(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
蒸発燃料の流量増加に関して、第1増加率域のモードと前記第1増加率域よりも流量増加率が大きい第2増加率域のモードとを別々に実施するように、前記第1電磁弁と前記第2電磁弁とを個別に制御する制御装置(50)を備え、
前記制御装置は、前記第1増加率域のモード時に蒸発燃料が前記絞り通路を流下するように前記第1電磁弁と前記第2電磁弁とを制御し、前記第2増加率域のモード時に蒸発燃料が前記絞り通路よりも通路横断面積が大きい開放通路(34b2;31b2)を流下するように前記第1電磁弁と前記第2電磁弁とを制御する請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のパージ制御弁装置。
前記制御装置は、前記流出ポートから流出する蒸発燃料の流量をゼロである状態から増加させていく流量増加制御において、前記第1増加率域のモードを実施してから前記第2増加率域のモードを実施する請求項7または請求項8に記載のパージ制御弁装置。
前記制御装置は、蒸発燃料の濃度学習を実施するときに前記第1増加率域のモードを実施するように、前記第1電磁弁と前記第2電磁弁とを個別に制御する請求項7から請求項10のいずれか一項に記載のパージ制御弁装置。
前記制御装置は、騒音が想定可能な騒音発生条件が成立する場合に前記第1増加率域のモードを実施するように、前記第1電磁弁と前記第2電磁弁とを個別に制御する請求項7から請求項11のいずれか一項に記載のパージ制御弁装置。
前記第1電磁弁は、前記着座状態であるときに前記絞り通路となる通路と、前記絞り通路よりも通路横断面積が大きく前記離座状態であるときに蒸発燃料が流下する開放通路(31b2)とを備える請求項4から請求項12のいずれか一項に記載のパージ制御弁装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0013】
(第1実施形態)
第1実施形態について
図1〜
図5を参照しながら説明する。パージ制御弁装置は、車両に搭載される蒸発燃料パージシステムである蒸発燃料処理装置1に用いられる。パージバルブ3は、パージ制御弁装置の一例である。蒸発燃料処理装置1は、
図1に示すように、キャニスタ13に吸着した燃料中のHCガス等をエンジン2の吸気通路に供給する。これにより、燃料タンク10からの蒸発燃料が大気に放出されることを防止できる。蒸発燃料処理装置1は、内燃機関であるエンジン2の吸気通路を構成するエンジン2の吸気系と、蒸発燃料をエンジン2の吸気系に供給する蒸発燃料パージ系とを備える。
【0014】
エンジン2の吸気圧によって吸気通路に導入された蒸発燃料は、インジェクタ等からエンジン2に供給される燃焼用燃料と混合されてエンジン2の燃焼室で燃焼される。エンジン2は少なくともキャニスタ13から脱離された蒸発燃料と燃焼用燃料とを混合して燃焼する。エンジン2の吸気系は、吸気通路を構成する吸気管21が吸気マニホールド20に接続されている。この吸気系は、さらに吸気管21の途中にスロットルバルブ25、エアフィルタ24等が設けられて構成されている。
【0015】
蒸発燃料パージ系において燃料タンク10とキャニスタ13は、ベーパ通路を構成する配管11によって接続されている。蒸発燃料パージ系においてキャニスタ13と吸気管21は、パージ通路を構成する配管14とパージバルブ3とを介して接続されている。また、パージ通路の途中には、パージポンプを設けるように構成してもよい。エアフィルタ24は、吸気管21の上流部に設けられ、吸気中の塵や埃等を捕捉する。スロットルバルブ25は、吸気マニホールド20の入口部の開度を調節して、吸気マニホールド20内に流入する吸気量を調節する吸気量調節弁である。吸気は、吸気通路を通過して吸気マニホールド20内に流入し、インジェクタ等から噴射される燃焼用燃料と所定の空燃比となるように混合されて燃焼室で燃焼される。
【0016】
燃料タンク10は、例えばガソリン等の燃料を貯留する容器である。燃料タンク10は、ベーパ通路を形成する配管11によってキャニスタ13の流入部に接続されている。ORVRバルブ15は、燃料タンク10に設けられている。ORVRバルブ15は、燃料給油中に燃料タンク10内の蒸発燃料が給油口から大気中に排出されることを防止する。ORVRバルブ15は、燃料の液面高さに応じて位置が変位するフロート弁である。燃料タンク10内の燃料が少ない場合は、ORVRバルブ15は開弁し、給油時の圧力によってベーパを燃料タンク10からキャニスタ13へ排出する。燃料タンク10内に所定量以上の燃料が存在する場合は、ORVRバルブ15が燃料による浮力によって閉弁し、蒸発燃料がキャニスタ13へ流出することを防止する。
【0017】
キャニスタ13は、内部に活性炭等の吸着材が封入された容器である。キャニスタ13は、燃料タンク10内で発生する蒸発燃料を、ベーパ通路を介して取り入れて吸着材に一時的に吸着する。キャニスタ13には、バルブモジュール12が、一体に設けられまたはダクト部を介して設けられている。バルブモジュール12には、キャニスタクローズバルブと内部ポンプとを含んでいる。キャニスタクローズバルブは、外部の新鮮な空気を吸入するための吸入部を開閉する。キャニスタ13はキャニスタクローズバルブを備えることにより、キャニスタ13内に大気圧を作用させることができる。キャニスタ13は、吸入された新鮮な空気によって吸着材に吸着した蒸発燃料を容易に脱離可能、すなわちパージすることができる。
【0018】
パージバルブ3は、パージ通路の一部であるハウジング内のハウジング内部通路を開閉する複数の弁体を備えたパージ制御弁装置である。パージ制御弁装置は、複数の電磁弁を内部に有する。パージバルブ3は、キャニスタ13からの蒸発燃料をエンジン2へ供給することを許可および阻止できる。
【0019】
車両の走行時に、制御装置50によって流入ポート31aと流出ポート33aとが連通する状態に制御されると、ピストンの吸入作用によって発生する吸気マニホールド20内の負圧とキャニスタ13にかかる大気圧との差が生じる。この圧力差によって、キャニスタ13内に吸着された蒸気燃料は、パージ通路、パージバルブ3を流れ、吸気管21内を通じて吸気マニホールド20内に吸引される。
【0020】
吸気マニホールド20内に吸引された蒸発燃料は、インジェクタ等からエンジン2に供給される本来の燃焼用燃料と混合されて、エンジン2のシリンダ内で燃焼される。エンジン2のシリンダ内においては、燃焼用燃料と吸気との混合割合である空燃比が予め定めた所定の空燃比となるように制御される。制御装置50は、第1電磁弁34を通電のオン、オフにより制御する。制御装置50は、第2電磁弁35をデューティ通電制御する。制御装置50は、第1電磁弁34と第2電磁弁35とを適正に制御することにより、所定の空燃比が維持されるように蒸発燃料のパージ量を調節する。
【0021】
制御装置50は、少なくとも一つの演算処理装置(CPU)と、プログラムとデータとを記憶する記憶媒体としての少なくとも一つのメモリ装置とを有する。制御装置50は、例えばコンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を備えるマイクロコンピュータによって提供される。記憶媒体は、コンピュータによって読み取り可能なプログラムを非一時的に格納する非遷移的実体的記憶媒体である。記憶媒体は、半導体メモリまたは磁気ディスクなどによって提供されうる。制御装置50は、一つのコンピュータ、またはデータ通信装置によってリンクされた一組のコンピュータ資源によって提供されうる。プログラムは、制御装置50によって実行されることにより、制御装置50をこの明細書に記載される装置として機能させ、この明細書に記載される方法を実行するように制御装置50を機能させる。
【0022】
