(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の変換手段は、前記正反射方向の測色値の明度値が予め設定された閾値以上の場合、得られる表示値の明度が、前記正面方向の測色値の明度よりもより高くなるように、前記第1の変換手段により変換された複数の測色値を、表示装置上において前記目標色画像を表示するための表示値に変換する、
請求項2記載の画像処理装置。
光輝性色材を含む複数の色材の色材量を、当該複数の色材を用いて印刷した目標色画像に斜め方向から光を照射した場合に、前記目標色画像の法線方向である正面方向において測色された場合の測色値、および照射光に対する正反射方向において測色された場合の測色値を含む複数の測色値に変換する第1の変換手段と、
前記正反射方向の測色値の明度値が大きいほど、得られる表示値の明度が正面方向の測色値の明度よりも大きくなるように、前記第1の変換手段により変換された正面方向の測色値を、表示装置上において前記目標色画像を表示するための表示値に変換する第2の変換手段と、
を備えた画像処理装置。
光輝性色材を含む複数の色材の色材量を、当該複数の色材を用いて印刷した目標色画像を複数方向から測色した場合に得られる複数の測色値に変換する第1の変換ステップと、
前記第1の変換ステップにおいて変換された複数の測色値を、表示装置上において前記目標色画像を表示するための表示値に変換する第2の変換ステップと、
をコンピュータに実行させる際に、
前記第2の変換ステップでは、
測色方向および各色の表示値の組み合わせと、表示装置上で実際に測色された測色値とが対応付けられた表示装置用色変換モデルを記憶しておき、
前記第1の変換ステップにおいて変換された各測色方向の測色値と、前記表示装置用色変換モデルから得られる各測色方向の測色値とのそれぞれの色差の加重平均値が最小となるような表示値を決定し、
前記複数の測色値が、目標色画像に斜め方向から光を照射した場合に、前記目標色画像の法線方向である正面方向において測色された場合の測色値、および照射光に対する正反射方向において測色された場合の測色値を含み、
前記第2の変換ステップでは、
正反射方向の測色値の明度値が予め設定された閾値以上の場合に、正反射方向の測色値の重み付けが他の測色方向の測色値よりも相対的に大きくなるような重み付け係数を設定する重み付け係数設定手段により設定された重み付け係数を用いて、各測色方向における色差の加重平均値を算出する、
プログラム。
光輝性色材を含む複数の色材の色材量を、当該複数の色材を用いて印刷した目標色画像を複数方向から測色した場合に得られる複数の測色値に変換する第1の変換ステップと、
前記第1の変換ステップにおいて変換された複数の測色値を、表示装置上において前記目標色画像を表示するための表示値に変換する第2の変換ステップと、
をコンピュータに実行させる際に、
前記複数の測色値が、目標色画像に斜め方向から光を照射した場合に、前記目標色画像の法線方向である正面方向において測色された場合の測色値、および照射光に対する正反射方向において測色された場合の測色値を含み、
前記第2の変換ステップでは、前記正反射方向の測色値の明度値が大きいほど、得られる表示値の明度が、前記正面方向の測色値の明度よりもより高くなるように、前記第1の変換ステップにおいて変換された複数の測色値を、表示装置上において前記目標色画像を表示するための表示値に変換する、
プログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、光輝性色材を含む複数の色材の色材量により印刷される目標色画像を表示装置上に表示させる際に、単一方向からの測色値を用いて目標画像を表示するための表示値を算出する場合と比較して、表示される目標色画像の色再現性を高くすることが可能な画像処理装置、情報処理装置およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[画像処理装置]
請求項1に係る本発明は、光輝性色材を含む複数の色材の色材量を、当該複数の色材を用いて印刷した目標色画像を複数方向から測色した場合に得られる複数の測色値に変換する第1の変換手段と、
前記第1の変換手段により変換された複数の測色値を、表示装置上において前記目標色画像を表示するための表示値に変換する第2の変換手段とを備え
、
前記第2の変換手段は、
測色方向および各色の表示値の組み合わせと、表示装置上で実際に測色された測色値とが対応付けられた表示装置用色変換モデルが記憶された記憶手段を有し、
前記第1の変換手段により変換された各測色方向の測色値と、前記表示装置用色変換モデルから得られる各測色方向の測色値とのそれぞれの色差の加重平均値が最小となるような表示値を決定し、
前記複数の測色値が、目標色画像に斜め方向から光を照射した場合に、前記目標色画像の法線方向である正面方向において測色された場合の測色値、および照射光に対する正反射方向において測色された場合の測色値を含み、
前記第2の変換手段は、
正反射方向の測色値の明度値が予め設定された閾値以上の場合に、正反射方向の測色値の重み付けが他の測色方向の測色値よりも相対的に大きくなるような重み付け係数を設定する重み付け係数設定手段をさらに有し、
前記重み付け係数設定手段により設定された重み付け係数を用いて、各測色方向における色差の加重平均値を算出する画像処理装置である。
【0009】
請求項
2に係る本発明は、
光輝性色材を含む複数の色材の色材量を、当該複数の色材を用いて印刷した目標色画像を複数方向から測色した場合に得られる複数の測色値に変換する第1の変換手段と、
前記第1の変換手段により変換された複数の測色値を、表示装置上において前記目標色画像を表示するための表示値に変換する第2の変換手段とを備え、
前記複数の測色値が、目標色画像に斜め方向から光を照射した場合に、前記目標色画像の法線方向である正面方向において測色された場合の測色値、および照射光に対する正反射方向において測色された場合の測色値を含み、
前記第2の変換手段は、前記正反射方向の測色値の明度値が大きいほど、得られる表示値の明度が、前記正面方向の測色値の明度よりもより高くなるように、前記第1の変換手段により変換された複数の測色値を、表示装置上において前記目標色画像を表示するための表示値に変換
する画像処理装置である。
【0010】
請求項
