特許第6978054号(P6978054)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6978054
(24)【登録日】2021年11月15日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】鍵スイッチ装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 27/06 20060101AFI20211125BHJP
【FI】
   H01H27/06 D
   H01H27/06 K
   H01H27/06 L
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-246972(P2017-246972)
(22)【出願日】2017年12月22日
(65)【公開番号】特開2019-114420(P2019-114420A)
(43)【公開日】2019年7月11日
【審査請求日】2020年10月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000114271
【氏名又は名称】ミヤマ電器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】三木 亨
【審査官】 太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−217018(JP,A)
【文献】 特開2001−277893(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 27/00−27/10
H01H 1/20
H01H 19/00−21/88
H01H 25/00−25/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクシリンダーを内蔵した円筒状の内筒と、
前記内筒の一端側に開口し、前記内筒の軸方向に鍵を差し込み可能な鍵穴と、
前記内筒をその周方向に回転可能に収納した外筒と、
前記内筒の前記外筒内における周方向の移動を所定角度までに留めるように係止する係止部と、
前記内筒の他端側に設けられ前記内筒の回転と連動して回転する可動接点と前記可動接点の回転角度に応じて当該可動接点との接触状態が変わる固定接点とを備え、第一状態及び当該第一状態から所定角度まで回転した第二状態でスイッチングする第一スイッチと、
一端が前記内筒の内部に当接し他端が前記可動接点に当接するとともに前記内筒を前記一端側に付勢する付勢部材と、
前記外筒の内側に設けられ当該内筒を軸方向に移動可能とする移動空間と、
前記内筒の他端と対向するように設けられ当該内筒の軸方向の移動により前記他端側から押圧されるか否かによりスイッチングする第二スイッチと、を備え、
前記可動接点は、円柱状を呈し前記内筒の軸方向と直交するように配置されるとともに、前記内筒の先端部に軸方向に沿って切り欠かれた一対の切欠き溝内を挿通可能に配置され、
前記第二状態にスイッチングする際、前記内筒の回転に伴い前記可動接点が回転し、前記可動接点の両端が、離間して配置された一対の前記固定接点に接触することを特徴とする鍵スイッチ装置。
【請求項2】
一対の前記固定接点の先端に溝をそれぞれ備え、
前記第二状態にスイッチングする際、前記可動接点の両端部が各前記溝に落ち込むことを特徴とする請求項1に記載の鍵スイッチ装置。
【請求項3】
前記第一状態及び前記第二状態のいずれの場合にも前記第二スイッチのスイッチングができるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の鍵スイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鍵スイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ディスクシリンダー錠を用いた鍵スイッチ装置の構造が開示されている。この鍵スイッチ装置は、内筒と当該内筒が収納される外筒とを備えている。この鍵スイッチ装置は、鍵穴に正しい鍵を差し込むことにより、内筒を所定角度回転させることが可能となる。そして、この内筒を回転させる前の状態にあるか回転させた後の状態にあるかによって、可動接点と固定接点との接触状態が変動し、スイッチの切換えがなされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−60678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、既存の鍵スイッチ装置を用いた場合、2回路のスイッチングを行うためには少なくとも2つの鍵スイッチ装置を用意することが必要となる。これにより、鍵スイッチ装置を搭載する電子機器の部品コストが増加するとともに、2つの鍵スイッチ装置分の搭載スペースも確保しなければならない。
