(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コントローラーは、前記側端センサーの前記記録媒体の搬送に伴った変化率に応じて、前記推定された傾きが前記第1傾きセンサーによって検知された傾きおよび前記第2傾きセンサーによって検知された傾きのいずれと一致したときに前記片寄り量を検知するかを決定する、請求項4に記載の画像処理装置。
前記コントローラーは、前記推定された前記記録媒体の前記主走査方向に対する傾きが、前記第1傾きセンサーによって検知された傾きおよび前記第2傾きセンサーによって検知された傾きの双方に一致しない場合には、前記片寄り量を検知しない、請求項4に記載の画像処理装置。
前記コントローラーは、前記片寄り量のために前記側端センサーによって検知された側端を通る前記主走査方向に沿った線上の、前記領域の中央の点を中心として、前記読み取られた画像を回転させることによって、前記画像の傾きを補正する、請求項12に記載の画像処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の技術では、用紙の主走査方向の片寄りの検知結果が不安定となる不具合が発生していた。したがって、用紙の搬送状態をより正確に検知する技術が必要とされている。
【0006】
本開示は、上記問題点を解決するためになされたものであり、ある局面における目的は、画像の搬送状態をより正確に検知する画像処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ある局面に従うと、記録媒体上の画像を読み取る画像処理装置が提供される。画像形成装置は、記録媒体が搬送される搬送経路と、コントローラーと、搬送経路における搬送方向において記録媒体の前端を検知する前端センサーと、搬送方向と交わる主走査方向における記録媒体の側端を検知する側端センサーとを備える。コントローラーは、前端センサーが記録媒体の前端を検知したタイミング後の所定の検知タイミングにおける側端センサーからの出力値に基づいて、当該記録媒体の主走査方向における片寄り量を検知する。
【0008】
好ましくは、前端センサーは、さらに、記録媒体の前端における主走査方向に対する傾きを検知する。コントローラーは、記録媒体の搬送に伴う側端センサーの出力値の変化率に基づいて、記録媒体の主走査方向に対する傾きを推定し、推定された傾きと、前端センサーによって検知された傾きとが所定の関係を満たしたタイミングにおける側端センサーからの出力値に基づいて、記録媒体の主走査方向における片寄り量を検知する。
【0009】
好ましくは、所定の関係は、検知された傾きと推定された傾きとが一致することである。
【0010】
好ましくは、検知タイミングは、前端センサーが前端を検知してから、検知された傾きと推定された傾きとが最初に一致したタイミングである。
【0011】
他の局面に従うと、記録媒体に画像を読み取る画像処理装置が提供される。画像処理装置は、記録媒体が搬送される搬送経路と、コントローラーと、搬送経路における搬送方向において記録媒体の後端の、搬送方向に交わる主走査方向に対する傾きを検知する後端傾きセンサーと、主走査方向における記録媒体の側端を検知する側端センサーとを備える。コントローラーは、記録媒体の搬送に伴う側端センサーの出力値の変化率に基づいて、記録媒体の主走査方向に対する傾きを推定し、推定された傾きと、後端傾きセンサーによって検知された傾きとが一致するタイミングに、側端センサーからの出力値に基づいて、記録媒体の主走査方向における片寄り量を検知する。
【0012】
他の局面に従うと、記録媒体に画像を読み取る画像処理装置が提供される。画像処理装置は、記録媒体が搬送される搬送経路と、コントローラーと、記録媒体の前端の、搬送経路における搬送方向に交わる主走査方向に対する傾きを検知する第1傾きセンサーと、記録媒体の後端の、主走査方向に対する傾きを検知する第2傾きセンサーと、主走査方向における記録媒体の側端を検知する側端センサーとを備える。コントローラーは、記録媒体の搬送に伴う側端センサーの出力値の変化率に基づいて、記録媒体の主走査方向に対する傾きを推定し、第1傾きセンサーによって検知された傾きおよび第2傾きセンサーによって検知された傾きの少なくとも一方と一致するタイミングに、側端センサーからの出力値に基づいて、記録媒体の主走査方向における片寄り量を検知する。
【0013】
