(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施をするための形態を、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、参照する図面において、本発明を構成する部材の寸法は、説明を明確にするために誇張して表現されている場合がある。なお、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0010】
図1は、本発明の第1実施形態における売上データ処理装置1およびフォント内蔵メモリ2のハードウェア構成を示す図である。売上データ処理装置1は、小売店や飲食店などの店舗に設置され、商取引における売上データ(商取引の内容を含む)を登録するものである。ここでは、売上データ処理装置1として電子式キャッシュレジスタ(ECR:Electronic Cash Registers)を想定して説明する。一方、フォント内蔵メモリ2は、売上データ処理装置1に着脱可能であり、売上データ処理装置1が印刷するレシートのフォントやフォームを変更するために用いられる。以下、各装置の構成について説明する。
【0011】
<第1実施形態に係る売上データ処理装置の構成>
売上データ処理装置1は、キーボード11、オペレータ用ディスプレイ12、顧客用ディスプレイ13、プリンタ14、キャッシュドロア15、モード切替スイッチ16、スロット17、CPU(Central Processing Unit)21、ROM(Read Only Memory)22、RAM(Random Access Memory)23を備えて構成されている。なお、各構成は、内部バスや各入出力回路(不図示)を介して互いに通信可能に接続されている。
【0012】
キーボード11は、売上データ処理装置1を操作するための複数のボタンで構成されている。このキーボード11には、例えば、数字を入力するためのナンバーキー、個々の商品を登録するためのPLU(Price Lookup)キー、登録された商品の合計金額を表示するための小計キー、登録の完了および精算を行うための精算キー、レシートを発行するためのレシート発行キー、領収書を発行するための領収書発行キー等が含まれている。
【0013】
オペレータ用ディスプレイ12および顧客用ディスプレイ13は、例えば液晶表示装置である。オペレータ用ディスプレイ12は、登録した商品の名称、金額、数量等をオペレータに対して表示する。一方、顧客用ディスプレイ13は、登録した商品の金額、数量等を顧客に対して表示する。
【0014】
プリンタ14は、例えば、熱転写プリンタであり、商取引における売上データ(商品名、金額など)をレシート用紙やジャーナル用紙に印刷したレシートやジャーナルを発行する。なお、プリンタ14は、レシートを発行する装置とジャーナルを発行する装置とのように、印刷対象物毎に別々に構成されていてもよい。また、プリンタ14は、レシートのみを発行する装置であってもよい。
【0015】
キャッシュドロア15は、商品の会計時に扱われる紙幣、貨幣、金券などを保管する引出しである。キャッシュドロア15は、オペレータによるキーボード11の操作で、オペレータ側(手前側)にスライドすることで開放される。
【0016】
モード切替スイッチ16は、売上データ処理装置1のモードを変更するものである。ここで、売上データ処理装置1のモードには、例えば、商取引における商品の登録を行う登録モード、電卓計算を行う電卓モード、設定を行う設定モード、使用を終了する電源オフモード等がある。
【0017】
スロット17は、売上データ処理装置1とフォント内蔵メモリ2とを物理的に接続するものである。スロット17は、例えば、フォント内蔵メモリ2を差し込む為の隙間状の穴であってよい。なお、フォント内蔵メモリ2を装着していない場合において、スロット17はカバーで覆い隠されているのがよい。
【0018】
CPU21は、中央制御装置であり、売上データ処理装置1全体の制御を司る。CPU21は、例えば、商品の登録処理、会計処理、ディスプレイ12,13への表示処理、レシートの印刷処理等の各種の動作を制御する。
ROM22は、読み出しが可能な不揮発性の記憶手段であり、CPU21によって実行される制御用のプログラム等を記憶する。
RAM23は、書き込みと読み出しが可能な揮発性の記憶手段であり、CPU21によって使用される一時記憶手段である。
【0019】
<第1実施形態に係るフォント内蔵メモリの構成>