3に係る本発明は、前記第2の変換手段が、前記正反射方向の測色値の明度値が予め設定された閾値以上の場合、得られる表示値の明度が、前記正面方向の測色値の明度よりもより高くなるように、前記第1の変換手段により変換された複数の測色値を、表示装置上において前記目標色画像を表示するための表示値に変換する請求項
2記載の画像処理装置である。
【0011】
請求項
4に係る本発明は、前記閾値が白紙の明度値である請求項
1または3記載の画像処理装置である。
【0012】
請求項
5に係る本発明は、前記複数の測色値が、前記正面方向よりも照射光の入射方向に近い側の拡散光方向において測色された場合の測色値をさらに含む請求項1から
4のいずれか記載の画像処理装置である。
【0013】
請求項
6に係る本発明は、前記
第1の変換手段が、測色方向および各色の色材の色材量の組み合わせと、印刷装置による実際の印刷結果において測色された測色値とが対応付けられた印刷装置用色変換モデルを用いることにより、前記光輝性色材を含む複数の色材の色材量を、当該複数の色材を用いて印刷した場合の目標色画像を複数方向から測色した場合に得られる複数の測色値に変換する請求項1から
5のいずれか記載の画像処理装置。
【0014】
請求項
7に係る本発明は、光輝性色材を含む複数の色材の色材量を、当該複数の色材を用いて印刷した目標色画像に斜め方向から光を照射した場合に、前記目標色画像の法線方向である正面方向において測色された場合の測色値、および照射光に対する正反射方向において測色された場合の測色値を含む複数の測色値に変換する第1の変換手段と、
前記正反射方向の測色値の明度値が大きいほど、得られる表示値の明度が正面方向の測色値の明度よりも大きくなるように、前記第1の変換手段により変換された正面方向の測色値を、表示装置上において前記目標色画像を表示するための表示値に変換する第2の変換手段とを備えた画像処理装置である。
【0015】
請求項
8に係る本発明は、前記光輝性色材が、金属光沢色トナーである請求項1から
7のいずれか記載の画像処理装置である。
【0016】
[情報処理装置]
請求項
9に係る本発明は、指示された表示値に基づいて画像を表示する表示装置と、
光輝性色材を含む複数の色材の色材量を、当該複数の色材を用いて印刷した目標色画像を複数方向から測色した場合に得られる複数の測色値に変換する第1の変換手段と、
前記第1の変換手段により変換された複数の測色値を、前記表示装置上において前記目標色画像を表示するための表示値に変換する第2の変換手段と、
前記第2の変換手段により変換された表示値に基づいて前記目標色画像を前記表示装置に表示するよう制御する表示制御手段とを備え
、
前記第2の変換手段は、
測色方向および各色の表示値の組み合わせと、表示装置上で実際に測色された測色値とが対応付けられた表示装置用色変換モデルが記憶された記憶手段を有し、
前記第1の変換手段により変換された各測色方向の測色値と、前記表示装置用色変換モデルから得られる各測色方向の測色値とのそれぞれの色差の加重平均値が最小となるような表示値を決定し、
前記複数の測色値が、目標色画像に斜め方向から光を照射した場合に、前記目標色画像の法線方向である正面方向において測色された場合の測色値、および照射光に対する正反射方向において測色された場合の測色値を含み、
前記第2の変換手段は、
正反射方向の測色値の明度値が予め設定された閾値以上の場合に、正反射方向の測色値の重み付けが他の測色方向の測色値よりも相対的に大きくなるような重み付け係数を設定する重み付け係数設定手段をさらに有し、
前記重み付け係数設定手段により設定された重み付け係数を用いて、各測色方向における色差の加重平均値を算出する情報処理装置である。
請求項10に係る本発明は、指示された表示値に基づいて画像を表示する表示装置と、
光輝性色材を含む複数の色材の色材量を、当該複数の色材を用いて印刷した目標色画像を複数方向から測色した場合に得られる複数の測色値に変換する第1の変換手段と、
前記第1の変換手段により変換された複数の測色値を、前記表示装置上において前記目標色画像を表示するための表示値に変換する第2の変換手段と、
前記第2の変換手段により変換された表示値に基づいて前記目標色画像を前記表示装置に表示するよう制御する表示制御手段とを備え、
前記複数の測色値が、目標色画像に斜め方向から光を照射した場合に、前記目標色画像の法線方向である正面方向において測色された場合の測色値、および照射光に対する正反射方向において測色された場合の測色値を含み、
前記第2の変換手段は、前記正反射方向の測色値の明度値が大きいほど、得られる表示値の明度が、前記正面方向の測色値の明度よりもより高くなるように、前記第1の変換手段により変換された複数の測色値を、表示装置上において前記目標色画像を表示するための表示値に変換する情報処理装置である。
【0017】
[プログラム]
請求項
11に係る本発明は、光輝性色材を含む複数の色材の色材量を、当該複数の色材を用いて印刷した目標色画像を複数方向から測色した場合に得られる複数の測色値に変換する第1の変換ステップと、
前記第1の変換ステップにおいて変換された複数の測色値を、表示装置上において前記目標色画像を表示するための表示値に変換する第2の変換ステップとをコンピュータに実行させる
際に、
前記第2の変換ステップでは、
測色方向および各色の表示値の組み合わせと、表示装置上で実際に測色された測色値とが対応付けられた表示装置用色変換モデルを記憶しておき、
前記第1の変換ステップにおいて変換された各測色方向の測色値と、前記表示装置用色変換モデルから得られる各測色方向の測色値とのそれぞれの色差の加重平均値が最小となるような表示値を決定し、
前記複数の測色値が、目標色画像に斜め方向から光を照射した場合に、前記目標色画像の法線方向である正面方向において測色された場合の測色値、および照射光に対する正反射方向において測色された場合の測色値を含み、
前記第2の変換ステップでは、
正反射方向の測色値の明度値が予め設定された閾値以上の場合に、正反射方向の測色値の重み付けが他の測色方向の測色値よりも相対的に大きくなるような重み付け係数を設定する重み付け係数設定手段により設定された重み付け係数を用いて、各測色方向における色差の加重平均値を算出するプログラムである。
請求項12に係る本発明は、光輝性色材を含む複数の色材の色材量を、当該複数の色材を用いて印刷した目標色画像を複数方向から測色した場合に得られる複数の測色値に変換する第1の変換ステップと、