好ましくは、コントローラーは、側端センサーによって検知される側端の位置の記録媒体の搬送に伴った変化率に基づいて、記録媒体の傾きの第1推定値と第2推定値とを算出し、第1傾きセンサーによって検知された傾きが第1推定値と一致し、第2傾きセンサーによって検知された傾きが第2推定値と一致し、第1傾きセンサーによって検知された傾きと第2傾きセンサーによって検知された傾きとが一致しない場合に、第2推定値の算出に用いた側端に対する側端センサーからの出力値に基づいて、記録媒体の主走査方向における片寄り量を検知する。
【0014】
好ましくは、コントローラーは、側端センサーの記録媒体の搬送に伴った変化率に応じて、推定された傾きが第1傾きセンサーによって検知された傾きおよび第2傾きセンサーによって検知された傾きのいずれと一致したときに片寄り量を検知するかを決定する。
【0015】
好ましくは、コントローラーは、推定された記録媒体の主走査方向に対する傾きが、第1傾きセンサーによって検知された傾きおよび第2傾きセンサーによって検知された傾きの双方に一致しない場合には、片寄り量を検知しない。
【0016】
好ましくは、画像処理装置は、記録媒体における片寄り量の検知対象の位置を設定するための情報の入力を受け付けるためのインターフェースをさらに備える。コントローラーは、インターフェースを介して情報が入力された場合には、検知対象の位置に対する側端センサーの出力値に基づいて記録媒体の主走査方向における片寄り量を検知する。
【0017】
好ましくは、情報は、記録媒体の形状に関する情報である。
好ましくは、情報は、記録媒体の厚みに関する情報である。
【0018】
好ましくは、前端センサーは、記録媒体の前端をデジタル値として検知し、側端センサーは、記録媒体の側端をアナログ値として検知する。
【0019】
好ましくは、画像処理装置は、記録媒体上の画像を読み取るための読取部を備え、コントローラーは、片寄り量に基づいて、読取部が記録媒体上の画像を読み取る領域を設定する。
【0020】
好ましくは、コントローラーは、片寄り量のために側端センサーによって検知された側端を通る主走査方向に沿った線上の、領域の中央の点を中心として、読み取られた画像を回転させることによって、画像の傾きを補正する。
【0021】
他の局面に従うと、記録媒体上の画像を読み取る画像処理装置における記録媒体の検知方法が提供される。当該画像処理装置は、記録媒体が搬送される搬送経路を備える。検知方法は、搬送経路における搬送方向において記録媒体の前端を検知するステップと、搬送方向と交わる主走査方向における記録媒体の側端を検知するステップと、記録媒体の前端を検知するステップ後の所定のタイミングにおける側端を検知するステップでの検知結果に基づいて、当該記録媒体の主走査方向における片寄り量を検知するステップとを含む。
【0022】
さらに他の局面に従うと、記録媒体上の画像を読み取る画像処理装置における記録媒体の検知方法を、コンピューターに実行させる制御プログラムが提供される。当該画像処理装置は、記録媒体が搬送される搬送経路を備える。制御プログラムは、コンピューターに、搬送経路における搬送方向において記録媒体の前端を検知するステップと、搬送方向と交わる主走査方向における記録媒体の側端を検知するステップと、記録媒体の前端を検知するステップ後の所定のタイミングにおける側端を検知するステップでの検知結果に基づいて、当該記録媒体の主走査方向における片寄り量を検知するステップとを実行させる。
【0023】
ある局面において、画像処理装置は、用紙の搬送状態をより正確に検知することができる。
【0024】
上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解される次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しつつ、本発明に従う各実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらについての詳細な説明は繰り返さない。なお、以下で説明される各実施の形態および各変形例は、適宜選択的に組み合わされてもよい。
【0027】
<第1の実施の形態>
[1.画像形成装置100の構成]
図1は、画像処理装置の一例としての画像形成装置100の概形を示す図である。
図1に示すように、画像形成装置100は、いわゆるMFP(Multi Function Peripheral)として構成され、コントローラー101と、画像形成部20と、給紙部30と、スキャナーユニット40と、ADF(Auto Document Feeder:自動原稿搬送装置)ユニット50と、操作パネル60とを備える。コントローラー101、画像形成部20、および給紙部30は、画像形成装置100の中央部に位置している。スキャナーユニット40およびADFユニット50は、画像形成装置100の上部に位置している。操作パネル60は、画像形成装置の上部前面に位置している。
