特許第6978052号(P6978052)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6978052
(24)【登録日】2021年11月15日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】丸柱構造
(51)【国際特許分類】
   E04C 3/34 20060101AFI20211125BHJP
【FI】
   E04C3/34
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-236523(P2017-236523)
(22)【出願日】2017年12月8日
(65)【公開番号】特開2019-105034(P2019-105034A)
(43)【公開日】2019年6月27日
【審査請求日】2020年12月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】591078929
【氏名又は名称】菊川工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080090
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 邦男
(72)【発明者】
【氏名】鷹羽 吉雄
【審査官】 河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−044300(JP,A)
【文献】 特開平08−277602(JP,A)
【文献】 実開平07−006312(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04C 3/30−3/36
E04F 13/08−13/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3枚以上からなり、構造用柱の周囲を覆うための円筒状体を構成し、且つ同一曲率半径を有するパネル材と、前記構造用柱の周囲に等間隔に配置される縦胴縁とを備え、複数の前記パネル材の一つはベースパネル材とし、他の一つは仕上げパネル材とし、その他は中間パネル材とし、前記ベースパネル材は、幅方向両端には上下方向に所定間隔をおいて複数の係止部が設けられ、前記仕上げパネル材は、幅方向の両端には前記係止部と係止すると共に該係止部と同数のフック部が設けられ、前記中間パネル材には、幅方向一端には前記係止部が設けられ、他端には前記フック部が設けられ、前記ベースパネル材と前記中間パネル材のそれぞれの幅方向における前記係止部側端部は前記縦胴縁に固着される構成としてなることを特徴とする丸柱構造。
【請求項2】
請求項1に記載の丸柱構造において、前記円筒状体は、4個のパネル材からなり、2つの前記中間パネル材は、勝手反対となる構成としてなることを特徴とする丸柱構造。
【請求項3】
請求項1に記載の丸柱構造において、前記円筒状体は、3個のパネル材からなり、前記中間パネル材は、1つとしてなる構成としてなることを特徴とする丸柱構造。
【請求項4】
請求項1,2又は3の何れか1項に記載の丸柱構造において、前記パネル材は、パネル部と縦枠部とから形成され、該縦枠に前記係止部又は前記フック部が設けられてなることを特徴とする丸柱構造。
【請求項5】
請求項に記載の丸柱構造において、前記係止部は、係止頭部と、カラー部と、ボルト状部から形成され、前記縦枠部と前記係止頭部との間に前記カラー部が配置されるように前記ボルト状部にて固着され、前記フック部は、一部が外部に開放された案内溝が形成され、且つ上方に突出する長孔溝状部が形成されてなることを特徴とする丸柱構造。
【請求項6】