前記第1の変換ステップにおいて変換された複数の測色値を、表示装置上において前記目標色画像を表示するための表示値に変換する第2の変換ステップとをコンピュータに実行させる際に、
前記複数の測色値が、目標色画像に斜め方向から光を照射した場合に、前記目標色画像の法線方向である正面方向において測色された場合の測色値、および照射光に対する正反射方向において測色された場合の測色値を含み、
前記第2の変換ステップでは、前記正反射方向の測色値の明度値が大きいほど、得られる表示値の明度が、前記正面方向の測色値の明度よりもより高くなるように、前記第1の変換ステップにおいて変換された複数の測色値を、表示装置上において前記目標色画像を表示するための表示値に変換するプログラムである。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係る本発明によれば、光輝性色材を含む複数の色材の色材量により印刷される目標色画像を表示装置上に表示させる際に、単一方向からの測色値を用いて目標画像を表示するための表示値を算出する場合と比較して、表示される目標色画像の色再現性を高くすることが可能な画像処理装置を提供することができる。
【0021】
請求項
2に係る本発明によれば、正反射方向の明度が高い光輝性の強い目標色画像を表示装置上に表示させる場合に、表示される目標色画像の全体的な印象を色見本に近づけることが可能な画像処理装置を提供することができる。
【0022】
請求項
3に係る本発明によれば、正反射方向の明度が高い光輝性の強い目標色画像を表示装置上に表示させる場合に、表示される目標色画像の全体的な印象を色見本に近づけることが可能な画像処理装置を提供することができる。
【0023】
請求項
4に係る本発明によれば、正反射方向の明度が白紙の明度よりも大きな光輝性の強い目標色画像を表示装置上に表示させる場合に、表示される目標色画像の全体的な印象を色見本に近づけることが可能な画像処理装置を提供することができる。
【0024】
請求項
5に係る本発明によれば、表示装置上に表示される目標色画像の全体的な印象をより色見本に近づけることが可能な画像処理装置を提供することができる。
【0025】
請求項
6に係る本発明によれば、光輝性色材を含む複数の色材の色材量により印刷される目標色画像を表示装置上に表示させる際に、単一方向からの測色値を用いて目標画像を表示するための表示値を算出する場合と比較して、表示される目標色画像の色再現性を高くすることが可能な画像処理装置を提供することができる。
【0026】
請求項
7に係る本発明によれば、正反射方向の明度が高い光輝性の強い目標色画像を表示装置上に表示させる場合に、簡易的な構成により、表示される目標色画像の全体的な印象を色見本に近づけることが可能な画像処理装置を提供することができる。
【0027】
請求項
8に係る本発明によれば、金属光沢色トナーを含む複数のトナーのトナー量により印刷される目標色画像を表示装置上に表示させる際に、単一方向からの測色値を用いて目標画像を表示するための表示値を算出する場合と比較して、表示される目標色画像の色再現性を高くすることが可能な画像処理装置を提供することができる。
【0028】
請求項
9、10に係る本発明によれば、光輝性色材を含む複数の色材の色材量により印刷される目標色画像を表示装置上に表示させる際に、単一方向からの測色値を用いて目標画像を表示するための表示値を算出する場合と比較して、表示される目標色画像の色再現性を高くすることが可能な情報処理装置を提供することができる。
【0029】
請求項
11、12に係る本発明によれば、光輝性色材を含む複数の色材の色材量により印刷される目標色画像を表示装置上に表示させる際に、単一方向からの測色値を用いて目標画像を表示するための表示値を算出する場合と比較して、表示される目標色画像の色再現性を高くすることが可能なプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0032】
[第1の実施形態]
図1は本発明の第1の実施形態の印刷システムの構成を示す図である。
【0033】
本実施形態の印刷システムは、
図1に示されるように、画像形成装置10と、情報処理装置である端末装置20とがネットワークにより接続された構成となっている。
【0034】
本実施形態の画像形成装置10は、
図1に示されるように、業務用印刷に用いられるいわゆるプロダクションプリンタであり、高画質、高速な印刷処理を実行できるような機能を有している。
【0035】
この画像形成装置10の本体部内の構造を
図2を参照して説明する。画像形成装置10は、
図2に示されるように、5つの画像形成ユニット24を備えている。この5つの画像形成ユニット24は、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)および特別色のトナーを用いて画像形成するように構成されている。
【0036】
なお、特別色のトナーには、銀色のシルバートナー(Si)、金色のゴールドトナー(G)、透明トナー、白色トナー等が存在し、この特別色のトナーの中から1つのトナーを選択して使用することが可能になっている。
図2では、これらの特別色のトナーの中から、シルバートナー(Si)を選択してセットした場合が示されている。
【0037】
なお、本実施形態では、シルバートナー、ゴールドトナー等の光輝性(光沢性)を有するメタリック(金属光沢色)トナーを用いて画像を形成する場合において、メタリックトナーを含む各色のトナー量(色材量)を決定する場合について説明するものであるが、以下の説明ではシルバートナーを用いて画像を形成する場合を用いて説明する。
【0038】
ここで、トナー量とは、記録媒体上の単位面積当たりに使用されるトナーの量、例えばトナー重量(g/m
2)を意味するが、以下の説明では、単位面積、例えば1ピクセル当たり使用する各色トナーの量の最大値を100%とした場合の、印刷する際に使用する各色のトナー量の割合を%で示した値(トナーカバレッジ)で表現する。
【0039】
画像形成ユニット24は、それぞれ、感光体ドラム、感光体ドラムの表面を一様に帯電する帯電装置、感光体ドラム上に形成された静電潜像を現像する現像装置等を有している。画像形成ユニット24の感光体ドラムは、それぞれ、光走査装置26により照射されたレーザ光により静電潜像が形成され、各色のトナーにより現像されて画像が形成される。
