(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
蓋体の内面にポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート又は発泡ポリスチレンを少なくとも有し、該蓋体が形成する閉鎖空間内に発熱部が独立して載置されたものであり、
発熱部の蒸気排出口が、円形孔状、楕円孔状又はスリット状であって、複数個の蒸気排出口が配設されたものであるか又は発熱部の全周又は一部に渡ってスリット状に1つ配設されたものである請求項1に記載のキットの使用方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のキットは、下記に詳述する発熱部及び蓋体を有するものであり、発熱部から発生する水蒸気によって、蓋体が形成する閉鎖空間内が高温になり、施用箇所内の細菌やウイルス等の微生物を減菌又は不活化するものである。
したがって、本発明のキットは、微生物による感染型の食中毒等の感染症の感染防止に有効である。微生物による感染型の食中毒の感染源として、病原性大腸菌、カンピロバクター、サルモネラ属菌、ウェルシュ菌、黄色ブドウ球菌、腸炎ビブリオ、ボツリヌス菌、セレウス菌等の細菌、ノロウイルス等のウイルス、アニサキス、クドア等の寄生虫等が知られているが、本発明のキットは、加熱により死滅又は不活化する例えば、以下の微生物を減菌又は不活化するのに有用である。
【0013】
細菌に関しては、東京都発行、社団法人東京都食品衛生協会編集の「食中毒予防ガイド」(平成24年10月発行)に、病原物質の死滅温度・時間に関して、次の通り記載がある(括弧内は死滅温度・時間を示す)。
サルモネラ(65℃・3分間)
病原大腸菌(75℃・1分間)
ウェルシュ菌(60℃・1分間)
カンピロバクター(60℃・1分間)
腸炎ビブリオ(65℃・5分間)
黄色ブドウ球菌(65℃・10分間)
また、ノロウイルスの加熱による不活化条件として、85℃以上で1分間以上の加熱が有効とされている(厚生労働省、ノロウイルスに関するQ&A、最終改訂:平成30年5月31日、Q15、Q17及びQ21)。
本発明のキットは上記細菌やノロウイルスをはじめとする各種微生物の減菌又は不活化に有用な温度条件を備えたものである。
なお、本発明において、「減菌」とは、細菌の数を減じたり、細菌の活動を低下させたりすることをいい、除菌、殺菌及び滅菌も含まれる。
【0014】
[発熱部]
本発明のキットの発熱部は、蓋体で形成される閉鎖空間内の温度を60℃以上で1分間以上保持可能な水蒸気を供給可能なものであり、化学エネルギーを利用したものでも、電気エネルギーを利用したものでもよいが、化学エネルギーを利用したものであることが好ましい。化学エネルギーとしては、酸と塩基との中和熱、無機塩類(酸化カルシウム、酸化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、ゼオライト等)の水和熱、金属粉の酸化熱等を挙げることができる。化学エネルギーを生じさせる化学反応の反応物は発熱剤として発熱部に載置する。
【0015】
発熱剤は水との接触により発熱反応を生じるものであり、発熱剤を構成する反応物は外装体に封入されて発熱部に載置し、該発熱部に水添加口から水を供給して発熱反応を行なうものが好ましい。
【0016】
発熱剤は、Mg、Al、Mn、Zn、Fe及びAl合金からなる群から選択される一種以上の金属粉末と、酸化カルシウム及び/又は水酸化カルシウムとを含有するものが好ましく、Alの金属粉末と、酸化カルシウムとを含有するものが安全性及び取り扱い性からより好ましい。
【0017】
発熱剤に含まれるMg、Al、Mn、Zn、Fe及びAl合金からなる群から選択される一種以上の金属粉末の粒径は、3〜500μmであることが好ましく、3〜250μmであることがより好ましい。なお、本明細書において、該金属粉末の粒径とは、JIS Z8815に規定されたふるい分け試験方法通則に準拠して測定された質量基準の50%ふるい下積算径をいう。該金属粉末は1種単独で用いてもよく、異なる金属種2種以上を組み合わせて用いてもよく、また同種又は異種の金属の粒径が異なるものを組み合わせて用いてもよい。
【0018】
発熱剤に含まれる酸化カルシウム及び水酸化カルシウムは、純度が高いものが好ましい。また、発熱剤中の酸化カルシウム及び水酸化カルシウムの含有量は、Mg、Al、Mn、Zn、Fe及びAl合金からなる群から選択される一種以上の金属粉末の合計100質量部に対して、20〜150質量部が好ましく、40〜100質量部が好ましい。
【0019】
発熱剤は、本発明の作用効果を阻害しない限り、Mg、Al、Mn、Zn、Fe及びAl合金からなる群から選択される一種以上の金属粉末並びに酸化カルシウム及び水酸化カルシウム以外に、反応促進剤として金属酸化物及び金属水素化物等を含有してもよい。また、発熱剤の形態は、粉末でもペレットでもよい
【0020】
発熱剤を封入する外装体の材料としては、フラジール法による通気度が5〜90cc/cm
2・secであるものが好ましく、7〜50cc/cm
2・secであるものがより好ましい。上記範囲の通気度の外装体を用いることにより、水を外装体内に十分に供給して、発熱剤と反応させることができる。外装体の材料例としては不織布、透水性フィルムが挙げられる。
【0021】
発熱剤の製造方法は特に限定されないが、上述した範囲の含有量で、公知の粉体混合機を用いて、Mg、Al、Mn、Zn、Fe及びAl合金からなる群から選択される一種以上の金属粉末と、酸化カルシウム及び/又は水酸化カルシウムと、必要に応じて反応促進剤とを均一に混合することが好ましい。こうして得られた混合物(発熱剤)を、粉体のまま又はペレットに成形後、公知の粉体充填包装機等を用いて外装体に封入する。発熱剤を充填後の外装体の開口部は、ヒートシール等の公知の方法で封止する。外装体内の発熱剤の充填率は、95%以下であることが好ましい。
外装体に封入された発熱剤は、非透湿性の容器内で保管し、使用時に開封し、水を添加して使用することが好ましい。
このような発熱剤として、株式会社エネルダインの「エディック スーパーヒート」(登録商標)等の市販品を用いてもよい。
【0022】
発熱剤の量及び発熱剤に添加する水の量は、蓋体が形成する閉鎖空間の体積(内容積)に応じて適宜決定されるが、発熱剤の重量に対して、11.5倍以下の水を添加することが好ましい。添加水量/発熱剤重量の比が11.5を超えると、発熱剤の量に対して水が過剰となり、発熱剤による発熱反応によって効果的に水蒸気を発生し、高温とすることができない場合がある。
添加水量/発熱剤重量の比の下限値は特に限定されないが、この比の値が小さくなるほど、水に対して発熱剤の量が過剰となり、発熱反応に利用されない発熱剤が生じてしまうため、コストの面から添加水量/発熱剤重量の比の値は0.5以上が好ましい。
【0023】
発熱部に水を添加し水蒸気を発生させるため、発熱部は水添加口を有する。発熱部は発熱剤を出し入れ可能な開閉部又は開口部を有してもよく、該開閉部又は開閉部を水添加口としてもよい。また、開閉部に該開閉部より小さい面積の開閉可能な水添加口を有していてもよい。
【0024】
蓋体が形成する閉鎖空間に均一に水蒸気を拡散し高温にするため、発熱部は蓋体が形成する閉鎖空間内に蒸気排出口を有する。発熱部から発生する水蒸気を蓋体が形成する閉鎖空間に拡散し、蓋体が形成する閉鎖空間を均一に高温にするためには、蒸気排出口は施用箇所方向に対して発熱部に均一に設けられていることが好ましい。
例えば、蓋体が発熱部を備え、両者が一体となっている場合、発熱部の上面は発熱剤を出し入れ可能な開閉部を有していることが好ましく、蓋体内の閉鎖空間内にある蒸気排出口は、発熱部の全周に渡って等間隔又は施用箇所方向に対して均一に設けられていることが好ましい。蒸気排出口の形状及び数は、発熱部から発生する水蒸気を蓋体内の閉鎖空間に均一に拡散できれば、特に限定されないが、円形孔状、楕円孔状、スリット状等の蒸気排出口が複数個あってもよく、発熱部の全周又は一部に渡ってスリット状に1つの蒸気排出口があってもよい。