【0005】
そこで、本発明の課題は、2回路のスイッチングを単一の鍵スイッチ装置で可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ディスクシリンダーを内蔵した円筒状の内筒と、前記内筒の一端側に開口し、前記内筒の軸方向に鍵を差し込み可能な鍵穴と、前記内筒をその周方向に回転可能に収納した外筒と、前記内筒の前記外筒内における周方向の移動を所定角度までに留めるように係止する係止部と、前記内筒の他端側に設けられ前記内筒の回転と連動して回転する可動接点と前記可動接点の回転角度に応じて当該可動接点との接触状態が変わる固定接点とを備え、第一状態及び当該第一状態から所定角度まで回転した第二状態でスイッチングする第一スイッチと、一端が前記内筒の内部に当接し他端が前記可動接点に当接するとともに前記内筒を前記一端側に付勢する付勢部材と、前記外筒の内側に設けられ当該内筒を軸方向に移動可能とする移動空間と、前記内筒の他端と対向するように設けられ当該内筒の軸方向の移動により前記他端側から押圧されるか否かによりスイッチングする第二スイッチと、を備え、前記可動接点は、円柱状を呈し前記内筒の軸方向と直交するように配置されるとともに、前記内筒の先端部に軸方向に沿って切り欠かれた一対の切欠き溝内を挿通可能に配置され、前記第二状態にスイッチングする際、前記内筒の回転に伴い前記可動接点が回転し、前記可動接点の両端が、離間して配置された一対の前記固定接点に接触することを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、第一スイッチ及び第二スイッチの2回路のスイッチのスイッチングを1台の鍵スイッチ装置で行うことができる。これにより、鍵スイッチ装置を搭載する電子機器の部品コストの低減や搭載スペースの縮小化を図ることができる。
【0008】
また、一対の前記固定接点の先端に溝をそれぞれ備え、前記第二状態にスイッチングする際、前記可動接点の両端部が各前記溝に落ち込むことが好ましい。
また、前記第一状態及び前記第二状態のいずれの場合にも前記第二スイッチのスイッチングができるように構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、2回路のスイッチングを単一の鍵スイッチ装置で可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態である鍵スイッチ装置の斜視図である。
図2】本発明の一実施形態である鍵スイッチ装置の分解斜視図である。
図3】本発明の一実施形態である鍵スイッチ装置の縦断面図である。
図4A】本発明の一実施形態である鍵スイッチ装置の内筒を上側から視た斜視図である。
図4B】本発明の一実施形態である鍵スイッチ装置の内筒を下側から視た斜視図である。
図5】本発明の一実施形態である鍵スイッチ装置の上部の縦断面図である。
図6A】本発明の一実施形態である鍵スイッチ装置の回転子を上側から視た斜視図である。
図6B】本発明の一実施形態である鍵スイッチ装置の回転子を下側から視た斜視図である。
図7A】本発明の一実施形態である鍵スイッチ装置のカバーを上側から視た斜視図である。
図7B】本発明の一実施形態である鍵スイッチ装置のカバーを下側から視た斜視図である。
図8】本発明の一実施形態である鍵スイッチ装置のベースとその周囲の部材の縦断面図である。
図9A】本発明の一実施形態である鍵スイッチ装置の外筒の上面図である。
図9B】本発明の一実施形態である鍵スイッチ装置の外筒の上側から視た斜視図である。
図9C】本発明の一実施形態である鍵スイッチ装置の外筒のA−A切断断面図である。
図9D図9Cの外筒のB−B切断断面図である。
図10図5のC−C切断断面図である。
図11】本発明の一実施形態である鍵スイッチ装置の上部において第一状態で内筒を押下した状態を示す縦断面図である。
図12】本発明の一実施形態である鍵スイッチ装置の上部において第二状態で内筒を押下していない状態を示す外筒の一部を切欠いた正面図である。
図13】本発明の一実施形態である鍵スイッチ装置の上部において第二状態で内筒を押下した状態を示す外筒の一部を切欠いた正面図である。