制御装置50が提供する手段および/または機能は、実体的なメモリ装置に記録されたソフトウェアおよびそれを実行するコンピュータ、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの組合せによって提供することができる。例えば、制御装置50がハードウェアである電子回路によって提供される場合、それは多数の論理回路を含むデジタル回路、またはアナログ回路によって提供することができる。
【0023】
近年、低燃費化によるエンジン負圧の減少傾向やハイブリッド車などのエンジン稼働時間の減少傾向により、パージバルブ3には大流量を調整可能な性能が要求されている。パージバルブ3の大流量化を実現しようとすると、パージバルブ3とキャニスタ13とを連結する流路において圧力の変動幅が大きくなりうる。圧力変動幅の増大は、脈動による配管の振動をもたらし車両における騒音の要因になる。また、パージバルブ3の大流量化の実現に伴い、ORVRバルブ15のばたつき音が発生しうる。パージバルブ3とキャニスタ13とを接続する配管14は、例えば車室内の床下に設けられている。このため、配管の振動による騒音、ORVRバルブ15のばたつき音は、車室内に伝わりやすい。そこで蒸発燃料処理装置1はキャニスタ側の流路における圧力変動幅やORVRバルブ15のばたつき音を抑制する効果を奏する。また、パージバルブ3の大流量化を実現しようとすると、流量制御の精度が低下することによって、蒸発燃料の濃度学習の精度が低下する傾向になる。そこで蒸発燃料処理装置1は、蒸発燃料の濃度学習の精度を確保する効果を奏する。
【0024】
パージバルブ3の構成について説明する。パージバルブ3は、ハウジングの内部に設けられた第1電磁弁34と第2電磁弁35とを有している。第1電磁弁34と第2電磁弁35は、パージバルブ3の内部において、上流側から下流側へ並ぶように配置されている。上流側は、図面においてUSによって示している。下流側は、図面においてDSによって示している。第1電磁弁34と第2電磁弁35は、パージバルブ3における弁体が変位する変位方向または弁体の軸方向に沿うように並んでいる。軸方向は、図面においてADによって示している。第1電磁弁34は、第2電磁弁35よりも上流側に位置している。第1電磁弁34は、パージバルブ3内の第1内部通路を開閉して第1内部通路における流路横断面積を調節する。第2電磁弁35は、パージバルブ3内の第2内部通路を開閉して第2内部通路における流路横断面積を調節する。流路横断面積は、流体が流れる方向に対して直交する面で通路を切断したときの通路の断面積のことである。
【0025】
第1内部通路と第2内部通路は、ハウジング内部通路に含まれる通路である。第1内部通路と第2内部通路は、ハウジング内の内部通路において、並列ではなく直列に配置されている。この実施形態では、第1内部通路はハウジング内部通路における上流側通路であり、第2内部通路はハウジング内の内部通路における下流側通路である。以下、第1内部通路は上流側通路に置き換え、第2内部通路は下流側通路に置き換えて説明する。
【0026】
パージバルブ3は、ハウジングとして、流入側ハウジング31と、流出側ハウジング33と、中間ハウジング32とを備えている。流入側ハウジング31、中間ハウジング32、流出側ハウジング33は、例えば樹脂材料によって形成されている。流入側ハウジング31は、キャニスタ13からの蒸発燃料が流入する流入ポート31aを備える。流入ポート31aは、蒸発燃料処理装置1においてパージ通路を形成する配管14に接続されている。流入ポート31aは、接続された配管14を介してキャニスタ13に連通している。流入側ハウジング31は、溶着または接着によって中間ハウジング32のフランジ部32bに結合されているフランジ部31bを備える。
【0027】
流入ポート31aは、内部に流体の流入通路31a1を有する管状部の一部であり、流入側ハウジング31の上流端部に位置する。この管状部の下流側部分は、下流に進むほど管径が大きくなっており、この下流側部分の内側に流入側チャンバ室が形成されている。流入側チャンバ室は、上流に位置する流入ポート31a内の通路よりも通路横断面積が大きく、下流に進むほど通路横断面積が大きくなっている。この管状部の下流端部には、放射状に突出するフランジ部31bが一体に形成されている。
【0028】
フランジ部31bは、下流側の面において第1弁座部31b1を有する。第1弁座部31b1は、第1電磁弁34の着座状態において第1弁体34bが接触する。フランジ部31bには、下流側の面から下流に向けて突出する流路絞り壁31cが設けられている。流路絞り壁31cは、盤状部34b1の外側に位置し、盤状部34b1の外周縁との間に隙間を形成するように設けられている。流路絞り壁31cは、盤状部34b1の外周縁に対して、全周を囲むように設けられる構成でもよいし、部分的に設けられる構成でもよい。
【0029】
盤状部34b1の外周縁と流路絞り壁31cとの隙間は、
図2に示すように、第1弁体34bの離座状態において、流体が流下する絞り通路31c1を構成する。パージバルブ3は、第1内部通路の流路横断面積を、第1弁体34bの着座状態よりも小さくする絞り通路31c1を備える。
【0030】
絞り通路31c1は、貫通穴34b2よりも通路横断面積が小さい通路を構成する。絞り通路31c1は、第1弁体34bの着座状態において流体が流下しないように構成されている。絞り通路31c1は、
図5に示す第1増加率域を実施する場合に、流体が流下するパージバルブ3内の上流側通路に相当する。
図2に示す離座状態であり第1増加率域を実施する場合には、第1弁体34bは固定コア343に接触している。
図2に示す離座状態は、第1弁体34bが固定コア343に着座する状態であるともいえる。この構成により、流体は、絞り通路31c1を流下し、貫通穴34b2を流下しない。
【0031】
中間ハウジング32は、軸方向に延びる筒状部32aと、筒状部32aの軸方向両端部に設けられたフランジ部32bおよびフランジ部32cとを備える。フランジ部32bは、筒状部32aの上流端部において径方向に放射状に突出する部分である。フランジ部32cは、筒状部32aの下流端部において径方向に放射状に突出する部分である。
【0032】
中間ハウジング32は、第1電磁弁34および第2電磁弁35を収容している。中間ハウジング32の内部には、上流側に第1電磁弁34が設けられ、下流側に第2電磁弁35が設けられている。中間ハウジング32の内周面と、第1電磁弁34や第2電磁弁35の外周面との間には、中間通路32a1が設けられている。中間通路32a1は、パージバルブ3内の上流側通路と下流側通路との間において、第1電磁弁34および第2電磁弁35の外側に位置する、筒状をなす通路である。中間通路32a1は、パージバルブ3内において、上流側通路や下流側通路に対して通路横断面積が大きい通路である。
【0033】
流出側ハウジング33は、吸気管21へ向けて蒸発燃料を流出する流出ポート33aと、流出ポート33aの上流側に管状部33cとを備える。流出ポート33aと管状部33cは、同軸に設けられている。流出ポート33aは、接続される配管を介して吸気管21内に連通している。流出側ハウジング33は、溶着または接着によって中間ハウジング32のフランジ部32cに結合されているフランジ部33bを備える。フランジ部33bは、流出ポート33aの上流端部において径方向に放射状に突出する部分である。
【0034】
流出ポート33aは、内部に流体の流出通路33a1を有する管状部であり、流出側ハウジング33の下流端部に位置する。流出ポート33aと管状部33cは、フランジ部33bによって連結されている。管状部33cの上流端部には、第2弁座部33c1が設けられている。第2弁座部33c1と第2弁体35bとの間は、流体が流出通路33a1へ向けて流通するパージバルブ3内の下流側通路に相当する。管状部33c内の通路は、上流端においてパージバルブ3内の上流側通路に連通し、下流端において流出通路33a1に連通している。管状部33cは、上流端に向かうほど管径が小さくなるように形成されている。管状部33c内の通路は、上流端に向かうほど通路横断面積が小さくなっている。