【0028】
図2は、画像形成装置100のハードウェア構成を示す図である。
図2に示すように、コントローラー101は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、通信I/F(Interface)部14と、画像データ記憶部15と、用紙サイズ記憶部16とを含んでいる。CPU11、ROM12、RAM13、通信I/F部14、画像データ記憶部15、および用紙サイズ記憶部16の各々とは、互いにデータ連携が可能となるように接続されている。
【0029】
CPU11は、画像形成装置100全体の動作を制御する。ROM12は、CPU11が実行する制御プログラムを記憶する。RAM13はCPU11の作業用のメモリである。通信I/F部14は、ネットワークなどを通じて、図示しない外部機器との間で各種の情報を送受信する。画像データ記憶部15は、スキャナーユニット40で読み取った画像データなどを記憶する。用紙サイズ記憶部16は、ADFユニット50で計測した用紙のサイズや、操作パネル60を通じて設定された用紙のサイズを記憶する。
【0030】
ここで、CPU11が実行する制御プログラムは、単体のプログラムとしてではなく、モジュールとしての任意のプログラムの一部に組み込まれて提供されてもよい。この場合、本実施の形態に従う制御処理は、任意のプログラムと協働して実現される。さらに、制御プログラムによって提供される機能の一部または全部は、専用のハードウェアによって実現されてもよい。さらに、少なくとも1つのサーバーが制御プログラムの処理の一部を実行する所謂クラウドサービスのような形態で画像形成装置100が構成されてもよい。
【0031】
画像形成部20は、おおまかに、トナー像形成部および定着装置などで構成される。画像形成部20は、たとえば電子写真方式で用紙に画像を形成する。画像形成部20は、いわゆるタンデム方式で4色の画像を合成し、用紙にカラー画像を形成可能に構成される。
【0032】
トナー像形成部は、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の各色について設けられた感光体と、感光体からトナー像が転写(1次転写)される中間転写ベルトと、中間転写ベルトから用紙に画像を転写(2次転写)する転写部などで構成される。
【0033】
定着装置は、加熱ローラーおよび加圧ローラーを有する。定着装置は、加熱ローラーと加圧ローラーとでトナー像が形成された用紙を挟みながら搬送し、その用紙に加熱および加圧を行なう。これにより、定着装置は、用紙に付着したトナーを溶融させて用紙に定着させ、用紙に画像を形成する。
【0034】
給紙部30は、給紙ローラー、搬送ローラー、およびそれらを駆動するモーターなどで構成されている。給紙部30は、用紙を給紙カセットから給紙して、画像形成装置100の筐体の内部で搬送する。給紙部30は、画像が形成された用紙を画像形成装置から排紙トレイなどに排出する。スキャナーユニット40は、用紙の画像を読み取り、用紙の画像データを作成する。
【0035】
ADFユニット50は、スキャナーユニット40へ1枚ずつ用紙(記録媒体の一例)を送る。ADFユニット50は、用紙搬送モーター51、用紙搬送時に両面同時読取の場合に設けられる裏面読取手段52、用紙サイズ検知センサー53、エンプティセンサー160、前端センサー57、側端センサー58を含む。用紙搬送モーター51は、CPU11の制御により動作する。前端センサー57および側端センサー58による用紙読取処理については、詳細を後述する。
【0036】
操作パネル60は、各種情報を表示し、各種操作を受け付ける。操作パネル60は、読み取りジョブやコピージョブなどの各種ジョブを開始するためのスタートボタン61を含む。
【0037】
図3は画像形成装置100の備えるADFユニット50の断面図である。
図3を参照して、ADFユニット50の内部構造を説明する。
【0038】
ADFユニット50は、シートスルータイプの自動用紙送り装置であって、用紙を読取るための後述する読取位置114,115に用紙を搬送する。ADFユニット50は、搬送前の用紙を積載するための給紙トレイ121と、搬送後の用紙を排紙するための排紙トレイ109とを有し、給紙トレイ121と排紙トレイ109との間に用紙の搬送経路42が構成される。
【0039】
給紙トレイ121と搬送経路42との境界位置にはピックローラー102と、一対の仕分けローラー103とが備えられる。給紙トレイ121に積載された用紙束は、ピックローラー102により給紙され、一対の仕分けローラー103によって1枚ずつ分離されて、搬送経路42に送り出される。
