特許第6978051号(P6978051)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6978051電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材、電子写真現像剤用キャリア及び現像剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6978051
(24)【登録日】2021年11月15日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材、電子写真現像剤用キャリア及び現像剤
(51)【国際特許分類】
   G03G 9/107 20060101AFI20211125BHJP
   G03G 9/113 20060101ALI20211125BHJP
【FI】
   G03G9/107 321
   G03G9/113 351
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-229617(P2017-229617)
(22)【出願日】2017年11月29日
(65)【公開番号】特開2019-101124(P2019-101124A)
(43)【公開日】2019年6月24日
【審査請求日】2020年9月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231970
【氏名又は名称】パウダーテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113365
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 雅晴
(74)【代理人】
【識別番号】100131842
【弁理士】
【氏名又は名称】加島 広基
(74)【代理人】
【識別番号】100202511
【弁理士】
【氏名又は名称】武石 卓
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 謙
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 隆男
(72)【発明者】
【氏名】内藤 健
(72)【発明者】
【氏名】植村 哲也
【審査官】 福田 由紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−089869(JP,A)
【文献】 特開2007−093802(JP,A)
【文献】 特開2008−203623(JP,A)
【文献】 特開2013−065006(JP,A)
【文献】 特開2011−180296(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 9/10−9/113
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯材断面における結晶粒界の全長Lと芯材周囲長Lとが、2≦L/L≦9の関係を満足する、電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材であって、
前記結晶粒界の全長Lは、L=[{(結晶粒の円相当径×π)の総和}−芯材周囲長]/2の式により算出される値であり、
前記フェライトキャリア芯材が、(MnO)(MgO)(Feにおいて、x+y+z=100mol%を満たし、x、yが、それぞれ15〜60mol%、0.1〜35mol%であり、MnO、MgO及びFeの一部がSrOで0.35〜5.0mol%置換された組成を有する、フェライトキャリア芯材
【請求項2】
形状係数SF−2が150以下である粒子を、個数基準で30%以上含む、請求項1に記載のフェライトキャリア芯材。
【請求項3】
6.5mmギャップにおける、電圧1000V印加時のコア抵抗R1000(単位:Ω)と500V印加時のコア抵抗R500(単位:Ω)とが、5.0≦Log10(|R500−R1000|)≦11.0の関係を満足する、請求項1又は2に記載のフェライトキャリア芯材。
【請求項4】
体積平均粒径が20〜80μmである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のフェライトキャリア芯材。
【請求項5】
1kOe(80kA/m)における磁化が40〜75emu/gである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のフェライトキャリア芯材。
【請求項6】
見掛け密度が1.6〜2.6g/cmである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のフェライトキャリア芯材。
【請求項7】
粒径24μm未満の粒子の割合が4.5体積%以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のフェライトキャリア芯材。
【請求項8】
請求項1〜のいずれか一項に記載のフェライトキャリア芯材と、前記フェライトキャリア芯材の表面に設けられた樹脂からなる被覆層とを備えた、電子写真現像剤用キャリア。
【請求項9】