【0035】
パージバルブ3は、外部から流体が流入する1個の流入ポート31aと、流体が外部へ流出する1個の流出ポート33aとを備える。流入通路31a1に流入した流体のすべては、上流側通路、中間通路32a1、下流側通路を順に流れた後、流出通路33a1に流出する。第1電磁弁34と第2電磁弁35は、それぞれ、個別のソレノイド部および弁体を備え、個別の磁気回路を形成する。第1電磁弁34と第2電磁弁35は、コイル部に対する通電が制御装置50によって個別に制御される構成である。
【0036】
第1電磁弁34は、第1弁体34bと、第1弁体34bを変位させる電磁力を発生する第1ソレノイド部34aとを備える。第1弁体34bは、パージバルブ3内の上流側通路における流路抵抗を調節可能である。
図2に示す第1電磁弁34は、第1弁体34bが第1弁座部31b1から離間する離座状態に制御されている。第1弁体34bの離座状態は、
図5のグラフに示すような流体の流量増加率が小さい第1増加率域を実施するために制御される。第1弁体34bは、第1増加率域のモードを実施している間、離座状態に維持されている。
【0037】
図3に示す第1電磁弁34は、第1弁体34bが第1弁座部31b1に接触する着座状態に制御されている。第1弁体34bの着座状態は、
図5のグラフに示すような流体の流量増加率が第1増加率域よりも大きい第2増加率域を実施するために制御される。第1弁体34bは、第2増加率域のモードを実施している間、着座状態に維持されている。第1電磁弁34は、電圧の非印加時に着座状態になり、電圧の印加時に離座状態に制御される弁である。第1電磁弁34は、電圧の印加時に上流側通路を絞って小流量制御を実施し、電圧の非印加時に上流側通路を開放して大流量制御を実施するノーマルオープン式の弁である。流量増加率は、例えば単位時間あたりの流量の増加量、弁体の単位変位あたりの流量の増加量である。
【0038】
第1ソレノイド部34aは、コイル部340、ボビン341、可動コア342、固定コア343、ヨーク36、シャフト部353b、スプリング344等を備えている。第1ソレノイド部34aの中心軸は、第1電磁弁34の中心軸やパージバルブ3の中心軸に相当する。シャフト部353bは、軸支部材353の一部である。軸支部材353は、下流側端部に位置する環状盤部353aと、環状盤部353aの内周縁から上流側に向けて軸方向に延びるシャフト部353bとを備える。軸支部材353は、第1ソレノイド部34aと第2ソレノイド部35aとを同軸に支持する。
【0039】
可動コア342は磁気を通す材質、例えば磁性材料で構成されている。可動コア342は有底のカップ状体である。可動コア342は、可動コア342の内側に設置された状態のスプリング344を取り囲むように設けられている。スプリング344は、シャフト部353bと可動コア342との間に設けられている。スプリング344は、可動コア342をシャフト部353bから離れる方向に移動させる付勢力を提供する。スプリング344は、可動コア342を第1弁座部31b1側へ移動させようとする付勢力を提供する。
【0040】
第1弁体34bは、ゴム等の弾性変形可能な材質で形成された弁部を有する。第1弁体34bにおける弁部は、盤状部34b1の上流側面と下流側面のそれぞれにおいて全周にわたって環状に設けられている。盤状部34b1は、可動コア342の上流側端部に一体に設けられている。盤状部34b1の上流側面は、第1弁座部31b1に対して、軸方向に対向する面である。第2弁体35bは、可動コア352の下流側端部に設けられて可動コア352と一体である。盤状部34b1には、複数または単数の貫通穴34b2が設けられている。貫通穴34b2は、
図3に示すように、第1弁体34bの着座状態において、流体が流下可能な開放通路を構成する。パージバルブ3は、第1内部通路の流路横断面積を、第1弁体34bの離座状態よりも大きくする開放通路を備える。貫通穴34b2は、
図2に示すように、第1弁体34bの離座状態において、流体が流下しない流路を構成する。貫通穴34b2は、
図5に示す第2増加率域を実施する場合に、流体が流下するパージバルブ3内の上流側通路に相当する。
【0041】
固定コア343は、電磁力によってスプリング344の付勢力に抗して軸方向に移動する可動コア342を摺動可能に支持する。固定コア343は、ボビン341、コイル部340、ヨーク36、および軸支部材353に一体に設けられている。固定コア343、可動コア342、第1弁体34b、コイル部340、およびヨーク36は、軸心が同軸をなすように設置されている。
【0042】
ボビン341は、絶縁材料により形成されており、コイル部340と他の部分とを絶縁する機能を有する。固定コア343、可動コア342、シャフト部353b、ヨーク36は、磁気を通す材質で構成されている。ヨーク36は、軸方向の両端が開口する筒状部361と、筒状部361の内周面において環状に設けられた環状盤部362とを備える。環状盤部362は、コイル部340とコイル部350の間に位置している。コイル部340の通電時には、
図2において破線によって示された磁気回路が形成される。この磁気回路は、可動コア342をシャフト部353bに吸引する電磁力を発生させる。第1弁体34bは、この電磁力によって、着座状態から離座状態に切り換わる。第1電磁弁34における磁気回路は、固定コア343、可動コア342、シャフト部353b、環状盤部362、筒状部361を通る磁気によって形成される。第1弁体34bはコイル部340の通電時に発生する電磁力とスプリング344の付勢力とのバランスに応じて駆動されて、着座状態と離座状態とが切り換わる。
【0043】
ハウジングには、第1電磁弁34のコイル部340に通電するためのターミナルを内蔵する第1コネクタが設けられている。第1コネクタに内蔵されたターミナルは、コイル部340と電気的に接続されている通電用端子である。第1コネクタには、電源部や電流制御装置からの電力を供給するための電源側コネクタが接続される。第1コネクタと電源側コネクタとが接続されてターミナルが制御装置50等に電気的に接続される構成により、コイル部340に通電する電流を制御できる。
【0044】
第2電磁弁35は、第2弁体35bと、第2弁体35bを変位させる電磁力を発生する第2ソレノイド部35aとを備える。第2弁体35bは、パージバルブ3内の下流側通路を開閉可能な弁体である。
図2や
図3に示す第2電磁弁35は、第2弁体35bが第2弁座部33c1から離間する離座状態に制御されている。
【0045】
第2電磁弁35は、電圧の非印加時に下流側通路を閉じる閉状態になり電圧の印加時に下流側通路を開く開状態に制御されるノーマルクローズ式の弁である。制御装置50は、1周期の時間に対する通電オン時間の比率、すなわちデューティ比を制御して第2電磁弁35のコイル部350に通電を行う。制御装置50は、デューティ比を0%〜100%の範囲に制御する。デューティ通電制御により、パージバルブ3内の下流側通路を流通する蒸発燃料の流量は、デューティ比に比例して変化する。第2電磁弁35は、
図5のグラフに示す第1増加率域を実施しているときに、デューティ比が0%から100%まで徐々に増加するように制御される。第2電磁弁35は、
図5のグラフに示す第2増加率域を実施しているときに、デューティ比が所定値であるX%から100%まで徐々に増加するように制御される。X%は、0%から100%の間に設定された任意の値である。X%は、
図5に示すように第1増加率域から第2増加率域へ流量変化の連続性を確保できる値に設定されることが好ましい。
【0046】
第2ソレノイド部35aは、コイル部350、ボビン351、可動コア352、ヨーク36、環状盤部353a、シャフト部353b、スプリング354等を備えている。環状盤部353aは、第1ソレノイド部34aにおける固定コア343に対応する構成要素である。第2ソレノイド部35aの中心軸は、第2電磁弁35の中心軸やパージバルブ3の中心軸に相当する。
【0047】