【0040】
以降の説明において、搬送経路42の搬送方向、つまり給紙トレイ121から排紙トレイ109に向かう方向の給紙トレイ121側を「搬送方向の上流側」といい、排紙トレイ109側を「搬送方向の下流側」とも記載する。また、搬送経路42の上流側を「前」、下流側を「後」とも記載し、搬送経路42内を搬送される用紙について、搬送経路42側の端部を「前端」、下流側の端部を「後端」と記載することとする。
【0041】
搬送経路42には、搬送方向に沿って搬送経路42を挟む一対のレジストローラー104が備えられる。仕分けローラー103によって搬送経路42上をレジストローラー104まで送り出された用紙は、レジストローラー104によってスキュー補正される。そして、スキュー補正された後の用紙が読取位置114へ搬送される。
【0042】
搬送経路42の、読取位置114に対応する位置の上流側および下流側に、それぞれ一対の読取ローラー105,106が備えられる。これらローラー対の回転により、搬送されてきた用紙は読取位置114を通過して下流側に搬送される。これにより、用紙の、スキャナーユニット40に向く面がスキャナーユニット40によって読み取られる。以降の説明において、搬送された用紙のスキャナーユニット40に向く面を「表面」ともいい、その反対面を「裏面」ともいう。
【0043】
搬送経路42の、読取ローラー106よりも下流側に、搬送される用紙の裏面に撮像部を向けて読取部22が配される。そして、読取部22の下流側に、一対の読取ローラー107が備えられる。読取ローラー106,107の回転により、搬送されてきた用紙は読取部22を通過して下流側に搬送される。これにより、読取位置115を通過する用紙の裏面が読取部22によって読み取られる。
【0044】
搬送経路42と排紙トレイ109との境界位置には排紙ローラー108が備えられる。この排紙ローラー108の回転により、搬送され裏面が読取部22によって読み取られた後の用紙が排紙トレイ109へ排出される。
【0045】
搬送経路42の、読取位置114の上流側近傍に読取前センサー113が、レジストローラー104の上流側近傍にレジストセンサー112が、仕分けローラー103の下流側近傍に分離センサー111が、それぞれが配置されている。これらセンサーは、その位置における用紙の有無を検知する。
【0046】
搬送経路42の、読取前センサー113の上流であって、レジストセンサー112の下流に、前端センサー57および側端センサー58が配置されている。これらセンサーは、その位置における用紙の前端および側端を検知する。
【0047】
[2.画像読取処理]
図4〜
図7を参照して、画像読取処理について説明する。
図4は、画像読取処理における用紙検知の概要を示す図である。
図5は、用紙検知における前端センサー57および側端センサー58の出力値を示す図である。
図6は、画像読取処理における読取領域の設定を示す図である。
図7は、画像読取処理における読取画像の補正処理を示す図である。
【0048】
図4に示すように、搬送経路42内には、搬送される用紙Sを検知するように、前端センサー57と側端センサー58とが配置されている。搬送経路42内を用紙Sが搬送されると、たとえばt=T1のタイミングにおいて、前端センサー57は、搬送されてきた用紙Sの前端を検知し、コントローラー101に検知信号を出力する。前端センサー57は、たとえば、用紙Sの前端検知を「0」と「1」とから構成されるデジタル信号で出力する透過型または反射型のフォトセンサーで構成することができる。
【0049】
一方、側端センサー58は、搬送されてきた用紙Sの側端を検知し、コントローラー101に検知信号を出力する。側端センサー58は、たとえば、搬送経路42の主走査方向に複数のフォトセンサー要素が並んだラインセンサーによって構成することができる。この場合、用紙Sの側端を検知したセンサー素子は、アナログ信号をコントローラー101に出力する。
【0050】
その後、用紙Sがさらに搬送されたt=T2のタイミングにおいて、コントローラー101は、側端センサー58からの出力値に基づいて、用紙Sの片寄り量を検知する。
【0051】
図5に、上記用紙検知における前端センサー57および側端センサー58の出力値が示されている。
図5において、前端センサー57および側端センサー58は、ONの値のときには用紙の前端および側端を検知しており、OFFの値のときには用紙の前端および側端を検知していないことを示している。
【0052】
図5に示すように、前端センサー57が用紙Sの先端を検知したタイミングの直後において、側端センサー58の出力値は一度下降する。その後、再度上昇し、安定した値となる。このように側端センサー58の出力値が不安定になるのは、用紙Sの前端が、搬送経路42内を搬送される中で損傷したりカールしたりすることがあるためと考えられる。