また、例えば、蓋体と発熱部とが別個に独立し、蓋体が形成する閉鎖空間内に発熱部が載置されるものである場合、発熱部の上面は発熱剤を出し入れ可能な開口部を有していることが好ましく、発熱部の該開口部は水添加口及び蒸気排出口を兼ねるものである。また、この場合、上述した円形孔状、楕円孔状、スリット状等の複数個の蒸気排出口又は発熱部の全周又は一部に渡るスリット状の1つの蒸気排出口を更に備えていてもよい。
【0025】
発熱部の材質は、120℃以上の耐熱性を有する材料であることが好ましく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ナイロン、メラミン、シリコーン等が挙げられるが、ポリプロピレンが特に好ましい。発熱部の大きさは、蓋体が形成する閉鎖空間の内容積に応じて決定される添加水の量及び発熱剤の量に応じて適宜決定すればよく、その形状も発熱剤を収納可能であれば特に問わない。
また、発熱部は施用箇所の形状に合わせて安定して載置できるよう1つ又は複数の脚部を備えていてもよい。
本発明のキットは、発熱部を少なくとも1つ有するものであるが、例えば、施用箇所の面積が大きい場合は、発熱部を複数有するものであってもよい。
【0026】
[蓋体]
蓋体は、施用箇所に閉鎖空間を形成可能であって耐熱性を備えていれば、材質、形状、大きさ等特に問わない。
【0027】
材質は、耐熱性を有する、樹脂、紙、金属、ガラス、セラミック、木材等が挙げられ、これら材質の1種からなるものであってもよく、複数種を組み合わせたものであってもよい。
蓋体内の内側は発熱剤から発生する水蒸気と接するため、少なくとも蓋体内の内側は耐水性を備えた素材であることが好ましい。また、取り扱いの面から、特に持ち運び性や使用後に廃棄することを考慮すると、できるだけ軽量な素材であることが好ましい。
【0028】
したがって、このような性質を備えた蓋体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ナイロン、メラミン、シリコーン及びこれらの樹脂の発泡体等の耐熱性を有する樹脂を少なくとも有するものであることが好ましい。これらの中でも蓋体の材質としては、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、発泡ポリスチレン及び高密度ポリエチレンが好ましく、また、熱効率の観点から、例えば本発明のキットを寒冷地で使用する場合等は断熱性を備えた発泡ポリスチレンが特に好ましい。
【0029】
蓋体の形状、大きさ及び厚さ等は、実施態様及び蓋体の材質によって適宜決定される。熱損失を考慮すると、蓋体の表面積はできるだけ小さくすることが好ましい。また、発熱部から発生する水蒸気が冷却されて、蓋体内側に結露水が付着する。施用箇所に結露水が落下すると施用箇所の温度が低下してしまうため、蓋体内側に付着した結露水が蓋体の周縁部に流れるような形状とすることが好ましい。
【0030】
材質が樹脂である場合、樹脂の成形品であってもよいし、シート状、フィルム状、又は袋状の樹脂製の軟包材であってもよい。
樹脂の成形品の形状としては、例えば、三角柱及び四角柱(直方体、略直方体、立方体、略立方体を含む)等の角柱並びに円柱等の柱体、三角錐及び四角錐等の角錐並びに円錐等の錐体等を挙げることができ、施用箇所に応じて適宜選択できる。なお、略直方体及び略立方体とは、概ね直方体又は略立方体である形状をいい、部分的に凹凸があったり、角等の一部が曲面で形成されたりしているものを含むものである。
また、樹脂製のシート状の軟包材である場合、シートとは、JISZ 0108:2012による厚さが0.25mm以上の薄い板状のものをいい、四角形等の多角形のシートであってもよく、円形のシートであってもよく、施用箇所の形状及び大きさによって適宜決定される。
樹脂製のフィルム状の軟包材である場合、フィルムとは、JISZ 0108:2012による厚さが0.25mm未満の膜状のものをいい、四角形等の多角形のフィルムであってもよく、円形のフィルムであってもよく、施用箇所の形状及び大きさによって適宜決定される。
樹脂製の袋状の軟包材である場合、袋とは、前記シート又はフィルムで作られ、一つの開口部をもつものをいい、開口部の大きさを含めその形状は、施用箇所の形状及び大きさによって適宜決定される。
【0031】
材質が紙である場合、段ボール、板紙等の厚手の紙にポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂を貼り合わせたもの、あらかじめポリエチレン等の樹脂がラミネートされた紙パック等が使用でき、その形状としては、例えば、三角柱及び四角柱(直方体、略直方体、立方体、略立方体を含む)等の角柱並びに円柱等の柱体、三角錐及び四角錐等の角錐並びに円錐等の錐体等を挙げることができ、施用箇所に応じて適宜選択できる。
【0032】
また、施用箇所に密着させて発熱部から発生する水蒸気の漏れを防ぐため、施用箇所に応じて、蓋体はその端部にパッキン又は粘着テープ等を備えていてもよい。
【0033】
発熱部に添加する水の体積に対して、蓋体が形成する閉鎖空間の内容積が120倍以下である。発熱部に添加する水の体積に対して、蓋体が形成する閉鎖空間の内容積が120倍を超えると、蓋体により形成される閉鎖空間内が十分に高温にならず、60℃で1分間以上の温度を継続できない場合がある。蓋体が形成する閉鎖空間の内容積の下限値は特に限定されないが、蓋体が形成する閉鎖空間内を効果的に高温とするためには、発熱部に添加する水の体積に対して、蓋体が形成する閉鎖空間の内容積が10〜100倍であることが好ましく、10〜80倍であることがより好ましく、14〜60倍であることが更に好ましく、20〜60倍であることが特に好ましい。
【0034】
[水]
本発明のキットは、蓋体が形成する閉鎖空間の内容積の1/120以上の量の水を、発熱部の水添加口から添加して使用する。水は、水道水であっても、脱イオン水、蒸留水、精製水等の純水であってもよく、本発明の効果を阻害しない限り、消毒剤、添加剤を含んでいてもよい。
【0035】
[キット]
本発明のキットにおいて、発熱部から発生する水蒸気が施用箇所にまんべんなく供給されるため、蓋体が形成する閉鎖空間内に1つの発熱部を有する場合は、蓋体及び発熱部の中心が一致することが好ましく、蓋体が形成する閉鎖空間内に複数の発熱部を有する場合は蓋体の中心を対称に複数の発熱部を有することが好ましい。
【0036】
また、本発明のキットは、発熱部に添加する水の体積に対して、蓋体が形成する閉鎖空間の内容積が120倍以下であり、添加する水の量はこの範囲内で、また発熱剤の量との兼ね合いで適宜決定されるが、発熱部に添加する水の体積に対して、蓋体が形成する閉鎖空間の内容積が大きい、すなわち、添加水の量が少ない程、蓋体が形成する閉鎖空間内の温度を効果的に高温にするためには、添加水/発熱剤重量の比の値は小さく、すなわち、発熱剤重量を多くすることが好ましい。一方、発熱部に添加する水の体積に対して、蓋体が形成する閉鎖空間の内容積が小さい、すなわち、添加水の量が多い程、蓋体が形成する閉鎖空間内の温度を効率よく高温にするためには、添加水/発熱剤重量の比の値は大きく、すなわち、発熱剤重量を少なくすることが好ましい。
したがって、発熱部に添加する水の体積に対して、蓋体が形成する閉鎖空間の内容積が120倍以下である範囲において、添加水量/発熱剤重量の比の値は、11.5以下であることが好ましく、0.5〜10.0であることがより好ましく、0.5〜5.8であることが更に好ましく、1.0〜4.8であることが殊更好ましく、2.6〜4.0であることが特に好ましい。
【0037】
本発明のキットは、60℃以上の温度を1分間以上保持可能である。本発明のキットは、施用箇所及び対象とする病原物質に応じて、発熱剤重量及び添加水量を最適化することで、対象とする病原物質の減菌又は不活化可能な温度域とすることができる。例えば、ウェルシュ菌等の細菌の減菌に有用な60℃以上の温度を1分間以上保持可能な温度とすることができたり、ノロウイルス等のウイルスの不活化に有用な85℃以上の温度を1分間以上保持可能な温度とすることができたりする。
本発明のキットを食中毒患者の吐物又は糞便の処理に使用する場合、対象物である吐物又は糞便中のタンパク質が熱凝固し、対象物の回収を容易にする効果もある。さらに、水蒸気による加熱であるため、冷却後対象物が直ちに乾燥することはなく、対象物の乾燥による飛沫核感染を防止する効果もある。