フォント内蔵メモリ2は、接続端子31、コントローラ32、フラッシュメモリチップ33を備えて構成されている。なお、各構成は、内部バスや各入出力回路(不図示)を介して互いに通信可能に接続されている。
【0020】
接続端子31は、フォント内蔵メモリ2を他の装置(ここでは、売上データ処理装置1)に対して物理的に接続するものである。接続端子31は、スロット17に対応した形状をしており、ここでは隙間状の穴に嵌合する形状をしている。なお、売上データ処理装置1に装着されていない場合において、接続端子31はカバーで覆い隠されているのがよい。
【0021】
コントローラ32は、フォント内蔵メモリ2の制御を行う半導体部品である。フォント内蔵メモリ2とフォント内蔵メモリ2を接続した他の装置(ここでは、売上データ処理装置1)との間におけるデータの転送は、予め決められた仕様に沿ってコントローラ32の制御により行われる。この仕様は、特に限定されない。つまり、既存の仕様であってもよく、また、既存の仕様とは異なる新たに作成した仕様であってもよい。
【0022】
フラッシュメモリチップ33は、読み出しが可能な不揮発性の記憶手段であり、CPU21によって読みだされる。なお、フラッシュメモリチップ33に記憶される情報は、売上データ処理装置1に保存ができないようにし、フォント内蔵メモリ2が売上データ処理装置1に接続されている場合に限りその情報を使用することができる。
【0023】
図2は、本発明の第1実施形態における売上データ処理装置1およびフォント内蔵メモリ2の機能を示すブロック図である。売上データ処理装置1のCPU21は、ROM22に格納されたプログラム(図示せず)を実行することにより、入力取得部41、販売情報登録部42および出力制御部43を備える。
【0024】
入力取得部41は、キーボード11を用いた入力操作を受け付け、各種の入力情報を取得する。例えば、商品の登録を行う場合に、オペレータによるキーボード11を用いた商品登録の入力操作を受け付ける。また、会計処理を行う場合に、オペレータによるキーボード11を用いた金額の入力操作を受け付ける。
【0025】
販売情報登録部42は、入力取得部41により取得された入力情報を用いて、RAM23に取引明細データ23aを登録する。なお、商品名、単価などの情報を含む商品内容データ(図示せず)がRAM23内に記憶されている場合、販売情報登録部42は、この商品内容データを用いて取引明細データ23aを登録してもよい。
【0026】
出力制御部43は、オペレータ用ディスプレイ12や顧客用ディスプレイ13への表示処理やレシートの印刷処理を制御するものである。出力制御部43は、表示制御部44と、印刷制御部45とを備える。
表示制御部44は、入力取得部41により取得された入力情報および取引明細データ23aをオペレータ用ディスプレイ12や顧客用ディスプレイ13に表示する。
【0027】
印刷制御部45は、プリンタ14を用いて取引明細データ23aをレシート用紙に印刷する。ここで、ROM22には、レシートの印刷に用いられる標準フォントデータ22aと標準フォームデータ22bとが記憶されている。標準フォントデータ22aは、出荷時に設定されたレシートのフォントについての情報である。また、標準フォームデータ22bは、出荷時に設定されたレシートのフォームについての情報である。印刷制御部45は、フォント内蔵メモリ2が接続されていない状態において、ROM22に記憶される標準フォントデータ22aおよび標準フォームデータ22bを用いてレシートを印刷する。
【0028】
一方、フォント内蔵メモリ2内のフラッシュメモリチップ33には、レシート用紙への印刷に用いられる特殊フォントデータ33aと特殊フォームデータ33bとが組み合わせとして記憶されている。印刷制御部45は、フォント内蔵メモリ2が接続されている状態において、フラッシュメモリチップ33に記憶される特殊フォントデータ33aおよび特殊フォームデータ33bを用いてレシート用紙に印刷する。
【0029】
特殊フォントデータ33aは、売上データ処理装置1に予め記憶されていないフォントデータ(標準フォントデータ22aとは異なるフォントデータ)である。例えば、標準フォントデータ22aが「楷書体」である場合に、特殊フォントデータ33aは「行書体」、「丸文字書体」、「筆記体」等であってよい。丸文字書体は、人間が手書きしたような書体を想定している。また、特殊フォームデータ33bは、売上データ処理装置1に予め記憶されていないフォームデータ(標準フォームデータ22bとは異なるフォームデータ)である。例えば、標準フォームデータ22bが「罫線なしの横書き」であった場合に、特殊フォームデータ33bは「罫線ありの横書き」、「倍文字の横書き」、「縦書き」等であってよい。