【0040】
そして、画像形成ユニット24において形成された各色の画像は、中間転写ベルト22に転写された後に搬送されてきた印刷用紙上にさらに転写される。そして、印刷用紙上に転写されたトナー像は定着器28により熱と圧力により印刷用紙上に定着される。
【0041】
このようにして、光輝性を有するSiトナーを含むCMYKSiトナーを用いて画像を形成することにより、視認する方向により色味、明るさ等が変化する画像が形成される。
【0042】
しかし、CMYKSiトナーにより画像を形成する前に、形成される画像の色味を確認したい場合がある。例えば、これからCMYKSiトナーを用いて形成される画像をシミュレーションして端末装置20のような情報処理装置のモニタ上に表示させたい場合がある。
【0043】
しかし、モニタ等の表示装置ではRGB等の表示値によりそれぞれの画素の色が決定され、見る方向により色味や明るさ等が変化することはほとんど無い。
【0044】
そのため、モニタ等の表示装置上で表示された画像を、CMYKSiトナーを用いて画像形成装置10により印刷した場合、印刷される画像と表示装置上の画像とでは目視の印象が大きく異なる場合がある。
【0045】
特に、表示装置上の画像を表示させるためのRGB値を、光輝性を有する画像を単一方向から測色した場合の測色値に基づいて変換して生成した場合、表示装置上に表示される画像の色味および明るさは、単一方向から見た場合の明るさや色味と近づけることができるが、他の方向から見た場合の明るさや色味を再現することはできない。
【0046】
特に光輝性を有する画像は、正反射方向から見た場合に明度が高くなるため、そのような光輝性を有する画像の単一方向から見た場合の色味や明るさを表示装置上で再現した場合、実際の画像よりも暗い印象となってしまう。
【0047】
そのため、本実施形態の端末装置20は、画像形成装置10において印刷しようとするCMYKSi値をRGB値に変換してモニタ等の表示装置上で表示する場合に、表示される画像の印象をより実際に印刷される画像に近づけることにより表示される画像の色再現性を高くするような処理を実現するものである。
【0048】
次に、このような処理を実行する本実施形態の端末装置20のハードウェア構成を
図3に示す。
【0049】
端末装置20は、
図3に示されるように、CPU11、メモリ12、ハードディスクドライブ(HDD)等の記憶装置13、ネットワークを介して外部の装置等との間でデータの送信及び受信を行う通信インタフェース(IF)14、タッチパネル又は液晶ディスプレイ並びにキーボードを含むユーザインタフェース(UI)装置15を有する。これらの構成要素は、制御バス16を介して互いに接続されている。
【0050】
CPU11は、メモリ12または記憶装置13に格納された制御プログラムに基づいて所定の処理を実行して、端末装置20の動作を制御する。なお、本実施形態では、CPU11は、メモリ12または記憶装置13内に格納された制御プログラムを読み出して実行するものとして説明したが、当該プログラムをCD−ROM等の記憶媒体に格納してCPU11に提供することも可能である。
【0051】
図4は、上記の制御プログラムが実行されることにより実現される端末装置20の機能構成を示すブロック図である。
【0052】
本実施形態の端末装置20は、
図4に示されるように、画像処理装置40と、表示装置43とを備えている。そして、画像処理装置40は、測色値変換部41と、表示値変換部42とから構成されている。
【0053】
表示装置43は、指示されRGB値に基づいて画像を表示するための装置である。
【0054】
画像処理装置40は、画像形成装置10から取得したCMYKSi値(トナー量)をRGB値に変換して、表示装置43上において表示する処理を行う。
【0055】
例えば、画像処理装置40は、
図5に示すように、特色の色見本画像を印刷するためのCMYKSi値を画像形成装置10から取得してRGB値に変換することにより、この色見本画像に基づく目標色画像を表示装置43上に表示させるような処理を行う。
【0056】
なお、特色の色見本画像としては、例えば、PANTONE(登録商標)社などから提供されているメタリック色の各種の色見本画像が用いられる。
【0057】
測色値変換部41は、光輝性色材であるシルバートナーSiを含む複数のトナーのトナー量CMYKSi値を、この複数のトナーを用いて印刷した目標色画像を複数方向から測色した場合に得られる複数の測色値に変換する。
【0058】
具体的には、測色値変換部41は、入力されたCMYKSi値を、そのCMYKSi値に基づいて印刷された目標色画像を、3つの測色方向(15°、45°、110°)から測色した場合に得られる3つの測色値L*a*b*(15°)、L*a*b*(45°)、L*a*b*(110°)に変換する。
【0059】
そして、表示値変換部42は、測色値変換部41により変換された3つの測色方向の測色値L*a*b*(15°)、L*a*b*(45°)、L*a*b*(110°)を、表示装置43上において目標色画像を表示するための表示値であるRGB値に変換する。
【0060】
なお、測色値変換部41により測色値が生成される測色方向の詳細について
図6を参照して説明する。
【0061】
図6は、メタリック色の色見本のような見る方向で色味が変化するような画像を測色する際の様子を説明するための図である。
【0062】
図6では、測定対象画像50を3角度の測色方向(15°、45°、110)から測色する場合の様子が示されている。具体的には、光源52からの照射光を目標対象画像50に対して斜め45°方向から照射して、正反射方向を0°(基準方向)とした場合に、15°、45°、110°方向において測色装置54により測色する様子が示されている。
【0063】
なお、
図6において45°方向は、測定対象画像50の正面方向(法線方向)となっている。また、15°方向は測定対象画像50の正反射光を測色するための正反射方向となっている。なお、正反射光を測色するための正反射方向を0°方向とせずに、15°ずらしているのは、0°方向において測色したのでは正反射光が直接測色装置54に入射されてしまい、測定対象の色味が測色できないからである。
【0064】
そして、
図6では、110°方向を測定対象画像50からの拡散光を測色するための拡散光方向として設定している。