図14A】本発明の一実施形態である鍵スイッチ装置の変形例を示す外筒の上面図である。
図14B】本発明の一実施形態である鍵スイッチ装置の変形例を示す外筒の上側から視た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態の鍵スイッチ装置1の斜視図であり、図2は、同鍵スイッチ装置1の分解斜視図である。鍵スイッチ装置1は、鍵15を鍵穴21に差し込んで回転させる場合と、押し込む場合とで別個の回路のスイッチングを行うことができるスイッチング機構である。鍵スイッチ装置1は、例えば、パチンコ、パチスロなどの電子機器に搭載される部品である。
【0012】
鍵スイッチ装置1は、内筒2と、外筒3と、複数個のタンブラ5と、複数個のタンブラスプリング4と、回転子6と、付勢部材となるスプリング7と、第一スイッチの一部を構成する可動接点となる可動子8と、カバー9と、ラバー10と、第二スイッチを構成するプッシュスイッチの一種であるタクトスイッチ11と、端子12と、第一スイッチの一部を構成する固定接点となる端子13と、ベース14とから主に構成されている。
【0013】
図3は、鍵スイッチ装置1の縦断面図である。図3においては、主に前記の各部材についてのみ符号を付している。鍵スイッチ装置1は、正しい鍵15を鍵穴21に差し込んで内筒2を外筒3に対して周方向に所定角度回転させることができる。図3は、内筒2を回転させていない状態(初期状態)を示している。この状態を「第一状態」と呼ぶことにする。これに対して、正しい鍵15を鍵穴21に差し込んで内筒2を外筒3に対して周方向の所定方向(時計方向又は反時計方向)に所定角度(例えば、90°程度)回転させた状態を「第二状態」と呼ぶことにする。
【0014】
図4Aは、内筒2を上側から視た斜視図であり、図4Bは、内筒2を下側から視た斜視図である。図5は、鍵スイッチ装置1の上部の縦断面図である。図4A図4B図5に示すように、内筒2は、外筒3に収納されており、鍵15と同期して回転する部材である。また、内筒2は、外筒3に対して軸方向に移動するように構成されている。内筒2は、フランジ部23と、大径部28と、中径部29と、先端部30とで構成されている。
【0015】
内筒2の一端側の端部には鍵穴21が開口し、内筒2の軸方向に鍵15を差し込み可能である。内筒2は、ディスクシリンダーを内蔵している。すなわち、内筒2の円筒状の側面にはタンブラ収納部22が設けられ、このタンブラ収納部22には、複数個(本例で3個)のタンブラ5(図2参照)が内筒2の軸方向に並設されている。また、タンブラ収納部22には、各タンブラ5を付勢する複数個(本例で3個)のタンブラスプリング4(図2参照)も収納されている。タンブラ5はタンブラスプリング4によって外側に向けて先端部が飛び出すように付勢されるが、鍵穴21に鍵15を差し込まれることにより内筒2内に退避する。このようなディスクシリンダーの機構については周知であるため、詳細な説明は省略する。
【0016】
フランジ部23は、円板状を呈し、鍵穴21が開口している。フランジ部23の下部には径外方向に突出する一対の凸部24が設けられている。この一対の凸部24は、いずれも内筒2の径方向の直径上に位置するように対向して配置されている。大径部28は、略円柱状を呈する。大径部28は、フランジ部23に連続し、前記したタンブラ収納部22を備えている。中径部29は、大径部28に連続し、円柱状を呈する。中径部29は、大径部28よりも小径に形成されている。先端部30は、中径部29に連続し、先端側に向けて突出する二股形状になっている。図4Bに示すように、先端部30の内部には円柱状の中空部25aが軸方向に延設されている。また、先端部30には、中空部25aに連続するとともに外側に開口する切欠き溝25b,25bが形成されている。
【0017】
先端部30の外周面には、中径部29に連続し先端側に向けて延設される延設部26が形成されている。延設部26は、断面矩形を呈する。延設部26は、切欠き溝25bから周方向に90°位相ずれしつつ、対向して一対配置されている。また、中径部29の外周面と、延設部26の外周面は面一になっている。
【0018】
また、先端部30の下部には径外方向に突出する突出部27が形成されている。突出部27は、切欠き溝25bから周方向に90°位相ずれしつつ、対向して一対配置されている。
【0019】