請求項1,2,3,4又は5の何れか1項に記載の丸柱構造において、前記パネル材の上端付近には内螺子部を有すると共に該内螺子部に対して回動により上下動する調整ボルトが装着された調整ボルト支持部が設けられ、前記縦胴縁には、調整受け部が設けられ、前記調整ボルトの下端が前記調整受け部に当接してなるレベル調整機構を備えたことを特徴とする丸柱構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の鉄筋鉄骨コンクリートの主柱に対して、その外周全体を覆い、柱の外観を円筒形状とした極めて良好なものにすることができる丸柱構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商用施設等の大型ビルには、多数の主柱が設置されている。そのほとんどは、鉄筋鉄骨コンクリートであり、柱の表面はコンクリートである。柱は、コンクリート肌そのままで使用することも多いが、建築物の柱周囲の環境,様式,デザインに合わせて、柱の外観もなじむようにする必要が生じることもある。
【0003】
そこで、鉄筋鉄骨コンクリートの主柱の外観を別の雰囲気にするために、化粧用の覆いを施すことが適宜行われている。その多くのものは、柱の周囲にカバーを被せるタイプのものである。カバーによって、円柱状、角柱状等の種々の形状に仕上げることができる。カバーについては、種々の素材が使用され、金属,合成樹脂で、基準に沿うものが使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−143934号公報
【特許文献2】特開2010−190009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、柱に化粧用のカバーを施す一般的な工法として、特許文献1及び特許文献2を示す。特許文献1は、H形の鉄骨支柱をカバー本体によってカバーするものである。また、特許文献2は、種々の型鋼,木材等からなる柱芯材に二つの化粧材片を被覆する構造である。
【0006】
以上の特許文献1及び特許文献2は、共に一般住宅や、小型施設ビル等、比較的小型の建築物には適応されるが、大型建築物の大きな主柱には、不向きである。さらに、大型の主柱では、高さ寸法も大きくなり、例えば吹き抜け構造物等では、主柱の高さも極めて高くなり、長尺なものとなり、主柱に化粧カバーを備える場合には、垂直の調整も必要となり、新たな構造としたものが期待されている。そこで本発明の目的(解決しようとする技術的課題)は、大型の主柱の化粧を施すための新たな構成の出現にこたえることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、発明者は上記課題を解決すべく、鋭意,研究を重ねた結果、請求項1の発明を、3枚以上からなり、構造用柱の周囲を覆うための円筒状体を構成し、且つ同一曲率半径を有するパネル材と、前記構造用柱の周囲に等間隔に配置される縦胴縁とを備え、複数の前記パネル材の一つはベースパネル材とし、他の一つは仕上げパネル材とし、その他は中間パネル材とし、前記ベースパネル材は、幅方向両端には上下方向に所定間隔をおいて複数の係止部が設けられ、前記仕上げパネル材は、幅方向の両端には前記係止部と係止すると共に該係止部と同数のフック部が設けられ、前記中間パネル材には、幅方向一端には前記係止部が設けられ、他端には前記フック部が設けられ、前記ベースパネル材と前記中間パネル材のそれぞれの幅方向における前記係止部側端部は前記縦胴縁に固着される構成としてなる丸柱構造としたことにより、上記課題を解決した。
【0008】
請求項2の発明を、請求項1に記載の丸柱構造において、前記円筒状体は、4個のパネル材からなり、2つの前記中間パネル材は、勝手反対となる構成としてなる丸柱構造としたことにより、上記課題を解決した。請求項3の発明を、請求項1に記載の丸柱構造において、前記円筒状体は、3個のパネル材からなり、前記中間パネル材は、1つとしてなる構成としてなる丸柱構造としたことにより、上記課題を解決した。請求項4の発明を、請求項1,2又は3の何れか1項に記載の丸柱構造において、前記パネル材は、パネル部と縦枠部とから形成され、該縦枠に前記係止部又は前記フック部が設けられてなる丸柱構造としたことにより、上記課題を解決した。
【0009】
請求項5の発明を、請求項に記載の丸柱構造において、前記係止部は、係止頭部と、カラー部と、ボルト状部から形成され、前記縦枠部と前記係止頭部との間に前記カラー部が配置されるように前記ボルト状部にて固着され、前記フック部は、一部が外部に開放された案内溝が形成され、且つ上方に突出する長孔溝状部が形成されてなる丸柱構造としたことにより、上記課題を解決した。
