(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも、第1RFIDタグ用RFICモジュールと第2RFIDタグ用RFICモジュールとで構成されるRFIDタグ用RFICモジュールセットであり、前記第1RFIDタグ用RFICモジュール及び前記第2RFIDタグ用RFICモジュールは、
RFICと、
アンテナ接続用第1電極と、
アンテナ接続用第2電極と、
RFIC接続用第1電極と、
RFIC接続用第2電極と、
前記RFIC接続用第1電極及び前記RFIC接続用第2電極と、前記アンテナ接続用第1電極及び前記アンテナ接続用第2電極との間に接続され、前記RFICとアンテナとのインピーダンスを整合させるインピーダンス整合回路と、
前記RFIC接続用第1電極、前記RFIC接続用第2電極、前記アンテナ接続用第1電極、前記アンテナ接続用第2電極及び前記インピーダンス整合回路が形成され、前記RFICが搭載される、矩形状の基板と、
を備え、
前記インピーダンス整合回路は、前記RFIC接続用第1電極と前記RFIC接続用第2電極との間に接続されてコイル開口が前記基板の面に沿ってそれぞれ拡がる第1コイル及び第2コイルを有し、
前記第1コイル及び前記第2コイルは前記基板に並置され、前記第1コイルのコイル開口の重心と前記第2コイルのコイル開口の重心とを通る直線は前記基板の一辺に対して傾斜していて、
前記第1RFIDタグ用RFICモジュールの前記直線と前記第2RFIDタグ用RFICモジュールの前記直線とは、前記傾斜の方向が異なる、
RFIDタグ用RFICモジュールセット。
少なくとも、第1RFIDタグ用RFICモジュールと第2RFIDタグ用RFICモジュールとで構成されるRFIDタグ用RFICモジュールセットであり、前記第1RFIDタグ用RFICモジュール及び前記第2RFIDタグ用RFICモジュールは、
RFICと、
アンテナ接続用第1電極と、
アンテナ接続用第2電極と、
RFIC接続用第1電極と、
RFIC接続用第2電極と、
前記RFIC接続用第1電極及び前記RFIC接続用第2電極と、前記アンテナ接続用第1電極及び前記アンテナ接続用第2電極との間に接続され、前記RFICとアンテナとのインピーダンスを整合させるインピーダンス整合回路と、
前記RFIC接続用第1電極、前記RFIC接続用第2電極、前記アンテナ接続用第1電極、前記アンテナ接続用第2電極及び前記インピーダンス整合回路が形成され、前記RFICが搭載される、矩形状の基板と、
を備え、
前記インピーダンス整合回路は、前記RFIC接続用第1電極と前記RFIC接続用第2電極との間に接続されてコイル開口が前記基板の面に沿ってそれぞれ拡がる第1コイル及び第2コイルを有し、
前記第1コイル及び前記第2コイルは前記基板に並置され、前記第1コイルのコイル開口の重心と前記第2コイルのコイル開口の重心とを通る直線は前記基板の中心以外の位置を通り、
前記第1RFIDタグ用RFICモジュールの前記直線と前記第2RFIDタグ用RFICモジュールの前記直線とは、位置が異なる、
RFIDタグ用RFICモジュールセット。
前記第1コイルは、前記RFIC接続用第1電極と前記アンテナ接続用第1電極との接続される第1インダクタを構成するコイルと、前記アンテナ接続用第1電極と前記アンテナ接続用第2電極との間に直列接続される第3インダクタを構成するコイルと、で構成され、
前記第2コイルは、前記RFIC接続用第2電極と前記アンテナ接続用第2電極との接続される第2インダクタを構成するコイルと、前記アンテナ接続用第1電極と前記アンテナ接続用第2電極との間に直列接続される第4インダクタを構成するコイルと、で構成され、
前記第1インダクタを構成するコイルのコイル開口と、前記第3インダクタを構成するコイルのコイル開口とは重なり、
前記第2インダクタを構成するコイルのコイル開口と、前記第4インダクタを構成するコイルのコイル開口とは重なる、
請求項1又は2に記載のRFIDタグ用RFICモジュールセット。
前記第1コイルは、前記RFIC接続用第1電極と前記アンテナ接続用第1電極との接続される第1インダクタを構成するコイルと、前記アンテナ接続用第1電極と前記アンテナ接続用第2電極との間に直列接続される第3インダクタを構成するコイルと、で構成され、