図5に示すように、この中空部25a内にはスプリング7及び可動子8が収納されている。円柱状の可動子8は、軸方向と直交するように、中空部25aの先端側に挿入されている。スプリング7の一端側は内筒2の内部に当接しており、他端側は可動子8に当接されている。可動子8の両端は、切欠き溝25b,25bを介して先端部30よりも外側に突出するように配置されている。内筒2は、スプリング7によって上方(一端側)に付勢されている。可動子8は、高さ位置は変わらずに、内筒2の回転と同期して回転するように構成されている。また、切欠き溝25b,25b内を可動子8が挿通するため、内筒2が軸方向に移動可能となっている。
【0020】
図6Aは、回転子6を上側から視た斜視図であり、図6Bは、回転子6を下側から視た斜視図である。図6A図6B図5に示すように、回転子6は、内筒2が挿入することで、内筒2の先端部30の外側に配置される。回転子6は内筒2と同期して回転することにより、内筒2の周方向の回転を規制する部材である。また、回転子6は、内筒2の軸方向の位置を規制する部材である。
【0021】
回転子6は、本体部63と、一対の突起部64と、一対の弾性部65と、摺動部66とで主に構成されている。本体部63は、リング状を呈し、軸方向に貫通する孔61を備えている。孔61の形状は、内筒2の先端部30が挿入されるようになっており、直線状の一対の側面と、円弧状の一対の局面とで構成されている。孔61の一対の側面には、それぞれ互いに対峙するように段差部62,62が設けられている。この一対の段差部62には内筒2の一対の延設部26が略隙間なく嵌合される(図5)。これにより、内筒2と回転子6は周方向に同期して回転する。また、段差部62の深さは、延設部26の軸方向の長さよりも長くなっているため、第一状態において段差部62と延設部26との間には間隙62bが形成されている。第一状態において内筒2が押下されると間隙62b(図5)内を延設部26が移動する。
【0022】
本体部63の一端側の端面には、段差部62の径方向外側に一対の突起部64が設けられている。周方向において、一対の突起部64と、一対の段差部62とは対応する位置に形成されている。突起部64は鍵穴21側に向かって突出している。また、回転子6の各突起部64の下部には、下方に向かって延出している薄板形状の弾性部65が設けられている。弾性部65の先端側は自由端になっている。各弾性部65の先端部には、回転子6の径外方向に向かって延出し、先端が円弧形状の摺動部66が設けられている。摺動部66の先端部は外筒3の内周面に当接する。このとき弾性部65は幾分内筒2側に撓み、その弾性力により摺動部66を外筒3の内周面に向けて付勢する。回転子6の弾性部65及び摺動部66は、内筒2の先端部30と間隔をあけて形成されている(図5参照)。
【0023】
回転子6は、外筒3に対する軸方向位置は不変のまま、周方向に回転可能に外筒3に配置されている。図5に示すように、第一状態において、内筒2の先端部30の突出部27と、回転子6の本体部63の他端側の端面67に当接することにより、内筒2の一端側(上方)への移動を規制している。つまり、外筒3に対して内筒2の抜け止めがなされる。
【0024】
図7Aは、カバー9を上側から視た斜視図であり、図7Bは、カバー9を下側から視た斜視図である。図7A図7B図5に示すように、カバー9は、外筒3内で回転子6よりも内筒2の先端側に回転子6と隣接して配置されている。カバー9は、ベース14の先端側を覆うとともに、端子13を保持する部材である。カバー9は、周方向に回転せず、軸方向にも移動しない部材である。
【0025】
カバー9は、図7A,7Bに示すように、リング状を呈する基体部91と、一対の支持部材93と、4つの張出部94とで主に構成されている。基体部91の中央には軸方向に貫通する円形の孔91aが形成されている。孔91aは、内筒2の先端部30の外径よりも大きくなっている。基体部91の上面から一段下がった位置に一対の段差平面91bが形成されている。段差平面91bは孔91aを挟んで対向して配置されている。段差平面91bには、軸方向に貫通する長孔92が形成されている。長孔92には端子13が挿入される(図5)。
【0026】
支持部材93は、段差平面91bと対応する位置に一対形成されており、基体部91の下面から下方に向けて延設されている。長孔92は、支持部材93よりも径外方向に配置されている。支持部材93の径外方向の面は、長孔92の内側の面から連続している平面である。カバー9の外周面のうち、他端側(下部)には径外方向に張り出す4つの張出部が形成されている。張出部は周方向に等間隔で形成されている。
【0027】