【0010】
請求項6の発明を、請求項1,2,3,4又は5の何れか1項に記載の丸柱構造において、前記パネル材の上端付近には内螺子部を有すると共に該内螺子部に対して回動により上下動する調整ボルトが装着された調整ボルト支持部が設けられ、前記縦胴縁には、調整受け部が設けられ、前記調整ボルトの下端が前記調整受け部に当接してなるレベル調整機構を備えた丸柱構造としたことにより、上記課題を解決した。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明では、3枚以上からなり、同一曲率半径を有する複数のパネル材によって、構造用柱の周囲を覆う円筒状体を構成するものであり、大型建築物の大型柱の化粧カバーの施工に極めて好適である。3枚以上のパネル材は、略同一サイズであり、それぞれが軽量で扱い易く、組付け施工が簡易且つ迅速にできる。
【0012】
また、複数のパネル材は、幅方向両端に係止部を有するベースパネル材と、幅方向両端に前記係止部と係止するフック部を備えた仕上げパネル材と、幅方向一方に係止部を備え且つ他方にフック部を備えた中間パネル材とから構成されたものであり、ベースパネル材を最初に縦胴縁に固定しつつ、その係止部に、中間パネル材のフックを係止し、最終段階で仕上げパネル材は幅方向両側のフック部をパネル材の一枚分をおいて隣接する中間パネル材の係止部に係止するのみで仕上げることができ、円筒状体の組付け作業を極めて効率的且つ短期間に仕上げることができる。
【0013】
請求項2の発明では、円筒状体は、4個のパネル材からなり、2つの前記中間パネル材は、勝手反対となる構成としたことにより、少ない枚数のパネル材によって、最も安定した状態の円筒状体を構成することができる。請求項3の発明では、最小限のパネル材により円筒状体を構成することができる。
【0014】
請求項4の発明では、パネル材は、パネル部と縦枠部とから構成され、該縦枠に前記係止部及び前記フック部が設けられたことにより、パネル材が縦枠によって補強され、且つ隣接するパネル材同士の連結固着をより一層強固にでき、力学的強度に優れた円筒状体を施工することができる。
【0015】
請求項5の発明では、係止部は、係止頭部とカラー部と、ボルト状部から形成され、前記端片と前記係止頭部との間にカラー部が配置されるように前記ボルト状部にて固着され、前記フック部は、前記端片の一部に開放口が形成され、且つ端片内方側で且つ上方に突出する長孔状部が形成されることにより、最も簡単な構造及び構成にて係止部とフック部とを形成することができる。
【0016】
請求項6の発明では、パネル材の上端付近には内螺子部を有すると共に該内螺子部に対して回動により上下動するボルトが装着されたボルト支持部が設けられ、前記縦胴縁には、ボルト受け部が設けられ、前記ボルトの螺子軸下端が前方側ボルト受け部に当接したことにより、複数のパネル材を組み合わせる時に微小な高さ調整を行い、周方向に並ぶパネル材を、垂直且つ平行に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】(A)は本発明の横断平面略示図、(B)は(A)のX1−X1矢視断面の縮小略示図、(C)は(A)の(α)部の拡大図である。
図2】(A)は図1(A)の(β)部拡大図、(B)は図1(A)の(γ)部拡大図、(C)は図1(A)の(δ)部拡大図である。
図3】(A)パネル材の第1縦枠部側箇所の拡大断面図、(B)は(A)の(ε)部の一部断面にした拡大図、(C)パネル材の第2縦枠部側箇所の拡大断面図、(D)は(C)のY1−Y1矢視図である。
図4】(A)パネル材の第1縦枠部側箇所の要部拡大斜視図、(B)はパネル材の第2縦枠部側箇所の要部拡大斜視図である。
図5】(A)ベースパネル材の平面略示図、(B)は(A)の(ζ)部拡大図、(C)は(A)の(η)部拡大図である。
図6】(A)第1中間パネル材の平面略示図、(B)は(A)の(κ)部拡大図、(C)は(A)の(λ)部拡大図である。