また、対象物である吐物及び糞便の回収作業をさらに容易にするため、本発明のキットは、公知の凝固剤、脱臭剤等の添加剤を有していてもよい。これら添加剤は、本発明のキットを使用に際して、適宜その目的に応じて、発熱反応を開始する前に、発熱反応と同時に又は発熱反応終了後に、対象物に添加される。
【0038】
本発明のキットは、以下の工程を有する方法により使用することができる。
工程1.施用箇所をキットの蓋体で覆い、蓋体により閉鎖空間を形成する。
工程2.発熱部の水添加口に、蓋体が形成する閉鎖空間の内容積の1/120以上の量の水を添加する。
なお、工程2の前後に、上述した添加剤を施用箇所に添加してもよい。工程2の水の添加により発熱部で発熱反応が開始し、蓋体が形成する閉鎖空間内が60℃以上の温度を1分間以上保持可能な加熱状態となる。
発熱反応が終わり、十分に冷めた後に、本発明のキットを回収する。本発明のキットを食中毒患者の吐物又は糞便の処理に使用する場合、使用後のキットの回収は公知のウイルス等を含む吐物又は糞便の回収方法に従って、十分留意して回収することが好ましい。また、感染拡大を最大限防ぐため、本発明のキット使用後に、腐食等の損傷のおそれがない箇所であれば、公知の次亜塩素酸ナトリウムによる消毒等をさらに行なってもよい。
【0039】
以下好ましいキットの構成について更に具体的に説明する。
[実施形態1]
本発明のキットの一実施形態において、蓋体は発熱部を備えたものである(実施形態1)。実施形態1のキット1の構成の一例を
図1に示す。
図1Aは、平坦な施用箇所の床面40に対して実施形態1のキット1を施用した場合の中心線における切断部端面図であり、
図1Bは、実施形態1のキット1の発熱部30の端面図である。
【0040】
実施形態1において、蓋体11に備えられた発熱部30は耐熱性を有する樹脂製であることが好ましい。蓋体11に備えられた発熱部30は1個でも複数個でもよい。発熱部30が1個の場合は蓋体11の中心にあることが好ましい。蓋体11の内容積が大きい場合は、発熱部30から発生する水蒸気を蓋体11内の施用箇所に均一に拡散させるため、蓋体11の中心を対称に複数の発熱部30があることが好ましい。
【0041】
実施形態1の発熱部30の材質である耐熱性を有する樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ナイロン、メラミン、シリコーン等が挙げられるが、なかでもポリプロピレンが好ましい。
【0042】
実施形態1の発熱部30は、上述した外装体に封入された発熱剤であって、Mg、Al、Mn、Zn、Fe及びAl合金からなる群から選択される一種以上の金属粉末と、酸化カルシウム及び/又は水酸化カルシウムとを含有する発熱剤33を有することが好ましく、したがって、発熱部30は発熱剤33を出し入れ可能な開閉部を有することが好ましく、その形状も発熱剤33が収まる大きさであれば特に限定されない。使用時に、発熱剤33を出し入れ可能な開閉部を水添加口として該開閉部から水を添加して発熱反応を開始してもよいが、使用時の操作性から、開閉部に該開閉部より小さい面積の開閉可能な水添加口31があることが好ましい。開閉部が該開閉部より小さい面積の開閉可能な水添加口31を備えることにより、まず開閉部を開けて発熱剤33を発熱部30に載置し、続いて開閉部を閉じた後、使用時に水添加口31から水を添加することができ、水添加の操作性がよく、発熱反応開始時のエネルギー損失を最小限にできるため好ましい。
【0043】
実施形態1における発熱部30の蒸気排出口32は、発熱部30から発生する水蒸気を蓋体11内の空間に均一に拡散し高温にするため、蓋体11内の閉鎖空間内に発熱部30の全周に渡って等間隔又は均一に設けられていることが好ましい。蒸気排出口32の形状及び数は、発熱部30から発生する水蒸気を蓋体11内の閉鎖空間に均一に拡散できれば、特に限定されないが、円形孔状、楕円孔状、スリット状等の蒸気排出口が複数個あってもよく、発熱部の全周に渡ってスリット状に1つの蒸気排出口があってもよい。円形孔状の蒸気排出口を複数個有する発熱部の斜視図を
図1Cに示す。
【0044】
実施形態1において、蓋体11は耐熱性を有する樹脂の成形品であることが好ましい。耐熱性を有する樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ナイロン、メラミン、シリコーン及びこれらの樹脂の発泡体等が挙げられるが、なかでもポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート及び発泡ポリスチレンが好ましい。該樹脂の成形品の形状としては、三角柱及び四角柱(直方体、略直方体、立方体、略立方体を含む)等の角柱並びに円柱等の柱体、三角錐及び四角錐等の角錐並びに円錐等の錐体等を挙げることができ、施用箇所に応じて適宜選択できる。なお、略直方体及び略立方体とは、概ね直方体又は略立方体である形状をいい、部分的に凹凸があったり、角等の一部が曲面で形成されたりしているものを含むものである。
【0045】
実施形態1の蓋体11の大きさは、施用箇所に応じて適宜選択でき特に限定されない。実施形態1の蓋体11が樹脂の成型品であることから、実施形態1のキットは、通常施用箇所の面積が広くても2,500cm
2程度の平面な箇所に施用することが好適である。また、実施形態1の蓋体11の厚さは、厚いほど外気の影響を受けず施用箇所内を高温にできるため好ましいが、通常の樹脂の成形品の0.1〜3mm程である。
【0046】
[実施形態2]
本発明のキットの別の一実施態様において、発熱部は蓋体内に独立して載置されたものである(実施形態2)。実施形態2のキット2の構成の一例を
図2に示す。
図2Aは、平坦な施用箇所の床面40に対して実施形態2のキット2を施用した場合の中心線における切断部端面図であり、
図2Bは、実施形態2のキットの発熱部30の端面図である。
【0047】
実施形態2において、発熱部30は耐熱性を有する樹脂製であることが好ましい。蓋体12内に載置された発熱部30は1個でも複数個でもよい。発熱部30が1個の場合は蓋体12の中心に載置することが好ましい。蓋体12の内容積が大きい場合は、発熱部30から発生する水蒸気を蓋体12内の施用箇所に均一に拡散させるため、蓋体12の中心を対称に複数の発熱部30を載置することが好ましい(例えば
図2D)。
【0048】
実施形態2において、発熱部30は上面に発熱剤33を出し入れ可能な開口部を有し、該開口部が水添加口31及び蒸気排出口32を兼ねるものであってもよく、円形孔状、楕円孔状、スリット状等の複数個の蒸気排出口32を更に備えるものであってもよく(例えば
図2B)、又は発熱部の全周又は一部に渡るスリット状の1つの蒸気排出口32を備えるものであってもよい(例えば
図2E)。また、発熱部30は脚部34を有していてもよい。
実施形態2の発熱部30の材質及び発熱剤33は、上述した実施形態1と同様である。
【0049】
実施形態2において、蓋体12はその内面にポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート又は発泡ポリスチレンを少なくとも有するものであることが好ましい。
実施形態2の蓋体12は、例えば実施形態1と同様な樹脂の成形品であってもよいし、段ボール、板紙等の紙製の蓋体に、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート又は発泡ポリスチレンを、蓋体の内面に貼り合わせたものであってもよい。このような2層構造を有する蓋体12の一例としてその部分拡大図を
図2Cに示す。蓋体12の外側の層1(21)が段ボール等の紙であり、蓋体の内側の層2(22)がポリプロピレン等の樹脂のフィルムである。また、実施形態2の蓋体12としては、木製のフレームの天面をポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート又は発泡ポリスチレンで覆ったものであってもよい。
【0050】