【0030】
ここで、特殊フォントデータ33aと特殊フォームデータ33bとの組み合わせは、レシートの見やすさ等を考慮するのがよい。例えば、明朝体は文字の線が他のフォントに比べて細いので、文字のサイズが小さいとレシートが見づらくなってしまう。その為、特殊フォントが明朝体のように文字の線が細いフォントの場合には、文字のサイズを大きくした特殊フォーム(例えば、倍文字)を組み合わせるようにするのがよい。
【0031】
また、特殊フォントデータ33aと特殊フォームデータ33bとの組み合わせは、設置される店舗の雰囲気を演出したり、店舗で行われる業務の内容を表すものにすることもできる。例えば、特殊フォントとしての行書体と特殊フォームとしての縦書きフォームとを組み合わせることで、純和風の雰囲気を演出したり、和食料理店を表すことができる。また、特殊フォントとしての丸文字書体と罫線を追加した特殊フォームとを組み合わせることで、手書き伝票風を演出したり、コンセプトカフェを表すことができる。
【0032】
図3を参照して、特殊フォントデータ33aと特殊フォームデータ33bとの組み合わせについて具体的に説明する。
図3は、特殊フォントデータ33aと特殊フォームデータ33bとの組み合わせの例示である。
【0033】
図3(a)では、特殊フォントに対して特殊フォームが「1対1」で対応づけられている。具体的には、特殊フォント「明朝体」に対して特殊フォーム「フォームA(倍文字)」が対応づけられている。また、特殊フォント「行書体」に対して特殊フォーム「フォームB(縦書き)」が対応づけられている。また、特殊フォント「丸文字書体」に対して特殊フォーム「フォームC(罫線追加)」が対応づけられている。また、特殊フォント「筆記体」に対して特殊フォーム「フォームD(罫線追加)」が対応づけられている。
【0034】
図3(a)に示す特殊フォントと特殊フォームとの組み合わせを用いて印刷したレシートを
図4および
図5に例示する(標準フォントおよび標準フォームを用いて印刷したレシートも比較例として記載)。
【0035】
図4(a)は、標準フォントおよび標準フォームを用いて印刷したレシートの例示である。
図4(b)は、特殊フォント「明朝体」と特殊フォーム「フォームA(倍文字)」との組み合わせを用いて印刷したレシートの例示である。
図4(c)は、特殊フォント「行書体」と特殊フォーム「フォームB(縦書き)」との組み合わせを用いて印刷したレシートの例示である。
図5(a)は、特殊フォント「丸文字書体」と特殊フォーム「フォームC(罫線追加)」との組み合わせを用いて印刷したレシートの例示である。
図5(b)は、特殊フォント「筆記体」と特殊フォーム「フォームD(罫線追加)」との組み合わせを用いて印刷したレシートの例示である。
【0036】
図3に戻って、特殊フォントデータ33aと特殊フォームデータ33bとの組み合わせについて説明する。
図3(b)では、カテゴリに対して特殊フォントおよび特殊フォームを対応づけている。ここで、カテゴリとは、例えば、特殊フォントおよび特殊フォームの組み合わせを用いてレシートを印刷した場合の印象であってよく、特殊フォントおよび特殊フォームの組み合わせを選択する際の参考になるものであるのがよい。ここでは、特殊フォント「行書体」と特殊フォーム「フォームB(縦書き)」との組み合わせに対してカテゴリ「純和風」が対応づけられている。また、特殊フォント「丸文字書体」と特殊フォーム「フォームC(罫線追加)」との組み合わせに対してカテゴリ「手書き風」が対応づけられている。また、特殊フォント「筆記体」と特殊フォーム「フォームD(罫線追加)」との組み合わせに対してカテゴリ「エレガント風」が対応づけられている。この場合、オペレータは、カテゴリを選択することで、店舗の雰囲気に合致する特殊フォントおよび特殊フォームをより簡単に選択することが可能である。
【0037】
