力の削減量に対する定着ローラーの温度Tsの落ち込み度合が大きい。そのため、実施形態3に従う画像形成システムは、環境温度が低い場合、画像形成装置(および後処理装置)の処理可能枚数を大幅に下げることで、用紙に画像を定着するために必要な定着ローラーの熱量を確保する。以下、実施形態3に従う画像系システムの構成および制御について説明する。
【0143】
図15は、実施形態3に従う画像形成システム100Bの構成を説明するための図である。実施形態3に従う画像形成システム100Bの構成と、上述の実施形態1に従う画像形成システム100の構成とは略同じである。そのため、以下では相違する構成についてのみ説明する。
【0144】
ある局面において、画像形成装置110Bは、温度センサー160をさらに有する。温度センサー160は、画像形成装置110Bが設置される環境の温度を測定する。温度センサー160は、画像形成装置110Bの筐体内部の温度を測定してもよいし、画像形成装置110Bの筐体外部の温度を測定してもよい。温度センサー160は、測定結果を制御装置120に出力する。
【0145】
HDD127は、相関テーブル127bに加え、低温用相関テーブル127dをさらに格納している。低温用相関テーブル127dは、環境温度が予め定められた温度(例えば、10℃)以下である場合に用いられるテーブルである。
【0146】
図16は、低温用相関テーブル127dのデータ構造の一例を表す図である。低温用相関テーブル127dは、
図9に示される相関テーブル127bと比べて、温度差に対する画像形成装置の処理可能枚数が少なく、後処理装置1における用紙の搬送速度が遅い。例えば、温度差が10℃以上20℃未満である場合、低温用相関テーブル127dに設定される画像形成装置の処理可能枚数は46PPMであるのに対し、相関テーブル127bに設定される画像形成装置の処理可能枚数は53PPMである。
【0147】
上記によれば、実施形態3に従う画像形成システム100Bは、環境温度が低い場合に低温用相関テーブル127dを用いることにより、用紙に対する画像の定着不良を抑制し得る。
【0148】
なお、他の局面において、画像形成装置110Bは、高温用相関テーブルをHDD127に格納していてもよい。高温用相関テーブルが保持するデータ項目は、相関テーブル127bが保持するデータ項目とは同じである。高温用相関テーブルは、相関テーブル127bと比べて、温度差に対する画像形成装置の処理可能枚数が高く、後処理装置1における用紙の搬送速度が速い。CPU121は、環境温度が予め定められた温度(例えば30℃)以上である場合に、高温用相関テーブルを使用して、画像形成装置110Bの処理可能枚数および後処理装置1の搬送速度を設定する。これにより、実施形態3に従う画像形成システム100Bは、実施形態1に従う画像形成システム100よりも高い生産性(多い処理可能枚数)を実現し得る。その結果、実施形態3に従う画像形成システム100Bは、モーターの空転時間を減らすことができるため、実施形態1に従う画像形成システム100よりも低消費電力を実現し得る。
【0149】
上記説明した各種処理は、CPU121(制御装置120)またはCPU11(制御装置10)によって実現されるものとしてあるが、これに限られない。これらの各種機能は、少なくとも1つのプロセッサのような半導体集積回路、少なくとも1つの特定用途向け集積回路ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、少なくとも1つのDSP(Digital Signal Processor)、少なくとも1つのFPGA(Field Programmable Gate Array)、および/またはその他の演算機能を有する回路によって実装され得る。
【0150】
これらの回路は、有形の読取可能な少なくとも1つの媒体から、1以上の命令を読み出すことにより上記の各種処理を実行しうる。
【0151】
このような媒体は、磁気媒体(たとえば、ハードディスク)、光学媒体(例えば、コンパクトディスク(CD)、DVD)、揮発性メモリ、不揮発性メモリの任意のタイプのメモリなどの形態をとるが、これらの形態に限定されるものではない。
【0152】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。