実施形態2の蓋体12の大きさは、施用箇所に応じて適宜選択でき特に限定されない。段ボール等の紙製の蓋体に、ポリプロピレン等を、蓋体の内面に貼り合わせたものを用いる場合や木製のフレームの天面をポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート又は発泡ポリスチレンで覆ったものを用いる場合、比較的自由に寸法や形状を設計できるため、樹脂の成形品よりも比較的広い箇所に施用可能である。また、実施形態2の蓋体12の厚さは、厚いほど外気の影響を受けず施用箇所内を高温にでき好ましい。したがって、段ボール等の紙製の蓋体に、ポリプロピレン等を、蓋体の内面に貼り合わせたものを用いる場合、通常の段ボールの厚さの1〜8mm程の1層のものを用いてもよいが、段ボール同士を複層に貼り合わせて用いてもよく、さらに紙製の蓋体の層(層1)と樹脂の層(層2)との間に断熱性を備えた他の層を介在した複層のものを用いてもよい。
【0051】
[実施形態3]
本発明のキットの別の一実施態様において、蓋体はシート状、フィルム状もしくは袋状の樹脂製の軟包材である(実施形態3)。実施形態3のキット3の構成の一例を
図3に示す。
図3Aは、平坦な施用箇所の床面40に対して実施形態3のキット3を施用した場合の中心線における切断部端面図である。
【0052】
実施形態3において、発熱部30は耐熱性を有する樹脂製であることが好ましい。蓋体13内に載置された発熱部30は1個でも複数個でもよい。発熱部30が1個の場合は蓋体13の中心に載置することが好ましい。蓋体が形成する閉鎖空間の内容積が大きい場合は、発熱部30から発生する水蒸気を蓋体13内の施用箇所に均一に拡散させるため、蓋体13の中心を対称に複数の発熱部30を載置することが好ましい。
【0053】
実施形態3において、発熱部30は上面に発熱剤33を出し入れ可能な開口部を有し、該開口部が水添加口及び蒸気排出口を兼ねるものであることが好ましく、円形孔状、楕円孔状、スリット状等の複数個の蒸気排出口又は発熱部の全周に渡るスリット状の1つの蒸気排出口32を更に備えていてもよい。また、実施形態3の発熱部30は
図2Bに示すような脚部34を有していてもよい。
実施形態3の発熱部30の材質及び発熱剤33は、上述した実施形態1と同様である。
【0054】
実施形態3において、蓋体13である軟包材の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、及びポリエチレンテレフタレート等を挙げることができる。実施形態3の蓋体13はこのような樹脂の1種からなる単層のものであってもよく、1種又は2種以上の組み合わせからなる複層のものであってもよい。
実施形態3の蓋体13の大きさは、施用箇所に応じて適宜選択でき特に限定されない。実施形態3の蓋体13は、蓋体13の材質が施用箇所に追随できるため、平面に限らず、壁際等の平面と垂直に交差する箇所、階段状の高低差がある箇所、傾斜がある箇所及び実施形態1よりも比較的広い面積の箇所に施用することが好適である。
【0055】
使用時に蓋体13の設置を容易にし、施用箇所に蓋体13の端部を密着させて閉鎖空間を形成し、水蒸気漏れを防ぐため、実施形態3の蓋体13は、蓋体13の端部に粘着テープを備えることが好ましい。該粘着テープで施用箇所に固定する。そのため、粘着テープは施用箇所の材質に合わせて適宜決定することができる。
また、施用箇所の形状に応じて、
図3Bに示すように、実施形態3において、蓋体13内の閉鎖空間に1つ又は複数の支持体50を有していてもよい。このような支持体50によって、閉鎖空間の形状を任意に調整してもよいし、支持体50を用いずに発熱部30の形状に沿うように閉鎖空間を形成してもよい。
【0056】
[実施形態4]
本発明のキットの別の一実施形態において、施用箇所が一定形状を有する容器内部である場合、すなわち、閉鎖空間を形成する耐熱性の蓋体が、一定形状を有する耐熱性の容器の蓋体であり、該容器及び蓋体により閉鎖空間を形成する場合が挙げられる(実施形態4)。つまり、本発明のキットのある実施形態において、閉鎖空間を形成する一定形状を有する耐熱性容器及び該容器の蓋体と、水添加口及び蒸気排出口を備え、水蒸気を発生する発熱部と、を有する減菌又は不活化するためのキットであって、該閉鎖空間内に発熱部の蒸気排出口を有し、発熱部に添加する水の体積に対して、容器及び該容器の蓋体により形成する閉鎖空間の内容積が120倍以下であるキットである場合がある。実施形態4のキットは、細菌やウイルス等の微生物が付着した対象物(例えば、衣類、タオル、シーツ等の寝具、玩具、食器等)を減菌又は不活化する場合に特に好適に使用される。実施形態4のキットの構成として、例えば
図8〜11の構成が挙げられる。
したがって、対象物の大きさ、重量、形状、材質等に合わせて、一定形状を有する容器は適宜選択することが好ましい。このような容器としては、前述の蓋体が有する性質を備えたものであれば、特に限定されず、その材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ナイロン、メラミン、シリコーン及びこれらの樹脂の発泡体等の耐熱性を有する樹脂;段ボール、板紙等の厚手の紙にポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂を貼り合わせたもの、あらかじめポリエチレン等の樹脂がラミネートされた紙パック;金属等が挙げられる。
また、このような容器の蓋体はその端部にパッキン又は粘着テープ等を備え、容器と蓋体とが密着するようにしてもよく、さらに、使用時の断熱性を高めるため、該容器を断熱材で覆ってもよい。
実施形態4の発熱部の材質及び発熱剤は、上述した実施形態1と同様である。
【0057】
実施形態4の一態様として、例えば
図8に示す態様が挙げられる。
この態様は、内側にポリプロピレン等の耐熱性を有する樹脂がラミネートされた紙袋を容器60とし、該容器の封止部を蓋体10として、紙袋の底部に発熱剤33を載置し、該発熱剤33を覆うように網目状コの字型ラックをスペーサー35として配置したものである。容器60である紙袋は底部に発熱剤を載置できるようマチがあるものが好ましい。スペーサー35上に、対象物70を載置することができる。また、スペーサー35は対象物70を載置可能であれば、網目状に関わらず、縞状、格子状等の空隙を有するものが好ましく、この空隙及び容器60とスペーサー35の間の空間を水添加口31兼蒸気排出口32として、発熱部30から容器60内の閉鎖空間内に水蒸気が拡散し、対象物70を加熱することができる。スペーサー35の材質は発熱部の材質と同様のものが好ましい。
【0058】
実施形態4の別の一態様として、例えば
図9に示す態様が挙げられる。
この態様は、塩化ビニル樹脂等の耐熱性を有する樹脂製の円筒形容器を容器60とし、該容器60の蓋を蓋体10とし、容器60の底部に発熱剤33を載置可能な発熱部30を有するものである。この態様は、対象物70としてボトル形状の容器を減菌又は不活化するのに好適である。対象物70はその外側を減菌又は不活化するため開口部を上方に配してもよいし(
図9A(a)、
図9C(b))、その内側を減菌又は不活化するため開口部を下方に配してもよい(
図9A(b)、
図9C(c))。さらに対象物70を安定して載置するため、スペーサー35を有していてもよい(
図9B)。スペーサー35の材質は発熱部の材質と同様のものが好ましい。また、発熱部30は上方に開口部を有し、この開口部を水添加口31兼蒸気排出口32として、発熱部30から容器60内の閉鎖空間内に水蒸気が拡散し、対象物70を加熱することができる。発熱部30は、容器60の底部に独立して載置するものであっても(
図9A)、容器60と一体となっている、即ち、容器60の底部が発熱剤33を載置可能な空間及び蒸気排出口32を有するよう構成されていてもよい(
図9C)。
【0059】
実施形態4のまた別の一態様として、例えば
図10に示す態様が挙げられる。
この態様は、耐熱性を有する樹脂又は金属製の直方体容器を容器60とし、該容器60の蓋を蓋体10として用い、容器60の底部に発熱部30を配したものである。発熱部としては、
図2B、
図3A及び
図3B等に示すものが挙げられるがこれらに限られない。対象物70を載置するため、容器60の底部に発熱部30を覆うようにスペーサー35を配置し、その上に対象物70を載置する(
図10A(b))。スペーサー35は、対象物70を載置可能であり、発熱部からの水蒸気を拡散できるよう、対象物70を載置する面が格子状(