前記第2コイルは、前記RFIC接続用第2電極と前記アンテナ接続用第2電極との接続される第2インダクタを構成するコイルと、前記アンテナ接続用第1電極と前記アンテナ接続用第2電極との間に直列接続される第4インダクタを構成するコイルと、で構成され、
前記第1インダクタを構成するコイルのコイル開口と、前記第3インダクタを構成するコイルのコイル開口とは重なり、
前記第2インダクタを構成するコイルのコイル開口と、前記第4インダクタを構成するコイルのコイル開口とは重なる、
請求項4又は5に記載のRFIDタグセット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
RFIDタグが付された物品をRFIDタグリーダで読み取る状況は、物品の大きさや物品の管理の目的によって様々であるが、複数のシート状や板状の物品のRFIDタグを実質的に同時に読み取る場合には、それら物品が重ねられている状況で読み取られる。
【0005】
ところが、特許文献1に示されるように、RFICとアンテナとのインピーダンスを整合させるインピーダンス整合回路が複数のコイルで構成されている場合、近接するRFIDタグが互いに干渉することがある。つまり、互いに近接するRFIDタグのインピーダンス整合回路のコイル同士が不要結合して、RFIDタグとしての所定の動作が成されないことがある。そのため、条件が悪いと、複数の物品のRFIDタグが読み取れない。
【0006】
そこで、本発明の目的は、互いに近接するRFIDタグのインピーダンス整合回路のコイル同士の不要結合を抑制して、近接状態にあっても互いの独立性を保ちやすいRFIDタグ用RFICモジュールのセット及びRFIDタグのセットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一例としてのRFIDタグ用RFICモジュールセットは、少なくとも、第1RFIDタグ用RFICモジュールと第2RFIDタグ用RFICモジュールとで構成されるRFIDタグ用RFICモジュールセットである。前記第1RFIDタグ用RFICモジュール及び前記第2RFIDタグ用RFICモジュールは、RFICと、アンテナ接続用第1電極と、アンテナ接続用第2電極と、RFIC接続用第1電極と、RFIC接続用第2電極と、前記RFIC接続用第1電極及び前記RFIC接続用第2電極と、前記アンテナ接続用第1電極及び前記アンテナ接続用第2電極との間に接続され、前記RFICとアンテナとのインピーダンスを整合させるインピーダンス整合回路と、前記RFIC接続用第1電極、前記RFIC接続用第2電極、前記アンテナ接続用第1電極、前記アンテナ接続用第2電極及び前記インピーダンス整合回路が形成され、前記RFICが搭載される、矩形状の基板と、を備える。そして、前記インピーダンス整合回路は、前記RFIC接続用第1電極と前記RFIC接続用第2電極との間に接続されてコイル開口が前記基板の面に沿ってそれぞれ拡がる第1コイル及び第2コイルを有し、前記第1コイル及び前記第2コイルは前記基板に並置され、前記第1コイルのコイル開口の重心と前記第2コイルのコイル開口の重心とを通る直線は前記基板の一辺に対して傾斜していて、前記第1RFIDタグ用RFICモジュールの前記直線と前記第2RFIDタグ用RFICモジュールの前記直線とは、前記傾斜の方向が異なる。
【0008】
また、本開示の一例としてのRFIDタグ用RFICモジュールセットは、少なくとも、第1RFIDタグ用RFICモジュールと第2RFIDタグ用RFICモジュールとで構成されるRFIDタグ用RFICモジュールセットである。前記第1RFIDタグ用RFICモジュール及び前記第2RFIDタグ用RFICモジュールは、RFICと、アンテナ接続用第1電極と、アンテナ接続用第2電極と、RFIC接続用第1電極と、RFIC接続用第2電極と、前記RFIC接続用第1電極及び前記RFIC接続用第2電極と、前記アンテナ接続用第1電極及び前記アンテナ接続用第2電極との間に接続され、前記RFICとアンテナとのインピーダンスを整合させるインピーダンス整合回路と、前記RFIC接続用第1電極、前記RFIC接続用第2電極、前記アンテナ接続用第1電極、前記アンテナ接続用第2電極及び前記インピーダンス整合回路が形成され、前記RFICが搭載される、矩形状の基板と、を備える。そして、前記インピーダンス整合回路は、前記RFIC接続用第1電極と前記RFIC接続用第2電極との間に接続されてコイル開口が前記基板の面に沿ってそれぞれ拡がる第1コイル及び第2コイルを有し、前記第1コイル及び前記第2コイルは前記基板に並置され、前記第1コイルのコイル開口の重心と前記第2コイルのコイル開口の重心とを通る直線は前記基板の中心以外の位置を通り、前記第1RFIDタグ用RFICモジュールの前記直線と前記第2RFIDタグ用RFICモジュールの前記直線とは、位置が異なる。