可動コア352は磁気を通す材質、例えば磁性材料で構成されている。可動コア352は有底のカップ状体である。可動コア352は、可動コア352の内側に設置された状態のスプリング354を取り囲むように設けられている。スプリング354は、シャフト状部材355と可動コア352との間に設けられている。シャフト状部材355は、軸支部材353に圧入された状態で固定されている。スプリング354は、可動コア352をシャフト状部材355から離れる方向に移動させる付勢力を提供する。スプリング354は、可動コア352を第2弁座部33c1側へ移動させようとする付勢力を提供する。第2弁体35bは、ゴム等の弾性変形可能な材質で形成されている。第2弁体35bは、可動コア352の下流側端部に一体に設けられている。
【0048】
軸支部材353は、電磁力によってスプリング354の付勢力に抗して軸方向に移動する可動コア352を摺動可能に支持する。軸支部材353は、ボビン351、コイル部350、ヨーク36、およびシャフト状部材355に一体に設けられている。軸支部材353、可動コア352、第2弁体35b、コイル部350、およびヨーク36は、軸心が同軸をなすように設置されている。
【0049】
ボビン351は、絶縁材料により形成されており、コイル部350と他の部分とを絶縁する機能を有する。軸支部材353、可動コア352、およびヨーク36は、磁気を通す材質で構成されている。コイル部350の通電時には、
図2や
図3において破線によって示された磁気回路が形成される。この磁気回路は、可動コア352をシャフト状部材355に吸引する電磁力を発生させる。第2弁体35bは、この電磁力によって、着座状態から離座状態に切り換わる。第2電磁弁35における磁気回路は、環状盤部353a、可動コア352、シャフト部353b、環状盤部362、筒状部361を通る磁気によって形成される。第2弁体35bはコイル部350の通電時に発生する電磁力とスプリング354の付勢力とのバランスに応じて駆動されて、着座状態と離座状態とが切り換わる。
【0050】
ハウジングには、第2電磁弁35のコイル部350に通電するためのターミナルを内蔵する第2コネクタが設けられている。第2コネクタに内蔵されたターミナルは、コイル部350と電気的に接続されている通電用端子である。第2コネクタには、電源部や電流制御装置からの電力を供給するための電源側コネクタが接続される。第2コネクタと電源側コネクタとが接続されてターミナルが制御装置50等に電気的に接続される構成により、コイル部350に通電する電流を制御できる。
【0051】
図4のフローチャートを参照してパージ弁制御装置の作動を説明する。制御装置50は、
図4のフローチャートにしたがった処理を実行する。本フローチャートは、蒸発燃料をエンジン2へ向けて流下させる場合に開始する。第2電磁弁35は、デューティ比を0%から徐々に増加していくデューティ通電によって制御される。
【0052】
本フローチャートが開始されると、制御装置50は、ステップS100で蒸発燃料の濃度学習を行う状態か否かを判定する。ステップS100で濃度学習を行う状態であると判定すると、制御装置50は、ステップS120で第1電磁弁34が通電状態であるか否かを判定する。ステップS120で第1電磁弁34が通電状態であると判定すると、再びステップS100に戻り、ステップS100の判定処理を実行する。ステップS120で第1電磁弁34が通電状態でないと判定すると、ステップS125で第1電磁弁34を通電状態に制御し、ステップS100の判定処理を実行する。
【0053】
ステップS100で濃度学習を行う状態でないと判定すると、制御装置50は、ステップS110で騒音発生条件が成立するか否かを判定する。騒音発生条件は、蒸発燃料が流れる通路における圧力変動やORVRバルブ15のばたつき音の発生に伴って騒音の発生が想定できる、予め設定された条件である。騒音発生条件は、例えば、現在の車速が所定速度以下である場合に成立すると設定することができる。この場合、制御装置50は、車速センサ61によって検出される車速情報に基づいて現在の車速を取得する。車速センサ61は、車両の走行制御や車両の走行に必要な冷却系統等の制御を行う車両ECU60に車速情報を出力し、車速情報は車両ECU60から制御装置50に出力される。所定速度は、実験結果または経験則に基づいて設定されることが好ましく、騒音が走行音にかき消されて車室内の乗員に認識しにくいような車速に設定されるものとする。現在の車速が所定速度を下回っている場合に騒音発生条件の成立を設定することにより、車速が小さく走行音が小さいときに発生しやすい騒音を抑えることができる。
【0054】
例えば、車両の停止時、低速走行時、エンジン2のアイドリング状態などに該当すると、制御装置50は、ステップS110で騒音発生条件が成立すると判定する。ステップS110で騒音発生条件が成立すると判定すると、ステップS120に進み、ステップS120の判定処理を実行する。
【0055】
ステップS120からステップS100に戻る流れ、ステップS125を実行後にステップS100に戻る流れは、
図5の第1増加率域のモードを実施する。第1増加率域のモード時は、流体の流量増加率が小さいため、蒸発燃料の濃度学習精度の向上を図ることができる。第1増加率域のモードによれば、流量増加率が一定である電磁弁に比べて、小流量域における流量変化を小さくすることができる。さらに第1増加率域のモード時は、小流量を実施できるため、脈動の低減を図り、騒音を抑制する効果が得られる。さらに第1増加率域のモード時は、流体流量が抑えられるため、ORVRバルブ15のばたつき低減を図り、騒音を抑制する効果が得られる。
【0056】
ステップS110で騒音発生条件が成立しないと判定すると、制御装置50は、ステップS130で第2電磁弁35のデューティ比が100%に達したか否かを判定する。ステップS130でデューティ比が100%に達していないと判定すると、ステップS100に戻り、ステップS100の判定処理を実行する。ステップS130でデューティ比が100%に達していると判定すると、ステップS140で第1電磁弁34が通電状態であるか否かを判定する。
【0057】
ステップS140で第1電磁弁34が通電状態でないと判定すると、ステップS100に戻り、ステップS100の判定処理を実行する。ステップS140で第1電磁弁34が通電状態であると判定すると、制御装置50は、ステップS150で第1電磁弁34を非通電状態に制御する。制御装置50は、ステップS160において、所定値であるX%に第2電磁弁35のデューティ比を低下させ、ステップS100に戻る。制御装置50は、第2電磁弁35のデューティ比を所定値から100%に向けて徐々に増加していく制御を実行する。ステップS150、S160の処理により、パージバルブ3が制御する流体流量を
図5に示すように第1増加率域から第2増加率域へ滑らかに移行させることができる。
【0058】
フローチャートにおいて第1電磁弁34が通電状態でない状態は、
図5に図示する第2増加率域のモードを実施している。第2増加率域のモード時は、上流側通路の流路抵抗を小さくするため、大流量化を促進する。第2増加率域のモードによれば、流量増加率が一定である電磁弁に比べて、大きな流量域における流量変化を大きくすることができる。このため、騒音が発生しにくい状態において迅速に流体流量を増加でき、エンジン2の出力要求を満たす運転を実現できる。
図4のフローチャートに従った制御によれば、
図5のように、脈動等に起因する騒音を抑制するとともに、大流量化も図れる流量制御を提供できる。
【0059】
また、制御装置50は、ステップS110で現在のエンジン2の回転数が所定回転数を下回っている場合に騒音発生条件が成立すると判定してもよい。この判定処理を採用する場合、所定回転数は、実験結果または経験則に基づいて設定されることが好ましく、騒音がエンジン音にかき消されて乗員に認識されにくいような回転数に設定されるものとする。現在のエンジン2の回転数が所定回転数を下回っている場合に騒音発生条件の成立を設定することにより、エンジン回転数が小さく静かなときに、圧力変動等に伴う音が騒音になることを抑えることができる。