【0053】
そこで、本実施の形態に係るコントローラー101は、用紙Sの前端を検知したタイミング(
図4におけるt=T1)後の所定のタイミング(
図4におけるt=T2)における側端センサー58からの出力値に基づいて、用紙Sの主走査方向における片寄り量を検知する。所定のタイミングは、たとえば、用紙Sの大きさと、用紙Sの搬送速度とから予め定めておくことができる。このようにすることで、側端センサー58の出力が安定化したタイミングにおいて、用紙Sの片寄り量を検知することが可能となるため、用紙の片寄り量をより正確に検知することが可能となる。
【0054】
その後、
図6に示すように、コントローラー101は、上述の処理で検知された片寄り量に基づいて、読取位置114、115における用紙Sの読取領域を設定する。
図6に示す例では、検知された片寄り量を基準として、主走査方向に4.4mmの幅を確保して、用紙Sの画像読取を行っている。
【0055】
その後、
図7に示すように、コントローラー101は、片寄り検知箇所を通る主走査方向の線上の点であって、かつ、主走査方向における中央となる点を中心として、前記読み取られた画像を回転させて前記画像の傾きを補正する。このようにすることで、用紙の片寄りを検知した箇所を基準として画像の補正を行うため、画像補正の精度が向上する。
【0056】
[3.処理手順]
図8を参照して、第1の実施の形態に係る画像読取処理の手順を説明する。
図8は、画像読取処理の手順を示すフローチャートである。当該処理は、たとえばコントローラー101のCPUが所与のプログラムを実行することによって実現される。
【0057】
ステップS810において、コントローラー101は、用紙Sの前端を検知した前端センサー57からの検知信号を受信する。
【0058】
ステップS820において、コントローラー101は、所定のタイミングが到来したか否かを判定する。所定のタイミングが到来した場合(ステップS820においてYES)、コントローラー101は、制御をステップS830に切り替える。そうでない場合(ステップS820においてNO)、コントローラー101は、再度ステップS820を行う。
【0059】
ステップS830において、コントローラー101は、側端センサー58からの出力値に基づいて、用紙Sの片寄り量を検知する。
【0060】
ステップS840において、コントローラー101は、検知した片寄り量に基づいて、用紙Sの画像読取領域を設定し、画像読取処理を行う。
【0061】
ステップS850において、コントローラー101は、検知した片寄り量に基づいて、画像読取処理で読み取った画像に対して補正処理を行う。コントローラー101は、処理を終了する。
【0062】
[4.小括]
以上のようにして、第1の実施の形態では、コントローラー101は、前端センサー57が用紙Sの前端を検知したタイミング後の所定のタイミングにおける側端センサー58からの出力値に基づいて、用紙Sの主走査方向における片寄り量を検知する。
【0063】
上記構成とすることにより、コントローラー101は、搬送において損傷する可能性の高い前端側ではなく、損傷の可能性の低い後端側の側端部に対して用紙の片寄りを検知するため、より正確に用紙の片寄りを検知することが可能となる。
【0064】
<第2の実施の形態>
[1.概要]
以下、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では、画像形成装置200の備えるコントローラー201は、用紙Sの前端における主走査方向に対する傾きと、側端センサー58の出力値の変化率とに基づいて、片寄り量を検知する検知タイミングの到来を判断する点で、第1の実施の形態と異なる。なお、本実施形態においては、前述の実施の形態に係る画像形成装置100が備える構成と同様の構成には、画像形成装置100の符号と同一の符号を付してある。したがって、それらの説明は繰り返さない。
【0065】
[2.詳細]
図9〜
図12を参照して、第2の実施形態に係る画像読取処理を説明する。
図9は、第2の実施の形態における画像読取処理の概要を示す図である。
図10は、用紙検知における前端センサー157および側端センサー58の出力値を示す図である。
図11は、片寄り量を検知する検知タイミングおよび検知箇所の一例を示す図である。
図12は、片寄り量を検知する検知タイミングおよび検知箇所の他の例を示す図である。
【0066】