【0009】
本開示の一例としてのRFIDタグセットは、少なくとも、第1RFIDタグと第2RFIDタグとで構成されるRFIDタグセットである。前記第1RFIDタグ及び前記第2RFIDタグは、アンテナと、RFICと、アンテナ接続用第1電極と、アンテナ接続用第2電極と、RFIC接続用第1電極と、RFIC接続用第2電極と、前記RFIC接続用第1電極及び前記RFIC接続用第2電極と、前記アンテナ接続用第1電極及び前記アンテナ接続用第2電極との間に接続され、前記RFICとアンテナとのインピーダンスを整合させるインピーダンス整合回路と、少なくとも、前記RFIC接続用第1電極、前記RFIC接続用第2電極、前記アンテナ接続用第1電極、前記アンテナ接続用第2電極及び前記インピーダンス整合回路が形成される基板と、を備える。そして、前記インピーダンス整合回路は、前記RFIC接続用第1電極と前記RFIC接続用第2電極との間に接続され、コイル開口が前記基板の面に沿ってそれぞれ拡がる第1コイル及び第2コイルを有し、前記第1コイル及び前記第2コイルは前記基板に並置され、前記第1コイルのコイル開口の重心と前記第2コイルのコイル開口の重心とを通る直線は前記基板の一辺に対して傾斜していて、前記第1RFIDタグの前記直線と前記第2RFIDタグの前記線とは、前記傾斜の方向が異なる。
【0010】
また、本開示の一例としてのRFIDタグセットは、少なくとも、第1RFIDタグと第2RFIDタグとで構成されるRFIDタグセットである。前記第1RFIDタグ及び前記第2RFIDタグは、アンテナと、RFICと、アンテナ接続用第1電極と、アンテナ接続用第2電極と、RFIC接続用第1電極と、RFIC接続用第2電極と、前記RFIC接続用第1電極及び前記RFIC接続用第2電極と、前記アンテナ接続用第1電極及び前記アンテナ接続用第2電極との間に接続され、前記RFICとアンテナとのインピーダンスを整合させるインピーダンス整合回路と、少なくとも、前記RFIC接続用第1電極、前記RFIC接続用第2電極、前記アンテナ接続用第1電極、前記アンテナ接続用第2電極及び前記インピーダンス整合回路が形成される基板と、を備える。そして、前記インピーダンス整合回路は、前記RFIC接続用第1電極と前記RFIC接続用第2電極との間に接続され、コイル開口が前記基板の面に沿ってそれぞれ拡がる第1コイル及び第2コイルを有し、前記第1コイル及び前記第2コイルは前記基板に並置され、前記第1コイルのコイル開口の重心と前記第2コイルのコイル開口の重心とを結ぶ直線は前記基板の中心以外の位置を通り、前記第1RFIDタグの前記直線と前記第2RFIDタグの前記直線とは、位置が異なる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、互いに近接するRFIDタグのインピーダンス整合回路のコイル同士の不要結合が抑制されて、近接状態にあっても互いの独立性を保ちやすいRFIDタグ用RFICモジュールのセット及びRFIDタグのセットが得られる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
《第1の実施形態》
図1(A)は、第1の実施形態に係る2種のRFIDタグ用RFICモジュール(以下、単に「RFICモジュール」という。)のうちの一方である第1RFICモジュール101Aの拡大平面図であり、
図1(B)は、他方である第2RFICモジュール101Bの拡大平面図である。
【0014】
RFICモジュール101A,101Bは、RFIC2と、アンテナ接続用第1電極11と、アンテナ接続用第2電極12と、RFIC接続用第1電極31と、RFIC接続用第2電極32と、インピーダンス整合回路と、基板1とを備える。
【0015】
上記インピーダンス整合回路は、RFIC接続用第1電極31及びRFIC接続用第2電極32と、アンテナ接続用第1電極11及びアンテナ接続用第2電極12との間に接続され、RFIC2とアンテナとのインピーダンスを整合させる。