カバー9の孔91a内にはラバー10が収納されている。ラバー10は、大径部と小径部を備えている。ラバー10の小径部は、孔91aに隙間なく配置される。ラバー10の大径部はカバー9の内側の端面91c(図7B参照)に当接する。カバー9の端面91cは、スプリング7により付勢されている可動子8の両端部を当該付勢力に抗して支持する。図5に示すように、可動子8の両端部が段差平面91b上に移動したときは、後述の端子13の先端部13a上に支持され、その溝13bと係合する。
【0028】
図8は、鍵スイッチ装置1のベース14とその周囲の部材の縦断面図である。図8に示すように、ベース14は、鍵スイッチ装置1において、カバー9よりも鍵穴21側とは反対側(以下、「鍵スイッチ装置1の先端側」ということがある)の位置に設けられ、カバー9側の部分は外筒3内に収納され、鍵スイッチ装置1の先端側は外筒3外に露出している。ベース14は、鍵穴21側から視て略円形状の部材であり、カバー9よりも鍵穴21側における径方向の内側には収納凹部141が設けられている。
【0029】
収納凹部141の径方向の内側の2カ所及びその外側の2カ所には、それぞれベース14を鍵スイッチ装置1の長手方向に貫通する2つの孔142と2つの孔143が貫通している。各孔142には端子12が差し込まれている。この端子12は、孔142の両端から露出している。端子12の収納凹部141側から露出した部分には略コ字形をした受け凹部12aが設けられ、2つの受け凹部12aが収納凹部141内の内側に並設されている。この2つの受け凹部12a上にはプッシュスイッチの一種であるタクトスイッチ11が取付け部材98により取り付けられている。そして、タクトスイッチ11の鍵穴21側にはラバー10が接触している。各孔143には端子13が差し込まれている。この端子13は、孔143の両端から露出している。端子13の収納凹部141からの露出部分は、収納凹部141の底面に沿うようにベース14の径外方向にL字状に折れ曲がって延び、さらに、L字状に折れ曲がって収納凹部141の段差の側面に沿って延びて、鍵穴21方向に延出している。その先端部13aは段差平面91b外に鍵穴21側に向かって延びている。先端部13aの先端縁には略V字形状をした溝13bが形成されている。この溝13bは、可動子8が回転して先端部13aの先に位置したときに当該可動子8の軸方向端部と係合する。
【0030】
ベース14の鍵スイッチ装置1の先端側には、ベース14の径方向内側に接続凹部146が形成されている。この接続凹部146にはコネクタ144が差し込まれて固定されている。コネクタ144には、各端子12,13の端部が接続され、各端子12,13はコネクタ144を介して外部の電子機器と電気的に接続することができる。ベース14の側面で鍵穴21側に寄った位置には一対の凸部145が設けられている。
【0031】
図9Aは、外筒3の上面図であり、図9Bは、外筒3の上側から視た斜視図であり、図9Cは、図9Aの外筒3のA−A切断断面図であり、図9Dは、図9Cの外筒3のB−B位置で切断した外筒3の切断断面図である。
図9A図9B図5に示すように、外筒3の鍵穴21側端部の開口部には内周面を一周して鍵穴21側から視て円形の段差部31が形成されている。この段差部31は、内筒2が回転するときにフランジ部23及び凸部24の移動を妨げない径サイズ及び深さに構成されている。また、図5に示すように、段差部31の段差底面31aは、フランジ部23の裏面23aと対峙していている。第一状態、第二状態で内筒2がその先端側に向かって押圧されていないときには、段差底面31aと裏面23aとの間には、移動空間となる間隙31bが空いている。
【0032】
第一状態及び第二状態で内筒2がその先端側に向かって押圧されていないときには、カバー9の端面91c(図7A)に支持されている可動子8に一端が当接しているスプリング7の付勢力により、内筒2は鍵穴21側に付勢されている。一方、突出部27と回転子6における内筒2の軸方向先端側の端面67(図5図6A図6B)とが当接しているので内筒2が鍵穴21側に過度に突出することはない。これにより、鍵穴21が形成されている内筒2の端面21aと外筒3の軸方向の一方の端縁31cとは略面一状態にあるが、段差底面31aと裏面23aとの間に間隙31bが空く。内筒2を鍵穴21側から押圧したときは、フランジ部23が間隙31bを移動し、間隙31bは移動空間となる。
【0033】