図9に示すように、第2の実施の形態における前端センサー157は、主走査方向に間隔を空けて並べられた第1の前端センサー157aと第2の前端センサー157bとを含む。前端センサー157は、用紙Sの前端を検知するとともに、用紙Sの前端における主走査方向に対する傾きも検知する。
【0067】
図9の分図(A)に示す例では、搬送経路42内を搬送されてきた用紙Sの前端を、第2の前端センサー157bが検知する。第2の前端センサー157bは、用紙Sの前端を検知すると、検知信号をコントローラー201に出力する。
【0068】
図9の分図(B)に示すように、用紙Sがさらに搬送されると、第1の前端センサー157aおよび第2の前端センサー157bが共に、用紙Sの前端を検知する。前端センサー157は、第2の前端センサー157bが用紙Sの前端を検知してから、第1の前端センサー157aが用紙Sの前端を検知するまでの時間、第1の前端センサー157aと第2の前端センサー157bとの間隔、および、用紙Sの搬送速度に基づいて、用紙Sの前端における主走査方向に対する傾きを検知する。前端センサー157は、検知した用紙Sの傾きを、コントローラー201に出力する。
【0069】
図9の分図(C)に示すように、用紙Sがさらに搬送されると、側端センサー58は用紙Sの前端側の側端(XY間)を検知する。側端センサー58は、用紙Sの側端を検知した検知信号をコントローラー201へ出力する。コントローラー201は、用紙Sの搬送方向における側端センサー58の出力値の変化率から、用紙Sの主走査方向に対する傾きを推定する。
【0070】
図9の分図(D)に示すように、用紙Sがさらに搬送されると、側端センサー58は、用紙Sの後端側の側端(YZ間)を検知する。コントローラー201は、用紙Sの搬送方向における第2のセンサーの出力値の変化率から、用紙Sの主走査方向に対する傾きを推定する。
図9に示す例では、用紙Sの前端側の側端部が切断されているため、コントローラー201は、用紙Sの側端XY間と、側端YZ間とで、用紙Sの推定値が異なることとなる。
【0071】
図10を参照して、上記処理における前端センサー157および側端センサー58の出力値について説明する。
図10において、前端センサー157および側端センサー58は、ONの値のときには用紙の前端および側端を検知しており、OFFの値のときには用紙の前端および側端を検知していないことを示している。
【0072】
図10には、
図9の分図(A)〜(D)に対応するタイミングが、t=a〜dとして、それぞれ横軸に記載されている。すなわち、t=aのタイミング、およびt=bのタイミングでは、側端センサー58は、用紙Sの側端を検知していない。一方、t=cのタイミング、およびt=dのタイミングにおいて、側端センサー58は、用紙Sの側端を検知している。
【0073】
図10において、t=cのタイミングおよびt=dのタイミングにおける側端センサー58の出力値の変化率(傾き)は異なっている。これは、
図9に示すように、用紙Sは前端側の端部が切断されているため、側端XY間と側端YZ間とで、搬送方向に対する用紙Sの側端の傾きが異なるためである。ここで、側端XY間の側端センサー58の出力値の変化率から推定される用紙Sの主走査方向に対する傾きを第1推定値とし、側端YZ間の側端センサー58の出力値の変化率から推定される用紙Sの主走査方向に対する傾きを第2推定値として、以下の説明を続ける。
【0074】
図11に示すように、用紙Sに対して、前端センサー157は用紙Sの前端における主走査方向に対する傾きを検知する(以下、傾き検知値という)。コントローラー201は、上述の通り、用紙Sの側端XY間に対する側端センサー58の出力値の変化率に基づいて、用紙Sの主走査方向に対する傾きを、第1推定値として推定する。さらに、コントローラー201は、用紙Sの側端YZ間に対する側端センサー58の出力値の変化率に基づいて、用紙Sの主走査方向に対する傾きを、第2推定値として推定する。
【0075】
コントローラー201は、前端センサー157が検知した傾き検知値と、側端センサー58の出力値の変化率から推定された傾きの推定値とが所定の関係を満たしたタイミングを、用紙Sの主走査方向の片寄り量を検知する検知タイミングとして、側端センサー58からの出力値に基づいて、用紙Sの片寄り量を検知する。
【0076】
ここで、所定の関係として、前端センサー157が検知した傾き検知値と側端センサー58の出力値の変化率から推定された傾き推定値とが一致する関係とすることができる。すなわち、
図11に示すように、傾き検知値と一致する第2推定値に対応する側端YZ間における側端センサー58の出力値に基づいて、コントローラー201は、用紙Sの片寄り量を検知する。
【0077】