【0060】
第1実施形態のパージバルブ3によって例示されたパージ制御弁装置がもたらす作用効果について説明する。パージ制御弁装置は、流入ポート31aと流出ポート33aとを連絡するハウジング内部通路を有するハウジングを備える。パージ制御弁装置は、第1内部通路を開閉して蒸発燃料の流量を制御する第1電磁弁34と、第2内部通路を開閉して蒸発燃料の流量を制御する第2電磁弁35とを備える。第1内部通路と第2内部通路は、ハウジング内部通路において直列に配置されている。第1電磁弁34と第2電磁弁35は個別に動作するように制御される構成である。第1電磁弁34は、第1弁体34bが第1弁座部31b1に接触する着座状態と第1弁座部31b1から離間する離座状態とを切り換える。パージ制御弁装置は、着座状態と離座状態のうち、一方の状態で蒸発燃料が流下する流量が他方の状態で蒸発燃料が流下する流量よりも小流量となる絞り通路31c1を有する。
【0061】
これによれば、第1内部通路を流下する蒸発燃料が、他方の状態のときに大きな流量になり、一方の状態のときに小流量になる絞り通路31c1を備えるパージ制御弁装置を提供できる。パージ制御弁装置は、小流量特性を得たい場合や脈動抑制を図りたい場合に一方の状態に設定し、流量を確保したい場合に他方の状態に設定するように、着座状態と離座状態との切り換えが可能になる。このように小流量特性と大流量特性とを獲得でき、流量特性の改善が図れるパージ制御弁装置が得られる。
【0062】
パージ制御弁装置は、第1弁体における着座状態と離座状態のうち、一方の状態における第1内部通路の流路横断面積が他方の状態における第1内部通路の流路横断面積よりも小さくなる絞り通路31c1を有する。これによれば、第1内部通路の流路横断面積が、他方の状態のときに大きく、一方の状態のときに小さくなる絞り通路31c1を備えるパージ制御弁装置を提供できる。パージ制御弁装置は、小流量特性を得たい場合や脈動抑制を図りたい場合に一方の状態に設定し、流量を確保したい場合に他方の状態に設定するように、第1内部通路の流路横断面積を切り換えることができる。パージ制御弁装置は、小流量特性と大流量特性とを獲得でき、流量特性の改善を図ることができる。
【0063】
パージ制御弁装置において第1内部通路は、第2内部通路よりも上流側に配置されている。この構成によれば、ハウジング内部通路のうち、上流側において流路を可変させる構成を備え、下流側において流路を開閉する構成を採用することができる。これにより、圧力損失を抑え、第2電磁弁35に関する構成や制御を簡単化できるパージ制御弁装置を提供できる。
【0064】
パージバルブ3は、離座状態のときに絞り通路として機能する通路と、絞り通路よりも通路横断面積が大きく着座状態のときに蒸発燃料が流下する開放通路とを備える。パージバルブ3によれば、離座状態で絞り通路を流下する蒸発燃料が小流量になり、着座状態で大流量の蒸発燃料を開放通路に流下させるパージ制御弁装置を提供できる。パージバルブ3は、脈動抑制を図りたい場合に離座状態に設定し、流量を確保したい場合に着座状態に設定するように、着座状態と離座状態とを切り換えることができる。パージバルブ3は、脈動抑制と流量確保とを両立できるパージ制御弁装置を提供する。
【0065】
制御装置50は、蒸発燃料の流量増加について、第1増加率域のモードと第1増加率域よりも流量増加率が大きい第2増加率域のモードとを別々に実施するように、第1電磁弁34と第2電磁弁35とを個別に制御する。制御装置50は、第1増加率域のモード時に蒸発燃料が絞り通路を流下するように、第1電磁弁34と第2電磁弁35とを制御する。制御装置50は、第2増加率域のモード時に蒸発燃料が絞り通路よりも通路横断面積が大きい開放通路を流下するように、第1電磁弁34と第2電磁弁35とを制御する。この制御によれば、第1増加率域のモードと第2増加率域のモードとを適切なタイミングで切り換えることにより、脈動抑制と流量確保とを両立できるパージ制御弁装置を提供できる。パージバルブ3は、広範囲の流量が得られ、流量特性の改善を図ることができる。
【0066】
制御装置50は、流出ポート33aから流出する蒸発燃料の流量をゼロである状態から増加させていく流量増加制御において、第1増加率域のモードを実施してから第2増加率域のモードを実施する。この制御によれば、パージ開始時から、脈動やORVRバルブ15のばたつきを抑制でき、さらにパージの大流量性能を発揮できるパージ制御弁装置を提供できる。
【0067】
制御装置50は、通電のオン、オフにより第1電磁弁34を制御し、印加電圧のデューティ比を制御することにより第2電磁弁35を制御する。制御装置50は、第1増加率域のモードにおいて、印加電圧のデューティ比を上昇するように第2電磁弁を制御する。制御装置50は、第1増加率域のモードから第2増加率域のモードに移行するときに印加電圧のデューティ比を一旦低下させてから、第2増加率域のモードにおいて印加電圧のデューティ比を上昇するように第2電磁弁35を制御する。これによれば、第1増加率域のモードから第2増加率域のモードへの移行の際に、流出ポート33aから流出する蒸発燃料の流量が大きく変動しないパージ制御を実施できる。
【0068】
制御装置50は、蒸発燃料の濃度学習を実施するときに第1増加率域のモードを実施するように、第1電磁弁34と第2電磁弁35とを個別に制御する。この制御によれば、流量変化が小さい状態で蒸発燃料の濃度学習を実施できる。これにより、脈動抑制と流量確保とを両立でき、さらに濃度学習の精度を向上できるパージ制御弁装置を提供できる。
【0069】
制御装置50は、騒音が想定可能な騒音発生条件が成立する場合に第1増加率域のモードを実施するように、第1電磁弁34と第2電磁弁35とを個別に制御する。この制御によれば、脈動やORVRバルブ15のばたつきに起因する騒音が発生し得る状態で第1増加率域のモードを実施できる。これにより、より効率的に騒音抑制が図れるとともに、流量確保を実現するパージ制御弁装置を提供できる。
【0070】
(第2実施形態)
第2実施形態について
図6〜
図8を参照して説明する。第2実施形態のパージバルブ103は、第1実施形態に対して第1電磁弁134が相違する。第1電磁弁134は、電圧の非印加時に上流側通路を絞って小流量制御を実施し、電圧の印加時に上流側通路を開放して大流量制御を実施するノーマルクローズ式の弁である。第2電磁弁135は、第2電磁弁35に対して、同様の構成、同様の作動である。第2実施形態において特に説明しない構成、作用、効果については、第1実施形態と同様であり、以下、異なる点についてのみ説明する。第1実施形態における第1電磁弁34に関する記載は、第1電磁弁34を第1電磁弁134に置き換えることによって第2実施形態において援用できる。第1実施形態における第2電磁弁35に関する記載は、第2電磁弁35を第2電磁弁135に置き換えることによって第2実施形態において援用できる。
【0071】
パージバルブ103の構成について説明する。パージバルブ103は、ハウジングの内部に設けられた第1電磁弁134と第2電磁弁135とを有している。第1電磁弁134と第2電磁弁135は、パージバルブ103の内部において、上流側から下流側へ並ぶように配置されている。第1電磁弁134と第2電磁弁135は、パージバルブ103における弁体が変位する変位方向または弁体の軸方向に沿うように並んでいる。第1電磁弁134は、第2電磁弁135よりも上流側に位置している。第1電磁弁134は、パージバルブ103内の上流側通路における流路横断面積を調節する。第2電磁弁135は、パージバルブ103内の下流側通路における流路横断面積を調節する。
【0072】
第1弁座部31b1は、第1電磁弁134の着座状態において第1弁体34bが接触する。流入側ハウジング131のフランジ部31bには、第1実施形態のような流路絞り壁31cが設けられていない。したがって、パージバルブ103は、第1実施形態の絞り通路31c1を備えていない。