図3(c)では、業種に対して特殊フォントおよび特殊フォームを対応づけている。ここで、業種とは、例えば、売上データ処理装置1が設置される店舗を分類するものであってよく、特殊フォントおよび特殊フォームの組み合わせを選択する際の参考になるものであるのがよい。ここでは、特殊フォント「行書体」と特殊フォーム「フォームB(縦書き)」との組み合わせに対して業種「和食料理店」が対応づけられている。また、特殊フォント「丸文字書体」と特殊フォーム「フォームC(罫線追加)」との組み合わせに対して業種「コンセプトカフェ」が対応づけられている。また、特殊フォント「筆記体」と特殊フォーム「フォームD(罫線追加)」との組み合わせに対して業種「イタリアンレストラン」が対応づけられている。この場合、オペレータは、業種を選択することで、店舗で行われる業務の内容に合致する特殊フォントおよび特殊フォームをより簡単に選択することが可能である。
【0038】
図2に戻って、フォント内蔵メモリ2について説明を続ける。
図2に示すように、フォント内蔵メモリ2のコントローラ32は、メモリチップ制御部51を備える。メモリチップ制御部51は、フォント内蔵メモリ2と売上データ処理装置1との間におけるデータの転送を制御する。
【0039】
<第1実施形態に係る売上データ処理装置の動作>
図6は、本発明の第1実施形態における売上データ処理装置1にフォント内蔵メモリ2が接続された際の処理を示すフローチャートである。
売上データ処理装置1は、オペレータによるモード切替スイッチ16(
図1参照)の操作によって「設定モード」にモードが切り替えられることによって
図6に示す一連の処理を開始する。ここで、オペレータは、レシートのフォントおよびフォームを変更したい場合に、「電源OFFモード」の状態で売上データ処理装置1にフォント内蔵メモリ2を予め装着している。
【0040】
先ず、CPU21は、売上データ処理装置1にフォント内蔵メモリ2が装着されているか否かを判定する(ステップS1)。フォント内蔵メモリ2が装着されていない場合(ステップS1で“No”)に、CPU21は、ROM22に内蔵されている標準フォントおよび標準フォームをレシート用のフォントおよびフォームに決定する(ステップS2)。そして、この処理を終了する。一方、フォント内蔵メモリ2が装着されている場合(ステップS1で“Yes”)に、CPU21は、処理をステップS3に進める。
【0041】
フォント内蔵メモリ2が装着されている場合(ステップS1で“Yes”)に、CPU21は、フォント内蔵メモリ2のフラッシュメモリチップ33に格納されている特殊フォントデータ33aおよび特殊フォームデータ33bの情報を取得し、取得した情報をオペレータ用ディスプレイ12に表示する(ステップS3)。特殊フォントデータ33aおよび特殊フォームデータ33bの情報の表示は、例えば
図3(a)に示す内容が格納されていた場合には、選択可能な複数の特殊フォントの名称をオペレータ用ディスプレイ12に一覧表示する。また、
図3(b)に示す内容が格納されていた場合には、選択可能な複数のカテゴリの名称をオペレータ用ディスプレイ12に一覧表示したり、
図3(c)に示す内容が格納されていた場合には、選択可能な複数の業種の名称をオペレータ用ディスプレイ12に一覧表示したりするものでよい。これにより、オペレータは、フラッシュメモリチップ33に格納されている特殊フォントデータ33aおよび特殊フォームデータ33bの内容を確認することができる。
【0042】
次に、CPU21は、オペレータによる特殊フォントおよび特殊フォームの選択を受け付ける(ステップS4)。オペレータによる特殊フォントおよび特殊フォームの選択は、キーボード11を用いて行われる。例えば、オペレータは、ステップS3で選択可能な複数のカテゴリの名称がオペレータ用ディスプレイ12に一覧表示されている場合において、店舗の雰囲気に合うカテゴリを選択する。この場合、カテゴリを選択することが、そのカテゴリに対応する特殊フォントを選択することになる。また、オペレータは、ステップS3で選択可能な複数の業種の名称がオペレータ用ディスプレイ12に一覧表示されている場合において、店舗の業務に合う業種を選択する。この場合、業種を選択することが、その業種に対応する特殊フォントを選択することになる。
【0043】
次に、CPU21は、ステップS4でオペレータに選択された特殊フォントおよび特殊フォームをレシート用のフォントおよびフォームに決定する(ステップS5)。ここで決定した特殊フォントおよび特殊フォームの情報は、例えば、RAM23に格納しておき、印刷制御部45は、レシートの印刷時にこの情報を用いてフラッシュメモリチップ33から特殊フォントおよび特殊フォームを取得する。そして、この処理を終了する。
【0044】
次に、売上データ処理装置1における商品登録処理およびレシートの印刷処理について説明する。
図7は、本発明の第1実施形態における売上データ処理装置1の商品登録処理およびレシートの印刷処理を示すフローチャートである。