図7】(A)第2中間パネル材の平面略示図、(B)は(A)の(μ)部拡大図、(C)は(A)の(ν)部拡大図である。
図8】(A)仕上げパネル材の平面略示図、(B)は(A)の(ξ)部拡大図、(C)は(A)の(ρ)部拡大図である。
図9】(A),(B)は4個のパネル材からなる円筒状体の施工工程を示す略示図である。
図10】(A)は本発明におけるレベル調整機構の要部拡大断面図、(B))は本発明におけるレベル調整機構の要部拡大斜視図、(C)はレベル調整機構にてパネル材の垂直を調整する状態の略示図である。
図11】(A)はパネル材の数を3個とした円筒状体の実施形態における工程略示図、(B)はパネル材の数を5個とした円筒状体の実施形態における工程略示図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。本発明における丸柱構造は、図1に示すように、建築物における主柱となる構造用柱8の周囲に円筒状体Aを施工して、構造用柱8の外周に良好な外観を設けるものである。本発明は、主に複数のパネル材A1と、複数の縦胴縁6とによって構成され、これらによって構成される円筒状体Aによって、建築物の鉄筋鉄骨コンクリートの構造用柱8を覆い、丸柱構造とするものである〔1図(A),(B)参照〕。
【0019】
パネル材A1は、複数備えられる。全部のパネル材A1は、断面円弧状をなしており、全てのパネル材A1は同一の中心角及び曲率半径Rを有している〔図1(A),図5乃至図8参照〕。複数のパネル材A1を連結することにより、円形状の壁面つまり円筒状体Aが構成される〔図1(A)参照〕。さらに、パネル材A1は、その役目によって、ベースパネル材A1aと、中間パネル材A1bと、仕上げパネル材A1cとに分類される〔図1(A),図5乃至図8参照〕。
【0020】
全パネル材A1は、共通する構成として、パネル部1と縦枠部2とを有する〔図1(C),図2図5乃至図8等参照〕。パネル部1は、円筒状体Aの外周面を構成する役目をなす。それぞれのパネル部1は、円筒状体Aを構成する一部であり、周方向に沿って湾曲状に形成され、且つ円筒状体Aを構成するための所定の曲率半径Rを有している(図5乃至図8参照)。なお、円筒状体Aを構成するパネル部1の曲率半径Rは、円筒状体Aを施工するときに形成されればよく、部品として保存される状態では、所定の曲率半径Rでなくても構わない。
【0021】
パネル部1は、円筒状体Aの外周面を構成した状態において、その円周方向に沿う方向を幅方向とする。パネル部1の幅方向両側には、縦枠部2,2が設けられている〔図1(C),図2乃至図4図5乃至図8参照等〕。該縦枠部2は、形鋼材が使用される。縦枠部2は、パネル部1を補強すると共に、隣接するパネル材A1,A1同士の連結構造の一部となる部位である。縦枠部2は、パネル部1にスタッドボルト及びナット等で固着される。或いは溶接等で固着されることもある。
【0022】
縦枠部2は、第1縦枠部21と第2縦枠部22が存在する〔図1(C),図2乃至図4図5乃至図8等参照〕。第1縦枠部21は、係止部3が設けられ、第2縦枠部22にはフック部4が設けられる(図3参照)。そして、幅方向に沿って隣接するパネル材A1,A1は、対向する第1縦枠部21の係止部3と、第2縦枠部22のフック部4とが係止することによって連結される〔図1(C),図2参照〕。第1縦枠部21は、縦胴縁6にビス等の固着具によって固着される。
【0023】
第1縦枠部21には、パネル部1と略直角となる第1連結端片21aと、パネル部1に取り付けられる固定片21bとを有する〔図3(A),図4(A)参照〕。第1連結端片21aは、パネル部1の幅方向端部に対して内面側に向かって略直角となる。固定片21bは、パネル部1の面に沿って僅かに弧状に形成されるが、単に平坦状としても構わない。前記第1連結端片21aにおいて、パネル部1との固着箇所と反対側の端縁には、取付端片21cが形成されている〔図3(A),図4(A)参照〕。該取付端片21cは、前記縦胴縁6にボルト等の固着具を介して固着され、パネル材A1を構造用柱8の周囲に設置固定する役目をなす(図1図2参照)。