【0073】
盤状部134b1は、可動コア342の上流側端部に一体に設けられている。盤状部134b1の上流側面は、第1弁座部31b1に対して、軸方向に対向する面である。盤状部134b1には、複数または単数の貫通穴134b2が設けられている。貫通穴134b2は、
図6に示すように、第1弁体34bの着座状態において、流体が流下可能な流路を構成する。貫通穴134b2は、
図7に示すように、第1弁体34bの離座状態において、流体が流下しない流路を構成する。貫通穴134b2は、
図5に示す第1増加率域を実施する場合に、流体が流下するパージバルブ103内の上流側通路に相当する。
【0074】
貫通穴134b2は、
図7に示す離座状態において第1弁体34bと第1弁座部31b1との間に形成された通路31b2よりも通路横断面積が小さい通路を構成する。貫通穴134b2は、第1弁体34bの着座状態において、流体が流下する絞り通路を構成する。パージバルブ103は、第1内部通路の流路横断面積を、第1弁体34bの離座状態よりも小さくする絞り通路を備える。貫通穴134b2は、第1弁体34bの離座状態において流体が流下しないように構成されている。貫通穴134b2は、
図5に示す第1増加率域を実施する場合に、流体が流下するパージバルブ103内の上流側通路に相当する。貫通穴134b2は、第1増加率域のモード時に蒸発燃料が流下する絞り通路として機能する。通路31b2は、第1弁体34bが離座状態であるときに蒸発燃料が流下する開放通路を構成する。パージバルブ103は、第1内部通路の流路横断面積を、第1弁体34bの着座状態よりも大きくする開放通路を備える。通路31b2は、第2増加率域のモード時に蒸発燃料が流下する開放通路として機能する。
【0075】
第1電磁弁134と第2電磁弁135は、それぞれ、個別のソレノイド部および弁体を備え、個別の磁気回路を形成する。第1電磁弁134と第2電磁弁135は、コイル部に対する通電が制御装置50によって個別に制御される構成である。
【0076】
第1電磁弁134は、第1弁体34bと、第1弁体34bを変位させる電磁力を発生する第1ソレノイド部34aとを備える。第1弁体34bは、パージバルブ103内の上流側通路における流路抵抗を調節可能である。
図6に示す第1電磁弁134は、第1弁体34bが第1弁座部31b1に接触する着座状態に制御されている。第1弁体34bの着座状態は、
図5のグラフに示すような流体の流量増加率が小さい第1増加率域を実施するために制御される。
図7に示す第1電磁弁134は、第1弁体34bが第1弁座部31b1から離間する離座状態に制御されている。第1弁体34bの離座状態は、
図5のグラフに示すような流体の流量増加率が第1増加率域よりも大きい第2増加率域を実施するために制御される。第1電磁弁134は、電圧の印加時に離座状態になり、電圧の非印加時に着座状態に制御される弁である。
【0077】
図6や
図7に示す第2電磁弁135は、第2弁体35bが第2弁座部33c1から離間する離座状態に制御されている。第2電磁弁135は、電圧の非印加時に下流側通路を閉じる閉状態になり電圧の印加時に下流側通路を開く開状態に制御されるノーマルクローズ式の弁である。制御装置50は、デューティ比を制御して第2電磁弁135のコイル部350に通電を行う。
【0078】
図8のフローチャートを参照してパージ弁制御装置の作動を説明する。制御装置50は、
図8のフローチャートにしたがった処理を実行する。第2電磁弁135は、デューティ比を0%から徐々に増加していくデューティ通電によって制御される。
図8に示すS200、S210、S230、S260は、
図4に示すS100、S110、S130、S160と同様の処理であり、第1実施形態の説明を援用する。
【0079】
ステップS200で濃度学習を行う状態であると判定すると、制御装置50は、ステップS220で第1電磁弁134が非通電状態であるか否かを判定する。ステップS220で第1電磁弁134が非通電状態であると判定すると、再びステップS200に戻り、ステップS200の判定処理を実行する。ステップS220で第1電磁弁134が通電状態であると判定すると、ステップS225で第1電磁弁134を非通電状態に制御し、ステップS200の判定処理を実行する。
【0080】
ステップS200で濃度学習を行う状態でないと判定し、さらにステップS210で騒音発生条件が成立すると判定すると、ステップS220の判定処理を実行する。ステップS220からステップS200に戻る流れ、ステップS225を実行後にステップS200に戻る流れは、
図5の第1増加率域のモードを実施する。第1増加率域のモード時は、流体の流量増加率が小さいため、蒸発燃料の濃度学習精度の向上が図れる。第1増加率域のモード時は、流体流量が抑えられるため、脈動の低減を図り、騒音を抑制する効果が得られる。第1増加率域のモード時は、流体流量が抑えられるため、ORVRバルブ15のばたつき低減を図り、騒音を抑制する効果が得られる。
【0081】
ステップS230でデューティ比が100%に達していると判定すると、ステップS240で第1電磁弁134が非通電状態であるか否かを判定する。ステップS240で第1電磁弁34が非通電状態でないと判定すると、ステップS200に戻り、ステップS200の判定処理を実行する。ステップS240で第1電磁弁134が非通電状態であると判定すると、制御装置50は、ステップS250で第1電磁弁134を通電状態に制御する。制御装置50は、ステップS260において、所定値であるX%に第2電磁弁135のデューティ比を低下させ、ステップS200に戻る。制御装置50は、第2電磁弁135のデューティ比を所定値から100%に向けて徐々に増加していく制御を実行する。ステップS250、S260の処理により、パージバルブ103が制御する流体流量を
図5に示すように第1増加率域から第2増加率域へ滑らかに移行させることができる。
【0082】
フローチャートにおいて第1電磁弁134が非通電状態でない状態は、
図5に図示する第2増加率域のモードを実施している。第2増加率域のモード時は、大流量化を促進するため、流量増加率が一定である電磁弁に比べて、大きな流量域における流量変化を大きくすることができる。
図8のフローチャートに従った制御によれば、
図5のように、脈動等に起因する騒音を抑制するとともに、大流量化も図れる流量制御を提供できる。
【0083】
第2実施形態の装置は、着座状態のときに絞り通路となる通路と、絞り通路よりも通路横断面積が大きく離座状態のときに蒸発燃料が流下する開放通路とを備える。パージバルブ103によれば、着座状態で絞り通路を流下する蒸発燃料が小流量になり、離座状態で大流量の蒸発燃料を開放通路に流下させるパージ制御弁装置を提供できる。パージバルブ103は、脈動抑制を図りたい場合に着座状態に設定し、流量を確保したい場合に離座状態に設定するように、着座状態と離座状態とを切り換えることができる。パージバルブ103は、小流量特性、脈動抑制効果、大流量確保を実現するパージ制御弁装置を提供する。パージバルブ103は、広範囲の流量が得られ、流量特性の改善を図ることができる。
【0084】
(第3実施形態)
第3実施形態のパージバルブ203について
図9〜
図10を参照して説明する。パージバルブ203は、第1実施形態に対して、第1弁体34bと一体に軸方向に移動する第2弁体規制部材345を備える点が相違する。第2弁体規制部材345は、第1電磁弁234の可動コア342に結合して、可動コア342とともに軸方向に変位する。第2弁体規制部材345は、第2電磁弁235の可動コア352が離座方向に移動可能な距離を制限することができる。第2弁体規制部材345は、電磁力に応じて第1弁体34bと一体となって移動して、第2弁体35bの変位可能幅を可変させる機能を発揮する。また第2弁体規制部材345と可動コア342は、一つの部品として構成されてもよい。
【0085】