【0065】
なお、本実施形態では、測色値変換部41は、入力されたCMYKSi値を、3つの測色方向から測色した場合の測色値に変換しているが、少なくとも2方向、例えば、正面方向(45°)と、正反射方向(15°)からの測色値に変換するような場合でも本発明は同様に適用可能である。
【0066】
次に、この測色値変換部41の詳細な構成について
図7を参照して説明する
【0067】
測色値変換部41は、
図7に示されるように、多角度測色値算出部61と、色変換モデル記憶部62とから構成されている。
【0068】
色変換モデル記憶部62は、測色方向および各色トナーのトナー量の組み合わせと、印刷装置による実際の印刷結果において測色された測色値とが対応付けられた色変換モデル((L*、a*、b*)=g(C、M、Y、K、Si、θ))を記憶する。この色変換モデルは、印刷装置による印刷結果をシミュレーションするためのものでありプリンタモデル(印刷装置用色変換モデル)と呼ばれる。
【0069】
多角度測色値算出部61は、色変換モデル記憶部62に記憶されている色変換モデルを用いることにより、シルバートナーを含む複数のトナーのトナー量CMYKSiを、この複数のトナーを用いて印刷した場合の目標色画像を3つの測色方向から測色した場合に得られる複数の測色値L*a*b*(15°)、L*a*b*(45°)、L*a*b*(110°)に変換する。
【0070】
次に、この色変換モデル記憶部62に記憶されている色変換モデルの作成方法を
図8を参照して説明する。
【0071】
先ず、様々な組み合わせのC、M、Y、K、Si値により色票(パッチ)画像を出力する。そして、それぞれの色票に対して
図6に示したような測色方法により、3角度の測色方向(15°、45°、110°)により測色を行う。その結果、それぞれの色票について、L*a*b*(15°)、L*a*b*(45°)、L*a*b*(110°)という測色値が得られることになる。
【0072】
そして、これらの値に基づいて、(C、M、Y、K、Si、θ(測色方向))を入力することにより色値(L*、a*、b*)が得られるような色変換モデルを作成する。
【0073】
具体的には、予め様々なC、M、Y、K、Si、θの値の組み合わせによって再現される色を測色してL*a*b*値を取得することにより、複数の(C、M、Y、K、Si、θ)と(L*,a*,b*)の組が得られる。この組を用いることにより(L*、a*、b*)=g(C、M、Y、K、Si、θ)なる関数関係が得られるので、これを色変換モデルとすればよい。この色変換モデルを用いることにより、各色のトナー量CMYKSiと、測色方向θが与えられると、予測される色値L*a*b*を求めることができる。なお、この色変換モデルに用いる関数としては、重回帰式、ニューラルネットワーク、ダイレクトルックアップテーブルを用いた補間など、色変換モデルとして一般的な関数を用いることができる。
【0074】
このようにして、(L*、a*、b*)=g(C、M、Y、K、Si、θ)という関数により表現される色変換モデル(プリンタモデル)が作成され、作成された色変換モデルは色変換モデル記憶部62に記憶される。
【0075】
次に、
図4に示した表示値変換部42の詳細な構成について
図9を参照して説明する
【0076】
表示値変換部42は、
図9に示されるように、重み付け係数設定部71と、RGB値算出部72と、色変換モデル記憶部73とから構成されている。
【0077】
色変換モデル記憶部73は、測色方向および各色の表示値であるRGB値の組み合わせと、表示装置43上で実際に測色された測色値とが対応付けられた色変換モデル(L*、a*、b*)=f(R、G、B、θ)を記憶している。この色変換モデルは、表示装置による表示結果をシミュレーションするためのものでありモニタモデル(表示装置用色変換モデル)と呼ばれる。
【0078】
ここで、この色変換モデル記憶部73に記憶されている色変換モデルの作成方法を
図10を参照して説明する。
【0079】
先ず、様々な組み合わせのR、G、B値による色票(パッチ)画像を表示装置43上に表示させる。そして、表示されたそれぞれの色票に対して
図6に示したような測色方法により、3角度の測色方向(15°、45°、110°)により測色を行う。その結果、それぞれの色票について、L*a*b*(15°)、L*a*b*(45°)、L*a*b*(110°)という測色値が得られることになる。
【0080】
なお、実際にはモニタ画面上に表示された画像を測色する場合、測色方向が変化しても、得られる測色値はあまり変化しない。そのため、簡易的には、L*a*b*(15°)=L*a*b*(45°)=L*a*b*(110°)とするようにしても良い。
【0081】
そして、これらの値に基づいて、(R、G、B、θ(測色方向))を入力することにより色値(L*、a*、b*)が得られるような色変換モデルを作成する。
【0082】
具体的には、予め様々なR、G、B、θの値の組み合わせによって再現される色を測色してL*a*b*値を取得することにより、複数の(R、G、B、θ)と(L*,a*,b*)の組が得られる。この組を用いることにより(L*、a*、b*)=f(R、G、B、θ)なる関数関係が得られるので、これを色変換モデルとすればよい。この色変換モデルを用いることにより、表示値であるRGB値と、測色方向θが与えられると、予測される色値L*a*b*を求めることができる。なお、この色変換モデルに用いる関数としては、重回帰式、ニューラルネットワーク、ダイレクトルックアップテーブルを用いた補間など、色変換モデルとして一般的な関数を用いることができる。
【0083】
このようにして、(L*、a*、b*)=f(R、G、B、θ)という関数により表現される色変換モデル(モニタモデル)が作成され、作成された色変換モデルは色変換モデル記憶部73に記憶される。
【0084】
RGB値算出部72は、測色値変換部41により変換された3方向の測色方向の測色値と、色変換モデル記憶部73に記憶されている色変換モデル(モニタモデル)から得られる各測色方向の測色値とのそれぞれの色差の加重平均(重み付け平均)値ΔE(WAVG)を算出し、算出された色差の加重平均値ΔE(WAVG)が最小となるようなRGB値を決定する。
【0085】
この色差の加重平均値ΔE(WAVG)の算出方法の具体例について
図11を用いて説明する。