【0024】
第2縦枠部22は、パネル部1と略直角となる第2連結端片22aと、パネル部1に取り付けられる固定片22bとを有する〔図3(C),図4(B)参照〕。第2連結端片22aは、パネル部1の幅方向端部に対して内面側に向かって略直角となる。固定片22bは、パネル部1の面に沿って僅かに弧状に形成されるが、単に平坦状としても構わない。但し、第2縦枠部22には、第1縦枠部21における取付端片21cに相当する部位は存在しない。
【0025】
第1縦枠部21には、第1連結端片21aには、係止部3が設けられる。該係止部3は、第1連結端片21aの上下(高さ)方向に沿って適宜の個数が等間隔に設けられるものである〔図4(A)参照〕。第2縦枠部22の第2連結端片22aにはフック部4が設けられる〔図4(B)参照〕。該フック部4は、係止部3と同数設けられる。係止部3とフック部4とは相互に係止し合う構造である〔図1(C),図2参照〕。
【0026】
係止部3とフック部4には、種々の実施形態が存在する。係止部3は、ボルト状部31と、係止頭部32と、カラー部33とを備えている〔図3(A),(B),図4(A)参照〕。係止頭部32とカラー部33とは一体的に形成されたものである。係止頭部32は、円筒形状に形成され、中心には内螺子孔部が形成されている。
【0027】
カラー部33は、扁平円筒状又は環状であり、ボルト状部31の螺子軸が前記第1連結端片21aに形成された貫通孔を裏面側から挿入され、螺子軸を前記カラー部33に挿入し、係止頭部32にて締め付けられる。第1連結端片21aと係止頭部32との間にカラー部33が位置し、該カラー部33によって係止部3に括れ部が形成される〔図3(A),(B)参照〕。また、係止頭部32とカラー部33とを別部材としても構わない。この場合、係止頭部32は通常のナットが使用され、カラー部33は通常の座金が使用されることもある。
【0028】
フック部4は、第2連結端片22aに対して、略L字形状の溝孔として形成されたものであり、第2連結端片22aの内方側端縁には、前記係止部3を奥に案内する開放された案内溝41と長孔溝状部42が存在する〔図4(B)参照〕。長孔溝状部42は、逆U字形状に形成されたものである〔図3(D),図4(B)参照〕。そして前記係止部3のカラー部33により形成される括れ部が、フック部4の案内溝41から長孔溝状部42に入り込み、相互に挿入し合うようにして係止連結がなされる〔図1(C),図2参照等〕。
【0029】
係止部3の別の実施形態として、特に図示しないが、大径頭部と小径軸部とからなる部材が第1連結端片21aに溶接等の固着手段にて固着される構成でも構わない。また、前述したように、係止部3を突出形状とし、フック部4を溝状としたものであるが、係止部3とフック部4とは前述した構成とは反対に、係止部3を溝状とし、フック部4を突出形状としたものであっても構わない。
【0030】
なお、特に図示しないが、パネル材A1(ベースパネル材A1a,中間パネル材A1b,仕上げパネル材A1c)において縦枠部2は、パネル部1とは、別部材とする構成として説明したが、縦枠部2がパネル部1と一体的に形成される実施形態も存在する。この実施形態では、パネル部1の幅方向両側端部をプレス成形により縦枠部2と同一断面を有する形状に形成することもある。この場合ではベースパネル材A1aと中間パネル材A1bのそれぞれの幅方向における前記係止部3側端部が前記縦胴縁6に固着される構成となる。
【0031】
次に、パネル材A1の種類についてベースパネル材A1a,中間パネル材A1b及び仕上げパネル材A1cのそれぞれについて説明する。まず、ベースパネル材A1aは、パネル部1の幅方向両側に装着される両縦枠部2は、第1縦枠部21のみである(図5参照)。つまり、ベースパネル材A1aは、パネル部1の幅方向両側に第1縦枠部21,21が装着され、パネル部1の幅方向両側に係止部3,3が存在することになる〔図5(B),(C)参照〕。したがって、ベースパネル材A1aは、幅方向において左右対称の構造となる〔図5(A)参照〕。
【0032】