請求項に記載のキャリアと、トナーとを含む、電子写真現像剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材、電子写真現像剤用キャリア及び現像剤に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真現像方法は、現像剤中のトナー粒子を感光体上に形成された静電潜像に付着させて現像する方法であり、この方法で使用される現像剤は、トナー粒子とキャリア粒子からなる二成分系現像剤と、トナー粒子のみを用いる一成分系現像剤とに分けられる。
【0003】
こうした現像剤のうち、トナー粒子とキャリア粒子からなる二成分系現像剤を用いた現像方法としては、古くはカスケード法等が採用されていたが、現在では、マグネットロールを用いる磁気ブラシ法が主流である。二成分系現像剤において、キャリア粒子は、現像剤が充填されている現像ボックス内において、トナー粒子と共に撹拌されることによって、トナー粒子に所望の電荷を付与し、さらにこのように電荷を帯びたトナー粒子を感光体の表面に搬送して感光体上にトナー像を形成するための担体物質である。マグネットを保持する現像ロール上に残ったキャリア粒子は、この現像ロールから再び現像ボックス内に戻り、新たなトナー粒子と混合及び撹拌され、一定期間繰り返して使用される。
【0004】
二成分系現像剤は、一成分系現像剤とは異なり、キャリア粒子はトナー粒子と混合及び撹拌され、トナー粒子を帯電させ、さらに搬送する機能を有しており、現像剤を設計する際の制御性が良い。したがって、二成分系現像剤は、高画質が要求されるフルカラー現像装置や、画像維持の信頼性及び耐久性が要求される高速印刷を行う装置等に適している。このようにして用いられる二成分系現像剤においては、画像濃度、カブリ、白斑、階調性、解像力等の画像特性が、初期の段階から所定の値を示し、しかもこれらの特性が耐刷期間中に変動せず、安定に維持されることが必要である。これらの特性を安定に維持するためには、二成分系現像剤中に含有されるキャリア粒子の特性が安定していることが必要になる。
【0005】
二成分系現像剤を形成するキャリア粒子として、従来は、表面を酸化被膜で覆った鉄粉あるいは表面を樹脂で被覆した鉄粉等の鉄粉キャリアが使用されていた。しかしながら、このような鉄粉キャリアは真比重が約7.8と重く、また磁化が高すぎることから、現像ボックス中におけるトナー粒子との撹拌・混合により、鉄粉キャリア表面へのトナー構成成分の融着、いわゆるトナースペントが発生しやすくなる。このようなトナースペントの発生により、有効なキャリア表面積が減少し、トナー粒子との摩擦帯電能力が低下しやすくなる。また、樹脂被覆鉄粉キャリアでは、耐久時のストレスにより表面の樹脂が剥離し、高導電性で絶縁破壊電圧が低い芯材(鉄粉)が露出することにより、電荷のリークが生ずることがある。このような電荷のリークにより、感光体上に形成された静電潜像が破壊され、ベタ部にハケスジ等が発生し、均一な画像が得られにくい。これらの理由から、酸化被膜鉄粉及び樹脂被覆鉄粉等の鉄粉キャリアは、現在では使用されなくなってきている。
【0006】
近年は、鉄粉キャリアに代わって、真比重約5.0程度と軽く、また磁化も低いフェライトキャリアや、さらに表面に樹脂を被覆した樹脂コートフェライトキャリアが多く使用されており、現像剤寿命は飛躍的に伸びてきた。このようなフェライトキャリアの製造方法としては、フェライトキャリア原料を所定量混合した後、仮焼、粉砕し、造粒後に焼成を行うのが一般的であり、条件によっては仮焼を省略できる場合もある。
【0007】
ところで、最近、オフィスのネットワーク化が進み、単機能の複写機から複合機への時代に進化している。また、サービス体制も、契約した保守作業員が定期的にメンテナンスを行って現像剤等を交換するようなシステムから、メンテナンスフリーシステムの時代へシフトしてきており、市場からは、現像剤の更なる長寿命化に対する要求が一層高まってきている。
【0008】
このような中で、キャリア特性の向上を図るため、キャリア芯材の表面形状や細孔容積などを制御することが提案されている。例えば、特許文献1(特開2017−31031号公報)には、組成式MnFe3−X(但し、0<X<1)で表されるフェライト粒子であって、Sr元素が0.4質量%〜0.5質量%含有され、Si元素が0.01質量%〜0.09質量%含有され、粒子の最大高さRzが1.40μm〜1.90μmの範囲であり、Rzの標準偏差σが0.65μm〜0.80μmの範囲であることを特徴とするフェライト粒子が提案され、該フェライト粒子は、表面に特定の凹凸形状が所定のばらつきで形成されているため、電子写真方式の画像形成装置のキャリア芯材として用いた場合に、キャリア飛散やメモリー画像(前画像の影響が後画像に現れる現象)の発生が大幅に抑制するとされている。
【0009】
また、特許文献2(特開2013−231840号公報)には、マンガン、および鉄をコア組成として含む電子写真現像剤用キャリア芯材であって、マンガンを含む原料、および鉄を含む原料を混合して造粒を行い、得られた造粒粉を1050℃〜1300℃の温度範囲内で焼成し、得られた焼結粉のうち、焼結された結晶の粒界部分に存在する成分を除去して製造される、電子写真現像剤用キャリア芯材が提案され、該芯材によれば、高い帯電性および低密度化を図りながら、長期間の使用においても良好な画像を得ることができるとされている。
【0010】