第1電磁弁234は、電圧の印加時に上流側通路を絞って小流量制御を実施し、電圧の非印加時に上流側通路を開放して大流量制御を実施するノーマルオープン式の弁である。第2電磁弁235は、第2電磁弁35と同様にノーマルクローズ式の弁である。第3実施形態において特に説明しない構成、作用、効果については、第1実施形態と同様であり、以下、異なる点についてのみ説明する。
【0086】
パージバルブ203の構成について説明する。パージバルブ203は、ハウジングの内部に設けられた第1電磁弁234と第2電磁弁235とを有している。第1電磁弁234と第2電磁弁235は、パージバルブ203の内部において、上流側から下流側へ並ぶように配置されている。第1電磁弁234と第2電磁弁235は、パージバルブ203における弁体が変位する変位方向または弁体の軸方向に沿うように並んでいる。第1電磁弁234は、第2電磁弁235よりも上流側に位置している。第1電磁弁234は、パージバルブ203内の上流側通路における流路横断面積を調節する。第2電磁弁235は、パージバルブ203内の下流側通路における流路横断面積を調節する。
【0087】
第1電磁弁234と第2電磁弁235は、それぞれ、個別のソレノイド部および弁体を備え、個別の磁気回路を形成する。第1電磁弁234と第2電磁弁235は、コイル部に対する通電が制御装置50によって個別に制御される構成である。第1電磁弁234は、第1弁体34bと、第1弁体34bを変位させる電磁力を発生する第1ソレノイド部234aとを備える。第1弁体34bは、パージバルブ203内の上流側通路における流路抵抗を調節可能である。
【0088】
図9に示す第1電磁弁234は、第1弁体34bが第1弁座部31b1から離間する離座状態に制御されている。第1弁体34bの離座状態は、第1増加率域を実施するために制御される。
図9に示す状態は、
図5に示す第1増加率のモードを開始する状態を示している。
図10に示す第1電磁弁234は、第1弁体34bが第1弁座部31b1に接触する着座状態に制御されている。第1弁体34bの着座状態は、第2増加率域を実施するために制御される。
図10に示す状態は、
図5に示す第2増加率のモードを開始する状態を示している。第1電磁弁234は、電圧の印加時に離座状態になり、電圧の非印加時に着座状態に制御される弁である。
【0089】
第1弁体34bの離座状態では、可動コア342とともに第2弁体規制部材345は
図10に示す着座状態よりも第2弁座部33c1寄りに位置する。これにより、可動コア352は、
図10に示す着座状態よりも第2弁座部33c1寄りに位置する。第1弁体34bの離座状態では、第1弁体34bの着座状態よりも、電磁力の作用によって第2弁体35bが変位できる変位可能幅が小さくなる。第1増加率のモードを実施する第1弁体34bの離座状態は、第2弁体35bが着座するまでに移動できるストローク量が第2増加率のモードを実施する着座状態よりも短い。パージバルブ203内の第2内部通路における流路横断面積は、
図9に示す状態よりも
図10に示す状態の方が大きくなっている。第2弁体規制部材345は、絞り通路31c1が形成される一方の状態の方が他方の状態よりも第2弁体35bを第2弁座部33c1に接近する状態にする。
【0090】
図9や
図10に示す第2電磁弁235は、第2弁体35bが第2弁座部33c1から離間する離座状態に制御されている。第2電磁弁235は、電圧の非印加時に下流側通路を閉じる閉状態になり電圧の印加時に下流側通路を開く開状態に制御されるノーマルクローズ式の弁である。制御装置50は、デューティ比を制御して第2電磁弁235のコイル部350に通電を行う。
【0091】
第1ソレノイド部234aは、コイル部340、ボビン341、可動コア342、固定コア346、ヨーク347、シャフト部37c、スプリング344等を備えている。第1ソレノイド部234aの中心軸は、第1電磁弁234の中心軸やパージバルブ203の中心軸に相当する。第1ソレノイド部234aの中心軸は、第2弁体規制部材345の中心軸でもある。シャフト部37cは、第2弁体規制部材345を軸方向に摺動可能に支持している。シャフト部37cは、筒状体である。シャフト部37cは、その内周面が第2弁体規制部材345の外周面に摺動するように、第2弁体規制部材345を軸方向に摺動可能に支持している。第2弁体規制部材345は、例えば、金属、樹脂などによって形成されている。
【0092】
シャフト部37cは、軸支部材37の一部である。軸支部材37はシャフト部37cと、シャフト部37cよりも外径の大きい外筒部37aと、シャフト部37cと外筒部37aとを連結する環状盤部37bとを備える。外筒部37aは、第1ソレノイド部234aと第2ソレノイド部235aとを同軸に支持する。軸支部材37は、パージバルブ203において、例えばハウジングに固定されている。中間ハウジング32の内周面と、外筒部37aの外周面との間には、中間通路32a1が設けられている。
【0093】
スプリング344は、シャフト部37cと可動コア342との間に設けられている。スプリング344は、可動コア342をシャフト部37cから離れる方向に移動させる付勢力を提供する。軸支部材37は、例えば、樹脂などによって形成されている。
【0094】
固定コア346は、電磁力によってスプリング344の付勢力に抗して軸方向に移動する可動コア342を摺動可能に支持する。固定コア346は、軸方向の両端が開口する筒状部346bと、筒状部346bの上流側端部においてフランジ状に設けられた環状盤部346aとを備える。筒状部346bは、内周面において可動コア342を摺動可能に支持している。筒状部346bの外周面には、ボビン341を介してコイル部340が巻回されている。環状盤部346aは軸支部材37の外筒部37aが係合している。固定コア346は、ボビン341、コイル部340、ヨーク347、および軸支部材37に一体に設けられている。ヨーク347は、筒状部347bと、筒状部347bの下流側端部の内周面から中心側に延びる環状盤部347aとを備える。固定コア346、可動コア342、第1弁体34b、コイル部340、およびヨーク347は、軸心が同軸をなすように設置されている。
【0095】
固定コア346、可動コア342、ヨーク347は、磁気を通す材質で構成されている。コイル部340の通電時には、
図9において破線によって示された磁気回路が形成される。この磁気回路は、可動コア342をシャフト部37cに吸引する電磁力を発生させる。第1電磁弁234の第1弁体34bは、この電磁力によって着座状態から離座状態に切り換わる。第1電磁弁234における磁気回路は、環状盤部346a、可動コア342、筒状部346b、環状盤部347a、筒状部347bを通る磁気によって形成される。第1弁体34b、可動コア342、第2弁体規制部材345は、通電時に発生する電磁力とスプリング344の付勢力とのバランスに応じて軸方向に駆動される。
【0096】
第2電磁弁235は、第2弁体35bと、第2弁体35bを変位させる電磁力を発生する第2ソレノイド部235aとを備える。制御装置50は、デューティ比を制御して第2電磁弁235のコイル部350に通電を行う。第2電磁弁235は、第1増加率域のモードを実施しているときに、デューティ比が0%から100%まで徐々に増加するように制御される。第2電磁弁235は、第2増加率域のモードを実施しているときに、デューティ比が所定値であるX%から100%まで徐々に増加するように制御される。
【0097】
第2ソレノイド部235aは、コイル部350、ボビン351、可動コア352、固定コア356、ヨーク357、シャフト部37c、スプリング354等を備えている。第2ソレノイド部235aの中心軸は、第2電磁弁235の中心軸やパージバルブ203の中心軸に相当する。第2ソレノイド部235aの中心軸は、第2弁体規制部材345の中心軸でもある。スプリング354は、シャフト部37cと可動コア352との間に設けられている。スプリング354は、可動コア352をシャフト部37cから離れる方向に移動させる付勢力を提供する。
【0098】