図12に示すように、コントローラー201は、前端センサー157が用紙Sの前端を検知してから、前端センサー157によって検知された傾きと、側端センサー58の出力値の変化率から推定された傾きとが最初に一致したタイミングを検知タイミングとして、用紙Sの片寄り量を検知してもよい。こうすることで、より早い段階で片寄り検知箇所を決定できるため、後続の処理をスムーズに行うことが可能となる。
【0078】
[3.小括]
以上のようにして、第2の実施の形態では、コントローラー201は、前端センサー157が検知した傾き検知値と、側端センサー58の出力値の変化率から推定された傾き推定値とが所定の関係を満たした場合に、用紙Sの主走査方向の片寄り量を検知する検知タイミングが到来したと判断し、側端センサー58からの出力値に基づいて、用紙Sの片寄り量を検知する。
【0079】
上記構成とすることにより、コントローラー201は、用紙の形状に応じた適切なタイミングを判断することが可能となり、片寄り量検知の精度が向上する。
【0080】
<第3の実施の形態>
[1.概要]
以下、第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態では、画像形成装置300は、用紙の後端における主走査方向に対する傾きを検知する後端傾きセンサー59を備える点で第1の実施の形態と異なる。なお、本実施形態に係る画像形成装置は、前述の実施の形態に係る画像形成装置100が備えるハードウェア構成と同様の構成によって実現される。したがって、それらの説明は繰り返さない。
【0081】
[2.詳細]
図13〜
図15を参照して、第3の実施の形態に係る画像読取処理を説明する。
図13は、第3の実施の形態における画像読取処理の概要を示す図である。
図14は、第3の実施の形態に係る片寄り検知タイミングの決定方法の一例を示す図である。
図15は、第3の実施の形態に係る片寄り検知タイミングの決定方法の他の例を示す図である。
【0082】
図13に示すように、第3の実施の形態に係る画像形成装置300は、コントローラー301と、前端センサー157と、側端センサー58と、後端傾きセンサー59とを備える。後端傾きセンサー59は、第1の後端傾きセンサー59aと、第2の後端傾きセンサー59bとを含む。
【0083】
図13の分図(A)に示す例では、搬送方向における用紙Sの先端が、前端センサー157に到達している。前端センサー157は、用紙Sの前端を検知するとともに、用紙Sの前端における主走査方向に対する傾き(以下、前端傾きともいう)を検知し、コントローラー301へ出力する。
【0084】
図13の分図(B)に示すように、用紙Sがさらに搬送されると、側端センサー58が用紙の側端を検知し、コントローラー301に出力する。コントローラー301は、用紙の搬送方向における側端センサー58の出力値の変化率から、用紙の主走査方向に対する傾きを推定する。
【0085】
図13の分図(C)に示すように、用紙Sがさらに搬送されると、後端傾きセンサー59が用紙Sの後端における主走査方向に対する傾き(以下、後端傾きともいう)を検知する。コントローラー301は、前端センサー157によって検知された前端傾き、および後端傾きセンサー59によって検知された後端傾きの少なくとも一方と、側端センサー58の出力値の変化率から推定された傾きとを比較して、用紙Sの片寄り量を検知するタイミングを決定する。
【0086】
図14を参照して、第3の実施の形態に係る片寄り検知タイミングの決定方法を説明する。上述したように、第3の実施の形態では、用紙Sの前端傾きと後端傾きとが検知される。
図14に示す例では、コントローラー301は、用紙Sの側端XY間における側端センサー58の出力値の変化率から、用紙Sの傾きとして第1推定値を算出する。そして、用紙Sの側端YZ間における側端センサー58の出力値の変化率から、用紙Sの傾きとして第2推定値を算出する。
【0087】
コントローラー301は、前端センサー157によって検知された前端傾きと、第1の推定値とを比較する。そして、後端傾きセンサー59によって検知された後端傾きと、第2の推定値とを比較する。そして、コントローラー301は、検知された傾きと推定値とが一致するタイミングを用紙Sの片寄り量の検知タイミングとして決定し、側端センサー58からの出力値に基づいて、用紙Sの片寄り量を検知する。
【0088】
図15に示す例では、コントローラー301は、側端センサー58の出力値の変化率から異なる2つの傾きを推定し、用紙の先端側の出力値から推定された第1の推定値と第1の傾きとが一致し、かつ、記録媒体の後端側の出力値から推定された第2の推定値と第2の傾きとが一致している。この場合、コントローラー301は、第2の推定値と第2の傾きとが一致するタイミングに、第2のセンサーが検知する側端センサーからの出力値に基づいて用紙の片寄り量を決定する。このようにすることにより、用紙の損傷などの少ない後端側傾きを基準として片寄り検知タイミングを決定することができ、用紙Sの片寄り検知の精度が向上する。