【0016】
RFIC接続用第1電極31、RFIC接続用第2電極32、アンテナ接続用第1電極11、アンテナ接続用第2電極12及びインピーダンス整合回路は基板1に形成されている。RFIC2の下面にはRFIC端子電極21,22が形成されていて、このRFIC端子電極21,22がRFIC接続用電極31,32に接続されることで、RFIC2は基板1に搭載されている。基板1の、RFIC2の搭載面には樹脂モールドによる絶縁体層が覆われるが、
図1(A)、
図1(B)はその樹脂モールド前での平面図である。
【0017】
インピーダンス整合回路は、RFIC接続用第1電極31とRFIC接続用第2電極32との間に接続されてコイル開口が基板1の面に沿ってそれぞれ拡がる第1コイルLA及び第2コイルLBを有する。
図1(A)、
図1(B)に示した座標で表現すると、第1コイルLAのコイル巻回軸はZ軸に平行であり、そのコイル開口はX−Y面に平行である。同様に、第2コイルLBのコイル巻回軸はZ軸に平行であり、そのコイル開口はX−Y面に平行である。
【0018】
第1コイルLA及び第2コイルLBは基板1に並置されている。第1コイルLAのコイル開口CO1の重心COB1と第2コイルLBのコイル開口CO2の重心COB2とを通る直線SLは基板1の各辺に対して非平行である。なお、ここで「コイル開口の重心」とは。コイル開口に対する平面視での、コイル開口の幾何中心であって、コイルを形成する導体の質量中心のことではない。また、この例では、第1コイルLAのコイル開口CO1は、第1コイルLAを構成する導体パターンの最内周で囲まれた領域であり、第2コイルLBのコイル開口CO2は、第2コイルLBを構成する導体パターンの最内周で囲まれた領域である。
【0019】
第1コイルLAは、RFIC接続用第1電極31とアンテナ接続用第1電極11との間に接続される第1インダクタL1を構成するコイルと、アンテナ接続用第1電極11とアンテナ接続用第2電極12との間に直列接続される第3インダクタL3を構成するコイルと、で構成されている。いずれのコイルもスパイラル状である。また、第2コイルLBはRFIC接続用第2電極32とアンテナ接続用第2電極12との間に接続される第3インダクタL3を構成するコイルと、アンテナ接続用第1電極11とアンテナ接続用第2電極12との間に直列接続される第4インダクタL4を構成するコイルと、で構成されている。いずれのコイルもスパイラル状である。
【0020】
第1インダクタL1を構成するコイルは基板1の上面に形成されていて、第3インダクタL3を構成するコイルは基板1の下面に形成されている。第1インダクタL1を構成するコイルと第3インダクタL3を構成するコイルとは層間接続導体V1を介して接続されている。また、第2インダクタL2を構成するコイルは基板1の上面に形成されていて、第4インダクタL4を構成するコイルは基板1の下面に形成されている。第2インダクタL2を構成するコイルと第4インダクタL4を構成するコイルとは層間接続導体V2を介して接続されている。
【0021】
また、第3インダクタL3を構成するコイルと第4インダクタL4を構成するコイルとは、第5インダクタL5を構成する導体パターンで接続されている。
【0022】
第1インダクタL1を構成するコイルのコイル開口と、第3インダクタL3を構成するコイルのコイル開口とは重なり、第2インダクタL2を構成するコイルのコイル開口と、第4インダクタL4を構成するコイルのコイル開口とは重なる。
【0023】
第1RFICモジュール101Aと第2RFICモジュール101Bとの違いは、第1コイルLAのコイル開口CO1の重心COB1と第2コイルLBのコイル開口CO2の重心COB2とを通る直線SLの傾斜の方向である。
図1(A)、
図1(B)、に示す向きで、第1RFICモジュール101Aでは直線SLが右下がりであるのに対し、第2RFICモジュール101Bでは直線SLが右上がりである。
【0024】
図2はRFICモジュール101Aの回路図である。第1RFICモジュール101AはRFIC2とインピーダンス整合回路7とで構成されている。インピーダンス整合回路7は、第1インダクタL1、第2インダクタL2、第3インダクタL3、第4インダクタL4及び第5インダクタL5で構成される。RFIC2には、RFIC接続用第1電極31とRFIC接続用第2電極32との間に接続される等価的なキャパシタCpが存在する。第1インダクタL1と第3インダクタL3とは磁界結合し、第2インダクタL2と第4インダクタL4とは磁界結合する。