図10B(a))、縞状(
図10B(b))等のものが好ましいがこれらに限られない。スペーサー35の材質は発熱部の材質と同様のものが好ましい。
【0060】
実施形態4のまた別の一態様として、例えば
図11に示す態様が挙げられる。
この態様は、耐熱性を有する樹脂製の直方体容器を容器60とし、該容器60の蓋を蓋体10として用い、容器60の底部に発熱部30を配したものである。容器60の底部は平面でその上に発熱部30を配してもよく(
図11B(b))、容器60の底部が窪みを有し該窪みに発熱部30を配してもよい(
図11B(a))。発熱部としては、
図2B、
図3A及び
図3B等に示すものが挙げられるがこれらに限られない。対象物70を載置するため、容器60の底部に発熱部30を覆うようにスペーサー35を配置し、その上に対象物70を載置する(
図11A(b))。スペーサー35の材質は発熱部の材質と同様のものが好ましい。
【実施例】
【0061】
以下、実施例を挙げて、本願発明をさらに詳細に説明するが、本願発明は下記の例に制限されるものではない。
【0062】
実施例1
床面の上に塩化ビニル樹脂製のPタイルを敷き、該Pタイル上に本発明のキットを載置し、蓋体内のPタイル上の温度をK熱電対(デジタルデータロガ温度計TM−97SD)により測定した。
実施例1で使用したキットの構成は
図1に示す通りである。
【0063】
実施例1(1)
実施例1(1)で使用したキットの蓋体は発泡ポリスチレン製成形品で、その内容積は1900cm
3であり、形状は略直方体(内寸 W[mm]×D[mm]×H[mm]=275×190×43、厚さ3mm)である。
実施例1(1)で使用したキットの発熱部は開閉式の水添加口を備えたポリプロピレン製の容器で、蓋体の中心と該容器の中心とが一致するように蓋体に備えられたものである。該ポリプロピレン製の容器の側面上方には、複数の蒸気排出口が等間隔に設けられている。また、実施例1(1)で使用した発熱部には、エディック スーパーヒートを発熱剤として用いた。
実施例1(1)で使用したキットは、施用箇所の中心に発熱部及び蓋体の中心を合わせるように配したもので、実施例1(1)の温度測定点は施用箇所上の、該中心から150mm離れた蓋体の4角のうちの3角(測定点1〜3)と中心(測定点4)である。
まず、温度測定点にK熱電対の測定部を配し、該温度測定点を含む施用箇所をキットの蓋体で覆った。次に、キットの発熱部に発熱剤を配し、発熱部の水添加口から水を添加した。温度の測定は水を添加して直後から開始し、測定開始後10分経過するまで5秒ごとに温度を測定し記録した。なお、測定時の周囲環境温度は20.5〜27.0℃であった。
各実験における添加水量及び発熱剤量と温度測定結果とを表1に示す。温度測定結果として、60℃以上、65℃以上、70℃以上、75℃以上及び85℃以上の温度継続時間を算出し、温度測定点1〜3のうち継続時間が最も短かった温度測定点の継続時間を表1に記載した。
【0064】
【表1】
【0065】
比較例1(1)
発熱剤量及び添加水量を表2に記載の通りとした以外は、実施例1(1)と同様にして、蓋体内のPタイル上の温度の測定を行なった。各実験における添加水量及び発熱剤量と温度測定結果とを表2に示す。温度測定結果は、実施例(1)と同様に評価した結果である。
【0066】
【表2】
【0067】
蓋体が形成する閉鎖空間の内容積に対して添加水量が1/120より少なく、蓋体内容積/添加水量の比が120を超えると、蓋体内の閉鎖空間内において60℃で1分以上の温度を継続することができない箇所があることがわかった。
【0068】
実施例1(2)
発熱剤量及び添加水量を表3に記載の通りとし、蓋体内容積/添加水量又は添加水量/発熱剤量の比を種々変えた以外は、実施例1(1)と同様にして、蓋体内のPタイル上の温度の測定を行なった。なお、測定開始後10分経過しても60℃以上の高温であった温度測定点もあったため、測定は測定開始後20分経過するまで行なった。各実験における添加水量及び発熱剤量と温度測定結果とを表3に示す。温度測定結果は、実施例(1)と同様に評価した結果である。
【0069】
【表3】
【0070】
蓋体内容積/添加水量の比を一定とした場合、添加水量/発熱剤量の比が1.6〜4.8、特に2.6〜4.0の間とすることで60℃以上の高温での継続時間も85℃以上の高温での継続時間も長くなることがわかった。
【0071】
実施例1(3)
発熱剤量及び添加水量を表4に記載の通りとした以外は、実施例1(1)と同様にして、蓋体内のPタイル上の温度の測定を行なった。なお、測定開始後10分経過しても60℃以上の高温であった温度測定点もあったため、測定は測定開始後20分経過するまで行なった。各実験における添加水量及び発熱剤量と温度測定結果とを表4に示す。温度測定結果は、実施例(1)と同様に評価した結果である。
【0072】
【表4】
【0073】
実施例1(4)
実施例1(4)で使用したキットの構成を表5に示す。実施例1(4)で使用したキットの構成は、表5に記載した事項以外は上記実施例1(1)の構成と同様である。
表5に記載した温度測定点において、実施例1(1)と同様に経時での温度を測定した。その結果として、時間に対する温度変化を
図4に示す。
【0074】
【表5】
【0075】
耐熱性を有する各種材質の蓋体並びに施用箇所の面積及び内容積が異なる各種蓋体で本願発明の効果を確認できた。特に断熱性を備える発泡ポリスチレン製の蓋体を用いた場合、温度測定開始後10分経過しても60℃以上の温度であった。
【0076】
実施例1(5)
擬似嘔吐物として、アルファ化米10gに水50cm
3を加え、2時間放置し、お粥状態としたものを調製した。この擬似嘔吐物を、床面上に配置した塩化ビニル樹脂製のPタイル上の温度測定点の2箇所(温度測定点1:キットの中心から130mm離れた位置、温度測定点2:キットの中心)にそれぞれ30g(厚み約5mm)ずつ置き、No. E34のキットを用いて実施例1(4)と同様に経時での温度を測定した。測定時の周囲環境温度は26℃±1.5℃であった。
その結果として、時間に対する温度変化を
図5に示す。
【0077】
擬似嘔吐物の存在下でも、60℃で1分間以上の温度を継続することが確認できた。
【0078】
実施例2(1)
床面の上に塩化ビニル樹脂製のPタイルを敷き、該Pタイル上に本発明のキットを載置し、蓋体内のPタイル上の温度をK熱電対(デジタルデータロガ温度計TM−97SD)により測定した。
実施例2(1)で使用したキットの構成は
図2に示す通りである。
【0079】
実施例2(1)で使用したキットの蓋体は、1.5mm厚の段ボールの内側にポリプロピレン製フィルムを貼り合わせたもので、その内容積は1900cm
3であり、形状は直方体である。
実施例2(1)で使用したキットの発熱部は、上面に水添加口兼蒸気排出口としての開口部を有する、脚部を備えその高さが13mmの、ポリプロピレン製の容器である。また、実施例2で使用した発熱部には、エディック スーパーヒート(発熱剤重量15g)を発熱剤として用いた。
実施例2(1)で使用したキットは、脚部を備えた発熱部が蓋体により形成された閉鎖空間内のPタイル上に載置され、施用箇所の中心に発熱部及び蓋体の中心をあわせるように配されたものであり、実施例2の温度測定点は施用箇所上の該中心(測定点1)である。
まず、温度測定点にK熱電対の測定部を配し、発熱剤を備えた発熱部を配置し、発熱部の開口部から水(45cm
3)を添加した。水を添加した直後に、施用箇所をキットの蓋体で覆い、温度の測定を開始した。温度測定開始後20分経過するまで5秒ごとに温度を測定し記録した。測定時の周囲環境温度は25℃±1.0℃であった。
各実験における添加水量及び発熱剤量と温度測定結果を表6Aに示す。温度測定結果は、実施例(1)と同様に評価した結果である。また、温度測定点1における温度変化を
図6に示す。
【0080】
【表6A】
【0081】
蓋体の寸法が変わっても、蓋体内容積に対して添加水量を1/120以上とすることで、60℃で1分以上の温度が継続することを確認できた。また、施用箇所の面積が小さく高さが高い蓋体ほど、温度上昇の立ち上がりが早くなり、施用箇所の面積が大きく高さが低い蓋体ほど、60℃以上の高温での継続時間が長くなることがわかった。
【0082】