売上データ処理装置1は、オペレータによるモード切替スイッチ16の操作によって「登録モード」にモードが切り替えているものとする。
【0045】
先ず、オペレータによるキーボード11の操作によって商品の登録が行われる(ステップS11)。続いて、CPU21は、すべての商品の登録が終了したか否かを判定する(ステップS12)。すべての商品の登録が終了していない場合(ステップS12で“No”)に、CPU21は処理をステップS11に戻す。一方、すべての商品の登録が終了した場合(ステップS12で“Yes”)に、CPU21は処理をステップS13に進める。なお、ステップS12の処理は、例えば、オペレータによって精算キーが選択された場合に行われる。
【0046】
次に、販売情報登録部42は、ステップS11で登録された情報を用いて取引明細データ23aを作成する(ステップS13)。続いて、印刷制御部45は、売上データ処理装置1にフォント内蔵メモリ2が装着されているか否かを判定する(ステップS14)。フォント内蔵メモリ2が装着されていない場合(ステップS14で“No”)に、印刷制御部45は、取引明細データ23aを読み出して、ROM22に内蔵されている標準フォントデータ22aおよび標準フォームデータ22bを用いて読み出した取引明細データ23aの内容をレシート用紙に印刷する(ステップS15)。一方、フォント内蔵メモリ2が装着されている場合(ステップS14で“Yes”)に、印刷制御部45は、取引明細データ23aを読み出して、フォント内蔵メモリ2のフラッシュメモリチップ33に格納されている特殊フォントデータ33aおよび特殊フォームデータ33bを用いて読み出した取引明細データ23aの内容をレシート用紙に印刷する(ステップS16)。そして、この処理を終了し、オペレータはステップS15またはステップS16で印刷されたレシートを顧客に渡す。
【0047】
以上のように、第1実施形態に係る売上データ処理装置1は、フォント内蔵メモリ2を装着するスロット17を備える。そして、売上データ処理装置1は、フォント内蔵メモリ2を装着した状態で、フォント内蔵メモリ2に記憶される特殊フォントデータ33aおよび特殊フォームデータ33bの読み込みを行い、読み込んだ特殊フォントデータ33aおよび特殊フォームデータ33bを用いてレシート用紙に印刷する。したがって、第1実施形態に係る売上データ処理装置1では、予め複数のフォントデータやフォームデータを内蔵していなくても、レシートによって店舗の雰囲気を演出したり、店舗で行われる業務の内容を表すことができる。
【0048】
また、特殊フォントデータ33aおよび特殊フォームデータ33bをライセンス契約により使用する場合を想定すると、第1実施形態に係る売上データ処理装置1では、ライセンス契約のある特殊フォントデータ33aおよび特殊フォームデータ33bだけをフォント内蔵メモリ2に格納して配布することも可能である。
【0049】
<第2実施形態に係る売上データ処理装置の構成>
図8は、本発明の第2実施形態における売上データ処理装置101およびフォント内蔵メモリ102の機能を示すブロック図である。
図2に示す第1実施形態では、フォント内蔵メモリ2のフラッシュメモリチップ33に特殊フォントデータ33aおよび特殊フォームデータ33bが記憶されていた。
図8に示す第2実施形態では、フォント内蔵メモリ102のフラッシュメモリチップ133に特殊フォントデータ33aが記憶されており、売上データ処理装置101のROM122に特殊フォームデータ33bが記憶されている。
【0050】
メモリチップ制御部151は、フラッシュメモリチップ133に記憶される特殊フォントデータ33aをCPU121に転送する。ここで、フラッシュメモリチップ133に複数の特殊フォントデータ33aが記憶されている場合には、ROM122に記憶される特殊フォームデータ33bと組み合わせの関係にある特殊フォントデータ33aをメモリチップ制御部151が転送するようにしてもよい。その場合には、CPU121にはROM122に記憶される特殊フォームデータ33bとフラッシュメモリチップ133に記憶される特殊フォントデータ33aとの組み合わせに関する情報を予め持たせておき、CPU121の制御によって転送する特殊フォントデータ33aを選定するのがよい。なお、対応する組み合わせが複数ある場合には、これらの組み合わせの中からオペレータが任意のものを選択してもよい。
【0051】