図2中のドット記号は各インダクタのコイル巻回方向を示している。第2RFICモジュール101Bについても、回路図は
図2に示したとおりである。
【0025】
図3は、
図2に示したインピーダンス整合回路7により生じる2つの共振周波数について示す図である。第1RFICモジュール101Aでは2つの共振が発生する。第1の共振は、アンテナ6、第3インダクタL3、第4インダクタ及び第5インダクタL5で構成される電流経路に生じる共振であり、
図2に示す電流i1はその共振電流経路に流れる電流を表している。第2の共振は、キャパシタCp、第1インダクタL1、第2インダクタL2、第3インダクタL3及び第5インダクタL5で構成される電流経路に生じる共振であり、
図2に示す電流i2はその共振電流経路に流れる電流を表している。
【0026】
上記第1の共振と第2の共振とは、第3インダクタL3、第4インダクタL4及び第5インダクタL5を介して結合する。第1の共振の共振周波数と第2の共振の共振周波数との間には数10MHz(具体的には5〜50MHz程度)の差を生じさせている。これらの共振周波数特性は
図3において曲線A及びBで表現される。このような共振周波数を有する2つの共振を結合させることで、
図3において曲線Cで示すような広帯域の共振周波数特性が得られる。
【0027】
図4(A)は第1RFIDタグ201Aの平面図であり、
図4(B)は、第1RFIDタグ201Aにおける第1RFICモジュール101Aの搭載部分の拡大平面図である。また、
図5(A)は第2RFIDタグ201Bの平面図であり、
図5(B)は、第2RFIDタグ201Bにおける第2RFICモジュール101Bの搭載部分の拡大平面図である。
【0028】
第1RFIDタグ201Aは、アンテナ6と、このアンテナ6に結合する第1RFICモジュール101Aとで構成される。アンテナ6は、絶縁体フィルム60と、この絶縁体フィルム60に形成されたアンテナ導体パターン61,62とで構成される。
【0029】
アンテナ導体パターン61は導体パターン61P,61L,61Cで構成され、アンテナ導体パターン62は導体パターン62P,62L,62Cで構成される。アンテナ導体パターン61,62はダイポールアンテナを構成する。
【0030】
第1RFIDタグ201Aの導体パターン61P,62Pには第1RFICモジュール101Aが搭載される。導体パターン61Pとアンテナ接続用第1電極11との間には絶縁層が形成されていて、導体パターン61Pとアンテナ接続用第1電極11とは容量結合する。同様に、導体パターン62Pとアンテナ接続用第2電極12との間には絶縁層が形成されていて、導体パターン62Pとアンテナ接続用第2電極12とは容量結合する。
【0031】
導体パターン61L,62Lはメアンダライン形状であって、インダクタンス成分の高い領域として作用する。また、導体パターン61C,62Cは平面形状であって、キャパシタンス成分の高い領域として作用する。このことにより、電流強度の高い領域のインダクタンス成分を大きくし、電圧強度の高い領域のキャパシタンス成分を大きくして、アンテナ導体パターン61,62の形成領域を縮小化している。
【0032】
図4(A)に示す第1RFIDタグ201Aと
図5(A)に示す第2RFIDタグ201Bとにおいて、アンテナ6の構成は同じである。絶縁体フィルム60に第1RFICモジュール101Aを搭載すると第1RFIDタグ201Aが構成され、絶縁体フィルム60に第2RFICモジュール101Bを搭載すると第2RFIDタグ201Bが構成される。RFICモジュール101A,101BのX軸方向の辺は絶縁体フィルム60のX軸方向の辺と平行である。
【0033】
図6(A)はRFIDタグ付き物品301Aの斜視図であり、
図6(B)はRFIDタグ付き物品301Bの斜視図である。RFIDタグ付き物品301Aは物品300とその内部に設けられた第1RFIDタグ201Aとで構成されていて、RFIDタグ付き物品301Bは物品300とその内部に設けられた第2RFIDタグ201Bとで構成されている。この例では、カード状の物品であり、RFIDタグ201A,201Bには、カードに関する情報が書き込まれている。
【0034】