実施例2(2)
タイルカーペットの床面の上に本発明のキットを載置し、蓋体内のタイルカーペット上の温度をK熱電対(デジタルデータロガ温度計TM−97SD)により測定した。
【0083】
実施例2(2)で使用したキットの蓋体は465mm四方の木製フレームの天面を発泡ポリスチレンで覆ったものであり、その内容積は13,300cm
3であり、形状は直方体(内寸 W[mm]×D[mm]×H[mm]=465×465×75)である。
実施例2(2)で使用したキットの発熱部30はポリプロピレン製の略直方体の容器であり、上面に開閉式の水添加口31を備え、また該容器の3つの側面上方にスリット状の蒸気排出口32を複数有するものである(
図2E)。この実施例2(2)で使用した発熱部には、エディック スーパーヒートを発熱剤33として用いた。
実施例2(2)で使用したキットは、蓋体12の中心を対称に、2つの発熱部30が、蓋体12により形成された閉鎖空間内のタイルカーペット上40の2箇所に、発熱部30の蒸気排出口32がない側面が近接する蓋体12の側面に平行になるよう配されたものであり(
図2D)、実施例2(2)の温度測定点は蓋体12で覆われた閉鎖空間の施用箇所であるタイルカーペット上40の中心(測定点1)である。
まず、No.101−103の実験では、温度測定点にK熱電対の測定部を配し、発熱剤33を備えた発熱部30を配置し、発熱部30の開口部である水添加口31から水を添加した。水を添加した直後に、施用箇所をキットの蓋体12で覆い、温度の測定を開始した。温度測定開始後30分以上、60℃未満の温度が連続して少なくとも7分間継続するまで5秒ごとに温度を測定し記録した。測定時の周囲環境温度は20℃±5.0℃であった。
また、No.104の実験では、擬似嘔吐物として、アルファ化米10gに水70cm
3を加え、12時間放置し、お粥状態としたものを調製し、この擬似嘔吐物を、タイルカーペット上40の温度測定点1に100g(厚み約15mm)を置き、実施例2(2)のキットを用いて同様に経時での温度を測定した。測定時の周囲環境温度は20℃±5.0℃であった。
【0084】
各実験における添加水量及び発熱剤量と温度測定結果を表6Bに示す。なお、表6Bに記載された添加水量及び発熱剤量は、2つの発熱部の合計量を示し、各発熱部には表6Bに記載された量の半量をそれぞれ載置した。温度測定結果は、温度測定点1における60℃以上、65℃以上、70℃以上、75℃以上及び85℃以上の温度継続時間を算出し、表6Bに記載した。
【0085】
【表6B】
広範囲の面積を有するタイルカーペット上でも、60℃で1分以上、特に30分以上の温度が継続し、また、擬似嘔吐物の存在下でも同様に60℃で30分間以上の温度を継続することが確認できた。
【0086】
実施例3
床面の上に塩化ビニル樹脂製のPタイルを敷き、該Pタイル上に本発明のキットを載置し、蓋体内のPタイル上の温度をK熱電対(デジタルデータロガ温度計TM−97SD)により測定した。
実施例3で使用したキット構成は
図3に示す通りである。
【0087】
実施例3で使用したキットの蓋体は、1辺が450mmの正方形のポリプロピレン製フィルム(厚さ0.08mm)である。蓋体により形成された閉鎖空間内の内容積は3350cm
3である。
実施例3で使用したキットの発熱部は、上面に水添加口兼蒸気排出口としての開口部を有するポリプロピレン製の容器(W[mm]×D[mm]×H[mm]=160×80×40)である。また、実施例3で使用した発熱部には、エディック スーパーヒート(発熱剤重量50g)を発熱剤として用いた。
実施例3で使用したキットは、施用箇所の中心に発熱部及び蓋体の中心を合わせるように配したもので、発熱部は蓋体内のPタイル上に配置されており、実施例3の温度測定点は施用箇所上の、中心から150mm離れた位置(測定点1)と75mm離れた位置(測定点2)である。
まず、温度測定点にK熱電対の測定部を配し、温度測定点を含む施用箇所を、キットの蓋体のシートの4辺をテープ止めすることにより、蓋体で覆った。次に、発熱剤を備えた発熱部の開口部から水(75cm
3)を添加した。水を添加した直後に、蓋体のテープ止めした4辺のうち1辺の一部を開口し、開口した部分から施用箇所の中心に発熱部を配し、直ちに開口した部分を再度テープ止めし、温度の測定を開始した。温度測定開始後6分50秒経過するまで5秒ごとに温度を測定し記録した。測定時の周囲環境温度は26℃±1.5℃であった。
添加水量及び発熱剤量と温度測定点1における温度測定結果を表7に示す。温度測定結果は、実施例(1)と同様に評価した結果である。また、温度測定点1及び2における温度変化を
図7に示す。
【0088】
【表7】
【0089】
実施例4
施用箇所として表8Aに示す寸法の容器を用意し、該容器内に、表8Aに示す減菌又は不活化の対象物を配置し、該容器の蓋である蓋体により形成される閉鎖空間内の対象物付近の温度をK熱電対(デジタルデータロガ温度計TM−97SD)により測定した。
【0090】
実施例4(1)(No.105−106)
実施例4(1)のキットの構成は
図8に示す通りである。内側にポリプロピレンがラミネートされた紙袋を容器60とし、該容器の封止部を蓋体10として、紙袋の底部(290mm×115mm)に発熱剤(エディック スーパーヒート)33を載置し、該発熱剤33を覆うようにポリプロピレン製の網目状コの字型ラックをスペーサー35として配置した。底部から90mmの高さのスペーサー35上に、対象物70として水分を含んだタオル3枚を畳んで重ねて載置した。温度測定箇所は、対象物70の中央(折り畳んだタオルの間、測定点1)及び対象物70の上面(タオルの上面、測定点2)の2箇所である。
対象物70の温度測定点にK熱電対の測定部を配し、発熱部30の水添加口31から水を添加した。水を添加した直後に、容器60の封止部をテープ留めし、温度の測定を開始した。温度測定開始後60分経過するまで5秒ごとに温度を測定し記録した。測定時の周囲環境温度は27℃±3.0℃であった。
【0091】
実施例4(2)(No.107−108)
実施例4(2)のキットの構成は
図9に示す通りである。塩化ビニル樹脂製の円筒形容器60に該容器60の蓋を蓋体10として用い、容器60の底部に発熱剤(エディック スーパーヒート)33を有する発熱部30を配置し、さらに発熱部30の上に対象物70としてボトル形状のポリプロピレン製容器を配置した。No.107の実験では対象物70のポリプロピレン製容器の開口部が上方にくるよう配置し、No.108の実験では対象物70のポリプロピレン製容器の開口部が下方にくるよう、かつ発熱部30の蒸気排出口32をポリプロピレン製容器の開口部が覆うよう配置した。温度測定箇所は、対象物70であるポリプロピレン製容器の底部(測定点1)、対象物70であるポリプロピレン製容器の開口部(測定点2)及び容器60内中央の側面(測定点3)の3箇所である。
温度測定点にK熱電対の測定部を配し、発熱部30の水添加口31から水を添加した後、直ちに発熱部30上に対象物70であるポリプロピレン製容器を配し、容器60をキットの蓋体10で覆った後、さらに断熱性不織布により塩化ビニル樹脂の円筒容器60全体を覆い、温度の測定を開始した。温度測定開始後30分経過し、その後60℃未満の温度が連続して2分継続するまで5秒ごとに温度を測定し記録した。測定時の周囲環境温度は27℃±3.0℃であった。
【0092】
実施例4(3)(No.109−113)
実施例4(3)のキットの構成は
図10に示す通りである。金属製の直方体容器60に該容器60の蓋を蓋体10として用い、容器60の底部にポリプロピレン製容器に収めた発熱剤(エディック スーパーヒート)33を発熱部30として載置した。さらに、該発熱部30を覆うように高さ150mmの脚付きアルミニウム製のフレームを配置し、該フレーム天面にポリプロピレン製の格子状棚板を配置し、これらをスペーサー35として、そのスペーサー35上に対象物70の乾燥したタオル又は水分を含んだタオルを畳んで、タオルが複数枚ある場合はさらにそれらを重ねて、配置した(
図10A、B(a))。温度測定箇所は、対象物70の中央(折り畳んだタオルの間、測定点1)及び対象物70の上面(タオルの上面、測定点2)の2箇所である。さらに、温度測定時には、金属製の直方体容器の側面を5mm厚のダンボールで覆い、実験を行った。