図11に示すように、各測色方向における色差の加重平均値ΔE(WAVG)={w1×((L*a*b*(15°)とf(R、G、B、15°)との色差)+w2×((L*a*b*(45°)とf(R、G、B、45°)との色差)+w3×((L*a*b*(110°)とf(R、G、B、110°)との色差)}/(w1+w2+w3)という式により加重平均値の算出を行う。
【0086】
ここで、w1、w2、w3は、それぞれ、正反射方向(15°)の重み付け係数、正面方向(45°)の重み付け係数、拡散光射方向(110°)の重み付け係数であり、重み付け係数設定部71により設定される。
【0087】
例えば、各測色方向における色差をそれぞれ同じ重み付けで扱う場合には、重み付け係数としてw1=w2=w3=1とすれば良い。この場合には、色差の加重平均値ΔE(WAVG)は単純平均値となる。
【0088】
なお、色値P=(L
1*、a
1*、b
1*)と、色値Q=(L
2*、a
2*、b
2*)との色差ΔE(PQ)は下記の計算式により算出される。
ΔE(PQ)=((L
1*−L
2*)
2+(a
1*−a
2*)
2+(b
1*−b
2*)
2)
1/2
【0089】
なお、RGB値算出部72は、この色差の加重平均値ΔE(WAVG)が最小となるRGB値を算出する際の具体的な方法としては、例えばシンプレックス法やニュートン法などの非線形方程式の数値解法を適用して最適化問題を解決する一般的な方法を用いることができる。
【0090】
ここで、本実施形態では、3方向の測色方向の測色値が、目標色画像に斜め方向から光を照射した場合に、目標色画像の法線方向である正面方向において測色された場合の測色値L*a*b*(45°)、照射光に対する正反射方向において測色された場合の測色値L*a*b*(15°)、および拡散光方向において測色された場合の測色値L*a*b*(110°)である場合を用いて説明している。
【0091】
そして、重み付け係数設定部71は、正反射方向の測色値L*a*b*(15°)の明度値(L*)に基づいて、3方向の測色方向の測色値L*a*b*(15°、45°、110°)の加重平均値を算出する際に用いられる重み付け係数w1、w2、w3を設定する。
【0092】
具体的には、重み付け係数設定部71は、正反射方向の測色値L*a*b*(15°)の明度値(L*)が予め設定された閾値以上の場合に、正反射方向の測色値L*a*b*(15°)の重み付けが他の測色方向の測色値L*a*b*(45°、110°)よりも相対的に大きくなるような重み付け係数w1、w2、w3を設定する。
【0093】
この重み付け係数設定部71における重み付け係数w1、w2、w3の設定例を
図12および
図13に示す。
【0094】
図12に示した重み付け係数の設定例のグラフでは、測色方向が15°、45°の重み付け係数w1、w2については変化させずに、測色方向が110°の重み付け係数w3を、正反射方向の明度値L*(15°)が大きくなるについて小さくなるように設定する場合が示されている。
【0095】
具体的には、重み付け係数w1、w2については正反射方向の明度値L*(15°)に関係なく常に1となっているが、重み付け係数w3については、正反射方向の明度値L*(15°)が100以下の場合には1であるが、100〜140の間は1から0まで徐々に減り、140以上の場合には0となるような設定となっている。
【0096】
なお、
図12に示した重み付け係数w1、w2、w3の設定例を表により表したものを
図13に示す。
【0097】
図12、
図13では、重み付け係数w3が正反射方向の明度値L*(15°)によって変化するような設定例を用いて説明したが、重み付け係数w2、w3を変化させずに、重み付け係数w1が正反射方向の明度値L*(15°)が大きくなるにつれて大きくなるような設定とすることも可能である。なお、この場合には重み付け係数w1の値は、1.1、1.2、・・・というように1よりも大きくなる。
【0098】
つまり、正反射方向の明度値(L*)が大きくなるにつれて、正反射方向の測色値L*a*b*(15°)の重み付け係数w1が他の測色方向の測色値L*a*b*(45°、110°)の重み付け係数w2、w3よりも相対的に大きくなるような設定が行われるようにすれば良い。
【0099】
RGB値算出部72は、重み付け係数設定部71により設定された重み付け係数w1、w2、w3を用いて、各測色方向における色差の加重平均値を算出し、算出された加重平均値が最小となるようなRGB値を決定する。
【0100】
そして、上記で説明したような重み付け係数w1、w2、w3の設定が行われることにより、RGB値算出部72は、正反射方向の測色値L*a*b*(15°)の明度値(L*(15°))が大きいほど、得られるRGB値の明度が、正面方向の測色値L*a*b*(45°)の明度よりもより高くなるように、測色値変換部41により変換された3方向の測色方向における測色値L*a*b*(15°、45°、110°)を、表示装置43上において目標色画像を表示するためのRGB値に変換する。
【0101】
具体的には、RGB値算出部72は、正反射方向の測色値L*a*b*(15°)の明度値(L*(15°))が予め設定された閾値以上の場合、得られるRGB値の明度が、正面方向の測色値L*a*b*(45°)の明度よりもより高くなるように、測色値変換部41により変換された3方向の測色方向における測色値L*a*b*(15°、45°、110°)を、表示装置43上において目標色画像を表示するためのRGB値に変換する。
【0102】
別な表現をすると、RGB値算出部72は、正反射方向の測色値L*a*b*(15°)の明度値(L*(15°))が大きいほど、得られるRGB値の明度が、3方向の測色方向における測色値L*a*b*(15°、45°、110°)を平等に扱った場合の明度よりも大きくなるように、3つの測色値L*a*b*(15°、45°、110°)を、表示装置43上において目標色画像を表示するためのRGB値に変換する。
【0103】
つまり、正反射方向の明度値L*(15°)が大きくなるに従って、他の測色方向の測色値よりも明度値が大きな正反射方向の測色値L*a*b*(15°)の重み付けを大きくしてRGB値の算出が行われるようにすることにより、得られるRGB値の明度値も正反射方向の明度値L*(15°)が大きくなるに従ってより大きくなる。
【0104】
なお、
図12、