さらに、特許文献3(特開2012−215681号公報)には、鉄、およびストロンチウムをコア組成として含む電子写真現像剤用キャリア芯材であって、電子写真現像剤用キャリア芯材に含まれる前記ストロンチウムの含有量をyとすると、0<y≦5000ppmであり、平均粒径の値が、20μm以上30μm以下の範囲にあり、BET比表面積の値が、0.15m/g以上0.25m/g以下の範囲にあり、水銀圧入法による細孔容積の値が、0.003ml/g以上0.023ml/g以下の範囲にある、電子写真現像剤用キャリア芯材が提案され、該芯材によれば、小粒径化を実現すると共に、高強度を達成することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2017−31031号公報
【特許文献2】特開2013−231840号公報
【特許文献3】特開2012−215681号公報
【発明の概要】
【0012】
このように、キャリア芯材の表面形状や細孔容積などを制御することによって、キャリア特性の向上を図る試みが知られているが、近年の高画質化及び高速印刷化の更なる要求に対しては、キャリア特性が十分でないという問題がある。特に、高速印刷において、トナーの移行量を高めるためにバイアス電圧を高く設定する必要があるが、従来品では絶縁破壊してしまい、白点等の画像欠陥が引き起こされるという問題があった。これは、従来のキャリアでは、コーティングにより絶縁破壊を防いでいたが、使用するにつれてコート層が剥がれ、キャリア芯材が露出してしまうからと考えられる。したがって、キャリア特性の向上を図るためには、キャリア芯材自体の特性を更に向上することが望ましい。
【0013】
本発明者らは、今般、電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材において、高バイアス下での絶縁破壊を防ぐ上で、芯材断面における結晶粒界の全長Lと芯材周囲長Lとの比(L/L)を制御することが、重要であるとの知見を得た。具体的には、比L/Lを適切に制御することにより、高バイアス下でもキャリアが絶縁破壊せず、長期にわたり白斑やキャリア付着などの画像欠陥を抑制できるとの知見を得た。
【0014】
したがって、本発明の目的は、高バイアス下でも絶縁破壊せず、長期にわたり白斑やキャリア付着などの画像欠陥を抑制できる、電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材を提供することにある。また、本発明の他の目的は、そのようなフェライトキャリア芯材を備えた電子写真現像剤用キャリアや現像剤を提供することにある。
【0015】
本発明の一態様によれば、芯材断面における結晶粒界の全長Lと芯材周囲長Lとが、2≦L/L≦9の関係を満足する、電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材が提供される。
【0016】
本発明の他の一態様によれば、前記フェライトキャリア芯材と、前記フェライトキャリア芯材の表面に設けられた樹脂からなる被覆層とを備えた、電子写真現像剤用キャリアが提供される。
【0017】
本発明の更に他の一態様によれば、前記キャリアと、トナーとを含む、電子写真現像剤が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】フェライトキャリア芯材の断面SEM像を示す。
図2】フェライトキャリア芯材のEBSDグレインマップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材
本発明の電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材は、芯材断面における結晶粒界の全長Lと芯材周囲長Lとが、2≦L/L≦9の関係を満足する。このようなフェライトキャリア芯材によれば、高バイアス下でも絶縁破壊せず、長期にわたり白斑やキャリア付着などの画像欠陥が抑制されるキャリアとすることができる。L/Lが2未満であると絶縁破壊が起こりやすくなり、特に、高電界下及び耐刷によってコート層が薄くなったときにこの問題が顕著となる。一方、L/Lが9を越えると、キャリア抵抗が高すぎて画像濃度が出にくくなる。LとLは、好ましくは3≦L/L≦8、より好ましくは4≦L/L≦7の関係を満足する。
【0020】
ここで、結晶粒界の全長Lと芯材周囲長Lは、キャリア芯材の断面をSEM(走査型電子顕微鏡)観察及びEBSD(後方散乱電子回折)解析することにより求めることができる。すなわち、キャリア芯材の断面をSEM観察することで、芯材周囲長Lを求めることができ、また、この断面観察した試料をEBSD解析することで、結晶粒界の全長Lを求めることができる。EBSDは、結晶試料から放出された反射電子の回折パターンを検出器面上に投影し、その投影されたパターンから結晶方位を解析する手法であり、平均情報のみが得られるX線回折と異なり、結晶粒毎の情報が得られる。したがって、結晶方位解析を行なうことで、結晶粒像や結晶粒界構造線などの情報を得ることが可能となる。本発明では、まず、EBSDデータにおいて、隣接する測定間の方位差が15°を超える測定点間を結晶粒界と見なしてEBSDグレインマップ(結晶粒像)を得る。次に、このグレインマップを解析し、結晶粒界の全長Lを、下記式に基づき算出する。
[数1]
結晶粒界の全長L = [{(結晶粒の円相当径×π)の総和}−芯材周囲長]/2
【0021】