温度測定点にK熱電対の測定部を配し、発熱剤33を備えた発熱部30を配置し、発熱部30の水添加口31から水を添加した。水を添加した直後に、容器60をキットの蓋体10で覆い、温度の測定を開始した。No.109−111では温度測定開始後30分まで、No.112−113では温度測定開始後30分経過し、その後60℃未満の温度が連続して2分継続するまで、それぞれ5秒ごとに温度を測定し記録した。測定時の周囲環境温度は27℃±3.0℃であった。
【0093】
実施例4(4)(No.114−119)
実施例4(4)のキットの構成は
図11に示す通りである。ポリプロピレン(厚さ2mm)/発泡スチロール(厚さ20mm)/ポリプロピレン(厚さ2mm)の3層構造の直方体容器60に該容器60の蓋を蓋体10として用い、容器60の底部に発熱剤(エディック スーパーヒート)33を備えた発熱部30を配置した。No.118−119の実験では、スペーサー35を介して底部から90mmの高さの位置にさらに対象物70である衣服(上衣及び下衣各1枚)を配置した。No.114−115の実験の温度測定箇所は、容器60内上方の中央(測定点1)、容器60底部から50mmの高さの発熱部30の側面(測定点2)及び容器60内中央(容器底部から高さ125mm、測定点3)の3箇所である。No.116−117の実験の温度測定箇所は、容器60内上方の中央(測定点1)、容器60底部から高さ45mmの発熱部30の側面(測定点2)、容器60中央(容器底部から高さ90mm、測定点3)及び容器60側面(容器底部から高さ90mm、測定点4)の4箇所である。No.118−119の実験の温度測定箇所は、対象物70の間及び上面(折り畳んだ衣服の間及び上面)の4箇所である。
温度測定点にK熱電対の測定部を配し、発熱剤33を備えた発熱部30を配置し、発熱部30の水添加口31から水を添加した。水を添加した直後に、容器60をキットの蓋体10で覆い、温度の測定を開始した。温度測定開始後30分経過し、その後60℃未満の温度が連続して2分継続するまで5秒ごとに温度を測定し記録した。測定時の周囲環境温度は27℃±3.0℃であった。
【0094】
各実験における添加水量及び発熱剤量と温度測定結果を表8Bに示す。温度測定結果は、各温度測定点における60℃以上、65℃以上、70℃以上、75℃以上及び85℃以上の温度継続時間を算出し、各温度測定点の継続時間の平均値を表8Bに記載した。
【0095】
【表8A】
【0096】
【表8B】
各種形状・材質の容器の蓋体により形成される閉鎖空間及び該閉鎖空間内の対象物に対しても、60℃で1分以上の温度を継続することが確認できた。
【0097】
実施例4(5)代替ウイルスによる不活化試験及び評価
ノロウイルスの代替ウイルスとして広く使用されている、ネコカリシウイルス(FCV)及びコクサッキーウイルスB5型(CB5)を用いて、不活化効果の判定試験を行った。
試験試料の取扱いは、「食品衛生検査指針微生物編(2015)−ウイルス不活化試験法」「平成27年度 ノロウイルスの不活化条件に関する調査報告書(国立医薬品食品衛生研究所食品衛生管理部)」の公知の手法に準じて行った。
【0098】
<材料及び準備>
FCVはCRFK細胞(ネコ腎由来細胞)、CB5はベロ細胞(アフリカミドリザル腎由来細胞)でそれぞれ増殖させ、供試時まで−80℃で保存した。
細胞の培地は、増殖用には10%ウシ胎児血清加イーグルMEM培地、維持用には2%ウシ胎児血清加イーグルMEM培地を用い、37℃のCO
2ふ卵器で培養した。
【0099】
<ウイルスの定量>
ウイルスの定量は50%感染終末点法(TCID
50)で行った。すなわち、96ウェルマイクロプレートに接種後フルシートとなった時点で維持用培地に交換した。処理及び未処理(対照)のウイルス液を血清不含イーグルMEM培地で10倍段階希釈し、原液及び各希釈液につき4ウェルを使用し、それぞれ25μLを接種した。37℃CO
2ふ卵器で3〜7日培養し、細胞変性効果(CPE)の有無を確認し感染価を求めた。
【0100】
<嘔吐物模擬試験>
嘔吐物による試験試料への蒸気の影響を想定した嘔吐物模擬試験を行うため、市販のヨーグルト(イトーヨーカドー製プレーンヨーグルト)を使用した。
【0101】
<有効性の判定>
不活化効果に関しては感染価減少量に基づいて判定し、接種したウイルスとの感染価(log
10換算値)の差に従って、A:十分な効果あり(4log
10以上の感染価減少量)、B:効果あり(2log
10以上4log
10未満の感染価減少量)、及びC:効果なし(2log
10未満の感染価減少量)と判定した。
【0102】
<試験方法>
処理1:キットの構成は
図11に示す通りである。発泡スチロール製(厚み30mm)の直方体容器60(内寸 W[mm]×D[mm]×H[mm]=270×370×220)(内容積 21,978cm
3)に該容器60の蓋を蓋体10として用い、容器60の底部に100gの発熱剤(エディック スーパーヒート)33を備えた発熱部30を配置した。対象物70である衣類(ズボン及び白衣各1枚)は、スペーサー35を介して底部から100mmの高さの位置に配置した。試験試料は、0.2mLのマイクロチューブ内に、血清不含MEM培地50μLで2倍希釈したウイルス液(FCV及びCB5)100μLと10%ウシ胎児血清加MEM培地50μLで2倍希釈したウイルス液(FCV及びCB5)100μLの計4種を4つずつ用意した。各種試験試料は、容器の底部、折り畳んだ白衣の中央部、折り畳んだズボンの中央部及びその上面の合計4箇所に各々4種を配置した。温度測定箇所は、容器60の底部、対象物70の各折り畳んだ衣類の間2箇所及び最上部衣類の上面1箇所の計4箇所である。
温度測定点にK熱電対(TESCO製175T3)の測定部を配し、発熱部30の水添加口31から水を350mL添加した。水を添加した直後に、容器60をキットの蓋体10で覆い、温度の測定を開始した。各測定箇所の温度全てが80℃未満となった時点まで30秒ごとの温度を測定し記録した。その後、試験試料の入ったマイクロチューブを回収し所定の処理を行った上で感染価を求めた。
【0103】
処理2:キットの構成は
図11に示す通りである。発泡スチロール製(厚み30mm)の直方体容器60(内寸 W[mm]×D[mm]×H[mm]=270×370×220)(内容積 21,978cm
3)に該容器60の蓋を蓋体10として用い、容器60の底部に100gの発熱剤(エディック スーパーヒート)33を備えた発熱部30を配置した。対象物70である衣類(ズボン及び白衣各1枚)は、スペーサー35を介して底部から100mmの高さの位置に配置した。試験試料は、ウイルス液(FCV及びCB5)100μLを、0.2mLのマイクロチューブ内又はビニール袋内(W30×D50mm)に注入し、各々漏れないよう処置した上で、50gのヨーグルトを封入したビニール袋内及び100gのヨーグルトを封入したビニール袋内各々に各試験試料を配置し密封した。各種試験試料が配置されたヨーグルトの入ったビニール袋2種は、折り畳んだ白衣の中央部及び折り畳んだズボンの中央部の合計2箇所にそれぞれ配置した。温度測定箇所は、対象物70の各折り畳んだ衣類の間に配置され、かつ各種試験試料が配置されたヨーグルトの入ったビニール袋に接触する各面の4箇所である。
温度測定点にK熱電対(TESCO製175T3)の測定部を配し、発熱部30の水添加口31から水を350mL添加した。水を添加した直後に、容器60をキットの蓋体10で覆い、温度の測定を開始した。各測定箇所の温度全てが80℃未満となった時点まで30秒ごとの温度を測定し記録した。その後、試験試料の入ったマイクロチューブおよびビニール袋を回収し所定の処理を行った上で感染価を求めた。
【0104】
処理3:キットの構成は
図11に示す通りである。発泡スチロール製(厚み30mm)の直方体容器60(内寸 W[mm]×D[mm]×H[mm]=270×370×220)(内容積 21,978cm