固定コア356は、電磁力によってスプリング354の付勢力に抗して軸方向に移動する可動コア352を摺動可能に支持する。固定コア356は、軸方向の両端が開口する筒状部356bと、筒状部356bの上流側端部においてフランジ状に設けられた環状盤部356aとを備える。筒状部356bは、内周面において可動コア352を摺動可能に支持している。筒状部356bの外周面には、ボビン351を介してコイル部350が巻回されている。環状盤部356aは軸支部材37の外筒部37aが係合している。固定コア356は、ボビン351、コイル部350、ヨーク357、および軸支部材37に一体に設けられている。ヨーク357は、筒状部357bと、筒状部357bの下流側端部の内周面から中心側に延びる環状盤部357aとを備える。固定コア356、可動コア352、第2弁体35b、コイル部350、およびヨーク357は、軸心が同軸をなすように設置されている。
【0099】
固定コア356、可動コア352、ヨーク357は、磁気を通す材質で構成されている。コイル部350の通電時には、
図9や
図10において破線によって示された磁気回路が形成される。この磁気回路は、可動コア352をシャフト部37cに吸引する電磁力を発生させる。第2電磁弁235の第2弁体35bは、この電磁力によって着座状態から離座状態に切り換わる。第2電磁弁235における磁気回路は、環状盤部356a、可動コア352、筒状部356b、環状盤部357a、筒状部357bを通る磁気によって形成される。第2弁体35b、可動コア352は、通電時に発生する電磁力とスプリング354の付勢力とのバランスに応じて軸方向に駆動される。
【0100】
制御装置50は、第1実施形態と同様に、
図4のフローチャートにしたがった処理を実行することにより、パージバルブ203を制御する。第1実施形態における
図4のフローチャートに係る処理の説明は、第1電磁弁34および第2電磁弁35を、第1電磁弁234および第2電磁弁235に読み替えて援用する。
【0101】
第3実施形態のパージバルブ203によって例示されたパージ制御弁装置がもたらす作用効果について説明する。パージバルブ203は、離座状態のときに絞り通路となる通路と、絞り通路よりも通路横断面積が大きく着座状態のときに蒸発燃料が流下する開放通路とを備える。パージバルブ203によれば、離座状態で絞り通路を流下する蒸発燃料が小流量になり、着座状態で大流量の蒸発燃料を開放通路に流下させるパージ制御弁装置を提供できる。パージバルブ203は、小流量特性を得たい場合や脈動抑制を図りたい場合に一方の状態に設定し、流量を確保したい場合に他方の状態に設定するように、着座状態と離座状態との切り換えが可能になる。このようにパージバルブ203は、小流量特性と大流量特性とを獲得して流量特性の改善が図れるパージ制御弁装置を提供する。
【0102】
パージバルブ203は、第1弁体34bの着座状態と離座状態とに応じて、第2弁体35bと第2弁座部33c1の軸方向距離を変化させる第2弁体規制部材345を備える。この構成によれば、第2弁体35bが着座するまでに移動可能なストローク量を、第2増加率のモード時よりも第1増加率のモード時の方が小さくできる。これにより、第1増加率のモード時に細かな流量変化や滑らかな流量変化を実現可能である。パージバルブ203は、流体流量を第1増加率域から第2増加率域へ滑らかに移行させることに寄与し、流量変化の線形性を高めることに寄与する。この効果によれば、キャニスタ側の流路における圧力変動幅やORVRバルブ15のばたつき音を抑制することに貢献できる。
【0103】
(第4実施形態)
第4実施形態のパージバルブ303について
図11を参照して説明する。パージバルブ303は、第1実施形態のパージバルブ3に対して、装置内部において流体の流れる向きが逆向きである点が相違する。
【0104】
パージバルブ303は、第4実施形態において特に説明しない構成、作用、効果については、第1実施形態と同様であり、以下、異なる点についてのみ説明する。パージバルブ303は、第2電磁弁35と第1電磁弁34が装置の内部において上流側から下流側へ並ぶように配置されている。パージバルブ303では、第1実施形態の流出ポート33aは流入ポートとして機能し、第1実施形態の流入ポート31aは流出ポートとして機能する。第4実施形態では、第2内部通路はハウジング内部通路における上流側通路であり、第1内部通路はハウジング内の内部通路における下流側通路である。
【0105】
(第5実施形態)
第5実施形態のパージバルブ403について
図12を参照して説明する。パージバルブ403は、第2実施形態のパージバルブ103に対して、装置内部において流体の流れる向きが逆向きである点が相違する。
【0106】
パージバルブ403は、第5実施形態において特に説明しない構成、作用、効果については、第2実施形態と同様であり、以下、異なる点についてのみ説明する。パージバルブ403は、第2電磁弁135と第1電磁弁134が装置の内部において上流側から下流側へ並ぶように配置されている。パージバルブ403では、第2実施形態の流出ポート33aは流入ポートとして機能し、第2実施形態の流入ポート31aは流出ポートとして機能する。第5実施形態では、第2内部通路はハウジング内部通路における上流側通路であり、第1内部通路はハウジング内の内部通路における下流側通路である。
【0107】
(第6実施形態)
第6実施形態のパージバルブ503について
図13を参照して説明する。パージバルブ503は、第3実施形態のパージバルブ203に対して、装置内部において流体の流れる向きが逆向きである点が相違する。
【0108】
パージバルブ503は、第6実施形態において特に説明しない構成、作用、効果については、第3実施形態と同様であり、以下、異なる点についてのみ説明する。パージバルブ503は、第2電磁弁235と第1電磁弁234が装置の内部において上流側から下流側へ並ぶように配置されている。パージバルブ503では、第3実施形態の流出ポート33aは流入ポートとして機能し、第3実施形態の流入ポート31aは流出ポートとして機能する。第6実施形態では、第2内部通路はハウジング内部通路における上流側通路であり、第1内部通路はハウジング内の内部通路における下流側通路である。
【0109】
(他の実施形態)
この明細書の開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品、要素の組み合わせに限定されず、種々変形して実施することが可能である。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品、要素が省略されたものを包含する。開示は、一つの実施形態と他の実施形態との間における部品、要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示される技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
【0110】
明細書に開示の目的を達成可能なパージ制御弁装置は、流入ポートと流出ポートを連絡する通路において、上流側で流量制御する第1電磁弁と下流側で流量制御する第2電磁弁とを備える。目的を達成可能なパージ制御弁装置は、1個の流入ポートと1個の流出ポートとを備える形態に限定されない。目的を達成可能なパージ制御弁装置は、流入ポートと流出ポートのそれぞれを、複数個備える構成でもよい。目的を達成可能なパージ制御弁装置は、1個の流入ポートと複数個の流出ポートとを備える構成でもよい。目的を達成可能なパージ制御弁装置は、複数個の流入ポートと1個の流出ポートとを備える構成でもよい。
【0111】
明細書に開示の目的を達成可能なパージ制御弁装置は、第4実施形態から第6実施形態に記載したように、絞り通路を形成する第1電磁弁を、第2電磁弁よりも下流側に配置する構成を有するものを含む。この構成の場合、第2内部通路に対して直列に配置される第1内部通路は、第2内部通路よりも下流側に配置されることになる。