また、フェライトキャリア芯材は、形状係数SF−2が150以下である粒子(以下、小凹凸粒子)の含有割合が、個数基準で、好ましくは30%以上である。ここで、形状係数SF−2はキャリア芯材の形状を評価する際の指標となるものであり、キャリア芯材の形状が球に近いほど100に近い値になり、キャリア芯材の表面凹凸が大きいほど大きい値となる。ここで、形状係数SF−2は、フェライト粒子をFE―SEM(電界放出形走査電子顕微鏡)で観察し、得られた画像を解析することで求めることができる。本発明では、画像解析によりフェライト粒子の投影面積(S)及び投影周囲長(L)を求め、下記式に基づき、形状係数SF−2を算出する。
[数2]
SF−2 = {(L/S)/4π}×100
【0022】
小凹凸粒子を上述の割合で含むキャリア芯材は、キャリアとしたときに芯材の露出が抑制され、その結果、キャリア付着等の問題の発生をより一層抑制することが可能となる。これは、小凹凸粒子の割合を30%以上とすることで、芯材の表面露出によるキャリアの低抵抗化が抑制され、その結果、キャリア付着がより一層抑制されるからである。また、粉体の過度な密充填化及びそれによる全体電流経路の増加が抑制され、その結果、絶縁破壊の発生をより一層効果的に抑制することができるからである。小凹凸粒子の割合は、より好ましくは35〜90%、さらに好ましくは45〜85%である。
【0023】
さらに、フェライトキャリア芯材は、6.5mmギャップにおける、電圧1000V印加時のコア抵抗R1000(単位:Ω)と500V印加時のコア抵抗R500(単位:Ω)とが、好ましくは5.0≦Log10(|R500−R1000|)≦11.0の関係を満足する。Log10(|R500−R1000|)を5.0以上とすることで、高電界下および耐刷によってコート層が薄くなったときの絶縁破壊発生をより一層抑制することができ、また、11.0以下とすることで、キャリア抵抗が過度に高くなり画像濃度が出にくくなる問題が発生することがより一層抑制される。コア抵抗R1000とR500は、より好ましくは6.0≦Log10(|R500−R1000|)≦10.0、さらに好ましくは6.5≦Log10(|R500−R1000|)≦9.0、特に好ましくは7.0≦Log10(|R500−R1000|)≦8.5の関係を満足する。なお、コア抵抗は、平行平板電極間に試料を充填及び保持させ、500V又は1000Vの電圧を印加して、絶縁抵抗計にて測定することができる。
【0024】
フェライトキャリア芯材は、その体積平均粒径(D50)が、好ましくは20〜80μmである。体積平均粒径を20μm以上とすることで、キャリア付着の抑制をより一層効果的なものとすることができ、80μm以下とすることで、現像ムラをより一層抑制することができる。体積平均粒径(D50)は、より好ましくは25〜70μm、さらに好ましくは30〜65μmである。なお、体積平均粒径は、マイクロトラック粒度分布計により測定することができる。
【0025】
また、フェライトキャリア芯材は、1kOe(80kA/m)における磁化が、好ましくは40〜75emu/gである。磁化を40emu/g以上とすることで、キャリア付着の発生をより一層抑制することができ、75emg/g以下とすることで、磁気ブラシの強すぎる穂立ちによる現像ムラの発生をより一層効果的に抑制することができる。磁化は、より好ましくは45〜70emu/g、さらに好ましくは50〜70emu/gである。なお、フェライトキャリア芯材の磁化は、振動試料型磁力計によって測定することができる。
【0026】
フェライトキャリア芯材は、その見掛け密度が、好ましくは1.6〜2.6g/cmである。見掛け密度を1.6g/cm以上とすることで、一粒子の磁化低下によるキャリア付着の発生をより一層抑制することができ、2.6g/cm以下とすることで、トナーとの撹拌ストレスによるコート層の剥離をより一層抑制することができる。見掛け密度は、より好ましくは1.7〜2.5g/cm、さらに好ましくは1.8〜2.4g/cmである。なお、見掛け密度は、JIS Z 2504に準拠して測定することができる。
【0027】
また、フェライトキャリア芯材は、粒径24μm未満の粒子の割合(以下、微粉量)が、好ましくは4.5体積%以下である。微粉量を4.5体積%以下とすることで、キャリア付着の問題をより一層抑制することができる。微粉量は、より好ましくは3.5体積%以下、さらに好ましくは2.5体積%以下である。微粉量の下限値は、特に限定されるものではないが、典型的には0.1体積%以上である。なお、微粉量は、マイクロトラック粒度分布計により測定することが可能である。
【0028】
フェライトキャリア芯材は、その組成が特に限定されるものではないが、好ましくは、(MnO)(MgO)(Feにおいて、x+y+z=100mol%を満たし、x、yが、それぞれ15〜60mol%、0.1〜35mol%であり、MnO、MgO及びFeの一部が二価を取り得る元素の酸化物により置換された組成を有する。より好ましくは、(MnO)(MgO)(Feにおいて、x+y+z=100mol%を満たし、x、yが、それぞれ15〜60mol%、0.1〜35mol%であり、MnO、MgO及びFeの一部がSrOで0.35〜5.0mol%置換された組成を有する。さらに好ましくは、フェライトキャリア芯材は、(MnO)(MgO)(Feにおいて、x+y+z=100mol%を満たし、x、yが、それぞれ35〜45mol%、5〜15mol%となるように各酸化物を配合し、さらにこれにSrO又は最終的にSrOとなるSrCOなどを所定量配合し、MnO、MgO及びFeの一部がSrOで0.4〜2.0mol%置換された組成を有する。このような組成とすることで、キャリア芯材間の磁化のバラツキが低減され、これにより画質及び耐久性に優れ、環境に優しく、長寿命かつ環境安定性に優れたキャリアが得られる。