印刷制御部145は、フォント内蔵メモリ102が接続されていない状態において、ROM122に記憶される標準フォントデータ22aおよび標準フォームデータ22bを用いてレシート用紙に印刷する。
一方、印刷制御部145は、フォント内蔵メモリ102が接続されている状態において、フラッシュメモリチップ133に記憶される特殊フォントデータ33aおよびROM122に記憶される特殊フォームデータ33bを用いてレシート用紙に印刷する。
【0052】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を変えない範囲で実施することができる。第1実施形態の変形例を以下に示す。なお、第2実施形態についても同様である。
【0053】
第1実施形態では、売上データ処理装置1として電子式キャッシュレジスタ(ECR:Electronic Cash Registers)を想定して説明を行った。しかしながら、売上データ処理装置1の構成は、これに限定されるものではない。売上データ処理装置1は、レシートを発行する装置であればよい。
【0054】
また、第1実施形態では、一つの特殊フォントに対して一つの特殊フォームが対応づけられている「1対1」の組み合わせであった。しかしながら、特殊フォントと特殊フォームとの組み合わせはこれに限定されるものではなく、例えば、一つの特殊フォントに対して複数の特殊フォームが対応づけられている組み合わせや一つの特殊フォームに対して複数の特殊フォントが対応づけられている組み合わせのように「1対多」の組み合わせであってもよい。この場合、オペレータ自身が特殊フォントと特殊フォームの組み合わせを選択できるので、店舗の雰囲気を演出したり、店舗で行われる業務の内容をより正確に表すことができる。カテゴリや業種を用いて特殊フォントと特殊フォームとの対応づけを行う場合も同様である。
【0055】
また、第1実施形態では、フラッシュメモリチップ33に記憶される情報(特殊フォントデータ33aおよび特殊フォームデータ33b)が、売上データ処理装置1に保存ができないようにするようにし、フォント内蔵メモリ2が売上データ処理装置1に接続されている場合に限りその情報を使用できるようにしていた。しかしながら、特殊フォントデータ33aおよび特殊フォームデータ33bの取り扱いはこれに限定されるものではない。例えば、特殊フォントデータ33aおよび特殊フォームデータ33bを書き換え可能な記憶媒体に記憶しておき、特殊フォントデータ33aおよび特殊フォームデータ33bと標準フォントデータ22aおよび標準フォームデータ22bとの入れ替えを行うようししてもよい。その場合、これらの情報をブロック毎に分割して、ブロック単位で入れ替えをおこなってもよい。
【0056】
また、フォント内蔵メモリ2に記憶される情報(特殊フォントデータ33aおよび特殊フォームデータ33b)を、容量が許容する範囲内で売上データ処理装置1に保存するようにしてもよい。その場合、売上データ処理装置1に保存された情報に何らかの制限を設定しておき、フォント内蔵メモリ2が装着されることでその制限が解除されて使用可能にしてもよいし、フォント内蔵メモリ2に記憶される情報を削除するようにしてもよい。この場合に、フォント内蔵メモリ2に記憶される情報を削除した後にさらに汎用のフォーマットで初期化してもよい。
【0057】
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
商取引における売上データをレシート用紙に印刷する売上データ処理装置であって、
ユーザが所望するフォントデータを選択する選択手段と、
前記選択手段により選択されたフォントデータに対応するフォームデータを読み出し、前記選択されたフォントデータと前記読み出されたフォームデータとを用いて前記レシート用紙に印刷する印刷制御手段と、
を備えることを特徴とする売上データ処理装置。
<請求項2>
前記フォントデータに対応する前記フォームデータを記憶する記憶手段を更に備え、
前記印刷制御手段は、前記選択手段により選択されたフォントデータに対応するフォームデータを前記記憶手段から読み出し、前記選択されたフォントデータと前記読み出されたフォームデータとを用いて前記レシート用紙に印刷する、
ことを特徴とする請求項1に記載の売上データ処理装置。
<請求項3>
前記記憶手段は、前記売上データ処理装置の装置本体に接続される電子機器であり、
前記印刷制御手段は、前記選択手段により選択されたフォントデータに対応するフォームデータを前記電子機器から読み出し、前記選択されたフォントデータと前記読み出されたフォームデータとを用いて前記レシート用紙に印刷する、