図5図9Cに示すように、内筒2のタンブラ5が収納されている大径部28は内筒2の先端側より径サイズが大きい。しかし、第一状態及び第二状態で内筒2がその先端側に向かって押圧されていないときには、段差部31より外筒3の内周面の内筒2の先端側に形成された段差部32と、大径部28の内筒2の先端側端部28aとの間には間隙32aが存在する。間隙32aは、内筒2の鍵穴21側を押圧したときに大径部28が通過する移動空間となる。なお、段差部32の外筒3内側への張出部分は、段差部31とともに、内筒2が外筒3内でぐらつかないように内筒2を支持している。
【0034】
図5図9A図9Bに示すように、外筒3の径方向の直径上には外筒3の筒内の空洞33を挟んで一対の縦長溝34aが互いに対峙するように形成されている。この縦長溝34aは、段差底面31aから内筒2の先端側に向かって延び、その長さは、3つ並んだタンブラ5の存在位置に対応している。すなわち、縦長溝34aは、タンブラ5が飛び出しているときに当該タンブラ5と係合し、内筒2が回転しないようにするための溝である。
【0035】
また、図5図9A図9Bに示すように、外筒3の径方向の直径上には外筒3の筒内の空洞33を挟んで一対の溝34bが互いに対峙するように形成されている。この溝34bの存在位置は、縦長溝34aとは内筒2の周方向に約90°ずれている。この溝34bは、縦長溝34a同様、段差底面31aから内筒2の先端部に向かって延びているが、その長さは縦長溝34aより短い。溝34bは、第1状態で、内筒2をその先端部側に向けて押圧したときに、凸部24が沈み込み、内筒2の移動を可能とする移動空間となる部位である。
【0036】
図10は、図5のC−C切断断面図である。図9D図10に示すように、外筒3の長さ方向の中間位置で、外筒3の周方向における突起部64が存在する位置と対峙する内周面には一対の係止部35が空洞33の中心に向かって延出している。係止部35は、回転子6の突起部64を係止することにより、内筒2の回転を第二状態にとどめ、それ以上回転しないようにする部材である。
【0037】
前記したとおり、図5図9Cに示すように、段差部32の外筒3内側への張出部分は、段差部31とともに、内筒2が外筒3内でぐらつかないように内筒2を支持している。この段差部32の張り出し部分の内筒2の先端側の面32cには、回転子6の突起部64が当接していて、回転子6が面32cより鍵穴21側にずれないように係止している。また、前記のとおり、内筒2には突出部27が形成されていて、この各突出部27は回転子6の孔61の周縁部に係合している。また、延設部26は段差部62に嵌合している。そのため、回転子6は内筒2と同期して移動する。
【0038】
図9C図1に示すように、外筒3の鍵スイッチ装置1の先端部側の端部から外筒3の長さ方向の中間位置に向かって4本の長溝36が形成されている。この長溝36は外筒3の周方向に略90°間隔で形成されており、各長溝36にはカバー9の4つの張出部94が係合している。すなわち、長溝36と張出部94とが係合することにより、カバー9の周方向の回転が係止され、また、カバー9が所定位置より鍵穴21側にずれないように係止している。
【0039】
また、図1図10図9Cに示すように、外筒3の鍵スイッチ装置1の先端側端部近傍には、外筒3の壁を貫通する一対の係合孔97が形成されている。各係合孔97には、ベース14の凸部145がそれぞれ係合していて、ベース14の外筒3からの脱落を防止している。
【0040】
<第一スイッチOFF、第二スイッチOFF>
次に、鍵スイッチ装置1の作用効果について説明する。
第一状態(初期状態)にあるとき、各部材は図5に示すような位置関係にある。タンブラ5が外筒3の縦長溝34aに係合しているため、内筒2は周方向に回転しない。また、内筒2はスプリング7によって一端側(上方)に付勢されている。これにより、第一スイッチはOFF状態にあり、第二スイッチもOFF状態にある。
【0041】
<第一スイッチON、第二スイッチOFF>
鍵スイッチ装置1の鍵穴21に正しい鍵15を差し込むと、各タンブラ5は内筒2内に退避して、内筒2と縦長溝34aとの係合が解除され、内筒2を周方向に回転させることが可能となる。この状態のまま鍵15を操作して内筒2を時計方向又は反時計方向に回転させる。内筒2の延設部26は段差部62に嵌合している。そのため、このとき回転子6は内筒2と同期して回転する。内筒2を90°程度回転させると、回転子6の突起部64は係止部35に係止され(図10)、これにより、回転子6、ひいては回転子6と同期して回転する内筒2も、それ以上回転することができなくなる。この状態が第二状態である(図12)。このとき、図12に示すように、第一スイッチの可動接点となる可動子8が内筒2に連動して回転し、可動子8と第一スイッチの固定接点となる端子13の先端とが接触し、可動子8の両端部が各溝13bに係合する。これにより2本の端子13は電気的に導通し、第一スイッチがONになる。このとき、可動子8の両端部が各溝13bに落ち込むので、そのときの衝撃で鍵15の操作者は、感触や音で鍵スイッチ装置1が第二状態になったのを感知することができる。一方、内筒2はスプリング7によって一端側(上方)に付勢されているため、第二スイッチはOFFのままである。