【0029】
電子写真現像剤用キャリア
本発明の電子写真現像剤用キャリアは、上記フェライトキャリア芯材と、このフェライトキャリア芯材の表面に設けられた樹脂からなる被覆層とを備えたものである。キャリア特性はキャリア表面に存在する材料や性状に影響されることがある。したがって、適当な樹脂を表面被覆することによって、所望とするキャリア特性を、精度良く調整することができる。
【0030】
被覆樹脂は特に制限されない。例えば、フッ素樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フッ素アクリル樹脂、アクリル−スチレン樹脂、シリコーン樹脂、あるいはアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂又はフッ素樹脂の各樹脂で変性したシリコーン樹脂などが挙げられる。使用中の機械的ストレスによる樹脂の脱離を考慮すると、熱硬化性樹脂が好ましく用いられる。具体的な熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂及びそれらを含有する樹脂などが挙げられる。樹脂の被覆量は、フェライトキャリア芯材(樹脂被覆前)100重量部に対して、0.1〜5.0重量部が好ましい。
【0031】
また、キャリア特性のコントロールを目的に、被覆樹脂中に、導電剤や帯電制御剤を含有させることができる。導電剤としては、導電性カーボン、酸化チタンや酸化スズ等の酸化物又は各種の有機系導電剤などが挙げられる。添加量としては、被覆樹脂の固形分に対し、好ましくは0.25〜200.0重量%、より好ましくは0.5〜150.0重量%、さらに好ましくは1.0〜130.0重量%である。一方、帯電制御剤としては、トナー用に一般的に用いられる各種の帯電制御剤や、各種シランカップリング剤が挙げられる。使用できる帯電制御剤やカップリング剤の種類は特に限定されないが、ニグロシン系染料、4級アンモニウム塩、有機金属錯体、含金属モノアゾ染料等の帯電制御剤、アミノシランカップリング剤やフッ素系シランカップリング剤等が好ましい。添加量としては、被覆樹脂の固形分に対し、好ましくは1.0〜50.0重量%、より好ましくは2.0〜40.0重量%、さらに好ましくは3.0〜30.0重量%である。
【0032】
電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材及びキャリアの製造方法
本発明の電子写真現像剤用キャリアを製造するにあたり、まずフェライトキャリア芯材を作製する。キャリア芯材を作製するには、原材料を秤量した後、ボールミル又は振動ミル等で0.5時間以上、好ましくは1〜24時間粉砕及び混合する。原料は特に限定されないが、好ましくは、(MnO)(MgO)(Feにおいて、x+y+z=100mol%を満たし、x、yが、それぞれ15〜60mol%、0.1〜35mol%であり、MnO、MgO及びFeの一部が二価を取り得る元素の酸化物により置換された組成を有する。より好ましくは、(MnO)(MgO)(Feにおいて、x+y+z=100mol%を満たし、x、yが、それぞれ15〜60mol%、0.1〜35mol%であり,MnO、MgO及びFeの一部がSrOで0.35〜5.0mol%置換された組成を有する。さらに好ましくは、(MnO)(MgO)(Feにおいて、x+y+z=100mol%を満たし、x、yが、それぞれ35〜45mol%、5〜15mol%となるように各酸化物を配合し、さらにこれにSrO又は最終的にSrOとなるSrCOなどを所定量配合し、MnO、MgO及びFeの一部がSrOで0.4〜2.0mol%置換された組成を有する。このようにして得られた粉砕物を、加圧成型機等を用いてペレット化した後、700〜1200℃の温度で仮焼成する。
【0033】
次に、仮焼成物をボールミル又は振動ミル等で粉砕する。その際、仮焼成物に水を加えてスラリー化する湿式粉砕を行なってもよく、必要に応じて分散剤、バインダー等を添加して、このスラリーの粘度調整を行なってもよい。また、粉砕時に使用するメディアの径、組成、粉砕時間などを調整することによって、粉砕度合いをコントロールすることができる。その後、粉砕した仮焼成物をスプレードライヤーにて粒状化して、造粒を行なう。回収した造粒物は必要に応じて粒度調整を行ってもよい。
【0034】
さらに、得られた造粒物を400〜1200℃で加熱し、添加した分散剤やバインダーといった有機成分の除去を行った後、酸素濃度の制御された雰囲気下で800〜1500℃の温度で1〜24時間保持して本焼成を行う。その際、ロータリー式電気炉、バッチ式電気炉または連続式電気炉等を使用し、焼成時の雰囲気に、窒素等の不活性ガス或いは水素や一酸化炭素等の還元性ガスを導入して、酸素濃度の制御を行ってもよい。あるいは窒素と酸素を予め調整したガスを導入してもよい。次いで、このようにして得られた焼成物を解砕及び分級する。解砕方法としてはハンマーミル、ジェットミル等を単独若しくは組み合わせにより行う。既存の風力分級、メッシュ濾過法、沈降法などを用いて単独若しくは組み合わせて用いることで所望の粒径に粒度調整すればよい。
【0035】
その後、必要に応じて、表面を低温加熱することで酸化皮膜処理を施し、電気抵抗調整を行うことができる。酸化被膜処理は、一般的なロータリー式電気炉やバッチ式電気炉等を用い、例えば300〜700℃で熱処理することで行うことができる。この処理によって形成された酸化被膜の厚さは0.1nm〜5μmであることが好ましい。0.1nm以上とすることで、酸化被膜層の効果が十分なものとなる一方、5μm以下とすることで、磁化の低下や過度な高抵抗となるのをより一層効果的に抑制することができる。また、必要に応じて、酸化被膜処理の前に還元処理を行ってもよい。このようにして、キャリア芯材が作製される。