図7は、複数の物品300がRFIDタグリーダ401に重ねて載置された状態の斜視図である。このように、複数の物品300がRFIDタグリーダ401に重ねて載置された状態で、RFIDタグリーダ401は、複数の物品300に設けられているRFIDタグの情報を読み取る。特に同サイズのカード状の物品であると、利用者はそれらの各辺を几帳面にきっちり揃えてRFIDタグリーダ401の読み取り面に載置する傾向がある。
【0035】
図8(A)、
図8(B)は、
図7に示したように、複数の物品300が積層された状態での、積層方向に隣接する2つの物品内のRFIDタグ内のRFICモジュールについて、それらの重なり具合を示す例である。
【0036】
図8(A)の例では、第1RFICモジュール101Aと第2RFICモジュール101Bとが、積層方向に隣接する。この状態で、第1RFICモジュール101Aの第1コイルLAは第1RFICモジュール101Aの第1コイルLA及び第2コイルLBのいずれにも重ならず、第1RFICモジュール101Aの第2コイルLBも第1RFICモジュール101Aの第1コイルLA及び第2コイルLBのいずれにも重ならない。この例では、隣接するRFICモジュールの2つのコイル同士の不要結合が抑制される。
【0037】
図8(B)の例では、第1RFICモジュール101Aと第1RFICモジュール101Aとが、積層方向に隣接する。この状態で、一方の第1RFICモジュール101Aの第1コイルLAは他方の第1RFICモジュール101Aの第1コイルLAに重なり、一方の第1RFICモジュール101Aの第2コイルLBは他方の第1RFICモジュール101Aの第2コイルLBに重なる。この例では、隣接するRFICモジュールの2つのコイル同士が、ある程度不要結合する。
図8(B)中の磁束φはこのことを概念的に示している。
【0038】
ここで、比較例としてのRFICモジュールの平面図を
図10に示す。この比較例としてのRFICモジュールでは、第1コイルLAのコイル開口CO1の重心COB1と第2コイルLBのコイル開口CO2の重心COB2とを通る直線SLが、基板1の2つの辺に対して平行である。したがって、このRFICモジュールを有するRFIDタグが付された物品が重なった状態では、積層方向に隣接する2つのコイル同士の不要結合が生じる。このことは、物品の左右を反転させても、上下を反転させても、180度回転させても同様である。
【0039】
本実施形態によれば、インピーダンス整合回路の2つのコイルLA,LBの配置が2種存在するので、
図8(B)に示した状態となる確率が下がる。例えば4枚のカード状物品をきっちり揃えてRFIDタグリーダ401に載置したとき、積層方向に隣接するインピーダンス整合回路の2つのコイル同士の不要結合が生じる確率は、2/16である。つまり、4つのRFIDタグの、コイルLA,LBの2通りの向きの組み合わせとして採り得る組合せは16通り存在し、そのうち、積層方向に隣接するインピーダンス整合回路のコイルLA,LBの向きが全て揃うのは2通りに過ぎない。換言すると、残りの14/16の確率で、いずれかのRFIDタグ又は全てのRFIDタグが読み取れる。しかも、読み取れないカードがあることは枚数との比較で気づくので、その場合にはカードをシャッフルするか、載置し直すだけで、カード間のずれが変化するので、全てのRFIDタグを同時に読める確率が高まる。
【0040】
《第2の実施形態》
第2の実施形態では基板に対する第1コイルLA及び第2コイルLBの配置構造が第1の実施形態とは異なるRFICモジュールについて例示する。
【0041】
図9(A)は第2の実施形態に係る2種のRFICモジュールのうちの一方である第1RFICモジュール102Aの拡大平面図であり、
図9(B)は、他方である第2RFICモジュール102Bの拡大平面図である。
【0042】
RFICモジュール102A,102Bは、RFIC2と、アンテナ接続用第1電極11と、アンテナ接続用第2電極12と、RFIC接続用第1電極31と、RFIC接続用第2電極32と、インピーダンス整合回路と、基板1とを備える。第1の実施形態で
図1(A)、
図1(B)に示した例とは、第1コイルLA及び第2コイルLBの配置関係が異なる。
【0043】