3)に該容器60の蓋を蓋体10として用い、容器60の底部に100gの発熱剤(エディック スーパーヒート)33を備えた発熱部30を配置した。対象物70である衣類(綿製の手ぬぐい2枚)は、スペーサー35を介して底部から100mmの高さの位置に、ステンレス製皿(W120×D170×H70mm)内に折り畳み配置したものを2セット用意し配置した。試験試料は、ウイルス液(FCV及びCB5)100μLを、0.2mLのマイクロチューブ内又はビニール袋内(W30×D50mm)に注入し、各々漏れないよう処置した上で、綿製手ぬぐいの上に4種の試験試料を2個ずつ配置した。2セットの内一方にはその上から直接ヨーグルトを50g垂らし、もう一方には直接ヨーグルトを100g垂らした。
温度測定箇所は、対象物70の折り畳んだ綿製手ぬぐいの間と垂らしたヨーグルトの内部の各2箇所ずつの計4箇所である。
温度測定点にK熱電対(TESCO製175T3)の測定部を配し、発熱部30の水添加口31から水を350mL添加した。水を添加した直後に、容器60をキットの蓋体10で覆い、温度の測定を開始した。各測定箇所の温度全てが80℃未満となった時点まで30秒ごとの温度を測定し記録した。その後、試験試料の入ったマイクロチューブおよびビニール袋を回収し所定の処理を行った上で感染価を求めた。
【0105】
<試験結果及び判定>
処理1にて、有機物の影響及び場所による蒸気の接触ムラの影響を確認する目的で合計2回試験を行った。処理2、3にて嘔吐物存在下を想定した擬似嘔吐物による影響を確認する目的で試験を各1回行った。
処理1での試験試料、FCV(16種)及びCB5(16種)に於ける感染価は、全て検出限界の1.0×10
2TCID
50/25μL未満まで不活化された。処理2での試験試料、FCV(8種)及びCB5(8種)に於ける感染価は、全て検出限界の5.0×10
1TCID
50/25μL未満まで不活化された。処理3での試験試料、FCV(8種)及びCB5(8種)に於ける感染価は、全て検出限界の5.0×10
1TCID
50/25μL未満まで不活化された。結果を表9に示す。
【0106】
【表9】
【0107】
また、処理1〜3における温度測定点に於ける温度測定結果から、80℃以上、85℃以上及び90℃以上の温度継続時間をそれぞれ算出したところ、各種試験に於ける各温度域持続時間は、最短でも80℃以上が34.5分間以上、85℃以上が26.5分間以上、90℃以上が6.5分間以上であり、また、各温度の温度継続時間が最長だった測定箇所の結果及び各測定箇所の平均値は表10に示す通りであった。
【0108】
【表10】
【0109】
実施例4(6)細菌による除菌試験及び評価
一般的な抗菌評価試験等で使用されているEscherichia coli(大腸菌)及びStaphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌)の菌株を用いて、除菌効果の判定試験を行った。
【0110】
<材料及び準備>
各試験菌を標準寒天培地にて35℃で培養した。発育した菌を1%ペプトン水に懸濁して、各試験菌液を1mLあたり10
7〜
8cfuとなるように調製した。
【0111】
<試験菌の定量及び状態>
滅菌済1.5mLマイクロチューブの底部に調製した試験菌液をそれぞれ10μL接種した後、50℃にて30分間乾燥させたものを試験試料とした。試験試料に接種した試験菌液が乾燥していることを目視にて確認した後、この試験試料をキットの所定の場所に配置した。
【0112】
<有効性の判定>
それぞれの菌種で、除菌活性値で2(log
10)以上であることが除菌の条件となる。除菌活性値2以上とは、除菌処理を施していない対照試料に対して残存する生菌数を1/100以下に減少させることを言う。
【0113】
<試験方法>
処理4:キットの構成は、
図9C(a)及び(c)に示す通りである。ポリプロピレン製の円筒形容器60(内寸 Φ[mm]×H[mm]=80×200)(内容積 502cm
3)の蓋を蓋体10として用い、容器60の内部に対象物70としてボトル形状のポリプロピレン製容器を開口部が下方にくるよう、かつ容器60内の蒸気排出口32をポリプロプレン製ボトル容器の開口部が覆うよう配置した。独立した発熱部30としてポリプロピレン製容器(内寸 Φ[mm]×H[mm]=80×75)(内容積 188cm
3)内の底部に10gの発熱剤(エディック スーパーヒート)33を配置した。試験試料は、1.5mLのマイクロチューブに入った大腸菌及び黄色ブドウ球菌を使用した。各種試験試料は、対象物70であるポリプロピレン製ボトル容器の底部に穴をあけ、マイクロチューブを挿し込み、一体となるよう配置した。温度測定箇所は、対象物70であるポリプロピレン製ボトル容器の外側かつ底に挿し込まれたマイクロチューブ付近の1箇所である。
温度測定点にK熱電対(デジタルデータロガー温度計TM−97SD)の測定部を配し、容器60をキットの蓋体10で覆い、発熱部30の水添加口31から精製水を35mL添加した後、直ちに容器60を発熱部30に配し、さらに厚さ1.5mmのダンボール製直方体箱で容器60及び発熱部30全体を覆い、温度の測定を開始した。作用時間は、温度測定開始後5分とした。5分経過するまで5秒ごとに温度を測定し記録した。その後、試験試料を取り出し、ペプトン食塩緩衝液1mLを加えた後、標準寒天培地を用いて35℃で24〜48時間培養後の集落数を測定し生存菌数を求めた。また、菌数測定方法に関しては一般的な抗菌評価試験等に準じて行った。対照試料(未処理試料)としては、発熱剤により蒸気を発生させない以外は同様の処理を行った。
【0114】
処理5:キットの構成は、
図9C(a)及び(c)に示す通りである。ポリプロピレン製の円筒形容器60(内寸 Φ[mm]×H[mm]=80×200)(内容積 502cm
3)の蓋を蓋体10として用い、容器60の内部に対象物70としてボトル形状のポリプロピレン製容器を開口部が下方にくるよう、かつ容器60内の蒸気排出口32をポリプロプレン製ボトル容器の開口部が覆うよう配置した。独立した発熱部30としてポリプロピレン製容器(内寸 Φ[mm]×H[mm]=80×75)(内容積 188cm
3)内の底部に10gの発熱剤(エディック スーパーヒート)33を配置した。試験試料は、1.5mLのマイクロチューブに入った大腸菌及び黄色ブドウ球菌をそれぞれ使用した。各種試験試料は、対象物70であるポリプロピレン製ボトル容器の底部に穴をあけ、マイクロチューブを挿し込み、一体となるよう配置した。温度測定箇所は、対象物70であるポリプロピレン製ボトル容器の外側かつ底に挿し込まれたマイクロチューブ付近の1箇所である。
温度測定点にK熱電対(デジタルデータロガー温度計TM−97SD)の測定部を配し、容器60をキットの蓋体10で覆い、発熱部30の水添加口31から精製水を35mL添加した後、直ちに容器60を発熱部30に配し、さらに厚さ1.5mmのダンボール製直方体箱で容器60及び発熱部30全体を覆い、温度の測定を開始した。作用時間は、温度測定開始後10分とした。10分経過するまで5秒ごとに温度を測定し記録した。その後、試験試料を取り出し、ペプトン食塩緩衝液1mLを加えた後、標準寒天培地を用いて35℃で24〜48時間培養後の集落数を測定し生存菌数を求めた。また、菌数測定方法に関しては一般的な抗菌評価試験等に準じて行った。対照試料(未処理試料)としては、発熱剤により蒸気を発生させない以外は同様の処理を行った。
【0115】
<試験結果及び判定>
加熱処理は、各試験試料に対して各3回行った。回収菌数及び除菌活性値は以下の通りであった。
【0116】
【表11】
【0117】
蒸気による加熱処理を行った試験菌(黄色ブドウ球菌及び大腸菌)全てに於いて、各試験菌の回収は認められなかった。加熱処理開始から5分間でも、除菌活性値は5.0以上となり、除菌されたことが確認された。
【0118】
また、処理4〜5における温度測定点に於ける温度測定結果から、60℃以上、65℃以上、70℃以上及び75℃以上の温度継続時間をそれぞれ算出したところ、各種試験に於ける各温度域持続時間は、最短でも黄色ブドウ球菌では60℃以上が2.8分間以上、65℃以上が2.3分間以上、70℃以上が1.8分間以上、75℃以上が1.4分間以上であり、その際の最高温度は77.5℃であった。大腸菌では60℃以上が3.0分間以上、65℃以上が2.8分間以上、70℃以上が1.8分間以上、75℃以上が0.8分間以上であり、その際の最高温度は76.5℃であった。
なお、発熱剤を使用しないで行った対照試料の同位置での計測温度は、14.4℃〜16.1℃であった。
【表12】