中間パネル材A1bについては、パネル部1の幅方向両側に装着される縦枠部2は、一方が第1縦枠部21であり、他方が第2縦枠部22となる(図6図7参照)。つまり、中間パネル材A1bは、パネル部1の幅方向の一方に第1縦枠部21と係止部3とが設けられ、幅方向他方に第2縦枠部22と、他方にフック部4が設けられることになる〔図6(B),(C)及び図7(B),(C)参照〕。
【0033】
仕上げパネル材A1cについては、パネル部1の幅方向両側に装着される縦枠部2は、第2縦枠部22のみである(図8参照)。つまり、仕上げパネル材A1cは、パネル部1の幅方向両側に第2縦枠部22,22が装着され、パネル部1の幅方向両側にフック部4,4のみが存在することになる。したがって、仕上げパネル材A1cは、幅方向において左右対称の構造となる〔図8(A)参照〕。
【0034】
次に、本発明におけるパネル材A1のレベル調整機構について説明する。ベースパネル材A1a,中間パネル材A1b及び仕上げパネル材A1cの上端箇所には、調整ボルト支持部5が設けられている〔図10(A),(B)参照〕。また、縦胴縁6には調整受け部7が設けられている〔図10(A),(B)参照〕。調整ボルト支持部5は、貫通孔51aと内螺子部51bを有する支持板51と、調整ボルト52とを備えている。
【0035】
内螺子部51bに調整ボルト52の螺子軸部を螺合させ、調整ボルト52が周方向に回転させることにより、支持板51を上下方向に移動できる。また、縦胴縁6には、調整受け部7が固着され、前記調整ボルト52の螺子軸下端が当接可能となるように設置される。前記内螺子部51bは、通常のナットが使用され、該ナットが支持板51の下面側又は上面側に溶接によって固着されたり、或いは前記貫通孔51aの内周に内螺子が形成され、これを内螺子部51bとしてもよい。調整ボルト52の下端は、調整受け部7に当接しているので、調整ボルト52を軸周方向に回動させることで、調整ボルト52の螺子軸が支持板51を上方又は下方に移動させる〔図10(A)参照〕。そして支持板51と共にパネル材A1が上下に移動することができる。
【0036】
調整ボルト支持部5と、調整受け部7とからなるレベル調整機構によって、パネル材A1(ベースパネル材A1a,中間パネル材A1b,仕上げパネル材A1c)を所定位置に設置するときに、前記調整ボルト52を回転させて、パネル材A1を上下方向に移動させることで、その設置作業時におけるそれぞれのパネル材A1における垂直及び水平の調整が簡単にできる〔図10(C)参照〕。また、隣接するパネル材A1同士の上下方向における間隔を同等にする調整もできる。
【0037】
本発明の構造用柱8と、これを囲む円筒状体Aによって構成される丸柱構造において、円筒状体Aを構成するパネル材A1は、上述したように、ベースパネル材A1a,中間パネル材A1b及び仕上げパネル材A1cである。そして、ベースパネル材A1aと仕上げパネル材A1cは、1つのみであり、中間パネル材A1bは、円筒状体Aを構成するパネル材A1の枚数に応じて1つ又は2つ以上となる。
【0038】
円筒状体Aを構成するパネル材A1の数が4の場合、中間パネル材A1bの数は2となる〔図1(A),図9参照〕。また、円筒状体Aを構成するパネル材A1の数が3の場合、中間パネル材A1bは1つである〔図11(A)参照〕。さらに、円筒状体Aを構成するパネル材A1の数が5以上の場合、中間パネル材A1bの数は3以上となる〔図11(B)参照〕。円筒状体Aを構成するパネル材A1の数をn(3以上)とすると、中間パネル材A1bの数は(n−2)である。
【0039】
また、中間パネル材A1bの数が2以上とすると、ベースパネル材A1aを中心として、その幅方向両側におけるそれぞれの中間パネル材A1bは相互に、幅方向において勝手反対の構造となる(図6図7図9参照)。つまり、ベースパネル材A1aの幅方向の一方側に位置する中間パネル材A1bと、他方側に位置する中間パネル材A1bとは、相互に勝手反対の構造である〔図9(A)参照〕。勝手反対の2つの中間パネル材A1bとは、2つの中間パネル材A1bを並列配置した状態、左右対称の形状となり、対向する縦枠部2は共に第1縦枠部21,21同士又は第2縦枠部22,22同士となる構造のことである。