【0036】
キャリア芯材において、芯材断面における結晶粒界の全長Lと芯材周囲長Lとを調整する手段として、様々な手法が挙げられる。その例としては、仮焼成物の粉砕粒径を調整することが挙げられる。粉砕粒径は、好ましくは1.1〜3.5μm、より好ましくは2.0〜2.5μmである。また、本焼成時の温度や雰囲気を調整することも有効である。本焼成時の温度は、好ましくは1200〜1270℃、より好ましくは1220〜1260℃であり、酸素濃度は、好ましくは2.5〜5.0容量%、より好ましくは3.0〜4.5容量%である。さらに、フェライトの結晶成長を抑制する化合物を原料に添加する手法も挙げられる。結晶成長を抑制する化合物としては、例えばヨウ化カリウムを挙げることができる。ヨウ化カリウムは、本焼成温度域で昇華して最終製品中には残留せず、キャリア芯材の特性劣化をもたらすことがないため好ましい。ヨウ化カリウムの添加量は、好ましくは0.05〜0.5wt%、より好ましくは0.1〜0.4wt%である。
【0037】
上述のように、キャリア芯材を作製した後に、樹脂により表面を被覆してキャリアとすることが望ましい。被覆する方法として、公知の方法、例えば刷毛塗り法、乾式法、流動床によるスプレードライ方式、ロータリードライ方式、万能撹拌機による液浸乾燥法等を採用することができる。被覆率を向上させるためには、流動床による方法が好ましい。樹脂被覆後に焼き付けする場合には、外部加熱方式又は内部加熱方式のいずれでもよく、例えば固定式又は流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉でもよく、もしくはマイクロウェーブによる焼き付けでもよい。UV硬化樹脂を用いる場合は、UV加熱器を用いる。焼き付けの温度は使用する樹脂により異なるが、融点又はガラス転移点以上の温度とすることが望ましく、熱硬化性樹脂又は縮合架橋型樹脂等では、充分硬化が進む温度まで上げることが望ましい。
【0038】
現像剤
本発明の現像剤は、上記電子写真現像剤用キャリアとトナーとを含むものである。現像剤を構成するトナー粒子には、粉砕法によって製造される粉砕トナー粒子と、重合法により製造される重合トナー粒子とがある。本発明ではいずれの方法により得られたトナー粒子を使用することができる。このように調製された本発明の現像剤は、有機光導電体層を有する潜像保持体に形成されている静電潜像を、バイアス電界を付与しながら、トナー及びキャリアを有する二成分現像剤の磁気ブラシによって反転現像する現像方式を用いたデジタル方式のコピー機、プリンター、FAX、印刷機などに使用することができる。また、磁気ブラシから静電潜像側に現像バイアスを印加する際に、DCバイアスにACバイアスを重畳する方法である交番電界を用いるフルカラー機などにも適用可能である。
【実施例】
【0039】
本発明を以下の例によってさらに具体的に説明する。
【0040】
例1
(1)フェライトキャリア芯材の作製
MnO:38mol%、MgO:11mol%、Fe:50.3mol%及びSrO:0.7mol%になるように原料を秤量し、乾式のメディアミル(振動ミル、1/8インチ径のステンレスビーズ)で4.5時間粉砕し、得られた粉砕物をローラーコンパクターにて、約1mm角のペレットにした。MnO原料として四酸化三マンガンを、MgO原料として水酸化マグネシウムを、SrO原料として炭酸ストロンチウムを用いた。目開き3mmの振動篩にて粗粉を除去し、次いで目開き0.5mmの振動篩にて微粉を除去した後、得られたペレットをロータリー式電気炉にて1050℃で3時間加熱して仮焼成を行った。
【0041】
次いで、乾式のメディアミル(振動ミル、1/8インチ径のステンレスビーズ)を用いて、仮焼成物を平均粒径2.4μmになるまで粉砕した後、水と固形分に対してヨウ化カリウム0.34wt%を加え、さらに湿式のメディアミル(縦型ビーズミル、1/16インチ径のステンレスビーズ)を用いて10時間粉砕した。得られたスラリーに分散剤を適量添加し、バインダーとしてPVA(20%溶液)を固形分に対して0.2重量%添加し、次いでスプレードライヤーにより造粒及び乾燥し、得られた粒子(造粒物)の粒度調整を行い、ロータリー式電気炉にて700℃で2時間加熱して、分散剤やバインダーなどの有機成分を除去した。
【0042】
次いで、有機成分を除去した造粒物を、トンネル式電気炉にて、焼成温度1250℃及び酸素濃度4.0容量%の雰囲気下に5時間保持して本焼成を行なった。この時、昇温速度を150℃/時、降温速度を110℃/時とした。その後、得られた焼成物を解砕し、さらに分級して粒度調整を行い、磁力選鉱により低磁力品を分別してフェライトキャリア芯材を得た。なお、フェライトキャリア芯材の製造条件を表1に示す。
【0043】
(2)評価
得られたフェライトキャリア芯材について、各種特性の評価を以下のとおり行なった。
【0044】
<結晶粒界の全長L及び芯材周囲長Lの測定>