第1RFICモジュール102Aにおいて、第1コイルLA及び第2コイルLBは基板1に並置されている。第1コイルLAのコイル開口CO1の重心COB1と第2コイルLBのコイル開口CO2の重心COB2とを通る直線SLは基板1の中心CP以外の位置を通る。
【0044】
また、第2RFICモジュール102Bにおいても、第1コイルLA及び第2コイルLBは基板1に並置されている。第1コイルLAのコイル開口CO1の重心COB1と第2コイルLBのコイル開口CO2の重心COB2とを通る直線SLは基板1の中心CP以外の位置を通る。
【0045】
第1RFICモジュール102Aと第2RFICモジュール102Bとの違いは、第1コイルLAのコイル開口CO1の重心COB1と第2コイルLBのコイル開口CO2の重心COB2とを通る直線SLの位置である。
図9(A)、
図9(B)、に示す向きで、第1RFICモジュール102Aでは直線SLが基板1の上辺寄りの位置にあるのに対し、第2RFICモジュール102Bでは直線SLが基板1の下辺寄りの位置にある。
【0046】
第2の実施形態によれば、第1RFICモジュール102Aと第2RFICモジュール102Bとが積層方向に隣接する場合に、第1コイルLA同士及び第2コイルLB同士の不要結合が回避される。
【0047】
以上、各実施形態で示したように、本発明によれば、隣接するRFICモジュールのコイル同士の不要結合が抑制されて、独立性が高いRFIDタグが得られる。
【0048】
最後に、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではない。当業者にとって変形及び変更が適宜可能である。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲内と均等の範囲内での実施形態からの変更が含まれる。
【0049】
例えば、第1の実施形態で示したような、第1コイルLAのコイル開口CO1の重心COB1と第2コイルLBのコイル開口CO2の重心COB2とを通る直線SLの傾斜方向を異ならせる構造と、第2の実施形態で示したような、第1コイルLAのコイル開口CO1の重心COB1と第2コイルLBのコイル開口CO2の重心COB2とを通る直線SLの位置を異ならせる構造とを組み合わせてもよい。また、そのことにより3種以上のRFICモジュール及びそれらを備えるRFIDタグを構成してもよい。
【0050】
また、例えば、以上に示したいずれの実施形態においても、第1インダクタL1、第2インダクタL2、第3インダクタL3、第4インダクタL4及び第5インダクタL5によってインピーダンス整合回路を構成したが、本発明はこれに限るものではない。
【0051】
また、第1インダクタL1用コイルと第3インダクタL3用コイルとで第1コイルLAを構成し、第2インダクタL2用コイルと第4インダクタL4用コイルとで第2コイルLBを構成した例を示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、第1コイルLA、第2コイルLBがそれぞれ単一のコイルで構成されている場合にも同様に適用できる。
【0052】
また、RFICモジュール101A,101B,102A,102Bにおいて、アンテナ接続用第1電極11とアンテナ導体パターン61Pとの間に容量を形成し、アンテナ接続用第2電極12とアンテナ導体パターン62Pとの間に容量を形成する例を示したが、この「接続」は、容量を介する接続に限らず、直流的な接続であってもよい。
【0053】
また、RFICモジュール101A,101B,102A,102Bを絶縁体フィルム60に搭載する構造以外に、絶縁体フィルム60に直接的にインピーダンス整合回路7を形成し、RFIC2を搭載してもよい。
RFIDタグ用RFICモジュール(101A,101B)は、RFIC(2)と、アンテナ接続用第1電極(11)と、アンテナ接続用第2電極(12)と、RFIC接続用第1電極(31)と、RFIC接続用第2電極(32)と、RFIC(2)とアンテナとのインピーダンスを整合させるインピーダンス整合回路と、矩形状の基板(1)と、を備える。インピーダンス整合回路の第1コイル(LA)及び第2コイル(LB)は基板(1)に並置され、第1コイル(LA)のコイル開口の重心と第2コイル(LB)のコイル開口の重心とを通る直線(SL)は基板(1)の一辺に対して傾斜していて、この傾斜の方向は第1RFICモジュール(101A)と第2RFICモジュール(101B)とで異なる。