【0040】
円筒状体Aを構成するパネル材A1は、本発明における代表的なものとして4とした場合、ベースパネル材A1a,仕上げパネル材A1c及び二つの中間パネル材A1bとなる。ベースパネル材A1a,中間パネル材A1b及び仕上げパネル材A1cの中心角θは90度となる〔図1(A)及び図5乃至図8参照〕。
【0041】
また、円筒状体Aを構成するパネル材A1を3とした場合、ベースパネル材A1a,中間パネル材A1b及び仕上げパネル材A1cは、その中心角θは120度となる〔図11(A)参照〕。さらに、円筒状体Aを構成するパネル材A1を5とした場合、中間パネル材A1bの数は3となる。そして、ベースパネル材A1a,中間パネル材A1b及び仕上げパネル材A1cの中心角θは72度となる〔図11(B)参照〕。
【0042】
つまり、1つの円筒状体Aを構成する全パネル材A1のそれぞれの中心角は全て等しく設定される。パネル材A1の数が3以上とした場合、施工段階の最終に装着される仕上げパネル材A1cを配置するスペースSにおいて、その両側に位置する中間パネル材A1bの端部には、係止部3,3が位置しており、幅方向両側がフック部4,4である仕上げパネル材A1cを装着することができる。
【0043】
次に、本発明における丸柱構造の施工について説明する。建築構造物の構造用柱8は、建築構造物の主柱となるものであり、極めて強固な鉄筋鉄骨コンクリート製であることが多い。構造用柱8の表面は、コンクリート肌のままであることが多い。このままでも、周囲の環境に適合することもあるが、種々の環境に適応するデザインが求められることが多い。また、構造用柱8が、角柱の場合では、周囲の環境に応じて円柱の方が好ましく望まれることもある。本発明では、円筒状体Aによって、構造用柱8を覆い囲み、その外観を円柱状にするものである〔図1(A)参照〕。
【0044】
施工の説明において、円筒状体Aが、4個のパネル材A1にて構成される実施形態で説明する。4つのパネル材A1は、ベースパネル材A1aと、仕上げパネル材A1cと、2つの中間パネル材A1bである。2つの中間パネル材A1bは、説明の便宜上、第1中間パネル材A1b(図6参照)と、第2中間パネル材A1b(図7参照)と称する。
【0045】
したがって、中間パネル材A1bが3以上の場合では、第3中間パネル材A1bが存在することになる。まず、構造用柱8に周囲に縦胴縁6を円周状且つ等間隔に配置される。縦胴縁6は、鉄骨,鉄柱が使用される。その断面は方形状,H形状等種々のものがある。具体的なものとして、断面凹形状の溝形鋼,リップ溝形鋼等を二つ合わせて接合したものがある〔図1(C),図2参照〕。縦胴縁6は、構造用柱8の周囲の床面に強固に設置される。縦胴縁6の上下方向において適宜の高さの位置で、構造用柱8と連結材を介して連結固着されることもある。
【0046】
次に、ベースパネル材A1aの幅方向両側に設けられた両第1縦枠部21,21の取付端片21c,21cが何れかの隣接する縦胴縁6,6に、ビス等の固着具にて固着される〔図9(A)参照〕。このとき、ベースパネル材A1aが垂直方向の精度が若干不良の場合には、調整ボルト支持部5と調整受け部7とよるレベル調整機構によって、ベースパネル材A1aを垂直となるように調整することができる。
【0047】
次に、既に縦胴縁6に固着したベースパネル材A1aの幅方向の一方及び他方に第1中間パネル材A1b及び第2中間パネル材A1bを連結する。中間パネル材A1bの連結は、ベースパネル材A1aの係止部3に、第1中間パネル材A1b及び第2中間パネル材A1bのそれぞれの第2縦枠部22のフック部4を係止する。そして、同第1,第2中間パネル材A1bの幅方向他方の第1縦枠部21の取付端片21cを縦胴縁6にビス等の固着具にて固着する。これをベースパネル材A1aの幅方向他方側に位置する中間パネル材A1bにおいても同様の手順で行うものである。
【0048】
そして、ベースパネル材A1aの幅方向両側に第1及び第2中間パネル材A1b,A1bの連結が完了すると、隣接する中間パネル材A1b,A1bの間には、1個のパネル材A1が装着されるスペースS(空隙)が残る〔図9(B)参照〕。このスペースS(空隙)の幅方向両側には第1縦枠部21,21が現われており〔図9(B)参照〕、両第1縦枠部21,21には係止部3が設けられている。