図13に示した重み付け係数の設定例では、正反射方向の明度値L*(15°)が100を超えると、拡散光方向の重み付け係数w3が小さくなるように設定されていたが、この明度値(100)は、一般的な白紙(白色紙)の明度値の近傍の値に設定される。これは、正反射方向の明度値L*(15°)が白紙の明度値を超える場合に、人間は金属光沢感を感じるからであると考えられる。明度値(100)については、白紙の明度値である90〜96以上に設定し、完全拡散面の明度値である100<に設定することが望ましい。また、RGB算出部72は、白紙の明度値を閾値として、正反射方向の明度値L*(15°)の大きさにより、重み付け係数w1、w2、w3の大きさを変化させている。
【0105】
このような処理を行うことにより、白紙の明度よりも大きな明度の目標色画像については、正反射方向の測色値の重み付けを大きくすることにより、全ての測色値を平等(同じ重み付け)に扱って得られる明度よりも明るい明度となるようにしている理由を以下に説明する。
【0106】
先ず、メタリック色でない通常画像の反射特性を
図14を参照して説明する。メタリック色でない通常画像の反射特性は
図14に示すようになっており、正反射方向の光量は他方向よりも大きくなっているが、正反射方向以外の他の方向の拡散光の光量はほぼ同じとなっているのが分かる。そのため、通常の測色方法では、光源52からの照射光を斜め方向で測定対象画像50に照射して、正面方向(45°)における色値を測色装置54により測色している。
【0107】
次に、メタリック色でない通常画像とメタリック色の色見本画像との反射特性の違いを
図15を参照して説明する。
【0108】
メタリック色の色見本画像と通常画像とでは、反射特性の違いにより、メタリック色の色見本画像では、通常画像に対して、正反射方向(15°)の明度が高く、拡散光方向(110°)の明度が低くなっている。
【0109】
そのため、メタリック色の色見本画像を正反射方向(15°)から見た場合の明度は、メタリック色でない通常画像の明度と比較して高くなる。しかし、メタリック色の色見本画像でも通常画像でも正面方向(45°)から見た場合の明度差はあまり大きくはない。つまり、メタリック色の色見本画像の正反射方向(15°)の明度と正面方向(45°)の明度差は、通常画像の場合と比較して大きくなる。
【0110】
このような理由により発生する、メタリック色の色見本画像を表示装置上で表示させる場合に、正面方向(45°)からの測色値のみに基づいて、RGB値を算出した場合の問題点を
図16を参照して説明する。
【0111】
図16を参照すると、実際の色見本画像を見た場合の明度は正面方向(45°)と正反射方向(15°)とで大きくなっているのが分かる。特に明度が高い階調1〜3では、正面方向(45°)と正反射方向(15°)とで明度が大きく異なっている。
【0112】
そして、正面方向(45°)の測色値のみを用いて、色見本画像を再現するための目標色画像を表示装置上に表示させた場合、正面方向(45°)から見た場合の明度と近い画像を再現することは可能だが、正反射方向(15°)から見た場合の明度と比較すると暗くなっているのが分かる。
【0113】
特に、モニタ等の表示装置では、表示される画像の色味、明度等は見る方向によってほとんど変化しないため、表示装置上に表示された画像の色味、明度等はどの方向から見てもほとんど同じとなる。
【0114】
そのため、見る方向によって明度が変化する色見本画像と、表示装置上の目標色画像とを比較した場合、表示装置上の目標色画像は明度が低いという印象をユーザに与えることになる。
【0115】
しかし、
図17に示すように、本実施形態では、正面方向(45°)だけでなく、正面方向(45°)、正反射方向(15°)、拡散光方向(110°)という複数の測色方向の測色値に基づいて、RGB値を算出していることにより、正面方向(45°)の測色値のみを用いる場合と比較して、算出されるRGB値の画像の明度が高くなる。
【0116】
その結果、本実施形態の変換方向により得られたRGB値に基づいて表示装置43に表示される目標色画像は、実際の色見本画像と比較した場合でも、ユーザが受ける印象はより近いものとなる。
【0117】
特に、本実施形態の変換方法では、正反射方向の明度値L*(15°)が100以上の場合(階調1〜3)には、さらに正反射方向(15°)の重み付けを大きくしていることにより、算出されるRGB値の画像の明度はより高くなる。
【0118】
そして、白紙の明度よりも大きな明度の目標色画像については、正面方向(45°)の明度よりも正反射方向(15°)の明度との差が大きくなり易く、正面方向(45°)の測色値のみに基づいて表示装置43上に表示させるためのRGB値を算出したのでは、ユーザが実際の色見本画像と、表示装置43上に表示された目標色画像とを見比べた場合、表示装置43上に表示された目標色画像が暗いとの印象を持つ可能性が高い。
【0119】
そのため、白紙の明度よりも大きな明度の目標色画像については、単に測色方向が異なる複数の測色値を平等に扱ってRGB値を算出するのではなく、正反射方向(15°)の測色値の重み付けを大きくして、得られる画像の明度が高くなるようなRGB値が算出されるようにしている。その結果、ユーザが実際の色見本画像と、表示装置43上に表示された目標色画像とを見比べた場合の印象が近づくことになる。
【0120】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態の印刷システムについて説明する。
【0121】
本実施形態の印刷システムは、上記で説明した第1の実施形態の印刷システムに対して、端末装置20における画像処理装置40が、
図18に示す画像処理装置40aに置き換えられた構成となっている。
【0122】
そして、画像処理装置40aは、
図18に示されるように、測色値変換部41aと、表示値変換部42aとから構成されている。
【0123】
本実施形態における測色値変換部41aは、入力されたCMYKSi値を、そのCMYKSi値に基づいて印刷された目標色画像を、正反射方向から測色した場合に得られる測色値L*a*b*(15°)、および正面方向から測色した場合に得られる測色値L*a*b*(45°)に変換する。
【0124】