フェライトキャリア芯材の結晶粒界の全長Lと芯材周囲長Lを、次のようにして求めた。まず、試料を樹脂で埋包し、クロスセクションポリッシャ装置(CP装置、Gatan社製Model 693 ilion)を用いて、研磨断面を露出させた観察用サンプルを作製した。次に、このサンプルについて、EBSD(後方散乱電子回折)装置(EDAX社/(株)TSLソリューションズ製Pegasusシステム)を搭載したSEM(走査型電子顕微鏡)(Carl Zeiss社製SUPRA 55VP)を用いて、SEM観察及びEBSD解析を行なった。その際、加速電圧20kV、アパーチャー径60mm、High Current mode、試料傾斜角度70度、ステップサイズ0.2μm〜0.05μm、フェーズベースFeの条件にて観察及び解析を行なった。また、測定及び解析用ソフトとして、(株)TSLソリューションズ製OIM Data Collection/OIM Analysisを用いた。
【0045】
その後、得られたSEM画像及びEBSDデータから、結晶粒界の全長Lと芯材周囲長Lを算出した。その際、平均粒径近傍の10粒子を芯材粒子として任意に選択し、これら10粒子について結晶粒界の全長及び芯材周囲長を測定して平均値を算出し、それぞれL及びLとした。ここで、芯材周囲長は、SEM像の画像解析により求めた。また、EBSDデータにおいて、隣接する測定間の方位差が15°を超える測定点間を結晶粒界としてEBSDグレインマップを作成し、このグレインマップから、芯材粒子断面の結晶粒界の全長を、下記式に基づき算出した。
[数1]
結晶粒界の全長 = [{(結晶粒の円相当径×π)の総和}−芯材周囲長]/2
【0046】
<形状係数SF−2>
フェライトキャリア芯材において、形状係数SF−2の測定を、次のようにして行なった。すなわち、FE―SEM(日立ハイテクノロジーズ社製SU−8020)を用いてフェライト粒子を450倍視野にて撮影し、その画像情報を、インターフェースを介して画像解析ソフト(メディアサイバネティクス社製Image−Pro PLUS)に導入して解析を行い、投影面積(S)、投影周囲長(L)を求めた。そして、下記式より、1粒子毎のSF−2を算出した。同様の操作を100粒子について行い、形状係数SF−2が150以下の粒子(小凹凸粒子)の割合(個数%)を求めた。
[数2]
SF−2 = {(L/S)/4π}×100
【0047】
<体積平均粒径及び微粉量>
フェライトキャリア芯材の体積平均粒径を、マイクロトラック粒度分布計(日機装株式会社製Model9320−X100)を用いて測定した。分散媒には水を用いた。まず、試料10gと水80mlを100mlのビーカーに入れ、分散剤(ヘキサメタリン酸ナトリウム)を2〜3滴添加した。次いで、超音波ホモジナイザー(SMT.Co.LTD.製UH−150型)を用い、出力レベル4に設定し、20秒間分散を行った。その後、ビーカー表面にできた泡を取り除き、試料を装置へ投入した。粒径24μm未満の粒子の体積%(微粉量)も、同様に測定して算出した。
【0048】
<磁気特性>
フェライトキャリア芯材の磁気特性を、振動試料型磁気測定装置(東英工業社製VSM−C7−10A)を用いて測定した。測定試料を、内径5mm、高さ2mmのセルに詰めて、この装置にセットし、次いで印加磁場を加え、最大1kOe(80kA)まで掃引した。その後、印加磁場を減少させ、記録紙上にヒステリシスカーブを作成した。このカーブのデータより、印加磁場1kOeにおける磁化を求めた。
【0049】
<見掛け密度>
フェライトキャリア芯材の見掛け密度を、JIS Z 2504に準拠して測定した。具体的には、次のようにして測定した。まず、粉末見掛け密度計として、漏斗、コップ、漏斗支持器、支持棒及び支持台から構成される装置を用いた。また、天秤として、秤量200gで感量50mgのものを用いた。測定の際には、試料を少なくとも150g以上とし、この試料を孔径2.5+0.2/−0mmのオリフィスを持つ漏斗に注ぎ、流れ出た試料がコップ一杯になってあふれ出るまで流し込んだ。あふれ始めたら直ちに試料の流入をやめ、振動を与えないようにコップの上に盛り上がった試料をへらでコップの上端に沿って平らにかきとった。その後、コップの側面を軽く叩いて、試料を沈ませコップの外側に付着した試料を除去して、コップ内の試料の重量を0.05gの精度で秤量した。得られた秤量値に0.04を乗じた数値を、JIS−Z8401(数値の丸め方)によって小数点以下第2位に丸め、[g/cm]単位の見掛け密度とした。
【0050】
<電気抵抗>
フェライトキャリア芯材の電気抵抗を次のようにして測定した。すなわち、電極間間隔6.5mmにて非磁性の平行平板電極(10mm×40mm)を対向させ、その間に、試料200mgを秤量して充填した。磁石(表面磁束密度:1500Gauss、電極に接する磁石の面積:10mm×30mm)を平行平板電極に付けることにより電極間に試料を保持させ、500Vと1000Vの電圧を印加し、絶縁抵抗計(東亜ディーケーケー(株)製SM−8210)にて電気抵抗を測定した。なお、測定は、試料を温度20〜25℃、湿度50〜60%の恒温恒湿内に12時間以上暴露したのち行なった。
【0051】
<キャリア付着>
キャリア付着を評価するに際し、まずは、評価用現像剤を以下の方法に従って作製した。すなわち、シリコーン系樹脂(商品名:SR−2440、固形分20重量%、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、アミノシランカップリング剤(信越シリコーン社製KBM−603)をトルエン溶剤に溶解し、一軸式間接加熱型の乾燥機に入れてキャリア芯材に対して被覆し、さらに250℃で3時間焼き付けを行い、上記樹脂によって被覆されたキャリアを得た。このとき樹脂溶液はキャリア芯材に対する樹脂の固形分で1重量%となるように樹脂を秤量し、樹脂の固形分に対してアルミニウム系触媒(CAT−AC)を3重量%、アミノシランカップリング剤(KBM−603)を1重量%、溶媒として樹脂の固形分に対して10重量%となるようにトルエンをそれぞれ添加したものを使用した。そして、得られたキャリアを評価用現像剤とした。なお、この現像剤はキャリア付着評価用であるため、トナーは加えられていない。