【0089】
好ましくは、コントローラー301は、用紙の搬送に伴った側端センサー58の出力値の変化率に応じて、側端センサー58の出力値の変化率から推定された傾きを、前端センサー157によって検知された傾き、および後端傾きセンサー59によって検知された傾きのいずれと一致したときに片寄り量を検知するかを決定する。このようにすることで、用紙の形状に応じて、より適切に片寄り量の検知タイミングを決定することができる。
【0090】
コントローラー301は、推定された用紙の主走査方向に対する傾きが、前端センサー157によって検知された傾きおよび後端傾きセンサー59によって検知された傾きの双方に一致しない場合には、用紙の片寄り量を検知しなくてもよい。このようにすることで、正確な片寄り量を検知できない用紙に対して、片寄り量を基準として後続の画像読取処理や画像補正処理を行うことを防ぐことができる。
【0091】
[3.小括]
以上のようにして、第3の実施の形態では、画像形成装置300は用紙後端の傾きを検知する後端傾きセンサーをさらに備える。コントローラー301は、検知された第1の傾きおよび第2の傾きの少なくとも一方と、推定された傾きとを比較して、片寄り検知タイミングを決定する。
【0092】
上記構成とすることにより、コントローラー301は、用紙の前端での傾きだけでなく、前端と比べて搬送経路内での損傷が少ない後端での傾きに基づいて片寄検知箇所を決定することが可能となり、より正確に用紙の片寄り量を検知することができる。
【0093】
<第4の実施の形態>
[1.概要]
以下、第4の実施の形態について説明する。第4の実施の形態では、ユーザーが搬送される用紙の片寄り量の検知対象の位置を設定可能な点で、上記実施の形態と異なる。なお、本実施形態に係る画像形成装置は、前述の実施の形態に係る画像形成装置100が備えるハードウェア構成と同様の構成によって実現される。したがって、それらの説明は繰り返さない。
【0094】
[2.詳細]
図16を参照して、第4の実施の形態に係る画像読取処理を説明する。
図16は、第4の実施の形態における画像読取処理の概要を示す図である。
【0095】
図16に示す例では、搬送経路42内を搬送される用紙の前端における端部が切断されている。ここで、側端XY間の搬送方向における距離が25mmとする。ユーザーは、操作パネル60を操作して、側端Bからさらに後端側の側端P(たとえば側端Bから搬送方向に20mm後端側の点)を片寄り量検知箇所として設定する。コントローラー401は、上記ユーザーの操作に基づいて設定された片寄り量検知箇所に対する側端センサー58の出力値に基づいて、用紙Sの片寄り量を検知する。
【0096】
[3.小括]
上記構成とすることにより、ユーザーは、搬送される用紙の形状に合わせて片寄り量検知箇所を設定することが可能なため、片寄り検知の精度が向上するとともに、片寄り量検知箇所を決定するためのコントローラーによる処理を省くことができ、後続の処理を円滑に行うことが可能となる。
【0097】
<他の実施形態>
なお、本開示に係る技術的思想の適用範囲は、上記実施形態に限定されない。例えば、第3の実施形態では、画像形成装置300は、前端センサー157と後端傾きセンサー59とを備えていたが、後端傾きセンサー59のみを備える構成としてもよい。この場合、コントローラー301は、用紙の搬送に伴う側端センサー58の出力値の変化率に基づいて推定された傾きと、後端傾きセンサー59によって検知された傾きとが一致する場合に、側端センサー58からの出力値に基づいて、用紙の片寄り量を検知する。
【0098】
また、第4の実施の形態において、ユーザーの片寄り量検知箇所を設定する際に、用紙の形状だけでなく、厚みも考慮できる構成としてもよい。たとえば、ユーザーが用紙の形状に応じて片寄り量検知箇所を設定した後に、用紙の厚みの種類を入力すると、コントローラー401は、当該種類に応じて片寄り量検知箇所を補正するような構成としてもよい。こうすることで、搬送における損傷をうけやすい薄紙に対して、より適切な位置で片寄り量を検知することが可能となる。このようにしても、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0099】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。