また、表示値変換部42aは、正反射方向の測色値の明度値L*(15°)が大きいほど、得られるRGB値の明度が正面方向の測色値の明度よりも大きくなるように、測色値変換部41aにより変換された正面方向の測色値L*a*b*(45°)を、表示装置43上において目標色画像を表示するためのRGB値に変換する。
【0125】
次に、
図18に示した表示値変換部42aの詳細な構成について
図19を参照して説明する
【0126】
表示値変換部42aは、
図9に示されるように、重み付け係数設定部74と、L*a*b*→RGB変換部75と、RGB値修正部76とから構成されている。
【0127】
重み付け係数設定部74は、正反射方向の測色値の明度値(L*(15°))が予め設定された閾値、例えば100(白紙の明度値)以上の場合に、値が1よりも徐々に小さくなるような重み付け係数Wを設定する。
【0128】
この重み付け係数設定部74における重み付け係数Wの設定例を
図20に示す。
【0129】
図20を参照すると、重み付け係数Wは正反射方向の明度値(L*(15°))が、白紙の明度値である100以下の場合には1であるが、100を超えると徐々に小さな値になっているのが分かる。
【0130】
L*a*b*→RGB変換部75は、入力された正面方向の測色値L*a*b*(45°)をRGB値(R
1、G
1、B
1)に変換する。
【0131】
RGB値修正部76は、重み付け係数設定部74により設定された重み付け係数Wにより、L*a*b*→RGB変換部75からのRGB値(R
1、G
1、B
1)を修正する。具体的には、RGB値修正部76は、下記のような演算を行うことによりRGB値(R
1、G
1、B
1)を修正して、表示装置43において目標色画像を表示するためのRGB値として出力する。
【0132】
R=R
1/W
G=G
1/W
B=B
1/W
【0133】
本実施形態の画像処理装置40aにおける表示値変換部42aでは、上記で説明した第1の実施形態における表示値変換部42のように、色変換モデル(モニタモデル)を作成して格納しておくようなことが不要となる。また、表示値変換部42aでは、表示装置43に出力するためのRGB値を算出する際の演算も、上記で示したような単純な除算を行うだけでよいため、処理負荷も軽くなる。その結果、本発明における表示値変換部42aは、第1の実施形態における表示値変換部42と比較して、簡易な構成で実現される。
【0134】
[変形例]
なお、上記の実施形態では、測色値が、少なくとも明度情報を含む表色系であるCIE L*a*b*色空間により表現されている場合を用いて説明しているが、L*c*h表色系のような明度情報を含む表色系であれば他の色空間により表現されている表色系を用いることも可能である。
【0135】
また、上記の実施形態では、シルバートナーを含む各色のトナー量を、正反射方向(15°)、正面方向(45°)、拡散光方向(110°)の3角度の測色方向の測色値に変換して、表示装置43に表示するためのRGB値を算出する場合について説明したが、本発明はこのような場合に限定されるものではない。シルバートナーを含む各色のトナー量を、3角度以上の4角度、5角度等の多角度の測色方向の測色値に変換して、表示装置43に表示するためのRGB値を算出するような構成とすることも可能である。例えば、正反射方向(15°)、正反射方向(25°)、正面方向(45°)、拡散光方向(75°)、拡散光方向(110°)の5角度の測色方向により測定対象画像50の測色を行う場合を
図21に示す。
【0136】
この
図21に示したような測色方法により得られた5角度の測色方向の測色値を用いても、上記で説明したのと同様な方法により表示装置43上に目標色画像を表示するためのRGB値を算出することが可能である。
【0137】
つまり、測色値変換部41は、入力されたCMYKSi値を、正反射方向(15°)、正面方向(45°)、拡散反射方向(110°)の測色値に加えて、正面方向(45°)よりも正反射方向(15°)に近い方向(25°)において測色された場合の目標色画像の測色値や、正面方向(45°)と光源52による照射方向との間における拡散光方向(
75°)において測色された場合の目標色画像の測色値に変換するようにしても良い。そして、表示変換部42は、このような複数の測色方向の測色値を用いて、表示装置43上に目標色画像を表示するためのRGB値を算出するようにすれば良い。
【0138】
さらに、上記実施形態では、シルバートナー、ゴールドトナー等のメタリック(金属光沢色)トナーを用いて印刷を行う画像形成装置に対して適用した場合を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、トナー以外の色材であってもパール色材等の見る方向により色味が異なるような光輝性色材を用いて印刷を行う場合であれば同様に本発明を適用することができるものである。
【0139】
また、上記実施形態では、シルバートナーSiを含む複数色トナーCMYKSiにより印刷される目標色画像を表示装置上にシミュレーションさせて表示させる場合を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。CMYKSi値により表された画像を、CMYKトナーのような基本色トナーのみを用いるプリンタによりシミュレーションさせて印刷する場合でも同様に適用可能である。
【0140】
この場合には、表示値変換部42の替りに、複数の測色方向の測色値L*a*b*(15°、45°、110°)に基づいてCMYK値を算出するような変換部を設けるようにすれば良い。そして、この変換部では、モニタモデルとしての色変換モデルの替りに、基本色トナーCMYKのみに基づいて印刷を行う印刷装置に基づいて生成したプリンタモデルを用いて、複数の測色方向の測色値をCMYK値に変換するような処理が行われるようにすれば良い。
【0141】
なお、表示値変換部42により得られたRGB値を再度L*a*b*値に変換して、このL*a*b*値をCMYK値に変換することにより、基本色トナーのみを用いるプリンタによりCMYKSi値により表現された目標色画像の印刷をシミュレーションするような構成とすることも可能である。
【0142】
さらに、上記の第1および第2の実施形態おいて説明した測色変換部41と表示値変換部42、または測色変換部41aと表示値変換部42aの変換処理内容をまとめて、CMYKSi値を入力してRGB値を出力するような5入力3出力のルックアップテーブルを生成するようにしておいても良い。