【0042】
<第一スイッチOFF、第二スイッチON>
第一状態にあるときに、鍵15を鍵穴21に挿すことなく、あるいは鍵15を挿した状態で、内筒2をその先端側に向けて押下することもできる。このとき、間隙31b、間隙32a及び間隙62bが移動空間となるので、内筒2は、フランジ部23の裏面23aが段差底面31aと当接するまで押下することができる。このとき、溝34bが外筒3の内側に形成されているので、凸部24は溝34b内に沈み込み、内筒2の押下の妨げにはならない。すなわち、溝34bも移動空間となる。もちろん、内筒2は外筒3の鍵穴21側の内周を全体的に移動するので、この外筒3内の内筒2が移動する空間全体が移動空間であると言える。この第一状態で内筒2を押下した状態が図11である。このとき、内筒2の先端部30は、ラバー10を介して、第二スイッチであるタクトスイッチ11を押下する。これにより、タクトスイッチ11がOFF状態からON状態になる。内筒2は周方向に回転させていないので、第一スイッチはOFFのままである。なお、図11の図示では、鍵15を鍵穴21に挿していない状態であるが、鍵15を挿入した状態で第一スイッチOFF、第二スイッチONとしてもよい。
【0043】
<第一スイッチON、第二スイッチON>
同様に、図13に示すように、第二状態でも、内筒2を押下して、第二スイッチであるタクトスイッチ11をOFF状態からON状態にすることができる。この場合に、凸部24は縦長溝34aに落ち込むので、内筒2の移動の妨げにはならない。
なお、内筒2を第一状態と第二状態との間の中間的な位置まで回転させても、内筒2を押下してタクトスイッチ11をOFF状態からON状態にすることはできない。これは、当該中間的な位置では、溝34bや縦長溝34aのような凸部24が落ち込む空間がなく、凸部24は段差底面31aに係止されてしまうからである。
【0044】
以上説明した鍵スイッチ装置1によれば、第一スイッチ(可動子8と端子13)と第二スイッチ(タクトスイッチ11)との2回路のスイッチのスイッチングを1台の鍵スイッチ装置1の同じ部材(内筒2)の異なる操作(回転か押下か)により行うことができる。よって、鍵スイッチ装置1を搭載する電子機器の部品コストの低減や搭載スペースの縮小化を図ることができる。
【0045】
また、図13に示すように、内筒2を第二状態まで回転させて第一スイッチをスイッチングするのに続けて、第二スイッチをスイッチングすることができる。
さらに、図11に示すように、第一スイッチをスイッチングしない第一状態のままで第二スイッチのスイッチングを行うこともできる。
【0046】
なお、図14A図14Bに示すような、前記実施形態の変形例を用いてもよい。図14Aは、前記実施形態の変形例を示す外筒3の上面図であり、図14Bは、前記実施形態の変形例を示す外筒3を上側から視た斜視図である。本変形例において、前記実施形態と同様な部材等には同一の符号を用い、詳細な説明は省略する。本変形例が、前記実施形態と相違するのは、外筒3の内周面に溝34bが形成されていない点である。前記実施形態で溝34bが形成されていた位置には段差底面31aが形成されている。
【0047】
そのため、本変形例によれば、第一状態では、凸部24が落ち込む空間がなく、凸部24は段差底面31aに係止されてしまうため、内筒2を押下して第二スイッチ(タクトスイッチ11)をONにすることができない。当該変形例では、第二スイッチをONにできるのは、鍵スイッチ装置1が第二状態にあり、かつ、凸部24が縦長溝34a内を軸方向に移動するときに限定される。
【符号の説明】
【0048】
1 鍵スイッチ装置
2 内筒
21 鍵穴
3 外筒
35 係止部
7 スプリング(付勢部材)
8 可動子(可動接点、第一スイッチ)
11 タクトスイッチ(第二スイッチ)
13 端子(固定接点、第一スイッチ)
31b 間隙(移動空間)
32a 間隙(移動空間)
34b 溝(移動空間)
62b 間隙(移動空間)
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B