ことを特徴とする請求項2に記載の売上データ処理装置。
<請求項4>
商取引における売上データをレシート用紙に印刷する売上データ処理装置のコンピュータを、
ユーザが所望するフォントデータを選択する選択手段、
前記選択手段により選択されたフォントデータに対応するフォームデータを読み出し、前記選択されたフォントデータと前記読み出されたフォームデータとを用いて前記レシート用紙に印刷する印刷制御手段、
として機能させるためのプログラム。
<請求項5>
商取引における売上データをレシート用紙に印刷する売上データ処理装置であって、
フォントデータとレシートのフォームデータとを組み合わせとして記憶する電子機器が接続される接続手段と、
当該電子機器に内蔵される前記フォントデータと前記フォームデータとを用いて前記レシート用紙に印刷する印刷制御手段と、
を備えることを特徴とする売上データ処理装置。
<請求項6>
前記電子機器には、前記フォントデータと前記フォームデータとの組み合わせが業種またはカテゴリに対応づけて記憶されており、
前記印刷制御手段は、入力手段を介して入力された業種またはカテゴリに対応する前記フォントデータと前記フォームデータとを用いて売上データを前記レシート用紙に印刷する、
ことを特徴とする請求項5に記載の売上データ処理装置。
<請求項7>
前記フォントデータとは異なる標準フォントデータおよび前記フォームデータとは異なる標準フォームデータを記憶する記憶手段をさらに備え、
前記印刷制御手段は、
前記電子機器が接続されているときに当該電子機器に内蔵される前記フォントデータと前記フォームデータとを用いて前記レシート用紙に印刷し、
前記電子機器が接続されていないときには、前記記憶手段に記憶される前記標準フォントデータと前記標準フォームデータとを用いて前記レシート用紙に印刷する、
ことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の売上データ処理装置。
<請求項8>
電子機器が接続される接続手段を備えるコンピュータを、商取引における売上データをレシート用紙に印刷する売上データ処理装置として機能させるためのプログラムであって、
前記電子機器には、フォントデータとレシートのフォームデータとが組み合わせとして記憶されており、
前記コンピュータを、当該電子機器に内蔵される前記フォントデータと前記フォームデータとを用いて前記レシート用紙に印刷する印刷制御手段として機能させるためのプログラム。
<請求項9>
請求項5に記載の売上データ処理装置に接続される電子機器であって、
フォントデータとレシートのフォームデータとを組み合わせとして記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶される前記フォントデータと前記フォームデータとを前記売上データ処理装置に転送する転送制御手段と、
を備えることを特徴とする売上データ処理装置に接続される電子機器。
<請求項10>
商取引における売上データをレシート用紙に印刷する売上データ処理装置であって、
レシートのフォームデータを記憶する記憶手段と、
前記フォームデータと組み合わせの関係にあるフォントデータを記憶する電子機器が接続される接続手段と、
前記フォントデータと前記フォームデータとを用いて前記レシート用紙に印刷する印刷制御手段と、
を備えることを特徴とする売上データ処理装置。
<請求項11>
電子機器が接続される接続手段を備えるコンピュータを、商取引における売上データをレシート用紙に印刷する売上データ処理装置として機能させるためのプログラムであって、
前記コンピュータには、レシートのフォームデータが記憶されており、
前記電子機器には、前記フォームデータと組み合わせの関係にあるフォントデータが記憶されており、
前記コンピュータを、前記フォントデータと前記フォームデータとを用いて前記レシート用紙に印刷する印刷制御手段として機能させるためのプログラム。
<請求項12>
請求項10に記載の売上データ処理装置に接続される電子機器であって、
前記フォームデータと組み合わせの関係にあるフォントデータを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶される前記フォントデータを前記売上データ処理装置に転送する転送制御手段と、
を備えることを特徴とする売上データ処理装置に接続される電子機器。