【0052】
次に、キャリア付着を以下の方法にて評価した。すなわち、直径40mm、長さ110mmの円筒形のアルミ素管(以下、スリーブ)と、該スリープの内側に、合計8極の磁石(磁束密度0.1T)をN極とS極が交互となるように配置したマグネットロールと、該スリーブの外周に5.0mmのGapをもつように配置した円筒状の電極と、を備えた装置を用いた。このスリーブ上に、評価用現像剤1gを均一に付着させた後、外側のアルミ素管は固定したまま、内側のマグネットロールを100rpmで回転させながら、外側の電極とスリーブ間に、直流電圧600Vを60秒間印可した。60秒経過後、印可していた電圧を切り、マグネットロールの回転を止めた後、外側の電極を取り外し、電極に移行したキャリア粒子の個数を計測した。
【0053】
そして、付着したキャリア粒子の個数に応じて、以下の基準に基づき、試料をA〜Cに格付けして評価した。
A:付着キャリア数20個未満
B:付着キャリア数20個以上40個未満
C:付着キャリア数40個以上
【0054】
例2
仮焼成物粉砕の際に、ヨウ化カリウム添加量を0.1wt%とした以外は、例1と同様にして、フェライトキャリア芯材の作製及び評価を行なった。
【0055】
例3
仮焼成物粉砕の際に、平均粒径を1.5μmとしてヨウ化カリウムを加えず、本焼成条件を、焼成温度1200℃及び酸素濃度5.0容量%の雰囲気下とした以外は、例1と同様にして、フェライトキャリア芯材の作製及び評価を行なった。
【0056】
例4
仮焼成物粉砕の際に、平均粒径3.5μmとしてヨウ化カリウムを加えず、本焼成条件を、焼成温度1200℃及び酸素濃度5.0容量%の雰囲気下とした以外は、例1と同様にして、フェライトキャリア芯材の作製及び評価を行なった。
【0057】
例5
仮焼成物粉砕の際に、平均粒径3.5μmとしてヨウ化カリウムを加えず、本焼成条件を、焼成温度1270℃及び酸素濃度2.5容量%の雰囲気下とした以外は、例1と同様にして、フェライトキャリア芯材の作製及び評価を行なった。
【0058】
例6
仮焼成物粉砕の際に、平均粒径1.2μmとしてヨウ化カリウムを加えず、本焼成条件を、焼成温度1210℃及び酸素濃度2.5容量%の雰囲気下とした以外は、例1と同様にして、フェライトキャリア芯材の作製及び評価を行なった。
【0059】
例7(比較例)
仮焼成物粉砕の際に、平均粒径1.0μmとしてヨウ化カリウムを加えず、本焼成条件を、焼成温度1140℃及び酸素濃度7.0容量%の雰囲気下とした以外は、例1と同様にして、フェライトキャリア芯材の作製及び評価を行なった。
【0060】
例8(比較例)
MnO:38mol%、MgO:11mol%、Fe:50.3mol%及びSrO:0.7mol%になるように原料を秤量し、乾式のメディアミル(振動ミル、1/8インチ径のステンレスビーズ)で4.5時間粉砕し、得られた粉砕物をローラーコンパクターにて、約1mm角のペレットにした。MnO原料として四酸化三マンガンを、MgO原料として水酸化マグネシウムを、SrO原料として炭酸ストロンチウムを用いた。このペレットから目開き3mmの振動篩にて粗粉を除去し、次いで目開き0.5mmの振動篩にて微粉を除去した後、ロータリー式電気炉にて1050℃で3時間加熱して仮焼成を行った。次いで、乾式のメディアミル(振動ミル、1/8インチ径のステンレスビーズ)を用いて、仮焼成物を平均粒径3.8μmになるまで粉砕した後、水を加え、さらに湿式のメディアミル(縦型ビーズミル、1/16インチ径のステンレスビーズ)を用いて10時間粉砕した。得られたスラリーに分散剤を適量添加し、バインダーとしてPVA(20%溶液)を固形分に対して0.2重量%添加し、次いでスプレードライヤーにより造粒及び乾燥し、得られた粒子(造粒物)の粒度調整を行った。得られた造粒物を40kg/hrの供給速度でプロパン5Nm/hr、酸素25Nm/hrが供給されるフレームを通過させて本焼成物を得た。その後、解砕し、さらに分級して粒度調整を行い、磁力選鉱により低磁力品を分別しフェライトキャリア芯材を得た。
【0061】
結果
例1〜8において、得られた評価結果は表2に示されるとおりであった。実施例である例1〜6において、フェライトキャリア芯材は、高バイアス印加時の絶縁性に優れるとともに、飛散キャリア数が少なかった。特に、結晶成長抑制剤としてヨウ化カリウムを用いて作製した実施例1と実施例2は、飛散キャリア数が少なくキャリア付着抑制の効果に優れたものとなった。一方、比較例である例7及び例8においては、絶縁性に若干劣るとともに、飛散キャリア数が多く、キャリア付着抑制の効果に劣るものとなった。これらの結果から、本発明によれば、高バイアス下でも絶縁破壊せず、長期にわたり白斑やキャリア付着などの画像欠陥を抑制できる電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材、電子写真現像剤用キャリア及び現像剤を提供できることが分かる。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
図1
図2