【0049】
前記空隙には、仕上げパネル材A1cが配置される〔図9(B)参照〕。該仕上げパネル材A1cは、その幅方向両側が第2縦枠部22,22であり、それぞれにフック部4,4が設けられている。そして、仕上げパネル材A1cがスペースS(空隙)に配置されると共に、仕上げパネル材A1cの幅方向両側のフック部4が両中間パネル材A1b,A1bの係止部3と相互に係止されて円筒状体Aが構成される〔図1(C)参照〕。なお、中間パネル材A1b及び仕上げパネル材A1cについても、それぞれの調整ボルト支持部5と調整受け部7とによって垂直及びパネル材A1同士の平行を調整する。
【0050】
複数のパネル材A1にて構成された円筒状体Aは、高さ方向に連結して使用することもある〔図1(B)参照〕。円筒状体Aは、建築構造物のフロア高さに応じて設定されるものであるが、吹き抜け構造等の大型の鉄筋鉄骨コンクリートによる構造用柱8の場合では、円筒状体Aを上下方向に連結して使用することもある〔図1(B)参照〕。この場合、ベースパネル材A1a,中間パネル材A1b及び仕上げパネル材A1cには、その上端にフランジが形成され、フランジ同士が連結され、ボルトナット等の固着具にて連結されるものである。
【0051】
本発明では、円筒状体Aは、複数のパネル材A1から構成されるものであって、複数の該パネル材A1は、ベースパネル材A1,中間パネル材A1bと、仕上げパネル材A1cとから構成される。そして、ベースパネル材A1aが縦胴縁6,6に固定され、最初に設置される。そして、ベースパネル材A1aの幅方向両側に、中間パネル材A1bが配置されると、残された最後のスペースS(空隙)の幅方向両側には中間パネル材A1bの係止部3が位置しており、仕上げパネル材A1cの幅方向両側のフック部4が容易に係止できるようになっている。
【0052】
但し、パネル材A1が3枚のときには、ベースパネル材A1aの幅方向一方に中間パネル材A1bが連結されると、最後に残されたスペースS(空隙)はベースパネル材A1aと中間パネル材A1bとによって形成される。このスペースS(空隙)の幅方向両側には、必ず係止部3が位置しており、仕上げパネル材A1cの幅方向両側のフック部4によって装着が簡単にできるようになっている。このように、本発明では、円筒状体Aを施工するに際して、順序通りに施工することで、極めて効率的に作業することができる。
【0053】
複数のパネル材A1にて円筒状体Aを構成すると、隣接するパネル材A1,A1のパネル部1,1には隙間tを設けることもある〔図1(C),図2参照〕。該隙間tは、具体的には約3mm乃至約8mm程度である。この隙間tは、レベル調整時にパネル部1同士の接触を防止したり、熱伸縮において、隣接するパネル部1同士の接触を防止するものである。
【0054】
さらに、本発明の円筒状体Aを構成するパネル材A1(ベースパネル材A1a,中間パネル材A1b,仕上げパネル材A1c)の高さ方向寸法を長尺(具体的には5m乃至8m)とした場合にもかかわらず、前記隙間tを上記寸法とすることにより、該隙間tが小さくなり、円筒状体A全体の意匠性を優れたものにできる。
【0055】
なお、図中、隙間t箇所に装着された符号9で示された部材は、ガスケットである。また、前記第1縦枠部21には、前記ガスケット9を収納するための収納屈曲部21dが形成されている。なお、ガスケット9のための収納屈曲部は、第2縦枠部22側に形成されても構わない。
【符号の説明】
【0056】
A…円筒状体、A1…パネル材、A1a…ベースパネル材、A1b…中間パネル材、
A1c…仕上げパネル材、1…パネル部、2…縦枠部、3…係止部、31…ボルト状部、
32…係止頭部、33…カラー部、41…案内溝、42…長孔溝状部、
5…調整ボルト支持部、51b…内螺子部、52…調整ボルト、6…縦胴縁、
7…調整受け部、8…構造用柱。
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